説明

薄膜トランジスタ、その製造方法、およびそれを利用した表示基板

【課題】酸化物半導体層に対する外部光の照射を遮断し、その半導体特性の劣化を防止できる薄膜トランジスタ、その製造方法、およびそれをスイッチング素子として利用し、表示品質を向上した表示基板を提供する。
【解決手段】本発明による薄膜トランジスタは、酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層のチャネル領域と重なるように前記酸化物半導体層の上に形成された第1保護層と、前記酸化物半導体層と前記第1保護層との間に形成された不透明層と、前記酸化物半導体層の一側に配置されたソース電極と、前記チャネル領域を介して前記ソース電極と対向するように前記酸化物半導体層の他側に配置されたドレーン電極と、前記酸化物半導体層に電界を印加するゲート電極と、前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に形成されたゲート絶縁層と、を含み構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ、その製造方法、およびそれを利用した表示基板に係り、特に酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタ、その製造方法、およびそれを利用した表示基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(Thin film transistor、以下TFT)は、液晶表示装置または有機発光表示装置などのような平板表示装置においてスイッチング素子として使用される。現在常用化されている液晶表示装置において、TFTのチャネル層は大部分が非晶質シリコン層であり、その場合、TFTの移動度は約0.5cm/Vsである。しかし、ディスプレイの大型化につれ、高解像度および高周波数の駆動特性が要求され、より高い移動度を有する高性能TFT技術が必要とされる。したがって、前記非晶質シリコン層より移動度が高い酸化物半導体物質層、例えばZnO系(based)物質層を前記薄膜トランジスタのチャネル層として使用するための研究が進んでいる。ZnO系の物質層のうち一つであるGa−In−Zn−O層の移動度は、非晶質シリコン層の移動度の数十倍以上という優れた半導体特性を呈する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記のような酸化物半導体物質が外部光に露出する場合、Vth(threshold voltage)がシフトするなどの特性の変化が現れ、それによりTFT特性が低下する問題点がある。
【0004】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、酸化物半導体層の外部光への露出を防止することによって、特性が向上したTFTを提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする他の技術的課題は、前記のようなTFTの製造方法を提供することである。
【0006】
本発明が解決しようとするまた他の技術的課題は、前記のようなTFTを利用した表示基板を提供することである。
【0007】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は次の記載から当業者に明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記した技術的課題を解決するため、本発明は、酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層のチャネル領域と重なるように前記酸化物半導体層の上に形成された第1保護層と、前記酸化物半導体層と前記第1保護層との間に形成された不透明層と、前記酸化物半導体層の一側に配置されたソース電極と、前記チャネル領域を介して前記ソース電極と対向するように前記酸化物半導体層の他側に配置されたドレーン電極と、前記酸化物半導体層に電界を印加するゲート電極と、前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に形成されたゲート絶縁層と、を含む薄膜トランジスタを提供する。
【0009】
前記不透明層は、光を吸収できる物質からなることが好ましく、例えば非晶質シリコン層からなされてもよい。
【0010】
前記酸化物半導体層は、例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、またはハフニウム(Hf)のうち少なくとも一つを含む非晶質酸化物からなされてもよい。より具体的には、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、およびガリウム(Ga)を含む非晶質酸化物、または、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、およびハフニウム(Hf)を含む非晶質酸化物からなされてもよい。
【0011】
前記第1保護層は、シリコン酸化物(SiOx)を含んでもよい。
【0012】
