説明

樹脂組成物および樹脂組成物を使用して作製した半導体装置

【課題】良好な熱伝導性、作業性に優れる樹脂組成物およびダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料などの半導体用接着剤として用いることにより、熱伝導性、熱放散性に優れた半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体チップまたは放熱部材を支持体に接着する樹脂組成物であって、熱硬化性樹脂(A)、フレーク状金属粉(B)および球状の有機フィラー(C)を含み、前記フレーク状金属粉(B)のアスペクト比が2以上4.7以下であることを特徴とする樹脂組成物および、この樹脂組成物を用いて作製した半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物および樹脂組成物を使用して作製した半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製品の大容量、高速処理化および微細配線化に伴い半導体製品作動中に発生する熱の問題が顕著になってきており、半導体製品から熱を逃がす、いわゆるサーマルマネージメントがますます重要な課題となってきている。このため半導体製品にヒートスプレッダー、ヒートシンクなどの放熱部材を取り付ける方法などが一般的に採用されているが、放熱部材を接着する材料自体の熱伝導率より高いものが望まれてきている。
一方、半導体製品の形態によっては、半導体チップそのものを金属製のヒートスプレッダーに接着したり、ダイパッド部が半導体パッケージ表面に露出しており放熱板をかねたりする場合もあり、さらにはサーマルビアなどの放熱機構を有する有機基板などに接着する場合もある。この場合も同様に半導体チップを接着する材料に高熱伝導性が要求されており、これらを満たす材料の開発が望まれている。(例えば、引用文献1〜4参照。)
しかしながら、上記記載の従来技術では、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、半導体用接着剤の熱伝導性を容易に向上させる場合には、高い熱伝導性を有する金属粉、例えば、銀、銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉を充填するが、熱伝導性の高い金属粉を使用すると金属粉の沈降問題、高充填の配合とすると作業性が悪くなるなどの課題があった。
また、第二に溶剤を用いて作業性と高熱伝導性を向上させる場合では、硬化により溶剤が揮発することにより、溶剤揮発後にフィラー高充填となるが、溶剤を使用することで硬化時にボイドが発生したり、タックフリー性が低下したりするという課題もあった。
このため、溶剤を有しない高充填以外の高熱伝導性に優れる高熱伝導性ペーストが求められていた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−138244号公報
【特許文献2】特開2002−241587号公報
【特許文献3】特開2002−12738号公報
【特許文献4】特開2005−171170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、熱伝導性、熱拡散性を容易に向上させ、作業性に優れる樹脂組成物を提供することである。
また、本発明の別の目的は、良好な熱伝導性と作業性に優れた樹脂組成物をダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料などの半導体用接着剤として用いることにより、熱伝導性、熱放散性に優れた半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記(1)〜(7)に記載の本発明により達成される。
(1)半導体チップまたは放熱部材を支持体に接着する樹脂組成物であって、熱硬化性樹脂(A)、フレーク状金属粉(B)および球状の有機フィラー(C)を含み、前記フレーク状金属粉(B)のアスペクト比が2以上4.7以下であることを特徴とする樹脂組成物。
(2)前記フレーク状金属粉(B)の配合量が、全樹脂組成物100重量部に対して、80重量部以上90重量部以下であることを特徴とする前記(1)項に記載の樹脂組成物。
(3)前記フレーク状金属粉(B)の配合量が、前記有機フィラー(C)1重量部に対して1500重量部以上10000重量部以下であることを特徴とする前記(1)または(2)項に記載の樹脂組成物。
(4)前記フレーク状金属粉(B)と前記有機フィラー(C)との平均粒径の比[(C)/(B)]が、5以上20以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(5)前記フレーク状金属粉(B)が、銀粉であることを特徴とする前記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(6)前記有機フィラーが、ジビニルベンゼンまたはジビニルベンゼンの共重合体であることを特徴とする前記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
