説明

端子構造およびその作製方法、ならびに電子装置およびその作製方法

【課題】レーザビームの照射以外の手段で、補強材を含むプリプレグを硬化することで形成された絶縁膜に開口を形成した端子構造およびその作製方法、ならびに電子装置およびその作製方法を提供する。
【解決手段】端子部を構成する凸部120を有する導電体を形成する。補強材を有する未硬化のプリプレグ130をこの導電体に密着させ、プリプレグ130を硬化して、補強材131を含む絶縁膜140を形成する。プリプレグ130を密着させる際に、凸部120に密着している領域にプリプレグ130の厚さが他の領域よりも薄い部分を形成することができる。そして、この絶縁膜全体の厚さを薄くすることで、膜厚が薄い部分に開口143を形成することができる。この薄膜化はエッチングで行うことができる。また、この工程で補強材131を除去しないことが好ましい。開口143に補強材131を残すことで端子および電子装置の強度を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、絶縁膜で覆われた導電体を含む端子構造について説明する。また、このような構造の端子を備えた電子装置について説明する。
【背景技術】
【0002】
ガラス繊維、ガラスフィラーなどの補強材を含んだプリプレグを硬化することで形成された樹脂層が、プリント配線や電子装置などの支持体、絶縁膜、および保護材などに適用されている(例えば、特許文献1−4参照)。また、配線の多層化のため、外部との電気的な接続部を形成するために、プリプレグからなる樹脂層には、この層を貫通する開口が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、プリント配線基板の絶縁層をプリプレグで形成し、この絶縁層にレーザー加工、ドリル加工、および抜き打ち加工で開口を形成することが記載されている。
【0004】
また、特許文献2、3には、硬化されたプリプレグで封止された電子装置に接続端子を形成するために、レーザビームを照射する工程、あるいはフォトリソグラフィー工程を適用することで、硬化されたプリプレグに開口を形成することが記載されている。
【0005】
また、特許文献4には、プリプレグで電子部品の支持体を形成すること、および、電子部品と同部品に電気的に接続する導電体とを埋め込んだ樹脂層を形成し、この樹脂層の表面を研削することで、導電体を露出させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−091822号公報
【特許文献2】特開2008−257710号公報
【特許文献3】特開2008−262547号公報
【特許文献4】特開2002−290006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
補強材を含んだプリプレグを用いることで、補強材を含んだ樹脂膜で電子素子を封止することができるので、電子素子の強度を向上させることができる。その反面、電子素子の取り出し端子を封止膜から露出させるために封止膜に開口を形成する場合には、樹脂膜と共に補強材をも除去する必要がある。樹脂膜に開口を形成するには、この補強材は厄介である。
【0008】
特許文献1に記載されているように、プリプレグから形成された樹脂膜に開口を形成するには、ドリル加工、パンチング加工、レーザビームによる加工が用いられている。電子素子を封止している樹脂膜に開口を形成するには、電子素子を損傷させないようにするため、ドリル加工やパンチング加工は不向きであり、レーザビームによる加工が採用されている。
【0009】
しかしながら、レーザビームによる開口工程は時間を要する工程であり、また樹脂層と補強材双方が除去されているかの判断が難しく、熟練を要する工程である。そのため、加工者の習熟度により、樹脂層および/または補強材の除去不足や、開口によって露出される領域の面積のばらつきが生じやすい。このため、開口を経て電気的に接続されている2つの導電体の接続抵抗値がばらつき、設計値通りの電気的特性を備えた電気素子を作製することを困難にしている。
【0010】
また、レーザビームによる開口工程は、ドリル加工やパンチング工程と比較し、電子素子への機械的な衝撃は小さいが、レーザビームのエネルギーによって電子素子の性能を劣化させる可能性を完全に排除することができない。本願の発明者らの研究において、寸法の小さな電子素子、および駆動電圧値が低い高性能な電子素子については、封止層の開口工程でのレーザビームの照射が原因と考えられる電子素子の特性劣化が、発見されることがあった。
【0011】
本明細書の技術的課題の1つは、補強材を含むプリプレグを硬化することで形成された絶縁膜を含む端子構造の信頼性を向上することである。
【0012】
また、他の1つの技術的課題は、補強材を含むプリプレグを硬化することで形成された絶縁膜に、レーザビームの照射以外の手段で、開口を精度良く形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係る端子構造は、第1の導電体と、第1の導電体を覆い、補強材を含む樹脂膜と、樹脂膜の第1の導電体に重なる領域に形成され、かつ補強材が存在している開口と、開口において第1の導電体に接している第2の導電体とを有する。
【0014】
また、本発明の一態様に係る電子装置は、絶縁膜と、絶縁膜に覆われている1または複数の電子素子と、絶縁膜上に形成され、電子素子の少なくとも1つに電気的に接続される導電体と、第1の絶縁膜および導電体を覆っており補強材を含む樹脂膜と、樹脂膜の導電体に重なる領域に形成され、かつ補強材が存在している開口とを有する。本態様では、電子素子に電気的に接続されている導電体を導通領域として、アンテナ、配線基板、集積回路などの他の電子装置と電気的に接続することが可能である。
【0015】
また、この態様に係る電子装置には、開口において導電体に密着している他の導電体を設けることができる。
【0016】
また、開口が形成される膜として、補強材を含まない樹脂膜を適用することができる。
【0017】
本発明の一態様に係る電子装置は、第1の絶縁膜上に形成されている複数の電子素子を含む回路と、複数の電子素子を覆う第2の絶縁膜と、第2の絶縁膜上に形成され、電子素子の少なくとも1つに電気的に接続されている第1の導電体と、第1の補強材を含み、第2の絶縁膜および第1の導電体を覆う第1の樹脂膜と、第1の樹脂膜の第1の導電体に重なる領域に形成され、かつ第1の補強材が存在している開口と、開口において、第1の導電体に接する第2の導電体と、第2の補強材を含み、複数の電子素子の第1の絶縁膜側を覆う第2の樹脂膜とを有する電子装置である。例えば、第2の導電体には、アンテナを電気的に接続することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る端子構造の作製方法は、絶縁表面に凸部を有する導電体を形成することと、絶縁表面および導電体の表面に補強材を含むプリプレグを密着させて、プリプレグにおいて、導電体に密着している領域にプリプレグの厚さが他の領域よりも薄い部分を形成することと、絶縁表面および導電体の表面に密着されたプリプレグを硬化して、補強材を含む絶縁膜を形成することと、補強材を除去せずに絶縁膜を薄くして、第1の導電体に重なる開口を絶縁膜に形成することと、開口において第1の導電体に接している第2の導電体を形成することと、を有する。
【0019】
上記態様では、レーザビームの照射以外の手段で、補強材を含むプリプレグを硬化することで形成された絶縁膜に、開口を精度良く、また容易に形成することが可能である。それは、この態様では、開口が形成される位置は、凸部を有する導電体を形成する位置によりセルフアライン的に決定することができるからである。また、開口が形成される位置の精度は、凸部を有する導電体を形成する位置の精度で確保することができるからであり、また、開口の形状やその大きさは、この導電体の高さや形状で制御することができるからである。よって、開口を形成する工程では、レーザビームの照射位置を決定するような精度の高い位置合わせを行う必要がない。
【0020】
また、この態様において、補強材を含まない未硬化の樹脂膜を硬化させることで絶縁膜を形成することも可能である。この場合でも、上述の効果を得ることができる。
【0021】
本発明の一態様に係る電子装置の作製方法は、電子素子の少なくとも1つに電気的に接続されている凸部を有する導電体を第1の絶縁膜上に形成することと、第1の絶縁膜の上面および導電体の表面に補強材を含むプリプレグを密着させて、プリプレグにおいて、導電体に密着している領域にプリプレグの厚さが他の領域よりも薄い部分を形成することと、第1の絶縁膜の上面および導電体の表面に密着されたプリプレグを硬化して、補強材を含む第2の絶縁膜を形成することと、補強材を除去せずに第2の絶縁膜を薄くして、導電体に重なる開口を第2の絶縁膜に形成することを有する。
【0022】
よって、上記態様に係る電子装置の作製方法においても、上述したように、補強材を含むプリプレグを硬化することで形成された絶縁膜に、レーザビームの照射以外の手段で、精度良く、また容易に開口を形成することが可能である。
【0023】
また、上記態様に係る作製方法において、補強材を含む絶縁膜を薄くする工程で、導電体の一部が除去されてもよい。また、エッチングによりこの絶縁膜を薄くすることで、この絶縁膜に開口を形成することができる。
【0024】
また、上記態様に係る作製方法に、導電体に電気的に接続されている他の導電体を形成する工程を付加することができる。
【0025】
また、上記態様に係る作製方法において、電子素子がその作製時に使用された基板に設けられている場合、この基板を分離する工程を行ってもよい。例えば、この工程は、第2の絶縁膜を形成して、電子素子がこの第2の絶縁膜で封止された状態で行うことが好ましい。この場合、基板の分離は第2の絶縁膜に開口を形成する前に行ってもよいし、または、開口を形成した後に行ってもよい。
【発明の効果】
【0026】
補強材を含む樹脂膜に形成されている開口に補強材を存在させることで、端子、および電子装置の強度を高めることができる。
【0027】
また、補強材を含む絶縁膜(硬化されたプリプレグ)に開口を形成する位置の精度は、凸部を有する導電体を形成する位置の精度によりセルフアライン的に確保され、また、開口の形状やその大きさは、この導電体の高さや形状で制御することができる。したがって、レーザビームの照射以外の手段で、補強材を含む絶縁膜に開口を精度良く、また容易に形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】A−D:本発明の一態様に係る電子装置の作製方法の一例を説明する断面図。
【図2】A−C:図1Dに続く工程の一例を説明する断面図。
【図3】A、B:図2Cに続く工程の一例を説明する断面図。
【図4】A−C:図3Aに続く工程の一例を説明する断面図。
【図5】A−C:図3Aに続く工程の一例を説明する断面図。
【図6】A:図1Dのプリプレグに適用されるシート状繊維体の構成の一例を説明する平面図。B:切断線A1−A2に沿った図6Aの断面図。
