説明

車載装置

【課題】 グループを構成する各車両が、煩雑な作業を必要とすることなく、かつ確実に目的地へ到達することを支援する車載装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の車載装置によれば、自車の燃料残量が、当初予定の目的地へ到達するには不十分な量であった場合に、グループ内の他車にヘルプ情報を送信する。ヘルプ情報を送信した結果として、他車による補助を受ける地点であるヘルプ地点の位置を含むレスキュー情報を該他車から受信し、そのヘルプ地点までの経路が設定されて、自車が案内される。よって、自車の燃料残量が当初予定の目的地に到達し得ない量であった場合でも、自車が他車の補助を受けることによって、確実に当初予定の目的地へ到達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グループを構成する各車両が、各車両の燃料残量に依存することなく、確実に目的地へ到達することを支援する車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の現在位置から目的地までの経路を設定し、その目的地までの経路案内を行う、カーナビゲーション装置と呼ばれる車載装置が知られている。近年では、このような経路案内機能を有する車載装置で実行可能な機能を拡大するための技術が種々提案されており、例えば、1のグループを構成する複数の車両が1の合流地点において合流するグループ走行をする際に、これらの車両に対する最適な合流地点を設定し、各車両をその合流地点へ案内する技術が提案されている。
【0003】
例えば、特開2000−88591号公報(特許文献1)には、自車及び他車の位置データを取得し、それらの自車及び他車の位置データに基づいて合流地点を算出し、その合流地点を自車の目的地データとして設定すると共に、他車の目的地データとして供給する車両用ナビゲーション装置(車載装置)が開示されている。
【0004】
また、特開2004−294068号公報(特許文献2)には、走行しながら他車の位置情報を取得し、その他車の位置情報と自車の位置情報とから、これらの車両の合流予定地点の設定と、その合流予定地点までの各車両の推奨経路の探索と、合流予定地点までの推奨走行速度の算出とを行い、これらの合流予定地点と推奨経路と推奨走行速度とを他車の通知する車両用情報通信装置(車載装置)が開示されている。
【特許文献1】特開2000−88591号公報
【特許文献2】特開2004−294068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に開示される車載装置によって設定される合流地点又は合流予定地点は、各車両の燃料残量や燃費などを考慮していないため、場合によっては、その合流地点に到達できない車両が存在するという問題点があった。
【0006】
特に、将来的なエネルギー資源枯渇問題(石油危機など)を回避するための対策の1つとして、車両の省エネルギー化が要求されており、その結果として車両の小型化が一層進む傾向にある。車両が小型化された場合、その車両の燃料タンクの容量も必然的に小さくなるために、特許文献1や特許文献2に開示される車載装置のように、単に自車と他車の位置情報に応じて合流地点を設定した場合には、車両が設定された合流地点へ到達できない懸念が高まることになる。
【0007】
ここで、燃料残量の不足が原因で合流予定地点に到達できない場合には、例えば、グループ走行中であれば、同じグループ内のメンバーに助けを求め、そのメンバーによる補助(燃料供給や牽引など)を受けるなどの方法を利用できる。この場合、携帯電話などの通信機器を用いて、補助を受けようとする車両の運転手から、助けを求める車両の運転手へ、車両の位置を伝える必要が生じるが、口頭による車両位置の伝達は煩雑であると共に、位置の誤認を生じ易いという問題点がある。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、グループを構成する各車両が、煩雑な作業を必要とすることなく、かつ確実に目的地へ到達することを支援する車載装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、請求項1記載の車載装置は、自車の位置を取得する自車位置取得手段と、目的地を入力する目的地入力手段と、前記自車位置取得手段により取得された自車の位置から、前記目的地入力手段により入力された目的地までの経路を設定する経路設定手段と、自車の燃料残量を検出する燃料残量検出手段と、前記燃料残量検出手段により検出された燃料残量と前記経路設定手段により設定された経路とにより、前記目的地入力手段により入力された目的地へ到達可能か否かを判断する到達判断手段と、その到達判断手段により、前記目的地へ到達することが不可能であると判断された場合に、前記自車の位置と前記燃料残量又はその燃料残量によって自車が走行可能な距離とを含むヘルプ情報を、他車へ送信するヘルプ情報送信手段とを備えている。
【0010】
請求項2記載の車載装置は、請求項1記載の車載装置において、前記ヘルプ情報を送信した他車から地点を受信する地点受信手段と、その地点受信手段により受信した地点を新たな目的地として設定する新目的地設定手段とを備えている。
【0011】
請求項3記載の車載装置は、請求項2記載の車載装置において、前記地点受信手段によって他車から地点を受信したか否かを判断する受信判断手段を備え、前記新目的地設定手段は、他車からの地点の受信が皆無であると前記受信判断手段によって判断された場合に、前記燃料残量検出手段により検出された自車の燃料残量によって到達可能な範囲内にある燃料供給所を新たな目的地として設定する。
【0012】
請求項4記載の車載装置は、請求項1から3のいずれかに記載の車載装置において、他車の位置を取得する他車位置取得手段と、その他車位置取得手段により取得された他車の位置と前記自車位置取得手段により取得された自車の位置との距離を算出する距離算出手段と、前記他車位置取得手段により取得された他車の位置が複数であった場合に、前記距離算出手段により算出された距離に基づいて、自車との距離が最も近い他車を選択する選択手段とを備え、前記ヘルプ情報送信手段は、前記選択手段により選択された他車へ、前記ヘルプ情報を送信する。
【0013】
請求項5記載の車載装置は、自車の位置を取得する自車位置取得手段と、自車の燃料残量を検出する燃料残量検出手段と、他車から送信された、前記他車の位置と他車の燃料残量又は他車が走行可能な距離とを含むヘルプ情報を受信するヘルプ情報受信手段と、前記自車位置取得手段によって取得した自車位置と前記燃料残量検出手段によって検出された燃料残量と前記ヘルプ情報受信手段によって受信したヘルプ情報とに基づいて、自車による前記他車の補助地点を算出する補助地点算出手段と、前記補助地点算出手段により算出された補助地点を、前記他車へ送信する補助地点送信手段とを備えている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の車載装置によれば、目的地入力手段に目的地が入力されると、まず、自車位置取得手段により取得された自車の位置から、目的地入力手段に入力された目的地までの経路が経路設定手段により設定される。
【0015】
そのように自車の現在位置から目的地までの経路が設定されると、その設定された経路と燃料残量検出手段により検出された自車の燃料残量とから、自車が該目的地へ到達できるか否かが、到達判断手段によって判断される。
【0016】
ここで、到達判断手段よる判断結果が、目的地入力手段に入力された目的地へ自車が到達することが不可能であることを示すものであった場合には、(1)自車位置取得手段により取得された自車の位置と(2)燃料残量検出手段により検出された燃料残量又はその燃料残量によって自車が走行可能な距離とを含むヘルプ情報が、ヘルプ情報送信手段によって他車へ送信(発信,出力)される。
【0017】
即ち、自車の燃料残量が、当初から予定されている目的地に到達し得ない量であった場合には、他車に対して(1)自車の位置と(2)自車の燃料残量又はその燃料残量によって自車が走行可能な距離とを含むヘルプ情報が送信される。
【0018】
よって、他車に対して(1)自車の位置と(2)自車の燃料残量又はその燃料残量によって自車が走行可能な距離とを含むヘルプ情報が送信されるので、そのヘルプ情報を受信した他車による補助(例えば、燃料補給や牽引など)を受けることが可能となり、その結果として、自車が現状において燃料不足によって到達が不可能であった当初予定の目的地への到達が可能となるという効果がある。
【0019】
また、燃料不足によって自車が当初予定の目的地へ到達し得ないと、到達判断手段よって判断された場合には、ヘルプ情報が自動発信されるので、補助を受けるために他車に対して煩雑な説明作業をすることなく、簡便に当初予定の目的地への到達を可能にできるという効果がある。
【0020】
請求項2記載の車載装置によれば、請求項1記載の車載装置の奏する効果に加えて、ヘルプ情報を送信した他車から発信された地点を地点受信手段によって受信すると、その受信した地点が、新目的地設定手段によって新たな目的地として設定される。よって、他車から、新目的地となる地点を受信することができるという効果がある。なお、請求項2において、地点受信手段により他車から受信する「地点」は、自車と地点の発信元の他車とが補助のために合流する地点だけでなく、自車が、地点の発信元の他車と直接合流することなく、該他車から無線を媒介とする燃料供給などの補助を受けることが可能な領域内の地点も含まれる。