(7)前記(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の樹脂組成物をダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として用いて作製されることを特徴とする半導体装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の樹脂組成物を用いることにより、簡易な熱伝導性向上および良好な作業性を示す樹脂組成物を得ることができ、該樹脂組成物をダイアタッチペースト材または放熱部材接着用材料として使用することで熱伝導性の良好な半導体装置の提供が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の樹脂組成物は、半導体チップまたは放熱部材を支持体に接着する樹脂組成物であり、熱硬化性樹脂(A)、フレーク状金属粉(B)および球状の有機フィラー(C)を含み、前記フレーク状金属粉(B)のアスペクト比が2以上4.7以下であることを特徴とする樹脂組成物であって、この樹脂組成物を使用して作製した半導体装置は、熱伝導性に優れるものである。
ここで、支持体とは、半導体チップを接着する場合は、リードフレーム、有機基板などが挙げられ、ヒートシンク、ヒートスプレッダーなどの放熱部材を接着する場合は、半導体チップ、リードフレームなどが挙げられる。また、有機基板としては、ガラスエポキシ基板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂基板)、BT基板(シアネートモノマーおよびそのオリゴマーとビスマレイミドとからなるBTレジン使用基板)、ポリイミドフィルムなどのフレキシブル基板などが挙げられる。
【0008】
本発明に用いる熱硬化性樹脂(A)は、加熱により3次元的網目構造を形成し、硬化する樹脂で、樹脂、硬化剤、硬化促進剤などを含む一般的な熱硬化性樹脂であり、特に限定されるものではないが、ペーストを形成する材料であることから室温で液状であることが望ましい。樹脂としては、例えば、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、ラジカル重合性のアクリル樹脂、マレイミド樹脂などが挙げられる。
【0009】
シアネート樹脂は、分子内に−NCO基を有するもので具体的に例示すると、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2,7−ジシアナトナフタレン、1,3、6−トリシアナトナフタレン、4,4'−ジシアナトビ
フェニル、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、およびノボラック樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類などが挙げられ、これらの多官能シアネート樹脂のシアネート基を三量化することによって形成されるトリアジン環を有するプレポリマーも使用できる。このプレポリマ
ーは、上記の多官能シアネート樹脂モノマーを、例えば、鉱酸、ルイス酸などの酸、ナトリウムアルコラート、第三級アミン類などの塩基、炭酸ナトリウムなどの塩類を触媒として重合させることにより得られる。
【0010】
シアネート樹脂の硬化促進剤としては、一般に公知のものが使用できる。例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトン鉄などの有機金属錯体、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化亜鉛などの金属塩、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミンなどのアミン類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの硬化促進剤は1種または2種以上混合して用いることができる。シアネート樹脂とエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリル樹脂、マレイミド樹脂を併用することも可能である。
【0011】
エポキシ樹脂は、グリシジル基を分子内に1つ以上有する化合物であるが、グリシジル基は1分子に2つ以上含まれていることが好ましい。グリシジル基が1つの化合物のみでは反応させても十分な硬化物特性を示すことができないからである。グリシジル基を1分子に2つ以上含む化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノールなどのビスフェノール化合物またはこれらの誘導体、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、水素添加ビフェノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シジロヘキサンジエタノールなどの脂環構造を有するジオールまたはこれらの誘導体、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオールなどの脂肪族ジオールまたはこれらの誘導体などをエポキシ化した2官能のもの、トリヒドロキシフェニルメタン骨格、アミノフェノール骨格を有する3官能のもの、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニルアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などをエポキシ化した多官能のものなどが挙げられるがこれらに限定されるわけではない。また導電性ペーストとして室温で液状である必要があるので、単独でまたは混合物として室温で液状のものが好ましい。通常行われるように反応性の希釈剤を使用することも可能である。反応性希釈剤としては、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテルなどの1官能の芳香族グリシジルエーテル類、脂肪族グリシジルエーテル類などが挙げられる。エポキシ樹脂を硬化させる目的で硬化剤を使用する。
