説明

物体処理装置、露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法

【課題】基板の対する処理を高精度で行う。
【解決手段】 基板Pの下方には、基板Pの下面にエアを噴出する複数のエア浮上ユニット50が配置され、基板Pは、概ね水平となるように非接触支持される。また、基板Pは、定点ステージ40により被露光部位が下方から非接触保持され、その被露光部位の面位置がピンポイントで調整される。従って、基板Pに高精度で露光を行うことができ、かつ基板ステージ装置PSTの構成を簡単にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体処理装置、露光装置及び露光方法、並びにデバイス製造方法に係り、更に詳しくは、平板状の物体に対して所定の処理を行う物体処理装置、前記物体をエネルギビームで露光する露光装置及び露光方法、並びに前記物体処理装置、前記露光装置及び前記露光方法のいずれかを用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示素子、半導体素子(集積回路等)等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置では、露光対象物として表面に感光剤が塗布されたガラスプレート、あるいはウエハなどの基板(以下、基板と総称する)は、基板ステージ装置上に載置される。そして、回路パターンが形成されたマスク(あるいはレチクル)に露光光を照射し、該マスクを介した露光光を投影レンズ等の光学系を介して基板に照射することで、回路パターンが基板上に転写される(例えば、特許文献1(及び対応する特許文献2)参照)。
【0004】
ここで、近年、露光装置の露光対象物である基板、特に液晶表示素子用の基板(矩形のガラス基板)は、そのサイズが、例えば一辺3メートル以上になるなど大型化する傾向にあり、これに伴い露光装置のステージ装置も大型化し、その重量も増大している。このため、露光対象物(基板)を高速、且つ高精度で案内でき、さらに小型化、軽量化を図ることが可能な簡単な構成のステージ装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2008/129762号
【特許文献2】米国特許出願公開第2010/0018950号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、互いに直交する第1及び第2軸を含む所定の二次元平面に沿って配置された平板状の物体に対して所定の処理を行う物体処理装置であって、前記物体の一面側の一部の領域に所定の動作を実行する実行装置と;前記物体のうち、前記一部の領域を含む部分を、前記物体の下方から非接触状態で保持する保持面を有し、前記部分の前記二次元平面に交差する方向の位置を調整する調整装置と;前記物体の前記調整装置に保持される部分を除く他の領域に支持面を対向させて前記物体を下方から非接触支持する非接触支持装置と;を備える物体処理装置が、提供される。
【0007】
これによれば、平板状の物体は、非接触支持装置により下方から非接触支持される。また、物体は、実行装置により、その一部分に所定の動作が行われるが、その所定の動作が行われる部分が、特に調整装置により下方から非接触保持され、その部分の二次元平面に交差する方向の位置が調整される。従って、物体に精度良く所定の処理を行うことができる。また、調整装置が、物体のうち、所定の動作が行われる部分のみをピンポイントで調整するので、物体全体の二次元平面に交差する方向の位置を調整する場合に比べ装置構成を簡単にすることができる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、エネルギビームを照射して物体を露光することにより所定のパターンを前記物体上に形成する露光装置であって、互いに直交する第1及び第2軸を含む所定の二次元平面に沿って配置された前記物体の前記エネルギビームが照射される一部の領域を含む部分を、前記物体の下方から非接触状態で保持する保持面を有する部材を含み、前記部分の前記二次元平面に交差する方向の位置を調整する定点ステージと;前記物体の前記保持面に保持される部分を除く他の領域に支持面を対向させて前記物体を下方から非接触支持する非接触支持装置と;を備える露光装置が、提供される。
【0009】
これによれば、平板状の物体は、非接触支持装置により下方から非接触支持される。また、物体は、エネルギビームが照射される一部の領域を含む部分が、特に定点ステージにより下方から非接触保持され、その部分の二次元平面に交差する方向の位置が調整される。従って、物体を精度良く露光することができる。また、定点ステージが、物体のうち、エネルギビームが照射される部分のみをピンポイントで調整するので、物体全体の二次元平面に交差する方向の位置を調整する場合に比べ装置構成を簡単にすることができる。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、本発明の物体処理装置又は露光装置を用いて前記物体を露光することと;前記露光された物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が、提供される。
【0011】
ここで、物体としてフラットパネルディスプレイ用の基板を用いることにより、デバイスとしてフラットパネルディスプレイを製造する製造方法が提供される。
【0012】
本発明の第4の態様によれば、エネルギビームを照射して物体を露光することにより所定のパターンを前記物体上に形成する露光方法であって、互いに直交する第1及び第2軸を含む所定の二次元平面に沿って配置された前記物体の前記エネルギビームが照射される一部の領域を含む部分を、前記物体の下方から前記二次元平面内の位置が固定の保持部材により非接触状態で保持し、前記部分の前記二次元平面に交差する方向の位置を調整することと;前記物体の前記保持部材に保持される部分を除く他の領域に支持部材の支持面を対向させて前記物体を下方から非接触支持することと;を含む露光方法が、提供される。
【0013】
これによれば、物体は、支持部材により下方から非接触支持される。また、物体は、エネルギビームが照射される一部の領域を含む部分が、特に二次元平面内の位置が固定の保持部材により下方から非接触保持され、その部分の二次元平面に交差する方向の位置が調整される。従って、物体を精度良く露光することができる。また、保持部材が、物体のうち、エネルギビームが照射される部分のみをピンポイントで調整する。
【0014】
本発明の第5の態様によれば、本発明の露光方法を用いて前記物体を露光することと;前記露光された物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態の液晶露光装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の液晶露光装置が有する基板ステージ装置の平面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2の基板ステージ装置が有する定点ステージの断面図である。
【図5】図5(A)は図2の基板ステージ装置が有する基板保持枠の一部を拡大して示す平面図であり、図5(B)は、図5(A)のB−B線断面図である。
【図6】図6(A)〜図6(C)は、基板に露光処理を行う際の基板ステージ装置の動作を説明するための図である。
【図7】図7(A)は、第2の実施形態に係る基板ステージ装置の平面図であり、図7(B)は、図7(A)のC−C線断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る基板ステージ装置の平面図である。
【図9】第4の実施形態に係る基板ステージ装置の平面図である。
【図10】図9のD−D線断面図である。
【図11】第5の実施形態に係る基板ステージ装置の平面図である。
【図12】図11のE−E線断面図である。
【図13】第6の実施形態に係る基板ステージ装置の平面図である。
【図14】第7の実施形態に係る基板ステージ装置の平面図である。
【図15】図14の基板ステージ装置を+X側から見た側面図である。
【図16】第8の実施形態に係る基板ステージ装置の平面図である。
【図17】第9の実施形態に係る基板検査装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《第1の実施形態》
以下、本発明の第1の実施形態について、図1〜図6(C)に基づいて説明する。
【0017】
図1には、第1の実施形態に係るフラットパネルディスプレイ、例えば液晶表示装置(液晶パネル)などの製造に用いられる液晶露光装置10の概略構成が示されている。液晶露光装置10は、液晶表示装置の表示パネルに用いられる矩形のガラス基板P(以下、単に基板Pと称する)を露光対象物とするステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。
【0018】
液晶露光装置10は、図1に示されるように、照明系IOP、マスクMを保持するマスクステージMST、投影光学系PL、上記マスクステージMST及び投影光学系PLなどが搭載されたボディBD、基板Pを保持する基板ステージ装置PST、及びこれらの制御系等を備えている。以下においては、露光時にマスクMと基板Pとが投影光学系PLに対してそれぞれ相対走査される方向をX軸方向とし、水平面内でこれに直交する方向をY軸方向、X軸及びY軸に直交する方向をZ軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向として説明を行う。
【0019】
照明系IOPは、例えば米国特許第6,552,775号明細書などに開示される照明系と同様に構成されている。すなわち、照明系IOPは、図示しない光源(例えば、水銀ランプ)から射出された光を、それぞれ図示しない反射鏡、ダイクロイックミラー、シャッター、波長選択フィルタ、各種レンズなどを介して、露光用照明光(照明光)ILとしてマスクMに照射する。照明光ILとしては、例えばi線(波長365nm)、g線(波長436nm)、h線(波長405nm)などの光(あるいは、上記i線、g線、h線の合成光)が用いられる。また、照明光ILの波長は、波長選択フィルタにより、例えば要求される解像度に応じて適宜切り替えることが可能になっている。
【0020】
マスクステージMSTには、回路パターンなどがそのパターン面(図1における下面)に形成されたマスクMが、例えば真空吸着(あるいは静電吸着)により固定されている。マスクステージMSTは、後述するボディBDの一部である鏡筒定盤31の上面に固定された一対のマスクステージガイド35上に、例えば不図示のエアベアリングを介して非接触状態で浮上支持されている。マスクステージMSTは、例えばリニアモータを含むマスクステージ駆動系(不図示)により、一対のマスクステージガイド35上で、走査方向(X軸方向)に所定のストロークで駆動されるとともに、Y軸方向、及びθz方向にそれぞれ適宜微少駆動される。マスクステージMSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、不図示のレーザ干渉計を含むマスク干渉計システムにより計測される。
【0021】
投影光学系PLは、マスクステージMSTの図1における下方において、鏡筒定盤31に支持されている。本実施形態の投影光学系PLは、例えば米国特許第6,552,775号明細書に開示された投影光学系と同様の構成を有している。すなわち、投影光学系PLは、マスクMのパターン像の所定形状、例えば台形の投影領域が千鳥状に配置された複数の投影光学系(マルチレンズ投影光学系)を含み、Y軸方向を長手方向とする長方形状の単一のイメージフィールドを持つ投影光学系と同等に機能する。本実施形態では、複数の投影光学系それぞれとしては、例えば両側テレセントリックな等倍系で正立正像を形成するものが用いられている。また、以下では投影光学系PLの千鳥状に配置された複数の投影領域をまとめて露光領域IA(図2参照)と呼ぶ。
【0022】
このため、照明系IOPからの照明光ILによってマスクM上の照明領域が照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面とがほぼ一致して配置されるマスクMを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のマスクMの回路パターンの投影像(部分正立像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布された基板P上の照明領域に共役な照明光ILの照射領域(露光領域IA)に形成される。そして、マスクステージMSTと基板ステージ装置PSTとの同期駆動によって、照明領域(照明光IL)に対してマスクMを走査方向(X軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対して基板Pを走査方向(X軸方向)に相対移動させることで、基板P上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にマスクMのパターン(マスクパターン)が転写される。すなわち、本実施形態では照明系IOP及び投影光学系PLによって基板P上にマスクMのパターンが生成され、照明光ILによる基板P上の感応層(レジスト層)の露光によって基板P上にそのパターンが形成される。
【0023】
