説明

真空包装機への肉部位の包装供給方法及びその装置

【課題】制御器による演算によって、肉部位の長さ数値(A)をやや大きめに設定し、同部位を、包袋の底面に押し付けないように調整して、押し付け圧による部位の捩れ包装を防止する。
【解決手段】配置した包袋10の長さ数値(B)は予め電子的にインプットすることで制御器が記憶する。そこでこの記録信号に基づき、嘴型ホッパーで拡張した包袋10を、その設置位置(C)から仮シーラ64の原点位置(E)まで移動(D)させ、ほぼ同時に押し込み盤21は部位40を追跡状態で包袋10に押し入れる。この場合、部位の長さ数値が制御器から発信されると、その発信信号を受けて押し込み盤21はその原点(F)から<G>に相当する距離を移動して部位を包袋に押し入れる。つまり<G>なる値は、前記の原点(F)から仮シーラの原点(E)までの距離(H)に、包袋の長さ(B)を加算し、その値から、部位の長さ(A)を減算した演算数値である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛又は豚などの大型解体肉を袋詰めして真空包装機に供給する方法及び装置に関する。
【0002】
例えば解体後の豚肉は、大勢の作業員による骨抜き及び脂削りを経て、図2のように、カタ01、カタロース02、ロース03、バラ04、モモ05の、5種類の部位(以下単に部位と記載する。)にカットして整形され、コンベヤラインに沿って順次、混然とした状態で送り出されるが、これら部位を包袋に充填しかつ真空包装体とするには、本件特許出願人の発明による下記特許文献1に示される装置を用いて行うことができる。
【0003】
すなわち前記の特許文献は、ロータリ真空包装機と対向する搬入軌道に嘴型ホッパーと、この嘴型ホッパーを通して部位をところてん式に包袋内に押し入れる押し込み盤とを配置し、まず前記搬入軌道において包袋の口が僅かに開かれて隙間を形成すると、この隙間に侵入する前記の嘴型ホッパーの開放で前記包袋の口の拡張を行ない、一方前記の押し込み盤は、前記の嘴型ホッパーを通して部位を、包袋に対してところてん式に充填する運動に継続して、同部位を包袋と一体に、直線的に真空包装機まで搬入する構成を開示する。
【0004】
前記装置は、流体シリンダーによる押し込み盤のストローク量を一定に設定しているので、部位を常に真空包装機の定位置に送り込むことができる利点があるが、生肉である部位は、押し込み盤による強制押し込みにより包袋内で捩れた状態に真空包装され、また捩れたまま冷凍処理を受けることで商品価値が低下するという問題があって、本来の、包袋への部位の手詰作業がなかなか機械化に進みにくいという欠点がある。また、この種部位を包装する例えばロータリ真空包装機の各耐圧チャンバーは、2.0秒程度の間隔で無端軌道を巡回する能力があるが、前記特許文献に記載される装置の実施結果は、ところてん式押し込み盤のストローク量が大きく、また耐圧チャンバーにおける包袋開口縁の皺とり作業に多くの時間が費やされるため、1工程が7秒前後かかり、ロータリ真空包装機の能力に対応できる時間間隔で、部位を収容した包袋を供給できないという欠点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2004−106937号公報
【特許文献2】特開2003−252306号公報
【発明の開示】
【0006】
本発明は、生肉である部位を、ところてん式押し込み盤のストロークを小さく、また同押し込み盤による包袋内への押し込みをソフト化すること及び、部位の包袋への充填位置で同包袋開口縁のしわ取りを行うことで、上記の問題を解決するようにしたもので、それは、4種類に分別した部位を、第1から第4までの4本の各コンベヤラインにおいて分別状態で搬送しながら、これら各コンベヤラインそれぞれに配置した計測器でもって計測した前記各部位の長さを制御器に記録する手段と、前記4本のコンベヤラインそれぞれに配置しかつ上下に開閉する嘴型ホッパーを、これら各コンベヤライン設置した4種の包袋内に挿入して同各包袋を拡張する手段と、前記嘴型ホッパーと一体に前記包袋に進入する一対の袋口緊張へらと、前記包袋の設置位置に前記部位が到達するタイミングを待って、前記各部位をそれぞれ前記嘴型ホッパー内を通して前記包袋内に押し入れ、そのあと原点位置に後退復帰する押し込み盤と、前記押し込み盤の押し込み方向の前方で、相互のブロックモーション軌道に沿って前後動する上下一対の仮シーラとを備え、
