画像処理装置、画像処理方法、露光装置、およびデバイス製造方法
【課題】 対象物画像中の対象物領域の誤認識が抑制された画像処理技術を提供すること。
【解決手段】 対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理装置は、対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算手段と、各部分画像に関し、第1の計算手段により計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算手段と、第2の計算手段により計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した対象物画像中の部分画像の位置を対象物の位置として認識する認識手段とを有する。
【解決手段】 対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理装置は、対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算手段と、各部分画像に関し、第1の計算手段により計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算手段と、第2の計算手段により計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した対象物画像中の部分画像の位置を対象物の位置として認識する認識手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レチクルパターンをウェハ上に投影し、露光する前に、露光装置等の半導体製造装置はウェハとレチクルとの位置合わせ(アライメント)を行う。この位置合わせを行うためには、通常、CCDカメラなどの画像入力装置を用いてウェハ上のアライメントマーク(以下、単に「マーク」という。)を中心としたデジタル画像(以下、「観測画像」という。)を半導体製造装置に取り込み、パターン認識技術を用いて観測画像中からマークの位置を検出する。ここで、マークの位置検出手順は、観測画像全体から大まかなアライメントマークの位置を絞り(第1ステップ(以下、この処理ステップを「プリアライメント」ともいう。))、次に、絞り込んだ位置の周辺から精密なアライメントマークの位置を検出する(第2ステップ)、という2段階に分けられる。
【0003】
プリアライメントにおいて、マークの位置はパターン認識技術により、観測画像中の各観測位置における評価値を算出し、最大の評価値を有する位置がマークの位置として検出される。この場合、例えば、アライメントマークの位置を検出する基準となるテンプレート画像の特徴量ベクトルと、ウェハのアライメントマークの位置近傍を撮像した際の観測画像中における画像(これを、「部分画像」という。)の特徴量ベクトルとの間において、特徴量ベクトルの類似度が評価され、最大の類似度を有する部分画像に基づいて、認識しようとするマークのパターンが検出される。
【0004】
従来技術における上述のパターン認識(以下、「テンプレート画像による認識」という。)技術を用いてマークの位置検出を行う場合、比較対象となる観測画像の画質の劣化によって部分画像の特徴量ベクトルの検出精度は低下し、その結果、類似度の評価に基づく検出率は大きく低下することになる。半導体製造装置では、半導体製造プロセスにおける条件変動や、レチクルを照明するための照明条件の変動などに起因して、(1)観測画像中におけるマーク部の局所的な明度(明るさの度合い)の変動や、(2)観測画像中におけるマーク部の局所的な欠損(例えば、観測画像中の一部の画像が欠落し、類似度を評価するためには不完全な観測画像となる場合)が生じ得る((1)及び(2)を、以下、「局所的劣化」という。)。従来技術におけるこの局所的劣化は類似度の評価に基づく検出率低下の大きな要因となる。
【0005】
ここで、局所的劣化による検出率低下の例を以下に示す。図11Aは、認識しようとする画像T(テンプレート画像、あるいはマーク画像ともいう)を示し、図11Bは4隅の明度が変動した画像Bを示し、図11Cは4隅が欠損した画像Cの例を示す図である。
【0006】
図11A〜11C中において、特徴量を画素値とした場合、各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する処理は図12に示す画素列ごとの走査に従う。図12は、各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する工程を図11Aの画像Tを例として説明する図である。まず、図11Aの画像Tの外形上の輪郭をa1b1a4b4として、この画像Tの左上a1に対応する画素から1画素ごとに右側の画素へ走査して(この走査線を1201で示す)、右端b1に達すると、走査列を1画素分下げて1段下の左端a2に対応する画素から1画素ごとに走査線1202で示す方向にb2まで走査する。この操作を順次繰り返して、最下段の走査線1204に沿って右端のb4に対応する画素まで走査を繰り返す。走査の際に、各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する。
【0007】
ここで設定される画素値は、0から255までのダイナミックレンジの範囲内にある画素値とすることができる。参照番号1で示した白色部分の画素値は255を示し、参照番号2で示した黒色の画素値は0を示し、そして参照番号3で示した白色及び黒色の中間調としての灰色の画素値は128を示すものとする。
【0008】
簡単化のために、各画像(図11A〜図11C)の全画素数を100画素とし、図11Aにおける画像Tの白(画素値255)の画素数を50画素、黒(画素値0)の画素数を50画素とし、図11Bにおける画像Bの白(画素値255)の画素数を35画素、黒(画素値0)の画素数を65画素とする。また、図11Cにおける画像Cの白(画素値255)の画素数を35画素、黒(画素値0)の画素数を35画素 灰色(画素値128)の画素数を30画素とする。
【0009】
類似度は、認識しようとする画像(テンプレート画像)と、観測画像中における部分画像との正規化相関により、以下の式(1)で求めることができる。
【0010】
【数1】
【0011】
D:テンプレート画像のパターン
H:部分画像のパターン
μD:テンプレート画像における特徴量ベクトルの平均値
μH:部分画像における特徴量ベクトルの平均値
式1に従い、全画素数100画素に対応する100次元の特徴量ベクトルに基づく画像T及び画像B、画像T及び画像Cの類似度を求めると、次のようになる。
【0012】
(1)画像Tと画像Bの類似度:0.734
(2)画像Tと画像Cの類似度:0.837
上記の例は100画素に対する100次元の特徴量ベクトルに基づいて類似度を求めた例であるが、更に簡略化し、全画素数5画素の場合の例を以下に説明する。認識しようとするテンプレート画像の特徴量ベクトルが5次元のベクトル[1,1,0,1,1] で与えられ、マーク部を含む部分画像の特徴量ベクトルが[1,1,0,1,1] から[1,1,0,0,1]に局所的劣化(左から4画素目の特徴量が「1」から「0」に劣化している)が発生して変化すると、式1により求められる類似度は0.61に低下する(局所的劣化がない場合、類似度の変化はなく、類似度は1.0となる。)。
【0013】
以上の例が示すように、テンプレート画像と部分画像との正規化相関による類似度の評価は、画像の局所的劣化により類似度が大きく低下することとなり、結果として、プリアライメントにおけるマークの位置の検出精度が低下することとなる。テンプレートによる認識技術として、例えば、以下の特許文献1に示されるものがある。
【特許文献1】特開2003―203846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のようにテンプレートによる従来の認識は、画像データの局所的劣化が原因でマーク部の類似度が大きく低下してしまうことになり、その結果、認識しようとするマーク部以外の類似度よりもマーク部を含む部分画像の類似度が低くなってしまう場合、認識しようとするマークの位置の誤認識が生じる。
【0015】
また、半導体露光装置においては、マーク位置の誤認識により装置が停止すると、誤認識の状態を解消するための位置合せ処理のリトライが必要となり、装置の稼動率が低下するという問題も生じる。
【0016】
本発明は、対象物画像中の対象物領域の誤認識が抑制された画像処理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するべく、本発明にかかる対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理装置は、
前記対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算手段と、
前記各部分画像に関し、前記第1の計算手段により計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算手段と、
前記第2の計算手段により計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した前記対象物画像中の部分画像の位置を前記対象物の位置として認識する認識手段と
を有することを特徴とする。
【0018】
あるいは、本発明にかかる対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理方法は、
前記対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算工程と、
前記各部分画像に関し、前記第1の計算工程において計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算工程と、
前記第2の計算工程において計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した前記対象物画像中の部分画像の位置を前記対象物の位置として認識する認識工程と
を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる露光装置は、上記の画像処理装置を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかるデバイス製造方法は、上記の露光装置を用いて基板にパターンを露光する露光工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
対象物画像中の対象物領域の誤認識が抑制された画像処理技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図13は、プリアライメント画像処理装置8の構成を示すブロック図であり、プリアライメント画像処理装置8は、例えば、CCDやコンタクトイメージセンサ等の撮像ユニット7により光電変換されたビデオ信号をA/D変換装置71でデジタル情報にし、画像処理プロセッサ72でプリアライメント処理を実行する。記憶装置1301には、予めテンプレート画像及びそのデジタル情報、そしてプリアライメントを実行するための、分割や選択に関する領域の座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化順に関するパラメータが格納されており、撮像ユニット7により撮像されたアライメントマーク近傍の観測画像に基づくデジタル情報と、記憶装置1301に格納されているテンプレート画像に基づくデジタル情報とに基づき、画像処理プロセッサ72はプリアライメント処理を実行する。1302は画像判定回路であり、撮像ユニット7で撮影した画像に関して、明度の分布や、画像の欠損の状態などを判定することができる。画像処理プロセッサ72は、例えば、画像判定回路1302の判定結果を利用して、類似度を評価するために適した、テンプレート画像の分割あるいは選択を行うことができる。この場合、画像処理プロセッサは、画像判定回路1302の判定結果に基づき、記憶装置1301に格納されている複数のパラメータのうちから適した分割や選択のパターンを決定する。
【0024】
本実施形態において、画像処理プロセッサ72がプリアライメント処理(以下、「位置検出処理」ともいう。)を実行する主体である。画像処理プロセッサ72が実行する位置検出処理は、従来技術において説明したように、観測画像における局所的劣化による類似度の低下の問題を解消することを目的とするものであり、画像処理プロセッサ72は、テンプレート画像を複数の分割部分(領域)、あるいは、テンプレート画像中から、任意に選択した選択部分(領域)に分け、これらの領域に対応する観測画像中の部分画像の各領域(部分領域)に関する類似度(適合する割合)を評価し、各部分領域の類似度を統計的に処理した値を、その部分画像全体の類似度として推定する。
【0025】
図15Bは、ウェハ(基板)に設けられているアライメントマークの近傍を撮像ユニット7で観測した観測画像1510と部分画像1511、そして部分画像1511を更に分割した部分領域1512の関係を例示的に示す図である。図15Aは、部分画像((1)、(2)、・・・(N))1501と、部分画像中における部分領域の類似度(1502、1503)、部分画像の類似度推定値1504の関係と、演算結果の例を示す図であり、画像処理プロセッサ72は、各部分画像((1)、(2)・・・(N))ごとに、テンプレート画像(観測画像からアライメントマークを含む部分画像を決定するための基準となる画像)に対応する部分領域の類似度を求め(1503)、部分領域に関する類似度を統計的に処理することにより、部分画像の類似度を推定し、最も類似度推定値の大きい部分画像(図15の場合は部分画像(2))をアライメントマークを含む部分画像(以下、「アライメントマークの位置」ともいう。)として絞り込む(決定する)。
【0026】
以下、画像処理プロセッサ72が実行する位置検出処理の内容と、その処理の効果を具体的に説明する。図14は、位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【0027】
まず、ステップS1411において、分割部分パターンあるいは選択部分パターンを求める。画像処理プロセッサ72は、記憶装置1301に格納されているテンプレート画像を選び、選んだテンプレート画像を、例えばn×m(n、m:自然数)個の領域に分割し(例えば、図1Aを参照)、その分割した領域毎に対して特徴量ベクトルを求めてベクトル化したパターン(以下、「分割部分パターン」という。)を生成する。画像処理プロセッサ72は、ベクトル化における特徴量として、各分割領域を構成する各画素の画素値(0〜255)、あるいは濃淡画像の変化(画素値の変化)により特定されるエッジに係る情報(エッジの位置、エッジ度合い)などを用いることができる。
【0028】