【図7】図1Dのプリプレグに適用されるシート状繊維体の構成の一例を説明する平面図。
【図8】図1Dのプリプレグに適用されるシート状繊維体の構成の一例を説明する平面図。
【図9】本発明の一態様に係る電子装置の構成例を説明するブロック図。
【図10】本発明の一態様に係る電子装置の構成例を説明するブロック図。
【図11】本発明の一態様に係る電子装置の構成例を説明するブロック図。
【図12】A−D:本発明の一態様に係る電子装置の作製方法の一例を説明する断面図。
【図13】A−D:図12Dに続く工程の一例を説明する断面図。
【図14】A−C:図13Dに続く工程の一例を説明する断面図。
【図15】A、B:図14Cに続く工程の一例を説明する断面図。
【図16】A、B:図15Bに続く工程の一例を説明する断面図。
【図17】図16Bに続く工程の一例を説明する断面図。
【図18】A:図17に続く工程の一例を説明する断面図であり、電子装置の構成例を説明する断面図である。B−D:図18Aの電子装置の構成例を説明する平面図。
【図19】A、B:図14Cに続く工程の他の構成例を説明する断面図。
【図20】A、B:図19Bに続く工程の一例を説明する断面図。
【図21】A、B:図20Bに続く工程の一例を説明する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を用いて、本明細書で開示される発明を実施するための形態を説明する。なお、本明細書で参照される図面において、異なる図面間で同じ符号が付されている構成要素は、同一の構成要素を表している。そのため、このような構成要素に関する説明は、重複するため、省略することがある。
【0030】
また、本明細書で開示される発明の態様は、実施の形態の記載内容に限定されるものではなく、様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。つまり、本明細書で開示される発明は、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるべきではない。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、硬化したプリプレグからなる樹脂膜または補強材を含む絶縁膜で覆われている端子構造とその作製方法について説明する。さらに、本実施の形態では、このような構造の端子を備えた電子装置およびその作製方法についても説明する。
【0032】
本実施の形態の端子構造は、第1の導電体と、第1の導電体を覆い、補強材を含む樹脂膜と、樹脂膜の第1の導電体に重なる領域に形成され、かつ補強材が存在している開口と、開口において第1の導電体に接している第2の導電体とを有する。
【0033】
この端子構造において、第1の導電体は、例えば、絶縁表面上に形成される。絶縁表面は、例えば、CVD法やPVD法などの堆積法、酸化処理などで形成された絶縁膜、樹脂基板、樹脂フィルム、ガラス基板、石英基板などの絶縁物の表面が挙げられる。
【0034】
本実施の形態の電子装置は、少なくとも1つの電子素子、この電子素子の少なくとも1つに電気的に接続される凸状または凸部を備えた第1の導電体、補強材を含み、電子素子および第1の導電体を覆う樹脂膜と、樹脂膜の第1の導電体に重なる領域に形成され、かつ補強材が存在している開口、および、開口において第1の導電体に電気的に接続されている第2の導電体を有している。
【0035】
以下、図1A乃至図5Cを参照して、本実施の形態の端子構造および電子装置の作製方法を説明し、合わせてこれらの構成について説明する。
【0036】
図1Aに示すように、絶縁膜101を介して、少なくとも1つ以上の電子素子110が作製されている基板100を用意する。電子素子110については特段の制約はなく、種類、構造、個数および作製方法などを実施者が決定することができる。例えば、電子素子110の具体例として、トランジスタ、抵抗素子、整流素子、容量素子、記憶素子、光電変換素子、発光素子、センサ素子および配線基板などが挙げられる。
【0037】
図1Aには、電子素子110の一例としてSOI構造のトランジスタが図示され、図面が煩雑にならないように、トランジスタの数を1つにしている。図1Aに示すように、絶縁膜101上には、トランジスタの半導体層111、そのゲート電極として機能する導電膜112、ならびにソース電極および/またはドレイン電極として機能する導電膜113が形成されている。ここでは、絶縁膜101は、トランジスタの下地絶縁膜として機能する膜である。半導体層111には、少なくともチャネル形成領域、ソース領域およびドレイン領域が形成されている。トランジスタの半導体層111は絶縁膜102に覆われ、絶縁膜102上に導電膜112が形成されている。ここでは、トランジスタのゲート絶縁膜は絶縁膜102で形成される。導電膜112は絶縁膜103に覆われており、絶縁膜103上に導電膜113が形成されている。
【0038】
基板100には、半導体基板、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、ステンレス基板、金属基板、などの基板を用いることができる。半導体基板としては、インゴットをスライスしたシリコンウエハ、絶縁膜を介して単結晶半導体層が基板上に形成されているSOI基板などを用いることができる。また、基板100にインゴットをスライスしたシリコンウエハを適用した場合は、シリコンウエハ(基板100)に半導体領域を含む電子素子110を作製することができる。
【0039】
絶縁膜101−103は単層構造でも積層構造でもよい。絶縁膜101−103を構成する絶縁膜は、電子素子110の作製工程の条件、およびこれらの膜の機能を考慮して選択される。例えば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化ゲルマニウム膜、窒化ゲルマニウム膜、酸化窒化ゲルマニウム膜、窒化酸化ゲルマニウム膜などのシリコンおよび/またはゲルマニウムを組成に含む絶縁膜を用いることができる。また、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウムなどの金属酸化物でなる絶縁膜、窒化アルミニウムなどの金属窒化物でなる絶縁膜、酸化窒化アルミニウムなどの金属酸化窒化物でなる絶縁膜、窒化酸化アルミニウムなどの金属窒化酸化物でなる絶縁膜を用いることもできる。また、アクリル、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテンなどの樹脂材料でなる樹脂膜を用いることもできる。なお、本明細書では、酸化窒化物とは、窒素よりも酸素の含有量が多い物質であり、窒化酸化物とは酸素よりも窒素の含有量が多い物質である。
【0040】
これら絶縁膜の形成方法は、代表例は次の方法があり、PECVD(プラズマ励起CVD)法・熱CVD法などのCVD法(化学気相成長法)、スパッタ法・蒸着法などのPVD法(物理気相成長法)、ALD法(原子層堆積法)、スピンコート法・液滴吐出法・ディップコート法などの液体状またはペースト状の材料から膜を形成する方法、ならびに、プラズマや熱などによる固相酸化処理および固相窒化処理などがある。
【0041】
また、導電膜112、113は単層構造または積層構造でもよい。導電膜112、113を構成する膜には、例えば、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、クロム、ニオブ、金、銀、銅、プラチナ等から選択された単体金属を主成分とする金属膜、合金膜、および金属化合物膜などがある。例えば、金属膜には、銅膜、純アルミニウム膜、およびSi、Nbなどを添加したアルミニウム膜がある。合金膜には、アルミニウム−銅合金膜、アルミニウム−ネオジム合金膜がある。金属化合物膜には、窒化チタン膜、窒化タングステン膜などの金属窒化物膜、ニッケルシリサイド膜、コバルトシリサイド膜などのシリサイド膜がある。これらの導電膜は、スパッタ法・蒸着法などのPVD法、印刷法・液滴吐出法・ディップコート法などの液体状またはペースト状の材料から膜を形成する方法、ハンダ法、ならびに、メッキ法などで形成することができる。
【0042】
次に、図1Bに示すように、電子素子110を覆って、絶縁膜104を形成し、絶縁膜104上に、電子素子110の導電膜113に電気的に接続される導電膜114を形成する。導電膜114は、電子素子110に絶縁膜104上に形成される導電性の突起を電気的に接続するために形成され、電子装置に含まれる電子素子110の接続部を構成する。よって、導電膜114は少なくとも1つの電子素子110に電気的に接続されている。
【0043】
絶縁膜104は、絶縁膜101−103と同様に形成することができる。例えば、絶縁膜104を窒化酸化シリコン膜と樹脂膜でなる2層構造とする場合、次のように開口を有する絶縁膜104を形成することができる。まず、PECVD装置でソースガスにSiH、NO、NHおよびHを用いて、厚さ50nm−300nm程度の窒化酸化シリコン膜を絶縁膜103上に形成する。次いで、印刷法により、未硬化の感光性のエポキシ−フェノール系樹脂材料でなる膜を窒化酸化シリコン膜上に形成する。次いで、適切な波長の光を未硬化の樹脂膜に照射することで、樹脂膜を硬化させ、厚さ1−30μm程度の樹脂膜を形成する。このとき、導電膜113と導電膜114との導通領域となる部分を硬化させない。次いで、1層目の窒化酸化シリコン膜をエッチングして、開口を有する絶縁膜104が完成する。
【0044】
次に、絶縁膜104上に導電膜114を形成する。導電膜114は導電膜112、113と同様に形成することができる。例えば、スパッタ法などによりチタン膜を形成し、このチタン膜をエッチングして導電膜114を形成する。
【0045】
次に、図1Cに示すように絶縁膜104(絶縁表面)上に、導電体でなる突起120を形成する。導電体でなる突起120はバンプ(bump)と呼ばれることもあり、凸部を有する導電体ということもできる。導電体でなる突起120(以下、「突起120」と呼ぶ。)は、電子装置に含まれる少なくとも1つの電子素子110に電気的に接続される。本実施の形態では、突起120を導電膜114に密接して形成することで、突起120を電子素子110に電気的に接続している。また、導電膜114を形成せずに、突起120を導電膜113に接して形成することもできる。
【0046】
突起120は、導電性微粒子、導電性粉末を含む導電性ペースト、または、導電性微粒子、導電性粉末を含む導電性液体のような流動性を有する導電性材料で形成することが好ましい。なぜなら、このような導電性材料を用いることで、液滴吐出法(インクジェット法、ディスペンス法などの方法が含まれる。)、スクリーン印刷法などの印刷法などにより、突起120を形成することが可能である。これらの方法は、CVD装置、スパッタ装置のような複雑な成膜装置での成膜工程、およびフォトマスクを形成するための露光工程を行うことなく、必要な箇所に凸状の導電体を形成することが可能であるとの利点がある。
【0047】
