説明

画像形成装置

【課題】黒色、カラー画像の画質劣化を引き起こすことなく、かつリサイクルトナーも使用し得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、複数色のトナーによる各画像を形成する複数の画像形成部と、各画像形成部から回収された廃トナーを再利用する手段と、前記画像形成部で形成された各画像を記録媒体に一括転写するための中間転写体とを備えた画像形成装置において、前記中間転写体6上へ画像を形成する3箇所以上の画像形成部12Y、12M、12Cと、前記記録媒体へ画像を直接転写するための2箇所以上の画像形成部12B、12REとを備えた画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを用いて画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、カラー画像形成装置として、複数色の画像形成ユニットが転写媒体に対して並んで配置され、順次転写媒体上にそれぞれの画像形成ユニットで形成したトナー像を転写することで画像を得るタンデム方式が広く採用されている。タンデム方式として、前記転写媒体が最終の記録媒体(紙等)である直接転写方式と、転写媒体が中間転写体であり、中間転写体上に他色像を形成した後、最終の記録媒体(紙等)に転写を行って画像を得る間接転写方式とに分類される。直接転写方式と比較し、間接転写方式では、紙種への対応等が有利で安定した画質が得られることから、間接転写方式が主流となっている。
しかしながら、このようなカラー画像形成装置を使用して、モノクロ画像を出力する場合、モノクロのみの画像形成においても、中間転写体、中間転写体クリーニング部材等がカラー画像形成と同様に動作する必要があること、モノクロのみ出力にも関わらず、カラー画像形成と同程度の時間がかかってしまう等の課題がある。
【0003】
そこで、特許文献1に示すような単色のトナー像のみを記録媒体に形成する第一の画像形成ユニットと、複数色のトナー像を形成する第二の画像形成ユニットをもつ構成が提案されている。同様に、単色の画像形成ユニットを複数色の画像形成ユニットが分離して備える画像形成装置は、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に提案されている。
さらに、現像同時クリーニングを行うカラー現像装置を有するカラー画像形成ユニットと、現像同時クリーニングを行うブラック現像装置を有するモノクロ画像形成ユニットとをそれぞれ設けて、各感光体ドラム上の転写残りトナーをそれぞれカラー現像装置あるいはブラック現像装置で回収し、中間転写ベルトあるいは転写ベルトの付着トナーを共に、ブラック現像装置で回収し、回収したトナーをリサイクル使用する画像形成装置が、特許文献5に提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の4連タンデムの画像形成装置では、モノクロ印刷でもカラー用画像形成部が中間転写体と接触し続けるため転写部材の磨耗、汚染に繋がっていた。
また、特許文献5に記載のカラー画像形成装置では、転写残りトナーを回収してリサイクル使用しているが、現像同時クリーニングのため転写不良を引き起こしやすいトナーが画像形成部に残留して堆積する問題、また転写ベルト上のトナーを黒の画像形成部で一括回収としているが、ブラック画像形成部に帯電特性の異なるカラートナーが混入すると、地汚れやブラック画質の悪化に繋がることが考えられる。
そこで、本発明は、未転写トナーはブレード、ブラシ等の専用クリーニング装置で確実に回収してリサイクルトナー専用の画像形成部を持つことにより、黒色、カラー画像の画質劣化を引き起こすことなく、かつリサイクルトナーも使用し得る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明の画像形成装置は、少なくとも、複数色のトナーによる各画像を形成する複数の画像形成部と、各画像形成部から回収された廃トナーを再利用する手段と、前記画像形成部で形成された各画像を記録媒体に一括転写するための中間転写体とを備えた画像形成装置において、前記中間転写体上へ画像を形成する3箇所以上の画像形成部と、前記記録媒体へ画像を直接転写するための2箇所以上の画像形成部とを備えたことを特徴とする。
2.本発明の画像形成装置は、さらに、中間転写体上へ画像を形成する3箇所以上の前記画像形成部ではカラー画像を形成し、記録媒体へ直接転写するための画像形成部は2箇所であり、該2箇所の画像形成部のうち1箇所では黒色画像を形成し、他の1箇所では、各画像形成部及び中間転写体上で回収されたトナーをリサイクルすることを特徴とする。