前記不透明層は、前記第1保護層と実質的に同一のパターンで形成されてもよい。例えば非晶質シリコン層を前記不透明層で利用し、シリコン酸化物を前記第1保護層で利用する場合、これらを同時に形成することが可能であり、これによって前記不透明層と前記第1保護層は同一のパターンで形成されてもよい。
【0013】
一方、前記ゲート絶縁層は、シリコン酸化物を含んでもよい。

【0014】
前述した他の技術的課題を達成するため、本発明は、基板上にゲート電極を形成する段階と、前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する段階と、前記ゲート絶縁層上に酸化物半導体パターンを形成する段階と、前記酸化物半導体パターン上に不透明パターンを形成する段階と、前記不透明パターン上に第1保護パターンを形成する段階と、前記酸化物半導体パターン上に配置され、ソース電極およびドレーン電極を含むデータ線パターンを形成する段階と、を含む薄膜トランジスタの製造方法を提供する。
【0015】
前記不透明パターンは、光を吸収できる物質で形成することが好ましく、例えば非晶質シリコン層からなされてもよい。
【0016】
工程の単純化を考慮すると、前記第1保護パターンを形成する段階と前記不透明パターンを形成する段階は一つのマスクを使用して行われてもよい。
【0017】
また、前記酸化物半導体パターンを形成する段階と前記データパターンを形成する段階は一つのマスクを使用して行われてもよい。

【0018】
前述したまた他の技術的課題を達成するため、本発明は、基板上に形成されたゲート線、前記ゲート線と交差するデータ線、前記ゲート線および前記データ線に接続された薄膜トランジスタ、前記薄膜トランジスタに接続された画素電極を含み、前記薄膜トランジスタは、酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層のチャネル領域と重なるように前記酸化物半導体層の上に形成された第1保護層と、前記酸化物半導体層と前記第1保護層との間に形成された第1不透明層と、前記データ線に接続して前記酸化物半導体層の一側に配置されたソース電極と、前記チャネル領域を介して前記ソース電極と対向するように前記酸化物半導体層の他側に配置されたドレーン電極と、前記ゲート線と接続して前記酸化物半導体層に電界を印加するゲート電極と、前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に形成されたゲート絶縁層と、を含む表示基板を提供する。
【0019】
ここで、前記薄膜トランジスタは、前述した本発明による薄膜トランジスタと同一の特徴を有する。
【0020】
一方、本発明による表示基板は、前記薄膜トランジスタと前記画素電極との間に形成され、前記ドレーン電極と前記画素電極の接続のためのコンタクトホールを有する第2保護層、および、前記第2保護層上に形成され、前記チャネル領域と重なる第2不透明層をさらに含んでもよい。
【0021】
また、本発明による表示基板は、前記データ線下部に形成されたまた他の酸化物半導体層をさらに含んでもよい。例えば、前記データ線と前記酸化物半導体層を一つのマスクでパターニングする場合、前記酸化物半導体層は前記データ線に沿って形成されてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態によれば少なくとも次のような効果がある。
【0023】
すなわち、本発明の実施形態によれば、酸化物半導体層のチャネル領域が不透明層により覆われるので、前記酸化物半導体層に対する外部光の照射による前記酸化物半導体層の半導体特性の低下を防止できる。したがって、より信頼度が高い薄膜トランジスタを提供できる。
【0024】
本発明による効果は、以上で例示した内容に制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタの概ね断面図である。
【図2】図1に示す薄膜トランジスタの概ね平面図である。
【図3】本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの概ね断面図である。
【図4】図3に示す薄膜トランジスタの概ね平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの製造工程を示す断面図である。
【図15】本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタを利用した表示基板の一画素を概略的に示す平面図である。
【図16】図15に示すVI−VI’に沿って切断した断面図である。
【図17】本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタを利用した表示基板の一画素を概略的に示す平面図である。
【図18】図17に示すVIII−VIII’に沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施形態についてより詳細に説明する。しかし、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではなく、他の形態で具現されることもできる。ここで紹介する実施形態は開示された内容がより完全になるようにするため、また当業者に対して本発明の技術的思想と特徴を充分に伝えるために提供されるものである。図面において、各装置または膜(層)および領域の厚さは本発明が明確になるために誇張して示し、また各装置は、本明細書において説明されない多様な付加装置を備えてもよい。膜(層)が他の膜(層)または基板の上に位置するものと言及される場合、他の膜(層)または基板の上に直接形成される場合と、これらの間に追加的な膜(層)が介在する場合がある。
