説明

真空装置、真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法、ロードロックチャンバー内の水蒸気分圧の上昇防止方法、および、真空装置用真空ポンプ

【課題】クライオパネルの温度をフィードバック制御することで、精密にガス制御を行う真空装置を提供すること。
【解決手段】プロセスチャンバーの例えば水素ガス分圧信号をモニター装置600からモニター信号として、信号処理装置602に入力し、また、基準値信号もこの信号処理装置に入力する。これらの入力信号を基に、信号処理装置602により、冷凍機573に冷凍パワー指令値出し、クライオパネル570の温度をフィードバック制御する。これにより、真空チャンバー内の水素ガス分圧を制御することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空装置、真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法、真空装置における水蒸気分圧の上昇防止方法、及び、真空装置用真空ポンプに関し、特に初期投資を少なくでき、且つ、ランニングコストを少なくできる真空装置、真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法、真空装置における水蒸気分圧の上昇防止方法、および、運転中の高温プラズマからの輻射熱の影響を避けるとともに、水蒸気分圧を所定以下に低下させ、且つ真空チャンバー内のガス分圧比を制御することができる真空装置用真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の真空装置は、半導体や液晶ディスプレイの製造分野等多くの産業分野で用いられている。特に、半導体や液晶ディスプレイ製造分野では、真空装置の真空チャンバー内を減圧雰囲気下に維持し、減圧雰囲気下で成膜、エッチングやアッシングなど行われている。このような真空装置は、例えば、複数の真空用チャンバーと、ガス供給装置と、排気装置とから構成されているものが一般的である。ここで、前記真空用チャンバーは、ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる真空容器であり、前記ガス供給装置は、前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できる装置である。また、前記排気装置は、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ装置である。
前記真空装置において、前記排気装置は真空ポンプから構成されており、この真空ポンプにより、プロセスや計測等を行うための真空チャンバーの内部を減圧状態に保つようになっている。
【0003】
図12は、従来の真空装置の一例を示した構成図である。この図12において、従来の真空装置は、複数の真空用チャンバーと、ガス供給装置と、排気装置とが以下ように配置されている。すなわち、真空用チャンバーは、図12に示すように、ロードロックチャンバー(LL)111、トランスファーチャンバー(TM)112およびプロセスチャンバー(PC)113が接続された状態で配置されている。
プロセスチャンバー113は、図12では、1機しか表示していないが、実際には、3機程度配置されている。また、ガス供給装置は、図示されていない。排気装置は、ロードロックチャンバー111、トランスファーチャンバー112およびプロセスチャンバー113毎に個々に配置されている。
例えば、ロードロックチャンバー111の排気口は、配管121を介して排気装置の1種であるメカニカルブースタポンプ(MB)131、131の吸気口に連通されている。さらに、メカニカルブースタポンプ131、131の排気口は、排気装置の1種であるドライポンプ(DP)141に連通されている。これらメカニカルブースタポンプ131、131およびドライポンプ141は、ロードロックチャンバー111が設置されている床面の1階下の床面に設置されており、ロードロックチャンバー111の排気口とメカニカルブースタポンプ131、131の吸気口との間を配管121で連通するような構造となっている。
【0004】
また、トランスファーチャンバー112の排気口は、配管122を介してメカニカルブースタポンプ132の吸気口に連通されている。メカニカルブースタポンプ132の排気口は、排気装置の1種であるドライポンプ142に連通されている。なお、これらメカニカルブースタポンプ132およびドライポンプ142も、前述同様の階下に設置された構造になっている。
プロセスチャンバー113の複数の排気口には、ターボ分子真空ポンプ153a、153a……およびターボ分子真空ポンプ153b、153b……の吸気口が連通されている。ターボ分子真空ポンプ153aの各排気口は共通にされて、配管123aを介してメカニカルブースタポンプ133aの吸気口に連通されている。ターボ分子真空ポンプ153bの各排気口は共通にされて配管123bを介してメカニカルブースタポンプ133bの吸気口に連通されている。メカニカルブースタポンプ133aの排気口は、ドライポンプ143aの吸気口に連通されている。一方、メカニカルブースタポンプ133bの排気口は、ドライポンプ143bの吸気口に連通されている。
【0005】
ここで、ターボ分子真空ポンプ153aおよびターボ分子真空ポンプ153bは、プロセスチャンバー113と同一建物の同一階に配置されているが、メカニカルブースタポンプ133a、133bおよびドライポンプ143a、143bは、階下の床面に設置されている。従って、上記各配管121、122、123aまたは123bは、例えば真空チャンバーのある部分からメカニカルブースタポンプ131、132、133aまたは133bやドライポンプ141、142、143aまたは143bまでの長さが20[m]位を必要とし、且つ、配管径は100Aを必要としていた。
【0006】
上記真空装置によれば、排気装置としてのポンプをチャンバー毎に設ける必要であって、初期投資とランニングコスト等の維持費がかかるという問題があった。
このような問題に対して、真空ポンプの設置台数を減らした装置が提供された(下記、特許文献1)。
この特許文献1に開示された真空装置によれば、ガス導入口と排気口を備える複数の真空容器と、該ガス導入口から該真空容器内に所望のガスを導入するためのガス供給システムと、該真空容器内を減圧に保つための排気システムを備える真空装置において、該排気システムは、初段真空ポンプ、中段真空ポンプおよび終段真空ポンプとが直列に接続されており、終段真空ポンプの排気口圧力は略大気圧であり、該終段真空ポンプ或いはさらに必要により中段の真空ポンプが1台あたり複数の前段真空ポンプからのガスを排気するように構成されたものである。
しかしながら、この特許文献1に記載の真空装置によれば、初段真空ポンプ、中段真空ポンプ、さらに終段真空ポンプを必要とし、ポンプ台数の減少をある程度果たしたものの、さらにポンプ台数を減少させるという課題を解決してはいなかった。
【0007】
図13は、従来の真空装置としての他の例として成膜装置を示す構成図である。この図13において、従来の真空装置は、複数の真空用チャンバーと、ガス供給装置と、排気装置とが以下のように配置されている。すなわち、真空チャンバーは、プロセスチャンバー(PC)114、トランスファーチャンバー(TM)115、ロードロックチャンバー(LL)116およびアニールチャンバー(AC)117が繋がった状態で配置されている。この図13では、ガス供給装置は図示されていない。また、排気装置は、図13に示すように、プロセスチャンバー114、トランスファーチャンバー115、ロードロックチャンバー116およびアニールチャンバー117毎に個々に配置されている。
【0008】