前記4本の各コンベヤラインにおいて包袋を拡張する個々の嘴型ホッパーは、各包袋をその設置位置(図1のC)から(同図のD量)分移動させて、各包袋の開口縁を前記仮シーラの原点位置(同図のE)まで送り出し、一方、前記制御器が記録する各部位の長さの数値(同図のA)と、4本の各コンベヤラインに設置した各包袋の長さの数値(同図のB)とに基づいて、前記押し込み盤を、その原点(同図のF)から仮シーラの原点Eまでの距離Hに加えること、包袋の長さB、マイナス、部位の長さA=G、つまり<(H+B)−A=G>分移動させることで、部位と包袋の底面との間の間隙を調整し、その直後、一対の袋口緊張へらで前記包袋の開口縁を両側に緊張させ、前記仮シーラで包袋の開口縁に不連続シールを行なって同包袋を真空包装機に送り込むごとく構成する。
【0007】
4種類に分別した部位を、第1から第4までの4本の各コンベヤラインにおいて分別状態で搬送しながら、これら各コンベヤラインそれぞれに配置した計測器でもって前記各部位の長さを制御器に記録し、前記4本の各コンベヤラインにおいて包袋を拡張する個々の嘴型ホッパーと共に各包袋を、その設置位置(図1のC)から(同図のD量)分移動させて、各包袋の開口縁を前記仮シーラの原点位置(同図のE)まで送り出し、一方、前記制御器が記録する各部位の長さの数値(同図のA)と、4本の各コンベヤラインに設置した各包袋の長さの数値(同図のB)とに基づいて、前記押し込み盤をその原点(同図のF)から、<原点Fから仮シーラの原点Eまでの距離H+包袋の長さB−部位A=G>分移動させることで、部位と包袋の底面との間の間隙を調整することができ、その直後、仮シーラで包袋の開口縁に不連続シールを行なう。この場合、4種の包袋それぞれの深さは制御器が記録し、また部位の長さも記録にあるから、部位の先端を、包袋の底面に押し当てないように充填できるので部位の捩れがなくなり、予め仮シーラで包袋の開口縁に不連続シールを行なうので、従前の、耐圧チャンバーでの袋口しわ取り作業を排除して能率アップが図られるのである。
【実施例1】
【0008】
図3は、図面の面積制限に基づいて、略中間部を横方向に切断して図示したもので、4本の第1から第4までのコンベヤライン11,12,13,14は、本来、小文字(a、b、c、d)部分で一連に繋がるが、前記の各コンベヤラインはその中間部分に、横1列の、それぞれサイズの異なる包袋10の設置箇所を備える。なお、図4に示すように前記の包袋10は、2本の粘着テープ15に対して多数の包袋10を鎧重ねに貼り付けて形成したテープバックであり、図5のごとく前記テープ15をロール16の回転で矢印方向にインチングすることにより、前記包袋10を1枚ずつ移送する。
【0009】
図3の、4本のコンベヤラインの側面一部は図7に示すように、前位の搬送ベルト50と、後位の前後動ベルト17とを備え、部位40は、前記搬送ベルト50から前後動ベルト17へと搬送する。また前記の前後動ベルト17は、嘴型ホッパー20と、押し込み盤21とを備えるが、嘴型ホッパー20の詳細は図5に示すごとく、先端が上下に開閉自在な上下の溝型部材18、19からなり、同ホッパーの下面には一対の袋口緊張へら31が備わる。
【0010】
さらに具体的には、図8の平面図に示すように、両側一対の棒状ガイド23にスライダー22を介して支持する、前記の前後動ベルト17及び嘴型ホッパー20は、前記ガイド23に沿って一体に変位自在である。一方アーム24を介して別箇のガイド25に支持した前記の押し込み盤21は、流体シリンダーからなる直動モータ26の動力により独自に前後動する。
