説明

摩擦体の製造方法

【課題】表面の繊維束が酸化雰囲気の高温圧力下で焼尽する摩擦体の製造方法を提供する。
【解決手段】繊維束により強化されセラミックスマトリクスを含む、2以上の複合材料からなる摩擦又は滑り体に関する。第一複合材料は摩擦層として滑り体の外側を形成し、第二複合材料は摩擦層に面接合された支持体を形成する。摩擦層の繊維束長は支持体の繊維束長よりも著しく短い。摩擦層の繊維束は、これに関して表面に対して垂直に整列されている。摩擦層の表面は1.2mm以下の直径を持つ遊離炭素の十分に小さな領域からなり、表面上の遊離炭素領域の総面積は35%以下である。表面は非常に微細なクラック構造であり、摩擦層は実質的に表面近傍に応力を持たない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維束で強化され、セラミックスマトリクスを含む少なくとも2つの複合材料から形成された摩擦又は滑り体に関し、第一複合材料は滑り体の外側を形成し、第二複合材料は前記第一複合材料と面接合された摩擦又は滑り体及び繊維束で強化され、セラミックスマトリクスを含む少なくとも2つの複合材料からなり、第一複合材料は摩擦又は滑り体の外側を形成し、第二複合材料は前記第一複合材料と面接合された摩擦又は滑り体の製造方法に関する。
【0002】
耐熱性繊維及び/又はその繊維束により強化され、セラミックスマトリクスを含む複合材料は、約10年前から知られ、強度と延性を兼ね備えた耐熱性材料等の非常に高度な要件が課される材料に多く使用されてきた。これら要件は、特に摩擦又は滑りの相手材に課される。
【0003】
繊維及び/又はその束で強化され、セラミックスマトリクスを含んだ複合材料(以下簡素化のためCMC複合材料と表記)を耐熱性が要求される応用分野へ利用できる範囲は、複合材料マトリクス構造、特に表面構造に依存する。複合材料のマトリクスが異なる相から構成される限り、CMC複合材料の表面におけるマトリクス構造は、比較的低温で溶融し、酸化等の化学的作用によって損傷を受け易いマトリクス相が溶解することで損傷を受け、その結果CMC複合材料の耐用年数が制限されているのが現状である。これら問題点は、もしCMC材料が更に機械的磨耗を受けるとより大きくなる。これに関し、比較的低温でも損傷を受け易いマトリクスの新しいクリスタリットは絶えず暴露され、これによりクリスタリットの材質は急激に低下する。更にクリスタリットの溶解によって生じるマトリクス複合体の割れ目は、機械的衝撃による損傷を受け易くする。
【0004】
機械的応力が重要な役割を果たすCMC複合材料の使用範囲は、例えば滑りベアリング部品やブレーキディスクやブレーキライニング等の摩擦ライニングといったCMC部品を含む。CFC複合材料と呼ばれ、特にカーボン繊維で強化されたカーボンマトリクスを含む複合材料は、当初は摩擦ライニング分野に使用されていた。しかしこれらCFC複合材料は、酸化的攻撃に対し十分な耐熱性がないという欠点を持つ。それ故従来、複合材料のカーボンマトリクスをより耐酸化性のあるマトリクスで置換する試みがなされてきた。これに関連し、表面のいかなる付加的な保護層の有無に関わらず、非常な高温(1500℃)での酸化作用に対し耐性のあるSiCマトリクス、特にカーボン繊維で強化され、SiCマトリクスを含む複合材料(以下にC/SiC複合材料と表記)が、今日ではブレーキディスクやブレーキライニング等の摩擦ライニング用に主に使用されている。
【0005】
特にブレーキシステムの部品としてこの種材料を使用する考えと共に、C/SiC複合材料の製造方法は数多くのものが開発された。例えばC/SiC複合材料の製造方法は、少なくとも一つのカーボン層及び/又は強化接合層を備えた繊維束に、カーボンを含んだ結合剤と共に充填剤を添加し、又は添加しないで混合し、続いてできた混合物を圧縮し、炭化処理又は黒鉛化処理を行う前に硬化し、最後に液体珪素を浸透させるもので、独国特許第19710105号及び第19711829号明細書中に記載されている。これら材料から、その後一つの材料からなる均質な滑り体及び摩擦体がこれ迄は作られてきた。
【0006】
前述の方法で従来製造されたC/SiC複合材料の滑り又は摩擦体は、全て不均質構造を持つマトリクスを有し、独国特許第19710105号及び第19711829号明細書の方法で製造された場合、マトリクスは純カーボン及び/又は珪素相を含み、それ故均質なマトリクス組成はないという結果となる。カーボン領域は、例えば複合材料からの焼尽といった比較的高温での応力下に酸化し、また珪素領域は1400℃で既に溶融してしまう。それ故従来は、これら方法を用いて高温で長期間熱応力に耐えるC/SiC複合材料構造のマトリクスを得るのは不可能であり、特に機械的応力が加わる場合はなお更であった。これら応力が、焼尽に加えて特に摩擦体や滑り体の表面上に加わると、結果的に時間と共に表面が粗くなり、従って滑りや摩擦現象に対し有効な表面を損なうことになる。