例えば、プロセスチャンバー114の排気口には、クライオパネル164を介してターボ分子真空ポンプ154の吸気口が連通されており、ターボ分子真空ポンプ154の排気口は、配管124を介してドライポンプ144の吸気口に連通されている。また、トランスファーチャンバー115の排気口には、クライオパネル165を介してターボ分子真空ポンプ155の吸気口が連通されており、ターボ分子真空ポンプ155の排気口は、配管125を介してドライポンプ145の吸気口に連通されている。また、ロードロックチャンバー116の排気口には、ターボ分子真空ポンプ156の吸気口が連通されている。ターボ分子真空ポンプ156の排気口は、配管126を介してドライポンプ146に連通されている。
アニールチャンバー117の排気口には、クライオポンプ167の吸気口が連通されている。クライオポンプ167の排気口は、クライオポンプの再生用として配管127を介してドライポンプ147に連通されている。
なお、ドライポンプ144、145、146および147は、ロードロックチャンバー116が設置されている床面の一階下の床面に設置されている。
【特許文献1】特許第3564069号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
(1)上記図12および図13に示す従来の真空装置によれば、すべての真空チャンバー(プロセスチャンバー、トランスファーチャンバーおよびロードロックチャンバー)に個別に、メカニカルブースタポンプとドライポンプが必要となり、初期投資費およびランニングコスト等の維持費(消費電力等)が大となる欠点がある。
一方、特許文献1記載の真空装置によれば、初段真空ポンプ、次段真空ポンプおよび終段真空ポンプを直列接続し、且つ、複数の初段真空ポンプのうちの数台分の排気を中段真空ポンプが吸引し、そして、複数台の中段真空ポンプの排気を1台の終段真空ポンプで吸引するという構成であって、真空ポンプの数は図12および図13に示す真空装置よりは少なくなるものの、複数台の次段真空ポンプが必要となる。この点で、やはり、一定の初期投資費およびランニングコスト等の維持費(消費電力等)がかかるという欠点がある。
また、図13に示す従来の真空装置にあっては、通常、真空チャンバーに直結されたターボ分子真空ポンプから階下のドライポンプまでの距離が長く、その間の配管にかかる費用と真空排気ロスが大であるという欠点があった。
(2)図13に示す従来の真空装置にあっては、ロードロックチャンバー116の内部の全圧をできるだけ早く所定の圧力(例えば10[Pa])にするため、ターボ分子ポンプをロードロックチャンバー116に直結し、且つ、ターボ分子ポンプの排気口を配管を介して階下に配置したドライポンプに連通し、ターボ分子ポンプの排気をドライポンプで吸引するという構成にしているため、やはり、その初期投資費が大きくなるという欠点があった。
【0010】
(3)図13に示す従来の真空装置によれば、プロセスチャンバー114の内部の水蒸気の分圧を所定の圧力(例えば10[Pa])にできるだけ早く到達させて、プロセス中もその分圧を維持させるために、水蒸気排気用のクライオパネル164をプロセスチャンバー114とターボ分子真空ポンプ154との間に挿入配置した構成をとっている。しかし、実際は、プロセスチャンバー114の内部の表面からの水蒸気発生速度Q[Pa・L/s]とクライオパネル164の水蒸気排気速度S[L/s]とがバランスして、圧力P=Q/S(10[Pa])になっているだけで、プロセスチャンバー114内の水蒸気発生速度はほとんど減少していないという不都合があった。
(4)図13に示す従来の真空装置によれば、ロードロックチャンバー116の内部の圧力をできるだけ早く所定の圧力(例えば10[Pa])にするため、ロードロックチャンバー116の排気口にターボ分子真空ポンプ156を配置し、ターボ分子真空ポンプ156の排気口を配管126を介してドライポンプ146の吸気口に連通したシステム構成をとっている。しかし、実際は、ロードロックチャンバー116の内部の表面とウエハー表面からの脱ガス発生速度Q[Pa・L/s]とターボ分子真空ポンプ146の排気速度S(L/s)とがバランスして、圧力P=Q/S(10[Pa])になっているだけで、チャンバー内の脱ガス発生速度はほとんど減少していないという不都合があった。
(5)また、図13に示す従来の真空装置によれば、プロセス中は、高温プラズマからの輻射熱のために、クライオパネルの水蒸気排気速度は大きく低下するため、実質上、水蒸気の排気速度はターボ分子真空ポンプで決まっていることになり、そのため、プロセス中の水蒸気の分圧は所定の圧力(10[Pa])より大幅に大きくなっているという不都合があった。
(6)また、図13に示す従来の真空装置によれば、プロセス中のチャンバー内のガス分圧は、ターボ分子真空ポンプの各ガスに対する性能に依存し、各ターボ分子真空ポンプのその性能のバラツキによりコンダクタンスバルブ等でチャンバー内の全圧を制御しても、各ガス分圧は調整できないとの不都合があった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した従来技術の欠点を解消し、真空ポンプの設置の仕方を工夫して真空ポンプ設置に要する初期投資を小さくできる真空装置を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、プロセスチャンバー内の水蒸気発生速度を減少させることができる真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法を提供することを第2の目的とする。
さらに、本発明は、チャンバー内の脱ガス発生速度を抑えることができる真空装置における水蒸気分圧の上昇防止方法を提供することを第3の目的とする。
加えて、本発明は、プロセス中の水蒸気の分圧を所定の圧力以下に保ち、かつチャンバー内のガス分圧も制御可能とする真空装置用真空ポンプを提供することを第4の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置において、前記真空用チャンバーのうちロードロックチャンバー近辺の床面に真空ポンプを固定し、バルブと機械的振動を減衰吸収するダンパとを一体化してなる部材でロードロックチャンバーの排気口と前記真空ポンプの吸気口とを連通し、前記真空ポンプは、ターボ分子真空ポンプ機能とドライポンプ機能とを一体化してなるものであることにより、前記第1の目的を達成する。
前記この真空ポンプ(ターボ分子ポンプとドライポンプが一体化した例)は、例えば、特開平2006−342791号(図1)に示すものを利用することで実現可能である。
請求項2記載の発明では、ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法において、液体窒素温度付近のフィルタを通過させた超ドライ窒素を真空用チャンバーに流す工程と、超ドライ窒素の供給を止め、前記排気装置で前記真空用チャンバー内の超ドライ窒素を排出する工程とを有し、これら工程を少なくとも2回以上交互に繰り返すことにより、前記第2の目的を達成する。
【0013】
請求項3記載の発明では、ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、 前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法において、前記排気装置がガスを排気する際、スターリングサイクルのパルス冷凍機を利用した冷却するフィルターを通過させる工程を有することにより、前記第2の目的を達成する。
