炭化ケイ素上に耐久性接触を有するデバイスおよびその製造方法
ショットキーバリア炭化ケイ素デバイスは、レニウムショットキー金属接触を有している。レニウム接触(27)は250Åよりも厚く、2000Åから4000Åまでの間であり得る。ターミネーション構造は、ショットキー接触の周囲の環状領域をイオンミリングすることによって与えられる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの作製方法に関し、特には半導体デバイスにおいて利用される化合物半導体層に対するショットキー接触を与える方法に関する。
【0002】
ダイオード(接合およびショットキー)および基本的なトランジスタデバイスの製造および動作が周知である。新技術は、例えば高温,高電流および高放射のような極端な動作条件に耐えることができるパワートランジスタおよび高速に対する必要性を生み出している。炭化ケイ素のデバイスは、これらの必要性を満たすための可能性を有するが、商業的成功にはまだ至っていない。電子デバイスにおいて炭化ケイ素を使用するための1つの障害は、当該デバイスに対して信頼性があり且つ耐久性のある電気接点を与えることの困難さである。
【0003】
金属および半導体が密接に接触している場合にはいつでも、両者の間にはポテンシャル障壁が存在し、当該ポテンシャル障壁は、ほとんどの電荷キャリア(電子または正孔)が金属および半導体の間を通過することを妨げる。少量のキャリアのみが障壁を乗り越えて他方の材料へと横断するのに十分なエネルギーを有する。バイアスが接合に印加されると、障壁を半導体側から低く現させるかまたはより高く現させるかの2つの効果のうちの1つを有し得る。バイアスは、金属側からの障壁高さを変えない。この結果はショットキーバリア(整流接触)であり、ここで接合は1つのバイアス極性に対して伝導するが、他の極性に対しては伝導しない。ほとんど全ての金属−半導体接合は、この整流作用の幾つかを示す。
【0004】
シリコンにおけるショットキーバリアダイオード(SBD)は、約70V〜100V(逆バイアス下における過剰なリークによって制限される)に対してのみ実用的である。炭化ケイ素を使用することによって、1200Vまでのかなり高い電圧でのSBDの使用が可能になる。ダイオードは、多くのパワースイッチングアプリケーションにおいて高電圧整流器として使用される。電流が電気モーターのような誘導負荷に切り替えられるときにはいつでも、高電圧過渡電流が配線に生じる。これらの過渡電流を抑えるために、ダイオードが各スイッチングトランジスタにわたって配置され、電圧偏位をクランプすることとなる。PN接合ダイオードはこのアプリケーションに対して使用され得るが、順バイアスがかけられたときに、当該PN接合ダイオードは少数キャリアを蓄積し、これらのキャリアの抽出は、スイッチングの間に過渡的な大きな逆電流を与える。ショットキーバリアダイオードは、金属−半導体接合を整流しており、それらの順電流は、半導体から金属中に注入される多数キャリアからなる。従って、順バイアスがかけられたときにSBDは少数キャリアを蓄積せず、逆電流の過渡電流はごく僅かである。このことは、SBDはPNダイオードよりも速くオフにされることができ、スイッチングの間にごく僅かな電力を分散する、ということを意味している。SiCショットキーバリアダイオードは、特に魅力的である。その理由は、SiCの破壊電界はシリコンの破壊電界よりも約8倍高く、Siと比較してかなり高い電圧動作が可能になるからである。SiCショットキーバリアダイオードは、シリコンPNダイオードの代わりに使用されることができ、より速いスイッチング速度およびより大きな効率を可能にする。さらに、ワイドバンドギャップのために、SiCのSBDは、シリコンデバイスよりもかなり高温での動作ができるはずである。
【0005】
しかし、従来のSiCショットキーバリアダイオードは問題を有している。従来の多くのSiCショットキーダイオードは、ショットキー接触に対する金属としてニッケル(Ni)を使用している。ニッケルは、通常、裏面においてアニールされてオーミック接触を与え、表面においてアニールされずに残ってショットキー接触を与えることとなる。ニッケルはSiCと反応性があり、低温でさえも当該反応は、ニッケルショットキー接触がオーミックになるまで進行する。高電流密度で、Ni−SiCダイオードは熱くなり、時間とともにショットキー接触をアニールするようになる。温度変動,時間およびNi−SiCダイオードによって運ばれる電流を考えると、それらは劣化して抵抗器になるということが実質的に避けられない。このことは、電流を伝導するかまたは阻止するためにNi−SiCショットキーダイオードに依存している電子デバイスまたは系に対して壊滅的な結果を有し得る。
【0006】
三元状態図が、レニウム,シリコンおよび炭素からなる系に対して計算された。この三元状態図は、温度および圧力が一定であると仮定して計算され、レニウム,シリコンおよび炭素の三元化合物は無視している。この三元状態図を計算するためにギブスの相律(Gibbs Phase rule)が使用される。ギブスの相律は、一定の温度および圧力で3つの相のみが同時に許容されるということを必要とする。このことは、引例1(William F. SengおよびPeter A. Barnes, Mater. Sci. Eng. B, 76巻(2000)、226−231)および引例2(William F. SengおよびPeter A. Barnes, Mater. Sci. Eng. B, 72巻(2000)、13−18)において論議されている。実際には、このことは、お互いに熱力学的に安定であり且つ反応しない化合物および成分を結合する連系線(tie lines)は、状態図において交差することは許されないということを意味している。その理由は、そのポイントで4つの相が存在することが許容されるからである(このことは、ギブスの相律によって禁じられている)。これらの連系線は、系の構成化合物および構成要素(この場合には、レニウム,シリコン,炭素およびレニウムケイ化物)についての全ての可能な反応のギブス自由エネルギーを考慮することによって計算される。ギブス自由エネルギーに基づくと、いかなる任意の反応物のペアに対して何の反応も進行しない場合には、当該ペアは連系線によって接続される。この手順は、反応物の全ての可能なペアが考慮されるまで繰り返される。結果として得られる3元状態図が図6に示されている。計算のための熱力学データは引例3(Irsan Barin,純物質の熱力学データ パートIおよびパートII,VCH(1989))からとられている。
【0007】
図6における3元状態図は、レニウム(Re)は、300Kから1100Kの温度範囲にわたってSiCに対して熱力学的に安定であるということは明確である。このことは、レニウム膜はこの温度範囲にわたってSiCと反応しないのでレニウムケイ化物を形成しないということを意味している。300Kから1100Kの温度範囲において安定であるレニウムカーバイドはない。炭化ケイ素におけるレニウムの安定性の例は、引例4(J. S. Chen, E. Kolawa, M. -A. Nicolet, L. Baud, C. Jaussaud, R. Madar and C. Bernard, J. Appl. Phys. ,75巻 (1994) p897〜901)において論じられている。引例4は、1100℃でβ−SiCにおいて安定したレニウムを示している。
【0008】
1次に関しては、系の電気特性は物理特性によって決定されるので、レニウムが炭化ケイ素と反応しないという事実は、レニウム接触はショットキーバリアであるので引き続きショットキーバリアであり続けるということを意味している。レニウム−炭化ケイ素の系温度が1100Kを超えるまで増加するとき、レニウムは反応してレニウム−ケイ化物を形成し、電気特性が変化し得る。レニウム/炭化ケイ素の3元状態図は、ダイオードからMESFETに至るデバイスに有用である、レニウム−炭化ケイ素の長寿命および耐久性を明確にする。
【発明の開示】
【0009】
本出願は、米国仮出願第60/554,676号(出願日:2004年3月19日)についての優先日の利益を主張するものである。
【0010】
本発明は、耐久性で、頑丈で且つ長寿命のSiCショットキーバリアダイオードまたはMESFETを与えることによって、劣化するショットキー接触についての問題を解決するものである。幾つかのショットキー材料は時間とともに劣化し、オーミック接触になり、その結果、それらの目的が無効になってしまう。しかし、本発明は、レニウム(Re)金属ショットキー接触を与える。レニウムは、例えばニッケルのような他のショットキー材料よりも耐久性がある。レニウムは、そのショットキー特性を長い期間にわたって保持する。レニウムは、オーミックになる前に、他の材料よりもより多くの工程および高温に耐えることができる。従って、レニウムは、デバイスの寿命を延ばし、他のショットキー金属接触よりも高電流密度を与え且つ高電流密度および高動作温度での改善された性能を有する。
【0011】
フィールドターミネーション(field termination)も、高電圧整流接触についての重要な特長である。逆電圧の状態の間に、接触(contact)の端部および角部の領域における電界線(electric field lines)は、密度が増大し且つ込み合うようになる。この込み合いは、局所的な電界を極めて高レベルに増大させる。かかる局部的な電界レベルは、たとえ平均電界強度が他のドリフト層に対して十分低いとしても、その接触の下のドリフト層の降伏電圧を上回るかもしれない。それが起こると、局部的な高電界領域が破壊して、逆電流が伝導し始めるかもしれない。局部的な破壊は近隣領域に急速に広がり、デバイスは全体的に急速に破壊する。かかるように、破壊を食い止めるようなフィールドターミネーション構造を、接触の周囲に与えることが望ましい。
【0012】
本発明は、ショットキー接触でフィールドターミネーションを与え且つ改善する2つの方法をも与える。1つの方法はパターン化したイオンミリングを使用し、もう1つの方法はブランケットイオンミリング(blanket ion milling)を使用する。
【詳細な説明】
【0013】
ここで、本発明の例示的な実施例に対する言及が詳細になされ、その例は添付図面において示されている。可能な限り、同じ参照番号が同一部分または類似部分を言及するために図面を通して使用されるであろう。
【0014】
以下に説明されるのは、金属接触と炭化ケイ素の薄層との間の電気的接続を形成するための工程である。この接触形成工程は、平面的で多層状の炭化ケイ素のデバイスを作製することに関連して説明されているが、適用可能な金属と炭化ケイ素層との間の接続を形成するために使用され得る、ということが当業者によって推測され得る。
【0015】
創意に富むレニウム−炭化ケイ素のショットキーバリアダイオードの例が図1に示されている。ダイオード30は、SiC半導体材料のチップにおいて構成されている。ダイオード30は、高濃度n型基板上に堆積された、アニールされたニッケル(Ni)である下面すなわち裏面のオーミック接触23を有する。オーミック接触23は、ダイオード30の陰極を形成する。n型炭化ケイ素である低濃度ドープされたエピタキシャル層22は基板21の上にある。エピタキシャル層22は、ダイオード30に対してドリフト領域を与える。エピタキシャル層表面の領域24は、イオンミルされる。結果として、領域24における炭化ケイ素の結晶構造は損傷を受け、ショットキー金属接触27の中央部の下の領域のような、隣接した損傷を受けていない領域における結晶構造のように秩序だっていない。好ましい実施例におけるその接触はレニウム(Re)であり、ショットキーダイオードの陽極を形成する。保護材料28は、レニウム接触27を取り囲み、層22のイオンミルされた面を覆う。材料28におけるバイアス(Vias)は、他のデバイスまたは系に対して接触をとるために、アルミニウム(Al)29のようなトップレベル金属で満たされる。
【0016】
図1の炭化ケイ素ショットキーダイオードは、図2A〜図2Dに示される一連のステップによって作製される。最初に、炭化ケイ素のウエハは成長されるかまたはn型ドーパントで高濃度にドープされて基板21を与える。基板21は、炭化ケイ素,窒化ガリウム,窒化アルミニウムまたは他のワイドバンドギャップ半導体を含み得る。ワイドバンドギャップ材料は、約3eV以上のバンドギャップを有する。次に、炭化ケイ素の低ドープn型ドリフト層22が、基板21の上面に好ましくは化学気相成長法によってエピタキシャル成長され、多層基板20を与える。層21は、約2〜20μmの範囲の厚さを有し得る。図2Aを参照。例えば窒素および燐のような適切なドナーが、これらの層のドーピングを得るために使用され得る。標準的なドーピング濃度は、ドリフト層22および基板層21のそれぞれに対して、1E13〜1E17cm3および1E18〜1E20cm3であり得る。オーミック金属接触23は、多層基板20の下面すなわち裏面に形成される。オーミック接触金属は、通常はニッケルであり、これはスパッタ蒸着された後に約800℃で30分間アニールされて高濃度n-ドープ基板21に対するオーミック接触を与えることとなる。アニール工程は、通常イオンミリングの前に行なわれる。その理由は、アニールは、イオンミリングによる損傷を修復する傾向があり且つ本発明はイオンミルされた損傷がエピタキシャル層22に残っていることを必要とするからである。高温アニール工程をイオンミリングの前に行なうことが有効である。
【0017】
次に、イオンミルマスク26が堆積される。イオンミルマスクは、通常はフォトレジストまたは他の適切な材料である。イオンミルマスクは、後のショットキー接触領域26の周囲の領域を露出するようにパターン化される。当該ショットキー接触領域26はイオンミリングから保護される。基板は適切なイオンミリング装置に移動されて、ここで後のショットキー接触領域26を取り囲む領域24がイオンミルされる。
【0018】
イオンミリングの動作は、図4に示されるようなイオンミリング装置100において行われる。このイオンミリング装置は、イオンビーム源135を備えたチャンバー110を有している。このイオンビーム源135は、基板12の表面に向けられるイオンビーム130を発生させる。イオンビーム源135は、10mAから500mAの間のビーム電流および約10eVから約2000eVの範囲内で調整自在なエネルギーを有する高電流源であることが好ましい。さらに、イオンビーム源135は、ビームが加えられなければならない基板の性質に応じて、約3cmから約12cmの範囲内のスポットサイズ(ビームサイズ)を有することが好ましい。好ましいイオンビーム源135は、Commonwealth Scientific of Fremont(カリフォルニア)から市販されている。”イオンミリング”という用語は、イオンビーム源から発生されて基板にぶつかるあらゆるエネルギー性粒子を含むように幅広く使用され、イオンおよび中和粒子を含んでいる。