【0007】
独国特許出願公開第19944345号明細書に記載のC/SiC複合材料の製造工程により、機械的応力下でもマイナス効果を及ぼさないことから、珪素及びカーボン相の比率をできるだけ低く抑え、クラックを含む粒状構造を備えるC/SiC複合材料を製造することが初めて可能となった。この結果製造された、繊維束で強化され、セラミックスマトリクスを含む複合材料は、異なる平均繊維束長を持つ二つの異なる束からなる繊維束を含み、複合材料の大部分の繊維束の全分布にあるこれら2つの繊維束は、繊維束長に関し繊維束分布の最小単位で分割されている。マトリクス中のカーボン比率を著しく減少しても、これら複合材料では、特に複合材料の機械加工の結果、遊離カーボン領域は常にカーボン繊維束のために複合材料の表面上に存在し、表面上の繊維束が酸化雰囲気の高温応力下、特にブレーキディスクが例えば集中的な応力を受けた後に焼尽するという問題は依然として残る。
【0008】
この問題の一つの解決策は、例えば独国特許第4438456号明細書中に記載のように、外側の摩擦層と異なる材料で摩擦又は滑り体の支持芯を形成することである。通常使用されるCMC複合材料、例えばCFC複合材料は、支持芯にも使用できる。しかし外側の摩擦層の材料は、表面に密着する繊維束の焼尽を避けるべく改良すべきである。この方針に沿う最初の試みは、種々の圧縮成形材料を単一工程で圧縮し、少なくとも2つの層を積層したCMC複合材料の圧縮成形体を形成し、両層中の繊維は異なる保護膜又は存在量を備えるもので独国特許出願第19805868号明細書に記載されている。特に前述の外層、即ち摩擦層を備えた圧縮体を製造する技術では、摩擦体の繊維束が珪化処理中に殆ど又はほぼ完全に消耗するため、大半又はほぼ全部が炭化珪素で形成される。しかし、この種摩擦又は滑り体の実用化にあたり、一般的な高温応力下での摩擦層の部分的な剥離は、支持層と摩擦層との異なる熱膨張係数に伴い起きることが判った。このように支持摩擦層は、意図的な積極的作業がこれら摩擦又は滑り体にとって不利なことを、時間をかけて証明しつつ、時間と共に破壊される結果となる。
【0009】
更に支持体の摩擦リングと外側摩擦層の他の製造方法は、独国特許出願公開第19834704号明細書に記載されている。この中で、支持体は強化材としてのカーボン繊維からなる織物状のライニングを含み、他方摩擦層は短繊維で強化されている。しかし、短繊維で強化された摩擦層に関し、表面領域で繊維が焼尽する問題は、既に述べた唯一の複合材料からなる滑り又は摩擦体と同様に起る。
【0010】
これ迄は、CMC滑り又は摩擦体、特に可能な限りあらゆる所が均質な材料からなり、又は少なくとも一つの支持体と少なくとも一つの摩擦面からなるCMC滑り又は摩擦体であり、そして高温及び酸化応力後であってもまだ概ね無傷な表面を示す滑り又は摩擦体を見出すことはできなかった。
【0011】
本発明の目的は、繊維束で強化され、セラミックスマトリクスを含む複合材料からなる既知の滑り又は摩擦体からなる従来技術による複合材料とは対照的な、表面は外側摩擦層で改良され、繊維束により強化されセラミックスマトリクスを含んだ複合材料からなり、その結果酸化雰囲気での高温応力の後でさえも剥離や焼尽を起す大きな領域を持たない摩擦及び滑り体を提供することである。本発明の更なる目的は、このような複合材料の製造方法を提供することである。
【0012】
上述の目的は、請求項1と15の特徴部分により達成できる。繊維束で強化され、セラミックスマトリクスを含む少なくとも二つの複合材料からなり、第一複合材料は摩擦層として滑り体の外側を形成し、第二複合材料は支持体として前記摩擦層と面接合する本発明の摩擦及び滑り体は、少なくとも2つの複合材料が異なる繊維束、即ち異なる平均繊維束長をもつ強化繊維束部とマトリクス繊維束部を含み、それ故繊維束部の全体の分布は、複合材料に組み込まれた繊維束部の束長に関し強化繊維束部の平均繊維束長とマトリクス繊維束部の平均繊維束長の間にある最小であり、摩擦層に組み込まれた繊維束部の束長は支持体に組み込まれた繊維束部の束長よりも実質的に短く、摩擦層の繊維束部は平均的に表面に対し明確に垂直に配列されており、摩擦及び滑り体の外側面は、比較的大きい範囲に対し最大1.2mmの直径を持つ遊離カーボンの狭小な領域を含み、遊離カーボン領域表面積の合計比率は表面の35%以下にすぎず、外側面は表面近傍で応力を受けないと共に非常に微細なクラック構造を持つことを特徴とする。
【0013】