請求項4記載の発明では、ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、 前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置における水蒸気分圧の上昇防止方法において、前記真空用チャンバーのうちロードロックチャンバー内に液体窒素温度付近のフィルタを通過させた超ドライ窒素を大気圧以上にして供給する工程と、前記超ドライ窒素の供給中にウェハーをロードロックチャンバー内に導入して、ロードロックチャンバー内に大気中の水分が浸入するのを防止する工程と、を備えたことにより、前記第3の目的を達成する。
【0014】
請求項5記載の発明では、請求項4記載の発明において、前記超ドライ窒素を大気圧以上にして供給する工程において、
ウエハー導入口付近の上下に、当該ガス流が層流になるように、当該導入口を囲むようにスリット状または多数の穴のガス導入口を設けたことにより、前記第3の目的を達成する。
請求項6記載の発明では、ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、 前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置において、前記排気装置はターボ分子真空ポンプからなり、前記ターボ分子真空ポンプの翼の中間部分に翼を設けない空間を形成し、当該空間にクライオパネルを配置し、且つ、異方性熱伝導体をポンプケーシングに対して熱絶縁した状態で前記ポンプケーシングの内外に延長し、前記ポンプケーシング内側の異方性熱伝導体を前記クライオパネルに接続し、前記ポンプケーシング外側の前記異方性熱伝導体を冷却してなることにより、前記第4の目的を達成する。
【0015】
請求項7記載の発明では、請求項6記載の発明において、前記クライオパネルが、当該クライオパネルの温度を一定温度に設定できる温度設定手段と、前記温度設定手段により設定された温度を外部信号によるフィードバック制御するフィードバック制御手段とを備えたことをにより、前記第4の目的を達成する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1から請求項5記載の発明によれば、ロードロックチャンバー内を液体窒素温度付近のフィルタを通過させた超乾燥窒素ガスで大気圧以上にしながら、ウエハーを交換することで、ロードロックチャンバー内への大気の水蒸気成分の侵入を極力防ぎ、その後、その圧力から、ターボ分子真空ポンプとドライポンプが一体になった真空ポンプで排気することにより、一時的に真空ポンプのターボ分子真空ポンプの回転速度は低下するものの、急速に、ロードロックチャンバー内の圧力を下げることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、前記クライオパネルより上部のターボ分子真空ポンプの翼が輻射熱を反射し、クライオパネルに輻射熱が伝達しにくくなり、一方クライオパネルを冷却する冷凍機とクライオパネルを連結する異方性熱伝導体は、ケーシングとの熱伝導率が悪いため、ケーシングからの熱流入が防止され、結果として前記クライオパネルは冷凍機で十分に冷却されることにより、プロセス中も高温プラズマからの輻射熱の影響をさけ、ほぼ所定通りの水蒸気排気速度が維持でき、プロセス中の水蒸気の分圧を10[Pa]あるいはそれ以下に維持することができる利点がある。
請求項7記載の発明では、クライオパネルの温度を制御することにより、分子量の小さいガス(水素やヘリュウム等)と分子量の比較的大きい(窒素、酸素、アルゴン等)との性能比を制御することにより、チャンバー内のガス分圧比もコントロール可能となる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1ないし図 を参照して詳細に説明する。なお、第1の実施の形態から第3の実施の形態は、排気装置である真空ポンプの台数を減らすとともに配管径を細くすることを可能とし、初期投資とランニングコスト等の維持費を少なくできる構成を提供するものである。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる真空装置を示した図である。ここに、図1は本発明の第1の実施の形態にかかる真空装置全体を示した構成図である。
この図1において、本発明の第1の実施の形態にかかる真空装置は、ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた構造を有している。すなわち、前記真空用チャンバーは、図1に示すように、ロードロックチャンバー(第1の実施の形態では省略)と、トランスファーチャンバー12と、プロセスチャンバー13とが接続された状態で配置されている。プロセスチャンバー13は、図1では、一台のみ表示しているが、実際には、少なくとも3台程度配置されている。また、この図では、ガス供給装置は図示していない。
【0020】
前記排気装置は、図1に示すように、トランスファーチャンバー12およびプロセスチャンバー13毎に個々に配置されている。
ここで、トランスファーチャンバー12の排気口12aには、初段真空ポンプとしてのメカニカルブースタポンプ32が振動を吸収する部材を介して直接取り付けられている。このメカニカルブースタポンプ32は、200〜300[m3/H]の吸引能力のあるものを採用している。
また、前記プロセスチャンバー13の複数の排気口13aには、初段真空ポンプとしてのターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……の吸気口が連通されている。これらターボ分子真空ポンプ53a〜53bは、図1では、プロセスチャンバー13から吊り下げられた構造で表示されている。
【0021】
初段真空ポンプとしてのターボ分子真空ポンプ53aの排気口は配管23aを介して次段真空ポンプ31の吸気口に連通されている。
同様に、初段真空ポンプとしてのターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……の各排気口は共通にされて配管23bを介して次段真空ポンプ31の吸気口に連通されている。また、メカニカルブースタポンプ32の排気口とターボ分子真空ポンプ53aの排気口とは、配管22で共通にされ配管22を介して次段真空ポンプ31の吸気口に連通されている。
この次段真空ポンプ31の排気口は、配管21を介して終段真空ポンプとしてのドライポンプ41の吸気口に連通されている。
従って、前記排気装置としては、要するに、前記各真空用チャンバーの排気口にそれぞれ接続された初段真空ポンプ(メカニカルブースタポンプ32,ターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……)と、前記初段真空ポンプの排気を吸引する次段真空ポンプ31と、前記次段真空ポンプ31の排気を吸気する少なくとも1台の終段真空ポンプ(ドライポンプ41)とを備えた構成を有している。
【0022】
図2は本発明の第1の実施の形態にかかる真空装置に使用される真空ポンプを示す側面図である。
この図2において、前記次段真空ポンプ31は、真空ポンプとしてのメカニカルブースタポンプ311と、このメカニカルブースタポンプ311の吸引口に設けられ機械的振動を減衰吸収するダンパ312と、このダンパ312の吸引口側とは反対側に設けられ前記初段真空ポンプ(メカニカルブースタポンプ32、ターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……)の排気口に連通する配管22、23a、23bの末端を接続できるマルチポート313とを備えたものである。
機械的振動を吸収するダンパ312を介してマルチポート313に接続されている。またダンパ312とマルチポート313の位置関係が逆でもその機能は同等である。
【0023】
マルチポート313は、配管の末端を連結するための複数の連通孔313a,…が設けられている。各連通孔313a,…はダンパ312内の空間に連通しており、配管を接続しないときには止め栓等で閉じられている。
【0024】