導電性ペーストおよび導電性液体は、導電性微粒子、導電性粉末が分散された材料、またはこれらが溶解している導電性材料である。例えば、導電性液体に含まれる導電性粉体または導電性微粒子の材料としては、例えば、Ag、Au、Cu、Ni、Pt、Pd、Nbなどの金属、これらの金属材料の合金(例えば、Ag−Pd)、酸化インジウム、酸化亜鉛などの導電性酸化物材料などが挙げられる。また、導電性粉体、または導電性微粒子を溶解させるまたは分散させるための媒質(溶媒、分散媒)としては、例えば、光硬化性樹脂、および熱硬化性樹脂の前駆体材料が挙げられる。紫外線硬化性樹脂としてはアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としてはポリイミド系樹脂が挙げられる。
【0048】
また、ソルダーペーストで突起120を形成することもできる。
【0049】
ここでは、市販の銀ペーストにより突起120を形成する。印刷法により突起120を形成する領域に、銀ペーストを凸状に形成する。そして、オーブンにおいて銀ペーストを焼成し、銀を含む突起120を形成する。突起120は、絶縁膜104上面のどの箇所よりも突出させる。
【0050】
次に、補強材131を含む未硬化(完全に硬化していない)のプリプレグ130を準備し、未硬化のプリプレグ130(以下、「プリプレグ130」と呼ぶ。)を絶縁膜104および突起120表面に密着する。この状態でプリプレグ130を硬化し、補強材131を含む絶縁膜140で絶縁膜104および突起120の表面を覆う(図1D−図2B参照)。絶縁膜140は電子素子110(電子装置)の封止膜として機能する。
【0051】
図1Dに示すように、未硬化のプリプレグ130は補強材131を含む未硬化の樹脂132でなる。なお、補強材131を含まない未硬化の樹脂膜を用いることができる。補強材131を含むプリプレグ130を用いる方が、端子構造および電子装置を補強できるため好ましい。
【0052】
未硬化の樹脂132(以下、「樹脂132」と呼ぶ。)の樹脂材料として、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、またはシアネート樹脂等の熱硬化性樹脂材料を用いることができる。また、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、またはフッ素樹脂等の熱可塑性樹脂材料を用いることができる。例えば、ポリイミド樹脂材料でなる樹脂132であれば、これを硬化することによりポリイミド樹脂でなる樹脂層が形成される。なお、未硬化の樹脂132に適用される樹脂材料は1つに限定されるものではなく、複数の樹脂材料を適用することができる。
【0053】
なお、本明細書において、未硬化の樹脂層、および未硬化のプリプレグとは、硬化していない状態、および完全に硬化していない状態の両方の状態を含む。後者の状態は、半硬化と呼ばれることがある。
【0054】
プリプレグ130に適用される補強材131には、繊維、シート状の繊維体(繊維シートと呼ぶこともできる。)、およびフィラーなどがある。シート状繊維体とは繊維でなるシート状物体であり、例えば、織布、および不織布が該当する。シート状繊維体に適用される織布の織り方に特段の制限はなく、シート状繊維体として、例えば、平織り、綾織り、繻子織りなどの織布を適用することができる。
【0055】
補強材131に適用される繊維としては、高強度繊維が好ましい。高強度繊維とは、具体的には引張弾性率が高い繊維である。または、ヤング率が高い繊維である。高強度繊維として、ポリビニルアルコール系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエチレン系繊維、アラミド系繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ガラス繊維、および炭素繊維などが挙げられる。ガラス繊維材料として、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Qガラスなどが挙げられる。例えば、ガラス繊維でなる織布はガラスクロスと呼ばれている。
【0056】
補強材131に適用される糸束について(断面形状、加工方法など)、特段の制限はない。その断面の形状は、円形でも、楕円形でも、平板状でもよい。開繊加工された糸束でなるシート状繊維体を補強材131に用いることが好ましい。なぜなら、開繊加工された糸束は、糸束幅が広くなり、厚み方向の単糸数が少なくなるため、容易に糸束の断面を扁平にすることができるからである。糸束の断面を扁平にすることで、シート状繊維体が薄くなるので補強材131が薄くなり、その結果、未硬化のプリプレグ130も薄くすることができるからである。
【0057】
樹脂132が熱硬化性樹脂材料である場合、プリプレグ130を絶縁膜104および突起120表面に密着させる工程、およびプリプレグ130を硬化する工程は、真空熱プレス機で行うことができる。図1Dに示すように、プリプレグ130を絶縁膜104側に置き、真空熱プレス機でプリプレグ130と基板100をプレスし、図2Aに示すように、プリプレグ130を絶縁膜104および突起120表面に密着させる。そして、真空プレス機でプレスした状態で、プリプレグ130を加熱することで硬化(固体化)する。その結果、図2Bに示すように、補強材131を含む絶縁膜140を形成する。絶縁膜140において、樹脂142は硬化した樹脂132に対応する。よって、絶縁膜140は補強材131を含む樹脂膜ということもできる。
【0058】
また、樹脂132が光硬化性樹脂である場合は、真空プレス機(または真空熱プレス機)で、プリプレグ130と基板100とをプレスすることで、図2Aのようにプリプレグ130を絶縁膜104と突起120に密着させた後、光を照射してプリプレグ130を硬化すればよい。
【0059】
本実施の形態では、プリプレグ130を絶縁膜104に貼り付ける工程(図2Aの工程)において、プリプレグ130の突起120を覆う領域が他の領域よりも薄い部分を含むように、絶縁膜104の上面および突起120の表面にプリプレグ130を密着させる。図2Aを参照して、このことを説明する。
【0060】
プリプレグ130において、突起120に密着している領域(点線で囲んだ領域133)に、厚さが他の領域よりも薄い部分を形成する。突起120が絶縁膜104上面よりも突出しているので、プリプレグ130を絶縁膜104および突起120に密着させることで未硬化の樹脂132が突起120により延伸され、領域133において、プリプレグ130の厚さを他の領域よりも薄くすることができる。
【0061】
プリプレグ130が突起120と接している領域133が他の領域(絶縁膜104と接している領域)よりも薄い部分を含むように、プリプレグ130の貼り付けを生産性良く行うためには、突起120が絶縁膜104上面から突出している高さH(厚さH)が、貼り付け工程前のプリプレグ130の厚さTの半分以上であることが好ましい(図1D参照。)。つまり、H≧T/2であることが好ましい。
【0062】
次に、図2Cに示すように、絶縁膜140全体を薄くして、絶縁膜140の領域133に開口143を形成する。開口143の形成は、例えば、絶縁膜140全体をエッチングすることで行うことができる。また、エッチングは、ドライエッチングのような異方性エッチングが好ましい。なぜなら、異方性エッチングは、垂直方向のエッチング速度が水平方向のエッチング速度よりも速いからである。図2Bの構造では、領域133において、突起120の上部を覆っている樹脂142は他の部分よりも薄い。よって、絶縁膜140に対して異方性エッチングを行うことで、先ずこの部分の樹脂142が除去されるため、他の領域に存在する樹脂142がエッチングされる量を少なくできる。このように、異方性エッチングを適用することで、等方性エッチングよりもエッチング時間の許容範囲が広くなるので、封止膜または保護膜としての絶縁膜140の機能の確保が容易である。
【0063】
なお、ウエットエッチングのような等方性エッチングは、水平方向と垂直方向でエッチングが等方的に進行するので、等方性エッチングで開口143を形成する場合は、エッチング終了時点で、絶縁膜140が封止膜または保護膜として機能できる程度に、樹脂142が残るようにすればよい。そのためには、例えば、使用するプリプレグ130を厚くする、領域133の上部に存在する樹脂142と、他の領域に存在する樹脂142の厚さの差を大きくするとよい。
【0064】
また、突起120としては、開口143を形成する領域(領域133)に凸部が存在している導電体を設けることもできる。このように一部に凸部を備えた導電体には、電子装置の端子を構成する部分と、電極や配線を構成する部分を含ませることができる。
【0065】
また、この工程は、絶縁膜140の樹脂142を除去し、補強材131を除去しないエッチング処理で行うことが好ましい。なぜなら、突起120上方に補強材131が存在することで、電子装置の端子部の強度を高めることができるからである。このようなエッチング処理として、例えば、酸素ガスなどをエッチングガスに用いたエッチング(アッシング)処理が挙げられる。
【0066】
絶縁膜140の薄膜化は、領域133に存在する樹脂142が全て除去されるまで行う必要はない。図2Cに示すように、基板100に形成されている全ての突起120に対して、開口143が形成されていればよい。
【0067】
また、この工程をエッチングで行う場合、樹脂142と共に、突起120が除去されてもよい。この場合、図1Cの工程では、エッチングで除去される突起120の厚さを考慮して、突起120の厚さ(高さH)を決定すればよい。突起120の高さHを高くすることで、エッチング処理時間の調節が容易になり、エッチング処理のばらつきを抑えることができる。また、絶縁膜140を除去する厚さにより、絶縁膜140に形成される開口143の大きさを調節することができる。
【0068】
したがって、レーザビームを使用して開口143を形成する工程よりも、本実施の形態では、開口143の面積のばらつきが抑えられる。その結果、電子装置の電気的特性のばらつきが抑えられ、電子装置自体の信頼性を高くすることができる。
【0069】
よって、図1Cの工程で突起120を高く形成するほど、同一基板100上に形成される複数の開口143の面積がばらつく許容範囲を広くすることができる。基板寸法が大きいほど、同一基板100上に形成される絶縁膜140の開口143の面積がばらつきやすいため、突起120を高くすることは有効である。また、絶縁膜140に複数の開口143をより確実に形成するには、絶縁膜140を除去する厚さを大きくするとよい。または、突起120を高くし、かつ絶縁膜140の除去量を大きくしてもよい。
【0070】
本実施の形態の開口143の形成は、開口143を形成したい領域133に、絶縁膜140の厚さが他の領域よりも薄い部分を形成し、そして、絶縁膜140全体を薄膜化することで行うため、突起120が存在している部分に開口143を選択的に容易に形成することができる。つまり、絶縁膜140に開口143が形成される位置は突起120の位置によりセルフアライン的に決定される。よって、このエッチング処理を行うために、フォトレジストマスクを形成する露光工程は不要である。また、開口143を形成するためのアライメント精度は、突起120を形成する工程でのアライメント精度により担保されている。したがって、本実施の形態の開口143の形成工程は、レーザビームを使用する工程よりも作業者の習熟度が要求されない。