【0027】
図1および図2は、本発明の1実施形態による薄膜トランジスタを示す。
【0028】
図1および図2を参照すると、基板10の上にゲート電極20、およびゲート電極20を覆うゲート絶縁層30が配置される。ゲート絶縁層30は、例えばシリコン酸化物(SiOx)の単一膜、またはシリコン窒化物(SiNx)とシリコン酸化物(SiOx)の二重膜で形成される。
【0029】
ゲート絶縁層30の上には酸化物半導体層40が配置される。酸化物半導体層40は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)またはハフニウム(Hf)のうち少なくとも一つを含む非晶質酸化物からなる。酸化物半導体層40は、例えばZn酸化物またはIn−Zn複合酸化物にガリウム(Ga)またはハフニウム(Hf)が添加されたものであってもよい。より具体的には、非晶質酸化物層は、例えばIn−Ga−ZnOの形態で存在するGa−In−Zn−O層、またはHfO−In−ZnOの形態で存在するHf−In−Zn−O層である。
【0030】
酸化物半導体層40の上には不透明層50が配置される。不透明層50は例えば非晶質シリコン(a−Si)層で形成される。非晶質シリコンは、バンドギャップ(band gap)が1.8eV程度と小さいので、光の吸収に有利である。不透明層50は、酸化物半導体層40の全面を覆うように形成されてもよいが、図1および図2に示すように酸化物半導体層40のチャネル領域を覆うように酸化物半導体層40の一部を覆って形成されてもよい。このように前記チャネル領域を不透明層50で覆うことによって、外部からの酸化物半導体層40に対する照射光を遮断できる。
【0031】
不透明層50の上には第1保護層60が配置される。第1保護層60は、エッチストッパー(etch stopper)層として機能し、後述するソースおよびドレーン電極のパターニング時に酸化物半導体層40のチャネル領域を保護する。第1保護層60は、例えばシリコン酸化物(SiOx)層で形成される。一方、不透明層50として非晶質シリコン(a−Si)層を利用し、第1保護層60としてシリコン酸化物(SiOx)を利用する場合、不透明層50と第1保護層60を同時にパターニングできる。この場合、図1および図2に示すように第1保護層60と不透明層50が実質的に同一のパターンで形成される。図2には第1保護層60および不透明層50を長方形状に形成した場合について示すが、第1保護層60および不透明層50の形状は多様に変形できる。また、図示していないが、不透明層50を第1保護層60の上に配置してもよい。
【0032】
第1保護層60の上には、酸化物半導体層40の一部と重なるソース電極70、およびソース電極70と分離したドレーン電極80が配置される。ソース電極70およびドレーン電極80は金属層で形成される。このとき、前記金属層は、例えば、Al、Mo、TiおよびCuのうち少なくとも一つを含む単一層または多重層で形成される。
【0033】
以下、本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタについて説明する。前述した第1実施形態の薄膜トランジスタと同一の構成については具体的な説明を省略する。
【0034】
図3および図4は、本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタを示す。
【0035】
図示するように、基板110の上にゲート電極120およびゲート電極120を覆うゲート絶縁層130が形成される。ゲート絶縁層130上の酸化物半導体層140が配置される。酸化物半導体層140は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)またはハフニウム(Hf)のうち少なくとも一つを含む非晶質酸化物からなる。
【0036】
酸化物半導体層140のチャネル領域の上には不透明層150および第1保護層160が連続して配置される。不透明層150は、例えば非晶質シリコン(a−Si)層で形成され、第1保護層160は、例えばシリコン酸化物(SiOx)層で形成される。第1実施形態の場合と同様に、不透明層150は第1保護層160の上に配置されてもよい。
【0037】
第1保護層160の上には、酸化物半導体層140の一部と重なるソース電極170、およびソース電極170と分離したドレーン電極180が配置される。ソース電極170およびドレーン電極180は金属層で形成される。このとき、前記金属層は、例えば、Al、Mo、TiおよびCuのうち少なくとも一つを含む単一層または多重層で形成される。本実施形態においては、図3および図4に示すように、ソース電極170およびドレーン電極180は、前記チャネル領域を除いては酸化物半導体層140と実質的に同一の平面形状を有する。このような形状は、ソース電極170およびドレーン電極180と酸化物半導体140を一つのマスクでパターニングすることによって作られることができ、この場合、生産費用を減らすことができる。