【0012】
エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、ジシアンジアミド、ジカルボン酸ジヒドラジド化合物、酸無水物、フェノール樹脂などが挙げられる。
ジヒドラジド化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、p−オキシ安息香酸ジヒドラジドなどのカルボン酸ジヒドラジドなどが挙げられ、酸無水物としてはフタル酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、無水マレイン酸とポリブタジエンの反応物、無水マレイン酸とスチレンの共重合体などが挙げられる。
フェノール樹脂とは1分子内にフェノール性水酸基を2つ以上有する化合物であり、1分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の場合には架橋構造をとることができないため硬化物特性が悪化し使用できない。また1分子内のフェノール性水酸基数は2つ以上であれば使用可能であるが、好ましいフェノール性水酸基の数は2〜5である。これより多い場合には分子量が大きくなりすぎるので導電性ペーストの粘度が高くなりすぎるため好ましくない。より好ましい1分子内のフェノール性水酸基数は2つまたは3つである。このような化合物としては、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、テトラメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラメチルビフェノール、エチリデンビスフェノール、メチルエチリデンビス(メチルフェノー
ル)、シクロへキシリデンビスフェノール、ビフェノールなどのビスフェノール類および
その誘導体、トリ(ヒドロキシフェニル)メタン、トリ(ヒドロキシフェニル)エタンなどの3官能のフェノール類およびその誘導体、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール類とホルムアルデヒドを反応することで得られる化合物で2核体または3核体がメインのものおよびその誘導体などが挙げられる。
【0013】
エポキシ樹脂の硬化促進剤としては、イミダゾール類、トリフェニルホスフィンまたはテトラフェニルホスフィンの塩類、ジアザビシクロウンデセンなどのアミン系化合物およびその塩類などが挙げられるが、2−メチルイミダゾール,2−エチルイミダゾール,2−フェニルイミダゾール,2−フェニル−4−メチルイミダゾール,2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール,2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール,2−C1123−イミダゾール、2−メチルイミダゾールと2,4−ジアミノ−6−ビニルトリアジンとの付加物などのイミダゾール化合物が好適に用いられる。なかでも特に好ましいのは融点が180℃以上のイミダゾール化合物である。
【0014】
ラジカル重合性のアクリル樹脂としては、例えば、不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル樹脂などがあるが、特に限定されるものではない。なかでも分子量が500〜10000のポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ(メタ)アクリレート、ポリブタジエン、ブタジエンアクリロニトリル共重合体で(メタ)アクリル基を有するものが好ましい。
ポリエーテルとしては、炭素数が3〜6の有機基がエーテル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエーテルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能である。
ポリエステルとしては、炭素数が3〜6の有機基がエステル結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能である。
ポリカーボネートとしては、炭素数が3〜6の有機基がカーボネート結合を介して繰り返したものが好ましく、芳香族環を含まないものが好ましい。ポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能である。
【0015】
ポリ(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレートとの共重合体または水酸基を有する(メタ)アクリレートと極性基を有さない(メタ)アクリレートとの共重合体などが好ましい。これら共重合体とカルボキシ基と反応する場合には水酸基を有するアクリレート、水酸基と反応する場合には(メタ)アクリル酸またはその誘導体を反応することにより得ることが可能である。
