説明

薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板及びその製造方法

【課題】電極の厚さを厚くすることができ、上部電極の表面粗度を増加させることができる薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁基材31a上に第1下部電極33a及び第2下部電極33bからなる下部電極33を形成し、上記下部電極33上に低温成膜工程により非晶質常誘電体膜35を形成し、上記非晶質常誘電体膜35上に緩衝層36を形成し、上記緩衝層36上に金属シード層37を形成し、上記金属シード層37上に上部電極39を形成して薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板30を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板及びその製造方法に関するものであって、より詳細には誘電層と上部電極との間に緩衝層を形成することによって、電極の厚さを厚くすることができ、上部電極の表面粗度を増加させることができる薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子装置の高性能化のための高集積の受動素子に対する要求が増大されつつある。しかし、印刷回路基板上に搭載されていた各種受動素子は、電子装置を小型化するにおいて大きな阻害要因として作用しているものと認識されている。特に、半導体能動素子が次第に内蔵化されその入出力端子数が増加するにつれ、その能動素子の周囲により多くの受動素子のための空間が要求されつつあるが、このような要求は簡単に解決できる問題ではない。
【0003】
代表的な受動素子としてはキャパシタがある。上記キャパシタは、運用周波数の高周波化によってインダクタンスを減少させるため適切に配置されることが必要である。例えば、安定的に電源を供給するために使用されるディカップリング用キャパシタは、高周波化による誘導インダクタンスを低減させるため入力端子と最近接距離に配置されることが要求される。
【0004】
このような小型化と高周波化の要求に応えるため、様々な形態の低ESL積層型キャパシタが開発されて来たが、従来のMLCCは、ディスクリート素子として上記のような問題を克服するのに根本的な限界を有している。ところが、上記キャパシタは電気回路の素子として多く利用されており、もしもこれらを電気回路基板内に内蔵することができれば、その基板の面積を効果的に減らすことが可能であり、この点に着目して、最近は内蔵型キャパシタの具現方案に対する研究が活発に進んでいる。
【0005】
上記内蔵型キャパシタは、メモリカード、PCメインボード及び各種RFモジュールに使用され、製品のサイズを画期的に減少させることができる。また、能動素子の入力端子に近接して配置させることが可能であり、導線の長さを最小化し誘導インダクタンスを大きく低減させることができる等の長所を有している。しかし、上記内蔵型キャパシタは、異種材料間の接合が難しいため電極を厚く形成し難いという問題点がある。即ち、誘電層が1.0μm以下の時、上下部電極が各々1.0μm程度であれば、ある程度接合が可能であるが、上下部電極がそれ以上であれば金属層の残留応力によって誘電層との剥離現象を引き起す。これはセラミック材料と金属材料が相互結晶構造が異なるため生じる問題点である。
【0006】
上記のような内蔵型キャパシタの問題点を克服するための従来技術には、特許文献1に開示された発明がある。上記従来技術に提示された薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板10は、図1に示された通り、絶縁基材11a、上記絶縁基材上に形成された下部電極13、上記下部電極上に形成された誘電体薄膜15及び上記誘電体薄膜上に形成された上部電極17を含む。しかし、上記従来技術では、その上下部電極をスパッタリング、E−ビーム等のようなPVD方式を利用するため、その電極の厚さを厚くするためには費用的な側面で困難な部分がある。また、上記のようなPVD方式を用いて形成された電極の場合には、その電極の表面粗度が通常100nm以下であり、従って後続の工程で上部電極17上に絶縁基材11bを加圧積層する場合その上部電極と積層された絶縁基材11bが剥離される現象が発生する。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,818,469号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来技術の問題点を解決するためのものであって、誘電層と上部電極との間に緩衝層を形成することにより、電極の厚さを厚くすることができ上部電極の表面粗度を増加させることができるため、上部基材との接合力を向上させることができる薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、絶縁基材上に形成された下部電極と、上記下部電極上に低温成膜工程を通じて形成された非晶質常誘電体膜と、上記非晶質常誘電体膜上に形成された緩衝層と、上記緩衝層上に形成された金属シード層と、上記金属シード層上に形成された上部電極と、を含む薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板を提供する。