図1Aは、テンプレート画像Tを25個の領域に分割した例を示す図である。画像処理プロセッサ72は、各分割領域の特徴量を、例えば、画素値により求める場合、図12で説明したように画素ごとに走査をしながら各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する。画像処理プロセッサ72は、分割した各領域(1a〜25a)の全てに対して特徴量ベクトルを求め、この結果を後述の統計処理(ステップS1412)の際に参照可能な状態で記憶装置1301に格納する。尚、ベクトル化は、記憶装置1301に格納されている特徴量のベクトル化順に関するパラメータに基づいて、画素値を求めるための走査方向や走査画素数に基づいて、画像処理プロセッサ72が任意に制御することが可能であるものとし、図12に示すような走査順に限定されるものではない。
【0029】
また、画像処理プロセッサ72は、分割部分パターンに代わり、テンプレート画像Tの任意の位置における画素の集合を複数個選択し、画素の集合毎に特徴量を算出し、選択した画素の集合ごとにベクトル化したパターン(以下、「選択部分パターン」という。)を生成することができる。この生成プロセスにおいて、画像処理プロセッサ72は、上述の分割部分パターンの場合と同様にベクトル化における特徴量として、選択した画素の集合ごとに各画素の画素値(0〜255)、あるいは濃淡画像の変化(画素値の変化)により特定されるエッジに係る情報などを用いることができる。
【0030】
図1Bは、テンプレート画像Tにおいて、画像処理プロセッサ72が選択部分パターンの特徴量ベクトルを求めるために選択する4つの領域(A、B、C、D)を例示する図である。図中において、画像処理プロセッサ72が選択する画素は四角の領域で囲まれている。選択部分Aは5つの選択領域(101a〜105a)から構成され、選択部分B,Cはそれぞれ4つの選択領域(101b〜104b、101c〜104c)から構成される。そして、選択部分Dは、3個の選択領域(101d〜104d)から構成される。画像処理プロセッサ72は、各選択部分(A、B、C、D)の特徴量ベクトルを、四角で囲んだ各領域ごとに算出する。例えば、特徴量を画素値とした場合、Aの選択部分に関しては、5つの選択領域(101a〜105a)ごとに、画像処理プロセッサ72は、図12で説明したように画素ごとに走査をしながら各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する。選択部分B〜Dについても同様に、画像処理プロセッサ72は各選択領域ごとに特徴量ベクトルの設定を行い、画像処理プロセッサ72は、この結果を後述の統計処理(ステップS1412)の際に参照可能な状態で記憶装置1301に格納する。
【0031】
画像処理プロセッサ72は、ステップS1411の処理として、分割部分パターン(図1A)または選択部分パターン(図1B)を、認識の基準となるテンプレート画像の「部分パターン」として生成する。ここで、本実施形態において、画像処理プロセッサ72は、分割部分パターン(図1A)を5×5の領域にテンプレート画像を分割して求めているが、分割の単位はこれに限られず、画像処理プロセッサ72は、記憶装置1301に格納されている分割や選択に関する領域の座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化順に関するパラメータや、プリアライメント画像処理装置8に入力される観測画像のサイズや、明度、欠損の有無などに従い、任意にその分割数を設定することが可能である。また、オペレータの操作により、分割の単位を指定するようにしてもよい。
【0032】
更に、画像処理プロセッサ72は、選択部分パターン(図1B)を求めるために、本実施形態では、テンプレート画像中にA、B、C、Dの4つの領域を選択しているが、これら領域の選択に関しても、記憶装置1301に格納されるパラメータやプリアライメント画像処理装置8に入力される観測画像のサイズや、明度、欠損の有無、また、オペレータの操作により、分割の単位を指定することができる。
【0033】
説明を図14に戻し、ステップS1412において、画像処理プロセッサ72は、ステップS1411の処理で求めた部分パターン(テンプレート画像の部分パターン)に関して、対応関係にある部分画像に対して、ステップS1411における特徴量ベクトルの算出と同様の方法により部分画像の特徴量をベクトル化し、テンプレート画像の部分パターンと、部分画像のパターンと、の類似度を算出する。ここで、算出する部分領域の類似度の個数は、テンプレート画像を分割、または選択した領域の数に応じた個数分求められることになる。
【0034】
次に、処理をステップS1413に進め、画像処理プロセッサ72は、ステップS1412で算出した複数個の部分領域の類似度を用いた統計処理を行い、その結果を部分画像の類似度とする(以下、「類似度の推定値」という)。
【0035】
部分画像の類似度の推定において、画像処理プロセッサ72は、部分領域の類似度1503を標本としたヒストグラムを作成し、そのヒストグラムから平均値、メディアン、あるいは標本の上位25%と下位25%とを除いた残りの標本の平均値、あるいは上位25%と下位25%とを除いた残りの標本のメディアンなどを算出し、その統計処理により求められた値を部分画像((i),i=1,2,・・・N)の類似度とする。画像処理プロセッサ72は、この統計処理の結果を記憶装置1301内の参照可能なテーブルに格納する。
【0036】
図1Cは、部分画像として局所的劣化を受けたマーク画像を例示する図であり、分割した領域1c〜25cは図1Aの分割領域1a〜25aに対応する領域である。画像処理プロセッサ72は、対応する分割領域において、それぞれ類似度を算出し、算出した25個の類似度に基づきヒストグラム(図1D)を作成し、統計処理を実行する。選択部分パターンに関しても、画像処理プロセッサ72は、テンプレート画像Tにおいて選択した領域ごとに、それぞれ対応する観測画像中における部分画像の類似度を求めてストグラムを作成し、同様の統計処理を実行する。
【0037】
図1Dのヒストグラムは、図1Cの場合において分割部分パターンのみを考慮した場合のヒストグラムであり、同図において、横軸Xは類似度の分布を示す軸であり、縦軸Yは頻度の軸を示している。図1Dにおいて、画像処理プロセッサ72は、中央値Aを部分画像の類似度として推定する。
【0038】
そして、ステップS1414において、画像処理プロセッサ72は、推定した各部分画像の類似度の中で、最大値を示す部分画像の位置をマークの位置とする。
【0039】
図14で説明した方法では、テンプレート画像から複数の部分領域を抽出して利用したが、テンプレート画像の着目点の位置情報と着目点の特徴量との組から構成される部分テンプレートを複数用意し、部分テンプレート毎に、着目点の位置情報と着目点の特徴量とに基づき、部分テンプレートと観測画像の部分画像との類似度を求めるようにしてもよい。当該部分画像とテンプレート画像との類似度は、複数の部分テンプレートに関する複数の類似度から、上述の手法で求めることができる
<具体的効果>
<分割部分パターンを適用した場合>
次に、図14のフローチャートにおける処理で、分割部分パターンを適用した場合の効果を図3を参照して説明する。図3は、欠損を含む部分画像であり、画像処理プロセッサ72は、25個に分割した各領域に対して類似度を演算する。
【0040】
図3における領域番号31a、34a、35a、36a、320a、321a、322a、325以外の領域の類似度は、劣化していないので1.0(完全に一致することを示す)である。領域番号31a、34a、35a、36a、320a、321a、322a、325の8領域の類似度は、劣化しているため1.0より小さい値となる。本実施形態では、0.3〜0.6に分布するものとする。ここで、画像処理プロセッサ72が部分領域に関する類似度に基づき求めるヒストグラムは図4に示すようになる。図4のX軸は類似度を示し、Y軸は頻度を示している。aは類似度0.3を示し、bは類似度0.6を示し、cは類似度1.0を示している。図3の場合、総サンプル数25、このうち類似度1.0が17サンプル、類似度0.3〜0.6が8サンプルなので、メディアンを推定値とした場合、1.0となる。
【0041】
仮に、領域番号31a、34a、35a、36a、320a、321a、322a、325以外の領域が多少劣化して類似度が0.8〜1.0に分布した場合を想定すると、図5に示すようなヒストグラムが得られる。aは類似度0.3、bは類似度0.6、cは類似度0.8、dは類似度0.9、eは類似度1.0を示している。この場合の類似度推定値は、メディアンを推定値とした場合、0.9となる。部分画像中に欠損部分を含み局所的劣化が介在するような場合でも、複数の部分領域に関する類似度を統計的に処理することで、観測画像(部分画像)中のマーク部とテンプレート画像中のマーク部との位置の整合が良好であるにもかかわらず類似度が低下してしまうことを防止することが可能になる。
【0042】
次に、分割部分パターンによる類似度の評価をマーク以外の部分画像に関して適用した例を説明する。ここでは、簡単化のために、以下の特徴量ベクトルA,Bに示すデータを例に説明する。
【0043】
認識しようとする基準パターンの特徴量ベクトルA、観測した未知パターンの特徴量ベクトルBを以下のように想定する。
【0044】
A=[1,0,1,1,0,1,1,0,1,1,0,1,1,0,1]
B=[0,1,0,1,0,1,1,1,0,0,1,1,1,0,1]
特徴量ベクトルAに関する15個のデータ配列に対して、特徴量ベクトルBは不規則に配列するデータが含まれており、従来の方法によると、未知パターンの特徴量ベクトルBの類似度は0となる。
【0045】
一方、本実施形態によれば、分割部分パターンとして、先頭から3個のデータ毎に分割し、15個のデータの配列を[1,0,1]、[1,0,1]、[1,0,1]、[1,0,1] 、[1,0,1]の5個とすると、各分割部分パターンの5個のデータと、これらに対応する未知パターンのデータ、[0,1,0]、[1,0,1]、[1,1,0]、[0,1,1]、[1,0,1]との類似度は、それぞれ、0 、1.0、0.5 、0.5、1.0となる。そして、これらのメディアンを算出すると0.5になる。
【0046】
以上の処理により、特徴量ベクトルの一部に基準となるパターンと異なるパターンが含まれる場合であっても、部分的なパターンに基づいて算出する類似度を統計的に処理して類似度を推定することにより、類似度の低下を防止することが可能になる。
【0047】
<選択部分パターンを適用した場合>
次に、図14のフローチャートにおける処理で、選択部分パターンを適用した場合の効果を図6を参照して説明する。図6は、欠損を含む部分画像であり、画像処理プロセッサ72は、図1Bに対応するように画素領域の集合(A、B、C、D)を設定する。選択部分パターンAは5つの選択領域(101a〜105a)からなり、選択部分パターンB,Cはそれぞれ4つの選択領域(101b〜104b、101c〜104c)からなり、そして、選択部分パターンDは、3個の選択領域(101d〜104d)から構成される。これら各選択領域に対して、部分領域に関する類似度を演算する。
【0048】
選択部分パターンAにおいて、102a,103a,104a,105aの領域が図1Bの選択部分パターンと同一となるので類似度は1.0(完全に一致することを示す)となる。また、101aの領域は欠損領域601と重複しており、この領域の類似度を0.7とすると、画像処理プロセッサ72は、各領域の類似度の平均0.94を選択部分パターンAの類似度として設定する。
【0049】
同様に、選択部分パターンBでは、選択した領域101b〜104b全てが、欠損領域の影響を受けることなく、図1Bの選択部分パターンと共通するので、画像処理プロセッサ72は、図6Aにおける選択部分パターンBの類似度を1.0として設定する。選択部分パターンCにおいては、101c、102c、103cの領域が図1Bの選択部分パターンと同一となるので、画像処理プロセッサ72は、類似度を1.0とする。また、104cの領域は欠損領域602と重複しており、この領域の類似度を0.68とすると、画像処理プロセッサ72は、各領域の類似度の平均0.92を選択部分パターンCの類似度として設定する。選択部分パターンDでは、選択した領域101d〜103d全てが、欠損領域の影響を受けることなく、図1Bの選択部分パターンと共通するので、画像処理プロセッサ72は、図6Aにおける選択部分パターンDの類似度を1.0として設定する。ここで設定された選択部分パターンの類似度に関するデータは、記憶装置1301に格納される。本実施形態によれば、図6Aにおける各選択部分パターンA,B、C、Dと、図1Bにおける選択部分パターンとの類似度は、0.94,1.0,0.92,1.0であり、画像処理プロセッサ72は、メディアン0.97を類似度の推定値とする。
【0050】
以上の処理により、観測画像中に欠損部分を含み局所的劣化が介在するような場合でも、複数の部分領域に関する類似度を統計的に処理することで、観測画像(部分画像)中のマーク部とテンプレート画像中のマーク部との位置の整合が良好であるにもかかわらず類似度が低下してしまうことを防止することが可能になる。
【0051】
次に、選択部分パターンによる類似度の評価をマーク以外の部分画像に関して適用した例を説明する。ここでは、簡単化のために、以下の特徴量ベクトルC,Dに示すデータを例に説明する。
【0052】
認識しようとする基準パターンの特徴量ベクトルC、観測した未知パターンの特徴量ベクトルDを以下のように想定する。
【0053】
C=[1,0,1,1,0, 1,1,0,1, 1,0,1,1, 0,1,1]
D=[0,1,0,1,0, 1,1,1,0, 0,1,1,1, 0,1,1]
特徴量ベクトルCに関する16個のデータ配列に対して、特徴量ベクトルDは不規則に配列するデータが含まれており、従来の方法によると、特徴量ベクトルDの類似度は0となる。
【0054】
一方、本実施形態によれば、選択部分パターンとして特徴量ベクトルの先頭から5データ、4データ、4データ、3データをとり、[1,0,1,1,0] , [1,1,0,1], [1,0,1,1], [0,1,1] 、4個の選択部分パターンに関する類似度を求めると、それぞれ、-0.16 、-0.33、-0.33 、1.0となる。そして、これらのメディアンを算出すると-0.25になる。
【0055】
以上より、特徴量ベクトルの一部に基準となるパターンと異なるパターンが含まれる場合であっても、部分的な複数の分割部分パターンに基づく類似度を統計的に処理して類似度を推定することにより、類似度の低下を防止することが可能になる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について画像処理プロセッサ72が実行する位置検出処理の内容と、その処理の効果を具体的に説明する。第1実施形態にかかる方法では、テンプレート画像を基準に部分領域の特徴量ベクトルを求め、各部分領域に関して類似度を求めたが、第2実施形態にかかる方法では、テンプレート画像から特徴領域を選択し、選択した領域に対して、特徴量ベクトルを求め、観測画像中の部分画像の対応する領域の特徴量ベクトルとの類似度を算出し、算出された類似度からテンプレート画像と部分画像の類似度を推定する。
【0057】
図16は、位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【0058】
