説明

画像処理装置および画像処理プログラム

【課題】画像の領域の大きさを使用者の操作精度によらず容易かつ均一に得ることが可能な画像処理装置および画像処理プログラムを提供する。
【解決手段】画像データに基づく初期画像IMにおいて抽出される領域A4が表示部260の画像表示領域261に表示される。表示された領域A4に外接する外接矩形Pが作成される。作成された外接矩形Pが表示部260の画像表示領域261に表示されるとともに、作成された外接矩形Pの予め定められた部分の寸法または面積を示す特徴量が算出される。使用者は、入力装置を用いて表示部260の画像表示領域261に表示された外接図形Pを回転させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を処理する画像処理装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡等を含む拡大観察装置においては、観察対象物の画像が得られる。使用者は、観察対象物の画像に基づいて観察対象物の大きさおよび面積等を算出することができる。
【0003】
特許文献1に記載された画像計測装置は、計測対象物を示す画像および計測器を示す画像が表示手段に表示される。計測器は、所定の方向に延伸した本体部と、本体部と直交する方向に延伸する2つの計測部とを有する。画像上において、計測部が本体部の長手方向に移動し、計測部の検出部を示す画像に対応する画像データの画面上の座標値が計測対象部分のエッジを示す画像に対応する画像データの画面上の座標値に一致した場合、計測対象物の計測位置が受け付けられる。受け付けられた計測位置での画面上の座標値に基づいて計測対象部分の実測値が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−032330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された画像計測装置によれば、画像上において計測部の2つの検出部で計測対象部分を挟むことにより、計測対象部分の寸法を実際の計測器で計測するように画像上で直感的な操作によって簡便に計測することができる。
【0006】
しかしながら、この画像計測装置を用いて複数の計測対象物の寸法を比較する場合、計測部の2つの検出部を複数の計測対象物の同じ部分に同じ角度で設定することが必要である。そのため、使用者の負担が増加するとともに、使用者の操作ミスが発生する。それにより、複数の計測対象物の寸法を適切に比較できないことがある。さらに、複数の使用者が同一の計測対象物の寸法を計測した場合でも、使用者の操作精度の個人差により、同一の結果が得られないことがある。
【0007】
本発明の目的は、画像の領域の大きさを使用者の操作精度によらず容易かつ均一に得ることが可能な画像処理装置および画像処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る画像処理装置は、画像データに基づく画像において抽出される領域を表示するための表示部と、画像データに基づいて、表示部に表示された領域に外接する矩形の外接図形を作成し、作成された外接図形を表示部に表示させるとともに、作成された外接図形の予め定められた部分の寸法または面積を示す特徴量を算出するように動作する処理部と、表示部に表示された外接図形を回転させるために使用者により操作される操作部とを備え、処理部は、操作部の操作に基づいて外接図形を表示部の画面上で回転させるように動作するものである。
【0009】
この画像処理装置においては、画像データに基づく画像において抽出される領域が表示される。表示された領域に外接する矩形の外接図形が作成される。作成された外接図形が表示されるとともに、作成された外接図形の予め定められた部分の寸法または面積を示す特徴量が算出される。表示された外接図形は、使用者の操作に基づいて回転される。使用者は、外接図形を任意の角度で領域に外接させることができる。
【0010】
この場合、画像の領域の大きさが外接図形の特徴量として算出される。また、外接図形は使用者の操作によらず画一的に作成される。これにより、画像の領域の大きさを使用者の操作精度によらず容易かつ均一に得ることができる。
【0011】
(2)処理部は、特徴量として、外接図形の辺の長さ、外接図形の周囲長、外接図形の面積および外接図形の頂点の座標の少なくとも1つを算出してもよい。
【0012】
この場合、使用者は、外接図形の辺の長さ、外接図形の周囲長、外接図形の面積または外接図形の頂点の座標に基づいて画像の領域の大きさを認識することができる。
【0013】
(3)処理部は、算出された特徴量を表示部に外接図形とともに表示させるように動作してもよい。この場合、使用者は外接図形の特徴量を容易に認識することができる。
【0014】
(4)処理部は、表示部の画面上の水平方向に平行な2辺と垂直方向に平行な2辺とからなる矩形、領域の複数の頂点を結ぶ線分のうち最大の線分に垂直な2辺と最大の線分と等しい長さを有する2辺とからなる矩形、領域の複数の軸または径のうち最大の軸または径に垂直な2辺と最大の軸または径と等しい長さを有する2辺とからなる矩形、領域の複数の頂点を結ぶ線分のうち最小の線分に垂直な2辺と最小の線分と等しい長さを有する2辺とからなる矩形、領域の複数の軸のうち最小の軸または径に垂直な2辺と最小の軸または径と等しい長さを有する2辺とからなる矩形、および領域に外接する複数の矩形のうち最小の面積を有する矩形のうち少なくとも1つを外接図形として作成してもよい。
【0015】
この場合、使用者は、多角形、円または楕円状を有する領域の概略的な大きさを容易かつ均一に得ることができる。
【0016】
(5)処理部は、表示部の画面上に任意の角度で表示される外接図形と領域との相関関係を求め、求められた相関関係に基づいて外接図形の回転角度を算出してもよい。この場合、外接図形と領域との相関関係に基づいて外接図形の回転角度を容易に算出することができる。
【0017】
(6)領域は少なくとも一辺を有し、相関関係は、領域の一辺と外接図形の一辺とがなす角度であってもよい。この場合、外接図形の回転角度を容易に算出することができる。
【0018】
(7)相関関係は、領域に外接する凸多角形の一辺と外接図形の一辺とがなす角度であってもよい。この場合、凹凸を有する領域についての外接図形の回転角度を容易に算出することができる。
【0019】
(8)処理部は、外接図形を算出された回転角度だけ回転させたときに外接図形の表示態様を変化させてもよい。この場合、使用者は、領域の相関関係を有する外接図形を容易に認識することができる。
【0020】
(9)第2の発明に係る画像処理プログラムは、画像データに基づく画像において抽出される領域を表示するための処理と、画像データに基づいて、表示された領域に外接する矩形の外接図形を作成し、作成された外接図形を表示させる処理と、作成された外接図形の予め定められた部分の寸法または面積を示す特徴量を算出する処理と、表示された外接図形を回転させるために使用者により操作される処理と、使用者による操作に基づいて外接図形を回転させる処理とを、処理装置に実行させるものである。
