説明

洗浄塗布装置

【課題】従来は塗布の前処理として洗浄を行う製造ラインにおいて洗浄工程から塗布工程の間に設備間の移動が必要であった。そのため洗浄後の清浄部に空気中に浮遊しているゴミをかみこみ、濡れ性不足、接着強度不足、信頼性の低下を招く恐れがあった。
【解決手段】本発明は、被照射部にスポット照射を行い清浄化する洗浄ヘッド21と、前記洗浄ヘッドと被照射体の相対位置関係において前記洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された前記塗布ヘッド22を具備する洗浄塗布装置である。係る発明を用いることで、洗浄工程後、清浄部に汚染物質が再付着する前に塗布工程を行うことができる。また、洗浄工程と塗布工程の間に搬送工程を含まず、一つの装置で洗浄塗布工程が行えるため、工程及び設備の簡易化が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接合部を封止する洗浄塗布工程に用いる洗浄塗布装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ装置やプラズマディスプレイ装置などで代表されるフラットパネルディスプレイ装置は、表示ディスプレイとして主流になってきている。このようなフラットパネルディスプレイ装置に画像表示部位として用いられるパネルは、一般的に2枚のガラスを張り合わせた構造を取るために、パネル端部に電圧あるいは信号を印加するための電極を引き出す必要がある。そしてこの電極引出部にフレキシブル配線板(以下FPCとする)等が接続され、駆動回路装置等と連結している。
【0003】
例えば、プラズマディスプレイ装置に用いられるパネルでは、表示電極群を配した前面基板と、アドレス電極群を配した背面基板を、これら電極群が直交するように対向配置し、かつ基板間に放電空間を形成して封止される。そして各辺のパネル端部に表示電極群、アドレス電極群の電極引出部を形成している。この電極群に異方性導電封止接着剤でFPCを接着しており、このFPCを介して電極引出部と駆動回路装置が接続されている。さらに、電極引出部とFPCの接続部分の絶縁保護及び外力による剥離防止を目的として、この接続部分を覆うように熱硬化型やUV光硬化型の樹脂などの封止接着剤を設けている(例えば特許文献1参照)。通常は、この封止接着剤の濡れ性を向上するため、塗布工程の前段に封止する部分を洗浄する洗浄工程を配する。具体的に、ディスプレイ装置が洗浄装置での洗浄工程ののちに塗布装置に搬送されて塗布工程が施されている(例えば特許文献2参照)。塗布工程の後段には封止接着剤を硬化する硬化工程がある。硬化工程の方式は封止接着剤の種類に合わせて加熱やUV光照射などがある。
【0004】
このような従来方法では洗浄工程から塗布工程への設備間の搬送が必要であった。従来の工程について洗浄工程に大気圧プラズマを用いた場合について図21を用いて説明する。図21(a)に洗浄工程前におけるパネル端部において、前面板1と背面板2とこれらに設置される電極引出部であるガラス電極3と、FPC4の構成を示す。図21(b)に洗浄工程について示す。図21(c)には洗浄工程後のガラス電極3及びFPC4の表面状態について示す。図21(d)に洗浄工程後、塗布工程への設備の搬送時におけるガラス電極3及びFPC4の表面状態を示す。図21(e)に塗布工程において、ガラス電極3及びFPC4に封止接着剤5を塗布した状態を示す。図21(f)に通電した場合のガラス電極3及びFPC4の状態を示す。
【0005】
図21(a)に示したように、洗浄前のガラス電極3及びFPC4の表面は有機物6又は水7等の汚染物質が付着している。よって、図21(b)に示すように、これら汚染物質に向けて、大気圧プラズマ9を照射して汚染物質を除去する。大気圧プラズマ洗浄に用いるガスはアルゴン8などが挙げられる。この洗浄工程によって、ガラス電極3及びFPC4から有機物6等の汚染物質が除去され、図21(c)に示すように、これらの表面に清浄部10が露出する。また、FPC4の表面には大気圧プラズマ9が照射されたことによって、カルボニル基11やカルボキシル基12などに代表される親水基が形成される。しかし、これらの清浄部10は汚染物質が付着しやすいため、図21(d)に示すように、搬送中に水7や導電性異物13が再付着してしまうことがある。よって、図21(e)に示すように、その後の塗布工程において封止接着剤5を塗布すると水7や導電性異物13がガラス電極3及びFPC4の付近に閉じ込められる可能性がある。これらを放置すれば、図21(f)に示すようにリーク電流14が流れ、ショートや長期使用によるエレクトロマイグレーションなど、接合部の信頼性が著しく低下する場合がある。
【0006】
次に、洗浄工程にUV光15を用いる場合について図22を用いて説明する。図22(a)に洗浄工程前におけるパネル端部において、前面板1と背面板2と、これらに設置される電極引出部であるガラス電極3と、FPC4の構成を示す。図22(b)に洗浄工程について示す。図22(c)には洗浄工程後のガラス電極3及びFPC4の表面状態について示す。図22(d)に洗浄工程後、塗布工程への設備の搬送時におけるガラス電極3及びFPC4の表面状態を示す。図22(e)に塗布工程において、ガラス電極3及びFPC4に封止接着剤5を塗布した状態を示す。図22(f)に通電した場合のガラス電極3及びFPC4の状態を示す。
【0007】
洗浄前のガラス電極3及びFPC4の表面には図22(a)に示したように、有機物6又は水7等の汚染物質が付着している。よって、図22(b)に示したように、これら汚染物質に向けて、波長254nmのUV光15をUV光ランプ16により照射する。このUV光15により空気中の酸素が活性化されオゾン17が精製される。このオゾン17による汚染物質の酸化による除去とUV光15の直接照射による汚染物質の分解によって、ガラス電極3及びFPC4から有機物6等の汚染物質が除去され、図22(c)に示したように、これらの表面に清浄部10が露出する。また、FPC4の表面にはUV光15が照射されたことによって、カルボニル基11やカルボキシル基12などに代表される親水基が形成される。しかし、UV光15は過剰に照射するとFPC4表面近傍に脆弱層18を形成しやすいことが知られている。また、これらの清浄部10は汚染物質が付着しやすいため、図22(d)に示したように、搬送中に水7や導電性異物13が再付着してしまうことがある。よって、図22(e)に示したように、その後の塗布工程において封止接着剤5を塗布すると水7や導電性異物13がガラス電極3及びFPC4の付近に閉じ込められる可能性がある。これらを放置すれば、図22(f)に示すようにリーク電流14が流れ、ショートや長期使用によるエレクトロマイグレーションなど、接合部の信頼性が著しく低下してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−151548号公報
【特許文献2】国際公開第2008/142839号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上のように前記従来方法では、洗浄後におけるガラス電極及びFPCなどの表面に露出する清浄部は汚染物質が付着しやすい特性を有するため、洗浄工程から塗布工程への設備間の搬送作業中に、洗浄面へ汚染物質の再付着が発生しうる。この再付着した汚染物質によって、塗布工程における封止接着剤の濡れ性の悪化や、接着強度不足、接合部の信頼性が低下してしまう問題が生じることがあった。
【0010】
そこで本発明はこの課題に着目し、洗浄工程後の塗布工程においても、清浄部に汚染物質の再付着を防ぐことで、封止接着剤の濡れ性を向上させ、接着強度不足を改善し、接合部の信頼性を向上させることができる洗浄塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明に係る洗浄塗布装置は被照射部にスポット照射を行い清浄化する洗浄ヘッドと、前記洗浄ヘッドと被照射体の相対位置関係において前記洗浄ヘッドの進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッドを具備することを特徴とするものである。
【0012】
この構成により、洗浄工程後、清浄部に汚染物質が再付着する前に塗布工程を行うことができる。また、洗浄工程と塗布工程の間に搬送工程を含まず、一つの装置で洗浄塗布工程が行えるため、工程及び設備の簡易化が可能である。
【0013】
また、好ましくは前記洗浄ヘッドに大気圧プラズマ洗浄ヘッドを用いたことを特徴とする。
【0014】
前記構成によれば、塗布工程で塗布する封止接着剤にUV光硬化型樹脂を用いた場合においても、洗浄工程後直ぐに塗布工程を行うことができる。また、UV光ランプを用いた装置に比べてランニングコストが安く済む。
【0015】
また、好ましくは前記大気圧プラズマ洗浄ヘッドと前記塗布ヘッドの間に遮熱手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
前記構成によれば、大気圧プラズマ洗浄ヘッドで発生した熱が被照射塗布面であるパネル及び塗布ヘッドに装填された封止接着剤に熱を伝えにくくすることができ、被照射塗布材の熱による異常や、封止接着剤の粘度異常などの発生を抑えることができる。
【0017】
また、好ましくは前記遮熱手段として遮蔽板を具備したこと特徴とする。
【0018】
