説明

車載用ナビゲーション装置,ナビゲーションシステム,およびセンタ

【課題】ユーザのニーズに基づき、きめ細かいSA,PA,IC情報を提供する車載用ナビゲーション装置,ナビゲーションシステム,およびセンタを提供する。
【解決手段】地図データを記憶する地図データ記憶手段と、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、前記現在位置に基づいて前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、前記進行方向の前方に存在するサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジの少なくとも一つを前記地図データから抽出する抽出手段と、前記抽出されたサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジについての地域情報を検索する情報検索手段と、を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置、あるいはその車載用ナビゲーション装置およびセンタを含むナビゲーションシステムとして提供可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置,ナビゲーションシステム,およびセンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の走行に伴ってGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)等により現在位置を検出し、その現在位置を表示装置上に道路地図と共に表示して、出発地から目的地までの適切な経路を設定し、表示装置や音声出力装置などによって案内する車載用ナビゲーション装置は、ユーザの効率的で安全な運転に貢献している。
【0003】
また、経路案内の他に気象情報や道路情報を取得して表示する機能を備える車載用ナビゲーション装置も考案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−134352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の例では、サービスエリア(SA)およびパーキングエリア(PA)に特化してガソリン等の給油ができる、食事ができる等の情報を表示しているが、季節,月,時間等のタイミング条件を加味して、ユーザのニーズに合った情報を提供しているとはいえない。
【0006】
また、インターチェンジ(IC)周辺の観光地情報,イベント情報等も提供されていない。これは、目的地へ至る途中の観光地,イベントを訪れたいユーザにとっては不便である。
【0007】
上記問題を背景として、本発明の課題は、ユーザのニーズに基づき、きめ細かいSA,PA,およびIC情報を提供する車載用ナビゲーション装置,ナビゲーションシステム,およびセンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
上記課題を解決するための車載用ナビゲーション装置は、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、現在位置に基づいて車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、進行方向の前方に存在するサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジの少なくとも一つを地図データから抽出する抽出手段と、抽出されたサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジについての地域情報を検索する情報検索手段と、を備えることを特徴とする構成をとる。
【0009】
上記構成によって、SA,PAに特化されていた地点情報をSA,PAの周辺を含む地域情報に拡大し、さらにIC周辺含む地域情報も合わせることにより、より幅広いユーザのニーズに対応することが可能となる。また、高速・有料道路を走行中に、SA、PAの休憩場所あるいは目的地途中のICで一旦降りて名物料理を食べる、買い物を楽しむ、観光地を訪れることも可能となり、単に目的地へ行って楽しむだけではなく、その移動途中でも楽しむことができる。
【0010】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、地域情報を記憶する地域情報記憶手段を備えるように構成することもできる。
【0011】
上記構成によって、地域情報を検索するたびに例えば外部機器から地域情報を取得する必要がなく、検索に要する時間を短縮できる。
【0012】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、地域情報を取得する情報取得手段を備えるように構成することもできる。
【0013】