本発明は、繊維束で強化しセラミックスマトリクスを含む少なくとも二つの複合材料からなる摩擦及び滑り体の製造方法にも関し、第一複合材料は摩擦層として摩擦体又は滑り体の外側を形成し、第二複合材料は、支持体として第一複合材料に面接合し、二つの複合材料にとって、異なる繊維束部、即ち異なる平均繊維束長を有する強化繊維束部とマトリクス繊維束部を製造工程の出発材料として使い、そのため全体の繊維束の分布は、繊維束長又は複合材料に組み込まれた繊維束に関して最小であり、その最小値は強化繊維束部の平均繊維束長とマトリクス繊維束部の間に位置しており、第一複合材料体に組み込まれた繊維束の繊維束長は第二複合材料体に組み込まれた繊維束の繊維束長よりも著しく短く、第一複合材料を製造するために、二つの繊維束部と結合剤との混合物を生成し、混合した後にまず粒状化を行う。
【0014】
本発明による摩擦及び滑り体は、酸化雰囲気でかつ非常な高温環境で長期間使用した後でも、摩擦層が殆ど摩擦表面に損傷を受けない特徴を持つ。これは、摩擦層を支持体に接合する特別な構造故に可能となった。たとえ摩擦層に、実際には珪化処理後の冷却中に生じる応力又は高温応力によりクラックが生じても、これらのクラックは摩擦層表面上の限られた範囲でしか伝播せず、層の移行領域におけるクラック幅はしばしば表面近傍中にあるそれよりも実質的に大きい。好適な摩擦層の構造は、そこに含まれる繊維束が少なくとも摩擦層表面に対し垂直に比較的大きな範囲で配列しており、これに反し支持材料中の繊維束は層の境界層に対しほぼ平行に配列されたことで強化される。本発明による摩擦又は滑り体は、驚くべきことにこれらの特別な組成と製造のため複合材料中に焼尽による比較的僅かな損傷のみを生じ、その上摩擦層の剥離を起こさない構造を有することが判明した。上述の従来技術が示すように、これは摩擦及び滑り体の適切な機能の組み合わせの発見によってのみ可能となったのである。
【0015】
焼尽、特に本発明による摩擦又は滑り体の摩擦表面上の繊維束の焼尽が非常に限られた範囲のみに起こるという事実は、カーボンを含み、機械的再加工を受ける可能性がある摩擦表面中のどんな表面であっても、その表面の領域に反映される。本発明による摩擦及び滑り体において、この領域は、通常表面積の2〜35%、より好適には5〜30%、更に好適には15〜25%である。またより大きな表面上の遊離カーボン領域を有する表面の領域は僅かである。即ち、通常少なくとも表面上に1.2mmの最大直径の遊離カーボン領域を表す表面積の1.5〜30%、より好適には4〜25%、更に好適には12〜20%である。
【0016】
従来公知のCMC複合材料製品の製造方法は、少なくとも二つの複合材料の製造に使用できたが、本発明は、従来の方法に代えて、ただ一つの繊維束又は繊維束部、強化繊維束部及びマトリクス繊維束部を複合材料に組み込む際、摩擦表面を製造する為に両方の繊維束部分を含んだ混合物を形成した後に粒状化を行うという点を特徴とする。周知の製造方法の利点はこのようにして維持できる。
【0017】
本発明による摩擦及び滑り体は、繊維束で強化された、異なる複合材料の層、最も単純な例では摩擦層を片面に付加された支持体、しばしば用いられる例では例えば滑りベアリング要素を備える。しかしながら支持体は、大部分が同じ複合材料からなる摩擦層を両側面に備えてもよい。このような構造が、例えばブレーキディスクとして使用される。摩擦又は滑り体を構成する様々な複合材料は、それらの共通境界面で急峻な移行層及び円滑な移行層を持つ場合もある。更に一つ又はそれ以上の移行層を、外側の摩擦層と支持体の間に配置してもよく、この結果特に支持層と摩擦層の熱膨張係数等の、材料パラメータの適合が一層高まる。この方法で、摩擦層は、殆ど応力がない状態で内部支持体に対し適合する。
【0018】
摩擦体は、基本的に個々の層間で面接合していれば如何なる形状でもよいが、接合に際し摩擦層の表面が支持体表面からはみ出ることもあり、またその逆も同様である。幾つかの摩擦層部材を支持体上に順次隣接するよう配列してもよい。
【0019】
片側又は両側に摩擦層を備えたブレーキディスクなら、各摩擦層の厚みは通常ブレーキディスク全体の厚みに対し1〜25%の間で選ばれ、より好適には3〜15%、特に好適にはブレーキディスク全体の厚みの5〜12%である。
【0020】
本発明による摩擦及び滑り体を含む繊維束又は本発明による摩擦及び滑り体の製造方法で使用する繊維束は、マトリクス構造との過度の反応から繊維束を保護すべく保護層を備えるのが好ましく、そうすれば繊維束は強化機能を失うことはない。本発明の摩擦及び滑り体に組み込んだ繊維束の継続した保護作用は、いくつかの保護層を、(可能ならどこでも異なる位置に)順次配置することで達成できる。使用に適した保護層は、カーボン、黒鉛、パイロライトカーボン(熱分解炭素)、TiC、TiN、SiC、二硼化チタン、二硼化ジルコニウム、二硼化ハフニウム、Si、B、C、Nをベースとした成分及びこれらの混合物からなる。異なる又は更なる繊維束の保護作用は、製造工程で使用する繊維束を少なくとも1以上の圧縮又は硬化された熱分解性結合剤の層で塗膜することで達成される。特にこのような塗膜された繊維束は、本発明の製造方法においても使用できる。本発明による摩擦又は滑りリングの各複合材料の製造中に、保護層は熱分解される。繊維束の保護層は支持体や摩擦表面とは異なってもよいが、製造工程を一層簡単にするには同じ保護層であることが好ましい。