前記構成によれば、大気圧プラズマ洗浄ヘッドで発生した熱の輻射及び対流による伝導を妨げることができ、被照射塗布材の熱による異常や、封止接着剤の粘度異常などの発生を抑えることができる。
【0019】
また、好ましくは前記遮熱手段として吸引口を具備したことを特徴とする。
【0020】
前記構成によれば、大気圧プラズマ洗浄ヘッドで発生した熱により高温となった空気を吸引し、装置内雰囲気の温度を低下させることで被照射体の熱による異常や、封止接着剤の粘度異常などの発生を抑えることができる。さらに、洗浄により排出される水蒸気や有機化合物などを周囲の空気と一緒に吸引することで、これらが清浄部に再付着するのを防ぐことができる。
【0021】
また、好ましくは前記遮熱手段としてガスを吹き付けるための吹出口を具備したことを特徴とする。
【0022】
前記構成によれば、吹出口から空気を吹き付けることで、洗浄ヘッドで発生した熱による装置内雰囲気の温度を低下させることができる。これにより被照射体の熱による異常や、封止接着剤の粘度異常などの発生を抑えることができる。さらに、吹出口から乾燥した清浄な空気や窒素を吹きつけることにより、洗浄によって排出される水蒸気や有機化合物などが清浄部に再付着するのを防ぐことができる。
【0023】
また、好ましくは前記遮熱手段として遮蔽板と吸引口を具備したことを特徴とする。
【0024】
前記構成によれば前記遮蔽板を設けた場合の作用効果と前記吸引口を設けた場合の作用効果を有することができる。また、大気圧プラズマ洗浄ヘッドは空気の流れがある場合、その洗浄能力が低下してしまう場合がある。ゆえに、吸引口による空気の流れを遮蔽板によって大気圧プラズマ洗浄ヘッドへ伝えにくくすることができるため、洗浄効率を上げることができる。
【0025】
また、好ましくは前記遮熱手段として遮蔽板とガスを吹き付けるための吹出口を具備したことを特徴とする。
【0026】
前記構成によれば前記遮熱手段として前記遮蔽板を設けた場合の作用効果と前記吹出口を設けた場合の作用効果を有することができる。また、吹出口による空気の流れを遮蔽板によって大気圧プラズマ洗浄ヘッドへ伝えにくくすることができるため、洗浄効率を上げることができる。
【0027】
また、好ましくは前記遮熱手段として吸引口とガスを吹き付けるための吹出口を具備したことを特徴とする。
【0028】
前記構成によれば前記遮熱手段として前記吸引口を設けた場合の作用効果と前記吹出口を設けた場合の作用効果を有することができる。さらに、吹出口から吹きつけた空気を吸引口で吸引することで、空気の流れを制御し、大気圧プラズマ洗浄ヘッドでの空気の乱れを防ぐことができる。
【0029】
また、好ましくは前記遮熱手段として遮蔽板とガスを吹き付けるための吹出口と吸引口を具備したことを特徴とする。
【0030】
前記構成によれば前記遮熱手段として前記遮蔽板を設けた場合の作用効果と前記吹出口を設けた場合の作用効果と前記吸引口を設けた場合の作用効果を有することができる。ゆえに、より効果的に洗浄効率を上げることができる。
【0031】
また、好ましくは前記遮熱板の下部に弾性体を有することを特徴とする。
【0032】
前記構成によれば生産中に遮蔽板がFPCやガラス電極の配設されているパネルと接触した場合にパネルの破壊を防止することができる。
【0033】
また、好ましくは前記被照射体との距離を測定する高さセンサと前記高さセンサからの入力により前記洗浄ヘッド及び前記塗布ヘッドと被照射体との距離を変化させる駆動部を具備することを特徴とする。
【0034】
前記構成によれば、高さセンサが読み取った被照射体の形状に合わせて、前記洗浄ヘッド及び前記塗布ヘッドの高さを調節することができるため、より精度の高い洗浄塗布工程を行うことができる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように本発明は洗浄ヘッドと、前記洗浄ヘッドと被照射体の相対位置関係において前記洗浄ヘッドの進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッドを具備することにより、洗浄工程後直ぐに塗布工程をおこなうことができる。これにより、洗浄後の清浄部に水や導電性異物が再付着するのを軽減することができ、濡れ性・接着強度・信頼性の低下の課題を解決できる。
【0036】
また付加的な効果として余分な洗浄エネルギーを必要とせず省エネルギー効果がある。さらに2つの設備を1つにするため設備の設置面積を削減する事も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る洗浄塗布装置の要部構成を示す模式図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る洗浄塗布装置の洗浄塗布動作を表す模式図で、(a)平面図、(b)側面図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る塗布洗浄工程の動作を説明するフローチャート
【図4】本発明の第1の実施形態に係るUV光洗浄工程におけるパネルの状態を示す模式図で、(a)洗浄前の模式図、(b)UV光を照射した模式図、(c)洗浄後の模式図、(d)封止接着剤を塗布した模式図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る洗浄塗布装置の要部構成を示す模式図
【図6】本発明の第2の実施形態に係る大気圧プラズマ洗浄工程におけるパネルの状態を示す模式図で、(a)洗浄前の模式図、(b)大気圧プラズマを照射した模式図、(c)洗浄後の模式図、(d)封止接着剤を塗布した模式図
【図7】本発明の第3の実施形態に係る洗浄塗布装置を示す図で、(a)要部構成を示す模式図、(b)洗浄塗布動作を表す側面図
【図8】本発明の第4の実施形態に係る洗浄塗布装置を示す図で、(a)要部構成を示す模式図、(b)洗浄塗布動作を表す側面図
【図9】本発明の第4の実施形態に係る塗布洗浄工程の動作を説明するフローチャート
【図10】本発明の第5の実施形態に係る塗布洗浄装置を示す図で、(a)要部構成を示す模式図、(b)吹き付けユニットに設置した吹出口の模式図、(c)洗浄塗布動作を表す側面図
【図11】本発明の第5の実施形態に係る塗布洗浄工程の動作を説明するフローチャート
【図12】本発明の第6の実施形態に係る洗浄塗布装置を示す図で、(a)要部構成を示す模式図、(b)洗浄塗布動作を表す側面図
【図13】本発明の洗浄能力と放電部での空気の流れの相関図
【図14】本発明の第7の実施形態に係る洗浄塗布装置を示す図で、(a)要部構成を示す模式図、(b)洗浄塗布動作を表す側面図
【図15】本発明の第8の実施形態に係る洗浄塗布装置を示す図で、(a)要部構成を示す模式図、(b)洗浄塗布動作を表す側面図
【図16】本発明の第8の実施形態に係る塗布洗浄工程の動作を説明するフローチャート
【図17】本発明の第9の実施形態に係る洗浄塗布装置を示す図で、(a)要部構成を示す模式図、(b)洗浄塗布動作を表す要部を破断した側面図
【図18】本発明の第10の実施形態に係る洗浄塗布装置を示す図で、(a)要部構成を示す模式図、(b)洗浄塗布動作を表す側面図
【図19】本発明の第11の実施形態に係る洗浄塗布装置を示す図で、(a)要部構成を示す模式図、(b)洗浄塗布動作を表す側面図
【図20】本発明の第11の実施形態に係る塗布洗浄工程における高さ測定の動作を説明するフローチャート
【図21】従来例に係る大気圧プラズマ洗浄工程におけるパネルの状態を示す模式図で、(a)洗浄前の模式図、(b)大気圧プラズマを照射した模式図、(c)洗浄後の模式図、(d)搬送工程中に汚染物質が再付着した模式図、(e)封止接着剤を塗布した模式図、(f)通電時の模式図
【図22】従来例に係るUV光洗浄工程におけるパネルの状態を示す模式図で、(a)洗浄前の模式図、(b)UV光を照射した模式図、(c)洗浄後の模式図、(d)搬送工程中に汚染物質が再付着した模式図、(e)封止接着剤を塗布した模式図、(f)通電時の模式図
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図1〜図20に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態では、ディスプレイ装置として、プラズマディスプレイ装置を例にして説明するが、必ずしもこれに限らず、液晶ディスプレイ装置、有機ELディスプレイ装置等、他のディスプレイ装置であってもよい。
【0039】
(第1の実施形態)
図1に示す本発明の第1の実施形態に係る洗浄塗布装置は、被照射部であるFPC及びガラス電極の配設されているパネル19に洗浄因子20を部分照射し清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22を具備することを特徴とする。
【0040】
さらに、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図2(b)に示すように3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22が設置されている。この移動体24は回転伸縮部25により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。
【0041】
同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22とパネル19(被照射体)との高さ方向の距離も調節可能である。洗浄及び塗布を行うべきパネル19におけるガラス電極の電極引出部とFPC4との接続部27の一例を図2(a)に示す。
