説明

表示装置、表示装置の製造方法および電子機器

【課題】製造工程を簡略化することが可能な表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】表示装置1は次のようにして製造する。まず、基板10上に、ゲート電極層11、ゲート絶縁膜12および半導体層13を順に形成した後、領域10A,10Bに渡りソース・ドレイン電極層15を形成する。ソース・ドレイン電極層15が、電極層15aと上部金属層15bとを有することにより、その後の工程で、画素間絶縁膜17をパターニング形成する際、電極層15aが損傷を受けずに済む。画素間絶縁膜17の形成後、領域10Aにおいて、ソース・ドレイン電極層15のうち上部金属層15bを選択的に除去することにより、電極層15aの表面を露出させる。この露出した電極層15a上に有機層18およびカソード電極19を形成することで、領域10Aに、ソース・ドレイン電極層15(電極層15a)をアノード電極として用いた有機発光素子1aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)を用いて表示駆動を行う表示装置およびその製造方法、ならびに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置の分野では次世代のディスプレイが盛んに開発されており、省スペース、高輝度、低消費電力等が要望されている。このような表示装置としては、有機EL(Electro Luminescence)素子を用いた有機ELディスプレイが注目されている。有機ELディスプレイは、自発光型であるため視野角が広く、またバックライトを必要としないことから、省電力を期待できる。また、応答性が高い、装置自体の厚みを薄くすることができる、といったメリットもある。更には、有機発光材料はフレキシブル性を有するため、基板としてプラスチック等の可撓性のある基板を用いることにより、フレキシブル性を有するディスプレイを作製することも可能である。
【0003】
ここで、有機ELディスプレイの駆動方式としては、TFTを駆動素子として用いたアクティブマトリクス方式の駆動方式が用いられている。アクティブマトリクス方式は、パッシブマトリクス方式に比べて応答時間や解像度の点で優れているが、上記のような特長を有する有機ELディスプレイには、特に適した駆動方式と考えられている。
【0004】
このようなアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイは、少なくとも有機発光材料を有する有機EL素子と、この有機EL素子を駆動するための駆動素子(TFT)とが設けられた駆動基板を有している。そして、この駆動基板の上には、有機EL素子を挟み込むようにして封止基板が貼り合わせられる。
【0005】
また、有機ELディスプレイには、有機EL素子からの光を上記駆動基板側に射出する下面発光(ボトムエミッション)方式と、逆にこの光を上記封止基板側に射出する上面発光(トップエミッション)方式とがある。後者の方が、表示電極の下層に、TFTを含む駆動回路を形成できるため、開発の主流となっている(例えば、特許文献1,2参照)。というのも、駆動基板には、各画素に均一な電流を流すための補正を行う複雑な補正回路等を形成する必要があるが、上面発光方式では、そのような補正回路を表示電極の下層に密集配置させることが可能であるため、開口率の低下を防ぐことができるからである。また、有機EL素子のアノード電極としては、透明導電膜が多く用いられている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−195008号公報
【特許文献2】特開2001−291595号公報
【特許文献3】特開2006−310317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが近年では、ディスプレイの大型化に伴う画素サイズの大型化や、駆動トランジスタの特性均一性の向上に伴って、上記のような補正回路が簡略化されつつある。そのため、上面発光方式であっても表示電極下に回路を密集配置させる必要性が薄れ、開口率への影響も少なくなってきている。
【0008】
この一方で、上面発光方式では、基板上に、まずTFTを含む駆動回路を形成した後、その駆動回路上に平坦化膜を介して、有機EL素子を形成する。即ち、基板上に、まずゲート電極、ゲート絶縁膜、半導体層およびソース・ドレイン電極層を順に成膜してTFTを形成した後、このTFT上に平坦化膜を形成した上で、更に有機EL素子として、下部表示電極(アノード)、画素間絶縁膜、発光層、上部表示電極(カソード)等を順に形成する。尚、TFTの成膜プロセスとしては、上記以外にも、基板上にまず半導体層を形成し、その後ゲート絶縁膜、ゲート電極およびソース・ドレイン電極を順に形成する場合もある。このため、製造工程や構成材料が多くなり、コスト面で不利になるという欠点がある。従って、製造工程を簡略化することが可能なディスプレイの実現が望まれている。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、工程を簡略化することが可能な表示装置の製造方法および表示装置、ならびに電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の表示装置の製造方法は、基板上の、発光素子形成領域としての第1の領域および駆動素子形成領域としての第2の領域のうちの前記第2の領域に、チャネルを構成する半導体層およびゲート電極層を形成する工程と、半導体層およびゲート電極層を形成した後、第1および第2の領域に渡って、少なくとも電極層とその上面側に積層された上部金属層とを有するソース・ドレイン電極層を形成する工程と、ソース・ドレイン電極層上に、第1の領域に開口を有する画素間絶縁膜を形成する工程と、画素間絶縁膜を形成した後、ソース・ドレイン電極層のうち第1の領域における上部金属層を選択的に除去する工程と、上部金属層除去後、第1の領域に露出した電極層上に発光層を含む有機層および上部表示電極をこの順に形成する工程とを含むものである。
【0011】
本発明の第2の表示装置の製造方法は、基板上の、発光素子形成領域としての第1の領域および駆動素子形成領域としての第2の領域のうちの第2の領域に、チャネルを構成する半導体層を形成する工程と、第1および第2の領域に、少なくとも電極層とその上面側に積層された上部金属層とを有するゲート電極層を形成する工程と、半導体層およびゲート電極層を形成した後、ソース・ドレイン電極層を形成する工程と、ソース・ドレイン電極層を形成した後、基板全面に渡って第1の領域に開口を有する画素間絶縁膜を形成する工程と、画素間絶縁膜を形成した後、ゲート電極層のうち第1の領域における上部金属層を選択的に除去する工程と、上部金属層除去後、第1の領域に露出した電極層上に発光層を含む有機層および上部表示電極をこの順に形成する工程とを含むものである。
【0012】
本発明の第1の表示装置の製造方法では、基板上の第2の領域に、ゲート電極層および半導体層を形成した後、第1および第2の領域に渡って、ソース・ドレイン電極層を形成する。このソース・ドレイン電極層が、電極層とその上面側に上部金属層とを有することにより、その後の工程で、第1の領域に開口を有する画素間絶縁膜を形成する際、画素間絶縁膜のパターニングにより電極層が損傷を受けずに済む。即ち、画素間絶縁膜の形成過程において、上部金属層が電極層の保護層として機能する。この後、ソース・ドレイン電極層のうち第1の領域における上部金属層を選択的に除去することにより、第1の領域において、ソース・ドレイン電極層の電極層表面が露出する。この露出した電極層上に有機層および上部表示電極を形成することで、第1の領域には、ソース・ドレイン電極層(電極層)を下部表示電極として用いた有機発光素子が形成される。
【0013】
本発明の第2の表示装置の製造方法では、基板上の第2の領域に半導体層、第1および第2の領域にゲート電極層をそれぞれ形成すると共に、ゲート電極層として、電極層とその上面側の上部金属層とを積層させたものを用いる。これにより、ソース・ドレイン電極層を形成後、第1の領域に開口を有する画素間絶縁膜を形成する際、画素間絶縁膜のパターニングにより電極層が損傷を受けずに済む。即ち、画素間絶縁膜の形成過程において、上部金属層が電極層の保護層として機能する。この後、ゲート電極層のうち第1の領域における上部金属層を選択的に除去することにより、第1の領域において、ゲート電極層の電極層表面が露出する。この露出した電極層上に有機層および上部表示電極を形成することで、第1の領域には、ゲート電極層(電極層)を下部表示電極として用いた有機発光素子が形成される。
【0014】