【0019】
イオンビーム源135を操作するために、イオンビームガス136のガス供給サブシステム(図示せず)およびイオン源電力供給サブシステム137(図示せず)が必要である。特定の他のガスは、さまざまな目的のために個々のサブシステムから供給され得る。例えば、ガスは、チャンバークリーニング,パージ,化学エッチングおよび他の目的のために真空チャンバー中に導入され得る。イオンビームミリングは、反応ガスまたは非反応(不活性)ガスまたはこれらの混合物を使用し得る。ヘリウム,アルゴン,クリプトンおよび/またはキセノンは、基板に向かって加速されて物理的なスパッタ−エッチング(分子サンドブラスティング)を誘導し、CMPにおいて圧力相当物としての機能を果たす。衝突種(impinging species)の運動エネルギーは、2つの方法において調整され得る。運動エネルギーは、衝突種の質量に比例する。さらに、運動エネルギーは、規制された加速電圧にも比例する。このことは、概略で材料の除去率に関連しているが、かなり高い電圧(>1KeV)は、基板損傷をもたらし得る。このアプリケーションにおいて、加速電圧は、入力するイオン化した希ガスの速度を規制する。他のガスは、反応に化学成分を付加するために使用され得る。これらは、例えばNF3,酸素およびC2F6およびCF4のようなフロンを含み、ミリングの化学成分を調整するために独立的にまたは混合されて使用され得る。
【0020】
イオンミリングの後に、基板20は図2Cおよび図2Dに示されるようにさらに処理され、レニウムのショットキー接触を得ることとなる。イオンミルマスクがとられ、レニウム27の層がエピタキシャル層22の表面に蒸着される。レニウム層27は、DCスパッタ,RFスパッタ,熱蒸発,電子ビーム蒸発および化学気相成長法を含む多くの方法によって蒸着される。レニウム層27は、通常、2000Åから4000Åまでの間の厚さであるが、250Åのような薄さでもあり得る。かかる層は、約4000amps/cm2の電流密度を運び得る。理論的に、レニウム層はさらに薄くなり得るが、その厚さは面28の粗さによって制限される。面28が、工程の開始時に完璧に滑らかであったとしても、表面損傷を避けることは極めて難しい。面に対する損傷は、表面材料のスパイクを与え、当該スパイクは、レニウムの薄層より高くあることができ、その結果、当該損傷はレニウム層を通してスパイクすることとなる。レニウム層27は、ショットキー接触を形成するためにパターン化される。フォトレジストのような適切なマスクが、レニウム層27にわたって堆積され、層27の除去される部分を露出するようにパターン化される。パターニング工程は、イオンミルされた領域24の内側端面にわたって残存するレニウム27の外側端面の重複部分32を残す。露出されたレニウム領域は、通常、ウエットエッチングで除去され、次にフォトレジストマスクが取り除かれる。
【0021】
図2Eに示されるように、表面は保護層28で被覆され、当該保護層は通常は二酸化ケイ素のような蒸着した絶縁材料である。保護層28はフォトレジストでパターン化され、接触金属層に対するバイアス(vias)を与え且つウエハにおけるソーイングストリート(sewing street)を識別することとなる。保護材料28は、イオンミルされた領域24にわたって接触し、レニウムショットキー接触27の外側端面と重なり合っても良い。最終的なステップ(図2F)において、アルミニウムまたは他の適切な上位金属の層29が、保護層28のバイアス(vias)において蒸着され、エピタキシャル層22上のレニウムショットキー金属に対する接触を形成する。
【0022】
イオンミリングは、フィールドターミネーションを実現するために異なる方法において使用され得る。別の一連のステップが、図3A〜図3Fにおいて示されている。その工程において、エピタキシャル層の全面がイオンミルされて僅かに損傷を受けた結晶面を与える。その後、レニウム層が蒸着されてパターン化される。
【0023】
最初に、炭化ケイ素のウエハは、成長されるかまたはn型ドーパントで高濃度ドープされて基板41を与える。基板41は、炭化ケイ素,窒化ガリウム,窒化アルミニウムまたは他のワイドバンドギャップ半導体を含み得る。ワイドバンドギャップ材料は、約3eV以上のバンドギャップを有する。次に、炭化ケイ素の低ドープn型ドリフト層42が、基板41の上面に好ましくは化学気相成長法によってエピタキシャル成長され、多層基板20を与える。層41は、約2〜20μmの範囲の厚さを有し得る。図3Aを参照。例えば窒素および燐のような適切なドナーが、これらの層のドーピングを得るために使用され得る。標準的なドーピング濃度は、ドリフト層42および基板層41のそれぞれに対して、1E13〜1E17cm−3および1E18〜1E20cm−3であり得る。オーミック金属接触43は、多層基板20の下面すなわち裏面に形成される。オーミック接触金属43は、通常はニッケルであり、これはスパッタ蒸着された後に約800℃で30分間アニールされて高濃度n−ドープ基板41に対するオーミック接触を与えることとなる。アニール工程は、通常イオンミリングの前に行なわれる。その理由は、アニールは、イオンミリングによる損傷を修復する傾向があり且つ本発明はイオンミルされた損傷がエピタキシャル層42に残っていることを必要とするからである。高温アニール工程をイオンミリングの前に行なうことが有効である。
【0024】
次に、全面がイオンミルされる。図2Cに示された工程ステップとは異なり、図3Cに示されるステップは、イオンミルマスクを有さない。この特長は、工程における多くのステップを低減し且つショットキー接触47に対するフィールドターミネーションを与える。基板は、適切なイオンミリング装置100に移動されて、ここでエピタキシャル層42の表面はアルゴンまたは他の希ガスでイオンミルされる。
【0025】
イオンミリングの後に、基板は図3Cおよび図3Dに示されるように更に処理され、レニウムショットキー接触を得ることとなる。レニウム層47はエピタキシャル層42の表面に蒸着される。レニウム層47は、DCスパッタ,RFスパッタ,熱蒸着,電子ビーム蒸着および化学気相成長法を含む多くの方法によって蒸着される。レニウム層47は、2000Åから4000Åまでの間の厚さであるが、250Åのように薄くても良い。かかる層は、約4000amps/cm2の電流密度を運び得る。理論的に、レニウム層はさらに薄くても良いが、その厚さは面44の粗さによって制限される。面44が工程開始時に完璧に滑らかであったとしても、表面損傷を避けることは極めて難しい。面に対するイオンミリング損傷は、表面材料のスパイクを与え、当該スパイクは、レニウムの薄層より高くあることができ、その結果、当該損傷はレニウム層を通してスパイクすることとなる。そのようにして、レニウム層47は、面44におけるスパイクを覆うために十分厚く形成される。レニウム層47は、ショットキー接触を形成するようにパターン化される。フォトレジストのような適切なマスクが、レニウム層47にわたって堆積され、層27の除去される部分を露出するようにパターン化される。露出されたレニウム領域は、通常、ウエットエッチングで除去され、次にフォトレジストマスクが取り除かれる。
【0026】
図3Eに示されるように、表面は保護層48で被覆され、当該保護層48として、通常は二酸化ケイ素のような絶縁材料が蒸着される。保護層48はフォトレジストでパターン化され、接触金属層に対するバイアス(vias)を与え且つウエハにおけるソーイングストリートを識別することとなる。保護材料48は、面44にわたって残って接触し、レニウムショットキー接触47の外側端面と重なり合っても良い。最終的なステップ(図3F)において、アルミニウム層49または他の適切な上位金属が、保護層48のバイアス(vias)において蒸着され、エピタキシャル層42上のレニウムショットキー金属に対する接触を形成する。
【0027】
エピタキシャル層42の損傷を受けた面におけるレニウム接触47は、そのエピタキシャル層22の損傷を受けていない面におけるレニウム接触27よりも順電圧降下(VF)が大きい。しかし、ダイオードの逆電圧特性または阻止電圧特性は実質的に改良され得る。もちろん、増大したVFと逆阻止性能(reverse blocking capability)との間に性能トレードオフがある。イオンミリングの望ましい量は、ドリフト層22の伝導性の作用であり、恐らくありきたりの実験によって最も良く測定される。
【0028】
ショットキーダイオード30,49において、ドリフト層22,42のドーピング密度は降伏電圧を定め、ドリフト層の厚さは、空乏層の突き抜け現象がアバランシェ降伏と同じ電圧で起こるように選択される。逆電圧が増大するにつれて、レニウムショットキー接触27,47の端部および角部での力線(field line)はともに込み合うようになる。レニウムショットキー接触27,47の下およびまたは周囲の損傷を受けた表面積24,44は、力線の込み合いを低減させ、その結果降伏電圧を上昇させる。
【0029】
本発明のイオンミリングの特長は、例えばチタン,タングステンまたはチタンタングステンのような合金のような、いかなる他の適切なショットキー金属接触とともに使用される、ということが当業者によって理解される。前述の詳説において、本発明は特定の実施例に関して説明されている。低濃度ドープ層の表面がイオンミルされる前に、ショットキー接触が形成され得る、ということも当業者によって理解される。ショットキー接触は、イオンミリングのためのマスクとして機能し、イオンミルされた領域は、ショットキー接触に対してセルフアラインされるであろう。
【0030】
上述の例は、炭化ケイ素および1つまたは多くの、大きなバンドギャップを有する化合物半導体材料を使用した。化合物半導体は、半導体材料を形成する少なくとも2つの異なる成分を含む。1つの特定の例において、炭素,シリコンまたはゲルマニウムのような、少なくとも2つの異なるグループIVA成分が、半導体材料の一部であり得る。炭化ケイ素(SiC)は、グループIVA成分を有する化合物半導体材料の例である。この特定の実施例において、領域21および22は、炭化ケイ素を含み得る。炭化ケイ素のポリタイプ4Hは、6H,3Cまたは半導体特性を有する他のポリタイプと同様に使用され得る。
【0031】
上述のレニウム接触は、図5に示されるような金属−半導体の電界効果トランジスタ(MESFET)50においても使用され得る。ショットキーダイオードとは異なり、MESFETは、上面にソースコンタクトおよびドレインコンタクトを有する横型デバイスである。n型基板51は、その表面に低濃度にドープされたp型緩衝層52を有する。緩衝層は、MESFETが他のデバイスとともに基板に組み込まれ得るようにデバイス分離を与える。多数キャリアは、低濃度ドープn−チャンネル(通常1E17cm−3)においてソースからドレインに流れ、ショットキーゲートコンタクト58によって制御されている。低濃度ドープn型チャンネル層は、p−緩衝層を覆う。表面は、オーミック接触56,57をそれぞれ有するソース54およびドレイン55にパターン付けされる高濃度ドープn−エピタキシャル層を含む。レニウムショットキー接触58は、ソース54とドレイン55との間のチャンネル層53の表面に蒸着される。レニウムショットキー接触58は、適切な電圧によって制御される。それは、チャンネルにおける空乏領域を緩和し、その結果、ソース54とドレイン55との間のチャンネル層53における電荷の流れを制御する。レニウム層は、少なくとも250Åの厚さであるが、2000Åから4000Åまでの間であることが好ましい。
【0032】
以下の例は、上述のデバイスおよび工程の実例となるものである。
<例1>
フィールドターミネーション無しのショットキーダイオードが、1.1E16cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、16μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度nドープSiC基板EE15に作製される。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着して真空でアニールすることによって、基板の高ドープ側に作製された。500Åのレニウム層が、電子ビーム蒸着によってエピ層の上に蒸着された。レニウム層はパターン化され且つエッチングされて、1.77E−4cm2であるアノード接触が形成される。結果として得られるダイオードの電流対電圧特性は、テクトロニクスモデル577(Tektronix model 577)カーブトレーサーを使用して測定された。ダイオードは、4000Acm−2である、0.7Aの順電流で動作を維持するように観測された。
<例2>
フィールドターミネーション無しのショットキーダイオードが、9.3E15cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、4.8μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度nドープSiC基板GB9に作製される。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着して真空でアニールすることによって、基板の高ドープ側に作製される。レニウム層は、rfマグネトロンスパッタによってエピ層の上に蒸着された。2500Åのレニウム層はパターン化され且つエッチングされて、2.475E−4cm2の領域を有する陽極コンタクトが形成される。結果として得られるダイオードは、逆バイアスがかけられ、電流対電圧特性が測定された。
【0033】
畠山(引例5,6(引例5:T. Hatakeyama and T.Shinohe, Mat. Sci. Forum 389-393巻(2002) p1169-1172,引例6:T. Hatakeyama, M. Kushibe, T. Watanabe, S. Imai and T. Shinohe, Mat. Sci. Forum 433-436巻 (2003) p831-834))は、SiCショットキーダイオードは、トンネル現象による逆リーク電流を有し、当該トンネル現象は、金属−半導体接合での電界に指数関数的に依存している、ということを教示している。リーク電流は、アバランシェ降伏の前にデバイス性能を制限することが多く、4mAcm−2は、高電圧ダイオードに対して見積もられる標準的な最大逆リーク電流密度である。この例におけるダイオードに対して、4mAcm−2の逆リーク電流密度でもたらされる逆バイアス電圧は、444±72Vである。
