説明

窒化物半導体発光素子およびその製造方法

【課題】発光効率を向上させつつ多様な発光プロファイルを実現する構造体を提供する。
【解決手段】窒化物半導体発光素子は、活性層16を有する。活性層16は、InGayAl1−(x+y)N(0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)から構成されている。活性層16は、第一の障壁層23と、第一の障壁層23に積層され、島状の孔29が設けられた第二の障壁層24と、島状の孔29に埋め込まれた第一の井戸層25と、第二の障壁層24の上面に積層されている第二の井戸層26と、第一及び第二の井戸層25、26の上面に積層された第三の障壁層27と、を備える。第一の井戸層25及び第二の井戸層26が、いずれもインジウムを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物半導体発光素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
III族窒化物半導体は、直接遷移型のバンド構造を有する半導体であり、可視広域をカバーする発光素子の構成材料として検討されている。例えば半導体レーザにおいては、今日までに青紫色レーザは既に実用化されており、より波長の長い青色や緑色の波長域のレーザ光源について盛んに研究開発が進んでいる。
【0003】
窒化物半導体発光素子として、例えば特許文献1に記載されるようなインナーストライプ導波路型のものがある。図11は、インナーストライプ導波路型の窒化物半導体発光素子の活性層の概略構造を示す断面図である。図11では、InGaN井戸層98とアンドープGaN障壁層99とで構成される3周期多重量子井戸(MQW)層で構成される活性層が例示されている。図11で示す活性層を有する窒化物半導体発光素子では、青紫色の発光を実現することができる。
【0004】
なお、窒化物半導体発光素子ではないが、III−V族半導体発光素子として、特許文献2に記載のものがある。特許文献2では、n型InP層上に、微細な間隔で配置された断面台形形状のn型InP層を形成し、InGaAsが(111)面上には結晶成長しないことを利用して、n型InP層の平坦面上とn型InP層との間に挟まれた基板表面上に、それぞれInGaAs層を結晶成長することが記載されている。上記細線の形成においては、細線はいずれもSiO膜等の絶縁膜を用いた選択的結晶成長のみによって形成されるので、加工損傷の全くない細線を得ることができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−144374号公報
【特許文献2】特開平07−221392号公報
【特許文献3】特開2007−123731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、窒化物半導体発光素子において、緑色や赤色などの可視光域における長波長の発光を得るためには、青紫色や青色のものと比較してインジウム(In)組成が高い量子井戸層を有する発光層が必要であった。一方、量子井戸層のIn組成が高い場合、活性層の格子定数は大きくなり、下地層との格子定数差が大きくなる。そのため、発光層が有する結晶歪は大きくなり、結晶欠陥や転位の増殖など、結晶品質の低下が顕著となり、発光効率が低下する。
【0007】
発光効率の低下を抑制するためには、例えば高いIn組成を有する量子井戸層のサイズを小さくすることが有効な手段である。こうすることで、歪の絶対量を小さくすることが可能となり、歪に起因した結晶劣化を抑制することが可能となる。
【0008】
特許文献3の窒化物半導体素子では、発光層の量子井戸層としてInGaNからなる複数の量子ドットを形成し、量子ドットのサイズ、すなわち外径および高さが均一な構造を採用する。こうすることで、寸法に対応した波長の光を発することができる。また、量子ドットは、そのバンドギャップエネルギーが周囲の半導体のバンドギャップエネルギーより小さく、そのキャリアが閉じ込められるので、高い発光効率で発光させることができる。
【0009】
しかしながら、特許文献3では、下地の半導体層(クラッド層)をドライエッチングにより加工し、下地テンプレートを用いた選択成長により寸法制御して、量子ドットを形成している。このような手法では、外径および高さが均一な量子ドットが形成されるが、成長前に下地の半導体層の加工が必要であるため、製造工程が煩雑になっていた。また、ドライエッチングにより成長界面に不純物が混入するという問題があった。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、発光効率を向上させつつ多様な発光プロファイルを実現できる構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
InGayAl1−(x+y)N(0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)から構成された活性層を有し、
前記活性層は、
第一の障壁層と、
前記第一の障壁層に積層され、複数の開口部が設けられた第二の障壁層と、
前記複数の開口部に埋め込まれた第一の井戸層と、
前記第二の障壁層の上面に積層されている第二の井戸層と、
前記第一及び第二の井戸層の上面に積層された第三の障壁層と、
を備え、