本発明の表示装置は、基板上の第1の領域に配置されると共に、下部表示電極、発光層を含む有機層および上部表示電極をこの順に有する発光素子と、基板上の第2の領域に配置されると共に、ゲート電極層およびソース・ドレイン電極層と、チャネルを構成する半導体層とを有する駆動素子とを備えたものである。ここで、駆動素子のゲート電極層またはソース・ドレイン電極層は、発光素子の下部表示電極を兼ねて第1および第2の領域に設けられると共に、少なくとも電極層とその上面側に積層された上部金属層とを有し、かつ上部金属層が第1の領域において除去されてなるものである。
【0015】
本発明の電子機器は、上記本発明の表示装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の表示装置の製造方法によれば、電極層の上面側に上部金属層が積層されたソース・ドレイン電極層を、第1および第2の領域に渡って形成するようにしたので、画素間絶縁膜を形成する際、上部金属層が保護膜となって電極層の損傷を防止することができる。この後、第1の領域における上部金属層を選択的に除去し、電極層表面を露出させることにより、第1の領域において、駆動素子のソース・ドレイン電極層(電極層)を発光素子の下部表示電極として機能させることができる。このように、駆動素子形成後に平坦化膜を形成する工程が不要であると共に、発光素子の下部表示電極を改めて形成する必要がなくなる。よって、製造工程を簡略化することができる。
【0017】
本発明の第2の表示装置の製造方法によれば、電極層の上面側に上部金属層が積層されたゲート電極層を、第1および第2の領域に形成するようにしたので、画素間絶縁膜を形成する際、上部金属層が保護膜となって電極層の損傷を防止することができる。この後、第1の領域における上部金属層を選択的に除去し、電極層表面を露出させることにより、第1の領域において、駆動素子のゲート電極層(電極層)を発光素子の下部表示電極として機能させることができる。このように、駆動素子形成後に平坦化膜を形成する工程が不要であると共に、発光素子の下部表示電極を改めて形成する必要がなくなる。よって、製造工程を簡略化することができる。
【0018】
本発明の表示装置および電子機器によれば、駆動素子のゲート電極層またはソース・ドレイン電極層が、第1および第2の領域に設けられると共に、電極層とその上面側に積層された上部金属層を有している。発光素子が配置される第1の領域では、上部金属層が除去されているので、電極層を下部表示電極として機能させることができる。製造工程数や構成材料を削減して、低コスト化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る表示装置の断面構造を表すものである。
【図2】図1に示した薄膜トランジスタの製造方法を工程順に表す図である。
【図3】図2に続く工程を表す図である。
【図4】図3に続く工程を表す図である。
【図5】図4に続く工程を表す図である。
【図6】図5に続く工程を表す図である。
【図7】図6に続く工程を表す図である。
【図8】図7に続く工程を表す図である。
【図9】図8に続く工程を表す図である。
【図10】図9に続く工程を表す図である。
【図11】図10に続く工程を表す図である。
【図12】比較例に係る表示装置の断面構造を表すものである。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る表示装置の断面構造を表すものである。
【図14】図13に示した薄膜トランジスタの製造方法を工程順に表す図である。
【図15】図14に続く工程を表す図である。
【図16】図15に続く工程を表す図である。
【図17】図16に続く工程を表す図である。
【図18】図17に続く工程を表す図である。
【図19】図18に続く工程を表す図である。
【図20】図19に続く工程を表す図である。
【図21】本発明の第3の実施の形態に係る表示装置の断面構造を表すものである。
【図22】図21に示した薄膜トランジスタの製造方法を工程順に表す図である。
【図23】図22に続く工程を表す図である。
【図24】図23に続く工程を表す図である。
【図25】図24に続く工程を表す図である。
【図26】図25に続く工程を表す図である。
【図27】図26に続く工程を表す図である。
【図28】各実施の形態に係る表示装置の周辺回路を含む全体構成を表す図である。
【図29】図10に示した画素の回路構成を表す図である。
【図30】図10に示した表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図31】図10に示した表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図32】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図33】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図34】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図35】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(ソース・ドレイン電極層がアノード電極を兼ねる例)
2.第2の実施の形態(ゲート電極層がアノード電極を兼ねる例)
3.第3の実施の形態(ゲート電極層がアノード電極を兼ねる他の例)
4.適用例(電子機器の例)
【0021】
<第1の実施の形態>
[表示装置1の構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示装置1の断面構造を表すものである。表示装置1は、例えばアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイであり、マトリクス状に配列する複数の画素を有する。各画素において、基板10上の領域10A(第1の領域)に有機EL素子1a、領域10B(第2の領域)にTFT1bがそれぞれ設けられている。本実施の形態では、TFT1bにおけるソース・ドレイン電極層15を、有機EL素子1aのアノード電極として機能させている。
【0022】
(TFT1b)
TFT1bは、いわゆるボトムゲート型(逆スタガー構造)のTFTであり、基板10上に、ゲート電極層11、ゲート絶縁膜12、半導体層13、チャネル保護膜14およびソース・ドレイン電極層15および保護膜16がこの順に形成されたものである。
【0023】
ゲート電極層11は、表示装置1に印加されるゲート電圧によって半導体層13中のキャリア密度(ここでは、電子密度)を制御する役割を果たすものである。但し、ゲート電極層11は、TFT1bにおけるゲート電極に限らず、これと同層に配置されて同一の積層膜構造で形成された他の電極、例えばキャパシタの下部電極等をも含むものである。このゲート電極層11は、図示しないコンタクトホールを介して、ソース・ドレイン電極層15と接続されている。
【0024】
このゲート電極層11は、電極層11aを含む複数の金属膜が積層された多層膜構造、例えば、電極層11aの上面に上部金属層11bを有する2層構造となっている。電極層11aは、低抵抗金属材料、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)または銅(Cu)の単体、もしくはアルミニウム合金、銀合金または銅合金もしくはこれらの積層膜よりなり、厚みは例えば100nm〜500nmである。アルミニウム合金としては、アルミニウムとネオジウム(Nd)との合金(AlNd合金)が挙げられる。上部金属層11bは、例えばモリブデン(Mo)またはチタン(Ti)を含むものであり、厚みは例えば10nm〜100nmである。
【0025】
上記のような多層膜構造において、電極層11aが、キャリア密度を制御するゲート電極および電位を供給する配線としての機能を有している。上部金属層11bは、電極層11aを熱や腐食から保護すると共に、電極層11aとソース・ドレイン電極層15とのコンタクト性(コンタクトホールを介しての電気的なコンタクト性)を確保するために設けられている。尚、本実施の形態では、このゲート電極層11は、上記のような積層膜であってもよいが、電極層11aのみよりなる単層膜であってもよい。また、ゲート電極層11は、少なくとも領域10Bに設けられていればよい。
【0026】
ゲート絶縁膜12は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン窒化酸化膜および酸化アルミニウム膜等のうちの1種よりなる単層膜、またはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜である。
【0027】