まず、ステップS1611において、テンプレート画像から特徴的な領域を選択する。テンプレート画像を複数の領域に分割し、領域毎に離散フーリエ変換、離散コサイン変換、あるいは離散ウェーブレット変換のパワースペクトラムを算出する。この算出結果に基づいて、特定周波数域のスペクトラムの割合が高い領域を選択して特徴的な領域とする。特定周波数域は、縦方向に延びるエッジに起因した周波数成分の割合が高い、あるいは横方向に延びるエッジに起因した周波数成分の割合が高い領域である。
【0059】
図2Aは、部分画像がマークである場合の例を示す図である。ステップS1611の処理において、まず、画像処理プロセッサ72は、画像Tを四角で囲まれた25個の領域に分割する。この例では、パワースペクトラムがDC成分のみとなる黒一色の領域207a、209a、217a、219aを選択領域の候補から除外する。更に、領域201a、205a、220a、225aは、マーク部の縦成分と横成分の特徴が表われない領域であるので、選択領域の候補から除外する。画像処理プロセッサ72は、縦成分あるいは横成分のいずれかの領域が支配的となる残りの領域を特徴的な領域として選択する。特徴領域として選択される領域は、202a〜204a、206a、208a、210a〜216a、218a、219a、222a〜224aの17領域である。
【0060】
図2Bは、部分画像の例を示す図であり、図2Aの場合と同様に、画像処理プロセッサ72は、画像Bを25個の領域に分割し、まず、分割した領域からパワースペクトラムがDC成分のみとなる黒一色の領域207b、209b、217b、219bを選択領域の候補から除外する。更に、画像処理プロセッサ72は、領域201b、204b、205b,206b,220b、221b,222b,225bも明度の影響等によりマークの特徴が欠損する領域に関してもDC成分のみとなるので観測画像における選択領域の候補から除外する。画像処理プロセッサ72は、分割した領域のうち、縦方向に延びるエッジに起因した周波数成分あるいは横方向に延びるエッジに起因した周波数成分が支配的となる202b、203b、208b、210b〜216b、218b、223b、224bを特徴的な領域として選択する。
【0061】
次に、処理をステップS1612に進め、選択した領域毎(例えば、図2Aの場合、202a〜204a、206a、208a、210a〜216a、218a、219a、222a〜224aの17領域)に特徴量を算出し、それらをベクトル化した部分パターンを求める。同様に、部分画像に対して、各特徴領域に関して特徴量ベクトルを求める。
【0062】
特徴量は、第1実施形態で説明したように、画素ごとの画素値やエッジ情報を用いることができる。特徴量を画素値とした場合、特徴領域として選択した領域ごとに、画像処理プロセッサ72は、図12で説明したように画素ごとに走査をしながら各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する。画像処理プロセッサ72は、この結果を後述の統計処理(ステップS1412)の際に参照可能な状態で記憶装置1301に格納する。
【0063】
ステップS1613において、画像処理プロセッサ72は、テンプレート画像Tから特徴領域として選択した各領域と、部分画像から特徴領域として選択した各領域との間で、対応関係にある領域毎に、特徴量ベクトルの類似度を算出する。
【0064】
処理をステップS1614に進め、画像処理プロセッサ72は、ステップS1613で算出した複数個の類似度に対し統計処理を行い、その結果を部分画像とテンプレート画像との類似度と推定する。類似度の推定において、画像処理プロセッサ72は、複数個の類似度を標本としたヒストグラムを作成し、そのヒストグラムから平均値、メディアン、あるいは上位25%と下位25%とを除いた残りの標本の平均値、あるいは上位25%と下位25%とを除いた残りの標本のメディアンなどを算出し、その統計処理により求められた値を類似度とする。画像処理プロセッサ72は、この統計処理の結果を記憶装置1301内の参照可能なテーブルに格納する。
【0065】
このようにして、画像処理プロセッサ72は、部分画像とテンプレート画像との類似度を算出(推定)し、算出された類似度の中で最大値を示す部分画像の位置(例えば、部分画像の重心位置等、所定点の位置)をもって、マークの位置とする。なお、類似度の算出は、部分画像毎に実行されるが、通常、観測画像中においてテンプレート画像と同サイズとなるあらゆる部分領域が当該部分画像として抽出される。
【0066】
<具体的効果>
次に、図16のフローチャートにおける効果を具体的に説明する。図2Aと図2Bにおいて、特徴領域として選択した各領域、(202a,202b)、(203a,203b)、(208a,208b)、(210a,210b),(211a,211b),(212a,212b),(213a,213b),(214a,214b),(215a,215b),(216a,216b),(218a,218b),(220a,220b),(223a,223b),(224a,224b),において、局所的な劣化は存在しないので、類似度は1.0(完全に一致することを示す)となる。
【0067】
画像処理プロセッサ72は、図2A、2Bに関し、総サンプル数14のヒストグラムを作成し、この結果に基づき、類似度は1.0と推定する。
【0068】
部分画像中に欠損部分を含み局所的劣化が介在するような場合でも、複数の特徴領域に関する類似度を統計的に処理することで、部分画像中のマーク部とテンプレート画像中のマーク部との位置の整合が良好であるにもかかわらず類似度が低下してしまうことを防止することが可能になる。
【0069】
次に、特徴領域に関する類似度の評価をマーク以外の部分画像に関して適用した例を説明する。ここでは、簡単化のために、以下の特徴量ベクトルE,Fに示すデータを例に説明する。
【0070】
認識しようとする基準パターンの特徴量ベクトルE、観測した未知パターンの特徴量ベクトルFを以下のように想定する。
【0071】
E=[0,0,1,1,1,1,0,0, 0,0,0,0,0,0,0,0, 0,0,1,1,1,1,0,0, 0,0,0,0,0,0,0,0 ]
F=[0,0,1,1,0,0,1,1, 0,0,1,1,0,0,1,1, 0,0,1,1,0,0,1,1, 0,0,0,0,0,0,0,0 ]
特徴量ベクトルEに関する32個のデータ配列に対して、特徴量ベクトルFは不規則に配列するデータが含まれており、従来の方法によると、未知パターンの特徴量ベクトルFの類似度は0.15となる。
【0072】
一方、本実施形態によれば、画像処理プロセッサ72は、特徴量ベクトルの先頭から8データ毎に[0,0,1,1,0,0,1,1], [0,0,1,1,0,0,1,1], [0,0,1,1,0,0,1,1], [0,0,0,0,0,0,0,0 ]の4個の部分パターンに分割し、4個の部分パターンの中から特徴的なものを選択する。例えば、0と1のデータを含む部分パターンを選択すると、画像処理プロセッサ72は、特徴量ベクトルFのうち、1番目の部分パターン[0,0,1,1,0,0,1,1]、2番目の部分パターン[0,0,1,1,0,0,1,1], そして3番目の部分パターン[0,0,1,1,0,0,1,1]の3個を選択し、そして、対応するテンプレート画像の特徴量ベクトルEのうち、1番目の部分パターン[0,0,1,1,1,1,0,0]、2番目の部分パターン[0,0,0,0,0,0,0,0]、3番目の部分パターン[0,0,1,1,1,1,0,0]を選択し、これら各選択部分に関する類似度を式(1)の正規化相関を用いて算出すると、0、0、0となる。そして、これらのメディアンを0と算出する。
【0073】
以上の処理により、特徴量ベクトルの一部から、特徴となる部分的なデータを抽出し、部分的なデータに基づいて算出する類似度を統計的に処理することで、2つの特徴量ベクトルのうち一方が劣化した画像に基づくものであっても、より適切な類似度を求めることが可能になる。
【0074】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について画像処理プロセッサ72が実行する位置検出処理の内容を説明する。本実施形態においては、第2実施形態で説明した特徴領域の選択と、その選択した領域に対する特徴量ベクトルに関する情報を複数のマーク画像に関して求め、画像処理プロセッサ72は複数のマーク画像に関して求めた情報を平均化してテンプレート画像を求める。
【0075】
図17は、第3実施形態にかかる位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。ステップS1711で、アライメントマークを含むマーク画像の数をカウントするカウンタを初期化する。そして、処理をステップS1712に進め、画像処理プロセッサ72は、i番目のマーク画像に関して特徴領域を選択する。i番目のマーク画像を複数の領域に分割し、領域毎に離散フーリエ変換、離散コサイン変換、あるいは離散ウェーブレット変換のパワースペクトラムを算出する。この算出結果に基づいて、特定周波数域のスペクトラムの割合が高い領域を選択して特徴的な領域とする。この特徴領域の選択処理は、第2実施形態において説明したステップS1611の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0076】
ステップS1713において、ステップS1712において選択した特徴領域に関する特徴量ベクトルを求める。特徴量は、第1及び第2実施形態で説明したように、画素ごとの画素値やエッジ情報を用いることができる。特徴量を画素値とした場合、特徴領域として選択した領域ごとに(図18のマーク画像No.1の場合、1、2、・・・m1)、画像処理プロセッサ72は、図12で説明したように画素ごとに走査をしながら各画素の画素値を特徴量ベクトル(a1,a2,・・・am1)の要素に設定する。画像処理プロセッサ72は、この結果を平均化したテンプレートを作成するために、参照可能な状態で記憶装置1301に格納する(図18を参照)。
【0077】
ステップS1714において、画像処理プロセッサ72は、サンプル取得が終了したか否かを判断し、終了していなければ(S1714-No)、処理をステップS1715に進め、カウンタ(i)をカウントアップして処理をステップS1712に戻し、同様の処理を繰り返す。
【0078】
一方、サンプル取得が終了したと、画像処理プロセッサ72が判断した場合(S1714-Yes)、処理をステップS1716に進め、画像処理プロセッサ72は、各マーク画像について求めた特徴量ベクトルを統計的に処理して求めた平均化テンプレート画像(単にテンプレート画像ともいう)を作成する。テンプレート画像を求める統計的な処理としては、平均値を用いる方法の他、メディアンあるいは特異値分解の合成成分を求めることによってもよい。
【0079】
図18は、記憶装置1301に格納される複数のマーク画像の選択領域、その選択領域に対する特徴量ベクトル、そして、求められた特徴量ベクトルに基づく平均化テンプレート画像が、記憶装置1301に格納された状態を示す図である。
【0080】
図6Bは、第3実施形態において、複数のマーク画像の特徴量ベクトルより求めたテンプレート画像の例を示す図である。例えば、領域601、605、607、609、613、617、619、621、625に関しては、特徴領域として選択されない領域であり、また、明度の変動や欠損により局所的な劣化を起しやすい領域でもあるので、画像処理プロセッサ72は、領域601、605、607、609、613、617、619、621、625を除外した領域についてテンプレート画像を生成する。
【0081】
図19は半導体露光装置において露光するN枚のウェハからなるロットA、B、・・・Mを示す図であり、第1乃至3実施形態の適用は、例えば、ロット単位の先頭のウェハ1901、1902、1903や、初期ロットAのウェハN枚をサンプルとして平均化テンプレート画像を生成し、その結果を後続のウェハに対して適用するようにしてもよい。
【0082】
上述の第1乃至第3実施形態により、テンプレート画像と観測画像の部分画像との類似度を精度よく求めることが可能となり、マーク位置の検出精度向上を図ることが可能になる。更に、半導体製造装置におけるマークの検出失敗による装置停止率も減少し、稼働効率の向上と生産性の向上が可能になる。
【0083】
<第4実施形態>
次に、上述のプリアライメントを適用した半導体露光装置に関する実施形態を説明する。図7は半導体露光装置の概略的な構成を示す図であり、本実施形態は、オフアクシススコープ6によるプリアライメント検出に対して適用したものである。
【0084】
露光対象となる原版としてのパターンはレチクル1上に形成されており、不図示の照明系でI線あるいはエキシマレーザ光を使ってレチクルを照明し、投影レンズ2によりウエハ5にレチクルのパターンを投影露光する。
【0085】
プリアライメントは、ウエハ5が不図示のウエハ搬送装置によって、XYステージ3上のウエハ吸着チャック4に載せられてから行われる。ウエハ5は吸着チャック4上に搬送装置の機械的精度に従い位置決めされるため、精度上そのままウエハの精密な位置計測に移行することはできない。そのため、ウエハ上のプリアライメント計測用の検出マーク(プリアライメントマーク)を投影レンズ2の外側に構成されるオフアクシススコープ6で観測し、CCDカメラ等の撮像ユニット7で光電変換した後、プリアライメント画像処理装置8でアライメントマーク近傍の観測画像を検出する。
【0086】
プリアライメント画像処理装置8内では、光電変換されたビデオ信号をA/D変換装置71でデジタル情報にし、記憶装置1301に格納されているアライメントマークに関するテンプレート画像に関するデータ等やプリアライメント処理を実行するためのパラメータを読み出し、画像処理プロセッサ72がプリアライメントマークの位置検出を行なう。
【0087】
プリアライメントマーク近傍の観測画像を取り込んだときのXYステージ3の位置はレーザ干渉計12によって正確に測定されており、検出処理回路11で処理されたステージの位置情報は制御装置9に入力される。また、オフアクシススコープ6で観測した画像は検出処理回路10で処理した後に制御装置9に入力され、制御装置9はプリアライメントマークの位置のずれとXYステージ3の位置から、ウエハ吸着チャック4上に置かれているウエハ5のずれ量を正確に算出し、このずれ量をステージ駆動制御装置14に入力する。ステージ駆動制御装置14は、制御装置9からフィードバックされるずれ量をなくすようにXYステージ3を位置決めする。
【0088】
図7において、15は、以上のようにして実行されたウエハの粗アライメントの後に、精密なアライメントマークの位置を検出する処理を実行する第2画像処理装置であり、制御装置9は、第2画像処理装置で求められた最終的なアライメントマークの位置に基づき、XYステージ3の位置決め情報を生成し、この位置決め情報に従って、ステージ駆動制御装置14は、XYステージ3を駆動し、最終的な位置決めを行う。
【0089】
本実施形態ではオフアクシススコープ6の照明として暗視野照明を用いている。暗視野照明ではマーク段差のエッジ位置からの散乱光がCCDカメラ7などで受光されるが、本発明は、暗視野照明に限定されるものではなく、明視野照明において撮影された観測画像においても同様に適用することができる。
【0090】