上記構成によって、例えば、外部機器から車両の走行方向の前方の最新の地域情報を取得することができる。また、外部機器から必要な地域情報を取得する構成とすれば、ユーザが地域情報を最新の情報に保つ手間を省くことができるとともに、地域情報を記憶するための記憶媒体も不要となって車載用ナビゲーション装置の製造コストを低減することができる。
【0014】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置におけるイベント情報にはイベント開催日時等の日時情報を含むように構成することもできる。
【0015】
上記構成によって、「○○では××というイベントが開催される」という漠然とした情報ではなく、「○○では□月△日に××というイベントが開催される」という具体的な情報を入手することが可能となり、地域情報の検索結果にしたがって「行っては見たものの何も行なわれていなかった」という無駄足を踏むことはなくなる。
【0016】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、ユーザの嗜好を取得する嗜好取得手段を備え、情報検索手段は取得された嗜好を条件として検索を行なうように構成することもできる。
【0017】
上記構成によって、ユーザの嗜好に合わせて検索することができ、ユーザにとってより有用な地域情報を提供することが可能となる。
【0018】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、ユーザの嗜好を記憶する嗜好記憶手段を備えるように構成することもできる。
【0019】
上記構成によって、地域情報を検索するたびにユーザの嗜好を設定する手間も省け、複数のユーザの嗜好も記憶できるので、1台の車両(ナビゲーション装置)を家族で共用する場合や複数のユーザが交代で運転する場合に、地域情報の検索を行なう時間を短縮することが可能となる。これにより運転以外の操作負荷が低減され、より運転に集中できる。
【0020】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、日時情報を取得する日時情報取得手段を備え、情報検索手段はイベント情報のうち取得された日時に実施されているもののみを検索するように構成することもできる。
【0021】
上記構成によって、当日に行なわれていないイベント情報を検索することがないので、「行っては見たものの何も行なわれていなかった」という無駄足を踏むことはなくなる。
【0022】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、抽出されたサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジとともに、当該サービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジに関する地域情報の有無を表示する表示手段を備えるように構成することもできる。
【0023】
抽出されたSA,PA,ICについて検索された全ての地域情報を同時に表示すると、地図が見えなくなったり文字が小さくなったりして却って見づらくなる。上記構成によって、必要かつ最低限の情報を表示でき、ユーザも少なくとも地域情報の有無を把握することが可能となる。
【0024】
また、本発明の車載用ナビゲーション装置は、表示されたサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジから所望のものを選択する選択手段を備え、表示手段は選択された所望のものの地域情報を表示するように構成することもできる。
【0025】
上記構成によって、ユーザはまず地域情報の有無を把握でき、次に立ち寄りたいSA,PA,ICを選択することで所望の地点の地域情報を見ることが可能となり、限られた表示画面を有効利用することができる。
【0026】
また、上記課題を解決するためのナビゲーションシステムは、車載用ナビゲーション装置とデータ送受信可能にネットワーク接続されたセンタとを含むナビゲーションシステムであって、車載用ナビゲーション装置は、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、現在位置に基づいて車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、センタからサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジから所定の範囲内に含まれる施設情報およびイベント情報を含む地域情報を取得する情報取得手段と、進行方向の前方に存在するサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジの少なくとも一つを地図データから抽出する抽出手段と、抽出されたサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジに対応する地域情報を検索する情報検索手段と、を備え、センタは、地域情報を記憶する地域情報記憶手段と、車載用ナビゲーション装置に地域情報を送信する情報送信手段と、を備えることを特徴とする構成をとる。