ボディBDは、例えば米国特許出願公開第2008/0030702号明細書などに開示されているように、前述した鏡筒定盤31と、鏡筒定盤31の+Y側、−Y側の端部それぞれを床面F上で下方から支持する一対の支持壁32とを有している。一対の支持壁32それぞれは、例えば空気バネを含む防振台34を介して床面F上に支持されており、ボディBDは、床面Fに対して振動的に分離されている。また、一対の支持壁32相互間にはY軸に平行に延設された断面矩形状(図3参照)の部材から成るYビーム33が架設されている。Yビーム33の下面と、後述する定盤12の上面との間には、所定のクリアランスが形成されている。すなわち、Yビーム33と定盤12とは、非接触であり、振動的に分離されている。
【0024】
基板ステージ装置PSTは、床面F上に設置された定盤12と、露光領域IA(図2参照)の直下で基板Pを下方から非接触保持する定点ステージ40(図2参照)と、定盤12上に設置された複数のエア浮上ユニット50と、基板Pを保持する基板保持枠60と、基板保持枠60をX軸方向、及びY軸方向に(XY平面に沿って)駆動する駆動ユニット70と、を備えている。
【0025】
図2に示されるように、定盤12は、平面視(+Z側から見て)でX軸方向を長手方向とする矩形板状の部材から成る。
【0026】
定点ステージ40は、定盤12上の中央よりも幾分−X側の位置に配置されている。また、図4に示されるように、定点ステージ40は、Yビーム33上に搭載された重量キャンセラ42、重量キャンセラ42に支持されるチャック部材(エアチャックユニット)80、エアチャックユニット80をXY平面に交差する方向に駆動するためのアクチュエータ、例えば複数のZボイスコイルモータ(以下、Z−VCMと略述する)、などを備えている。
【0027】
重量キャンセラ42は、例えばYビーム33に固定されたケース43と、ケース43内の最下部に収容された空気バネ44と、空気バネ44に支持されたZスライダ45と、を備えている。ケース43は、+Z側が開口した有底筒状の部材から成る。空気バネ44は、ゴム系の材料により形成された中空の部材から成るベローズ44aと、ベローズ44aの上方(+Z側)、及び下方(−Z側)に配置されたXY平面に平行な一対のプレート44b(例えば、金属板)と、を有する。ベローズ44aの内部は、図示しない気体供給装置から気体が供給されることにより、外部に比べて気圧の高い陽圧空間となっている。重量キャンセラ42は、空気バネ44が発生する上向き(+Z方向)の力で、基板P、エアチャックユニット80、Zスライダ45等の重量(重力加速度による下向き(−Z方向)の力)を打ち消すことにより、複数のZ−VCMに対する負荷を低減する。
【0028】
Zスライダ45は、その下端部が空気バネ44の+Z側に配置されたプレート44bに固定された、Z軸に平行に延設された柱状の部材から成る。Zスライダ45は、複数の平行板バネ46を介してケース43の内壁面に接続されている。平行板バネ46は、上下方向に離間して配置された、XY平面に平行な一対の板バネを有している。平行板バネ46は、Zスライダ45の+X側、−X側、+Y側、−Y側の、例えば計4箇所で、Zスライダ45とケース43とを接続している(Zスライダ45の+Y側及び−Y側の平行板バネは図示省略)。Zスライダ45は、各平行板バネ46の剛性(引張剛性)によりケース43に対するXY平面に平行な方向への相対移動が制限されるのに対し、Z軸方向には、各平行板バネ46の可撓性により、ケース43に対してZ軸方向に微少ストロークで相対移動可能となっている。従って、Zスライダ45は、ベローズ44a内の気体の圧力が調整されることにより、Yビーム33に対して上下動する。なお、基板Pの重量をキャンセルするための上向きの力を発生する部材としては、上記空気バネ(ベローズ)に限らず、例えばエアシリンダ、コイルバネなどであっても良い。また、ZスライダのXY平面内の位置を拘束する部材としては、例えばZスライダの側面に軸受面が対向する非接触スラスト軸受(例えばエアベアリングなどの気体静圧軸受)などを用いることもできる(国際公開第2008/129762号(対応米国特許出願公開第2010/0018950号明細書)参照)。
【0029】
エアチャックユニット80は、基板Pの露光領域IAに対応する部位(被露光部位)を、基板Pの下面側から非接触で吸着保持するチャック本体81と、チャック本体81を下方から支持するベース82と、を含む。チャック本体81の上面(+Z側の面)は、平面視でY軸方向を長手方向とする長方形となっており(図2参照)、その中心は、露光領域IAの中心と概ね一致している。また、チャック本体81の上面の面積は、露光領域IAよりも広く設定されており、特にスキャン方向であるX軸方向の寸法は、露光領域IAのX軸方向の寸法よりも長く設定されている。
【0030】
チャック本体81は、その上面に図示しない複数の気体噴出孔を有しており、図示しない気体供給装置から供給される気体、例えば高圧空気を基板Pの下面に向けて噴出することにより、基板Pを浮上支持する。さらに、チャック本体81は、その上面に図示しない複数の気体吸引孔を有している。チャック本体81には、図示しない気体吸引装置(バキューム装置)が接続されており、その気体吸引装置は、チャック本体81の気体吸引孔を介して、チャック本体81上面と基板P下面との間の気体を吸引し、チャック本体81と基板Pとの間に負圧を発生させる。エアチャックユニット80は、チャック本体81から基板Pの下面に噴出する気体の圧力と、基板Pの下面との間の気体を吸引する際の負圧とのバランスにより、基板Pを非接触で吸着保持する。このように、エアチャックユニット80は、基板Pに、いわゆるプリロードをかけるので、チャック本体81と基板Pとの間に形成される気体(エア)膜の剛性を高くすることができ、仮に基板Pに歪み、あるいは反りがあったとしても、基板Pのうち投影光学系PLの直下に位置する被露光部位を確実にチャック本体81の保持面に沿って矯正することができる。ただし、エアチャックユニット80は、基板PをそのXY平面内の位置を拘束しないので、基板Pは、エアチャックユニット80により吸着保持された状態であっても、照明光IL(図1参照)に対してX軸方向(スキャン方向)及びY軸方向(ステップ方向)にそれぞれ相対移動することができる。
【0031】
ここで、図5(B)に示されるように、本実施形態では、チャック本体81の上面(基板保持面)と、基板Pの下面との間の距離Da(クリアランス)が、例えば0.02mm程度となるように、チャック本体81の上面から噴出される気体の流量又は圧力、及び気体吸引装置が吸引する気体の流量又は圧力が設定されている。なお、気体噴出孔、及び気体吸引孔は、機械的な加工により形成されたものであっても良いし、チャック本体81を多孔質材料で形成し、その孔部を用いても良い。この種のエアチャックユニット(バキューム・プリロード・エアベアリング)の構成、機能の詳細については、例えば国際公開第2008/121561号などに開示されている。
【0032】
図4に戻り、ベース82の下面中央には、半球面状の軸受面を有する気体静圧軸受、例えば球面エアベアリング83が固定されている。球面エアベアリング83は、Zスライダ45の+Z側の端面(上面)に形成された半球状の凹部45aに嵌合している。これにより、エアチャックユニット80が、XY平面に対して揺動自在(θx及びθy方向に回転自在)にZスライダ45に支持される。なお、エアチャックユニット80をXY平面に対して揺動自在に支持する構造としては、例えば国際公開第2008/129762号(対応米国特許出願公開第2010/0018950号明細書)に開示されるような、複数のエアパッド(エアベアリング)を用いた疑似球面軸受構造であっても良いし、弾性ヒンジ装置を用いても良い。
【0033】
複数、本実施形態では4つのZ−VCMは、重量キャンセラ42の+X側、−X側、+Y側、−Y側それぞれに、1つずつ設けられている(−Y側のZ―VCMは、図3参照。+Y側のZ−VCMは、図示省略)。4つのZ−VCMは、その設置位置が異なる以外は、同一の構成及び機能を有している。4つのZ−VCMそれぞれは、定盤12上に設置されたベースフレーム85に固定されたZ固定子47と、エアチャックユニット80のベース82に固定されたZ可動子48とを含む。
【0034】
ベースフレーム85は、平面視で円環状に形成された板状部材から成る本体部85aと、本体部85aを定盤12上で下方から支持する複数の脚部85bと、を含む。本体部85aは、Yビーム33の上方に配置され、その中央部に形成された開口部内に重量キャンセラ42が挿入されている。このため、本体部85aは、Yビーム33、及び重量キャンセラ42それぞれと非接触となっている。複数(ただし、3本以上)の脚部85bそれぞれは、Z軸に平行に延設された部材から成り、+Z側の端部が本体部85aに接続され、−Z側の端部が定盤12に固定されている。複数の脚部85bそれぞれは、Yビーム33に複数の脚部85bそれぞれに対応して形成された、Z軸方向に貫通する複数の貫通孔33aに挿入されており、Yビーム33とは非接触となっている。
【0035】
Z可動子48は、断面逆U字状の部材から成り、一対の対向面それぞれに磁石を含む磁石ユニット49を有している。一方、Z固定子47は、コイルを含むコイルユニット(図示省略)を有しており、そのコイルユニットは、一対の磁石ユニット49間に挿入されている。Z固定子47のコイルに供給される電流の大きさ、向きは、図示しない主制御装置により制御され、コイルユニットのコイルに電流が供給されると、コイルユニットと磁石ユニットとの電磁的相互作用により発生する電磁力(ローレンツ力)により、Z可動子48(すなわちエアチャックユニット80)がZ固定子47(すなわちベースフレーム85)に対してZ軸方向に駆動される。図示しない主制御装置は、4つのZ−VCMを同期制御することにより、エアチャックユニット80をZ軸方向に駆動する(上下動させる)。また、主制御装置は、4つのZ固定子47が有するコイルそれぞれに供給する電流の大きさ、向きを適宜制御することにより、エアチャックユニット80をXY平面に対して任意の方向に揺動させる(θx方向、θy方向に駆動する)。定点ステージ40は、これにより基板Pの被露光部位のZ軸方向の位置、及びθx、θy方向の位置の少なくともひとつの位置を調整する。なお、本実施形態のX軸VCM、Y軸VCM、及びZ軸VCMそれぞれは、可動子が磁石ユニットを有するムービングマグネット式のボイスコイルモータであるが、これに限らず、可動子がコイルユニットを有するムービングコイル式のボイスコイルモータであっても良い。また、駆動方式もローレンツ力駆動方式以外の駆動方式であっても良い。
【0036】
ここで、4つのZ−VCMそれぞれのZ固定子47は、ベースフレーム85上に搭載されているため、4つのZ−VCMを用いてエアチャックユニット80をZ軸方向、あるいはθx方向、θy方向に駆動する際にZ固定子47に作用する駆動力の反力は、Yビーム33に伝達されない。従って、Z−VCMを用いてエアチャックユニット80を駆動しても、重量キャンセラ42の動作には、何ら影響がない。また、Yビーム33を有するボディBDにも駆動力の反力が伝達されないので、Z−VCMを用いてエアチャックユニット80を駆動しても、投影光学系PLなどにその駆動力の反力の影響が及ぶことがない。なお、Z−VCMは、エアチャックユニットをZ軸方向に沿って上下動させること、及びXY平面に対して任意の方向に揺動させることができれば良いので、例えば同一直線上にない3箇所に設けられていれば、3つでも良い。
【0037】
Z−VCMにより駆動されるエアチャックユニット80の位置情報は、複数、本実施形態では、例えば4つのZセンサ86を用いて求められる。Zセンサ86は、4つのZ−VCMに対応して、重量キャンセラ42の+X側、−X側、+Y側、−Y側それぞれに、1つずつ設けられている(+Y側、−Y側のZセンサは、図示省略)。これにより、本実施形態では、Z−VCMにより駆動される被駆動物(ここでは、エアチャックユニット80)上におけるZ−VCMによる駆動点(駆動力の作用点)とZセンサ86による計測点とを近づけることで、計測点と駆動点との間の被駆動物の剛性を高くして、Zセンサ86の制御性を高くしている。すなわち被駆動物による駆動量に対応した正確な計測値をZセンサ86が出力することで、位置決め時間の短縮を図っている。Zセンサ86は、制御性を高くする観点からは、サンプリング周期も短いものが望ましい。
【0038】