半導体層13は、ゲート電圧の印加によりチャネルを形成するものであり、例えば非晶質(アモルファス)シリコン、結晶性シリコン、酸化物半導体等を用いて形成されている。ここでは、光リークが少なく、良好なTFT特性を維持できる酸化物半導体を用いている。酸化物半導体を用いることにより、半導体層13とソース・ドレイン電極層15との間に、別途n+層を形成しなくとも、良好な特性を得ることが可能である。
【0028】
チャネル保護膜14は、例えばシリコン酸化膜であり、ソース・ドレイン電極層15の形成時におけるチャネルの損傷を防止するものである。
【0029】
ソース・ドレイン電極層15は、半導体層13のチャネルに対応する領域において分離されており、分離された一方がソース電極、他方がドレイン電極として機能するものである。本実施の形態では、このソース・ドレイン電極層15が、電極層15aを含む複数の金属膜が積層された多層膜構造、例えば、電極層15aの上面に上部金属層15b、下面に下部金属層15cをそれぞれ有する3層構造となっている。電極層15aは、低抵抗で、かつ光反射性に優れた金属、例えばアルミニウムまたは銀(Ag)の単体、もしくはアルミニウム合金または銀合金、もしくはこれらの積層膜よりなり、厚みは例えば100nm〜1000nmである。アルミニウム合金としては、例えばAlNd合金が挙げられる。上部金属層15bおよび下部金属層15cは、例えばモリブデン(Mo)またはチタン(Ti)等の不透明な金属材料よりなるものであり、厚みは例えば10nm〜100nmである。例えば、ソース・ドレイン電極層15では、電極層15aとしてアルミニウム合金、上部金属層15bおよび下部金属層15cとしてモリブデンが用いられる。尚、上部金属層15bおよび下部金属層15cそれぞれの構成金属は、互いに同一であってもよいが異なっていてもよく、また各厚みに関しても、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、ここでいう「不透明」とは、例えばITO等の透明導電膜ではない金属材料であることを意味している。
【0030】
このような多層膜構造において、電極層15aは、TFT1bのソース・ドレインとして機能すると共に、電位を供給する配線として機能するものである。ここで、電極層15aに用いられる低抵抗材料は概して、耐腐食性に欠け、大気中の酸素、水、硫黄等や、プロセス中に使用される現像液や剥離液と反応し、その機能を低下させてしまう。また、パターニング中あるいはパターニング後に、液中で発生する電池効果により、形状不良や腐食が生じることも知られている。上部金属層15bおよび下部金属層15cは、このような電極層15aの腐食を防止する機能を有している。また、下部金属層15cは、電極層15aとその下層(ここでは、半導体層13等)とのコンタクト性を確保する機能をも有している。尚、この下部金属層15cは、半導体層13等とのコンタクト性やソース・ドレイン電極層15のパターニングへの影響がないようであれば、特に形成されていなくともよい。即ち、少なくとも電極層15aと上部金属層15bとの2層構造であればよい。
【0031】
本実施の形態では、このソース・ドレイン電極層15が、TFT1bの配置された領域10Bだけでなく、領域10Bから有機EL素子の配置された領域10Aに渡って、延在して形成されている。詳細には、ソース・ドレイン電極層15のうちのソース電極またはドレイン電極が、領域10Bから領域10Aにかけて延在して形成されている。これにより、詳細は後述するが、ソース・ドレイン電極層15における電極層15aが、有機EL素子1aのアノード電極として機能する(アノード電極を兼ねている)。このため、電極層15aは、光反射率が70%以上の金属材料により形成されていることが望ましい。上述したアルミニウムや銀は、光反射率が90%以上を示すものが多く、本実施の形態の電極層15aとして好適である。
【0032】
保護膜16は、例えば酸化アルミニウム膜、シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜等の単層膜、もしくはそれらの積層膜である。尚、ここでは、保護膜16を、チャネル保護膜14とは別層として形成したが、チャネル保護膜14が保護膜16を兼ねていてもよいし、あるいはチャネル保護膜14が積層膜である場合に、その一部の膜が保護膜14を兼ねるようにしてもよい。
【0033】
上記のようなTFT1b上には、基板全面に渡って画素間絶縁膜17が形成されている。画素間絶縁膜17は、領域10Aに開口を有し、この画素間絶縁膜17の開口に対応して有機EL素子1aが設けられている。
【0034】
(有機EL素子1a)
有機EL素子1aは、例えばR,G,Bのいずれかの色光を上面(基板10と反対側の面)から出射する、上面発光型の発光素子である。有機発光素子1aは、領域10Aに延在形成されたソース・ドレイン電極層15(詳細には電極層15a)をアノード電極(下部表示電極)として用いており、その上に発光層を含む有機層18およびカソード電極19(上部表示電極)をこの順に有している。
【0035】
画素間絶縁膜17は、例えば感光性ノボラック系の樹脂材料よりなる。この画素間絶縁膜17は、具体的には上記樹脂材料をフォトリソグラフィ法により露光、現像することによりパターニングした後、酸素雰囲気下においてベークすることにより褐色化させ、短波長側の透過率を低下させたものである。尚、画素間絶縁膜17としては、このような材料に限らず、例えばTFT1bの光リークが大きい場合には、他の有色樹脂材料を用いてもよいし、シリコン酸化膜等の無機絶縁材料を用いてもよい。但し、画素間絶縁膜17は、有機EL素子の層間絶縁性を確保すると共に、カソード電極の断線を抑制するために、例えば断面形状が緩やかとなる樹脂材料が用いられる。また、そのような緩やかな断面形状を形成する際には、感光性樹脂材料を用いたフォトリソグラフィにより、露光および現像の2工程でパターニングすることが多い。
【0036】
有機層18は、基板10に近い側から順に、例えば正孔注入層,正孔輸送層,発光層および電子輸送層(いずれも図示せず)等を積層したものである。これらの層のうち発光層以外の層は必要に応じて設ければよい。正孔注入層は、正孔注入効率を高めると共に、リークを防止するために設けられる。正孔輸送層は、発光層への正孔輸送効率を高めるためのものである。発光層は、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものである。電子輸送層は、発光層への電子輸送効率を高めるためのものである。尚、有機層18の構成材料は、一般的な低分子または高分子有機材料であればよく、特に限定されない。
【0037】
カソード電極19は、基板10上の各画素に共通の電極として設けられ、例えばアルミニウム,マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ナトリウム(Na),リチウム(Li)等の金属元素の単体または合金により構成されている。中でも、マグネシウムと銀との合金(MgAg合金)、またはアルミニウムとリチウムとの合金(AlLi合金)が好ましい。
【0038】
このような有機発光素子1aは、必要に応じて、シリコン窒化膜またはシリコン酸化膜などの保護膜により被覆され、その上から接着層を介して封止用基板が貼り合わされることにより封止されている。封止用基板には、カラーフィルタおよびブラックマトリクスとしての光遮蔽膜等が設けられている。
【0039】
[表示装置1の製造方法]
図2〜図11は、表示装置1の製造方法を説明するための図である。表示装置1は、例えば次のようにして製造することができる。
【0040】
まず、図2(A)に示したように、基板10上の全面に、電極層11aおよび上部金属層11bを順に、例えばスパッタ法により成膜した後、これらを、例えばフォトリソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、選択的な領域にゲート電極層11を形成する。
【0041】
続いて、図2(B)に示したように、ゲート電極層11上に、例えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法を用いて、ゲート絶縁膜12を形成する。この際、原料ガスとしては、ゲート絶縁膜12としてシリコン窒化膜を形成する場合には、シラン(SiH4)、アンモニア(NH3)、窒素を含む混合ガスを用いる。あるいは、ゲート絶縁膜12としてシリコン酸化膜を形成する場合には、シランおよび一酸化二窒素(N2O)を含む混合ガスを用いる。
【0042】
