説明

縫い糸又は織り糸の2次元分析を含む、光学式分析装置

【解決手段】 繊維機械に供給される縫い糸又は織り糸(F)の2次元分析を含む、光学式分析装置であって、少なくとも1個の発光素子(3、4)と、少なくとも1個の受光素子(5)とを備える。発光素子(3、4)は、受光素子(5)により検知される前に、糸(F)に当たる光信号を発生し、受光素子の検知に基づいて、発光素子(3、4)と受光素子(5)間での、移動、停止、寸法的な欠陥又はその他の寸法的な特徴等の、糸(F)の特徴を明らかにする。光信号が、糸(F)と関係を持った後で、光信号により照射を受け、糸ガイドとして機能する、光透過手段(6)を介在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立形式の請求項の公知要件事項部に記載した、縫い糸又は織り糸の光学式分析装置に関する。特に、本発明は、糸の番手及び異物の存否をモニターし、糸の形状を分析する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縫い糸又は織り糸をモニターする方法及び装置は、公知のものがあり、例えば、容量式又は光学式圧電センサ等、種々の技術を用いている。
【0003】
例えば、欧州特許公開公報第011751号に記載されているように、圧電センサ装置は、縫い糸又は織り糸と接触する繊維状セラミック又はその他の部材と組み合わせた、圧電セラミックを例えば用いて、こうした部材上を滑るように移動する糸の粗さにより生ずる変化を、圧電セラミックに伝える。この技術の主な利点は、繊維状セラミックと接触する埃又は糸の残留物が存在していても、ほとんど全くと言っていいほど影響受けず、糸自体で、繊維状セラミックの接触箇所を自動的に清掃することになるからである。
【0004】
しかしながら、この技術では、圧電セラミックと組み合わせた繊維状セラミックと、縫い糸又は織り糸との間での物理的接触が必ず必要となる点が、大きな欠点である。この技術では、例えば、張力等の制御対象特性に変化が生じ、又は糸の破断を招く、好ましくない摩擦又は擦りを防止するためにモニター中に接触することが許されない、糸のモニターを行うことができない。
【0005】
もう一つの欠点は、糸の状態を滑るような移動状態に誤認させることによって、糸が破断した場合でも、装置が、繊維機械を一時停止させる信号を発生させなくする、極めて激しい振動又はノイズの存在に対する圧電セラミックの感度である。
【0006】
これに対して、容量式センサ装置は、モニター対象の実際の糸を含む、誘電体中の変化により生ずる容量センサの容量変化を測定する。誘電体中の容量変化を測定することにより、糸の移動状態、その番手の変化等が、測定できる。この技術の利点は、糸と直接接触しなくても、糸をモニターでき、埃又は糸の残留物が存在しても、容量センサの測定能力にわずかな影響を与えるに過ぎないことである。
【0007】
しかしながら、これら公知の装置の重大な欠点は、例えば、銅製若しくは鋼製糸、又は炭素繊維が入っている糸等の、導電性縫い糸又は織り糸をモニターできないことである。また、湿った糸、及び水で濡れた又は静電防止若しくは導電性オイルで処理された糸もモニターできない。これは、導電性縫い糸又は織り糸の場合、及び水がある場合、誘電体を短絡させて、糸を測定してモニターすることができなくなるからである。
【0008】
さらに、容量式のシステムは、電界及び静電放電に対して感度が極めて高く、電界又は静電放電が存在すると、移動する位置の状態を誤認することがあり、正確な動作が妨げられることがしばしばある。
【0009】
これに対して、例えば、欧州特許公開公報第0519281号に記載されている、光学式センサ装置は、モニターすべき縫い糸又は織り糸を間に位置付ける、発光器と受光器とを通常用いる。
【0010】
この技術の主な利点は、あらゆる種類の縫い糸又は織り糸を、導電性であるか否かとは関係なく、こうした糸と接触することなく、モニターできることである。
【0011】
この技術の欠点は、主として、モニター対象の糸により受光器及び/又は発光器に残された埃又は残留物が形成される場合の感度である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、上述した3個の異なる技術の主要な利点を持ち、すなわち、あらゆる種類の縫い糸又は織り糸を、導電性であるか否かとは関係なく、必要に応じて縫い糸又は織り糸と接触することなくモニターでき、埃又は糸の残留物が形成されても問題を生ぜず、導電性オイル又はもっと単純には水が存在しても問題を生ぜず、振動、ノイズ源及び電界等に対しても問題を生じない、光学式センサ装置を提供することにある。
【0013】
もう一つの目的は、構造が簡便で安価な、光学式センサ装置を提供することにある。
【0014】
もう一つの目的は、形状的に及びエルゴノミクス(人間工学)的に、繊維機械業界、その他、例えば、銅製コイル、モータの巻き線、油入変圧器等の分野で使用可能な、上述したタイプの装置を提供することにある。