次に、本発明の第1の実施形態に係る真空ポンプの接続構造の作用について説明する。
まず、初段真空ポンプ(メカニカルブースタポンプ32、ターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……)と、次段真空ポンプ31と、終段真空ポンプ(ドライポンプ41)を運転する。
初段真空ポンプであるメカニカルブースタポンプ32、ターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……からの排気は、配管22、23a、23bを介して次段真空ポンプ31に吸い込まれる。配管22、23a、23bにおける圧力は、例えば最大200[Pa]程度となる。
次段真空ポンプ31で吸い込まれた排気は、配管21を介してドライポンプ41に吸引される。このとき、配管21における圧力は、3000[Pa]程度になる。
ドライポンプ41からの排気は、排気処理施設(図示せず)に送られる。
ここで、次段真空ポンプ31が発生する振動は、ダンパ312に伝わるが、このダンパ
312により減衰吸収される。
【0025】
このような真空装置によれば、次のような利点がある。
(1)次段真空ポンプ31を1台設置するだけでよいので、初期投資とランニングコスト等の維持費を小さくすることができる。
(2)初段真空ポンプ(メカニカルブースタポンプ32、ターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……)を結ぶ配管の内径を、従来より細くすることができる。
(3)真空チャンバーの設置されている階の下の階に設置されているドライポンプ41までの配管21の内径を、従来100Aだったものを細くすることができる。
【0026】
<第2の実施の形態>
図3および図4は、本発明の第2の実施の形態にかかる真空装置を示した図である。ここで、図3は本発明の第2の実施の形態にかかる真空装置全体を示す構成図である。この図3において、本発明の第1の実施の形態にかかる真空装置と同一構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0027】
第2の実施の形態が第1の実施の形態と相違するところは、排気装置の接続配置構成にある。すなわち、排気装置は、図3に示すように、複数の第1の真空用チャンバーであるプロセスチャンバー13の排気口にそれぞれ接続された第1の初段真空ポンプであるターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……と、第2の真空用チャンバーであるトランスファーチャンバー12の排気口に接続された第2の初段真空ポンプとしてのメカニカルブースタポンプ32Aと、前記第1の初段真空ポンプであるターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……の排気を吸気する少なくとも1台の終段真空ポンプであるドライポンプ41とを備えている。そして、前記第1の初段真空ポンプ53a〜53bの少なくとも一は、前記第2の初段真空ポンプであるメカニカルブースタポンプ32Aの排気を所定の圧力(200[Pa])で吸引可能とする中間ポート531を設けたターボ分子真空ポンプ70から構成したものである。
【0028】
第1の初段真空ポンプであるターボ分子真空ポンプ53a……の排気口と、ターボ分子真空ポンプ53b……の排気口と、中間ポート付きターボ分子真空ポンプ70の排気口とは、配管24により共通にされて、配管25を介して階下の床面に設置されたドライポンプ41の吸気口に連通されている。また、第2の初段真空ポンプとしてのメカニカルブースタポンプ32Aの排気口は、配管26を介してターボ分子真空ポンプ70の中間ポート531に連通されている。
【0029】
図4は本発明の第2の実施の形態にかかる真空装置に使用される真空ポンプを示した断面図である。
本実施形態に係るターボ分子真空ポンプ70は、ターボ分子ポンプ部Tと、ねじ溝ポンプ部S、再生ポンプ部Rとを備えている。
ターボ分子真空ポンプ70のポンプ部Pの外装体を形成するケーシング532は、略円筒状の形状をしており、ケーシング532の下部(排気口536側)に設けられたベース533と共にポンプ部Pの筐体を構成している。そして、この筐体の内部には、ターボ分子真空ポンプ70に排気機能を発揮させる構造物、すなわち、気体移送機構が収納されている。
この気体移送機構は、大きく分けて回転自在に軸支された回転部と筐体に対して固定された固定部から構成されている。
ケーシング532の端部には、ターボ分子真空ポンプ70のポンプ部Pへ気体を導入するための吸気口534が形成されている。また、ケーシング532の吸気口534側の端面には、外周側へ張り出したフランジ部535が形成されている。
また、ベース533には、ターボ分子真空ポンプ70から気体を排気するための排気口536が形成されている。
【0030】
回転部は、回転軸であるシャフト537、このシャフト537に配設されたロータ538、ロータ538に設けられた回転翼539、排気口536側(ねじ溝ポンプ部S)に設けられた円筒部材540などから構成されている。
回転翼539は、シャフト537の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してシャフト537から放射状に伸びたブレードからなる。
また、円筒部材540は、ロータ538の回転軸線と同心の円筒形状をした部材からなる。
シャフト537の軸線方向中程には、シャフト537を高速回転させるためのモータ部541が設けられている。本実施の形態では、一例として、モータ部541は以下のように構成されたDCブラシレスモータであるとする。
モータ部541では、シャフト537の周囲に永久磁石が固着してある。この永久磁石は、例えばシャフト537の周りにN極とS極が180°ごとに配置されるように固定されている。この永久磁石の周囲には、シャフト537から所定のクリアランスを経て、例えば6個の電磁石が60°ごとにシャフト537の軸線に対して対称的に対向するように配置されている。
【0031】
また、ターボ分子真空ポンプ70には、回転数センサが取り付けられている。制御装置(図示せず)は、この回転数センサの検出信号によりシャフト537の回転数を検出することができるようになっている。
さらに、ターボ分子ポンプ70には、例えば、モータ部541の近傍に、シャフト537の回転の位相を検出する位相センサが取り付けられている。制御装置は、この位相センサと回転数センサの検出信号を共に用いて永久磁石の位置を検出するようになっている。
制御装置は、検出した磁極の位置に従って、シャフト537の回転が持続するように電磁石の電流を次々に切り替える。すなわち、制御装置は、6個の電磁石の励磁電流を切り替えることによりシャフト537に固定された永久磁石の周りに回転磁界を生成し、永久磁石をこの回転磁界に追従させることによりシャフト537を回転させる。
シャフト537のモータ部541に対して吸気口534側、および排気口536側には、シャフト537をラジアル方向(径方向)に軸支するための磁気軸受部542、543、シャフト537の下端には、シャフト537を軸線方向(アキシャル方向)に軸支するための磁気軸受部544が設けられている。
これらの磁気軸受部542〜544は、いわゆる5軸制御型の磁気軸受を構成している。
【0032】
シャフト537は、磁気軸受部542、543によってラジアル方向(シャフト537の径方向)に非接触で支持され、磁気軸受部544によってスラスト方向(シャフト537の軸方向)に非接触で支持されている。
また、磁気軸受部542〜544の近傍には、それぞれシャフト537の変位を検出する変位センサ545〜547が設けられている。
