説明

寸法測定装置、寸法測定方法及び寸法測定装置用のプログラム

【課題】 複数のワークについて、相対的な位置関係を把握し易く、測定結果を容易に識別することができる寸法測定装置を提供する。
【解決手段】 特徴量情報、測定対象箇所情報及び設定値情報を保持する測定設定データ記憶部21と、ワークの位置及び姿勢をそれぞれ検出する配置状態検出部24と、ワーク画像A1から測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出部24と、抽出されたエッジに基づいて測定対象箇所の寸法値を算出し、測定対象箇所及びワークの良否判定を行う良否判定部25と、ワークの良否判定の結果をワーク画像A1上に表示する測定結果表示手段と、ワークのいずれかを選択するためのワーク選択部27により構成される。測定結果表示部26は、選択されたワークについて、測定対象箇所の良否判定の結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法測定装置、寸法測定方法及び寸法測定装置用のプログラムに係り、さらに詳しくは、ワークを撮影したワーク画像内のエッジを検出することにより、ワークの寸法を測定する寸法測定装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、寸法測定装置は、ワークを撮影してワーク画像を取得し、ワーク画像のエッジに基づいてワークの寸法を測定する装置であり、画像測定器と呼ばれることもある(例えば、特許文献1から3)。通常、ワークは、X,Y及びZ軸方向に移動可能な可動ステージ上に載置される。可動ステージをZ軸方向に移動させることにより、ワーク画像のピント合わせが行われ、X,Y軸方向に移動させることにより、ワークの視野内への位置調整が行われる。
【0003】
ワーク画像は、可動ステージのZ軸方向の位置に関わらず、ワークに対して極めて正確な相似形であることから、画像上で距離や角度を判定することにより、ワーク上における実際の寸法を検知することができる。しかしながら、従来の寸法測定装置では、視野が狭いことから、可動ステージ上の複数のワークについて、ワーク画像からワーク間の相対的な位置関係を判断することが難しかった。このため、ユーザは、ワーク画像から得られた測定結果がどのワークについて測定されたものであるのかを直感的に把握することが困難であるという問題があった。そこで、視野の広い低倍率視野内の複数のワークを低倍率で撮影したワーク画像上に、ワーク画像から得られる測定結果を表示させることが考えられる。しかし、各ワークについて、測定対象箇所ごとに寸法値を表示すれば、測定結果が識別しづらくなってしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−300124号公報
【特許文献2】特開2009−300125号公報
【特許文献3】特開2010−19667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、複数のワークについて、相対的な位置関係を把握し易くしつつ、測定結果を容易に識別することができる寸法測定装置、寸法測定方法及び寸法測定装置用のプログラムを提供することを目的とする。特に、ワークごとに良否を識別することができ、所望のワークについては、測定対象箇所ごとに良否を識別することが可能な表示状態に切り替えることができる寸法測定装置を提供することを目的とする。また、ワークごとに良否を識別することができ、所望のワークについては、複数の測定対象箇所からなる判定部位ごとに良否を識別することが可能な表示状態に切り替えることができる寸法測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明による寸法測定装置は、2以上のワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法をそれぞれ測定する寸法測定装置であって、上記ワーク画像から上記ワークを検出するための特徴量を示す特徴量情報、測定対象として指定された測定対象箇所を示す測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に対応づけられた設定値及び公差を含む設定値情報を保持する測定設定データ記憶手段と、上記特徴量情報を用いて上記ワーク画像を解析し、当該ワークの位置及び姿勢をそれぞれ検出する配置状態検出手段と、位置及び姿勢が検出された上記ワークについて、上記ワーク画像から上記測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出手段と、抽出された上記エッジに基づいて上記測定対象箇所の寸法値を算出し、上記寸法値及び上記設定値の差分を上記公差と比較し、上記測定対象箇所の良否判定を行うとともに、上記測定対象箇所の良否判定の結果に基づいて、上記ワークの良否判定を行う良否判定手段と、上記ワークの良否判定の結果を上記ワーク画像上に表示する測定結果表示手段と、上記ワークのいずれかを選択するためのワーク選択手段とを備えて構成される。上記測定結果表示手段は、上記ワーク選択手段により選択されたワークについて、上記測定対象箇所の良否判定の結果を表示する。
【0007】
この様な構成によれば、測定結果をワーク画像上に表示する際に、ワークの良否判定の結果を表示するので、各ワークについて測定対象箇所ごとに寸法値を表示する場合に比べ、複数のワークについて、相対的な位置関係を把握し易くしつつ、測定結果を容易に識別することができる。また、選択されたワークについて、測定対象箇所の良否判定の結果を表示するので、ワークごとに良否を識別することができ、所望のワークについては、測定対象箇所ごとに良否を識別することができる。
【0008】
第2の本発明による寸法測定装置は、2以上のワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法をそれぞれ測定する寸法測定装置であって、上記ワーク画像から上記ワークを検出するための第1の特徴量及び測定対象として指定された2以上の測定対象箇所を含む判定部位を検出するための第2の特徴量からなる特徴量情報、上記測定対象箇所を示す測定対象箇所情報、上記測定対象箇所に対応づけられた設定値及び公差を含む設定値情報、並びに、上記判定部位を示す判定部位情報を保持する測定設定データ記憶手段と、第1の特徴量を用いて上記ワーク画像を解析し、当該ワークの位置及び姿勢をそれぞれ検出し、第2の特徴量を用いてワーク内の上記判定部位の位置及び姿勢を検出する配置状態検出手段と、位置及び姿勢が検出された上記ワークについて、上記ワーク画像から上記測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出手段と、抽出された上記エッジに基づいて上記測定対象箇所の寸法値を算出し、上記寸法値及び上記設定値の差分を上記公差と比較し、上記測定対象箇所の良否判定を行うとともに、上記測定対象箇所の良否判定の結果に基づいて、上記判定部位の良否判定及び上記ワークの良否判定を行う良否判定手段と、上記ワークの良否判定の結果を上記ワーク画像上に表示する測定結果表示手段と、上記ワークのいずれかを選択するためのワーク選択手段とを備えて構成される。上記測定結果表示手段は、上記ワーク選択手段により選択されたワークについて、上記判定部位の良否判定の結果を表示する。
