説明

画像形成装置

【課題】廃トナーの廃棄作業を行う際の、ユーザの負担を軽減すると共に作業性を向上することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー画像を形成して記録媒体に転写するトナー画像形成部と、前記記録媒体の搬送機構と、前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することで記録媒体へのトナー画像の転写動作を制御する制御部とを備える画像形成装置において、前記トナー画像形成部は、前記トナー画像の転写後の残留トナーを廃トナーとして回収する廃トナー回収部と、前記廃トナー回収部によって回収された廃トナーを感光体に付着させる廃トナー現像部とを備え、前記制御部は、前記廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、所定のタイミングで前記廃トナーを記録媒体に転写させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コピー機やプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コピー機やプリンタ等の電子写真方式の画像形成装置において、感光体や中間転写体などに付着した残留トナーをクリーナーによって除去すると共に専用の廃トナー容器に回収し、廃トナー容器が満杯になったところで装置本体から廃トナー容器を取り出して廃棄するということが行われていた。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、上記のようなトナー廃棄物回収作業の労力を軽減するために、クリーナ等のトナー廃棄物回収源と連結された搬送路に、着脱自在の複数のトナー廃棄物回収容器を接続し、トナー廃棄物が充填された回収容器は搬送路から分離し、これに代えて空の回収容器を搬送路に接続する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平11−119622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように従来技術では、廃トナーが満杯になる度に回収容器を装置本体から取り出して廃棄し、空の回収容器と交換する必要があり、ユーザにとって大きな負担となっていた。また、廃棄時には廃トナーが飛散することがあり、作業性も良くなかった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、廃トナーの廃棄作業を行う際の、ユーザの負担を軽減すると共に作業性を向上することの可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、画像形成装置に係る第1の解決手段として、トナー画像を形成して記録媒体に転写するトナー画像形成部と、前記記録媒体の搬送機構と、前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することで記録媒体へのトナー画像の転写動作を制御する制御部とを備える画像形成装置において、前記トナー画像形成部は、前記トナー画像の転写後の残留トナーを廃トナーとして回収する廃トナー回収部と、前記廃トナー回収部によって回収された廃トナーを感光体に付着させる廃トナー現像部とを備え、前記制御部は、前記廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、所定のタイミングで前記廃トナーを記録媒体に転写させることを特徴とする。
【0007】
また、画像形成装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記制御部は、前記廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、前記記録媒体の一方の面に通常のトナーを用いて形成したトナー画像を転写させる際に、前記記録媒体の他方の面に前記廃トナーを転写させることを特徴とする。
【0008】
また、画像形成装置に係る第3の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記制御部は、前記記録媒体に形成すべき画像がモノクロ画像であった場合、前記廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、前記廃トナーを用いて前記モノクロ画像の元となるトナー画像を形成させ、当該トナー画像を前記記録媒体に転写させることを特徴とする。
【0009】
また、画像形成装置に係る第4の解決手段として、上記第2または第3の解決手段において、前記トナー画像形成部は、前記廃トナー回収部によって回収された廃トナーを蓄積する廃トナー容器と、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬する廃トナー運搬機構とをさらに備え、前記制御部は、前記廃トナー運搬機構を制御することで前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬させることを特徴とする。