【0010】
また、本発明は、絶縁基材上に下部電極を形成する段階と、上記下部電極上に200℃以下の低温成膜工程を用いて非晶質常誘電体膜を形成する段階と、上記非晶質常誘電体膜上に緩衝層を形成する段階と、上記緩衝層上に金属シード層を形成する段階と、上記金属シード層上にその表面粗度Raが300nm以上である上部電極を形成する段階と、を含む薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板において、誘電層と上部電極との間に緩衝層を形成することによって電極の厚さを厚くすることができ、上部電極の表面粗度を増加させることができるため上部基材との接合力を向上させることで製品の信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照に本発明の印刷回路基板について詳細に説明する。
【0013】
図2は、本発明の一実施例による薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の断面図である。図2に示された通り、本発明の印刷回路基板20は絶縁基材21a上に下部電極23、非晶質常誘電体膜25、緩衝層26、金属シード層27、上部電極29及び絶縁基材21bが順次に積層された構造を有することができる。
【0014】
また、図3は本発明のまた別の一実施例による薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の断面図である。図3に示された通り、本発明の印刷回路基板20は絶縁基材21a上に第1下部電極23a、第2下部電極23b、非晶質常誘電体膜25、緩衝層26、金属シード層27、上部電極29及び絶縁基材21bが順次に積層された構造を有することができる。
【0015】
本発明において、上記絶縁基材21a,21bの材料は特に制限はされず、印刷回路基板で広く用いられるポリイミド或いはエポキシであることができる。
【0016】
上記下部電極23,23a,23bは、Cu,Ni,Al,Pt,Ta及びAgから成るグループから選択された1種の金属で形成されることが好ましい。より好ましくは、上記下部電極はCuで形成される。上記下部電極は、図3に示された本発明のまた別の一実施例で提示した通り、絶縁基材21a上に形成された第1下部電極23aと、上記第1下部電極23a上に形成された第2下部電極23bに区分して形成することができ、この場合上記第1下部電極は無電解メッキを用いて形成し、上記第2下部電極は電解メッキを用いて形成することがより好ましい。また、さらに好ましくは、上記第1下部電極の厚さを1.0μm以下にし、上記第2下部電極の厚さを1.0〜9.0μmにする。
【0017】
また、本発明では上記非晶質常誘電体膜25がBiZnNb系金属酸化物で組成されることが好ましく、より好ましくは1.3≦x≦2.0、0.8≦y≦1.5及びz≦1.6を満足するBixZnyNbz7金属酸化物で組成される。上記のような非晶質金属酸化物で組成された誘電体膜は30以上、さらに40以上の高誘電率を有することができる。さらに好ましくは、上記非晶質常誘電体膜の厚さが2.0μm以下である。
【0018】
上記緩衝層26は本発明の最も核心となる層であって、電極の厚さを厚くすることができ上部電極の表面粗度を増加させることができるため、上部基材との接合力を向上できるだけでなく、下部の非晶質常誘電体膜25との接着力を向上させ上部電極を成す金属原子の移動(migration)を防ぐ役目をする。上記緩衝層26はTiまたはCrで形成されることが好ましい。より好ましくは、上記緩衝層の厚さは1.0μm以下である。上記緩衝層26はPVD方式で形成されることが好ましく、これは上記非晶質常誘電体膜25との接着力を向上させることができるからである。
【0019】
また、上記金属シード層27は、Cu,Ni,Ti,Au,Co,Ag,Pt及びPdから成るグループから選択された1種の金属で組成することが好ましく、その厚さは1.0μm以下にすることがより好ましい。さらに好ましくは、上記金属シード層は無電解メッキで形成される。
【0020】
また、上記上部電極29は、その表面粗度が300nm以上で形成されることが好ましい。上記上部電極は、Cu,Ni,Al,Pt,Ta及びAgから成るグループから選択された1種の金属で組成されることができ、より好ましくは、上記上部電極はCuで組成される。上記上部電極は本発明の目的の一つである電極の厚さを厚くするという側面から1.0μm以上で形成されることが好ましい。より好ましくは、上記上部電極は電解メッキによって形成される。
【0021】
次に、本発明の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法を添付の図面を参照に段階別に区分して説明する。