【0009】
この様な構成によれば、測定結果をワーク画像上に表示する際に、ワークの良否判定の結果を表示するので、各ワークについて測定対象箇所ごとに寸法値を表示する場合に比べ、複数のワークについて、相対的な位置関係を把握し易くしつつ、測定結果を容易に識別することができる。また、選択されたワークについて、判定部位の良否判定の結果を表示するので、所望のワークについては、判定部位ごとに良否を識別することが可能な表示状態に切り替えることができる。さらに、選択された判定部位について、測定対象箇所の良否判定の結果を表示するので、所望のワークの所望の判定部位については、測定対象箇所ごとに良否を識別することができる。
【0010】
第3の本発明による寸法測定装置は、上記構成に加え、上記ワーク選択手段により選択された上記ワークの上記判定部位のいずれかを選択するための判定部位選択手段を備え、上記測定結果表示手段は、上記判定部位選択手段により選択された判定部位について、上記測定対象箇所の良否判定の結果を表示するように構成される。この様な構成によれば、所望のワークについては、測定対象箇所ごとに良否を識別することが可能な表示状態で寸法値を確認することができる。
【0011】
第4の本発明による寸法測定装置は、上記構成に加え、上記測定結果表示手段が、上記寸法値を上記測定対象箇所に関連付けて表示するように構成される。この様な構成によれば、表示された寸法値がどの測定対象箇所について測定されたものであるのかを容易に識別することができる。
【0012】
第5の本発明による寸法測定方法は、2以上のワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法をそれぞれ測定する寸法測定方法であって、上記ワーク画像から上記ワークを検出するための特徴量を示す特徴量情報、測定対象として指定された測定対象箇所を示す測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に対応づけられた設定値及び公差を含む設定値情報を記憶する測定設定データ記憶ステップと、上記特徴量情報を用いて上記ワーク画像を解析し、当該ワークの位置及び姿勢をそれぞれ検出する配置状態検出ステップと、位置及び姿勢が検出された上記ワークについて、上記ワーク画像から上記測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出ステップと、抽出された上記エッジに基づいて上記測定対象箇所の寸法値を算出し、上記寸法値及び上記設定値の差分を上記公差と比較し、上記測定対象箇所の良否判定を行うとともに、上記測定対象箇所の良否判定の結果に基づいて、上記ワークの良否判定を行う良否判定ステップと、上記ワークの良否判定の結果を上記ワーク画像上に表示し、上記ワークのいずれかが選択されれば、選択されたワークについて、上記測定対象箇所の良否判定の結果を表示する測定結果表示ステップとからなる。
【0013】
第6の本発明による寸法測定装置用のプログラムは、2以上のワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法をそれぞれ測定するための寸法測定装置用のプログラムであって、上記ワーク画像から上記ワークを検出するための特徴量を示す特徴量情報、測定対象として指定された測定対象箇所を示す測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に対応づけられた設定値及び公差を含む設定値情報を記憶する測定設定データ記憶手順と、上記特徴量情報を用いて上記ワーク画像を解析し、当該ワークの位置及び姿勢をそれぞれ検出する配置状態検出手順と、位置及び姿勢が検出された上記ワークについて、上記ワーク画像から上記測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出手順と、抽出された上記エッジに基づいて上記測定対象箇所の寸法値を算出し、上記寸法値及び上記設定値の差分を上記公差と比較し、上記測定対象箇所の良否判定を行うとともに、上記測定対象箇所の良否判定の結果に基づいて、上記ワークの良否判定を行う良否判定手順と、上記ワークの良否判定の結果を上記ワーク画像上に表示し、上記ワークのいずれかが選択されれば、選択されたワークについて、上記測定対象箇所の良否判定の結果を表示する測定結果表示手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による寸法測定装置、寸法測定方法及び寸法測定装置用のプログラムでは、測定結果をワーク画像上に表示する際に、ワークの良否判定の結果を表示するので、各ワークについて測定対象箇所ごとに寸法値を表示する場合に比べ、複数のワークについて、相対的な位置関係を把握し易くしつつ、測定結果を容易に識別することができる。特に、選択されたワークについて、測定対象箇所の良否判定の結果を表示するので、ワークごとに良否を識別することができ、所望のワークについては、測定対象箇所ごとに良否を識別することが可能な表示状態に切り替えることができる。また、選択されたワークについて、判定部位の良否判定の結果を表示するので、ワークごとに良否を識別することができ、所望のワークについては、判定部位ごとに良否を識別することが可能な表示状態に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1による寸法測定装置100の一構成例を示した斜視図である。
【図2】図1の寸法測定装置100における測定ユニット10内の構成例を模式的に示した説明図であり、測定ユニット10の垂直面による切断面の様子が示されている。
【図3】図1の寸法測定装置100の動作の一例を示したフローチャートである。
