説明

情報記録再生装置、およびその記録クロック生成方法

【課題】ウォブル信号に同期して生成される記録クロックの周波数安定化を簡素な構成で実現することができる情報記録再生装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る情報記録再生装置は、光ディスクに記録クロックを用いてデータを記録する情報記録再生装置において、光ディスクの再生信号から抽出されるウォブル信号によるフェーズロック制御に基づいて周波数制御され、記録クロックの発振源となるVCOと、VCOの周波数変動量を検出する周波数変動検出部と、を備え、VCOは、フェーズロック制御に基づく周波数制御に加えて、周波数変動検出部にて検出される周波数変動量に基づいて周波数制御される、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報記録再生装置、およびその記録クロック生成方法に係り、特に、ウォブル信号を有する光ディスクに対して記録、再生を行う情報記録再生装置、およびその記録クロック生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
書き換え型、および追記型の光ディスクにデータを記録する際には、記録クロックを用いてデータの記録を行っている。光ディスクに対するデータの記録密度或いは記録データレートは、この記録クロックのクロック周波数に依存する。
【0003】
記録データレートを一定に維持するためには、記録クロック周波数の高い安定性が求められる。また、回転角速度が一定の光ディスク方式では、光ディスクのトラック方向の線速度が内周から外周に向けて高くなっていくため、トラック上の記録密度を一定に保つためには、記録クロック周波数を内周から外周に向けて高くなるように変化させる必要がある。
【0004】
このような記録クロックを生成することを目的の1つとして、書き換え型、および追記型のCDやDVD等には、ウォブルと呼ばれる正弦波状のうねりを持ったグルーブ或いはランドが形成されている。
【0005】
光ディスクにデータを記録する際には、ウォブルの形状に対応した略正弦波状のウォブル信号を光ディスクから抽出し、このウォブル信号に同期させた記録クロックを、例えばPLLで生成し、生成した記録クロックを用いてデータを記録する。
【0006】
光ディスク上の物理的なウォブル周期を内周、外周に関わらず一定に形成しておけば、回転角速度が一定の光ディスク方式の場合、内周側から外周側に向けてウォブル周波数は高くなり、これに応じて記録クロック周波数も高くなり、光ディスク上の記録密度を一定に維持することができる。
【0007】
上記のように、ウォブル信号を入力とし、ウォブル信号に同期させた記録クロックをPLL等によって生成する方法が一般的であるが、例えば、特許文献1に開示されているように、ウォブル信号自体を用いずに記録クロックを生成する方法も提案されている。
【0008】
特許文献1が開示する技術は、ウォブル信号とは非同期の記録クロック生成用の周波数シンセサイザを別途設け、ウォブル信号から別途抽出される光ディスクの物理アドレス情報に基づいて周波数シンセサイザの周波数を制御するものである。例えば、物理アドレスが光ディスクの外周に近い場合、より高い周波数の記録クロックを周波数シンセサイザで生成しようとするものである。
【特許文献1】特開2004−55104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近時、情報記録再生装置の小型化、低コスト化等の要請から、情報記録再生装置の記録再生処理回路や各種クロック生成回路等を1つ、或いは複数のシステムLSIとして構成する形態が増加してきている。
【0010】
記録クロック用のPLL回路を構成するVCOもこれらのシステムLSIの構成要素として組み込まれことが多い。このため、システムLSIの外部のデジタル信号のみならず、システムLSI内部のデジタル信号がノイズとしてVCOの入力端やVCO内部に重畳し、VCO周波数の安定性の阻害要因となっている。
【0011】
図5は、ウォブル信号から記録クロックを生成する典型的な従来の回路例を示す図である。この回路は、ウォブルPLL100と記録クロックPLL200とを備えて構成されており、記録クロックPLL200は、さらに、VCO201、分周器202、位相比較器203、およびループ補償器204を備えている。