【0022】
図4は、本発明の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造工程を示す工程順番図である。
【0023】
図4(a)に示された通り、本発明では先ず絶縁基材31a上に下部電極33を形成する。本発明のまた別の一実施例では上記絶縁基材31a上に第1下部電極33aを形成し、上記第1下部電極33a上に第2下部電極33bを形成することにより下部電極を形成することとなる。上記下部電極は、上記絶縁基材31aが熱に弱いポリマー基材であることを考慮して、低温スパッタリング法、蒸発法、無電解メッキ法或いは電解メッキ法等のような低温成膜工程を用いることが好ましい。また、本発明のまた別の一実施例に提示した通り、第1下部電極と第2下部電極とを含む下部電極を形成させるためには、上記第1下部電極は無電解メッキを用いて、上記第2下部電極は電解メッキを用いて形成させることが好ましい。また、上記第1下部電極は1.0μm以下の厚さを有するよう形成し、上記第2下部電極は1.0〜9.0μmの厚さを有するよう形成することが好ましい。また、上記下部電極33,33a,33bは、Cu,Ni,Al,Pt,Ta及びAgから成るグループから選択された1種の金属で形成されることが好ましく、より好ましくはCuで形成される。
【0024】
以後、図4(b)に示された通り、上記のように形成された下部電極33,33a,33b上に非晶質常誘電体膜35を形成する。上記誘電体膜は、200℃以下の低温成膜工程を用いて形成されることが好ましい。このような工程としてはスパッタリング工程、PLD工程或いはCVD法等が挙げられる。上記低温成膜工程によって得られた誘電体膜35は非晶質金属酸化物であり、これは充分な誘電率を示すため以後結晶化のための高温の熱処理工程が要求されない。好ましくは、上記非晶質常誘電体膜35をBiZnNb系非晶質金属酸化物で構成し、より好ましくは1.3≦x≦2.0、0.8≦y≦1.5及びz≦1.6を満足するBixZnyNbz7金属酸化物で構成する。このような非晶質酸化物で構成された誘電体膜は30以上、さらに低温熱処理により40以上の高誘電率を有するものとすることができる。また、上記非晶質常誘電体膜はその厚さが2.0μm以下となるよう形成させることがより好ましい。
【0025】
次に図4(c)に示された通り、上記非晶質常誘電体膜35上に緩衝層36を形成させ、この際上記緩衝層36は、スパッタリング法或いはE−ビーム等のようなPVD方式で形成させることが好ましい。また、上記緩衝層はTiまたはCrで形成することが好ましく、その厚さは製造費用等を考慮して1.0μm以下に制限することが好ましい。上記緩衝層36は本発明の最も核心となる層であって、電極の厚さを厚くすることができ上部電極の表面粗度を増加させることができるため、上部基材との接合力を向上できるだけでなく、下部の非晶質常誘電体膜35との接着力を向上させて上部電極を成す金属原子の移動(migration)を防ぐ役目をする。
【0026】
次いで、本発明では図4(d)のように、上記緩衝層36上に金属シード層37を形成する。この際上記金属シード層37は、無電解メッキ方法を用いて形成することが好ましい。上記無電解メッキ方法は特に制限はされず、例えばCu無電解メッキの場合、無電解メッキ浴はCuイオン、EDTA、NaOH、ホルムアルデヒド成分を含むことができる。この際、上記NaOH投入量を制御してメッキ浴のpHを11以上に上げると、上記ホルムアルデヒドに強力な還元作用が起きて電子を発生させる。このようにして発生された電子は、Cuイオンに流れ込んでCuが緩衝層26上にメッキできるのである。また、上記金属シード層はCu,Ni,Ti,Au,Co,Ag,Pt及びPdから成るグループから選択された1種の金属で構成することが好ましく、その厚さは1.0μm以下に制限することが好ましい。
【0027】
次に、本発明では図4(e)に示された通り、上記金属シード層37上に上部電極39を形成する。この際その表面粗度Raが300nm以上となるよう電解メッキを用いて上記上部電極を形成することが好ましい。この際、表面粗度が優れた電解メッキ層を形成するためには、電解メッキ時電流密度とメッキ時間を最適化することがより好ましく、例えば上記電流密度は1.0〜3.0A/dm2にし、メッキ時間は5分以上にすることが可能である。また、上記上部電極はCu,Ni,Al,Pt,Ta及びAgから成るグループから選択された1種の金属で構成することが好ましく、より好ましくはCuで構成する。また、上記上部電極は本発明の目的の一つである電極の厚さを厚くするという側面で1.0μm以上に形成することが好ましい。
【0028】
以後、本発明では図4(f)に示された通り、上記上部電極39上に絶縁基材31bを積層した後、その積層体を圧着する通常の工程を用いてその内部に薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板30を製造することができる。
【0029】