4つのZセンサ86それぞれは、実質的に同じものである。Zセンサ86は、エアチャックユニット80のベース82の下面に固定されたターゲット87と共に、Yビーム33を基準とするエアチャックユニット80のZ軸方向の位置情報を求める、例えば静電容量式(あるいは渦電流式)位置センサを構成している。図示しない主制御装置は、4つのZセンサ86の出力に基づいてエアチャックユニット80のZ軸方向及びθx、θy各方向に関する位置情報を常時求め、その計測値に基づいて4つのZ−VCMを適宜制御することによりエアチャックユニット80の上面の位置を制御する。ここで、エアチャックユニット80の最終的な位置は、近接上空を通過する基板Pの露光面(例えば上面となるレジスト表面)が、常に投影光学系PLの焦点位置と実質的に一致する(すなわち、投影光学系PLの焦点深度内に入る)ように制御される。図示しない主制御装置は、不図示の面位置計測系(オートフォーカス装置)により、基板Pの上面の位置(面位置)をモニタしつつ、その基板Pの上面が投影光学系PLの焦点深度内に常に位置するように(投影光学系PLが常に基板P上面に合焦しているように)、エアチャックユニット80を制御性の高いZセンサ86の位置情報を用いて駆動制御している。ここで、面位置計測系(オートフォーカス装置)は、露光領域IA内でY軸方向の位置が異なる複数の計測点を有している。例えば、各投影領域内に少なくとも1個、計測点が配置されている。この場合、その複数の計測点は、複数の投影領域の千鳥状の配置に応じて、X軸方向に離れて2列配置されることになる。従って、その複数の計測点の計測値(面位置)に基づいて、露光領域IA部分の基板P表面のZ位置に加え、基板Pのピッチング量(θy回転)、及びローリング量(θx回転)を求めることができる。また、面位置計測系は、その複数の計測点とは別に、あるいはそれに加えて、露光領域IAのY軸方向(非走査方向)の外側に計測点を有していても良い。この場合、その外側の計測点を含むY軸方向の最外に位置する2つの計測点の計測値を用いることで、ローリング量(θx回転)を、より正確に求めることが可能になる。また、面位置計測系は、露光領域IAの外側にX軸方向(走査方向)に少し離れた位置に、別の計測点を有していても良い。この場合には、基板Pのフォーカス・レベリングのいわゆる先読み制御が可能になる。この他、面位置計測系は、各投影領域内に少なくとも1個配置された複数の計測点に代えて、あるいは加えて、露光領域IAからX軸方向(走査方向)に離れた位置にY軸方向に配列された複数の計測点(その配置領域は、露光領域IAのY軸方向の位置に対応する)を有していても良い。かかる場合には、露光開始に先立って、例えばアライメント計測時に、基板Pの面位置の分布を事前に取得するフォーカスマッピングが可能になる。露光時には、そのフォーカスマッピングで得た情報を用いて、基板Pのフォーカス・レベリング制御が行われる。基板のフォーカスマッピング及びその情報を用いる露光時の基板のフォーカス・レベリング制御については、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに詳細に開示されている。
【0039】
なお、Zセンサは、エアチャックユニット80のZ軸方向及びθx、θy各方向に関する位置情報を求めることができれば良いので、例えば同一直線上にない3箇所に設けられていれば、3つでも良い。
【0040】
複数のエア浮上ユニット50(本実施形態では、例えば34台)は、基板Pが水平面に略平行となるように、基板P(ただし、前述の定点ステージ40に保持される基板Pの被露光部位を除く領域)を下方から非接触支持することにより、基板Pに外部からの振動が伝達されることを防止したり、基板Pがその自重により変形して(撓んで)割れることを防止したり、あるいは基板Pの自重によるZ軸方向への撓みに起因して発生する、基板PのXY各方向の寸法誤差(又はXY平面内の位置ずれ)の発生を抑制したりする。
【0041】
複数のエア浮上ユニット50それぞれは、その配置位置が異なる以外は実質的に同じものである。本実施形態では、図2に示されるように、定点ステージ40の+Y側及び−Y側に、例えば各1台のエア浮上ユニット50が配置され、定点ステージ40の+X側、−X側それぞれに、Y軸方向に沿って等間隔で配列された、例えば8台のエア浮上ユニット50から成るエア浮上ユニット列が、X軸方向に沿って各2列、所定間隔で配置されている。すなわち、複数のエア浮上ユニット50は、定点ステージ40の周囲を囲むように配置されている。以下、4列のエア浮上ユニット列について、便宜上−X側から順に第1〜第4列目と称するとともに、各エア浮上ユニット列を構成する8台のエア浮上ユニットについて、便宜上−Y側から順に第1〜第8台目と称して説明する。
【0042】
各エア浮上ユニット50は、図3に示されるように、例えば基板Pの下面に気体(例えば空気)を噴出する本体部51、本体部51を下方から支持する支持部52、及び支持部52を定盤12上で下方から支持する一対の脚部53、を含む。本体部51は、直方体状の部材から成り、その上面(+Z側の面)に、複数の気体噴出孔を有している。本体部51は、気体(エア)を基板Pの下面に向けて噴出することにより基板Pを浮上支持し、基板PがXY平面に沿って移動する際、その移動をガイドする。複数のエア浮上ユニット50それぞれの上面は、同一のXY平面上に位置している。なお、エア浮上ユニットは、外部に設けられた図示しない気体供給装置から気体が供給されるように構成しても良いし、エア浮上ユニット自体が、例えばファンなどの送気装置を有していても良い。本実施形態では、図5(B)に示されるように、本体部51の上面(エア噴出面)と、基板Pの下面との間の距離Db(クリアランス)が、例えば0.8mm程度となるように、本体部51から噴出される気体の圧力及び流量が設定されている。なお、気体噴出孔は、機械的な加工により形成されたものであっても良いし、本体部を多孔質材料で形成し、その孔部を用いても良い。
【0043】
支持部52は、平面視長方形の板状部材から成り、その下面が一対の脚部53に支持されている。なお、定点ステージ40の+Y側、−Y側それぞれに配置された一対(2台)のエア浮上ユニット50の脚部は、Yビーム33に接触しないように構成されている(例えば、逆U字状に形成され、Yビーム33を跨いで配置されている)。なお、複数のエア浮上ユニットの数、及びその配置は、上記説明で例示したものに限られず、例えば基板Pの大きさ、形状、重量、移動可能範囲、あるいは各エア浮上ユニットの能力などに応じて適宜変更が可能である。また、各エア浮上ユニットの支持面(気体噴出面)の形状、隣接するエア浮上ユニット間の間隔なども、特に限定されない。要は、エア浮上ユニットは、基板Pの移動可能範囲の全体(あるいは移動可能範囲よりも幾分広い領域)をカバーするように配置されていれば良い。
【0044】
基板保持枠60は、図2に示されるように、平面視でX軸方向を長手方向とする矩形の外形形状(輪郭)を有し、中央部にZ軸方向に貫通する平面視矩形の開口部を有する厚さ方向寸法が小さい(薄い)枠状に形成されている。基板保持枠60は、X軸方向を長手方向とするXY平面に平行な平板状の部材であるX枠部材61xを、Y軸方向に所定間隔で一対有し、一対のX枠部材61xは、+X側、−X側の端部それぞれにおいて、Y軸方向を長手方向とするXY平面に平行な平板状の部材であるY枠部材61yにより接続されている。一対のX枠部材61x、及び一対のY枠部材61yそれぞれは、例えばGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)などの繊維強化合成樹脂材料、あるいはセラミックスなどにより形成することが、剛性の確保、及び軽量化の観点から好ましい。
【0045】
−Y側のX枠部材61xの上面には、−Y側の面にY軸に直交する反射面を有するY移動鏡62yが固定されている。また、−X側のY枠部材61yの上面には、−X側の面にX軸に直交する反射面を有するX移動鏡62xが固定されている。基板保持枠60(すなわち基板P)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、X移動鏡62xの反射面に測長ビームを照射する複数、例えば2台のXレーザ干渉計63x、及びY移動鏡62yの反射面に測長ビームを照射する複数、例えば2台のYレーザ干渉計63yを含むレーザ干渉計システムにより、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。Xレーザ干渉計63x、Yレーザ干渉計63yは、それぞれ所定の固定部材64x、64yを介してボディBD(図3では不図示。図1参照)に固定されている。なお、Xレーザ干渉計63x、Yレーザ干渉計63yは、それぞれ基板保持枠60の移動可能範囲内で、少なくとも一つの干渉計からの測長ビームが対応する移動鏡に照射されるように、その台数及び間隔が設定されている。従って、各干渉計の台数は2台に限定されず、基板保持枠の移動ストロークによっては、例えば1台のみ、あるいは3台以上であっても良い。また、複数の測長ビームを用いる場合、光学系を複数設け、光源や制御ユニットは複数の測長ビームで共用しても良い。
【0046】
基板保持枠60は、基板Pの端部(外周縁部)を下方から真空吸着保持する複数、例えば4つの保持ユニット65を有している。4つの保持ユニット65は、一対のX枠部材61xそれぞれの互いに対向する対向面に2つずつ、X軸方向に離間して取り付けられている。なお、保持ユニットの数及び配置は、これに限られず、例えば基板の大きさ、撓みやすさなどに応じて適宜追加しても良い。また、保持ユニット65は、Y枠部材に取り付けられても良い。
【0047】
図5(A)及び図5(B)から分かるように、保持ユニット65は、YZ断面L字状に形成されたハンド66を有している。ハンド66の基板載置面には、基板Pを例えば真空吸着により吸着するための吸着パッド67が設けられている。また、ハンド66の上端部には、図示しないバキューム装置に一端が接続されたチューブ(図示省略)の他端が接続される継手部材68が設けられている。吸着パッド67と継手部材68とは、ハンド66内部に設けられた配管部材を介して連通している。ハンド66とX枠部材61xとの互いに対向する対向面には、それぞれ凸状に張り出した凸状部69aが形成され、その互いに対向する一対の凸状部69a間には、Z軸方向に離間した一対のXY平面に平行な板バネ69が複数のボルト69bを介して架設されている。すなわち、ハンド66とX枠部材61xとは、平行板バネにより接続されている。従って、ハンド66は、X枠部材61aに対してX軸方向、及びY軸方向に関しては、板バネ69の剛性によりその位置が拘束されるのに対し、Z軸方向(鉛直方向)には、板バネ69の弾性により、θx方向に回転することなくZ軸方向に変位(上下動)することができる。
【0048】
ここで、ハンド66の下端面(−Z側端面)は、一対のX枠部材61x及び一対のY枠部材61yそれぞれの下端面(−Z側端面)よりも−Z側に張り出している。ただし、ハンド66の基板載置面の厚みTは、エア浮上ユニット50の気体噴出面と、基板Pの下面との間の距離Db(本実施形態では、例えば0.8mm程度)よりも薄く(例えば、0.5mm程度に)設定されている。このため、ハンド66の基板載置面の下面と、複数のエア浮上ユニット50の上面との間には、例えば0.3mm程度のクリアランスが形成され、基板保持枠60が複数のエア浮上ユニット50上をXY平面に平行に移動する際、ハンド66とエア浮上ユニット50とは接触しない。なお、図6(A)〜図6(C)に示されるように、基板Pの露光動作中、ハンド66は、定点ステージ40の上方を通過することがないので、ハンド66とエアチャックユニット80とが接触することもない。なお、ハンド66の基板載置面部は、上述のように厚みが薄いのでZ軸方向の剛性が低いが、基板Pに当接する部分(XY平面に平行な平面部)の面積を広くすることができるので、吸着パッドを大型化することができ、基板の吸着力が向上する。また、ハンド自体のXY平面に平行な方向な剛性を確保することができる。
【0049】
駆動ユニット70は、図3に示されるように、定盤12上に固定されたXガイド71と、Xガイド71に搭載され、Xガイド71上をX軸方向に移動可能なX可動部72と、X可動部72に搭載されたYガイド73と、Yガイド73に搭載され、Yガイド73上をY軸方向に移動可能なY可動部74と、を有している。基板保持枠60は、図2に示されるように、+X側のY枠部材61yがY可動部74に固定されている。
【0050】
Xガイド71は、図2に示されるように定点ステージ40の+X側であって、第3及び第4列目のエア浮上ユニット列それぞれを構成する4台目のエア浮上ユニット50と、5台目のエア浮上ユニット50と、の間に配置されている。また、Xガイド71は、第4列目のエア浮上ユニット列よりもさらに+X側に延びている。なお、図3では、図面の錯綜を避ける観点から、エア浮上ユニット50の図示が一部省略されている。Xガイド71は、X軸方向を長手方向とするXZ平面に平行な板状の部材から成る本体部71aと、本体部71aを定盤12上で支持する複数、例えば3つの支持台71bと、を有している(図1参照)。本体部71aは、その上面が複数のエア浮上ユニット50それぞれの支持部52よりも下方に位置するように、そのZ軸方向の位置が設定されている。
【0051】
本体部71aの+Y側の側面、−Y側の側面、及び上面(+Z側の面)には、図1に示されるように、それぞれX軸に平行に延設されたXリニアガイド75が固定されている。また、本体部71aの+Y側、−Y側それぞれの側面には、X軸方向に沿って配列された複数の磁石を含む磁石ユニット76が固定されている(図3参照)。
【0052】
X可動部72は、図1に示されるように、YZ断面が逆U字状の部材から成り、一対の対向面間に前述のXガイド71が挿入されている。X可動部72の内側面(天井面及び互いに対向する一対の対向面)には、それぞれ断面U字状に形成されたスライダ77が固定されている。スライダ77は、図示しない転動体(例えばボール、ころなど)を有し、Xリニアガイド75にスライド可能な状態で係合(嵌合)している。また、X可動部72の一対の対向面それぞれには、コイルを含むコイルユニット78が、Xガイド71に固定された磁石ユニット76に対向して固定されている。一対のコイルユニット78は、一対の磁石ユニット76との電磁的相互作用によりX可動部72をXガイド71上でX軸方向に駆動する電磁力駆動方式のXリニアモータを構成している。コイルユニット78のコイルに供給される電流の大きさ、方向は、不図示の主制御装置により制御される。X可動部72のX軸方向に関する位置情報は、不図示のリニアエンコーダシステム、あるいは光干渉計システムにより高精度で計測される。
【0053】