【図4】図1の寸法測定装置100における測定設定データの作成時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図5】図1の寸法測定装置100における測定時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図6】図1の寸法測定装置100における測定時の動作の一例を示した図であり、複数のワークW1〜W3を含むワーク画像A及びマスター画像が示されている。
【図7】図1の寸法測定装置100における測定結果の表示時の動作の一例を示した図であり、測定結果が配置されたワーク画像Aが示されている。
【図8】図1の寸法測定装置100における制御ユニット20の構成例を示したブロック図であり、制御ユニット20内の機能構成の一例が示されている。
【図9】図1の寸法測定装置100における測定結果の表示時の動作の一例を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態2による寸法測定装置100の制御ユニット20の構成例を示したブロック図である。
【図11】図10の寸法測定装置100における測定時の動作の一例を示した図であり、位置及び姿勢の検出に用いられる特徴量B1,B2が示されている。
【図12】図10の寸法測定装置100における測定時の動作の一例を示した図であり、複数のワークW4〜W6を含むワーク画像Aが示されている。
【図13】図10の寸法測定装置100における測定結果の表示時の動作の一例を示した図であり、測定結果が配置されたワーク画像Aが示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
<寸法測定装置>
図1は、本発明の実施の形態1による寸法測定装置100の一構成例を示した斜視図である。この寸法測定装置100は、可動ステージ12上の検出エリア13内に配置された複数のワークを異なる撮影倍率で撮影し、その撮影画像を解析して各ワークの寸法を自動測定する画像測定器であり、測定ユニット10、制御ユニット20、キーボード31及びマウス32からなる。ワークは、その形状や寸法が測定される測定対象物である。
【0017】
測定ユニット10は、ワークに検出光を照射し、その透過光又は反射光を受光して撮影画像を生成する光学系ユニットであり、ディスプレイ11、可動ステージ12、XY位置調整つまみ14a、Z位置調整つまみ14b、電源スイッチ15及び測定開始スイッチ16が設けられている。
【0018】
ディスプレイ11は、撮影画像や測定結果を表示画面11a上に表示する表示装置である。可動ステージ12は、測定対象とするワークを載置するための載置台であり、検出光を透過させる検出エリア13が設けられている。検出エリア13は、透明ガラスからなる円形状の領域である。この可動ステージ12は、検出光の光軸に平行なZ軸方向と、光軸に垂直なXYの各軸方向とに移動させることができる。
【0019】
XY位置調整つまみ14aは、可動ステージ12をX軸方向及びY軸方向に移動させるための操作部である。Z位置調整つまみ14bは、可動ステージ12をZ軸方向に移動させるための操作部である。電源スイッチ15は、測定ユニット10及び制御ユニット20の電源をオンするための操作部であり、測定開始スイッチ16は、ワークに対する寸法測定を開始させるための操作部である。
【0020】
制御ユニット20は、測定ユニット10による撮影や画面表示を制御し、撮影画像を解析して各ワークの寸法を判定するコントローラであり、キーボード31及びマウス32が接続されている。電源投入後、検出エリア13内に複数のワークを適当に配置して測定開始スイッチ16を操作すれば、各ワークについてその寸法が自動的に測定される。
【0021】
<測定ユニット>
図2は、図1の寸法測定装置100における測定ユニット10内の構成例を模式的に示した説明図であり、測定ユニット10を垂直面により切断した場合の切断面の様子が示されている。この測定ユニット10は、筐体40内部が、Z駆動部41、XY駆動部42、撮像素子43,44、透過照明ユニット50、リング照明ユニット60、同軸落射照明用光源71、受光レンズユニット80により構成されている。
【0022】
Z駆動部41は、制御ユニット20からの駆動信号に基づいて、可動ステージ12をZ軸方向に移動させ、ワークのZ軸方向の位置を調整するZ位置調整手段である。XY駆動部42は、制御ユニット20からのXY駆動信号に基づいて、可動ステージ12をX軸方向及びY軸方向に移動させ、ワークのXY平面内の位置を調整するXY位置調整手段である。
【0023】
透過照明ユニット50は、可動ステージ12上に載置されたワークに対し、検出光を下側から照射するための照明装置であり、透過照明用光源51、ミラー52及び光学レンズ53からなる。透過照明用光源51から出射された検出光は、ミラー52により反射され、光学レンズ52を介して出射される。この検出光は、可動ステージ12を透過し、その透過光の一部は、ワークにより遮断され、他の一部が受光レンズユニット80に入射する。
【0024】
リング照明ユニット60は、可動ステージ12上のワークに対し、検出光を上側から照射するための照明装置であり、受光レンズユニット80を取り囲むリング状の光源からなる。同軸落射照明用光源71は、可動ステージ12上のワークに対し、検出光を上側から照射するための光源であり、ワークに対する照射光の光軸とワークによる反射光の光軸とが同軸となるように、ハーフミラー72が配置されている。ワークの照明方法としては、透過照明、リング照明又は同軸落射照明のいずれかを選択的に切り替えることができる。
【0025】
受光レンズユニット80は、受光レンズ81,84,86、ハーフミラー82、絞り板83及び85からなる光学系であり、透過照明ユニット50からの透過光と、検出光のワークによる反射光とを受光して撮像素子43及び44に結像させる。受光レンズ81は、可動ステージ12側に配置された光学レンズであり、当該可動ステージ12の上面に対向させて配置されている。受光レンズ84は、撮像素子43側に配置された光学レンズであり、当該撮像素子43に対向させて配置されている。また、受光レンズ86は、撮像素子44側に配置された光学レンズであり、当該撮像素子44に対向させて配置されている。
【0026】
絞り板83及び受光レンズ84は、撮影倍率の低い低倍側結像部であり、その中心軸を光学レンズ53及び受光レンズ81と一致させて配置されている。一方、絞り板85及び受光レンズ86は、撮影倍率の高い高倍側結像部であり、ワークからの検出光はハーフミラー82を介して入射される。受光レンズ81,84及び86は、ワークの光軸方向(Z軸方向)の位置が変化しても、像の大きさを変化させない性質を有し、テレセントリックレンズと呼ばれる。