【0021】
この画像処理プログラムによれば、画像データに基づく画像において抽出される領域が表示される。表示された領域に外接する矩形の外接図形が作成される。作成された外接図形が表示されるとともに、作成された外接図形の予め定められた部分の寸法または面積を示す特徴量が算出される。表示された外接図形は、使用者の操作に基づいて回転される。使用者は、外接図形を任意の角度で領域に外接させることができる。
【0022】
この場合、画像の領域の大きさが外接図形の特徴量として算出される。また、外接図形は使用者の操作によらず画一的に作成される。これにより、画像の領域の大きさを使用者の操作精度によらず容易かつ均一に得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、画像の領域の大きさを使用者の操作精度によらず容易かつ均一に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像処理装置を備えた拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る画像処理装置を備えた拡大観察装置の顕微鏡を示す斜視図である。
【図3】顕微鏡の撮像装置がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。
【図4】顕微鏡の撮像装置がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【図5】表示部の画面の一例を示す模式図である。
【図6】領域抽出処理における初期画像を示す模式図である。
【図7】所望の領域が抽出された初期画像を示す模式図である。
【図8】領域が抽出された状態で計測実行ボタンが操作されたときの表示部の画面の一例を示す模式図である。
【図9】種々の外接図形の説明図である。
【図10】外接図形表示ボタンが操作されたときの表示部の画面の一例を示す模式図である。
【図11】外接図形表示ボタンが操作されたときの表示部の画面の一例を示す模式図である。
【図12】領域の寸法の計測の他の例における領域を示す模式図である。
【図13】領域の寸法の計測の他の例における領域を示す模式図である。
【図14】領域の寸法の計測の他の例における領域を示す模式図である。
【図15】4辺を有する領域に外接する外接図形の回転角度の一例を示す図である。
【図16】凹凸を有する領域に外接する外接図形の一例を示す図である。
【図17】画像処理装置による特徴量計測処理を示すフローチャートである。
【図18】画像処理装置による特徴量計測処理を示すフローチャートである。
【図19】画像処理装置による特徴量計測処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態に係る画像処理装置を備えた拡大観察装置について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(1)拡大観察装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像処理装置を備えた拡大観察装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
以下において、水平面内で直交する2方向をX方向およびY方向とし、X方向およびY方向に垂直な方向(鉛直方向)をZ方向とする。
【0028】
図1に示すように、拡大観察装置300は、顕微鏡100および画像処理装置200を備える。
【0029】
顕微鏡100は、撮像装置10、ステージ装置20および回転角度センサ30を含む。撮像装置10は、カラーCCD(電荷結合素子)11、ハーフミラー12、対物レンズ13、A/D変換器(アナログ/デジタル変換器)15、照明用光源16およびレンズ駆動部17を含む。ステージ装置20は、ステージ21、ステージ駆動部22およびステージ支持部23を含む。ステージ21上には、観察対象物Sが載置される。
【0030】
照明用光源16は、例えば白色光を発生するハロゲンランプまたは白色LED(発光ダイオード)である。照明用光源16により発生された白色光は、ハーフミラー12により反射された後、対物レンズ13によりステージ21上の観察対象物Sに集光される。
【0031】
観察対象物Sにより反射された白色光は、対物レンズ13およびハーフミラー12を透過してカラーCCD11に入射する。カラーCCD11は、赤色波長の光を受光する複数の赤色用画素、緑色波長の光を受光する複数の緑色用画素、および青色波長の光を受光する複数の青色用画素を有する。複数の赤色用画素、複数の緑色用画素および複数の青色用画素は二次元的に配列される。カラーCCD11の各画素からは、受光量に対応する電気信号が出力される。カラーCCD11の出力信号は、A/D変換器15によりデジタル信号に変換される。A/D変換器15から出力されるデジタル信号は、画像データとして画像処理装置200に順次与えられる。カラーCCD11に代えてCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサ等の撮像素子が用いられてもよい。
【0032】
対物レンズ13は、Z方向に移動可能に設けられる。レンズ駆動部17は、画像処理装置200の制御により対物レンズ13をZ方向に移動させる。それにより、撮像装置10の焦点の位置がZ方向において移動する。
【0033】
ステージ21は、Z方向の軸の周りで回転可能にステージ支持部23上に設けられる。ステージ駆動部22は、画像処理装置200から与えられる移動指令信号(駆動パルス)に基づいてステージ21をステージ支持部23に対して相対的に後述するx方向およびy方向に移動させる。ステージ駆動部22には、ステッピングモータが用いられる。回転角度センサ30は、ステージ21の回転角度を検出し、検出した角度を示す角度検出信号を画像処理装置200に与える。
【0034】
画像処理装置200は、インタフェース210、CPU(中央演算処理装置)220、ROM(リードオンリメモリ)230、記憶装置240、入力装置250、表示部260および作業用メモリ270を含む。
【0035】
ROM230には、システムプログラムが記憶される。記憶装置240は、ハードディスク等からなる。記憶装置240には、画像処理プログラムが記憶されるとともに、顕微鏡100からインタフェース210を通して与えられる画像データ等の種々のデータを記憶する。画像処理プログラムの詳細は後述する。入力装置250は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。
【0036】
表示部260は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。
【0037】
作業用メモリ270は、RAM(ランダムアクセスメモリ)からなり、種々のデータの処理のために用いられる。
【0038】