次いで、図3(A)に示したように、半導体層13を、例えばスパッタ法により形成する。具体的には、半導体層13として酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)を用いる場合には、IGZOのセラミックをターゲットとしたDCスパッタを行う。この際、例えばDCスパッタ装置において、真空容器内をその真空度が例えば1×10-4Pa以下になるまで排気したのち、アルゴン(Ar)と酸素の混合ガスを導入してプラズマ放電させるとよい。この後、半導体層13上に、例えばCVD法を用いてチャネル保護膜14を成膜し、例えばフォトリソグラフィ法により所望の形状にパターニングする。このチャネル保護膜14をパターニングした後、例えば配線端において、ゲート電極層11と導通させるためのコンタクトホール(図示せず)を形成する。
【0043】
続いて、図4に示したように、基板10上の領域10A,10Bを含む領域に渡って、例えばモリブデン、アルミニウム、モリブデンの順に積層された金属薄膜を例えばスパッタ法により成膜することにより、ソース・ドレイン電極15を形成する。
【0044】
この後、図5に示したように、例えばフォトリソグラフィ法を用いたウェットエッチングにより、ソース・ドレイン電極15をパターニングする。具体的には、ソース・ドレイン電極15のチャネルに対応する領域に溝を形成すると共に、所望のテーパ形状となるように成形する。尚、この際、チャネル保護膜14によって、半導体層13の表面(チャネル表面)が保護されているため、エッチングによって半導体層13が損傷を受けることが防止される。
【0045】
次いで、図6に示したように、基板10の全面に渡って、保護膜16を、例えばスパッタ法や原子層成膜(ALD:Atomic Layer Deposition)法を用いて形成する。この後、
図7に示したように、例えばフォトリソグラフィ法によるパターニングを行い、形成した保護膜16のうち領域10Aに対応する部分を除去する。
【0046】
続いて、図8に示したように、基板10の全面に渡って、感光性ノボラック系の樹脂材料よりなる画素間絶縁膜17を、例えば塗布法により成膜する。この際、例えば短波長側の透過率が低くなるように、成膜した画素間絶縁膜17を酸素を含む雰囲気下においてベークすることにより褐色化させる。
【0047】
この後、図9に示したように、成膜した画素間絶縁膜17を、例えばフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、領域10Aに開口17Aを形成する。この際、アルカリ性の現像液を使用するが、このような現像液は、例えばアルミニウム等の金属を溶かしてしまうという性質がある。そのため、仮に、下層のソース・ドレイン電極層15における電極層15aが単層膜である場合、即ち上部金属層15bにより被覆されていない場合には、画素間絶縁膜17と共に、電極層15aの表面がエッチングされて凹凸が生じてしまう(平坦性が損なわれる)。この点、本実施の形態では、上述のようにソース・ドレイン電極層15を、電極層15aの上面にモリブデン等よりなる上部金属層15bを積層した多層膜構造としているため、上部金属層15bを保護膜として機能させ、電極層15aの損傷を防ぐことができる。
【0048】
次いで、図10に示したように、領域10Aにおけるソース・ドレイン電極層15の上部金属層15bのみを選択的に除去する。この際、領域10Aに開口17Aを有する画素間絶縁膜17をマスクとして用いたエッチングを施す。例えば、上部金属層15bがモリブデン、電極層15aがアルミニウムの場合、例えば燐酸濃度が5%以下の燐酸/硝酸/酢酸の混合液を用いることで、モリブデンよりなる上部金属層15bのみを選択的にエッチングすることができる。これにより、領域10Aでは、良好な光反射性を有する電極層15aが露出する。
【0049】
続いて、図11に示したように、露出した電極層15a上に、発光層を含む有機層18を、例えば真空蒸着法により形成する。最後に、有機層18上に、基板10の全面を覆うように、カソード電極19を、例えばスパッタ法や蒸着法により形成することにより、図1に示した表示装置1を完成する。
【0050】
以上のように、表示装置1の製造工程では、基板10上に、ゲート電極層11、ゲート絶縁膜12および半導体層13を順に形成した後、領域10A,10Bを含む領域に渡って、ソース・ドレイン電極層15を形成する。そして、画素間絶縁膜17を形成後、ソース・ドレイン電極層15のうち領域10Aにおける上部金属層15bを選択的に除去することにより、領域10Aにおいて、反射金属よりなる電極層15aの表面を露出させることができる。この露出した電極層15a上に有機層18およびカソード電極19を形成することで、領域10Aに、ソース・ドレイン電極層15(電極層15a)をアノード電極として用いた有機発光素子1aを形成することができる。
【0051】
ここで、図12に、比較例に係る表示装置100の断面構造を示す。このように、表示装置100は、基板101上に、有機EL素子100aとTFT100bとを備えたものであるが、比較例では、TFT101bが、有機EL素子100aのアノード電極109の下層に設けられた構造となっている。具体的には、TFT100bは、基板101上に、ゲート電極層102、ゲート絶縁膜103、半導体層104、チャネル保護膜105およびソース・ドレイン電極層106および保護膜107がこの順に形成されている。そして、このようなTFT100b上には、平坦化膜108が基板101の全面に渡って形成されており、ソース・ドレイン電極層106と導通するためのコンタクトホール108Aが設けられている。この平坦化層108上に、コンタクトホール108Aを埋め込むようにアノード電極109が形成されている。アノード電極109上には、開口を有する画素間絶縁膜110が形成され、その画素間絶縁膜110の開口部分に有機層111およびカソード電極112が順に形成されている。
【0052】
このような比較例の表示装置1では、有機EL素子100aとTFT100bとを平坦化膜108を介して形成するため、TFT100bを形成した後、平坦化膜108の成膜工程、平坦化膜108のパターニング工程(コンタクトホール108A形成工程)を経て、有機EL素子100aを形成する。従って、製造工程数および成膜材料が多くなり、コスト高になり易い。
【0053】
これに対し、本実施の形態では、上述したように、TFT1bにおけるソース・ドレイン電極層15(電極層15a)を、有機EL素子1aのアノード電極として機能させることにより、上記のような平坦化膜の成膜工程およびパターニング工程が不要となると共に、アノード電極を改めて形成する必要がない。よって、製造工程を簡略化することが可能となる。
【0054】
また、本実施の形態では、ソース・ドレイン電極層15として、下部金属層15c、電極層15aおよび上部金属層15bをそれぞれ順に積層した多層膜構造とする。これにより、その後の工程において、領域10Aに開口17Aを有する画素間絶縁膜17をパターニング形成する際に、上部金属層15bを電極層15aの保護層として機能させ、電極層15aの損傷を防ぐことができる。そして、この上部金属層15bは、その上層に形成された画素間絶縁膜17をマスクとして用いたエッチングにより容易に除去することができる。これによって、光反射性に優れた電極層15aを表面に露出させ、有機EL素子1aのアノード電極として好適に機能させることができる。
【0055】
更に、本実施の形態では、下部金属層15cおよび上部金属層15bとして、不透明な金属材料を用いている。ここで一般に、有機ELディスプレイのアノード電極としては、ITO(酸化インジウム錫)等の透明導電膜が用いられることが多い。この場合、例えば透明導電膜を上層、アルミニウム合金等の光反射金属膜を下層とした積層膜構造をソース・ドレイン電極として用いることが考えられる。このような場合には、領域10Aにおける透明導電膜を除去する代わりに、酸化処理を行うことによって、透明導電膜における光透過率を高めるとよい。
【0056】
但し、次のような理由により、ソース・ドレイン電極としては、本実施の形態のような不透明金属材料を用いた積層膜構造とすることが望ましい。即ち、透明導電膜を用いる場合、ITO等の酸化物膜とアルミニウム等の光反射金属膜とを積層させる必要があるが、これらの膜材料はエッチング性が互いに異なるために、電極のパターニング工程において、良好な電極形状(テーパ形状)を得にくい。また、透明導電膜は、その成膜時に塵を生じ易い。このため、その塵によってソース・ドレイン電極層15(またはその同層に形成された信号線等)におけるショートや、ソース・ドレイン電極層15とカソード電極層との層間ショート等の欠陥を引き起こし易いという課題もある。従って、ソース・ドレイン電極層15における上部電極層15bとしては、不透明な金属、例えばモリブデンやチタン等の金属を用いることにより、透明導電膜を用いる場合に比べ、電極のパターニングが容易となり、また成膜時に塵等が生じにくくなるという利点がある。
【0057】
<第2の実施の形態>
[表示装置2の構成]
