説明

車載カメラ装置を用いた運転支援装置

【課題】従来の車載カメラ装置では、メカニカルシャッタの制御が複雑となり、部品点数も多く装置全体が大型になり、更に、消費電力の点で不利である。また、車載カメラ装置で撮像された画像を用いて運転支援を行うものはない。
【解決手段】カメラ110は、交差点などの指定地点を、グローバルシャッタ型CMOSセンサ112によりズーム撮影して、その映像信号を信号記録再生回路122により記録媒体に記録する。グローバルシャッタ型CMOSセンサ112によりメカニカルシャッタを用いなくとも動く被写体の歪みの無い撮影画像が得られる。指定地点の手前で表示画面132の画面枠上部133aに、信号記録再生回路122からの撮影画像を表示すると共に、マップナビ140からの道路地図の上面図情報と走行地点及び指定地点の画像情報を表示させ、指定地点の実風景との対比や位置情報の把握を可能として運転支援に供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載カメラ装置を用いた運転支援装置に係り、特に固体撮像素子であるCMOSセンサを用いた車載カメラ装置により数分後に通過する指定地点の目印、風景等を予め遠方拡大撮影し、指定地点を通過する間際に、その撮影情報を運転操作に役立てる機能を有する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は従来の車載カメラ装置の一例の構成図を示す。同図において、車載カメラ装置は、撮像装置群であるカメラ210とプロセッサ220とからなり、これらは自動車に搭載されている。カメラ210は、被写体からの光をレンズ211により集光して、メカニカルシャッタ212を介して、後述するローリングシャッタ型CMOSエリアセンサ(以下、「ローリング型CMOSセンサ」という)213の撮像面に光学像を結像し、ローリング型CMOSセンサ213で光電変換して得られた撮像信号を出力する。メカニカルシャッタ212は露光時間を制御するために用いられる。
【0003】
プロセッサ220は、カメラ210から出力された撮像信号を信号処理回路221で入力として受け、信号処理回路221で所定の信号処理を行ってから出力端子222から映像信号として外部へ出力する。このプロセッサ220から出力された映像信号は、例えばモニタ装置に供給されて表示される。これにより、車載カメラ装置は、例えば車庫入れの際に、カメラ210で撮像した撮像画像に基づいて、車庫入れを正確に行うなどの用途に使用される。
【0004】
図10は従来の運転支援装置の一例の構成図を示す。同図において、運転支援装置230は、自動車に搭載されており、地図装置231と表示部(モニタ)232とからなり、地図装置231と表示部232の一体型と、地図装置231及び表示部232とを結線した連結型とがある。地図装置231は、地図上の上面図情報を予め記憶しており、その情報を表示部232に提供する。表示部232は、地図装置231からの地図の上面図情報を受け、運転地図の上面図を画面枠233に表示することで、運転を支援する。
【0005】
次に、図9の車載カメラ装置について更に詳細に説明する。図9の車載カメラ装置では、カメラ210に用いる固体撮像素子として、CCD(Charge Coupled Devise:電荷結合素子)よりも製造方法が容易で、低消費電力として知られ、また、近年、微細化とプロセス技術の向上により画質が向上したCMOSセンサ213が用いられる。このCMOSセンサ213は従来から知られているローリングシャッタ型CMOSセンサである(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
図11は上記の従来のCMOSセンサの一例の等価回路図を示す。同図に示すCMOSセンサは、簡単のため、単位画素1が横方向2画素、縦方向2画素の2×2画素の配置とされている。単位画素1は、被写体像を光電変換するフォトダイオード(PD)2と、信号電荷の増幅用MOS型電界効果トランジスタ(以下、MOSFET)3と、電荷転送用MOSFET4と、リセット用MOSFET5と、選択用MOSFET7とよりなり、電源ライン6がMOSFET3、5のドレインに接続され、増幅用MOSFET3のソースが選択用MOSFET7のドレインに接続されている。
【0007】
増幅用MOSFET3のゲート電極はフローティングディフュージョン(FD)になっており、フォトダイオード2の電荷が電荷転送用MOSFET4のドレイン−ソースを介して増幅用MOSFET3のゲート電極(FD)に転送される。また、増幅用MOSFET3のゲート電極(FD)の電位は、リセット用MOSFET5によりリセットされる。
【0008】
選択用MOSFET7がオン状態になると、増幅用MOSFET3のソースを選択用MOSFET7のドレイン・ソースを通して画素出力ライン8に導通させる。画素出力ライン8は定電流供給用MOSFET9のドレインに接続されている。定電流供給用MOSFET9は、増幅用MOSFET3のソースフォロア回路の負荷として作用する。定電流供給用MOSFET9は、ゲート電位供給ライン13のゲート電位により制御される。
【0009】
また、リセット用制御ライン10、電荷転送用制御ライン11、画素選択用制御ライン12は、それぞれリセット用MOSFET5、電荷転送用MOSFET4、選択用MOSFET7の各ゲート電極に接続されており、その電位はそれぞれパルス供給端子15、14、16から、MOSFET19、20、21のドレイン・ソースをそれぞれ通して供給される。
【0010】
垂直シフトレジスタ17は、行順次走査のために2×2画素の行を選択する回路で、その垂直シフトレジスタ出力線18−1、18−2が、各行のMOSFET19、20、21のゲート電極に接続されており、パルス供給端子15、14、16の端子に供給されたパルスがどの行の画素を制御するかを決定する。
【0011】
また、読み出しブロック22は、リセット信号出力を保持する容量23、光信号出力を保持する容量24、どちらの容量に保持するかを選択するスイッチ用MOSFET25及び26、水平出力線27、28に接続されたスイッチ用MOSFET29、30からなる。スイッチ用MOSFET25、26は端子37、38からそのゲート電極に供給されるパルスによりスイッチング制御される。