【0027】
撮像素子43は、受光レンズユニット80により形成される低倍率視野内のワークを低倍率で撮影し、低倍率画像を生成する低倍率用のイメージセンサである。撮像素子44は、受光レンズユニット80により形成される高倍率視野内のワークを高倍率で撮影し、高倍率画像を生成する高倍率用のイメージセンサである。高倍率視野は、低倍率視野よりも狭い視野であり、低倍率視野内に形成される。
【0028】
撮像素子43,44は、いずれもCCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)などの半導体素子からなる。
【0029】
この寸法測定装置100では、可動ステージ12の検出エリア13内であれば、ワークをどこに配置しても、低倍率視野で捉えられる。また、低倍率視野内に配置されたワークは、低倍率画像を解析して可動ステージ12をXY平面内で移動させることにより、高倍率視野内へ案内され、高倍率で撮影される。この寸法測定装置100では、低倍率視野及び高倍率視野が略同心であり、低倍率画像と高倍率画像とを同時に取得することができる。
【0030】
<寸法測定装置の動作>
図3のステップS101〜S103は、図1の寸法測定装置100の動作の一例を示したフローチャートである。この寸法測定装置100では、その動作が3つのプロセス、すなわち、測定設定データの作成(ステップS101)、測定の実行(ステップS102)及び測定結果の表示(ステップS103)からなる。
【0031】
測定設定データは、測定の実行に必要な情報であり、特徴量を示す特徴量情報、測定対象箇所や測定種別を示す測定対象箇所情報、測定対象箇所ごとの設計値や公差を示す設計値情報などからなる。特徴量情報は、ワーク画像を解析してワークの位置や姿勢を検出するための位置決め用の情報であり、所定のマスターデータに基づいて設定される。なお、特徴量情報、測定対象箇所情報が高倍率画像に基づいて設定されたものである場合には、その旨を示す識別情報が測定設定データとして保持される。
【0032】
測定設定データは、制御ユニット20において作成される。或いは、PC(パーソナルコンピュータ)などの情報処理端末において作成された測定設定データを制御ユニット20に転送して用いるような構成であっても良い。測定処理は、この様な測定設定データに基づいて実行される。そして、測定結果の表示処理は、測定によって得られた寸法値などをディスプレイ11上に表示することにより行われる。
【0033】
<測定設定データの作成>
図4のステップS201〜S204は、図1の寸法測定装置100における測定設定データの作成時の動作の一例を示したフローチャートである。この図には、制御ユニット20において測定設定データを作成する場合が示されている。
【0034】
測定設定データの作成処理は、以下に示す4つの処理手順からなる。まず、設計データの入力が行われる(ステップS201)。設計データの入力では、特徴量の設定や輪郭比較に用いるマスターデータが取得される。マスターデータは、マスターピースなどの所定の基準物を撮影した撮影画像、或いは、CAD(Computer Aided Design)により作成されたCADデータやCAD画像からなる。ここでは、マスターデータとして、マスターピースを撮影して得られたマスター画像を用いた場合の例を説明する。
【0035】
次に、特徴量の設定が行われる(ステップS202)。特徴量の設定は、マスター画像に基づいて、特徴量情報や測定範囲を設定することにより行われる。次に、測定対象箇所及び測定種別の指定が行われる(ステップS203)。測定対象箇所及び測定種別の指定は、ディスプレイ11上に表示されたマスター画像に対し、所望の測定対象箇所ごとにエッジ検出領域や測定種別を指定することにより行われる。
【0036】
エッジ検出領域は、領域内の撮影画像について、輝度変化を解析してエッジを抽出するための領域である。測定種別の指定は、何を測定するかの測定方法を指定するものである。測定対象箇所及び測定種別の指定が完了すれば、マスター画像を用いて測定が実行される。すなわち、マスター画像について、エッジ抽出を行い、測定対象箇所ごとの寸法値が測定される。寸法値の測定結果は、例えば、マスター画像上に表示される。
【0037】
次に、設計値及び公差の設定が行われる(ステップS204)。設計値及び公差の設定では、表示された測定対象箇所ごとの寸法値が必要に応じて変更され、設計値として設定される。また、設計値に関連付けて公差が設定される。この様にして作成された測定設定データは、制御ユニット10内のメモリに書き込まれる。
【0038】
<測定処理>
図5のステップS301〜S306は、図1の寸法測定装置100における測定時の動作の一例を示したフローチャートである。測定処理は、以下に示す6つの処理手順からなる。まず、可動ステージ12上に配置されたワークを撮影してワーク画像を取得し、測定設定データの特徴量情報に基づいてワーク画像を解析することにより、ワークの位置決めが行われる(ステップS301)。このワークの位置決めは、特徴量情報に基づくパターンマッチングなどの手法を用いて、ワーク画像内におけるワークの位置及び姿勢を検出することにより行われる。
【0039】
次に、位置及び姿勢の検出結果と測定設定データに基づいて、測定箇所を特定し(ステップS302)、ワーク画像のエッジ抽出が行われる(ステップS303)。寸法測定は、抽出された測定箇所ごとのエッジ位置と、測定設定データの測定種別情報に基づいて、距離や角度を算出することにより行われる(ステップS304)。
【0040】
次に、測定された寸法値と測定設定データの設計値との差分から誤差を求め、誤差を対応する公差と比較することにより(ステップS305)、測定箇所ごとの良否判定やワークの良否判定が行われる(ステップS306)。
【0041】
<ワーク画像>
図6は、図1の寸法測定装置100におけるワーク測定時の動作の一例を示した図であり、図中の(a)には、低倍率視野内の複数のワークW1〜W3を低倍率で撮影して得られたワーク画像Aが示され、(b)には、マスター画像が示されている。可動ステージ12上の検出エリア13内に配置されたワークは、低倍率視野で捉えることができる。この図では、透過照明時に撮影されたワーク画像Aが示されている。
【0042】
この例では、同一形状で略同サイズの3つのワークW1〜W3が低倍率視野内に配置されている。各ワークW1〜W3は、任意の位置に任意の向きで配置されている。ワークW1〜W3は、薄い平板状の部品からなる。ワークW2は、ワークW1、W3と比較して表裏反転されている。