【0010】
また、画像形成装置に係る第5の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記トナー画像形成部は、前記廃トナー回収部によって回収された廃トナーを蓄積する廃トナー容器と、前記廃トナー容器が満杯になったか否かを検出する満杯センサと、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬する廃トナー運搬機構とをさらに備え、
前記制御部は、前記満杯センサによって前記廃トナー容器が満杯になったと検出された場合、ユーザにその旨を通知し、ユーザによって廃トナー排出モードの選択操作がなされた場合に、前記廃トナー運搬機構及び廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬させて記録媒体に転写させることを特徴とする。
【0011】
また、画像形成装置に係る第6の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記トナー画像形成部は、前記廃トナー回収部によって回収された廃トナーを蓄積する廃トナー容器と、前記廃トナー容器が満杯になったか否かを検出する満杯センサと、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬する廃トナー運搬機構とをさらに備え、
前記制御部は、前記満杯センサによって前記廃トナー容器が満杯になったと検出された場合、ユーザにその旨を通知し、ユーザによってモノクロ画像モードの選択操作がなされた場合に、前記廃トナー運搬機構及び廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬させ、前記廃トナーを用いて前記記録媒体に形成すべきモノクロ画像の元となるトナー画像を形成させ、当該トナー画像を前記記録媒体に転写させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る画像形成装置よると、廃トナー回収部によって回収された廃トナーが記録媒体に転写されて外部に排出されることになる。その結果、廃トナーの廃棄作業を行う際の、ユーザの負担を大幅に軽減することができ、さらに、廃トナーは記録媒体に定着された状態で排出されるため、廃トナーが周囲に飛散することはなく、作業性の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下では、本発明に係る画像形成装置として、コピー機、プリンタ等の機能を1台に集約したMFP(Multi Function Peripherals)を例示して説明する。
図1(a)は本実施形態における画像形成装置100の構成概略図である。この図1(a)に示すように、画像形成装置100は、原稿を読み取るための原稿読取装置1と、原稿読取装置1によって読み取った原稿の画像データ、または通信回線を介して外部から送信された画像データに基づいて用紙(記録媒体)に画像を形成するMFP本体2とから概略構成されている。
【0014】
原稿読取装置1は、スキャナ部10及びADF(Auto Document Feeder:自動原稿給紙装置)20から構成されている。スキャナ部10は、プラテンガラス11上にセットされた原稿、またはADF20によって自動給紙される原稿の読み取りを行うものであり、プラテンガラス11、白色基準板12、フルレートキャリッジ13、ハーフレートキャリッジ14、集光レンズ15及びCCD(Charge Coupled Devices)センサ16等を備えている。
【0015】
プラテンガラス11は、読み取り対象の原稿を1枚ずつセットするためのガラス板である。白色基準板12は、シェーディング補正用の白色基準データを取得するための白色板である。フルレートキャリッジ13は、プラテンガラス11の下方において、不図示のキャリッジ搬送機構によりプラテンガラス11に沿って左右方向(走査方向)に往復移動可能に設けられており、照明光を斜め上方に向けて出射するランプ13aと、照明光の反射光を後述するハーフレートキャリッジ14に向けて反射するミラー13bを内蔵している。
【0016】
ハーフレートキャリッジ14は、フルレートキャリッジ13と同様に、不図示のキャリッジ搬送機構によりプラテンガラス11に沿って左右方向に往復移動可能に設けられており、フルレートキャリッジ13のミラー13bからの入射光を下方に向けて反射するミラー14aと、ミラー14aからの入射光を後述する集光レンズ15に向けて反射するミラー14bを内蔵している。なお、キャリッジ搬送機構により、フルレートキャリッジ13の移動量とハーフレートキャリッジ14の移動量との比率は1:0.5となるように制御されている。これにより、集光レンズ15に達するまでの照明光の光路長が一定となるように制御される。
【0017】
プラテンガラス11上にセットされた原稿を読み取る場合は、フルレートキャリッジ13及びハーフレートキャリッジ14を走査方向に移動させることで原稿をスキャンするが、後述するADF20によって原稿を自動給紙する場合には、フルレートキャリッジ13及びハーフレートキャリッジ14を所定の原稿読取位置にて待機させ、原稿側を移動(搬送)させることで原稿をスキャンする。
