説明

車両運転支援装置

【課題】運転者による車両の運転操作度合のみならず、車両の安全走行の観点から、車両の運転を適当に支援することができる装置を提供する。
【解決手段】車両運転支援装置10によれば、運転者による車両1の運転操舵度合Ddが低いほど支援閾値THが低く設定される。そして、車両の安全走行のために必要な車両1の運転支援量Spが支援閾値TH_Sp以下であることを要件として、操舵装置11および制動装置12のうち一方または両方の動作が制御される。これにより、車両1の運転操作度合Ddが低くても、車両1の運転支援の必要性が低い場合には操舵装置11等の動作が制御される確率が低くなる。その一方、運転操舵度合Ddが高くても、車両1の運転支援の必要性が高い場合には操舵装置11等の動作が制御される確率が高くなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転を支援する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の操舵操作状態が検知され、この検知結果に基づいて把握される運転者による運転意思が低いことを要件として車両の操舵を支援する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−154960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、運転者による車両の運転操作度合が比較的低いことに応じて、車両がそのままでも安全に走行しうると予測される状況にもかかわらず車両の操舵が支援されると、車両の安全走行の観点からその走行状態がかえって不適当になる可能性がある。一方、運転者による車両の運転操作度合が比較的高いことに応じて、車両がそのままでは安全に走行するのが困難であると予測される状況にもかかわらず車両の操舵が支援されないままだと、車両の安全走行の観点からその走行状態が不適当になる可能性がある。
【0004】
そこで、本発明は、運転者による車両の運転操作度合のみならず、車両の安全走行の観点から、車両の運転を適当に支援することができる装置を提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1発明の車両運転支援装置は、運転者による車両の運転操作度合と、前記車両に搭載されている撮像装置により撮像された前方画像に基づいて前記車両の安全走行のために必要な前記車両の運転支援量とを検知する状態検知手段と、前記状態検知手段により検知された前記車両の運転操作度合が低いほど支援閾値を低く設定した上で、前記状態検知手段により前記運転支援量が前記支援閾値以上であることを要件として、前記車両が目標位置を通過するように前記車両に搭載されている操舵装置および制動装置のうち一方または両方の動作を制御する車両制御装置とを備えていることを特徴とする。
【0006】
第1発明の車両運転支援装置によれば、運転者による車両の運転操舵度合が低いほど支援閾値が高く設定される。そして、車両の安全走行のために必要な車両の運転支援量が支援閾値以上であることを要件として、操舵装置および制動装置のうち一方または両方(以下、適宜「操舵装置等」という。)の動作が制御される。これにより、車両の運転操作度合が低くても、車両の運転支援の必要性が低い場合には操舵装置等の動作が制御される確率が低くなる。その一方、運転操舵度合が高くても、車両の運転支援の必要性が高い場合には操舵装置等の動作が制御される確率が高くなる。したがって、運転者による車両の運転操作度合のみならず、車両の走行状態に鑑みた車両の安全走行のため、車両の運転が適当に支援されうる。
【0007】
第2発明の車両運転支援装置は、第1発明の車両運転支援装置において、前記状態検知手段が、前記車両に搭載されている撮像装置により撮像された前方画像に基づいて画定される通行帯において前記車両から所定距離だけ前方にある前記目標位置と、前記車両から前記所定距離だけ前方における前記車両の予測通過位置との間隔を前記運転支援量として検知することを特徴とする。
【0008】
第2発明の車両運転支援装置によれば、運転者による車両の運転操作度合のみならず、車両の所定距離だけ前方における目標位置および予測通過位置の間隔に鑑みた車両の安全走行のため、車両の運転が適当に支援されうる。
【0009】
第3発明の車両運転支援装置は、第1または第2発明の車両運転支援装置において、前記状態検知手段が、前記車両に搭載されている撮像装置により撮像された前方画像に基づいて画定される通行帯に存在する目標位置を前記車両が通過するために必要な前記車両の横加速度またはヨーレートの補正量を前記運転支援量として検知することを特徴とする。
【0010】
第3発明の車両運転支援装置によれば、運転者による車両の運転操作度合のみならず、車両の前方にある目標位置を通過するために必要な車両の横加速度またはヨーレートの補正量に鑑みた車両の安全走行のため、車両の運転が適当に支援されうる。