X可動部72の上面には、Z軸に平行なシャフト79の一端(下端)が固定されている。シャフト79は、図1に示されるように、第4列目のエア浮上ユニット列を構成する4台目と5台目のエア浮上ユニット50相互間を通過して各エア浮上ユニット50の上面(気体噴出面)よりも+Z側に延びている。シャフト79の他端(上端)は、Yガイド73の下面中央に固定されている(図3参照)。従って、Yガイド73は、エア浮上ユニット50の上面よりも上方に配置されている。Yガイド73は、Y軸方向を長手方向とする板状部材から成り、その内部にY軸方向に沿って配列された複数の磁石を含む図示しない磁石ユニットを有している。ここで、Yガイド73は、複数のエア浮上ユニット50の上方に配置されていることから、その下面がエア浮上ユニット50から噴出されるエアにより支持され、これにより、Yガイド73は、例えばそのY軸方向両端部の自重による垂れ下がりが防止される。従って、上記垂れ下がりを防止するための剛性を確保する必要がなく、Yガイド73の軽量化を図ることができる。
【0054】
Y可動部74は、図3に示されるように、内部に空間を有する高さ方向寸法の小さい(薄い)箱形の部材から成り、その下面には、シャフト79の通過を許容する開口部が形成されている。また、Y可動部74は、+Y側及び−Y側の側面にも開口部を有しており、その開口部を介してY可動部74内にYガイド73が挿入されている。また、Y可動部74は、Yガイド73に対する対向面に図示しない非接触スラスト軸受、例えばエアベアリングを有しており、Yガイド73上を非接触状態でY軸方向に移動可能になっている。基板Pを保持する基板保持枠60は、Y可動部74に固定されていることから、前述した定点ステージ40、及び複数のエア浮上ユニット50それぞれに対して、非接触状態とされている。
【0055】
さらに、Y可動部74は、その内部にコイルを含むコイルユニット(図示省略)を有している。コイルユニットは、Yガイド73の有する磁石ユニットとの電磁的相互作用により、Y可動部74をYガイド73上でY軸方向に駆動する電磁力駆動方式のYリニアモータを構成している。コイルユニットのコイルに供給される電流の大きさ、方向は、不図示の主制御装置により制御される。Y可動部74のY軸方向に関する位置情報は、不図示のリニアエンコーダシステム、あるいは光干渉計システムにより高精度で計測される。なお、上述したXリニアモータ、Yリニアモータは、ムービングマグネット式及びムービングコイル式のいずれであっても良いし、その駆動方式もローレンツ力駆動方式に限らず、可変磁気抵抗駆動方式等のその他の方式であっても良い。また、上述したX可動部をX軸方向に駆動する駆動装置、及びY可動部をY軸方向に駆動する駆動装置としては、例えば要求される基板の位置決め精度、スループット、基板の移動ストロークなどに応じて、例えばボールネジ、あるいはラック・アンド・ピニオンなどを含む一軸駆動装置を用いても良いし、例えばワイヤー、あるいはベルトなどを用いてX可動部、Y可動部を牽引してそれぞれX軸方向、Y軸方向に駆動する装置を用いても良い。
【0056】
また、液晶露光装置10は、この他にも投影光学系PLの直下に位置する基板Pの表面(上面)の面位置情報(Z軸、θx、θyの各方向の位置情報)を計測する面位置計測系(図示省略)を有している。面位置計測系としては、例えば、米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるような斜入射方式のものを用いることができる。
【0057】
上述のようにして構成された液晶露光装置10(図1参照)では、不図示の主制御装置の管理の下、不図示のマスクローダによって、マスクステージMSTへのマスクMのロード、及び不図示の基板ローダによって、基板ステージ装置PSTへの基板Pのロードが行なわれる。その後、主制御装置により、不図示のアライメント検出系を用いてアライメント計測が実行され、アライメント計測の終了後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。
【0058】
図6(A)〜図6(C)には、上記露光動作時における基板ステージ装置PSTの動作の一例が示されている。なお、以下では、基板Pの+Y側、−Y側の領域それぞれにX軸方向を長手方向とする矩形のショット領域が一つずつ設定された、いわゆる2面取りの場合について説明する。図6(A)に示されるように、露光動作は、基板Pの−Y側且つ−X側の領域から、基板Pの−Y側且つ+X側の領域に向けて行われる。この際、駆動ユニット70のX可動部72(図1等参照)がXガイド71上で−X方向に駆動されることにより、基板Pが露光領域IAに対して−X方向に駆動され(図6(A)の黒矢印参照)、基板Pの−Y側の領域にスキャン動作(露光動作)が行われる。次いで、基板ステージ装置PSTは、図6(B)に示されるように、駆動ユニット70のY可動部74がYガイド73上で−Y方向に駆動されることにより(図6(B)の白矢印参照)、ステップ動作が行われる。この後、図6(C)に示されるように、駆動ユニット70のX可動部72(図1等参照)がXガイド71上で+X方向に駆動されることにより、基板Pが露光領域IAに対して+X方向に駆動され(図6(C)の黒矢印参照)、基板Pの+Y側の領域にスキャン動作(露光動作)が行われる。
【0059】
主制御装置は、図6(A)〜図6(C)に示されるステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われている最中、干渉計システム及び面位置計測系を用いて常時、基板PのXY平面内の位置情報、及び基板P表面の被露光部位の面位置情報を計測し、その計測値に基づいて4つのZ−VCMを適宜制御して、基板Pのうち、定点ステージ40の保持される部分、すなわち投影光学系PLの直下に位置する被露光部位の面位置(Z軸方向、θx及びθy各方向の位置)を投影光学系PLの焦点深度内に位置するように調整(位置決め)する。これにより、本実施形態の液晶露光装置10が有する基板ステージ装置PSTでは、例えば仮に基板Pの表面にうねり、あるいは基板Pに厚みの誤差があったとしても、確実に基板Pの被露光部位の面位置を、投影光学系PLの焦点深度内に位置させることができ、露光精度を向上させることができる。
【0060】
また、定点ステージ40により基板Pの面位置が調整される際、基板Pの動作(Z軸方向への移動、あるいはチルト動作)に追従して、基板保持枠60のハンド66がZ軸方向に変位する。これにより、基板Pの破損、あるいはハンド66と基板Pとのずれ(吸着エラー)などが防止される。なお、複数のエア浮上ユニット50は、エアチャックユニット80に比べ、基板Pをより高く浮上させるものであることから、その基板Pと複数のエア浮上ユニット50との間のエア剛性は、エアチャックユニット80と基板Pとの間のエア剛性に比べて低い。従って、基板Pは、容易に複数のエア浮上ユニット50上で姿勢を変化することができる。また、基板保持枠60が固定されたY可動部74は、Yガイド73に非接触支持されていることから、基板Pの姿勢変化量が大きく、ハンド66が基板Pに追従できない場合には、基板保持枠60自体の姿勢が変化することにより、上記吸着エラーなどを回避することができる。なお、Yガイド73とX可動部72との締結部剛性を低くし、基板保持枠60と共にYガイド73全体が姿勢変化する構成としても良い。
【0061】
また、基板ステージ装置PSTでは、複数のエア浮上ユニット50によりほぼ水平に浮上支持された基板Pが、基板保持枠60により保持される。そして、基板ステージ装置PSTでは、駆動ユニット70により基板保持枠60が駆動されることにより、基板Pが水平面(XY二次元平面)に沿って案内されるとともに、基板Pのうち被露光部位(露光領域IA内の、基板Pの一部)の面位置が、定点ステージ40によりピンポイントで制御される。このように、基板ステージ装置PSTは、基板PをXY平面に沿って案内する装置である駆動ユニット70(XYステージ装置)と、基板Pをほぼ水平に保持するとともにZ軸方向の位置決めを行う装置である複数のエア浮上ユニット50、及び定点ステージ40(Z/レベリングステージ装置)とが、互いに独立な別体の装置とされているので、XY二次元ステージ装置上で、基板Pを平面度良く保持するための基板Pと同程度の面積を有するテーブル部材(基板ホルダ)をZ軸方向、及びチルト方向にそれぞれ駆動する(基板と併せてZ/レベリングステージもXY二次元駆動される)従来のステージ装置(例えば、国際公開第2008/129762号(対応米国特許出願公開第2010/0018950号明細書)参照)に比べ、その重量(特に可動部分)を大幅に低減することができる。具体的には、例えば一辺が3mを超えるような大型の基板を用いる場合、従来のステージ装置では、可動部分の総重量が10t近くになるのに対し、本実施形態の基板ステージ装置PSTでは、可動部分(基板保持枠60、X可動部72、Yガイド73、及びY可動部74など)の総重量を数100kg程度とすることができる。従って、例えばX可動部72を駆動するためのXリニアモータ、Y可動部74を駆動するためのYリニアモータは、それぞれ出力の小さなもので良く、ランニングコストを低減することができる。また、電源設備などのインフラ整備も容易である。また、リニアモータの出力が小さくて良いのでイニシャルコストを低減することもできる。
【0062】
また、駆動ユニット70は、基板保持枠60を保持するY可動部74が、Yガイド73に非接触支持され、基板PをXY平面に沿って案内するので、床面F上に設置された定盤12側からエアベアリングを介して伝達されるZ軸方向の振動(外乱)が基板保持枠60の制御に悪影響を及ぼすおそれは殆ど無い。従って、基板Pの姿勢が安定し、露光精度が向上する。
【0063】
また、駆動ユニット70のY可動部74が、Yガイド73に非接触状態で支持されて発塵が防止されているので、Yガイド73、及びY可動部74が複数のエア浮上ユニット50の上面(気体噴出面)より上方に配置されているにも関わらず、基板Pの露光処理に影響を及ぼさない。一方、Xガイド71及びX可動部72は、エア浮上ユニット50よりも下方に配置されているので、仮に発塵しても露光処理に影響が及ぶ可能性が低い。ただし、例えばエアベアリングなどを用いてXガイド71に対してX可動部72を非接触状態でX軸方向に移動可能に支持させても良い。
【0064】
また、定点ステージ40の重量キャンセラ42及びエアチャックユニット80は、定盤12とは振動的に分離されたYビーム33上に搭載されているので、例えば駆動ユニット70を用いて基板保持枠60(基板P)を駆動する際の駆動力の反力、あるいは振動などが重量キャンセラ42及びエアチャックユニット80に伝達されない。従って、Z−VCMを用いたエアチャックユニット80の位置(すなわち、基板Pの被露光部位の面位置)制御を高精度で行うことができる。また、エアチャックユニット80を駆動する4つのZ−VCMは、Z固定子47が、Yビーム33と非接触とされたベースフレーム85に固定されているので、エアチャックユニット80を駆動する際の駆動力の反力が、重量キャンセラ42に伝わらない。従って、エアチャックユニット80の位置を高精度で制御できる。
【0065】
また、基板保持枠60の位置情報を基板保持枠60に固定された、すなわち最終的な位置決め制御の対象物である基板Pに近接して配置された移動鏡62x、62yを用いた干渉計システムにより計測するので、制御対象(基板P)と計測点との間の剛性を高く維持できる。すなわち、最終的な位置を知りたい基板と計測点とを一体とみなすことができることから、計測精度が向上する。また、基板保持枠60の位置情報を直接計測するので、仮にX可動部72,Y可動部74に直線運動誤差が生じたとしても、その影響を受け難い。
【0066】
また、エアチャックユニット80の本体部81の上面(基板保持面)のX軸方向の寸法が露光領域IAのX軸方向の寸法よりも長く設定されているので、基板Pの被露光部位(露光予定部位)が露光領域IAよりも基板Pの移動方向の上流側に位置した状態、特に走査露光開始直前では、基板Pを等速移動させる前の加速段階で、その基板Pの被露光部位の面位置を予め調整できる。従って、露光開始から確実に基板Pの被露光部位の面位置を投影光学系PLの焦点深度内に位置させることができ、露光精度を向上させることができる。
【0067】
また、基板ステージ装置PSTは、定盤12上に複数のエア浮上ユニット50、定点ステージ40、駆動ユニット70が平面的に並べて配置される構成であるので、組み立て、調整、メンテナンスなどが容易である。また、部材の点数が少なく、且つ各部材が軽量であるので、輸送も容易である。
【0068】
なお、例えば、基板Pの+X側又は−X側の端部が定点ステージ40の上方を通過する際などには、エアチャックユニット80の一部にのみ基板Pが重なった状態(エアチャックユニット80が基板Pに完全に覆われていない状態)となる。このような場合には、エアチャックユニット80の上面に作用する基板Pの荷重が小さくなるため、エアのバランスが崩れてエアチャックユニット80の基板Pを浮上させる力が弱くなり、エアチャックユニット80と基板Pとの距離Da(図5(B)参照)が所望の値(例えば0.02mm)よりも小さくなる。このような場合には、主制御装置は、エアチャックユニット80の上面と基板Pの下面との距離Daが常に一定の所望の値を維持できるように、基板Pの位置に応じて(基板Pと保持面とが重複する面積に応じて)エアチャックユニット80と基板P下面との間のエア圧力及び/又はエア流量(本体部81が噴出及び吸引するエアの圧力及び/又は流量)を制御する。エア圧力及び/又は流量を基板Pの位置に応じてどの程度に設定するかは、予め実験により求めておくと良い。また、エアチャックユニット80の上面をX軸方向に沿って複数の領域に分割しておき、それぞれの領域ごとに噴出及び吸引されるエアの流量、圧力を制御可能としても良い。また、基板Pとエアチャックユニット80との位置関係(基板Pと保持面とが重複する面積)に応じて、エアチャックユニット80を上下動させることにより、エアチャックユニット80の上面と基板Pの下面との距離を適宜調整することとしても良い。