【0042】
また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0043】
この場合、制御部によって記憶部に予め記憶された動作プログラムや制御データに基づいて、ロボット装置23の動作制御を行い、接続部27に洗浄及び塗布を行う。
【0044】
以上の構成における洗浄及び塗布動作において図3に示すフローチャートを参照して説明する。まず、ロボット装置23にて移動体24に設置された洗浄ヘッド21をパネル19の接続部27(被処理部)に向けて移動させる(S1)。次いで、塗布ヘッド22が、洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に位置するよう移動体24が回転伸縮部25によって回転させられる(S2)。このとき、パネル19と洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22との高さ方向の距離が調節される。次に洗浄ヘッド21が接続部27の一端である洗浄開始点に位置したか否かの判定を行い(S3)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、洗浄開始点に位置するまで移動を行う(S12)。位置していれば、洗浄ヘッド21から洗浄因子20を放出しつつ洗浄ヘッド21を接続部27に沿って相対移動させて洗浄を行う(S4)。次に、塗布ヘッド22が接続部27の一端である塗布開始点に位置したか否かの判定を行い(S5)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、塗布開始点に位置するまで洗浄のみを行う(S13)。位置していれば、塗布ヘッド22によって接続部27に対する封止接着剤5の塗布を開始する(S6)。その後、洗浄ヘッド21が接続部27の一端である洗浄終了点に位置したか否かの判定を行い(S7)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、洗浄終了点に位置するまで洗浄及び塗布を行う(S14)。位置していれば洗浄ヘッド21から洗浄因子20の放出を停止し、洗浄を停止する(S8)。さらに、塗布ヘッド22が接続部27の一端である塗布終了点に位置したか否かの判定を行い(S9)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、塗布終了点に位置するまで塗布のみを行う(S15)。位置していれば、塗布ヘッド22による封止接着剤5の塗布を停止する(S10)。その後、全ての接続部27の処理が終了したか否かの判定を行い(S11)、終了している場合はそのまま終了し、パネル19が搬送手段26によって搬出される。
【0045】
この場合、パネル19における洗浄開始点と塗布開始点、及び洗浄終了点と塗布終了点は一致する。なお、これらの位置をずらして、洗浄する部分を塗布する部分よりも長くしてもよい。また、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間隔は常に一定である。
【0046】
次に、洗浄塗布工程について具体的に説明する。図1に示したように、洗浄ヘッド21からは洗浄因子20が放出されている。この洗浄因子20の例としてはUV光や大気圧プラズマが挙げられる。洗浄因子20を洗浄ヘッド21から放出した状態で接続部27に対して洗浄ヘッド21を移動させ、ライン状に洗浄を行なう。ここでは洗浄因子としてUV光を用いた場合について図4を用いて説明する。図4(a)は洗浄前の接続部27におけるガラス電極3及びFPC4に有機物6及び水7などの汚染物質が付着した状態を示す。この状態の接続部27に図4(b)に示すように、UV光15がUV光ランプ16から汚染物質である有機物6に照射されると有機物6の結合が切れる。さらに空気中の酸素にUV光15が照射されると酸素の結合が切れ酸素原子状態となり、酸素原子が他の酸素と結合してオゾン17が発生する。このオゾン17は有機物6の結合を切ると共に有機物6と結合し二酸化炭素や水蒸気として有機物6を除去する効果を持つ。これによって清浄化された清浄部10を図4(c)に示す。この清浄部10は洗浄前に比較して樹脂の濡れを妨げる汚染物質が除去されて、FPC4の表面にカルボニル基11やカルボキシル基12に代表される親水基を形成する。また、ガラス電極3およびパネル19の材質であるガラスの主成分SiOも露出する。こうして、清浄部10では洗浄前よりも濡れ性を向上させることができる。
【0047】
次に、図4(d)に示すように、従来の方法で説明した図22で説明した有機物6や水7や導電性異物13等が再付着しないよう、洗浄直後に、清浄部10へ封止接着剤5を塗布する。条件によるが、好ましくは洗浄後5秒以内に塗布を行うのが望ましい。
【0048】
また、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の距離を遠ざけすぎると洗浄による効果が小さくなってしまう。よって、好ましくは洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間を20mmから300mmの距離に両ヘッドを配置する。なお、本実施形態では物理的な制限により最小のヘッド間距離を20mmとしたが、設備を小型化して、この距離を更に近づけてもよい。ただし、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の距離を近づけ過ぎると、洗浄雰囲気に封止接着剤が影響を及ぼして十分な洗浄効果を得られない場合や、封止接着剤が洗浄によって発生した二酸化炭素や水蒸気を巻き込んでしまう場合などが生じるため、これらに留意して両ヘッドを配設すべきである。
【0049】
また、UV光15によって洗浄された清浄部10の幅は洗浄因子20の幅とほぼ同じになる。封止接着剤5は塗布後にパネル19上で濡れ広がる傾向があり、例えば清浄部10の内側にライン状に塗布すると、濡れ性の上がった清浄部10とパネル19のその他の部分との濡れ性の差のため清浄部10より外側に封止接着剤5がはみ出しにくくなる。つまり洗浄因子20をコントロールし清浄部10の幅を調整することで封止接着剤5の広がり幅を可変とすることができる。
【0050】
以上のことから本実施形態のように、被照射部にスポット照射を行い清浄化する洗浄ヘッドと、洗浄ヘッドと被照射体の相対位置関係において洗浄ヘッドの進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッドを具備することを特徴とする洗浄塗布装置を用いることで、洗浄工程後、清浄部に汚染物質が再付着する前に塗布工程を行うことができる。また、洗浄工程と塗布工程の間に搬送工程を含まず、一つの装置で洗浄塗布工程が行えるため、工程及び設備の簡易化が可能である。
【0051】
(第2の実施形態)
図5に示す第2の実施形態に係る洗浄塗布装置は、被照射部であるFPC4及びガラス電極の配設されているパネル19に部分照射し清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22を具備することを特徴とする。
【0052】
本実施形態では、洗浄因子として大気圧プラズマ9を用いた点で第1の実施形態と異なる。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0053】
また、その洗浄及び塗布動作も図3に示すフローチャートのうち、洗浄ヘッド21から大気圧プラズマ9を照射しつつ洗浄ヘッド21を接続部27に沿って相対移動させて洗浄を行う(S4)ことと、洗浄ヘッド21から大気圧プラズマ9の照射を停止し、洗浄を停止する(S8)ことが異なるが、その他の動作は第1の実施形態と同様の動作を行う。
【0054】
次に、洗浄塗布工程について説明する。図5に示したように洗浄ヘッド21からは大気圧プラズマ9が放出されている。大気圧プラズマ9の放電方式は代表例としてコロナ放電・誘電体バリア放電・容量結合型放電・誘導結合型放電などが挙げられる。それぞれ電極形状や放電状態によって種別される。また大気圧プラズマ9に用いるガスは窒素・アルゴン・酸素・二酸化炭素・空気などが上げられ、それぞれ被照射体の物質や汚染物の物質によって使い分けられる。装置の小型化が図れるガスとしてアルゴンを用いた場合について図6を用いて説明する。図6(a)は洗浄前の接続部27におけるガラス電極3及びFPC4に有機物6及び水7などの汚染物質が付着した状態を示す。この状態のガラス電極3及びFPC4に対して図6(b)に示すように、放電によって形成したアルゴンプラズマの中で活性化したアルゴン8を有機物に接触させると有機物6の結合を切ることができる。さらにアルゴン8の接触によって空気中の酸素も結合を切って酸素原子を形成し、この酸素原子によって有機物6の結合を切ることができ、二酸化炭素や水蒸気に分解して除去する。こうして図6(c)に示すように清浄部10が露出することになる。清浄部10では洗浄前に比較して樹脂の濡れを妨げる有機物汚染が除去されて、ガラス電極3の材質であるガラスの主成分SiOが露出する。こうして清浄部10は洗浄前よりも濡れ性が向上する。また、被照射体がFPC4のように有機物であった場合は、前述のように汚染物質を取り去ると共にFPC4の表面にカルボニル基11やカルボキシル基12に代表される親水基を形成する。これらの親水基により濡れ性は向上する。