【0011】
第4発明の車両運転支援装置は、第1〜第3発明のうちいずれか1つの車両運転支援装置において、前記状態検知手段が、前記車両の予測位置軌道と、前記車両に搭載されている撮像装置により撮像された前方画像に基づいて検出される物体との重なりを回避するために必要な前記車両の横加速度またはヨーレートの補正量を前記運転支援量として検知することを特徴とする。
【0012】
第4発明の車両運転支援装置によれば、運転者による車両の運転操作度合のみならず、車両の予測位置軌道と前方物体との接触を回避するために必要な車両の横加速度またはヨーレートの補正量に鑑みた車両の安全走行のため、車両の運転が適当に支援されうる。
【0013】
第5発明の車両運転支援装置は、第1〜第4発明のうちいずれか1つの車両運転支援装置において、前記車両制御装置が、前記運転支援量が多いほど前記操舵装置および前記制動装置のうち一方または両方の動作を強く制御することを特徴とする。
【0014】
第5発明の車両運転支援装置によれば、運転者による車両の運転操作度合のみならず、車両の安全走行のために必要な車両の運転支援量の多少に鑑みて、車両の運転が適当に支援されうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の車両運転支援装置等の実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
まず、車両運転支援装置の構成について説明する。図1および図2に示されている車両運転支援装置10は車両(四輪自動車)1に搭載されているECU(CPU,ROM,RAMならびにI/O回路およびA/D変換回路等の電子回路等により構成されている。)により構成されている。図2に示されているように車両1には操舵装置11と、制動装置12と、CCDカメラまたはCMOSイメージセンサ等のカメラ(撮像装置)100と、車速センサ102、加速度センサ104、ヨーレートセンサ106およびトルクセンサ108等のセンサとがさらに搭載されている。
【0017】
操舵装置11はステアリングホイールの操作により駆動される前輪操舵機構をアクチュエータにより駆動するように構成されている。なお、操舵装置11により前輪駆動機構に代えてまたは加えて後輪操舵機構が駆動されてもよい。カメラ100は車両1の前方の様子をフロントウィンドウ越しに撮像するように車内空間に取り付けられている。なお、カメラ100の配置箇所は車両1のフロント部分等に適宜変更されてもよい。車速センサ102、加速度センサ104およびヨーレートセンサ106のそれぞれは車両1の速度、加速度およびヨーレートのそれぞれに応じた信号を出力する。トルクセンサ108は、前記特許文献1(特開2003−154960号公報)に開示されているように、運転者によるステアリングホイールの操作により、ステアリングホイールにステアリング軸等を介して連結されたピニオンに生じる操舵トルクに応じた信号を出力する。
【0018】
車両運転支援装置10にはカメラ100およびトルクセンサ108等からの出力信号が入力される。当該入力信号に基づき、メモリに格納されている「車両運転支援プログラム」にしたがって、車両1の操舵装置11等の動作制御などが当該コンピュータにより実行される。なお、プログラムは任意のタイミングでサーバからネットワークや衛星を介して車両1に配信または放送され、車載コンピュータのRAM等のメモリまたは記憶装置に格納されてもよい。車両運転支援装置10は1つのECUにより構成されていてもよいが、分散制御システムを構成する複数のECUにより構成されていてもよい。
【0019】
車両支援装置10は状態検知手段110および車両制御装置120を備えている。状態検知手段110は運転者による車両1の運転操作度合Ddと、カメラ100により撮像された前方画像に基づいて車両1の安全走行のために必要な運転支援量Spとを検知する。車両制御装置120は状態検知手段110により検知された車両1の運転操作度合Ddが低いほど支援閾値TH_Spを低く設定する。そして、車両制御装置120は運転操作度合Ddが支援閾値TH_Sp以上であることを要件として、車両1が目標位置を通過するように操舵装置11および制動装置12のうち一方または両方の動作を制御する。
【0020】
前記構成の車両1および車両運転支援装置10の機能について説明する。
【0021】
まず、運転者による車両1の運転操作度合Ddが検知される(図3/STEP002)。具体的には、トルクセンサ108の出力信号に基づき、車両運転支援装置10の制御処理サイクルごとに操舵トルクが測定される。そして、前回の操舵トルクに対する今回の操舵トルクの偏差の絶対値の累計値が、運転操作度合Ddとして測定される。
【0022】