前記第一の井戸層及び前記第二の井戸層が、いずれもインジウムを含む、窒化物半導体発光素子
が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、
InGayAl1−(x+y)N(0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)から構成された活性層を形成する工程を含み、
前記活性層を形成する前記工程は、
第一の障壁層にインジウムドロップレットを析出させる工程と、
インジウムドロップレットが析出された前記第一の障壁層に第二の障壁層を積層する工程と、
前記インジウムドロップレットを選択的に除去することで複数の開口部を前記第二の障壁層に設ける工程と、
前記複数の開口部に第一の井戸層を埋め込み、かつ、前記第二の障壁層の上面に第二の井戸層を積層する工程と、
前記第一及び第二の井戸層の上面に第三の障壁層を積層する工程と、
を含み、
前記第一の井戸層及び前記第二の井戸層が、いずれもインジウムを含む、窒化物半導体発光素子の製造方法
が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発光効率を向上させつつ多様な発光プロファイルを実現する構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子を模式的に示した断面図である。
【図2】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の活性層を模式的に示した断面図である。
【図3】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図である。(a)実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する平面図である。(b)は、(a)のA−B断面図である。
【図4】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図である。(a)実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する平面図である。(b)は、(a)のA−B断面図である。
【図5】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図である。(a)実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する平面図である。(b)は、(a)のA−B断面図である。
【図6】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図である。(a)実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する平面図である。(b)は、(a)のA−B断面図である。
【図7】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する図である。(a)実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の製造方法を説明する平面図である。(b)は、(a)のA−B断面図である。
【図8】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の活性層の変形例を模式的に示した断面図である。
【図9】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の活性層の変形例を模式的に示した断面図である。
【図10】実施の形態に係る窒化物半導体発光素子の活性層の変形例を模式的に示した断面図である。
【図11】関連する窒化物半導体発光素子の活性層を示した模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態の窒化物半導体発光素子10を示す断面図である。窒化物半導体発光素子10は、インナーストライプ導波路型の半導体レーザ素子である。窒化物半導体発光素子10は、基板12の主面上に、n型クラッド層13、発光層14、電流狭窄層19A,19B、p型クラッド層20およびp型コンタクト層21が積層された構造を有する。発光層14は、n型光ガイド層15、活性層16、p型キャップ層17およびp型光ガイド層18で構成されている。
【0017】
活性層16は、InGayAl1−(x+y)N(0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)から構成されている。図2は、活性層16を示す断面図である。活性層16は、第一の障壁層23と、第一の障壁層23に積層され、島状の孔29(複数の開口部)が設けられた第二の障壁層24と、島状の孔29に埋め込まれた第一の井戸層25と、第二の障壁層24の上面に積層されている第二の井戸層26と、第一及び第二の井戸層25、26の上面に積層された第三の障壁層27と、を備える。第一の井戸層25及び第二の井戸層26が、いずれもインジウムを含む。
【0018】