【0055】
その後再び有機物等が付着しないよう、洗浄直後に、図6(d)に示すように、清浄部10へ封止接着剤5を塗布する。なお、条件によるが、好ましくは洗浄後5秒以内に塗布を行うのが望ましい。この場合、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の距離を遠ざけすぎると洗浄による効果が小さくなってしまう。よって、好ましくは洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間を20mmから300mmの距離に両ヘッドを配置する。なお、本実施形態では物理的な制限により最小のヘッド間距離を20mmとしたが、設備を小型化して、この距離を更に近づけてもよい。ただし、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の距離を近づけ過ぎると、洗浄雰囲気に封止接着剤が影響を及ぼして十分な洗浄効果を得られない場合や、封止接着剤が洗浄によって発生した二酸化炭素や水蒸気を巻き込んでしまう場合などが生じるため、これらに留意して両ヘッドを配設すべきである。
【0056】
また、清浄部10の幅は大気圧プラズマ9の幅とほぼ同じになるが、封止接着剤5は塗布後のパネル19上で濡れ広がる傾向がある。例えば清浄部10の内側にライン状に塗布すると、濡れ性の上がった清浄部10とパネル19のその他の部分との濡れ性の差のため清浄部10より外側に封止接着剤5がはみ出しにくくなる。つまり大気圧プラズマ9をコントロールし清浄部10の幅を調整することで封止接着剤5の広がり幅を可変とすることができる。
【0057】
以上のことから本実施形態において、第1の実施形態に係る洗浄塗布装置によって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0058】
加えて、塗布工程で塗布する封止接着剤にUV光硬化型樹脂を用いた場合においても、洗浄工程にUV光を使用しないため、洗浄工程で照射したUV光の影響によってUV光硬化型樹脂が硬化してしまう問題が発生しない。よって洗浄工程後直ぐに塗布工程を行うことができる。また、洗浄工程にUV光ランプを用いた装置に比べランニングコストを安く済ませることができる。
【0059】
(第3の実施形態)
図7(a)に示す第3の実施形態に係る洗浄塗布装置は被照射部であるFPC4及びガラス電極の配設されているパネル19に部分照射を行い清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22と、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28を具備することを特徴とする。
【0060】
本実施形態では、洗浄ヘッド21で発生した熱が塗布ヘッド22へ移動するのを妨げる手段として遮蔽板28を洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に具備した点で第2の実施形態と異なる。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
また、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図7(b)に示すように3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22及び洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28が設置されている。この移動体24は回転伸縮部25により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22と被照射体との高さ方向の距離も調節可能である。また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0062】
以上の構成における洗浄及び塗布動作は、第2の実施形態にて図3を用いて説明したものと同じであるため省略する。
【0063】
洗浄工程、塗布工程における基本的な作用は第2の実施形態と同様である。前述のように、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22は出来る限り近づけることが望ましい。しかし、洗浄ヘッド21の先端はプラズマ放電時300℃から400℃程度まで温度が上昇する。一方、塗布ヘッド22は封止接着剤5の粘度を安定化するため30℃から40℃程度に温度調整されている。よって、高温の洗浄ヘッド21を低温の塗布ヘッド22に接近させると封止接着剤5の粘度異常の発生、またノズル先端に付着した封止接着剤5が硬化などの不具合を引き起こす可能性がある。そこで、本実施形態では洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28を具備することにより洗浄ヘッド21の先端より輻射および対流による熱の伝導を妨げることができる。このため封止接着剤5の温度変化による粘度の変化を抑制できる。さらに遮蔽板28は洗浄ヘッド21で発生した熱を逃がす放熱板としての役割も持つ。よって、特に洗浄速度を上げるために洗浄ヘッド21の出力を高め洗浄ヘッド21の温度が高温になる場合に有効である。
【0064】
また、プラズマ洗浄によるパネル19への熱の影響も考えると、パネル19の温度によって濡れ性は変化するため、温度にばらつきがでると安定した塗布が行えなくなり、製品(ディスプレイ装置)の信頼性が低下する場合や、熱による歪などの影響がでる場合などを引き起こす可能性がある。そこで、遮蔽板28を設けることで、洗浄ヘッド21で発生した熱及び、パネル19の大気圧プラズマ9被照射部からの輻射および対流による熱の伝導を妨げることができ、封止接着剤5の塗布部に及ぼす熱の影響を妨げることができる。
【0065】
本実施形態では遮蔽板の材料としてステンレス鋼を用いた。遮蔽板に、遮熱性能を優先して、熱伝導率の小さい材料を用いてもよく、放熱性能を優先して熱伝導率の大きい材料を用いてもよい。
【0066】
以上のことから本実施形態において、第2の実施形態に係る洗浄塗布装置によって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0067】
加えて、遮蔽板を設けることによって、洗浄ヘッドで発生した熱の輻射及び対流による伝導を妨げることができ、被照射塗布材の熱による異常や、封止接着剤の粘度異常などの発生を抑えることができる。
【0068】
(第4の実施形態)
図8(a)に示す第4の実施形態に係る洗浄塗布装置は被照射部であるガラス電極及びFPC4の配設されているパネル19に部分照射を行い清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22と、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間に吸引口29を具備することを特徴とする。
【0069】
本実施形態では、洗浄ヘッド21で発生した熱が塗布ヘッド22へ移動するのを妨げる手段として吸引口29を、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間に具備した点で第2の実施形態と異なる。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0070】
また、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図8(b)に示すように3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22及び吸引口29が設置されている。この移動体24は回転伸縮部25により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22と被照射体との高さ方向の距離も調節可能である。また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0071】
以上の構成における洗浄及び塗布動作において図9に示すフローチャートを参照して説明する。ロボット装置23にて移動体24に設置された洗浄ヘッド21をパネル19の接続部27に向けて移動させる(S1)。次いで、塗布ヘッド22が、洗浄ヘッド21の進行しようとする方向後ろ側に位置するよう移動体24が回転伸縮部25によって回転させられる(S2)。このとき、パネル19と洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22との高さ方向の距離が調節される。次に洗浄ヘッド21が接続部27の一端である洗浄開始点に位置したか否かの判定を行い(S3)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、洗浄開始点に位置するまで移動を行う(S12)。位置していれば、吸引口29による吸引を開始し(S4a)、洗浄ヘッド21から大気圧プラズマ9を照射しつつ洗浄ヘッド21を接続部27に沿って相対移動させて洗浄及び吸引を行う(S4)。次に、塗布ヘッド22が接続部27の一端である塗布開始点に位置したか否かの判定を行い(S5)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、塗布開始点に位置するまで洗浄及び吸引を行う(S13)。位置していれば、塗布ヘッド22によって接続部27に対する封止接着剤5の塗布を開始する(S6)。その後、洗浄ヘッド21が接続部27の一端である洗浄終了点に位置したか否かの判定を行い(S7)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、洗浄終了点に位置するまで洗浄、塗布及び吸引を行う(S14)。位置していれば洗浄ヘッド21から大気圧プラズマ9の照射を停止し、洗浄を停止する(S8)。さらに、塗布ヘッド22が接続部27の一端である塗布終了点に位置したか否かの判定を行い(S9)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、塗布終了点に位置するまで塗布及び吸引を行う(S15)。位置していれば、塗布ヘッド22による封止接着剤5の塗布を停止する(S10)。このとき、吸引口29による吸引も終了する(S10a)。その後、全ての接続部27の処理が終了したか否かの判定を行い(S11)、終了している場合はそのまま終了し、パネル19が搬送手段26によって搬出される。