【0021】
また、地点受信手段に受信される地点の発信元である他車は、ヘルプ情報の送信先であるので、そのヘルプ情報に基づいて自車の現状(位置及び燃料残量、又は、位置及び走行可能な距離)を把握しており、自車を補助するのに最適な地点を発信することができる。そのため、自車は補助を受けるのに最適な地点を新目的地として設定することが可能となり、その結果として、自車が当初予定の目的地へ到達し得るという効果がある。
【0022】
請求項3記載の車載装置によれば、請求項2記載の車載装置の奏する効果に加えて、地点受信手段によって他車から地点を受信したか否かを受信判断手段によって判断した場合に、他車からの地点の受信が皆無であると判断されると、燃料残量検出手段により検出された自車の燃料残量によって到達可能な範囲内にある燃料供給所が、前記新目的地設定手段によって新たな目的地として設定される。
【0023】
よって、他車から、新目的地とすべき地点が得られなかった場合には、自車が現状の燃料残量で到達可能な範囲に存在する燃料供給所が新たな目的地として設定されるので、自車の燃料残量が当初予定の目的地に到達し得ない量であったとしても、自車が確実に当初予定の目的地へ到達できるという効果がある。また、運転者自身が、現状の燃料残量において到達可能な範囲にある燃料供給所を探す煩雑な作業を必要とすることなく、簡便かつ確実に燃料供給所へ到達できるという効果がある。
【0024】
請求項4記載の車載装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の車載装置の奏する効果に加えて、他車の位置が他車位置取得手段により取得され、その取得された他車の位置と自車の位置との距離が距離算出手段により算出される。そして、他車位置取得手段により位置の取得された他車が複数であった場合には、距離算出手段により算出された距離に基づいて、複数の他車の中から、自車との距離が最も近い他車が、選択手段によって選択される。すると、その選択された他車、即ち、自車との距離が最も近い他車に対して、ヘルプ情報がヘルプ情報送信手段によって送信(発信,出力)される。
【0025】
よって、自車との距離が最も近い他車へ、ヘルプ情報が送信されることになるので、自車との距離が最も近い他車によおる補助を受けることが可能となるという効果がある。また、自車との距離が最も近い他車によおる補助を受けることが可能となることにより、ヘルプ情報の送信後、自車の補助が開始されるまでに経過する時間が可能な限り短くなるので、時間的な無駄を抑制できるという効果があり、その結果として、例えば、グループ走行であれば、円滑なグループ走行を実施できることになる。
【0026】
なお、請求項4において、「距離が最も近い」とは、「自車と他車との二点間距離(最短距離)が最も近い」ことであってもよいし、「地図データに基づく交通ルール(一方通行など)を考慮した走行経路上において最も近い」ことであってもよい。また、上記のような二点間距離や走行経路などの「位置的距離が最も近い」だけでなく、交通情報(渋滞情報など)を考慮した「時間的距離が最も近い」であってもよい。
【0027】
請求項5記載の車載装置によれば、ヘルプ情報受信手段に、他車から発信された情報であって、(1)他車の位置と(2)他車の燃料残量又は他車の走行可能距離とを含むヘルプ情報を受信した場合に、そのヘルプ情報と、自車位置取得手段によって取得した自車の位置と、燃料残量検出手段によって検出された燃料残量とに基づいて、自車による他車の補助地点が、補助地点算出手段によって算出される。そして、そのように算出された補助地点が、補助地点送信手段によって対応する他車へ送信される。
【0028】
よって、他車からヘルプ情報を受信した場合に、他車の現状(位置及び燃料残量、又は、位置及び走行可能な距離)と自車の現状(位置及び燃料残量)とに応じた最適な補助地点を求めることができるという効果がある。その結果、例えば、自車とヘルプ情報の発信元の他車とが同じ目的地を目指すグループ走行を行っている場合には、自車が、燃料残量の不足などが原因でヘルプ情報を発信した他車を補助することができ、それによって、円滑なグループ走行を行うことが可能となるという効果がある。
【0029】
なお、請求項5において、補助地点受信手段により他車から受信する「補助地点」は、自車と地点の発信元の他車とが補助のために合流する地点だけでなく、自車が、補助地点の発信元の他車と直接合流することなく、該他車から無線を媒介とする燃料供給などの補助を受けることが可能な領域内の地点も含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態におけるグループ走行支援システム1を説明する模式図である。
【0031】
図1に示すように、グループ走行支援システム1は、車間通信装置130(図2参照)を用いる無線P2P(Peer to Peer)通信により互いに通信可能であると共に、互いをIDによって認証可能な複数の車両C(本実施形態では、4台の車両C)から構成される1のグループ内において機能するシステムである。
【0032】
より具体的には、このグループ走行支援システム1では、1のグループを構成する複数の車両C(本実施形態では、4台の車両C)が、グループ内において指定された合流地点(以下、この合流地点を、必要に応じて「当初予定の合流地点」と称することがある)で合流するグループ走行を行う際に機能するシステムであり、燃料残量が当初予定の合流地点へ到達できない量であった車両Cが、同一グループ内の他車両Cの1台に対し、自車両Cの位置と自車両Cの燃料残量に基づいて算出される走行可能距離とを含むヘルプ情報を送信(発信、出力)する。
【0033】
なお、以下では、必要に応じて、ヘルプ情報を送信する側の車両Cを「ヘルプ要請車両Ch」と称し、ヘルプ要請車両Chに対する他車両Cを「レスキュー車両Cr」と称する。また、図1では、便宜上、3台のレスキュー車両Crのぞれぞれを、レスキュー車両Cr1〜Cr3としている。
【0034】
上記のようにヘルプ情報がヘルプ要請車両Chから送信されると、そのヘルプ情報を受信したレスキュー車両Cr(図1では、レスキュー車両Cr1)において、(1)自身の位置及び(2)自身の燃料残量と、ヘルプ情報に含まれる(3)ヘルプ要請車両Chの位置及び(4)ヘルプ要請車両Chの走行可能距離とに基づいて、レスキュー車両Cr1がヘルプ車両Chを補助することによって、ヘルプ要請車両Ch及びレスキュー車両Cr1の両方が当初予定の合流地点へ到達することができると判断されると、補助するのに適切な新たな合流地点(以下、この合流地点を、必要に応じて「ヘルプ地点」と称することがある)を設定し、そのヘルプ地点の位置を含むレスキュー情報をヘルプ要請車両Chへ送信する。
【0035】
そして、ヘルプ要請車両Chとレスキュー車両Cr1とが、設定されたヘルプ地点において合流し、レスキュー車両Cr1がヘルプ要請車両Chを補助(例えば、燃料の供給や牽引など)することによって、ヘルプ要請車両Ch及びレスキュー車両Cr1の両方を、それらの車両Ch,Crが属するグループにおける当初予定の合流地点へ到達させる。
【0036】
上記のグループ走行支援システム1は、グループ内の各車両Cに搭載されている、カーナビゲーション機能を有する車載装置100(図2参照)により制御される。なお、グループ走行支援システム1において、車載装置100(図2参照)による具体的な制御については、図3〜図5を参照して後述する。
【0037】
図1には、グループ走行支援システム1を利用する1のグループを構成する車両C(ヘルプ要請車両Ch及びレスキュー車両Cr(Cr1〜Cr3))として、一人乗り用の二輪自動車を示した。ここで、この一人乗り用の二輪自動車である車両Cの構成について説明する。なお、図1において、4台の各車両Cには、運転者Pがシート2bに着座した状態を示している。また、図1における矢印U−D,L−R,F−Bは、車体2の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
【0038】
まず、車両Cの概略構成について説明する。車両Cは、図1に示すように、運転者Pが乗車可能な車体2と、その車体2に設けられる左右の車輪4L,4R(なお、車輪4Rは、車体2の影となり図1に現れていない)と、それら左右の車輪4L,4Rに回転駆動力を付与するエンジン(非図示)と、そのエンジン(非図示)に供給する液体燃料(例えば、ガソリン)を貯留する燃料タンク(非図示)とを主に備えている。
【0039】
次いで、各部の詳細構成について説明する。車体2は、図1に示すように、筐体部2aとシート2bとを主に備える。筐体部2aは、車体2の骨格をなす部位であり、内部空間を有する略箱状体に構成されると共に、その内部空間内には、エンジンや燃料タンク(いずれも非図示)などが配設されている。
【0040】
筐体部2aの上面側には、図1に示すように、シート2bが配設されている。シート2bは、車両Cの走行中に運転者Pが着座するための部位であり、運転者Pの尻部を支持する座面部2b1と、運転者Pの背部を支持する背面部2b2とを主に備えて構成されている。