【0012】
ウォブルPLL100は、入力されるウォブル信号に同期した、ウォブル信号と同一周期TwのウォブルPLLクロックを生成し、位相比較器203に出力する。
【0013】
一方、VCO201は、ウォブルPLLクロックよりも高い周波数の記録クロックを生成するクロック発生器であり、記録クロックは分周器202によってウォブルPLLクロックに近い周波数まで分周された後、位相比較器203にフィードバックされる。
【0014】
位相比較器203において、分周された記録クロックとウォブルPLLクロックとの位相誤差が得られる。この位相誤差はループ補償器204を介してVCO201の制御電圧としてVCO201に印加される。
【0015】
この記録クロックPLL200によって、ウォブル信号の周波数変化に追従する周波数の記録クロックが得られる。
【0016】
図5において、VCO201の入力端に加算されるノイズnは、上述した各種デジタル信号等のノイズがVCOの入力端やVCO内部に重畳される状態をモデル化したものである。
【0017】
一般に、PLLの制御帯域は、位相比較周波数(この場合は、ウォブル信号の周波数)よりも高くすることは原理的にできない。このため、記録クロックPLL200に入るノイズ(外乱)nを抑圧する能力は、高くともその制御帯域以下の周波数内に留まり、これ以上の周波数では、ノイズnによる周波数変動は抑圧されずに放置されることとなる。
【0018】
この結果、記録クロックPLL200で生成された記録クロックには、ウォブル信号の周波数よりも高い周波数帯域での周波数変動が抑圧できずに残留し、結果的に記録クロックのジッタ成分となる。記録クロックのジッタは、光ディスクへの記録信号の品質劣化要因となる。また、この記録クロックを光ディスクの再生処理に利用する場合もあり、その場合には、再生信号劣化の要因ともなる。
【0019】
このように、VCO201の周波数安定化、ひいては記録クロック周波数の安定化は大きな課題である。今後システムLSI等の集積度が益々増加し、ノイズの増大が予想されることから、VCO201の周波数安定化という課題解決の重要性はさらに高くなってきている。
【0020】
特許文献1が開示する技術は、ウォブル信号とは切り離された周波数シンセサイザによって記録クロックを生成するものであるが、周波数シンセサイザをシステムLSI等に組み込んで実現する場合には、周波数シンセサイザが内蔵するVCOにおいても類似の問題が生じることが予想される。また、記録クロックを周波数シンセサイザで生成する形態は、システム規模が複雑化し、コスト増加の要因となる。
【0021】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ウォブル信号に同期して生成される記録クロックの周波数安定化を簡素な構成で実現することができる、情報記録再生装置、およびその記録クロック生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報記録再生装置は、請求項1に記載したように、光ディスクに記録クロックを用いてデータを記録する情報記録再生装置において、前記光ディスクの再生信号から抽出されるウォブル信号によるフェーズロック制御に基づいて周波数制御され、前記記録クロックの発振源となるVCOと、前記VCOの周波数変動量を検出する周波数変動検出部と、を備え、前記VCOは、前記フェーズロック制御に基づく周波数制御に加えて、前記周波数変動検出部にて検出される前記周波数変動量に基づいて周波数制御される、ことを特徴とする。
【0023】
また、上記課題を解決するため、本発明に係る情報記録再生装置の記録クロック生成方法は、請求項6に記載したように、光ディスクに記録クロックを用いてデータを記録する情報記録再生装置の記録クロック生成方法において、前記光ディスクの再生信号から抽出されるウォブル信号によるフェーズロック制御に基づいて、前記記録クロックの発信源となるVCOの周波数を制御する周波数制御ステップと、前記VCOの周波数変動量を検出する周波数変動検出ステップと、を備え、前記周波数制御ステップは、前記フェーズロック制御に基づく周波数制御に加えて、前記周波数変動検出ステップにて検出された前記周波数変動量に基づいて前記VCOの周波数を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る情報記録再生装置、およびその記録クロック生成方法によれば、ウォブル信号に同期して生成される記録クロックの周波数安定化を簡素な構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明に係る情報記録再生装置、およびその記録クロック生成方法の実施形態に付いて、添付図面を参照して説明する。
