説明

液晶表示装置及びその製造方法

【課題】液晶表示装置の滅点欠陥、輝点欠陥又は配線の断線等による表示欠陥を余分な工程を追加することなくリペアするとともに、リペアによって開口率の低下及び長期的信頼性が失われることのないようなリペア方法を提供する。
【解決手段】走査線又は信号線の上に、あらかじめこれらの配線と導通するリペア電極を形成しておき、欠陥を発見した場合には、これらのリペア電極から画素電極又は他のリペア電極に導電性の接続パターンを形成することにより、表示欠陥をリペアする。リペア電極はTFTの製造工程のなかで形成でき、接続パターンとともにブラックマトリックスの下に形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関し、特に、液晶表示装置の画素部及び配線のリペア技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の一つとしてアクティブマトリックス型の液晶表示装置が広く利用されており、テレビジョン受像機やパーソナルコンピュータ用モニタ、携帯端末などの表示装置として普及が進んでいる。そして、液晶表示装置の大画面化や高精細化、表示品質の向上に向けて、現在も活発な研究開発が続けられている。一方、液晶表示装置の製造歩留まりを向上させコストを低減させるために、液晶表示パネルの製造工程において点欠陥や線欠陥の発生を少なくする製造技術とともに、これらの欠陥をリペアする技術がその重要性を増してきている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−127549号公報
【特許文献2】特開2002−182246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクティブマトリクス型液晶表示装置においては、複数の走査線と複数の信号線とのそれぞれの交差部の近傍にスイッチング素子がマトリックス状に配置されるとともに、それぞれのスイッチング素子に接続された画素電極が形成されている。このような構成をもつ液晶表示装置においては、特に大画面の液晶表示装置の場合には、その製造工程において、画素の輝点欠陥、滅点欠陥、配線の断線欠陥等の表示欠陥が生じ得る。
【0005】
例えば、スイッチング素子として用いた薄膜トランジスタ(以下、TFTという)の形成不良によりソース領域又はソース電極がゲート絶縁膜を突き抜けて走査線と短絡することにより、画素電極の電位がソース電極を通じて常に走査線の電位と同じになってしまったり、画素電極が絶縁層を介して形成された容量線と短絡することにより画素電極と容量線の電位が同じになってしまったりするような欠陥が生じ、これらの欠陥が生じた画素は、表示装置として表示したときに、暗表示となってしまういわゆる滅点欠陥や明表示となってしまういわゆる輝点欠陥をもつ画素となる。そして、滅点欠陥の場合には周囲の画素が明表示のときに、輝点欠陥の場合には周囲の画素が暗表示のときに、このような欠陥が視認されやすいことになる。また、このような短絡に至らないまでもリークしている場合も、画素電極には正常な画像信号が供給されずその画素の表示の階調は画像信号とは無関係な異常なものとなる。また、信号線や走査線に断線が生じた場合には、いわゆる線欠陥として断線箇所以降に設けられた画素が線状に輝点、滅点、又は階調異常となりうる。なお、輝点欠陥となるか滅点欠陥となるかは、欠陥の態様や偏光板の透過軸の設定等によって異なる。
【0006】
そのため、これらの欠陥に対処すべく、各種のリペア方法が提案されている。例えば、輝点欠陥、滅点欠陥のような点欠陥に対しては、画素電極から延びたパッドを信号線と重畳するように設けておき、パッドに対してレーザーを照射して信号線と画素電極とを接続することにより、信号線からの画像信号が画素電極に供給されるようにして欠陥を目立たなくさせるという方法がある(特許文献1)。しかし、この方法は、画素電極から延びたパッドと信号線との間にある絶縁層をレーザーによって破壊しつつ、信号線は溶断されないように画素電極と信号線とを溶着させるものであるため、下層の信号線がダメージを受けやすく長期的信頼性の点で問題が残る。
【0007】
また、信号線から延びたパッドを画素電極と重畳するように設けておき同様な方法でリペアする方法も提案されているが、この方法は、同様に長期的信頼性に問題が残るだけでなく、信号線は一般に金属で形成され、従ってパッドも遮光性をもつことから、その画素部の欠陥の有無又はリペアの有無にかかわらず、パッドによって遮光される分だけ、すべての画素部において開口率が低下することになり、好ましくない。また、走査線等の断線のような線欠陥に対しては、検査工程において断線を発見した後に、配線の断線両端部上にコンタクトホールを開口し、レーザーCVD法によってこれらのコンタクトホールと断線部分とを覆うような導電膜を形成することにより断線をリペアする方法がある(特許文献2)。しかし、この方法は、断線の発見の後に、このようなコンタクトホールを形成するために基板を再びフォトリソグラフィー工程に戻すことになるため、PEP(Photo Engraving Process)回数や工程数が増加し生産性が著しく低下するだけでなく、このようなコンタクトホールの開口が新たな歩留まり低下の要因となり、問題が多い。
【0008】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、本発明は、表示欠陥のリペアをする場合に、信号線や走査線、絶縁層にダメージを与えることなく、また開口率を低下させないようなリペアを可能とする液晶表示装置を提供することを目的とする。また、本発明は、余分なフォトリソグラフィー工程を追加することなく、リペアが可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。また、本発明は、かかる液晶表示装置がリペアされたものであっても、表示品質及び信頼性の高い液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかる液晶表示装置は、信号線と走査線とが交差する近傍に形成され該走査線及び該信号線に接続された薄膜トランジスタと、該走査線又は該信号線に到達する開口を備え該走査線又は該信号線の上に形成された絶縁層と、該絶縁層の上に形成された透明導電層からなり該薄膜トランジスタに接続された画素電極と、該開口を覆うように該透明導電層から形成されたリペア電極と、該リペア電極に接続され表示欠陥をリペアする接続パターンとを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明は、かかる構成をとることにより、画素部の滅点欠陥、輝点欠陥又は走査線や信号線の配線の断線等の表示欠陥が発見された場合であっても、リペア電極がすでに走査線又は信号線の配線上に作りこまれているため、接続パターンの一端をリペア電極上に形成し、他端をリペアの対象となる画素部の画素電極又は信号線等の配線上に形成された他のリペア電極上に接続することにより、これらの表示欠陥のリペアをすることができる。
【0011】
そして、本発明によれば、リペア電極は、通常のTFT及び画素電極形成工程のなかで、画素電極と同一層、同一工程で透明導電層からパターニングされ、走査線又は信号線上の開口とともにあらかじめ形成しておくものであるため、これらの表示欠陥が画素電極の形成後に発見された場合であっても、従来のようにリペア用のコンタクトホールを形成するために表示欠陥のあるセル・アレイ基板を再びフォトリソグラフィー工程に戻す、というような余分な工程が不要となる。従って、フォトリソグラフィー工程数が増加することはなく生産性が向上する。また、従来のように、製造工程がほぼ終了した後のセル・アレイ基板に新たにコンタクトホールを開口するものではないため、コンタクトホールの開口に起因する歩留まり低下は生じ得ない。
【0012】
また、本発明は走査線又は信号線と導通するリペア電極を走査線又は信号線上にあらかじめ形成しておくものであり、従来例のように、リペアの際にITO(Indium Tin Oxide)等からなる画素電極の一部と信号線との間にある絶縁膜を破壊してレーザーによって画素電極と信号線とを溶着させるものではない。従って、レーザー光によって下層の信号線等の金属層にダメージを与えることはなく、長期的信頼性を向上することができる。
【0013】
さらに、本発明では、リペア電極は走査線又は信号線上に形成するものであるため、リペア電極は通常、ブラックマトリックスの下に形成される。従って、リペア電極を備えることによって開口率が低下するということはない。また、接続パターンによってリペアした場合であっても、接続パターンはリペア電極の近傍に形成されるにすぎないため、接続パターンもブラックマトリックスの下に形成できる。従って、接続パターンによる開口率の低下も生じない。仮に接続パターンをブラックマトリックスの外側にまで延ばして形成したとしても、本発明では、接続パターンは、従来例のようにすべての画素部において画素電極と重なり合うようにあらかじめ形成するものではなく、滅点欠陥又は輝点欠陥のような表示欠陥のある画素部にのみ形成されれば足りるものであるため、開口率の低下を最小限にとどめることができる。
【0014】
また、リペア電極は、走査線又は信号線上の絶縁層を開口した後に透明導電層によってこの開口を覆うものであるため、開口部において金属層である走査線や信号線が露出することはない。従って、この点においても液晶表示装置の長期的信頼性を向上することができる。本発明にかかる液晶表示装置は、前記リペア電極は、前記画素電極の近傍に設けられることを特徴とする。かかる構成をとることにより、滅点欠陥、輝点欠陥のある画素部を画素電極と信号線とを接続することによってリペアする場合には、接続パターンの長さを短くすることができるため、接続パターンの抵抗による画像信号の減衰等の悪影響を最小限にすることができる。また、滅点欠陥、輝点欠陥に加えて画素電極近傍の走査線や信号線に断線欠陥が生じた場合にも、画素電極近傍にあるリペア電極をこれらすべての欠陥のリペアに利用することができる。