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る表示装置2の断面構造を表すものである。表示装置2は、上記第1の実施の形態の表示装置1と同様、例えばアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイであり、各画素において、基板10上の領域10Aに有機EL素子2a、領域10BにTFT2bがそれぞれ設けられている。但し、本実施の形態では、TFT2bにおけるゲート電極層21を、有機EL素子2aのアノード電極として機能させている。以下、上記第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0058】
(TFT2b)
TFT2bは、いわゆるボトムゲート型(逆スタガー構造)のTFTであり、基板10上に、ゲート電極層21、ゲート絶縁膜22、半導体層13、チャネル保護膜14およびソース・ドレイン電極層23および保護膜16がこの順に形成されたものである。
【0059】
ゲート電極層21は、上記第1の実施の形態のゲート電極層21と同様、表示装置2に印加されるゲート電圧によって半導体層13中のキャリア密度を制御する役割を果たすものである。また、ゲート電極層21は、電極層21aを含む複数の金属膜が積層された多層膜構造を有しており、TFT2bにおけるゲート電極に限らず、これと同層に配置されて同一の積層膜構造を有する他の電極、例えばキャパシタの下部電極等をも含むものである。多層膜構造としては、例えば、電極層21aの上面に上部金属層21bを有する2層構造が挙げられる。電極層21aは、例えばアルミニウムまたは銀の単体、もしくはアルミニウム合金または銀合金、もしくはこれらの積層膜よりなり、厚みは例えば100nm〜500nmである。上部金属層21bは、例えばモリブデン(Mo)またはチタン(Ti)を含むものであり、厚みは例えば10nm〜200nmである。
【0060】
上記のような多層膜構造において、詳細には、電極層21aが、キャリア密度を制御するゲート電極および電位を供給する配線としての機能を有している。上部金属層21bは、電極層21aとソース・ドレイン電極層23とのコンタクト性(図示しないコンタクトホールを介しての電気的なコンタクト性)を確保すると共に、電極層21aを保護し、腐食を防止するために設けられている。
【0061】
本実施の形態では、このゲート電極層21が、TFT2bの配置された領域10Bだけでなく、有機EL素子2aの配置された領域10Aにも形成されている。これにより、詳細は後述するが、ゲート電極層21における電極層21aが、有機EL素子2aのアノード電極として機能する(アノード電極を兼ねている)。このため、電極層21aは、光反射率が70%以上の金属材料により形成されていることが望ましい。上述したアルミニウムや銀は、光反射率が90%以上を示すものが多く、本実施の形態の電極層21aとして好適である。
【0062】
ゲート絶縁膜22は、上記第1の実施の形態のゲート絶縁膜12と同様、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン窒化酸化膜および酸化アルミニウム膜等のうちの1種よりなる単層膜、またはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜である。但し、本実施の形態では、領域10Aに対応して、開口(後述の開口22A)が形成されている。
【0063】
ソース・ドレイン電極層23は、上記第1の実施の形態と同様、半導体層13のチャネルに対応する領域において分離されており、分離された一方がソース電極、他方がドレイン電極として機能するものである。また、このソース・ドレイン電極層23が、例えば半導体層13の側から順に、下部金属層23c、電極層23aおよび上部金属層23bを積層してなる3層構造となっている。これらのうち電極層23aは、低抵抗金属材料、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)または銅(Cu)の単体、もしくはアルミニウム合金、銀合金または銅合金、もしくはこれらの積層膜よりなり、厚みは例えば100nm〜1000nmである。上部金属層23bおよび下部金属層23cは、例えばモリブデン(Mo)またはチタン(Ti)等の不透明な金属材料よりなるものであり、厚みは例えば1nm〜100nmである。このような3層構造において、電極層23aは、TFT1bのソース・ドレインおよび電位を供給する配線として機能し、上部金属層23bおよび下部金属層23cは、電極層23aの腐食を防止する機能を有している。下部金属層23cは、電極層23aとその下層(ここでは半導体層13等)とのコンタクト性を確保する役割をも果たしている。
【0064】
但し、本実施の形態では、このソース・ドレイン電極層23は、領域10Bにのみ形成されている。また、上記3層構造のうち少なくとも下部金属層23cでは、上記ゲート電極層21における上部金属層21bとのエッチング選択性が得られるように、その上部金属層21bと異なる金属材料を用いることが望ましい。例えばゲート電極層21の上部金属層21bにモリブデンを用いた場合には、ソース・ドレイン電極層23の下部金属層23cには、チタンを用いるようにするとよい。
【0065】
上記のようなTFT2b上には、基板10の全面に渡って画素間絶縁膜24が形成されている。画素間絶縁膜24は、領域10Aに開口を有し、この画素間絶縁膜24の開口に対応して有機EL素子2aが設けられている。画素間絶縁膜24は、上記第1の実施の形態の画素間絶縁膜17と同様の材料により構成されている。
【0066】
(有機EL素子2a)
有機EL素子2aは、上記第1の実施の形態の有機EL素子1aと同様、例えばR,G,Bのいずれかの色光を上面から出射する、上面発光型の発光素子である。但し、有機発光素子2aは、領域10Aに形成されたゲート電極層21(詳細には電極層21a)をアノード電極として用いており、その上に発光層を含む有機層18およびカソード電極19をこの順に有している。
【0067】
[表示装置2の製造方法]
図14〜図20は、表示装置2の製造方法を説明するための図である。表示装置2は、例えば次のようにして製造することができる。
【0068】
まず、図14に示したように、上記第1の実施の形態と同様にして、基板10上にゲート電極層21およびゲート絶縁膜22を順に形成する。
【0069】
続いて、図15(A)に示したように、上記第1の実施の形態と同様にして、半導体層13およびチャネル保護膜14を成膜し、所望の形状にパターニングする。
【0070】
次いで、図15(B)に示したように、ゲート絶縁膜22のうち領域10Aに対応する部分に、例えばフォトリソグラフィ法を用いたパターニングにより開口22Aを形成し、領域10Aにおいてゲート電極層21の上部金属層21bを露出させる。またこの際、ゲート電極層21と導通させるためのコンタクトホール(図示せず)を形成する。
【0071】
続いて、図16に示したように、基板10上に、例えばチタン、アルミニウム、チタンの順に積層された金属多層膜を例えばスパッタ法により成膜する。この後、例えばフォトリソグラフィ法を用いたウェットエッチングにより、形成した金属多層膜の領域10Aに対応する部分を除去すると共に、所望の形状にパターニングすることにより、ソース・ドレイン電極23を形成する。
【0072】
次いで、図17に示したように、保護膜16を、基板10の全面に渡って、例えばスパッタ法や原子層成膜法を用いて成膜した後、例えばフォトリソグラフィ法によるパターニングを行い、形成した保護膜16のうち領域10Aに対応する部分を除去する。
【0073】
続いて、図18に示したように、まず基板10の全面に渡って、上記第1の実施の形態の画素間絶縁膜17と同様にして、画素間絶縁膜24を成膜する。
【0074】
この後、図19に示したように、上記第1の実施の形態の画素間絶縁膜17と同様にして、成膜した画素間絶縁膜24を、例えばフォトリソグラフィ法を用いてパターニングし、領域10Aに開口24Aを形成する。また、この際、ゲート電極層21を、電極層21aの上面にMo等よりなる上部金属層21bを積層した多層膜構造としているため、この上部金属層21bを保護膜として機能させ、電極層21aの損傷を防ぐことができる。
【0075】
次いで、図20に示したように、領域10Aにおけるゲート電極層21の上部金属層21bのみを選択的に除去する。この際、領域10Aに開口24Aを有する画素間絶縁膜24をマスクとして用いたエッチングを施す。これにより、領域10Aでは、良好な光反射性を有する電極層21aが露出する。
【0076】
最後に、上記第1の実施の形態と同様にして、露出した電極層21a上に、有機層18およびカソード電極19を順に形成することにより、図13に示した表示装置2を完成する。
【0077】