第二の障壁層24は、第一の障壁層23上に島状の孔29が形成されるように積層されている。換言すれば、島状の孔29は、第二の障壁層24に離間して形成された凹部であり、第一の障壁層23が島状の孔の底面23Aをなす。第一の井戸層25は、第二の障壁層24が積層されていない第一の障壁層23上に積層されている。また、第二の障壁層24の上面には、島状の孔29に対応する位置に孔が設けられた第二の井戸層26が形成されている。第一の井戸層25の層厚は、第二の障壁層24の層厚よりも小さい。このような構造を有することで、活性層16には、第一の井戸層25及び第二の井戸層26からなる不連続な量子井戸層が形成される。
【0019】
第三の障壁層27は、第一の井戸層25及び第二の井戸層26のそれぞれの上面に積層され、島状の孔29を埋め込むとともに、第二の井戸層26において島状の孔29と対応する位置に設けられた孔も埋め込む。第一の井戸層25と第二の井戸層26とが相補的な関係にあり、平面視では、第一の井戸層25と第二の井戸層26とからなる量子井戸層が、全面にわたって形成されている。
【0020】
第一及び第二の井戸層25、26は、第一、第二及び第三の障壁層23、24、27よりもバンドギャップエネルギーが小さい。第一及び第二の井戸層25、26は例えば窒化インジウムガリウム(InGa1−zN(0≦z≦1))からなる層とすることができる。第一及び第二の井戸層25、26のインジウム組成を高くすることでより長波長の発光を得ることができ、好ましくは、0.25≦z≦0.8とする。
【0021】
第一、第二、及び第三の障壁層23、24、27は、それぞれ、第一の井戸層25及び第二の井戸層26よりも大きなバンドギャップを有する層とすることができる。たとえば、第一、第二、及び第三の障壁層23、24、27は、窒化ガリウム(GaN)からなる層とすることができる。
【0022】
島状の孔の底面23Aの幅は、1nm〜100nmの範囲とすれば好ましく、1nm〜50nmとするとより好ましい。こうすることで、第一の井戸層25の積層方向と垂直な方向の底面幅を上記範囲とすることができ、歪による結晶劣化を有効に抑制することが可能となる。なお、本実施形態において、島状の孔の底面23Aの幅とは、島状の孔の底面23Aが円形であるときは、島状の孔の底面23Aの外径をいう。また、島状の孔の底面23Aが矩形であるときは、該矩形の一辺をいう。島状の孔の底面23Aの幅は、たとえば、TEM(透過型電子顕微鏡)により測定することができ、平均値±5%が上記範囲にあればよい。
【0023】
つづいて、窒化物半導体発光素子10の製造方法について図1乃至図7を用いつつ説明する。図3(a)、図4(a)、図5(a)、図6(a)および図7(a)は、平面図を示す。図3(b)は、図3(a)のA−B断面図である。図4(b)は、図4(a)のA−B断面図である。図5(b)は、図5(a)のA−B断面図である。図6(b)は、図6(a)のA−B断面図である。図7(b)は、図7(a)のA−B断面図である。まず、図1で示すように、n型III族窒化物半導体基板12を有機金属気相成長(MOCVD,Metal-Organic Chemical Vapor Deposition)装置に配置し、基板12主面上に、MOCVD法を用いてSiドープn型クラッド層13と、Siドープn型光ガイド層15を積層する。
【0024】
次に、以下の工程を行うことで活性層16を形成する。まず、n型光ガイド層15に第一の障壁層23を積層する。ついで、第一の障壁層23にTMIn(トリメチルインジウム)を供給しInドロップレット28を析出させる。こうすることで、図3(a)及び図3(b)に示すように、Inドロップレット28が堆積している領域23BとInドロップレット28が堆積していない領域23Cとが、第一の障壁層23上に設けられる。
【0025】
Inドロップレット28の析出は、例えば、MOCVD法において、InソースであるTMInを過剰に供給することで容易に行うことが可能である。Inドロップレット28のサイズや密度はTMInの供給量や成長温度などに依存する。そのため、適切な条件を選択することにより、所望のサイズのInドロップレット28を得ることができる。また、第一の障壁層23に対し、所望の密度でInドロップレット28を析出させることもできる。たとえば、Inドロップレット28の底面の幅を1nm〜100nm、好ましくは1〜50nmとすることで、結晶歪による結晶劣化を有効に抑制することができる。後述するように、Inドロップレット28の底面が島状の孔の底面23Aに対応することとなる。Inドロップレット28の底面の幅は、たとえば、AFM(原子間力顕微鏡)により測定することができ、平均値±5%が上記範囲にあればよい。
【0026】
ついで、Inドロップレット28をマスクとして第一の障壁層23に第二の障壁層24を選択成長する。こうすることで、図4(a)及び図4(b)に示すように、Inドロップレット28が堆積していない領域23Cの第一の障壁層23にのみ第二の障壁層24が積層される。
【0027】
ついで、図5(a)及び図5(b)に示すようにInドロップレット28を選択的に除去する。具体的には、MOCVD装置内に水素ガスを投入し、水素を含む雰囲気によるエッチングを行う。こうすることで、島状の孔29が第二の障壁層24に設けられる。
【0028】
ついで、図6(a)及び図6(b)に示すように、島状の孔29に第一の井戸層25を埋め込むとともに、第二の障壁層24上に、第二の井戸層26を形成する。
【0029】
ついで、第一の井戸層25及び第二の井戸層26の上面に第三の障壁層27を積層する。こうすることで、図7(a)及び図7(b)に示すように第二の障壁層24、第一の井戸層25及び第二の井戸層26を平坦に埋め込むことができる。