【0018】
集光レンズ15は、ハーフレートキャリッジ14のミラー14bからの入射光を集光してCCDセンサ16の受光面に結像させる。CCDセンサ16は、不図示のCCD駆動部から供給されるタイミング信号に同期して作動し、受光面にて受光した光を光電変換することにより、読み取った原稿の画像に応じたアナログ電圧信号を生成してAFE(アナログフロントエンド:図示省略)に出力する。なお、AFEは、上記のアナログ電圧信号を所定のゲイン設定値にて増幅した後、デジタル変換して読み取った原稿の画像データを生成するものであり、この画像データはMFP本体2の制御部60の制御により、画像データメモリ63に記憶される(図2参照)。
【0019】
ADF20は、原稿載置トレイ22にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ順次自動給紙するものであり、プラテンカバー21、原稿載置トレイ22、ピックアップローラ23、レジストローラ24、プラテンローラ25及び排紙ローラ26等から構成されている。プラテンカバー21は、スキャナ部10の上面に対して開閉可能に設けられており、プラテンガラス11上に原稿をセットして読み取りを行う場合における原稿押さえカバーとしての役割と、ピックアップローラ23、レジストローラ24、プラテンローラ25及び排紙ローラ26等の自動給紙機構に使用される部材の収納用筐体としての役割を担っている。なお、図1(a)では、プラテンカバー21が閉じられた状態を示している。
【0020】
原稿載置トレイ22は、読み取り対象の原稿をセットするためのトレイである。ピックアップローラ23は、原稿載置トレイ22にセットされた原稿を1枚ずつピックアップしてレジストローラ24に搬出するためのローラである。レジストローラ24は、所定のタイミングで原稿をプラテンローラ25に搬送するためのローラである。プラテンローラ25は、原稿を所定の原稿読取位置を経由して排紙ローラ26に搬送するためのローラである。排紙ローラ26は、読み取り完了後の原稿を外部に排出するためのローラである。これら各ローラの回転動作は、MFP本体2の制御部60により制御されている。
【0021】
MFP本体2は、原稿読取装置1にて読み取った原稿の画像データ、または通信回線を介して外部から送信された画像データに基づいて、電子写真方式によってトナー画像を形成し、そのトナー画像を記録媒体である用紙に転写するトナー画像形成部3と、トナー画像形成部3によって用紙に転写されたトナー画像を定着させる定着部4と、トナー画像形成部3及び定着部4を経由して用紙を外部に搬送するための用紙搬送機構5と、各種サイズの用紙を収容するための給紙カセット6、7、8とを備えている。さらに、MFP本体2には、手前側に開閉自在な手差しトレイ9が設けられており、手差しトレイ9に載置された用紙を用紙搬送機構5によって搬送可能な構成となっている。
【0022】
トナー画像形成部3は、中間転写ベルト31と、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色にそれぞれ対応したトナー画像形成ユニットF(FY、FM、FC、FB)と、駆動ローラ32と、テンションローラ33と、二次転写ローラ34と、クリーナー(廃トナー回収部)35と、さらに図1(b)の拡大図に示すように、廃トナー容器36と、満杯センサ37と、廃トナー運搬機構38と、廃トナー現像部39とから構成されている。
【0023】
中間転写ベルト31は、各トナー画像形成ユニットF(FY、FM、FC、FB)によって形成される各色のトナー画像を1次転写するための中間転写体であり、駆動ローラ32及びテンションローラ33に張架されて、図1(a)において時計回りに回走する構成となっている。
【0024】
トナー画像形成ユニットF(FY、FM、FC、FB)は、それぞれ感光体ドラムFaと、帯電部Fbと、露光部Fcと、現像部Fdと、一次転写ローラFeとを備え、さらに不図示のクリーニング装置及び除電装置等とを備える。感光体ドラムFaは、円柱に形状設定され、その周面に静電潜像及び当該静電潜像に基づくトナー画像が形成されるものである。帯電部Fbは、感光体ドラムFaに対して対向配置され、感光体ドラムFaの周面を帯電状態とするものである。露光部Fcは、画像データに基づいてレーザ光を帯電状態の感光体ドラムFaの周面において走査して静電潜像を形成するものである。現像部Fdは、感光体ドラムFaの周面に対してトナーを付着させることによって感光体ドラムFaの周面上に静電潜像に基づくトナー画像を形成(現像)するものである。
【0025】
一次転写ローラFeは、中間転写ベルト31を挟んで感光体ドラムFaと対向配置され、感光体ドラムFaに現像されたトナー画像を中間転写ベルト31に一次転写するものである。二次転写ローラ34は、中間転写ベルト31を挟んで駆動ローラ32と対向配置されており、給紙カセット6、7、8のいずれかから用紙搬送機構5によって搬送される用紙に、中間転写ベルト31表面に転写されているトナー画像を2次転写するものである。
【0026】
