説明

表示装置

【課題】画素内に容量の大きな保持容量を有する表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置は、第1の電極と第2の電極と、ソース電極とドレイン電極のうちの一方が前記第1の電極と接続された薄膜トランジスタと、前記一方の電極よりも上層に順に形成される第1のシリコン窒化膜および有機絶縁膜とを有する。前記第2の電極は前記有機絶縁膜よりも上層に形成され、第2のシリコン窒化膜は前記第2の電極と前記第1の電極との間の層に形成され、前記第1のシリコン窒化膜と前記第2のシリコン窒化膜は両者を貫通しソース電極とドレイン電極のうち一方の電極と前記第1の電極とを接続するコンタクトホールを有し、前記第2のシリコン窒化膜は、前記一方の電極と接触する領域を持たず、前記第2のシリコン窒化膜の下面が前記コンタクトホールにおいて前記第1のシリコン窒化膜の上面と接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特に、シリコン窒化膜を有する液晶表示装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス方式の液晶表示装置では、画素に書き込まれた映像信号を比較的長く保持するために、画素内に保持容量を有している。
【0003】
この保持容量を形成する一つの方式として、本願の出願人は特許文献1を出願している。
【0004】
図7は、特許文献1に記載された保持容量の一例を示す要部断面図である。
【0005】
図7に示すように、特許文献1に記載のIPS(In-Plane Switching)方式の液晶表示装置では、薄膜トランジスタのソース電極SD2を覆って下から順に層間絶縁膜IN2と有機絶縁膜PASとが形成されている。そして、層間絶縁膜IN2と有機絶縁膜PASとを貫通するコンタクトホールCH3Aが形成されている。有機絶縁膜PASの上には、下から順に対向電極CTと反射膜RALとが形成されている。そして、有機絶縁膜PAS、対向電極CT、反射膜RALを覆って、層間絶縁膜IN3Aが形成されている。この層間絶縁膜IN3Aは、塗布型絶縁膜またはCVD法によって形成された絶縁膜であり、コンタクトホールCH3Aの内部にも形成されている。そして、層間絶縁膜IN3Aには、コンタクトホールCH3Aよりも内側に、コンタクトホールCH3Bが形成されている。層間絶縁膜IN3Aの上には、画素電極PXが形成されている。そして、画素電極PXは、コンタクトホールCH3Bを介して薄膜トランジスタのソース電極SD2と接続されており、薄膜トランジスタを介して映像信号が印加される。この画素電極PXと対向電極CTとの間に発生する電界で、図示しない液晶を駆動し、表示を行う。
【0006】
ここで、対向電極CT(反射膜RALも含む)と、層間絶縁膜IN3Aと、画素電極PXとで、保持容量を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2005−312165号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図7に記載の液晶表示装置では、層間絶縁膜IN3Aとして塗布型絶縁膜を用いた場合、誘電率が高くないため、保持容量を大きくできないという問題がある。
【0009】
また、特許文献1には、層間絶縁膜IN3Aを塗布型絶縁膜に代えてCVD法によって形成することが記載されているが、その膜の材質については記載がない。
【0010】
さらに、図7では、反射膜RALをパターニングするときには、コンタクトホールCH3Aによってソース電極SD2が露出する構造となっている。したがって、反射膜RALのパターニングに用いるエッチング液またはエッチングガスによって、ソース電極SD2もエッチングされてダメージが及んでしまう可能性がある。
【0011】
尚、上記した課題以外のその他の課題は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、有機絶縁膜よりも上層の層間絶縁膜として、低温で形成したシリコン窒化膜を用いる。そして、このシリコン窒化膜で形成された層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する際に、その下に存在する他の層間絶縁膜とともに一括でエッチングすることが望ましい。
【0013】
本発明の構成は、例えば、以下のようなものとすることができる。
【0014】