CPU220は、記憶装置240に記憶された画像処理プログラムを実行することにより作業用メモリ270を用いて画像データに基づく後述する特徴量計測処理等の画像処理を行うとともに、画像データに基づく画像を表示部260に表示させる。また、CPU220は、インタフェース210を通して顕微鏡100のカラーCCD11、照明用光源16、レンズ駆動部17およびステージ駆動部22を制御する。
【0039】
図2は、本発明の一実施の形態に係る拡大観察装置300の顕微鏡100を示す斜視図である。図2においては、X方向、Y方向およびZ方向が矢印で示される。
【0040】
図2に示すように、顕微鏡100はベース1を有する。ベース1上には、第1の支持台2が取り付けられるとともに、この第1の支持台2の前面に嵌め込まれるように第2の支持台3が取り付けられる。
【0041】
第1の支持台2の上端部には、連結部4がY方向に延びる回動軸R1の周りに回動可能に取り付けられる。連結部4には回動支柱5が取り付けられる。それにより、回動支柱5は連結部4の回動に伴って回動軸R1を支点としてZ方向に平行な垂直面内で傾斜可能である。使用者は、固定つまみ9により連結部4を第1の支持台2に対して固定することができる。
【0042】
連結部6の前面には環状の支持部7が取り付けられる。支持部7には、略円筒状の撮像装置10が取り付けられる。図2の状態では、撮像装置10の光軸R2はZ方向に平行である。支持部7は、撮像装置10を水平面内で移動させるための複数の調整ネジ41を有する。複数の調整ネジ41を用いて撮像装置10の光軸R2が回動軸R1に垂直に交差するように撮像装置10の位置を調整することができる。
【0043】
ベース1上の第2の支持台3の前面には、Z方向に摺動可能にスライダ8が取り付けられる。第2の支持台3の側面には、調整つまみ42が設けられる。スライダ8のZ方向(高さ方向)の位置は、調整つまみ42により調整可能である。
【0044】
ステージ装置20のステージ支持部23は、スライダ8上に取り付けられる。ステージ21は、ステージ支持部23に対してZ方向の回転軸R3の周りに回転可能に設けられる。また、ステージ21には、水平面内で互いに直交するx方向およびy方向が設定される。ステージ21は、図1のステージ駆動部22によりx方向およびy方向に移動可能に設けられる。ステージ21が回転軸R3の周りに回転すると、ステージ21のx方向およびy方向も回転する。それにより、ステージ21のx方向およびy方向は、X方向およびY方向に対して水平面内で傾斜する。
【0045】
撮像装置10の撮像範囲(視野範囲)は、撮像装置10の倍率により異なる。以下、撮像装置10の撮像範囲を単位領域と呼ぶ。ステージ21をx方向およびy方向に移動させることにより複数の単位領域の画像データを取得することができる。複数の単位領域の画像データを連結することにより複数の単位領域の画像を図1の表示部260に表示することができる。
【0046】
図3は顕微鏡100の撮像装置10がZ方向と平行に固定されている状態を示す模式図である。また、図4は顕微鏡100の撮像装置10がZ方向から所望の角度まで傾斜された状態を示す模式図である。
【0047】
図3に示すように、回動支柱5がZ方向に平行な状態で固定つまみ9を締めることにより連結部4が第2の支持台3に固定される。それにより、撮像装置10の光軸R2がZ方向に平行な状態で回動軸R1に垂直に交差する。この場合、撮像装置10の光軸R2はステージ21の表面に垂直となる。
【0048】
固定つまみ9を緩めることにより連結部4が回動軸R1の周りに回動可能となり、回動支柱5が回動軸R1を支点として傾斜可能となる。それにより、図4に示すように、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して任意の角度θ傾斜させることができる。この場合、撮像装置10の光軸R2は回動軸R1に垂直に交差する。同様にして、撮像装置10の光軸R2をZ方向に対して図4と逆側に任意の角度傾斜させることができる。
【0049】
したがって、ステージ21上の観察対象物の表面の高さを回動軸R1の高さに一致させることにより、観察対象物の同じ部分を垂直な方向および斜め方向から観察することができる。
【0050】
(2)画像処理装置
図5は、表示部260の画面の一例を示す模式図である。図5に示すように、表示部260の画面上には、画像表示領域261および抽出条件設定領域262が表示される。
【0051】
画像表示領域261には、図1の記憶装置240に記憶される画像データに基づいて観察対象物の画像が表示される。画像は、複数の画素から構成される。以下、記憶装置240に記憶される画像データに基づいて画像表示領域261に表示される画像を初期画像IMと呼ぶ。抽出条件設定領域262には、次へボタン263a、戻るボタン263b、終了ボタン263cおよび計測実行ボタン268等が表示される。また、抽出条件設定領域262には、しきい値設定バー264が表示される。しきい値設定バー264は、水平方向に移動可能なスライダ264sを有する。さらに、抽出条件設定領域262には、輝度チェックボックス265a,265b、穴埋め処理チェックボックス266およびオート処理チェックボックス267が表示される。
【0052】
画像表示領域261の初期画像IMには、観察対象物として回路基板の一部を示す画像が表示されている。回路基板は、ベース絶縁層を有する。ベース絶縁層上に複数の接続パッドおよび導体パターンが形成されている。複数の接続パッドは、略矩形状を有する。また、回路基板には集積回路素子が実装されている。
【0053】
図5においては、初期画像IMの異なる領域が複数のドットパターンおよびハッチングパターンにより表されている。具体的には、回路基板の複数の接続パッドの部分の領域A1〜A7が第1のハッチングパターンにより表示されている。回路基板の導体パターンの部分の領域Bが第2のハッチングパターンにより表示されている。回路基板の集積回路素子の部分の領域Cが第1のドットパターンにより表示されている。回路基板のベース絶縁層の部分の領域Xが第2のドットパターンにより表示されている。ここで、各領域は、連続した一または複数の画素から構成される。領域A1〜A7の輝度が最も高く、領域Bの輝度が2番目に高く、領域Cの輝度が3番目に高く、領域Xの輝度が最も低い。
【0054】
以下の例において、画像表示領域261に表示される初期画像IMにおける領域A4の大きさとして、領域A4の長手方向および幅方向の寸法を計測することを考える。領域A4の寸法を計測するには、初期画像IMから領域A4を抽出する必要がある。そこで、まず、初期画像IMから領域A4を抽出する手順を説明する。
【0055】
複数の領域A4と他の領域A1〜A3,A5〜A7,B,C,Xとを区別する適切なしきい値を設定することができる場合、使用者は領域A4のみを抽出することができる。しかしながら、本例において、領域A1〜A7の輝度は略等しい。したがって、領域A4と領域A1〜A3,A5〜A7とを区別するしきい値を設定することができない。
【0056】