【0015】
本発明にかかる液晶表示装置は、前記画素電極との間で蓄積容量を形成する容量線を備え、前記リペア電極が前記信号線の上であって該信号線と該容量線との交差部の両側に形成されてなることを特徴とする。かかる構成をとることにより、容量線と画素電極との間で短絡又はリークが生じている場合には、容量線と画素電極との短絡又はリーク部分を画素電極から切り離すとともに、短絡又はリークのない方の画素電極とリペア電極との間に接続パターンを形成することにより、短絡又はリークのない画素電極に信号線からの画像信号を供給することができる。そして、リペア電極は信号線と容量線との交差部の両側に形成されているため、容量線の両側に切り離された短絡又はリークのない画素電極をそれぞれ最も近くに位置するリペア電極に接続することができる。従って、このような欠陥のある画素電極をリペアすることにより、正常な表示に寄与しない画素電極面積を最小限に抑えることができ、また、最短の接続パターンでリペアすることができる。また、信号線の上であって信号線と容量線との交差部の両側に形成したリペア電極間において信号線が断線した場合には、これらリペア電極間を接続パターンによって接続することにより、かかる断線もリペアできる。
【0016】
本発明にかかる液晶表示装置は、前記接続パターンが、前記信号線上に形成されたリペア電極と表示欠陥を有する画素部の画素電極とに接続されていることを特徴とする。かかる構成をとることにより、信号線から供給される画像信号が接続パターンを介して表示欠陥を有する画素電極に供給されることになるため、滅点欠陥や輝点欠陥がリペアされ、擬似的に正常な画像が視認されるようになる。従って、液晶表示装置として十分に使用することができる。
【0017】
本発明にかかる液晶表示装置は、前記薄膜トランジスタは前記走査線の上に形成されてなり、前記リペア電極は該薄膜トランジスタと前記信号線との間の該走査線の上に設けられていることを特徴とする。また、本発明にかかる液晶表示装置は、前記薄膜トランジスタは前記走査線の上に形成されてなり、前記リペア電極は該薄膜トランジスタと前記信号線に隣接する隣接信号線との間の該走査線の上に設けられていることを特徴とする。かかる構成をとることにより、走査線が断線した場合に、断線箇所を挟むリペア電極同士を最短の接続パターンで接続することができる。
【0018】
本発明にかかる液晶表示装置は、前記接続パターンが、前記信号線又は前記走査線の断線箇所の両側にある前記リペア電極同士を接続していることを特徴とする。かかる構成をとることにより、走査線が断線している液晶表装置であっても、断線箇所の両側の走査線を接続パターンによって電気的に接続するようにリペアされるため、断線箇所以降のTFTのゲート電極には走査線から供給される走査信号が供給される。従って、線欠陥がリペアされ、正常な画像が視認されるようになり、液晶表示装置の製造歩留まりが向上する。信号線についても同様である。
【0019】
本発明にかかる液晶表示装置は、前記接続パターンが、ブラックマトリックスの下に形成されていることを特徴とする。かかる構成をとることにより、リペア電極はもちろん接続パターンもブラックマトリックス形成領域の外へはみ出ることがないため、接続パターンによる開口率の低下が生じない。従って、リペアされた液晶表示装置であっても表示品質の高い明るい画像表示をすることができる。本発明にかかる液晶表示装置は、前記透明導電層はITOを含む導電材料からなり、前記接続パターンはW又はMoを含む金属からなることを特徴とする。かかる構成をとることにより、リペア電極は画素電極と同一材料、同一工程で形成することができ、特別な工程を必要としない。また、接続パターンの材質をW又はMoを含む金属とすることによりレーザーCVD法を用いることができる。また、Moを用いる場合には接続パターンとリペア電極のITOとの間で電蝕が生ずることなく、良好な電気的接続をとることができる。
【0020】
本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は、第1金属層からなり薄膜トランジスタに接続されるゲート電極及び走査線を基板上に形成する第1工程と、該ゲート電極の上に第1絶縁層を介して該薄膜トランジスタの半導体層を形成する第2工程と、該半導体層の上に第2金属層からなるソース電極及びドレイン電極を形成するとともに、該第1絶縁層の上に該ドレイン電極と接続する信号線を形成する第3工程と、該第2金属層の上に第2絶縁層を形成する第4工程と、該走査線の上に形成された該第1絶縁層及び第2絶縁層を貫通し該走査線に到達する開口又は該信号線の上に形成された該第2絶縁層を貫通し該信号線に到達する開口を形成する第5工程と、該第2絶縁層の上に該ソース電極に接続され透明導電層からなる画素電極を形成するとともに、該開口を覆う該透明導電層からなるリペア電極を形成する第6工程とを含むことを特徴とする。かかる構成をとることにより、ボトムゲート型の薄膜トランジスタを備える液晶表示装置において、薄膜トランジスタ及び画素電極の製造する通常の工程内において、第1金属層からなる走査線の上に、又は、第2金属層からなる信号線の上に、リペア電極を形成することができる。
【0021】
そして、本発明によれば、前述のとおり、表示欠陥が画素電極の形成後に発見された場合であっても、セル・アレイ基板を再びフォトリソグラフィー工程に戻す、というような余分な工程が不要となる。従って、フォトリソグラフィー工程数が増加することはなく生産性が向上する。また、従来のように、製造工程がほぼ終了した後のセル・アレイ基板に新たにコンタクトホールを開口するものではないため、コンタクトホールの開口に起因する歩留まり低下は生じ得ない。また、本発明は走査線又は信号線と導通するリペア電極をあらかじめ走査線又は信号線上に形成しておくものであるため、従来のように、下層の信号線等の金属層にダメージを与えることはなく、長期的信頼性を向上することができる。
【0022】
さらに、本発明では、リペア電極を備えることによって開口率が低下するということはない。また、リペア電極は、走査線又は信号線上の絶縁層を開口した後に透明導電層によって覆われるため、開口部において金属層である走査線や信号線が露出することはない。従って、この点においても液晶表示装置の長期的信頼性を向上することができる。
【0023】
本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は、第1金属層からなり薄膜トランジスタに接続されるソース電極、ドレイン電極及び該ドレイン電極に接続された信号線を基板上に形成する第1工程と、該ソース電極及びドレイン電極の上に該薄膜トランジスタの半導体層を形成する第2工程と、該第1金属層及び該半導体層の上に形成された第1絶縁層を介して第2金属層からなる走査線とゲート電極とを形成する第3工程と、該第2金属層の上に第2絶縁層を形成する第4工程と、該信号線の上に形成された該第1絶縁層及び第2絶縁層を貫通し該信号線に到達する開口又は該走査線の上に形成された該第2絶縁層を貫通し該走査線に到達する開口を形成する第5工程と、該第2絶縁層の上に該ソース電極に接続され透明導電層からなる画素電極を形成するとともに、該開口を覆う該透明導電層からなるリペア電極を形成する第6工程とを含むことを特徴とする。かかる構成をとることにより、トップゲート型の薄膜トランジスタを備える液晶表示装置においても、薄膜トランジスタ及び画素電極の製造する通常の工程内において、上述のようなリペア電極を形成することができる。従って、上記と同様の効果を奏することができる。
【0024】
本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は、前記画素電極及び前記リペア電極の形成の後に、該画素電極を前記薄膜トランジスタ又は前記走査線から切り離すとともに、該画素電極と信号線上に形成されている前記リペア電極とを接続する接続パターンを形成する工程を含むことを特徴とする。かかる構成をとるため、画素電極が走査線と短絡又はリークが生じているような場合に、例えば、ソース電極の切断により走査線と短絡又はリークしている画素電極が薄膜トランジスタ又は走査線から切り離され解放されるとともに、画素電極には信号線から供給される画像信号が供給されることになるため、滅点欠陥や輝点欠陥がリペアされ、擬似的に正常な画像が視認されるようになる。従って、液晶表示装置として十分に使用することができる。
【0025】
本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は、前記画素電極との間で蓄積容量を構成する容量線を形成する工程と、該画素電極及び前記リペア電極の形成の後に、該画素電極を該画素電極と該容量線とが重なり合う部分と該画素電極と該容量線とが重なり合わない部分とに切り離し、該重なり合わない画素電極と該リペア電極とを接続する接続パターンを形成する工程とを含むことを特徴とする。かかる構成をとることにより、容量線と画素電極との重なり合う部分で両者が短絡又はリークしているような場合には、容量線と画素電極とが短絡又はリークしている重なり合う部分を画素電極から切り離すとともに、容量線に重なり合わない方の切り離された画素電極とリペア電極とを接続する接続パターンを形成することにより、容量線と重なり合わない方の切り離された画素電極に信号線からの画像信号を供給することができる。従って、擬似的に正常な画像が視認されるようになり、液晶表示装置として十分に使用することができる。