【0030】
ついで、図1に戻り、活性層16を積層後、Mgドープp型キャップ層17、Mgドープp型光ガイド層18を順次堆積する。ついで、AlN層を低温成長してアモルファスAlN層を堆積した後、得られた素子をMOCVD装置から取り出す。ついで、フォトリソグラフィ工程により、ストライプ状のエッチングマスクを形成し、ウエットエッチングによりストライプ状開口部をAlN層に形成する。こうすることで、電流狭窄層19A,19Bを形成することができる。
【0031】
ついで、この開口部を介して光ガイド層18上にp型クラッド層20を成長させる。p型クラッド層20は、たとえば、成長温度まで昇温し、GaN井戸層とMgドープAlGaNバリア層とを130周期分成長することで埋め込み成長させることができる。電流狭窄層19A,19Bは、電流狭窄と水平横モード制御という2つの機能を有しており、電流狭窄層19A,19B間の開口部の幅と電流狭窄層19A,19Bの厚みとをそれぞれ調整することで水平横モードを制御することができる。
【0032】
ついで、Mgドープp型コンタクト層21をp型クラッド層20に積層し、その後、p側電極22およびn側電極11を形成する。得られた半導体ウェハを劈開することにより、ファブリ・ペロー型の光共振器のミラー端面を形成する。こうすることで窒化物半導体発光素子10を作製することができる。
【0033】
上記のように本実施形態の窒化物半導体発光素子10では、Inドロップレット28を用いて作製することができ、絶縁膜を用いた選択成長を行わない。このように、成長層と同一の材料からなるマスクを用いることで、マスク除去後の成長界面の汚染を低減することができる。たとえば、一般的には、SiO絶縁膜が用いられているため、窒化物半導体発光素子10では、第一の障壁層23と第一の井戸層25との界面23Aにおけるシリコン(Si)濃度を減らすことができる。また、活性層16は、MOCVD装置から取り出すことなく作製することができる。そのため、成長炉外に取り出した場合に問題となる界面不純物の汚染による影響を受けにくい。そのため、成長界面23A、24A、26A(図2)において、炭素(C)や酸素(O)等の不純物の濃度も低減することができる。
【0034】
具体的には、第一の障壁層23と第一の井戸層25との界面23AにおけるSi、C及びOのそれぞれの濃度の合計をNとし、第一の障壁層23内のSi、C及びOのそれぞれ濃度の合計をNとしたとき、|N−N|≦1×1017cm−3とすることができ、より好ましくは1×1016cm−3以下とすることができる。また、第一の障壁層23と第一の井戸層25との界面23AにおけるSi、C及びOの濃度のそれぞれの合計をNとし、第一の井戸層25内のSi、C及びOの濃度のぞれぞれの合計をNとしたとき、|N−N|≦1×1017cm−3、より好ましくは1×1016cm−3以下とすることができる。
【0035】
なお、第一の障壁層23と第二の障壁層24との成長界面24Aや第二の障壁層24と第二の井戸層26との成長界面26Aにおいても、同様に、Si、C及びOのそれぞれの濃度の合計量を低減することができる。
【0036】
つづいて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態の窒化物半導体発光素子では、第一の井戸層25を埋め込む島状の孔29が第二の障壁層24に設けられ、第二の障壁層24の上面に第二の井戸層26が積層されている。これにより、本実施形態の窒化物半導体発光素子は、第一の井戸層25と第二の井戸層26との間に段差を有する構造体となり、量子井戸層の主面(成長面)の水平方向に不連続となる。したがって、連続の量子井戸層に対し結晶歪を低減しつつ、発光領域の面積を確保することができる。また、第一の井戸層25が島状の孔29に埋め込まれ、第二の井戸層26は、第二の障壁層24の上面に積層されている。これにより、第一の井戸層25と第二の井戸層26との大きさを容易に変動させて、一つの素子で異なる波長の発光を得ることができる。よって、発光効率を向上し、かつ、目的に応じた多様な発光プロファイルを実現できる構造体を提供することができる。
【0037】
また、本実施形態の窒化物半導体発光素子は、Inドロップレット28が析出された第一の障壁層23に第二の障壁層24を積層し、Inドロップレット28を選択的に除去することで島状の孔29を第二の障壁層24に設ける。Inドロップレット28は、MOCVD装置内でInドロップレットを除去することができるため、マスクの除去により、MOCVD装置外に素子を取り出す工程を省くことができる。したがって、装置外に取り出されることによる成長面の汚染を防ぐことができる。
【0038】
大気中に成長面を晒すと、大気中の酸素や二酸化炭素により汚染され、成長面のC及びO濃度の合計は、1×1019cm−3程度となる。さらに、従来のSiO絶縁膜をマスクとして選択成長させる方法では、シリコンの残留が問題となっていた。そのため、成長前に成長面を加工して成長面から不純物を除去する工程を必要としていた。成長面の加工は、ダメージによる欠陥の発生や微細構造の崩れなどが起こるという問題があり、微細な井戸層の形成を困難にしていた。
【0039】