【0027】
上記構成によって、日々変更される地域情報の保守管理は設備を比較的容易に拡張可能なセンタで行ない、小型化・低コスト化が要請され機能拡張が比較的難しい車載用ナビゲーション装置では地域情報の取得および検索のみを行なうというように、センタと車載用ナビゲーション装置の特性に応じて最適な形態で機能を分担することが可能となる。また、車載用ナビゲーション装置では常に最新の地域情報を取得することが可能となる。
【0028】
また、上記課題を解決するためのセンタは、サービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジから所定の範囲内に含まれる施設情報およびイベント情報を含む地域情報を記憶する地域情報記憶手段と、地域情報を送信する情報送信手段と、を備えることを特徴とする構成をとる。
【0029】
上記構成によって、日々変更される地域情報の保守管理は設備を比較的容易に拡張可能なセンタで行なうことで、常に最新の地域情報を保持するとともに外部へ送信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
ユーザのニーズに基づき、きめ細かいSA,PA,IC情報を提供する車載用ナビゲーション装置,ナビゲーションシステム,およびセンタを提供するという目的を、SA,PAの施設情報・イベント情報だけではなく、ICの周辺の施設情報・イベント情報をも含め、さらに季節,月,時間等を条件に含めてSA,PA,ICの施設情報・イベント情報を検索する構成により実現した。
【実施例1】
【0031】
以下、本発明の第1の実施の形態を、車載用ナビゲーション装置(以下、ナビゲーション装置と略称)を例に挙げて、図面を参照しながら説明する。図1はナビゲーション装置100の構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置100は、位置検出器1,地図データ入力器6,操作スイッチ群7,リモートコントロール(以下リモコンと称する)センサ11,音声案内などを行なう音声合成回路24およびスピーカ15,不揮発メモリ9,表示器10,送受信機13,ハードディスク装置(HDD)21,LAN(Local Area Network) I/F(インターフェース)26,これらの接続された制御回路8,リモコン端末12等を備えている。
【0032】
位置検出器1は、周知の地磁気センサ2,車両の回転角速度を検出するジャイロスコープ3,車両の走行距離を検出する距離センサ4,および衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS受信機5を有している。これらのセンサ等2,3,4,5は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては前述したうちの一部のセンサで構成してもよく、さらに、ステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ例えば車速センサ23等を用いてもよい。なお、位置検出器1が本発明の位置検出手段に相当する。
【0033】
操作スイッチ群7は、例えば表示器10と一体になったタッチパネル22もしくはメカニカルなスイッチが用いられる。タッチパネル22は、表示器10の画面上にガラス基盤と透明なフィルムにスペーサと呼ばれる隙間を介してX軸方向、Y軸方向に電気回路が配線され、フィルム上をユーザがタッチすると、押された部分の配線がショートして電圧値が変わるため、これを2次元座標値(X,Y)として検出する、いわゆる抵抗膜方式が広く用いられる。その他に、いわゆる静電容量方式を用いてもよい。メカニカルスイッチの他に、マウスやカーソル等のポインティングデバイスを用いてもよい。
【0034】
また、マイク31および音声認識ユニット30を用いて種々の指示を入力することも可能である。これは、マイク31から入力された音声信号を、音声認識ユニット30において周知の隠れマルコフモデル等の音声認識技術により処理を行ない、その結果に応じた操作コマンドに変換するものである。これら操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル,マイク31によって、種々の指示を入力することが可能である。なお、操作スイッチ群7,リモコン端末12,タッチパネル,マイク31が本発明の選択手段に相当する。
【0035】
送受信機13は、例えば道路に沿って設けられた送信機(図示せず)から出力される光ビーコン、または電波ビーコンによってVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)センタ14から道路交通情報を受信、あるいはFM多重放送を受信するための装置である。
【0036】