【0012】
水平シフトレジスタ34は、2×2画素のうち、どの列の画素の保持信号を水平出力線27、28に出力するかをスイッチ用MOSFET29、30のゲートに接続された水平シフトレジスタ出力線35−1、35−2への出力電位で決定する。また、水平出力線27、28をリセットするための電位を端子33から供給し、リセットのタイミングは端子36から供給するパルスでスイッチ用MOSFET31、32をスイッチング制御して行う。水平出力線27、28は差動アンプ39の入力端子に接続されている。差動アンプ39はリセット信号出力と光信号出力の差をとり、その差信号をアンプ出力端子40からセンサ外に出力する。
【0013】
次に、図11に示す従来のCMOSセンサの動作について図12のタイミングチャートを併せ参照して説明する。なお、図11中のMOSFETはすべてN型とし、よって、MOSFETはそのゲート電位がハイレベル(High)でオン、ローレベル(Low)でオフとなる。
【0014】
まず、垂直シフトレジスタ出力線18−1の電位が図12(D)に示すように時刻t1でHighとなり、これにより1行目の画素1が選択される。続いて、パルス供給端子16の入力パルスが図12(C)に示すように時刻t2でHighになり、これにより1行目の画素1の選択用MOSFET7がオン状態になるため、1行目の画素1の増幅用MOSFET3のソースが選択用MOSFET7のドレイン・ソースと画素出力ライン8を通して定電流供給用MOSFET9につながり、ソースフォロア回路を形成する。
【0015】
この状態で、最初にパルス供給端子15に図12(B)に示すように一定時間Highのパルスが供給され、1行目の画素1のリセット用MOSFET5のドレイン・ソースを通して増幅用MOSFET3のゲート電極(FD)がリセットされる。その後の時刻t3で、パルス供給端子37の入力パルスが図12(I)に示すようにHighになり、スイッチ用MOSFET25をオン状態とし、容量23に1行目の画素1のソースフォロワ回路から出力されたリセット信号出力が保持される。
【0016】
次に、パルス供給端子14に時刻t4で図12(A)に示すようにHighパルスが印加されると、1行目の画素1内の電荷転送用MOSFET4がオンし、1行目の画素1内のフォトダイオード2に蓄積されている電荷が電荷転送用MOSFET4のドレイン・ソースを介して増幅用MOSFET3のゲート電極(FD)に転送される。その後の時刻t5で、パルス供給端子38に図12(J)に示すようにHighパルスが印加されると、容量24に1行目の画素1のソースフォロワ回路から出力された光信号出力が保持される。続いて、パルス供給端子16の入力パルスが図12(C)に示すように、時刻t6でLowになるため、1行目の画素1内の選択用MOSFET7がオフになり、1行目の画素1からの出力はなくなる。
【0017】
端子36の入力信号はこの間図12(H)に示すようにHighであり、水平出力ライン27、28はリセット状態になっている。しかし、上記の時刻t6で端子36の入力信号が図12(H)に示すようにLowになり、この状態で水平シフトレジスタ出力線35−1に図12(F)に示すHighパルスを印加すると、1列目のスイッチ用MOSFET29、30がそれぞれオンとされるため、1列目の容量23、24の各信号が1列目のスイッチ用MOSFET29、30を通して水平出力ライン27、28にそれぞれ出力されて差動アンプ39に供給される。差動アンプ39は1列目の容量23、24の各信号、すなわち、リセット信号出力と光信号出力との差をとり、増幅用MOSFET3のしきい値ばらつきに起因したノイズを除去した光信号を出力端子40より出力する。
【0018】
次に、端子36に図12(H)に示す時刻t7でHighパルスを印加すると、水平出力ライン27、28が再びリセットされ、その後水平シフトレジスタ出力線35−2に、図12(G)に示すように時刻t8でHighパルスが印加され、2列目のスイッチ用MOSFET29、30がそれぞれオンとされるため、2列目の容量23、24の各信号が2列目のスイッチ用MOSFET29、30を通して水平出力ライン27、28にそれぞれ出力されて差動アンプ39に供給され、2列目の信号が1列目と同様に差動アンプ39から出力端子40に出力される。
【0019】
その後、図12(D)に示す時刻t9で垂直シフトレジスタ出力線18−1の電位がLowとなり、1行目の処理が終わる。次に時刻t10で図12(E)に示すように、垂直シフトレジスタ出力線18−2の電位がHighになり、以下1行目と同様な処理が行われ、全画素の読み出しが終了する。
【0020】
従って、このCMOSセンサの場合、1行目と2行目のフォトダイオード2で光電変換しているタイミングが異なる。このような撮像方式をローリングシャッタ、あるいはフォーカルプレーンと呼ぶ。
【0021】
【特許文献1】特開2003−17677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
このようなローリング型CMOSセンサ213を用いて撮像する場合、簡単のため2行4列の画素P11〜P24の図13(A)に示す概念図と共に説明すると、或る1行の画素P11〜P14を左方向から右方向へ順番に読み出しを行い(実線矢印I)、1行読み終わると次の行の先頭に戻り(破線矢印II)、続いて次の行を再び左から右方向へ読む(実線矢印III)という動作を繰り返す。従って、画素各々が選択されたときに初めて露光される処理になるので、画素すべて読み終わった時点で各々の画素で信号の取得時間が一致しない。CMOSセンサの全ての画素を読み終わった時点で1枚の絵を読んだことになる。
【0023】
例えば、図13(B)に示すように画面左から右方向へ動く長方形150を撮影した場合、従来のローリング型CMOSセンサ213を用いて撮影すると、撮影した画像は各行で撮影時刻が異なるために、上述のように画素を読んでいる間に撮影したい長方形が動いてしまうと、図13(C)に示すように、長方形150の移動により歪んで平行四辺形の像151となって撮影される。
【0024】