(1)、第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持される液晶とを有する液晶表示装置であって、前記第1の基板は、映像信号線と、画素電極と、第1の電極が前記映像信号線に接続され第2の電極が前記画素電極と接続された薄膜トランジスタと、前記第2の電極よりも上層に形成された第1のシリコン窒化膜と、前記第1のシリコン窒化膜よりも上層に形成された有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜よりも上層に形成された容量電極と、前記容量電極よりも上層で前記画素電極よりも下層に形成された第2のシリコン窒化膜とを有し、前記第2のシリコン窒化膜は、前記第1のシリコン窒化膜の成膜温度よりも低温で成膜された膜であり、前記第1のシリコン窒化膜と前記第2のシリコン窒化膜は、両者を一括でドライエッチして形成したコンタクトホールを有し、前記コンタクトホールを介して前記第2の電極と前記画素電極とが接続されており、前記容量電極には、前記画素電極とは異なる電位が印加されており、前記画素電極と前記第2のシリコン窒化膜と前記容量電極とによって保持容量を構成している。
【0015】
(2)、(1)において、前記容量電極は、少なくとも一部に反射膜を有する構成としても良い。
【0016】
(3)、(2)において、前記第2の電極は、前記反射膜をパターニングする際に用いるエッチング液またはエッチングガスによってエッチングされる材料を有している構成としても良い。
【0017】
(4)、(2)または(3)において、前記第2の電極は、前記反射膜と同じ材料を有している構成としても良い。
【0018】
(5)、(2)から(4)の何れかにおいて、前記有機絶縁膜は、前記反射膜に対応する箇所に凹凸を有し、前記反射膜は、前記有機絶縁膜の前記凹凸を反映した凹凸を有する構成としても良い。
【0019】
(6)、(5)において、前記有機絶縁膜の前記凹凸は、山と谷との間の高さが0.3μm以下である構成としても良い。
【0020】
(7)、(1)から(6)の何れかにおいて、前記コンタクトホールにおいて、前記第2のシリコン窒化膜の下面が、前記第1のシリコン窒化膜の上面と、少なくとも一箇所で接触している構成としても良い。
【0021】
(8)、(1)から(7)の何れかにおいて、前記コンタクトホールにおいて、前記第2のシリコン窒化膜の下面が、前記第1のシリコン窒化膜の上面と、全周にわたって接触している構成としても良い。
【0022】
(9)、(1)から(8)の何れかにおいて、前記コンタクトホールにおいて、前記第2のシリコン窒化膜の下面の端部が、前記第1のシリコン窒化膜の上面の端部と、ほぼ一致している構成としても良い。
【0023】
(10)、(1)から(8)の何れかにおいて、前記コンタクトホールにおいて、前記第2のシリコン窒化膜の下面の端部が、前記第1のシリコン窒化膜の上面の端部よりも、後退している構成としても良い。
【0024】
(11)、(1)から(10)の何れかにおいて、前記コンタクトホールにおいて、前記有機絶縁膜が、前記第2のシリコン窒化膜から露出していない構成としても良い。
【0025】
(12)、(1)から(11)の何れかにおいて、前記容量電極は、少なくとも一部に透明導電膜を有する構成としても良い。
【0026】
(13)、(1)から(12)の何れかにおいて、前記画素電極は、透明導電膜を有する構成としても良い。
【0027】
(14)、(1)から(13)の何れかにおいて、前記第2のシリコン窒化膜は、表面近傍が、それ以外の部分よりもエッチレートが速い膜である構成としても良い。
【0028】
(15)、(14)において、前記第2のシリコン窒化膜の前記表面近傍の前記エッチレートがそれ以外の部分よりも速い部分の膜厚は、前記第2のシリコン窒化膜の膜厚の5%以上、30%以下である構成としても良い。
【0029】
(16)、(1)から(15)の何れかにおいて、前記第2のシリコン窒化膜は、プラズマCVD法により成膜されている構成としても良い。
【0030】
(17)、(1)から(16)の何れかにおいて、前記容量電極は、対向電極の役割を兼ね、前記画素電極と前記対向電極との間に発生する電界により前記液晶を駆動する構成としても良い。
【0031】
(18)、(1)から(16)の何れかにおいて、前記第2の基板は、対向電極を有し、前記画素電極と前記対向電極との間に発生する電界により前記液晶を駆動する構成としても良い。