【0021】
本発明による摩擦及び滑り体を強化する場合及び本発明による製造方法において、どんな耐熱性の繊維でも使用できるが、特にカーボン繊維、グラファイト繊維、SiC繊維、酸化アルミニウム繊維、Al23SiO2繊維、Al23SiO223繊維、炭化処理されたセルロース繊維、木質繊維及びその他の有機繊維、その他にSi、B、C、N及びAlを含んだ組成を持ち、高い耐熱性の繊維も同様に使用可能である。ナノファイバー、ウィスカ及び小さなナノチューブは繊維束に含まれる繊維の代わりにCMC複合材料を強化すべく使用でき、それと同様に繊維束の製造工程においても使用できる。
【0022】
強化繊維束の正しい選択は、摩擦層表面の耐久性の向上に大きく寄与する。一方では、改良された複合材料のマトリクス構造を導く、未公開の独国特許出願第19944345.9号明細書による複合材料は、二つの異なる繊維束長をもつ異種の繊維束部を含み、もう一方では支持体で使用されたものよりも短い繊維束を摩擦層に使用する。しかし、短い方の繊維束が支持層の繊維束として同じ保護層を備えるのが好ましいので、それらは例えば珪化により強化特質を失わない。繊維束の保護層として特に好ましいのは、黒鉛化されたカーボン層である。
【0023】
本発明による摩擦及び滑り体の好適な改良型は、以下の特色を持つ強化目的の繊維束を含んでいる。
【0024】
これら個々の複合材料中に含まれる繊維束を、請求項及び以下で繊維束分布と記述する。更に以下で、各複合材料に含まれる繊維束の全体としての分布を、繊維束長に関して、例えばその配置から理解され、特定の繊維束長の繊維束の大部分が備えたもの、又は特定の繊維束長の繊維束の一部分が繊維束の総計に関連して備えたものを推測することが可能である。
【0025】
繊維束部の分布は、特に以下の性質を特徴とする。
【0026】
支持体の強化繊維束部の平均繊維束長は、通常4〜20mm、好適には5〜16mm、特に好適には6〜12mmである。
【0027】
支持体のマトリクス繊維束部の平均繊維束長は、通常0.2〜5mm、好適には0.5〜4mm、特に好適には1〜3.5mmである。
【0028】
支持体の強化繊維束部の平均繊維束幅は、通常0.02〜5mm、好適には0.1〜3mm、特に好適には0.5〜2mmである。
【0029】
支持体のマトリクス繊維束の平均繊維束幅は、通常0.02〜2mm、好適には0.1〜1mm、特に好適には0.3〜0.7mmである。
【0030】
摩擦層の強化繊維束部を強化した平均繊維束長は、通常0.5〜8mm、好適には1〜6mm、特に好適には2〜4mmである。
【0031】
摩擦層のマトリクス繊維束部の平均繊維束長は、通常0.25〜4mm、好適には0.5〜3mm、特に好適には1〜2mmである。
【0032】
摩擦層の強化繊維束部の平均繊維束幅は、通常0.01〜1.5mm、好適には0.1〜1mm、特に好適には0.3〜0.7mmである。
【0033】
摩擦層のマトリクス繊維束の平均繊維束幅は、通常0.001〜0.6mm、好適には0.05〜0.4mm、特に好適には0.1〜0.2mmである。
【0034】
支持体のマトリクス繊維束部の平均繊維束長に対する強化繊維束部の平均繊維束長の割合は、通常1.5〜10、好適には1.8〜7、特に好適には2.1〜5である。
【0035】
摩擦層のマトリクス繊維束部の平均繊維束長に対する強化繊維束部の平均繊維束
長の割合は、通常1.35〜7、好適には1.5〜5、特に好適には1.8〜2.3である。
【0036】
摩擦層の強化繊維束部の平均繊維束長に対する支持体の強化繊維束部の平均繊維束長の割合は、通常2〜15、好適には3〜10、特に好適には5〜8である。
【0037】
摩擦層のマトリクス繊維束部の平均繊維束長に対する支持体のマトリクス繊維束部の平均繊維束長の割合は、通常1.3〜12、より好適には1.5〜7、特に好適には2〜4である。
【0038】
本発明による摩擦及び滑り体の少なくとも二つの複合材料のセラミックスマトリクスは、各々好適にはガラスセラミックスか、カーボン、珪素、硼素、アルミニウム、ジルコニウムからなる材料及び/又は炭化珪素、窒化珪素、酸化珪素、窒化硼素、炭化硼素、SiBCN、Al23、ZrO2、TiC、珪化鉄及びその他の珪化物からなる群の材料から選んだ少なくとも一つの相を有し、二つの複合材料は実質的に同じ相を含むのが好ましい。特に好適なのは、本発明による摩擦及び滑り体の二つの複合材料が、前述の物質及び合金からなる実質的に同じ相を1つだけ備え、更に主要相とよく似た成分を持つ僅か2、3の領域のみを含むことである。換言すれば、合金をマトリクスとして採用した際、個々の合金構成要素の相は、僅かな比率でマトリクス中に存在する。更に本発明による摩擦及び滑り体の両複合材料のセラミックスマトリクスは、付加的に鉄、クロム、チタン、モリブデン、ニッケル又はアルミニウムを含んでもよい。