【0011】
なお図9に具体的に図示した前記の嘴型ホッパー20は、ブラケット33及び軸棒29を介して先に述べたガイドに支持されるが、下側の溝型部材19には自由回転する多数の棒ローラ27が、移動する部位との摩擦を避ける目的で備わり、一側の操作レバー28は前記軸棒29を支点にして下側部材19の先端を上下に開放し、他側の操作レバー30は上下の溝型部材18,19それぞれの先端を一体に上下動する構造である。
【0012】
図5における嘴型ホッパー20は、通常、仮想線20aのように嘴を閉じた状態にあって、その状態のまま前進して、テープバックの最先端の包袋10内に侵入したあと嘴を開放することで、前記の最先端の包袋10を粘着テープ15から剥離して開口する。この結果、押し込み盤21による、前後動ベルト17上に待機する部位40の包袋10への押し入れ体制が整のう。
【0013】
図5における嘴型ホッパー20の、下側に位置する袋口緊張へら31の先端は、すでに下側の溝型部部材19とほぼ同体で上下動すると説明したが、図10は同袋口緊張へら31の、両側への開閉及び上下への揺動を行う機構を示したものである。つまり突き出た部材34を上下に操作することにより、軸32周りの筒軸33を介して袋口緊張へら31の先端は上下に変位する。両側2個のコイルスプリング35の弾力は、一対の盤36を介して両ヘラ31の先端間隔を狭めるように付勢しており、これら両コイルスプリング35の弾力に抗して、前記盤36の下側に突き出る一対のピン37の間隔を広げることにより、袋口緊張へら31の相対間隔は拡大する。なおこの場合、前記両へら31に対して包袋10の開口縁の阻止抵抗が加わると、別箇のコイルスプリング38の弾力がそれを緩衝する。
【0014】
肉の解体工場によっては、図2におけるカタ01と、カタロース02とを切り離さずに、部位を4分割で出荷するところがあれば、カタ01と、カタロース02とを切り離して、部位を5分割するところもあるので、ここでは先ず、部位を4分割で処理する場合について説明する。すなわち図3における搬入コンベヤ41は、各部位40を縦列状に運搬するが、前記部位40の通過域には制御器44と連結するイメージセンサー42が存在する。
【0015】
図11に示すように、前記のイメージセンサー42は、その側面と天面に配列する多数個のランプそれぞれから発する赤外線43でもって、通過する各部位40の断面からその太さを測定して、部位を図12おけるAとBとに分別し、その分別電子情報を制御器44に記録する。そしてまた同部位40の通過時間から同部位の長さを測定して、部位を長さ基準でもって2分割A1、A2とB1、B2とに分け、結局4分割してこの分別信号情報を制御器44に記録する。なお4種の部位を確実に分別するために、その境界に約2.0cm程度の不計測域200を設定し、部位の高さ又は長さがこの不計測域に該当したものは、A1、A2、B1、B2の間で交互に振り分け分別して計測の混乱を防止する。
【0016】
このようにして、図3の搬入コンベヤ41に続いて配置した分別機構45は、制御器44からの記録信号46を基にして4種の部位を矢印のごとく、4本のコンベヤライン11〜14に向けて4分別して移乗させる。なお前記の分別機構45に関しては、両側のエンドレスチェン間に、平行架設した多数の棒材にそれぞれに案内スライダーを設け、エンドレスチェンの回転と、前記棒材に沿うスライダーの変位とでもって、各部位の分別方向を設定するものが最も能率的で望ましい。
【0017】
結果として、図7において(平行配置した4本の内、いずれかの)搬送コンベヤ50に移乗した部位40をさらに搬送して、前後動コンベヤ17における停止センサー52の位置まで運搬する。この場合、押し込み盤21は部位40の移送障害となるが、図13のように、直動モータ25を構成するシリンダー内の磁気ピストン55の運動に引っ張られて、ガイド23に沿って変位するスライドブロック56が備えるシリンダー57は、そのピストンロッド58に、押し込み盤21のアーム24を連結するので、このピストンロッド58によって上動する押し込み盤21の動きは、部位40の進行の妨げを排除する。そして図5に示す状態から、押し込み盤21は部位40を、嘴型ホッパー20を通して包袋10内に押し入れ、この押入れ運動と併行して、図6に示すように嘴型ホッパー20と袋口緊張へら31とを前進させて、包袋10及び部位40を、すのこ状コンベヤ60の上に運び入れる。