ポリブタジエンとしては、カルボキシ基を有するポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応、水酸基を有するポリブタジエンと(メタ)アクリル酸またはその誘導体との反応により得ることが可能であり、また無水マレイン酸を付加したポリブタジエンと水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得ることも可能である。
ブタジエンアクリロニトリル共重合体としては、カルボキシ基を有するブタジエンアクリロニトリル共重合体と水酸基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得ることが可能である。また、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂との併用も好ましい。
【0016】
マレイミド樹脂は、1分子内にマレイミド基を1つ以上含む化合物であり、例えば、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタン)ビスマレイミド、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンなどのビスマレイミド樹脂が挙げられる。より好ましいマレイミド樹脂は、ダイマー酸ジアミンと無水マレイン酸の反応により得られる化合物、マレイミド酢酸、マレイミドカプロン酸などのマレイミド化アミノ酸とポリオールの反応により得られる化合物である。マレイミド化アミノ酸は、無水マレイン酸とアミノ酢酸またはアミノ
カプロン酸とを反応することで得られ、ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールが好ましく、芳香族環を含まないものが特に好ましい。マレイミド基は、アリル基と反応可能であるのでアリルエステル樹脂との併用も好ましい。アリルエステル樹脂としては、脂肪族のものが好ましく、中でも特に好ましいのはシクロヘキサンジアリルエステルと脂肪族ポリオールのエステル交換により得られる化合物である。またシアネート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂との併用も好ましい。
【0017】
必要により以下に示す化合物を併用することも可能である。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1,2−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,3−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジエタノールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリレートや水酸基を有する(メタ)アクリレートとジカルボン酸またはその誘導体を反応して得られるカルボキシ基を有する(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここで使用可能なジカルボン酸としては、例えば、しゅう酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸およびこれらの誘導体が挙げられる。
【0018】
上記以外にもメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャルブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、その他のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャルブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジンクモノ(メタ)アクリレート、ジンクジ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4−ヘキサフロロブチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(
メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,2−ジ(メタ)アクリルアミドエチレングリコール、ジ(メタ)アクリロイロキシメチルトリシクロデカン、N−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルフタルイミド、n−ビニル−2−ピロリドン、スチレン誘導体、α−メチルスチレン誘導体などを使用することも可能である。
【0019】
さらに重合開始剤として熱ラジカル重合開始剤が好ましく用いられる。通常熱ラジカル重合開始剤として用いられるものであれば特に限定しないが、望ましいものとしては、急速加熱試験(試料1gを電熱板の上にのせ、4℃/分で昇温した時の分解開始温度)における分解温度が40〜140℃となるものが好ましい。分解温度が40℃未満だと、導電性ペーストの常温における保存性が悪くなり、140℃を越えると硬化時間が極端に長くなるため好ましくない。
これを満たす熱ラジカル重合開始剤の具体例としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、P−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、桂皮酸パーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、α、α’−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチ−ルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチ
レート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが挙げられるが、これらは単独または硬化性を制御するため2種類以上を混合して用いることもできる。
【0020】
本発明に用いるフレーク状金属粉(B)としては、アスペクト比が2以上4.7以下である。ここで、フレーク状金属粉(B)のアスペクト比とは、熱硬化性樹脂(A)とフレーク状金属粉(B)を熱で固め、その後、研磨した断面をSEM(Scanning electon microscope)の10000倍で観察して得られる画像にて確認されるフレーク状金属粉(B)の最大直径と最小直径の比であり、金属粉100個の平均である。
また、フレーク状金属粉(B)の配合量としては、全樹脂組成物100重量部に対して、80重量部以上95重量部以下であることが好ましく、この範囲とすることで良好な熱伝導性を得ることができ、作業性にも優れる。
樹脂組成物中のフレーク状金属粉(B)が80重量部以下である場合には、フレーク状金属粉(B)が熱硬化性樹脂(A)で覆われ、フレーク状金属粉(B)に重力方向と平行な配列を付与できない可能性があり、95重量部を超えると樹脂組成物の粘度が高くなり作業性が低下したり、樹脂組成物の硬化物が脆くなったりするため、耐半田性が低下する可能性があり好ましくない。
また、フレーク状金属粉(B)の長軸dと球状有機フィラー(C)の直径eが、e>dを満たす必要がある。これは熱拡散性を向上させるために、フレーク状金属粉(B)が球状有機フィラー(C)を覆っている状態であることが重要であり、かつ球状有機フィラー(C)の存在により、球状有機フィラー(C)の周辺の重力方向部分ではフレーク状金属粉(B)の長軸が重力方向に対して平行に配列する。球状有機フィラー(C)がない部分ではフレーク状金属粉が重力方向に対して垂直に配列することにより、フレーク状金属粉の垂直方向と水平方向の接触部分ができ熱拡散性が上昇するからである。また、球状有機フィラー(C)が存在することで、一般的に熱拡散性を向上させるための金属粉が体積割合として減少するが、それにもかかわらず、球状有機フィラー(C)を用いていない場合と比べて熱拡散率が上昇しており、より少量の金属粉で熱放散性の向上が図れる。熱拡散率とは、熱伝導率、比熱容量、比重から次式により得られる。
熱拡散率=熱伝導率/(比熱容量×比重)
【0021】
本発明で使用するフレーク状金属粉(B)の粒径は、必要とする樹脂組成物の粘度により異なるが、通常平均粒径は0.3〜20μm、最大粒径は50μm程度のものが好ましい。平均粒径が0.3μm未満の場合には粘度が高くなり、20μmを越えると塗布または硬化時に樹脂成分が流出しやすくなりブリードが発生するため好ましくない。最大粒径が50μm越えるとディスペンサーで樹脂組成物を塗布するときに、ニードルの出口を塞ぎ長時間の連続使用ができない。使用するフレーク状金属粉(B)は、ハロゲンイオン、アルカリ金属イオンなどのイオン性不純物の含有量は10ppm以下であることが好ましい。尚、本発明で使用するフレーク状金属粉(B)は、予め表面をアルコキシシラン、アシロキシシラン、シラザン、オルガノアミノシランなどのシランカップリング材などで処理したものを用いてもよい。
【0022】
本発明で使用するフレーク状金属粉(B)としては、例えば、フレーク状であれば金、
銀、銅、ニッケル、パラジウム、アルミニウムなどの金属、またはこれら金属の合金などから少なくとも1種以上を使用することができる。特に、銀粉が好ましく、導電性や熱伝導性に優れるためである。
【0023】
本発明に用いる球状有機フィラー(C)としては、例えば、球状の有機フィラーであれば、特に限定されるものではない。熱伝導性向上のためにフレーク状金属粉(B)の配列に影響を与えるものであればどのようなものでも差し支えなく利用することができる。また、球状有機フィラー(C)の代わりに、球状金属粉、無機金属粉などを用いた場合には、フレーク状金属粉(B)より大きな球状金属粉を用いる必要があるため、比重が高くなり金属粉が沈降する問題が発生するため好ましくない。
球状有機フィラー(C)として、具体的には、スチレン系、スチレン/イソプレン系、スチレン/アクリル系、メチルメタクリレート系、エチルアクリレート系、アクリル酸系、エチルメタクリレート系、アクリル酸系、アクリロニトリル系、メタクリレート系、ジビニルベンゼン系、n−ブチルアクリレート系、ナイロン系、シリコーン系、ウレタン系、メラミン系、セルロース、酢酸セルロース、キトサン、アクリルゴム/メタクリレート系、エチレン系、エチレン/アクリル酸系、ポリプロピレンまたはベンゾグアナミン系、フェノール系、フッ素系、塩化ビニリデンなどの重合体などが挙げられる。
球状有機フィラー(C)は、含有するフレーク状金属粉(B)を配列させることができるものが好ましく、また半導体用途とした場合、粒径が揃っているものがさらに好ましい。また、球状有機フィラー(C)は、本発明の樹脂組成物の硬化物に低熱膨張性、低吸湿率などを付与し、本発明の樹脂組成物を支持部材上に塗布して形成されるダイボンディング層の厚みを、硬化後に一定に保持するためのものであればより好ましい。なかでも、ジビニルベンゼンまたは、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合有機フィラーが特に好ましい。