【0026】
本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は、前記画素電極を前記薄膜トランジスタ又は前記走査線から切り離す工程を含むことを特徴とする。かかる構成をとることにより、画素電極が容量線と短絡しているだけでなく走査線とも短絡又はリークが生じているような場合に、例えば、ソース電極の切断により走査線と短絡又はリークしている画素電極が薄膜トランジスタ又は走査線から切り離され解放されるとともに、画素電極には信号線から接続パターンを介して画像信号が供給されることになるため、滅点欠陥や輝点欠陥がリペアされ、擬似的に正常な画像が視認されるようになる。従って、液晶表示装置として十分に使用することができる。
【0027】
本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は、前記リペア電極の形成の後に、信号線又は走査線上の断線箇所の両側にあるリペア電極同士を接続する接続パターンを形成する工程を含むことを特徴とする。かかる構成をとることにより、走査線又は信号線が断線している液晶表装置であっても、断線箇所を接続パターンによってリペアすることができるため、断線箇所以降のTFTのゲート電極、ドレイン電極には走査線又は信号線から供給される走査信号、画像信号が供給されることになるため、線欠陥がリペアされ、正常な画像が視認されるようになる。従って、液晶表示装置の製造歩留まりが向上する。
【0028】
本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は、前記走査線上のリペア電極同士を接続する前記接続パターンを、前記ソース電極と重なり合わないように形成することを特徴とする。かかる構成をとることにより、接続パターンは走査線即ちゲート電極と同電位であるが、ソース電極と重なり合わないため、ゲート・ソース間寄生容量Cgsの増加を防ぐことができる。従って、かかるリペアがなされた液晶表示装置であっても、突抜電圧を低下させ輝度むらを抑えることができるため、表示品質の高い液晶表示装置を製造することができる。
【0029】
本発明にかかる液晶表示装置の製造方法は、前記接続パターンは、レーザーCVD法又はインクジェット法によって形成されることを特徴とする。かかる構成をとることにより、接続パターンの形成にあたってはいずれもそのためのマスクを必要とせず、接続パターンを直接描画することができるため、接続パターンの形成工程においてもフォトリソグラフィー工程を経る必要がなく、生産性の向上に寄与する。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、以上説明したとおり、表示欠陥のリペアをする場合に、信号線や走査線、絶縁層にダメージを与えることなく、また開口率を低下させないようなリペアを可能とする液晶表示装置を提供することができる。また、本発明は、余分なフォトリソグラフィー工程を要することなく、リペアが可能な液晶表示装置を提供することができる。また、本発明は、かかる液晶表示装置がリペアされたものであっても、表示品質及び信頼性の高い液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
[全体構成]
本発明にかかるアクティブマトリックス型の液晶表示装置は、セル・アレイ基板と対向基板との間に液晶を挟持した液晶パネルを含んで構成される。図1は、本発明にかかるアクティブマトリックス型の液晶表示装置の液晶パネル部の模式的な構成図である。図1(a)は、セル・アレイ基板101の模式的な平面図であり、図1(b)は、画素部10及びその周辺の各部材の機能を説明するための等価回路図である。なお、本明細書において説明に用いる各図面では、便宜上、縮尺又は縦横比等を適宜変更している。
【0033】
セル・アレイ基板101には、X(行)方向に延在し走査線外部端子74と画素部10内のスイッチング素子であるTFTのゲート電極とに接続された複数本の走査線72が形成されている。走査線72を介して、TFTを選択的にスイッチングするための信号である走査信号がTFTに供給される。なお、複数本の走査線72に対応する複数の走査線外部端子74がセル・アレイ基板101の端部近くにY方向に沿って設けられている。走査線外部端子74は、図示しないACF(異方性導電体)等を介して走査線ドライバーIC等の走査線駆動装置70の図示しない所定の端子に接続される。
【0034】
また、セル・アレイ基板101には、Y(列)方向に延在し信号線外部端子84と画素部10内のTFTのドレイン電極とに接続された複数本の信号線82が形成されている。信号線82を介して、走査信号によって選択されたTFTに画像信号が供給される。なお、複数本の信号線82に対応する複数の信号線外部端子84がセル・アレイ基板101の端部近くにX方向に沿って設けられている。信号線外部端子84は、図示しないACF等を介して信号線ドライバーIC等の信号線駆動装置80の図示しない所定の端子に接続される。なお、上記走査線駆動装置70や信号線駆動装置80は、セル・アレイ基板101上に配設されていてもよい。また、図1(a)では蓄積容量Csの共通線である容量線28(後述)の図示を省略している。
【0035】
そして、セル・アレイ基板101の表示領域107内には、走査線72と信号線82の各交差に対応して、走査線72と信号線82とによって区画された領域に画素部10がマトリクス状に配列されている。参照番号10aは、走査線72a、信号線82aにかかる一つの画素部(以下、注目画素部ともいう)であり、隣接画素部10b、10c、10d等がこれと隣接している。隣接画素部10cにかかる走査線である隣接走査線72cは、走査線72aが延びる方向に沿って形成されている。隣接画素部10bにかかる信号線である隣接信号線82bは、信号線82aが延びる方向に沿って形成されている。
【0036】
[画素部]
次に、図1(b)、図2及び図3(a)を参照しながら、スイッチング素子としてボトムゲート型TFTを用いた画素部及びその周辺部の構成を説明する。図2は、本実施の形態にかかる画素部10及びその周辺を含む概略の平面図であり、図3(a)は、図2のA−A’線における矢視方向の概略の断面構成図である。なお、図2においては、わかりやすく描くためにゲート絶縁膜13及びパッシベーション層19を取り除いて記載しており、また、見る層を適宜変更している。後述する図4、図6ないし図9も同様である。
【0037】
画素部10は、TFT20及び画素電極32を含んで構成される。TFT20は、走査線72と信号線82との交差部の近傍に設けられる。また、TFT20は、基板11上に走査線72と一体に形成され走査線72上の一部の領域であるゲート電極12と、ゲート電極12の上に第1絶縁層であるゲート絶縁膜13を介して形成された半導体からなる半導体層14aと、半導体層14aの上に形成されたソース電極25、ドレイン電極26とを含んで構成される。走査線72のうちのTFTの半導体層14aと平面視で重なり合う領域がおおむね、TFT20のゲート電極12として機能し、これにより、ゲート電極12は走査線72と導通していることになる。
【0038】
また、略U字形状をしたドレイン電極26は、信号線82から枝状に分岐して半導体層14aの一部であるドレイン領域16と導通している。本実施の形態においては、ドレイン電極26は、信号線82と走査線72とが平面視で重なり合わないような位置から枝状に分岐している。ソース電極25は、半導体層14aの一部であるソース領域15と導通するとともに、第2絶縁層であるパッシベーション層19を貫通するコンタクトホール23を介して透明導電層30から形成された透明な画素電極32と導通している。ソース電極25の配線の幅は走査線72や信号線82の幅よりも細く形成されている。ソース電極25は、半導体層14aの上から、第1絶縁層であるゲート絶縁膜13を介して走査線72の端部の上を通過し、さらにゲート絶縁膜13上をコンタクトホール23にまで延びて形成されている。
【0039】
また、図2に示すように、本実施の形態においては、Y方向に延びる信号線82上の一部であって一つの画素部を区画している領域においては、リペア電極24が一つの画素部につき2箇所に、即ち24a1、24a2として形成されている。また、X方向に延びる走査線72上の一部であって一つの画素部を区画している領域においては、リペア電極24が一つの画素部につき2箇所に、即ち24a3、24a4として形成されている。なお、参照番号23aはリペア電極24のコンタクトホールである。リペア電極24の詳細については後述する。
【0040】
また、容量線28(蓄積容量共通線、蓄積容量のコモン線ともいう)は、蓄積容量Cs27の一方の電極に給電をするために各画素部の蓄積容量Csに対して共通に接続された配線であり、所定の電圧の蓄積容量コモン信号が供給される。本実施の形態においては、容量線28は画素電極32の中央付近を走査線の延びる方向に沿って並ぶ複数の画素部10内を通過するように形成されており、走査線72と容量線28は所定の間隔をもって交互に信号線の延びる方向に沿って配設されている。また、容量線28は、蓄積容量Cs27の一方の電極としても機能し、画素電極32と容量線28とが平面視で重なり合う領域が蓄積容量Cs27を構成している。従って、蓄積容量Cs27の他方の電極は画素電極32とTFT20のソース電極とに導通している。蓄積容量Cs27は、TFT20がオン状態の期間(選択期間)にこれを介して画素電極32に信号線82から出力された画像信号の電圧が印加された後、TFT20がオフ状態の期間(非選択期間)にこの印加電圧を必要な時間だけほぼ一定に維持するために設けられた容量である。
【0041】