上述の通り、本発明は絶縁基材上に薄膜キャパシタを順次に形成し、これを通常のビルドアップ印刷回路基板製造工程を通じて薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板を効果的に製造することができる。
【0030】
また、従来の薄膜キャパシタから発生していた上部電極と絶縁基材との剥離現象を効果的に防ぐことにより製品の信頼性を高めることができる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明するが、これは本発明の実施を例示するためのことであって、本発明はこのような実施例の記載内容によって制限されない。
【0032】
[実施例]
(発明例)
図4に示された工程を用いて図3のような構造を有する印刷回路基板を製造した。即ち、エポキシ系列の絶縁基材上に無電解メッキを用いて1.0μmの厚さでCuをメッキして第1下部電極を形成した後、その上に電解メッキを用いて1.0μmの厚さでCuをメッキして第2下部電極を形成した。上記電解メッキ時電流密度は1.2A/dm2、メッキ時間は5分にし、メッキ溶液濃度はCuSO4・5H2O:200g/l、H2SO4:30g/l、Cl-:40ppm以下、レベラー(leveler):20ml/l、ブライトナー(brightner):0.5ml/lにした。以後、その上に200℃以下の低温成膜工程を用いて0.3μmの厚さで非晶質常誘電体膜(Bi1.5ZnNb1.57)を形成した。この際、上記常誘電体膜は蒸着圧力を200mTorr以下、温度を200℃以下、蒸着時間を3時間以下にしてスパッタリングした。上記スパッタリング以後、上記非晶質常誘電体膜上にTi緩衝層を0.2μmの厚さでスパッタリング方法を用いて形成した。この際、蒸着圧力は1.5mTorr以下、温度は200℃以下、蒸着時間は1時間以下、雰囲気はArガス雰囲気を利用した。次いで、その上にCuを0.2μmの厚さで無電解メッキした。次に上記Cuシード層上にCuを1.0μmの厚さで電解メッキした。上記電解メッキ時電流密度は1.2A/dm2、メッキ時間は5分にし、メッキ溶液の濃度はCuSO4・5H2O:200g/l、H2SO4:30g/l、Cl-:40ppm以下、レベラー(leveler):20ml/l、ブライトナー(brightner):0.5ml/lにした。
【0033】
上記のように製造された印刷回路基板の上部電極の表面粗度(Ra)を5回測定した。その結果は下記の表1の通りである。
【0034】
【表1】

【0035】
上記の表1から分かるように、本発明によって製造された印刷回路基板の上部電極は、平均320nm程度の表面粗度を有し上部絶縁基材との接合力が非常に優れることが分かった(図5及び図6参照)。
【0036】
また、上記のように製造された印刷回路基板は、その厚さ(下部電極から上部電極まで)が約4.19μmであった。
【0037】
(比較例)
既存の工程を用いて、図1のような構造を有する印刷回路基板を製造した。即ち、エポキシ系列の絶縁基材上にCu下部電極をPVD方式で形成し、その上に0.3μmの厚さで非晶質常誘電体膜(Bi1.5ZnNb1.57)を形成した。以後、上記非晶質常誘電体膜上にスパッタリング方法を用いて1.0μmの厚さでCu上部電極を形成した。
【0038】
上記のように製造された印刷回路基板の上部電極の表面粗度(Ra)を5回測定した。その結果は下記の表2の通りである。
【0039】
【表2】

【0040】
上記の表2から分かるように、既存の方法によって製造された印刷回路基板の上部電極は、平均115nm程度の表面粗度を有し上部絶縁基材との接合力が非常に衰えていることが分かった(図7参照)。
【0041】
また、上記のように製造された印刷回路基板は、その厚さ(下部電極から上部電極まで)が約2.3μmであった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】従来の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例による薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板を示す断面図である。
【図3】本発明の他の一実施例による薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板を示す断面図である。
【図4】本発明による印刷回路基板の製造工程を示す工程順番図である。
【図5】本発明による印刷回路基板の断面を光学顕微鏡で観察した写真である。
【図6】本発明による印刷回路基板の断面を電子顕微鏡で観察した写真である。
【図7】比較例による印刷回路基板の断面を電子顕微鏡で観察した写真である。
【符号の説明】
【0043】
20、30 印刷回路基板
21a、31a 絶縁基材
21b、31b 絶縁基材
23、33 下部電極
23a、33a 第1下部電極
23b、33b 第2下部電極
25、35 非晶質常誘電体膜
26、36 緩衝層
27、37 金属シード層