また、ETC(Electronic Toll Collection:自動料金収受システム)車載器16と通信することにより、ETC車載器16がETC路上器(図示せず)から受信した料金情報などをナビゲーション装置100に取り込むことができる。また、ETC車載器16によって外部ネットワークと接続し、VICSセンタ14等との通信を行なう構成をとってもよい。
【0037】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、周知のCPU81,ROM82,RAM83,入出力回路であるI/O84,A/D変換部86,描画部87,時計IC88およびこれらの構成を接続するバスライン85が備えられている。CPU81は、HDD21に記憶されたナビプログラム21pおよびデータにより制御を行なう。また、HDD21へのデータの読み書きの制御はCPU81によって行なわれる。また、ROM82に、HDD21が故障した場合にナビゲーション機能のうちで必要最低限の動作を行なうためのプログラムを記憶しておいてもよい。なお、制御回路8が本発明の進行方向検出手段,情報取得手段,情報検索手段,嗜好取得手段,日時情報取得手段に相当する。
【0038】
A/D変換部86は周知のA/D(アナログ/デジタル)変換回路を含み、例えば位置検出器1などから制御回路8に入力されるアナログデータをCPU81で演算可能なデジタルデータに変換するものである。
【0039】
描画部87は、HDD21等に記憶された表示用のデータや表示色のデータから表示器10に表示させるための表示画面データを生成する。
【0040】
時計IC88はリアルタイムクロックICとも呼ばれ、CPU81からの要求に応じて時計・カレンダーのデータを送出あるいは設定するものである。CPU81は時計IC88から日時情報を取得する。また、GPS受信機5で受信したGPS信号に含まれる日時情報を用いてもよい。また、CPU81に含まれるリアルタイムカウンタを基にして日時情報を生成してもよい。
【0041】
HDD21には、ナビプログラム21pの他に位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、道路の接続を表した道路データを含む地図データ21mが記憶される。地図データ21mは、表示用となる所定の地図画像情報を記憶するとともに、リンク情報やノード情報等を含む道路網情報を記憶する。リンク情報は、各道路を構成する所定の区間情報であって、位置座標、距離、所要時間、道幅、車線数、制限速度等から構成される。また、ノード情報は、交差点(分岐路)等を規定する情報であって、位置座標、右左折車線数、接続先道路リンク等から構成される。また、リンク間接続情報には、通行の可不可を示すデータなどが設定されている。
【0042】
また、HDD21には経路案内の補助情報や娯楽情報、その他にユーザが独自にデータを書き込むことができ、ユーザデータ21uとして記憶される。これらのユーザデータ21uは、操作スイッチ群7,タッチパネル22およびリモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって内容の書き換えが可能である。また、ナビゲーション装置100の動作に必要なデータや各種情報をデータベース21dとして記憶してもよい。
【0043】
また、データベース21dには地域情報(詳細は後述)が記憶されている。なお、HDD21が本発明の地図データ記憶手段,地域情報記憶手段,嗜好記憶手段に相当する。
【0044】
また、ナビプログラム21p,地図データ21m,ユーザデータ21u,およびデータベース221dは、地図データ入力器6を介して記憶媒体20からそのデータの追加・更新を行なうことが可能である。記憶媒体20は、そのデータ量からCD−ROMやDVDを用いるのが一般的であるが、例えばメモリカード等の他の媒体を用いてもよい。また、外部ネットワークを介してデータをダウンロードする構成を用いてもよい。
【0045】
不揮発メモリ9はEEPROM(Electrically Erasable & Programmable Read Only Memory:電気的消去・プログラム可能・読出し専用メモリ)やフラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリによって構成され、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータが記憶されている。なお、不揮発メモリ9は、車両のアクセサリスイッチがオフ状態すなわち、ナビゲーション装置100がオフ状態になっても、記憶内容が保持されるようになっている。また、不揮発メモリ9の代わりにナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータをHDD21に記憶してもよい。さらに、ナビゲーション装置100の動作に必要な情報およびデータを不揮発メモリ9とHDD21に分けて記憶してもよい。
【0046】