一方、本実施形態の方法では、Inドロップレット28を用いるため、容易にエッチングすることができ、Inドロップレット28を確実に除去することができる。そのため、成長前に成長面を加工して成長面をクリーニングする工程を不要とし、微細な井戸層を形成することができる。また、Inドロップレット28は、成長層にも含まれるInを構成成分とするため、不純物プロファイルの低減を図れる。
【0040】
また、本実施形態では、島状の孔29に第一の井戸層25を埋め込む工程と、第二の障壁層24の上面に第二の井戸層26を形成する工程とを同時に行うため、同一プロセスで異なる波長の光を発光する量子井戸層を作製することができる。また、第一の井戸層25と第二の井戸層26とは、同一の組成からなるため、井戸層のサイズを変動させて多様な発光プロファイルを実現することができる。
【0041】
さらに、本実施形態では、Inドロップレット28のサイズや密度を制御することで、所望のサイズの第一の井戸層25及び第二の井戸層26を得ることができる。したがって、Inドロップレット28のサイズや密度を制御することで、目的の発光プロファイルを得ることもできる。また、単一波長の光を発光させることも可能である。
【0042】
また、Inドロップレット28の底面の幅を100nm以下とすることで、第一の井戸層25のサイズ(第一の井戸層25の積層方向と垂直な方向の底面幅)を100nm以下とすることができる。したがって、第一及び第二の井戸層25、26が高いIn組成を有する場合であっても、結晶歪の総量を低減することが可能となる。したがって、結晶品質の低下を効果的に抑えることが可能となる。
【0043】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0044】
たとえば、第一の井戸層25と第二の井戸層26の組からなる層が、複数形成されていてもよい。この場合は、第三の障壁層27上にInドロップレットを形成し、図3乃至図7で説明した工程を繰り返し行えばよい。第一の井戸層25及び第二の井戸層26を繰り返し形成させることで、高輝度発光の構造体を得ることが可能となる。
【0045】
また、上記の実施形態では、第一の井戸層25は100nm以下に分断された形態となっているが、連続していても構わない。
【0046】
また、図8に示すように、第二の障壁層24の主面上に限らず、主面と異なる斜面及び側壁に第三の井戸層25Aを形成しても良い。第三の井戸層25Aもまたインジウムを含む層である。第三の井戸層25Aもまた、第一、第二及び第三の障壁層23、24、27よりもバンドギャップが小さい層である。
【0047】
第一主面と異なる斜面や側壁は主面と異なる面方位を有する。そのため、適切な成長条件を選択することで第三の井戸層25AのIn組成を第一の井戸層25のIn組成よりも小さくすることができる。また、適切な成長条件を選択することで第三の井戸層25Aの層厚を第一の井戸層25と比較して小さくすることもできる。こうすることによって、結晶歪をさらに低減することができ、結晶品質の低下を効果的に抑えることが可能となる。図1の活性層16を図8で示す活性層36に置き換えても、本実施形態で示す同様な効果を得ることができる。
【0048】
また、図9に示すように、第一の井戸層25Bを第一の障壁層23に埋め込んでもよい。この場合、第一の障壁層23がInを含む層とする。これにより、Inドロップレット28の除去とともに、第一の障壁層23をエッチングすることができる。そのため、第一の障壁層23に島状の孔29が設けられる。ついで、実施の形態において図6及び図7を用いて説明した操作と同様な操作を行うことで、図9に示す活性層46を得ることができる。図1の活性層16を図8で示す活性層46に置き換えても、結晶歪による結晶品質の低下抑制効果を同様に得ることが可能である。
【0049】
また、図10(a)に示すように、島状の孔29Aを第二の障壁層24に埋め込んでもよい。こうすることで、第一の井戸層25Cを第二の障壁層24上に形成することができる。したがって、この変形例によれば、Inを含む量子井戸層を水平方向だけでなく積層方向にランダムに配置することができる。活性層56は、図10(b)の構造を作製した後、図5乃至図7を用いて説明した操作と同様な操作を行うことで、作製することができる。図10(b)の構造は、Inドロップレット28を第一の障壁層23に堆積するとともに、第二の障壁層24を第一の障壁層23上に成長させることで作製することができる。図1の活性層16を図10(a)で示す活性層56に置き換えても、結晶歪による結晶品質の低下抑制効果を同様に得ることが可能である。
【0050】
上記の実施形態では第一、第二及び第三の障壁層23、24、27は全て等しい組成の形態であるが、これに限定されるものではない。例えば、第二の障壁層24を第一及び第三の障壁層23、27よりも大きなバンドギャップを有する層とする事も可能である。このような構成とする事で、第二の障壁層24が積層されていない島状の孔の底面23Aに積層された第一の井戸層25に効率良く電流が注入される。
【0051】
なお、第一の井戸層25内の不純物濃度は、第一の障壁層23内の不純物濃度よりも高くてもよいし、同じであってもよいし、低くてもよい。島状の孔29の底面23Aは、第一の障壁層23または第一の井戸層25内の不純物濃度より高くてもよいし、低くてもよい。また、成長界面24Aは、第一の障壁層23または第二の障壁層24内の不純物濃度より高くてもよいし、低くてもよい。また、成長界面26Aは、第二の障壁層24または第二の井戸層26内の不純物濃度より高くてもよいし、低くてもよい。