<例3>
ブランケットフィールドターミネーション(blanket field termination)を有するショットキーダイオードは、1E16cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた5μmのSiCエピタキシャル層を有する、3つの高濃度n−ドープSiC基板に作製された。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着し且つ真空でアニールすることによって各基板の高濃度ドープ側に形成される。フィールドターミネーションは、各ウエハの全面をAr+のイオンビームでイオンミリングすることによって形成され、各ウエハは、250eVから500eVの範囲である異なるエネルギーのAr+イオンビームに曝される。2500Åのレニウム層が、rfマグネトロンスパッタによって、各ウエハのイオンミルされた面に蒸着された。レニウム層はパターン化され且つエッチングされて、4.9E−3cm2の面積を有する陽極コンタクトを形成する。結果として得られるダイオードの電流対電圧(IV)特性が測定された。
【0034】
ダイオードは整流している。IVデータから抽出された、測定されたダイオードの障壁高さは、表1に一覧にされている。4mAcm−2の逆リーク電流密度JRでもたらされる逆バイアス電圧VRも表1に一覧にされている。表1において一覧にされたVRでは、ダイオードはアバランシェ降伏に駆動されていない。ブランケットイオンミルダイオード(blanket ion milled diodes)は終端されているということが表1で見られる。その理由は、例2における終端されていないダイオードに対して測定された444Vと比較して、ブランケットイオンミルダイオードは、550Vを超えるまで4mAcm−2に達していないからである。
【0035】
【表1】
【0036】
<例4>
セルフアラインでイオンミルされたフィールドターミネーションを有するショットキーダイオードは、1E16cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、5μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度nドープSiC基板EZ6に作製された。オーミックコンタクトは、2500Åのニッケル層を蒸着して真空でアニールすることによって、基板の高濃度ドープ側に形成された。2500Åのレニウム層は、rfマグネトロンスパッタによって、ウエハのイオンミルされた面に蒸着された。レニウム層は、パターン化され且つエッチングされて、4.9E−3cm2である陽極コンタクトを形成する。セルフアラインされたフィールドターミネーションは、750eVのエネルギーに加速したAr+のイオンビームでウエハの全面をイオンミリングすることによって形成された。結果として得られるダイオードの電流対電圧(IV)特性が測定された。セルフアラインでイオンミルされたダイオードは終端されている。その理由は、例2における終端されていないダイオードに対して測定された444Vと比較して、セルフアラインされ、イオンミルされたダイオードは、530±25Vを超えるまで4mAcm−2に達していないからである。
<例5>
フィールドターミネーション無しのショットキーダイオードが、8E15cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、5μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度nドープSiC基板FH31に作製された。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着して真空でアニールすることによって、基板の高ドープ側に作製された。2500Åのチタン層は、電子ビーム蒸着によってエピ層の上に蒸着された。チタン層はパターン化され且つエッチングされて、0.012cm2である陽極コンタクトが形成された。結果として得られるダイオードは、逆バイアスがかけられ、電流対電圧特性が測定された。
【0037】
例2において論じられているように、4mAcm−2は、高電圧ダイオードに対して見積もられる標準的な最大逆リーク電流密度である。この例におけるダイオードに対して、
4mAcm−2の逆リーク電流密度でもたらされる逆バイアス電圧VRは213±50Vであった。
<例6>
ブランケットフィールドターミネーションを有するショットキーダイオードは、1E16cm−3の濃度で低濃度nドープされた5μmのSiCエピタキシャル層を有する、4つの高濃度nドープSiC基板に作製された。オーミックコンタクトは、2500Åのニッケル層を蒸着し且つ真空でアニールすることによって各基板の高濃度ドープ側に形成された。フィールドターミネーションは、各ウエハの全面をAr+のイオンビームでイオンミリングすることによって形成され、各ウエハは、225eVから750eVの範囲である異なるエネルギーのAr+イオンビームに曝された。2500Åのチタン層が、電子ビーム蒸着によって、各ウエハのイオンミルされた面に蒸着された。チタン層はパターン化され且つエッチングされて、4.9E−3cm2である陽極コンタクトが形成された。結果として得られるダイオードの電流対電圧(IV)特性が測定された。
【0038】
ダイオードは整流している。IVデータから抽出された、測定されたダイオードの障壁高さは、表2に一覧にされている。4mAcm−2の逆リーク電流密度でもたらされる逆バイアス電圧VRも表2に一覧にされている。表2において一覧にされたVRで、ダイオードはアバランシェ降伏に駆動されていない。
【0039】
例2において論じられたように、リーク電流は、アバランシェ降伏の前にデバイス性能を制限する。ブランケットイオンミルダイオードは終端されているということが表2において分かる。その理由は、例5における終端されていないダイオードに対して測定された213Vと比較して、ブランケットイオンミルダイオードは、525Vを超えるまで4mAcm−2に達していないからである。
【0040】
【表2】
【0041】
<例7>
ショットキーダイオードが、9.3E15cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、4.8μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度n−ドープSiC基板GB9に作製された。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着して且つ真空でアニールすることによって、基板の高濃度ドープ側に形成された。2500Åのレニウム層は、rfマグネトロンスパッタによって、エピ層の表面に蒸着された。結果として得られるダイオードの電流対電圧(IV)特性が測定された。その後、ウエハはアルゴン雰囲気において800℃で30分間アニールされ、電流対電圧特性が再び測定された。測定されたダイオードの障壁および理想係数(ideality factor)が表3に一覧にされている。IV特性は、800℃でのアニール後に著しく劣化しておらず、800℃までの温度でのレニウムショットキー接触の耐久性を証明している。
【0042】
【表3】
【0043】
<例8>
高濃度n−ドープSiC基板GA3は、150mAのイオンビーム電流で10分間、750eVに加速したAr+イオンでイオンミルされた。ウエハは、標準的な方法を使用して断面が出され、透過電子顕微鏡法を使用して撮像された。損傷を受けた結晶構造は、イオンミルされたSiC面の中に130Å延在していることが観察された。当該構造は損傷を受け、アモルファスではない。
【0044】
利点,他の有利点および問題に対する解決法が、特定の実施例に関して説明されてきている。しかし、利点,有利点または解決法を生じさせるかまたはより顕著にさせ得る利点,有利点,問題に対する解決法および要素は、任意のまたは全ての特許請求の範囲についての重要な,所要のまたは必須の機能または要素として解釈されるべきではない。本願で使用されているように、”含む”,”含んでいる”またはそれについての他のいかなるバリエーションの用語は、非排他的な包含に及ぶことを意図しており、要素のリストを含む工程,方法,項目または装置は、それらの要素のみを含むものではなく、明示的にリストされていない他の要素またはかかる工程,方法,項目または装置に固有な他の要素を包含し得るものである。
【0045】
本発明は、例示の目的で示されており、添付図面に限定されるものではない。
【0046】
図面における要素は、単純さおよび明確さのために示されており、必ずしも縮尺どおりに描かれている訳ではない、ということを熟練職人は理解する。例えば、図における幾つかの要素の寸法は、他の要素に対して誇張された関係であっても良く、本発明の実施例の理解を向上させることに役立ち得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】マルチセルショットキーダイオードの断面図である。
【図2A】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2B】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2C】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2D】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2E】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2F】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3A】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3B】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3C】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3D】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3E】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3F】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図4】コンタクト層を蒸着する前に基板表面をイオンミリングするためのイオンミリング装置である。
【図5】本発明のレニウムコンタクトを有するMESFETの断面図である。
【図6】レニウム/炭化ケイ素の材料系に対する三元状態図である。
【背景技術】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの作製方法に関し、特には半導体デバイスにおいて利用される化合物半導体層に対するショットキー接触を与える方法に関する。
【0002】
ダイオード(接合およびショットキー)および基本的なトランジスタデバイスの製造および動作が周知である。新技術は、例えば高温,高電流および高放射のような極端な動作条件に耐えることができるパワートランジスタおよび高速に対する必要性を生み出している。炭化ケイ素のデバイスは、これらの必要性を満たすための可能性を有するが、商業的成功にはまだ至っていない。電子デバイスにおいて炭化ケイ素を使用するための1つの障害は、当該デバイスに対して信頼性があり且つ耐久性のある電気接点を与えることの困難さである。
【0003】
金属および半導体が密接に接触している場合にはいつでも、両者の間にはポテンシャル障壁が存在し、当該ポテンシャル障壁は、ほとんどの電荷キャリア(電子または正孔)が金属および半導体の間を通過することを妨げる。少量のキャリアのみが障壁を乗り越えて他方の材料へと横断するのに十分なエネルギーを有する。バイアスが接合に印加されると、障壁を半導体側から低く現させるかまたはより高く現させるかの2つの効果のうちの1つを有し得る。バイアスは、金属側からの障壁高さを変えない。この結果はショットキーバリア(整流接触)であり、ここで接合は1つのバイアス極性に対して伝導するが、他の極性に対しては伝導しない。ほとんど全ての金属−半導体接合は、この整流作用の幾つかを示す。
【0004】
シリコンにおけるショットキーバリアダイオード(SBD)は、約70V〜100V(逆バイアス下における過剰なリークによって制限される)に対してのみ実用的である。炭化ケイ素を使用することによって、1200Vまでのかなり高い電圧でのSBDの使用が可能になる。ダイオードは、多くのパワースイッチングアプリケーションにおいて高電圧整流器として使用される。電流が電気モーターのような誘導負荷に切り替えられるときにはいつでも、高電圧過渡電流が配線に生じる。これらの過渡電流を抑えるために、ダイオードが各スイッチングトランジスタにわたって配置され、電圧偏位をクランプすることとなる。PN接合ダイオードはこのアプリケーションに対して使用され得るが、順バイアスがかけられたときに、当該PN接合ダイオードは少数キャリアを蓄積し、これらのキャリアの抽出は、スイッチングの間に過渡的な大きな逆電流を与える。ショットキーバリアダイオードは、金属−半導体接合を整流しており、それらの順電流は、半導体から金属中に注入される多数キャリアからなる。従って、順バイアスがかけられたときにSBDは少数キャリアを蓄積せず、逆電流の過渡電流はごく僅かである。このことは、SBDはPNダイオードよりも速くオフにされることができ、スイッチングの間にごく僅かな電力を分散する、ということを意味している。SiCショットキーバリアダイオードは、特に魅力的である。その理由は、SiCの破壊電界はシリコンの破壊電界よりも約8倍高く、Siと比較してかなり高い電圧動作が可能になるからである。SiCショットキーバリアダイオードは、シリコンPNダイオードの代わりに使用されることができ、より速いスイッチング速度およびより大きな効率を可能にする。さらに、ワイドバンドギャップのために、SiCのSBDは、シリコンデバイスよりもかなり高温での動作ができるはずである。