表示器10は周知のカラー液晶表示器で構成され、ドット・マトリックスLCD(Liquid Crystal Display)およびLCD表示制御を行なうための図示しないドライバ回路を含んで構成されている。ドライバ回路は、例えば、画素毎にトランジスタを付けて目的の画素を確実に点灯させたり消したりすることができるアクティブマトリックス駆動方式が用いられ、制御回路8から送られる表示指令および表示画面データに基づいて表示を行なう。また、表示器10として有機EL(ElectroLuminescence:電界発光)表示器,プラズマ表示器を用いてもよい。なお、表示器10が本発明の表示手段に相当する。
【0047】
スピーカ15は周知の音声合成回路24に接続され、ナビプログラム21pの指令によって不揮発メモリ9あるいはHDD21に記憶されるデジタル音声データが音声合成回路24においてアナログ音声に変換されたものが送出される。なお、音声合成の方法には、音声波形をそのままあるいは符号化して蓄積しておき、必要に応じて繋ぎあわせる録音編集方式などがある。
【0048】
車速センサ23は周知のロータリエンコーダ等の回転検出部を含み、例えば車輪取り付け部付近に設置されて車輪の回転を検出してパルス信号として制御回路8に送るものである。制御回路8では、その車輪の回転数を車両の速度に換算して、車両の現在位置から所定の場所までの予想到達時間を算出したり、車両の走行区間毎の平均車速を算出する。
【0049】
通信ユニット25は、センタ105(後述:実施例2)とのデータの送受信を行なうための送信部,受信部およびアンテナを含んで構成される。送信部,受信部およびアンテナの構成は周知のものであるため詳細な説明は割愛する。なお、通信ユニット25が本発明の情報取得手段に相当する。
【0050】
LAN I/F26は車内LAN27を介して他の車載機器やセンサとのデータの遣り取りを行なうためのインターフェース回路である。また、LAN I/F26を介して車速センサ23からのデータ取り込み、あるいはETC車載器16との接続を行なってもよい。
【0051】
このような構成を持つことにより、ナビゲーション装置100は、制御回路8のCPU81によりナビプログラム21pが起動されると、ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示されるメニューから目的地経路を表示器10に表示させるための経路案内処理を選択した場合、次のような処理を実施する。
【0052】
すなわち、ユーザが地図上の任意の地点あるいは施設検索や住所検索、ユーザが設定した登録地などから地点を選択して目的地として設定すると、位置検出器1により車両の現在位置が求められ、該現在位置を出発地として目的地までの最適な案内経路を求める処理が行われる。そして、表示器10上の道路地図に案内経路を重ねて表示し、ユーザに適切な経路を案内する。このような自動的に最適な案内経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。また、表示器10およびスピーカ15の少なくとも一方によって、操作時のガイダンスや動作状態に応じたメッセージの報知を行なう。
【0053】
図2から図6を用いて、本発明における地域情報検索処理について説明する。なお、本処理はナビプログラム21pに含まれ、ナビプログラム21pの他の処理とともに繰り返し実行される。まず、位置検出器1により車両の現在位置を検出する(S1)。検出された現在位置と地図データ21mとから、車両が高速道路あるいは有料道路を走行中かを調べ、高速道路あるいは有料道路を走行中の場合(S2:Yes)は、地域情報表示モードであるかを調べ、地域情報表示モードでない場合(S3:No)は、本処理を終了し通常のナビゲーション装置の処理を行なう。
【0054】
一方、地域情報表示モードである場合(S3:Yes)は、車両の現在位置の推移等から車両の進行方向を検出する(S4)。そして、地図データ21mから車両の進行方向の前方の例えば50km以内のような所定の範囲内にあるサービスエリア(SA),パーキングエリア(PA),およびインターチェンジ(IC)を抽出する(S5)。
【0055】
次に、データベース21dに記憶された地域情報を参照して、抽出されたSA,PA,およびICについての地域情報を検索する(S6)。この際、時計IC88から日時情報を取得して、イベント情報等で開催期間(季節,月,時間等)が含まれているものについては、取得された日時情報がその開催期間に含まれているものを対象にして検索を行なう。また、IC周辺の地域情報を検索する場合は、抽出されたICから例えば5kmの範囲内、あるいは例えば平均時速40km/hで15分程度で到達可能な範囲内の名所・観光地を検索する。そして、検索された結果について地域情報の有無のみを表示器10に表示する(S7)。
【0056】
例えば、図3のように車両の現在位置71周辺の地図を表示する通常表示モードにおいて、表示画面上のタッチパネル22に表示される「地域情報」ボタンを押下すると地域情報表示モードに移行し、図4のように抽出されたSA,PA,およびICについて地域情報の有無が表示される。
【0057】