従って、車載カメラ装置により、例えば、図14(A)に示すように、当該車載カメラ装置を搭載した自動車が数分後に通過するであろう交差点104付近の遠景風景をズーム撮影した場合、交差点104を左から右方向へ高速で移動する車両105の撮像画像は同図(B)に105’で示すように著しく歪むと共に焦点が合っておらず、また同図(A)に示す交差点104の前方左側に固定設置されている信号機106、交差点104の右手にある郵便局107の各撮像画像も、同図(B)に106’、107’で示すように、車載カメラ装置自体が移動しているために、歪んでしまう。
【0025】
そこで、図9の車載カメラ装置では、ローリング型CMOSセンサ213の光入射側前方にメカニカルシャッタ212を用い、そのオープン期間に対応して全ラインの1フレーム期間の露光を行い、そのクローズ期間で各1ラインずつ順次に読み出しを行うことで、露光プロセスと信号読出しプロセスを分離することができ、その結果、高速で移動する車両などの動く被写体の撮像画像を歪まないようにすることができる。しかしながら、メカニカルシャッタ212の制御が複雑となり、部品点数も多く装置全体が大型になり、更に、消費電力の点で不利である。
【0026】
このような車載カメラ装置からの撮像信号を利用して運転支援に利用することが考えられる。しかしながら、従来の車載の多目的装置としては、音響機器、地図装置、表示部の複合型があるものの、従来は図9の車載カメラ装置と図10の運転支援装置とは別々に設けられており、車載カメラ装置は車庫入れの監視など用途が限られ、これらを接続して車載カメラ装置で撮像された画像を用いて運転支援を行うものはない。
【0027】
また、従来の車載カメラ装置では、例えば、夜間、悪天候、明暗差の大きいトンネル前後の地点において、カメラが交通標識を認識することはローリング型CMOSセンサ213を用いているため、撮像画像の画像品質などの点から多大な制約を受ける問題がある。また、更に、従来の運転支援装置では、地図装置231が提供する地図の情報は、上面図情報であり、立体情報ではないので、経路選択の際の情報としては不十分であり、また、地図装置231が提供する地図の情報は既製情報であり、走行中の情報を即時に運転操作へ反映することは困難である。
【0028】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、高速走行時に歪みのない鮮明な撮像画像が得られ、その撮像画像に基づいて、即時に交通標識の認識、経路の選択、運転操作などへ反映することが可能な走行中の撮像情報を提供し得る車載カメラ装置を用いた運転支援装置を提供することを目的とする。
【0029】
また、本発明の他の目的は、地図装置と撮像画像とを連動させることで、地図上で指定された経路選択地点の周辺風景、交通標識を、事前に遠方地点から撮影記録した画像に基づいて、経路選択地点の直前に、運転者に正確な経路を選択することを支援するための車載カメラ装置を用いた運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記の目的を達成するため、本発明は、自動車に搭載されており、自動車の車外の被写体を固体撮像素子により撮像し、固体撮像素子から出力された映像信号を用いて運転支援を行う車載カメラ装置を用いた運転支援装置であって、被写体の光学像を複数の全画素の光電変換領域に同時に露光して光電変換して得た電荷を全画素に蓄積した後、露光期間に蓄積した電荷を各画素から映像信号として順次出力する、固体撮像素子としてのグローバルシャッタ型CMOSセンサを備え、自動車の走行中に予め指定した指定地点を撮影する車載カメラ装置と、グローバルシャッタ型CMOSセンサから出力された映像信号に対して、所定の信号処理を行って映像信号を出力する共に、信号処理を行った映像信号を記録媒体に記録し再生する記録再生手段と、少なくとも自動車が現在走行している走行地点と、指定地点との間の道路地図情報を走行地点及び指定地点の各画像情報と共に生成する地図情報生成手段と、指定地点に到る手前の近傍の位置で、記録再生手段からの映像信号の画像を第1の領域に表示すると共に、地図情報生成手段で生成された道路地図情報及び走行地点及び指定地点の各画像情報を第2の領域に表示する表示手段とを有し、表示手段の第1及び第2の領域に表示する画像により運転支援を行うことを特徴とする。
【0031】
この発明では、走行中にグローバルシャッタ型CMOSセンサを備えた車載カメラ装置で指定地点を撮影して得た映像信号を、記録再生手段により記録媒体に記録しておき、その後、指定地点に到る手前の近傍の位置で、記録再生手段からの指定地点の撮影画像を表示手段の第1の領域に表示させるようにしたため、メカニカルシャッタを有しなくても、高速で走行する自動車から指定地点を撮影して得た、指定地点の各被写体の撮影画像を歪み無く表示させることができ、また、表示手段の第2の領域に道路地図情報及び走行地点及び指定地点の各画像情報を表示することで、運転者に現在の走行位置と指定地点までの位置関係を把握させると共に、第1の領域に表示される指定地点の立体撮影画像を指定地点の実風景とを対比させることができる。
【0032】
また、本発明は、上記のグローバルシャッタ型CMOSセンサを、基板上のリング状ゲート電極と、リング状ゲート電極の中央開口部に対応する基板の位置に設けられたソース領域と、ソース領域を取り囲み、かつ、リング状ゲート電極の外周に達しないように基板に設けられたソース近傍領域とからなる信号出力用トランジスタと、光を電荷に変換して蓄積する光電変換領域と、光電変換領域に蓄積された電荷をソース近傍領域へ転送する電荷転送手段とを含む画素が複数配列された構造であり、各画素内の電荷転送手段は、光電変換領域に蓄積された電荷を、同じ画素内の対応するソース近傍領域へ全画素一斉に転送し、信号出力用トランジスタは、入力された電荷の量をしきい値の変化として出力する構成としたことを特徴とする。
【0033】
この発明では、グローバルシャッタ型CMOSセンサが、信号出力用蓄積容量が大きなソース近傍領域に、光電変換により光電変換領域に蓄積されている電荷を一括転送するようにしたため、従来のローリング型CMOSセンサに比べて広ダイナミックレンジを実現できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、グローバルシャッタ型CMOSセンサを用いたことにより、メカニカルシャッタを有しなくても、高速で走行する自動車から指定地点を撮影して得た、指定地点の各被写体の撮影画像を、読み出し方式に依存する映像の変形などを引き起こすことなく、歪み無く表示させることができるため、メカニカルシャッタを用いた場合の複雑な制御が不要であり、装置全体が大型化することもなく、更に消費電力も低減できる。