以下、プリアライメント画像処理装置8及びこの装置を用いた半導体露光装置におけるプリアライメント処理の概略的な処理の流れを図8のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、画像処理プロセッサ72は、最初に、マーク画像の分割部分パターンを以下の手順で算出する。
【0091】
まず、ステップS800で、画像処理プロセッサ72は、予め登録しておいたアライメントマークのテンプレート画像(マーク画像)を記憶装置1301から読み込む。
【0092】
そして、ステップS801において、このマーク画像を画像Imgとする。
【0093】
次に、ステップS802において、分割部分パターンを算出するのに必要なパラメータ(各分割領域の座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化に関するパラメータ)を記憶装置1301から読み込む。
【0094】
ステップS802において読み込んだパラメータを用いて、テンプレート画像を分割領域に分割し、各分割領域の特徴量ベクトルを求め、画像Imgの分割部分パターンとする(S803)。この処理は、図14におけるステップS1411の内容に対応する。
【0095】
次に撮像ユニット7で撮像した観測画像に含まれる部分画像のパターンを以下の手順で算出する。
【0096】
まず、ステップS804において、CCDカメラなどの撮像ユニット7により観測された観測画像をプリアライメント画像処理装置8に読み込む。
【0097】
画像処理プロセッサ72は、観測画像からテンプレート画像のサイズに合せて部分画像を抽出する(ステップS806)。そして、ステップS807において、画像処理プロセッサ72は、観測画像から抽出した部分画像を画像Img2とする。
【0098】
ステップS808において、画像処理プロセッサ72は、部分画像のパターンを求めるために、ステップS802で読み込んだパラメータ(座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化に関するパラメータ)を記憶装置1301から読み込む。
【0099】
そして、ステップS809において、先のステップS808で読み込んだパラメータに従い、部分画像Img2を部分分割パターンに対応させて分割し、各分割領域の特徴量ベクトルを求め、部分画像Img2のパターンとする。
【0100】
画像処理プロセッサ72は、ステップS810において、各分割部分パターンに対応する部分画像Img2のパターンの類似度を算出する。この処理は、図14のステップS1412の処理に対応する。
【0101】
そして、画像処理プロセッサ72は、ステップS811において、ステップS810で求めた各分割部分パターンとの類似度を用いて、部分画像Img2の類似度を推定する。この処理は、図14におけるステップS1413に対応する。
【0102】
そして、ステップS806からステップS811までの処理を観測画像から取り出す部分画像がなくなるまで行い、部分画像の読み残しが無い場合(S805-No)は、処理をステップS812に進め、推定した各部分画像の類似度の中で、最大値を示す部分画像の位置をマーク位置とする。この処理は、図14におけるステップS1414に対応する。
【0103】
次に図9を参照して、図8におけるステップS803の分割部分パターンの算出と、ステップS809における部分画像Img2のパターンの算出方法を具体的に説明する。
【0104】
まず、ステップS900において、画像処理プロセッサ72は、パターン化の対象となる画像データを読み込み、画像Imgあるいは画像Img2とする。
【0105】
次に、ステップS901において画像処理プロセッサ72は、画像Imgあるいは画像Img2をパターン化(ベクトル化)するのに必要となる各分割領域(分割の状態は図1Aを参照)の座標値、特徴量の種類、分割した領域内における特徴量のベクトル化順序(例えば、図12に示すような画素値を設定するための走査方向の定義)を記述したパラメータ(分割部分パラメータ)を読み込む。ここで、各領域の座標値は近接する近傍画素の座標とすることができる。
【0106】
そして、ステップS902において、先のステップS901で読み込んだ分割部分パラメータを用いて分割した画像Imgあるいは画像Img2の各部分領域の特徴量を求め、ステップS903において、先のステップS901で読み込んだ分割部分パラメータのベクトル化順序情報を用いて、ステップS902で算出した各部分領域の特徴量をベクトル化したパターンを算出する。
【0107】
次に、図10を参照して、図8のステップS811における部分画像Img2に関する類似度の推定処理の流れを説明する。まず、ステップS1001において、画像処理プロセッサ72は、画像Img2に関し、図8のステップS810で算出した各分割部分パターンに対応する部分画像の各部分領域の類似度を読み込む(この類似度は図15の1503が対応する)。
【0108】
次に、画像処理プロセッサ72は、ステップS1001において読み込んだ各部分領域の類似度を標本としたヒストグラムを作成する(S1002)。
【0109】
そして、画像処理プロセッサ72は、ステップS1003において、ステップS1002で作成したヒストグラムを統計的に処理をして部分画像Img2の類似度を推定値する(ここで求められる部分画像Img2の推定値は図15の1504に対応する。)。尚、統計的な処理としては、平均値、メディアン、あるいは上位25%と下位25%とを除いた標本の平均値、上位25%と下位25%とを除いた標本のメディアンなどの統計量の算出に基づいて、画像処理プロセッサ72が部分画像の類似度を推定する。
【0110】
以上より、半導体露光装置におけるプリアライメント処理において、部分画像中の特徴量ベクトルの一部に基準となるパターンと異なるパターンが含まれる場合であっても、本実施形態にかかる半導体露光装置は、複数の部分領域の類似度を統計的に処理することで、部分画像の類似度を推定することにより、マーク位置の誤認識が抑制され、優れたプリアライメント処理の実行を可能にする。
【0111】
本実施形態により、マークの誤認識により装置が停止することを防ぎ、稼動率に優れた半導体露光装置を提供することが可能になる。
【0112】
<第5実施形態>
第4実施形態においては、分割部分パターンにより部分画像の類似度を統計的に処理してプリアライメント処理を実行する半導体露光装置の例を説明したが、部分分割パターンに代わり、選択部分パターン(例えば、図1Bを参照)により部分画像の類似度を評価してもよい。
【0113】
この場合、図8のステップS800で読み込んだマーク画像に対して、選択部分パターンを算出するために必要なパラメータ(各分割領域の座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化に関するパラメータ)を記憶装置1301から読み込み、画像Imgに対して選択部分パターンを求め、観測画像に基づく部分画像に対しても同様のパラメータにより部分画像Img2に対する選択部分パターンを求めることにより、マーク画像Imgに対する部分画像Img2の類似度を推定すればよい。
【0114】
また、第4実施形態の半導体露光装置におけるプリアライメント処理において、部分分割パターンに代え、図17で説明したように、領域毎に離散フーリエ変換、離散コサイン変換、あるいは離散ウェーブレット変換のパワースペクトラムを算出して、マーク画像及び部分画像の特徴領域を決定し、各特徴領域の特徴量を算出することにより、マーク画像Imgに対する部分画像Img2の類似度を推定してもよい。
【0115】
以上より、特徴量ベクトルの一部に基準となるパターンと異なるパターンが含まれる場合であっても、本実施形態にかかる半導体露光装置は、複数の部分領域の類似度を統計的に処理することで、部分画像の類似度を推定し、マーク位置の誤認識の抑制されたプリアライメント処理の実行を可能にする。
【0116】
また、選択部分パターンを求める際、パワースペクトラムに基づきマーク画像及び部分画像の特徴領域を抽出して各領域の特徴量を算出し、平均化テンプレート画像を求めるようにすれば、局所的劣化の影響を受けやすい部分を予め類似度の評価の対象から除外することができるため、マーク位置の誤認識をさらに抑制することができる。
【0117】
また、本実施形態により、マークの誤認識により装置が停止することを防ぎ、稼動率に優れた半導体露光装置を提供することが可能になる。
【0118】
<デバイス製造方法の実施形態>
次に半導体露光装置等の露光装置を利用した半導体デバイス等のデバイスの製造プロセスを説明する。図20は半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(マスク作成)では設計した回路パターンを形成したマスクを作成する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ7)する。
【0119】
図21は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を成膜する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに描画(露光)する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。
【0120】
本実施形態にかかるデバイス製造方法によれば、マーク位置の誤認識の抑制された露光装置を利用しているため、従来に比べデバイスの生産性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1A】テンプレート画像Tを25個の領域に分割した例を示す図である。
【図1B】テンプレート画像Tにおいて、画像処理プロセッサ72が選択部分パターンの特徴量ベクトルを求めるために選択する4つの領域(A、B、C、D)を例示する図である。
【図1C】部分画像として局所的劣化を受けたマーク画像を例示する図である。
【図1D】類似度を標本としたヒストグラムを示す図である。
【図2A】部分画像がマークである場合の例を示す図である。
【図2B】部分画像の例を示す図である。
【図3】欠損を含む部分画像を示す図である。
【図4】分割部分パターンの類似度を標本としたヒストグラムを例示する図である。
【図5】分割部分パターンの類似度を標本としたヒストグラムを例示する図である。
【図6A】選択部分パターンの選択領域の例を示す図である。
【図6B】複数のマーク画像の特徴量ベクトルより求めたテンプレート画像の例を示す図である。
【図7】半導体露光装置の概略的な構成を示を示す図である。
【図8】プリアライメント画像処理装置8及びこの装置を用いた半導体露光装置におけるプリアライメント処理の概略的な処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】図8におけるステップS803の分割部分パターンの算出、ステップS809における部分画像Img2のパターンの算出方法を具体的に説明するフローチャートである。
【図10】図8のステップS811における部分画像Img2に関する類似度の推定処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11A】認識しようとするテンプレート画像Tを示す図である。
【図11B】4隅の明度が変動した画像Bを示す図である。
【図11C】4隅が欠損した画像Cの例を示す図である。
【図12】各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する工程を図11Aの画像Tを例として説明する図である。
【図13】プリアライメント画像処理装置8の構成を示すブロック図である。
【図14】位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【図15A】部分画像と、部分画像中における部分領域の類似度、部分画像の類似度推定値の関係と、演算結果の例を示す図である。
【図15B】観測画像と部分画像、そして部分画像を更に分割した部分領域の関係を例示的に示す図である。
【図16】位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【図17】第3実施形態にかかる位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【図18】記憶装置に格納される複数のマーク画像の選択領域、その選択領域に対する特徴量ベクトル、そして、求められた特徴量ベクトルに基づく平均化テンプレート画像が、記憶装置に格納された状態を示す図である。
【図19】半導体露光装置において露光するN枚のウェハからなるロットA、B、・・・Mを示す図である。
【図20】半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す図である。
【図21】図20のウエハプロセスの詳細なフローを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レチクルパターンをウェハ上に投影し、露光する前に、露光装置等の半導体製造装置はウェハとレチクルとの位置合わせ(アライメント)を行う。この位置合わせを行うためには、通常、CCDカメラなどの画像入力装置を用いてウェハ上のアライメントマーク(以下、単に「マーク」という。)を中心としたデジタル画像(以下、「観測画像」という。)を半導体製造装置に取り込み、パターン認識技術を用いて観測画像中からマークの位置を検出する。ここで、マークの位置検出手順は、観測画像全体から大まかなアライメントマークの位置を絞り(第1ステップ(以下、この処理ステップを「プリアライメント」ともいう。))、次に、絞り込んだ位置の周辺から精密なアライメントマークの位置を検出する(第2ステップ)、という2段階に分けられる。
【0003】
プリアライメントにおいて、マークの位置はパターン認識技術により、観測画像中の各観測位置における評価値を算出し、最大の評価値を有する位置がマークの位置として検出される。この場合、例えば、アライメントマークの位置を検出する基準となるテンプレート画像の特徴量ベクトルと、ウェハのアライメントマークの位置近傍を撮像した際の観測画像中における画像(これを、「部分画像」という。)の特徴量ベクトルとの間において、特徴量ベクトルの類似度が評価され、最大の類似度を有する部分画像に基づいて、認識しようとするマークのパターンが検出される。
【0004】
従来技術における上述のパターン認識(以下、「テンプレート画像による認識」という。)技術を用いてマークの位置検出を行う場合、比較対象となる観測画像の画質の劣化によって部分画像の特徴量ベクトルの検出精度は低下し、その結果、類似度の評価に基づく検出率は大きく低下することになる。半導体製造装置では、半導体製造プロセスにおける条件変動や、レチクルを照明するための照明条件の変動などに起因して、(1)観測画像中におけるマーク部の局所的な明度(明るさの度合い)の変動や、(2)観測画像中におけるマーク部の局所的な欠損(例えば、観測画像中の一部の画像が欠落し、類似度を評価するためには不完全な観測画像となる場合)が生じ得る((1)及び(2)を、以下、「局所的劣化」という。)。従来技術におけるこの局所的劣化は類似度の評価に基づく検出率低下の大きな要因となる。