【0069】
《第2の実施形態》
次に、第2の実施形態の液晶露光装置について説明する。本第2の実施形態の液晶露光装置は、基板Pを保持する基板ステージ装置の構成が異なる点を除き、前述の第1の実施形態の液晶露光装置10と同様の構成を有しているため、以下では、基板ステージ装置の構成についてのみ説明する。ここで、重複説明を避ける観点から、上記第1の実施形態と同等の機能を有するものについては、上記第1の実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0070】
図7(A)に示されるように、第2の実施形態に係る基板ステージ装置PSTは、基板保持枠260の構成が第1の実施形態と異なる。以下、相違点について説明する。基板保持枠260は、第1の実施形態と同様に、基板Pを囲む矩形の枠状に形成されており、一対のX枠部材261xと、一対のY枠部材261yとを有している。なお、図7(A)では、X移動鏡及びY移動鏡の図示が省略されている(それぞれ図2参照)。
【0071】
第1の実施形態の基板保持枠60(図5(A)参照)が断面L字状のハンドにより基板Pを下方から吸着保持したのに対し、第2の実施形態の基板保持枠260は、−X側のY枠部材261yに圧縮コイルバネ263を介して取り付けられた一対の押圧部材264、及び+Y側のX枠部材261xに圧縮コイルバネ263を介して取り付けられた一つの押圧部材264が、基板Pを+X側のY枠部材261yに固定された一対の基準部材266、及び−Y側のX枠部材261xに固定された一つの基準部材266にそれぞれ押し付けて(基板PにXY平面に平行な押圧力を作用させることにより)保持する。従って、第1の実施形態と異なり、基板Pは、枠状の部材である基板保持枠260の開口内に収容される(図7(B)参照)。基板Pは、図7(B)に示されるように、その下面が基板保持枠260の下面とほぼ同一平面上に配置される。なお、押圧部材、基準部材の数は、例えば基板の大きさ等に応じて、適宜変更することが可能である。また、基板を押圧する押圧部材は圧縮コイルバネに限られず、例えばエアシリンダでもモータを使ったスライドユニットでも良い。
【0072】
また、第2の実施形態に係る基板ステージ装置PSTでは、図7(B)に示されるように、X可動部72にシャフト79を介して固定された平板状の部材であるYガイド273の上面に、X軸方向に所定間隔で配置された一対のYリニアガイド90が固定されている。また、一対のYリニアガイド90の間には、Y軸方向に沿って配列された複数の磁石を含む磁石ユニット91が固定されている。一方、Y可動部274は、XY平面に平行な平板状の部材から成り、その下面には、断面逆U字状に形成された複数、例えば4つのスライダ92(図7(B)参照。4つのスライダ92のうち、+Y側の2つは図示省略)が固定されている。4つのスライダ92は、それぞれ図示しない転動体(例えばボール、ころ等)を有し、+X側、−X側のYリニアガイド90それぞれに各2つのスライダ92が、スライド可能な状態で係合している。また、Y可動部274の下面には、コイルを含むコイルユニット93(図7(B)参照)がYガイド273に固定された磁石ユニット91に対向して固定されている。コイルユニット93と磁石ユニット91とは、電磁的相互作用によりY可動部274をYガイド273上でY軸方向に駆動する電磁力駆動方式のYリニアモータを構成している。なお、Yリニアモータを構成するコイルユニット、及び磁石ユニットの配置は、上記の場合と逆であっても良い。
【0073】
また、第2の実施形態において、Y可動部274と基板保持枠260とは、ヒンジ装置299により接続されている。ヒンジ装置299は、Y可動部274と基板保持枠260との水平面(XY平面)に沿った相対移動を制限する一方で、θx方向、θy方向を含むXY平面に平行な所定の軸線回りの方向への相対移動を許容する。従って、Y可動部274と基板保持枠260とは、XY平面に沿って一体的に移動するのに対し、例えば定点ステージ40により基板PがXY平面に対して傾けられた場合には、これに追従して基板保持枠260のみがXY平面に対して傾くので、Yリニアガイド90及びスライダ92には、負荷がかからない。
【0074】
以上説明した第2の実施形態に係る基板ステージ装置PSTの基板保持枠260は、基板Pを含み、X枠部材261x、及びY枠部材261yの下面よりも下方に突き出した突出物がないので、基板保持枠260の下面と、複数のエア浮上ユニット50の上面(気体噴出面)とを第1の実施形態に比べて接近させることができる。これにより、エア浮上ユニット50による基板Pの浮上高さを低くすることができ、エア浮上ユニット50から噴出されエアの流量を低減することができる。従って、ランニングコストを低減することができる。また、基板保持枠260は、その下面に突出物がないので、一対のX枠部材261x、及び一対のY枠部材261yが、それぞれエアチャックユニット80上を通過することができる。従って、例えば基板Pを不図示の基板交換位置、あるいはアライメント計測位置などに案内する際の基板Pの移動経路を自由に設定することができる。
【0075】
《第3の実施形態》
次に第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の液晶露光装置は、基板Pを保持する基板ステージ装置の構成が異なる点を除き、前述した第1、第2の実施形態の液晶露光装置と同様の構成を有しているため、以下では、基板ステージ装置の構成についてのみ説明する。なお、上記第1、第2の実施形態と同様の機能を有するものについては、上記第1、第2の実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0076】
図8に示されるように、本第3の実施形態に係る基板ステージ装置PSTは、駆動ユニット370が、上記第1の実施形態と異なり、Xガイド71を一対有している。一対のXガイド71は、互いに平行にY軸方向に所定間隔で配置されている。一対のXガイド71のうち、一方(−Y側)は、第3及び第4列目のエア浮上ユニット列を構成する2台目のエア浮上ユニット50と、3台目のエア浮上ユニット50との間に配置され、他方(+Y側)は、6台目のエア浮上ユニット50と、7台目のエア浮上ユニット50との間に配置されている。一対のXガイド71上には、それぞれX可動部72(X可動部72は図8では不図示。図1及び図3参照)が搭載されている。一対のX可動部72は、図示しない主制御装置により対応するXガイド71上で同期駆動される。また、Yガイド73は、一対のX可動部72上に第1の実施形態と同様にシャフト79(シャフト79は図8では不図示。図1及び図3参照)を介して支持されることにより、一対のX可動部72間に架設されている。
【0077】
第3の実施形態に係る基板ステージ装置PSTでは、Yガイド73が、Y軸方向に離間した2箇所でX可動部72に支持されるので、例えば、Y可動部74がYガイド73上の+Y側、又は−Y側の端部近傍に位置する場合に、Yガイド73の端部の一方の垂れ下がりが抑制されるなど、Yガイド73の姿勢が安定する。従って、例えば基板PをY軸方向に長いストロークで案内するためにYガイド73を長くする場合などに特に有効である。
【0078】
なお、第3の実施形態の基板ステージ装置PSTでは、一方のXガイド71が定点ステージ40の−Y側、他方のXガイド71が定点ステージ40の+Y側にそれぞれ配置されていることから、一対のXガイド71それぞれは、定盤12の−X側の端部近傍まで延設されていても良い(ただし、一対のXガイド71は、Yビーム33、及び定点ステージ40の+Y側及び−Y側のエア浮上ユニット50それぞれと接触しないように構成される)。この場合、基板保持枠60を、定点ステージ40よりも−X側に案内することが可能(例えば定盤12の−X側の端部よりも−X側に案内することも可能)となる。このように、基板PのXY平面内の移動可能範囲を広げることができるため、駆動ユニット370を用いて基板Pを、露光位置と異なる位置(例えば基板交換位置、あるいはアライメント計測位置など)に移動させることができる。なお、本第3の実施形態では、Xガイド71が一対(2本)設けられているが、Xガイドの本数は、これに限らず3本以上であっても良い。
【0079】
《第4の実施形態》
次に第4の実施形態について図9及び図10に基づいて、説明する。第4の実施形態の液晶露光装置は、基板ステージ装置の構成が異なる点を除き、第1〜第3の実施形態の液晶露光装置と同様の構成を有しているため、以下では、基板ステージ装置の構成についてのみ説明する。なお、上記第1〜第3の実施形態と同様の機能を有するものについては、上記第1〜第3の実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0080】
図9に示されるように、本第4の実施形態に係る基板ステージ装置PSTの基板保持枠460は、X軸方向を長手方向とする一対のX枠部材61xと、Y軸方向を長手方向とする一対のY枠部材61yとから成る枠状に形成されている。そして、−X側のY枠部材61yの−X側の側面(外側面)にX移動鏡462xが固定され、−Y側のX枠部材61xの−Y側の側面(外側面)にY移動鏡462yが固定されている。X移動鏡462x及びY移動鏡462yは、干渉計システムにより基板保持枠460のXY平面内の位置情報を計測する際に用いられる。なお、一対のX枠部材61x、及び一対のY枠部材61yをそれぞれ、例えばセラミックで形成する場合には、−X側のY枠部材61yの−X側の側面(外側面)、及び−Y側のX枠部材61xの−Y側の側面(外側面)それぞれを鏡面加工して反射面としても良い。
【0081】
駆動ユニット470は、上記第3の実施形態の基板ステージ装置PST(図8参照)と同様に、一対のX可動部72間にYガイド73が架設されている。そして、Yガイド73には、図9に示されるように、一対のY可動部474が、それぞれYリニアモータ(図示省略)によりY軸方向に移動可能に、非接触状態で支持されている。一対のY可動部474は、Y軸方向に所定間隔で配置され、Yリニアモータにより同期駆動される。なお、図10では、+Y側のY可動部474は、−Y側のY可動部474に対して紙面奥行き方向に隠れているが一対のY可動部は、実質的に同じ構成を有している(図9参照)。基板保持枠460は、+X側のY枠部材61yが一対のY可動部474に締結されている。
【0082】
以上説明した第4の実施形態に係る基板ステージ装置PSTでは、基板保持枠460は、一対のY可動部474により、Y軸方向に離間した2箇所が支持されるので、その自重による撓み(特に+Y側、及び−Y側の端部の撓み)が抑制される。また、これにより、基板保持枠460の水平面に平行な方向の剛性が向上するので、基板保持枠460に保持される基板Pの水平面に平行な方向の剛性も向上し、基板Pの位置決め精度が向上する。
【0083】
また、基板保持枠460を構成するX枠部材61x、Y枠部材61yの側面に、それぞれ移動鏡462x、462yが設けられている、すなわち基板保持枠460そのものが反射面を有するので、基板保持枠460を軽量化、小型化でき、基板保持枠460の位置制御性が向上する。また、各移動鏡462x、462yの反射面のZ軸方向の位置が、基板Pの表面のZ軸方向の位置に近くなるので、いわゆるアッベ誤差の発生を抑制でき、基板Pの位置決め精度が向上する。
【0084】
《第5の実施形態》
次に第5の実施形態について図11、図12に基づいて、説明する。第5の実施形態の液晶露光装置は、基板ステージ装置の構成が異なる点を除き、第1〜第4の実施形態の液晶露光装置と同様の構成を有しているため、以下では、基板ステージ装置の構成についてのみ説明する。なお、上記第1〜第4の実施形態と同様の機能を有するものについては、上記第1〜第4の実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0085】
図11に示されるように、第5の実施形態に係る基板ステージ装置PSTは、Yガイド73に一つのY可動部574が、Yリニアモータ(図示省略)によりY軸方向移動可能に、非接触状態で支持されている。また、図12に示されるように、Y可動部574は、−X側の側面に、XZ断面がU字状に形成された部材から成る一対の保持部材591を有している。一対の保持部材591は、Y軸方向に沿って所定間隔で配置されている。一対の保持部材591それぞれは、互いに対向する一対の対向面に、例えばエアベアリングなどの非接触スラスト軸受を有している。また、基板保持枠560は、+X側のY枠部材561yがXZ断面L字状に形成され、その+X側の端部が、一対の保持部材591それぞれの一対の対向面間に挿入されることにより、Y可動部574に非接触保持されている。なお、一対の保持部材591に設けられた非接触スラスト軸受としては、例えば磁気軸受などを用いても良い。
【0086】
Y可動部574の上面には、図11に示されるように、固定部材575を介して一つのY固定子576yと、一対のX固定子576xとが固定されている。Y固定子576yは、平面視で一対の保持部材591の間に位置している。一対のX固定子576xは、Y軸方向に離間しており、それぞれ平面視で+Y側の保持部材591の+Y側、及び−Y側の保持部材591の−Y側に位置している。Y固定子576y、及び一対のX固定子576xは、それぞれコイルを含むコイルユニット(図示省略)を有している。コイルユニットのコイルに供給される電流の大きさ、及び向きは、図示しない主制御装置により制御される。