クリーナー35は、クリーニングローラやクリーニングブレード等を備え、中間転写ベルト31の残留トナーを除去し、廃トナーとして回収して廃トナー容器36に送るものである。廃トナー容器36は、クリーナー35によって回収された廃トナーを蓄積するための容器であり、MFP本体2に対して着脱自在に取り付けられている。満杯センサ37は、廃トナー容器が満杯になったか否かを検出するセンサ(例えば、トナーの残量検出に一般的に用いられている圧電振動素子など)であり、その検出結果を示す信号を制御部60に出力する。
【0027】
廃トナー運搬機構38は、廃トナー容器36から廃トナー現像部39へ廃トナーを運搬するものである。廃トナー現像部39は、トナー画像形成ユニットFYにおいて、通常のトナー(イエローのトナー)を用いる現像部Fdとは別個に設けられた廃トナー専用の現像部であり、廃トナー運搬機構38から運搬される廃トナーを感光体ドラムFaに付着させる。
【0028】
定着部4は、用紙上に二次転写されたトナー画像を定着させるものであり、加圧・加熱することによりトナーを定着させる加熱ローラ41を備えている。用紙搬送機構5は、給紙カセット6、7、8から用紙を1枚ずつ搬出するためのピックアップローラ51、52、53と、ピックアップした用紙をトナー画像形成部3(駆動ローラ32と2次転写ローラ34との間)に搬送するための給紙ローラ54、55、56と、定着後の用紙を外部に排紙するための排紙ローラ57等から構成されている。給紙カセット6、7、8は、MFP本体2に対して引き出し自在に取り付けられており、各種サイズの用紙を収容するものである。
【0029】
図2は、上述した画像形成装置100の機能ブロック構成図である。なお、この図2において、図1と同じ構成要素には同一符号を付し、説明を省略する。図2において、符号60は制御部、符号61はROM(Read Only Memory)、符号62はRAM(Random Access Memory)、符号63は画像データメモリ、符号64は操作表示部、符号65は通信I/Fである。なお、符号200は、外部から画像形成装置100へ印刷指示するためのPC(Personal Computer)である。
【0030】
制御部60は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、ROM61に記憶されている制御プログラムに従い、画像データメモリ63に記憶されている画像データ、操作表示部64から入力される操作信号、満杯センサ37の出力信号、通信I/F65を介してPC200から受信した印刷指示信号及び画像データ(つまり印刷ジョブ)に基づいて、画像形成装置100の各機能部(原稿読取装置1、トナー画像形成部3(廃トナー運搬機構38及び廃トナー現像部39を含む)、定着部4、用紙搬送機構5など)を統合制御することにより、画像形成動作(トナー画像の形成動作、用紙へのトナー画像の転写動作、トナー画像の定着動作)を制御するものである。
【0031】
ROM61は、制御部60で使用される制御プログラムやその他の設定データを記憶する読み出し専用の不揮発性メモリである。RAM62は、制御部60が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先に用いられる揮発性のワーキングメモリである。画像データメモリ63は、例えばフラッシュメモリであり、制御部60による制御の下、画像読取装置1にて読み取った原稿の画像データや、PC200から送信された印刷用の画像データを記憶する書き換え可能な不揮発性メモリである。
【0032】
操作表示部64は、例えばタッチパネルによって構成されており、制御部60による制御の下、各種操作キーや各種情報をユーザに通知する画面を表示すると共に、タッチパネル上に表示される各種操作キーの操作入力情報を操作信号として制御部60に出力する。通信I/F65は、画像形成装置100(詳しくは制御部60)と外部のPC200との間で通信を行うためのインタフェースであり、LAN(Local Area Network)等のネットワークによってPC200と接続されている。
【0033】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る画像形成装置100の画像形成動作、特に本実施形態の特徴である用紙への廃トナーの転写動作について、図3のフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、廃トナー容器36には、ある程度の廃トナーが蓄積されているものとする。
【0034】
図3に示すように、まず、制御部60は、操作表示部64から入力される操作信号、または通信I/F65を介してPC200から受信した印刷指示信号及び画像データを基に、ユーザによってコピースタートキーが押下されたこと、または印刷ジョブの発生を検知すると(ステップS1)、コピースタートキーが押下された場合には、原稿読取装置1を制御して得られる原稿の画像データを、または印刷ジョブが発生した場合には、PC200から受信した印刷用の画像データを画像データメモリ63に記憶する(ステップS2)。
【0035】