【0005】
ここで、局所的劣化による検出率低下の例を以下に示す。図11Aは、認識しようとする画像T(テンプレート画像、あるいはマーク画像ともいう)を示し、図11Bは4隅の明度が変動した画像Bを示し、図11Cは4隅が欠損した画像Cの例を示す図である。
【0006】
図11A〜11C中において、特徴量を画素値とした場合、各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する処理は図12に示す画素列ごとの走査に従う。図12は、各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する工程を図11Aの画像Tを例として説明する図である。まず、図11Aの画像Tの外形上の輪郭をa1b1a4b4として、この画像Tの左上a1に対応する画素から1画素ごとに右側の画素へ走査して(この走査線を1201で示す)、右端b1に達すると、走査列を1画素分下げて1段下の左端a2に対応する画素から1画素ごとに走査線1202で示す方向にb2まで走査する。この操作を順次繰り返して、最下段の走査線1204に沿って右端のb4に対応する画素まで走査を繰り返す。走査の際に、各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する。
【0007】
ここで設定される画素値は、0から255までのダイナミックレンジの範囲内にある画素値とすることができる。参照番号1で示した白色部分の画素値は255を示し、参照番号2で示した黒色の画素値は0を示し、そして参照番号3で示した白色及び黒色の中間調としての灰色の画素値は128を示すものとする。
【0008】
簡単化のために、各画像(図11A〜図11C)の全画素数を100画素とし、図11Aにおける画像Tの白(画素値255)の画素数を50画素、黒(画素値0)の画素数を50画素とし、図11Bにおける画像Bの白(画素値255)の画素数を35画素、黒(画素値0)の画素数を65画素とする。また、図11Cにおける画像Cの白(画素値255)の画素数を35画素、黒(画素値0)の画素数を35画素 灰色(画素値128)の画素数を30画素とする。
【0009】
類似度は、認識しようとする画像(テンプレート画像)と、観測画像中における部分画像との正規化相関により、以下の式(1)で求めることができる。
【0010】
【数1】
【0011】
D:テンプレート画像のパターン
H:部分画像のパターン
μD:テンプレート画像における特徴量ベクトルの平均値
μH:部分画像における特徴量ベクトルの平均値
式1に従い、全画素数100画素に対応する100次元の特徴量ベクトルに基づく画像T及び画像B、画像T及び画像Cの類似度を求めると、次のようになる。
【0012】
(1)画像Tと画像Bの類似度:0.734
(2)画像Tと画像Cの類似度:0.837
上記の例は100画素に対する100次元の特徴量ベクトルに基づいて類似度を求めた例であるが、更に簡略化し、全画素数5画素の場合の例を以下に説明する。認識しようとするテンプレート画像の特徴量ベクトルが5次元のベクトル[1,1,0,1,1] で与えられ、マーク部を含む部分画像の特徴量ベクトルが[1,1,0,1,1] から[1,1,0,0,1]に局所的劣化(左から4画素目の特徴量が「1」から「0」に劣化している)が発生して変化すると、式1により求められる類似度は0.61に低下する(局所的劣化がない場合、類似度の変化はなく、類似度は1.0となる。)。
【0013】
以上の例が示すように、テンプレート画像と部分画像との正規化相関による類似度の評価は、画像の局所的劣化により類似度が大きく低下することとなり、結果として、プリアライメントにおけるマークの位置の検出精度が低下することとなる。テンプレートによる認識技術として、例えば、以下の特許文献1に示されるものがある。
【特許文献1】特開2003―203846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述のようにテンプレートによる従来の認識は、画像データの局所的劣化が原因でマーク部の類似度が大きく低下してしまうことになり、その結果、認識しようとするマーク部以外の類似度よりもマーク部を含む部分画像の類似度が低くなってしまう場合、認識しようとするマークの位置の誤認識が生じる。
【0015】
また、半導体露光装置においては、マーク位置の誤認識により装置が停止すると、誤認識の状態を解消するための位置合せ処理のリトライが必要となり、装置の稼動率が低下するという問題も生じる。
【0016】
本発明は、対象物画像中の対象物領域の誤認識が抑制された画像処理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するべく、本発明にかかる対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理装置は、
前記対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算手段と、
前記各部分画像に関し、前記第1の計算手段により計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算手段と、
前記第2の計算手段により計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した前記対象物画像中の部分画像の位置を前記対象物の位置として認識する認識手段と
を有することを特徴とする。
【0018】
あるいは、本発明にかかる対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理方法は、
前記対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算工程と、
前記各部分画像に関し、前記第1の計算工程において計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算工程と、
前記第2の計算工程において計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した前記対象物画像中の部分画像の位置を前記対象物の位置として認識する認識工程と
を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明にかかる露光装置は、上記の画像処理装置を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明にかかるデバイス製造方法は、上記の露光装置を用いて基板にパターンを露光する露光工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
対象物画像中の対象物領域の誤認識が抑制された画像処理技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図13は、プリアライメント画像処理装置8の構成を示すブロック図であり、プリアライメント画像処理装置8は、例えば、CCDやコンタクトイメージセンサ等の撮像ユニット7により光電変換されたビデオ信号をA/D変換装置71でデジタル情報にし、画像処理プロセッサ72でプリアライメント処理を実行する。記憶装置1301には、予めテンプレート画像及びそのデジタル情報、そしてプリアライメントを実行するための、分割や選択に関する領域の座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化順に関するパラメータが格納されており、撮像ユニット7により撮像されたアライメントマーク近傍の観測画像に基づくデジタル情報と、記憶装置1301に格納されているテンプレート画像に基づくデジタル情報とに基づき、画像処理プロセッサ72はプリアライメント処理を実行する。1302は画像判定回路であり、撮像ユニット7で撮影した画像に関して、明度の分布や、画像の欠損の状態などを判定することができる。画像処理プロセッサ72は、例えば、画像判定回路1302の判定結果を利用して、類似度を評価するために適した、テンプレート画像の分割あるいは選択を行うことができる。この場合、画像処理プロセッサは、画像判定回路1302の判定結果に基づき、記憶装置1301に格納されている複数のパラメータのうちから適した分割や選択のパターンを決定する。
【0024】
本実施形態において、画像処理プロセッサ72がプリアライメント処理(以下、「位置検出処理」ともいう。)を実行する主体である。画像処理プロセッサ72が実行する位置検出処理は、従来技術において説明したように、観測画像における局所的劣化による類似度の低下の問題を解消することを目的とするものであり、画像処理プロセッサ72は、テンプレート画像を複数の分割部分(領域)、あるいは、テンプレート画像中から、任意に選択した選択部分(領域)に分け、これらの領域に対応する観測画像中の部分画像の各領域(部分領域)に関する類似度(適合する割合)を評価し、各部分領域の類似度を統計的に処理した値を、その部分画像全体の類似度として推定する。
【0025】
図15Bは、ウェハ(基板)に設けられているアライメントマークの近傍を撮像ユニット7で観測した観測画像1510と部分画像1511、そして部分画像1511を更に分割した部分領域1512の関係を例示的に示す図である。図15Aは、部分画像((1)、(2)、・・・(N))1501と、部分画像中における部分領域の類似度(1502、1503)、部分画像の類似度推定値1504の関係と、演算結果の例を示す図であり、画像処理プロセッサ72は、各部分画像((1)、(2)・・・(N))ごとに、テンプレート画像(観測画像からアライメントマークを含む部分画像を決定するための基準となる画像)に対応する部分領域の類似度を求め(1503)、部分領域に関する類似度を統計的に処理することにより、部分画像の類似度を推定し、最も類似度推定値の大きい部分画像(図15の場合は部分画像(2))をアライメントマークを含む部分画像(以下、「アライメントマークの位置」ともいう。)として絞り込む(決定する)。
【0026】
以下、画像処理プロセッサ72が実行する位置検出処理の内容と、その処理の効果を具体的に説明する。図14は、位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【0027】
まず、ステップS1411において、分割部分パターンあるいは選択部分パターンを求める。画像処理プロセッサ72は、記憶装置1301に格納されているテンプレート画像を選び、選んだテンプレート画像を、例えばn×m(n、m:自然数)個の領域に分割し(例えば、図1Aを参照)、その分割した領域毎に対して特徴量ベクトルを求めてベクトル化したパターン(以下、「分割部分パターン」という。)を生成する。画像処理プロセッサ72は、ベクトル化における特徴量として、各分割領域を構成する各画素の画素値(0〜255)、あるいは濃淡画像の変化(画素値の変化)により特定されるエッジに係る情報(エッジの位置、エッジ度合い)などを用いることができる。
【0028】
図1Aは、テンプレート画像Tを25個の領域に分割した例を示す図である。画像処理プロセッサ72は、各分割領域の特徴量を、例えば、画素値により求める場合、図12で説明したように画素ごとに走査をしながら各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する。画像処理プロセッサ72は、分割した各領域(1a〜25a)の全てに対して特徴量ベクトルを求め、この結果を後述の統計処理(ステップS1412)の際に参照可能な状態で記憶装置1301に格納する。尚、ベクトル化は、記憶装置1301に格納されている特徴量のベクトル化順に関するパラメータに基づいて、画素値を求めるための走査方向や走査画素数に基づいて、画像処理プロセッサ72が任意に制御することが可能であるものとし、図12に示すような走査順に限定されるものではない。
【0029】
また、画像処理プロセッサ72は、分割部分パターンに代わり、テンプレート画像Tの任意の位置における画素の集合を複数個選択し、画素の集合毎に特徴量を算出し、選択した画素の集合ごとにベクトル化したパターン(以下、「選択部分パターン」という。)を生成することができる。この生成プロセスにおいて、画像処理プロセッサ72は、上述の分割部分パターンの場合と同様にベクトル化における特徴量として、選択した画素の集合ごとに各画素の画素値(0〜255)、あるいは濃淡画像の変化(画素値の変化)により特定されるエッジに係る情報などを用いることができる。
【0030】
図1Bは、テンプレート画像Tにおいて、画像処理プロセッサ72が選択部分パターンの特徴量ベクトルを求めるために選択する4つの領域(A、B、C、D)を例示する図である。図中において、画像処理プロセッサ72が選択する画素は四角の領域で囲まれている。選択部分Aは5つの選択領域(101a〜105a)から構成され、選択部分B,Cはそれぞれ4つの選択領域(101b〜104b、101c〜104c)から構成される。そして、選択部分Dは、3個の選択領域(101d〜104d)から構成される。画像処理プロセッサ72は、各選択部分(A、B、C、D)の特徴量ベクトルを、四角で囲んだ各領域ごとに算出する。例えば、特徴量を画素値とした場合、Aの選択部分に関しては、5つの選択領域(101a〜105a)ごとに、画像処理プロセッサ72は、図12で説明したように画素ごとに走査をしながら各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する。選択部分B〜Dについても同様に、画像処理プロセッサ72は各選択領域ごとに特徴量ベクトルの設定を行い、画像処理プロセッサ72は、この結果を後述の統計処理(ステップS1412)の際に参照可能な状態で記憶装置1301に格納する。
【0031】
画像処理プロセッサ72は、ステップS1411の処理として、分割部分パターン(図1A)または選択部分パターン(図1B)を、認識の基準となるテンプレート画像の「部分パターン」として生成する。ここで、本実施形態において、画像処理プロセッサ72は、分割部分パターン(図1A)を5×5の領域にテンプレート画像を分割して求めているが、分割の単位はこれに限られず、画像処理プロセッサ72は、記憶装置1301に格納されている分割や選択に関する領域の座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化順に関するパラメータや、プリアライメント画像処理装置8に入力される観測画像のサイズや、明度、欠損の有無などに従い、任意にその分割数を設定することが可能である。また、オペレータの操作により、分割の単位を指定するようにしてもよい。
【0032】
更に、画像処理プロセッサ72は、選択部分パターン(図1B)を求めるために、本実施形態では、テンプレート画像中にA、B、C、Dの4つの領域を選択しているが、これら領域の選択に関しても、記憶装置1301に格納されるパラメータやプリアライメント画像処理装置8に入力される観測画像のサイズや、明度、欠損の有無、また、オペレータの操作により、分割の単位を指定することができる。
【0033】