【0032】
(19)、第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持される液晶とを有する液晶表示装置であって、前記第1の基板は、映像信号線と、画素電極と、第1の電極が前記映像信号線に接続され第2の電極が前記画素電極と接続された薄膜トランジスタと、前記第2の電極よりも上層に形成された有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜よりも上層に形成された容量電極と、前記容量電極よりも上層で前記画素電極よりも下層に形成されたシリコン窒化膜とを有し、前記シリコン窒化膜は、前記有機絶縁膜の形成より後に前記有機絶縁膜の耐熱温度以下で成膜された膜であり、前記容量電極には、前記画素電極とは異なる電位が印加されており、前記画素電極と前記シリコン窒化膜と前記容量電極とによって保持容量を構成している。
【0033】
(20)、(19)において、前記シリコン窒化膜は、プラズマCVD法により成膜されている構成としても良い。
【0034】
(21)、第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟持される液晶とを有する液晶表示装置であって、前記第1の基板は、映像信号線と、画素電極と、第1の電極が前記映像信号線に接続され第2の電極が前記画素電極と接続された薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタよりも上層に形成された有機絶縁膜と、前記有機絶縁膜よりも上層に形成された反射膜と、前記反射膜よりも上層で前記画素電極よりも下層に形成されたシリコン窒化膜とを有し、前記有機絶縁膜は、前記反射膜に対応する箇所に凹凸を有し、前記反射膜は、前記有機絶縁膜の前記凹凸を反映した凹凸を有し、前記シリコン窒化膜は、前記有機絶縁膜の形成より後に前記有機絶縁膜の耐熱温度以下で成膜された膜であり、前記有機絶縁膜の前記凹凸は、山と谷との間の高さが0.3μm以下である。
【0035】
(22)、(21)において、前記シリコン窒化膜は、プラズマCVD法により成膜されている構成としても良い。
【0036】
尚、上記した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。また、上記した構成以外の本発明の構成の例は、本願明細書全体の記載または図面から明らかにされる。
【発明の効果】
【0037】
本発明による代表的な効果は、次の通りである。
【0038】
本発明により、容量の大きな保持容量を形成することができる。
【0039】
また、本発明により、ソース電極にダメージが及ぶことを防止できる。
【0040】
また、本発明により、プロセスを簡略化することができる。
【0041】
また、本発明により、コンタクトホールにおける電気的接続を確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施例1を説明する図であり、図2のA−A’線に沿った断面図である。
【図2】本発明の実施例1を説明する平面図である。
【図3】本発明の実施例1を説明する図であり、図2のB−B’線に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施例1の製造方法を説明する図である。
【図5】本発明の実施例2を説明する図であり、図1に対応する図である。
【図6】本発明の実施例3を説明する図であり、コンタクトホール部を拡大して示した断面図である。
【図7】特許文献1に記載された保持容量の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0044】
実施例1では、IPS方式の液晶表示装置に本発明を適用した一例を説明する。
【0045】
図1は、本発明の実施例1を説明する図であり、図2のA−A’線に沿った断面図である。図2は、本発明の実施例1を説明する平面図である。図3は、本発明の実施例1を説明する図であり、図2のB−B’線に沿った断面図である。
【0046】
図1から図3に示すように、ガラス等の透明な絶縁性の基板(第1の基板)SUB1と、ガラス等の透明な絶縁性の対向基板(第2の基板)SUB2との間に、液晶LCが挟持されている。
【0047】