以上のように、表示装置2の製造工程では、基板10上に、ゲート電極層21、ゲート絶縁膜22、半導体層13、チャネル保護膜14およびソース・ドレイン電極層23を形成する。そして、画素間絶縁膜24を形成後、ゲート電極層21のうち領域10Aにおける上部金属層21bを選択的に除去することにより、領域10Aにおいて、反射金属よりなる電極層21aの表面を露出させることができる。この露出した電極層21a上に有機層18およびカソード電極19を形成することで、領域10Aに、ゲート電極層21(電極層21a)をアノード電極として用いた有機発光素子2aを形成することができる。
【0078】
即ち、本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様、平坦化膜の成膜工程やパターニング工程が不要となると共に、アノード電極を改めて形成する必要がない。よって、製造工程を簡略化することが可能となる。
【0079】
そして、ゲート電極層21として、電極層21aの上面に上部金属層21bを積層した多層膜構造を用いる。これにより、その後の工程において、領域10Aに開口24Aを有する画素間絶縁膜24をパターニング形成する際に、上部金属層21bを電極層21aの保護層として機能させ、電極層21aの損傷を防ぐことができる。そして、この上部金属層21bは、その上層に形成された画素間絶縁膜24をマスクとして用いたエッチングにより容易に除去することができる。これによって、光反射性に優れた電極層21aを表面に露出させ、有機EL素子2aのアノード電極として好適に機能させることができる。
【0080】
また、本実施の形態においても、上部金属層21bとして、不透明な金属材料を用いることにより、透明導電膜を用いる場合に比べ、電極のパターニングが容易となり、また成膜時に塵等が生じにくい。尚、ソース・ドレイン電極層23についても同様の理由から、上部金属層23bおよび下部金属層23cが不透明な金属材料よりなることが望ましい。
【0081】
但し、本実施の形態では、ゲート電極層21をアノード電極として用いることにより、歩留まりの低下を抑制することができる。ここで、一般に、アルミニウムや銀等の表面には、その後の熱工程により、ヒロックやウィスカーなどのマイグレーションが発生し、電極間のショート不良の原因となることがある。このような不良を防ぎ、耐熱性を強化するためには、ネオジウム等の希土類元素を添加して合金化することが考えられる。ところが、合金化すると、抵抗が増加してしまい、複雑な信号書き込みを行う信号線の時定数が増加し、パルスが鈍って書きこみ不良を誘発するという難点がある。また、ハイフレームレートのパネルに使用される場合には、ソース・ドレイン電極層23では低抵抗化が要求され、その膜厚を厚くする必要がある。膜厚が大きくなると、電極表面の粗さが増し、反射率の低下やその上部に形成されるEL層の層間絶縁性の低下による欠陥の増加等が生じてしまう。
【0082】
この点、ゲート電極層21では、ソース・ドレイン電極層(あるいは、それと同層の信号線)に比べ、低抵抗であることが要求されず、また、後工程におけるゲート絶縁膜の成膜温度が350℃〜450℃と高温である。そのため、耐熱性を向上させる目的で合金化する必然性があるが、合金化した場合であっても、その後工程におけるゲート絶縁膜の成膜温度において、不純物が偏析して低抵抗となり易い。このように、ゲート電極層21では、耐熱性を高めるために合金化されたものを使用し易い。また、合金化されているために、グレインが微細であり、かつ比較的薄い膜で形成することができるため、表面粗さを抑制して、その上層に形成するカソード電極との層間ショート不良等による歩留まりの低下も発生しにくい。従って、ソース・ドレイン電極層15をアノード電極として用いた上記第1の実施の形態よりも、ゲート電極層21をアノード電極として用いた本実施の形態の方が、歩留りの低下を抑制すると共に、低抵抗な信号線を用意することができる。
【0083】
<第3の実施の形態>
[表示装置2の構成]
図21は、本発明の第3の実施の形態に係る表示装置3の断面構造を表すものである。表示装置3は、上記第1の実施の形態の表示装置1と同様、例えばアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイであり、各画素において、基板10上の領域10Aに有機EL素子2a、領域10BにTFT3bがそれぞれ設けられている。また、有機EL素子2aのアノード電極には、上記第2の実施の形態と同様、ゲート電極層21(電極層21a)を用いており、ソース・ドレイン電極23は、領域10Bにのみ形成されている。以下、上記第1および第2の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0084】
(TFT3b)
TFT2bは、いわゆるボトムゲート型(逆スタガー構造)のTFTであり、基板10上に、半導体層13、ゲート絶縁膜22、ゲート電極層21、層間絶縁膜25、保護膜16およびソース・ドレイン電極層23がこの順に形成されたものである。即ち、本実施の形態では、上記第1および第2の実施の形態におけるTFT各層の積層順序(プロセス順序)が異なっている。具体的には、基板10側の最下層に半導体層13が形成され、この半導体層13の所定の領域にゲート絶縁膜22を介してゲート電極層21が配設されている。層間絶縁膜25は、これらの半導体層13、ゲート絶縁膜22およびゲート電極層21を覆って形成されており、半導体層13の一部に対向して一対のコンタクトホール(後述のコンタクトホール25B)を有している。ソース・ドレイン電極層23は、これらのコンタクトホール25Bを埋めるように設けられている。尚、ここでは、保護膜16が層間絶縁膜25の表面(領域10Aの開口部分およびソース・ドレイン形成のためのコンタクトホールを除く)に形成されている。尚、層間絶縁膜25は、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン窒化酸化膜および酸化アルミニウム膜等のうちの1種よりなる単層膜、またはこれらのうちの2種以上よりなる積層膜である。
【0085】
[表示装置3の製造方法]
図22〜図27は、表示装置3の製造方法を説明するためのものである。表示装置3は、例えば次のようにして製造することができる。
【0086】
まず、図22(A)に示したように、上記第1の実施の形態と同様にして、基板10上に半導体層13を成膜し、所望の形状にパターニングする。続いて、基板10の領域10Bにおける所定の領域(半導体層13上の一部)および領域10Aに、ゲート絶縁膜22をパターニング形成する。
【0087】
続いて、図23に示したように、形成したゲート絶縁膜22上に、ゲート電極層21を、上記第1の実施の形態と同様の手法によりパターニング形成する。
【0088】
次いで、図24に示したように、基板10の全面に渡って、上述した材料よりなる層間絶縁膜25を、例えばプラズマCVD法により成膜した後、領域10Aに対応する部分に、例えばフォトリソグラフィ法により開口25Aを形成し、領域10Aにおいてゲート電極層21の上部金属層21bを露出させる。また開口25Aを形成する際、半導体層13とソース・ドレイン電極層23との導通のための一対のコンタクトホール25Bを形成する。
【0089】
続いて、図25に示したように、保護膜16を、基板10の全面に渡って、例えばスパッタ法や原子層成膜法を用いて成膜した後、例えばフォトリソグラフィ法によるパターニングを行い、形成した保護膜16のうち層間絶縁膜25の開口25Aおよびコンタクトホール25Bに対応する部分を除去する。尚、基板10の全面に渡って上記層間絶縁膜25と保護膜16とを順に成膜した後に、これら2層を続けてエッチングして開口25Aおよびコンタクトホール25Bを形成するようにしてもよい。
【0090】
次いで、図26に示したように、基板10上に、例えばチタン、アルミニウム、チタンの順に積層された金属多層膜を例えばスパッタ法により成膜する。この後、例えばフォトリソグラフィ法を用いたウェットエッチングにより、形成した金属多層膜の領域10Aに対応する部分を除去すると共に、所望の形状にパターニングすることにより、ソース・ドレイン電極23を形成する。
【0091】
続いて、図27に示したように、基板10の全面に渡って、上記第2の実施の形態と同様にして、領域10Aに開口24Aを有する画素間絶縁膜24を形成した後、ゲート電極層21における領域10Aの上部金属層21bのみを選択的に除去する。画素間絶縁膜24を形成する際には、本実施の形態においても、ゲート電極層21において、上部金属層21bを電極層21aの保護膜として機能させ、電極層21aの損傷を防ぐ。また、上部金属層21bを選択的に除去する際には、画素間絶縁膜24をマスクとして用いたエッチングを施すことで、領域10Aにおいて反射電極としての電極層21aを露出させる。
【0092】