【0038】
前記第1実施形態および第2実施形態では、半導体層のチャネル領域がゲート電極の上部に形成される場合についてのみ説明したが、前記チャネル領域がゲート電極の下部に形成される構造においても本発明が適用されるのはもちろんである。
【0039】
以下、図5ないし図8を参照して前述した本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタの製造方法について説明する。
【0040】
図5ないし図8は、本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す。
【0041】
図5を参照すると、基板10の上にゲート電極20を形成した後に基板10の上にゲート電極20を覆うゲート絶縁層30を形成する。ゲート絶縁層30は、例えば基板10上にシリコン酸化物(SiOx)単一層を蒸着して形成するか、または、シリコン窒化物(SiNx)およびシリコン酸化物(SiOx)を連続して蒸着して形成する。
【0042】
図6を参照すると、ゲート絶縁層30の上に酸化物半導体物質をPVD、CVD、ALDまたはSolution Processなどの工程により塗布した後、パターニングして酸化物半導体層40を形成する。酸化物半導体層40は例えば、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)またはハフニウム(Hf)のうち少なくとも一つを含む非晶質酸化物から形成する。例えばスパッタリング(sputtering)工程によりGa−In−Zn−O酸化物半導体層を形成する場合、In、GaおよびZnOで形成された各々のターゲットを利用するか、またはGa−In−Zn酸化物の単一ターゲットを利用する。また、スパッタリング(sputtering)工程によりHf−In−Zn−O酸化物半導体を形成する場合、HfO、InおよびZnOで形成された各々のターゲットを利用するか、またはHf−In−Zn酸化物の単一ターゲットを利用する。
【0043】
次に、図示していないが、酸化物半導体層40の上に、例えば非晶質シリコン(a−Si)層およびシリコン酸化物(SiOx)層を連続して蒸着する。前記蒸着された二つの層を一つのマスクを使用して同時にパターニングし、図7に示すように不透明層50および第1保護層60を形成する。前記パターニングは、前記非晶質シリコン層および前記シリコン酸化物層を一括して乾式エッチング(dry etch)する工程を含む。不透明層50および第1保護層60は、酸化物半導体層40の全面を覆うようにパターニングするか、または、図7に示すようにチャネル領域を覆うように酸化物半導体層40の一部を覆ってパターニングする。
【0044】
図8を参照すると、基板10の上に第1保護層60および酸化物半導体層40を覆う金属層(図示せず)を形成した後、前記金属層をパターニングし、ソース電極70およびドレーン電極80を形成する。前記金属層は、例えば、Al、Mo、TiおよびCuのうち少なくとも一つを含む単一層または多重層で形成する。
【0045】
以下、図9ないし図14を参照して前述した本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの製造方法について説明する。前述した第1実施形態の薄膜トランジスタの製造方法と同一の工程については具体的な説明を省略する。
【0046】
図9ないし図14は、本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタの製造方法を工程順に示す。
【0047】
図9を参照すると、基板110の上にゲート電極120およびゲート絶縁層130を形成する。
【0048】
図10を参照すると、基板110の上にゲート絶縁層130を覆う非晶質酸化物層139を形成する。非晶質酸化物層139は、PVD、CVD、ALDまたはSolution Processなどの工程で形成される。例えばスパッタリング(sputtering)工程により非晶質Ga−In−Zn−O層を形成する場合、In、GaおよびZnOで形成された各々のターゲットを利用するか、またはGa−In−Zn酸化物の単一ターゲットを利用する。また、スパッタリング(sputtering)工程によりHf−In−Zn−O酸化物半導体を形成する場合、HfO、InおよびZnOで形成された各々のターゲットを利用するか、またはHf−In−Zn酸化物の単一ターゲットを利用する。
【0049】
図11を参照すると、非晶質酸化物層139の上に不透明層150および第1保護層160を形成する。不透明層150および第1保護層160は、非晶質酸化物層139の上に、例えば非晶質シリコン(a−Si)層およびシリコン酸化物(SiOx)層を連続して蒸着した後、一括的に乾式エッチング(dry etch)し、パターニングできる。
【0050】
図12を参照すると、基板110の上に第1保護層160および非晶質酸化物層139を覆う金属層165を形成する。前記金属層は、例えば、Al、Mo、TiおよびCuのうち少なくとも一つを含む単一層または多重層で形成する。
【0051】
図13を参照すると、金属層165の上に感光膜パターン300を形成する。図13に示すように、感光膜パターン300は薄膜トランジスタのチャネルが形成される領域上の金属層165を露出するようにパターニングされる。