【0043】
ワーク画像Aは、必要に応じてディスプレイ11の表示画面11a上に表示され、低倍率視野内のワークW1〜W3の様子をリアルタイムで観察することができる。また、マスター画像から得られる特徴量を用いてワーク画像Aを解析することにより、低倍率視野内の全てのワークW1〜W3について、その位置や姿勢などの配置状態が検出される。ワークW1〜W3の配置状態は、各ワークW1〜W3の寸法を測定する際の測定対象箇所の特定に用いられる。
【0044】
マスター画像は、所定の基準物を寸法測定装置100により実際に撮影した撮影画像に基づいて作成される。或いは、CADにより作成されたCAD画像をマスター画像として用いても良い。
【0045】
寸法測定装置100には、この様なマスター画像の他に、測定設定データとして、エッジ抽出のためのエッジ検出領域2を示す情報、測定対象箇所及び測定種別を示す測定対象箇所情報、測定対象箇所ごとの設計値b〜b、設計値b〜bに関連付けられた公差などが予め保持される。
【0046】
エッジ検出領域2は、例えば、ワークの輪郭における直線や円弧の一部を取り囲む矩形形状の領域であり、エッジ検出領域2内のワーク画像Aについて、所定方向に輝度変化を解析することにより、エッジ点が検出される。検出された複数のエッジ点について、最小2乗法などの統計的手法を用いてこれらのエッジ点に直線又は円弧などの幾何学図形をフィッティングさせれば、ワークの輪郭線が判定される。
【0047】
測定対象箇所として、例えば、ワークの輪郭における平行な2つの直線部を指定すれば、これらの直線間の距離(設計値b)が寸法値として測定される。また、直線部と特徴点1とを指定すれば、直線及び特徴点1間の距離(設計値b)が寸法値として測定される。また、傾きの異なる2つの直線部を指定すれば、これらの直線間の角度(設計値b)が寸法値として測定される。また、円の一部(円弧)又は全部を測定対象箇所として指定すれば、円の直径(設計値b)、半径又は中心座標が寸法値として測定される。
【0048】
<測定結果の階層表示>
図7は、図1の寸法測定装置100における測定結果の表示時の動作の一例を示した図であり、測定結果が配置されたワーク画像Aが示されている。図中の(a)には、低倍率視野内の複数のワークW1〜W3について、ワークごとの良否判定の結果が表示される第1表示状態が示されている。また、図中の(b)には、いずれかのワークW1〜W3が選択された場合における第2表示状態が示されている。
【0049】
ワーク画像Aを解析して得られる測定結果としては、測定対象箇所ごとに算出される寸法値の他に、測定対象個所ごとの寸法値の良否判定の結果、ワークの良否判定の結果がある。寸法値の良否判定は、寸法値と設計値との差分、すなわち、誤差を当該設計値に対応する公差と比較することにより行わる。また、ワークの良否判定は、ワーク内の測定対象箇所に関する寸法値の良否判定の結果に基づいて行われる。例えば、全ての測定対象箇所について誤差が公差範囲内となるワークが良好と判断され、誤差が公差範囲外となる測定対象箇所を有するワークが不良と判断される。
【0050】
第1表示状態は、ワークごとにワークの良否を識別することが可能な表示状態であり、良否判定結果がワーク画像A上に表示される。この例では、ワークW1及びW3が、良好ワークであり、緑色の輪郭線と、良好ワークであることを示す緑色の文字列「OK」が配置されている。一方、ワークW2は、不良ワークであり、赤色の輪郭線と、不良ワークであることを示す文字列「NG」が配置されている。
【0051】
ワークごとの良否判定結果が表示されている状態で、いずれかのワークがユーザによる所定の操作に基づいて選択されれば、第2表示状態に移行する。第2表示状態は、測定対象箇所ごとに寸法値の良否を識別することが可能な表示状態であり、第1表示状態において選択されたワークについて、寸法値がワーク画像A上に表示される。なお、選択されなかったワークについては、ワークごとの良否判定結果がそのまま表示される。
【0052】
具体的には、ワークW1が選択された場合、ワークW1について算出された寸法値が測定対象個所に関連付けて表示され、選択されなかったワークW2,W3については、そのままワークの良否判定結果が表示されている。また、ワークW2が選択された場合には、ワークW2について算出された寸法値が測定対象個所に関連付けて表示され、選択されなかったワークW3,W1については、そのままワークの良否判定結果が表示されている。
【0053】
寸法値は、いずれの場合にも、4つの測定対象箇所について、それぞれ測定対象箇所に関連付けて表示されている。この例では、寸法値が、寸法線と、測定対象箇所を示す寸法補助線(引き出し線)を用いて表示されている。
【0054】
ワークW2は、不良ワークであり、4つの測定対象箇所のうち、寸法値「11.02」の測定対象箇所は、誤差が公差範囲を越える不良箇所であり、他の良好な測定対象箇所と識別可能に寸法値が表示される。ここでは、寸法値「11.02」が赤色の文字列により表示され、他の寸法値が緑色の文字列により表示されている。
【0055】
なお、上述した様に、選択されたワークについて、寸法値を測定対象個所に関連付けて表示しつつ、不良箇所があれば、識別可能に表示する構成の他に、寸法値を表示することに代えて、第1表示状態と同様に、文字列「OK」又は「NG」により、測定対象箇所ごとの寸法値の良否判定の結果を表示するような構成であっても良い。この場合、測定対象箇所ごとの寸法値の良否判定結果が文字列により表示されている状態で、いずれかの測定対象箇所が所定の操作に基づいて選択されれば、選択された測定対象箇所について、寸法値が表示される。
【0056】
次に、特定のワークについて、寸法値の良否判定結果が表示されている状態で、所定のキャンセル操作を行えば、第1表示状態に復帰させることができる。また、特定のワークについて、寸法値の良否判定結果が表示されている状態で、表示対象を変更するための所定の操作を行えば、測定対象箇所ごとに寸法値の良否判定の結果を表示させるワークを変更することができる。
【0057】
<制御ユニット>
図8は、図1の寸法測定装置100における制御ユニット20の構成例を示したブロック図であり、制御ユニット20内の機能構成の一例が示されている。この制御ユニット20は、測定設定データ記憶部21、ワーク画像記憶部22、配置状態検出部23、エッジ抽出部24、良否判定部25、測定結果表示部26及びワーク選択部27により構成される。
【0058】