本実施例の液晶表示装置は、アクティブマトリクス方式の液晶表示装置であり、複数の画素がマトリクス状に配置されている。基板SUB1は、複数の走査信号線GLと、複数の走査信号線GLに交差する複数の映像信号線DLとを有している。各交点近傍には、画素のスイッチング素子として薄膜トランジスタを有している。尚、図2では、マトリクス状に配置された複数の画素のうちの1画素分を図示した。
【0048】
基板SUB1の上には、下から順に下地膜UC、ポリシリコン等の半導体膜PS、ゲート絶縁膜GI、薄膜トランジスタのゲート電極GT、層間絶縁膜IN1が形成されている。層間絶縁膜IN1の上には、薄膜トランジスタのドレイン電極(第1の電極)SD1と薄膜トランジスタのソース電極(第2の電極)SD2とが形成されている。尚、SD1の方をソース電極と呼ぶ場合もあるが、その場合は、SD2がドレイン電極と呼ばれる。本明細書では、SD1をドレイン電極と呼ぶこととする。
【0049】
ゲート電極GTは、走査信号線GLと一体に形成されている。映像信号線DLの一部は、ドレイン電極SD1を兼ねており、両者が接続された構造となっている。ドレイン電極SD1は、ゲート絶縁膜GI及び層間絶縁膜IN1に形成されたコンタクトホールCH1を介して薄膜トランジスタのドレイン領域に接続されている。ソース電極SD2は、ゲート絶縁膜GI及び層間絶縁膜IN1に形成されたコンタクトホールCH2を介して薄膜トランジスタのソース領域に接続されている。
【0050】
ドレイン電極SD1及びソース電極SD2の上には、層間絶縁膜IN2が形成されている。層間絶縁膜IN2の上には、有機絶縁膜PASが形成されている。有機絶縁膜PASの上には、対向電極CT及び反射膜RALが形成されている。対向電極CT及び反射膜RALの上には、層間絶縁膜IN3が形成されている。層間絶縁膜IN3の上には、画素電極PXが形成されている。この画素電極は、層間絶縁膜IN2及び層間絶縁膜IN3に形成されたコンタクトホールCH3を介して薄膜トランジスタのソース電極SD2と接続されている。
【0051】
画素電極PXの上には、配向膜ORI1が形成されている。また、基板SUB1の液晶LCと反対側には、偏光板POL1が配置されている。尚、配向膜ORI1と偏光板POL1は図1では図示省略している。
【0052】
対向基板SUB2には、ブラックマトリクスBMと、カラーフィルタCFと、オーバーコート膜OCと、配向膜ORI2が形成されている。また、対向基板SUB2の液晶LCと反対側には、偏光板POL2が配置されている。
【0053】
必要に応じて、基板SUB1、対向基板SUB2のうち少なくとも一方に、位相差板、または、塗布型位相差層を配置しても良い。
【0054】
本実施例では、画素電極PXは線状の部分を有し、櫛歯状に形成されている。対向電極CTは、面状に形成されている。そして、画素電極PXと対向電極CTとの間に発生する電界により、液晶LCを駆動して表示を行う。
【0055】
画素電極PXと対向電極CTは、例えばITOなどの透明導電膜で形成されている。反射膜RALは1つの画素の中の一部の領域に形成されており、これによって1つの画素の中に透過領域と反射領域を有する半透過型(部分透過型)の表示が可能となっている。これにより、暗い環境では図示しないバックライトからの光を利用して透過型の表示を行うことができ、明るい環境では外光を反射して反射型の表示を行うことができる。反射膜RALは、例えば、下層がモリブデンタングステン合金(MoW)、上層がSiを1%含有したアルミニウムシリコン合金(AlSi)の2層構造となっており、対向電極CTと接続されている。尚、透過領域と反射領域とで液晶LCの厚みを変える必要がある場合は、例えば対向基板SUB2に図示しない段差形成層を設けることが望ましい。
【0056】
対向電極CT(および反射膜RAL)には、画素電極PXに印加される電位とは異なるコモン電位が供給されている。したがって、対向電極CT(および反射膜RAL)と画素電極PXと層間絶縁膜IN3とによって保持容量を構成している。すなわち、対向電極CT(および反射膜RAL)は、容量電極を兼ねている。ここで、層間絶縁膜IN3として、シリコン窒化膜を用いれば、図7で説明した塗布型絶縁膜IN3Aを用いる場合や、シリコン酸化膜を用いる場合に比べて、誘電率が高い。これにより、保持容量を大きくすることができる。また、画素電極PXと対向電極CTを透明導電膜で形成すれば、透明な保持容量を形成できるので、透過表示時の開口率を大きくできる。
【0057】