【0005】
しかし、従来のSiCショットキーバリアダイオードは問題を有している。従来の多くのSiCショットキーダイオードは、ショットキー接触に対する金属としてニッケル(Ni)を使用している。ニッケルは、通常、裏面においてアニールされてオーミック接触を与え、表面においてアニールされずに残ってショットキー接触を与えることとなる。ニッケルはSiCと反応性があり、低温でさえも当該反応は、ニッケルショットキー接触がオーミックになるまで進行する。高電流密度で、Ni−SiCダイオードは熱くなり、時間とともにショットキー接触をアニールするようになる。温度変動,時間およびNi−SiCダイオードによって運ばれる電流を考えると、それらは劣化して抵抗器になるということが実質的に避けられない。このことは、電流を伝導するかまたは阻止するためにNi−SiCショットキーダイオードに依存している電子デバイスまたは系に対して壊滅的な結果を有し得る。
【0006】
三元状態図が、レニウム,シリコンおよび炭素からなる系に対して計算された。この三元状態図は、温度および圧力が一定であると仮定して計算され、レニウム,シリコンおよび炭素の三元化合物は無視している。この三元状態図を計算するためにギブスの相律(Gibbs Phase rule)が使用される。ギブスの相律は、一定の温度および圧力で3つの相のみが同時に許容されるということを必要とする。このことは、引例1(William F. SengおよびPeter A. Barnes, Mater. Sci. Eng. B, 76巻(2000)、226−231)および引例2(William F. SengおよびPeter A. Barnes, Mater. Sci. Eng. B, 72巻(2000)、13−18)において論議されている。実際には、このことは、お互いに熱力学的に安定であり且つ反応しない化合物および成分を結合する連系線(tie lines)は、状態図において交差することは許されないということを意味している。その理由は、そのポイントで4つの相が存在することが許容されるからである(このことは、ギブスの相律によって禁じられている)。これらの連系線は、系の構成化合物および構成要素(この場合には、レニウム,シリコン,炭素およびレニウムケイ化物)についての全ての可能な反応のギブス自由エネルギーを考慮することによって計算される。ギブス自由エネルギーに基づくと、いかなる任意の反応物のペアに対して何の反応も進行しない場合には、当該ペアは連系線によって接続される。この手順は、反応物の全ての可能なペアが考慮されるまで繰り返される。結果として得られる3元状態図が図6に示されている。計算のための熱力学データは引例3(Irsan Barin,純物質の熱力学データ パートIおよびパートII,VCH(1989))からとられている。
【0007】
図6における3元状態図は、レニウム(Re)は、300Kから1100Kの温度範囲にわたってSiCに対して熱力学的に安定であるということは明確である。このことは、レニウム膜はこの温度範囲にわたってSiCと反応しないのでレニウムケイ化物を形成しないということを意味している。300Kから1100Kの温度範囲において安定であるレニウムカーバイドはない。炭化ケイ素におけるレニウムの安定性の例は、引例4(J. S. Chen, E. Kolawa, M. -A. Nicolet, L. Baud, C. Jaussaud, R. Madar and C. Bernard, J. Appl. Phys. ,75巻 (1994) p897〜901)において論じられている。引例4は、1100℃でβ−SiCにおいて安定したレニウムを示している。
【0008】
1次に関しては、系の電気特性は物理特性によって決定されるので、レニウムが炭化ケイ素と反応しないという事実は、レニウム接触はショットキーバリアであるので引き続きショットキーバリアであり続けるということを意味している。レニウム−炭化ケイ素の系温度が1100Kを超えるまで増加するとき、レニウムは反応してレニウム−ケイ化物を形成し、電気特性が変化し得る。レニウム/炭化ケイ素の3元状態図は、ダイオードからMESFETに至るデバイスに有用である、レニウム−炭化ケイ素の長寿命および耐久性を明確にする。
【発明の開示】
【0009】
本出願は、米国仮出願第60/554,676号(出願日:2004年3月19日)についての優先日の利益を主張するものである。
【0010】
本発明は、耐久性で、頑丈で且つ長寿命のSiCショットキーバリアダイオードまたはMESFETを与えることによって、劣化するショットキー接触についての問題を解決するものである。幾つかのショットキー材料は時間とともに劣化し、オーミック接触になり、その結果、それらの目的が無効になってしまう。しかし、本発明は、レニウム(Re)金属ショットキー接触を与える。レニウムは、例えばニッケルのような他のショットキー材料よりも耐久性がある。レニウムは、そのショットキー特性を長い期間にわたって保持する。レニウムは、オーミックになる前に、他の材料よりもより多くの工程および高温に耐えることができる。従って、レニウムは、デバイスの寿命を延ばし、他のショットキー金属接触よりも高電流密度を与え且つ高電流密度および高動作温度での改善された性能を有する。
【0011】
フィールドターミネーション(field termination)も、高電圧整流接触についての重要な特長である。逆電圧の状態の間に、接触(contact)の端部および角部の領域における電界線(electric field lines)は、密度が増大し且つ込み合うようになる。この込み合いは、局所的な電界を極めて高レベルに増大させる。かかる局部的な電界レベルは、たとえ平均電界強度が他のドリフト層に対して十分低いとしても、その接触の下のドリフト層の降伏電圧を上回るかもしれない。それが起こると、局部的な高電界領域が破壊して、逆電流が伝導し始めるかもしれない。局部的な破壊は近隣領域に急速に広がり、デバイスは全体的に急速に破壊する。かかるように、破壊を食い止めるようなフィールドターミネーション構造を、接触の周囲に与えることが望ましい。
【0012】
本発明は、ショットキー接触でフィールドターミネーションを与え且つ改善する2つの方法をも与える。1つの方法はパターン化したイオンミリングを使用し、もう1つの方法はブランケットイオンミリング(blanket ion milling)を使用する。
【詳細な説明】
【0013】
ここで、本発明の例示的な実施例に対する言及が詳細になされ、その例は添付図面において示されている。可能な限り、同じ参照番号が同一部分または類似部分を言及するために図面を通して使用されるであろう。
【0014】
以下に説明されるのは、金属接触と炭化ケイ素の薄層との間の電気的接続を形成するための工程である。この接触形成工程は、平面的で多層状の炭化ケイ素のデバイスを作製することに関連して説明されているが、適用可能な金属と炭化ケイ素層との間の接続を形成するために使用され得る、ということが当業者によって推測され得る。
【0015】
創意に富むレニウム−炭化ケイ素のショットキーバリアダイオードの例が図1に示されている。ダイオード30は、SiC半導体材料のチップにおいて構成されている。ダイオード30は、高濃度n型基板上に堆積された、アニールされたニッケル(Ni)である下面すなわち裏面のオーミック接触23を有する。オーミック接触23は、ダイオード30の陰極を形成する。n型炭化ケイ素である低濃度ドープされたエピタキシャル層22は基板21の上にある。エピタキシャル層22は、ダイオード30に対してドリフト領域を与える。エピタキシャル層表面の領域24は、イオンミルされる。結果として、領域24における炭化ケイ素の結晶構造は損傷を受け、ショットキー金属接触27の中央部の下の領域のような、隣接した損傷を受けていない領域における結晶構造のように秩序だっていない。好ましい実施例におけるその接触はレニウム(Re)であり、ショットキーダイオードの陽極を形成する。保護材料28は、レニウム接触27を取り囲み、層22のイオンミルされた面を覆う。材料28におけるバイアス(Vias)は、他のデバイスまたは系に対して接触をとるために、アルミニウム(Al)29のようなトップレベル金属で満たされる。
【0016】
図1の炭化ケイ素ショットキーダイオードは、図2A〜図2Dに示される一連のステップによって作製される。最初に、炭化ケイ素のウエハは成長されるかまたはn型ドーパントで高濃度にドープされて基板21を与える。基板21は、炭化ケイ素,窒化ガリウム,窒化アルミニウムまたは他のワイドバンドギャップ半導体を含み得る。ワイドバンドギャップ材料は、約3eV以上のバンドギャップを有する。次に、炭化ケイ素の低ドープn型ドリフト層22が、基板21の上面に好ましくは化学気相成長法によってエピタキシャル成長され、多層基板20を与える。層21は、約2〜20μmの範囲の厚さを有し得る。図2Aを参照。例えば窒素および燐のような適切なドナーが、これらの層のドーピングを得るために使用され得る。標準的なドーピング濃度は、ドリフト層22および基板層21のそれぞれに対して、1E13〜1E17cm3および1E18〜1E20cm3であり得る。オーミック金属接触23は、多層基板20の下面すなわち裏面に形成される。オーミック接触金属は、通常はニッケルであり、これはスパッタ蒸着された後に約800℃で30分間アニールされて高濃度n-ドープ基板21に対するオーミック接触を与えることとなる。アニール工程は、通常イオンミリングの前に行なわれる。その理由は、アニールは、イオンミリングによる損傷を修復する傾向があり且つ本発明はイオンミルされた損傷がエピタキシャル層22に残っていることを必要とするからである。高温アニール工程をイオンミリングの前に行なうことが有効である。
【0017】
次に、イオンミルマスク26が堆積される。イオンミルマスクは、通常はフォトレジストまたは他の適切な材料である。イオンミルマスクは、後のショットキー接触領域26の周囲の領域を露出するようにパターン化される。当該ショットキー接触領域26はイオンミリングから保護される。基板は適切なイオンミリング装置に移動されて、ここで後のショットキー接触領域26を取り囲む領域24がイオンミルされる。
【0018】
イオンミリングの動作は、図4に示されるようなイオンミリング装置100において行われる。このイオンミリング装置は、イオンビーム源135を備えたチャンバー110を有している。このイオンビーム源135は、基板12の表面に向けられるイオンビーム130を発生させる。イオンビーム源135は、10mAから500mAの間のビーム電流および約10eVから約2000eVの範囲内で調整自在なエネルギーを有する高電流源であることが好ましい。さらに、イオンビーム源135は、ビームが加えられなければならない基板の性質に応じて、約3cmから約12cmの範囲内のスポットサイズ(ビームサイズ)を有することが好ましい。好ましいイオンビーム源135は、Commonwealth Scientific of Fremont(カリフォルニア)から市販されている。”イオンミリング”という用語は、イオンビーム源から発生されて基板にぶつかるあらゆるエネルギー性粒子を含むように幅広く使用され、イオンおよび中和粒子を含んでいる。
【0019】
イオンビーム源135を操作するために、イオンビームガス136のガス供給サブシステム(図示せず)およびイオン源電力供給サブシステム137(図示せず)が必要である。特定の他のガスは、さまざまな目的のために個々のサブシステムから供給され得る。例えば、ガスは、チャンバークリーニング,パージ,化学エッチングおよび他の目的のために真空チャンバー中に導入され得る。イオンビームミリングは、反応ガスまたは非反応(不活性)ガスまたはこれらの混合物を使用し得る。ヘリウム,アルゴン,クリプトンおよび/またはキセノンは、基板に向かって加速されて物理的なスパッタ−エッチング(分子サンドブラスティング)を誘導し、CMPにおいて圧力相当物としての機能を果たす。衝突種(impinging species)の運動エネルギーは、2つの方法において調整され得る。運動エネルギーは、衝突種の質量に比例する。さらに、運動エネルギーは、規制された加速電圧にも比例する。このことは、概略で材料の除去率に関連しているが、かなり高い電圧(>1KeV)は、基板損傷をもたらし得る。このアプリケーションにおいて、加速電圧は、入力するイオン化した希ガスの速度を規制する。他のガスは、反応に化学成分を付加するために使用され得る。これらは、例えばNF3,酸素およびC2F6およびCF4のようなフロンを含み、ミリングの化学成分を調整するために独立的にまたは混合されて使用され得る。
【0020】
イオンミリングの後に、基板20は図2Cおよび図2Dに示されるようにさらに処理され、レニウムのショットキー接触を得ることとなる。イオンミルマスクがとられ、レニウム27の層がエピタキシャル層22の表面に蒸着される。レニウム層27は、DCスパッタ,RFスパッタ,熱蒸発,電子ビーム蒸発および化学気相成長法を含む多くの方法によって蒸着される。レニウム層27は、通常、2000Åから4000Åまでの間の厚さであるが、250Åのような薄さでもあり得る。かかる層は、約4000amps/cm2の電流密度を運び得る。理論的に、レニウム層はさらに薄くなり得るが、その厚さは面28の粗さによって制限される。面28が、工程の開始時に完璧に滑らかであったとしても、表面損傷を避けることは極めて難しい。面に対する損傷は、表面材料のスパイクを与え、当該スパイクは、レニウムの薄層より高くあることができ、その結果、当該損傷はレニウム層を通してスパイクすることとなる。レニウム層27は、ショットキー接触を形成するためにパターン化される。フォトレジストのような適切なマスクが、レニウム層27にわたって堆積され、層27の除去される部分を露出するようにパターン化される。パターニング工程は、イオンミルされた領域24の内側端面にわたって残存するレニウム27の外側端面の重複部分32を残す。露出されたレニウム領域は、通常、ウエットエッチングで除去され、次にフォトレジストマスクが取り除かれる。
【0021】
図2Eに示されるように、表面は保護層28で被覆され、当該保護層は通常は二酸化ケイ素のような蒸着した絶縁材料である。保護層28はフォトレジストでパターン化され、接触金属層に対するバイアス(vias)を与え且つウエハにおけるソーイングストリート(sewing street)を識別することとなる。保護材料28は、イオンミルされた領域24にわたって接触し、レニウムショットキー接触27の外側端面と重なり合っても良い。最終的なステップ(図2F)において、アルミニウムまたは他の適切な上位金属の層29が、保護層28のバイアス(vias)において蒸着され、エピタキシャル層22上のレニウムショットキー金属に対する接触を形成する。