29、39 上部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材上に形成された下部電極と、
前記下部電極上に低温成膜工程を通じて形成された非晶質常誘電体膜と、
前記非晶質常誘電体膜上に形成された緩衝層と、
前記緩衝層上に形成された金属シード層と、
前記金属シード層上に形成された上部電極と、
を含む薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項2】
前記下部電極は、絶縁基材上に形成された第1下部電極と前記第1下部電極上に形成された第2下部電極に区分され、前記第1下部電極は無電解メッキによって形成され、前記第2下部電極は電解メッキによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項3】
前記下部電極は、絶縁基材上に形成された第1下部電極と前記第1下部電極上に形成された第2下部電極に区分され、第1下部電極は1.0μm以下の厚さを有し、前記第2下部電極は1.0〜9.0μmの厚さを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項4】
前記下部電極は、Cu,Ni,Al,Pt,Ta及びAgから成るグループから選択された1種の金属で形成されることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項5】
前記下部電極は、Cuで形成されることを特徴とする請求項4に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項6】
前記非晶質常誘電体膜は、BiZnNb系金属酸化物誘電体膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項7】
前記BiZnNb系金属酸化物は、1.3≦x≦2.0、0.8≦y≦1.5及びz≦1.6を満足するBixZnyNbz7金属酸化物であることを特徴とする請求項6に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項8】
前記非晶質常誘電体膜の厚さが2.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項9】
前記緩衝層は、TiもしくはCrで形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項10】
前記緩衝層の厚さが1.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項11】
前記緩衝層は、PVD方式で形成されることを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項12】
前記金属シード層は、Cu,Ni,Ti,Au,Co,Ag,Pt及びPdから成るグループから選択された1種の金属で形成されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項13】
前記金属シード層の厚さが1.0μm以下であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項14】
前記金属シード層は、無電解メッキで形成されることを特徴とする請求項1〜13のうちいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項15】
前記上部電極は、Cu,Ni,Al,Pt,Ta及びAgから成るグループから選択された1種の金属で形成されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項16】
前記上部電極は、Cuで形成されることを特徴とする請求項15に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項17】
前記上部電極の厚さが1.0μm以上であることを特徴とする請求項1〜16のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項18】
前記上部電極は、その表面粗度Raが300nm以上であることを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項19】
前記上部電極は、電解メッキで形成されることを特徴とする請求項1〜18のうちいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板。
【請求項20】
絶縁基材上に下部電極を形成する段階と、
前記下部電極上に200℃以下の低温成膜工程を用いて非晶質常誘電体膜を形成する段階と、
前記非晶質常誘電体膜上に緩衝層を形成する段階と、
前記緩衝層上に金属シード層を形成する段階と、
前記金属シード層上に上部電極を形成する段階と、
を含む薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項21】