また、車両制御装置120により、運転操作度合Ddに基づき、図4に実線で示されている曲線を表わす関数またはテーブルにしたがって支援閾値THが設定される(図3/STEP004)。複数の運転支援量Spが算定される場合、当該運転支援量Spのそれぞれについて支援閾値TH_Spが設定されうる。この関数またはテーブルはあらかじめ所定のメモリまたは記憶装置に保存されている。この関数またはテーブルによれば、支援閾値TH_Spは運転操作度合Ddが低くなるほど連続的または断続的に低くなるように変化する。なお、この際、運転操作度合Ddに基づき、図4に一点鎖線で示されている曲線を表わす関数またはテーブルにしたがって報知閾値TH_Aが設定される。この関数またはテーブルによれば、報知閾値TH_Aは、支援閾値TH_Spと同様に運転操作度合Ddが低くなるほど連続的または断続的に低くなるように変化する。これにより、たとえば、図4に示されているように比較的低い第1の運転操作度合Dd1に応じて比較的低い第1の支援閾値TH_Sp1および第1の報知閾値TH_A1(<TH_Sp1)が設定される。また、比較的高い第2の運転操作度合Dd2に応じて比較的高い第2の支援閾値TH_Sp2および第2の報知閾値TH_A2(<TH_Sp2)が設定される。
【0023】
また、状態検知手段110により車両1の安全走行のために必要な運転支援量Spが算定される(図3/STEP006)。たとえば、車両1から注視点距離(所定距離)Lmだけ前方にある目標位置p0を車両1が通過するために必要な横加速度補正量Gcmpが運転支援量Spとして算定される。具体的には、まず、カメラ100を通じて得られた車両1の前方の様子を表わす画像に基づき、車両1が走行している道路のレーンマークが認識される。連続線、断続線および道路鋲(ボッツドット)などがレーンマークとして認識される。レーンマークの認識または検出手法としては、特開2006−309605号公報または特開2006−331197号公報に開示されている手法等、公知の手法が採用されてもよい。また、レーンマークまたはその集合によって左右が画定された領域が走行帯として認識される。カメラ100を通じて得られた画像に基づき認識されたレーンマークの位置は、公知手法により車両1を基準とする実空間座標系における位置として認識される。さらに、図5に一点鎖線で示されているような走行帯の中央線が認識される。なお、GPS機能等により測定されるグローバル座標系における車両1の位置(緯度および経度)と、車両運転支援装置10の記憶装置に格納されている道路の位置および形状を座標列で表わすマップデータとに基づき、走行帯またはその中央線が認識されてもよい。
【0024】
また、車速センサ102の出力信号に基づいて車両1の速度vが算出され、速度vおよび時定数τを積算することにより注視点距離Lmが算出される。また、図5に示されているように車両1からその前方(+x方向)に注視点距離Lmだけ離れた位置において、走行帯の中央線上に目標位置p0が設定される。さらに、図5に示されているように車両1の現在位置から目標位置p0まで一定の曲率で変化する軌道が予測位置軌道として算定される。また、ヨーレートセンサ106の出力信号に基づいて車両1のヨーレートが算出され、車速vおよびヨーレートに基づき、図5に破線で示されているような車両1の予測位置軌道が認識される。さらに、車両1からその前方に注視点距離Lmだけ離れた位置における目標移動経路および予測移動経路のy方向(車幅方向)の間隔(目標位置p0と予測通過位置pmとの間隔)Emが算出される。そして、車速v、注視点距離Lmおよび当該間隔Emに基づき、関係式(1)にしたがって横加速度補正量Gcmpが算出される。
【0025】
Gcmp=2Em・v2/(Lm2+Em2) ‥(1)
【0026】
なお、横加速度補正量Gcmpに加えてまたは代えて、車両1が目標位置pを通過するために必要なヨーレートの補正量が運転支援量Spとして算定されてもよい。また、車両1から注視点距離Lmだけ前方における目標位置p0と予測通過点pmとの間隔Emが運転支援量Spとして算定されてもよい。さらに、カメラ100による撮像画像に基づいて位置または外形が検知された先行車両、対向車両、路肩などの道路周辺の構造物等の物体と、車両1との接触を回避するために必要な横加速度またはヨーレートの補正量が運転支援量Spとして算定されてもよい。また、当該物体と車両1の予測位置軌道との間隔を変数とする連続的または階段的な減少関数の値が運転支援量Spとして算定されてもよい。
【0027】