層間絶縁膜IN2としては、プラズマCVD法により成膜したシリコン窒化膜が好適である。層間絶縁膜IN2は、高温で成膜することにより、緻密な膜とすることが望ましい。有機絶縁膜PASとしては、例えば感光性のアクリル樹脂等を用いることが好適である。有機絶縁膜PASを用いることで、無機絶縁膜を用いる場合に比べてより平坦性を増すことができる。また、厚く形成することが容易であるため、寄生容量を小さくすることが可能である。さらに、必要に応じてハーフトーン露光を用いれば、部分的に凹凸を形成することも容易である。
【0058】
層間絶縁膜IN3は、有機絶縁膜PASよりも上層に形成されている。有機絶縁膜PASは、一般的に耐熱性があまり高くないため、本実施例では、層間絶縁膜IN3を、プラズマCVD法により、層間絶縁膜IN2の成膜温度よりも低温で成膜している。誘電率を高くするために、層間絶縁膜IN3としてシリコン窒化膜を採用した。層間絶縁膜IN3は、低温で成膜しているため、層間絶縁膜IN2ほどは緻密な膜ではないが、薄膜トランジスタの保護のためには緻密な層間絶縁膜IN2があるため実用上は問題ない。
【0059】
また、層間絶縁膜IN2と層間絶縁膜IN3として、両方ともシリコン窒化膜を採用しているため、両者を一括でドライエッチしてコンタクトホールCH3を形成することができる。これにより、プロセスの簡略化を図ることが可能である。
【0060】
ソース電極SD2は、反射膜RALと同じ材料(例えばアルミニウムシリコン合金やモリブデンタングステン合金)を有している。この場合、図7で説明した構造の場合、反射膜RALの加工時にソース電極SD2が露出しているため、反射膜RALの加工(パターニング)に用いるエッチング液またはエッチングガスによりソース電極SD2がダメージを受ける可能性があるという問題がある。これに対して、本実施例のように層間絶縁膜IN2と層間絶縁膜IN3とを一括でエッチングすれば、反射膜RALの加工時にソース電極SD2は層間絶縁膜IN2で覆われているため、この問題を回避できる。
【0061】
次に、本実施例の製造方法の一例について説明する。図4は、本発明の実施例1の製造方法を説明する図である。図4は、図1のうち、コンタクトホールCH3付近を拡大して示している。
【0062】
図4(a)に示すように、通常の方法で薄膜トランジスタを形成した後、ソース電極SD2の上に、層間絶縁膜IN2としてシリコン窒化膜をプラズマCVD法にて成膜する。この時の成膜条件は、成膜温度(基板温度)が390℃であり、膜厚は300nmとした。
【0063】
その後、有機絶縁膜PASとして、例えば、感光性アクリル樹脂を塗布、露光、パターニングする。厚さは、2.2μmとした。
【0064】
次に、図4(b)に示すように、有機絶縁膜PASの上に、ITOにより対向電極CTを厚さ77nmで成膜し、パターニングする。その上に、上層がSiを1%含有した厚さ150nmのアルミニウムシリコン合金(AlSi)、下層が厚さ50nmのモリブデンタングステン合金(MoW)の2層構造の反射膜RALを成膜し、パターニングした。RALのパターニングには、エッチング液としてリン酸、硝酸、酢酸、フッ化アンモニウムを混合した混酸を用いた。ここで、ソース電極SD2は、上層が厚さ75nmのモリブデンタングステン合金(MoW),中間層がSiを1%含有した厚さ500nmのアルミニウムシリコン合金(AlSi)、下層が厚さ40nmのモリブデンタングステン合金(MoW)の3層構造であり、反射膜RALと同じ材料を有しているが、この時点ではソース電極SD2は層間絶縁膜IN2によって覆われているため、ダメージが及ぶことはない。
【0065】
尚、ソース電極SD2と反射膜RALが同じ材料を有していない場合であっても、ソース電極SD2が、反射膜RALをパターニングする際に用いるエッチング液またはエッチングガスによってエッチングされる材料であった場合は、同様の問題が生じるため、反射膜RALの加工時にソース電極SD2を露出させないことが望ましい。例えば、ソース電極SD2の上層がチタニウム(Ti)等の場合である。
【0066】
次に、図4(c)に示すように、対向電極CTおよび反射膜RALの上に、層間絶縁膜3としてシリコン窒化膜をプラズマCVD法にて成膜する。この時の成膜条件は、これよりも下層にある有機絶縁膜PASへの影響を考慮して有機絶縁膜PASの耐熱温度以下の低温で行い、成膜温度(基板温度)が180℃から250℃(220℃が望ましい)であり、膜厚は100nmから500nm(300nmが望ましい)とした。
【0067】