【0041】
シート2bの左右両側(矢印L側及び矢印R側)には、図1に示すように、運転者Pの上腕部を支持するための一対のアームレスト部2cが設けられている。また、アームレスト部2cの一方には、ジョイスティック装置6が取着されている。運転者Pは、ジョイスティック装置6を操作して、車両1の走行状態(例えば、進行方向、走行速度、旋回方向、或いは、旋回半径など)を指示する。
【0042】
他方のアームレスト部2cには、カーナビゲーション機能を有する後述する車載装置100(図2参照)のマンマシンインターフェイス部50が設けられている。このマンマシンインターフェイス部50は、運転者Pが車載装置100への各種動作指示を入力するためのタッチパネル式の操作スイッチ24(図2参照)、その操作スイッチ24の操作に基づく車載装置100による動作結果(経路案内など)を視覚的に表示するための表示器であるLCD26(図2参照)、操作スイッチ24の操作に基づく車載装置100による動作結果(音声案内など)を聴覚的に報知するためのスピーカ28(図2参照)などを備えて構成されている。
【0043】
筐体部2aの前面側には、図1に示すように、運転者Pの足部を支持するためのフットレスト部2dが配設され、走行中に運転者Pの足部が地面と接触することを回避している。また、筐体部2aの左右両側には、左右の車輪4L,4Rが回転可能に支持されている。
【0044】
このような一人乗り用の二輪自動車(車両C)は、小型であるが故に低燃費での走行が可能であるために、省エネルギー化対策として有効な車両となり得る。しかし、このような小型な車両は燃費が良い一方で、必然的に燃料タンクの容量が小さくなるために、燃料残量に応じて制御される上記のようなグループ走行支援システム1の利用が特に有効となる。なお、このグループ走行支援システム1を、従来より一般的に普及している自動車(四輪自動車やそれ以上の車輪を有する自動車)に対して適用した場合であっても、有効に機能することは当然である。
【0045】
次に、図2を参照して、図1に示したグループ走行支援システム100を利用可能な車両C(ヘルプ要請車両Ch及びレスキュー車両Cr(Cr1〜Cr4))の構成について説明する。図2は、本発明の第1実施形態における車載装置100を搭載する車両C(ヘルプ要請車両Ch,レスキュー車両Cr)の構成を示すブロック図である。
【0046】
図2に示すように、車両Cは、車両Cの現在位置や目的地までの経路案内などを表示可能なナビゲーション装置である車載装置100と、複数の車両Cの間における無線P2P通信を行うためのアンテナ130aを備える車間通信機130と、GPS(Global Positioning System)衛星(非図示)から位置情報(例えば、緯度情報及び経度情報)を受信するためのアンテナ140aを備えるGPS受信機140と、VICS(Vehicle Information and Communication System)センタなどの情報センタや渋滞情報などの蓄積されたデータベースなど(いずれも非図示)から、渋滞情報などの交通情報を受信するためのアンテナ150aを備える交通情報受信機150と、車両Cの燃料タンク(非図示)内にある燃料の残量を検出する燃料残量検出装置160と、ヘルプ情報の発信元のヘルプ要請車両Chを補助するための、燃料タンク(非図示)からの燃料の取り出しを制御する燃料供給制御装置170とを備えている。
【0047】
また、図2に示すように、車両位置表示装置100は、CPU10と、ROM12と、RAM14等を備えており、これらのCPU10とROM12とRAM14とがバスライン16によって互いに接続されている。また、このバスライン16には、入出力ポート20が接続されている。
【0048】
CPU10は、車両位置表示装置100全体を制御する中央演算処理装置であり、ROM12には、このCPU10により実行される各種の制御プログラムや、その実行の際に参照される固定値データが格納されている。なお、後述する図3〜図5に示すフローチャートを実行するプログラムは、このROM12に格納されている。また、RAM14は、CPU10で実行される制御プログラムに必要な各種レジスタ群などが設定されたワーキングエリアや、処理中のデータを一時的に格納するテンポラリエリア等を有しランダムにアクセスできる書き換え可能なメモリである。
【0049】
入出力ポート20には、バスライン16を介して接続されるCPU10,ROM12,RAM14の他に、ハードディスク18(以下、HDD18と称する)と、マンマシンインターフェイス部50(操作スイッチ24、LCD26、スピーカ28)と、地図データなどの種々の情報が記憶されたDVDから、情報を読み取るためのDVD装置22と、車間通信機130と接続するためのインターフェイス30(I/F30)と、交通情報受信装置150と接続するためのインターフェイス40(I/F49)と、燃料残量検出装置160と接続するためのインターフェイス42(I/F42)と、燃料供給制御装置170と接続するためのインターフェイス44(I/F44)と、GPS受信機140と接続するためのインターフェイス32(I/F32)を含む位置検出器38とを備えている。
【0050】
ここで、位置検出器38は、図2に示すように、I/F32の他に、車両Cの回転角速度を検出するジャイロスコープ34と、車両Cの移動速度を検出する車速センサ36とを備えており、I/F32を介してGPS受信機140から入力された位置情報と、ジャイロスコープ34により検出された回転角速度と、車速センサ36により検出された移動速度とに基づいて、CPU10において車両Cの現在位置が求められる。
【0051】
HDD18は、地図データメモリ18aと、交通情報メモリ18bと、燃費情報メモリ18cと、自車IDメモリ18dと、他車IDメモリ18eとを備えている。地図データメモリ18aは、DVD装置22によって、地図データの記録されたDVDから読み取られた地図データを記憶するものである。なお、地図データメモリ18aに記憶される地図データは、DVD装置22を用いて読み取ったものに限らず、外部(データベースや情報センタなど)から通信(例えば、インターネットを介する通信)によって取得したものであってもよい。
【0052】
交通情報メモリ18bは、交通情報受信機160により、VICSセンタなどの情報センタやデータベースから受信した渋滞情報(どの道路がいつ渋滞したかを示す情報)などの各種交通情報を記憶するものである。車載装置100は、所定の目的地に対する推奨経路を計算する際に、この交通情報メモリ18bに記載される交通情報が参照され、例えば、渋滞地点を回避するような経路が推奨経路として計算される。なお、交通情報メモリ18bに記憶される交通情報は、定期的に(例えば、30分毎に)又は運転者Pによる不定期に、交通情報受信機160を介して情報センタやデータベースなどへアクセス指示がされる毎に、非図示の処理が実行されて、アクセス先の情報センタやデータベースなどから交通情報受信機160を介して受信した最新の交通情報に書き換えられる。
【0053】
燃費情報メモリ18cは、自車両Cの燃費(単位燃料量あたりの走行距離)の標準的な値を記憶すると共に、他の複数車種の各々に対する標準的な燃費を記憶するものである。
【0054】
自車IDメモリ18d及び他車IDメモリ18eは、それぞれ、グループ走行支援システム1を利用する1のグループ内における自車両Cの認証用ID及び他車両Cの認証用IDを記憶するものである。なお、自車IDメモリ18d及び他車IDメモリ18eに記憶される各認証用IDは、それぞれ、P2P通信を行う上でのIPアドレスに対応付けられている。また、自車IDメモリ18d及び他車IDメモリ18eへの認証用IDの記憶は、操作スイッチ24の操作によってなされる。
【0055】
次に、図3〜図5を参照して、本実施形態におけるグループ走行支援システム1において、上記構成を有する車載装置100で実行される各処理について説明する。まず、図3を参照して、車両Cに搭載される車載装置100で実行される経路案内処理について説明する。図3は、経路案内処理を示すフローチャートである。
【0056】
この経路案内処理は、グループ内で指定された合流地点(当初予定の合流地点)への到達を可能とするように各車両Cを案内するための処理であり、車両Cを運転する運転者Pによる操作スイッチ24の操作により、当初予定の合流地点が目的地として入力されると起動する処理である。
【0057】
図3に示すように、経路案内処理は、まず、交通情報メモリ18bに記憶されている交通情報を取得し(S301)、取得した交通情報と地図データメモリ18aに記憶されている地図データとを参照して、推奨経路を計算する(S302)。推奨経路を計算する際に、交通情報メモリ18bに記憶されている交通情報を参照することにより、渋滞など交通事情の悪い経路を避けた条件の良い経路(例えば、到達までに消費される燃料量が少ない経路)を推奨経路として求めることができる。
【0058】