【0035】
また、本発明によれば、表示手段の第2の領域に道路地図情報及び走行地点及び指定地点の各画像情報を表示することで、運転者に現在の走行位置と指定地点までの位置関係を把握させると共に、第1の領域に表示される指定地点の立体撮影画像を指定地点の実風景とを対比させることができるようにしたため、運転者に指定地点手前で交通標識を判別させると共に、運転者が指定地点周辺の実風景を確認しながら、運転操作・移動することができ、指定地点として交通標識などを間違えやすい交差点近傍に接近した時に、その周辺画像が経路を選択することを支援するための画像として表示されるので、運転者は正確な経路選択を行い、自動車を誘導でき、運転操作、運転支援、例えば経路選択、標識遵守に活用し、経路選択の間違い防止、安全運転を行わせることができる。
【0036】
また、本発明によれば、グローバルシャッタ型CMOSセンサが、信号出力用蓄積容量が大きなソース近傍領域に、光電変換により光電変換領域に蓄積されている電荷を一括転送することで、従来のローリング型CMOSセンサに比べて広ダイナミックレンジを実現しているため、例えば、夜間、悪天候、明暗差の大きいトンネル前後の地点においても、従来に比べて交通標識をより鮮明に認識することができ、従来に比べてより正確な経路選択、標識遵守などの運転支援を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になる車載カメラ装置を用いた運転支援装置の一実施の形態のブロック図を示す。同図に示すように、本実施の形態の運転支援装置は、撮像装置群であるカメラ110と、記録再生装置群であるレコーダ120と、表示装置群であるディスプレイ130と、マップナビ140とからなり、自動車に搭載されている。カメラ110は、レンズ111と、後述するグローバルシャッタ型CMOSエリアセンサ(以下、「グローバル型CMOSセンサ」という)112とからなり、被写体からの光学像をレンズ111によりグローバル型CMOSセンサ112の撮像面に結像し、グローバル型CMOSセンサ112で光電変換して得られた撮像信号をレコーダ120へ出力する。
【0038】
レコーダ120は、信号処理回路121、信号記録再生回路122及び出力端子123から構成され、カメラ110からの撮像信号に対して、信号処理回路121でガンマ補正等の従来より公知の所定の信号処理を施した後、信号処理して得られた映像信号を、信号記録再生回路122に供給して一旦所定の信号フォーマットで記録媒体に記録すると共に、出力端子123を介してディスプレイ130へ出力する。
【0039】
ディスプレイ130は、表示処理部131とその表示画面132とからなり、レコーダ120から供給された映像信号を、表示処理部131で表示のための所定の信号処理を行って、表示画面132の画面枠上部133aに画像表示させる。また、表示画面132の画面枠下部133bには、マップナビ140を構成する地図装置141からの地図の上面図情報等が表示される。表示画面132は、運転者が運転中に視認できる位置に設けられる。
【0040】
マップナビ140は、地図装置141によりこの装置が搭載されている自動車が現在走行している走行地点と撮影対象の指定地点との間の道路地図の上面図情報を生成すると共に、少なくとも走行地点及び指定地点の各画像情報とをそれぞれ生成してディスプレイ130へ供給する。なお、マップナビ140は、走行地点及び指定地点の各画像情報は、それらの位置情報を、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)などを利用した公知の方法で取得し、それに基づいて画像情報を生成するが、その方法は公知であるので、その詳細な説明は省略する。
【0041】
図2は図1中の表示処理部131の一実施の形態のブロック図を示す。図2に示すように、表示処理部131は入力処理部1311、メモリ1312及びバッファ1313からなり、レコーダ120から入力される映像信号に対して、入力処理部1311が、表示画面132で表示する画像の明るさ、解像度、サイズ、技術的な視点の信号圧縮制御等に関する操作信号に基づいて、表示のための処理を行い、その処理後の映像信号をメモリ1312に記憶する。
【0042】
メモリ1312は、指定された読み出しアドレスの記憶映像信号を読み出して、バッファ1313に供給して一時保持した後、ディスプレイ130へ出力する。上記の読み出しアドレスは、例えば、画面枠選択のための番地、画面タッチパネルの要素データが格納されている番地などを示す。
【0043】
次に、本実施の形態で用いるグローバル型CMOSセンサ112の構成及び動作について詳細に説明する。図4(A)は上記のグローバル型CMOSセンサ112の一画素当たりの一例の平面図、同図(B)は同図(A)のX−X’線に沿う断面図を示す。図4(A)、(B)に示すように、p+型基板41上にp-型エピタキシャル層42を成長し、このエピタキシャル層42の表面にnウェル43がある。nウェル43上にはゲート酸化膜44を挟んで第1のゲート電極である平面形状がリング状のゲート電極45が形成されている。
【0044】
リング状ゲート電極45の中心部に対応したnウェル43の表面にはn+型のソース領域46が形成されており、そのソース領域46に隣接してソース近傍p型領域47が形成され、更にソース領域46とソース近傍p型領域47の外側の離間した位置にはn+型のドレイン領域48が形成されている。更に、ドレイン領域48の下のnウェル43中には埋め込みのp-型領域49がある。この埋め込みのp-型領域49とnウェル43は、図3(A)に示す埋め込みフォトダイオード50を構成している。
【0045】
埋め込みフォトダイオード50とリング状ゲート電極45との間には、第2のゲート電極である転送ゲート電極51がある。ドレイン領域48、リング状ゲート電極45、ソース領域46、転送ゲート電極51には、それぞれメタル配線であるドレイン電極配線52、リング状ゲート電極配線53、ソース電極配線(出力線)54、転送ゲート電極配線55が接続されている。また、上記の各構成の上方には、図3(B)に示すように遮光膜56が形成されており、その遮光膜56の埋め込みフォトダイオード50に対応した位置には開口部57が穿設されている。この遮光膜56は金属、あるいは有機膜等で形成される。光は、開口部57を通して埋め込みフォトダイオード50に達して光電変換される。