そこで、本実施の形態に係る画像処理装置200においては、使用者は、図1の入力装置250を用いて、表示部260に表示される初期画像IMから抽出すべき領域A4を含む範囲を指定することができる。使用者により指定された範囲を抽出範囲と呼ぶ。抽出範囲内で設定された抽出条件に基づいて一または複数の領域が抽出される。抽出された一または複数の領域のうち領域に関する特徴情報が予め設定された選択条件を満たす一または複数の領域が特徴領域として選択される。抽出条件は抽出範囲ごとに変更することができる。選択された特徴領域が抽出領域として決定される。本実施の形態においては、抽出領域の画素は“1”で表され、他の領域の画素は“0”で表される。選択された特徴領域が以前に決定された抽出領域に加えられることにより、初期画像IMから抽出領域のみを一体的に抽出することができる。
【0057】
本実施の形態では、抽出範囲内の画像から輝度を抽出条件として一または複数の領域が抽出される。この場合、抽出範囲内の初期画像IMが輝度のしきい値(以下、しきい値と略記する。)を用いて2値化されることにより、一または複数の領域が抽出される。例えば、抽出範囲内でしきい値以下の輝度値を有する画素により構成される領域が抽出される。ここで、輝度チェックボックス265aが指定されている場合、初期画像IMの2値化によりしきい値よりも低い輝度値を有する画素が抽出される。一方、輝度チェックボックス265bが指定されている場合、初期画像IMの2値化によりしきい値よりも高い輝度値を有する画素が抽出される。
【0058】
しきい値設定バー264上のスライダ264sの位置は、初期画像IMに設定されるしきい値に対応する。使用者は、図1の入力装置250を用いて図5のしきい値設定バー264のスライダ264sを水平方向に移動させることにより、抽出範囲内の初期画像IMに設定されるしきい値を変更することができる。オート処理チェックボックス267が指定されている場合、しきい値が自動的に設定される。
【0059】
抽出条件は、画像の輝度に代えて、画像の色または輪郭成分に関する情報であってもよい。
【0060】
次に、抽出範囲内で抽出された一または複数の領域のうち特徴情報が予め設定される選択条件を満たす特徴領域が選択される。特徴情報は、領域の面積、領域の予め定められた部分の長さ、または領域の予め定められた部分と指定された範囲内の重心との間の距離であってもよい。また、特徴情報は、領域の形状に関する情報または領域の画素の値に関する情報であってもよい。画素の値は、輝度を表してもよく、色を表してもよく、輪郭成分を表してもよい。
【0061】
これらの特徴情報が予め設定された選択条件を満たす領域が特徴領域として選択される。例えば、抽出条件を満たす複数の領域のうち最大の面積を有する領域が特徴領域として選択されてもよいし、最小の面積を有する領域が特徴領域として選択されてもよい。また、形状が円、矩形または多角形等に最も近い領域が特徴領域として選択されてもよい。したがって、使用者は、領域A4の特徴情報が選択条件を満たすように抽出範囲を選択することにより、領域A4を抽出することができる。
【0062】
なお、穴埋め処理チェックボックス266が指定されている場合、特徴領域に囲まれた“0”の画素の部分(以下、孔と呼ぶ。)も特徴領域として選択される。特徴領域として選択される孔の大きさ(画素数)は使用者により任意に設定されてもよい。また、特徴領域として選択される孔の画素数は、選択された特徴領域の画素数の例えば5%以下に設定されてもよい。
【0063】
(3)領域抽出処理
以下、初期画像IMから領域A4を抽出する処理を具体的に説明する。図6は、領域抽出処理における初期画像IMを示す模式図である。使用者は、図1の入力装置250を用いて、図6に示すように、画像表示領域261に表示される初期画像IMにおける領域A4を含む抽出範囲Rを指定する。
【0064】
図6の例においては、抽出範囲R内に領域A4の全部および領域A3,A5の一部、領域Bの一部および領域Xの一部が含まれている。抽出範囲R内に領域A3,A5,B,Xに対応する複数の輝度値を有する画素が含まれている。ここで、使用者は、入力装置250を用いて図6のしきい値設定バー264のスライダ264sを移動させることにより、抽出範囲R内におけるしきい値を変更することができる。
【0065】
本例において、領域A3〜A5の輝度は略等しい。したがって、抽出範囲R内の領域A3〜A5と領域A4と領域A3,A5とを区別するしきい値を設定することができない。そこで、本例では、領域A3〜A5と他の領域B,Xとを区別する適切なしきい値を設定する。これにより、領域A3〜A5のみが抽出条件を満たすこととなる。この場合の抽出条件は、しきい値よりも高い平均輝度を有することである。したがって、図6の例においては、輝度チェックボックス265bが指定される。
【0066】
なお、オート処理チェックボックス267が指定されている場合、抽出範囲R内におけるしきい値が自動的に設定される。そのため、設定されたしきい値により領域A3〜A5と他の領域B,Xとを区別することができる場合には、使用者はしきい値設定バー264のスライダ264sを操作してしきい値を変更する必要がない。
【0067】
本例においては、抽出条件を満たす一または複数の領域のうち最大の面積を有する領域が特徴領域として選択される。抽出範囲R内において、領域A4の面積は領域A3,A5の面積よりも大きい。すなわち、領域A4は、抽出条件を満たす複数の領域のうち最大の面積を有する。したがって、領域A4のみが特徴領域として選択されることとなる。
【0068】
その後、使用者は、入力装置250を用いて次へボタン263aを操作する。これにより、選択された特徴領域である領域A4が抽出領域として決定され、抽出領域を表示するための抽出領域データが生成される。生成された抽出領域データは、図1の作業用メモリ270に記憶される。なお、使用者が入力装置250を用いて戻るボタン263bを操作することにより、選択された特徴領域が抽出領域から除去される。これにより、使用者は初期画像IMから領域A4を含む領域を抽出範囲Rとして指定し直すことができる。
【0069】
図7は、所望の領域A4が抽出された初期画像IMを示す模式図である。初期画像IMから抽出される領域を抽出領域と呼ぶ。抽出領域の画素は“1”で表され、他の領域の画素は“0”で表される。図7に示すように、本実施の形態においては、抽出領域である領域A4の画素すなわち“1”の画素が、作業用メモリ270に記憶された抽出領域データに基づいて初期画像IMに重なるように黒く表示される。この状態で、使用者が、図1の入力装置250を用いて抽出条件設定領域262の計測実行ボタン268を操作すると、後述する図10および図11に示すように領域A4に外接する矩形(以下、外接図形と呼ぶ。)Pを表示することが可能になる。これにより、領域A4の寸法を外接図形Pの特徴量として計測することができる。外接図形Pの特徴量は、外接図形Pの辺の長さ、外接図形Pの周囲長、外接図形Pの面積および外接図形Pの頂点の座標の少なくとも1つを含む。本例においては、特徴量は、外接図形Pの一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さである。
【0070】