【0052】
図14を参照すると、感光膜パターン300をマスクとし、金属層165および非晶質酸化物層139を一括して湿式エッチング(wet etch)し、ソース電極170、ドレーン電極180、および酸化物半導体層140を形成する。このようにソース電極170およびドレーン電極180を酸化物半導体層140と同時にパターニングするので、ソース電極170およびドレーン電極180と、酸化物半導体層140は、ソース電極170とドレーン電極180の離隔部分を除いて実質的に同一の平面形状を有する。また、この場合、ソース電極170およびドレーン電極180と酸化物半導体層140とを一つのマスクでパターニングするので、製造費用を削減できる。
【0053】
以下、図15および図16を参照して本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタを利用した表示基板について説明する。前述した第1実施形態による薄膜トランジスタと同一の構成に対しては詳しい説明を省略する。
【0054】
図15は、本発明の第1実施形態による薄膜トランジスタを利用した表示基板の一画素を概略的に示すものであり、図16は、図15に示すVI−VI’に沿って切断した断面図である。
【0055】
図15および図16を参照すると、基板10の上に第1方向(例えば、図15では水平方向)に延長されたゲート線19、ゲート線19と絶縁され前記第1方向と交差する第2方向に延長されたデータ線69、およびゲート線19とデータ線69の交差箇所の近傍に第1実施形態による薄膜トランジスタが配置される。
【0056】
前記薄膜トランジスタは、ゲート線19に接続されたゲート電極20、ゲート電極20を覆うゲート絶縁層30、ゲート絶縁層30の上に形成されゲート電極20と重なる酸化物半導体層40、データ線69に接続されたソース電極70、および酸化物半導体層40のチャネル領域を介してソース電極70と分離したドレーン電極80を含む。
【0057】
また、酸化物半導体層40と、ソース電極70およびドレーン電極80との間には、前記チャネル領域と重なった不透明層50および不透明層50を覆う第1保護層60が配置される。不透明層50は、例えば非晶質シリコン(a−Si)層で形成される。非晶質シリコンは、バンドギャップ(band gap)が1.8eV程度と小さいので、光の吸収に有利であり、酸化物半導体層40に対する光の照射による酸化物半導体層の半導体特性の劣化を防止できる。第1保護層60は、例えばシリコン酸化物(SiOx)層で形成される。図15および図16に示すように不透明層50および第1保護層60は同一のパターンで形成できる。図15には不透明層50および第1保護層60が長方形状に形成された場合を示しているが、これに制限されるものではなく、多様な形状でパターニングされてもよい。図示していないが、不透明層50は第1保護層60の上に配置されてもよい。
【0058】
基板10の上には、ゲート線19、データ線69、および、ドレーン電極80の一部を除いた前記薄膜トランジスタを覆う第2保護層90が形成される。第2保護層90は例えばシリコン窒化物(SiNx)単一層、またはシリコン酸化物(SiOx)とシリコン窒化物(SiNx)の複合層で形成されてもよい。図示していないが、前記チャネル領域と重なる第2保護層90の上には追加の不透明層が形成されてもよく、この場合、酸化物半導体層40に対する外部からの照射光をさらに効果的に遮断できる。
【0059】
第2保護層90の上には、第2保護層90に形成されたコンタクトホール95を介してドレーン電極80と接続される画素電極100が形成される。画素電極100は例えば、ITOまたはIZOのような透明伝導性物質から作られる。
【0060】
以下、図17および図18を参照して本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタを利用した表示基板について説明する。前述した第2実施形態による薄膜トランジスタおよび前述した第1実施形態による薄膜トランジスタを利用した表示基板と同一の構成については詳しい説明を省略する。
【0061】
図17は、本発明の第2実施形態による薄膜トランジスタを利用した表示基板の一画素を概略的に示すものであり、図18は、図17に示すVIII−VIII’に沿って切断した断面図である。
【0062】
図17および図18を参照すると、基板110の上に第1方向(例えば、図17では水平方向)に延長されたゲート線119、ゲート線119と絶縁され前記第1方向と交差する第2方向に延長されたデータ線169、およびゲート線119とデータ線169の交差箇所の近傍に第2実施形態による薄膜トランジスタが配置される。
【0063】
前記薄膜トランジスタは、ゲート線119に接続されたゲート電極120、ゲート電極120を覆うゲート絶縁層130、ゲート絶縁層130の上に形成されゲート電極120と重なる酸化物半導体層140、データ線169に接続されたソース電極170、および酸化物半導体層140のチャネル領域を介してソース電極170と分離したドレーン電極180を含む。