【0018】
図1に示した平面図でもって部位40の供給運動を説明すると、押し込み盤21の原点位置(F)から、仮シーラ64の原点位置(E)までの距離(H)は不変であり、一方、配置された包袋10の長さ数値(B)は予め電子的にインプットすることで制御器が記憶している。そこで制御器における記録信号に基づき、嘴型ホッパーで拡張した包袋10を、その設置位置(C)から仮シーラ64の原点位置(E)まで移動(D)させ、ほぼ同時に押し込み盤21は部位40を追跡状態で包袋10に押し入れる。この場合、次々と運ばれる部位40の長さには多少の誤差があり、その部位の長さ数値が制御器から発信されると、その発信信号を受けて押し込み盤21はその原点(F)から<G>に相当する距離を移動して部位を包袋に押し入れる。つまり前記の<G>なる値は、前記の原点(F)から仮シーラの原点(E)までの距離(H)に、包袋の長さ(B)を加算し、その値から、部位の長さ(A)を減算した演算数値であって、この演算において、部位の長さ数値(A)をやや大きめに設定すると、同部位を、包袋の底面に押し付けないように調整でき、その押し付けが生じた場合の、部位の捩れ包装を防止できる。
【0019】
図14は、上下の仮シーラ64,65をブロックモーションさせる機構の斜視図であり、両側の水平な一対のガイドレール67にスライド自在に支持した門型のフレーム68は、その内側の一対のスリーブ69に支持するスライドバー70上端に、前記の上部仮シーラ64を支持し、また前記下部仮シーラ65はその両端を、前記の両スライドバー70にスライド自在に支持する。そこで第1ロッド71でレバー72を操作して第1軸73を正逆転することで、リンク74は第2ロッド75を上下動させる結果、ベルクランク76の正逆転で、スライドバー70を介して上部仮シーラ64は下降し、一方前記ベルクランク76は下部仮シーラ65を、前記スライドバー70に沿って上昇させる。要するに上下一対の仮シーラは相対的に接近、離反するのである。さらに別箇のレバーにより第2軸77を正逆転して、レバー78の揺動運動を門型フレーム68に伝え、該フレームをガイドレール67に沿って往復動させることで、上下の仮シーラ64,65は相対的なプロックモーション運動を行うのである。
【0020】
状態説明を戻して、包袋の開口縁が仮シーラ64に沿う位置に到達すると、図6から嘴型ホッパー20及び押し込み盤21は後退し、続いて、一対の袋口緊張へら31が包袋10の口を両側に緊張させる一方、上下の仮シーラ63,64でもって袋口を挟圧してスポットシールを施す。要するに、すのこ状コンベヤ60は、両側一対のチエン61間に、多数の並列バー62を架設して形成したもので、前記並列バー62の間隔を一部で広げた特定間隙59の上下に、一対の仮シーラ64,65を配置(図8参照)しており、モータ65の動力でチェン60が右回りに回転すると、仮シーラ63,64も、矢印軌道66,67沿うブロックモーション運動を行い、部位を運搬しながら、図15のごとくへら31でもって緊張させた袋口にスポットシール80を行うのである。
【0021】
上記のようにスポットシールを施し、袋口のしわ取り処理をした各包袋が、図3における4本のコンベヤライン終端の、4基の待機コンベヤ81に到達してそれぞれのセンサー82に接触することで、前記各包袋は前記各待機コンベヤ81上で一時停止し、その後、前記各包袋は一定の時間間隔で順番に、集合搬送機構83によって1列状態で、搬出コンベヤ84を経て、ロータリ真空包装機85の各耐圧チャンバー86に送り込まれる。
【0022】