S302の処理後、燃料残量検出装置160によって燃料残量を検出し(S303)、車両Cが、現在の燃料残量で、当初予定の合流地点まで到達可能かを判断する(S304)。具体的には、S304では、S302で計算された推奨経路を走行して当初予定の合流地点へ到達するまでに必要な燃料残量と、S303で検出された燃料残量とを比較することによって、現在の燃料残量で当初予定の合流地点まで到達可能かを判断する。なお、S302で計算された推奨経路を走行して当初予定の合流地点へ到達するまでに必要な燃料量は、燃費情報メモリ18cに記憶される自車両Cの燃費を用いることによって算出することができる。
【0059】
S304の処理により判断した結果、車両Cが、現在の燃料残量で、当初予定の合流地点まで到達可能であれば(S304:Yes)、S302で計算された当初予定の合流地点までの推奨経路を設定し(S305)、設定された経路(推奨経路)の案内を開始し(S306)、この経路案内処理を終了する。S306の処理の結果として、LCD26への表示による視覚的な案内とスピーカ28からの音声による聴覚的な案内とが開始され、車両Cおよび車両Cを運転する運転者が目的地(この場合は当初予定の合流地点)まで案内される。
【0060】
一方で、S304の処理により判断した結果、車両Cが、現在の燃料残量で、当初予定の合流地点まで到達することが不可能であれば(S304:No)、図4を参照して後述するヘルプ処理を実行し(S307)、S306の処理へ移行する。なお、詳細は後述するが、ヘルプ処理(S307)では、当初予定の合流地点とは異なる地点までの経路を新たに設定するので、ヘルプ処理(S307)の後に実行されるS306では、ヘルプ処理(S307)で設定された新たな経路の案内が開始される。
【0061】
次に、図4を参照して、上記したヘルプ処理(S307)について説明する。図4は、ヘルプ処理(S307)を示すフローチャートである。図4に示すように、ヘルプ処理(S307)では、まず、S303で検出された燃料残量と、GPS受信機140から入力された位置情報に基づいて位置検出器38により得られた自車両Cの現在位置と、自車両Cにおいて入力された当初予定の合流地点の位置情報(緯度及び経度情報、又は地図データ上における座標)と、交通情報メモリ18bに記憶されている交通情報と、自車IDメモリ18dに含まれる自車両Cの認証用IDとを含むヘルプ情報を作成する(S401)。
【0062】
次いで、所定時間(例えば、10秒)待ち(S402)、後述するレスキュー処理(図5参照)により他車両C(レスキュー車両Cr)から定期的に送信されるレスキュー車両Crの車両情報が受信されたかを確認する(S403)。なお、S403の処理により受信されるレスキュー車両Crの車両情報には、レスキュー車両Crの位置と、認証用IDとが含まれている。
【0063】
S403の処理によって確認した結果、レスキュー車両Crの車両情報が受信されていれば(S403:Yes)、受信した車両情報に含まれる認証用IDが、他車IDメモリ18eに記憶されているかを確認する(S404)。即ち、S404では、受信した車両情報の発信元のレスキュー車両Crが、自車両C(ヘルプ要請車両Ch)と同じグループ内のレスキュー車両Crであるかが確認される。
【0064】
S404の処理により確認した結果、受信した車両情報に含まれる認証用IDが、他車IDメモリ18eに記憶されている認証用IDである車両情報については(S404:Yes)、その車両情報の発信元のレスキュー車両Crは、自車両Cと同じグループ内のレスキュー車両Crであるので、その車両情報を受信車両情報メモリ14aに記憶し(S405)、S406へ移行する。
【0065】
一方で、S404の処理により確認した結果、受信した車両情報に含まれる認証用IDが、他車IDメモリ18eに記憶されていない認証用IDである車両情報については(S404:No)、S405の処理をスキップして、S406へ移行する。
【0066】
S404,S405の結果として、ヘルプ要請車両Chである自車両Cと同じグループ内のレスキュー車両Crの車両情報が車両情報メモリに記憶され、この後の処理でヘルプ情報の送信先のレスキュー車両Crとして選択されることになる。従って、受信した車両情報に含まれる認証用IDの確認によって、受信した車両情報が自車両Cと同じグループ内の他車両C(レスキュー車両Cr)にのみヘルプ情報が送信されることになるのである。
【0067】
その結果として、同じグループ走行支援システム1を利用する異なるグループの見知らぬ他車両Cに対してヘルプ情報が送信されることを防止できるので、自車両C(ヘルプ要請車両Ch)の運転者がグループ走行支援システム1を安心して利用できることになる。また、同じグループ内の他車両C(レスキュー車両Cr)に対してヘルプ情報が送信されることにより、同じグループ内でヘルプ要請車両Chの補助作業が行われることになるので、その補助作業を円滑に進めることができ、その結果として、グループ走行を円滑に行うことができる。
【0068】
S406では、受信車両情報メモリ14aに記憶されている車両情報があるかを確認する。S406の処理により確認した結果、受信車両情報メモリ14aに車両情報が記憶されていれば(S406:Yes)、認証された他車両C(レスキュー車両Cr)と自車両C(ヘルプ要請車両Ch)との距離(二点間距離)を計算する(S407)。具体的には、認証され、受信車両情報メモリ14aに記憶された車両情報に含まれているレスキュー車両Crの位置と、GPS受信機140から入力された位置情報に基づいて位置検出器38により得られた自車両Cの現在位置との距離(二点間距離)を計算する。
【0069】
S407の処理後、認証された他車両C(レスキュー車両Cr)、即ち、受信車両情報メモリ14aに記憶されている車両情報の発信元のレスキュー車両Crのうち、自車両Cからの距離が最も近いレスキュー車両Crを、ヘルプ情報の送信先として選択する(S408)。
【0070】
S408の処理後、、選択されたレスキュー車両Crの認証用IDに対応付けられているIPアドレス宛へ、車両通信機130のアンテナ130aから、無線P2P通信によるヘルプ情報の送信を行い(S409)、ヘルプ情報の送信先とされたレスキュー車両Crの車両情報を、受信車両情報メモリ14aから削除する(S410)。
【0071】
S410の処理後、所定時間(例えば、5秒)待ち(S411)、ヘルプ情報の送信先のレスキュー車両から、情報(レスキュー情報又はレスキュー不可情報)を受信したかを確認する(S412)。
【0072】
S412の処理により確認した結果、ヘルプ情報の送信先のレスキュー車両から、情報(レスキュー情報又はレスキュー不可情報)が受信されていれば(S412:Yes)、受信した情報の種類が何であるかを確認する(S413)。
【0073】
S413の処理により確認した結果、受信した情報が、ヘルプ情報の送信先の他車両C(レスキュー車両Cr)が自車両C(ヘルプ要請車両Ch)を補助できることを示すレスキュー情報であれば(S413:レスキュー情報)、レスキュー情報に含まれるヘルプ地点(自車両C(ヘルプ要請車両Ch)を補助するのに適切な新たな合流地点)までの経路を設定し(S414)、このヘルプ処理(S307)を終了する。その結果として、このヘルプ処理(S307)に続いて実行されるS306(図3参照)では、S414で設定されたヘルプ地点までの経路の案内が開始される。
【0074】
なお、詳細は図5を参照して後述するが、受信したレスキュー情報に含まれるヘルプ地点は、ヘルプ要請車両Chが当初予定の合流地点へ到達する上で最も推奨される経路(S302において得られた推奨経路)上の地点であるので、レスキュー車両Cに強いられる負担が軽減される。即ち、レスキュー車両Crがヘルプ地点から当初予定の合流地点まで到達できるように自車両C(ヘルプ要請車両Ch)へ供給する燃料の量が軽減される。
【0075】
一方で、S412の処理により確認した結果、ヘルプ情報の送信先のレスキュー車両から、情報(レスキュー情報又はレスキュー不可情報)が受信されなかった場合(S412:No)、又は、S413の処理により確認した結果、受信した情報が、ヘルプ情報の送信先のレ他車両C(レスキュー車両Cr)が自車両C(ヘルプ要請車両Ch)を補助できないことを示すレスキュー不可情報であった場合(S413:No)には、受信車両情報メモリに車両情報が残存しているかを確認する(S415)。
【0076】
S415の処理により確認した結果、受信車両情報メモリに車両情報が残存していれば(S415:Yes)、S407の処理へ移行し、受信車両情報メモリに車両情報が記憶されている次の他車両Cに対して、ヘルプ情報の送信を行う。
【0077】
一方で、S415の処理により確認した結果、受信車両情報メモリに車両情報が残存していなければ(S415:No)、グループ内に、自車両Cが当初予定の合流地点へ到達することを補助できる他車両Cが存在しないので、地図データメモリ18aに記憶されている地図データと交通情報メモリ18bに記憶されている交通情報とを参照し、自車両Cの現在位置に最も近いガソリンスタンド(以下、「GS」と称する)までの経路を計算し、計算された経路の設定を行い(S416)、このヘルプ処理(S307)を終了する。その結果として、上記たように、このヘルプ処理(S307)に続いて実行されるS306(図3参照)では、S416で設定された自車両Cが到達可能な最寄りのGSまでの経路の案内が開始される。
【0078】