図4の表示画面例では、車両が走行している高速道路72において抽出されたSA(海老名),PA(港北),およびIC(厚木)について、地図データ21mと車両の現在位置71とから求められる車両の現在位置71からの距離,車両の現在位置71からの距離と車速センサ23により検出される車速とから推定演算される各地点までの到達予想時間,各施設の内容,送受信機13により受信したVICSセンタ14からの交通情報データに含まれるSAおよびPAの駐車スペースの混雑度,および地域情報が表示される。例えば、海老名SA(74)では、車両の現在位置71からの距離が24km,車両の現在位置71からの到達予想時間が20分,SAにはガソリンスタンドとレストランと休憩所があり,駐車スペースには十分な空きがあり(74c),地域情報がある旨の文字「I」やアイコン(74b)の表示が行なわれている。また、港北PAのように地域情報がない場合には74bのようなアイコンは表示されない。
【0058】
このように、地域情報の有無のみを表示することで、PA,SA,ICまでの距離や到達予想時間の表示が見えなくなるということはない。
【0059】
例えば、地域情報の詳細を見るために、図4の表示画面上の海老名SA(74)に対応する検索結果表示部74aを押下すると(S8:Yes)、地域情報がある場合(S9:Yes)には、図5のように地域情報の詳細が表示される(S10)。
【0060】
図6に地域情報の記憶内容の一例を示す。図6の例では、SA,PA,およびICの名称、種別(SA,PA,IC)、イベントに関する情報、周辺の観光地に関する情報、その地点あるいは周辺の名物に関する情報が記憶されている。
【0061】
なお、地域情報表示モードを実施するかどうかはユーザにより設定可能である。ユーザが操作スイッチ群7,タッチパネル22、リモコン端末12の操作あるいはマイク31からの音声入力によって、表示器10上に表示される図示しない選択メニュー画面から図7のような設定メニュー画面を選択して表示させ、地域情報表示モードの実施を有効としたい場合は「有効」ボタン,「決定」ボタンの順に押下する。地域情報表示モードの実施を有効と設定された場合には、図3のように通常の地図表示を行なっている場合に「地域情報」ボタンが表示される。
【0062】
また、SA,PA,およびICの抽出や地域情報の検索は、例えば「地域情報」ボタンが押下されたようなユーザの操作があった場合の他に、地域情報モードにある場合には所定の周期毎あるいは所定の走行距離毎に実行してもよい。
【0063】
また、地域情報を検索する際に、ユーザの嗜好を検索条件に含む構成としてもよい。図8のように、データベース21dにはユーザの嗜好がユーザ毎にジャンル(観光地,食事等)別に記憶されている。ユーザの嗜好は、図7の設定メニューにおいて「ユーザの嗜好」ボタンを押下すると、図9のユーザの嗜好設定画面が表示され、「ユーザA」ボタン,「変更」ボタンの順に押下すると、図10のように各項目についての設定入力画面が表示されるので、表示に従って入力を行なう。
【0064】
また、新たにユーザを追加する場合には、図9の表示画面上で「新規」ボタンを押下して、図示しない画面表示のガイダンスメッセージに従ってユーザ名、当該ユーザの嗜好を入力する。
【実施例2】
【0065】
図11から図13を用いて、本発明の第2の実施の形態であるナビゲーションシステムについて説明する。図11のように、ナビゲーションシステムは、ナビゲーション装置100が搭載される車両101,ナビゲーション装置100との間でデータの中継を行なう中継局102,および中継局102とインターネット103あるいは公衆回線104を介して接続されるセンタ105を含んで構成される。また、ナビゲーション装置100とセンタ105との間で直接データを送受信する構成でもよい。なお、ナビゲーション装置100の構成は本発明の第1の実施の形態と同様であるため、ここでの詳細な説明は割愛する。
【0066】
センタ105には、図12のようなサーバ106が設置されている。サーバ106は、CPU51,ROM52,RAM53および入出力インターフェースであるI/O54を有し、これらがバスライン55により送受信可能に接続されたコンピュータ本体50を備え、これに周辺機器として、キーボード56あるいはマウス57等の入力装置,CD−ROMドライブ58あるいはFDD59等の記録媒体読取装置,HDD(ハードディスクドライブ)60,モニタ制御部61を介して接続されるモニタ62,プリンタ63,およびインターネット103や公衆回線104等の外部ネットワークにつながる送受信装置66との通信を行なうネットワーク制御部64等が接続されたコンピュータシステムとして全体が構築されている。なお、送受信装置66が本発明の情報送信手段に相当する。
【0067】
HDD60には、オペレーティングシステムプログラム(以下、OSという)60a及びサーバプログラム60bが格納されている。サーバプログラム60bは、サーバ106としての機能を実現するため、OS60a上でRAM53に確保されるサーバワークメモリ53bを作業領域とする形で作動するものである。これは、例えばCD−ROM65等にコンピュータで読み取り可能な状態で記憶され、HDD60上の所定の記憶領域にインストールされるものである。外部ネットワークからサーバプログラム60bあるいはデータをダウンロードする構成を用いてもよい。また、RAM53には、OS60aのワークメモリ53aも形成される。