また、このときにプラズマCVDによる成膜時の材料ガスであるモノシラン(SiH4)とアンモニア(NH3)のガス流量比を、層間絶縁膜IN3の通常のバルク層形成の場合には1:6とし、途中から、アンモニア(NH3)のガス流量を増やして例えば1:16とすることにより、層間絶縁膜IN3の表面近傍が、それ以外の部分(バルク層)よりもエッチレートが速い膜とすることが望ましい。層間絶縁膜IN3の表面近傍のエッチレートがそれ以外の部分よりも速い部分の膜厚は、層間絶縁膜IN3の膜厚の5%以上、30%以下(望ましくは8%から12%程度)であることが望ましい。このように、表面近傍にエッチレートの速い膜(後退層)を形成することによって、コンタクトホールCH3を形成する時に順テーパ形状とすることができる。
【0068】
次に、図4(d)に示すように、レジストPRを形成する。
【0069】
次に、図4(e)に示すように、レジストPRをマスクとして、層間絶縁膜IN2と層間絶縁膜IN3とを一括でエッチングし、コンタクトホールCH3を形成する。エッチングガスとして六弗化硫黄(SF)と酸素(O)の混合ガスを用い、ドライエッチした。両者を一括でエッチングすることで、プロセスの簡略化が可能である。
【0070】
その後、レジストPRを除去する。
【0071】
次に、図4(f)に示すように、層間絶縁膜IN3の上に、ITOにより画素電極PXを形成した。膜厚は77nmとした。
【0072】
なお、本実施例では、ドレイン電極SD1及びソース電極SD2の上に層間絶縁膜IN2を形成した場合について説明したが、信頼性の要求度等によりこの層間絶縁膜IN2は必ずしも必要な層ではなく、ドレイン電極SD1及びソース電極SD2の上に直接有機絶縁膜PASを形成した構成でも、本発明により保持容量を大きくする効果は奏することができる。なお、この場合、層間絶縁膜IN2を削除した代わりに、層間絶縁膜IN1にシリコン窒化膜を使用するか、または、層間絶縁膜IN1をシリコン窒化膜を含む積層膜(例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の2層構造)とすることが望ましい。
【0073】
また、層間絶縁膜IN2を設ける場合でも、本実施例ではシリコン窒化膜を形成する場合について説明しているが、これに限られず、シリコン酸化膜としても良い。なお、この場合も、層間絶縁膜IN1にシリコン窒化膜を使用するか、または、層間絶縁膜IN1をシリコン窒化膜を含む積層膜(例えばシリコン酸化膜とシリコン窒化膜の2層構造)とすることが望ましい。
【実施例2】
【0074】
実施例2では、実施例1に対して、拡散反射を行うための凹凸を形成した一例を説明する。図5は、本発明の実施例2を説明する図であり、図1に対応する図である。尚、本実施例以降の実施例では、実施例1との相違点を中心に説明し、実施例1と共通する内容は説明を省略する。
【0075】
実施例1と異なる点は、有機絶縁膜PASの反射膜RALに対応する部分に、例えばハーフトーン露光などを利用して凹凸(凸部PJ)が形成されており、反射膜RALが有機絶縁膜PASの凹凸を反映して凹凸形状を有している。これによって、反射表示の時に拡散反射が可能になり、表示品質が向上する。
【0076】
凹凸の形成のために、有機絶縁膜PASを用いているため、無機絶縁膜を用いる場合に比べて形成が容易である。
【0077】
但し、層間絶縁膜IN3として、プラズマCVD法により形成した膜を用いている場合、凹凸を平坦化しきれず、画素電極PXにも凹凸が反映されてしまう。表示品質に影響が小さいようにするためには、有機絶縁膜PASの凹凸は、山と谷との間の高さが0.3μm以下(より好ましくは、0.2μm以下)であることが望ましい。尚、拡散反射の機能を得るためには、山と谷との間の高さが0.1μm以上であることが望ましい。
【実施例3】
【0078】
実施例3では、本発明のコンタクトホールCH3の形状の変形例を説明する。
【0079】
図6は、本発明の実施例3を説明する図であり、コンタクトホール部を拡大して示した断面図である。
【0080】
図6(a)(b)に示すように、コンタクトホールCH3において、有機絶縁膜PASが、層間絶縁膜IN3から露出していないことが望ましい。言い換えれば、コンタクトホールCH3において、層間絶縁膜IN3の下面が、層間絶縁膜IN2の上面と、全周にわたって接触していることが望ましい。
【0081】
図6(c)に示すように、有機絶縁膜PASが、層間絶縁膜IN3から露出している露出部EXでは、その上に形成された画素電極PXが高抵抗になったりあるいは断線に至りやすくなっている。このような形状になる理由は、次の通りである。