なお、本実施の形態においては、上述のように、選択された特徴領域が以前に決定された抽出領域に加えられることにより、初期画像IMから抽出領域のみを一体的に抽出することができる。例えば、領域A4が抽出領域として決定された後、使用者が領域A3を含む抽出範囲Rが指定する。ここで、抽出範囲R内において、領域A3の面積が他の領域の面積よりも大きくなるように抽出範囲Rが指定されたとする。この場合、使用者が入力装置250を用いて次へボタン263aを操作することにより、指定された特徴領域である領域A3が既に決定された抽出領域である領域A4に追加され、領域A3,A4が新たな抽出領域として決定される。
【0071】
同様に、例えば、領域A3,A4が抽出領域として決定された後、使用者が領域A5を含む抽出範囲Rが指定する。ここで、抽出範囲R内において、領域A5の面積が他の領域の面積よりも大きくなるように抽出範囲Rが指定されたとする。この場合、使用者が入力装置250を用いて次へボタン263aを操作することにより、指定された特徴領域である領域A5が既に決定された抽出領域である領域A3,A4に追加され、領域A3〜A5が新たな抽出領域として決定される。
【0072】
このように、本実施の形態に係る画像処理装置200においては、初期画像IMから所望の複数の領域A3〜A5を抽出することもできる。この状態で、使用者が、入力装置250を用いて抽出条件設定領域262の計測実行ボタン268を操作すると、複数の領域A3〜A5の各々に外接する外接図形Pが表示される。これにより、複数の領域A3〜A5の寸法を同時に計測することができる。
【0073】
(4)外接図形の種類
図8は、領域A4が抽出された状態で計測実行ボタン268が操作されたときの表示部260の画面の一例を示す模式図である。図7の計測実行ボタン268が操作された場合、図8に示すように、表示部260の抽出条件設定領域262には、図7のしきい値設定バー264、スライダ264s、輝度チェックボックス265a,265b,穴埋め処理チェックボックス266、オート処理チェックボックス267および計測実行ボタン268に代えて複数の外接図形表示ボタン269a,269b,269c,269dが表示される。
【0074】
使用者は、図1の入力装置250を用いて、抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269a〜269dのいずれかを操作することにより、領域A4に外接する種々の外接図形が画像表示領域261に表示される。また、外接図形の一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さが画像表示領域261に表示される。したがって、矩形状の領域A4の長手方向に延びる辺および幅方向に延びる辺に接するように外接図形を領域A4に外接させることにより、領域A4の長手方向および幅方向の寸法を計測することができる。
【0075】
図9は、種々の外接図形Pの説明図である。図9の例においては、菱形状の領域Dに種々の外接図形Pが外接する。図8の抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269bが操作されることにより、図9(a)に示す外接図形Pが画像表示領域261に表示される。図9(a)の外接図形Pを第1の外接図形P1と呼ぶ。第1の外接図形P1は、表示部260の画面上の水平方向に平行な2辺と垂直方向に平行な2辺とからなる矩形である。
【0076】
図8の抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269aが操作されることにより、図9(b)に示す外接図形Pが画像表示領域261に表示される。図9(b)の外接図形Pを第2の外接図形P2と呼ぶ。第2の外接図形P2は、領域Dに外接する複数の矩形のうち最小の面積を有する矩形である。
【0077】
図8の抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269dが操作されることにより、図9(c)または図9(d)に示す外接図形Pが画像表示領域261に表示される。図9(c)の外接図形Pを第3の外接図形P3と呼ぶ。第3の外接図形P3は、領域Dの複数の頂点を結ぶ線分のうち最大の線分(本例では領域Dの長い方の対角線d1)に垂直な2辺と最大の線分と等しい長さを有する2辺とからなる矩形である。
【0078】
図9(d)の外接図形Pを第4の外接図形P4と呼ぶ。第4の外接図形P4は、領域Dの複数の頂点を結ぶ線分のうち最小の線分(本例では領域Dの短い方の対角線d2)に垂直な2辺と最小の線分と等しい長さを有する2辺とからなる矩形である。
【0079】
また、領域が楕円状または円状である場合、第3の外接図形P3は、領域の複数の軸または径のうち最大の軸(長軸)または径に垂直な2辺と最大の軸(長軸)または径と等しい長さを有する2辺とからなる矩形となる。第4の外接図形P4は、領域の複数の軸のうち最小の軸(短軸)または径に垂直な2辺と最小の軸(短軸)または径と等しい長さを有する2辺とからなる矩形となる。外接図形表示ボタン269dが操作されることにより、第3の外接図形P3が表示されるか第4の外接図形P4が表示されるかは、予め選択可能である。
【0080】
使用者は、入力装置250を用いて、図8の抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269cを操作した後、画像表示領域261に表示された第1〜第4の外接図形P1〜P4を操作することにより、外接図形Pを領域Dに外接させた状態で回転させることができる。これにより、使用者は、領域Dに外接する任意の矩形の一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さを計測することができる。
【0081】
(5)領域の寸法の計測の一例
図10は、外接図形表示ボタン269bが操作されたときの表示部260の画面の一例を示す模式図である。使用者が入力装置250を用いて抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269bを操作することにより、図10に示すように領域A4に外接する第1の外接図形P1が画像表示領域261に表示される。また、第1の外接図形P1の一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さが画像表示領域261に表示される。
【0082】
しかしながら、図10の例においては、第1の外接図形P1の一方の一組の辺と領域A4の長手方向に延びる辺とが一致していない。また、第1の外接図形P1の他方の一組の辺と領域A4の幅方向に延びる辺とが一致していない。そのため、この状態では領域A4の長手方向および幅方向の寸法を計測することができない。
【0083】
このような場合、使用者は、入力装置250を用いて他の外接図形表示ボタンを操作することにより、領域A4に外接する他の外接図形Pを表示させることができる。または、使用者は、入力装置250を用いて外接図形表示ボタン269cを操作した後、第1の外接図形P1を回転させることにより、外接図形Pの一方の一組の辺と領域A4の長手方向に延びる辺とを一致させかつ外接図形Pの他方の一組の辺と領域A4の幅方向に延びる辺とを一致させることができる。