前記絶縁基材上に下部電極を形成する段階は、
絶縁基材上に第1下部電極を無電解メッキで形成させ、前記第1下部電極上に第2下部電極を電解メッキで形成させることを特徴とする請求項20に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法 。
【請求項22】
前記下部電極は、絶縁基材上に形成された第1下部電極と前記第1下部電極上に形成された第2下部電極に区分され、第1下部電極は1.0μm以下の厚さを有し、前記第2下部電極は1.0〜9.0μmの厚さを有することを特徴とする請求項20又は21に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法 。
【請求項23】
前記下部電極は、Cu,Ni,Al,Pt,Ta及びAgから成るグループから選択された1種の金属で形成されることを特徴とする請求項20〜22のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法 。
【請求項24】
前記下部電極は、Cuで形成されることを特徴とする請求項23に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法 。
【請求項25】
前記非晶質常誘電体膜は、BiZnNb系金属酸化物誘電体膜であることを特徴とする請求項20〜24のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法 。
【請求項26】
前記BiZnNb系金属酸化物は、1.3≦x≦2.0、0.8≦y≦1.5及びz≦1.6を満足するBixZnyNbz7金属酸化物であることを特徴とする請求項25に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法 。
【請求項27】
前記非晶質常誘電体膜の厚さが2.0μm以下であることを特徴とする請求項20〜26のうちいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法 。
【請求項28】
前記緩衝層は、TiもしくはCrで形成されることを特徴とする請求項20〜27のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法 。
【請求項29】
前記緩衝層の厚さが1.0μm以下であることを特徴とする請求項20〜28のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項30】
前記緩衝層は、PVD方式で形成されることを特徴とする請求項20〜29のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項31】
前記金属シード層は、Cu,Ni,Ti,Au,Co,Ag,Pt及びPdから成るグループから選択された1種の金属で形成されることを特徴とする請求項20〜30のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項32】
前記金属シード層の厚さが1.0μm以下であることを特徴とする請求項20〜31のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項33】
前記金属シード層は、無電解メッキで形成されることを特徴とする請求項20〜32のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項34】
前記上部電極は、Cu,Ni,Al,Pt,Ta及びAgから成るグループから選択された1種の金属で形成されることを特徴とする請求項20〜33のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項35】
前記上部電極は、Cuで形成されることを特徴とする請求項34に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項36】
前記上部電極の厚さが1.0μm以上であることを特徴とする請求項20〜35のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項37】
前記上部電極は、その表面粗度Raが300nm以上であることを特徴とする請求項20〜36のいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。
【請求項38】
前記上部電極は、電解メッキで形成されることを特徴とする請求項34〜37のうちいずれか一項に記載の薄膜キャパシタが内蔵された印刷回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−116169(P2007−116169A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285346(P2006−285346)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】