磁気軸受部542では、4個の電磁石がシャフト537の周囲に、90°ごとに対向するように配置されている。シャフト537は、高透磁率材(鉄など)などにより形成され、これらの電磁石の磁力により吸引されるようになっている。
変位センサ545は、シャフト537のラジアル方向の変位を所定の時間間隔でサンプリングして検出する。そして制御装置は、変位センサ545からの変位信号によってシャフト537がラジアル方向に所定の位置から変位したことを検出すると、各電磁石の磁力を調節してシャフト537を所定の位置に戻すように動作する。この電磁石の磁力の調節は、各電磁石の励磁電流をフィードバック制御することにより行われる。
制御装置は、変位センサ545の信号に基づいて磁気軸受部542をフィードバック制御し、これによってシャフト537は、磁気軸受部542において電磁石から所定のクリアランスを隔ててラジアル方向に磁気浮上し、空間中に非接触で保持される。
磁気軸受部543の構成と作用は、磁気軸受部542と同様である。制御装置は、変位センサ546の信号に基づいて磁気軸受部543をフィードバック制御し、これによってシャフト537は、磁気軸受部543でラジアル方向に磁気浮上し、空間中に非接触で保持される。
【0033】
このように、シャフト537は、磁気軸受部542、543の作用により、ラジアル方向に所定の位置で保持される。
また、磁気軸受部544は、円板状の金属ディスク548、電磁石549、550を備え、シャフト537をスラスト方向に保持する。
金属ディスク548は、鉄などの高透磁率材で構成されており、その中心においてシャフト537に垂直に固定されている。金属ディスク548の上には電磁石549が設置され、下には電磁石550が設置されている。電磁石549は、磁力により金属ディスク548を上方に吸引し、電磁石550は、金属ディスク548を下方に吸引する。制御装置は、この電磁石549、550が金属ディスク548に及ぼす磁力を適当に調節し、シャフト537をスラスト方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持するようになっている。
変位センサ547は、シャフト537のスラスト方向の変位をサンプリングして検出し、これを制御装置に送信する。制御装置は、変位センサ547から受信した変位検出信号によりシャフト537のスラスト方向の変位を検出する。
シャフト537がスラスト方向のどちらかに移動して所定の位置から変位した場合、制御装置は、この変位を修正するように電磁石549、550の励磁電流をフィードバック制御して磁力を調節し、シャフト537を所定の位置に戻すように動作する。制御装置は、このフィードバック制御を連続的に行う。これにより、シャフト537はスラスト方向に所定の位置で磁気浮上し、保持されるようになっている。
【0034】
以上に説明したように、シャフト537は、磁気軸受部542、543によりラジアル方向に保持され、磁気軸受部544によりスラスト方向に保持されるため、シャフト537の軸線周りに回転するようになっている。
筐体の内周側には、固定部が形成されている。この固定部は、吸気口534側(ターボ分子ポンプ部)に設けられた固定翼551と、ケーシング532の内周面に設けられたねじ溝スペーサ552などから構成されている。
固定翼551は、シャフト537の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して筐体の内周面からシャフト537に向かって伸びたブレードから構成されている。
各段の固定翼551は、円筒形状をしたスペーサ553により互いに隔てられている。
ターボ分子ポンプ部Tでは、固定翼551が軸線方向に、回転翼539と互い違いに複数段形成されている。
ねじ溝スペーサ552には、円筒部材540との対向面にらせん溝が形成されている。ねじ溝スペーサ552は、所定のクリアランス(間隙)を隔てて円筒部材540の外周面に対面するようになっている。ねじ溝スペーサ552に形成されたらせん溝の方向は、らせん溝内をシャフト537の回転方向にガスが輸送された場合、排気口536に向かう方向である。
【0035】
また、らせん溝の深さは、排気口536に近づくにつれ浅くなるようになっており、らせん溝を輸送されるガスは排気口536に近づくにつれて圧縮されるようになっている。
また、再生ポンプ部Rは、低真空用ロータとして再生ポンプロータ561を有し、この再生ポンプロータ561と、再生ポンプステータベース562との間に、再生ポンプ段56が設けられる構造をしている。
また、中間ポート531は、前記ねじ溝スペーサ552に形成されたらせん溝の所定の位置に連通しており、例えば所定の圧力(200[Pa])で吸引可能にできる位置に連通させている。
このように構成されたターボ分子真空ポンプ70のポンプ部Pの吸引口と、ターボ分子真空ポンプ53a……の吸引口と、ターボ分子真空ポンプ53b……の吸気口とにより、プロセスチャンバー13内の真空排気処理を行うようになっている。
【0036】
また、このように構成されたターボ分子真空ポンプ70のポンプ部Pの中間ポート531より、メカニカルブースタポンプ32Aの排気を所定の圧力(200[Pa])で吸引できる。メカニカルブースタポンプ32Aの吸気口により、トランスファーチャンバー12内の真空排気処理を行うようになっている。
このように構成された第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様な作用効果を奏する。
また、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態のような次段真空ポンプ31を省略することができる。
【0037】
<第3の実施の形態>
図5および図6は、本発明の第3の実施の形態にかかる真空装置を示した図である。ここで、図5は本発明の第3の実施の形態にかかる真空装置全体を示した構成図である。この図5において、本発明の第3の実施の形態にかかる真空装置と同一構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
第3の実施の形態が第2の実施の形態と相違するところは、第2の実施の形態が所定の圧力で吸引できる中間ポート531を設けてなるターボ分子真空ポンプ70の中間ポート531に、トランスファーチャンバー12を排気するメカニカルブースタポンプ32Aの排気を吸引させるようにしたのに対して、第3の実施の形態では、所定の圧力で吸引できる中間ポート321を設けてなるメカニカルブースタポンプ32Bの中間ポート321にターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……の排気を共通にして吸引させるようにした点にある。
【0039】
すなわち、第3の実施の形態に係る真空装置における排気装置は、複数の第1の真空用チャンバーであるプロセスチャンバー13の排気口にそれぞれ接続された第1の初段真空ポンプ(ターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……)と、第2の真空用チャンバーであるトランスファーチャンバー12の排気口に接続された第2の初段真空ポンプ(メカニカルブースタポンプ32B)と、前記第2の初段真空ポンプ(メカニカルブースタポンプ32B)の排気を吸気する少なくとも1台の終段真空ポンプ(ドライポンプ41)とを備え、第1の初段真空ポンプであるターボ分子真空ポンプ53a……の排気口およびターボ分子真空ポンプ53b……の排気口を配管27で共通にし、当該配管27の末端を第2の初段真空ポンプであるメカニカルブースタポンプ32Bの中間ポート321に連通してなるものである。
また、メカニカルブースタポンプ32Bの排気口は、配管28を介してドライポンプ41の吸気口に連通されている。
【0040】
図6は本発明の第3の実施の形態にかかる真空装置に使用される第2の初段真空ポンプであるメカニカルブースタポンプ32Bbを示した図である。