【0084】
図11は、外接図形表示ボタン269aが操作されたときの表示部260の画面の一例を示す模式図である。使用者が入力装置250を用いて抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269aを操作することにより、図11に示すように領域A4に外接する第2の外接図形P2が画像表示領域261に表示される。また、第2の外接図形P2の一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さが画像表示領域261に表示される。
【0085】
図11の例においては、第2の外接図形P2の一方の一組の辺と領域A4の長手方向に延びる辺とが一致している。また、第2の外接図形P2の他方の一組の辺と領域A4の幅方向に延びる辺とが一致している。そのため、領域A4の長手方向および幅方向の寸法を第2の外接図形P2の一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さとしてそれぞれ計測することができる。
【0086】
(6)領域の寸法の計測の他の例
図12、図13および図14は、領域の寸法の計測の他の例における領域を示す模式図である。図12に示すように、領域Eは、8つの辺e1〜e8からなる。また、領域Eにおいては、辺e1,e2により角e9が構成される。辺e2,e3により角e10が構成される。辺e3,e4により角e11が構成される。辺e4,e5により角e12が構成される。辺e5,e6により角e13が構成される。辺e6,e7により角e14が構成される。辺e7,e8により角e15が構成される。辺e8,e1により角e16が構成される。角e9および角e13は直角である。図12の例においては、辺e2に垂直な方向を幅方向とする。辺e1に垂直な方向を長手方向とする。本例において、領域Eの長手方向および幅方向の寸法を計測することを考える。
【0087】
使用者が図1の入力装置250を用いて図8の抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269bを操作することにより、図13(a)に示すように領域Eに外接する第1の外接図形P1が図8の画像表示領域261に表示される。また、第1の外接図形P1の一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さが画像表示領域261に表示される。
【0088】
図13(a)においては、外接図形Pと接する領域Eの角e9,e12,e13,e16が輝度または色等の変化により強調表示される。しかしながら、図13(a)の例においては、第1の外接図形P1の一方の一組の辺と領域Eの長手方向に延びる辺とが一致していない。また、第1の外接図形P1の他方の一組の辺と領域Eの幅方向に延びる辺とが一致していない。そのため、この状態では領域Eの長手方向および幅方向の寸法を計測することができない。
【0089】
使用者が入力装置250を用いて図8の抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269dを操作することにより、図13(b)に示すように領域Eに外接する第3の外接図形P3が画像表示領域261に表示される。また、第3の外接図形P3の一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さが画像表示領域261に表示される。
【0090】
図13(b)においては、外接図形Pと接する領域Eの角e9,e12,e13,e16が輝度または色等の変化により強調表示される。しかしながら、図13(a)の例においては、第3の外接図形P3の一方の一組の辺と領域Eの長手方向に延びる辺とが一致していない。また、第3の外接図形P3の他方の一組の辺と領域Eの幅方向に延びる辺とが一致していない。そのため、この状態では領域Eの長手方向および幅方向の寸法を計測することができない。
【0091】
使用者が入力装置250を用いて図8の抽出条件設定領域262の外接図形表示ボタン269aを操作することにより、図14(a)に示すように領域Eに外接する第2の外接図形P2が画像表示領域261に表示される。また、第2の外接図形P2の一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さが画像表示領域261に表示される。
【0092】
図14(a)においては、第2の外接図形P2と接する領域Eの角e9,e10,e13,e14が輝度または色等の変化により強調表示される。しかしながら、図14(a)の例においては、第2の外接図形P2の一方の一組の辺と領域Eの長手方向に延びる辺とが一致していない。また、第2の外接図形P2の他方の一組の辺と領域Eの幅方向に延びる辺とが一致していない。そのため、この状態では領域Eの長手方向および幅方向の寸法を計測することができない。
【0093】
使用者は、入力装置250を用いて、図8の外接図形表示ボタン269cを操作した後、画像表示領域261に表示された図13(a),(b)または図14(a)の第1〜第3の外接図形P1〜P3を操作することにより、外接図形Pを領域Eに外接させた状態で回転させることができる。図14(b)は、回転後の外接図形Pを示す図である。
【0094】
図14(b)においては、外接図形Pと接する領域Eの辺e1,e2,e5,e6が輝度または色等の変化により強調表示される。図14(b)の例においては、外接図形Pの一方の一組の辺と領域Eの長手方向に延びる辺e2,e6とが一致している。また、外接図形Pの他方の一組の辺と領域Eの幅方向に延びる辺e1,e5とが一致している。そのため、領域Eの長手方向および幅方向の寸法を外接図形Pの一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さとしてそれぞれ計測することができる。
【0095】
(7)外接図形の他の設定
上記のように、使用者は、入力装置250を用いて外接図形表示ボタン269cを操作した後、外接図形Pを回転させることができる。ここで、外接図形Pと領域との相関関係に基づいて外接図形Pの回転角度が算出されてもよい。例えば、領域が少なくとも一辺を有する場合、相関関係は、外接図形Pの任意の一辺と領域の一辺とがなす角度である。また、外接図形Pの任意の一辺と領域の一辺とが接する状態にのみ外接図形Pが回転できるように、外接図形Pの回転角度が制限されてもよい。さらに、外接図形Pが相関関係に基づいて算出された回転角度だけ回転した場合、外接図形の表示態様を変化させてもよい。
【0096】
図15は、4辺を有する領域に外接する外接図形Pの回転角度の一例を示す図である。図15に示すように、4つの辺f1,f2,f3,f4からなる四角形状の領域Fに外接図形Pが外接する。図15の例においては、外接図形Pの任意の一辺と領域Fの辺f1〜f4のいずれかとが接する状態にのみ外接図形Pが回転できるように、外接図形Pの回転角度が制限されている。また、外接図形Pと接する辺は強調表示される。