図16は前記の耐圧チャンバー86を示し、該チャンバーは平たい定盤87と、それに被さる蓋材88とにより構成し、前記定盤はシール台89を、また蓋材はシールバー90をそれぞれ備え、前記耐圧チャンバー86内のの空気を排除したあと、シール台89にシールバー90を下降させ部位10の際において前記包袋40を溶着するが、この場合、シール台とシールバーとが装備する2次しわ取り機構が、部位10の際で包袋を両側に引き伸ばす。
【0023】
すなわち、図17に示すようにシール台87の正面に、コイルスプリング91でもって引き寄せた左右一対のスライドベース92をピン93でもって支持する一方、シールバー90の正面に、揺動リンク94を介した左右一対のスイングバー95を設置する共に、前記両スイングバー95間に別箇のコイルスプリング96を設置する。そこで前記上下のバー87、90が相対接近する過程で、対のスイングバー95がスライドベース92の衝突抵抗を受けることで、これら対のスイングバー95はコイルスプリング96の引き付け力に抗してリンク94と一体に両側方向に開放するが、両コイルスプリング91,96の引きつけ力によりスライドベース92と、スイングバー95との摩擦は拡大しているから、この間に挟持される包袋はスライドバー92と一体に両側に引き伸ばされる。つまり図15に示すよように包袋40は、予めスポットシール80により袋口縁に一次的なしわ取りを施し、部位10の際の大きい皺を取り除いているので、対のスライドベース92は僅かに開放するだけで、仮想線97のごとく当該部分のしわ除去を可能にするのである。
【0024】
なお肉解体工場によっては、図3における搬入コンベヤ41及び分別機構45を設置せずに、分別作業員が直接4本の各コンベヤライン11〜14に、同作業員の感覚で部位を分別して移乗処理するところがあるので、このような場合は、4本の搬送ベルト50を跨ぐように光電計測器51を設置し、イメージセンサー42に代わって、この光電計測器51によって計測した各部位の長さを制御器44で記録し、この記録情報により上記したコントロールを行うことができる。
【実施例2】
【0025】
以上においては、図2におけるカタ01と、カタロース02とを切り離さずに一体移送する説明をしたが、解体工場によってはこれらを切り離して5分割するところがある。この場合、カタ01と、カタロース02との間に大きさの差があまりないので、図19に示すごとくこれら両部位を第4コンベヤラインで持って一体に移送し、他の3分別部位を、その他の、第1〜第3の3本のコンベヤラインで移送して包装する手段について説明する。
【0026】
図18における搬送ベルト41のスピードは最速で、1秒当たり1mとされ、それ以上のスピードは、部位の慣性が大きく働くという問題がある。なお豚肉の5種類部位は、最も長いロース03が70cm前後の長さがあって、前記の条件で回転する搬送ベルト41に部位を順次、搭載するのには、各部位の間に1.5秒以上の間隔が必要であり、この5種類の部位を、カタ01と、カタロース02とを一体に第4コンベヤライン11に送り込み、他の3種類の部位を第1〜第3の各コンベヤラインに送り込むことで、前記各部位は約1.5秒間隔で、図19における第1待機線に順次到達することになる。ただし、第4コンベヤライン11における第1待機線に、2個の部位01,02が揃って到達するのは、他の、3種の部位の、到達時間の倍の時間を要することになり、他の3種の部位に比較して、それだけ真空包装機への供給の時間間隔が大きくなる必然がある。しかもそれは図18に示すように、各部位を種類別に順序よく運搬することが条件であって、解体工場での各部位の運搬順序は混然としているのが自然であり、各部位の到達間隔は狭まり、また広がる可能性があるので、この点を改良する供給手段を下記に説明する。
【0027】