さらに、運転支援量Spが支援閾値TH_Sp以上であるか否かが判定される(図3/STEP008)。なお、複数種類の運転支援量Spが検知された場合、一部または全部の運転支援量Spのそれぞれが別個の支援閾値TH_Sp以上であるか否かが判定され、あるいは、一部または全部の運転支援量Spの平均値が支援閾値TH_Sp以上であるか否かが判定されてもよい。たとえば、図4に示されているように運転操作度合Ddとして比較的低い第1の運転操作度合Dd1が検知された場合、運転支援量Spが比較的低い第1の支援閾値TH_Sp1以上であるか否かが判定される。同様に、運転操作度合Ddとして比較的高い第2の運転操作度合Dd2が検知された場合、運転支援量Spが比較的高い第2の支援閾値TH_Sp2以上であるか否かが判定される。そして、運転支援量Spが支援閾値TH_Sp以上であると判定された場合(図3/STEP008‥YES)、操作運転度合Ddに基づき、制御ゲインKdwが設定され(図3/STEP010)、制御開始カウンタ(第1カウンタ)CDdwの第1カウンタ閾値TH_CSTが設定され(図3/STEP012)、かつ、制御継続カウンタ(第2カウンタ)Cctnの第2カウンタ閾値TH_CCCTNが設定される(図3/STEP014)。たとえば、操作運転度合Ddが低いほど、制御ゲインKdwが大きく設定され、第1カウンタ閾値TH_CSTが低く設定され、かつ、第2カウンタ閾値TH_CCCTNが高く設定される。その一方、運転支援量Spが支援閾値TH_Sp未満であると判定された場合(図3/STEP008‥NO)、後述する運転支援制御は実行されることなく運転操作度合Ddの検知以降の処理が繰り返される(図3/STEP002〜STEP008)。
【0028】
さらに、制御開始カウンタCDdwが第1カウンタ閾値TH_CST以上であるか否かが判定される(図3/STEP016)。そして、制御開始カウンタCDdwが第1カウンタ閾値TH_CST未満であると判定された場合(図3/STEP016‥NO)、制御開始カウンタCDdwが「1」だけ増加され(図3/STEP020)、運転操作度合Ddの検知等が繰り返して実行される(図3/STEP002〜S016参照)。その一方、制御開始カウンタCDdwが第1カウンタ閾値TH_CST以上であると判定された場合(図3/STEP016‥YES)、車両1の運転支援制御が実行される(図3/STEP018)。
【0029】
運転支援制御について説明する。まず、横加速度補正量Gcmpが第1制御閾値CDB以上であるか否かが判定される(図6/STEP202)。横加速度補正量Gcmpが第1制御閾値CDB以上であると判定された場合(図6/STEP202‥YES)、所定の減速力が車両1に作用するように制動装置12の動作が制御される(図6/STEP206)。一方、横加速度補正量Gcmpが第1制御閾値CDB未満であると判定された場合(図6/STEP202‥NO)、横加速度補正量Gcmpが第1制御閾値CDBよりも低い第2制御閾値CDS以上であるか否かがさらに判定される(図6/STEP204)。そして、横加速度補正量Gcmpが第2制御閾値CDS以上であると判定された場合(図6/STEP204‥YES)、操舵装置11および必要に応じて制動装置12の動作が制御される(図6/STEP208)。これにより、図5に示されている車両1が予測移動経路(破線)ではなく、目標位置軌道にしたがって走行するように、すなわち、目標位置pを通過するように車両1の挙動が制御される。一方、横加速度補正量Gcmpが第2制御閾値CDS未満であると判定された場合(図6/STEP206‥NO)、いずれの制御も行わずにメインフロー(図3/STEP022)に戻る。
【0030】
また、制御継続カウンタCctnが第2カウンタ閾値TH_CCCTN以上であるか否かが判定される(図3/STEP022)。そして、制御継続カウンタCctnが第2カウンタ閾値TH_CCCTN未満であると判定された場合(図3/STEP022‥NO)、制御継続カウンタCctnが「1」だけ増加され(図3/STEP024)、さらに前回の操舵トルクに対する今回の操舵トルクの偏差が所定値以上であるか否かが判定される(図3/STEP026)。一方、制御継続カウンタCctnが第2カウンタ閾値TH_CCCTN以上であると判定された場合(図3/STEP022‥YES)、運転支援制御が終了される(図3/STEP024)。また、操舵トルク偏差が所定値以上であると判定された場合(図3/STEP026‥YES)、運転支援制御が終了される(図3/STEP028)。
【0031】
なお、運転支援量Spまたはその平均値が報知閾値TH_A以下であるか否かが判定され、運転支援量Spまたはその平均値が報知閾値TH_A以下であると判定された場合、車両1の操舵操作またはブレーキ操作等が必要である旨が報知される。たとえば、センターコンソールに配置されたディスプレイ装置にメッセージや図形が表示され、あるいは、運転席前方のメーターパネルに設けられたランプが点灯することにより操舵操作等が必要である旨が報知される。また、スピーカから音声が出力されることにより操舵操作等が必要である旨が報知される。
【0032】