【0046】
次に、CMOSセンサの画素構造と撮像素子全体の構造について、電気回路で表現した図4と共に説明する。同図において、まず、画素はm行n列に画素敷き詰め領域61に配置されている。図4ではこれらm行n列の画素のうち、s行t列の一画素62を代表として等価回路で表現している。この画素62は、リング状ゲートMOSFET63と、フォトダイオード64と、転送ゲートMOSFET65とからなり、リング状ゲートMOSFET63のドレインがフォトダイオード64のn側端子とドレイン電極配線66(図3の52に相当)に接続され、転送ゲートMOSFET65のソースがフォトダイオード64のp側端子に接続され、ドレインがリング状ゲートMOSFET63のバックゲートに接続されている。
【0047】
なお、上記のリング状ゲートMOSFET63は、図3(B)ではリング状ゲート電極45直下のソース近傍p型領域47をゲート領域とし、n型のソース領域46及びn型のドレイン領域48を有するnチャネルMOSFETである。また、上記の転送ゲートMOSFET65は、図3(B)では転送ゲート電極51直下のnウェル43をゲート領域、フォトダイオード50の埋め込みのp型領域49をソース領域、ソース近傍p型領域47をドレインとするpチャネルMOSFETである。
【0048】
図4において、m行n列の各画素から1フレーム分の信号を読み出すために、まず読み出しを始める合図を出すフレームスタート信号を発生させる回路67がある。このフレームスタート信号は撮像素子の外から与えられてもよい。このフレームスタート信号は垂直シフトレジスタ68に供給される。垂直シフトレジスタ68は、m行n列の各画素のうちの何行目の画素を読み出すかの信号を出力する。
【0049】
各行の画素はリング状ゲート電極、転送ゲート電極、ドレイン電極の電位を制御する制御回路に接続されており、これらの制御回路は垂直レジスタ68の出力信号が供給される。例えば、s行目の各画素のリング状ゲート電極は、リング状ゲート電極配線69(図3の53に相当)を介してリング状ゲート電位制御回路70に接続され、各画素の転送ゲート電極は、転送ゲート電極配線71(図3の55に相当)を介して転送ゲート電位制御回路72に接続され、各画素のドレイン電極は、ドレイン電極配線66(図3の52に相当)を介してドレイン電位制御回路73に接続されている。上記の各制御回路70、72、73には垂直シフトレジスタ68の出力信号が供給される。
【0050】
なお、リング状ゲート電極は、行毎に制御するので横方向に配線するが、転送ゲート電極は全画素で一斉に制御するので、配線方向は問わず、縦方向でもよい。ここでは横方向に配線するものとして表現する。ドレイン電位制御回路73は、全画素一斉に制御するが、行毎に制御する可能性もあるので、フレームスタート信号と垂直レジスタ68の両方と接続して表現している。
【0051】
画素62のリング状ゲートMOSFET63のソース電極は、ソース電極配線74(図3の54に相当)を介して2分岐され、一方はスイッチSW1を介してソース電極電位を制御するソース電位制御回路75に接続され、他方はスイッチSW2を介して信号読み出し回路76に接続されている。信号を読み出すときにはスイッチSW1をオフ、スイッチSW2をオンにし、ソース電位を制御する時にはスイッチSW1をオン、スイッチSW2をオフにする。信号は縦方向に出すので、ソース電極の配線方向は縦にする。
【0052】
信号読み出し回路76は次のように構成されている。画素62の出力はリング状ゲートMOSFET63のソースから行われ、出力線74には負荷、例えば電流源77が繋がっている。従って、ソースフォロア回路となっている。電流源77にはキャパシタC1とキャパシタC2の各一端がスイッチsc1とスイッチsc2を介して繋がっている。他端が接地されているキャパシタC1、C2の各一端は、また差動アンプ78の反転入力端子と非反転入力端子に繋がっており、両キャパシタC1及びC2の電位差を差動アンプ78から出力するようになっている。
【0053】
このような信号読み出し回路76はCDS回路と呼ばれ、ここに描かれた方式以外にも種々の回路が提案されており、この回路に限るわけではない。信号読み出し回路76から出力された信号は、出力スイッチswtを介して出力される。同じ列にある出力スイッチswtは、水平シフトレジスタ79から出力される信号によりスイッチング制御される。
【0054】
次に、図4に示すCMOSセンサの駆動方法について、図5のタイミングチャートと共に説明する。まず、図5(1)に示す期間では、埋め込みのフォトダイオード(図3(A)の50、図4の64等)に光が入射し、光電変換効果により電子・ホール対が発生し、フォトダイオードの埋め込みp-型領域49にホールが蓄積される。このとき転送ゲート電極51の電位はドレイン電位Vddと同じになっており、転送ゲートMOSFET65はオフ状態である。これらの蓄積は、前フレームの読み出し操作が行われている時に同時に実行されている。
【0055】
続く図5(2)に示す期間では、前フレームの読み出しが終了すると、同図(A)に示すように新しいフレームスタート信号が発信されて、次のフレームの読み出しが始まる。最初に行うのは全画素一斉にフォトダイオード(図3(A)の50、図4の64等)からリング状ゲート電極(図3の45)のソース近傍p型領域(図3の47)にホールを転送することである。そのため、図5(B)に示すように転送ゲート電位制御回路72から出力される転送ゲート制御信号がVddからLow2に下がり、転送ゲート電極(図3の41)の電位がLow2となり、転送ゲートMOSFET65がオン状態になる。
【0056】
このとき、リング状ゲート電位制御回路70により制御されるリング状ゲート電極配線69の電位は、図5(C)に示すように、LowからLow1になるが、Low2の方がLow1よりも大きい。Low1はLowと同じでもよい。最も簡便にはLow1=Low=0(V)に設定する。
【0057】