説明を図14に戻し、ステップS1412において、画像処理プロセッサ72は、ステップS1411の処理で求めた部分パターン(テンプレート画像の部分パターン)に関して、対応関係にある部分画像に対して、ステップS1411における特徴量ベクトルの算出と同様の方法により部分画像の特徴量をベクトル化し、テンプレート画像の部分パターンと、部分画像のパターンと、の類似度を算出する。ここで、算出する部分領域の類似度の個数は、テンプレート画像を分割、または選択した領域の数に応じた個数分求められることになる。
【0034】
次に、処理をステップS1413に進め、画像処理プロセッサ72は、ステップS1412で算出した複数個の部分領域の類似度を用いた統計処理を行い、その結果を部分画像の類似度とする(以下、「類似度の推定値」という)。
【0035】
部分画像の類似度の推定において、画像処理プロセッサ72は、部分領域の類似度1503を標本としたヒストグラムを作成し、そのヒストグラムから平均値、メディアン、あるいは標本の上位25%と下位25%とを除いた残りの標本の平均値、あるいは上位25%と下位25%とを除いた残りの標本のメディアンなどを算出し、その統計処理により求められた値を部分画像((i),i=1,2,・・・N)の類似度とする。画像処理プロセッサ72は、この統計処理の結果を記憶装置1301内の参照可能なテーブルに格納する。
【0036】
図1Cは、部分画像として局所的劣化を受けたマーク画像を例示する図であり、分割した領域1c〜25cは図1Aの分割領域1a〜25aに対応する領域である。画像処理プロセッサ72は、対応する分割領域において、それぞれ類似度を算出し、算出した25個の類似度に基づきヒストグラム(図1D)を作成し、統計処理を実行する。選択部分パターンに関しても、画像処理プロセッサ72は、テンプレート画像Tにおいて選択した領域ごとに、それぞれ対応する観測画像中における部分画像の類似度を求めてストグラムを作成し、同様の統計処理を実行する。
【0037】
図1Dのヒストグラムは、図1Cの場合において分割部分パターンのみを考慮した場合のヒストグラムであり、同図において、横軸Xは類似度の分布を示す軸であり、縦軸Yは頻度の軸を示している。図1Dにおいて、画像処理プロセッサ72は、中央値Aを部分画像の類似度として推定する。
【0038】
そして、ステップS1414において、画像処理プロセッサ72は、推定した各部分画像の類似度の中で、最大値を示す部分画像の位置をマークの位置とする。
【0039】
図14で説明した方法では、テンプレート画像から複数の部分領域を抽出して利用したが、テンプレート画像の着目点の位置情報と着目点の特徴量との組から構成される部分テンプレートを複数用意し、部分テンプレート毎に、着目点の位置情報と着目点の特徴量とに基づき、部分テンプレートと観測画像の部分画像との類似度を求めるようにしてもよい。当該部分画像とテンプレート画像との類似度は、複数の部分テンプレートに関する複数の類似度から、上述の手法で求めることができる
<具体的効果>
<分割部分パターンを適用した場合>
次に、図14のフローチャートにおける処理で、分割部分パターンを適用した場合の効果を図3を参照して説明する。図3は、欠損を含む部分画像であり、画像処理プロセッサ72は、25個に分割した各領域に対して類似度を演算する。
【0040】
図3における領域番号31a、34a、35a、36a、320a、321a、322a、325以外の領域の類似度は、劣化していないので1.0(完全に一致することを示す)である。領域番号31a、34a、35a、36a、320a、321a、322a、325の8領域の類似度は、劣化しているため1.0より小さい値となる。本実施形態では、0.3〜0.6に分布するものとする。ここで、画像処理プロセッサ72が部分領域に関する類似度に基づき求めるヒストグラムは図4に示すようになる。図4のX軸は類似度を示し、Y軸は頻度を示している。aは類似度0.3を示し、bは類似度0.6を示し、cは類似度1.0を示している。図3の場合、総サンプル数25、このうち類似度1.0が17サンプル、類似度0.3〜0.6が8サンプルなので、メディアンを推定値とした場合、1.0となる。
【0041】
仮に、領域番号31a、34a、35a、36a、320a、321a、322a、325以外の領域が多少劣化して類似度が0.8〜1.0に分布した場合を想定すると、図5に示すようなヒストグラムが得られる。aは類似度0.3、bは類似度0.6、cは類似度0.8、dは類似度0.9、eは類似度1.0を示している。この場合の類似度推定値は、メディアンを推定値とした場合、0.9となる。部分画像中に欠損部分を含み局所的劣化が介在するような場合でも、複数の部分領域に関する類似度を統計的に処理することで、観測画像(部分画像)中のマーク部とテンプレート画像中のマーク部との位置の整合が良好であるにもかかわらず類似度が低下してしまうことを防止することが可能になる。
【0042】
次に、分割部分パターンによる類似度の評価をマーク以外の部分画像に関して適用した例を説明する。ここでは、簡単化のために、以下の特徴量ベクトルA,Bに示すデータを例に説明する。
【0043】
認識しようとする基準パターンの特徴量ベクトルA、観測した未知パターンの特徴量ベクトルBを以下のように想定する。
【0044】
A=[1,0,1,1,0,1,1,0,1,1,0,1,1,0,1]
B=[0,1,0,1,0,1,1,1,0,0,1,1,1,0,1]
特徴量ベクトルAに関する15個のデータ配列に対して、特徴量ベクトルBは不規則に配列するデータが含まれており、従来の方法によると、未知パターンの特徴量ベクトルBの類似度は0となる。
【0045】
一方、本実施形態によれば、分割部分パターンとして、先頭から3個のデータ毎に分割し、15個のデータの配列を[1,0,1]、[1,0,1]、[1,0,1]、[1,0,1] 、[1,0,1]の5個とすると、各分割部分パターンの5個のデータと、これらに対応する未知パターンのデータ、[0,1,0]、[1,0,1]、[1,1,0]、[0,1,1]、[1,0,1]との類似度は、それぞれ、0 、1.0、0.5 、0.5、1.0となる。そして、これらのメディアンを算出すると0.5になる。
【0046】
以上の処理により、特徴量ベクトルの一部に基準となるパターンと異なるパターンが含まれる場合であっても、部分的なパターンに基づいて算出する類似度を統計的に処理して類似度を推定することにより、類似度の低下を防止することが可能になる。
【0047】
<選択部分パターンを適用した場合>
次に、図14のフローチャートにおける処理で、選択部分パターンを適用した場合の効果を図6を参照して説明する。図6は、欠損を含む部分画像であり、画像処理プロセッサ72は、図1Bに対応するように画素領域の集合(A、B、C、D)を設定する。選択部分パターンAは5つの選択領域(101a〜105a)からなり、選択部分パターンB,Cはそれぞれ4つの選択領域(101b〜104b、101c〜104c)からなり、そして、選択部分パターンDは、3個の選択領域(101d〜104d)から構成される。これら各選択領域に対して、部分領域に関する類似度を演算する。
【0048】
選択部分パターンAにおいて、102a,103a,104a,105aの領域が図1Bの選択部分パターンと同一となるので類似度は1.0(完全に一致することを示す)となる。また、101aの領域は欠損領域601と重複しており、この領域の類似度を0.7とすると、画像処理プロセッサ72は、各領域の類似度の平均0.94を選択部分パターンAの類似度として設定する。
【0049】
同様に、選択部分パターンBでは、選択した領域101b〜104b全てが、欠損領域の影響を受けることなく、図1Bの選択部分パターンと共通するので、画像処理プロセッサ72は、図6Aにおける選択部分パターンBの類似度を1.0として設定する。選択部分パターンCにおいては、101c、102c、103cの領域が図1Bの選択部分パターンと同一となるので、画像処理プロセッサ72は、類似度を1.0とする。また、104cの領域は欠損領域602と重複しており、この領域の類似度を0.68とすると、画像処理プロセッサ72は、各領域の類似度の平均0.92を選択部分パターンCの類似度として設定する。選択部分パターンDでは、選択した領域101d〜103d全てが、欠損領域の影響を受けることなく、図1Bの選択部分パターンと共通するので、画像処理プロセッサ72は、図6Aにおける選択部分パターンDの類似度を1.0として設定する。ここで設定された選択部分パターンの類似度に関するデータは、記憶装置1301に格納される。本実施形態によれば、図6Aにおける各選択部分パターンA,B、C、Dと、図1Bにおける選択部分パターンとの類似度は、0.94,1.0,0.92,1.0であり、画像処理プロセッサ72は、メディアン0.97を類似度の推定値とする。
【0050】
以上の処理により、観測画像中に欠損部分を含み局所的劣化が介在するような場合でも、複数の部分領域に関する類似度を統計的に処理することで、観測画像(部分画像)中のマーク部とテンプレート画像中のマーク部との位置の整合が良好であるにもかかわらず類似度が低下してしまうことを防止することが可能になる。
【0051】
次に、選択部分パターンによる類似度の評価をマーク以外の部分画像に関して適用した例を説明する。ここでは、簡単化のために、以下の特徴量ベクトルC,Dに示すデータを例に説明する。
【0052】
認識しようとする基準パターンの特徴量ベクトルC、観測した未知パターンの特徴量ベクトルDを以下のように想定する。
【0053】
C=[1,0,1,1,0, 1,1,0,1, 1,0,1,1, 0,1,1]
D=[0,1,0,1,0, 1,1,1,0, 0,1,1,1, 0,1,1]
特徴量ベクトルCに関する16個のデータ配列に対して、特徴量ベクトルDは不規則に配列するデータが含まれており、従来の方法によると、特徴量ベクトルDの類似度は0となる。
【0054】
一方、本実施形態によれば、選択部分パターンとして特徴量ベクトルの先頭から5データ、4データ、4データ、3データをとり、[1,0,1,1,0] , [1,1,0,1], [1,0,1,1], [0,1,1] 、4個の選択部分パターンに関する類似度を求めると、それぞれ、-0.16 、-0.33、-0.33 、1.0となる。そして、これらのメディアンを算出すると-0.25になる。
【0055】
以上より、特徴量ベクトルの一部に基準となるパターンと異なるパターンが含まれる場合であっても、部分的な複数の分割部分パターンに基づく類似度を統計的に処理して類似度を推定することにより、類似度の低下を防止することが可能になる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について画像処理プロセッサ72が実行する位置検出処理の内容と、その処理の効果を具体的に説明する。第1実施形態にかかる方法では、テンプレート画像を基準に部分領域の特徴量ベクトルを求め、各部分領域に関して類似度を求めたが、第2実施形態にかかる方法では、テンプレート画像から特徴領域を選択し、選択した領域に対して、特徴量ベクトルを求め、観測画像中の部分画像の対応する領域の特徴量ベクトルとの類似度を算出し、算出された類似度からテンプレート画像と部分画像の類似度を推定する。
【0057】
図16は、位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【0058】
まず、ステップS1611において、テンプレート画像から特徴的な領域を選択する。テンプレート画像を複数の領域に分割し、領域毎に離散フーリエ変換、離散コサイン変換、あるいは離散ウェーブレット変換のパワースペクトラムを算出する。この算出結果に基づいて、特定周波数域のスペクトラムの割合が高い領域を選択して特徴的な領域とする。特定周波数域は、縦方向に延びるエッジに起因した周波数成分の割合が高い、あるいは横方向に延びるエッジに起因した周波数成分の割合が高い領域である。
【0059】
図2Aは、部分画像がマークである場合の例を示す図である。ステップS1611の処理において、まず、画像処理プロセッサ72は、画像Tを四角で囲まれた25個の領域に分割する。この例では、パワースペクトラムがDC成分のみとなる黒一色の領域207a、209a、217a、219aを選択領域の候補から除外する。更に、領域201a、205a、220a、225aは、マーク部の縦成分と横成分の特徴が表われない領域であるので、選択領域の候補から除外する。画像処理プロセッサ72は、縦成分あるいは横成分のいずれかの領域が支配的となる残りの領域を特徴的な領域として選択する。特徴領域として選択される領域は、202a〜204a、206a、208a、210a〜216a、218a、219a、222a〜224aの17領域である。
【0060】
図2Bは、部分画像の例を示す図であり、図2Aの場合と同様に、画像処理プロセッサ72は、画像Bを25個の領域に分割し、まず、分割した領域からパワースペクトラムがDC成分のみとなる黒一色の領域207b、209b、217b、219bを選択領域の候補から除外する。更に、画像処理プロセッサ72は、領域201b、204b、205b,206b,220b、221b,222b,225bも明度の影響等によりマークの特徴が欠損する領域に関してもDC成分のみとなるので観測画像における選択領域の候補から除外する。画像処理プロセッサ72は、分割した領域のうち、縦方向に延びるエッジに起因した周波数成分あるいは横方向に延びるエッジに起因した周波数成分が支配的となる202b、203b、208b、210b〜216b、218b、223b、224bを特徴的な領域として選択する。
【0061】
次に、処理をステップS1612に進め、選択した領域毎(例えば、図2Aの場合、202a〜204a、206a、208a、210a〜216a、218a、219a、222a〜224aの17領域)に特徴量を算出し、それらをベクトル化した部分パターンを求める。同様に、部分画像に対して、各特徴領域に関して特徴量ベクトルを求める。
【0062】
特徴量は、第1実施形態で説明したように、画素ごとの画素値やエッジ情報を用いることができる。特徴量を画素値とした場合、特徴領域として選択した領域ごとに、画像処理プロセッサ72は、図12で説明したように画素ごとに走査をしながら各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する。画像処理プロセッサ72は、この結果を後述の統計処理(ステップS1412)の際に参照可能な状態で記憶装置1301に格納する。
【0063】
ステップS1613において、画像処理プロセッサ72は、テンプレート画像Tから特徴領域として選択した各領域と、部分画像から特徴領域として選択した各領域との間で、対応関係にある領域毎に、特徴量ベクトルの類似度を算出する。
【0064】
処理をステップS1614に進め、画像処理プロセッサ72は、ステップS1613で算出した複数個の類似度に対し統計処理を行い、その結果を部分画像とテンプレート画像との類似度と推定する。類似度の推定において、画像処理プロセッサ72は、複数個の類似度を標本としたヒストグラムを作成し、そのヒストグラムから平均値、メディアン、あるいは上位25%と下位25%とを除いた残りの標本の平均値、あるいは上位25%と下位25%とを除いた残りの標本のメディアンなどを算出し、その統計処理により求められた値を類似度とする。画像処理プロセッサ72は、この統計処理の結果を記憶装置1301内の参照可能なテーブルに格納する。