【0026】
(1)情報記録再生装置
図1は、本発明の実施形態に係る情報記録再生装置1のシステム構成例を示す図である。
【0027】
図1に示す光ディスク10は、例えば、HD DVD−RやHD DVD−RAMのような、追記型或いは書き換え型の光ディスクである。このタイプの光ディスク10では、ウォブルと呼ばれる正弦波状のうねりを持ったグルーブ或いはランドが形成されている。
【0028】
光ディスクにデータを記録する際には、ウォブルの形状に対応した略正弦波状のウォブル信号を光ディスクから抽出し、このウォブル信号に同期させた記録クロックを、例えばPLLで生成し、生成した記録クロックを用いてデータを記録する。
【0029】
光ディスク上の物理的なウォブル周期を一定に形成しておけば、記録クロックはウォブル信号に同期して生成されるため、光ディスク上の記録密度を一定に維持することができる。
【0030】
情報記録再生装置1は、図1に示したように、光ディスク10を回転させるディスクモータ11、光ディスク10に照射するレーザ光を発生させるレーザダイオード13、レーザ光を光ディスク10上に集光させる対物レンズ12、光ディスク10からの反射光を光電変換するフォトディテクタ14を備えている。
【0031】
また、情報記録再生装置1は、光ディスク10に記録されたデータを再生する再生系として、プリアンプ15、RFアンプ16、波形等化部17、再生信号処理部18、誤り訂正部19、再生データコントローラ20を備えている。
【0032】
プリアンプ15は、フォトディテクタ14から出力される複数チャネルの信号を増幅する。RFアンプ16は、複数チャネルの信号を総て加算してさらに増幅する。
【0033】
波形等化部17は、RFアンプ16の出力信号に対して、記録波長の短い周波数の減衰を補償するために周波数依存振幅特性を与え、記録波長による振幅の違いを緩和する。
【0034】
再生信号処理部18は、波形等化された信号から、ビタビ復号等の波形判別手法を用いて元のデジタル変調データを再生し、さらに、ETM(Eight to Twelve Modulation)変調を復調する。
【0035】
誤り訂正部19は、復調データに対して誤り訂正処理を行う。誤り訂正されたデータは、再生データコントローラ20において、ホスト機器(図示せず)、例えばパーソナルコンピュータ、から要求された順序に編集された後、インターフェース部21を介してホスト機器に出力される。
【0036】
他方、情報記録再生装置1は、記録系として、記録データコントローラ22、記録信号処理部23、記録補償部24、およびOPC(Optical Power Controller)25を備えている。
【0037】
ホスト機器からは、記録要求と共に、記録データがインターフェース部21を介して記録データコントローラ22に入力されてくる。記録データコントローラ22では、この記録データを光ディスク10の物理的記録に適した順序に並び替える。
【0038】
記録信号処理部23は、記録データに誤り訂正のための符号を付加し、さらにETM変調規則に従って変調する。
【0039】
記録補償部24では、光ディスク10の物理的特性に合わせて、記録による歪が最も少なくなるようなレーザ強度波形を生成する。
【0040】
OPC25は、記録補償部24で生成された波形どおりにレーザパワーが出力されるようにレーザダイオード12を駆動点灯させる。なお、OPC25は、再生時には、光ディスク10にダメージを与えないように再生に適したパワーでレーザダイオード12を点灯させるようにしている。
【0041】
また、情報記録再生装置1は、記録クロック生成系として、プッシュプル信号生成部27、ウォブルPLL部30、および記録クロック生成部40を備えている。
【0042】