コモン電極(対向電極)34は、画素電極32と対向するように形成され、各画素に共通な透明電極である。コモン電極34は、一般に、TN(Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型の液晶表示装置では図示しない対向基板に形成される。コモン電極34には共通電極線(コモン電極線)35を介して所定の電圧のコモン信号が印加される。画素電極32と対向電極34との間には、図示しない配向膜等を介して電気光学材料である液晶99が挟まれた構成をなしている。なお、図3(a)の参照番号17はTFT20のチャネル領域であり、図1(b)における参照番号38、39は、それぞれゲート・ソース間寄生容量Cgs、ゲート・ドレイン間寄生容量Cgdである。
【0042】
このような画素部10を備える液晶表示装置100の動作は、例えば次のとおりである。走査線駆動装置70は、液晶表示装置100に入力される図示しない画像信号の同期信号その他の情報に基づいて、信号線82からの画像信号を書き込むべき画素部10を行単位で選択する走査信号を出力する。信号線駆動装置80は、同じく画像信号の輝度情報等に基づいて、走査信号に同期して動作し、走査期間に選択された画素部10に画像信号を供給する。そして、選択された画素部10内にあるTFT20を介して、信号線駆動装置からの画像信号に応じた電圧が画素電極32に印加される。これによって、画素電極32とコモン電極34とからなる一対の電極の間に電界が生じ、この電界によって液晶99の分子の向き(液晶分子の配向)が制御される。そして、この配向変化を利用することにより液晶を透過する光を変調することで画像等の表示作用が行われる。このようにして液晶表示装置が構成される。
【0043】
次に、画素部及びその周辺について、図3(a)を参照しながらより詳細に説明する。セル・アレイ基板101の基板11としては、絶縁性及び透光性を備える基板であるガラス基板、石英基板等のほか、プラスチック系の基板を使用することができる。走査線72及びゲート電極12、容量線28等は、第1金属層をパターニングすることにより形成される。第1金属層は、例えば、AlNd、Al、Moの単層膜、あるいはAlNd、Al、Mo、Cuを組み合わせて形成された積層膜でもよい。第1金属層がAlを含み、しかもITO等の透明導電層や酸化物半導体と接続するような場合には、第1金属層を積層構造とし、例えば、下層をAlNdのようなAlを含む金属層とし、ITO等と接続する上層にはMoを含む金属とすることが望ましい。このような材質や構造をとることにより、後述するITOからなるリペア電極24と良好な電気的接続をとることができる。第1金属層の厚さは100nmから500nmが望ましく、より望ましくは200nmである。
【0044】
第1絶縁層であるゲート絶縁膜13は、その材質として、酸化シリコン系や窒化シリコン系のSiNx、SiOx 又はSiOxNyの単層膜、あるいはこれらを組み合わせた積層膜を使用することができる。これにより、絶縁性と透光性のある層を形成することができる。ゲート絶縁膜13は、第1金属層から形成されたゲート電極12を含む走査線72、容量線28を覆うように設けられている。ゲート絶縁膜13の膜厚は、100nmから500nmが望ましく、より望ましくは250nmから300nmである。半導体層は、一般にアモルファスSiが用いられるが、特にこれに限定されるものではなく、In、Ga又はZnのいずれかを含むような酸化物半導体でもよい。また、半導体層はアモルファスでも結晶性をもつものでもよい。半導体層の厚さは、特に限定されないが、50nmから300nmが望ましい。
【0045】
ソース電極25、ドレイン電極26、信号線82は、第2金属層からパターニングされる。第2金属層の材料又は構造は特に限定されず、AlやMoの単層膜でもよいが、ITO等の透明導電層とAlとの間の電蝕を避けるために、例えば、ITOと接する上層はMoとし下層はAlとするというような、AlとMoを組み合わせて形成された積層膜(積層配線)が望ましい。半導体層の材料として酸化物半導体を用いる場合には、特に、Mo−Al−Moのような三層の積層構造をもつものがより望ましい。このように最上層及び最下層がMoを含む金属で構成される第2金属層を用いることにより、第2金属層の下層が酸化物半導体に接続し上層がITO等の透明導電層に接続するような場合でも、Alと酸化物半導体層との間、及びAlとITO等の透明導電層との間で生じやすい電蝕を防止し、良好で信頼性の高い電気的接続をすることができる。第2金属層の厚さは100nmから500nmであり、より望ましくは200nmである。
【0046】
第2絶縁層であるパッシベーション層19は、絶縁性と透光性とを備える窒化シリコン等を用いて形成される。パッシベーション層19は、第2金属層から形成されたソース電極15、ドレイン電極16を含むTFT20及び信号線82を覆うように形成されている。画素電極32は、パッシベーション層19の上に形成された透明導電層30をパターニングすることにより形成される。その材料としては、特に限定されないが、例えば、ITOが用いられる。また、透明導電層30をパターニングすることにより、画素電極32とともにリペア電極24が形成される。リペア電極24の透明導電層と画素電極32の透明導電層とは互いに離間した位置に形成される。
【0047】
[リペア電極]
次に、リペア電極について説明する。図3(b)、(c)はリペア電極24の構成図である。同図(b)は信号線82に形成されているリペア電極の一実施の形態であり、図2におけるB−B’線における矢視断面図である。また、図3(c)は走査線72に形成されているリペア電極の一実施の形態であり、図2におけるC−C’線における矢視断面図である。図3(b)に示す信号線上のリペア電極24は、第2絶縁層であるパッシベーション層19を貫通し第2金属層からなる信号線82に到達する開口であるコンタクトホール23aを覆うように形成されたITOからなる導電層である。このリペア電極24は、ITOからなる透明導電層30から画素電極32をパターニングする工程において同時にパターニングされたものであり、画素電極32と同一層、同一工程で形成される。リペア電極24はコンタクトホール23aの底部において信号線82と導通している。
【0048】
また、同図(c)に示す走査線上のリペア電極24は、パッシベーション層19及び第1絶縁層であるゲート絶縁膜13を貫通し第1金属層からなる走査線72に到達する開口であるコンタクトホール23aを覆うように形成されたITOからなる導電層である。この走査線上に形成されたリペア電極24も、上記と同様、ITOからなる透明導電層30から画素電極32をパターニングする工程において同時にパターニングされたものであり、画素電極32と同一層、同一工程で形成される。リペア電極24はコンタクトホール23aの底部において走査線72と導通している。このように、リペア電極24は、TFT20、走査線、信号線、容量線、画素電極等を備えるセル・アレイ基板101の製造工程において、これらTFT等の形成とともに形成される。
【0049】
本実施の形態においては、図2に示すように、リペア電極24は、一つの画素部10につき4箇所に設けられている。即ち、注目画素部10aであれば、容量線28を挟んで、画素電極32のTFT20から遠隔する端部近くの信号線82a上にはリペア電極24a2が、画素電極32のTFT20に近接した端部近くの信号線82a上にはリペア電極24a1が、それぞれ設けられている。また、走査線72aの上には、TFT20を挟んで、信号線82aとTFT20との間にリペア電極24a4が、隣接画素部10bにかかる隣接信号線82bとTFT20との間にはリペア電極24a3が、それぞれ設けられている。
【0050】
信号線上のリペア電極24の形成位置や個数は任意であり、上記のように一つの画素部につき2箇所に限られない。例えば、容量線28の形成位置が画素部10aの中央付近ではなく隣にある走査線のいずれか一方の近くに形成されている場合には、信号線上のリペア電極24は、本発明の効果を奏する限り、信号線上であって画素電極32の中央に近接した位置に1個所設けるだけでもよい。また、走査線上のリペア電極24の位置や個数も、上記のように、一つの画素部につき2箇所とは限られない。なお、リペア電極24とリペア電極24との間の距離を短くした場合には後述する接続パターン21の抵抗を小さくすることができる。また、両リペア電極間の距離を長くした場合には、リペア電極24の個数が少ないときでも広い範囲にわたって断線等をリペアすることができる。また、リペア電極間距離は、すべて均等にしてもよいし、一部又は全部が不均等にしてもよい。
【0051】
また、リペア電極24の形成位置は、上記のように表示領域107の内部の画素部10に限られず、走査線72、信号線82上の他の位置、例えば、表示領域107の外側である周辺部に形成された走査線や信号線の上に形成してもよい。さらに、走査線、信号線以外の他の配線、例えば、同期信号、制御信号等を転送する転送配線(図示せず)、容量線28の上にも設けることができる。リペア電極24の構造は、これらの配線が第1金属層から形成されたものであれば図3(c)と同様であり、第2金属層から形成されたものであれば同図(b)と同様である。また、リペア電極24は、容量線28と信号線82とが交差する領域に設けてもよく、この場合のリペア電極24の構造は図3(b)と同様である。
【0052】
[リペア方法]
次に、リペアの方法を図4及び図5(a)を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態にかかる液晶表示装置の構成図である。また、図5(a)は、信号線上に形成されたリペア電極24の概略の断面図であり、図4のD−D’線における矢視方向の断面図である。また、参照番号21は、本実施の形態にかかるリペア工程において形成された導電性の接続パターンである。