また、S403の処理により確認した結果、所定時間待っても車両情報が受信されなかった場合(S403:No)、又は、S406の処理により確認した結果、受信車両情報メモリ14aに車両情報が記憶されていない場合(S406:No)にも、S416へ移行し、自車両Cの現在位置に最も近いGSまでの経路が設定される。
【0079】
よって、グループ内に自車両Cが当初予定の合流地点へ到達することを補助できる他車両Cが存在しない場合には、S416の処理の結果として、自車両Cが到達可能な最寄りのGSまで案内される。そして、自車両Cは、案内先のGSで燃料(ガソリンなど)を補給することによって、最終的に、当初予定の合流地点へ到達できる。また、グループ内に自車両Cが当初予定の合流地点へ到達することを補助できる他車両Cが存在しない場合においても、運転者P自身が、現状の燃料残量において到達可能な範囲にあるGSを探す煩雑な作業を必要とすることなく、簡便かつ確実にGSへ到達することができる。
【0080】
次に、図5を参照して、レスキュー車両Crに相当する車両Cの車載装置100で実行されるレスキュー処理について説明する。図5は、レスキュー処理を示すフローチャートである。このレスキュー処理は、車両Cにおいて、所定時間毎(例えば、10秒毎)に起動する処理である。
【0081】
図5に示すように、レスキュー処理では、まず、GPS受信機140から入力された位置情報に基づいて位置検出器38により得られた自車両C(レスキュー車両Cr)の現在位置と、自車IDメモリ18dに含まれる自車両C(レスキュー車両Cr)の認証用IDとを含む車両情報を作成する(S501)。
【0082】
次いで、作成された車両情報を、車両通信機130のアンテナ130aから、無線P2Pネットワーク(非図示)上へ送信し(S502)、所定時間(例えば、5秒)待ち(S503)、ヘルプ処理(図4参照)におけるS409において送信されたヘルプ情報が受信されたかを確認し(S504)、所定時間待ってもヘルプ情報が受信されなかった場合には(S504:No)、このレスキュー処理を終了する。
【0083】
なお、上記したように、ヘルプ情報は、ヘルプ要請車両Chの走行可能距離と、ヘルプ要請車両Chの現在位置と、ヘルプ要請車両Chにおいて入力された当初予定の合流地点の位置情報(緯度及び経度情報、又は地図データ上における座標)と、ヘルプ要請車両Chの交通情報メモリ18bに記憶されている交通情報と、ヘルプ要請車両Chの認証用IDとを含む情報である。
【0084】
一方で、S504の処理により確認した結果、ヘルプ情報が受信されていれば(S504:Yes)、燃料残量検出装置160によって燃料残量を検出し(S505)、ヘルプ地点を設定可能であるかを確認する(S506)。
【0085】
具体的には、S506では、まず、ヘルプ情報に含まれる他車両C(ヘルプ要請車両Ch)の位置と当初予定の合流地点と交通情報と、地図データメモリ18aに記憶されている地図データとから、ヘルプ要請車両Chが走行経路を計算する。ここで、レスキュー車両にCrにおいて計算される走行経路は、ヘルプ要請車両Chが経路案内処理(図3参照)のS302における推奨経路の計算と同じ条件で計算されているので、レスキュー車両Crは、S302において得られた推奨経路を知ることができる。
【0086】
次いで、ヘルプ情報を参照して得られたヘルプ要請車両Chの推奨経路上であって、ヘルプ情報に含まれるヘルプ要請車両Chの燃料残量で走行可能な範囲内の地点に、ヘルプ地点が設定可能であるかが確認される。
【0087】
ここで、ヘルプ地点の探索は、(a−1)S505において検出された自車両C(レスキュー車両Cr)の燃料残量と、(a−2)ヘルプ情報に含まれるヘルプ要請車両Chの燃料残量との総和が、(b−1)自車両C(レスキュー車両Cr)が、現在位置から、ヘルプ地点を経由して当初予定の合流地点まで走行する場合に必要な燃料量と、(b−2)ヘルプ要請車両Chが現在位置から当初予定の合流地点まで推奨経路を走行する場合に必要な燃料量との総和に対して十分に多くなる地点を探索することによって行われる。
【0088】
なお、(b−1)自車両C(レスキュー車両Cr)が、現在位置から、ヘルプ地点を経由して当初予定の合流地点まで走行する場合に必要な燃料量は、自車両Cが、地図データメモリ18aに記憶されている地図データと交通情報メモリ18bに記憶されている交通情報とを参照して、ヘルプ地点を経由して合流地点へ向かう経路を計算すると共に、燃費情報メモリ18cに記憶される自車両Cの燃費を用いることによって算出することができる。同様に、(b−2)ヘルプ要請車両Chが現在位置から当初予定の合流地点まで推奨経路を走行する場合に必要な燃料量は、上記したようにヘルプ情報を参照して計算された走行経路と、燃費情報メモリ18cに記憶されるヘルプ要請車両Chの燃費(ヘルプ要請車両Chの車種に対応する燃費)を用いることによって算出することができる。
【0089】
ここで、ヘルプ地点は、上記した燃料量の条件を満たすことが必須であるが、自車両C(レスキュー車両Cr)とヘルプ要請車両Chとが最短時間で合流できる地点であることが好ましい。自車両C(レスキュー車両Cr)とヘルプ要請車両Chとができるだけ早く合流できる地点をヘルプ地点とすることによって、ヘルプ要請車両Chの運転者を安心させることができると共に、時間の節約にもなる。
【0090】
S506の処理により確認した結果、ヘルプ地点が設定可能な場合には(S506:Yes)、探索されたヘルプ地点を含むレスキュー情報を作成し(S507)、作成されたレスキュー情報を、ヘルプ情報に含まれるヘルプ要請車両Chの認証用IDに対応付けられているIPアドレス宛へ、車両通信機130のアンテナ130aから、無線P2P通信によって送信する(S508)。
【0091】
S508の処理後、自車両C(レスキュー車両Cr)の現在位置からヘルプ地点までの経路を、地図データメモリ18aに記憶されている地図データと交通情報メモリ18bに記憶されている交通情報とを参照することによって計算し(S509)、計算されたヘルプ地点までの経路を設定する(S510)。この場合、自車両C(レスキュー車両Cr)が経路案内中であれば、その案内中の経路とは異なる経路が再設定されることになる。
【0092】
S510の処理後、ヘルプ地点までの案内を開始し(S511)、このレスキュー処理を終了する。S511の処理の結果として、LCD26への表示による視覚的な案内とスピーカ28からの音声による聴覚的な案内とが開始され、車両Cおよび車両Cを運転する運転者がヘルプ地点まで案内される。
【0093】
一方で、S506の処理により確認した結果、ヘルプ地点が設定不可能な場合には(S506:No)、ヘルプ要請車両Chを補助することが不可能であることを示すレスキュー不可情報を作成し(S512)、作成されたレスキュー付加情報を、ヘルプ情報に含まれるヘルプ要請車両Chの認証用IDに対応付けられているIPアドレス宛へ、車両通信機130のアンテナ130aから、無線P2P通信によって送信し(S513)、このレスキュー処理を終了する。
【0094】
以上説明したように、第1実施形態における車載装置100によれば、自車両Cの燃料残量が当初予定の合流地点に到達し得ない量であった場合でも、自車両Cが、グループ内の他車両Cの補助を受けることによって確実に当初予定の合流地点へ到達することが可能となる。また、この場合、(1)自車両Cの位置と(2)燃料残量とを含むヘルプ情報を、他車両C(レスキュー車両Cr)へ自動発信した結果として、他車の補助を受けることが可能となるので、煩雑な説明作業をすることなく簡便に当初予定の合流地点への到達を可能にできるのである。
【0095】
また、S408の処理により、ヘルプ情報は、自車両C(ヘルプ要請車両Ch)に対し位置的に近い他車両C(レスキュー車両Cr)から順に送信される。即ち、ヘルプ要請車両Chの補助が可能なレスキュー車両Crの中で、最もヘルプ要請車両Chの近くに位置するレスキュー車両Crが、ヘルプ要請車両Chの補助を行うことになるので、ヘルプ情報の出力後、ヘルプ要請車両Chの補助が開始されるまでに経過する時間が可能な限り短くなるので、時間的な無駄を抑制できるという効果があり、その結果として、円滑なグループ走行を実施できることになる。
【0096】
一方で、自車両Cが、グループ内の他車両Cからヘルプ情報を受信した場合には、そのヘルプ情報や自車両Cの燃料残量などに基づいてヘルプ地点を設定し、そのヘルプ地点において他車両C(ヘルプ要請車両Ch)を補助することによって、自車両C(レスキュー車両C)及び他車両C(ヘルプ要請車両Ch)の両方が当初予定の合流地点へ到達できるようになる。即ち、自車両Cが、燃料残量の不足などが原因でヘルプ情報を発信した他車両Cを補助することによって、円滑なグループ走行を行うことが可能となる。
【0097】
次に、図6及び図7を参照して、第2実施形態におけるグループ走行支援システム1において、車載装置100で実行される各処理について説明する。上記した第1実施形態のグループ走行支援システム1では、自車両Cの燃料残量が当初予定の合流地点へ到達できない量であった場合に、互いにID認証される同じグループの他車両Cへ、自車両Cの位置や燃料残量などを含むヘルプ情報を送信すると、そのヘルプ情報を受信した他車両C(レスキュー車両Cr)が自車両C(ヘルプ要請車両Ch)の補助のために合流する新たな合流地点(ヘルプ地点)を設定した結果として、ヘルプ要請車両Chとレスキュー車両Crとの両方がヘルプ地点へ案内される構成であった。