続いて、制御部60は、トナー画像形成部3及び用紙搬送機構5を統合制御することにより、画像データメモリ63に記憶した画像データを基に、用紙の一方の面(表面)に各色のトナーを用いて形成したトナー画像を転写(2次転写)させる(ステップS3)。具体的には、制御部60は、トナー画像形成部3の各トナー画像形成ユニットF(FY、FM、FC、FB)を制御して、各ユニットの感光体ドラムFaに各色のトナー画像を形成させ、その各色のトナー画像を中間転写ベルト31に順次一次転写させる一方、用紙搬送機構5を制御して、所定サイズの用紙を駆動ローラ32と2次転写ローラ34との間に搬送させることにより、用紙の表面に画像データに基づくトナー画像を転写させる。
【0036】
続いて、制御部60は、廃トナー運搬機構38及び廃トナー現像部39を含むトナー画像形成部3及び用紙搬送機構5を統合制御することにより、用紙の他方の面(裏面)に廃トナーを用いて形成したトナー画像を転写させる(ステップS4)。具体的には、制御部60は、廃トナー運搬機構38を制御して、廃トナー容器36から廃トナー現像部39へ廃トナーを運搬させる(廃トナー現像部39にある程度廃トナーが貯まっている場合には運搬しなくても良い)。そして、制御部60は、トナー画像形成ユニットFYの帯電部Fb及び露光部Fcを制御して、感光体ドラムFaに所定の静電潜像を形成させた後、廃トナー現像部39を制御して、廃トナーを感光体ドラムFaに付着させてトナー画像を形成させ、そのトナー画像を中間転写ベルト31に一次転写させる。そして、制御部60は、用紙搬送機構5を制御して、再度、用紙を駆動ローラ32と2次転写ローラ34との間に戻すことにより、用紙の裏面に廃トナーを用いたトナー画像を転写させる。
【0037】
ここで、廃トナーを用いて形成するトナー画像としては、格子状の模様やその他の図形、文字など、どのような画像を採用しても良い。また、単に、廃トナーが用紙に均一に分散されるように転写しても良い。また、用紙の裏面に転写する廃トナーの濃度は、表面に転写するトナー画像より低くし、ユーザに違和感を与えない程度に抑えることが望ましい。または、ユーザが視認できない程の濃度としても良い。
【0038】
そして、制御部60は、上記のように、廃トナーを用いて形成したトナー画像を用紙に転写させた後、用紙搬送機構5及び定着部4を制御することにより、用紙を定着部4に搬送して用紙両面のトナー画像の定着処理を行い、定着処理後の用紙を外部に排紙する(ステップS5)。
【0039】
以上のような画像形成動作によって、排紙された用紙の表面には、読み取った原稿の画像データまたは印刷用画像データに基づく画像が形成され、裏面には、廃トナーを用いた画像が形成されることになる。すなわち、廃トナー容器36に蓄積された廃トナーが、コピー動作または印刷動作が行われる度に自動的に排出されることになり、廃トナー容器36の交換サイクルが格段に延びることになる。その結果、廃トナー容器36の交換作業、つまり廃トナーの廃棄作業を行う際の、ユーザの負担を大幅に軽減することができる。さらに、廃トナーは用紙に定着された状態で排出されるため、廃トナーが周囲に飛散することはなく、作業性の向上を図ることができる。
【0040】
なお、廃トナー容器36が満杯になった場合を想定して、満杯センサ37の出力信号を基に、廃トナー容器36が満杯になったことをユーザに通知するための画面を操作表示部64に表示させる機能を制御部60は備えている。これにより、ユーザは廃トナー容器36が満杯になったことを認識し、廃トナー容器36の交換作業を行うことができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、用紙に形成すべき画像がカラー画像である場合を想定して説明した。これに対して、用紙に形成すべき画像(つまり読み取り対象の原稿に形成されている画像、または印刷画像)がモノクロ画像である場合、廃トナー容器36に蓄積されている廃トナーは各色の残留トナーの混合物(つまり黒色となる)であるため、この廃トナーをモノクロ画像用のトナーとして再利用することができる。
【0042】
このように、廃トナーをモノクロ画像用のトナーとして再利用する場合には、制御部60に以下のような機能を設ければ良い。つまり、制御部60は、画像データメモリ63に記憶されている画像データを基に、用紙に形成すべき画像がカラー画像かモノクロ画像かを判断し、モノクロ画像であった場合、トナー画像形成ユニットFYの帯電部Fb及び露光部Fcを制御して、感光体ドラムFaにモノクロ画像の画像データに基づく静電潜像を形成させた後、廃トナー現像部39を制御して、廃トナーを感光体ドラムFaに付着させてトナー画像を形成させ、そのトナー画像を中間転写ベルト31に一次転写させる。そして、制御部60は、用紙搬送機構5を制御して、所定サイズの用紙を駆動ローラ32と2次転写ローラ34との間に搬送することにより、用紙の表面に廃トナーを用いて形成したモノクロ画像の元となるトナー画像を2次転写させる(両面コピーまたは両面印刷の場合には用紙両面に転写する)。
【0043】
