説明

画像形成装置

【課題】 主目的は、トナーリサイクル手段の動力伝達系を簡単な構成とし、かつ、貯蔵スペースにおける回収トナーのあふれを極力防止しうる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 駆動源の動力で回転する像担持体と、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上に形成されるトナー像を転写材上に転写する転写装置と、転写後の前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、回収されたトナーを貯蔵する貯蔵スペースと、前記貯蔵スペースに貯蔵されたトナーを前記現像装置に供給するトナーリサイクル手段とを有する画像形成装置において、
前記トナーリサイクル手段を、前記像担持体の駆動源により駆動可能となすとともに、
前記駆動源と前記トナーリサイクル手段との動力伝達系中に、動力伝達をON、OFFできる切り替え手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式により画像を形成するプリンタ、複写機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電手段により帯電したドラム状の感光体に対して、画像情報に応じた、変調したレーザ光を照射して静電荷潜像を作成し、次いで、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を収納した現像手段で反転現像して前記静電荷潜像をトナー像に変換したのち、転写手段により当該トナー像を用紙等の転写材に転写せしめる構成の画像形成装置はよく知られている。
【0003】
また、斯様な画像形成装置において、転写処理終了後の感光体上に残留するトナーをブレードクリーニングにより除去・回収し、回収した前記トナー(以下、回収トナーという)をトナーリサイクル手段を介して現像装置に戻し、再び現像剤として利用するように構成した画像形成装置もある。
【0004】
更に、前記非磁性トナーとして重合法で製造したトナー(以下、重合トナーという)を用いることにより、高画質化をはかる提案もされている。
【0005】
上述のトナーリサイクル方式の採用は、資源を有効利用するという観点からきわめて好ましいものであるが、一方において、考慮しなければならない問題を持っている。
【0006】
例えば、トナーリサイクル手段を持たない画像形成装置においては、現像処理によってトナーが消費されると、この消費量に見合った量の新規なトナーを補給することで、基本的に良好な濃度を持った画像形成が継続できる。
【0007】
前述したトナー消費量は、例えば、現像剤中のトナー濃度を検知する方法に置き換えられて検知され、トナー濃度値が所定値になったところで新規トナーの補給が停止され、このような動作が画像形成プロセスの間に繰り返し行われる。
【0008】
しかしながら、トナーリサイクル方式を用いる画像形成装置においては、回収トナーの特性が新規トナーの場合と比較して変化しているので、新規トナーの補給と回収トナーの供給(補給と同義)とを行い、現像剤中におけるトナー濃度とトナーの電荷量とを現像にほぼ十分な状態に保たなければ良好な画像形成を維持することはできない。
【0009】
回収トナーの特性変化とは、例えば、機械的なストレスによる新規トナーに対する摩擦帯電能力の低下、流動性の低下等である。
【0010】
上記の特性変化は、画像かぶりや文字太り等を発生する可能性が高く、例えば、物性分布のシャープな重合トナーである場合には、解像度、階調性、文字再現性等が高いレベルにあるが故に、前記の不具合がより顕著になってしまう。
【0011】
また、このような不具合は、画像形成パターンの印字率が低いほど新規トナーの補給量が少なく押さえられ、トナー総量において回収トナーの占める割合が高くなることによって顕著になっていく。
【0012】
上記の問題に対処すべく、回収トナーと新規のトナーの補給比率を制御する方法が提案されている(特許文献1)。
【0013】
また、回収トナーを100%再利用する場合、別の問題も考慮する必要がある。
【0014】
即ち、クリーニング装置を構成するクリーニングボックスが回収トナーの貯蔵スペースとして使用されるが、画像形成装置の小型化を考えた場合、その大きさには自ずと限度がある。
【0015】
そのため、例えば、回収トナーの量が多くなってしまい、貯蔵スペースの設計上の満杯状態に間で溜まってしまうことが考えられる。