【0024】
さらに、フレーク状金属粉(B)のアスペクト比b(最大直径/最小直径)と球状有機フィラー(C)のアスペクト比c(最大直径/最小直径)とした場合の比(b/c)は、(b/c)>1であることが好ましい。フレーク状金属粉(B)のアスペクト比bは、2以上4.7以下である。
通常、樹脂組成物を半導体装置の接着に使用する場合、接着時のプレスやマウントに際して、フレーク状金属粉(B)の長軸は重力方向に対して垂直に配列する傾向があるため熱が重力方向に対して垂直に配列する。しかし、フレーク状金属粉(B)が、球状の有機フィラー(C)により重力方向に平行な配列となることができ、重力方向と平行に熱が拡散するため良好な熱拡散性を有することができると考えられる。また、アスペクト比が10以上の場合は樹脂組成物としてマウント時の作業性が悪くなる可能性が生じるため、好ましくない。
【0025】
本発明においてフレーク状金属粉(B)の配合量は、前記有機フィラー(C)1重量部に対して1500重量部以上10000重量部以下であるが、より好ましくは、1840重量部以上8000重量部以下である。これは1500重量部以下である場合、球状有機フィラーの大きさにもよるが、粘度が上昇し、作業性が低下したり、樹脂硬化物が脆くなったりし、耐半田性が低下するためであり、また、10000重量部を超える場合、フレーク状金属粉が重力方向と平行に配列する部分が少なくなるため、十分な熱拡散性が得られないためであり、可能性があるため好ましくない。
【0026】
本発明において、フレーク状金属粉(B)と球状有機フィラー(C)との平均粒径の比[(C)/(B)]が、5以上20以下であることが好ましいフレーク状金属粉(B)と前記球状有機フィラー(C)との平均粒径の比[(C)/(B)]を、5以下とした場合、球状有機フィラー(C)がフレーク状金属粉(B)の配列に効果的な影響を与えることができない可能性があり、球状有機フィラー(C)が一般的に半導体用ダイアタッチペー
ストとして用いられるフィラー粒径より大きくなり、BLT(Bond Line Thickness:接着部分の厚さ)が大きくなるため、半導体チップの小サイズ化が難しくなる。一方、フレーク状金属粉(B)と球状有機フィラー(C)との平均粒径の比[(C)/(B)]を、20以上とした場合、フレーク状金属粉(B)の粒径が1μm以下になること、また、フレーク状金属粉(B)の粒径が小さすぎる場合、比表面積が大きくなり粘度が増加し、作業性が低下するため好ましくない。
【0027】
本発明の樹脂組成物としては、さらにエポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシランなどのシランカップリング剤や、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アルミニウム/ジルコニウムカップリング剤などのカップリング剤を用いることが好ましい。
【0028】
本発明の樹脂組成物としては、必要に応じてその他の添加剤を使用してもよい。その他の添加剤としては、カーボンブラックなどの着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴムなどの低応力化成分、ハイドロタルサイトなどの無機イオン交換体、消泡剤、界面活性剤、各種重合禁止剤、酸化防止剤など、種々の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
【0029】
また、本発明の樹脂組成物は、硬化物としたときのフレーク状金属粉(B)の配列に影響を与えない範囲で有機化合物を必要により添加することが可能である。例として、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、デカン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、ブチルベンゼン、p−シメン、ジエチルベンゼン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、p−メンタン、シクロヘキセン、α−ピネン、ジペンテン、デカリン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、アビエチノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、アセタール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メシチルオキシド、ホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバル酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−エチル酪酸、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、酢酸sec−ヘキシル、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル
、酪酸イソペンチル、イソ酪酸イソブチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソペンチル、安息香酸メチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、エチレングリコールモノアセタート、二酢酸エチレン、モノアセチン、炭酸ジエチル、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ピロール、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、2−メトキシメタノール、2−エトキシメタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(シオペンチルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−(ジエチルアミノ)エタノール、モルホリン、N−エチルモルホリン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸ペンチル、2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、2−ブトキシエチルアセタート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチルなどが挙げられる。これらは特に限定されず利用でき、2種以上併用してもよい。
【0030】
本発明の樹脂組成物を用いて半導体装置を作製する方法は、公知の方法を用いることができる。例えば、市販のダイボンダーを用いて、リードフレームの所定の部位に樹脂組成物をディスペンス塗布した後、半導体チップをマウントし、加熱硬化する。その後、ワイヤーボンディングして、エポキシ樹脂を用いてトランスファー成形することによって半導体装置を作製する。またはフリップチップ接合後アンダーフィル材で封止したフリップチップBGA(Ball Grid Array)などの半導体チップ裏面に樹脂組成物をディスペンスしヒートスプレッダー、リッドなどの放熱部品を搭載し加熱硬化するなどである。
【実施例】
【0031】
以下、本発明に関して具体的に実施例を示すが、これらに限定されるものではない。
[実施例1]
熱硬化性樹脂(A)として、末端にアクリレートを有するポリブタジエン(大阪有機工業(株)製、BAC15、化合物1)、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル1、6HX、化合物4)、および1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成(株)製、CHDMMA、化合物5)、フレーク状金属粉(B)として、平均粒径7.2μm、アスペクト比4.2のフレーク状銀粉(銀粉1)を、球状有機フィラー(C)として、60μmのミクロパール(積水化学(株)製、ジビニルベンゼン共重合物、有機フィラー1;比重1.19)を使用した。
その他の成分として、グリシジル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業(株)製、KBM−403E、化合物6)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(日本ユニカー(株)製、A−1289、化合物7)、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)、パーヘキサC(S)、化合物8)を使用した。
上記成分を表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し、真空チャンバーにて2mmHgで15分脱泡後脱泡することで樹脂組成物を作製した。配合割合は重量部である。
【0032】
[実施例2〜5]
実施例2では、フレーク状金属粉(B)の配合量を変えた以外は、実施例1と同様に樹脂組成物を作製した。
実施例3では、フレーク状金属粉(B)として平均粒径3.0μm、アスペクト比3.1のフレーク状銀粉(銀粉2)を、実施例4では、フレーク状金属粉(B)として平均粒径6.2、アスペクト比4.7のフレーク状銀粉(銀粉3)を使用し、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製した。
実施例5では、熱硬化性樹脂(A)として、化合物1の変わりに、ポリエーテル系ビスマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200、マレイミド化グリシンとポリテトラメチレングリコールジオールの反応物、化合物2)と、シクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルとポリプロピレングリコールとの反応により得られたジアリルエステル化合物(分子量1000、ただし原料として用いたシクロヘキサンジカルボン酸のジアリルエステルを約15%含む、化合物3)を使用し、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製した。配合割合は重量部である。
【0033】
[比較例1]
フレーク状金属粉(B)として、平均粒径8.0μm、アスペクト比1.8の芋状の銀粉(銀粉4)を使用し、銀粉の含有率を90重量部とし、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製した。
[比較例2]
フレーク状金属粉(B)として平均粒径2.1μm、アスペクト比1.9の芋状の銀粉(銀粉5)を使用し、表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製した。
[比較例3]