測定設定データ記憶部21には、測定設定データとして、ワーク画像Aの特徴量を示す特徴量情報、測定対象箇所や測定種別を示す測定対象箇所情報、測定対象箇所ごとに設定された設定値(設計値)や設計値に関連付けられた公差からなる設定値情報が保持される。特徴量情報は、ワーク画像A内のワークについて、その位置や姿勢などの配置状態を検出するのに用いられるマッチング用の特徴情報であり、パターンマッチング用のマッチング画像、幾何形状相関サーチ用の幾何形状情報、ワークの特徴点を示す特徴点情報などからなる。
【0059】
ワーク画像記憶部22には、測定ユニット10により撮影されたワーク画像Aが保持される。配置状態検出部23は、ワーク画像記憶部22内のワーク画像Aに基づいて、ワークの配置状態を検出する。具体的には、測定設定データ記憶部21内の特徴量を用いてワーク画像Aを解析することにより、低倍率視野内におけるワークの位置や姿勢が検出される。配置状態の検出は、低倍率視野内の全てのワークについて行われる。
【0060】
エッジ抽出部24は、配置状態検出部23により配置状態が検出されたワークについてその配置状態と測定設定データ記憶部21内の測定対象箇所情報とから測定対象箇所を特定し、ワーク画像Aから測定対象箇所のエッジを抽出する。
【0061】
良否判定部25は、エッジ抽出部24により抽出されたエッジ位置に基づいて、測定対象箇所ごとの寸法値を算出し、寸法値と対応する設定値との差分を対応する公差と比較して良否判定を行う。寸法値の良否判定は、寸法値と設定値との差分(誤差)が公差範囲内であるか否かを判定することにより行われる。また、ワークの良否判定は、測定対象箇所ごとの寸法値の良否判定の結果に基づいて行われる。
【0062】
測定結果表示部26は、ワークごとの良否判定の結果をワーク画像A上に表示するための画面データを生成し、測定ユニット10へ出力する。具体的には、配置状態検出部23により検出されたワークが複数存在する場合に、検出されたワークごとに良否が識別可能な第1表示状態で、良否判定の結果が表示される。
【0063】
ワーク選択部27は、表示されたワークのうちのいずれかの選択を所定の操作入力に基づいて受け付ける選択受付手段であり、低倍率視野内のワークのいずれかを指定する。測定結果表示部26では、ワーク選択部27によりワークが選択されれば、選択されたワークについて、測定対象箇所ごとに良否が識別可能な第2表示状態で寸法値が表示される。
【0064】
寸法値の良否判定結果の表示は、例えば、測定部位に関連付けて配置する寸法値を良好箇所と不良箇所とで識別可能に表示することにより行われる。一方、選択されていないワークについては、ワークごとの良否判定の結果がそのまま表示される。
【0065】
<測定結果の表示>
図9のステップS401〜S407は、図1の寸法測定装置100における測定結果の表示時の動作の一例を示したフローチャートである。測定結果表示部26は、まず、ワークごとの良否判定の結果をワーク画像A上に表示する(ステップS401)。
【0066】
次に、測定結果表示部26は、この第1表示状態において、ワーク画像A内のいずれかのワークがユーザ操作に基づいて選択されれば、第2表示状態に移行し、選択されたワークについて、測定対象箇所ごとの寸法値をその良否が識別可能な表示態様で表示する(ステップ402,S403)。寸法値の表示中に、ワークを変更するための操作が行われれば、表示対象とするワークが変更され、新たに選択されたワークについて、寸法値が表示される(ステップS404,S405)。
【0067】
一方、寸法値の表示中に、キャンセル操作が行われれば、ワークごとの良否判定結果を表示する第1表示状態に復帰し、ステップS401以降の処理手順が繰り返される(ステップS406)。ステップS403からステップS406までの処理手順は、表示終了が指示されるまで繰り返される(ステップS407)。
【0068】
本実施の形態によれば、測定結果をワーク画像A上に表示する際に、ワークごとに良否が識別可能な第1表示状態で良否判定の結果を表示するので、各ワークについて測定対象箇所ごとに寸法値を表示する場合に比べ、複数のワークについて、相対的な位置関係を把握し易くしつつ、測定結果を容易に識別することができる。また、選択されたワークについて、測定対象箇所ごとに良否が識別可能な第2表示状態で寸法値を表示するので、ワークごとに良否を識別することができ、所望のワークについては、測定対象箇所ごとに良否を識別することが可能な表示状態に切り替えることができる。
【0069】
実施の形態2.
実施の形態1では、第1表示状態でワークごとの良否判定結果を表示し、いずれかのワークが選択されれば、測定対象箇所ごとに寸法値の良否が識別可能な第2表示状態で寸法値を表示する場合の例について説明した。これに対し、本実施の形態では、ワーク内の測定対象箇所をグループ化し、複数の測定対象箇所からなるグループ単位で良否判定を行う場合について説明する。
【0070】
図10は、本発明の実施の形態2による寸法測定装置100の制御ユニット20の構成例を示したブロック図である。この制御ユニット20は、図8の制御ユニット20と比較すれば、判定部位選択部28を備えている点で異なる。
【0071】
測定設定データ記憶部21には、測定設定データとして、複数の測定対象箇所からなる判定部位を示す判定部位情報が保持される。判定部位は、ワーク内の測定対象箇所をグループ化した場合の1つのグループであり、複数の測定対象箇所により構成される。この様な判定部位としては、例えば、ワーク内に同一形状で略同サイズの部分が複数個存在する場合に、これらの部分が判定部位として予め指定される。
【0072】
配置状態検出部23では、ワークごとにワークの配置状態を検出するとともに、検出したワークの配置状態と測定設定データの判定部位情報とに基づいて、判定部位ごとに判定部位の配置状態を検出する動作が行われる。
【0073】
良否判定部25では、測定対象箇所ごとの寸法値の良否判定の結果に基づいて、判定部位の良否判定を行う。例えば、判定部位に属する全ての測定対象箇所について誤差が公差範囲内となる判定部位は、良好と判断され、誤差が公差範囲外となる測定対象箇所を有する判定部位は、不良と判断される。
【0074】
判定部位選択部28は、判定部位を選択するための所定の操作入力に基づいて、ワーク内の判定部位のいずれかを選択する。測定結果表示部26は、第1表示状態でワークごとの良否判定結果の表示中に、ワーク選択部27によりワークが選択されれば、選択されたワークについて、判定部位ごとに良否が識別可能な第2表示状態で良否判定の結果を表示する。
【0075】
そして、第2表示状態において、判定部位選択部28により判定部位が選択指定されれば、指定された判定部位について、測定対象箇所ごとに寸法値の良否が識別可能な第3表示状態で寸法値が表示される。一方、指定されていない判定部位については、判定部位ごとの良否判定結果がそのまま表示される。