【0016】
この場合、何らかの手段を講じないと、回収トナーの搬送に支障を来してしまい、場合によっては、画像形成のための手段には何の不都合も無いにも係わらず画像形成動作を停止せざるを得ない危惧がある。
【特許文献1】特開平6−19312号公報 前記特許文献1に記載の技術は、現像手段内のトナーの全体量に対する回収トナーの量の比率を一定値以下に制御するもので有用な技術であると思われるが、使用状況によっては、回収トナーの比率が高くなりすぎてしまったり、制御や構造が複雑になってしまう。
【0017】
更に、回収トナーが貯蔵スペース内において一杯になったときの対応についての提案は今までになされていないと思われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は上述のような不具合に鑑みてなされたもので、主たる目的は、トナーリサイクル手段に係わる動力伝達系を簡単な構成とし、かつ、回収トナーが貯蔵スペースにおいて所定量以上になってあふれてしまうことを極力防止しうる回収トナーの供給制御を考慮した画像形成装置を提供することにある。
【0019】
また、他の目的は、回収トナーの使用により発生しがちな画像かぶりや文字太りを抑制し、長期にわたって良好な画像を形成できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の目的は、以下の構成によって達成することができる。
【0021】
(1)
駆動源の動力で回転する像担持体と、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上に形成されるトナー像を転写材上に転写する転写装置と、転写後の前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、回収されたトナーを貯蔵する貯蔵スペースと、前記貯蔵スペースに貯蔵されたトナーを前記現像装置に供給するトナーリサイクル手段とを有する画像形成装置において、
前記トナーリサイクル手段を、前記像担持体の駆動源により駆動可能となすとともに、
前記駆動源と前記トナーリサイクル手段との動力伝達系中に、動力伝達をON、OFFできる切り替え手段を設けた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【0022】
(2)
前記切り替え手段は非通電時に動力伝達を行わせる常閉タイプの電磁クラッチであることを特徴とする前記(1)に記載の画像形成装置。
【0023】
(3)
前記画像形成装置は更に回収トナーの量を検知するトナー量検知手段を有し、回収トナーが所定量に達したことを当該検知手段が検知した場合、前記切り替え手段を介してトナーリサイクル手段の動力伝達をONすることを特徴とする前記(1)に記載の画像形成装置。
【0024】
(4)
駆動源の動力で回転する像担持体と、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上に形成されるトナー像を転写材上に転写する転写装置と、転写後の前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、回収されたトナーを貯蔵する貯蔵スペースと、前記貯蔵スペースに貯蔵されたトナーを前記現像装置に供給するトナーリサイクル手段とを有する画像形成装置において、
印字される画像の黒化率を現像処理前に演算手段により演算し、当該黒化率が所定値以上である場合、前記トナーリサイクル手段を駆動させて、回収トナーを現像装置に供給することを特徴とする画像形成装置。
【0025】
(5)
駆動源の動力で回転する像担持体と、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上に形成されるトナー像を転写材上に転写する転写装置と、転写後の前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、回収されたトナーを貯蔵する貯蔵スペースと、前記貯蔵スペースに貯蔵されたトナーを前記現像装置に供給するトナーリサイクル手段と、新規トナーを前記現像装置に補給するトナー補給手段とを有する画像形成装置において、
前記トナーリサイクル手段は、前記トナー補給手段の補給動作と略同期して動作することを特徴とする画像形成装置。
【0026】
(6)