前記機能を発揮する車両運転支援装置10によれば、運転者による車両1の運転操舵度合Ddが低いほど支援閾値THが低く設定される(図4参照)。そして、車両の安全走行のために必要な車両1の運転支援量Spが支援閾値TH_Sp以下であることを要件として、操舵装置11および制動装置12のうち一方または両方の動作が制御される。これにより、車両1の運転操作度合Ddが低くても、車両1の運転支援の必要性が低い場合には操舵装置11等の動作が制御される確率が低くなる。たとえば、運転操作度合Ddとして比較的低い第1の運転操作度合Dd1が検知された場合、走行支援量Spが比較的低い第1の支援閾値TH_Sp1を超える程度に多くなければ操舵装置11等の動作は制御されない(図4参照)。その一方、運転操舵度合Ddが高くても、車両1の運転支援の必要性が高い場合には操舵装置11等の動作が制御される確率が高くなる。たとえば、運転操作度合Ddとして比較的高い第2の運転操作度合Dd2が検知された場合、走行支援量Spが比較的高い第2の支援閾値TH_Sp2以上となる程度に多い状況においては操舵装置11等の動作が制御される(図4参照)。したがって、運転者による車両1の運転操作度合Ddのみならず、車両1の走行状態に鑑みた車両1の安全走行のため、車両1の運転が適当に支援されうる。
【0033】
なお、運転支援量Spが多いほど操舵装置11等の動作が強く制御されてもよい。具体的には、運転支援量Spが支援閾値TH_Sp以上で大きいほど制御ゲイン係数Kdwが高く設定され、第1カウンタ閾値TH_CSTが低く設定され、あるいは、第2カウンタ閾値TH_CCCTNが高く設定されてもよい(図3/STEP010〜014参照)。当該構成によれば、運転者による車両1の運転操作度合Ddのみならず、車両1の安全走行のために必要な車両1の運転支援量Spの多少に鑑みて、車両1の運転が適当に支援されうる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の車両運転支援装置の構成説明図
【図2】本発明の車両運転支援装置の構成説明図
【図3】本発明の車両運転支援装置の機能を示すフローチャート
【図4】支援閾値の設定方法に関する説明図
【図5】運転支援量の算出方法に関する説明図
【図6】車両運転支援方法を示すフローチャート
【符号の説明】
【0035】
1‥車両、10‥車両運転支援装置、11‥操舵装置、12‥制動装置、100‥カメラ(撮像装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者による車両の運転操作度合と、前記車両に搭載されている撮像装置により撮像された前方画像に基づいて前記車両の安全走行のために必要な前記車両の運転支援量とを検知する状態検知手段と、
前記状態検知手段により検知された前記車両の運転操作度合が低いほど支援閾値を低く設定した上で、前記状態検知手段により前記運転支援量が前記支援閾値以上であることを要件として、前記車両が目標位置を通過するように前記車両に搭載されている操舵装置および制動装置のうち一方または両方の動作を制御する車両制御装置とを備えていることを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両運転支援装置において、
前記状態検知手段が、前記車両に搭載されている撮像装置により撮像された前方画像に基づいて画定される前記車両の通行帯において前記車両から所定距離だけ前方にある前記目標位置と、前記車両から前記所定距離だけ前方における前記車両の予測通過位置との間隔を前記運転支援量として検知することを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車両運転支援装置において、
前記状態検知手段が、前記車両に搭載されている撮像装置により撮像された前方画像に基づいて画定される前記車両の通行帯に存在する目標位置を前記車両が通過するために必要な前記車両の横加速度またはヨーレートの補正量を前記運転支援量として検知することを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の車両運転支援装置において、前記状態検知手段が、前記車両の予測位置軌道と、前記車両に搭載されている撮像装置により撮像された前方画像に基づいて検出される物体との重なりを回避するために必要な前記車両の横加速度またはヨーレートの補正量を前記運転支援量として検知することを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の車両運転支援装置において、前記車両制御装置が、前記運転支援量が多いほど前記操舵装置および前記制動装置のうち一方または両方の動作を強く制御することを特徴とする車両運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−42740(P2010−42740A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207346(P2008−207346)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】