【0039】
最近、高い要件を満足せねばならない技術的な作業に既に使用されたCMC複合材料は、好適には工業的に広く入手可能なカーボン繊維及びグラファイト繊維を含んでいる。それらは、熱分解で製造されたPAN繊維、ピッチ繊維、中間相ピッチ繊維、ビスコース繊維、フェノール繊維、ポリフェニレン繊維及び中空繊維を主成分として製造されている。従って、本発明による摩擦及び滑り体は、カーボン繊維束又はグラファイト繊維束で強化すると好ましく、カーボン繊維束とグラファイト繊維束は本発明による製造方法において好適に使用できる。
【0040】
少なくとも2つの複合材料がC/SiC複合材料、即ちセラミックスマトリクスが実質的に珪素、カーボン及び炭化珪素相を含む材料である場合、本発明の摩擦及び滑り体は、特に明白な形態でそれらの性質を示す。
【0041】
本発明による製造工程の大部分において、複合材料を製造すべくその他の成分を混合する工程中に、二つの異なる繊維束部が各々二つの複合材料の製品に加えられる。好適には二つの異なる繊維束は、少なくとも一つの炭化処理可能な結合剤と共に混合工程中にそれらと混合される。その上、硼化物と同様にカーボン微粒子、カーボンブラック、コーク、グラファイト、珪素、炭化物、窒化物、珪化鉄及びその他の珪化物は、いずれも充填剤として添加される。加えて、その他の結合剤、例えばポリビニルアルコール、メチル、エチル及びブチルセルロースからなる群から選択されたものが混合工程中に添加される。摩擦層を製造すべく、混合物に対しその後粒状化処理が行われる。
【0042】
摩擦層のための混合物の粒状化は、ナイフヘッドを持つか又は持たないプルーフシェアミキサー、流動化ベッドミキサー、ペレットプレートを備える又は備えない混合ドラム或いは幾つかのこれら装置を配置した装置で行われる。こうして得られた粒状物は、その後直接成形型に圧縮され又は初めに篩にかけられる。その後粒状物は、通常平均直径が0.25〜8mm、好適には0.8〜4mm、特に好適には1.5〜3mmに圧縮される。
【0043】
樹脂及びピッチからなる群の結合剤を、炭化処理可能な結合剤として使用するとよい。樹脂としては、特に熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂及びエポキシ樹脂からなる群の樹脂が使用される。ピッチとしては、特に固体及び液体ピッチ、中間相ピッチ、コールタールピッチ及びペトロレムピッチが使用できる。しかしながら、ポリシラン、ポリカーボシラン、ポリシラザン、単糖類及び多糖類、ポリアリル、カーボジイミド、ポリシリル、カーボジイミド、油及びタールからなる群の結合剤が、例えば炭化処理可能な結合剤としても使用可能である。
【0044】
支持体のために、混合工程中に使用される繊維束の大部分は、通常全体で混合物の質量合計の50〜99%、好適には60〜90%、特に好適には混合物の質量合計の65〜80%であり、摩擦層のために使用されるのは通常、全体で混合物の質量合計の35〜90%、好適には45〜85%、特に好適には混合物の質量合計の60〜80%である。
【0045】
支持体のために、混合工程中に使用される強化繊維束部の繊維束の大部分は、通常混合物の質量合計の20〜80%、好適には35〜65%、より好適には42〜55%であり、摩擦層のために使用されるのは、通常全体で混合物の質量合計の0〜55%、好適には15〜45%、特に好適には30〜40%である。即ち、本発明による摩擦体又は滑り体の別態様では、少なくともある範囲で外側の摩擦層がマトリクス繊維束のみを含み、強化繊維束からなる第二繊維束部を含まないよう構成される。
【0046】
支持体のための混合工程中に使用されるマトリクス繊維束部の繊維束の大部分は、通常混合物の質量合計の10〜40%、好適には15〜35%、特に好適には20〜30%であり、摩擦層の為のそれは通常全体で混合物の質量合計の12〜55%、好適には20〜45%、特に好適には30〜40%である。
【0047】