【0097】
図15(a)においては、外接図形Pの任意の一辺と領域Fの辺f1と接した状態で外接図形Pが領域Fに外接している。外接図形Pと接する領域Fの辺f1は輝度または色等の変化により強調表示される。この状態で、使用者が入力装置250を用いて外接図形Pを一方向に回転させた場合、外接図形Pは回転し、図15(b)に示すように外接図形Pの他の一辺と領域Fの辺f2とが接した状態で回転が停止する。
【0098】
図15(b)においては、外接図形Pの他の一辺と領域Fの辺f2と接した状態で外接図形Pが領域Fに外接している。外接図形Pと接する領域Fの辺f2は輝度または色等の変化により強調表示される。この状態で、使用者が入力装置250を用いて外接図形Pを一方向にさらに回転させた場合、外接図形Pは回転し、図15(c)に示すように外接図形Pのさらに他の一辺と領域Fの辺f3とが接した状態で回転が停止する。
【0099】
図15(c)においては、外接図形Pのさらに他の一辺と領域Fの辺f3と接した状態で外接図形Pが領域Fに外接している。外接図形Pと接する領域Fの辺f3は輝度または色等の変化により強調表示される。この状態で、使用者が入力装置250を用いて外接図形Pを一方向にさらに回転させた場合、外接図形Pは回転し、図15(d)に示すように外接図形Pのさらに他の一辺と領域Fの辺f4とが接した状態で回転が停止する。
【0100】
図15(d)においては、外接図形Pのさらに他の一辺と領域Fの辺f4と接した状態で外接図形Pが領域Fに外接している。外接図形Pと接する領域Fの辺f4は輝度または色等の変化により強調表示される。この状態で、使用者が入力装置250を用いて外接図形Pをさらに回転させた場合、外接図形Pは回転し、図15(a)に示すように外接図形Pの一辺と領域Fの辺f1とが接した状態で回転が停止する。
【0101】
このように、外接図形Pの回転角度に制限が設けられることにより、使用者は外接図形Pの任意の一辺と領域Fの任意の一辺とを容易に一致させることができる。
【0102】
領域が凹凸を有する場合、相関関係は、外接図形Pの任意の一辺と領域に外接する凸多角形の一辺とがなす角度である。また、外接図形Pの任意の一辺と凸多角形の一辺とが接する状態にのみ外接図形Pが回転できるように、外接図形Pの回転角度が制限されてもよい。
【0103】
図16は、凹凸を有する領域に外接する外接図形Pの一例を示す図である。図16に示すように、領域Gは五芒星状を有する。すなわち、領域Gは凹凸を有する多角形である。このように、領域Gが凹凸を有する場合、領域Gに外接する凸多角形Qが想定される。図16の例においては、凸多角形Qは正五角形である。外接図形Pの任意の一辺と凸多角形Qの任意の一辺とが接する状態で外接図形Pが凸多角形Qに外接するように設定される。
【0104】
このように、仮想的な凸多角形Qが想定されることにより、領域Gが凹凸を有する場合であっても、使用者は領域Gに外接図形Pを設定することができる。
【0105】
(8)特徴量計測処理
図17、図18および図19は、画像処理装置200による特徴量計測処理を示すフローチャートである。特徴量計測処理は、CPU220が記憶装置240に記憶された特徴情報計測プログラムを実行することにより行われる。以下、図17〜図19のフローチャートにしたがって、初期画像IMの所望の領域の特徴量を計測する処理を説明する。
【0106】
図1のCPU220は、使用者により図1の記憶装置240に記憶された画像データが選択されたか否かを判定する(ステップS1)。画像データが選択されていない場合、CPU220は使用者により画像データが選択されるまで待機する。ステップS1で使用者により画像データが選択された場合、CPU220は選択された画像データに基づいて初期画像IMを図5の表示部260の画像表示領域261に表示する(ステップS2)。
【0107】
次に、CPU220は、使用者が図1の入力装置250を操作することにより最初の領域が抽出されたか否かを判定する(ステップS3)。最初の領域が抽出されていない場合、CPU220は使用者により最初の領域が抽出されるまで待機する。
【0108】
ステップS3で使用者により最初の領域が抽出された場合、CPU220は、抽出された領域を表示するための抽出領域データを図1の作業用メモリ270に記憶する(ステップS4)。また、CPU220は、抽出領域データに基づいて初期画像IM上に抽出された領域を表示する(ステップS5)。
【0109】
次に、CPU220は、使用者により外接図形Pの表示が指示されたか否かを判定する(ステップS6)。使用者は、入力装置250を用いて図7の計測実行ボタン268を操作した後、図8の外接図形表示ボタン269a,269b,269dのいずれかを操作することにより外接図形Pの表示を指示することができる。
【0110】
外接図形Pの表示が指示されていない場合、CPU220は使用者により別の領域が抽出されたか否かを判定する(ステップS7)。別の領域が抽出されていない場合、CPU220はステップS6の処理に戻る。ステップS7で使用者により別の領域が抽出された場合、CPU220はステップS4の処理に戻り、抽出領域を表示するための抽出領域データを作業用メモリ270に記憶する(ステップS4)。また、CPU220は、抽出領域データに基づいて初期画像IM上に抽出領域を表示する(ステップS5)。
【0111】
ステップS6で使用者により外接図形Pの表示が指示された場合、CPU220は、外接図形Pを表示するための外接図形データを作業用メモリ270に記憶する(ステップS8)。また、CPU220は、外接図形データに基づいて初期画像IM上に外接図形Pを表示する(ステップS9)。さらに、CPU220は、外接図形データに基づいて外接図形Pの特徴量を算出し、図10の表示部260の画像表示領域261に表示する(ステップS10)。図10の例では、特徴量は外接図形Pの一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さである。
【0112】
次に、CPU220は、使用者により外接図形Pが変更されたか否かを判定する(ステップS11)。使用者は、入力装置250を用いて図10の外接図形表示ボタン269a,269b,269dのいずれかを操作するか、または図10の外接図形表示ボタン269cを操作した後に外接図形Pを回転させることにより、外接図形Pを変更することができる。
【0113】
外接図形Pが変更された場合、CPU220はステップS8の処理に戻る。これにより、CPU220は、変更後の外接図形Pを表示するための外接図形データを作業用メモリ270に記憶する(ステップS8)。また、CPU220は、外接図形データに基づいて初期画像IM上に外接図形Pを表示する(ステップS9)。さらに、CPU220は、外接図形Pの特徴量を算出し、図11の表示部260の画像表示領域261に表示する(ステップS10)。
【0114】