【0098】
これに対し、第2実施形態のグループ走行支援システム1では、自車両Cの燃料残量が当初予定の合流地点へ到達できない量であった場合に、自車両C(ヘルプ要請車両Ch)が、自身が同じグループの他車両C(レスキュー車両Cr)から補助を受けるための合流地点を設定し、その結果として、ヘルプ要請車両Chとレスキュー車両Crとの両方がヘルプ地点へ案内されるものである。
【0099】
なお、この第2実施形態では、ヘルプ処理(S307)の一部及びレスキュー処理の一部が異なる以外は、第1実施形態と同一であるので、それら同一の部分に関する説明は省略する。
【0100】
図6は、第2実施形態のヘルプ処理(S307)を示すフローチャートである。第2実施形態のヘルプ処理(S307)は、まず、第1実施形態のヘルプ処理と同様に、S402〜S408の処理を実行した後、受信した他車両C(レスキュー車両Cr)の車両情報と自車両Cの位置及び燃料残量とに基づいてヘルプ地点を設定可能であるかを確認する(S601)。なお、第2実施形態におけるレスキュー車両Crの車両情報には、第1実施形態と同様のレスキュー車両Crの位置及び認証用IDに加えて、レスキュー車両Crの燃料残量が含まれている。
【0101】
具体的には、S601では、まず、自車両C(ヘルプ要請車両Ch)が経路案内処理(図3参照)のS302において計算した推奨経路上であって、S303において検出した燃料残量で走行可能なの範囲内の地点に、ヘルプ地点が設定可能であるかが確認される。
【0102】
ここで、ヘルプ地点の探索は、(a−1)S302において検出された自車両C(ヘルプ要請車両Ch)の燃料残量と、(a−2)車両情報に含まれるレスキュー車両Crの燃料残量との総和が、(b−1)自車両C(ヘルプ要請車両Ch)の現在位置から当初予定の合流地点まで走行する場合に必要な燃料量と、(b−2)レスキュー車両Crが、現在位置から、ヘルプ地点を経由して当初予定の合流地点まで走行する場合に必要な燃料量との総和に対して十分に多くなる地点を探索することによって行われる。
【0103】
なお、(b−1)自車両C(ヘルプ要請車両Ch)の現在位置から当初予定の合流地点まで走行する場合に必要な燃料量は、S302で計算された走行経路(推奨経路)と、燃費情報メモリ18cに記憶される自車両Cの燃費を用いることによって算出することができる。同様に、(b−2)レスキュー車両Crが、現在位置から、ヘルプ地点を経由して当初予定の合流地点まで走行する場合に必要な燃料量は、車両情報に含まれているレスキュー車両Crの位置と、地図データメモリ18aに記憶されている地図データ及び交通情報メモリ18bに記憶されている交通情報とを参照して、ヘルプ地点を経由して合流地点へ向かう経路を計算すると共に、燃費情報メモリ18cに記憶されるレスキュー車両Crの燃費(レスキュー車両Crの車種に対応する燃費)を用いることによって算出することができる。
【0104】
ここで、ヘルプ地点は、上記した燃料量の条件を満たすことが必須であるが、自車両C(ヘルプ要請車両Ch)とレスキュー車両Crとが最短時間で合流できる地点であることが好ましい。自車両C(ヘルプ要請車両Ch)とレスキュー車両Crとができるだけ早く合流できる地点をヘルプ地点とすることによって、ヘルプ要請車両Chの運転者を安心させることができると共に、時間の節約にもなる。
【0105】
S601の処理により確認した結果、ヘルプ地点が設定可能な場合には(S601:Yes)、探索されたヘルプ地点と自車IDメモリ18dに含まれる自車両Cの認証用IDとを含むヘルプ情報を作成し(S602)、S408で選択されたレスキュー車両Crの認証用IDに対応付けられているIPアドレス宛へ、車両通信機130のアンテナ130aから、無線P2P通信によるヘルプ情報の送信を行う(S409)。
【0106】
S409の処理後、所定時間(例えば、5秒)待ち(S411)、ヘルプ情報の送信先のレスキュー車両Crから、ヘルプ要請車両Chの補助を確約するレスキュー信号を受信したかを確認する(S603)。
【0107】
S603の処理により確認した結果、レスキュー信号が受信された場合には(S603:Yes)、自車両C(ヘルプ要請車両Cr)の現在位置からヘルプ地点までの経路を、地図データメモリ18aに記憶されている地図データと交通情報メモリ18bに記憶されている交通情報とを参照することによって計算し(S604)、計算されたヘルプ地点までの経路を設定し(S605)、このヘルプ処理(S307)を終了する。その結果として、このヘルプ処理(S307)に続いて実行されるS306(図3参照)では、S605で設定されたヘルプ地点までの経路の案内が開始される。
【0108】
なお、ヘルプ地点は、S302において得られた当初予定の合流地点までの推奨経路上にある地点であるので、レスキュー車両Cに強いられる負担が軽減される。即ち、レスキュー車両Crがヘルプ地点から当初予定の合流地点まで到達できるように自車両C(ヘルプ要請車両Ch)へ供給する燃料の量が軽減される。
【0109】
一方で、S601の処理により確認した結果、ヘルプ地点が設定不可能な場合(S601:No)、又は、S603の処理により確認した結果、所定時間待ってもヘルプ情報の送信先のレスキュー車両Crから、レスキュー信号を受信しなかった場合(S603:No)には、ヘルプ情報の送信先とされたレスキュー車両Crの車両情報を、受信車両情報メモリ14aから削除する(S410)。
【0110】
S410の処理後、受信車両情報メモリに車両情報が残存しているかを確認し(S415)、受信車両情報メモリに車両情報が残存していれば(S415:Yes)、S601へ移行し、ヘルプ地点を設定可能な車両情報の発信元の他車両C(レスキュー車両Cr)に対して、ヘルプ情報の送信を行う。
【0111】
一方で、S415の処理により確認した結果、受信車両情報メモリに車両情報が残存していなければ(S415:No)、グループ内に、自車両Cが当初予定の合流地点へ到達することを補助できる他車両Cが存在しないので、自車両Cの現在位置に最も近いガソリンスタンド(以下、「GS」と称する)までの経路を計算し、計算された経路の設定を行い(S416)、このヘルプ処理(S307)を終了する。その結果として、上記たように、このヘルプ処理(S307)に続いて実行されるS306(図3参照)では、S416で設定された自車両Cが到達可能な最寄りのGSまでの経路の案内が開始される。
【0112】
図7は、第2実施形態のレスキュー処理を示すフローチャートである。第2実施形態のレスキュー処理では、まず、燃料残量検出装置160によって燃料残量を検出し(S505)、検出された燃料残量と、GPS受信機140から入力された位置情報に基づいて位置検出器38により得られた自車両C(レスキュー車両Cr)の現在位置と、自車IDメモリ18dに含まれる自車両C(レスキュー車両Cr)の認証用IDとを含む車両情報を作成する(S501)。S501の処理後、第1実施形態のレスキュー処理と同様に、S502〜S504の処理を行う。
【0113】
S504の処理により確認した結果、ヘルプ情報が受信された場合には(S504:Yes)、受信したヘルプ情報に含まれる認証用IDが、他車IDメモリ18eに記憶されているかを確認する(S701)。即ち、S701では、受信した車両情報の発信元のレスキュー車両Crが、自車両C(ヘルプ要請車両Ch)と同じグループ内のヘルプ要請車両Chであるかが確認される。なお、このヘルプ情報には、ヘルプ処理(図6参照)において探索されたヘルプ地点と、自車IDメモリ18dに含まれるヘルプ要請車両Chの認証用IDとが含まれている。
【0114】
S701の処理により確認した結果、受信したヘルプ情報に含まれる認証用IDが、他車IDメモリ18eに記憶されている認証用IDであれば(S701:Yes)、そのヘルプ情報の発信元のヘルプ要請車両Chに対して、自車両C(レスキュー車両Cr)がヘルプ要請車両Chの補助をすることを確約するレスキュー信号を、ヘルプ情報に含まれる認証用IDに対応付けられているIPアドレス宛へ、車両通信機130のアンテナ130aから、無線P2P通信によるヘルプ情報の送信を行う(S702)。
【0115】
S702の処理後、S509〜S511の処理を実行後、このレスキュー処理を終了する。S511の実行結果として、LCD26への表示による視覚的な案内とスピーカ28からの音声による聴覚的な案内とが開始され、車両Cおよび車両Cを運転する運転者がヘルプ地点まで案内される。
【0116】
一方で、S701の処理により確認した結果、受信したヘルプ情報に含まれる認証用IDが、他車IDメモリ18eに記憶されていなければ(S701:No)、このレスキュー処理を終了する。
【0117】
以上説明したように、第2実施形態における車載装置100によれば、自車両Cの燃料残量が当初予定の合流地点に到達し得ない量であった場合でも、自車両Cが、グループ内の他車両Cの補助を受けることによって確実に当初予定の合流地点へ到達することが可能となる。
【0118】