駆動源の動力で回転する像担持体と、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上に形成されるトナー像を転写材上に転写する転写装置と、転写後の前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、回収されたトナーを貯蔵する貯蔵スペースと、前記貯蔵スペースに貯蔵されてたトナーを前記現像装置に供給するトナーリサイクル手段と、新規トナーを前記現像装置に補給するトナー補給手段とを有する画像形成装置において、
前記現像装置は、供給される回収トナーを受け入れる開口と、補給される新規トナーを受け入れる開口とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【0027】
(7)
前記非磁性トナーは、質量平均粒径9μm以下であることを特徴とする前記(1)ないし前記(6)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0028】
(8)
前記非磁性トナーは、形状係数SF−1が100〜140、SF−2が100〜120であることを特徴とする前記(1)乃至前記(7)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0029】
請求項1乃至請求項3に係わる発明では、回収トナーの搬送機構が極めて簡単になり、また、画像パターンの黒化率に応じて回収トナーを100%リサイクル方式(新規トナーの補給とのかねあいが出てくる場合があるが、補給指示の間は、少なくとも回収トナーが連続的に現像装置に供給される態様を指す。)として、回収トナーが所定量を超えて異常を来すことを回避でき、不必要に装置を停止せしめることから解放されるので使用勝手がよい。
【0030】
請求項4に係わる発明では、画像形成前に求められる画像パターンの黒化率が所定値以上である場合、例えば、当該画像情報に伴う画像形成中のトナー補給として、100%リサイクル方式とすることができ、回収トナーが貯蔵スペースからあふれ出すことがない。
【0031】
請求項5に係わる発明は、リサイクルトナーと新規トナーのとを略同時間帯に行うので、画像かぶりや文字太り等の問題を抑制できる。
【0032】
請求項6乃至請求項8に係わる発明では、現像装置に、回収トナーの供給口と新規トナーの補給口とを別個に設けたので、帯電特性が低下した回収トナーに対して、所定の帯電量を付与することが容易となり、質量平均粒径が小さい非磁性トナーを用いても画像かぶりや文字太りのない画像が形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明に係わる画像形成装置の実施の形態について説明する。
【0034】
図1に構成の概略を示す示す画像形成装置は、いわゆるデジタル画像形成装置であって、画像読取部A、画像形成部B、給紙部C、搬送部Dおよび操作表示部Eを備えている。
【0035】
画像読取部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台11上に載置された原稿(不図示)は原稿送り出しローラ12によって1枚ずつ分離され搬送路に送り出され、原稿搬送ローラ13により搬送され、読み取り位置13aの下部の設定位置にて停止状態にある照明ランプと第1ミラーとから成る第1ミラーユニット15、V字状に配設した第2ミラーと第3ミラーとから成る第2ミラーユニット16、結像レンズ17、および、ラインセンサである撮像素子CCDによって原稿画像の読み取りが行われる。原稿画像の読み取りがなされた原稿は原稿搬送ローラ13によって原稿排紙皿14上に排出される。
【0036】
一方、プラテンガラス18上に置かれた原稿に対する読みとりは、走査光学系を構成する前記第1ミラーユニット15、および、前記第2ミラーユニット16とを、光路長を保った所定の速度をもって水平方向・同方向に移動することにより行われる。
【0037】
走査された原稿画像は、結像レンズ17を通して前記撮像素子CCDの受光面に結像される。
【0038】
撮像素子CCD上に結像した光学情報は、順次電気信号に光電変換されたのちA/D変換され、濃度変換、フィルタ処理などの画像処理が施されて、画像データとして、一旦、制御手段(以下、制御部或いは全体制御部と言う)Sのメモリにストアされる。
【0039】