最後に、上記第1の実施の形態と同様にして、露出した電極層21a上に、有機層18およびカソード電極19を順に形成することにより、図21に示した表示装置3を完成する。
【0093】
以上のように、表示装置3の製造工程では、基板10上に、半導体層13、ゲート絶縁膜22、ゲート電極層21、層間絶縁膜25、保護膜16およびソース・ドレイン電極層23を形成する。そして、上記第2の実施の形態と同様、画素間絶縁膜24を形成後、ゲート電極層21のうち領域10Aにおける上部金属層21bを選択的に除去することにより、領域10Aにおいて電極層21aの表面を露出させることができる。この露出した電極層21a上に有機層18およびカソード電極19を形成することで、領域10Aに、ゲート電極層21(電極層21a)をアノード電極として用いた有機発光素子2aを形成することができる。
【0094】
従って、本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様、平坦化膜の成膜工程やパターニング工程が不要となると共に、アノード電極を改めて形成する必要がないことから、製造工程を簡略化することが可能となる。また、ゲート電極層21を、上部金属層21bを有する多層膜構造とすることにより、画素間絶縁膜24のパターニングの際に、電極層21aの損傷を防ぐことができる。更に、ゲート電極層21をアノード電極として用いることにより、ソース・ドレイン電極層をアノードとする場合に比べて歩留まりの低下を抑制することができる。よって、上記第1および第2の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0095】
尚、上記第3の実施の形態では、TFT3bとして、基板10の側から順に半導体層13、ゲート絶縁膜22、ゲート電極層21、層間絶縁膜25およびソース・ドレイン電極層23を積層してなる構造を例に挙げ、そのうちのゲート電極層21を有機EL素子2aのアノード電極として機能させる場合について説明した。即ち、第3の実施の形態は、上記第2の実施の形態におけるTFTの積層構造およびプロセスの他の例に該当するが、このようなTFT3bは、上記第1の実施の形態にも適用可能である。即ち、TFT3bにおけるソース・ドレイン電極層23を領域10Aおよび領域10Bに渡って形成し、上部金属層23cを除去して、電極層23bをアノードとして機能させるようにしてもよい。
【0096】
[表示装置1,2の全体構成、画素回路構成]
次に、上記第1,第2の実施の形態に係る表示装置1,2の全体構成および画素回路構成について説明する。図28は、有機ELディスプレイとして用いられる表示装置の周辺回路を含む全体構成を表すものである。このように、例えば基板10上には、有機EL素子を含む複数の画素PXLCがマトリクス状に配置されてなる表示領域30が形成され、この表示領域30の周辺に、信号線駆動回路としての水平セレクタ(HSEL)31と、走査線駆動回路としてのライトスキャナ(WSCN)32と、電源線駆動回路としての電源スキャナ(DSCN)33とが設けられている。
【0097】
表示領域30において、列方向には複数(整数n個)の信号線DTL1〜DTLnが配置され、行方向には、複数(整数m個)の走査線WSL1〜WSLmおよび電源線DSL1〜DSLmがそれぞれ配置されている。また、各信号線DTLと各走査線WSLとの交差点に、各画素PXLC(R、G、Bに対応する画素のいずれか1つ)が設けられている。各信号線DTLは水平セレクタ31に接続され、この水平セレクタ31から各信号線DTLへ映像信号が供給されるようになっている。各走査線WSLはライトスキャナ32に接続され、このライトスキャナ32から各走査線WSLへ走査信号(選択パルス)が供給されるようになっている。各電源線DSLは電源スキャナ33に接続され、この電源スキャナ33から各電源線DSLへ電源信号(制御パルス)が供給されるようになっている。
【0098】
図29は、画素PXLCにおける具体的な回路構成例を表したものである。各画素PXLCは、有機EL素子3Dを含む画素回路40を有している。この画素回路40は、サンプリング用トランジスタ3Aおよび駆動用トランジスタ3Bと、保持容量素子3Cと、有機EL素子3Dとを有するアクティブ型の駆動回路である。これらのうち、有機EL素子3Dが、上記実施の形態等の有機EL素子1a,2a、トランジスタ3A(またはトランジスタ3B)が、上記実施の形態等のTFT1b,2bにそれぞれ相当する。
【0099】
サンプリング用トランジスタ3Aは、そのゲートが対応する走査線WSLに接続され、そのソースおよびドレインのうちの一方が対応する信号線DTLに接続され、他方が駆動用トランジスタ3Bのゲートに接続されている。駆動用トランジスタ3Bは、そのドレインが対応する電源線DSLに接続され、ソースが有機EL素子3Dのアノードに接続されている。また、この有機EL素子3Dのカソードは、接地配線3Hに接続されている。なお、この接地配線3Hは、全ての画素PXLCに対して共通に配線されている。保持容量素子3Cは、駆動用トランジスタ3Bのソースとゲートとの間に配置されている。
【0100】
サンプリング用トランジスタ3Aは、走査線WSLから供給される走査信号(選択パルス)に応じて導通することにより、信号線DTLから供給される映像信号の信号電位をサンプリングし、保持容量素子3Cに保持するものである。駆動用トランジスタ3Bは、所定の第1電位(図示せず)に設定された電源線DSLから電流の供給を受け、保持容量素子3Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流を有機EL素子3Dへ供給するものである。有機EL素子3Dは、この駆動用トランジスタ3Bから供給された駆動電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光するようになっている。
【0101】
このような回路構成では、走査線WSLから供給される走査信号(選択パルス)に応じてサンプリング用トランジスタ3Aが導通することにより、信号線DTLから供給された映像信号の信号電位がサンプリングされ、保持容量素子3Cに保持される。また、上記第1電位に設定された電源線DSLから駆動用トランジスタ3Bへ電流が供給され、保持容量素子3Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流が有機EL素子3D(赤色、緑色および青色の各有機EL素子)へ供給される。そして、各有機EL素子3Dは、供給された駆動電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光する。これにより、表示装置において、映像信号に基づく映像表示がなされる。
【0102】
<適用例>
以下、上記のような表示装置1,2の電子機器への適用例について説明する。表示装置1,2は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、表示装置1,2は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0103】
(モジュール)
上記表示装置は、例えば図30に示したようなモジュールとして、後述の適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、基板10の一辺に、封止用基板50から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、水平セレクタ31、ライトスキャナ32および電源スキャナ33の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられていてもよい。
【0104】
(適用例1)
図31は、テレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300が表示装置1,2に相当する。
【0105】
(適用例2)
図32は、デジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、この表示部420が表示装置1,2に相当する。
【0106】
(適用例3)
図33は、ノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、この表示部530が表示装置1,2に相当する。
【0107】
(適用例4)
図34は、ビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。この表示部640が表示装置1,2に相当する。
【0108】
(適用例5)
図35は、携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そして、これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ750が、表示装置1,2に相当する。