【0065】
このようにして、画像処理プロセッサ72は、部分画像とテンプレート画像との類似度を算出(推定)し、算出された類似度の中で最大値を示す部分画像の位置(例えば、部分画像の重心位置等、所定点の位置)をもって、マークの位置とする。なお、類似度の算出は、部分画像毎に実行されるが、通常、観測画像中においてテンプレート画像と同サイズとなるあらゆる部分領域が当該部分画像として抽出される。
【0066】
<具体的効果>
次に、図16のフローチャートにおける効果を具体的に説明する。図2Aと図2Bにおいて、特徴領域として選択した各領域、(202a,202b)、(203a,203b)、(208a,208b)、(210a,210b),(211a,211b),(212a,212b),(213a,213b),(214a,214b),(215a,215b),(216a,216b),(218a,218b),(220a,220b),(223a,223b),(224a,224b),において、局所的な劣化は存在しないので、類似度は1.0(完全に一致することを示す)となる。
【0067】
画像処理プロセッサ72は、図2A、2Bに関し、総サンプル数14のヒストグラムを作成し、この結果に基づき、類似度は1.0と推定する。
【0068】
部分画像中に欠損部分を含み局所的劣化が介在するような場合でも、複数の特徴領域に関する類似度を統計的に処理することで、部分画像中のマーク部とテンプレート画像中のマーク部との位置の整合が良好であるにもかかわらず類似度が低下してしまうことを防止することが可能になる。
【0069】
次に、特徴領域に関する類似度の評価をマーク以外の部分画像に関して適用した例を説明する。ここでは、簡単化のために、以下の特徴量ベクトルE,Fに示すデータを例に説明する。
【0070】
認識しようとする基準パターンの特徴量ベクトルE、観測した未知パターンの特徴量ベクトルFを以下のように想定する。
【0071】
E=[0,0,1,1,1,1,0,0, 0,0,0,0,0,0,0,0, 0,0,1,1,1,1,0,0, 0,0,0,0,0,0,0,0 ]
F=[0,0,1,1,0,0,1,1, 0,0,1,1,0,0,1,1, 0,0,1,1,0,0,1,1, 0,0,0,0,0,0,0,0 ]
特徴量ベクトルEに関する32個のデータ配列に対して、特徴量ベクトルFは不規則に配列するデータが含まれており、従来の方法によると、未知パターンの特徴量ベクトルFの類似度は0.15となる。
【0072】
一方、本実施形態によれば、画像処理プロセッサ72は、特徴量ベクトルの先頭から8データ毎に[0,0,1,1,0,0,1,1], [0,0,1,1,0,0,1,1], [0,0,1,1,0,0,1,1], [0,0,0,0,0,0,0,0 ]の4個の部分パターンに分割し、4個の部分パターンの中から特徴的なものを選択する。例えば、0と1のデータを含む部分パターンを選択すると、画像処理プロセッサ72は、特徴量ベクトルFのうち、1番目の部分パターン[0,0,1,1,0,0,1,1]、2番目の部分パターン[0,0,1,1,0,0,1,1], そして3番目の部分パターン[0,0,1,1,0,0,1,1]の3個を選択し、そして、対応するテンプレート画像の特徴量ベクトルEのうち、1番目の部分パターン[0,0,1,1,1,1,0,0]、2番目の部分パターン[0,0,0,0,0,0,0,0]、3番目の部分パターン[0,0,1,1,1,1,0,0]を選択し、これら各選択部分に関する類似度を式(1)の正規化相関を用いて算出すると、0、0、0となる。そして、これらのメディアンを0と算出する。
【0073】
以上の処理により、特徴量ベクトルの一部から、特徴となる部分的なデータを抽出し、部分的なデータに基づいて算出する類似度を統計的に処理することで、2つの特徴量ベクトルのうち一方が劣化した画像に基づくものであっても、より適切な類似度を求めることが可能になる。
【0074】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について画像処理プロセッサ72が実行する位置検出処理の内容を説明する。本実施形態においては、第2実施形態で説明した特徴領域の選択と、その選択した領域に対する特徴量ベクトルに関する情報を複数のマーク画像に関して求め、画像処理プロセッサ72は複数のマーク画像に関して求めた情報を平均化してテンプレート画像を求める。
【0075】
図17は、第3実施形態にかかる位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。ステップS1711で、アライメントマークを含むマーク画像の数をカウントするカウンタを初期化する。そして、処理をステップS1712に進め、画像処理プロセッサ72は、i番目のマーク画像に関して特徴領域を選択する。i番目のマーク画像を複数の領域に分割し、領域毎に離散フーリエ変換、離散コサイン変換、あるいは離散ウェーブレット変換のパワースペクトラムを算出する。この算出結果に基づいて、特定周波数域のスペクトラムの割合が高い領域を選択して特徴的な領域とする。この特徴領域の選択処理は、第2実施形態において説明したステップS1611の処理と同様なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0076】
ステップS1713において、ステップS1712において選択した特徴領域に関する特徴量ベクトルを求める。特徴量は、第1及び第2実施形態で説明したように、画素ごとの画素値やエッジ情報を用いることができる。特徴量を画素値とした場合、特徴領域として選択した領域ごとに(図18のマーク画像No.1の場合、1、2、・・・m1)、画像処理プロセッサ72は、図12で説明したように画素ごとに走査をしながら各画素の画素値を特徴量ベクトル(a1,a2,・・・am1)の要素に設定する。画像処理プロセッサ72は、この結果を平均化したテンプレートを作成するために、参照可能な状態で記憶装置1301に格納する(図18を参照)。
【0077】
ステップS1714において、画像処理プロセッサ72は、サンプル取得が終了したか否かを判断し、終了していなければ(S1714-No)、処理をステップS1715に進め、カウンタ(i)をカウントアップして処理をステップS1712に戻し、同様の処理を繰り返す。
【0078】
一方、サンプル取得が終了したと、画像処理プロセッサ72が判断した場合(S1714-Yes)、処理をステップS1716に進め、画像処理プロセッサ72は、各マーク画像について求めた特徴量ベクトルを統計的に処理して求めた平均化テンプレート画像(単にテンプレート画像ともいう)を作成する。テンプレート画像を求める統計的な処理としては、平均値を用いる方法の他、メディアンあるいは特異値分解の合成成分を求めることによってもよい。
【0079】
図18は、記憶装置1301に格納される複数のマーク画像の選択領域、その選択領域に対する特徴量ベクトル、そして、求められた特徴量ベクトルに基づく平均化テンプレート画像が、記憶装置1301に格納された状態を示す図である。
【0080】
図6Bは、第3実施形態において、複数のマーク画像の特徴量ベクトルより求めたテンプレート画像の例を示す図である。例えば、領域601、605、607、609、613、617、619、621、625に関しては、特徴領域として選択されない領域であり、また、明度の変動や欠損により局所的な劣化を起しやすい領域でもあるので、画像処理プロセッサ72は、領域601、605、607、609、613、617、619、621、625を除外した領域についてテンプレート画像を生成する。
【0081】
図19は半導体露光装置において露光するN枚のウェハからなるロットA、B、・・・Mを示す図であり、第1乃至3実施形態の適用は、例えば、ロット単位の先頭のウェハ1901、1902、1903や、初期ロットAのウェハN枚をサンプルとして平均化テンプレート画像を生成し、その結果を後続のウェハに対して適用するようにしてもよい。
【0082】
上述の第1乃至第3実施形態により、テンプレート画像と観測画像の部分画像との類似度を精度よく求めることが可能となり、マーク位置の検出精度向上を図ることが可能になる。更に、半導体製造装置におけるマークの検出失敗による装置停止率も減少し、稼働効率の向上と生産性の向上が可能になる。
【0083】
<第4実施形態>
次に、上述のプリアライメントを適用した半導体露光装置に関する実施形態を説明する。図7は半導体露光装置の概略的な構成を示す図であり、本実施形態は、オフアクシススコープ6によるプリアライメント検出に対して適用したものである。
【0084】
露光対象となる原版としてのパターンはレチクル1上に形成されており、不図示の照明系でI線あるいはエキシマレーザ光を使ってレチクルを照明し、投影レンズ2によりウエハ5にレチクルのパターンを投影露光する。
【0085】
プリアライメントは、ウエハ5が不図示のウエハ搬送装置によって、XYステージ3上のウエハ吸着チャック4に載せられてから行われる。ウエハ5は吸着チャック4上に搬送装置の機械的精度に従い位置決めされるため、精度上そのままウエハの精密な位置計測に移行することはできない。そのため、ウエハ上のプリアライメント計測用の検出マーク(プリアライメントマーク)を投影レンズ2の外側に構成されるオフアクシススコープ6で観測し、CCDカメラ等の撮像ユニット7で光電変換した後、プリアライメント画像処理装置8でアライメントマーク近傍の観測画像を検出する。
【0086】
プリアライメント画像処理装置8内では、光電変換されたビデオ信号をA/D変換装置71でデジタル情報にし、記憶装置1301に格納されているアライメントマークに関するテンプレート画像に関するデータ等やプリアライメント処理を実行するためのパラメータを読み出し、画像処理プロセッサ72がプリアライメントマークの位置検出を行なう。
【0087】
プリアライメントマーク近傍の観測画像を取り込んだときのXYステージ3の位置はレーザ干渉計12によって正確に測定されており、検出処理回路11で処理されたステージの位置情報は制御装置9に入力される。また、オフアクシススコープ6で観測した画像は検出処理回路10で処理した後に制御装置9に入力され、制御装置9はプリアライメントマークの位置のずれとXYステージ3の位置から、ウエハ吸着チャック4上に置かれているウエハ5のずれ量を正確に算出し、このずれ量をステージ駆動制御装置14に入力する。ステージ駆動制御装置14は、制御装置9からフィードバックされるずれ量をなくすようにXYステージ3を位置決めする。
【0088】
図7において、15は、以上のようにして実行されたウエハの粗アライメントの後に、精密なアライメントマークの位置を検出する処理を実行する第2画像処理装置であり、制御装置9は、第2画像処理装置で求められた最終的なアライメントマークの位置に基づき、XYステージ3の位置決め情報を生成し、この位置決め情報に従って、ステージ駆動制御装置14は、XYステージ3を駆動し、最終的な位置決めを行う。
【0089】
本実施形態ではオフアクシススコープ6の照明として暗視野照明を用いている。暗視野照明ではマーク段差のエッジ位置からの散乱光がCCDカメラ7などで受光されるが、本発明は、暗視野照明に限定されるものではなく、明視野照明において撮影された観測画像においても同様に適用することができる。
【0090】
以下、プリアライメント画像処理装置8及びこの装置を用いた半導体露光装置におけるプリアライメント処理の概略的な処理の流れを図8のフローチャートを参照しつつ説明する。まず、画像処理プロセッサ72は、最初に、マーク画像の分割部分パターンを以下の手順で算出する。
【0091】
まず、ステップS800で、画像処理プロセッサ72は、予め登録しておいたアライメントマークのテンプレート画像(マーク画像)を記憶装置1301から読み込む。
【0092】
そして、ステップS801において、このマーク画像を画像Imgとする。
【0093】
次に、ステップS802において、分割部分パターンを算出するのに必要なパラメータ(各分割領域の座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化に関するパラメータ)を記憶装置1301から読み込む。
【0094】
ステップS802において読み込んだパラメータを用いて、テンプレート画像を分割領域に分割し、各分割領域の特徴量ベクトルを求め、画像Imgの分割部分パターンとする(S803)。この処理は、図14におけるステップS1411の内容に対応する。
【0095】
次に撮像ユニット7で撮像した観測画像に含まれる部分画像のパターンを以下の手順で算出する。
【0096】
まず、ステップS804において、CCDカメラなどの撮像ユニット7により観測された観測画像をプリアライメント画像処理装置8に読み込む。
【0097】
画像処理プロセッサ72は、観測画像からテンプレート画像のサイズに合せて部分画像を抽出する(ステップS806)。そして、ステップS807において、画像処理プロセッサ72は、観測画像から抽出した部分画像を画像Img2とする。
【0098】
ステップS808において、画像処理プロセッサ72は、部分画像のパターンを求めるために、ステップS802で読み込んだパラメータ(座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化に関するパラメータ)を記憶装置1301から読み込む。
【0099】
そして、ステップS809において、先のステップS808で読み込んだパラメータに従い、部分画像Img2を部分分割パターンに対応させて分割し、各分割領域の特徴量ベクトルを求め、部分画像Img2のパターンとする。
【0100】
画像処理プロセッサ72は、ステップS810において、各分割部分パターンに対応する部分画像Img2のパターンの類似度を算出する。この処理は、図14のステップS1412の処理に対応する。
【0101】
そして、画像処理プロセッサ72は、ステップS811において、ステップS810で求めた各分割部分パターンとの類似度を用いて、部分画像Img2の類似度を推定する。この処理は、図14におけるステップS1413に対応する。
【0102】
そして、ステップS806からステップS811までの処理を観測画像から取り出す部分画像がなくなるまで行い、部分画像の読み残しが無い場合(S805-No)は、処理をステップS812に進め、推定した各部分画像の類似度の中で、最大値を示す部分画像の位置をマーク位置とする。この処理は、図14におけるステップS1414に対応する。
【0103】
次に図9を参照して、図8におけるステップS803の分割部分パターンの算出と、ステップS809における部分画像Img2のパターンの算出方法を具体的に説明する。
【0104】
まず、ステップS900において、画像処理プロセッサ72は、パターン化の対象となる画像データを読み込み、画像Imgあるいは画像Img2とする。
【0105】
次に、ステップS901において画像処理プロセッサ72は、画像Imgあるいは画像Img2をパターン化(ベクトル化)するのに必要となる各分割領域(分割の状態は図1Aを参照)の座標値、特徴量の種類、分割した領域内における特徴量のベクトル化順序(例えば、図12に示すような画素値を設定するための走査方向の定義)を記述したパラメータ(分割部分パラメータ)を読み込む。ここで、各領域の座標値は近接する近傍画素の座標とすることができる。