画像形成部Bは、公知の電子写真プロセスを実行し、像担持体を介して転写材上にトナー画像を形成する場所であり、ドラム状の前記像担持体21(以下、感光体21という)と、その周囲に配した帯電装置(帯電電極)22、露光装置30、現像装置23、転写装置(転写電極)24、分離装置(分離電極)25、クリーニング装置26等により構成されている。
【0040】
前記感光体21は、光導電性化合物をドラム基体上に塗布形成したもので、例えば有機感光体(OPC)が使用され、時計方向に駆動回転される。
【0041】
また、前記露光装置30は、レーザ光源、ポリゴンミラー等からなるレーザ露光装置で、画像データに従って変調されたドット露光を前記感光体上に付与し、静電荷潜像(以下、単に潜像という)を形成する。
【0042】
更に、前記現像装置は、現像剤として重合法、特に乳化重合法により製造した質量平均粒径で9μm以下の非磁性トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤と言うことがある)を使用し、スリーブの回転と当該スリーブに内蔵した磁石との相互作用で、前記現像剤を現像剤領域に導き、潜像を反転現像する。
【0043】
前記トナーは、更に、形状係数SF−1が100〜140、SF−2が100〜120であることが好ましい。
【0044】
前記SF−1は球形の度合いを示し、SF−2は凹凸の度合いを示すもので、以下の式で与えられる。
【0045】
SF−1=(Lmax2/A)×(π/4)×100
SF−2=(Laround2/A)×(1/4π)×100
ここで、Lmaxはトナー断面の最大直径、Laroundはトナー断面の円周長さ、Aはトナー断面の断面積を示す。
【0046】
なお、前記クリーニング装置を構成するクリーニングボックスの下部スペースは、転写処理後の前記感光体21上から除去回収した残留トナー(回収トナー)の貯蔵スペースとして用いられ、当該スペース内には、回収トナーを感光体21の軸方向一方の側に搬送する第1搬送手段が付設してあるが、トナーリサイクル機構(装置)の詳細な構成については後述する。
【0047】
参照符号45は、現像処理後の感光体21上に作製されたトナー像が転写された用紙(転写材)を定着装置に送り込むための用紙搬送ベルト、50はヒータHを内蔵する加熱ローラ51と圧着ローラ52とを主要素とする定着装置、63は用紙排出ローラ、64は排紙皿を示す。
【0048】
また、60は用紙の反転搬送路で、例えば、片面に画像形成した用紙を、画像面が下向きになるように排紙皿上に排出する場合や、用紙の第2面にも画像形成する場合の用紙反転に用いられる。
【0049】
62は用紙の搬送路を切り替える反転切り替え部材で、用紙搬送方向にみて、前記定着装置50を通過した直後の位置に設けた定着排紙ローラ61の下流に位置している。
【0050】
また、60aはスイッチバック搬送路で、前述のように、用紙の第2面に画像形成するときに使用され、図において60aと付した通路に用紙を導入した後、当該用紙を今までの搬送方向と逆方向に搬送することで用紙の反転を行う。
【0051】
反転された用紙は、前記搬送路の下に略平行に形成された通路を介して再度転写領域に搬送され、両面画像が形成される。
【0052】
給紙部Cには用紙Pを収容した給紙ユニット41(A、B、C)が多段で準備されている。前述した搬送部Dは、前記給紙ユニットと搬送ローラ43、給紙路40、前記反転搬送路等からなる。
【0053】
画像形成プロセスはよく知られているところであるが、ここで、省略した部材を含めた形で簡略に説明する。
【0054】
帯電装置22により前記感光体を一様に帯電した後に、自動原稿送り手段あるいはプラテンガラス18上に載置された原稿画像の読みとりに応じた画像データに従うドット露光を行うことによって、潜像を形成する。
【0055】
前記潜像は、現像装置23によって反転現像され、感光体21の感光層面にトナーによる可視画像が形成される。
【0056】
画像形成部Bの下方には異なるサイズの用紙Pが収納された給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)を有する給紙部Cが設けられ、また、側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット42が設けられていて、それらの何れかから選択された用紙Pは、搬送ローラ43によって給紙路40に沿って搬送され、用紙Pの斜行と偏りの修正を行うレジストローラ44によって一時停止を行った後、感光体と同期を保って画像形成部Bに向け給紙される。
【0057】