【0082】
層間絶縁膜IN3をドライエッチする前の段階において、層間絶縁膜IN3は、有機絶縁膜PASの斜面の部分では、自身も基板SUB1に対して傾いた斜面となっている。ドライエッチを行うと、所定のテーパ角でエッチングがなされるが、この角度は、層間絶縁膜IN3の上面に対してある決まった角度になるため、図6(c)のように斜面の位置にある層間絶縁膜IN3のエッチングされた端面は、図6(a)(b)に示すように水平な面の上に形成された場合に比べて、基板SUB1の主面を基準にして測った角度が大きくなる。場合によっては、図6(c)に示すように逆テーパ状態となる場合もある。以上の理由により、露出部EXにおける形状が生じる。
【0083】
尚、図6(c)では、コンタクトホールCH3の断面図の左側は露出部EXを有しているが、右側は露出していない。これは、図4(d)で説明したレジストPRの位置合わせずれによって生じる。このように、露出部EXが存在していない接続経路が少なくとも1つ確保されていれば、抵抗は大きくなるものの、電気的接続は可能であるため、表示に問題がなければこのような形状を採用しても良い。このような形状は、コンタクトホールCH3において、層間絶縁膜IN3の下面が、層間絶縁膜IN2の上面と、少なくとも一箇所で接触していることで実現が可能である。
【0084】
図6(a)では、層間絶縁膜IN3の下面の端部が、層間絶縁膜IN2の上面の端部と、ほぼ一致している。すなわち、層間絶縁膜IN3のテーパと層間絶縁膜IN2のテーパとが連続した形状となっている。
【0085】
図6(b)では、層間絶縁膜IN3の下面の端部が、層間絶縁膜IN2の上面の端部よりも、距離dだけ後退している。こうすることで、段差を小さくできるので、画素電極PXの断線の可能性をより低減でき、また画素電極PXのより薄膜化が可能となる。層間絶縁膜IN3のエッチレートを図6(a)の場合に比べて大きくすることで、このような形状を実現可能である。
【実施例4】
【0086】
実施例4では、透過型の液晶表示装置に本発明を適用する場合について説明する。
【0087】
この場合、実施例1において、反射膜RALの形成を省略すればよい。
【0088】
また、この場合、コンタクトホールCH3の部分の構造は、図1で説明した構造に代えて、図7で説明したように、層間絶縁膜IN2に先にコンタクトホールCH3Aを形成した後に層間絶縁膜IN3AにコンタクトホールCH3Bを形成するようにしてもよい。その場合でも、層間絶縁膜IN3としてシリコン窒化膜を用いることによって保持容量を大きくする効果は奏することができる。
【0089】
尚、実施例3のようなコンタクトホールの形状としても良い。
【実施例5】
【0090】
実施例5では、実施例1で説明したIPS方式の液晶表示装置ではなく、縦電界方式の液晶表示装置に本発明を適用する場合について説明する。
【0091】
縦電界方式の場合、対向基板SUB2側に図示しない対向電極を形成すればよい。こうすることで、基板SUB1側の画素電極PXと対向基板SUB2側の図示しない対向電極との間に発生する電界により液晶LCを駆動して表示を行うことができる。尚、画素電極PXは、図2に示した櫛歯状のものに変え、面状のものにする。
【0092】
本実施例のように縦電界方式の場合、図1に示した対向電極CT(および反射膜RAL)は、対向電極としてではなく、容量電極として働くことになる。
【0093】
尚、実施例2と組み合わせて、拡散反射を行うようにしても良い。
【0094】
また、実施例3のようなコンタクトホールの形状としても良い。
【0095】
さらに、実施例4と組み合わせて、透過型の液晶表示装置としても良い。
【0096】
尚、これまでの各実施例で説明した構成はあくまで一例であり、本発明は、技術思想を逸脱しない範囲内で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0097】
SUB1…基板、SUB2…対向基板、GL…走査信号線、DL…映像信号線、LC…液晶、PS…半導体膜、GT…ゲート電極、SD1…ドレイン電極、SD2…ソース電極、UC…下地膜、GI…ゲート絶縁膜、IN1,IN2,IN3,IN3A…層間絶縁膜、PAS…有機絶縁膜、PX…画素電極、CT…対向電極、RAL…反射膜、CH1,CH2,CH3,CH3A,CH3B…コンタクトホール、BM…ブラックマトリクス、CF…カラーフィルタ、OC…オーバーコート膜、ORI1,ORI2…配向膜、POL1,POL2…偏光板、PR…レジスト、PJ…凸部、d…距離、EX…露出部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置される第2の基板と、前記第1の基板に形成された映像信号線と、前記第1の基板に形成された第1の電極と、前記第1の基板に形成された第2の電極とを有する表示装置であって、