【0022】
イオンミリングは、フィールドターミネーションを実現するために異なる方法において使用され得る。別の一連のステップが、図3A〜図3Fにおいて示されている。その工程において、エピタキシャル層の全面がイオンミルされて僅かに損傷を受けた結晶面を与える。その後、レニウム層が蒸着されてパターン化される。
【0023】
最初に、炭化ケイ素のウエハは、成長されるかまたはn型ドーパントで高濃度ドープされて基板41を与える。基板41は、炭化ケイ素,窒化ガリウム,窒化アルミニウムまたは他のワイドバンドギャップ半導体を含み得る。ワイドバンドギャップ材料は、約3eV以上のバンドギャップを有する。次に、炭化ケイ素の低ドープn型ドリフト層42が、基板41の上面に好ましくは化学気相成長法によってエピタキシャル成長され、多層基板20を与える。層41は、約2〜20μmの範囲の厚さを有し得る。図3Aを参照。例えば窒素および燐のような適切なドナーが、これらの層のドーピングを得るために使用され得る。標準的なドーピング濃度は、ドリフト層42および基板層41のそれぞれに対して、1E13〜1E17cm−3および1E18〜1E20cm−3であり得る。オーミック金属接触43は、多層基板20の下面すなわち裏面に形成される。オーミック接触金属43は、通常はニッケルであり、これはスパッタ蒸着された後に約800℃で30分間アニールされて高濃度n−ドープ基板41に対するオーミック接触を与えることとなる。アニール工程は、通常イオンミリングの前に行なわれる。その理由は、アニールは、イオンミリングによる損傷を修復する傾向があり且つ本発明はイオンミルされた損傷がエピタキシャル層42に残っていることを必要とするからである。高温アニール工程をイオンミリングの前に行なうことが有効である。
【0024】
次に、全面がイオンミルされる。図2Cに示された工程ステップとは異なり、図3Cに示されるステップは、イオンミルマスクを有さない。この特長は、工程における多くのステップを低減し且つショットキー接触47に対するフィールドターミネーションを与える。基板は、適切なイオンミリング装置100に移動されて、ここでエピタキシャル層42の表面はアルゴンまたは他の希ガスでイオンミルされる。
【0025】
イオンミリングの後に、基板は図3Cおよび図3Dに示されるように更に処理され、レニウムショットキー接触を得ることとなる。レニウム層47はエピタキシャル層42の表面に蒸着される。レニウム層47は、DCスパッタ,RFスパッタ,熱蒸着,電子ビーム蒸着および化学気相成長法を含む多くの方法によって蒸着される。レニウム層47は、2000Åから4000Åまでの間の厚さであるが、250Åのように薄くても良い。かかる層は、約4000amps/cm2の電流密度を運び得る。理論的に、レニウム層はさらに薄くても良いが、その厚さは面44の粗さによって制限される。面44が工程開始時に完璧に滑らかであったとしても、表面損傷を避けることは極めて難しい。面に対するイオンミリング損傷は、表面材料のスパイクを与え、当該スパイクは、レニウムの薄層より高くあることができ、その結果、当該損傷はレニウム層を通してスパイクすることとなる。そのようにして、レニウム層47は、面44におけるスパイクを覆うために十分厚く形成される。レニウム層47は、ショットキー接触を形成するようにパターン化される。フォトレジストのような適切なマスクが、レニウム層47にわたって堆積され、層27の除去される部分を露出するようにパターン化される。露出されたレニウム領域は、通常、ウエットエッチングで除去され、次にフォトレジストマスクが取り除かれる。
【0026】
図3Eに示されるように、表面は保護層48で被覆され、当該保護層48として、通常は二酸化ケイ素のような絶縁材料が蒸着される。保護層48はフォトレジストでパターン化され、接触金属層に対するバイアス(vias)を与え且つウエハにおけるソーイングストリートを識別することとなる。保護材料48は、面44にわたって残って接触し、レニウムショットキー接触47の外側端面と重なり合っても良い。最終的なステップ(図3F)において、アルミニウム層49または他の適切な上位金属が、保護層48のバイアス(vias)において蒸着され、エピタキシャル層42上のレニウムショットキー金属に対する接触を形成する。
【0027】
エピタキシャル層42の損傷を受けた面におけるレニウム接触47は、そのエピタキシャル層22の損傷を受けていない面におけるレニウム接触27よりも順電圧降下(VF)が大きい。しかし、ダイオードの逆電圧特性または阻止電圧特性は実質的に改良され得る。もちろん、増大したVFと逆阻止性能(reverse blocking capability)との間に性能トレードオフがある。イオンミリングの望ましい量は、ドリフト層22の伝導性の作用であり、恐らくありきたりの実験によって最も良く測定される。
【0028】
ショットキーダイオード30,49において、ドリフト層22,42のドーピング密度は降伏電圧を定め、ドリフト層の厚さは、空乏層の突き抜け現象がアバランシェ降伏と同じ電圧で起こるように選択される。逆電圧が増大するにつれて、レニウムショットキー接触27,47の端部および角部での力線(field line)はともに込み合うようになる。レニウムショットキー接触27,47の下およびまたは周囲の損傷を受けた表面積24,44は、力線の込み合いを低減させ、その結果降伏電圧を上昇させる。
【0029】
本発明のイオンミリングの特長は、例えばチタン,タングステンまたはチタンタングステンのような合金のような、いかなる他の適切なショットキー金属接触とともに使用される、ということが当業者によって理解される。前述の詳説において、本発明は特定の実施例に関して説明されている。低濃度ドープ層の表面がイオンミルされる前に、ショットキー接触が形成され得る、ということも当業者によって理解される。ショットキー接触は、イオンミリングのためのマスクとして機能し、イオンミルされた領域は、ショットキー接触に対してセルフアラインされるであろう。
【0030】
上述の例は、炭化ケイ素および1つまたは多くの、大きなバンドギャップを有する化合物半導体材料を使用した。化合物半導体は、半導体材料を形成する少なくとも2つの異なる成分を含む。1つの特定の例において、炭素,シリコンまたはゲルマニウムのような、少なくとも2つの異なるグループIVA成分が、半導体材料の一部であり得る。炭化ケイ素(SiC)は、グループIVA成分を有する化合物半導体材料の例である。この特定の実施例において、領域21および22は、炭化ケイ素を含み得る。炭化ケイ素のポリタイプ4Hは、6H,3Cまたは半導体特性を有する他のポリタイプと同様に使用され得る。
【0031】
上述のレニウム接触は、図5に示されるような金属−半導体の電界効果トランジスタ(MESFET)50においても使用され得る。ショットキーダイオードとは異なり、MESFETは、上面にソースコンタクトおよびドレインコンタクトを有する横型デバイスである。n型基板51は、その表面に低濃度にドープされたp型緩衝層52を有する。緩衝層は、MESFETが他のデバイスとともに基板に組み込まれ得るようにデバイス分離を与える。多数キャリアは、低濃度ドープn−チャンネル(通常1E17cm−3)においてソースからドレインに流れ、ショットキーゲートコンタクト58によって制御されている。低濃度ドープn型チャンネル層は、p−緩衝層を覆う。表面は、オーミック接触56,57をそれぞれ有するソース54およびドレイン55にパターン付けされる高濃度ドープn−エピタキシャル層を含む。レニウムショットキー接触58は、ソース54とドレイン55との間のチャンネル層53の表面に蒸着される。レニウムショットキー接触58は、適切な電圧によって制御される。それは、チャンネルにおける空乏領域を緩和し、その結果、ソース54とドレイン55との間のチャンネル層53における電荷の流れを制御する。レニウム層は、少なくとも250Åの厚さであるが、2000Åから4000Åまでの間であることが好ましい。
【0032】
以下の例は、上述のデバイスおよび工程の実例となるものである。
<例1>
フィールドターミネーション無しのショットキーダイオードが、1.1E16cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、16μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度nドープSiC基板EE15に作製される。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着して真空でアニールすることによって、基板の高ドープ側に作製された。500Åのレニウム層が、電子ビーム蒸着によってエピ層の上に蒸着された。レニウム層はパターン化され且つエッチングされて、1.77E−4cm2であるアノード接触が形成される。結果として得られるダイオードの電流対電圧特性は、テクトロニクスモデル577(Tektronix model 577)カーブトレーサーを使用して測定された。ダイオードは、4000Acm−2である、0.7Aの順電流で動作を維持するように観測された。
<例2>
フィールドターミネーション無しのショットキーダイオードが、9.3E15cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、4.8μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度nドープSiC基板GB9に作製される。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着して真空でアニールすることによって、基板の高ドープ側に作製される。レニウム層は、rfマグネトロンスパッタによってエピ層の上に蒸着された。2500Åのレニウム層はパターン化され且つエッチングされて、2.475E−4cm2の領域を有する陽極コンタクトが形成される。結果として得られるダイオードは、逆バイアスがかけられ、電流対電圧特性が測定された。
【0033】
畠山(引例5,6(引例5:T. Hatakeyama and T.Shinohe, Mat. Sci. Forum 389-393巻(2002) p1169-1172,引例6:T. Hatakeyama, M. Kushibe, T. Watanabe, S. Imai and T. Shinohe, Mat. Sci. Forum 433-436巻 (2003) p831-834))は、SiCショットキーダイオードは、トンネル現象による逆リーク電流を有し、当該トンネル現象は、金属−半導体接合での電界に指数関数的に依存している、ということを教示している。リーク電流は、アバランシェ降伏の前にデバイス性能を制限することが多く、4mAcm−2は、高電圧ダイオードに対して見積もられる標準的な最大逆リーク電流密度である。この例におけるダイオードに対して、4mAcm−2の逆リーク電流密度でもたらされる逆バイアス電圧は、444±72Vである。
<例3>
ブランケットフィールドターミネーション(blanket field termination)を有するショットキーダイオードは、1E16cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた5μmのSiCエピタキシャル層を有する、3つの高濃度n−ドープSiC基板に作製された。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着し且つ真空でアニールすることによって各基板の高濃度ドープ側に形成される。フィールドターミネーションは、各ウエハの全面をAr+のイオンビームでイオンミリングすることによって形成され、各ウエハは、250eVから500eVの範囲である異なるエネルギーのAr+イオンビームに曝される。2500Åのレニウム層が、rfマグネトロンスパッタによって、各ウエハのイオンミルされた面に蒸着された。レニウム層はパターン化され且つエッチングされて、4.9E−3cm2の面積を有する陽極コンタクトを形成する。結果として得られるダイオードの電流対電圧(IV)特性が測定された。
【0034】
ダイオードは整流している。IVデータから抽出された、測定されたダイオードの障壁高さは、表1に一覧にされている。4mAcm−2の逆リーク電流密度JRでもたらされる逆バイアス電圧VRも表1に一覧にされている。表1において一覧にされたVRでは、ダイオードはアバランシェ降伏に駆動されていない。ブランケットイオンミルダイオード(blanket ion milled diodes)は終端されているということが表1で見られる。その理由は、例2における終端されていないダイオードに対して測定された444Vと比較して、ブランケットイオンミルダイオードは、550Vを超えるまで4mAcm−2に達していないからである。
【0035】
【表1】
【0036】
<例4>
セルフアラインでイオンミルされたフィールドターミネーションを有するショットキーダイオードは、1E16cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、5μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度nドープSiC基板EZ6に作製された。オーミックコンタクトは、2500Åのニッケル層を蒸着して真空でアニールすることによって、基板の高濃度ドープ側に形成された。2500Åのレニウム層は、rfマグネトロンスパッタによって、ウエハのイオンミルされた面に蒸着された。レニウム層は、パターン化され且つエッチングされて、4.9E−3cm2である陽極コンタクトを形成する。セルフアラインされたフィールドターミネーションは、750eVのエネルギーに加速したAr+のイオンビームでウエハの全面をイオンミリングすることによって形成された。結果として得られるダイオードの電流対電圧(IV)特性が測定された。セルフアラインでイオンミルされたダイオードは終端されている。その理由は、例2における終端されていないダイオードに対して測定された444Vと比較して、セルフアラインされ、イオンミルされたダイオードは、530±25Vを超えるまで4mAcm−2に達していないからである。
<例5>