給紙された用紙Pは、転写前ローラ44aにより継続搬送され、転写装置24の作用によって、前記感光体21上のトナー画像の転写がなされる。
【0058】
トナー画像を担持した状態の用紙Pは、分離装置25によって除電され、前記感光体21の面から分離され、搬送装置45により定着手段50に搬送される。
【0059】
前記定着手段50による加圧、加熱作用により、トナー画像は用紙P上に定着される。
【0060】
トナー画像が定着された用紙Pは、片面画像形成モードの時にはそのままの状態で排紙皿64に排紙される。
【0061】
あるいは、画像形成面を下にして排出するモードが選択されている場合は、反転切り替え部材62の右側方を下降し、しかる後の反転搬送路上に設けてある搬送ローラの逆方向回転によって上昇し、反転切り替え部材62の左側方を通過した後、排出ローラ63によって排紙皿64上に排出される。
【0062】
一方、両面画像形成モードが選択されている時には、第1面(表面)の画像定着を終え定着排紙ローラ61により搬送された用紙Pは、反転切替部材62の右側方を通り、反転搬送路60に沿って下降し、スイッチバック経路60aに一旦搬入されたのち搬出されて表面と裏面との反転が行われ、裏面用給紙路60bを通って前記の搬送ローラ43によって給紙路40に沿って給送されて、レジストローラ44によって一時停止を行ったのち再給紙される。
【0063】
感光体21上に形成された裏面画像のトナー画像は転写装置24によって再給紙された用紙Pの裏面に転写される。
【0064】
前記感光体21から分離した用紙Pは担持している裏面のトナー画像が定着手段50により定着されて、排紙皿64に排紙される。
【0065】
次に、本発明に係わるトナーリサイクル機構あるいは現像装置に対する回収トナーの供給制御について説明する。
【0066】
図2は、トナーリサイクル機構(トナーリサイクル手段)を説明するための要部を示す概略図。
【0067】
なお、図1に示した部材(装置、手段)と同じ部材については同一の番号を付してあり、重複した説明は省くこととする。
【0068】
図2において、ゴムブレードからなるクリーニング手段261は、感光体21の回転方向に対して先端エッジが対向するようにカウンタ方向に設けられている。
【0069】
263はクリーニングボックス(以下、単にボックスという)で、前記クリーニング手段261を上部側壁で支持しており、下部には回収トナーを一時的に貯蔵する貯蔵スペース265を有している。
【0070】
また、ボックス263の後壁に取り付けてあるのは圧電素子(ピエゾ素子)からなるトナー量検知手段267で、前記クリーニング手段261により感光体21上から除去され回収された回収トナーの量を検知する。
【0071】
換言すれば、回収トナーが所定量になったときに検知信号を出力する(実際には、圧電素子の振動の急激な変化を電圧値として検出することにより、検知信号を得るのであるが、これをトナー量検知手段の検知信号あるいは出力として表現する)。
【0072】
前記トナー量検知手段267からの検知信号は貯蔵スペースが満杯になったことを意味するものであり、従って、当該トナー量検知手段は、設計上の所定量(満杯量)を検知できる位置に準備される。
【0073】
前記ボックス263の下部には、回収トナーを、図の奥側から手前側に搬送する第1トナー搬送部材(以下、単に第1搬送部材という)901が備えられている。
【0074】
903は第2トナー搬送部材(以下、単に第2搬送部材という)で、感光体21の幅方向における一方の側に搬送された回収トナーを現像装置23に向けて搬送する機能を有する。
【0075】
905は第2搬送部材903を内蔵するパイプで、先端部にトナー供給口907を有し、当該供給口907は、現像装置23のカバー230上に設けた回収トナーを受け入れるための開口231と整合可能に構成してある。
【0076】
なお、前記第1、第2搬送部材は、例えば、現像剤の搬送量がほぼ同じであるスクリューで構成することができる。
【0077】
ただし、所期目的を達成しうるのであれば基本的にどのような構成(形状)でもよく、設計の自由度は広い。
【0078】
現像装置23は、現像剤担持体(以下スリーブという)232、スリーブの長手方向(軸方向)に沿って近接配置した第1撹拌部材233、仕切壁236を挟んで前記第1撹拌部材233と平行に設けた第2撹拌部材234および前記第2撹拌部材の長手方向に沿って近接配置した第3撹拌部材235を有する。これら各部材は、それぞれ、矢印で示す方向に回転され、その回転駆動において、現像剤は仕切壁236の両端部に設けた通路を介して循環搬送されるようになっている。