【0053】
一例として、画素電極32が何らかの原因により走査線72と短絡しているような欠陥を有するTN型ノーマルホワイトモード液晶表示装置におけるリペア方法を説明する。2枚の偏光板をその透過軸の方向が互いに直交するように配置し、これら2枚の偏光板の間にねじれ角が90度のTN型液晶を挟んだ液晶表示装置では、液晶に電界がかからないときはバックライトからの光を透過して白の表示(明表示)となり、液晶に黒表示に対応する電界がかかるときはバックライトからの光が吸収されて黒の表示(暗表示)となるいわゆるノーマルホワイトモードの液晶表示がなされる。
【0054】
そして、このようなTN型ノーマルホワイトモード液晶表示装置において何らかの原因により走査線72と短絡しているような欠陥が生じた場合には、画素電極32には画像信号に基づく正常な電圧が供給されず、画素電極32の電位は常に走査線の72の電位とほぼ同じになる。走査線72に供給される走査信号の電圧レベルは、一般にコモン電極34に印加されるコモン信号の電圧レベルとは異なり、また両者の電位差も比較的大きいため、このような短絡欠陥を有する画素電極32とコモン電極34との間には、走査信号の電位とコモン電極の電位の差に応じた電界が印加された状態となる。そのため、このような液晶表示装置に画像を表示した場合、このような短絡欠陥を有する画素部は暗表示となり、周辺の画素部が明表示をしているときは、いわゆる滅点欠陥として視認される。
【0055】
次に、このようなTN型ノーマルホワイトモード液晶の滅点欠陥を例にとって本実施の形態にかかるリペア方法を説明する。まず、セル・アレイ基板101の形成後、検査工程において、滅点欠陥の有無及び欠陥位置等の情報を取得する。具体的な欠陥の検査方法は後述する。次に、画素電極32と走査線72との短絡に起因するような滅点欠陥が存在する場合には、TFT20又は走査線72と画素電極32との接続を切り離す。具体的には、例えば図4に示すようなパターンレイアウトである場合には、ソース電極25の切断箇所98にレーザー光を照射してソース電極を切断する。これにより画素電極32は電気的に解放状態となる。なお、切断箇所98は、少なくとも画素電極32を短絡箇所から切り離すことができる場所であれば、本発明の趣旨を逸脱しない限り、特に限定されない。
【0056】
次に、レーザーCVD法等により、W(タングステン)又はMo等からなる金属を、リペア電極24a1から画素電極32の端部まで成長させて接続パターン21を形成する。リペア電極24a1はその底部において信号線82aと電気的に接続されているため、接続パターン21を介して信号線82aと画素電極32との電気的な接続がなされる。その結果、画素電極32には信号線82aに供給される画像信号が供給されることになり、画素電極32の電位は信号線82aの電位と常に同じになる。そのため、このような液晶表示装置に画像を表示した場合、リペアされた画素電極32に係る画素部10aでは、走査線82aから供給される画像信号のおおむね平均電圧に応じた階調をもつ表示が視認されることになり、滅点欠陥としては視認されず、疑似的にあたかも欠陥のない正常な表示をする画素部として視認される。
【0057】
なお、接続パターン21の材質として、Mo等からなる金属を用いた場合には、リペア電極24、画素電極32はいずれもITOからなるため、これらと接続パターン21とは良好で信頼性の高い電気的接続をすることができる。なお、接続パターン21の幅は、特に限定されないが、数μm、例えば5μm程度でよい。また、接続パターン21は画素電極32の端部において重なり合うように接続パターンを成長させることが望ましい。その重なりの幅や長さは、特に限定されないが、3μm程度でよい。画素電極32との重なり合いの長さがこの程度であれば、図示しないブラックマトリクス(以下、BMという)の下に、即ちBMと重なり合う領域の内側に接続パターン21を形成させることができるため、接続パターン21によって遮光部分が増加することはない。従って、接続パターン21の形成によって開口率が低下するような不具合は生じない。
【0058】
なお、BMは、金属又は黒色の樹脂から形成された遮光層であり、例えば、カラーフィルター等とともに対向基板に形成される。ブラックマトリックスは、少なくとも表示領域107内の走査線72、信号線82、これらと画素電極32との間の領域、及び画素電極32 の周縁部を覆うように格子状に形成される。なお、走査線72上にTFT20が形成されていない場合にはTFT20をも覆うように形成される。以上説明したとおり、本発明は、かかる構成をとることにより、画素部の滅点欠陥の表示欠陥をリペアすることができる。即ち、このような表示欠陥が発見された場合には、リペア電極24がすでに信号線82の配線上に作りこまれているため、接続パターン21の一端をリペア電極上に接続し、他端をリペアの対象となる画素部の画素電極に接続することにより、このような表示欠陥をリペアすることができる。
【0059】
そして、リペア電極24は、通常のTFT及び画素電極形成工程のなかで、画素電極と同一層、同一工程で透明導電層からパターニングされ、走査線又は信号線上の開口とともにあらかじめ形成しておくものであるため、これらの表示欠陥が画素電極の形成後に発見された場合であっても、従来のようにリペア用のコンタクトホールを形成するために表示欠陥のあるセル・アレイ基板を再びフォトリソグラフィー工程に戻す、というような余分な工程が不要となる。従って、フォトリソグラフィー工程数が増加することはなく生産性が向上する。また、従来のように、製造工程がほぼ終了した後のセル・アレイ基板に新たにコンタクトホールを開口するものではないため、コンタクトホールの開口に起因する歩留まり低下は生じ得ない。
【0060】
また、本発明は、走査線又は信号線と導通するリペア電極を走査線又は信号線上にあらかじめ形成しておくものであり、従来例のように、リペアの際にITO等からなる画素電極の一部と信号線との間にある絶縁膜を破壊してレーザーによって画素電極と信号線とを溶着させるものではない。従って、レーザー光によって下層の信号線等の金属層にダメージを与えることはなく、長期的信頼性を向上することができる。さらに、本発明では、リペア電極24は走査線又は信号線上に形成するものであるため、リペア電極は通常、ブラックマトリックスの下に形成されることになる。従って、リペア電極を備えることによって開口率が低下するということはない。また、接続パターン21によってリペアした場合であっても、接続パターンはリペア電極の近傍に形成されるにすぎないため、接続パターンもブラックマトリックスの下に形成できる。
【0061】
従って、接続パターンによる開口率の低下も生じない。仮に接続パターンをブラックマトリックスの外側にまで延ばして形成したとしても、本発明では、接続パターンは、従来例のようにすべての画素において画素電極と重なり合うようにあらかじめ形成するものではなく、滅点欠陥又は輝点欠陥のような表示欠陥のある画素部にのみ形成されれば足りるものであるため、開口率の低下を最小限にとどめることができる。また、リペア電極24は、走査線又は信号線上の絶縁層を開口した後に透明導電層によって覆われるため、開口部において金属層である走査線や信号線が露出することはない。従って、この点においても液晶表示装置の長期的信頼性を向上することができる。
【0062】
[製造方法]
次に、図3、図4及び図5(a)を参照して、本実施の形態にかかる液晶表示装置の製造方法を工程順に説明する。まず、セル・アレイ基板101となる基板11の上に、第1金属層を形成した後に、これをパターニングし、ゲート電極12を含む走査線72、容量線28等のパターンを形成する(第1ステップ(第1PEP))。第1金属層の形成方法は、特に限定されないが、スパッタリング方式を使用してもよい。なお、第1金属層及び基板11の材質や構造は前述のとおりである。
【0063】
次に、ゲート絶縁膜13をCVD法等により基板全面に形成する(第2ステップ)。これにより、第1金属層で形成されたパターンはゲート絶縁膜13により覆われる。次に、半導体層14を形成する。半導体層の形成方法は、特に限定されないが、アモルファスSiの場合にはプラズマCVD法を、In、Ga及びZnを含む酸化物半導体(以下、IGZOという)のような酸化物半導体の場合にはスパッタリング方式を用いることができる。半導体層の成膜後、これをパターニングすることにより、TFT20の半導体層となる半導体層14aを形成する(第3ステップ(第2PEP))。
【0064】
次に、第2金属層を形成して、これをパターニングすることにより、ソース電極25、ドレイン電極26、信号線82等を形成する(第4ステップ(第3PEP))。第2金属層の形成方法は、特に限定されないが、スパッタリング方式を使用してもよい。第2金属層の材質や構造は前述のとおりである。次に、窒化シリコン等を用いてCVD法によりパッシベーション層19を基板全面に形成する。これにより第2金属層等はパッシベーション層19によって覆われることになる。そして、これをエッチングによりパターニングを行い、その一部を除去することにより画素電極32とソース電極25とを接続するためのコンタクトホール23、及びリペア電極24のための開口であるコンタクトホール23a等を形成する(第5ステップ(第4PEP))。リペア電極24のためのコンタクトホール23aはこのPEPで形成されるため、リペアのために本PEPの後の工程において再度フォトリソグラフィー工程に戻す必要がなく、生産性が向上する。
【0065】