【0072】
洗浄工程、塗布工程における基本的な作用は第2の実施形態と同様である。本実施形態においては、洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された吸引口29によって、洗浄により排出される水蒸気や有機化合物などを周囲のプラズマ洗浄によって熱された空気と共に吸引することができる。このため、それらが洗浄面32に再付着することを防止し、封止後の製品における信頼性低下の防止効果を高めることができる。
【0073】
加えて、洗浄ヘッド21の先端はプラズマ放電時300℃から400℃程度まで温度が上昇する。よって、プラズマ洗浄によるパネル19への熱の影響も考えると、パネル19の温度によって濡れ性は変化するため、温度にばらつきがでると安定した塗布が行えなくなり、製品の信頼性が低下する場合や、熱による歪などの影響がでる場合などを引き起こす可能性がある。しかし、吸引口29を設けることで、洗浄ヘッド21の先端及び、パネル19の大気圧プラズマ9被照射部で発生した熱からの対流による熱の伝導を妨げる。また、熱せられた空気を吸引することで周囲雰囲気の温度上昇を防ぎ、パネル19の冷却を促すこともできる。これらため、吸引口29を設けることで、このような洗浄ヘッド21で発生した熱及び、パネル19の大気圧プラズマ9被照射部で発生した熱の封止接着剤5塗布部への影響を妨げることができる。
【0074】
以上のことから本実施形態において、第2の実施形態に係る洗浄塗布装置によって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0075】
また、吸引口を設けることによって、洗浄ヘッドで発生した熱により高温となった大気を吸引し、装置内雰囲気の温度を低下させることで被照射体の熱による異常や、封止接着剤の粘度異常などの発生を抑えることができる。さらに、洗浄により排出される水蒸気や有機化合物などを周囲の空気と一緒に吸引することで、これらが清浄部に再付着するのを防ぐことができる。
【0076】
(第5の実施形態)
図10(a)に示す第5の実施形態に係る洗浄塗布装置は被照射部であるガラス電極及びFPC4の配設されているパネル19に部分照射を行い清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22と、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間に吹き付けユニット30を具備することを特徴とする。図10(b)に示すように、この吹き付けユニット30がパネル19と対向する面には、吹出口31が具備されている。
【0077】
本実施形態では、洗浄ヘッド21で発生した熱が塗布ヘッド22へ移動するのを妨げる手段として、吹き付けユニット30を洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間に具備した点で第2の実施形態と異なる。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
また、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図10(c)に示すように、3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22及び吹き付けユニット30が設置されている。この移動体24は回転伸縮部25により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22と被照射体との高さ方向の距離も調節可能である。また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0079】
以上の構成における洗浄及び塗布動作において図11に示すフローチャートを参照して説明する。ロボット装置23にて洗浄ヘッド21をパネル19の接続部27に向けて移動させる(S1)。次いで、塗布ヘッド22が、洗浄ヘッド21の進行しようとする方向後ろ側に位置するよう移動体24が回転伸縮部25によって回転させられる(S2)。このとき、パネル19と洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22との高さ方向の距離が調節される。次に洗浄ヘッド21が接続部27の一端である洗浄開始点に位置したか否かの判定を行い(S3)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、洗浄開始点に位置するまで移動を行う(S12)。位置していれば、吹き付けユニット30による吹き付けを開始し(S4b)、洗浄ヘッド21から大気圧プラズマ9を照射しつつ洗浄ヘッド21を接続部27に沿って相対移動させて洗浄を行う(S4)。次に、塗布ヘッド22が接続部27の一端である塗布開始点に位置したか否かの判定を行い(S5)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、塗布開始点に位置するまで洗浄及び吹き付けを行う(S13)。位置していれば、塗布ヘッド22によって接続部27に対する封止接着剤5の塗布を開始する(S6)。その後、洗浄ヘッド21が接続部27の一端である洗浄終了点に位置したか否かの判定を行い(S7)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、洗浄終了点に位置するまで洗浄、塗布及び吹き付けを行う(S14)。位置していれば洗浄ヘッド21から大気圧プラズマ9の照射を停止し、洗浄を停止する(S8)。さらに、塗布ヘッド22が接続部27の一端である塗布終了点に位置したか否かの判定を行い(S9)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、塗布終了点に位置するまで塗布及び吹き付けを行う(S15)。位置していれば、塗布ヘッド22による封止接着剤5の塗布を停止する(S10)。このとき、吹き付けユニット30による吹き付けも終了する(S10b)。その後、全ての接続部27の処理が終了したか否かの判定を行い(S11)、終了している場合はそのまま終了し、パネル19が搬送手段26によって搬出される。
【0080】
洗浄工程、塗布工程における基本的な作用は第2の実施形態と同様である。本実施形態ではさらに図10(b)に示した、吹き付けユニット30の下面に具備された吹出口31から乾燥した清浄な空気や窒素を洗浄部10に向けて吹き付けることができる。これにより、洗浄により排出される水蒸気などや有機化合物が洗浄部10に再付着することを防止する。さらに空気中の水蒸気の付着も防止することができ、清浄部10が汚染される前に封止接着剤5を塗布することができる。さらに吹き付ける窒素に水素を混合することで水素終端効果による清浄部10表面の保護が可能である。この方法によれば洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間隔を500mm程度まで拡げることが可能であり、洗浄ヘッド21からの熱による封止接着剤5の変質を防ぎ、洗浄効果を有したまま設備の設計制約を緩和することができる。
【0081】
加えて、洗浄ヘッド21の先端はプラズマ放電時300℃から400℃程度まで温度が上昇する。よって、プラズマ洗浄によるパネル19への熱の影響も考えると、パネル19の温度によって濡れ性は変化するため、温度にばらつきがでると安定した塗布が行えなくなり、製品の信頼性が低下する場合や、熱による歪などの影響がでる場合などを引き起こす可能性がある。しかし、吹き付けユニット30から洗浄部10に向けて吹き付けられる空気は、洗浄ヘッド21の先端及び、パネル19の大気圧プラズマ9被照射部で発生した熱からの対流による熱の伝導を妨げる。また、空気を吹き付けることで周囲雰囲気の温度上昇を防ぎ、パネル19の冷却を促すこともできる。このため、吹き付けユニット30を設けることで、このような洗浄ヘッド21で発生した熱及び、パネル19の大気圧プラズマ9被照射部で発生した熱の封止接着剤5塗布部への影響を妨げることができる。この場合、吹き付ける空気を特に加熱冷却しなくともよく、常温の空気を用いてよい。ただし、より好ましくは吹き付ける気体の温度を加熱冷却手段により調節することである。これによりパネル19の温度をより調節することができる。
【0082】