【0071】
次に、図3Aに示すように、開口143において突起120に電気的に導通する導電体121を形成する。導電体121の形成は、図1Cの突起120と同様に、導電性微粒子、導電性粉末を含む導電性ペースト、または導電性微粒子、導電性粉末を含む導電性の液体のような流動性を有する導電性材料で形成することができる。液滴吐出法(インクジェット法、ディスペンス法などの方法が含まれる。)、スクリーン印刷法などの印刷法などにより、このような導電性材料を開口143および絶縁膜140上に所定の形状に設ける。導電性材料は補強材131の隙間を通過するので、突起120に接触した状態で導電性材料を開口143に設けることができる。そして、加熱処理、または光照射などの適切な方法により導電性材料を硬化(固体化)することで導電体121を形成することができる。
【0072】
以上により、電子装置において、突起120および導電体121でなる端子部125が形成される。また、導電体121は、電子装置の端子部125を構成する部分だけでなく、配線や他の電極となる部分を含んでいてもよい。
【0073】
なお、導電体121を形成せずに、突起120により、他の電子装置と電気的に接続することができる場合は、導電体121を形成しなくともよい。
【0074】
図3Aに示す工程を完了し、次いで、基板100を切断して、基板100上に形成されている積層物を個々の電子装置151に分割する(図3B参照)。この工程は、ダイシング、スクライブなどの処理で行うことができる。基板100を切断する前に、研削処理または研磨処理などにより基板100を薄くしてもよい。
【0075】
図3Bに示すように、電子装置151は、絶縁膜104に覆われた少なくとも1つの電子素子110と、絶縁膜104上に形成され、電子素子110の少なくとも1つに電気的に接続されている導電体でなる突起120と、突起120および絶縁膜104を覆う補強材131を含む絶縁膜140を有する。絶縁膜140は電子装置151の端子部125側の封止膜を構成する。さらに、絶縁膜140には突起120が存在している部分に開口143が形成されている。導電体121は、開口143において突起120に電気的に接続され、また他の電子装置と電気的に接続可能な構造になっている。このように、電子装置151は、導電体121を介して他の電子装置(集積回路、配線回路、アンテナなど)と電気的に接続可能な構造を有している。
【0076】
本実施の形態の端子部125の作製方法では、端子部125にも補強材131を存在させることができるので、レーザビームによる開口形成工程を経て作製された装置よりも、電子装置151の強度を向上させことができる。
【0077】
また、図4Aに示すように、基板100を切断する前に、基板100側にも補強材131を有するプリプレグ130を貼り付けてもよい。そして、プリプレグ130を硬化し、図4Bに示すように、基板100裏面側を覆う絶縁膜160を形成する。絶縁膜160は絶縁膜140と同様に、補強材131を含む樹脂142でなる。なお、絶縁膜160を、補強材131を含まない未硬化の樹脂膜を硬化することで形成することもできる。そして、図4Cに示すように、絶縁膜140および絶縁膜160で挟まれた積層物を切断して、個々の電子装置152に分割する。絶縁膜160は基板100側の封止膜として機能する。電子装置152の構造は、基板100の裏面に補強材131を含む絶縁膜160が存在している他は、図3Bの電子装置151と同様である。
【0078】
また、図5Aに示すように、電子素子110の作製のために使用した基板100と電子素子110と分離してもよい。そして、絶縁膜101に補強材131を含むプリプレグ130を貼り付け、しかる後、このプリプレグを硬化して、絶縁膜101を覆う絶縁膜161を形成する。絶縁膜161は絶縁膜140と同様に、補強材131を含む樹脂142でなる。なお、絶縁膜161を、補強材131を含まないプリプレグから形成することもできる。
【0079】
そして、図5Cに示すように、絶縁膜140および絶縁膜161で挟まれた積層物を切断して、個々の電子装置153に分割する。絶縁膜161は絶縁膜101側の封止層膜として機能する。
【0080】
基板100を分離する工程は、絶縁膜140に開口を形成する前に行うこともできる。この場合、図2Bの工程までを行い、基板100を分離し、絶縁膜161を形成する。そして、図2Cに示すように、絶縁膜140に開口143を形成する。
【0081】
電子装置153の構造は、基板100が除去され、代わりに絶縁膜101に補強材131を含む絶縁膜161が存在している他は、図3Bの電子装置151と同様である。このように、基板100を除去することで、撓めたり、または曲げたりすることが可能な電子装置153を作製することができる。
【0082】
以上述べたように、本実施の形態では、補強材を含む絶縁膜(樹脂膜)に開口を形成する位置の精度は、凸部を有する導電体(または突起)を形成する位置の精度によりセルフアライン的に確保され、また、開口の形状やその大きさは、凸部を有する導電体(または突起)の高さや形状で制御することができる。したがって、本実施の形態を適用することで、補強材を含む絶縁膜に開口を形成することが、レーザビームを使用する場合よりも精度良く、格段に容易に行うことが可能である。その結果、端子構造および電子装置の信頼性を向上することができる。
【0083】
なお、本実施の形態では、補強材を含むプリプレグから形成された絶縁膜に開口を形成する方法を説明したが、補強材を含まない絶縁膜に開口を形成する場合にも、本実施の形態を適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【0084】
また、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0085】
(実施の形態2)
本実施の形態では、図1Dに示すプリプレグ130の補強材131に適用可能なシート状繊維体について説明する。
【0086】
[シート状繊維体の構成例1]
図6Aは、シート状繊維体251の構成例を示す平面図であり、図6Bは、シート状繊維体251の構成例を示す断面図である。なお、図6Bは図6Aを線A1−A2で切った断面図である。
【0087】
図6Aに示すようにシート状繊維体251は、一本の経糸261および一本の緯糸262を交互に交差させて織られた平織りの織布である。シート状繊維体251は、経糸261および緯糸262が存在しない領域であるバスケットホール263を有する。導電体121を形成するために設けた導電性材料がバスケットホール263を通過するため、導電体121と突起120を接触させることができる。
【0088】
シート状繊維体251に適用される糸束(経糸261、緯糸262)について(断面形状、加工方法など)、特段の制限はない。その断面の形状は、円形でも、楕円形でも、平板状でもよい。開繊加工された糸束を経糸261および緯糸262に用いることが好ましい。なぜなら、開繊加工された糸束はその幅が広くなり、厚み方向の単糸数が少なくなるため、容易に糸束の断面を扁平にすることができるからである。例えば、図6Bに示すように、断面が扁平な経糸261、同様に断面が扁平な緯糸262で織られたシート状繊維体251はその厚さを薄くすることができる。
【0089】
[シート状繊維体の構成例2]
硬化されたプリプレグの強度を高めるための1つの手段として、シート状繊維体のバスケットホールを小さくすることが挙げられる。図7にそのような構成例のシート状繊維体252の平面図を示す。図7に示すように、シート状繊維体252は、シート状繊維体251と同様に、一本の経糸261および一本の緯糸262を交互に交差させて織られた平織りの織布である。シート状繊維体252は、シート状繊維体251よりも経糸261と緯糸262の密度が高く、バスケットホール263が狭い。
【0090】
[シート状繊維体の構成例3]
また、シート状繊維体に適用される織布は、平織りに限定されない。図8にこのようなシート状繊維体の構成例を示す。図8はシート状繊維体253の平面図である。図8に示すように、シート状繊維体253は10本の経糸261と、10本の緯糸262を交互に交差させて織られた織布である。
【0091】
また、硬化されたプリプレグで電子装置をより効果的に保護するには、使用時に電子装置が局所的に押圧される面積よりも、シート状繊維体(251−253)のバスケットホール263が狭い方がよい。例えば、ペンや鉛筆などの筆記具などのような先端が細い器具で電子装置を押すことが必要な場合は、バスケットホール263の形状を一辺が0.01mm以上0.2mm以下の四角形とすることが好ましい。
【0092】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0093】
(実施の形態3)
本実施の形態では、電子装置の一例として、無線通信によりデータの送受信が可能な電子装置の構成、およびその作製方法を説明する。
【0094】
図9は、本実施の形態に係る電子装置300の構成例を説明するブロック図である。図9に示すように、電子装置300は、アンテナ301および複数の電子素子を含む機能回路302を有する。アンテナ301は搬送波の授受を行う。アンテナ301には、通信を行う周波数帯域に適切な構造のものが選択される。機能回路302は、アンテナ301で受信された搬送波を処理する機能、および/またはアンテナ301から送信する搬送波を生成する機能を少なくとも有する。
【0095】
搬送波とはキャリアとも呼ばれる交流波の信号である。無線通信においては、搬送波の周波数又は振幅を、情報を表す信号に応じて変化(変調という)させて変調波を生成し、この変調波の送受信によって、情報が伝達される。搬送波の変調方式にはいくつかの種類があり、搬送波の振幅の大小により情報を表す変調方式を振幅変調と呼び、搬送波の周波数の高低により情報を表す変調方式を周波数変調と呼ぶ。
【0096】
電子装置300の具体例として、非接触でデータの交信をおこなうICチップ(無線チップとも呼ばれる。)が挙げられる。また、非接触で個体認識を行うRFID(Radio Frequency IDentification)タグが挙げられる。RFIDタグは、RFタグ、無線タグ、電子タグ、ICタグとも呼ばれる。
【0097】
図10および図11を参照して、ICチップや、RFIDタグに適用できる電子装置300の構成例を説明する。図10は、電子装置300の構成の一例を示すブロック図であり、図11は電子装置300の構成の別の一例を示すブロック図である。
【0098】
まず、図10の電子装置300の構成を説明する。図10の電子装置300において、機能の面から、機能回路302は電源部311とロジック回路部312と区分することができる。
【0099】