図20に示す高速運搬付加手段100は、第4コンベヤライン14の上域に高速回転するバイパスコンベヤを配置する。このバイパスコンベヤは、通常仮想線のように水平状態にある前側のベルト47が、カタ、カタロースの間隔を監視する制御器からの分別信号でもって実線のように下降し、コンベヤライン14から拾い上げた部位02を、階上セクションにバイパス誘導する。一方同後方のベルト48は、制御器が記録する部位の間隔に応じて仮想線のように下降し、既に拾い上げている部位をコンベヤライン14に再び誘導する。この場合の、下域のコンベヤライン14と、上域のバイパスコンベヤとの速度差をもって、下域のコンベヤライン14を行く部位01に対し、上域のバイパスコンベヤによる後続の部位02の追跡でもって、両部位間の間隔を狭めるのである。
【実施例3】
【0028】
一方図21に図示する高速運搬付加手段100は、複数の紐ベルトにより形成したコンベヤライン14の各隙間に、モータ53が高速駆動する別箇の紐ベルト49を併設し、センサー54が、前位の部位01に対する後位の部位02の遅れ間隔を検出すると、押し出し器97は、ピン98を軸とするレバー99の回転で、前記の高速駆動する紐ベルト49を押し上げて部位02を加速し、前位の部位01に対する後続の部位02の追跡でもって両部位間の間隔を狭める。なお以上の各高速運搬付加手段100は、第4コンベヤライン14専用の手段とは限らず、他の第1〜第3の各コンベヤラインそれぞれに配置して、前後の部位間隔を修正する手段とすることができる。
【実施例4】
【0029】
部位の間隔が極端に広がらないように、図3における4本のコンベヤライン11〜14に、それぞれ退避機構110を配置する。該機構の平面は図22に示すごとく、四角い枠フレーム111の 内部に多数のローラ112を支持して形成したコンベヤ本体114を、一対のエンドレスチェン113に支持してリフトコンベヤを構成し、図23のように、前記チェン113は多数の前記コンベヤ本体114を規定間隔で支持する。
【0030】
モータ116の動力を、プーリ117を介してチェン113に伝えることにより、枠111は上又は下に向けて移動する。図5から図6にかけての、部位の袋詰め1工程は3〜4秒程度かかるのに対し、図19における部位の到達間隔は2秒弱であって、ラインによっては部位の過剰現象が発生するので、図24における搬送ベルト50により運搬される前後の部位40の間隔をセンサー115で捕らえ、その間隔が必要以上に接近している場合は、第2モータ118で、タイミングベルト119を介して連動状態に連結した各ローラ112を回転して部位(仮想線)を引き入れ、図24の仮想線120のように部位を上域に退避させ、後続の部位の間隔が設定以上に広がった場合、枠111を下降させて退避させていた部位を、間隔の広がった部位の間にて送りこむことができる。なお1頭の豚肉のうち、特にカタ01と、カタロース02とはこれらを1組として包装するという条件があって、他の部位に比べて間隔が広がるが、また他の部位の、2倍の数量があり過剰化することもあるので、この退避機構は、少なくともこの第4コンベヤラインにおいて効果を発揮するものと期待するするものである。
【0031】
図25は、ロータリ真空包装機とほぼ同等能率の真空包装機を示すもので、既に説明したように、部位10を収容しかつ袋口にスポットシール80を施した包袋10の、搬出コンベヤ84のエンド部に、前記搬出コンベヤの搬出方向に交差するようにベルトコンベヤ130を配置し、このベルトコンベヤの搬出側両方に一対の耐圧チャンバー131,132を設置したもので、これら両耐圧チャンバーはそれぞれ内部に運搬手段133を設置する。前記ベルトコンベヤ130は矢印135,136のように両横方向に回転し、搬出コンベヤから移乗する包袋40を並列に並べ、これら包袋をそのままベルト133に移乗させて、耐圧チヤンバー内に運び込み真空包装する。これら耐圧チャンバーはそれぞれ包袋を4個以上収容する容積を備え、2個の耐圧チヤンバーを交互に活用してロータリ式に劣らぬ能力を発揮することができと共に、図17において説明したシール機構を装備する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】装置の部分的平面図