次に、透明導電層30をスパッタリング法等により形成する。透明導電層30を形成した後、これをパターニングすることにより、画素電極32、リペア電極24等を形成する(第6ステップ(第5PEP))。リペア電極24は上記コンタクトホール23aを覆うように形成される。また、リペア電極24は、このPEPにおいて画素電極32を形成する透明導電層30から同一の層、同一のPEPで形成されるため、リペアのために本PEPの後の工程において再度成膜工程に戻す必要がなく、生産性が向上する。
【0066】
このようにして、ボトムゲート型のTFT20と画素電極32とを含む画素部10、容量線28、走査線72、信号線82等の各種配線、及びリペア電極24を基板11上に備えるセル・アレイ基板101が形成される。次に、このようにして形成されたセル・アレイ基板101の欠陥検査を行う(第7ステップ)。セル・アレイ基板は、この段階においては画素電極32までが形成された状態にあり、未だ対向基板とシールされておらず液晶も封止されていないが、いくつかの方法により欠陥のある画素部をその位置も含めて検出することができる。例えば、EBテスター(Electron Beam Tester)法では、容量線28に所定の電圧を印加するとともに、走査線駆動装置70、信号線駆動装置80(図1参照)を用いてセル・アレイ基板101の画素電極32に電圧を印加し蓄積容量Csに電荷を保持させた後、各画素電極32に電子ビームを照射する。そして電子ビームによって各画素電極32から放出される二次電子の量を検出する。二次電子の量は画素電極に保持されている電荷の量によって異なるため、これにより正常画素と短絡や断線等によって電荷を保持できない欠陥画素との区別をすることができる。
【0067】
そして、欠陥が発見された場合には、リペア工程を実行する(第8ステップ)。滅点欠陥のリペア工程においては、上述のとおり、例えばソース電極25を切断することによりTFT20又は走査線72と画素電極32との電気的な接続を断つとともに、レーザーCVD法等により、リペア電極24a1と画素電極32との間に導電材料からなる接続パターン21形成する。これによって画素電極32はTFT20、走査線72から電気的に解放されるとともに、信号線82aと画素電極32とが電気的に接続される。後述する輝点欠陥や断線等の表示欠陥もこの工程においてリペアすることができる。
【0068】
次に、このようにリペアされたセル・アレイ基板101とカラーフィルター等を設けた対向基板とに配向処理等を行い、その後、両基板をシール材で貼り合わせる。シール材は、例えば光硬化型のアクリル樹脂のような、紫外線硬化型のシール材を用いる。このようにしてシールされた液晶基板の間に液晶を注入し、駆動回路や偏光板、バックライト等の光学部材などを取り付けることにより液晶表示装置100が完成する(第9ステップ)。本実施の形態にかかる液晶表示装置の製造方法はこのような構成をとるため、欠陥がリペアされた液晶表示装置を提供することができ、かかる製造方法によって製造された液晶表示装置はすでに説明したとおりの効果を奏する。
【0069】
リペア工程において接続パターン21を形成する方法は、特に限定されないが、レーザーCVD装置を利用することができる。レーザー光源は、炭酸ガスレーザーのようなレーザーでもよいが、例えば、Ndイオンをドープしたリチウム・イットリウム・フロライド(LiYF)を用いたYLFレーザーの第3高調波(波長349nm)を使用することができる。レーザー光の波長は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、特に限定されるものではない。なお、ソースガスは、Wの接続パターンを形成する場合にはWC(CO)のようなW化合物を用いることができるが、Mo、Cr等を成分とする他のガスでもよい。キャリアガスは、Arを用いたが、窒素等を用いることもできる。レーザー光の平均出力を50mW以上に設定すれば、例えば配線幅が約3ないし10μm、膜厚が約250ないし350nmのWからなる接続パターン21を形成することができる。
【0070】
接続パターン21の形成方法は、このようなレーザーCVD法に限られるものではなく、例えば、接続パターン21の材質として粒子径が数nm程度のAu、Ag等の微細粒子を有機溶剤中に分散したペーストを用い、これをインクジェット法等により接続パターンをパターニングした後、加熱し乾燥することにより接続パターン21を形成してもよい。レーザーCVD法やインクジェット法方法は、いずれもマスクを必要とせず、パターンを直接描画することができるため、接続パターンの形成においてもフォトリソグラフィー工程を経る必要がなく、生産性の向上に寄与する。
【0071】
[応用例1]
次に、輝点欠陥のリペア方法を、前述と同様にTN型ノーマルホワイトモードの液晶表示装置を例にとって説明する。なお、本応用例では、前述した滅点欠陥のリペア方法にかかる実施の形態と異なる部分を中心に説明するとともに、上記実施の形態で説明した構成要素と同一又は相当するものについては同一符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
図6は、本実施の形態に係る液晶表示装置の構成図である。本応用例では、画素電極32が容量線28と短絡しているような場合に生じる輝点欠陥のリペアについて説明する。容量線28は、例えば、コモン電極34と同電位で駆動されている。そして、1走査期間のうちのほとんどを占める非選択期間においては、TFT20はオフ状態となるため、画素電極32が容量線28と短絡している場合には、画素電極32と容量線28とは同電位となる。従って、このような場合には画素電極32の電位とコモン電極34の電位も同じとなり、両電極間は無電界の状態となる。従って、TN型ノーマルホワイトモードの液晶表示装置の場合には、このような欠陥をもつ画素はバックライトからの光を透過して白の表示となる。そのため、このような液晶表示装置に画像を表示した場合、このような短絡欠陥を有する画素部の周辺の画素部が暗表示をしているときは、その短絡欠陥を有する画素部は明表示となり、いわゆる輝点欠陥として視認される。なお、TFT20の選択期間においては、TFT20はオン状態となるため信号線82a、画素電極32及び容量線28の3者が短絡することになり、信号線82aの電位も変動を受ける。
【0073】
このような輝点欠陥が存在する場合には、まず、TFT20又は走査線72と画素電極32との接続を切り離す。具体的には、例えば、ソース電極25の切断箇所98にレーザー光を照射してソース電極25を切断する。これにより、画素電極32はTFT20のオン、オフにかかわらずTFT20又は走査線72と非導通となり、電気的に解放される。さらに、画素電極32と容量線28の両者が平面視で重なり合う領域で短絡が生じている場合には、切断箇所98g、98hにレーザー光を照射することにより容量線28と画素電極32との短絡箇所から画素電極を切り離し、3つの画素電極32f、32g、32hに分離させる。これにより、画素電極32fは容量線28と重なり合う画素電極となり、画素電極32g、32hは、画素電極32のうちの容量線28と重なり合わない分離された画素電極となる。これにより、分離された画素電極32g、32hは、容量線28と非導通となり、容量線28から電気的に解放される。
【0074】
なお、切断箇所98g、98hは、図6においては容量線28の両側の2個所に設けているがこれに限られず、少なくとも容量線28と画素電極32との短絡箇所を切り離すことができる場所であれば、本発明の趣旨を逸脱しない限り、1個所でもよいし、また切断箇所の場所も特に限定されない。次に、レーザーCVD法等により、W、Mo等からなる金属を、リペア電極24a1及び24a2から画素電極32の端部にまで成長させて接続パターン21、21aを形成する。リペア電極24はその底部において信号線82aと電気的に接続されているため、接続パターン21、21aを介して信号線82aと画素電極32g、32hとの電気的な接続がなされる。その結果、画素電極32g、32hには、信号線82aに供給される画像信号が供給されることになり、画素電極32g、32hの電位は信号線82aの電位と同じになり、そのため、このような液晶表示装置に画像を表示した場合、リペアされた画素電極32に係る画素部10aでは、走査線82aから供給される画像信号のおおむね平均電圧に応じた階調をもつ表示が視認されることになり、輝点欠陥としては視認されず、疑似的にあたかも欠陥のない正常な表示をする画素部として視認される。なお、TFT20が正常に動作している場合には、切断箇所98においてソース電極を切断することなく、切断箇所98g、98hで画素電極32を切断した上で、画素電極32hだけを接続パターン21aによってリペア電極24a2と接続するだけでもよい。
【0075】
リペア電極の信号線上における位置、個数は、特に限定されない。例えば同図のように、容量線28が画素電極32の中央付近を走査線72が延びる方向に沿って形成されている場合には、信号線82a上の一つの画素部につき2個のリペア電極24a2、24a1を容量線28と信号線82aとの交差部の両側に設けることが望ましい。このようにすることにより、切断箇所98g、98hにおいて2箇所で画素電極32を切断しても、信号線82aから接続パターン21、21aを介して容量線28の両側の画素電極32g、32hの両方に画像信号を供給することができる。従って、この画素部10aの実質的な画素部分の縮小を最小限とすることができる。
【0076】
また、信号線82上のリペア電極24を一つの画素部につき1個しか形成しない場合には、リペア電極24を容量線28と信号線82との交差部上又はその近傍に設けておき、上述のように容量線28の両側で画素電極を切断し、切断された画素電極32g、32hの両方に接続する接続パターンを一つのリペア電極24から成長させることにより、信号線82aと画素電極32g、32hの両方を導通させてもよい。また、容量線28が走査線72a、72cのいずれか一方に近接して形成されているような場合には、リペア電極24a2、24a1のうち容量線28と遠隔する位置にあるリペア電極だけを使用してもよい。