(2)上記実施形態では、廃トナー容器36を設けた場合を想定して説明したが、例えば、廃トナー容器36から消費される廃トナー量が、クリーナー35によって回収される廃トナー量以上であれば、クリーナー35と廃トナー現像部39とを廃トナー運搬機構38によって接続して、廃トナー容器36を使用しないような構成としても良い。このような構成とすることにより、ユーザによる廃トナー容器36の交換作業を完全に無くすことができる。
【0044】
(3)上記実施形態では、廃トナー容器36に蓄積された廃トナーが、コピー動作または印刷動作が行われる度に自動的に排出される場合を想定して説明した。これに対し、ユーザからの指示をトリガとして、廃トナー容器36に蓄積された廃トナーを用紙に転写するような構成としても良い。
【0045】
具体的には、制御部60に以下のような機能を設ければ良い。つまり、制御部60は、まず、満杯センサ37の出力信号を基に、廃トナー容器36が満杯になったことをユーザに通知するための画面を操作表示部64に表示させる。この時、制御部60は、ユーザによって「廃トナー排出モード」の選択操作がなされた場合に、廃トナー運搬機構38及び廃トナー現像部39を含むトナー画像形成部3と用紙搬送機構5とを統合制御することにより、廃トナー容器36から廃トナー現像部39へ廃トナーを運搬させ、廃トナーを用いて形成したトナー画像を用紙に転写させる。なお、使用する用紙は、不要な裏紙でも良いし、予め画像形成装置100にセットされている用紙でも良い。
【0046】
この場合、ユーザは排紙された用紙を廃棄するだけで廃トナーを廃棄することができるため、廃トナーの廃棄作業を行う際の、ユーザの負担を大幅に軽減することができる。さらに、廃トナーは用紙に定着された状態で排出されるため、廃トナーが周囲に飛散することはなく、作業性の向上を図ることができる。なお、このような「廃トナー排出モード」では、排紙された用紙を廃棄することを前提としているため、廃トナーを用いて形成するトナー画像としては、例えば全面黒ベタ画像などの大量の廃トナーを消費可能な画像とすることが望ましい。また、廃トナー容器36の廃トナー残量が所定値に下がるまで、上記のような画像形成動作を繰り返すことが望ましい。
【0047】
(4)上記(3)の変形例では、ユーザからの指示をトリガとして、「廃トナー排出モード」で廃トナー容器36に蓄積された廃トナーを用紙に転写して排出する場合を例示したが、「モノクロ画像モード」が選択された場合には、廃トナー容器36に蓄積された廃トナーを再利用するような構成としても良い。
【0048】
具体的には、制御部60に以下のような機能を設ければ良い。つまり、制御部60は、まず、満杯センサ37の出力信号を基に、廃トナー容器36が満杯になったことをユーザに通知するための画面を操作表示部64に表示させる。この時、制御部60は、ユーザによって「モノクロ画像モード」の選択操作がなされた場合に、廃トナー運搬機構38及び廃トナー現像部39を含むトナー画像形成部3と用紙搬送機構5とを統合制御することにより、廃トナー容器36から廃トナー現像部39へ廃トナーを運搬させ、廃トナーを用いて用紙に形成すべきモノクロ画像の元となるトナー画像を形成させ、当該トナー画像を用紙に転写させる。
【0049】
より詳細には、制御部60は、画像データメモリ63に記憶されている画像データを基に、トナー画像形成ユニットFYの帯電部Fb及び露光部Fcを制御して、感光体ドラムFaにモノクロ画像の画像データに基づく静電潜像を形成させた後、廃トナー現像部39を制御して、廃トナーを感光体ドラムFaに付着させてトナー画像を形成させ、そのトナー画像を中間転写ベルト31に一次転写させる。そして、制御部60は、用紙搬送機構5を制御して、所定サイズの用紙を駆動ローラ32と2次転写ローラ34との間に搬送することにより、用紙の表面に廃トナーを用いて形成したモノクロ画像の元となるトナー画像を2次転写させる(両面コピーまたは両面印刷の場合には用紙両面に転写する)。
【0050】
このような「モノクロ画像モード」は、廃トナー容器36が空になると実行できなくなるため、廃トナー容器36が空になった場合には、その旨をユーザに通知する画面を操作表示部64に表示させる機能を制御部60に設けることが望ましい。若しくは、廃トナー容器36が空になった場合には、自動的に「通常モード」に戻るような機能を制御部60に設けても良い。
【0051】
(5)上記実施形態では、廃トナー現像部39を、通常のトナーを用いる現像部Fdとは別個に設けた場合を想定して説明したが、これに限らず、トナーの分別さえ可能であれば通常のトナーを用いる現像部Fdを廃トナー現像部として共用しても良い。
【0052】
(6)上記実施形態では、画像形成装置100としてMFPを例示して説明したが、本発明はこれに限定されず、コピー機や、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置にも適用することができる。また、上記実施形態では、タンデム方式の画像形成装置100を例示したが、その他の方式の画像形成装置でも本発明を適用可能であることは勿論である。さらに、上記実施形態では、中間転写ベルト31の残留トナーを廃トナーとして回収する場合を例示したが、感光体ドラムFaの残留トナーを廃トナーとして回収する構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の構成概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の画像形成動作を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0054】