【0076】
<特徴量>
図11は、図10の寸法測定装置100におけるワーク測定時の動作の一例を示した図であり、位置及び姿勢の検出に用いられる特徴量B1,B2が示されている。図中の(a)には、ワーク全体を示す特徴量B1が示され、(b)には、ワーク内の判定部位を示す特徴量B2が示されている。
【0077】
特徴量B1は、ワークの配置状態を検出するために、ワーク画像Aと比較させるパターン画像であり、同一形状で略同サイズの3つの判定部位3が形成されている。特徴量B2は、判定部位3の配置状態を検出するために、ワーク画像Aと比較させるパターン画像であり、ワーク内の判定部位3に対応する形状からなる。
【0078】
測定設定データには、エッジ抽出のためのエッジ検出領域2を示す情報、測定対象箇所及び測定種別を示す測定対象箇所情報、測定対象箇所ごとの設定値b,b及び設定値b,bに対応付けられた公差を示す設定値情報などが予め保持される。
【0079】
図12は、図10の寸法測定装置100におけるワーク測定時の動作の一例を示した図であり、複数のワークW4〜W6を含むワーク画像Aが示されている。図中の(a)には、低倍率視野内の3つのワークW4〜W6を低倍率で撮影して得られたワーク画像Aが示され、(b)には、ワークごとにワークの位置及び姿勢が検出される様子が示されている。ワークW5は、ワークW4、W6と比較して表裏反転されている。
【0080】
低倍率視野内の複数のワークW4〜W6を低倍率で撮影することにより、ワーク画像Aが生成される。このワーク画像Aを特徴量B1を用いて解析することにより、低倍率視野内の3つのワークW4〜W6について、それぞれワークの位置や姿勢が検出される。
【0081】
図中の(c)には、位置及び姿勢が検出されたワークW4について、判定部位3ごとに位置及び姿勢が検出される様子が示されている。ワーク画像Aを特徴量B2を用いて解析することにより、ワークW4内の3つの判定部位3について、それぞれ判定部位3の位置及び姿勢が検出される。
【0082】
<測定結果の階層表示>
図13は、図10の寸法測定装置100における測定結果の表示時の動作の一例を示した図であり、測定結果が配置されたワーク画像Aが示されている。図中の(a)には、低倍率視野内の複数のワークW4〜W6について、ワークごとにワークの良否を識別することが可能な第1表示状態が示されている。
【0083】
第1表示状態では、ワークごとの良否判定の結果が、低倍率視野内の複数のワークW4〜W6について表示される。この例では、ワークW4及びW5が、良好ワークであり、緑色の輪郭線と、良好ワークであることを示す緑色の文字列「OK」が配置されている。
【0084】
一方、ワークW6は、不良ワークであり、赤色の輪郭線と、不良ワークであることを示す赤色の文字列「NG」が配置されている。この様にワークごとの良否判定結果が表示されている第1表示状態において、いずれかのワークがユーザによる所定の操作に基づいて選択されれば、第2表示状態に移行する。
【0085】
図中の(b)には、第1表示状態においてユーザにより選択されたワークW6について、判定部位3ごとに判定部位3の良否を識別することが可能な第2表示状態が示されている。第2表示状態では、選択されたワークW6について、判定部位3ごとの良否判定の結果が表示される。この例では、判定部位「1」及び「3」が、良好部位であり、緑色の輪郭線と、良好部位であることを示す緑色の文字列「OK」が配置されている。
【0086】
一方、判定部位「2」は、不良部位であり、赤色の輪郭線と、不良部位であることを示す赤色の文字列「NG」が配置されている。この様に判定部位3ごとの良否判定結果が表示されている第2表示状態において、いずれかの判定部位3がユーザによる所定の操作に基づいて選択されれば、第3表示状態に移行する。
【0087】
図中の(c)には、第2表示状態においてユーザにより選択された判定部位3について、測定対象箇所ごとに寸法値の良否を識別することが可能な第3表示状態が示されている。第3表示状態では、選択された測定部位3について、測定対象箇所ごとに良否を識別することが可能な表示態様で寸法値が表示される。なお、選択されなかった判定部位3については、判定部位3ごとの良否判定結果がそのまま表示される。
【0088】
例えば、第2表示状態において、判定部位「1」が選択された場合、判定部位「1」について、寸法値が測定対象個所に関連付けて表示される。また、第2表示状態において、判定部位「2」が選択された場合には、判定部位「2」について、寸法値が測定対象個所に関連付けて表示される。
【0089】
判定部位「2」は、不良部位であり、2つの測定対象箇所のうち、寸法値「0.92」の測定対象箇所は、誤差が公差範囲を越える不良箇所であり、他の良好な測定対象箇所と識別可能に寸法値が表示される。ここでは、寸法値「0.92」が赤色の文字列により表示され、他の寸法値が緑色の文字列により表示されている。
【0090】
本実施の形態によれば、所望のワークについて、判定部位3ごとに良否を識別することが可能な表示状態に切り替えることができる。さらに、所望の判定部位3について、測定対象箇所ごとに寸法値の良否を識別することが可能な表示状態で寸法値を確認することもできる。
【符号の説明】
【0091】
1 特徴点
2 エッジ検出領域
3 判定部位
10 測定ユニット
11 ディスプレイ
11a 表示画面
12 可動ステージ
13 検出エリア
14a XY位置調整つまみ
14b Z位置調整つまみ
15 電源スイッチ
16 測定開始スイッチ
20 制御ユニット
21 測定設定データ記憶部
22 ワーク画像記憶部
23 配置状態検出部
24 エッジ抽出部
25 良否判定部
26 測定結果表示部
27 ワーク選択部
28 判定部位選択部
31 キーボード
32 マウス
40 筐体
41 Z駆動部
42 XY駆動部
43,44 撮像素子
50 透過照明ユニット
51 透過照明用光源
52 ミラー
53 光学レンズ
60 リング照明ユニット
71 同軸落射照明用光源
72 ハーフミラー
80 受光レンズユニット
81,84,86 受光レンズ
82 ハーフミラー
83,85 絞り板
100 寸法測定装置
A ワーク画像
B1,B2 特徴量
W1〜W6 ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上のワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法をそれぞれ測定する寸法測定装置において、