【0077】
なお、これまでノーマルホワイトモードの例で説明をしてきたが、2枚の偏光板の透過軸を平行に設けたノーマルブラックモードの液晶表示装置においても本発明を適用することができる。ノーマルブラックモードの液晶表示装置では、液晶に電界がかからないときはバックライトからの光が吸収されて黒の表示(暗表示)となり、液晶に白表示に対応する電界がかかるときはバックライトからの光が透過して白の表示(明表示)となる。従って、輝点欠陥、滅点欠陥の欠陥メカニズムもノーマルホワイトモードの液晶表示装置と逆になるが、本実施の形態で説明したリペア方法はノーマルブラックモードの液晶表示装置にも適用することができる。
【0078】
[応用例2]
次に、信号線82が断線している場合のリペア方法を説明する。なお、本応用例では、前述した実施の形態と異なる部分を中心に説明するとともに、上記実施の形態で説明した構成要素と同一又は相当するものについては同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
図7は、本実施の形態に係る液晶表示装置の構成図である。信号線82aが、例えば、断線箇所49において断線している場合には、前述のように線欠陥が生ずる。この場合には、断線箇所49に最も近接した2個のリペア電極同士を、レーザーCVD法等により成長させた接続パターン21によって電気的に接続する。これにより、断線欠陥はリペアされる。即ち、W、Mo等からなる金属を、断線箇所49に近接する一方のリペア電極24a1から、断線箇所49に近接し断線箇所49を挟んで一方のリペア電極24a1と対向する他方のリペア電極24a2まで断線箇所49を跨いで成長させることにより、接続パターン21を形成する。2箇所のリペア電極24a1、24a2は、それぞれその底部において信号線82a1、82a2と電気的に接続されているため、接続パターン21を介して断線していた信号線の接続がリペアされる。
【0080】
リペア電極の位置、個数は、特に限定されないが、このような断線欠陥に対しても、すでに説明したとおり、1画素部につき複数の箇所に設けることが望ましい。このようにすることにより、リペア電極24同士の間隔が短くなり、接続パターン21の抵抗による影響を少なくすることができる。なお、図示していないが、一つのリペア電極から複数の接続パターンをそれぞれ異なった方向に向けて形成してもよい。例えば、信号線の断線と画素電極の滅点欠陥が同時に一つの画素部で生じた場合には、断線をリペアするための信号線方向に延びる接続パターンと滅点をリペアするための画素電極に延びる接続パターンの両方を、ある一つのリペア電極24と接続するように形成することもできる。
【0081】
[応用例3]
次に、走査線72が断線している場合のリペア方法を図8及び図5(b)を参照しながら説明する。なお、本応用例では、前述した実施の形態と異なる部分を中心に説明するとともに、上記実施の形態で説明した構成要素と同一又は相当するものについては同一符号を付し、その説明を省略する。図8は、本実施の形態に係る液晶表示装置の構成図である。また、図5(b)は、走査線上に形成されたリペア電極24の概略の断面図であり、図8のE−E’線における矢視方向の断面図である。
【0082】
例えば、図8のように、リペア電極24a3と隣接信号線82bとの間の断線箇所49において走査線72が断線し、走査線72a1と走査線72a2とに分離されてしまっている場合には、前述のように線欠陥が生ずる。なお、リペア電極24a3は、注目画素部10aにかかるTFT20と隣接信号線82bとの間の走査線72a1上に設けられたリペア電極である。また、リペア電極24b4は、隣接画素部10bにかかるTFT20(図示せず)及び隣接信号線82bとの間の走査線72a2上に設けられたリペア電極である。
【0083】
この場合には、断線箇所49を挟みかつ断線箇所49に最も近接した走査線上の2個のリペア電極同士を、レーザーCVD法等により電気的に接続することにより、断線欠陥をリペアすることができる。即ち、W、Mo等からなる金属を、断線箇所49に近接する一方のリペア電極24a3から、断線箇所49に近接し、断線箇所49を挟んで一方のリペア電極24a3と対向する他方のリペア電極24b4まで断線箇所49を跨いで成長させることにより、接続パターン21を形成する。2箇所のリペア電極24a3、24b4は、いずれもその底部においてそれぞれ走査線72a1、72a2と電気的に接続されているため、接続パターン21を介して断線していた走査線の断線がリペアされる。なお、接続パターン21は隣接信号線82bと交差することになるが、隣接信号線82bと接続パターン21との間はパッシベーション層19が形成されているため、隣接信号線82bと短絡することはなく、また、隣接信号線82bによる段差もパッシベーション層19によって緩和されているため、段差における接続パターン21自体の断線は少ない。
【0084】
リペア電極の位置、個数は、特に限定されないが、このような断線欠陥に対しても、すでに説明したとおり、一つの画素部につき複数の箇所に設けることが望ましい。このようにすることにより、リペア電極24の間隔が短くなり、接続パターン21の抵抗による影響を少なくすることができる。従って、本応用例においてはリペア電極24がTFT20と隣接信号線82bとの間では1個所しか設けられていないが、複数個所設けてもよい。
【0085】
[応用例4]
次に、走査線72が断線している場合の他のリペア方法を説明する。なお、本応用例では、前述した実施の形態と異なる部分を中心に説明するとともに、上記実施の形態で説明した構成要素と同一又は相当するものについては同一符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
図9は、本実施の形態に係る液晶表示装置の構成図である。走査線72が、例えば、TFT20とリペア電極24a3との間の断線箇所49において断線している場合には、走査線72は走査線72a1と走査線72aとに分離され、前述のように線欠陥が生ずる。
【0087】
この場合には、断線箇所49を挟みかつ断線箇所49に最も近接した走査線上の2個のリペア電極24a3、24a4を、TFT20のソース電極25と平面視で重なり合わないような経路で、レーザーCVD法等により電気的に接続することにより、断線欠陥をリペアすることができる。即ち、W、Mo等からなる金属を、断線箇所49に近接する一方のリペア電極24a3から、断線箇所49に近接し、断線箇所49を挟んで一方のリペア電極24a3と対向する他方のリペア電極24a4まで成長させることにより、接続パターン21を形成する。この2箇所のリペア電極24a3、24a4は、いずれもその底部においてそれぞれ走査線72a2、72a1と電気的に接続されているため、接続パターン21を介して断線していた走査線をリペアすることができる。
【0088】
そして、同図のように接続パターン21がTFT20のソース電極25と平面視で重なり合わないような経路で、TFT20を迂回して形成することが望ましい。走査線72a1、72a2と接続パターン21とがリペア電極の底部において導通するため、このように接続パターン21を迂回させるように形成することにより、ソース電極25と接続パターン21との平面的な重なりによるゲート・ソース間容量Cgs38の増加を避けることができ、突き抜け電圧等による輝度むらの発生を防止することができる。従って、リペアされた液晶表示装置であってもその表示品質を維持できる。
【0089】
以上のとおり、本発明は、画素部の滅点欠陥だけでなく、輝点欠陥又は走査線や信号線の配線の断線等の表示欠陥をリペアすることができる。即ち、このような表示欠陥が発見された場合には、リペア電極24がすでに走査線72又は信号線82の配線上に作りこまれているため、接続パターン21の一端をリペア電極上に形成し、他端をリペアの対象となる画素部の画素電極又は信号線等の配線上に形成された他のリペア電極上に接続することにより、これらの表示欠陥のリペアをすることができる。また、前述した効果と同様の効果を奏する。
【0090】
[応用例5]
本発明は、トップゲート型のTFTを用いた液晶表示装置(不図示)にも適用することができる。トップゲート型TFTを用いた場合には、その製造工程は、例えば、次のようになる。まず、第1金属層からなり薄膜トランジスタに接続されるソース電極、ドレイン電極及びドレイン電極に接続された信号線を基板上に形成する(第1工程)。次に、ソース電極及びドレイン電極の上に薄膜トランジスタの半導体層を形成する(第2工程)。次に、第1金属層及び半導体層の上に形成された第1絶縁層を介して第2金属層から走査線とゲート電極とを形成する(第3工程)。次に、第2金属層の上に第2絶縁層を形成する(第4工程)。次に、信号線の上に形成された第1絶縁層及び第2絶縁層を貫通し信号線に到達する開口又は走査線の上に形成された第2絶縁層を貫通し走査線に到達する開口を形成する(5工程)。次に、第2絶縁層の上にソース電極に接続され透明導電層からなる画素電極を形成するとともに、開口を覆う透明導電層からなるリペア電極を形成する(第6工程)。そして、このリペア電極に表示欠陥をリペアする接続パターンを接続することができる。
【0091】
このような製造方法をとることによって、トップゲート型のTFT及び画素電極が形成されるとともに、すでに説明したのと同様に、信号線、走査線上にリペア電極が形成されたセル・アレイ基板を製造することができる。従って、トップゲート型のTFTを用いた液晶表示装置においても、輝点欠陥、滅点欠陥、断線欠陥等の表示欠陥が生じている場合には前述と同様な方法でリペアをすることができ、同様な効果を奏する。