【0052】
また、上記の実施形態は、インナーストライプ導波路型レーザ素子に関するが、リッジ導波路型レーザ素子に関しても同様に適用可能である。
【0053】
また、上記の実施形態は、半導体レーザに関するが、これに限定されるものではない。たとえば、半導体発光ダイオードにおける活性層についても同様に適用することが可能である。
【0054】
また、島状の孔のサイズの均一性は、均一である場合、発光波長幅が狭い素子を得ることができる。一方、島状の孔が顕著に不均一である場合、発光波長幅が大きい発光素子を得ることが可能となる。そのため、用途に応じて島状の孔のサイズの均一性を選択する事ができる。
【0055】
上記の実施形態では、電流狭窄層19A,19Bとして、アンドープのAlN層にシリコンや酸素のn型不純物をドーピングして得られる層を使用してもよいし、あるいは、GaN層にシリコンや酸素のn型不純物をドーピングして得られる層を使用してもよい。
【実施例】
【0056】
以下に、具体例を挙げて、本発明に係る窒化物半導体発光素子とその製造方法に関して、より詳しく説明する。
【0057】
図1及び図2で示す構成を有する半導体レーザ素子を作製した。n型III族窒化物半導体基板12として、c面を主面とするn型GaN基板を用いた。また、窒化物半導体発光素子10の作製には、MOVPE(Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)法を用いた。キャリアガスには水素と窒素の混合ガスを用い、Ga、Al、Inソースとしてそれぞれトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMIn)をそれぞれ使用した。n型ドーパントを導入するためにシラン(SiH)を使用し、p型ドーパントを導入するためにビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)を使用した。
【0058】
n型III族窒化物半導体基板12をMOVPE装置に投入し、基板の主面上に、Siドープn型Al0.05Ga0.95N(Si濃度:4×1017cm−3、厚さ:2μm)からなるn型クラッド層13と、Siドープn型GaN(Si濃度:4×1017cm−3、厚さ:0.1μm)からなるn型光ガイド層15を順次堆積した。GaN成長は基板温度1080℃、TMG供給量58μmol/min、NH供給量0.36mol/minにて行い、AlGaN成長は、基板温度1080℃、TMA供給量36μmol/min、TMG供給量58μmol/min、NH供給量0.36mol/minにて行った。
【0059】
次に基板温度を降温し、GaN(厚さ14nm)からなる第一の障壁層23を堆積した。その後、TMInを供給し直径約50nmのInドロップレット28を堆積させた。その後、GaN(厚さ5nm)からなる層を堆積させた。GaN層の成長は、基板温度700℃、TMG供給量8μmol/min、NH供給量0.36mol/minとした。なお、TMIn供給量は井戸層で48μmol/minとした。
【0060】
Inドロップレット28の堆積は、基板温度700℃、TMIn供給量96μmol/min、NH供給量0.36mol/minとし、2分間行った。
【0061】
次に、GaN(アンドープ、厚さ5nm)からなる第二の障壁層24を堆積した。第二の障壁層24の成長は、基板温度700℃、TMG供給量8μmol/min、NH供給量0.36mol/minとして行った。
【0062】
次に、水素ガスによるエッチングを行い、Inドロップレット28を除去した。水素ガスによるエッチングは、基板温度700℃、NH供給量0.36mol/min、H供給量0.04mol/minとし、1分間行った。
【0063】
次に、In0.25Ga0.85N(アンドープ、厚さ:3nm)からなる第一及び第二の井戸層25、26を積層した。第一及び第二の井戸層25、26の成長には、基板温度700℃、TMG供給量8μmol/min、TMIn供給量48μmol/min、NH供給量0.36mol/minとして行った。
【0064】
次に、GaN(アンドープ、厚さ14nm)からなる第三の障壁層27を島状の孔29が埋め込まれるように積層した。第三の障壁層27の成長は、基板温度700℃、TMG供給量8μmol/min、NH供給量0.36mol/minとして行った。
【0065】
次いで、基板温度を1080℃に昇温し、昇温後、Mgドープp型Al0.2Ga0.8Nからなるp型キャップ層17、Mgドープp型GaN(Mg濃度:2×1019cm−3、厚さ:0.1μm)からなるp型光ガイド層18を順次堆積した。
【0066】
その後、基板温度を400℃まで降温させ、p型光ガイド層18上に低温成長AlN層(厚さ:100nm)を成長させた。その後、素子をMOVPE装置から取り出し、フォトリソグラフィ工程により、幅1.5ミクロン程度のストライプ状のエッチングマスクを形成し、90℃のりん酸と硫酸の体積1:1の混合溶液を用いたウエットエッチングによりストライプ状開口部をAlN層に形成した。この結果、電流狭窄層19A,19Bが形成された。
【0067】