【図2】豚肉部位の説明図
【図3】装置の全体図
【図4】テープバックの説明図
【図5】側面による袋詰めの説明図
【図6】側面による袋詰めの説明図
【図7】搬入ベルトの説明図
【図8】前図の平面図
【図9】袋載積ユニット設置近辺の側面図
【図10】袋口の緊張へらの斜視図
【図11】搬入ベルトの斜視図
【図12】豚肉の分割図
【図13】押し込み装置の説明図
【図14】仮シーラの説明図
【図15】包袋の皺取り状態の説明図
【図16】耐圧チヤンバーの説明図
【図17】シーラの正面図
【図18】部位の搬送説明図
【図19】部位の搬送説明図
【図20】高速運搬付加手段の説明図
【図21】高速運搬付加手段の、他の実施例図
【図22】退避手段の説明図
【図23】退避手段の説明図
【図24】退避手段の説明図
【図25】真空包装機の平面図
【符号の説明】
【0033】
10‥‥包袋
11から14‥‥コンベヤライン
12‥‥イメージセンサー
17‥‥前後動コンベヤ
18、19‥‥溝型部材
20‥‥嘴型部材
21‥‥押し込み盤
31‥‥袋口緊張へら
40‥‥部位
41‥‥搬入コンベヤ
42‥‥イメージセンサー
44‥‥制御器
45‥‥分別機構
50‥‥搬送ベルト
51‥‥光電センサー
52‥‥停止センサー
54‥‥センサー
60‥‥すのこ状コンベヤ
64、65‥‥仮シーラ
80‥‥スポットシール
85‥‥真空包装機
87‥‥定盤
89‥‥シール台
90‥‥シールバー
100‥‥高速運搬付加手段
110‥‥退避手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
4種類に分別した部位を、第1から第4までの4本の各コンベヤラインにおいて分別状態で搬送しながら、これら各コンベヤラインそれぞれに配置した計測器でもって計測した前記各部位の長さを制御器に記録する手段と、前記4本のコンベヤラインそれぞれに配置しかつ上下に開閉する嘴型ホッパーを、これら各コンベヤライン設置した4種の包袋内に挿入して同各包袋を拡張する手段と、前記嘴型ホッパーと一体に前記包袋に進入する一対の袋口緊張へらと、前記包袋の設置位置に前記部位が到達するタイミングを待って、前記各部位をそれぞれ前記嘴型ホッパー内を通して前記包袋内に押し入れ、そのあと原点位置に後退復帰する押し込み盤と、前記押し込み盤の押し込み方向の前方で、相互のブロックモーション軌道に沿って前後動する上下一対の仮シーラとを備え、
前記4本の各コンベヤラインにおいて包袋を拡張する個々の嘴型ホッパーは、各包袋をその設置位置(図1のC)から(同図のD量)分移動させて、各包袋の開口縁を前記仮シーラの原点位置(同図のE)まで送り出し、一方、前記制御器が記録する各部位の長さの数値(同図のA)と、4本の各コンベヤラインに設置した各包袋の長さの数値(同図のB)とに基づいて、前記押し込み盤を、その原点(同図のF)から仮シーラの原点Eまでの距離Hに加えること、包袋の長さB、マイナス、部位の長さA=G、つまり<(H+B)−A=G>分移動させることで、部位と包袋の底面との間の間隙を調整し、その直後、一対の袋口緊張へらで前記包袋の開口縁を両側に緊張させ、前記仮シーラで包袋の開口縁に不連続シールを行なって同包袋を真空包装機に送り込む包装体の供給方法。
【請求項2】
4本の各コンベヤラインへの部位の送り込み側には、イメージセンサーを備える搬入コンベヤが備わり、この搬入コンベヤによって縦列運搬する4種の部位の質量を、前記のイメージセンサーにより順次測定して4種類に分別すると共に、この分別電子情報を制御器に入力して記録し、前記制御器が記録する前記の分別電子情報でもって、前記搬入コンベヤにより縦列運搬する部位を4種類に前記4本の各コンベヤラインに分別して送り込むようにした請求項1に記載の包装体の供給方法。
【請求項3】