【0079】
なお、可回転のスリーブ232内には、内周の所定箇所に所定の磁極が位置するように着磁された磁石が位置固定で保持されており、反発磁界によって、現像処理後の現像剤が前記スリーブから自動的に除去される構成を有する。
【0080】
前記第1撹拌部材233は、所定の帯電量を有するに至った現像剤をスリーブ232に供給するとともに、当該スリーブ上から除去された使用後の現像剤を再帯電のための循環路に移動させる機能を有する。
【0081】
前記第2撹拌部材234と第3撹拌部材235とは、最近接位置でみて、その周面が上から下に移動するようになっており、また、図に示すごとく、供給口を介して供給される回収トナーが両撹拌部材の中間部に落下するようになっているので、当該回収トナーを迅速に現像剤中に沈み込ませることができる。
【0082】
このため、現像剤に対して、供給された回収トナーは効率よく分散され、新規なトナーに対して帯電能力が低下している回収トナーの帯電を容易に行うことができる。
【0083】
このような回収トナーを含む現像剤は、帯電量不足による画像かぶりや文字太りが抑制された良好な品質の画像を形成できる。
【0084】
前記第1、第2撹拌部材は、例えば、現像剤の搬送量がほぼ同じスクリューで構成することができる。
【0085】
そして、第3撹拌部材238は、軸方向に現像剤を搬送する能力を有さない、例えば、十字パドル形状とすることができる。
【0086】
なお、本実施の形態に係わる画像形成装置は公知のトナー濃度制御を採用している。
【0087】
具体的には、通常の画像形成に先だって制御用のパッチ画像を感光体上に作製し、当該パッチ画像のトナー濃度を光学センサ100を介して読みとり、その濃度値が設定範囲の下限濃度設定値に達した時に、新規なトナーを現像装置に補給し、その濃度値が上限濃度設定値に達したときに,当該トナー補給を停止せしめる構成を有する。
【0088】
図中の参照符号Tは新規なトナーを収納するトナーボックスである。
【0089】
図3は回収トナーと新規トナーを受け入れる開口位置を説明するための現像装置の概略を示す平面図である。
【0090】
図中、回収トナーを受け入れるための現像装置側に設けた開口231に隣接して示す開口238は新規なトナーを受け入れるためのものである。
【0091】
ここでは、回収トナーに対する帯電を優先的に考えて、第2撹拌部材234による現像剤搬送方向にみて、より上流側に開口231を、また、それよりも下流側の位置に開口238を設けてある。
【0092】
次に、本願発明に係わるトナーリサイクル手段と感光体の動力伝達系について、図4を用いて説明する。図4は、動力伝達系の要部を拡大し、簡略化して示す平面図である。
【0093】
図において、既出の部材には同一の参照符号を付してある。
【0094】
Mは機枠700に取り付けた駆動源(モータ)で、1つは、軸上に設けたG1から第1のギヤチェーン(参照符号なし)、ギヤG2を介して感光体21に回転動力を伝達する感光体駆動用の動力伝達系に繋がり、また、前記ギヤG、第2のギヤチェーン、ギヤG3および切り替え手段である電磁クラッチCLを介して、回収トナーを図の右方向に搬送する第1搬送部材901に回転動力を伝達するトナーリサイクル手段用の動力伝達系に繋がっている。
【0095】
前記電磁クラッチCLは常閉型の電磁クラッチで、電力が供給されない状態において前記トナーリサイクル手段用の動力伝達系を作動状態(ON)とし、電力が供給されている間は前記動力系を非作動状態(OFF)とする。
【0096】
このように、感光体21を駆動するための駆動源Mを、第1搬送部材901の駆動源として利用することにより駆動系の構成を簡単な機構で達成することができ、装置の小型化に寄与できる。
【0097】
なお、前記第1搬送部材901と第2搬送部材903とは適宜の歯車を介して連結することができ、同時間帯において作動状態、あるいは非作動状態となる。
【0098】
次に、回収トナーを現像装置に供給するいくつかのケースについて説明する。
【0099】
(1)通常は、新規トナーの補給に絡めて、画像形成時に回収トナーを現像装置に供給する。
【0100】
そして、例えば、環境条件等により感光体上の残留トナーが多く、結果として、貯蔵スペース265における回収トナーが所定量になったことをトナー量検知手段267が検知した場合、前記トナーリサイクル手段用の動力伝達系を作動せしめ、回収トナーを貯蔵スペース265から運び出して、貯蔵スペースにおける回収トナーの溢れを防止する。