図6(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る真空装置に使用されるメカニカルブースタポンプ32Bを説明するための参考図、図6(b)はそのメカニカルブースタポンプ32Bの略図である。
この図6(a)において、メカニカルブースタポンプMBPは、ポンプケーシング322と、ポンプロータ323X,323Yと、ヘッドプレート324と、カップリング/タイミングギア325X,325Yと、Xシャフト326Xと、Yシャフト326Yと、モーターアマチュア327と、モータ328と、ドライブケース329とから構成されている。
このような構造のメカニカルブースタポンプ(MBP)32Bを略式に表示すれば、図6(b)に示すように、ポンプケーシング322の内部にポンプロータ323X,323Yが配置されたポンプ部PMPと、ドライブケース329内にモータ328が配置されたモータ部MTRとからなる。
このような略式な表示形式にすると、本発明の第3の実施の形態に係る真空装置に使用されるメカニカルブースタポンプ32Bは、図6(c)に示すような構造となる。
すなわち、図6(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る真空装置に使用されるメカニカルブースタポンプ32Bを示す略図である。
【0041】
前記第2の初段真空ポンプであるメカニカルブースタポンプ32Bは、シリンダと第1のロータ323Lからなる1段目のポンプ部32Baと、シリンダと第2のローター323Hからなる2段目のポンプ部32Bbとした2段構成を備えて2段圧縮可能な真空ポンプで構成されている
前記メカニカルブースタポンプ32Bは、前記1段目ホンプ部32Baの吸気口を前記第2の真空用チャンバーであるトランスファーチャンバー12の排気口12aに接続するものとし、前記1段目のポンプ部32Baの排気部と前記2段目のポンプ部32Bbの吸気部の連通部分に連通する中間ポート321を設け、前記中間ポート321から前記第1の初段真空ポンプ(ターボ分子真空ポンプ53a……の排気口およびターボ分子真空ポンプ53b……)からの排気を所定の圧力で吸引可能とした構成としてなるものである。なお、ドライブケース329の内部には、モータ328が配置されたモータ部MTRが構成されている。また前記メカニカルブースタポンプ32Bを2段構成として説明したが2段以上の構成であっても同様に有効である。
【0042】
このような第3の実施の形態の作用を説明する。
まず、初段真空ポンプ(メカニカルブースタポンプ32B,ターボ分子真空ポンプ53a……およびターボ分子真空ポンプ53b……)と、終段真空ポンプ(ドライポンプ41)を運転する。
ターボ分子真空ポンプ53a,53a,53a,53aおよびターボ分子真空ポンプ53b,53b,53b,53bからの排気は、配管27を介してメカニカルブースタポンプ32Bの中間ポート321に吸引される。
メカニカルブースタポンプ32Bは、その吸気口からトランスファーチャンバー12の内部の真空排気処理を行うとともに、前記中間ポート321からの吸気も真空排気処理を行う。また、メカニカルブースタポンプ32Bの排気は、配管28を介してドライポンプ41に吸い込まれる。
メカニカルブースタポンプ32Bの中間ポート321に接続されている配管27における圧力は、例えば200[Pa]程度となる。
なお、ドライポンプ41からの排気は、排気処理施設(図示せず)に送られる。
【0043】
本発明の第3の実施の形態に係る真空装置によれば、次のような利点がある。
(1)第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
(2)構造が簡単なメカニカルブースタポンプ32Bで構成できるので、さらに初期投資が少なくて済み、ランニングコスト等の維持費用もそれだけ少なくて済むことになる。
【0044】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態にかかる真空装置は、この第4の実施の形態のほか、第5、第6ないし第7の実施の形態にも使用される。
ここで、図7および図8は、本発明の第4の実施の形態にかかる真空装置を示した図である。図7は本発明の第4の実施の形態にかかる真空装置全体を示した構成図である。
この図7において、本発明の第4の実施の形態にかかる真空装置は、複数の真空用チャンバーと、ガス供給装置と、排気装置とが次のように配置されている。すなわち、真空チャンバーは、プロセスチャンバー14、トランスファーチャンバー15、ロードロックチャンバー16およびアニールチャンバー17が繋がった状態で配置されている。図7では、ガス供給装置は、図示しない。
【0045】
排気装置は、図7に示すように構成されている。すなわち、プロセスチャンバー14の排気口には、本発明の第7の実施の形態に係る真空装置における新規のクライオパネルを内蔵した新規のターボ分子真空ポンプ70Aの吸気口が連通されている。トランスファーチャンバー15の排気口には、本発明の第7の実施の形態に係る真空装置における新規のクライオパネルを内蔵した新規のターボ分子真空ポンプ70Aの吸気口が連通されている。前記両ターボ分子真空ポンプ70Aの排気口は、配管29で共通にされてメカニカルブースタポンプ32の吸気口に連通されている。
メカニカルブースタポンプ32の排気口は、配管25を介して階下の床面に設置されたドライポンプ41に連通されている。
【0046】
アニールチャンバー17の排気口には、クライオポンプ67が連通されている。クライオポンプ67の排気口は、配管27a、配管27bを介してメカニカルブースタポンプ32の排気口と配管25の接続部に連通されることにより、配管25を介してドライポンプ41に連通されている。なお、配管27aには、開閉弁27cが設けられている。
ロードロックチャンバー16の排気口には、本発明の第4の実施の形態に係る真空装置における新規の真空ポンプ90の吸気口が連通されている。この真空ポンプ90は、前記ロードロックチャンバー16近辺の床面に固定されている。
この真空ポンプ90は、バルブと機械的振動を減衰吸収するダンパとを一体化してなるダンパ部材91と、ターボ分子真空ポンプとドライポンプが一体化してなるポンプ部92とから構成されている。また、ロードロックチャンバー16の排気口は、当該真空ポンプ90のダンパ部材91に連通している。
【0047】
液体窒素温度付近のフィルタ60には、供給源から乾燥窒素が供給されるようになっている。
液体窒素温度フィルタ付近の60は、配管20aを介してプロセスチャンバー14に連通されており、開閉弁20bの開閉によりプロセスチャンバー14に対して超乾燥窒素の供給・停止が制御できるようになっている。
液体窒素温度付近のフィルタ60は、配管20cを介してプロセスチャンバー14に連通されており、開閉弁20dの開閉によりロードロックチャンバー16に対して超乾燥窒素の供給・停止を制御できるようになっている。
この実施例において、フィルタ60を冷却するのに、このフィルタ60に直結してスターリングサイクルの冷凍機300を設けてある。この冷凍機300を用いる場合、フィルターの冷却温度は実用的には液体窒素温度より高い120K程度になるが、水蒸気成分の除去には充分な温度である。この温度の場合は導入ガスとしてアルゴンのような希ガスも液化する心配がなくなるので利用可能である。
【0048】
図8は本発明の第4の実施の形態にかかる真空装置に使用される新規な真空ポンプ90を示した構成図である。
この新規な真空ポンプ90は、図8に示すように、ポンプ部92と、このポンプ部92の吸引口に設けられ機械的振動を減衰吸収するダンパ部材91とからなる。