【0087】
また、基板保持枠560の+X側のY枠部材561yの上面には、上記Y固定子576y、及び一対のX固定子576xに対応して、一つのY可動子577y、及び一対のX可動子577xが、それぞれ固定部材578(図12参照。一対のX可動子577xをそれぞれ支持する固定部材は図示省略)を介して固定されている。一つのY可動子577y、及び一対のX可動子577xそれぞれは、XZ断面U字状に形成され、互いに対向する一対の対向面間に、対応するY固定子576y、X固定子576xが挿入されている(図12参照)。一つのY可動子577y、及び一対のX可動子577xそれぞれは、互いに対向する一対の対向面に磁石を含む磁石ユニット579(図12参照。一対のX可動子の磁石ユニットは図示省略)を有している。Y可動子577yの有する磁石ユニット579は、Y固定子576yの有するコイルユニットとの電磁的相互作用により、基板保持枠560をY軸方向に微少駆動(図11の矢印参照)する電磁力駆動方式のYボイスコイルモータ(Y−VCM)を構成している。また、一対のX可動子577xの有する磁石ユニットは、それぞれ対応するX固定子576xの有するコイルユニットとの電磁的相互作用により、基板保持枠560をX軸方向に微少駆動(図11の矢印参照)する一対の電磁力駆動方式のXボイスコイルモータ(X−VCM)を構成している。基板保持枠560と、Y可動部574とは、Y―VCM、及び一対のX−VCMが発生する電磁力により電磁的に非接触状態で結合され、一体的にXY平面に沿って移動する。なお、基板保持枠560は、上記第4の実施形態と同様に、その側面にX移動鏡462x、Y移動鏡462yがそれぞれ固定されている。
【0088】
第5の実施形態に係る基板ステージ装置PSTでは、主制御装置は、例えば露光動作時などに、不図示のリニアエンコーダシステムの計測値に基づいて、Xリニアモータ、Yリニアモータを用いてX可動部72、及びY可動部574の位置を制御することにより、基板保持枠570(基板P)のXY平面のおおよその位置決めを行うとともに、干渉計システムの計測値に基づいて、Y−VCM、及び一対のX−VCMを適宜制御して、基板保持枠570をXY平面に沿って微少駆動することにより、基板PのXY平面内の最終的な位置決めを行う。この際、主制御装置は、一対のX−VCMの出力を適宜制御することにより、基板保持枠560をθz方向にも駆動する。すなわち、基板ステージ装置PSTでは、一対のXガイド71,X可動部72、Yガイド73、及びY可動部574からなるXY二次元ステージ装置が、いわゆる粗動ステージ装置として機能し、Y−VCM、及び一対のX−VCMによりY可動部574に対して微少駆動される基板保持枠560が、いわゆる微動ステージ装置として機能する。
【0089】
以上説明したように、第5の実施形態に係る基板ステージ装置PSTによれば、基板PのXY平面内の位置決めを軽量な基板保持枠570を用いてY可動部574に対して高精度で行うことができるので、基板Pの位置決め精度、及び位置決め速度が向上する。これに対し、XリニアモータによるX可動部72の位置決め精度、及びYリニアモータによるY可動部574の位置決め精度には、ナノオーダーの精度が要求されないので、安価なリニアモータ、及び安価なリニアエンコーダシステムを使用できる。また、基板保持枠560とY可動部574とは、振動的に分離されているので、水平方向の振動やX−VCM、Y−VCMの駆動力の反力が基板保持枠560に伝わらない。
【0090】
《第6の実施形態》
次に第6の実施形態について図13に基づいて、説明する。第6の実施形態の液晶露光装置は、基板ステージ装置の構成が異なる点を除き、第1〜第5の実施形態の液晶露光装置と同様の構成を有しているため、以下では、基板ステージ装置の構成についてのみ説明する。なお、上記第1〜第5の実施形態と同様の機能を有するものについては、上記第1〜第5の実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0091】
図13に示されるように、第6の実施形態に係る基板ステージ装置PSTの駆動ユニット670は、定点ステージ40の+X側の領域に上記第5の実施形態と同様の構成のXY二次元ステージ装置を有している。すなわち、定盤12上に固定された一対のXガイド71と、その一対のXガイド71上をX軸方向に移動する一対のX可動部72(図13では不図示。図12参照)と、一対のX可動部72間に架設されたYガイド73と、そのYガイド73上をY軸方向に移動するY可動部574(便宜上、第1のY可動部574と称する)と、から成るXY二次元ステージ装置が、定点ステージ40の+X側の領域に設けられている。第1のY可動部574は、上記第5の実施形態と同様の構成の基板保持枠660を非接触保持する一対の保持部材591を有する。また、基板保持枠660は、上記第5の実施形態と同様の構成のY可動部574に固定されたY固定子及び一対のX固定子、並びに基板保持枠660の+X側のY枠部材661yに固定されたY可動子及び一対のX可動子により構成される3つのボイスコイルモータ(一つのY−VCMと、一対のX−VCM)により、第1のY可動部574に対してX軸方向、Y軸方向、及びθz方向に微少駆動される。
【0092】
基板ステージ装置PSTは、さらに定点ステージ40の−X側の領域にも、上記XY二次元ステージ装置と同様な(ただしY軸に関して対称(紙面上左右対称)な)構成、すなわち、一対のXガイド71と、一対のX可動部72(図13では不図示。図12参照)と、Yガイド73と、Y可動部574(便宜上第2のY可動部574と称する)と、から成るXY二次元ステージ装置を有している。基板保持枠660は、−X側のY枠部材661yも+X側のY枠部材661yと同様に、断面L字状に形成され(図12参照)ており、その−X側のY枠部材661yは、第2のY可動部574が有する一対の保持部材591に非接触保持されている。
【0093】
また、基板保持枠660は、第2のY可動部574に固定されたY固定子及び一対のX固定子、並びに基板保持枠660の−X側のY枠部材661yに固定されたY可動子及び一対のX可動子により構成される3つのボイスコイルモータ(一つのY−VCMと、一対のX−VCM)により、第2のY可動部574に対してX軸方向、Y軸方向、及びθz方向に微少駆動される。不図示の主制御装置は、不図示のリニアエンコーダシステムの計測値に基づいて、定点ステージ40の+X側、−X側それぞれのXリニアモータ、Yリニアモータを同期制御して基板保持枠660のXY平面内の位置を粗調整するとともに、基板保持枠660(基板P)の+X側、−X側それぞれのY−VCM、一対のX−VCMを干渉計システムの計測値に基づいて適宜制御して、基板保持枠をX軸、Y軸、及びθzの各方向に微少駆動して、基板保持枠660(基板P)のXY平面内の位置を微調整する。
【0094】
第6の実施形態に係る基板ステージ装置PSTでは、基板保持枠660のX軸方向の両端部それぞれがXY二次元ステージ装置に支持されるので、基板保持枠660の自重による撓み(自由端側の垂れ下がり)が抑制される。また、基板保持枠660に+X側、−X側それぞれからボイスコイルモータによる駆動力を作用させるため、基板保持枠660と基板Pとから成る系の重心位置近傍に各ボイスコイルモータの駆動力を作用させることができる。従って、基板保持枠660にθz方向のモーメントが作用することを抑制できる。なお、基板保持枠660の重心位置を駆動するようにX−VCMは、基板保持枠660の−X側と+X側に1つずつ、対角位置に(対角線の中心が基板Pの重心近傍になるように)配置するだけでも良い。
【0095】
《第7の実施形態》
次に第7の実施形態について、図14,図15に基づいて、説明する。第7の実施形態の液晶露光装置は、基板ステージ装置の構成が異なる点を除き、第1〜第6の実施形態の液晶露光装置と同様の構成を有しているため、以下では、基板ステージ装置の構成についてのみ説明する。なお、上記第1〜第6の実施形態と同様の機能を有するものについては、上記第1〜第6の実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0096】
図14に示されるように、基板ステージ装置PSTは、基板保持枠760をXY二次元平面に沿って駆動する駆動ユニット770の構成が上記第1〜第6の各実施形態に係る基板ステージ装置と異なる。基板ステージ装置PSTでは、第1列目のエア浮上ユニット列と第2列目のエア浮上ユニット列との間、及び第3列目のエア浮上ユニット列と第4列目のエア浮上ユニット列との間に、それぞれY軸方向を長手方向とする一対のYガイド771が、Y軸方向に所定間隔で配置されている。これら4つのYガイド771は、上記第1〜第6の各実施形態に係る基板ステージ装置が有するXガイド71(図3参照)と同様の機能を有する。また、図15に示されるように、4つのYガイド771それぞれには、上記第1〜第6の各実施形態に係る基板ステージ装置が有するX可動部72(図3参照)と同様の機能を有するY可動部772が搭載されている(−X側の2つのY可動部772は図示省略)。4つのY可動部772は、各Yガイド771が有するY固定子776(図15参照)と、各Y可動部772が有するY可動子(図示省略)とから成る電磁力駆動方式のYリニアモータにより、Y軸方向に同期駆動される。
【0097】
+Y側の2つのY可動部772間には、図14に示されるように、X軸方向を長手方向とする平板状の部材から成るXガイド773がシャフト779(図15参照)を介して架設されている。また、−Y側の2つのY可動部772間にも、同様のXガイド773が架設されている。一対のXガイド773それぞれには、例えば上記第1の実施形態の基板ステージ装置が有するY可動部74(図2参照)に相当する部材であるX可動部774が搭載されている。一対のX可動部774は、各Xガイド773が有するX固定子(図示省略)と、各X可動部774が有するX可動子(図示省略)とから成る電磁力駆動方式のXリニアモータにより、X軸方向に同期駆動される。一対のX可動部774は、それぞれ上記第6の実施形態に係る基板ステージ装置(図13参照)のY可動部574が有する保持部材591と同様に、例えばエアベアリングなどの非接触スラスト軸受(図示省略)を用いて基板保持枠760を非接触保持する保持部材791を有している。以上の構成により、本第7の実施形態に係る基板ステージ装置PSTは、上記第1〜第6の実施形態に係る各基板ステージ装置に比べ、基板保持枠760をX軸方向に長ストロークで移動させることができる。
【0098】
また、基板保持枠760は、その+Y側に配置されたX−VCM、及びY−VCM、並びに、その−Y側に配置されたX−VCM、及びY−VCMにより、適宜X軸、Y軸及びθzの各方向に微少駆動される。各X−VCM、Y−VCMの構成は、上記第6の実施形態に係るX−VCM、Y−VCMと同じである。ここで、基板保持枠760の+Y側において、X−VCMは、Y−VCMの−X側に配置され、基板保持枠760の−Y側において、X−VCMは、Y−VCMの+X側に配置されている。また、2つのX−VCM、2つのY−VCMは、基板保持枠760に対して対角位置に(対角線の中心が基板Pの重心近傍になるように)配置されている。従って、上記第6の実施形態と同様に、基板Pを重心駆動(その重心位置近傍に駆動力を作用させて駆動)することができる。従って、一対のX−VCM、及び/又は一対のY−VCMを用いて基板保持枠760をX軸方向、Y軸方向、及びθz方向に微少駆動する際、基板Pを、基板保持枠760と基板Pとから成る系の重心位置近傍を中心に回転させることができる。
【0099】
さらに、X−VCM、及びY−VCMそれぞれは、基板保持枠760の上面より+Z側に張り出した構成となっているが(図15参照)、投影光学系PL(図15参照)の+Y側、及び−Y側に位置しているので、投影光学系PLに干渉することなく、基板保持枠760を投影光学系PLの下を通過してX軸方向に移動させることができる。
【0100】
また、基板ステージ装置PSTは、定点ステージ40の+X側の領域であって、第4列目のエア浮上ユニット列の+X側に、Y軸方向に所定間隔で配列された6台のエア浮上ユニット50から成る第5列目のエア浮上ユニット列を有している。そして、第4列目のエア浮上ユニット列の3〜6台目のエア浮上ユニット50、及び第5列目のエア浮上ユニット列の2〜4台目のエア浮上ユニット50は、図15に示されるように、本体部51(図15参照)がZ軸方向に移動(上下動)可能になっている。以下、上記本体部51が上下動可能なエア浮上ユニット50それぞれを、本体部51が固定の他のエア浮上ユニット50と区別するため、便宜上エア浮上ユニット750と称する。複数(本実施形態では、例えば8台)のエア浮上ユニット750それぞれの脚部752は、図15に示されるように、定盤12上に固定された筒状のケース752aと、一端がケース752aの内部に収容されるとともに他端に支持部52が固定され、ケース752aに対して、例えばエアシリンダ装置などの図示しない一軸アクチュエータによりZ軸方向に駆動されるシャフト752bとを含んでいる。
【0101】