支持体のための混合工程で得られた混合物と粒状化工程で得られた摩擦層の製造のための粒状物の大部分は、その後圧縮される。この圧縮工程は、好適にはダイスタンプ加工、静水圧プレス加工、押し出しプレス、ピストンストロークプレス又は、例えばスクリュー押し出し成形機といった押し出し成形機で行われる。これらに関しては、この分野における専門家がその圧縮工程に関する知識に基づき混合物にかける圧力を調節することで、本発明による摩擦及び滑り体に最適な複合材料が製造工程の終わりに得ることができる。もし樹脂が結合剤として混合物中に存在するなら、この混合物又は粒状物の圧縮は、好適には加熱しながら、特に好適には樹脂結合剤の硬化温度より高い温度で行われる。また、圧縮成形製品をその後熱処理することも可能である。即ち、このように樹脂が結合剤として使用された場合は、圧縮成形の後、鋳造製品を硬化するために樹脂結合剤の硬化温度よりも高い温度で熱処理することも可能である。
【0048】
完成した成形製品内に含まれる結合剤の多くを、本発明による例えばC/SiC複合材料のようなカーボン及び/又は炭化物をマトリクスとして含む摩擦又は滑り体の製造工程における以降の工程で炭化処理する。
【0049】
更に本発明による製造方法は、CVI法又は含浸によりできる一つ又はそれ以上の炭化処理可能な物質を、これらを複合材料の多孔質組織に組み込むという工程を含んでもよく、後者の場合、その後炭化処理を行う。本発明による摩擦又は滑り体をマトリクス中にカーボン及び/又は炭化物を含んだCMC複合材料から製造する場合は、これらの工程を行うことが望ましい。
【0050】
前述した複合材料の炭化処理工程後、炭化処理された予備製品の2000℃以上での黒鉛化処理といった更なる工程を行ってもよい。
【0051】
その後、一般的に得られた成形部品を支持体や摩擦層といった最終成形を行うべく機械的処理を行う。
【0052】
本発明による摩擦及び滑り体の様々な複合材料を、その後最後に続く製造工程で相互に接合する。一体接合は、摩擦層のための支持体及び粒状物の圧縮成形材料を圧縮する間に圧縮工程を組み合わせて形成できる。これにより形成された複合材料は、圧縮工程後、CMC成形製品の従来の製造工程を経る。同様に支持体及び摩擦層を、CFK成形体として結合剤の硬化後又は炭化処理後及び/又は黒鉛化後にCFC成形体として接合する。接合は、例えば通常炭化処理可能な接着剤、好適には熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、固体及び液体ピッチ、中間相ピッチ、コールタールピッチ及びペトロレムピッチやこれらの化合物からなる群の樹脂及びピッチで接着することで可能となる。特に好適には繊維束、特にほぼ摩擦層のマトリクス繊維の長さに対応する長さを持つカーボン繊維束及びグラファイト繊維束を、使用する接着剤と共に混合する。CFC成形体を互いに接合する場合、接合後に少なくとも1以上の炭化処理を続いて行うのに対し、仮にCFK成形体を相互に結合する場合は、接着剤の炭化処理は通常、成形部品と共に行う。その他の接合の態様は、支持体及び摩擦層のCFC成形部品を互いの上部に戴置し、又は互いに締結し、その後マトリクス中でのSiC形成の最終珪化処理を行って一体接合させるものであり、そのため支持体及び摩擦層の材料が、一方から他方へ移行する可能性がある。
【0053】
マトリクス中に、例えばC/SiC複合材料等の珪素及び/又は珪化物を含む複合材料を用いた、本発明による摩擦又は滑り体の製造方法は、支持体と摩擦層を結合した後に珪化を伴う最終工程を含むのが望ましい。この最終珪化は液体珪素又は鉄、クロム、チタン、モリブデン、ニッケル及びアルミニウム珪素化からなる群の珪素合金の溶浸により、或いは珪素、炭化珪素又はその他珪素化合物のCVI蒸着により達成できる。珪化を行った後、支持体と摩擦層間の移行は、非常に急峻であるか、層が一方からもう一方への移行を受ける可能性がある。
【0054】
本発明による摩擦及び滑り体は、特に機械類、航空機、軌道車及びその他の車両ブレーキディスク及びブレーキライニングとして、そして滑りベアリングや滑り部材の部品として使用できる。
【0055】
<実施例>
一方(比較例)で、未公開の独国特許願第19944345.9号明細書に記載されたC/SiC複合材料だけからなるブレーキディスクの動作と、他方(実施例)で本発明によるブレーキディスクとして支持体及び支持体の両側に積層された二つの摩擦層が比較試料の複合材料から製造されたブレーキディスクの動作を、両例を参照して以下に比較する。
【0056】
このブレーキディスクはC/SiC複合材料からなる。しかしながらC/SiC複合材料は、本発明によるその他のCMC複合材料から製造できる摩擦又は滑り体の一つの実施例である。前記の実例によれば、同様の結果がその他のCMC系でも観察されるはずである。
【0057】
比較例のブレーキディスクは、未公開の独国特許願第19944345.9号明細書及び独国特許出願公開公報19710105号明細書に記載の製造方法に基づき製造したC/SiC複合材料からなる。
【0058】
本発明の実施例によるブレーキディスクの支持体は、比較例のブレーキディスクと同じC/SiC複合材料からなるが、両側面に各々摩擦層を備える。本発明のその他の繊維長の繊維束は、この複合材料を強化する目的に使用される。