プッシュプル信号生成部27は、フォトディテクタ14で検出されるラジアル方向の半面ずつの光量から、その差信号(プッシュプル信号と呼ばれる)を生成する。このプッシュプル信号によって、グルーブのラジアル方向の移動量を検出することができるため、トラッキングサーボ系(図示せず)ではトラッキングエラー信号として用いられる。
【0043】
一方、プッシュプル信号は、グルーブに施されているウォブル波形に対応したウォブル信号ともなる。
【0044】
ウォブルPLL部30では、このウォブル信号に位相同期させたウォブルPLLクロックを生成する。このウォブルPLLクロックは、ウォブル信号に位相変調された光ディスク10の物理アドレスの読み取りに用いられる他、記録信号処理部23や記録補償部24へ供給される記録クロックの生成に用いられる。この記録クロックの生成は、記録クロック生成部40によって行われる。
【0045】
(2)記録クロック生成部
図2は、記録クロック生成部40の細部構成例を示す図である。
【0046】
記録クロック生成部40は、主に、記録クロック生成フェーズロックループLpと、ダンピングループLdの2つのフィードバックループから構成されている。
【0047】
記録クロック生成フェーズロックループLpは、位相比較器42、ループ補償部43、減算部44、VCO45、分周部(2)、および分周部(3)から構成されている。
【0048】
VCO45では、記録クロックの源発振となる周波数をもつ信号が出力される。VCO45の出力は、分周部(2)で分周されて、記録クロックが生成される。
【0049】
記録クロックは、分周部(3)でさらに分周された後、位相比較器42の一方の入力端に入力される。位相比較器42の他方の入力端には、ウォブルPLL部30で生成されたウォブルPLLクロックが分周部(1)で分周された後、入力される。
【0050】
なお、分周部(1)は、分周部(3)によって分周される記録クロックの周波数と、ウォブルPLLクロックの周波数とを略一致させるために設けているものであり、分周部(3)による分周比を適宜設定することによって省略することもできる。
【0051】
位相比較器42の出力(位相誤差)はループ補償部43に入力される。ループ補償部43では、位相誤差に対してループ補償が施される。減算部44では、ループ補償された位相誤差からダンピングループLdの制御量が減算された後、VCO45の制御信号となってVCO45に入力される。
【0052】
なお、VCO45の入力に印加されているノイズn及びその加算部は、VCO45の制御信号やVCO45の内部に印加されるデジタルクロックノイズ等の雑音源をモデル化して記載したものであり、記録クロック生成部40の実構成に含まれるものではない。
【0053】
ダンピングループLdは、周波数変動検出部50をフィードバックループに備えて構成される。周波数変動検出部50は、記録クロックの周波数変動量を検出し、特に、記録クロック生成フェーズロックループLpの制御帯域よりも高い周波数成分をもつ周波数変動量を検出し、VCO45の制御信号に負帰還をかけるものである。ダンピングループLdの開ループゲインを高く設定することにより、ノイズnによるVCO45の周波数変動を抑圧することができる。
【0054】
記録クロックの周波数変動の検出手段は種々の手段で構成することができるが、例えば、図2に例示したように、周波数純度の高い固定周波数源51、固定周波数源51の周波数と記録クロックの周波数差を検出する周波数差検出部52、および重み付けフィルタ53で構成される。固定周波数源51は、例えば周波数安定度の高い水晶発信器等で実現されるものである。
【0055】
また、周波数差検出部52、重み付けフィルタ53は種々の回路構成で実現できるが、図3は、その一例を示す図である。
【0056】
固定周波数源51の出力信号は第1のパルス生成部55に入力される。第1のパルス列生成部55は、例えばワンショットマルチバイブレータであり、固定周波数源51の周波数と同じパルス繰り返し周波数(1/t1)と、一定のパルス幅τを有するパルス列を発生させる。
【0057】
同様に記録クロックは、第2のパルス生成部54に入力される。第2のパルス列生成部55は、記録クロックの周波数と同じパルス繰り返し周波数(1/t2)と、第1のパルス列生成部55と同じパルス幅τを有するパルス列を発生させる。
【0058】
これらのパルス列は、それぞれ負の電流源57と正の電流源56をオン・オフする。負の電流源57と正の電流源56はその接合点αが容量Cと抵抗Rに接続されており、電流源57と電流源56の電流の差が容量Cと抵抗Rによって平滑されると共に、抵抗Rによって電流から電圧に変換されることになる。