図14に戻り、第7の実施形態に係る基板ステージ装置PSTでは、第4及び第5列目のエア浮上ユニット列の+Z側に基板交換位置が設定されている。基板Pに対する露光処理の終了後、図示しない主制御装置は、図14に示される基板Pの下方(−Z側)に第4及び第5列目のエア浮上ユニット列のエア浮上ユニット750が位置する状態で、基板保持枠760の保持ユニット65を用いた基板Pの吸着保持を解除し、その状態で8台のエア浮上ユニット750それぞれを同期制御して、基板Pを基板保持枠760から分離して+Z方向に移動させる(図15参照)。基板Pは、図15に示される位置で、図示しない基板交換装置により基板ステージ装置PSTから搬出され、その後に図示しない新たな基板が図15に示される位置に搬送される。新たな基板は、8台のエア浮上ユニット750に下方から非接触支持された状態で、−Z方向に移動された後、基板保持枠760に吸着保持される。なお、基板Pを基板交換装置により搬出、搬入する際、あるいは基板Pを基板保持枠760に受け渡す際には、基板Pとエア浮上ユニット750とは、非接触状態でなくて接触状態でも良い。
【0102】
以上説明した基板ステージ装置PSTでは、複数のエア浮上ユニット750の本体部51がZ軸方向に移動可能に構成されているので、基板保持枠760をXY平面に沿って基板交換位置の下方に位置させることにより、基板Pのみを容易に基板保持枠760から分離して基板交換位置に移動させることができる。
【0103】
《第8の実施形態》
次に第8の実施形態について、図16に基づいて、説明する。第8の実施形態の液晶露光装置は、基板ステージ装置の構成が異なる点を除き、第1〜第7の実施形態の液晶露光装置と同様の構成を有しているため、以下では、基板ステージ装置の構成についてのみ説明する。なお、上記第1〜第7の実施形態と同様の機能を有するものについては、上記第1〜第7の実施形態と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0104】
図16に示されるように、第8の実施形態に係る基板ステージ装置PSTの基板保持枠860は、X軸方向を長手方向する板状部材から成るX枠部材861xを、Y軸方向に所定間隔で一対有し、その一対のX枠部材861xそれぞれの−X側の端部が、Y軸方向を長手方向とする板状部材から成るY枠部材861yに接続されている。これにより、基板保持枠860は、平面視で+X側が開口したU字状の外形形状(輪郭)を有している。このため、基板保持枠860の複数の保持ユニット65による吸着保持が解除された状態では、基板Pは、基板保持枠860に対して+X方向に移動することにより、基板保持枠860の+X側の端部に形成された開口部を通過することが可能となっている。なお、露光動作時などに基板保持枠860をXY平面に沿って案内する駆動ユニット770(XY二次元ステージ装置)の構成は、上記第7の実施形態と同じである。
【0105】
また、第8の実施形態の基板ステージ装置PSTは、定点ステージ40の+X側であって、第4列目のエア浮上ユニット列の+X側に、Y軸方向に所定間隔で配列された6台のエア浮上ユニット50から成る第5列目のエア浮上ユニット列を有している。また、基板ステージ装置PSTは、床面F(図1及び図3参照)上における定盤12の+X側の領域に、Y軸方向に所定間隔で配列された4台のエア浮上ユニット50から成るエア浮上ユニット列を、X軸方向に所定間隔で2列有している。2列のエア浮上ユニット列を構成する計8台のエア浮上ユニット50それぞれの上面(気体噴出面)は、定盤12上の複数のエア浮上ユニット50の上面と同一平面上に(面一に)配置されている。
【0106】
第8の実施形態に係る基板ステージ装置PSTでは、基板保持枠860の複数の保持ユニット65による基板Pの保持が解除された状態で、基板Pを基板保持枠860から+X方向に引き出して、例えば基板交換位置まで搬送することができる。基板Pを基板交換位置まで搬送する方法としては、例えば、複数のエア浮上ユニットに基板Pを水平方向に搬送する(送る)エアコンベア機能を持たせても良いし、あるいは機械的な搬送装置を用いても良い。第8の実施形態の基板ステージ装置PSTによれば、基板Pを水平移動させることにより、基板Pを容易且つ迅速に基板交換位置に搬送することができるので、スループットが向上する。なお、基板を基板保持枠から開口部を介して引き出す際、及び基板を基板保持枠内に開口部を介して挿入する際に、基板を吸着保持する保持ユニットを、基板の移動経路から退避可能な構成(例えば、保持ユニットを上下方向に移動、あるいは基板保持枠を構成する各枠部材の内部に収容できるような構成)としても良い。この場合、基板の交換をより確実に行うことができる。
【0107】
なお、上述した第1〜第8の実施形態は、適宜組み合わせることもできる。例えば、前述した第2の実施形態の基板保持枠と同様の構成の基板保持枠を、前述した第3〜第6の実施形態に係る各基板ステージ装置に用いることができる。
【0108】
《第9の実施形態》
次に第9の実施形態について説明する。上記第1〜第8の実施形態に係る基板ステージ装置が液晶露光装置に設けられていたのに対し、図17に示されるように、第9の実施形態に係る基板ステージ装置PSTは、基板検査装置900に設けられている。
【0109】
基板検査装置900は、撮影ユニット910がボディBDに支持されている。撮影ユニット910は、例えばそれぞれ図示しないCCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサ、レンズなどを含む撮影光学系などを有しており、その直下(−Z側)に配置された基板Pの表面を撮影する。撮影ユニット910からの出力(基板P表面の画像データ)は外部に出力され、その画像データに基づいて基板Pの検査(例えば、パターンの欠陥、あるいはパーティクルなどの検出)が行われる。なお、基板検査装置900が有する基板ステージ装置PSTは、上記第1の実施形態と基板ステージ装置PST(図1参照)の構成と同じである。主制御装置は、基板Pの検査時に、定点ステージ40(図2参照)を用いて基板Pの被検査部位(撮影ユニット910の直下の部位)の面位置を、撮影ユニット910が有する撮影光学系の焦点深度内に位置するように調整する。従って、基板Pの鮮明な画像データを得ることができる。また、基板Pの位置決めを高速且つ高精度で行うことができるので、基板Pの検査効率が向上する。なお、基板検査装置の基板ステージ装置に、上記第2〜第8の実施形態に係る他の基板ステージ装置のいずれかを適用しても良い。なお、上記第9の実施形態では、検査装置900が、撮像方式である場合について例示したが、検査装置は、撮像方式に限らず、他の方式、回折/散乱検出、あるいはスキャトロメトリーなどでも良い。
【0110】
なお、上記各実施形態では、基板保持枠を用いて基板のXY平面内の位置を高速かつ高精度で制御したが、基板の位置を高精度で制御する必要がないような物体処理装置に適用する場合には、必ずしも基板保持枠を用いる必要はなく、例えば複数のエア浮上ユニットに、エアを用いた基板の水平搬送機能を持たせても良い。
【0111】
また、上記各実施形態では、基板は、X軸、及びY軸の直交2軸方向に駆動する駆動ユニット(XY二次元ステージ装置)により、水平面に沿って案内されたが、駆動ユニットは、例えば基板上の露光領域の幅と、基板の幅とが同じであれば、基板を1軸方向にのみ案内できれば良い。
【0112】
また、上記各実施形態では、複数のエア浮上ユニットが、基板をXY平面に平行となるように浮上支持したが、支持対象となる物体の種類によっては、その物体を浮上する装置の構成はこれに限られず、例えば磁気、あるいは静電気により物体を浮上させても良い。また、定点ステージのエアチャックユニットも同様に、保持対象となる物体の種類によっては、例えば磁気、あるいは静電気により保持対象の物体を保持する構成としても良い。
【0113】
また、上記各実施形態では、基板保持枠のXY平面内の位置情報は、基板保持枠に設けられた移動鏡に測長ビームを照射するレーザ干渉計を含むレーザ干渉計システムにより求められたが、基板保持枠の位置計測装置としては、これに限らず、例えば二次元エンコーダシステムを用いても良い。この場合、例えば基板保持枠にスケールを設け、ボディ等に固定されたヘッドにより基板保持枠の位置情報を求めても良いし、あるいは基板保持枠にヘッドを設け、例えばボディ等に固定されたスケールを用いて基板保持枠の位置情報を求めても良い。
【0114】
なお、上記各実施形態において、定点ステージは、基板の被露光領域(あるいは被撮影領域)をZ軸方向及びθx、θy方向のうち、Z軸方向にのみ変位させるものであっても良い。
【0115】
また、上記各実施形態では、基板保持枠は、平面視矩形の外形形状(輪郭)と、平面視矩形の開口部を有していたが、基板を保持する部材の形状は、これに限られず、例えば保持対象である物体の形状に応じて適宜変更(例えば、物体が円板状であれば、保持部材も円形枠状と)することができる。
【0116】
なお、上記各実施形態では、基板保持枠は、基板の周囲を全て囲んでいる必要はなく、一部が欠けていても良い。また、基板搬送のために、基板保持枠などの基板を保持する部材は、必ずしも用いる必要はない。この場合、基板そのものの位置を計測する必要があるが、例えば、基板の側面を鏡面としてこの鏡面に測長ビームを照射する干渉計によって基板の位置を計測することができる。あるいは基板の表面(又は裏面)にグレーティングを形成しておき、このグレーティングに計測光を照射しその回折光を受光するヘッドを備えたエンコーダにより、基板の位置を計測しても良い。
【0117】
また、照明光は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。また、照明光としては、例えばDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。また、固体レーザ(波長:355nm、266nm)などを使用しても良い。
【0118】
また、上記各実施形態では、投影光学系PLが、複数本の光学系を備えたマルチレンズ方式の投影光学系である場合について説明したが、投影光学系の本数はこれに限らず、1本以上あれば良い。また、マルチレンズ方式の投影光学系に限らず、例えばオフナー型の大型ミラーを用いた投影光学系などであっても良い。また、上記実施形態では投影光学系PLとして、投影倍率が等倍系のものを用いる場合について説明したが、これに限らず、投影光学系は拡大系及び縮小系のいずれでも良い。
【0119】
また、上記各実施形態では、露光装置が、スキャニング・ステッパである場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に上記各実施形態を適用しても良い。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の投影露光装置にも上記各実施形態は適用することができる。また、上記各実施形態は、投影光学系を用いない、プロキシミティ方式の露光装置にも適用することができる。
【0120】
また、露光装置の用途としては、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば半導体製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるマスク又はレチクルを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも上記各実施形態を適用できる。なお、露光対象となる物体はガラスプレートに限られるものでなく、例えばウエハ、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど、他の物体でも良い。
【0121】
なお、上記各実施形態に係る物体処理装置は、露光装置に限らず、例えばインクジェット式の機能性液体付与装置を備えた素子製造装置にも適用することができる。
【0122】
《デバイス製造方法》
次に、上記各実施形態の露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。上記各実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
【0123】
〈パターン形成工程〉
まず、上述した各実施形態の露光装置を用いて、パターン像を感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に形成する、いわゆる光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成される。
【0124】
〈カラーフィルタ形成工程〉
次に、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列された、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。
【0125】
〈セル組み立て工程〉
次に、パターン形成工程にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。例えば、パターン形成工程にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0126】
〈モジュール組立工程〉
その後、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。
【0127】
この場合、パターン形成工程において、上記各実施形態の露光装置を用いて高スループットかつ高精度でプレートの露光が行われるので、結果的に、液晶表示素子の生産性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上説明したように、本発明の物体処理装置は、平板状の物体に所定の処理を行うのに適している。また、本発明の露光装置及び露光方法は、平板状の物体をエネルギビームで露光するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、マイクロデバイスの生産に適している。