次いで、素子を再びMOVPE装置に投入し、成長温度である1100℃まで昇温し、GaNウェル層(厚さ:2.5nm)とMgドープAl0.1Ga0.9Nバリア層(Mg濃度:1×1019cm−3、厚さ:2.5nm)とを130周期分成長したp型クラッド層20を埋め込み成長し、Mgドープp型GaN(Mg濃度:1×1020cm−3、厚さ:0.02μm)からなるp型コンタクト層21を積層した。
【0068】
その後、p側電極22およびn側電極11が真空蒸着法とアロイ処理により形成された。この結果得られた半導体ウェハを劈開することにより、ファブリ・ペロー型の光共振器のミラー端面を形成した。
【0069】
上記の如く作製された半導体レーザ素子の不純物濃度を測定した。具体的には、第一の障壁層23及び第一の井戸層25のそれぞれの層内、第一の障壁層23と第一の井戸層25との成長界面23AにおけるSi、C及びOのそれぞれの濃度をSIMS(secondary ion mass spectrometry)法により測定した。各層内と成長界面23Aとで,Si、C及びOの濃度の合計量を比較したところ、島状の孔の底面23Aと第一の障壁層23内との差がいずれも1×1017cm−3以下であった。また、成長界面23Aと第一の井戸層25内との差がいずれも1×1017cm−3以下であった。
【0070】
また、レーザ特性を測定したところ、活性層における結晶欠陥や転位の増殖など、結晶品質の低下は顕著に見られず、良好なレーザ特性が得られた。
【0071】
本発明の他の態様について以下に説明する。
(1)第一の半導体層と、第一の半導体層上に島状の孔が形成されるように積層された第二の半導体層と、第二の半導体層上及び第二の半導体層が積層されていない島状の孔の底面である第一の半導体層上に積層された第三の半導体層と、島状の孔が形成されている第二及び第三の半導体層を埋め込むように積層された第四の半導体層と、を含む活性層を有し、前記第三の半導体層が前記第一及び第二及び第四の半導体層よりも小さなバンドギャップを有するInを含む層であることを特徴する窒化物半導体発光素子。
(2)(1)に記載の窒化物半導体発光素子であって、第二の半導体層が積層されていない島状の孔の底面である第一の半導体層の積層方向と水平方向の直径が100nm以下であることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
(3)第一の半導体層と、第一の半導体層上に島状の孔が形成されるように積層された第二の半導体層と、第二の半導体層上及び第二の半導体層の主面と異なる斜面及び側壁と第二の半導体層が積層されていない島状の孔の底面である第一の半導体層上に積層された第三の半導体層と、島状の孔が形成されている第二及び第三の半導体層を埋め込むように積層された第四の半導体層と、を含む活性層を有し、前記第三の半導体層が前記第一及び第二及び第四の半導体層よりも小さなバンドギャップを有するInを含む層であることを特徴する窒化物半導体発光素子
(4)(3)に記載の窒化物半導体発光素子であって、第二の半導体層が積層されていない島状の孔の底面である第一の半導体層の積層方向と水平方向の直径が100nm以下であることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
(5)(3)または(4)に記載の窒化物半導体発光素子であって、第二の半導体層の主面と異なる斜面及び側壁上に積層された第三の半導体層のIn組成が、第二の半導体層の主面上及び第二の半導体層が積層されていない島状の孔の底面である第一の半導体層上に積層された第三の半導体層のIn組成よりも小さいことを特徴とする窒化物半導体発光素子。
(6)(3)または(4)に記載の窒化物半導体発光素子であって、第二の半導体層の主面と異なる斜面及び側壁上に積層された第三の半導体層の層厚が、第二の半導体層の主面上及び第二の半導体層が積層されていない島状の孔の底面である第一の半導体層上に積層された第三の半導体層の層厚よりも薄いことを特徴とする窒化物半導体発光素子
(7)第一の半導体層を積層する工程と、Inドロップレットを析出させる工程と、析出したInドロップレットをマスクとして第二の層を選択成長する工程と、Inドロップレットを選択的に除去する工程と、を順次行うことにより孔を形成する第一の工程と、第一の工程の後に、第三の層を成長する工程と、第二及び第三の半導体層を埋め込むように第四の層を積層する工程と、を順次行うことにより、分割された発光層を形成する第二の工程を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子の作製方法。
(8)(7)に記載の半導体発行素子の作製方法において、孔の直径が100nm以下であることを特徴とする窒化物半導体発光素子の作製方法。
【0072】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 窒化物半導体発光素子
11 n側電極
12 基板
13 n型クラッド層
14 発光層
15 n型光ガイド層
16 活性層
17 p型キャップ層
18 p型光ガイド層
19A,19B 電流狭窄層
20 p型クラッド層
21 p型コンタクト層
22 p側電極
23 第一の障壁層
23A 成長界面(島状の孔の底面)
23B Inドロップレットが堆積している領域
23C Inドロップレットが堆積していない領域
24 第二の障壁層
24A 成長界面
25 第一の井戸層
25A 第三の井戸層
25B 第一の井戸層
25C 第一の井戸層
26 第二の井戸層
26A 成長界面
27 第三の障壁層