以上のことから本実施形態において、第2の実施形態に係る洗浄塗布装置によって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0083】
さらに、吹き付けユニットを設けることによって、空気を吹き付けることで、洗浄ヘッドで発生した熱による装置内雰囲気の温度を低下させることができる。これにより被照射体の熱による異常や、封止接着剤の粘度異常などの発生を抑えることができる。さらに、吹き付けユニットから乾燥した清浄な空気や窒素を吹きつけることにより、洗浄によって排出される水蒸気や有機化合物などが清浄部に再付着するのを防ぐことができる。
【0084】
(第6の実施形態)
図12(a)に示す第6の実施形態に係る洗浄塗布装置は被照射部であるガラス電極及びFPC4の配設されているパネル19に部分照射を行い清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22と、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28と、遮蔽板28の洗浄ヘッド21の進行方向後ろ側に吸引口29とを具備することを特徴とする。
【0085】
本実施形態では、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28と、遮蔽板28の洗浄ヘッド21の進行方向後ろ側に吸引口29とを具備した点で第2の実施形態と異なる。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0086】
また、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図12(b)に示すように、3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21、塗布ヘッド22、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28及び遮蔽板28の洗浄ヘッド21の進行方向後ろ側に吸引口29が設置されている。この移動体24は回転伸縮部25により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22と被照射体との高さ方向の距離も調節可能である。また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0087】
以上の構成における洗浄及び塗布動作は、第4の実施形態にて図9を用いて説明したものと同じであるため省略する。
【0088】
洗浄工程、塗布工程における基本的な作用及び効果は第2の実施形態、第3の実施形態及び第4の実施形態と同様である。
【0089】
本実施形態では吸引口29より吸引した気体は排気パイプ32を経由して洗浄ヘッド21に導入することでヘッドの冷却を行なう。このため洗浄ヘッド21の冷却機構を追加する必要がなくなり、洗浄ヘッド21を小型化することが可能である。この場合、排出物によってヘッド内部が汚染されるため吸引パイプ内部にフィルターを挿入する必要がある。
【0090】
ここで、放電部の風速と洗浄能力の相関を図13に示す。大気圧プラズマ9の放電部に空気の流れがある場合、洗浄によって形成する清浄部10の幅が減少することがわかる。つまり、本実施形態のように遮蔽板28を用いることで、吸引口29からの吸引による空気の乱れが大気圧プラズマ9の放電部における雰囲気の乱れに影響するのを抑制することができる。このため雰囲気の乱れによる大気圧プラズマ9の乱れを防ぐことができ、安定した洗浄能力を維持することが可能である。
【0091】
以上のことから本実施形態において、第3の実施形態及び第4の実施形態に係る洗浄塗布装置の両方によって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0092】
さらに、遮蔽板と吸引口を併せ持つことで、吸引口による空気の乱れを遮蔽板によって大気圧プラズマ照射部へ伝えにくくすることができるため、洗浄効率を上げることができる。
【0093】
(第7の実施形態)
図14(a)に示す第7の実施形態に係る洗浄塗布装置は、被照射部であるガラス電極及びFPC4の配設されているパネル19に部分照射を行い清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22と、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28と、遮蔽板28の洗浄ヘッド21の進行方向後ろ側に吹き付けユニット30とを具備することを特徴とする。
【0094】
本実施形態では、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28と、遮蔽板28の洗浄ヘッド21進行方向後ろ側に吹き付けユニット30とを具備した点で第2の実施形態と異なる。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
また、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図14(b)に示すように、3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21、塗布ヘッド22、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28及び遮蔽板28の洗浄ヘッド21の進行方向後ろ側に吹き付けユニット30が設置されている。この移動体24は回転伸縮部25により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22と被照射体との高さ方向の距離も調節可能である。また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0096】
以上の構成における洗浄及び塗布動作は、第5の実施形態にて図11を用いて説明したものと同じであるため省略する。
【0097】
洗浄工程、塗布工程における基本的な作用及び効果は第2の実施形態、第3の実施形態及び第5の実施形態と同様である。
【0098】
図13で示したように、大気圧プラズマ9の放電部に空気の流れがある場合、洗浄によって形成する清浄部10の幅が減少することがわかる。つまり、本実施形態のように遮蔽板28を用いることで、吹出口31からの吹出による空気の乱れが大気圧プラズマ9の放電部における雰囲気の乱れに影響するのを抑制することができる。このため雰囲気の乱れによる大気圧プラズマ9の乱れを防ぐことができ、安定した洗浄能力を維持することが可能である。
【0099】
以上のことから本実施形態において、第3の実施形態及び第5の実施形態に係る洗浄塗布装置の両方によって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0100】
さらに、遮蔽板と吹き付けユニットを併せ持つことで、吹き付けユニットによる空気の乱れを遮蔽板によって大気圧プラズマ照射部へ伝えにくくすることができるため、洗浄効率を上げることができる。
【0101】
(第8の実施形態)
図15(a)に示す第8の実施形態に係る洗浄塗布装置は被照射部であるガラス電極及びFPC4の配設されているパネル19に部分照射を行い清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22と、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間に吹き付けユニット30と吹き付けユニット30の両側に吸引口29を具備することを特徴とする。
【0102】
本実施形態では、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間に吹き付けユニット30と吹き付けユニット30の両側に吸引口29を具備した点で第2の実施形態と異なる。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0103】
また、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図15(b)に示すように、3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22及び吸引口29及び吹き付けユニット30が設置されている。この移動体24は回転伸縮部25により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22と被照射体との高さ方向の距離も調節可能である。また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0104】