ステップS11で使用者により外接図形Pが変更されていない場合、CPU220は使用者により図11の終了ボタン263cが操作されたか否かを判定する(ステップS12)。終了ボタン263cが操作された場合、CPU220はステップS11の処理に戻る。ステップS18で使用者により終了ボタン263cが操作された場合、CPU220は特徴量計測処理を終了する。
【0115】
(9)効果
本実施の形態に係る画像処理装置200においては、画像データに基づく初期画像IMから領域A4が抽出される。抽出された領域A4に外接する外接図形Pが作成される。また、外接図形Pの一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さが算出される。作成された外接図形Pは表示部260の画像表示領域261に表示される。また、算出された外接図形Pの一方の一組の辺の長さおよび他方の一組の辺の長さが表示部260の画像表示領域261に表示される。外接図形Pは使用者の操作によらず画一的に作成されるので、初期画像IMの領域A4の長手方向および幅方向の寸法を使用者の操作精度によらず容易かつ均一に得ることができる。
【0116】
(10)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0117】
初期画像IMが画像の例であり、表示部260が表示部の例であり、外接図形Pが外接図形の例であり、CPU220が処理部および処理装置の例であり、入力装置250が操作部の例であり、画像処理装置200が画像処理装置の例である。
【0118】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、種々の画像処理装置および画像処理プログラムに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1 ベース
2,3 支持台
4,6 連結部
5 回動支柱
7 支持部
8,264s スライダ
9 固定つまみ
10 撮像装置
11 カラーCCD
12 ハーフミラー
13 対物レンズ
15 A/D変換器
16 照明用光源
17 レンズ駆動部
20 ステージ装置
21 ステージ
22 ステージ駆動部
23 ステージ支持部
30 回転角度センサ
41 調整ネジ
42 調整つまみ
100 顕微鏡
200 画像処理装置
210 インタフェース
220 CPU
230 ROM
240 記憶装置
250 入力装置
260 表示部
261 画像表示領域
262 抽出条件設定領域
263a 次へボタン
263b 戻るボタン
263c 終了ボタン
264 しきい値設定バー
265a,265b 輝度チェックボックス
266 穴埋め処理チェックボックス
267 オート処理チェックボックス
268 計測実行ボタン
269a〜269d 外接図形表示ボタン
270 作業用メモリ
300 拡大観察装置
A1〜A7,B〜G,X 領域
e1〜e8,f1〜f4 辺
e9〜e16 角
IM 初期画像
P,P1〜P4 外接図形
Q 凸多角形
R 抽出範囲
R1 回動軸
R2 光軸
R3 回転軸
S 観察対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づく画像において抽出される領域を表示するための表示部と、
前記画像データに基づいて、前記表示部に表示された領域に外接する矩形の外接図形を作成し、作成された外接図形を前記表示部に表示させるとともに、作成された前記外接図形の予め定められた部分の寸法または面積を示す特徴量を算出するように動作する処理部と、
前記表示部に表示された前記外接図形を回転させるために使用者により操作される操作部とを備え、
前記処理部は、前記操作部の操作に基づいて前記外接図形を前記表示部の画面上で回転させるように動作する、画像処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記特徴量として、前記外接図形の辺の長さ、前記外接図形の周囲長、前記外接図形の面積および前記外接図形の頂点の座標の少なくとも1つを算出する、請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、算出された前記特徴量を前記表示部に前記外接図形とともに表示させるように動作する、請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、
前記表示部の画面上の水平方向に平行な2辺と垂直方向に平行な2辺とからなる矩形、
前記領域の複数の頂点を結ぶ線分のうち最大の線分に垂直な2辺と前記最大の線分と等しい長さを有する2辺とからなる矩形、
前記領域の複数の軸または径のうち最大の軸または径に垂直な2辺と前記最大の軸または径と等しい長さを有する2辺とからなる矩形、
前記領域の複数の頂点を結ぶ線分のうち最小の線分に垂直な2辺と前記最小の線分と等しい長さを有する2辺とからなる矩形、
前記領域の複数の軸のうち最小の軸または径に垂直な2辺と前記最小の軸または径と等しい長さを有する2辺とからなる矩形、および
前記領域に外接する複数の矩形のうち最小の面積を有する矩形
のうち少なくとも1つを前記外接図形として作成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記表示部の画面上に任意の角度で表示される前記外接図形と前記領域との相関関係を求め、求められた前記相関関係に基づいて前記外接図形の回転角度を算出する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記領域は少なくとも一辺を有し、
前記相関関係は、前記領域の一辺と前記外接図形の一辺とがなす角度である、請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記相関関係は、前記領域に外接する凸多角形の一辺と前記外接図形の一辺とがなす角度である、請求項5記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記処理部は、前記外接図形を前記算出された回転角度だけ回転させたときに前記外接図形の表示態様を変化させる、請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像データに基づく画像において抽出される領域を表示するための処理と、
前記画像データに基づいて、表示された領域に外接する矩形の外接図形を作成し、作成された外接図形を表示させる処理と、
作成された前記外接図形の予め定められた部分の寸法または面積を示す特徴量を算出する処理と、
表示された前記外接図形を回転させるために使用者により操作される処理と、
使用者による操作に基づいて前記外接図形を回転させる処理とを、
処理装置に実行させる、画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−88268(P2013−88268A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228470(P2011−228470)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】