電源部311は、電子装置300に電力を供給するための装置である。そのため、例えば、電源部311は整流回路321、蓄電部322、および定電圧回路323を有する。整流回路321は、アンテナ301で受信された信号(搬送波)から直流電圧を生成する回路である。蓄電部322は、整流回路321で生成された直流電圧を保持するための回路であり、そのため、蓄電部322は例えば複数の容量素子を含む。定電圧回路323は、整流回路321で生成された電圧の値を一定にするための回路である。
【0100】
ロジック回路部312は、アンテナ301で受信された信号(搬送波)からデータを取り出す、アンテナ301から送信するデータを表す搬送波を生成するなどの機能を有する。例えば、ロジック回路部312は、復調回路331、クロック生成・補正回路332、コード認識・判定回路333、メモリコントローラ334、記憶装置335、符号化回路336、および変調回路337を有する。
【0101】
復調回路331は、アンテナ301で受信された搬送波を復調する回路である。クロック生成・補正回路332は、復調回路331から出力された信号をもとに、クロック信号を生成し、そのクロック信号を補正する回路である。
【0102】
コード認識・判定回路333は、アンテナ301で受信された搬送波に含まれるコードを認識し、判定する。さらに、コード認識・判定回路333は、送信エラーを識別する巡回冗長検査(CRC:cyclic redundancy check)機能を有する。コード認識・判定回路333で認識されるコードには、フレーム終了信号(EOF:end of frame)、フレーム開始信号(SOF:start of frame)、フラグ、コマンドコード、マスク長(mask length)、マスク値(mask value)等が挙げられる。
【0103】
メモリコントローラ334は、コード認識・判定回路333で認識されたコードをもとに、記憶装置335からデータを読み出すための信号を生成する。記憶装置335は、少なくとも読み出し専用メモリ(ROM)を含む。ROMとして、例えば、マスクROM、PROM等がある。また、記憶装置335はランダムアクセスメモリ(RAM)のような書き換え可能な記憶回路を有してもよい。書き換え可能な記憶回路として、例えば、DRAM、SRAM、FeRAM、EEPROMおよびフラッシュメモリ等を用いることができる。
【0104】
符号化回路336は、記憶装置335から読み出されたデータ等、電子装置300から送信するための情報を符号化する。変調回路337は、符号化回路336で符号化された情報をもとに信号を変調して、アンテナ301から送信可能な搬送波を生成する。
【0105】
次に、図11の電子装置300の構成を説明する。この電子装置300は、外部装置と無線通信を行って動作する演算処理装置として機能する。図11の電子装置300において、機能の面から、機能回路302は、アナログ回路部341、デジタル回路部342、および蓄電部343に区分することができる。
【0106】
アナログ回路部341は、共振容量を有する共振回路351、定電圧回路352、整流回路353、復調回路354、変調回路355、リセット回路356、発振回路357および電源管理回路358を有する。
【0107】
デジタル回路部342は、RFインターフェース361、制御レジスタ362、クロックコントローラ363、CPU(中央演算処理ユニット)364、CPUインターフェース365、RAM366、ROM367を有する。
【0108】
図11の電子装置300の動作の概要は以下の通りである。アンテナ301で受信された信号(搬送波)はアナログ回路部341に入力され、共振回路351では誘導起電力が生じる。誘導起電力は、整流回路353を経て蓄電部343に充電される。この蓄電部343はセラミックコンデンサや電気二重層コンデンサ等のキャパシタで形成することができる。
【0109】
リセット回路356は、デジタル回路部342をリセットし初期化する信号を生成する。例えば、電源電圧の上昇に遅延して立ち上がる信号がリセット信号として生成される。発振回路357は、定電圧回路352で生成される制御信号に応じて、クロック信号の周波数とデューティー比を変更する。復調回路354は、受信信号を復調する回路であり、変調回路355は、送信する情報を搬送波に含ませるために信号を変調する回路である。
【0110】
例えば、電子装置300で処理される信号の変調方式が、振幅変調方式の1種であるASK(Amplitude Shift Keying)方式である場合、復調回路354をローパスフィルタで形成すればよい。復調回路354では、受信信号をその振幅の変動をもとに二値化する。他方、変調回路355では、共振回路351の共振点を変化させることで信号の振幅を変化させればよい。
【0111】
クロックコントローラ363は、電源電圧またはCPU364での消費電流に応じてクロック信号の周波数とデューティー比を変更するための制御信号を生成している。電源電圧の監視は電源管理回路358が行っている。
【0112】
アンテナ301で受信された信号は復調回路354で復調される。この復調された信号はRFインターフェース361で制御コマンドやデータ等に分解される。制御コマンドは制御レジスタ362に格納される。制御コマンドには、デジタル回路部342に含まれる回路への命令が含まれており、例えば、ROM367からデータを読み出すための命令、RAM366にデータを書き込むための命令、CPU364での演算命令等が含まれている。
【0113】
CPU364は、CPUインターフェース365を介してROM367、RAM366および制御レジスタ362にアクセスする。CPUインターフェース365は、CPU364が要求するアドレスにしたがって、ROM367、RAM366および制御レジスタ362のいずれかにCPU364がアクセスするためのアクセス信号を生成する。
【0114】
CPU364での演算処理方式にはいくつかあり、その1つは演算をソフトウェアで処理する方法である。この方式では、例えば、ROM367にOS(オペレーティングシステム)を記憶させておき、CPU364がROM367に記憶されているプログラムを読み出し、それを実行する方式である。他の1つは、専用の演算回路で演算を行う方式、つまりハードウェアで演算を処理する方式である。他の1つは、ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた方式であり、この方式では、専用の演算回路で一部の演算処理を行い、プログラムを使って、残りの演算をCPU364が処理するようにすることができる。
【0115】
次に、本実施の形態の電子装置300の作製方法を説明する。この作製方法は、機能回路302を構成する電子素子の作製に使用した基板を分離する工程を含む。
【0116】
例えば、実施の形態1の作製方法において、基板100と下地となる絶縁膜101の間に剥離膜(例えば、シリコンでなる膜)を形成し、この剥離膜をエッチングして除去することで、基板100から電子装置を分離することができる。また、基板100と下地となる絶縁膜101の間に金属を主成分とする剥離膜を形成し、この剥離膜に物理的な力を加えて、剥離膜で剥離を生じさせることで、基板100から電子装置を分離することもできる。以下、図12A−図18Dを参照して、後者の方法が適用された電子装置300の作製方法の一例を説明する。
【0117】
まず、図12Aに示すように、機能回路302の電子素子を作製するための基板を用意する。ここでは、この基板としてガラス基板400が用いられる。機能回路302はガラス基板400上に形成される下地絶縁膜401上に形成される。機能回路302の作製後、機能回路302をガラス基板400から分離するため、下地絶縁膜401とガラス基板400の間に剥離膜402が形成される。
【0118】
剥離膜402の形成前に、下地膜403をガラス基板400上に密着して形成する。この下地膜403は、剥離膜402に対する下地膜であり、剥離膜402とガラス基板400との密着性を高めるために、形成される。下地膜403は単層構造または積層構造の絶縁膜で形成することができる。下地膜403を構成する絶縁膜として、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および金属酸化物膜などが挙げられる。ここでは、PECVD法で厚さ100nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。
【0119】
次に、下地膜403に接して剥離膜402を形成する。ここでは、剥離膜402としてスパッタ法で厚さ50nmのタングステン膜を形成する。
【0120】
本作製方法では、機能回路302をガラス基板400から分離するため、剥離膜402に力学的な力を加えることで、剥離膜402の内部、および/または剥離膜402と下地絶縁膜401との界面に優先的に剥離を生じさせることとする。このような剥離を生じさせるためには、剥離膜402は、例えば、タングステン膜、モリブデン膜、タングステンとモリブデンの合金膜、タングステンおよび/またはモリブデンの酸化物膜、酸化窒化物膜、窒化酸化物膜、窒化物膜で形成することができる。また剥離膜402は、これらの膜から選ばれた積層構造の膜で形成することができる。これらの膜は、スパッタ法、PECVD法および液滴吐出法などで形成することができる。
【0121】
剥離膜402の形成方法には、例えば、1層目にタングステン膜、モリブデン膜、またはタングステンとモリブデンの合金膜を形成し、2層目に1層目の膜の酸化物膜、酸化窒化物膜、窒化酸化物膜または窒化物膜を形成する方法がある。また、タングステン膜、モリブデン膜、またはタングステンとモリブデンの合金膜のいずれかの膜を下地膜403上に形成した後、この膜を酸化処理する方法がある。この酸化処理としては、熱酸化処理、酸素またはNOプラズマによるプラズマ酸化処理、オゾン水などの酸化力の強い溶液による表面処理などがある。
【0122】
次に、剥離膜402上に接して単層構造または積層構造の下地絶縁膜401を形成する。下地絶縁膜401を構成する絶縁膜としては、電子装置300の作製工程に耐えうる膜が選択され、図1Aの絶縁膜101と同様に形成することができる。ここでは、下地絶縁膜401を3層構造とし、1層目に厚さ100−700nmの酸化窒化シリコン膜を形成し、2層目に厚さ20−100nmの窒化酸化シリコン膜を形成し、3層目に厚さ50−150nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。これらの膜はPECVD法で形成される。
【0123】
次いで、下地絶縁膜401上に機能回路302を作製する。また、同じプロセスにおいて、複数の機能回路302が同時に1枚のガラス基板400上に作製される。以下の説明で参照される図面には、2つの機能回路302の作製過程を示し、また、機能回路302としてnチャネル型トランジスタ、およびpチャネル型トランジスタの作製過程を示す。
【0124】
図12Bに示すように、機能回路302を作製するために、下地絶縁膜401上に半導体膜405を形成する。ここでは、半導体膜405として結晶性シリコン膜を形成する。例えば、結晶性シリコン膜の形成は、PECVD法により、HとSiHの混合ガスから、厚さ40−80nmの非晶質シリコン膜を形成し、Nd:YVOレーザー(基本波1064nm)の第2高調波を照射することにより、非晶質シリコン膜を結晶化することで行うことができる。ほか、加熱炉での熱処理によって非晶質シリコン膜を結晶化することもできる。