4種類に分別した部位を、第1から第4までの4本の各コンベヤラインにおいて分別状態で搬送しながら、これら各コンベヤラインそれぞれに配置した計測器でもって前記各部位の長さを制御器に記録する機構と、前記4本のコンベヤラインそれぞれに配置しかつ上下に開閉する嘴型ホッパーを、これら各コンベヤライン設置した4種の包袋内に挿入して同各包袋を拡張する機構と、前記嘴型ホッパーと一体に前記包袋に進入する一対の袋口緊張へらと、前記包袋の設置位置に前記部位が到達するタイミングを待って、前記各部位をそれぞれ前記嘴型ホッパー内を通して前記包袋内に押し入れ、そのあと後続の部位の進行を妨げないように変位して原点位置に後退復帰する押し込み盤と、前記押し込み盤の押し込み方向の前方で、相互のブロックモーション軌道に沿って前後動する上下一対の仮シーラとを備え、
また前記4本の各コンベヤラインにおいて包袋を拡張する個々の嘴型ホッパーは、各包袋の開口縁をその設置位置から前記仮シーラの原点位置まで送り出し、前記制御器が記録する各部位の長さの数値と、4本の各コンベヤラインに設置した各包袋の長さの数値とに基づいて、前記押し込み盤をその<原点Fから、仮シーラの原点Eまでの距離H+包袋の長さB−部位A=G>、つまり<図1に記載した条件(H+B)−A=G>に相当する量だけ移動させることで、部位と包袋の底面との間の間隙を調整した直後、一対の袋口緊張へらで前記包袋の開口縁を両側に緊張させる共に、この開口縁を挟持する前記一対の仮シーラの前進運動中に、これら仮シーラでもって前記包袋の開口縁に不連続シールを行なう機構と、
前記4本の各コンベヤライン終端に到達した各包袋の、送り出し順序と、送り出しのタイミングとをコントロールして、各包袋を等間隔で真空包装機の耐圧チャンバーに供給する機構と、前記耐圧チャンバー内の、上下一対のシールバーそれぞれに接近弾力付勢して設けた対の挟持体を、前記両シールバーによる包袋挟持力を利用して相対方向に離反させ、この離反力により前記包袋における部位の際を、相対方向に引き伸ばして溶着する機構とからなる包装体の供給装置。
【請求項4】
4本の各コンベヤラインへの部位の送り込み側に、イメージセンサーを備えるベルトコンベヤを設置し、このベルトコンベヤによって縦列運搬する4種の部位の質量を、前記のイメージセンサーにより順次測定して4種類に分別すると共に、この分別電子情報を制御器に入力して記録し、前記制御器が記録する前記の分別電子情報でもって、前記ベルトコンベヤによって縦列運搬する部位を前記の4本の各コンベヤラインに質量分別して送り込むようにした請求項3に記載の包装体の供給装置。
【請求項5】
5種類に分別される豚肉の部位の内、ロース、バラ、モモの3種の部位を第1から第3の3本のコンベヤラインで、また他の切り離したカタとカタロースとを第4コンベヤラインでもってそれぞれ運搬しながら、前記第4コンベヤラインを移送中のカタとカタロースとの間隔を遅延検出センサーで検出し、移送中の前位の部位に対する後位の部位の遅れを加速修正する高速運搬付加機構を、前記第4コンベヤラインに沿って配置した請求項4に記載の包装体の供給装置。
【請求項6】
第1から第4までの4本の各コンベヤラインのそれぞれ、或いは少なくとも第4コンベヤラインは、そのコンベヤラインに退避機構を配備し、前記コンベヤラインにおいて移送の間隔が狭まった部位を、前記退避機構でもって前記コンベヤライン外に退避させ、前記コンベヤラインでの部位の移送ピッチを監視しながら、この退避部位を前記退避機構から前記コンベヤラインを移送する部位の間に補充するようにした請求項3〜5のいずれかに記載の包装体の供給装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−265844(P2008−265844A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113763(P2007−113763)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000142850)株式会社古川製作所 (76)
【Fターム(参考)】