【0092】
なお、本発明は、本実施の形態において説明した欠陥検査方法に限定されるものでない。また、TN型の液晶表示装置について説明してきたが、本発明はTN型以外のVA型、IPS(In-Plane Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型の動作モードをもつ液晶表示装置に対しても適用できる。また、図面に示した特定の実施の形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができることはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】一実施の形態である液晶表示装置の模式的な構成図である。
【図2】本発明の実施の形態である画素部の概略の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態である画素部及びリペア電極の概略の断面構成図である。
【図4】本発明の実施の形態である画素部の概略の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態であるリペア状態を示す概略の断面構成図である。
【図6】本発明の実施の形態である画素部の概略の構成図である。
【図7】本発明の実施の形態である画素部の概略の構成図である。
【図8】本発明の実施の形態である画素部の概略の構成図である。
【図9】本発明の実施の形態である画素部の概略の構成図である。
【符号の説明】
【0094】
10…画素部
11…基板
12…ゲート電極
13…ゲート絶縁膜(第1絶縁層)
14…半導体層
14a…TFTの半導体層
15…ソース領域
16…ドレイン領域
19…パッシベーション層(第2絶縁層)
20…TFT(薄膜トランジスタ)
21…接続パターン
23…コンタクトホール
23a…コンタクトホール
24、24a1、24a2、24a3、24a4…リペア電極
25…ソース電極
26…ドレイン電極
27…蓄積容量Cs
28…容量線
30…透明導電層
32、32f、32g、32h…画素電極
34…コモン電極(対向電極)
35…コモン電極線
49…断線箇所
72、72a、72c…走査線
82、82a、82b…信号線
98、98g、98h…切断箇所
100…液晶表示装置
101…セル・アレイ基板
103…対向基板
107…表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号線と走査線とが交差する近傍に形成され該走査線及び該信号線に接続された薄膜トランジスタと、
該走査線又は該信号線に到達する開口を備え該走査線又は該信号線の上に形成された絶縁層と、
該絶縁層の上に形成された透明導電層からなり該薄膜トランジスタに接続された画素電極と、
該開口を覆うように該透明導電層から形成されたリペア電極と、
該リペア電極に接続され表示欠陥をリペアする接続パターンと
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記リペア電極は、前記画素電極の近傍に設けられることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記画素電極との間で蓄積容量を形成する容量線を備え、
前記リペア電極が前記信号線の上であって該信号線と該容量線との交差部の両側に形成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記接続パターンが、前記信号線上に形成されたリペア電極と表示欠陥を有する画素部の画素電極とに接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記薄膜トランジスタは前記走査線の上に形成されてなり、
前記リペア電極は該薄膜トランジスタと前記信号線との間の該走査線の上に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記薄膜トランジスタは前記走査線の上に形成されてなり、前記リペア電極は該薄膜トランジスタと前記信号線に隣接する隣接信号線との間の該走査線の上に設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記接続パターンが、前記信号線又は前記走査線の断線箇所の両側にある前記リペア電極同士を接続していることを特徴とする請求項1ないし請求項3、請求項5又は請求項6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記接続パターンが、ブラックマトリックスの下に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7記載のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記透明導電層はITOを含む導電材料からなり、前記接続パターンはW又はMoを含む金属からなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項10】
第1金属層からなり薄膜トランジスタに接続されるゲート電極及び走査線を基板上に形成する第1工程と、
該ゲート電極の上に第1絶縁層を介して該薄膜トランジスタの半導体層を形成する第2工程と、
該半導体層の上に第2金属層からなるソース電極及びドレイン電極を形成するとともに、該第1絶縁層の上に該ドレイン電極と接続する信号線を形成する第3工程と、
該第2金属層の上に第2絶縁層を形成する第4工程と、
該走査線の上に形成された該第1絶縁層及び第2絶縁層を貫通し該走査線に到達する開口又は該信号線の上に形成された該第2絶縁層を貫通し該信号線に到達する開口を形成する第5工程と、
該第2絶縁層の上に該ソース電極に接続され透明導電層からなる画素電極を形成するとともに、該開口を覆う該透明導電層からなるリペア電極を形成する第6工程と
を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項11】
第1金属層からなり薄膜トランジスタに接続されるソース電極、ドレイン電極及び該ドレイン電極に接続された信号線を基板上に形成する第1工程と、
該ソース電極及びドレイン電極の上に該薄膜トランジスタの半導体層を形成する第2工程と、
該第1金属層及び該半導体層の上に形成された第1絶縁層を介して第2金属層からなる走査線とゲート電極とを形成する第3工程と、
該第2金属層の上に第2絶縁層を形成する第4工程と、
該信号線の上に形成された該第1絶縁層及び第2絶縁層を貫通し該信号線に到達する開口又は該走査線の上に形成された該第2絶縁層を貫通し該走査線に到達する開口を形成する第5工程と、
該第2絶縁層の上に該ソース電極に接続され透明導電層からなる画素電極を形成するとともに、該開口を覆う該透明導電層からなるリペア電極を形成する第6工程と
を含むことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記画素電極及び前記リペア電極の形成の後に、該画素電極を前記薄膜トランジスタ又は前記走査線から切り離すとともに、該画素電極と信号線上に形成されている前記リペア電極とを接続する接続パターンを形成する工程を含むことを特徴とする請求項10又は請求項11記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記画素電極との間で蓄積容量を構成する容量線を形成する工程と、該画素電極及び前記リペア電極の形成の後に、該画素電極を該画素電極と該容量線とが重なり合う部分と該画素電極と該容量線とが重なり合わない部分とに切り離し、該重なり合わない画素電極と該リペア電極とを接続する接続パターンを形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項10又は請求項11記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記画素電極を前記薄膜トランジスタ又は前記走査線から切り離す工程を含むことを特徴とする請求項13記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記リペア電極の形成の後に、信号線又は走査線上の断線箇所の両側にあるリペア電極同士を接続する接続パターンを形成する工程を含むことを特徴とする請求項10又は請求項11記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記走査線上のリペア電極同士を接続する前記接続パターンを、前記ソース電極と重なり合わないように形成することを特徴とする請求項15記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記接続パターンは、レーザーCVD法又はインクジェット法によって形成されることを特徴とする請求項12ないし請求項16のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−145875(P2010−145875A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324808(P2008−324808)
【出願日】平成20年12月20日(2008.12.20)
【出願人】(508375398)ビデオコン グローバル リミテッド (24)
【氏名又は名称原語表記】Videocon Global Limited
【住所又は居所原語表記】International Trust Building, P.O. Box 659, Road Town, Tartola, British Virgin Island
【Fターム(参考)】