【0068】
また、HDD60には、データベース60cが構築されている。データベース60cには、図6のような地域情報が記憶されている。つまり、本実施の形態では、ナビゲーション装置100では地域情報をデータベースとして保持せず、HDD60が本発明の地域情報記憶手段に相当する。
【0069】
図13を用いて、本実施の形態におけるナビゲーション装置100の地域情報の取得の流れについて説明する。なお、本処理はナビゲーション装置100では図2のフロー図の中で、例えばステップS3とS4との間、あるいはステップS5とS6との間で実行される。ナビゲーション装置100において、地域情報の取得要求が発生した場合(S21:Yes)に、センタ105のサーバ106に対して地域情報のデータ送信要求を通信ユニット25を介して送信する(S22)。地域情報の取得要求が発生する条件は、以下のうちのいずれか一つ以上を用いる。
(1)「地域情報」ボタンが押下される等、ユーザの操作により地域情報のデータ送信を要求された場合。
(2)例えば図4のような地域情報表示モードにあり車両101が所定の距離を走行した場合。
(3)例えば図4のような地域情報表示モードにあり車両101が所定の時間走行した場合。
【0070】
データ送信要求で送信される内容には、車両101の現在位置データの他に、不揮発メモリ9あるいはデータベース21dに予め記憶されるユーザID,パスワード,およびナビゲーション装置100に対し一意に付与される機器IDが含まれる。なお、ステップS21,S22の処理はナビプログラム21pにおいて実行される。
【0071】
サーバ106では送受信装置66を介して受信したユーザID,パスワード,および機器IDを、データベース60cに予め記憶されるユーザデータに含まれるユーザID,パスワード,および機器IDと照合し、双方の内容が一致した場合(S23:Yes)に、受信した車両101の現在位置から所定の範囲内の地域情報を作成する(S24)。こうすることによって、データ伝送量を低減してデータ通信時間を短縮し、ナビゲーション装置100での地域情報検索処理のボトルネックとならないようにすることができる。そして、作成された地域情報のデータをナビゲーション装置100に送受信装置66を介して送信する(S25)。なお、ステップS23〜S25の処理はサーバプログラム60bにおいて実行される。
【0072】
そして、ナビゲーション装置100は通信ユニット25を介して受信した地域情報のデータを不揮発メモリ9あるいはデータベース21dに記憶する(S26)。なお、ステップS26の処理はナビプログラム21pにおいて実行される。その後、図2のステップS4移行の処理を順次実行して地域情報を表示する。
【0073】
また、ナビゲーション装置100では、車両101の現在位置が地域情報のデータが含まれる地域から所定の距離以上離れた場合に、当該地域情報のデータを削除するようにしてもよい。こうすることによって、必要な地域情報のデータのみを保持し、不揮発メモリ9あるいはHDD21の記憶容量を節約することができる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図(実施例1)。
【図2】地域情報検索処理を説明するためのフロー図。
【図3】通常モード時の表示画面の一例を示す図。
【図4】地域情報検索時の表示画面の一例を示す図。
【図5】地域情報表示時の表示画面の一例を示す図。
【図6】地域情報の記憶内容の一例を示す図。
【図7】地域情報表示モード設定時の表示画面の一例を示す図。
【図8】ユーザの嗜好の記憶内容の一例を示す図。
【図9】ユーザの嗜好の設定画面の一例を示す図。
【図10】図9に続くユーザの嗜好の設定画面の一例を示す図。
【図11】ナビゲーションシステムの構成を示すブロック図(実施例2)。
【図12】サーバの構成を示すブロック図。
【図13】地域情報取得の流れを説明するためのフロー図。
【符号の説明】
【0076】
1 位置検出器(位置検出手段)
7 操作スイッチ群(選択手段)
8 制御回路(進行方向検出手段,情報取得手段,情報検索手段,嗜好取得手段,日時情報取得手段)
10 表示器(表示手段)
12 リモコン端末(選択手段)
21 ハードディスク装置(HDD)
21m 地図データ(地図データ記憶手段)
21d データベース(地域情報記憶手段,嗜好記憶手段)
22 タッチパネル(選択手段)
25 通信ユニット(情報取得手段)
31 マイク(選択手段)
60 ハードディスク装置(HDD)
60c データベース(地域情報記憶手段)
66 送受信装置(情報送信手段)
100 車載用ナビゲーション装置
105 センタ