また、この場合、自車両Cが現状で到達可能な所定の位置であるヘルプ地点を含むヘルプ情報を自動発信する結果として、他車両C(レスキュー車両Cr)による補助を受けることが可能となるので、煩雑な説明作業をすることなく簡便に当初予定の合流地点への到達を可能にできる。特に、ヘルプ地点として、(a)自車両C(ヘルプ要請車両Ch)が現状で到達可能であり、かつ、(b1)補助を求める他車両C(レスキュー車両Cr)の位置及び(b2)他車の燃料残量に応じた地点に設定されるので、レスキュー車両Crによる補助を確実に受け、その結果として、ヘルプ要請車両Chが確実に当初予定の目的地へ到達できるのである。
【0119】
また、S408の処理により、ヘルプ情報は、自車両C(ヘルプ要請車両Ch)に対し位置的に近い他車両C(レスキュー車両Cr)から順に送信される。即ち、ヘルプ要請車両Chの補助が可能なレスキュー車両Crの中で、最もヘルプ要請車両Chの近くに位置するレスキュー車両Crが、ヘルプ要請車両Chの補助を行うことになるので、ヘルプ情報の出力後、ヘルプ要請車両Chの補助が開始されるまでに経過する時間が可能な限り短くなるので、時間的な無駄を抑制できるという効果があり、その結果として、円滑なグループ走行を実施できることになる。
【0120】
一方で、自車両Cが、グループ内の他車両Cからヘルプ情報を受信した場合には、そのヘルプ情報や自車両Cの燃料残量などに基づいてヘルプ地点を設定し、そのヘルプ地点において他車両C(ヘルプ要請車両Ch)を補助することによって、自車両C(レスキュー車両C)及び他車両C(ヘルプ要請車両Ch)の両方が当初予定の合流地点へ到達できるようになる。即ち、自車両Cが、燃料残量の不足などが原因でヘルプ情報を発信した他車両Cを補助することによって、円滑なグループ走行を行うことが可能となる。
【0121】
なお、請求項1記載の目的地入力手段としては、経路案内処理(図3)の起動のトリガである、運転者Pの操作スイッチ24の操作による当初予定の合流地点が目的地として入力されることが該当する。また、請求項1記載の経路設定手段としては、経路案内処理(図3)におけるS302の処理が該当する。また、請求項1記載の燃料残量検出手段としては、経路案内処理(図3)におけるS303の処理が該当する。また、請求項1記載の到達判断手段としては、経路案内処理(図3)におけるS304の処理が該当する。また、請求項1記載のヘルプ情報送信手段としては、ヘルプ処理(図4,図6)におけるS409の処理が該当する。
【0122】
また、請求項2記載の地点受信手段としては、第1実施形態のヘルプ処理(図4)におけるS413でレスキュー情報へ分岐する処理(S413:レスキュー情報)が該当する。また、請求項2記載の新目的地設定手段としては、第1実施形態のヘルプ処理(図4)におけるS414の処理が該当する。
【0123】
また、請求項3記載の受信判断手段としては、第1実施形態のヘルプ処理(図4)におけるS413でレスキュー不可情報へ分岐する処理(S413:レスキュー不可情報)が該当する。また、請求項3記載の新目的地設定手段としては、第1実施形態のヘルプ処理(図4)におけるS416の処理が該当する。
【0124】
また、請求項4記載の他車位置取得手段としては、ヘルプ処理(図4,図6)において、自車両Cが他車両Cの位置情報を含む車両情報を受信すること(S403におけるYesへの分岐処理)が該当する。また、請求項4記載の距離算出手段としては、ヘルプ処理(図4,図6)におけるS407の処理が該当する。また、請求項4記載の選択手段としては、ヘルプ処理(図4,図6)におけるS408の処理が該当する。
【0125】
また、請求項5記載の燃料残量検出手段としては、経路案内処理(図3)におけるS303の処理が該当する。また、請求項5記載のヘルプ情報受信手段としては、第1実施形態のレスキュー処理(図5)において、自車両Cが他車両C(ヘルプ要請車両Ch)から送信されたヘルプ情報を受信すること(S504におけるYesへの分岐処理)が該当する。また、請求項5記載の補助地点算出手段としては、第1実施形態のレスキュー処理(図5)において、設定可能なヘルプ地点を見い出すこと(S506におけるYesへの分岐処理)が該当する。また、請求項5記載の補助地点送信手段としては、第1実施形態のレスキュー処理(図5)におけるS508の処理が該当する。
【0126】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0127】
例えば、上記実施態様では、グループ走行支援システム1を利用するための本発明の車載装置100の搭載された車両Cとして、一人乗り用の二輪自動車を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、所謂オートバイと呼ばれる自動二輪車や原動機付き自転車、四輪や六輪などの自動車などに、本発明の車載装置100が搭載することによってグループ走行支援システム1を利用できることは当然推測可能である。
【0128】
また、上記実施形態では、ヘルプ地点の探索(S506,S601)において、レスキュー車両Crの燃料残量とヘルプ要請車両Chの燃料残量との総量が、レスキュー車両Cr及びヘルプ要請車両Chの両方が当初予定の合流地点へ到達するのに必要な燃料量よりも多くなる地点を探索するように構成したが、これに限らず、レスキュー車両Crの燃料残量とヘルプ要請車両Chの燃料残量との総量が、当初予定の合流地点へ到達する前に、GSなどの燃料供給所へ立ち寄るのに必要な燃料量よりも多くなる地点を探索するように構成してもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、ガソリンなどの液体燃料を利用する車両Cを例示したので、ヘルプ地点の探索(S506,S601)の際に、ヘルプ要請車両Chとレスキュー車両Crとが合流する地点をヘルプ地点として探索したが、車両Cが燃料電池車や電気自動車である場合には、ヘルプ要請車両Chとレスキュー車両Crとが合流することなく、レスキュー車両からヘルプ要請車両Chへ無線による電力が供給可能となる地点をヘルプ地点として探し出すように構成してもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、グループ走行支援システム1の利用形態の1つとして、1のグループが、グループ内において指定された合流地点(当初予定の合流地点)へ向かう場合について例示したが、認証用IDによって認証される車両であれば、当初予定の合流地点へ向かわず別行動している車両Cをレスキュー車両Crとして利用する場合に適用可能であることは当然推測可能である。この場合、別行動しているレスキュー車両Crの「最終的に到達すべき目的地」は、ヘルプ車両Chが向かう当初予定の合流地点とは異なる。
【0131】
あるいは、ヘルプ要請車両Chが単独で所定の目的地へ向かう場合に、燃料残量が不足していれば、認証用IDによって認証される車両Cに対してヘルプ情報を送信して補助を求めるような構成であってもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、図1に示したように、1のグループを構成する4台の車両Cが全て同一車種として構成されているが、燃費情報メモリ18cには、図1に示した車両C以外の複数車種の各々に対する標準的な燃費が記憶されているので、燃費情報メモリ18cに記憶されている車種の車両であれば、グループ走行支援システム1を適用可能であることは当然推測可能である。
【0133】
また、上記第1実施形態において、ヘルプ要請車両Chからレスキュー車両Crへ送信するヘルプ情報に、さらに燃費情報を含めるように構成してもよい。かかる構成とした場合、S506においてヘルプ地点の探索をする際に、他車両C(ヘルプ要請車両Ch)が必要とする燃料量を、ヘルプ情報に含まれるヘルプ要請車両Chの燃料残量と燃費情報とから求めることができる。
【0134】
同様に、上記第2実施形態において、レスキュー車両Crからヘルプ要請車両Chへ送信する車両情報に、さらに燃費情報を含めるように構成してもよい。かかる構成とした場合、S601においてヘルプ地点の探索をする際に、他車両C(レスキュー車両Cr)が必要とする燃料量を、車両情報に含まれるレスキュー車両Crの燃料残量と燃費情報とから求めることができる。
【0135】
また、上記実施形態では、S304やS506やS601において、自車両Cの燃料残量と所定の地点までの経路を走行するのに必要な燃料量とを比較することによって、自車両Cが所定の地点まで到達可能であるか否かを判断するように構成したが、これに換えて、自車両Cの燃料残量と燃料情報メモリ18cに記憶されている燃費とに基づいて自車両Cの走行可能な距離を求め、所定の地点までの経路の走行距離とを比較するように構成してもよい。
【0136】
同様に、第1実施形態におけるヘルプ情報又は第2実施形態における車両情報に燃料残量を含める構成としたが、燃料残量に換えて、その燃料残量と燃料情報メモリ18cに記憶されている燃費とから車両C(ヘルプ要請車両Ch又はレスキュー車両Cr)が走行可能な距離を含めるように構成してもよい。かかる構成とした場合、S506,S601において、燃料残量に基づいて得られた走行可能な距離を用いてヘルプ地点の探索を行うことができる。
【0137】