フィールドターミネーション無しのショットキーダイオードが、8E15cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、5μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度nドープSiC基板FH31に作製された。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着して真空でアニールすることによって、基板の高ドープ側に作製された。2500Åのチタン層は、電子ビーム蒸着によってエピ層の上に蒸着された。チタン層はパターン化され且つエッチングされて、0.012cm2である陽極コンタクトが形成された。結果として得られるダイオードは、逆バイアスがかけられ、電流対電圧特性が測定された。
【0037】
例2において論じられているように、4mAcm−2は、高電圧ダイオードに対して見積もられる標準的な最大逆リーク電流密度である。この例におけるダイオードに対して、
4mAcm−2の逆リーク電流密度でもたらされる逆バイアス電圧VRは213±50Vであった。
<例6>
ブランケットフィールドターミネーションを有するショットキーダイオードは、1E16cm−3の濃度で低濃度nドープされた5μmのSiCエピタキシャル層を有する、4つの高濃度nドープSiC基板に作製された。オーミックコンタクトは、2500Åのニッケル層を蒸着し且つ真空でアニールすることによって各基板の高濃度ドープ側に形成された。フィールドターミネーションは、各ウエハの全面をAr+のイオンビームでイオンミリングすることによって形成され、各ウエハは、225eVから750eVの範囲である異なるエネルギーのAr+イオンビームに曝された。2500Åのチタン層が、電子ビーム蒸着によって、各ウエハのイオンミルされた面に蒸着された。チタン層はパターン化され且つエッチングされて、4.9E−3cm2である陽極コンタクトが形成された。結果として得られるダイオードの電流対電圧(IV)特性が測定された。
【0038】
ダイオードは整流している。IVデータから抽出された、測定されたダイオードの障壁高さは、表2に一覧にされている。4mAcm−2の逆リーク電流密度でもたらされる逆バイアス電圧VRも表2に一覧にされている。表2において一覧にされたVRで、ダイオードはアバランシェ降伏に駆動されていない。
【0039】
例2において論じられたように、リーク電流は、アバランシェ降伏の前にデバイス性能を制限する。ブランケットイオンミルダイオードは終端されているということが表2において分かる。その理由は、例5における終端されていないダイオードに対して測定された213Vと比較して、ブランケットイオンミルダイオードは、525Vを超えるまで4mAcm−2に達していないからである。
【0040】
【表2】
【0041】
<例7>
ショットキーダイオードが、9.3E15cm−3の濃度で低濃度n−ドープされた、4.8μmのSiCエピタキシャル層を有する高濃度n−ドープSiC基板GB9に作製された。オーミック接触は、2500Åのニッケル層を蒸着して且つ真空でアニールすることによって、基板の高濃度ドープ側に形成された。2500Åのレニウム層は、rfマグネトロンスパッタによって、エピ層の表面に蒸着された。結果として得られるダイオードの電流対電圧(IV)特性が測定された。その後、ウエハはアルゴン雰囲気において800℃で30分間アニールされ、電流対電圧特性が再び測定された。測定されたダイオードの障壁および理想係数(ideality factor)が表3に一覧にされている。IV特性は、800℃でのアニール後に著しく劣化しておらず、800℃までの温度でのレニウムショットキー接触の耐久性を証明している。
【0042】
【表3】
【0043】
<例8>
高濃度n−ドープSiC基板GA3は、150mAのイオンビーム電流で10分間、750eVに加速したAr+イオンでイオンミルされた。ウエハは、標準的な方法を使用して断面が出され、透過電子顕微鏡法を使用して撮像された。損傷を受けた結晶構造は、イオンミルされたSiC面の中に130Å延在していることが観察された。当該構造は損傷を受け、アモルファスではない。
【0044】
利点,他の有利点および問題に対する解決法が、特定の実施例に関して説明されてきている。しかし、利点,有利点または解決法を生じさせるかまたはより顕著にさせ得る利点,有利点,問題に対する解決法および要素は、任意のまたは全ての特許請求の範囲についての重要な,所要のまたは必須の機能または要素として解釈されるべきではない。本願で使用されているように、”含む”,”含んでいる”またはそれについての他のいかなるバリエーションの用語は、非排他的な包含に及ぶことを意図しており、要素のリストを含む工程,方法,項目または装置は、それらの要素のみを含むものではなく、明示的にリストされていない他の要素またはかかる工程,方法,項目または装置に固有な他の要素を包含し得るものである。
【0045】
本発明は、例示の目的で示されており、添付図面に限定されるものではない。
【0046】
図面における要素は、単純さおよび明確さのために示されており、必ずしも縮尺どおりに描かれている訳ではない、ということを熟練職人は理解する。例えば、図における幾つかの要素の寸法は、他の要素に対して誇張された関係であっても良く、本発明の実施例の理解を向上させることに役立ち得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】マルチセルショットキーダイオードの断面図である。
【図2A】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2B】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2C】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2D】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2E】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図2F】ターミネーション改善のために、パターン化されたイオンミリングで図1のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3A】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3B】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3C】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3D】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3E】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図3F】ターミネーション改善のために、ブランケットイオンミリングで別のダイオードを作製する逐次ステップである。
【図4】コンタクト層を蒸着する前に基板表面をイオンミリングするためのイオンミリング装置である。
【図5】本発明のレニウムコンタクトを有するMESFETの断面図である。
【図6】レニウム/炭化ケイ素の材料系に対する三元状態図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスであって、
1つの極性である半導体材料の基板と、
前記半導体材料の1つ以上の面における1つ以上の電極と、
前記半導体材料と同じ半導体材料からなる、前記基板の上の低ドープ層と、
前記低ドープ層の上のレニウムショットキーバリア層と、を含み、
前記レニウムショットキーバリア層は、前記デバイスにおける1つの電極から前記デバイスにおける別の電極への電荷の遷移を制御することを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
ショットキーバリアダイオードを含む請求項1記載の半導体デバイスであって、
前記基板は炭化ケイ素を含み、前記基板は2つの面を有し且つ1つの面に高ドープ層を有し、オーミック接触が前記ダイオードに対して1つの接触を形成するために前記高ドープ層の上に形成され、前記基板のもう1つの面に前記高ドープ層と同じ極性である低ドープドリフト層が形成され、前記レニウムショットキーバリア層は、レニウムと低ドープされた炭化ケイ素との接合にショットキーバリアを形成するために前記低ドープ層の上に蒸着されることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項3】
MESFETを含む請求項1記載の半導体デバイスであって、
前記基板は炭化ケイ素であり且つ1つの極性であるドーパントが少量添加されたチャンネル領域を含む上層を有し、1つ以上の高ドープソース領域と高ドープドレイン領域とを含む層が形成され、前記ソース領域および前記ドレイン領域は、互いに横方向に離間して当該チャンネル層の上に配置され、レニウムショットキーバリア層は、前記チャンネル層の上に且つ前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に形成されて前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の電荷の移動を制御することを特徴とする請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記レニウムショットキーバリア層は、250Å以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記レニウムショットキーバリア層は、2000Åから4000Åまでの間であることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
1つの極性のドーパントが少量添加されたチャンネル領域を含む上層を有する基板と、
1つ以上の高ドープソース領域および高ドープドレイン領域を含む層と、
当該チャンネル層の上に且つ前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に配されたレニウムショットキーバリア層と、を含み、
前記ソース領域および前記ドレイン領域は前記チャンネル層の上で互いに横方向に離間しており、前記レニウムショットキーバリア層は、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の電荷の移動を制御することを特徴とするMOSFET。
【請求項10】
前記レニウムショットキーバリア層は、250Å以上の厚さであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項11】
前記レニウムショットキーバリア層は、2000Åから4000Åまでの間の厚さであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項12】
前記基板および前記層は、ワイドバンドギャップ半導体材料を含むことを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項13】
前記半導体材料は4H−SiCであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項14】
前記半導体材料は6H−SiCであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項15】
前記半導体材料は3C−SiCであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項16】
前記基板は、前記チャンネル層の下に反対型の極性である緩衝層を含むことを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項17】
炭化ケイ素ショットキーダイオードであって、
2つの面を有する炭化ケイ素の基板と、
1つの面における高ドープ層と、
前記高ドープ層の上のオーミック接触と、
他方の面における低ドープドリフト層と、
前記他方の面に蒸着されたレニウム層と、を含み、
前記オーミック接触は前記ダイオードに対する1つの接触を形成し、前記レニウム層は、レニウムと当該低ドープ炭化ケイ素の面との接合にショットキーバリアを形成することを特徴とする炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項18】
当該裏側オーミック接触は、アニールされたニッケルを含むことを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項19】
前記レニウム層は、250Å以上の厚さであることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項20】
前記レニウム層は、2000Åから4000Åまでの間の厚さであることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項21】
当該レニウム電極を取り囲むターミネーション構造をさらに含むことを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項22】
前記ターミネーション構造は、当該低ドープ炭化ケイ素層の面の損傷を受けた結晶表面領域の全部分または選択部分を含むことを特徴とする請求項21記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項23】
前記ターミネーション構造は、前記レニウム電極を取り囲む前記低ドープ炭化ケイ素層の面の損傷を受けた結晶表面の環状領域を含むことを特徴とする請求項21記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項24】
前記損傷を受けた結晶表面は、アルゴン,クリプトン,キセノンおよびヘリウムからなる郡のうちの1つ以上のイオンまたは原子を使用するイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項22記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項25】
前記損傷を受けた結晶表面は、10eVから1000eVの間の運動エネルギーでイオンまたは原子を使用するイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項24記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項26】