【0109】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、ソース・ドレイン電極層として、電極層の上下面を金属薄膜で被覆した3層構造を例に挙げて説明したが、これに限らず、ソース・ドレイン電極層は、少なくとも電極層の上面に上部金属膜が形成された2層構造であればよい。但し、電極層の下層とのコンタクト性を確保し、プロセス中の腐食を防止するためには、上記実施の形態で説明したような3層以上の積層膜構造とすることが望ましい。あるいは、4層以上を積層した多層膜構造としてもよい。また、ゲート電極層についても電極層と上部金属層との2層構造である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されず、3層以上の多層膜構造であってもよい。
【0110】
また、上記実施の形態では、保護膜16を成膜した後、その領域10Aに対応する部分を除去し、その後、画素間絶縁膜を形成する場合を例に挙げて説明したが、保護膜16のパターニング手順はこれに限定されない。例えば、保護膜16を基板10の全面に形成した後、続いて画素間絶縁膜を成膜し、その画素間絶縁膜に開口を形成した後に、保護膜16の領域10Aに対応する部分を除去するようにしてもよい。この場合にも、画素間絶縁膜をマスクとして用いたエッチングにより保護膜16を選択的に除去することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
1,2…表示装置、1a,2a…有機EL素子、1b,2b…TFT、10…基板、11,21…ゲート電極層(11a,21a…電極層、11b,21b…上部金属層)、12,22…ゲート絶縁膜、13…半導体層、14…チャネル保護膜、15,23…ソース・ドレイン電極層(15a,23a…電極層、15b,23b…上部金属層)、16…保護膜、17,24…画素間絶縁膜、18…有機層、19…カソード電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の、発光素子形成領域としての第1の領域および駆動素子形成領域としての第2の領域のうちの前記第2の領域に、チャネルを構成する半導体層およびゲート電極層を形成する工程と、
前記半導体層および前記ゲート電極層を形成した後、前記第1および第2の領域に渡って、少なくとも電極層とその上面側に積層された上部金属層とを有するソース・ドレイン電極層を形成する工程と、
前記ソース・ドレイン電極層上に、前記第1の領域に開口を有する画素間絶縁膜を形成する工程と、
前記画素間絶縁膜を形成した後、前記ソース・ドレイン電極層のうち、前記第1の領域における上部金属層を選択的に除去する工程と、
前記上部金属層除去後、前記第1の領域に露出した前記電極層上に、発光層を含む有機層および上部表示電極をこの順に形成する工程と
を含む表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板上の前記第2の領域に、前記ゲート電極層、ゲート絶縁膜および前記半導体層をこの順に形成する
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記基板上の前記第2の領域に、前記半導体層、ゲート絶縁膜および前記ゲート電極層をこの順に形成する
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記ソース・ドレイン電極層を形成する工程では、
前記半導体層の側から順に、下部金属層、電極層および上部金属層を形成し、
前記電極層として光反射金属を用い、前記上部金属層および前記下部金属層として、不透明金属をそれぞれ用いる
請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記電極層は、アルミニウム(Al)または銀(Ag)よりなる金属単体、もしくはアルミニウムまたは銀を含む合金を含む
請求項4に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記上部金属層および前記下部金属層は、モリブデン(Mo)またはチタン(Ti)を含む
請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記上部金属層を選択的に除去する工程では、
前記第1の領域に開口を有する画素間絶縁膜をマスクとして用いたエッチングを行う
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
基板上の、発光素子形成領域としての第1の領域および駆動素子形成領域としての第2の領域のうちの前記第2の領域にチャネルを構成する半導体層を形成する工程と、
前記第1および第2の領域に、少なくとも電極層とその上面側に積層された上部金属層とを有するゲート電極層を形成する工程と、
前記半導体層および前記ゲート電極層を形成した後、ソース・ドレイン電極層を形成する工程と、
前記ソース・ドレイン電極層を形成した後、基板全面に渡って前記第1の領域に開口を有する画素間絶縁膜を形成する工程と、
前記画素間絶縁膜を形成した後、前記ゲート電極層のうち前記第1の領域における上部金属層を選択的に除去する工程と、
前記上部金属層除去後、前記第1の領域に露出した前記電極層上に、発光層を含む有機層および上部表示電極をこの順に形成する工程と
を含む表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記基板上の前記第1および第2の領域に前記ゲート電極層を形成した後、
前記第2の領域に、ゲート絶縁膜および前記半導体層をこの順に形成する
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記基板上の前記第2の領域に前記半導体層およびゲート絶縁膜をこの順に形成した後、
前記第1および第2の領域に、前記ゲート電極層を形成する
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記ゲート電極層を形成する工程では、
前記電極層として光反射金属を用い、前記上部金属層として不透明金属を用いる
請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記電極層は、アルミニウム(Al)または銀(Ag)よりなる金属単体、もしくはアルミニウムまたは銀を含む合金を含む
請求項11に記載の表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記上部金属層は、モリブデン(Mo)またはチタン(Ti)を含む
請求項12に記載の表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記上部金属層を選択的に除去する工程では、
前記第1の領域に開口を有する画素間絶縁膜をマスクとして用いたエッチングを行う
請求項8ないし請求項13のいずれか1項に記載の表示装置の製造方法。
【請求項15】
基板上の第1の領域に配置されると共に、下部表示電極、発光層を含む有機層および上部表示電極をこの順に有する発光素子と、
基板上の第2の領域に配置されると共に、ゲート電極層およびソース・ドレイン電極層と、チャネルを構成する半導体層とを有する駆動素子とを備え、
前記駆動素子の前記ゲート電極層または前記ソース・ドレイン電極層は、
前記発光素子の前記下部表示電極を兼ねて前記第1および第2の領域に設けられると共に、少なくとも電極層とその上面側に積層された上部金属層とを有し、かつ前記上部金属層が前記第1の領域において除去されている
表示装置。
【請求項16】
基板上の第1の領域に配置されると共に、下部表示電極、発光層を含む有機層および上部表示電極この順に有する発光素子と、
基板上の第2の領域に配置されると共に、ゲート電極層およびソース・ドレイン電極層と、チャネルを構成する半導体層とを有する駆動素子とを備え、
前記駆動素子の前記ゲート電極層または前記ソース・ドレイン電極層が、
前記発光素子の前記下部表示電極を兼ねて前記第1および第2の領域に設けられると共に、少なくとも電極層とその上面側に積層された上部金属層とを有し、かつ前記上部金属層が前記第1の領域において除去されている
表示装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−138097(P2011−138097A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−163829(P2010−163829)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】