この新規な真空ポンプ90は、ターボ分子真空ポンプとドライポンプが一体化してなるポンプ部92の吸引口に開閉弁等のバルブ911が接続され、さらに機械的振動を吸収するダンパ912を介してロードロックチャンバー16の排気口に接続されている。さらに、この新規な真空ポンプ90において、ポンプ部92の上端の吸引口フランジ921にはバルブ911の下端がボルト等により締結固定されている。このバルブ911の上端には、ダンパ912がその下端のフランジ912aを介して締結固定されている。
このダンパ912の上端のフランジ912bには、ロードロックチャンバー16の排気口16aが接続されている。このバルブ911やダンパ912などにより、ダンパ部材91が構成されている。
【0049】
このような第4の実施の形態にかかる真空装置によれば、次のような利点がある。
(1)ターボ分子真空ポンプ機能とドライポンプ機能が一体化してなるポンプ部92を有する真空ポンプ90をロードロックチャンバー16の近傍の床面に設置し、且つ、真空ポンプ90の振動を抑えるダンパ部材91によりロードロックチャンバー16に直結したため、階下までの配管を省略できるとともに、ロードロックチャンバー16の内部の全圧を素早く所定の圧力(例えば10[Pa])にすることができる。
(2)ターボ分子真空ポンプ機能とドライポンプ機能が一体化してなるポンプ部92を有する真空ポンプ90をロードロックチャンバー16の近傍の床面に設置し、且つ、真空ポンプ90の振動を抑えるダンパ部材91によりロードロックチャンバー16に直結したため、その初期投資費を抑えることができる。
【0050】
<第5の実施の形態>
本発明の第5の実施の形態にかかる真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法は、図7に示した真空装置を参照して説明する。
本発明の第5の実施の形態に係る真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法は、バルブ20bを開けることにより、液体窒素温度付近のフィルタ60を通過させた超ドライ窒素を真空用チャンバー(プロセスチャンバー14)に流す工程と、バルブ20bを閉じて液体窒素温度付近のフィルタ60からの超ドライ窒素の供給を止め、前記排気装置(新規のクライオパネルを内蔵した新規のターボ分子真空ポンプ70A)で前記真空用チャンバー内の超ドライ窒素を排出する工程とを有し、これらの工程を少なくとも2回以上交互に繰り返す方法である。
【0051】
また、本発明の第5の実施の形態にかかる真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法は、液体窒素温度付近のフィルタ60を通過させた超ドライ窒素をバルブ20dを開けることにより真空用チャンバー(ロードロックチャンバー16)に流す工程と、バルブ20dを閉じて液体窒素温度付近のフィルタ60からの超ドライ窒素の供給を止め、前記排気装置(ダンパを設け、且つ、ターボ分子真空ポンプとドライポンプを一体化した新規の真空ポンプ90)で前記真空用チャンバー内の超ドライ窒素を排出する工程とを有し、これらの工程を少なくとも2回以上交互に繰り返す方法である。
【0052】
本発明の第5の実施の形態にかかる真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法によれば、液体窒素温度(マイナス190℃)付近でフィルタを通過させた超乾燥窒素を真空チャンバー(プロセスチャンバー14またはロードロックチャンバー16)内に流し、真空チャンバー(プロセスチャンバー14またはロードロックチャンバー16)内の水蒸気を、その超乾燥窒素ガス内に取り込みながら、真空ポンプ(ターボ分子真空ポンプ70または真空ポンプ90)で真空排気することを2回以上繰り返すことにより、チャンバー表面からの水蒸気発生速度Q[Pa・L/s]を短時間で減少させることができる。
【0053】
<第6の実施の形態>
本発明の第6の実施の形態にかかる真空装置における水蒸気分圧の上昇防止方法は、図7に示した真空装置を参照して説明する。
本発明の第6の実施の形態にかかる真空装置における水蒸気分圧の上昇防止方法は、前記真空用チャンバーのうちロードロックチャンバー16内にバルブ20dを開けることにより液体窒素温度付近のフィルタ60を通過させた超ドライ窒素を大気圧以上にして、ウエハ導入口付近の上下にその導入口を囲むようにスリット状または多数の穴のガス導入口を設け、そのガス流が層流になることを特徴とする方法で供給する工程と、前記超ドライ窒素の供給中にウェハーをロードロックチャンバー内に導入し、ロードロックチャンバー内に大気中の水分が浸入するのを防止し、ロードロックチャンバー内の水蒸気分圧の上昇を防止する方法である。
図9は、ガス導入部の構成を説明する図であり、(a)が平面図、(b)が側面図である。ウェハを出し入れする箇所で、乱流が発生すると、外部のガスを巻き込んでしまうことがる。そこで、ガスに乱流が発生しないように、層流でガスを流す必要がある。乱流に関しては、レイノルズナンバーと呼ばれる粘性と流す量の関係を示す式があり、一定値以上だと乱流、以下だと層流となる。本実施例では、これを考慮して、乱流が発生しないように設計する。
その具体的方法として、ウエハ導入口702付近の上下に、その導入口を囲むようにスリット状または多数の穴のガス導入口を設け、ガス導入口からのガス流れが層流になるようにする。
【0054】
本発明の第6の実施の形態にかかる真空装置における水蒸気分圧の上昇防止方法によれば、ロードロックチャンバー16内を液体窒素温度付近のフィルタ60を通過させた超乾燥窒素ガスで大気圧以上にしながら、ウエハーを交換することで、ロードロックチャンバー16内への大気の水蒸気成分の侵入を極力防ぎ、その後、その圧力(大気圧+α)から、ターボ分子真空ポンプ機能とドライポンプ機能が一体になった真空ポンプ90で排気する。このことにより、一時的に真空ポンプ90のターボ分子真空ポンプの機能部分の回転速度は低下するものの、急速に、ロードロックチャンバー16内の圧力を低下させることができる。
【0055】
<第7の実施の形態>
図10は本発明の第7の実施の形態にかかる真空装置に使用される新規な真空ポンプ70Aを示した構成図である。この図10に示した新規な真空ポンプ70Aは、図4に示すターボ分子真空ポンプ70を改良したものである。ただし、再生ポンプ部Rは省略している。よって、図4に示すターボ分子真空ポンプ70と同一構成要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
前記排気装置はターボ分子真空ポンプ70Aからなり、前記ターボ分子真空ポンプ70Aのターボ分子ポンプ部Tの回転翼539および固定翼551の中間部分に回転翼539および固定翼551を設けない空間Dを形成し、当該空間Dにクライオパネル570を配置し、且つ、異方性熱伝導体571をポンプケーシング532に対して熱絶縁部材572で熱絶縁した状態で前記ポンプケーシング532の内外に延長し、前記ポンプケーシング532内側の異方性熱伝導体571を前記クライオパネル570に接続し、前記ポンプケーシング532外側の前記異方性熱伝導体571を冷凍機573で冷却するようになっている。
前記異方性熱伝導体571は、図10の横方向に熱を伝達し、図10の縦方向にはほとんど熱を伝達しない性質を有している。
従って、本発明の第7の実施の形態にかかる真空装置に使用される新規な真空ポンプ70Aによれば、前記クライオパネル570より上部のターボ分子真空ポンプの翼551が輻射熱を反射し、異方性熱伝導体571によりポンプケーシング532よりの熱流入を抑えつつ、冷凍機573で十分に前記クライオパネル570を冷却することにより、プロセス中も高温プラズマからの輻射熱の影響をさけ、ほぼ所定通りの水蒸気排気速度が維持でき、プロセス中の水蒸気の分圧を10[Pa]あるいはそれ以下に維持することができる。
【0056】