【0106】
そして、ステップS902において、先のステップS901で読み込んだ分割部分パラメータを用いて分割した画像Imgあるいは画像Img2の各部分領域の特徴量を求め、ステップS903において、先のステップS901で読み込んだ分割部分パラメータのベクトル化順序情報を用いて、ステップS902で算出した各部分領域の特徴量をベクトル化したパターンを算出する。
【0107】
次に、図10を参照して、図8のステップS811における部分画像Img2に関する類似度の推定処理の流れを説明する。まず、ステップS1001において、画像処理プロセッサ72は、画像Img2に関し、図8のステップS810で算出した各分割部分パターンに対応する部分画像の各部分領域の類似度を読み込む(この類似度は図15の1503が対応する)。
【0108】
次に、画像処理プロセッサ72は、ステップS1001において読み込んだ各部分領域の類似度を標本としたヒストグラムを作成する(S1002)。
【0109】
そして、画像処理プロセッサ72は、ステップS1003において、ステップS1002で作成したヒストグラムを統計的に処理をして部分画像Img2の類似度を推定値する(ここで求められる部分画像Img2の推定値は図15の1504に対応する。)。尚、統計的な処理としては、平均値、メディアン、あるいは上位25%と下位25%とを除いた標本の平均値、上位25%と下位25%とを除いた標本のメディアンなどの統計量の算出に基づいて、画像処理プロセッサ72が部分画像の類似度を推定する。
【0110】
以上より、半導体露光装置におけるプリアライメント処理において、部分画像中の特徴量ベクトルの一部に基準となるパターンと異なるパターンが含まれる場合であっても、本実施形態にかかる半導体露光装置は、複数の部分領域の類似度を統計的に処理することで、部分画像の類似度を推定することにより、マーク位置の誤認識が抑制され、優れたプリアライメント処理の実行を可能にする。
【0111】
本実施形態により、マークの誤認識により装置が停止することを防ぎ、稼動率に優れた半導体露光装置を提供することが可能になる。
【0112】
<第5実施形態>
第4実施形態においては、分割部分パターンにより部分画像の類似度を統計的に処理してプリアライメント処理を実行する半導体露光装置の例を説明したが、部分分割パターンに代わり、選択部分パターン(例えば、図1Bを参照)により部分画像の類似度を評価してもよい。
【0113】
この場合、図8のステップS800で読み込んだマーク画像に対して、選択部分パターンを算出するために必要なパラメータ(各分割領域の座標値、特徴量の種類、特徴量のベクトル化に関するパラメータ)を記憶装置1301から読み込み、画像Imgに対して選択部分パターンを求め、観測画像に基づく部分画像に対しても同様のパラメータにより部分画像Img2に対する選択部分パターンを求めることにより、マーク画像Imgに対する部分画像Img2の類似度を推定すればよい。
【0114】
また、第4実施形態の半導体露光装置におけるプリアライメント処理において、部分分割パターンに代え、図17で説明したように、領域毎に離散フーリエ変換、離散コサイン変換、あるいは離散ウェーブレット変換のパワースペクトラムを算出して、マーク画像及び部分画像の特徴領域を決定し、各特徴領域の特徴量を算出することにより、マーク画像Imgに対する部分画像Img2の類似度を推定してもよい。
【0115】
以上より、特徴量ベクトルの一部に基準となるパターンと異なるパターンが含まれる場合であっても、本実施形態にかかる半導体露光装置は、複数の部分領域の類似度を統計的に処理することで、部分画像の類似度を推定し、マーク位置の誤認識の抑制されたプリアライメント処理の実行を可能にする。
【0116】
また、選択部分パターンを求める際、パワースペクトラムに基づきマーク画像及び部分画像の特徴領域を抽出して各領域の特徴量を算出し、平均化テンプレート画像を求めるようにすれば、局所的劣化の影響を受けやすい部分を予め類似度の評価の対象から除外することができるため、マーク位置の誤認識をさらに抑制することができる。
【0117】
また、本実施形態により、マークの誤認識により装置が停止することを防ぎ、稼動率に優れた半導体露光装置を提供することが可能になる。
【0118】
<デバイス製造方法の実施形態>
次に半導体露光装置等の露光装置を利用した半導体デバイス等のデバイスの製造プロセスを説明する。図20は半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(マスク作成)では設計した回路パターンを形成したマスクを作成する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ7)する。
【0119】
図21は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を成膜する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によって回路パターンをウエハに描画(露光)する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。
【0120】
本実施形態にかかるデバイス製造方法によれば、マーク位置の誤認識の抑制された露光装置を利用しているため、従来に比べデバイスの生産性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1A】テンプレート画像Tを25個の領域に分割した例を示す図である。
【図1B】テンプレート画像Tにおいて、画像処理プロセッサ72が選択部分パターンの特徴量ベクトルを求めるために選択する4つの領域(A、B、C、D)を例示する図である。
【図1C】部分画像として局所的劣化を受けたマーク画像を例示する図である。
【図1D】類似度を標本としたヒストグラムを示す図である。
【図2A】部分画像がマークである場合の例を示す図である。
【図2B】部分画像の例を示す図である。
【図3】欠損を含む部分画像を示す図である。
【図4】分割部分パターンの類似度を標本としたヒストグラムを例示する図である。
【図5】分割部分パターンの類似度を標本としたヒストグラムを例示する図である。
【図6A】選択部分パターンの選択領域の例を示す図である。
【図6B】複数のマーク画像の特徴量ベクトルより求めたテンプレート画像の例を示す図である。
【図7】半導体露光装置の概略的な構成を示を示す図である。
【図8】プリアライメント画像処理装置8及びこの装置を用いた半導体露光装置におけるプリアライメント処理の概略的な処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】図8におけるステップS803の分割部分パターンの算出、ステップS809における部分画像Img2のパターンの算出方法を具体的に説明するフローチャートである。
【図10】図8のステップS811における部分画像Img2に関する類似度の推定処理の流れを説明するフローチャートである。
【図11A】認識しようとするテンプレート画像Tを示す図である。
【図11B】4隅の明度が変動した画像Bを示す図である。
【図11C】4隅が欠損した画像Cの例を示す図である。
【図12】各画素の画素値を特徴量ベクトルの要素に設定する工程を図11Aの画像Tを例として説明する図である。
【図13】プリアライメント画像処理装置8の構成を示すブロック図である。
【図14】位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【図15A】部分画像と、部分画像中における部分領域の類似度、部分画像の類似度推定値の関係と、演算結果の例を示す図である。
【図15B】観測画像と部分画像、そして部分画像を更に分割した部分領域の関係を例示的に示す図である。
【図16】位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【図17】第3実施形態にかかる位置検出処理の流れを概略的に説明するフローチャートである。
【図18】記憶装置に格納される複数のマーク画像の選択領域、その選択領域に対する特徴量ベクトル、そして、求められた特徴量ベクトルに基づく平均化テンプレート画像が、記憶装置に格納された状態を示す図である。
【図19】半導体露光装置において露光するN枚のウェハからなるロットA、B、・・・Mを示す図である。
【図20】半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す図である。
【図21】図20のウエハプロセスの詳細なフローを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理装置であって、
前記対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算手段と、
前記各部分画像に関し、前記第1の計算手段により計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算手段と、
前記第2の計算手段により計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した前記対象物画像中の部分画像の位置を前記対象物の位置として認識する認識手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記各部分画像を抽出する抽出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記部分領域を決定する決定手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記部分領域を、前記部分画像および前記基準画像の少なくとも一方の各部分領域の空間周波数成分を求めることにより決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の計算手段は、相関演算により前記類似度を計算することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記統計値は、前記複数の類似度の平均値もしくは中間値であり、または前記複数の類似度の頻度分布から求めることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理方法であって、
前記対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算工程と、
前記各部分画像に関し、前記第1の計算工程において計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算工程と、
前記第2の計算工程において計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した前記対象物画像中の部分画像の位置を前記対象物の位置として認識する認識工程と
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理装置を有することを特徴とする露光装置。
【請求項9】
前記画像処理装置により、露光対象の基板に形成された、前記対象物としてのマークの位置を認識することを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の露光装置を用いて基板にパターンを露光する露光工程を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【請求項1】
対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理装置であって、
前記対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算手段と、
前記各部分画像に関し、前記第1の計算手段により計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算手段と、
前記第2の計算手段により計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した前記対象物画像中の部分画像の位置を前記対象物の位置として認識する認識手段と
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記各部分画像を抽出する抽出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記部分領域を決定する決定手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記部分領域を、前記部分画像および前記基準画像の少なくとも一方の各部分領域の空間周波数成分を求めることにより決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の計算手段は、相関演算により前記類似度を計算することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記統計値は、前記複数の類似度の平均値もしくは中間値であり、または前記複数の類似度の頻度分布から求めることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
対象物画像中の対象物の位置を求める画像処理方法であって、
前記対象物画像中の各部分画像および基準画像に関し、対応する部分領域毎に類似度を計算する第1の計算工程と、
前記各部分画像に関し、前記第1の計算工程において計算された複数の類似度の統計値を計算する第2の計算工程と、
前記第2の計算工程において計算された複数の統計値のうちの最大値に対応した前記対象物画像中の部分画像の位置を前記対象物の位置として認識する認識工程と
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理装置を有することを特徴とする露光装置。
【請求項9】
前記画像処理装置により、露光対象の基板に形成された、前記対象物としてのマークの位置を認識することを特徴とする請求項8に記載の露光装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の露光装置を用いて基板にパターンを露光する露光工程を有することを特徴とするデバイス製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15A】
【図15B】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−5242(P2006−5242A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181470(P2004−181470)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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