【0125】
次に、半導体膜405上にレジストマスクを形成し、このレジストマスクを用いて、半導体膜405を所望の形状にエッチングする。図12Cに示すように、下地絶縁膜401上に、半導体膜420および半導体膜430を形成する。半導体膜420はnチャネル型トランジスタの半導体層であり、半導体膜430はpチャネル型トランジスタの半導体層である。半導体膜405をエッチングするために用いたレジストマスクを除去した後、必要があれば、トランジスタのしきい値電圧を制御するために、ドナーまたはアクセプタとなる不純物元素を半導体膜420および/または半導体膜430に添加する。また、この不純物元素の添加工程は、半導体膜405をエッチングする前に行うこともでき、以降の工程でも、必要に応じて行えばよい。
【0126】
次に、図12Cに示すように、半導体膜420および半導体膜430を覆う絶縁膜406を形成する。絶縁膜406はトランジスタのゲート絶縁膜を構成する。絶縁膜406は、図1Aの絶縁膜102と同様に形成することができる。ここでは、PECVD法で、厚さ10−100nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。また、PECVD法などで絶縁膜を形成した後、マイクロ波励起された高密度プラズマにより絶縁膜に対して窒化処理を行ってもよい。
【0127】
次に、図12Cに示すように、絶縁膜406上に導電膜441、および導電膜442を形成する。導電膜441はnチャネル型トランジスタのゲート電極(またはゲート配線)を構成し、導電膜442はpチャネル型トランジスタのゲート電極(またはゲート配線)を構成する。ここでは、導電膜441、442を2層構造の導電膜で形成する。まず、スパッタ法で、厚さ20−50nmの窒化タンタル膜を絶縁膜406上に形成し、スパッタ法で厚さ100nm−300nmのタングステン膜をこの窒化タンタル膜上に形成する。次に、タングステン膜上にレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いて、窒化タンタル膜およびタングステン膜の積層膜をエッチングして、導電膜441、442を形成する。
【0128】
次いで、図12Dに示すように、半導体膜420にn型低濃度不純物領域423、半導体膜430にp型高濃度不純物領域432を形成する。n型低濃度不純物領域423はnチャネル型トランジスタの高抵抗領域を構成し、p型高濃度不純物領域432はpチャネル型トランジスタのソース領域、またはドレイン領域として機能する領域である。
【0129】
これらの領域を形成するには、まず、半導体膜430を覆うレジストマスクを形成する。導電膜441をマスクとして半導体膜420にn型を付与する不純物元素を添加し、n型低濃度不純物領域423を半導体膜420に形成する。この工程で半導体膜420の不純物元素が添加されない領域がチャネル形成領域421となる。次に、半導体膜430を覆うレジストマスクを除去した後、半導体膜420を覆うレジストマスクを形成する。導電膜442をマスクとして半導体膜430にp型を付与する不純物元素を添加し、p型高濃度不純物領域432を半導体膜430に形成する。そして、レジストマスクを除去する。この不純物添加工程で半導体膜430の不純物元素が添加されない領域がチャネル形成領域431となる。
【0130】
なお、図12Dの工程は、p型高濃度不純物領域432を形成した後に、n型低濃度不純物領域423を形成してもよい。
【0131】
本実施の形態では、n型を付与する不純物元素としては、リン(P)やヒ素(As)などを用いることができ、p型を付与する不純物元素としては、ボロン(B)やアルミニウム(Al)やガリウム(Ga)などを用いることができる。
【0132】
次いで、図13Aに示すように、絶縁膜406、導電膜441および導電膜442を覆う絶縁膜407を形成する。絶縁膜407は、図1Aの絶縁膜103と同様に形成することができる。ここでは、絶縁膜407を2層構造とし、1層目に、PECVD法で厚さ50−150nmの酸化シリコン膜を形成し、2層目に、プロセス温度が200℃乃至500℃の熱CVD法で、厚さ100−250nmの低温酸化物(LTO:Low Temperature Oxide)膜を形成する。
【0133】
次に、絶縁膜407および絶縁膜406をエッチングする。このエッチング工程は垂直方向のエッチングを主体とする異方性エッチングで行う。このような異方性エッチングにより、図13Bに示すように、導電膜441および導電膜442の側面に、絶縁膜407でなるサイドウォールを形成することができる。また、このエッチング工程では、絶縁膜406は導電膜441、導電膜442および絶縁膜407で覆われている領域が残り、その他の領域は除去される。
【0134】
次に、図13Cに示すように、半導体膜420に、ソース領域またはドレイン領域として機能するn型高濃度不純物領域422を形成する。そこで、半導体膜430を覆うレジストマスクを形成し、半導体膜420にn型の導電性を付与する不純物元素を添加する。この不純物添加工程で、導電膜441および絶縁膜407がマスクとなり、半導体膜420にセルフアライン的にn型高濃度不純物領域422が形成され、図12Dの工程で形成されたn型低濃度不純物領域は、絶縁膜407と重なっている部分に残る。
【0135】
次に、半導体膜420、半導体膜430、導電膜441、および導電膜442を覆って絶縁膜408を形成する。そして、絶縁膜408上に、導電膜443−445を形成する。
【0136】
絶縁膜408は、図1Aの絶縁膜103と同様に形成することができる。ここでは、3層構造の絶縁膜408を形成する。まず、1層目に、PECVD法で厚さ20−100nmの酸化窒化シリコン膜を形成する。そして、加熱処理を行い、半導体膜420および半導体膜430に添加された不純物元素を活性化する。そして、2層目に、PECVD法で厚さ100−300nmの窒化酸化シリコン膜を形成し、3層目に、PECVD法で厚さ200nm−1μmの酸化窒化シリコン膜を形成する。
【0137】
次に、導電膜443をn型高濃度不純物領域422に、導電膜444をp型高濃度不純物領域432に電気的に接続するために、絶縁膜408をエッチングして開口を形成する。そして、絶縁膜408上に、導電膜443−445を構成する導電膜を形成する。この導電膜は、図1Aの導電膜113と同様に形成することができる。ここでは、この導電膜として、スパッタ法で3層の導電膜を形成する。1層目は厚さ50−150nmのチタン膜であり、2層目は厚さ200−400nmの純アルミニウム膜であり、3層目は、1層目と同じチタン膜である。そして、この3層構造の導電膜上にレジストマスクを形成し、このレジストマスクを用いてこの導電膜をエッチングして、導電膜443−445を形成する。
【0138】
導電膜443はn型高濃度不純物領域422に電気的に接続されており、nチャネル型トランジスタのソース電極、ソース配線、ドレイン電極またはドレイン配線として機能する。導電膜444はp型高濃度不純物領域432に電気的に接続されており、pチャネル型トランジスタのソース電極、ソース配線、ドレイン電極またはドレイン配線として機能する。また、導電膜445は機能回路302のアンテナ301との電気的な接続部を構成する。
【0139】
以上の工程で、機能回路302の電子素子(nチャネル型トランジスタ491およびpチャネル型トランジスタ492)が完成する。次に、図14A−図15Bを参照して、機能回路302とアンテナ301との接続端子を形成する工程の一例を説明する。
【0140】
図14Aに示すように、導電膜443−445を覆う絶縁膜409を形成する。ここでは、絶縁膜409を2層構造とし、1層目には、機能回路302の電子素子の保護するために緻密な絶縁膜を形成する。そこで、PECVD法で、厚さ50−200nmの窒化シリコン膜を形成する。2層目には、機能回路302の上面を平坦にするため感光性樹脂材料により、厚さ1−3μmの樹脂膜(例えば、ポリイミド膜)を形成する。露光処理により、この樹脂膜には、導電膜445に対応する部分に開口が形成される。そして、1層目の窒化シリコン膜をエッチングして、樹脂膜の開口と重なる部分に窒化シリコン膜にも開口を形成する。
【0141】
次に、絶縁膜409上に、導電膜445に電気的に接続される導電膜451を形成し、さらに導電膜451に対応して突起452を形成する。ここでは、導電膜451として、スパッタ法により厚さ100nm−300nmのチタン膜を形成する。
【0142】
突起452は図1Cの突起120と同様に形成することができる。ここでは、スクリーン印刷法で銀ペーストを導電膜451上に塗布する。そして、この銀ペーストを焼成することで銀を含む突起452を形成する。ガラス基板400上において、突起452をどの箇所よりも突出させる。突起452は凸部を有する導電体と呼ぶこともできる。
【0143】
導電膜445、導電膜451および突起452は機能回路302の端子部を構成する。端子部はアンテナ301との電気的な接続部である。また、導電膜451を形成せずに、突起452を導電膜445と密接して形成することもできる。
【0144】
次に、補強材461を含む未硬化の樹脂462でなるプリプレグ460を準備する。プリプレグ460は、図1Dのプリプレグ130と同様のものを用いることができる。プリプレグ460は、硬化された状態でその厚さが10−100μmであることが好ましい。それは、硬化後のプリプレグ460により機能回路302を保護し、かつ機能回路302に柔軟性を持たせるためである。また、プリプレグ460の厚さの半分以上の高さを有するように突起452を形成するため、および機能回路302を薄くするために、硬化後のプリプレグ460の厚さは10−30μmがより好ましい。
【0145】
そして、図14Bに示すように、未硬化のプリプレグ460を電子装置の絶縁膜409側に配置し、プリプレグ460を絶縁膜409、導電膜451および突起452表面に密着する。プリプレグ460において、突起452を覆っている領域464の厚さが他の領域よりも薄くなっている。
【0146】
そして、プリプレグ460を硬化し、図14Cに示すように、補強材461を含む絶縁膜465を形成する。絶縁膜465において樹脂463は硬化された樹脂462に対応する。つまり、絶縁膜465は、補強材461を含む樹脂膜ということもできる。また、絶縁膜465は機能回路302の封止膜として機能する。
【0147】
ここでは、プリプレグ460の補強材461にガラス繊維でなるシート繊維体を適用し、その樹脂462の樹脂材料には熱硬化性樹脂を適用する。そして、真空熱プレス機を用いて、図14Bおよび図14Cの工程を一連の工程として行う。つまり、絶縁膜409側にプリプレグ460を重ねた状態で、真空熱プレス機でプリプレグ460をガラス基板400にプレスし、この状態でプリプレグ460を硬化(固体化)し、絶縁膜465を形成する。
【0148】