【0015】
もう一つの目的は、糸をガイドするのに必要な糸ガイド機能をも組み込んだ、上述したタイプの装置を提供することにある。
【0016】
もう一つの目的は、糸の形状及び/又は位置の像における変化に対して感応する範囲が、使用する受光素子の検知範囲よりもかなり大となるように、できるだけ大きくされ、どんな縫い糸又は織り糸のモニターでも、大きな融通性で要求を満たす、上述したタイプの光学式装置を提供することにある。
【0017】
さらにもう一つの目的は、シールされ、使用条件がかなり厳しくても、問題なく作動できる、上述したタイプの装置を提供することにある。
【0018】
さらにもう一つの目的は、モニター対象の糸の2次元分析を行うことができる装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
これらの目的、及び当業者には明らかな他の目的は、請求の範囲に記載した装置によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明については、非限定的な実施の形態を示した添付図面からさらに明らかになる。
【0021】
添付図面を参照すると、本発明に従って構成された装置は、全体を符号1で示してあり、互いに対してある角度で位置付けられた2個の赤外線発光素子3及び4と、フォトダイオード、フォトトランジスタ又はPSD等からなる、受光素子5とを備える。発光素子3及び4は、受光素子の中心を向くように方向付けることが好ましい。
【0022】
また、この装置1は、赤外光を透過し、糸ガイドとしても機能する手段6であって、ジルコニウム等からなる、たとえば繊維状セラミックをも備える。繊維機械(図示せず)に供給され、動きをモニターすべき糸Fが、この手段6内を移動する。糸が切れた場合には、繊維機械を一時停止し、最終的に不良品となり廃棄する必要がある製品(繊維機械に供給される複数本の糸から構成されるもの)を、繊維機械が製造し続けるのを防ぐ。
【0023】
こうした光透過手段は、糸ガイドとして機能するとともに、埃又は粉末が、受光素子5に堆積してその動作性能が変わるのを防止する。光透過手段は、光透過手段に当たる光線を制御可能に増加して、発光素子3及び4から出る光線が当たる糸Fにより作り出される照射円錐状影を大きくすることによって受光素子5の動作性能も向上させる。
【0024】
これらの素子3、4及び5は、マイクロプロセッサユニット101を有する電子回路100(図3)と組み合わされる。電子回路100は、公知のタイプのものである。
【0025】
ここで、発光素子3及び4が、同時に作動するものとする。この結果、糸Fの断面に応じて、2個の別個の円錐状影10及び11が形成され、これらの円錐状影は、受光素子5に当たる。このため、周知のように、糸の断面に比例した電気信号を発生する。
【0026】
ここで、糸Fが、光透過手段6内を移動し、受光素子5の感知範囲内を滑らかに動く、すなわち、その位置を維持しながら、その断面を変化させる(縫い糸又は織り糸が、どんなに完全度高くても、その断面は、部分ごとに変わるのが通常である)とする。この滑らかな移動、すなわち、断面の変化により、受光素子5に当たる円錐状影10及び11の位置及び/又は形状の変化が、公知のように生じて、その結果生ずる電気信号に変化をもたらす。この信号は、モニターされる糸の像及び/又は位置変化の関数となることが知られている。
【0027】
1個以上の発光素子3及び4を設けるため、受光素子5面上には、極めて大きな像検知範囲が、もたらされるので、糸Fの位置の関係なく、この検知範囲内での縫い糸又は織り糸の容易で信頼性のあるモニタリングを行える。これは、糸Fが、光透過手段6内で、どんな位置にあっても、糸は、発光素子3及び4の少なくとも一つから照射される光に、必ず当たることになり、受光素子5は、糸の存在を(糸の影又は受光素子5により検知される光反射を通じて)継続的に検知する。
【0028】
光透過手段6は、また、その検知範囲内に糸を収容し、必要に応じて、その検知範囲内に案内することを可能にする。光透過手段は、赤外光に対して透過性であるとともに、耐摩耗性材料からなるため、糸に損傷を与えることなく糸と接触したままの状態にも適する。光透過手段は、適当な支持体(ボビン)から巻き戻すことによって繊維機械に糸を供給するとき、糸Fと絶えず接触しても、又、糸から大抵離れていてもよいことに留意すべきである。ここに、「大抵」とは、単なる過渡的な的な接触が、糸の供給中に光透過手段6との間では時々起こることを意味する。
【0029】
糸と光透過手段6とが接触すると、当然ながら光透過手段6が自動的に清掃されることにもなる。上述したように、埃又は糸残留物が形成されると、本装置1は検知ができなくなる。光透過手段は、糸が滑走するときには、糸により清掃されるので、埃又は糸残留物が溜まることはない。
【0030】