3.本発明の画像形成装置は、さらに、モノクロ画像を印刷するモードと、カラー画像を印刷するモードと、モノクロ画像印刷とリサイクルトナーを用いた印刷とを同時に行うモードと、リサイクルトナーを用いた1色の画像を印刷するモードとを有し、モノクロ画像を印刷するモードでは、前記中間転写体と前記画像形成部とを離間し、かつトナーをリサイクルする前記画像形成部と前記記録媒体とを離間することを特徴とする。
4.本発明の画像形成装置は、さらに、カラー画像を印刷するモードでは、トナーをリサイクルする前記画像形成部と前記記録媒体とを離間することを特徴とする。
5.本発明の画像形成装置は、さらに、モノクロ画像印刷とリサイクルトナーを用いた印刷とを同時に行うモードでは、前記中間転写体と前記画像形成部とを離間することを特徴とする。
6.本発明の画像形成装置は、さらに、リサイクルトナーを用いた1色の画像を印刷するモードでは、前記中間転写体と画像形成部とを離間し、モノクロ用の画像形成部と前記記録媒体とを離間することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、モノクロ印刷時にはカラー用画像形成部の転写部材の磨耗、汚染を防ぐことが可能である。また、記録媒体への直接転写する画像形成部として2箇所設けてあるため、中間転写体を使用することなく、モノクロ+1色印刷が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係るカラーデジタル複合機の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。ここでは、5色のトナーを用いる場合の構成で説明を行う。
図1は、本実施形態における画像形成装置としてのカラーデジタル複合機の概略構成図である。カラーデジタル複合機は、図1に示すように、イエロー、シアン、マゼンタ(以下、Y、C、Mと略す)の3つの画像形成ユニット12Y、12C、12Mが、ループ状をなして略水平に延びる中間転写体としての中間転写ベルト6に沿ってベルト移動方向に直列に配置されたタンデム方式である。光沢度を付与するための透明トナーを加えて、3つ以上の画像形成ユニットを配設してもよい。
【0010】
黒トナーの画像形成ユニット12B、リサイクルトナーの画像形成ユニット12REは、前記タンデム配列より転写紙(記録媒体)移動方向の上流位置に独立して設けられており、黒トナーの画像形成ユニット12B、リサイクルトナーの画像形成ユニット12REのトナー像が転写紙に直接転写されるよう配置されている。
記録媒体転写手段15は略水平に延びる中間転写ベルト6に対して略垂直に交差するように配置されている。なお、画像形成ユニット12B、12REは中間転写ベルト6と転写紙搬送ベルト8とが接触するカラー転写部101よりも下流に配置しても構わない。画像形成ユニット12B、12REの配置順も図示される構成に限定されない。ただし、カラー画像形成モードにおいて、各色トナーの色合わせ(位置合わせ)という観点から、画像形成ユニット12Bと前記カラー転写部との距離は短い方が好ましい。この距離が長いと用紙の挙動が安定せず、正しくカラー転写部に用紙を突入させることが難しいからである。したがって、用紙搬送方向の上流から、画像形成ユニット12RE、画像形成ユニット12B、カラー転写部とするか、カラー転写部、画像形成ユニット12B、画像形成ユニット12REの配置順することが好ましい。また、画像形成ユニット12B、カラー転写部、画像形成ユニット12REの順に配置してもよい。
【0011】
各画像形成ユニット12Y、12C、12M、12B、12RE(画像形成ユニット12)は、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジとしてなる。それぞれの画像形成ユニット12は、像担持体としての感光体1、帯電装置2、トナーを潜像に供給しトナー像を形成する現像装置3、クリーニング装置4等を備えている。なお、図1において、帯電装置2、現像装置3、クリーニング装置4については、画像形成ユニット12Yにおいてのみ参照番号を示しているが、他の画像形成ユニットにおいても同様に、帯電装置2C、2M、2B、2RE、現像装置3C、3M、3B、3RE、クリーニング装置4C、4M、4B、4REを有している。各画像形成ユニット12は各感光体1が中間転写ベルト6の下側の展張面に接するように配置されている。
【0012】