なお、以上第1、第2の実施形態を通じて、各々図15、図17に示すように、ゲート電極20(120)はゲート線19(119)から同一層内で延伸され、ソース電極70(170)はデータ線69(169)から同一層内で延伸されているが、このような「延伸」は「接続」の1実施例であって、ゲート電極とゲート線が別個の層で形成され、例えばその層間に設けたコンタクトホールを介して接続されてもよく、ソース電極とデータ線が別個の層で形成され、例えばその層間に設けたコンタクトホールを介して接続されてもよい、ことはいうまでもない。
【0064】
図17および図18に示すように、本実施形態による表示基板の酸化物半導体層140は、チャネル領域を除いてはデータ線169、ソース電極170、およびドレーン電極180と実質的に同一の平面形状を有する。したがって、前述の第1実施形態による表示基板の場合とは異なり、データ線169の下部にも酸化物半導体層140が形成される。
【0065】
酸化物半導体層140と、ソース電極170およびドレーン電極180との間には、前記チャネル領域と重なった不透明層150および不透明層150を覆う第1保護層160が配置される。図示していないが、不透明層150は第1保護層160の上に配置されてもよい。
【0066】
基板110の上には、ゲート線119、データ線169、およびドレーン電極180の一部を除いた前記薄膜トランジスタを覆う第2保護層190が形成される。図示していないが、前記チャネル領域と重なる第2保護層190の上には追加不透明層が形成されてもよく、この場合、酸化物半導体層140に対する外部からの照射光をさらに効果的に遮断できる。
【0067】
第2保護層190の上には、第2保護層190に形成されたコンタクトホール195を介してドレーン電極180と接続される画素電極200が形成される。画素電極200は、例えば、ITOまたはIZOのような透明伝導性物質から作られる。
【0068】
以上、添付した図面を参照して本発明の実施形態について説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明のその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施され得ることを理解できよう。したがって、上記実施形態は、すべての面で例示的なものであり、限定的でないものと理解されなければならない。
【符号の説明】
【0069】
10、110 基板
19,119 ゲート線
20、120 ゲート電極
30、130 ゲート絶縁層
40、140 酸化物半導体層
50、150 不透明層
60、160 第1保護層
69、169 データ線
70、170 ソース電極
80、180 ドレーン電極
90、190 第2保護層
95、195 コンタクトホール
100、200 画素電極
139 非晶質酸化物層
165 金属層
300 感光膜パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層のチャネル領域と重なるように前記酸化物半導体層の上に形成された第1保護層と、
前記酸化物半導体層と前記第1保護層との間に形成された不透明層と、
前記酸化物半導体層の一側に配置されたソース電極と、
前記チャネル領域を介して前記ソース電極と対向するように前記酸化物半導体層の他側に配置されたドレーン電極と、
前記酸化物半導体層に電界を印加するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に形成されたゲート絶縁層と、を含むことを特徴とする薄膜トランジスタ。
【請求項2】
前記不透明層は、非晶質シリコン層であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項3】
前記不透明層は、前記第1保護層と実質的に同一のパターンで形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項4】
前記第1保護層は、シリコン酸化物(SiOx)を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項5】
前記酸化物半導体層は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、またはハフニウム(Hf)のうち少なくとも一つを含む非晶質酸化物からなることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項6】
前記酸化物半導体層は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、およびガリウム(Ga)を含む非晶質酸化物からなることを特徴とする請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項7】
前記酸化物半導体層は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、およびハフニウム(Hf)を含む非晶質酸化物からなることを特徴とする請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項8】
前記不透明層は、前記第1保護層と実質的に同一のパターンで形成されることを特徴とする請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項9】