【0059】
この電圧値が、固定周波数源51の周波数と記録クロックの周波数の差に比例した量を示している。
【0060】
また、接合点には、容量c1、c2、抵抗r1、r2、及びアンプA1で構成される直流低減回路58が接続されている。この直流低減回路58は、インダクタンスLと等価な回路であり、低周波成分の電流を接地側に吸収させることによって、開ループに低域減衰特性を与えている。
【0061】
ループゲインアンプ59は、ダンピングループLdのループゲインを調節するために設けられているものである。
【0062】
ループゲインアンプ59の出力は、減算部44に印加され、VCO45の制御信号に対して負帰還が掛かることになる。この結果、ノイズnの影響を受けてVCO45の周波数が変化しようとした場合、その動きを抑圧する(ダンピングする)方向に帰還が作用する。即ち、裸特性としては周波数安定度の悪いVCO45を、周波数安定度の高いVCO45に改善することができる。
【0063】
図4は、上記のように構成されたダンピングループLdの開ループ特性の一例を模式的に示すものである。開ループゲインが0dB以上の領域がノイズnの影響による周波数変動(ジッタ)を抑圧できる周波数領域である。中央部のゲインGmが高いほど、ノイズnの影響による周波数変動に対する抑圧性能が高くなる。
【0064】
上限周波数fuから高域に向かってゲインが低下する一次減衰カーブは、容量Cと抵抗Rによるものである。上限周波数fLが高いほど、VCO45のジッタの高域成分を高い周波数範囲まで抑圧できる。従って、上限周波数fLは、帰還ループの安定性が確保される範囲で可能な限り高く設定するように構成することが好ましい。
【0065】
下限周波数fLから低域に向かってゲインが低下しているのは、直流低減回路58の効果によるものである。下限周波数fL以下のゲインを低下させることによって、記録クロック生成フェーズロックループLpへの影響を低減させている。
【0066】
下限周波数fLを、記録クロック生成フェーズロックループLpの制御帯域の上限よりも低く設定すると、ウォブルPLLクロックに追従する記録クロックを生成するという、本来の目的が損なわれるからである。
【0067】
図3に例示したチャージポンプ方式の周波数差検出部52は、この形態に限定されるものではなく、記録クロックと固定周波数源51との周波数差を検出できるものであれば良い。また、重み付けフィルタ53の構成も、図3に例示した形態に限定されるものではなく、図4に例示した開ループ特性を実現できるものであれば良い。
【0068】
上述したように、本実施形態に係る情報記録再生装置、およびその記録クロック生成方法によれば、デジタルノイズ等によるVCO45の周波数変動を抑圧することができ、その結果、ジッタの少ない品質の良好な記録クロックを生成することができる。また、記録クロックの安定化は、通常用いられる記録クロック生成フェーズロックループLpにダンピングループLdを付加するという、簡素な形態で実現できる。
【0069】
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る情報記録再生装置の一実施形態のシステム構成例を示す図。
【図2】記録クロック生成部の細部構成例を示す図。
【図3】周波数差検出部および重み付けフィルタの細部構成例を示す図。
【図4】ダンピングループの開ループ特性の一例を示す図。
【図5】従来技術に係る記録クロックの発生系の一例を示す図。
【符号の説明】
【0071】
1 情報記録再生装置
10 光ディスク
30 ウォブルPLL部
40 記録クロック生成部
42 位相比較器
43 ループ補償部
44 減算部
45 VCO
50 周波数変動検出部
51 固定周波数源
52 周波数差検出部
53 重み付けフィルタ
Lp 記録クロック生成フェーズロックループ
Ld ダンピングループ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクに記録クロックを用いてデータを記録する情報記録再生装置において、
前記光ディスクの再生信号から抽出されるウォブル信号によるフェーズロック制御に基づいて周波数制御され、前記記録クロックの発振源となるVCOと、