前記低ドープドリフト層はエピタキシャル層であることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項27】
前記炭化ケイ素はn型またはp型であり且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項28】
前記炭化ケイ素はn型またはp型であり且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項29】
前記炭化ケイ素はn型またはp型であり且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項 17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項30】
炭化ケイ素ショットキーバリアダイオードを形成する方法であって、
1つの導電型である高ドープ層を有する少なくとも1つの面を含む炭化ケイ素の基板を与えるステップと、
前記高ドープ層の面にオーミック接触を形成して前記ダイオードの1つの電極を与えるステップと、
前記基板の他方の面に前記1つの導電型である低ドープ炭化ケイ素層を形成して前記ダイオードに対するドリフト領域を与えるステップと、
前記低ドープ炭化ケイ素層の上にレニウム金属のショットキーバリア接触を形成して前記ダイオードに対する別の電極を与えるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
前記ショットキーバリア接触を形成するステップは、レニウム層を蒸着してマスクし且つ前記レニウム層の一部を除去し、250Åより厚いショットキーバリア接触を与えることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記レニウム層は2000Åから4000Åまでの間の厚さであることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項33】
当該レニウム電極を取り囲むターミネーション構造を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項34】
前記ターミネーション構造を形成するステップは、少なくとも当該レニウム接触の場所を取り囲む領域においての前記低濃度ドープ層の面のイオンミリングを含むことを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記イオンミリングのステップは、前記低ドープ層の面の少なくとも一部にアルゴン,クリプトン,キセノンおよびヘリウムからなる群のうちの1つ以上のイオンを衝突させることを含むことを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記低ドープ炭化ケイ素層を形成するステップは、当該層を形成するために炭化ケイ素をエピタキシャル蒸着することを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項37】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項38】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項39】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項40】
炭化ケイ素ショットキーダイオードであって、
2つの面を有する炭化ケイ素の基板と、
1つの面において陰極領域を形成する高ドープ層と、
前記ダイオードに対する1つの電極接触を形成する、当該n型高ドープ層の上のオーミック接触と、
他方の面における低ドープドリフト層と、
前記他方の面に蒸着されて当該低ドープ炭化ケイ素層の面上にショットキーバリア接合を形成するショットキー金属接触と、
当該低ドープされた面において損傷を受けた結晶構造を含むフィールドターミネーション領域と、を含み、
前記フィールドターミネーション領域は前記ショットキー金属接触の周囲の電界を低減することを特長とする炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項41】
前記損傷を受けた結晶構造は、前記低ドープドリフト層の面を含むことを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項42】
前記損傷を受けた結晶構造は、前記ショットキー金属接触を取り囲む前記低ドープドリフト層の面領域を含むことを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項43】
当該裏側オーミック接触は、アニールされたニッケルを含むことを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項44】
前記ショットキー金属は、レニウム,チタン,タングステン,チタンタングステンおよびそれらの合金からなる郡のうちの1つを含むことを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項45】
前記ショットキー金属または合金層は、2000Åから4000Åまでの間の厚さであることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項46】
当該損傷を受けた結晶面はイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項47】
前記損傷を受けた結晶面は、アルゴン,クリプトン,キセノンおよびヘリウムからなる群のうちの1つ以上を使用するイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項46記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項48】
前記損傷を受けた結晶面は、10eVから1000eVの間の運動エネルギーでイオンまたは原子を使用するイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項47記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項49】
前記低ドープ層は、エピタキシャル層であることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項50】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項51】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項52】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項53】
ターミネーション構造を含む炭化ケイ素ショットキーバリアデバイスを形成する方法であって、
1つの導電型である高ドープ層を有する少なくとも1つの面を含む炭化ケイ素の基板を与えるステップと、
前記高ドープ層の面にオーミック接触を形成して前記デバイスの1つの電極を与えるステップと、
前記基板の他方の面に前記1つの導電型である低ドープ炭化ケイ素層を形成して前記第オードに対するドリフト領域を与えるステップと、
少なくともレニウム接触の場所を取り囲む領域において当該低ドープ層の面の全部または一部をイオンミリングするステップと、
前記低ドープ層の面のうちのイオンミルされた部分の上のまたは当該部分に隣接した前記低ドープ炭化ケイ素層の上にショットキーバリア接触を形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
前記低ドープ層の面は、ブランケットイオンミルされることを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記低ドープ層の表面をマスクし且つイオンミリングのために前記低ドープ層の表面の選択部分を露出するように当該マスク層の選択部を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記低ドープ層の表面の一部は、前記ショットキーバリア接触によって覆われた層部分を取り囲むことを特徴とする請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記ショットキーバリア接触の材料は、レニウム,チタン,タングステンおよびチタンタングステンからなる群のうちの1つ以上の金属または合金を含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項58】
前記ショットキーバリア接触を形成するステップは、ショットキーバリア材料を少なくとも250Åの厚さに蒸着することを含むことを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記厚さは、2000Åから4000Åまでの間であることを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記イオンミリングするステップは、前記低ドープ層の表面の全部または一部にアルゴンまたは他の希ガスのイオンを衝突させることを含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項61】
前記低ドープ層を形成するステップは、当該層を形成するために炭化ケイ素をエピタキシャル蒸着することを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項62】
炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項63】
炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項64】
炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項1】
半導体デバイスであって、
1つの極性である半導体材料の基板と、
前記半導体材料の1つ以上の面における1つ以上の電極と、
前記半導体材料と同じ半導体材料からなる、前記基板の上の低ドープ層と、
前記低ドープ層の上のレニウムショットキーバリア層と、を含み、
前記レニウムショットキーバリア層は、前記デバイスにおける1つの電極から前記デバイスにおける別の電極への電荷の遷移を制御することを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
ショットキーバリアダイオードを含む請求項1記載の半導体デバイスであって、
前記基板は炭化ケイ素を含み、前記基板は2つの面を有し且つ1つの面に高ドープ層を有し、オーミック接触が前記ダイオードに対して1つの接触を形成するために前記高ドープ層の上に形成され、前記基板のもう1つの面に前記高ドープ層と同じ極性である低ドープドリフト層が形成され、前記レニウムショットキーバリア層は、レニウムと低ドープされた炭化ケイ素との接合にショットキーバリアを形成するために前記低ドープ層の上に蒸着されることを特徴とする請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項3】
MESFETを含む請求項1記載の半導体デバイスであって、
前記基板は炭化ケイ素であり且つ1つの極性であるドーパントが少量添加されたチャンネル領域を含む上層を有し、1つ以上の高ドープソース領域と高ドープドレイン領域とを含む層が形成され、前記ソース領域および前記ドレイン領域は、互いに横方向に離間して当該チャンネル層の上に配置され、レニウムショットキーバリア層は、前記チャンネル層の上に且つ前記ソース領域および前記ドレイン領域の間に形成されて前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の電荷の移動を制御することを特徴とする請求項1記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記レニウムショットキーバリア層は、250Å以上であることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記レニウムショットキーバリア層は、2000Åから4000Åまでの間であることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項2または3に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
1つの極性のドーパントが少量添加されたチャンネル領域を含む上層を有する基板と、
1つ以上の高ドープソース領域および高ドープドレイン領域を含む層と、
当該チャンネル層の上に且つ前記ソース領域と前記ドレイン領域との間に配されたレニウムショットキーバリア層と、を含み、
前記ソース領域および前記ドレイン領域は前記チャンネル層の上で互いに横方向に離間しており、前記レニウムショットキーバリア層は、前記ソース領域と前記ドレイン領域との間の電荷の移動を制御することを特徴とするMOSFET。
【請求項10】
前記レニウムショットキーバリア層は、250Å以上の厚さであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項11】
前記レニウムショットキーバリア層は、2000Åから4000Åまでの間の厚さであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項12】
前記基板および前記層は、ワイドバンドギャップ半導体材料を含むことを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項13】
前記半導体材料は4H−SiCであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項14】
前記半導体材料は6H−SiCであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項15】
前記半導体材料は3C−SiCであることを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項16】