106 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記現在位置に基づいて前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、
前記進行方向の前方に存在するサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジの少なくとも一つを前記地図データから抽出する抽出手段と、
前記抽出されたサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジから所定の範囲内に含まれる施設情報およびイベント情報を含む地域情報を検索する情報検索手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地域情報を記憶する地域情報記憶手段を備える請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記地域情報を取得する情報取得手段を備える請求項1または2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記イベント情報にはイベント開催日時等の日時情報を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
ユーザの嗜好を取得する嗜好取得手段を備え、前記情報検索手段は前記取得された嗜好を条件として検索を行なう請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
前記ユーザの嗜好を記憶する嗜好記憶手段を備える請求項5に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
日時情報を取得する日時情報取得手段を備え、
前記情報検索手段は前記イベント情報のうち前記取得された日時に実施されているもののみを検索する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記抽出されたサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジとともに、当該サービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジに関する前記地域情報の有無を表示する表示手段を備える請求項1ないし7のいずれか1項に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記表示されたサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジから所望のものを選択する選択手段を備え、
前記表示手段は前記選択された所望のものの地域情報を表示する請求項8に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項10】
車載用ナビゲーション装置とデータ送受信可能にネットワーク接続されたセンタとを含むナビゲーションシステムであって、
前記車載用ナビゲーション装置は、
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
車両の現在位置を検出する位置検出手段と、
前記現在位置に基づいて前記車両の進行方向を検出する進行方向検出手段と、
前記センタからサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジから所定の範囲内に含まれる施設情報およびイベント情報を含む地域情報を取得する情報取得手段と、
前記車両の進行方向の前方に存在するサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジの少なくとも一つを前記地図データから抽出する抽出手段と、
前記抽出されたサービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジに対応する前記地域情報を検索する情報検索手段と、
を備え、
前記センタは、
前記地域情報を記憶する地域情報記憶手段と、
前記車載用ナビゲーション装置に前記地域情報を送信する情報送信手段と、
を備えることを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項11】
サービスエリア,パーキングエリア,あるいはインターチェンジから所定の範囲内に含まれる施設情報およびイベント情報を含む地域情報を記憶する地域情報記憶手段と、
前記地域情報を送信する情報送信手段と、
を備えることを特徴とするセンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−171098(P2007−171098A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372151(P2005−372151)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】