また、上記実施形態では、S304やS506やS601において、所定の地点へ到達するまでに自車両Cで必要とされる燃料量を、燃料情報メモリ18cに記憶されている自車両Cの標準的な燃費を使用して算出するように構成した。これに換えて、所定時間毎(例えば、10秒毎や2秒毎)に、消費燃料量と走行距離とに基づいて平均燃費又は瞬間燃費を算出し、その算出された平均燃費又は瞬間燃費の値を用いるように構成してもよい。
【0138】
また、上記実施形態では、ヘルプ地点を、ヘルプ要請車両Chの現在位置から当初予定の合流地点までの経路上で探索するように構成したが、ヘルプ要請車両Chの燃料残量に基づく走行可能な範囲内から探索するように構成してもよい。
【0139】
また、上記実施形態において、車載端末100は、GPS受信機140から入力された位置情報に基づいて位置検出器38によって現在位置を検出するものであったが、位置を検出する方法としては、GPSに限定されるものではなく、慣性航法による位置検出、路面に埋め込んだ磁気マーカ(RFIDチップなど)や2次元バーコードなどのマーカを利用した位置検出、電柱や標識の文字やマークの認識による位置検出、車間通信のために基地局を利用した場合における基地局からの割り出しによる位置検出など、種々の位置検出を利用することができる。
【0140】
また、上記実施形態において、自車両Cは、他車両Cの位置を、ヘルプ情報(第1実施形態)又は車両情報(第2実施形態)に含まれる情報に基づいて知ることができる構成したが、GPSなどにより他車両Cの位置を検出するように構成してもよい。
【0141】
また、上記実施形態では、グループ内における車両Cの車間通信、即ち、ヘルプ要請車両Chとレスキュー車両Crとの間の通信の手段として、無線P2P通信を例示したが、通信手段としては、インターネット通信のようにサーバを介する通信であってもよい。
【0142】
なお、P2P通信を行う場合又はサーバを介する通信を行う場合には、各種無線LAN(802.11a、802.11b、802.11g、UWB、ワイヤレスUSBなど)、無線(トランシーバ、アマチュア無線など)、公衆回線(携帯電話、PHS)、IrDaなどの光通信、超音波などの音波を利用した通信などを利用することができる。
【0143】
また、P2P通信の形態としては、1のアンテナを介して所定のエリア内のヘルプ要請車両Chとレスキュー車両CrとがP2P通信を行う形態であっても、車載端末100側でバケツリレー式に伝達するようなP2P通信の形態であってもよい。
【0144】
また、上記各実施形態では、地図データはHDD18(地図データメモリ18a)に記憶されたものを読み出すように構成したが、DVDや光ディスクなどの媒体に記憶されている地図データの読み出したものや、インターネットなどの各種回線を介して外部から地図データを受信したものを用いるように構成してもよい。
【0145】
また、上記実施形態において、S408では、ID認証された他車両C(レスキュー車両Cr)のうち、自車両Cからの距離が最も近いレスキュー車両Crを、ヘルプ情報の送信先として選択したが、ID認証された他車両C(レスキュー車両Cr)をLCD26にリスト表示し、自車両Cの運転手Pがリストの中から、適宜、ヘルプ情報の送信先を選択するように構成してもよい。
【0146】
また、上記実施形態において、S408では、ヘルプ情報の送信先が、自車両C(ヘルプ要請車両Ch)と他車両C(レスキュー車両Cr)との二点間距離の近い順に選択される構成であったが、地図上における交通ルール(一方通行など)の考慮された走行経路上の近い順に選択される構成であってもよい。あるいは、上記のような二点間距離や走行経路などの「位置的距離が近い順」だけでなく、交通情報メモリ18cに記憶されている交通情報(渋滞情報など)を考慮した「時間的距離が近い順」に、ヘルプ情報の送信先が選択される公正であってもよい。
【0147】
また、上記第1実施形態では、車両情報に含まれる他車両C(レスキュー車両Cr)の位置を参照することによって、自車両C(ヘルプ要請車両)との位置が近い順に順次ヘルプ情報を送信し、レスキュー車両Cr側がヘルプ情報を参照してヘルプ地点を設定可能であれば、そのレスキュー車両Crによる補助を受けるように構成した。これに換えて、受信した車両情報の発信元の全てにヘルプ情報を送信し、ヘルプ地点を設定可能なレスキュー車Crの全てから、ヘルプ地点を含むレスキュー情報を受け取るように構成してもよい。なお、複数のレスキュー車Crからレスキュー情報を受け取った場合には、ヘルプ要請車両Chから最も近いヘルプ地点を設定したレスキュー車Crが選択されるように構成すればよい。ヘルプ地点が最も近いレスキュー車Crが選ばれることにより、ヘルプ要請車両Chの運転者Pの不安を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明の第1実施形態におけるグループ走行支援システムを説明する模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態における車載装置100を搭載する車両(ヘルプ要請車両,レスキュー車両)の構成を示すブロック図である。
【図3】車載装置で実行される経路案内処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態のヘルプ処理を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態のレスキュー処理を示すフローチャートである。
【図6】第2実施形態のヘルプ処理を示すフローチャートである。
【図7】第2実施形態のレスキュー処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0149】
1 グループ走行支援システム
38 位置検出器(自車位置取得手段の一部)
100 車載装置
140 GPS受信機(自車位置取得手段の一部)
C 車両
Ch ヘルプ要請車両
Cr レスキュー車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の位置を取得する自車位置取得手段と、
目的地を入力する目的地入力手段と、
前記自車位置取得手段により取得された自車の位置から、前記目的地入力手段により入力された目的地までの経路を設定する経路設定手段と、
自車の燃料残量を検出する燃料残量検出手段と、
前記燃料残量検出手段により検出された燃料残量と前記経路設定手段により設定された経路とにより、前記目的地入力手段により入力された目的地へ到達可能か否かを判断する到達判断手段と、
その到達判断手段により、前記目的地へ到達することが不可能であると判断された場合に、前記自車の位置と前記燃料残量又はその燃料残量によって自車が走行可能な距離とを含むヘルプ情報を、他車へ送信するヘルプ情報送信手段とを備えていることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記ヘルプ情報を送信した他車から地点を受信する地点受信手段と、
その地点受信手段により受信した地点を新たな目的地として設定する新目的地設定手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の車載装置。
【請求項3】
前記地点受信手段によって他車から地点を受信したか否かを判断する受信判断手段を備え、
前記新目的地設定手段は、他車からの地点の受信が皆無であると前記受信判断手段によって判断された場合に、前記燃料残量検出手段により検出された自車の燃料残量によって到達可能な範囲内にある燃料供給所を新たな目的地として設定することを特徴とする請求項2記載の車載装置。
【請求項4】
他車の位置を取得する他車位置取得手段と、
その他車位置取得手段により取得された他車の位置と前記自車位置取得手段により取得された自車の位置との距離を算出する距離算出手段と、
前記他車位置取得手段により取得された他車の位置が複数であった場合に、前記距離算出手段により算出された距離に基づいて、自車との距離が最も近い他車を選択する選択手段とを備え、
前記ヘルプ情報送信手段は、前記選択手段により選択された他車へ、前記ヘルプ情報を送信することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車載装置。
【請求項5】
自車の位置を取得する自車位置取得手段と、
自車の燃料残量を検出する燃料残量検出手段と、
他車から送信された、前記他車の位置と他車の燃料残量又は他車が走行可能な距離とを含むヘルプ情報を受信するヘルプ情報受信手段と、
前記自車位置取得手段によって取得した自車位置と前記燃料残量検出手段によって検出された燃料残量と前記ヘルプ情報受信手段によって受信したヘルプ情報とに基づいて、自車による前記他車の補助地点を算出する補助地点算出手段と、
前記補助地点算出手段により算出された補助地点を、前記他車へ送信する補助地点送信手段とを備えていることを特徴とする車載装置。







【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−40711(P2007−40711A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−222070(P2005−222070)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】