変形態様として、発光素子3及び4を、同時に作動させる代わりに、交互に作動させて、円錐状影(例えば、発光素子4により作り出される円錐状影10)が、非作動中の発光素子(この場合、発光素子3)によりもたらされる照射によって減少しない場合には、読み取り信号を出すようにしてもよい。こうすると、特に、本装置1が、糸Fの移動状態を分析するのに用いられるだけでなく、糸の番手又は断面の分析及び測定等、他の目的にも使用する場合に、装置の性能を一層向上させることができる。
【0031】
あるいは又、図2(ここには、図1に示す部材に対応する部材が、同じ参照符号で示されている)を参照すれば分かるように、本装置1は、2個の受光素子3及び4を用い、これらの放出光は、糸を収容し案内する光透過手段6を透過した後、縫い糸又は織り糸Fに当たって、受光素子5に向かって反射される(矢印13及び14で示す)ようにしてもよい。受光素子は、光が当たると、反射された光量に比例した電気信号を発生する。
【0032】
この場合でも、光透過手段6は、同時に作動されても又は交互に作動されてもよい。
【0033】
簡易化した態様では、本装置1は、1個の発光素子3若しくは4だけを用い、又は、図2に示す発光素子3及び4とは反対側の位置に、反射部材(鏡のようなもの)を用いて、図1及び図2に示す各解決手段を混合させた構造を得るようにしてもよい。
【0034】
複雑化した態様では、発光素子は、数が3個以上、例えば4個以上とし、受光素子5の検知範囲を増大させてもよい。
【0035】
図3、4及び5は、本発明の思想に従った、本装置1の他の実施形態を示すものである。これらの図では、すでに説明した図面に示した部材に対応する部材には、同じ参照符号を付してある。
【0036】
これらの図では、赤外線発光素子3及び4、例えば、KINGBRIGHT型コード番号K3010F3Cのものと、光透過手段6であって。例えば、アルミナ、ジルコニウム、サファイア又は合成セラミック等の部材からなり、糸ガイドとしても機能するものとが、示してある。経済的な態様では、光透過手段は、ナイロン、ポリカーボネート等の材料からなる、単なるプラスチック又はガラス製であってもよい。
【0037】
光透過手段6は、例えば、口が開いたリング状をした本体部を備える。この本体部は、両側縁21及び22を備え、これら両側縁内に、凹部24を設けて、本装置1のケース30の部品28及び29を支持する部分27から突出する段部26を収容する。これら両部品は、互いに重ね合わせて閉じる(図4及び5参照)ことにより、両部品間に、これらの素子3、4及び5と、これらと接続される電子回路40とを、保持する。
【0038】
両部品28及び29は、向かい合う縁31及び32に沿って互いに整合される。向かい合う縁は、嵌り合って両部品を互いに固定できる形状をしている(公知のように、突起と対応する凹部とを形成する)ことが好ましい。ねじ等の固定手段(図示せず)を設けてもよいし、向かい合う縁31及び32に沿って接着剤を塗布することにより、又は超音波接合により、両部品の結合を永久化してもよい。
【0039】
これらの素子3、4及び5と、電子回路40とを載せた、実質的に平坦な支持体33は、両部品28及び29間に設けられる。この支持体は、両部品を互いに固定すると、両部品により保持される。
【0040】
両部品28及び29と、支持体33とは、光透過手段6の本体部20内の穴35に対応して開口部(それぞれ、28A、29A及び33Aで示す)を備える。これらの図では、これら開口部28A、29A及び33Aと、穴35とが、1辺が開いた、実質的に円形な形状をしていて、これらにより、糸Fを穴35に入れてそのモニターを行うための挿入路37を形成する。
【0041】
しかしながら、本体部20は、異なった形状又は寸法であってもよく、図3に示す態様のように、糸Fの挿入を容易化するオープンリング形状にする代わりに、ボビンから巻き戻される糸の回転移動(バルーニング)を許す必要がある場合に、又は、糸を、撚り合せ又はスパイラル処理中にモニターすべき場合には、閉じたリング形状にしてもよい。
【0042】
図3に示す受光素子5は、有名な会社であるHAMAMATSUのコード番号7105−05として製造される位置センサPSDとすることができる。2個のLED43及び44(例えば、赤色のものと緑色のもの)が、それぞれ欠陥又は問題なしを表示するものとして図示されている。これらLEDは、支持体33のアーム45及び46上に位置付けられ、支持体の主体部33Aから、ケース30の部品28の窓部47及び48に対応する位置に突出している。この部品は、部品29と同様、アームに関しては、支持体33のように形成されることが好ましい。
【0043】
LED43に対応する位置に、例えば、SUNLEDのコード番号ZTN154Wからなる赤外線光放出素子を設け、例えば、SUNLEDのコード番号ZRM154Wからなるフォトトランジスタ型光感応素子51を、LED44に対応する位置に設ける。これらトランスミッタとレシーバとにより、例えば、作業者の人差し指が入ることにより遮られる場合等、一時的に、本装置をOFFさせる、光学キー又はバリアを構成する。このバリアが、再度遮られると、本装置はONにされる。この光学キーは、アラーム信号、又は通信アドレスコード用のアクセプタンス信号をリセットするのに好適に用いることができる。