球状有機フィラーと(C)して5μmのミクロパール(積水化学(株)製、ジビニルベンゼン共重合物、有機フィラー2)を使用し、上記と同様に表1に示す割合で配合し、実施例1と同様に樹脂組成物を作製した。
[比較例4〜10]
実施例1〜5および比較例1〜2の配合で、有機フィラーを含有しない処方を実施例1と同様に作製し、熱拡散率、導電性の評価を行い、表2に示した。
【0034】
作製した樹脂組成物を以下の方法により評価した。評価結果を表1に示す。
[評価方法]
・粘度:E型粘度計(3°コーン)を用い25℃、2.5rpmでの値を樹脂組成物作製直後に測定した。作製直後の粘度が10〜50Pa・sの範囲内の場合を合格とした。
・熱拡散率:レーザーフラッシュ熱伝導度計を用い、10φで1mmのサンプルを作製後、熱拡散率を測定した。通常低下する熱拡散率が有機フィラー添加前後において、有機フィラー添加前熱拡散率y、有機フィラー添加後熱拡散率zとしたとき、y<zと上昇が認められたものを合格とした。
・導電性:接続抵抗を測定できるように、表1に示す樹脂組成物をAgメッキした銅フレームと銅フレームの間に挟みこみ、175℃オーブン中60分硬化した。硬化後、抵抗率測定装置を用いて、樹脂組成物を挟み込んだサンプルの電気抵抗値を測定し、接続距離と接続面積より、垂直(厚さ)方向の体積抵抗率を算出した。垂直(厚さ)方向の体積抵抗率が、4×10-3Ω・cm以下のものを合格とした。
【0035】
作製した樹脂組成物を用いて、以下の半導体装置を作製し、評価した。評価結果を表1の示す。
・接着強度:表1に示す樹脂組成物を用いて、6×6mmのシリコンチップをAgめっきした銅フレームにマウントし、175℃オーブン中60分(昇温時間30分含む)硬化した。硬化後および吸湿処理(85℃、85%,72時間)後に自動接着力測定装置を用い260℃での熱時ダイシェア強度を測定した。260℃熱時のダイシェア強度が30N/
チップ以上の場合を合格とした。接着強度の単位は30N/チップである。
【0036】
・耐温度サイクル性:表1に示す樹脂組成物を用いて、6×6×0.350mmのシリコンチップをAgメッキした銅フレームにマウントし、175℃オーブン中60分(昇温時間30分含む)硬化した。硬化後および温度サイクル処理後(−65℃←→150℃、100サイクル)後の剥離の様子を超音波探傷装置(透過型)にて測定した。剥離面積が10%以下のものを合格とした。
・耐リフロー性:表1に示す樹脂組成物を用いて、下記のリードフレームとシリコンチップを175℃/60分(昇温時間30分含む)間硬化し接着した。さらに、封止材料(スミコンEME−7026、住友ベークライト(株)製)を用い封止し、半導体装置を作製した。この半導体装置を用いて、30℃、相対湿度60%、168時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行った。処理後の半導体装置を超音波探傷装置(透過型)により剥離の程度を測定した。ダイアタッチ部の剥離面積が10%未満の場合を合格とした。合格を○としている。
半導体装置 :QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:SPOT/Agめっきした銅フレーム
チップサイズ :6×6mm
樹脂組成物の硬化条件:オーブン中175℃/60分(昇温時間30分)
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の樹脂組成物は、半導体用ダイアタッチペースト材料または放熱部材接着用材料として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップまたは放熱部材を支持体に接着する樹脂組成物であって、
熱硬化性樹脂(A)、フレーク状金属粉(B)および球状の有機フィラー(C)を含み、前記フレーク状金属粉(B)のアスペクト比が2以上4.7以下であることを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記フレーク状金属粉(B)の配合量が、全樹脂組成物100重量部に対して、80重量部以上95重量部以下であることを特徴とする請求項1記載の記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記フレーク状金属粉(B)の配合量が、前記有機フィラー(C)1重量部に対して1500重量部以上10000重量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記フレーク状金属粉(B)と前記有機フィラー(C)との平均粒径の比[(C)/(B)]が、5以上20以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記フレーク状金属粉(B)が、銀粉であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記有機フィラーが、ジビニルベンゼンまたはジビニルベンゼンの共重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物をダイアタッチペーストまたは放熱部材接着用材料として用いて作製されることを特徴とする半導体装置。

【公開番号】特開2010−87235(P2010−87235A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−254474(P2008−254474)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】