レーザにより潜像を形成する露光装置5により、各感光体上に静電潜像が形成される。均一に帯電された感光体1は、露光装置5からの色別の露光光により画像部を露光され、現像装置3によってトナー像が作られる。感光体1Y、1C、1M上に作られたカラートナー像は、タイミングを合わせて中間転写ベルト6に転写され、色重ねされたトナー像が形成される。なお、中間転写ベルト6上の残留トナーを除去するクリーニング手段7が設けられている。
【0013】
感光体1B、1RE上に作られた黒トナー像、リサイクルトナー像は、転写搬送ベルトとしての転写紙搬送ベルト8によって搬送される転写紙に直接転写され、その後、中間転写ベルト6上に色重ねされたYCMトナー像が転写紙上に転写される。故に、転写紙搬送ベルト8は黒トナー像の転写部では直接転写ベルトとして機能し、中間転写ベルト6上のYCMトナー像の転写部では2次転写ベルトとして機能する。黒トナー像とYCMトナー像を重ねて転写された転写紙は、定着装置10によりトナー像を定着され、カラー画像が形成される。ちなみに、感光体1REと対向する位置にはリサイクル用転写部材(転写ローラ)が配置されている。なお、この転写部材は複数のローラに掛け回される転写ベルトで構成してもよい。転写部材にトナーと逆極性のバイアスを印加して、感光体1RE上のリサイクルトナーを用紙に直接転写することができる。
【0014】
2次転写ローラ28は中間転写ベルト6の駆動ローラ17に対向して配置されており、図示しない接離機構により中間転写ベルト6に対して接離可能となっている。黒トナー、リサイクルトナー画像作成時においては、黒トナー及びリサイクルトナーの画像データに基づいて露光装置5により、感光体1B、1RE上の画像部が露光され、現像装置3B、3REによってトナー像が作られる。作成された黒トナー像は転写紙搬送ベルト8によって搬送される転写紙上に直接転写され、定着装置10により定着され、黒画像が形成される。
【0015】
黒単色画像、リサイクルトナー単色画像形成時は、中間転写ベルト6と転写紙搬送ベルト8の接触部は図示しない上記接離機構により解除されて中間転写ベルト接触部に対し離間しており、YCMの各画像形成ユニット12Y、12C、12M、及び中間転写ベルト6は動作しない。具体的には、ローラ17又はローラ28の何れか1つ又は両方を移動させて、中間転写ベルト6と転写搬送ベルト8とを接触させたり離間させたりする。
このため、YCMの各画像形成ユニット12Y、12C、12M、及び中間転写ベルト6の長寿命化を図ることができる。
【0016】
カラー画像印刷モード時は、中間転写ベルト6と搬送ベルト8は接触し、感光体1Bと搬送ベルト8は接触し、感光体1REとこれと対向する転写部材(転写ローラ)は離間している。このとき、転写部材を移動させて両者を離間している。黒色トナー画像印刷モード時は、中間転写ベルト6と搬送ベルト8は離間し、また感光体1REと搬送ベルト8も離間する。リサイクルトナー画像印刷モード時は、中間転写ベルト6と搬送ベルト8は離間し、また感光体1Bと搬送ベルト8も離間する。そして、感光体1REと転写部材(転写ローラ)は接触する。このとき、転写部材を移動させて両者を当接させている。モノクロ画像印刷とリサイクルトナーを用いた印刷とを同時に行うモードでは、中間転写ベルト6と画像形成ユニット12とを離間する。
中間転写ベルト6の上部にはトナーバンク32が設けられている。トナーバンク32は、トナータンク32B、32Y、32C、32Mから構成され、これらのトナータンクは図示しないトナー補給パイプにより各現像装置3に接続されている。
【0017】
リサイクルトナーは、感光体1Bのクリーニング廃トナー、感光体1Y、1C、1M(カラー感光体)のクリーニング廃トナー、中間転写ベルト6の廃トナーの何れか1つでもよいし、これら全て混合してリサイクルしてもよい。例えば、感光体1Bのクリーニング廃トナーのみリサイクルする場合は、図1において、感光体1Bのクリーニング装置4Bから延びている搬送路のみ使用して、感光体1Y、1C、1Mのクリーニング廃トナー及び中間転写ベルトの廃トナーの搬送路は使用しない。
【0018】
本発明の画像形成装置においては、中間転写体上へ画像を形成する3箇所以上の画像形成部と、記録媒体へ直接転写するための2箇所の画像形成部を備えているので、転写部材の磨耗、汚染を防ぐことが可能な構成である。また記録媒体への直接転写する画像形成部として2箇所設けてあるため、中間転写体を使用することなく、モノクロ+1色印刷が可能となる。
本発明の画像形成装置においては、中間転写体上へ画像を形成する3箇所以上の画像形成部ではカラー画像を形成し、記録媒体へ直接転写する2箇所の画像形成部のうち1色はブラックであり、1色は各画像形成部で回収されたトナーを再利用する機構を設けているので、トナー使用量の低減でできるため、コスト低減とともに、マシンから発生する廃棄物量も低減できる。