【符号の説明】
【0129】
10…液晶露光装置、33…Yビーム、40…定点ステージ、42…重量キャンセラ、50…エア浮上ユニット、60…基板保持枠、65…保持ユニット、70…駆動ユニット、71…Xガイド、72…X可動部、73…Yガイド、74…Y可動部、80…エアチャックユニット、IOP…照明系、M…マスク、P…基板、PL…投影光学系、PST…基板ステージ装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1及び第2軸を含む所定の二次元平面に沿って配置された平板状の物体に対して所定の処理を行う物体処理装置であって、
前記物体の一面側の一部の領域に所定の動作を実行する実行装置と;
前記物体のうち、前記一部の領域を含む部分を、前記物体の下方から非接触状態で保持する保持面を有し、前記部分の前記二次元平面に交差する方向の位置を調整する調整装置と;
前記物体の前記調整装置に保持される部分を除く他の領域に支持面を対向させて前記物体を下方から非接触支持する非接触支持装置と;を備える物体処理装置。
【請求項2】
前記調整装置は、前記保持面から前記物体に対して気体を噴出するとともに、前記保持面と前記物体との間の気体を吸引して前記物体を非接触保持する請求項1に記載の物体処理装置。
【請求項3】
前記調整装置は、前記物体と前記保持面との距離が一定となるように、前記物体と前記保持面との間の気体の気圧及び流量の少なくとも一方を可変させる請求項2に記載の物体処理装置。
【請求項4】
前記調整装置は、前記保持面を有する部材を前記二次元平面に交差する方向に駆動するアクチュエータを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記保持面を有する部材に設けられた可動子と、前記保持面を有する部材の位置情報を計測する計測部材とは振動的に分離された部材に設けられた固定子と、を含む請求項4に記載の物体処理装置。
【請求項6】
前記調整装置は、前記物体の重量をキャンセルする重量キャンセル装置を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項7】
前記非接触支持装置は、前記支持面から前記物体に対して気体を噴出して前記物体を非接触支持する請求項1〜6のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項8】
前記調整装置の前記保持面と前記物体との間の距離は、前記非接触支持装置の前記支持面と前記物体との間の距離よりも短い請求項1〜7のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項9】
前記物体の端部を保持し、前記二次元平面に沿って移動可能な移動体と;
前記移動体を少なくとも前記二次元平面内の一軸方向に駆動する駆動装置と;をさらに備える請求項1〜8のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項10】
前記調整装置の前記保持面を有する部材は、前記駆動装置と振動的に分離されている請求項9に記載の物体処理装置。
【請求項11】
前記非接触支持装置の支持面は、前記駆動装置により駆動される際の前記物体の移動範囲をカバーする請求項9又は10に記載の物体処理装置。
【請求項12】
前記非接触支持装置は、前記支持面の少なくとも一部が前記二次元平面に交差する方向に移動可能に設けられ、該支持面の少なくとも一部の前記二次元平面に交差する方向への移動により、前記物体を前記移動体から分離させて前記二次元平面に交差する方向に移動させる請求項9〜11のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項13】
前記移動体は、前記物体の端部に沿って延設された平枠状の部材から成る本体部を有する請求項9〜12のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項14】
前記移動体は、前記物体の外周縁部の少なくとも一部を下方から吸着保持する保持部材を有し、
前記保持部材は、前記本体部に対して前記物体を保持した状態で前記二次元平面に直交する方向に変位可能である請求項13に記載の物体処理装置。
【請求項15】
前記保持部材は、前記物体の下面よりも下方に張り出して設けられ、その張り出し量は、前記非接触支持装置の支持面と前記物体の下面との距離よりも小さい請求項14に記載の物体処理装置。
【請求項16】
前記本体部は、前記物体に対する前記二次元平面に平行な方向への相対移動により、該物体の通過を許容する開口部を有する請求項13〜15のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項17】
前記移動体は、前記本体部の内壁面のうちの互いに対向する一対の対向面の一方側から、他方側に向けて前記物体を押圧することにより、該物体を前記本体部に保持させる押圧装置を有する請求項13に記載の物体処理装置。
【請求項18】
前記本体部の前記第1軸に直交する第1外側面、及び前記第2軸に直交する第2外側面それぞれに測長ビームを照射するとともにその反射光を受光することにより、前記本体部の前記二次元平面内の位置情報を求める光干渉計システムをさらに備える請求項13〜17のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項19】
前記駆動装置は、前記第1軸に平行に延設された第1ガイド部材と、前記第1ガイド部材上を前記第1軸に平行な方向に移動する第1移動部材と、前記第2軸に平行に延設され、前記第1移動部材に接続された第2ガイド部材と、前記移動体を保持し、前記第2ガイド部材上を前記第2軸に平行な方向に移動する第2移動部材と、を含み、
前記第1ガイド部材及び前記第1移動部材は、前記所定の二次元平面よりも下方に配置される請求項13〜18のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項20】
前記第1ガイド部材は、前記第2軸に平行な方向に所定間隔で複数設けられ、
前記第1移動部材は、前記複数の第1ガイド部材に対応して複数設けられ、
前記第2ガイド部材は、前記複数の第1移動部材間に架設される請求項19に記載の物体処理装置。
【請求項21】
前記第2ガイド部材は、前記非接触支持装置の支持面よりも上方に配置され、その下面が前記非接触支持装置により非接触状態で支持される請求項19又は20に記載の物体処理装置。
【請求項22】
前記第2移動部材は、前記第2ガイド部材に非接触支持される請求項19〜21のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項23】
前記第2移動部材は、前記第2軸に平行な方向に所定間隔で複数設けられ、
前記移動体は、前記複数の第2移動部材により複数部位が保持される請求項19〜22のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項24】
前記移動体は、前記第2移動部材に非接触保持される請求項19〜23のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項25】
前記駆動装置は、前記移動体を前記第2移動部材に対して前記二次元平面に平行な方向に微少駆動する微少駆動装置を備える請求項24に記載の物体処理装置。
【請求項26】
前記第1移動部材は、前記二次元平面内の一軸方向に関して、前記移動体の一側及び他側それぞれに設けられ、
前記第2ガイド部材及び前記第2移動部材は、それぞれ前記一側及び前記他側の第1移動部材に対応して設けられ、
前記移動体は、前記一軸方向の一側と他側とが前記一側及び前記他側の第2移動部材それぞれに保持される請求項19〜25のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項27】
前記移動体は、前記第2移動部材に対し、該移動体と該第2移動部材との前記二次元平面に平行な方向への相対移動を制限しつつ、前記二次元平面に平行な軸線回りの回転を許容するヒンジ装置を介して接続される請求項19〜26のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項28】
前記移動体に設けられた反射面に測長ビームを照射するとともにその反射光を受光することにより、前記移動体の前記二次元平面内の位置情報を求める光干渉計システムをさらに備える請求項9〜27のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項29】
前記実行装置は、前記物体を検査するために該物体表面を撮像する撮像装置を含む請求項1〜28のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項30】
前記物体は、ディスプレイ装置の表示パネルに用いられる基板である請求項1〜29のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項31】
前記実行装置は、エネルギビームを用いて前記物体を露光することにより所定のパターンを該物体上に形成するパターン形成装置である請求項1〜28のいずれか一項に記載の物体処理装置。
【請求項32】
請求項31に記載の物体処理装置を用いて前記物体を露光することと;
前記露光された物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。
【請求項33】
エネルギビームを照射して物体を露光することにより所定のパターンを前記物体上に形成する露光装置であって、
互いに直交する第1及び第2軸を含む所定の二次元平面に沿って配置された前記物体の前記エネルギビームが照射される一部の領域を含む部分を、前記物体の下方から非接触状態で保持する保持面を有する部分を含み、前記部分の前記二次元平面に交差する方向の位置を調整する定点ステージと;
前記物体の前記保持面に保持される部分を除く他の領域に支持面を対向させて前記物体を下方から非接触支持する非接触支持装置と;を備える露光装置。
【請求項34】
前記物体の端部を保持し、前記二次元平面に沿って移動可能な物体保持部材と;
前記物体保持部材を少なくとも前記二次元平面内の一軸方向に駆動する駆動装置と;をさらに備える請求項33に記載の露光装置。
【請求項35】
前記物体保持部材に設けられた反射面に測長ビームを照射するとともにその反射光を受光することにより、前記物体保持部材の前記二次元平面内の位置情報を求める光干渉計システムをさらに備える請求項34に記載の露光装置。
【請求項36】
前記定点ステージは、前記保持面を有する部材を前記二次元平面に交差する方向に駆動するアクチュエータを有する請求項33〜35のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項37】
前記アクチュエータは、前記保持面を有する部材に設けられた可動子と、前記保持面を有する部材の位置情報を計測する計測部材とは振動的に分離された部材に設けられた固定子と、を含む請求項36に記載の露光装置。
【請求項38】
前記定点ステージは、前記物体の重量をキャンセルする重量キャンセル装置を有する請求項33〜37のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項39】
前記物体は、サイズが500mm以上の基板である請求項33〜38のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項40】
請求項33〜39のいずれか一項に記載の露光装置を用いて前記物体を露光することと;
前記露光された物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。
【請求項41】
請求項33〜39のいずれか一項に記載の露光装置を用いてフラットパネルディスプレイ用の基板を露光することと;
前記露光された基板を現像することと;を含むフラットパネルディスプレイの製造方法。
【請求項42】
エネルギビームを照射して物体を露光することにより所定のパターンを前記物体上に形成する露光方法であって、
互いに直交する第1及び第2軸を含む所定の二次元平面に沿って配置された前記物体の前記エネルギビームが照射される一部の領域を含む部分を、前記物体の下方から前記二次元平面内の位置が固定の保持部材により非接触状態で保持し、前記部分の前記二次元平面に交差する方向の位置を調整することと;
前記物体の前記保持部材に保持される部分を除く他の領域に支持部材の支持面を対向させて前記物体を下方から非接触支持することと;を含む露光方法。
【請求項43】
前記物体の端部を前記二次元平面に沿って移動可能な物体保持部材によって保持することと;
前記物体保持部材を少なくとも前記二次元平面内の一軸方向に駆動することと;をさらに含む請求項42に記載の露光方法。
【請求項44】
請求項42又は43に記載の露光方法を用いて前記物体を露光することと;
前記露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−44713(P2011−44713A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182051(P2010−182051)
【出願日】平成22年8月17日(2010.8.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】