一方、ソース電位制御回路75からスイッチSW1を介してソース電極配線74からリング状ゲートMOSFET63のソースに供給されるソース電位をはじめとする、全画素のソース電位は図5(D)に示すように電位S1に設定される。S1>Low1であり、これにより、リング状ゲートMOSFET63がオフのままであり、電流が流れないようにする。この結果、全画素のフォトダイオードに蓄積された電荷(ホール)が、対応する画素のリング状ゲート電極の下に一斉に転送される。
【0058】
図3(B)に示すリング状ゲート電極45の下の領域で、ソース近傍p型領域47が最もポテンシャルが低いので、フォトダイオードに蓄積されていたホールはソース近傍p型領域47に達し、そこに蓄積される。ホールが蓄積される結果、ソース近傍p型領域47の電位が上昇する。
【0059】
続いて、図5(3)に示す期間では、同図(B)に示すように転送ゲート電極が再びVddになり、転送ゲートMOSFET65がオフになる。これにより、フォトダイオード(図3(A)の50、図4の64等)では再び光電変換効果により電子・ホール対が発生し、フォトダイオードの埋め込みp型領域49にホールが蓄積され始める。この蓄積動作は次の電荷転送時まで続けられる。
【0060】
一方、読み出し操作は行単位で順番に行われるので、1行目〜(s−1)行目を読み出す期間(3)では、リング状ゲート電極の電位は図5(C)に示すようにLowの状態で、ソース近傍p型領域47にホールを蓄積したまま待機状態となる。ソース電位は他の行からの信号読み出しが行われている間、その画素からの信号の値により、様々な値をとり得る。また、リング状ゲート電極電位は行毎に様々な値をとり得るが、s行目ではLowに設定され、リング状ゲートMOSFET63がオフ状態である。
【0061】
続く図5(4)〜(6)に示す期間では、画素の信号読み出しが行われる。s行目t列目の画素62について代表してこの信号読み出し動作について説明するに、まず、ソース近傍p型領域47にホールを蓄積した状態で、図5(E)に示す垂直シフトレジスタ68の出力信号が、同図(H)に示すようにローレベルである期間(4)において、リング状ゲート電位制御回路70からリング状ゲート電極配線69に出力される制御信号により、リング状ゲート電極45の電位を図5(K)に示すように、LowからVg1に上げる。
【0062】
ここで、上記の電位Vg1は、前述した各電位Low、Low1、Vddとの間に
Low≦Low1≦Vg1≦Vdd (ただし、Low<Vdd)
なる不等式が成立する電位である。また、上記の期間(4)ではスイッチSW1が図5(I)に示すようにオフ、スイッチSW2が同図(J)に示すようにオン、スイッチsc1が同図(M)に示すようにオン、スイッチsc2が同図(N)に示すようにオフとされる。この結果、リング状ゲートMOSFET63のソースに接続されたソースフォロア回路が働き、リング状ゲートMOSFET63のソース電位は、図5(L)に示すように期間(4)ではS2(=Vg1−Vth1)となる。ここで、Vth1とはバックゲート(ソース近傍p型領域47)にホールがある状態での、リング状ゲートMOSFET63のしきい値電圧である。このソース電位S2がオンとされているスイッチsc1を通してキャパシタC1に記憶される。
【0063】
続く図5(5)に示す期間では、リング状ゲート電位制御回路70からリング状ゲート電極配線69に出力される制御信号により、リング状ゲート電極45の電位を図5(K)に示すようにHigh1に上げると同時に、同図(I)、(J)に示すようにスイッチSW1をオン、スイッチSW2をオフとすると共に、ソース電位制御回路75から出力されるソース電位を同図(L)に示すようにHighsに上げる。ここで、High1、Highs>Low1である。
【0064】
上記の電位High1及びHighsの値は同じであっても異なっていてもよいが、設計の簡単のためにはHigh1、Highs≦Vddが望ましい。簡便な設定では、High1=Highs=Vddとする。また、リング状ゲートMOSFET63がオンして電流が流れないような電位設定にすることが望ましい。この結果、ソース近傍p型領域47のポテンシャルが上昇し、nウェル43のバリアを越えてホールがエピタキシャル層42に排出される(リセット)。
【0065】
続く図5(6)に示す期間では、再び前記期間(4)と同じ信号読み出し状態にする。ただし、期間(4)とは異なり、図5(M)、(N)に示すように、スイッチsc1はオフ、スイッチsc2はオンとする。リング状ゲート電極は図5(K)に示すように期間(4)と同じVg1とする。しかし、この期間(6)では直前の期間(5)でホールが基板に排出されていて、ソース近傍p型領域47にはホールが存在しないので、リング状ゲートMOSFET63のソース電位は、図5(L)に示すように期間(6)ではS0(=Vg1−Vth0)となる。ここでVth0は、バックゲート(ソース近傍p型領域47)にホールがない状態でのリング状ゲートMOSFET63のしきい値電圧である。
【0066】
このソース電位S0はオンとされたスイッチsc2を介してキャパシタC2に記憶される。差動アンプ78はキャパシタC1とC2の電位差を出力する。すなわち、差動アンプ78は(Vth0−Vth1)を出力する。この出力値(Vth0−Vth1)は、ホール電荷によるしきい値変化分である。その後、水平シフトレジスタ79から出力される図5(F)に示すパルスのうち、同図(O)に示すt列目の出力パルスに基づき、図4の出力スイッチswtがオンとされ、このswtのオン期間に図5(P)にハッチングにより模式的に示すように、差動アンプ78からのホール電荷によるしきい値変化分が画素62の出力信号Voutとしてセンサ外へ出力される。
【0067】
続いて、図5に(7)で示す期間では、再びリング状ゲート電極45の電位を図5(B)に示すようにLowにし、ソース近傍p型領域47にはホールがない状態で、全ての行の信号処理が終了するまで(s+1行〜n行の画素の読み出しが終了するまで)待機する。これらの読み出し期間中、フォトダイオード64では光電変換効果によるホールの蓄積が進行している。その後、前記期間(1)に戻って、ホールの転送から繰り返す。これにより、各画素から図5(G)に示す出力信号が読み出される。
【0068】