前記第1保護層は、シリコン酸化物(SiOx)を含むことを特徴とする請求項5に記載の薄膜トランジスタ。
【請求項10】
前記ゲート絶縁層は、シリコン酸化物(SiOx)を含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。

【請求項11】
基板上に形成されたゲート線、前記ゲート線と交差するデータ線、前記ゲート線および前記データ線に接続された薄膜トランジスタ、前記薄膜トランジスタに接続された画素電極を含む表示基板において、
前記薄膜トランジスタは、
酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層のチャネル領域と重なるように前記酸化物半導体層の上に形成された第1保護層と、
前記酸化物半導体層と前記第1保護層との間に形成された第1不透明層と、
前記データ線に接続して前記酸化物半導体層の一側に配置されたソース電極と、
前記チャネル領域を介して前記ソース電極と対向するように前記酸化物半導体層の他側に配置されたドレーン電極と、
前記ゲート線と接続して前記酸化物半導体層に電界を印加するゲート電極と、
前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に形成されたゲート絶縁層と、を含むことを特徴とする表示基板。
【請求項12】
前記第1不透明層は、非晶質シリコン層であることを特徴とする請求項11に記載の表示基板。
【請求項13】
前記第1不透明層は、前記第1保護層と実質的に同一のパターンで形成されることを特徴とする請求項11に記載の表示基板。
【請求項14】
前記第1保護層は、シリコン酸化物(SiOx)を含むことを特徴とする請求項11に記載の表示基板。
【請求項15】
前記酸化物半導体層は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、またはハフニウム(Hf)のうち少なくとも一つを含む非晶質酸化物からなることを特徴とする請求項11に記載の表示基板。
【請求項16】
前記酸化物半導体層は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、およびガリウム(Ga)を含む非晶質酸化物からなることを特徴とする請求項15に記載の表示基板。
【請求項17】
前記酸化物半導体層は、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、およびハフニウム(Hf)を含む非晶質酸化物からなることを特徴とする請求項15に記載の表示基板。
【請求項18】
前記第1不透明層は、前記第1保護層と実質的に同一のパターンで形成されることを特徴とする請求項15に記載の表示基板。
【請求項19】
前記第1保護層は、シリコン酸化物(SiOx)を含むことを特徴とする請求項15に記載の表示基板。
【請求項20】
前記ゲート絶縁層は、シリコン酸化物(SiOx)を含むことを特徴とする請求項11に記載の表示基板。
【請求項21】
前記薄膜トランジスタと前記画素電極との間に形成され、前記ドレーン電極と前記画素電極の接続のためのコンタクトホールを有する第2保護層、および、
前記第2保護層上に形成され、前記チャネル領域と重畳される第2不透明層をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の表示基板。
【請求項22】
前記データ線下部に形成された酸化物半導体層をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の表示基板。

【請求項23】
基板上にゲート電極を形成する段階と、
前記ゲート電極上にゲート絶縁層を形成する段階と、
前記ゲート絶縁層上に酸化物半導体パターンを形成する段階と、
前記酸化物半導体パターン上に不透明パターンを形成する段階と、
前記不透明パターン上に第1保護パターンを形成する段階と、
前記酸化物半導体パターン上に配置され、ソース電極およびドレーン電極を含むデータ線パターンを形成する段階と、を含むことを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項24】
前記不透明パターンは、非晶質シリコン層を含むことを特徴とする請求項23に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項25】
前記第1保護パターンを形成する段階と前記不透明パターンを形成する段階は、一つのマスクを使用することを特徴とする請求項23に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
【請求項26】
前記酸化物半導体パターンを形成する段階と前記データパターンを形成する段階は、一つのマスクを使用することを特徴とする請求項23に記載の薄膜トランジスタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−135086(P2011−135086A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288091(P2010−288091)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】