100…画像形成装置、1…原稿読取装置、2…MFP本体、10…スキャナ部、20…ADF(Auto Document Feeder)、3…トナー画像形成部、4…定着部、5…用紙搬送機構、6、7、8…給紙カセット、60…制御部、61…ROM(Read Only Memory)、62…RAM(Random Access Memory)、63…画像データメモリ、64…操作表示部、65…通信I/F、200…PC(Personal Computer)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を形成して記録媒体に転写するトナー画像形成部と、前記記録媒体の搬送機構と、前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することで記録媒体へのトナー画像の転写動作を制御する制御部とを備える画像形成装置において、
前記トナー画像形成部は、前記トナー画像の転写後の残留トナーを廃トナーとして回収する廃トナー回収部と、前記廃トナー回収部によって回収された廃トナーを感光体に付着させる廃トナー現像部とを備え、
前記制御部は、前記廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、所定のタイミングで前記廃トナーを記録媒体に転写させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、前記記録媒体の一方の面に通常のトナーを用いて形成したトナー画像を転写させる際に、前記記録媒体の他方の面に前記廃トナーを転写させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記記録媒体に形成すべき画像がモノクロ画像であった場合、前記廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、前記廃トナーを用いて前記モノクロ画像の元となるトナー画像を形成させ、当該トナー画像を前記記録媒体に転写させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記トナー画像形成部は、前記廃トナー回収部によって回収された廃トナーを蓄積する廃トナー容器と、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬する廃トナー運搬機構とをさらに備え、
前記制御部は、前記廃トナー運搬機構を制御することで前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬させることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記トナー画像形成部は、前記廃トナー回収部によって回収された廃トナーを蓄積する廃トナー容器と、前記廃トナー容器が満杯になったか否かを検出する満杯センサと、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬する廃トナー運搬機構とをさらに備え、
前記制御部は、前記満杯センサによって前記廃トナー容器が満杯になったと検出された場合、ユーザにその旨を通知し、ユーザによって廃トナー排出モードの選択操作がなされた場合に、前記廃トナー運搬機構及び廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬させて記録媒体に転写させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記トナー画像形成部は、前記廃トナー回収部によって回収された廃トナーを蓄積する廃トナー容器と、前記廃トナー容器が満杯になったか否かを検出する満杯センサと、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬する廃トナー運搬機構とをさらに備え、
前記制御部は、前記満杯センサによって前記廃トナー容器が満杯になったと検出された場合、ユーザにその旨を通知し、ユーザによってモノクロ画像モードの選択操作がなされた場合に、前記廃トナー運搬機構及び廃トナー現像部を含む前記トナー画像形成部及び搬送機構を統合制御することにより、前記廃トナー容器から前記廃トナー現像部へ廃トナーを運搬させ、前記廃トナーを用いて前記記録媒体に形成すべきモノクロ画像の元となるトナー画像を形成させ、当該トナー画像を前記記録媒体に転写させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−152022(P2010−152022A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328968(P2008−328968)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】