上記の図3(A)、(B)に示す構成の固体撮像素子は、リング状のゲート電極45を持つリング状ゲートMOSFET63が増幅用MOSFETであり、図4に示したように各画素内に増幅用MOSFETを持つという意味で、CMOSセンサの一種である。そして、このCMOSセンサは、フォトダイオードに蓄積された電荷(ホール)が、対応する画素のリング状ゲート電極の下のソース近傍p型領域47に一斉に転送されるようにすることで、グローバルシャッタを実現している。
【0069】
なお、図5の期間(5)のリセット時のソース電極配線74の電位供給は、ソース電位制御回路75から供給する以外の次の方法もある。すなわち、上記期間(5)でスイッチSW1、SW2をともにオフとして、ソース電極配線74をフローティングにする。ここでリング状ゲート電極配線69の電位をHigh1とすると、リング状ゲートMOSFET63がオン状態となり、ソース電極にドレインから電流が供給され、ソース電極電位が上昇する。この結果、ソース近傍p型領域47のポテンシャルが持ち上げられ、nウェル43のバリアを越えて、ホールがp型エピタキシャル層42に排出される(リセット)。ホールが完全に排出されたときのソース電極電位は、High1−Vth0になる。この方法では、ソース電位制御回路75のうち、Highsを供給するトランジスタを削減することができ、その結果、チップ面積を減らすことができる。
【0070】
本実施の形態におけるグローバル型CMOSセンサ112は、被写体からの露光は各ライン毎にタイミングがずれることなく同一の1フレーム期間で行われる。これは図5の期間(1)に当たる。一定期間の露光後、グローバル型CMOSセンサ112内の転送ゲート(図4の転送ゲートMOSFET65等)により、全画素の電荷が一斉に各画素の所定領域(図4のリング状ゲートMOSFET63のバックゲート(図3(B)のソース近傍p型領域47))に転送される。これは図5の期間(2)に当たる。その後、読み出し回路により、読み出し期間内で、順次各画素からの信号が読み出される。これは図5の期間(3)〜(7)に当たる。
【0071】
これにより、図6(A)に示すように画面中、例えば左から右方向に移動する被写体150を撮像した場合でも、撮像画像は同一時刻で露光した画像であるので、同図(B)に160で示すような撮像画像が得られ、被写体150の画像と異なる画像歪みは発生しない。
【0072】
次に、本実施の形態の撮影方法、撮像画像、運転支援動作などについて更に詳細に説明する。図1に示した実施の形態の運転支援装置は、図7に示すように、カメラ110が例えば自動車100の屋根などの所定位置に固定されて、自動車100の走行方向前方位置の被写体を撮像する。ここでは、例えば、自動車100が数分後に通過する指定地点の目印、風景等を遠方拡大撮影し、自動車100が指定地点を通過する間際に、その撮影情報を運転操作に役立てる場合について説明する。
【0073】
図8に示すように、本実施の形態の運転支援装置を搭載している自動車100が、例えば数分後に通過するであろう指定地点(Z地点)である交差点104の1000m手前の確認地点、すなわちチェックポイント(X地点)に走行して来た時に、カメラ110で交差点104の実風景108をズーム撮影し、その時撮影して得られた映像信号を、図1のレコーダ120内の信号記録再生回路122で記録媒体に記録すると共に、ディスプレイ130の表示画面132の画面枠上部133aに画像表示する。
【0074】
これにより、画面枠上部133aには、図8(A)に示すように、現在走行中のX地点からZ地点の交差点104を遠方拡大撮影した画像、すなわち、交差点104を左から右方向へ高速で移動する車両105の画像105aと、交差点104の前方左側に固定設置されている信号機106の画像106aと交差点104の右手にある郵便局107の画像107aとが立体的に表示される。
【0075】
ここで、本実施の形態では、グローバル型CMOSセンサ112を用いているため、従来のローリング型CMOSセンサを用いて撮影した時の図14(B)に示したような画像の歪みは発生せず、高速に移動する車両105の画像105aも静止して表示され、同様に、信号機の画像106a及び郵便局107の画像107aもそれぞれ歪み無く鮮明に表示される。また、本実施の形態では、メカニカルシャッタを用いないため、メカニカルシャッタを用いた場合の複雑な制御が不要であり、装置全体が大型化することもなく、更に消費電力も低減できる。特に消費電力については、100万画素ビデオカメラの事例で、CCD式が831mWに対して、本実施の形態のCMOSセンサが350mWであり、約3分の1に低減できる。
【0076】
また、この時、図1の表示画面132の画面枠下部133bには、図8(A)に示すように、自動車100が現在走行中のX地点からZ地点までの道路地図の上面図の画像が、自動車の現在位置を示す画像と共に、地図装置141からの地図情報に基づいて表示される。これにより、運転者は現在走行中のX地点とZ地点との位置関係を確認できる。これにより、運転者は、画面枠上部133aのZ地点における立体的な風景画像と、画面枠下部133bの位置関係情報とに基づいて、Z地点の状況を視覚で確認できる。従って、運転者は安心して運転し、余裕のある判断操作ができる。
【0077】
自動車100が更に走行して交差点104に接近し、予め設定した位置、例えば、交差点104の手前100mの地点(Y地点)に来た時に、運転者の操作により、又は自動的に図1の信号記録再生回路122により記録媒体に記録されているX地点でズーム撮影した交差点104の映像信号が再生されて、ディスプレイ130に供給され、画面枠上部133aに図8(B)に示すように、X地点で表示された画像と同じX地点でズーム撮影した交差点104の撮影画像が再表示される。
【0078】
また、これと同時に、画面枠下部133bには、図8(B)に示すように、地図装置141から供給された地図情報に基づいて、チェックポイントであるX地点からZ地点までの道路地図の上面図の画像と、自動車100の現在走行中のY地点を示す画像145とが表示される。Y地点の画像145は、例えば、地図上でフラッシュ“瞬間”表示が行われ、運転者に注意を促す。
【0079】