【0044】
さらに、図3には、本装置1に対する入出力信号用のフィードコネクタ55が図示されている。例えば、こうした信号は、糸Fが供給される繊維機械の電子制御回路と、本装置1との間のシリアル通信に使用されて、糸の破断等の異常が生じたり、番手の変化等(例えば、結び目、もつれ、繊維状異物によるもの)の異常が生じたり、つまり、撚り合せ中、若しくは、一方の糸の周りに他方の糸を巻き付けることにより、2本の糸を組み合わせる場合(スパイラル処理)に、測定で得た撚りの本数が、設定したパラメータと異なる、2本以上の糸により引き起こされる番手の変化が、発生している場合に、繊維機械の停止信号を出すようしてもよい。
【0045】
これらの機能は、電子回路100及びマイクロプロセッサユニット101を介して本装置1によりもたらされ、これら電子回路及びマイクロプロセッサユニットは、繊維機械の電子制御回路にコネクタ55を介して接続できる。
【0046】
電子回路100は、次のように構成され機能する。
【0047】
図6を参照すると、本発明に従って構成される装置の電気的概略構成は、この例示では、公知のPSD回路からなる光学位置センサ110を備える。光学位置センサは、直接像(図1)又は反射像(図2)を捕らえるのに使用される。こうした像は、フォトダイオードからなる発光素子3及び4により照射される赤外光が変調されたものである。フォトダイオードは、バイアス抵抗器111及び112からなるバイアス回路によりバイアスされる。
【0048】
マイクロプロセッサユニット(又は単なるマイクロコントローラ)120が、ゲート113を介して抵抗器111に接続されるように設けられる。マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120は、システムが、待機状態又は低消費状態にある場合、フォトダイオード3を流れる電流値を低下させることができる。
【0049】
PSDセンサ110では、モニター対象の縫い糸又は織り糸の像に基づいて、赤外光が照射されると、赤外光像(糸の形状)が、PSD光学センサを照射する位置に応じて、二つの電流を、出力端子(フォトダイオードのアノード)に生じる。
【0050】
これらの電流は、抵抗器124及び125を極性化し、電位差が、抵抗器の両端間に発生されて、電圧信号VA及びVBが、PSDセンサ110の出力122及び123に現れる。
【0051】
演算増幅器127及び128、並びに抵抗器及びコンデンサ130、131,132、133、134、135、136及び137とからなる、2段増幅回路126に、電圧信号VA及びVBが入力される。2段増幅回路126は、抵抗器140及び141、並びにフィルタコンデンサ142から基準信号を得る。こうした回路構成により、差動増幅器が、上述した抵抗器124及び125に加わっている電位差、すなわち、PSDセンサ110から出る電圧信号VA及びVBを増幅できるように構成される。
【0052】
2段増幅回路126は、2段増幅器を出て、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120のゲート150及び151に向かう、適切に増幅された信号を発生する。これら増幅信号は、例えば、2段差動増幅器の入力で検出される像変化レベルの1000及び100倍に等しく、装置では、二倍の制御スケールとなる。
【0053】
マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120のゲート150及び151に生ずる増幅信号は、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120の一部をなすADCユニットにより、公知のようにして、アナログ信号から、デジタル信号に変換される。
【0054】
この変換により、上述した増幅信号は、モニター対象の糸に関する像の関数となる数値に変換される。処理アルゴリズムに従って、変換された数値により、像変化が、プログラムされた最低基準値に等しい又はこれよりも大である、レベル値及び周波数値であるか否かを判断できる。
【0055】
像変化のレベル値及び周波数値が、プログラム可能な「アラーム回数」値を越えるアラーム回数を示すプログラムされた基準値よりも小である場合には、アラーム信号を出して、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120のゲート150に生じさせる。この信号は、保護・アラームブロック149に入力される。
【0056】
バイアス抵抗器160及び161を介して、ゲート153からの信号は、出力トランジスタ162を駆動して、コネクタの(ストップ)入力163に生ずる(電流)アラーム信号を出す。