【0101】
この際、1枚の画像形成時間当たりに供給される回収トナーの許容量(現像剤中における許容量)を予め算出しておき、この許容量を超えないように前記電磁クラッチをONして現像剤としての機能を保持するように制御することが必要となる。
【0102】
このことにより、画像かぶり、文字太りを押さえた画像形成ができる。
【0103】
なお、貯蔵スペースの大きさ或いは現像装置の現像剤収容量にもよるが、画像出力時に常にいくらかの回収トナーを現像装置に供給する態様であれば、貯蔵スペースが一杯になることはほとんど無い。
【0104】
また、貯蔵スペースに回収トナーが所定量溜まったときのケースであるが、この場合、現像装置に供給されるトナーは回収トナーのみとすることが考えられる。
【0105】
例えば、印字率が高い場合、現像装置には新規トナーの補給が頻繁に行われるが、このような特性変化が少ない状態のトナーが回収トナーとなるので、前記制御が可能となる。
【0106】
(2)上記(1)のごとくに、回収トナーの供給時を、感光体の駆動時とする必要はないが、例えば、原稿の黒化率が20%以上の画像パターンの出力(画像形成)中は回収トナーを戻し、20%未満のときは回収トナーは戻さない。
【0107】
但し、貯蔵スペースに所定量の回収トナーが溜まった場合は、現像剤中における回収トナーの許容量を超えない範囲で回収トナーを連続的に現像装置に供給する。
【0108】
原稿の黒化率によって消費されるトナー量が違い、黒化率が高い場合、新規トナーが頻繁に補給されているので、現像剤中における回収トナーの許容量も大きくできる。
【0109】
黒化率が低い原稿の場合には新規トナーの補給量も少なく、前記許容率も下がる。
【0110】
黒化率が20%未満のときに、黒化率が高い原稿の場合と同様に回収トナーを供給すると、現像剤中には帯電能力が低下したトナーが多くなり、画像かぶりや文字太りを引き起こしてしまう危険性が高くなる。
【0111】
黒化率は画像形成プロセス実施に先立つ原稿スキャン時に演算で求めることができる。
【0112】
斯様な制御により、貯蔵スペースでの回収トナーの溢れを防止し得、また、良好な画像を安定して形成できる。
【0113】
(3)上記(1)のごとくに、回収トナーの供給時を、感光体の駆動時とする必要はないが、例えば、画像出力中に新規トナーを補給する必要が生じた場合、この動作に同期して回収トナーを供給する。
【0114】
基本的な考え方は上記(2)に開示したと同様である。
【0115】
新規トナーと同期して回収トナーを供給するようにすると、現像装置側の許容量に応じて回収トナーの供給量を変化させていくことが可能となる。
【0116】
(4)上記(1)のごとくに、回収トナーの供給時を、感光体の駆動時とする必要はないが、新規トナーの受け入れのための開口と回収トナーの受け入れのための開口とを別々に現像装置に設けるという簡単な構成により、回収トナーの帯電を効率的に行うことが可能となる。また、回収トナーに凝集があった場合、それをできる限り粉砕することが可能となる。
【0117】
更に、黒化率が高い原稿の場合、少なくとも回収トナーを連続して供給することができ、回収トナーの溢れることを防止できるとともに、現像剤における許容率内に回収トナー量を納めることで、上記3ケースと同様に安定した画像作製が可能となる。
【0118】
上記の構成(制御)は、回収したトナーを100%現像装置に戻して再利用すること、また、黒化率の高い画像パターンのときに、回収トナーを現像装置に多く取り込むことで貯蔵スペースにおける回収トナーの溢れることを防止することを意図した技術的思想の基に成り立っている。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】トナーリサイクル機構(トナーリサイクル手段)を説明するための要部を示す概略図である。
【図3】回収トナーと新規トナーを受け入れる開口位置を説明するための現像装置の概略を示す平面図である。
【図4】動力伝達系の要部を拡大し、簡略化して示す平面図である。
【符号の説明】
【0120】
18 プラテンガラス
21 像担持体
261 クリーニング手段
263 クリーニングボックス
265 貯蔵スペース
267 トナー量検知手段
901 第1トナー搬送部材