【0059】
比較例のブレーキディスク、実施例の支持体及び実施例の摩擦層は、以下の繊維束を有する。
【0060】
【表1】

【0061】
両例に使用した繊維束部は、以下の繊維束厚を有する。
【0062】
【表2】

【0063】
両例のブレーキディスクは、以下のように製造した。
【0064】
先ず、プリプレグを3成分のカーボン繊維束(3000本の単繊維からなる)から製造し、このカーボン繊維はPAN繊維で製造した。このため、繊維束を綾織物に織り、この織物をその後フェノール樹脂(レゾール系)で含浸し、両側面に剥離紙を設けた。この樹脂含浸織物を、次にプリプレグの厚みになるよう130℃に加熱した。
【0065】
プリプレグ板をその後相互の上部に戴置し、圧縮して圧縮体を形成した。これをその後900℃で焙焼し、このときの加熱速度を400〜600℃の範囲では5℃/分とした。こうして得たCFC体に、最初に連続的に3回の含浸を、各々60℃の軟化温度を有するコールタールピッチで行い、その後更に900℃で焙焼し、更に圧縮した。
【0066】
このCFC体を、次にまずジョークラッシャー(製造会社:アルパインホソカワ)で細分し、その後切断ミル(製造会社:アルパインホソカワ)で裁断し繊維束部とした。繊維束部を最終的に回転式選別機(製造会社:Allgaier社)で選別し、個々の繊維束部にした。この選別機はISO9044による内部メッシュ幅0.5mm、1mm、2mm、3mm、4mm及び6mmの選別挿入部(選別表面積は1.15mm2)を持つ。この選別工程を経て上述の繊維束部を得た。±の前の値は、各々各束の半幅の半分を示しており、それらは繊維束長及び繊維束幅に関し、個々の繊維束部の、繊維の大部分の繊維束配分により導いた。
【0067】
上述の特定の組成を持つ繊維束の、合計量の70%の混合物A及び結合剤として、質量合計の21%のフェノール樹脂(レゾール系)及び質量合計の9%のコールタールピッチ(軟化温度:230℃)を、その後Zアーム型混練機(製造会社:ワーナー&フレイデラー)で、例えば実施例1と2の支持体のために製造した。その後、ダイスタンププレス内で、この混合物を特定の圧力12Kp/cm2、130℃で望みのブレーキディスクの形に応じた成形体に圧縮し、その後支持体の両面に摩擦層を備えるべく、支持体をそれに相当するように薄くした。その後試料を、900℃の保護ガス雰囲気内で炭化処理した。
【0068】
実施例の摩擦層のため、最初に混合物Bを、質量合計の70%の、上述の特定の組成による繊維束と、質量合計の30%の、フェノール樹脂(ノボラック系)とを1分間アイリッヒ製(独国)のRO2−E型混合機中で1000rpmの回転速度で混合して製造し、この混合物を、4分以内に2000rpmに回転速度を上げて2%のポリビニルアルコール水溶液を均一に加えつつ粒状物に変えた。3mm以上の粒径を持つ粒状化粒を、その後篩をかけて粒状物から分離し、かくして得た最大粒径が3mmの粒状物を、その後特定のプレス圧9Kp/cm2をかけて130℃でダイスタンププレスにより圧縮し、3cm厚のディスクに成形した。この場合、更にディスクを900℃の保護ガス雰囲気内で炭化処理した。
【0069】
この結果得た比較例のブレーキディスク用の成形体、実施例の支持体のための成形体及び実施例の摩擦リングのためのディスクを、その後機械加工し、最終形状に形成した。
【0070】
実施例のブレーキディスクを製造すべく、この方法で得たCFC支持体と摩擦リングを、その後成分を含む繊維と共に、各々摩擦層を備えた支持体の各面に接合した。成分を含む繊維は、70重量%のレゾール系フェノール樹脂と、30重量%の平均繊維束長が1.5mmの繊維束部の繊維束からなる。このようにして得た複合体を、その後、900℃の保護ガス雰囲気内で再炭化処理した。
【0071】
二つの例におけるCFCブレーキディスク体の溶浸を、その後1700℃で液体珪素と共に真空中で、試料質量の1.5倍の量の珪素を加えながら行い、ブレーキディスクのマトリクスのSiC構造をこれにより形成した。
【0072】
二つの例におけるブレーキディスクの試験を行う表面上に、著しく異なった表面構造が見られる。比較例におけるブレーキディスクの表面上には、単に繊維束が表面に対して平行に見られるだけなのに対し、本発明による実施例のブレーキディスクの場合、繊維束は少なくとも摩擦層以上に浸透しており、ときとしてそれらの断面が表面上に観察されることがある。
【0073】