28 Inドロップレット
29 島状の孔
29A 島状の孔
36 活性層
46 活性層
56 活性層
98 井戸層
99 障壁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
InGayAl1−(x+y)N(0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)から構成された活性層を有し、
前記活性層は、
第一の障壁層と、
前記第一の障壁層に積層され、複数の開口部が設けられた第二の障壁層と、
前記複数の開口部に埋め込まれた第一の井戸層と、
前記第二の障壁層の上面に積層されている第二の井戸層と、
前記第一及び第二の井戸層の上面に積層された第三の障壁層と、
を備え、
前記第一の井戸層及び前記第二の井戸層が、いずれもインジウムを含む、窒化物半導体発光素子。
【請求項2】
前記第一の障壁層と前記第一の井戸層との界面におけるシリコン、炭素及び酸素のそれぞれの濃度の合計をNとし、
前記第一の障壁層内のシリコン、炭素及び酸素のそれぞれの濃度の合計をNとしたとき、
|N−N|≦1×1017cm−3である、請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項3】
前記第一の障壁層と前記第一の井戸層との界面におけるシリコン、炭素及び酸素のそれぞれの濃度の合計をNとし、
前記第一の井戸層内のシリコン、炭素及び酸素の濃度のそれぞれの合計をNとしたとき、
|N−N|≦1×1017cm−3である、請求項1または2に記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項4】
前記開口部の底面の幅が100nm以下である、請求項1乃至3いずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項5】
前記第二の障壁層の主面と異なる斜面及び側壁に積層されたインジウムを含む第三の井戸層を有し、
前記第三の井戸層のインジウム組成が前記第一の井戸層のインジウム組成よりも小さい、請求項1乃至4いずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項6】
前記第二の障壁層の主面と異なる斜面及び側壁に積層されたインジウムを含む第三の井戸層を有し、
前記第三の井戸層の層厚が、前記第一の井戸層の層厚よりも薄い、請求項1乃至5いずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項7】
前記第一の障壁層が、インジウムを含み、かつ、前記複数の開口部が設けられている、請求項1乃至4いずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
【請求項8】
InGayAl1−(x+y)N(0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)から構成された活性層を形成する工程を含み、
前記活性層を形成する前記工程は、
第一の障壁層にインジウムドロップレットを析出させる工程と、
インジウムドロップレットが析出された前記第一の障壁層に第二の障壁層を積層する工程と、
前記インジウムドロップレットを選択的に除去することで複数の開口部を前記第二の障壁層に設ける工程と、
前記複数の開口部に第一の井戸層を埋め込み、かつ、前記第二の障壁層の上面に第二の井戸層を積層する工程と、
前記第一及び第二の井戸層の上面に第三の障壁層を積層する工程と、
を含み、
前記第一の井戸層及び前記第二の井戸層が、いずれもインジウムを含む、窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記インジウムドロップレットを析出させる前記工程において、前記インジウムドロップレットの底面の幅を100nm以下に形成する、請求項8に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項10】
前記第二の障壁層を積層する前記工程において、前記インジウムドロップレットを前記第一の障壁層上に堆積させるとともに、前記第二の障壁層を前記第一の障壁層上に積層する、請求項8または9に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項11】
前記第一の障壁層を形成する前記工程において、インジウムを含む前記第一の障壁層を形成し、
前記複数の開口部を前記第二の障壁層に設ける前記工程において、前記インジウムドロップレットを選択的に除去しつつ前記複数の孔を前記第一の障壁層に設ける、請求項8乃至10いずれかに記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−182977(P2010−182977A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26707(P2009−26707)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「エネルギー使用合理化技術戦略的開発/エネルギー有効利用基盤技術先導研究開発/ディスプレイ用可視光半導体レーザの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】