以上の構成における洗浄及び塗布動作において図16に示すフローチャートを参照して説明する。ロボット装置23にて洗浄ヘッド21をパネル19の接続部27に向けて移動させる(S1)、次いで塗布ヘッド22が、洗浄ヘッド21の進行しようとする方向後ろ側に位置するよう移動体24が回転伸縮部25によって回転させられる(S2)。このとき、パネル19と洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22との高さ方向の距離が調節される。次に洗浄ヘッド21が接続部27の一端である洗浄開始点に位置したか否かの判定を行い(S3)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、洗浄開始点に位置するまで移動を行う(S12)。位置していれば、吸引口29による吸引及び、吹き付けユニット30による吹き付けを開始し(S4c)、洗浄ヘッド21から大気圧プラズマ9を照射しつつ洗浄ヘッド21を接続部27に沿って相対移動させて洗浄を行う(S4)。次に、塗布ヘッド22が接続部27の一端である塗布開始点に位置したか否かの判定を行い(S5)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、塗布開始点に位置するまで洗浄及び吸引・吹き付けを行う(S13)。位置していれば、塗布ヘッド22によって接続部27に対する封止接着剤5の塗布を開始する(S6)。その後、洗浄ヘッド21が接続部27の一端である洗浄終了点に位置したか否かの判定を行い(S7)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、洗浄終了点に位置するまで洗浄、塗布及び吸引・吹き付けを行う(S14)。位置していれば洗浄ヘッド21から大気圧プラズマ9の照射を停止し、洗浄を停止する(S8)。さらに、塗布ヘッド22が接続部27の一端である塗布終了点に位置したか否かの判定を行い(S9)、位置していなければ、ロボット装置23の作動を継続して、塗布終了点に位置するまで塗布及び吸引・吹き付けを行う(S15)。位置していれば、塗布ヘッド22による封止接着剤5の塗布を停止する(S10)。このとき、吸引口29による吸引及び、吹き付けユニット30による吹き付けも終了する(S10c)。その後、全ての接続部27の処理が終了したか否かの判定を行い(S11)、終了している場合はそのまま終了し、パネル19が搬送手段26によって搬出される。
【0105】
洗浄工程、塗布工程における基本的な作用及び効果は第2の実施形態、第4の実施形態及び第5の実施形態と同様である。
【0106】
図13で示したように、大気圧プラズマ9の放電部に空気の流れがある場合、洗浄によって形成する清浄部10の幅が減少することがわかる。
【0107】
本実施形態において、吸引口29を吹き付けユニット30の両側に配することで吹き付けユニット30から吸引口29への気流を形成する。これによって、空気の乱れによってバラツキを生じる大気圧プラズマ9の放電部の風速を低減することができる。加えて洗浄によって生じた排出物の除去能力を強化することができる。
【0108】
さらに吸引口29より吸引した気体は排気パイプ32を経由して洗浄ヘッド21に導入することでヘッドの冷却を行なう。このため洗浄ヘッド21の冷却機構を追加する必要がなくなり、洗浄ヘッド21を小型化することが可能である。この場合、排出物によってヘッド内部が汚染されるため吸引パイプ内部にフィルターを挿入する必要がある。
【0109】
また、吸引口29と吹き付けユニット30を併設することで、気流の流れを作りより効果的にパネル19の冷却効果を得ることができる。
【0110】
以上のことから本実施形態において、第4の実施形態及び第5の実施形態に係る洗浄塗布装置の両方によって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0111】
加えて、吸引口と吹き付けユニットを併設することで、気流の流れを作り、より効果的に上記の冷却効果を得ることができる。
【0112】
(第9の実施形態)
図17(a)に示す第9の実施形態に係る洗浄塗布装置は被照射部であるガラス電極及びFPC4の配設されているパネル19に部分照射を行い清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22と、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28と、遮蔽板28の洗浄ヘッド21の進行方向後ろ側に吹き付けユニット30と、吹き付けユニット30の両側に吸引口29を具備することを特徴とする。
【0113】
本実施形態では、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28と、遮蔽板28の洗浄ヘッド21の進行方向後ろ側に吹き付けユニット30と、吹き付けユニット30の両側に吸引口29を具備した点で第2の実施形態と異なる。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0114】
また、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図17(b)に示すように、3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22及び洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に遮蔽板28及び、遮蔽板28の洗浄ヘッド21の進行方向後ろ側に吹き付けユニット30及び吹き付けユニット30の両側に吸引口29が設置されている。この移動体24は回転伸縮部25により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22と被照射体との高さ方向の距離も調節可能である。また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0115】
以上の構成における洗浄及び塗布動作は、第8の実施形態にて図16を用いて説明したものと同じであるため省略する。
【0116】
洗浄工程、塗布工程における基本的な作用及び効果は第2から第8の実施形態と同様である。
【0117】
図13で示したように、大気圧プラズマ9の放電部に空気の流れがある場合、洗浄によって形成する清浄部10の幅が減少することがわかる。つまり、遮蔽板28を用いることで、吹き付けユニット30及び吸引口29からの吹出、吸及び洗浄ヘッド21を移動させながら洗浄した場合におけるヘッドの移動による空気の乱れによる空気の乱れが大気圧プラズマ9の放電部における雰囲気の乱れに影響するのを抑制することができる。このため雰囲気の乱れによる大気圧プラズマ9の乱れを防ぐことができ、安定した洗浄能力を維持することが可能である。
【0118】
以上のことから本実施形態において、第2の実施形態から第8の実施形態に係る洗浄塗布装置の全てによって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0119】
さらに、吹き付けユニットや吸引口、洗浄ヘッドの移動による空気の乱れを遮蔽板によって大気圧プラズマ照射部へ伝えにくくすることができるため、洗浄効率を上げることができる。
【0120】
(第10の実施形態)
図18(a)に示す第10の実施形態に係る洗浄塗布装置は被照射部であるガラス電極及びFPC4の配設されているパネル19に部分照射を行い清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22と、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間で洗浄ヘッド21近傍に弾性体つき遮蔽板33を具備することを特徴とする。弾性体つき遮蔽板33には、図18(a)に示すように、その先端に弾性体33aが設けられている。
【0121】
本実施形態では、遮蔽板として弾性体つき遮蔽板33を具備した点で第3の実施形態と異なる。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0122】
また、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図18(b)に示すように3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22が設置されている。この移動体24は回転伸縮部25により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22と被照射体との高さ方向の距離も調節可能である。また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0123】
以上の構成における洗浄及び塗布動作は、第2の実施形態にて図3を用いて説明したものと同じであるため省略する。
【0124】
洗浄工程、塗布工程における基本的な作用は第3の実施形態と同様である。また、弾性体つき遮蔽板33の弾性体33aはシリコンゴムなどで構成されており、生産中に万が一弾性体つき遮蔽板33がパネル19と接触した場合でもパネル19の破壊を防止することができる。より好ましくは接触時における弾性体つき遮蔽板33とパネル19との摩擦を小さくするように弾性体つき遮蔽板33下部にポリテトラフルオロエチレン等でコーティング加工をすると良い。
【0125】
以上のことから本実施形態において、第3の実施形態に係る洗浄塗布装置によって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0126】
加えて、遮蔽板の有する弾性体が、遮蔽板とパネルが接触した場合でもその衝撃を和らげパネルを破壊しにくくすることができる。
【0127】
なお、本実施形態に係る弾性体つき遮蔽板33を他の第6、第7、又は第9の実施形態などに用いてもよい。これらの場合でも上記の効果を奏することができる。
【0128】
(第11の実施形態)