903 第2トナー搬送部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源の動力で回転する像担持体と、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上に形成されるトナー像を転写材上に転写する転写装置と、転写後の前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、回収されたトナーを貯蔵する貯蔵スペースと、前記貯蔵スペースに貯蔵されたトナーを前記現像装置に供給するトナーリサイクル手段とを有する画像形成装置において、
前記トナーリサイクル手段を、前記像担持体の駆動源により駆動可能となすとともに、
前記駆動源と前記トナーリサイクル手段との動力伝達系中に、動力伝達をON、OFFできる切り替え手段を設けた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記切り替え手段は非通電時に動力伝達を行わせる常閉タイプの電磁クラッチであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は更に回収トナーの量を検知するトナー量検知手段を有し、回収トナーが所定量に達したことを当該検知手段が検知した場合、前記切り替え手段を介してトナーリサイクル手段の動力伝達をONすることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
駆動源の動力で回転する像担持体と、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上に形成されるトナー像を転写材上に転写する転写装置と、転写後の前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、回収されたトナーを貯蔵する貯蔵スペースと、前記貯蔵スペースに貯蔵されたトナーを前記現像装置に供給するトナーリサイクル手段とを有する画像形成装置において、
印字される画像の黒化率を現像処理前に演算手段により演算し、当該黒化率が所定値以上である場合、前記トナーリサイクル手段を駆動させて、回収トナーを現像装置に供給することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
駆動源の動力で回転する像担持体と、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上に形成されるトナー像を転写材上に転写する転写装置と、転写後の前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、回収されたトナーを貯蔵する貯蔵スペースと、前記貯蔵スペースに貯蔵されたトナーを前記現像装置に供給するトナーリサイクル手段と、新規トナーを前記現像装置に補給するトナー補給手段とを有する画像形成装置において、
前記トナーリサイクル手段は、前記トナー補給手段の補給動作と略同期して動作することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
駆動源の動力で回転する像担持体と、磁性キャリアと非磁性トナーとを含む二成分現像剤を有する現像装置と、前記像担持体上に形成されるトナー像を転写材上に転写する転写装置と、転写後の前記像担持体上に残留するトナーを回収するクリーニング装置と、回収されたトナーを貯蔵する貯蔵スペースと、前記貯蔵スペースに貯蔵されてたトナーを前記現像装置に供給するトナーリサイクル手段と、新規トナーを前記現像装置に補給するトナー補給手段とを有する画像形成装置において、
前記現像装置は、供給される回収トナーを受け入れる開口と、補給される新規トナーを受け入れる開口とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記非磁性トナーは、質量平均粒径9μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記非磁性トナーは、形状係数SF−1が100〜140、SF−2が100〜120であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−3606(P2006−3606A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179582(P2004−179582)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】