前記VCOの周波数変動量を検出する周波数変動検出部と、
を備え、
前記VCOは、前記フェーズロック制御に基づく周波数制御に加えて、前記周波数変動検出部にて検出される前記周波数変動量に基づいて周波数制御される、
ことを特徴とする情報記録再生装置。
【請求項2】
前記周波数変動検出部は、固定周波数発振源と周波数差検出部とを備え、
前記周波数差検出部は、前記VCOの周波数と前記固定周波数発振源との周波数差を前記周波数変動量として検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項3】
前記周波数差検出部は、
前記固定周波数発振源の出力信号を、その周波数に対応するパルス繰返し周波数と一定のパルス幅とを有する第1のパルス列に変換する第1のパルス生成部と、
前記VCOの出力信号を、その周波数に対応するパルス繰返し周波数と前記一定のパルス幅とを有する第2のパルス列に変換する第2のパルス生成部と、
を備え、
前記第1のパルス列の平均電流と、前記第2のパルス列の平均電流との差から前記周波数差を検出する、ことを特徴とする請求項2に記載の情報記録再生装置。
【請求項4】
前記周波数変動検出部にて検出される前記周波数変動量に基づく周波数制御の開ループ特性は、
所定の周波数以下で減衰特性を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項5】
前記周波数変動検出部にて検出される前記周波数変動量に基づく周波数制御の開ループ特性は、
その制御帯域の上限周波数が、前記ウォブル信号によるフェーズロック制御の制御帯域の上限周波数よりも高く設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録再生装置。
【請求項6】
光ディスクに記録クロックを用いてデータを記録する情報記録再生装置の記録クロック生成方法において、
前記光ディスクの再生信号から抽出されるウォブル信号によるフェーズロック制御に基づいて、前記記録クロックの発信源となるVCOの周波数を制御する周波数制御ステップと、
前記VCOの周波数変動量を検出する周波数変動検出ステップと、
を備え、
前記周波数制御ステップは、前記フェーズロック制御に基づく周波数制御に加えて、前記周波数変動検出ステップにて検出された前記周波数変動量に基づいて前記VCOの周波数を制御する、
ことを特徴とする情報記録再生装置の記録クロック生成方法。
【請求項7】
前記周波数変動検出ステップは、前記VCOの周波数と固定周波数発振源の周波数との周波数差を前記周波数変動量として検出する周波数差検出ステップを備える、
ことを特徴とする請求項6に記載の情報記録再生装置の記録クロック生成方法。
【請求項8】
前記周波数差検出ステップは、
前記固定周波数発振源の出力信号を、その周波数に対応するパルス繰り返し周波数と一定のパルス幅とを有する第1のパルス列に変換し、
前記VCOの出力信号を、その周波数に対応するパルス繰り返し周波数と前記一定のパルス幅とを有する第2のパルス列に変換し、
前記第1のパルス列の平均電流と、前記第2のパルス列の平均電流との差から前記周波数差を検出する、ことを特徴とする請求項7に記載の情報記録再生装置の記録クロック生成方法。
【請求項9】
前記周波数変動検出ステップにて検出される前記周波数変動量に基づく周波数制御の開ループ特性は、
所定の周波数以下で減衰特性を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の情報記録再生装置の記録クロック生成方法。
【請求項10】
前記周波数変動検出ステップにて検出される前記周波数変動量に基づく周波数制御の開ループ特性は、
その制御帯域の上限周波数が、前記ウォブル信号によるフェーズロック制御の制御帯域の上限周波数よりも高く設定されている、ことを特徴とする請求項6に記載の情報記録再生装置の記録クロック生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−207291(P2007−207291A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−22336(P2006−22336)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】