本発明の画像形成装置においては、モノクロ画像を印刷するモードでは中間転写体と画像形成部を離間し、再利用トナー用の画像形成部と記録媒体を離間させるため、転写部材の磨耗、汚染を軽減できる。
本発明の画像形成装置においては、カラー画像を印刷するモードでは、再利用トナー用の画像形成部と記録媒体を離間させるため、転写部材の磨耗、汚染を軽減できる。
本発明の画像形成装置においては、モノクロと再利用トナーを用いた1色の印刷を同時に行うモードでは、中間転写体と画像形成部を離間させるため、転写部材の磨耗、汚染を軽減できる。
本発明の画像形成装置においては、再利用トナーを用いた1色の印刷の印刷を行うモードでは、中間転写体と画像形成部を離間し、モノクロ用の画像形成部と記録媒体を離間させるため、転写部材の磨耗、汚染を軽減できる。
【符号の説明】
【0019】
1 感光体
2 帯電装置
3 現像装置
4 クリーニング装置
5 露光装置
6 中間転写ベルト
7 クリーニング手段
8 転写紙搬送ベルト
10 定着装置
12Y、12C、12M、12B 画像形成ユニット
12RE リサイクルトナーの画像形成ユニット
15 記録媒体転写手段
17 駆動ローラ
28 2次転写ローラ
32 トナーバンク
32B、32Y、32C、32M トナータンク
101 カラー転写部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2002−182447号公報
【特許文献2】特開2006−251535号公報
【特許文献3】特開2006−85138号公報
【特許文献4】特開平10−55094号公報
【特許文献5】特開2006−201743号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、複数色のトナーによる各画像を形成する複数の画像形成部と、各画像形成部から回収された廃トナーを再利用する手段と、前記画像形成部で形成された各画像を記録媒体に一括転写するための中間転写体とを備えた画像形成装置において、
前記中間転写体上へ画像を形成する3箇所以上の画像形成部と、
前記記録媒体へ画像を直接転写するための2箇所以上の画像形成部とを備えた
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
中間転写体上へ画像を形成する3箇所以上の前記画像形成部ではカラー画像を形成し、
記録媒体へ直接転写するための画像形成部は2箇所であり、該2箇所の画像形成部のうち1箇所では黒色画像を形成し、他の1箇所では、各画像形成部及び中間転写体上で回収されたトナーをリサイクルする
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
該画像形成装置は、モノクロ画像を印刷するモードと、カラー画像を印刷するモードと、モノクロ画像印刷とリサイクルトナーを用いた印刷とを同時に行うモードと、リサイクルトナーを用いた1色の画像を印刷するモードとを有し、
モノクロ画像を印刷するモードでは、前記中間転写体と前記画像形成部とを離間し、かつトナーをリサイクルする前記画像形成部と前記記録媒体とを離間する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2に記載の画像形成装置において、
カラー画像を印刷するモードでは、トナーをリサイクルする前記画像形成部と前記記録媒体とを離間する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項2に記載の画像形成装置において、
モノクロ画像印刷とリサイクルトナーを用いた印刷とを同時に行うモードでは、前記中間転写体と前記画像形成部とを離間する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2に記載の画像形成装置において、
リサイクルトナーを用いた1色の画像を印刷するモードでは、前記中間転写体と画像形成部とを離間し、モノクロ用の画像形成部と前記記録媒体とを離間する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−53432(P2011−53432A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202157(P2009−202157)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】