図19(a)に示す第11の実施形態に係る洗浄塗布装置は被照射部であるガラス電極及びFPC4の配設されているパネル19に部分照射し清浄化する洗浄ヘッド21と、洗浄ヘッド21とパネル19の相対位置関係において洗浄ヘッド21の進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッド22と、洗浄ヘッド21の進行方向の前側に高さ測定ヘッド34を具備することを特徴とする。
【0129】
本実施形態11では洗浄ヘッド21の進行方向の前側に高さ測定ヘッド34を具備した点で、前記第1〜10の実施形態における場合と異なっている。その他共通する構成に関しては同一の符号を付して説明を省略する。
【0130】
また、本実施形態に係る洗浄塗布装置は、図19(b)に示すように、3軸方向に移動及び位置決め可能な移動手段としてのロボット装置23を備えている。このロボット装置23には移動体24が取り付けられており、この移動体24に洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22が設置されている。この移動体24はロボット装置23により回転及び垂直方向に移動可能であるため、移動体24に設置された塗布ヘッド22は洗浄ヘッド21と被照射体であるパネル19の相対位置関係において移動体24に対応して進行方向後ろ側に配置することができる。同時に、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22とパネル19(被照射体)との高さ方向の距離も調節可能である。また、パネル19は搬送手段26によって洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22の可動範囲の下部位置に搬入、搬出される。
【0131】
以上の構成における洗浄及び塗布動作は、図3に示すフローチャートのうち、ロボット装置23にて洗浄ヘッド21をパネル19の接続部27に向けて移動させ、塗布ヘッド22が、洗浄ヘッド21の進行方向後ろ側に位置するよう移動体24がロボット装置23によって回転させられると共に、高さ測定ヘッド34の情報に基づきパネル19と洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22との高さ方向の距離が調節される(S2)点に特徴がある。
【0132】
洗浄工程、塗布工程における基本的な作用は第2の実施形態と同様である。ただし、洗浄塗布工程においてパネル19の反りや凹凸がある場合に洗浄能力が変化することがある。具体的にはパネル19と洗浄ヘッド21の距離が離れると洗浄能力が落ち、これらの距離が近づくと洗浄能力は強くなる。また塗布ヘッド22はパネル19との距離が遠くなるほど吐出した封止接着剤5にボイドを巻き込みやすくなる。そこで本実施形態では洗浄ヘッド21の進行方向前方に高さ測定ヘッド34を具備する。
【0133】
この高さ測定ヘッド34による洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22とパネル19との高さ調節に関して図20に示すフローチャートを用いて説明する。
【0134】
動作が開始されると(S21)、高さ測定ヘッド34はレーザー35によってパネル19の位置と当該位置における高さ情報を読み取る(S22)。読み取った情報に基づき、高さヘッド34と洗浄ヘッド21との距離や、洗浄ヘッドの移動速度等の所定のパラメーターから計算して求めた洗浄ヘッド21の位置する場所におけるパネル19からの高さが、予め定めておいた高さに位置するか否かの判定を行い(S23)、位置していなければ、洗浄ヘッド21の高さが所定の位置になるよう調節される(S23a)。同様に塗布ヘッド22についても、読み取った情報に基づき、高さヘッド34と塗布ヘッド22との距離や、塗布ヘッド22の移動速度等の所定のパラメーターから計算して求めたパネル19からの高さが所定の位置にあるか否か判定を行う(S24)。位置していなければ塗布ヘッド22の高さが所定の位置になるよう調節される(S24a)。これらの高さ測定ヘッド34による測定及び両ヘッドの調節は、塗布ヘッド22による塗布工程が終了するまで繰り返される(S25)。そして、塗布終了に伴って動作が終了する(S26)。
【0135】
以上から本実施形態において、第2の実施形態に係る洗浄塗布装置によって得られるものと同様の効果を得ることができる。
【0136】
加えて、パネル19に反りや凹凸があっても洗浄塗布工程を安定して行うことができ、幅広い種類のパネル19に対応することが可能となる。
【0137】
なお、高さ測定ヘッド34による測定は、洗浄とは独立して接続部27に対して一気に行ってもよく、高さの測定を随時行いながら、洗浄を行ってもよい。
【0138】
また、高さ測定ヘッド34からの情報に基づくヘッドの調整は、回転伸縮部25で行ってもよい。係る動作であれば、少ない構成で上述の作用を奏することができるため、設備の小型化も図ることが可能となる。若しくは、新たに洗浄ヘッド駆動部又は塗布ヘッド駆動部又はその両方を用いて、洗浄ヘッド21とパネル19との調節、塗布ヘッド22とパネル19の調節をそれぞれ独立して行っても良い。係る構成によれば、図20で示したフローチャートの高さ測定後(S22)、この測定情報によって、予め設定されたヘッドの移動速度や、ヘッド間の設置距離情報等に基づいて、洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22をより高精度に調整できるため、洗浄工程及び塗布工程において、より信頼性を向上させることができる。
【0139】
この場合、パネル19からの洗浄ヘッド21の高さ及び塗布ヘッド22の高さを2〜20mmに調節するのが望ましい。
【0140】
なお、実施形態1〜11にかけて洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22を移動させてパネル19に対し洗浄及び塗布を行ったが、これらの洗浄ヘッド21及び塗布ヘッド22を固定して、搬送手段26によってパネルを移動させ、前述のような洗浄塗布工程を行っても良い。
【0141】
また、本実施の形態において洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22が移動体24に設置されている間隔は不変であるが、洗浄ヘッド21と塗布ヘッド22の間に、両者の距離が可変となるような機構を設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0142】
以上のように本発明は、洗浄工程後、清浄部に汚染物質が再付着する前に塗布工程を行うことができ、封止接着剤の濡れ性・接着強度・信頼性の低下の課題を解決することができる洗浄塗布装置として有用である。
【符号の説明】
【0143】
3 ガラス電極
4 フレキシブル基板(FPC)
9 大気圧プラズマ
15 UV光
16 UV光ランプ
19 パネル
20 洗浄因子
21 洗浄ヘッド
22 塗布ヘッド
24 移動体
25 回転伸縮部
26 搬送手段
28 遮蔽板
29 吸引口
30 吹き付けユニット
31 吹出口
33 弾性体つき遮蔽板
34 高さ測定ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射部にスポット照射を行い清浄化する洗浄ヘッドと、前記洗浄ヘッドと被照射体の相対位置関係において前記洗浄ヘッドの進行方向の後ろ側に配された塗布ヘッドを具備する洗浄塗布装置。
【請求項2】
前記洗浄ヘッドに大気圧プラズマ洗浄ヘッドを用いたことを特徴とする請求項1に記載の洗浄塗布装置。
【請求項3】
前記洗浄ヘッドと前記塗布ヘッドの間に遮熱手段を設けたことを特徴とする請求項2に記載の洗浄塗布装置。
【請求項4】
前記遮熱手段として遮蔽板を具備したこと特徴とする請求項3に記載の洗浄塗布装置。
【請求項5】
前記遮熱手段として吸引口を具備したことを特徴とする請求項3に記載の洗浄塗布装置。
【請求項6】
前記遮熱手段としてガスを吹き付けるための吹出口を具備したことを特徴とする請求項3に記載の洗浄塗布装置。
【請求項7】
前記遮熱手段として遮蔽板と吸引口を具備したことを特徴とする請求項3に記載の洗浄塗布装置。
【請求項8】
前記遮熱手段として遮蔽板とガスを吹き付けるための吹出口を具備したことを特徴とする請求項3に記載の洗浄塗布装置。
【請求項9】
前記遮熱手段として吸引口とガスを吹き付けるための吹出口を具備したことを特徴とする請求項3に記載の洗浄塗布装置。
【請求項10】
前記遮熱手段として遮蔽板とガスを吹き付けるための吹出口と吸引口を具備したことを特徴とする請求項3に記載の洗浄塗布装置。
【請求項11】
前記遮熱板の下部に弾性体を有した請求項4または7、8、10のいずれか一つに記載の洗浄塗布装置。
【請求項12】
前記被照射体との距離を測定する高さセンサと前記高さセンサからの入力により前記洗浄ヘッド及び前記塗布ヘッドと被洗浄塗布面との距離を変化させる駆動部を具備する請求項1〜10のいずれか一つに記載の洗浄塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−138889(P2011−138889A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297383(P2009−297383)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】