次に、クライオパネル570の温度をフィードバック制御することで、精密にガス制御を行う例を説明する。図11は、真空ポンプにおける、ガス温度をパラメータにして、ガス分子量とポンプ性能の関係を説明する図である。
一般に、クライオパネル570において、ガスの温度が下がると、ガスのスピードは、低下する。図11に示すように、水素の場合、常温から低温に温度が低下すると、性能が上昇する。一方、例えば、窒素の場合、性能が低下してしまう。
従来の技術では、プロセスチャンバーに水素とアルゴンが入っているとすると、コンダクタンスバルブと呼ばれるバルブで全体の排気速度を調整していた。よって、プロセスチャンバーのトータルの圧力は、このコンダクタンスバルブによって、調整可能であったが、水素とアルゴンの成分の圧力の比率を変えようとしてもできなかった。
そこで、より精密にガス制御を行うために、温度を制御することで、軽い分子と重い分子の比率を調整する調整機構を設けた。
具体的には、図10に示すように、プロセスチャンバーの例えば水素ガス分圧信号をモニター装置600からモニター信号として、信号処理装置602に入力し、また、基準値信号もこの信号処理装置に入力する。これらの入力信号を基に、信号処理装置602により、冷凍機573に冷凍パワー指令値出し、クライオパネル570の温度をフィードバック制御する。これにより、真空チャンバー内の水素ガス分圧を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる真空装置全体を示した構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる真空装置に使用される真空ポンプを示した側面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる真空装置全体を示した構成図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態にかかる真空装置に使用される真空ポンプを示した断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態にかかる真空装置全体を示した構成図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態にかかる真空装置に使用される第2の初段真空ポンプであるメカニカルブースタポンプを示した図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態にかかる真空装置全体を示した構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態にかかる真空装置に使用される新規な真空ポンプを示した構成図である。
【図9】本実施例に係るガス導入部を説明する図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態にかかる真空装置に使用される新規な真空ポンプを示した構成図である。
【図11】ガス温度をパラメータにして、ガス分子量とポンプ性能の関係を説明する図である。
【図12】従来の真空装置の一例を示した構成図である。
【図13】従来の真空装置としての他の例として成膜装置を示した構成図である。
【符号の説明】
【0058】
12,15 トランスファーチャンバー
13,14 プロセスチャンバー
16 ロードロックチャンバー
17 アニールチャンバー
32 メカニカルブースタポンプ
32A 中間ポート付メカニカルブースタポンプ
41 ドライポンプ
53a,53b ターボ分子真空ポンプ
53A 中間ポート付ターボ分子真空ポンプ
60 液体窒素温度付近のフィルタ
67 クライオポンプ
90 真空ポンプ
300 冷凍機
600 モニター装置
602 信号処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置において、
前記真空用チャンバーのうちロードロックチャンバー近辺の床面に真空ポンプを固定し、バルブと機械的振動を減衰吸収するダンパとを一体化してなる部材でロードロックチャンバーの排気口と前記真空ポンプの吸気口とを連通し、
前記真空ポンプは、ターボ分子真空ポンプ機能とドライポンプ機能とを一体化してなるものであることを特徴とする真空装置。
【請求項2】
ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法において、
液体窒素温度付近のフィルタを通過させた超ドライ窒素を真空用チャンバーに流す工程と、
超ドライ窒素の供給を止め、前記排気装置で前記真空用チャンバー内の超ドライ窒素を排出する工程とを有し、これら工程を少なくとも2回以上交互に繰り返すことを特徴とする真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法。
【請求項3】
ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、 前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法において、
前記排気装置がガスを排気する際、スターリングサイクルのパルス冷凍機を利用した冷却するフィルターを通過させる工程を有することを特徴とする真空装置における水蒸気分圧の急速低減方法。
【請求項4】
ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、 前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置における水蒸気分圧の上昇防止方法において、
前記真空用チャンバーのうちロードロックチャンバー内に液体窒素温度付近のフィルタを通過させた超ドライ窒素を大気圧以上にして供給する工程と、
前記超ドライ窒素の供給中にウェハーをロードロックチャンバー内に導入して、ロードロックチャンバー内に大気中の水分が浸入するのを防止する工程と、を備えたことを特徴とするロードロックチャンバー内の水蒸気分圧の上昇防止方法。
【請求項5】
前記超ドライ窒素を大気圧以上にして供給する工程において、
ウエハー導入口付近の上下に、当該ガス流が層流になるように、当該導入口を囲むようにスリット状または多数の穴のガス導入口を設けたことを特徴とする請求項4記載のロードロックチャンバー内の水蒸気分圧の上昇防止方法。
【請求項6】
ガス導入口と排気口とを有し外気遮断と雰囲気保持できる複数の真空用チャンバーと、 前記各真空用チャンバーに所望のガスを導入できるガス供給装置と、前記真空用チャンバー内のガスを排気して所定の雰囲気に保つ排気装置とを備えた真空装置において、
前記排気装置はターボ分子真空ポンプからなり、前記ターボ分子真空ポンプの翼の中間部分に翼を設けない空間を形成し、当該空間にクライオパネルを配置し、且つ、異方性熱伝導体をポンプケーシングに対して熱絶縁した状態で前記ポンプケーシングの内外に延長し、前記ポンプケーシング内側の異方性熱伝導体を前記クライオパネルに接続し、前記ポンプケーシング外側の前記異方性熱伝導体を冷却してなることを特徴とする真空装置用真空ポンプ。
【請求項7】
前記クライオパネルが、
当該クライオパネルの温度を一定温度に設定できる温度設定手段と、
前記温度設定手段により設定された温度を外部信号によるフィードバック制御するフィードバック制御手段とを備えたことを特徴とする請求項6記載の真空装置用真空ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−231938(P2007−231938A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−25914(P2007−25914)
【出願日】平成19年2月5日(2007.2.5)
【出願人】(598021579)BOCエドワーズ株式会社 (44)
【Fターム(参考)】