前記第1の基板は、ソース電極とドレイン電極のうちの一方の電極が前記映像信号線に接続され前記ソース電極と前記ドレイン電極のうちの他方の電極が前記第1の電極と接続された薄膜トランジスタと、前記他方の電極よりも上層に形成された第1のシリコン窒化膜と、前記第1のシリコン窒化膜よりも上層に形成された有機絶縁膜とを有し、
前記第2の電極は、前記有機絶縁膜よりも上層に形成され、
前記第2の電極よりも上層で前記第1の電極よりも下層に、第2のシリコン窒化膜が形成され、
前記第1のシリコン窒化膜と前記第2のシリコン窒化膜は、両者を一括で貫通するコンタクトホールを有し、
前記コンタクトホールを介して前記他方の電極と前記第1の電極とが接続されており、
前記第2のシリコン窒化膜は、前記他方の電極と接触する領域を持たず、
前記コンタクトホールにおいて、前記第2のシリコン窒化膜の下面が、前記第1のシリコン窒化膜の上面と、少なくとも一箇所で接触していることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第2の電極には、前記第1の電極とは異なる電位が印加されており、前記第1の電極と前記第2のシリコン窒化膜と前記第2の電極とによって保持容量を構成していることを特徴と請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記コンタクトホールにおいて、前記第2のシリコン窒化膜の下面が、前記第1のシリ
コン窒化膜の上面と、全周にわたって接触していることを特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記コンタクトホールにおいて、前記第2のシリコン窒化膜の下面の端部が、前記第1
のシリコン窒化膜の上面の端部と、ほぼ一致していることを特徴とする請求項1から3の
何れかに記載の表示装置。
【請求項5】
前記コンタクトホールにおいて、前記第2のシリコン窒化膜の下面の端部が、前記第1
のシリコン窒化膜の上面の端部よりも、後退していることを特徴とする請求項1から3の
何れかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記コンタクトホールにおいて、前記有機絶縁膜が、前記第2のシリコン窒化膜から露
出していないことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の表示装置。
【請求項7】
前記コンタクトホールの大きさは、平面的に見て、前記第1の基板の側の大きさよりも前記第2の電極側の大きさの方が大きいことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記第2のシリコン窒化膜は、表面近傍が、それ以外の部分よりもエッチレートが速い
膜であることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記第2のシリコン窒化膜の前記表面近傍の前記エッチレートがそれ以外の部分よりも
速い部分の膜厚は、前記第2のシリコン窒化膜の膜厚の5%以上、30%以下であること
を特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記表示装置は、画素電極を具備した複数の画素を有し、
前記第1の電極は、前記画素電極であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の表示装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−234187(P2012−234187A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−149440(P2012−149440)
【出願日】平成24年7月3日(2012.7.3)
【分割の表示】特願2012−20352(P2012−20352)の分割
【原出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】