しかしながら特に興味深いのは、自動車で連続的な応力、特に高温に曝されて応力をかけられた(例えば山岳運転やレース状態)ブレーキディスクの表面構造である。両例の基本的な違いは、この場合に見られる。従来の均質化されたブレーキディスクの表面は時間と共に、特に繊維束の焼尽により著しく粗い側面を示したのに対し、本発明によるブレーキディスクの表面は激しい使用を行った後でも殆ど平滑である。勿論この場合、更なる繊維束の焼尽は避けられないが、これらは著しく狭い範囲で生じ、その範囲も通常小さいので、実質的に表面全体が摩擦表面として無傷のまま残る結果となる。驚いたことに本発明によるブレーキディスクによると、通常のブレーキディスク表面の焼尽による粗面化を完全に避けるだけでなく、加えて高温応力にも関わらず表面の剥離を生じさせないようにできた。支持体と摩擦層を含む従来のブレーキディスクの問題は、このように今回初めて解決された。更に従来の一体型C/SiCの特質を、本質的に変化させないことも達成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの複合材料からなり、これら材料が各々繊維束で強化され、かつセラミックスマトリクスを含む摩擦体の製造方法であって、
第1の複合材料は摩擦体層として摩擦体の外側を形成し、第2の複合材料は支持体として第1の複合材料に面接合されているものにおいて、
これら2つの複合材料の各々を製造するために、繊維束の2つの異なった束が混合プロセスにおいて少なくとも1つの炭化処理可能な結合剤と共に混合され、
摩擦層のための混合物が、混合の後に粒状化処理され、そして
前記混合物が、次いでモールド体を形成すべく加圧下に圧縮され、該モールド体は更なる製造工程において炭化され、そして最後の製造工程において、液体珪素又は鉄、クロム、チタニウム、モリブデン、ニッケル又はアルミニウムの珪素合金の溶浸により珪化処理され、この際
支持体のための混合物内において、混合物の50〜99重量%が繊維束からなり、該繊維束は強化繊維束部と、マトリクス繊維束部を含み、ここで
支持体の強化繊維束部は、混合物内に20〜80%の重量比で存在し、4〜20mmの平均繊維束長と0.02〜5mmの平均繊維束幅を持ち、そして
支持体のマトリクス繊維束は、10〜40%の重量比にて混合物内に存在し、0.2〜5mmの平均繊維束長と、0.02〜2mmの平均繊維束幅を有し、そして
繊維束長は、強化繊維束の平均繊維長と、マトリクス繊維束の平均繊維長との比が1.5〜10となるように選ばれており、更に
摩擦層のための混合物内において、混合物の35〜90重量%が強化繊維束部とマトリクス繊維束部からなっておリ、ここで
摩擦層の強化繊維束部が混合物内に0〜55%の重量比で存在し、そして
0.5〜8mmの平均繊維束長と、0.01〜1.5mmの平均繊維束幅を持っており、更に
摩擦層のマトリクス繊維束部が、混合物内に12〜55%の重量比で存在し、そして前記繊維束部が0.25〜4mmの平均繊維束長と0.001〜0.6mmの平均繊維束幅を持ち、更に
繊維長が、強化繊維束部の平均繊維束長と、マトリクス繊維束部の平均繊維束長との比が1.35〜7であるように選ばれている
ことを特徴とする摩擦体の製造方法。
【請求項2】
炭化可能なバインダが、熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアミド樹脂、シアネート樹脂およびエポキン樹脂からなる群から選んだ樹脂又はメソファシックピッチ、コールタールピッチおよび石油ピッチからなる群から選んだ固体又は液体のピッチの何れかである請求項1記載の方法。
【請求項3】
摩擦体のための複合材科が、支持体のためのモールド材料と摩擦層のための粒状物との圧縮により結合される請求項1記載の方法。
【請求項4】
炭素繊維で強化された炭素体が、支持体および摩擦層のための混合物の縮小化とそれに続く炭化により形成され、前記炭素体は、これらをアレーを形成すべく他の炭素体上に置きそしてこのアレーを炭化することにより結合される請求項1記載の方法。
【請求項5】
炭化可能なバインダがフェノール樹脂、フラン樹脂、シアネート樹脂、又はエポキシ樹脂を含み、そして
CFKモールド体を形成すべく、圧縮されたモールド体が、モールドされた部品を硬化すべく熱処理され、そして
CFKモールド体が炭化可能な接着剤を用いて結合され、結合された部品が共に炭化されそして最終的に珪化される請求項2記載の方法。

【公開番号】特開2009−67989(P2009−67989A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190025(P2008−190025)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【分割の表示】特願2002−530446(P2002−530446)の分割
【原出願日】平成13年9月24日(2001.9.24)
【出願人】(505003263)アウディ アクチエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】