上記ワーク画像から上記ワークを検出するための特徴量を示す特徴量情報、測定対象として指定された測定対象箇所を示す測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に対応づけられた設定値及び公差を含む設定値情報を保持する測定設定データ記憶手段と、
上記特徴量情報を用いて上記ワーク画像を解析し、当該ワークの位置及び姿勢をそれぞれ検出する配置状態検出手段と、
位置及び姿勢が検出された上記ワークについて、上記ワーク画像から上記測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出手段と、
抽出された上記エッジに基づいて上記測定対象箇所の寸法値を算出し、上記寸法値及び上記設定値の差分を上記公差と比較し、上記測定対象箇所の良否判定を行うとともに、上記測定対象箇所の良否判定の結果に基づいて、上記ワークの良否判定を行う良否判定手段と、
上記ワークの良否判定の結果を上記ワーク画像上に表示する測定結果表示手段と、
上記ワークのいずれかを選択するためのワーク選択手段とを備え、
上記測定結果表示手段は、上記ワーク選択手段により選択されたワークについて、上記測定対象箇所の良否判定の結果を表示することを特徴とする寸法測定装置。
【請求項2】
2以上のワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法をそれぞれ測定する寸法測定装置において、
上記ワーク画像から上記ワークを検出するための第1の特徴量及び測定対象として指定された2以上の測定対象箇所を含む判定部位を検出するための第2の特徴量からなる特徴量情報、上記測定対象箇所を示す測定対象箇所情報、上記測定対象箇所に対応づけられた設定値及び公差を含む設定値情報、並びに、上記判定部位を示す判定部位情報を保持する測定設定データ記憶手段と、
第1の特徴量を用いて上記ワーク画像を解析し、当該ワークの位置及び姿勢をそれぞれ検出し、第2の特徴量を用いてワーク内の上記判定部位の位置及び姿勢を検出する配置状態検出手段と、
位置及び姿勢が検出された上記ワークについて、上記ワーク画像から上記測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出手段と、
抽出された上記エッジに基づいて上記測定対象箇所の寸法値を算出し、上記寸法値及び上記設定値の差分を上記公差と比較し、上記測定対象箇所の良否判定を行うとともに、上記測定対象箇所の良否判定の結果に基づいて、上記判定部位の良否判定及び上記ワークの良否判定を行う良否判定手段と、
上記ワークの良否判定の結果を上記ワーク画像上に表示する測定結果表示手段と、
上記ワークのいずれかを選択するためのワーク選択手段とを備え、
上記測定結果表示手段は、上記ワーク選択手段により選択されたワークについて、上記判定部位の良否判定の結果を表示することを特徴とする寸法測定装置。
【請求項3】
上記ワーク選択手段により選択された上記ワークの上記判定部位のいずれかを選択するための判定部位選択手段を備え、
上記測定結果表示手段は、上記判定部位選択手段により選択された判定部位について、上記測定対象箇所の良否判定の結果を表示することを特徴とする請求項2に記載の寸法測定装置。
【請求項4】
上記測定結果表示手段は、上記寸法値を上記測定対象箇所に関連付けて表示することを特徴とする請求項1又は3に記載の寸法測定装置。
【請求項5】
2以上のワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法をそれぞれ測定する寸法測定方法において、
上記ワーク画像から上記ワークを検出するための特徴量を示す特徴量情報、測定対象として指定された測定対象箇所を示す測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に対応づけられた設定値及び公差を含む設定値情報を記憶する測定設定データ記憶ステップと、
上記特徴量情報を用いて上記ワーク画像を解析し、当該ワークの位置及び姿勢をそれぞれ検出する配置状態検出ステップと、
位置及び姿勢が検出された上記ワークについて、上記ワーク画像から上記測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出ステップと、
抽出された上記エッジに基づいて上記測定対象箇所の寸法値を算出し、上記寸法値及び上記設定値の差分を上記公差と比較し、上記測定対象箇所の良否判定を行うとともに、上記測定対象箇所の良否判定の結果に基づいて、上記ワークの良否判定を行う良否判定ステップと、
上記ワークの良否判定の結果を上記ワーク画像上に表示し、上記ワークのいずれかが選択されれば、選択されたワークについて、上記測定対象箇所の良否判定の結果を表示する測定結果表示ステップとからなることを特徴とする寸法測定方法。
【請求項6】
2以上のワークを撮影したワーク画像を取得し、上記ワーク画像内のエッジを検出することにより、上記ワークの寸法をそれぞれ測定するための寸法測定装置用のプログラムにおいて、
上記ワーク画像から上記ワークを検出するための特徴量を示す特徴量情報、測定対象として指定された測定対象箇所を示す測定対象箇所情報、並びに、上記測定対象箇所に対応づけられた設定値及び公差を含む設定値情報を記憶する測定設定データ記憶手順と、
上記特徴量情報を用いて上記ワーク画像を解析し、当該ワークの位置及び姿勢をそれぞれ検出する配置状態検出手順と、
位置及び姿勢が検出された上記ワークについて、上記ワーク画像から上記測定対象箇所のエッジを抽出するエッジ抽出手順と、
抽出された上記エッジに基づいて上記測定対象箇所の寸法値を算出し、上記寸法値及び上記設定値の差分を上記公差と比較し、上記測定対象箇所の良否判定を行うとともに、上記測定対象箇所の良否判定の結果に基づいて、上記ワークの良否判定を行う良否判定手順と、
上記ワークの良否判定の結果を上記ワーク画像上に表示し、上記ワークのいずれかが選択されれば、選択されたワークについて、上記測定対象箇所の良否判定の結果を表示する測定結果表示手順とを実行させることを特徴とする寸法測定装置用のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−32224(P2012−32224A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170711(P2010−170711)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】