【0057】
抵抗器165を分流器として使用して、出力トランジスタ162により生じた電流を、測定できるようにする。この抵抗器における電圧降下は、出力トランジスタにより生じた電流の関数である。
【0058】
この電圧降下は、抵抗器165にデカップリング抵抗器170を介して接続されたゲート168を介して、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120により測定される。これにより、本装置1のストップ出力は、短絡から保護される。この点、所定の最大値を越える高電流の場合、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120は、出力トランジスタ162を非導通状態にして出力トランジスタを保護する。
【0059】
出力トランジスタ162と平行に接続されたダイオード170も、出力トランジスタ162のコレクタとエミッタ間の電圧反転に対する保護として機能する。
【0060】
マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120の出力175及び176の各々に接続されたバイアストランジスタ171及び172を介して、LED43及び44は、本装置1の異常状態を検知でき、導通状態になった緑色LED43は、全てOKを表示し、一方、導通状態になった赤色LED44は、検知した糸の異常発生を表示する。これらLED43及び44、並びにこれらに付属する抵抗器により、本装置1用の異常検知ブロック180を構成する。
【0061】
本装置1は、像変化レベル限界値と関連するアラーム回数に関するパラメータをプログラムするプログラミング・通信ユニットに接続して、限界を越えたら、本装置にストップ出力と赤色のアラームLEDをONにさせる。
【0062】
こうした通信は、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120の適当な入力と適切な出力とを介して、行われ、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラは、入力デカップリング抵抗器185と出力バッファ186のそれぞれを介してコネクタ55によりインターフェースされる。
【0063】
電源回路190も設けられており、公知のLCローパスフィルタ191及び192と、転極防止保護ダイオード193と、安定化回路196及び197とで構成される。第1安定化回路は、バイアス部品200及び201並びにフィルタ202を付属品として備え、これらの値により、VCC5で表示された5Vに固定された、安定化回路196の安定化出力電圧が定まる。第2安定化回路197は、3.3Vの第2電源ユニットに属し、コンデンサ206及び207からなる、擾乱防止フィルタを備える。
【0064】
電源リセット回路209も設けられ、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120のゲート213に接続された抵抗器211に接続された安定化回路210で構成され、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラが、ネットワークに異常又は欠陥が生じた場合、正しいデータの制御及び保存を行う。
【0065】
さらに、電子回路100は、フォトダイオード型光放出素子49(抵抗器210によりバイアスされ、ゲート231を介してマイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120により制御されるもの)と、付属バイアス抵抗器232を備えたフォトトランジスタからなる光感応素子51とを備える。上述したように、これらにより、光学キー式の停止バリアを構成し、その作動状態を、ゲート113における対応する入力を検知して、マイクロプロセッサユニット又はマイクロコントローラ120により読み取られる。この光学キーは、例えば、本発明による糸モニター装置用のリセット用キーとして利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】位置及び/又は像における変化を直接検知するための照射を行うときにおける、発光素子と受光素子の空間位置を示す、本発明による装置の実施の形態の一つを示す概略図である。
【図2】位置及び/又は像における変化を反射により検知するための照射を行うときにおける、発光素子と受光素子の空間位置を示す、本発明による装置の他の実施の形態を示す概略図である。
【図3】本発明に係る装置の実施の形態の一つを示す分解斜視図である。
【図4】図3に示した装置を組み立てた場合の正面側斜視図である。
【図5】図3に示した装置を組み立てた場合の背面側斜視図である。