次に、絶縁膜465全体を薄膜化する。絶縁膜465において、突起452に接している領域464には他の領域よりも薄い部分が形成されているため、図15Aに示すように、この領域464に開口466を形成することができる。図15Aにおいて、一点鎖線で示されている部分は、薄膜化される前の絶縁膜465を表している。この工程は、図2Cの開口143の形成工程と同様に行うことができ、異方性エッチングで行うことが好ましい。この工程で、絶縁膜465を構成する樹脂463が除去され、補強材461は除去されず、開口466には補強材461が存在している。
【0149】
本実施の形態では、開口466の形成にレーザビームが用いられないので、レーザビームによって機能回路302に損傷を与えることがない。そのため、機能回路302の電子素子を微細化して、高性能化することが容易になる。したがって、図11に示すCPU364を含む機能回路302のような高性能な回路を歩留まり良く作製することが可能になる。
【0150】
次に、図15Bに示すように、開口466において、突起452に密接して導電体453を形成する。この工程は、図3Aの導電体121の形成工程と同様に行うことができる。ここでは、導電体453を銀ペーストから形成する。
【0151】
以上により、端子部450を備えた機能回路302が作製される。端子部450は、アンテナ301との電気的な接続部であり、導電膜445、導電膜451、突起452および導電体453を含む。次に、ガラス基板400から機能回路302を分離する工程を行う。この分離工程は、例えば、次のように行うことができる。
【0152】
UVレーザビームを絶縁膜465側から照射して、ガラス基板400に形成されている積層物に剥離膜402に達する溝(図示しない)を形成する。この溝を形成することで、剥離膜402の内部、および/または下地絶縁膜401と剥離膜402との界面で剥離が生じる。そのため、比較的小さな力(人の手で加えることができる程度の力)で、複数の機能回路302をガラス基板400から分離することが可能になる。次に、図16Aに示すようにPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムなどの樹脂フィルムでなる熱剥離型粘着フィルム470(以下、「フィルム470」と呼ぶ)を絶縁膜465側に貼り付ける。そして、図16Aに示すように、ガラス基板400から、下地絶縁膜401上の積層物を剥離する。この剥離工程は、巻き取りローラを備えた剥離装置によって行うことができる。あるいは人の手や、ピンセットでフィルム470を引っ張ることで行うこともできる。
【0153】
次に、ガラス基板400が除去されたことで露出された下地絶縁膜401を保護する。そのため、補強材を含むプリプレグから保護膜を形成する。また、保護膜の形成には、絶縁膜465を形成するために使用されるプリプレグ460と同様のものを使用することができる。下地絶縁膜401に未硬化のプリプレグ460を貼り付け、真空熱プレス機で、プリプレグ460を下地絶縁膜401に密着させ、硬化する。その結果、図16Bに示すように、補強材461を含む絶縁膜467が下地絶縁膜401側に形成される。絶縁膜467は補強材461を含む樹脂膜であり、機能回路302の封止膜としても機能する。
【0154】
次に、フィルム470に支持されている積層物を個々の機能回路302に切り分ける。この工程は、ダイシング、スクライブなどの処理で行うことができる。ここでは、レーザビームを用いたスクライブを行うこととする。UVレーザビームを絶縁膜467側から照射することでフィルム470に支持されている積層物に溝を形成する。溝を形成することで、図17に示すように、フィルム470に支持されている複数の機能回路302が形成される。フィルム470から機能回路302を分離するには、フィルム470を加熱し、その粘着力を低下させればよい。
【0155】
次に、機能回路302にアンテナ301を電気的に接続する。ここでは、アンテナ301に、ポリエステルなどの樹脂でなるフィルム500と、フィルム500上に形成された導電膜501とを含むフィルムアンテナを用いる。フィルム500には、柔軟性があり、絶縁材料でなるフィルムを適用することが好ましい。それは、機能回路302は、電子素子が樹脂でなる絶縁膜465および絶縁膜467で封止された構造であるため、柔軟性があり、曲げることが可能であり、アンテナ301にも曲げることが可能なフィルムアンテナを用いることで、電子装置300も柔軟性のある装置とすることができるからである。
【0156】
例えば、フィルム500として、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム、およびポリイミドフィルムなどの樹脂フィルムが挙げられる。導電膜501は、アンテナ本体を構成する部分と、機能回路302との電気的な接続部である端子部を有する。導電膜501は、この端子部を除いて、表面が樹脂などの絶縁材料でなる層に覆われている。
【0157】
図18Aに示すように、アンテナ301の導電膜501と機能回路302の端子部450(突起452)とを電気的に接続する。ここでは、導電性ペーストから形成された導電体510により、導電膜501と突起452とを電気的に接続する。もちろん、導電膜501と突起452とを接続する手段は、導電性ペーストに限定されない。導電膜501および突起452の構造(形状、材料、作製方法など)などを考慮して、実施者がその手段を選択することができる。例えば、異方性導電膜やソルダーペーストで導電体510を形成することも可能である。
【0158】
導電膜501の構造(形状、大きさなど)は、電子装置300で送受信する搬送波の周波数帯域や、その通信距離等に適切な形状とすればよい。図18B−図18Dを参照して、アンテナ301(導電膜501)の3つの構成例を説明する。
【0159】
例えば、周波数帯域が125乃至135kHz帯、および13.56MHz帯の場合は、アンテナ301にはループアンテナ、コイルアンテナ、およびスパイラルアンテナを用いればよい。図18Bに、ループアンテナがアンテナ301に適用された電子装置300の平面図を示す。また、図18Cおよび図18Dに、UHF帯(860−960MHz帯)、および2.45GHz帯で利用される電子装置300の構成例を示す。図18Cの電子装置300のアンテナ301はダイポールアンテナであり、図18Dの電子装置300のアンテナ301はパッチアンテナである。
【0160】
また、本実施の形態の電子装置300を紙にすき込む、あるいは2枚のプラスチック基板の間に挟むことでICカードを作製することが可能である。また、図18Aの電子装置300を紙にすき込み、この紙を用いて、紙幣、有価証券類、無記名債券類、証書を作製することができる。電子装置300を組み込むことで、これら証書等に認証機能を持たせることができ、偽造防止効果が得られる。
【0161】
また、電子装置300を様々な物品、物体に固定することで使用してもよい。電子装置300を物品、物体に固定する方法には、物品、物体に埋め込む、その表面に貼り付ける、などの方法がある。本実施の形態の電子装置300は柔軟性があるため、取り付ける物体の外観を損なうことが少なく、また、湾曲した面に取り付けることもできる。電子装置300を固定する物品、物体としては、例えば、包装用容器類(包装紙、ボトルなど)、記録媒体(ブルーレイディスク、DVD、USBメモリなど)、服飾品(鞄、眼鏡、衣服など)、食品類、植物類、動物類(家畜、ペットなど)、生活用品類、商品や荷物の荷札やラベル、などが挙げられる。これらの物品、物体に電子装置300を取り付けることにより、検品や、物流の管理、物品の履歴管理などをシステム化することが容易になる。
【0162】
例えば、商品の荷札や値札に電子装置300を取り付け、電子装置300に記録された情報を、ベルトコンベヤの脇に設けられたリーダライタで読み取り、製造過程、流通過程および納入先などの情報を得ることで、商品の検品や在庫管理などを効率良く行うことができる。
【0163】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0164】
(実施の形態4)
実施の形態3の電子装置300の作製方法は、突起452を覆う絶縁膜465に開口466を形成する工程を行った後、ガラス基板400を機能回路302から分離する工程を行っている(図15A、図15B参照)。本実施の形態では、これらの工程の順序を逆にした電子装置300の作製方法の一例を説明する。説明には、図19A−図21Bを参照する。
【0165】
まず、図14Cの工程までを行う。次に、図19Aに示すように、絶縁膜465側に熱剥離型粘着フィルム471を貼り付ける。そして、下地絶縁膜401上に形成されている積層物をガラス基板400から分離する。この工程は図15Bの工程と同様に行うことができる。次に、図19Bに示すように、下地絶縁膜401を保護するための絶縁膜467を形成する。この工程は、図16Bの工程と同様に行うことができる。
【0166】
次に、熱剥離型粘着フィルム471を加熱して、剥離する。そして、絶縁膜467側に別の熱剥離型粘着フィルム472(以下、「フィルム472」と呼ぶ。)を貼り付ける。絶縁膜465全体の厚さを薄くして、図20Aに示すように、領域464に開口466を形成する。この工程は、図15Aの工程と同様に行うことができる。
【0167】
次に、フィルム472に支持されている積層物を個々の機能回路302に切り分ける。この工程は、図17Aの工程と同様に、ダイシング、スクライブなどの処理で行うことができる。ここでは、レーザビームを用いたスクライブを行うこととする。UVレーザビームを絶縁膜465側から照射することでフィルム472に支持されている積層物に溝を形成する。その結果、図20Aに示すように、フィルム472に支持されている複数の機能回路302が形成される。
【0168】
そして、フィルム472を加熱して、フィルム472から機能回路302を分離し、機能回路302にアンテナ301を電気的に接続し、電子装置300を完成させる(図21B参照)。アンテナ301との接続は、図18Aの工程と同様に行うことができる。
【0169】
また、図20Bの工程では、フィルム472の代わりに、ガラス基板および石英基板などの剛体でなる基板を支持基板に使用してもよい。開口466を形成した後、この支持基板を分離し、絶縁膜465側または絶縁膜467側に熱剥離型粘着フィルムを貼り付けて、図21A、図21Bの工程を行い、電子装置300を完成させることもできる。
【0170】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0171】
100 基板
101 絶縁膜
102 絶縁膜
103 絶縁膜
104 絶縁膜
110 電子素子
111 半導体層
112 導電膜
113 導電膜
114 導電膜
120 突起
121 導電体
125 端子部
130 未硬化のプリプレグ
131 補強材
132 未硬化の樹脂
133 領域
140 絶縁膜
142 硬化された樹脂
143 開口
151 電子装置
152 電子装置
153 電子装置
160 絶縁膜