これにより、運転者は、指定地点(Z地点)に近いY地点において、画面枠上部133aに表示されている予め視覚認識したZ地点の立体的な風景画像を、実風景108と対比しながら、走行中の情報を即時に運転操作へ反映させてZ地点である交差点104へ自動車100を進入させることができると共に、画面枠下部133bに表示されている画像から現在走行中のY地点とZ地点の位置関係を把握することで、運転者は安心して交通規則を遵守した安全運転ができ、余裕のある判断操作ができる。また、経路選択の誤りや道路標識の見落とし、不測の事態の遭遇などを防止できる。
【0080】
なお、本実施の形態のカメラ110で用いられるグローバル型CMOSセンサ112は、図3〜図5と共に説明したように、蓄積容量が大きなリング状ゲートMOSFETのソース近傍p型領域47に、光電変換によりp-型領域49に蓄積されている電荷を一括転送することができる。従って、従来のローリング型CMOSセンサに比べて広ダイナミックレンジを実現できるため、例えば、夜間、悪天候、明暗差の大きいトンネル前後の地点においても、従来に比べて交通標識をより鮮明に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明の車載カメラ装置を用いた運転支援装置の一実施の形態のブロック図である。
【図2】図1中の表示処理部の一実施の形態のブロック図である。
【図3】本発明で用いるグローバルシャッタ型CMOSエリアセンサの1画素分の平面図とそのX−X’線に伴う断面図である。
【図4】本発明で用いるグローバルシャッタ型CMOSエリアセンサの全体構成を示す等価回路図である。
【図5】図4の等価回路の動作を説明用タイミングチャートである。
【図6】本発明で用いるグローバルシャッタ型CMOSエリアセンサによる動きのある被写体画像とその撮影画像の一例を示す図である。
【図7】自動車に搭載した本発明の運転支援装置の説明図である。
【図8】本発明の運転支援装置のチェックポイントでの遠方撮影と表示画像と、指定地点手前の位置での撮影画像の再表示と実風景の対比を示す説明図である。
【図9】従来の車載カメラ装置の一例の構成図である。
【図10】従来の運転支援装置の一例の構成図である。
【図11】ローリングシャッタ型CMOSセンサの一例の等価回路図である。
【図12】図11の動作説明用タイミングチャートである。
【図13】ローリングシャッタ型CMOSセンサによる読み出し方法と動きのある被写体画像とその撮影画像の一例を示す図である。
【図14】被写体風景とローリングシャッタ型CMOSセンサによる撮影画像の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0082】
43 nウェル
45 リング状ゲート電極
46 n型ソース領域
47 ソース近傍p型領域
48 n型ドレイン領域
49 埋め込みp型領域
50、64 フォトダイオード
51 転送ゲート電極
52、66 ドレイン電極配線
53、69 リング状ゲート電極配線
54、74 ソース電極配線(出力線)
55、71 転送ゲート電極配線
61 画素敷き詰め領域
62 画素
63 リング状ゲートMOSFET
65 転送ゲートMOSFET
100 本発明の運転支援装置を搭載した自動車
110 カメラ
111 レンズ
112 グローバルシャッタ型CMOSエリアセンサ
120 レコーダ
121 信号処理回路
122 信号記録再生回路
130 ディスプレイ
131 表示処理部
132 表示画面
133a 画面枠上部
133b 画面枠下部
140 マップナビ
141 地図装置
1311 入力処理部
1312 メモリ
1313 バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車に搭載されており、該自動車の車外の被写体を固体撮像素子により撮像し、該固体撮像素子から出力された映像信号を用いて運転支援を行う車載カメラ装置を用いた運転支援装置であって、
前記被写体の光学像を複数の全画素の光電変換領域に同時に露光して光電変換して得た電荷を全画素に蓄積した後、露光期間に蓄積した前記電荷を各画素から前記映像信号として順次出力する、前記固体撮像素子としてのグローバルシャッタ型CMOSセンサを備え、前記自動車の走行中に予め指定した指定地点を撮影する車載カメラ装置と、
前記グローバルシャッタ型CMOSセンサから出力された映像信号に対して、所定の信号処理を行って映像信号を出力する共に、前記信号処理を行った映像信号を記録媒体に記録し再生する記録再生手段と、
少なくとも前記自動車が現在走行している走行地点と、前記指定地点との間の道路地図情報を前記走行地点及び指定地点の各画像情報と共に生成する地図情報生成手段と、
前記指定地点に到る手前の近傍の位置で、前記記録再生手段からの前記映像信号の画像を第1の領域に表示すると共に、前記地図情報生成手段で生成された道路地図情報及び前記走行地点及び指定地点の各画像情報を第2の領域に表示する表示手段と
を有し、前記表示手段の前記第1及び第2の領域に表示する画像により運転支援を行うことを特徴とする車載カメラ装置を用いた運転支援装置。
【請求項2】
前記グローバルシャッタ型CMOSセンサは、
基板上のリング状ゲート電極と、前記リング状ゲート電極の中央開口部に対応する前記基板の位置に設けられたソース領域と、前記ソース領域を取り囲み、かつ、前記リング状ゲート電極の外周に達しないように前記基板に設けられたソース近傍領域とからなる信号出力用トランジスタと、
光を電荷に変換して蓄積する光電変換領域と、
前記光電変換領域に蓄積された前記電荷を前記ソース近傍領域へ転送する電荷転送手段とを含む画素が複数配列された構造であり、
各画素内の前記電荷転送手段は、前記光電変換領域に蓄積された前記電荷を、同じ画素内の対応する前記ソース近傍領域へ全画素一斉に転送し、前記信号出力用トランジスタは、入力された電荷の量をしきい値の変化として出力することを特徴とする請求項1記載の車載カメラ装置を用いた運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−155428(P2007−155428A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348961(P2005−348961)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】