【図6】図1に示した装置の概略回路図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の発光素子(3、4)と、少なくとも1個の受光素子(5)とを備え、発光素子(3、4)は、受光素子(5)により検知される前に、糸(F)に当たる光信号を発生し、受光素子の検知に基づいて、発光素子(3、4)と受光素子(5)間での、移動、停止、寸法的な欠陥又はその他の寸法的な特徴等の、糸(F)の特徴を明らかにする、繊維に供給される縫い糸又は織り糸(F)を光学的に分析する装置において、光信号が、糸(F)と関係を持った後で、光信号により照射を受け、糸ガイドとして機能する、光透過手段(6)が、発光素子(3、4)と受光素子(5)との間に介在することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記発光素子(3、4)の数は、少なくとも2個であり、前記発光素子は、前記糸(F)が、これら発光素子の少なくとも1個から発光される光に必ず照射されるように、方向付けられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記光透過手段(6)は、前記糸(F)と接触することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記光透過手段(6)は、前記糸(F)が、前記繊維機械に供給されるとき、通常は、糸とは接触せず離れていることを特徴とする、請求項1に記載する装置。
【請求項5】
前記光透過手段(6)は、セラミック材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記セラミック材料は、アルミナ、ジルコニウム、サファイア及びガラスのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記光透過手段(6)は、ナイロン、ポリカーボネート等のプラスチック材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記光透過手段(6)は、少なくとも部分的に環状な本体部(20)を備え、前記糸(F)は、この本体部の穴(35)内に位置付けられ、本体部(20)は,ケース(30)により支持され、ケースは、前記光透過手段(6)の本体部(20)の穴(35)の周囲の少なくとも一部を占める形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ケース(20)は、2個の結合部品(28、29)からなり、両者間に、前記光透過手段(6)を保持することを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記ケース(30)の結合部品(28、29)は、両者を組み合わせることができる向かい合う縁(31、32)を備え、両結合部品(28、29)間に、前記少なくとも1個の発光素子(3、4)と、前記受光素子(5)とを備える電気回路(100)を位置付け、前記受光素子は、マイクロプロセッサユニット(120)に接続されて、前記受光素子(5)により受信された前記光信号に基づいて、予め設定したアルゴリズムに従って、前記糸(F)のモニターすべき特徴のそれぞれを評価することを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ケース(30)の結合部品(28、29)と、前記支持体(33)とが、主体部から突出する複数個のアームであって、前記前記光透過手段(6)の本体部(30)を少なくとも部分的に構成するアームを備えることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記アームは、装置(1)のケース(30)内で、互いに向かい合って挿入路(37)を構成することを特徴とする、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
向かい合うアームには、光放出素子(49)と光感応素子(51)とが位置付けられて、遮られると、これらの素子は、装置(1)の作動状態を修正する光学バリアとして機能することを特徴とする、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記向かい合うアームの少なくとも一方に、前記受光素子(5)の方を向くように、発光素子(3、4)を位置付けることを特徴とする、請求項12に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−522463(P2007−522463A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552593(P2006−552593)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050351
【国際公開番号】WO2005/078384
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506278440)
【Fターム(参考)】