161 絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電体と、
前記第1の導電体を覆い、補強材を含む樹脂膜と、
前記樹脂膜の前記第1の導電体に重なる領域に形成され、かつ前記補強材が存在している開口と、
前記開口において前記第1の導電体に接している第2の導電体と、を有することを特徴とする端子構造。
【請求項2】
絶縁膜と、
前記絶縁膜に覆われている1または複数の電子素子と、
前記絶縁膜上に形成され、前記電子素子の少なくとも1つに電気的に接続される導電体と、
前記絶縁膜および前記導電体を覆い、補強材を含む樹脂膜と、
前記樹脂膜の前記導電体に重なる領域に形成され、かつ前記補強材が存在している開口と、を有することを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記開口において前記導電体に密着している他の導電体を有することを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記補強材はシート状の繊維体であることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項1または2において、
前記補強材を含む樹脂膜の代わりに、補強材を含まない樹脂膜を有することを特徴とする電子装置。
【請求項6】
第1の絶縁膜上に形成されている1または複数の電子素子を含む回路と、
前記1または複数の電子素子を覆う第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜上に形成され、前記電子素子の少なくとも1つに電気的に接続されている第1の導電体と、
第1の補強材を含み、前記第2の絶縁膜および前記第1の導電体を覆う第1の樹脂膜と、
前記第1の樹脂膜の前記第1の導電体に重なる領域に形成され、かつ前記第1の補強材が存在している開口と、
前記開口において、前記第1の導電体に接する第2の導電体と、
第2の補強材を含み、前記電子素子の前記第1の絶縁膜側を覆う第2の樹脂膜と、を有することを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2の導電体に電気的に接続されているアンテナを有することを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記第1の補強材、および前記第2の補強材はシート状の繊維体であることを特徴とする電子装置。
【請求項9】
請求項6または7において、
前記第1の補強材を含む前記第1の樹脂膜の代わりに、補強材を含まない樹脂膜を有することを特徴とする電子装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれか1項において、
前記第2の補強材を含む前記第2の樹脂膜の代わりに、補強材を含まない樹脂膜を有することを特徴とする電子装置。
【請求項11】
絶縁表面に凸部を有する第1の導電体を形成することと、
前記絶縁表面および前記第1の導電体の表面に補強材を含むプリプレグを密着させて、前記プリプレグにおいて、前記第1の導電体に密着している領域に前記プリプレグの厚さが他の領域よりも薄い部分を形成することと、
前記絶縁表面および前記第1の導電体の表面に密着された前記プリプレグを硬化して、前記補強材を含む絶縁膜を形成することと、
前記補強材を除去せずに前記絶縁膜を薄くして、前記第1の導電体に重なる開口を前記絶縁膜に形成することと、
前記開口において前記第1の導電体に接している第2の導電体を形成することと、を有することを特徴とする端子構造の作製方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記絶縁膜を薄くする工程で、前記第1の導電体の一部が除去されることを特徴とする端子構造の作製方法。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか1項において、
エッチングにより前記絶縁膜を薄くすることで、前記絶縁膜に前記開口を形成することを特徴とする端子構造の作製方法。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか1項において、
前記補強材は、シート状の繊維体であることを特徴とする端子構造の作製方法。
【請求項15】
請求項10乃至13のいずれか1項において、
前記補強材を含まないプリプレグから前記絶縁膜を形成することを特徴とする端子構造の作製方法。
【請求項16】
第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜に覆われている1または複数の電子素子とを含む電子装置の作製方法であり、
凸部を有し、前記電子素子の少なくとも1つに電気的に接続されている導電体を前記第1の絶縁膜上に形成することと、
前記第1の絶縁膜の上面および前記導電体の表面に補強材を含むプリプレグを密着させて、前記プリプレグにおいて、前記導電体に密着している領域に前記プリプレグの厚さが他の領域よりも薄い部分を形成することと、
前記第1の絶縁膜の上面および前記導電体の表面に密着された前記プリプレグを硬化して、前記補強材を含む第2の絶縁膜を形成することと、
前記補強材を除去せずに前記第2の絶縁膜を薄くして、前記導電体に重なる開口を前記第2の絶縁膜に形成することと、を有することを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記開口を形成した後に、前記導電体に電気的に接続される他の導電体を形成することを有することを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項18】
請求項16または17において、
前記第2の絶縁膜を薄くする工程で、前記導電体の一部が除去されることを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項19】
請求項16乃至18のいずれか1項において、
エッチングにより前記第2の絶縁膜を薄くすることで、前記第2の絶縁膜に前記開口を形成することを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項20】
請求項15乃至19のいずれか1項において、
前記補強材は、シート状の繊維体であることを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項21】
請求項16乃至19のいずれか1項において、
補強材を含まない未硬化の樹脂膜を硬化することで前記第2の絶縁膜を形成することを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項22】
基板上に、剥離膜および第1の絶縁膜を介して、複数の電子素子を含む回路を形成することと、
前記回路を覆う第2の絶縁膜を形成することと、
凸部を有し、少なくとも1つの前記電子素子に電気的に接続されている第1の導電体を前記第2の絶縁膜上に形成することと、
前記第2の絶縁膜の上面および前記第1の導電体の表面に第1の補強材を含む第1のプリプレグを密着させて、前記第1のプリプレグの前記第1の導電体に密着している領域に、前記第1のプリプレグの厚さが他の領域よりも薄い部分を形成することと、
前記第2の絶縁膜の上面および前記第1の導電体の表面に密着された前記第1のプリプレグを硬化して、前記第1の補強材を含む第3の絶縁膜を形成することと、
前記第1の補強材を除去せずに前記第3の絶縁膜を薄くして、前記第3の絶縁膜の前記第1の導電体に重なる領域に開口を形成することと、
前記開口において前記第1の導電体に接する第2の導電体を形成することと、
前記第2の導電体を形成した後に、前記剥離膜の内部で、および/または、前記剥離膜と前記第1の絶縁膜の界面で剥離を生じさせて、前記基板を前記回路から分離することと、
前記基板を分離した後に、前記第1の絶縁膜を覆って第2の補強材を含む第2のプリプレグを貼り付けることと、
前記第2のプリプレグを硬化して、前記第2の補強材を含む第4の絶縁膜を形成することと、を有することを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項23】
基板上に、剥離膜および第1の絶縁膜を介して、複数の電子素子を含む回路を形成することと、
前記回路を覆う第2の絶縁膜を形成することと、
凸部を有し、少なくとも1つの前記電子素子に電気的に接続されている第1の導電体を前記第2の絶縁膜上に形成することと、
前記第2の絶縁膜の上面および前記第1の導電体の表面に第1の補強材を含む第1のプリプレグを密着させて、前記第1のプリプレグの前記第1の導電体に密着している領域に、前記第1のプリプレグの厚さが他の領域よりも薄い部分を形成することと、
前記第2の絶縁膜の上面および前記第1の導電体の表面に密着された前記第1のプリプレグを硬化して、前記第1の補強材を含む第3の絶縁膜を形成することと、
前記剥離膜の内部で、および/または、前記剥離膜と前記第1の絶縁膜の界面で剥離を生じさせて、前記基板を前記回路から分離することと、
前記基板を分離した後に、前記第1の絶縁膜を覆って第2の補強材を含む第2のプリプレグを貼り付けることと、
前記第2のプリプレグを硬化して、前記第2の補強材を含む第4の絶縁膜を形成することと、
前記第4の絶縁膜を形成した後に、前記第1の補強材を除去せずに前記第3の絶縁膜を薄くして、前記第3の絶縁膜の前記第1の導電体に重なる領域に開口を形成することと、
前記開口において、前記第1の導電体に接する第2の導電体を形成することと、を有することを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項24】
請求項22または23において、
前記第2の導電体とアンテナとを電気的に接続することを有することを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項25】
請求項22乃至24のいずれか1項において、
前記第3の絶縁膜を薄くする工程で、前記第1の導電体の一部が除去されることを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項26】
請求項22乃至25のいずれか1項において、
エッチングにより前記第3の絶縁膜を薄くすることで、前記第3の絶縁膜に前記開口を形成することを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項27】
請求項22乃至26のいずれか1項において、
前記第1の補強材および前記第2の補強材は、シート状の繊維体であることを特徴とする電子装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−54956(P2011−54956A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177249(P2010−177249)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】