前記基板は、前記チャンネル層の下に反対型の極性である緩衝層を含むことを特徴とする請求項9記載のMOSFET。
【請求項17】
炭化ケイ素ショットキーダイオードであって、
2つの面を有する炭化ケイ素の基板と、
1つの面における高ドープ層と、
前記高ドープ層の上のオーミック接触と、
他方の面における低ドープドリフト層と、
前記他方の面に蒸着されたレニウム層と、を含み、
前記オーミック接触は前記ダイオードに対する1つの接触を形成し、前記レニウム層は、レニウムと当該低ドープ炭化ケイ素の面との接合にショットキーバリアを形成することを特徴とする炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項18】
当該裏側オーミック接触は、アニールされたニッケルを含むことを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項19】
前記レニウム層は、250Å以上の厚さであることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項20】
前記レニウム層は、2000Åから4000Åまでの間の厚さであることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項21】
当該レニウム電極を取り囲むターミネーション構造をさらに含むことを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項22】
前記ターミネーション構造は、当該低ドープ炭化ケイ素層の面の損傷を受けた結晶表面領域の全部分または選択部分を含むことを特徴とする請求項21記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項23】
前記ターミネーション構造は、前記レニウム電極を取り囲む前記低ドープ炭化ケイ素層の面の損傷を受けた結晶表面の環状領域を含むことを特徴とする請求項21記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項24】
前記損傷を受けた結晶表面は、アルゴン,クリプトン,キセノンおよびヘリウムからなる郡のうちの1つ以上のイオンまたは原子を使用するイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項22記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項25】
前記損傷を受けた結晶表面は、10eVから1000eVの間の運動エネルギーでイオンまたは原子を使用するイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項24記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項26】
前記低ドープドリフト層はエピタキシャル層であることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項27】
前記炭化ケイ素はn型またはp型であり且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項28】
前記炭化ケイ素はn型またはp型であり且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項29】
前記炭化ケイ素はn型またはp型であり且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項 17記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項30】
炭化ケイ素ショットキーバリアダイオードを形成する方法であって、
1つの導電型である高ドープ層を有する少なくとも1つの面を含む炭化ケイ素の基板を与えるステップと、
前記高ドープ層の面にオーミック接触を形成して前記ダイオードの1つの電極を与えるステップと、
前記基板の他方の面に前記1つの導電型である低ドープ炭化ケイ素層を形成して前記ダイオードに対するドリフト領域を与えるステップと、
前記低ドープ炭化ケイ素層の上にレニウム金属のショットキーバリア接触を形成して前記ダイオードに対する別の電極を与えるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項31】
前記ショットキーバリア接触を形成するステップは、レニウム層を蒸着してマスクし且つ前記レニウム層の一部を除去し、250Åより厚いショットキーバリア接触を与えることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記レニウム層は2000Åから4000Åまでの間の厚さであることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項33】
当該レニウム電極を取り囲むターミネーション構造を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項34】
前記ターミネーション構造を形成するステップは、少なくとも当該レニウム接触の場所を取り囲む領域においての前記低濃度ドープ層の面のイオンミリングを含むことを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記イオンミリングのステップは、前記低ドープ層の面の少なくとも一部にアルゴン,クリプトン,キセノンおよびヘリウムからなる群のうちの1つ以上のイオンを衝突させることを含むことを特徴とする請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記低ドープ炭化ケイ素層を形成するステップは、当該層を形成するために炭化ケイ素をエピタキシャル蒸着することを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項37】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項38】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項39】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項30記載の方法。
【請求項40】
炭化ケイ素ショットキーダイオードであって、
2つの面を有する炭化ケイ素の基板と、
1つの面において陰極領域を形成する高ドープ層と、
前記ダイオードに対する1つの電極接触を形成する、当該n型高ドープ層の上のオーミック接触と、
他方の面における低ドープドリフト層と、
前記他方の面に蒸着されて当該低ドープ炭化ケイ素層の面上にショットキーバリア接合を形成するショットキー金属接触と、
当該低ドープされた面において損傷を受けた結晶構造を含むフィールドターミネーション領域と、を含み、
前記フィールドターミネーション領域は前記ショットキー金属接触の周囲の電界を低減することを特長とする炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項41】
前記損傷を受けた結晶構造は、前記低ドープドリフト層の面を含むことを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項42】
前記損傷を受けた結晶構造は、前記ショットキー金属接触を取り囲む前記低ドープドリフト層の面領域を含むことを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項43】
当該裏側オーミック接触は、アニールされたニッケルを含むことを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項44】
前記ショットキー金属は、レニウム,チタン,タングステン,チタンタングステンおよびそれらの合金からなる郡のうちの1つを含むことを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項45】
前記ショットキー金属または合金層は、2000Åから4000Åまでの間の厚さであることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項46】
当該損傷を受けた結晶面はイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項47】
前記損傷を受けた結晶面は、アルゴン,クリプトン,キセノンおよびヘリウムからなる群のうちの1つ以上を使用するイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項46記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項48】
前記損傷を受けた結晶面は、10eVから1000eVの間の運動エネルギーでイオンまたは原子を使用するイオンミリングによって形成されることを特徴とする請求項47記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項49】
前記低ドープ層は、エピタキシャル層であることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項50】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項51】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項52】
前記炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項40記載の炭化ケイ素ショットキーダイオード。
【請求項53】
ターミネーション構造を含む炭化ケイ素ショットキーバリアデバイスを形成する方法であって、
1つの導電型である高ドープ層を有する少なくとも1つの面を含む炭化ケイ素の基板を与えるステップと、
前記高ドープ層の面にオーミック接触を形成して前記デバイスの1つの電極を与えるステップと、
前記基板の他方の面に前記1つの導電型である低ドープ炭化ケイ素層を形成して前記第オードに対するドリフト領域を与えるステップと、
少なくともレニウム接触の場所を取り囲む領域において当該低ドープ層の面の全部または一部をイオンミリングするステップと、
前記低ドープ層の面のうちのイオンミルされた部分の上のまたは当該部分に隣接した前記低ドープ炭化ケイ素層の上にショットキーバリア接触を形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項54】
前記低ドープ層の面は、ブランケットイオンミルされることを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項55】
前記低ドープ層の表面をマスクし且つイオンミリングのために前記低ドープ層の表面の選択部分を露出するように当該マスク層の選択部を除去するステップをさらに含むことを特徴とする請求項54記載の方法。
【請求項56】
前記低ドープ層の表面の一部は、前記ショットキーバリア接触によって覆われた層部分を取り囲むことを特徴とする請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記ショットキーバリア接触の材料は、レニウム,チタン,タングステンおよびチタンタングステンからなる群のうちの1つ以上の金属または合金を含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項58】
前記ショットキーバリア接触を形成するステップは、ショットキーバリア材料を少なくとも250Åの厚さに蒸着することを含むことを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記厚さは、2000Åから4000Åまでの間であることを特徴とする請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記イオンミリングするステップは、前記低ドープ層の表面の全部または一部にアルゴンまたは他の希ガスのイオンを衝突させることを含むことを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項61】
前記低ドープ層を形成するステップは、当該層を形成するために炭化ケイ素をエピタキシャル蒸着することを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項62】
炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ4H−SiCであることを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項63】
炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ6H−SiCであることを特徴とする請求項53記載の方法。
【請求項64】
炭化ケイ素は、n型またはp型にドープされ且つ3C−SiCであることを特徴とする請求項53記載の方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2007−529908(P2007−529908A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504119(P2007−504119)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/008943
【国際公開番号】WO2005/091988
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(599011355)フェアチャイルド・セミコンダクター・コーポレーション (62)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/008943
【国際公開番号】WO2005/091988
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(599011355)フェアチャイルド・セミコンダクター・コーポレーション (62)
【Fターム(参考)】
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