説明

速度検知プログラム、位置特定プログラム、車載装置および携帯端末装置

【課題】車載端末装置と連携した携帯端末装置による位置捕捉において、携帯端末装置での処理負荷および消費電力を軽減すること。
【解決手段】車載装置2内の車速パルス取得部が車両から車速パルスを取得し、速度情報加工部が携帯端末での処理負荷を考慮して車速パルスを加工し、加工前の速度パルス周期以下の頻度で携帯端末1に送信することで、携帯端末1が速度情報を受信する際に必要な処理負荷を軽減し、消費電力を削減している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体に搭載された車載装置、および車載装置と通信して位置特定を行なう携帯端装置末に関し、特に車載装置から携帯端末装置に速度情報を提供する速度検知プログラム、および車載装置から取得した速度情報を用いて位置特定を行なう位置特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載装置にGPSを搭載し、目的地までの経路案内を行なう車両用ナビゲーションシステムが広く利用されてきた。さらに近年では、携帯電話などの携帯端末にGPSを実装し、携帯端末上で位置情報を使った各種サービス(例えば歩行者用ナビゲーションや車両用ナビゲーション、ドライブレコーダなど)が提供可能となっている。
【0003】
また、車載装置と携帯電話とを接続し、車載装置でGPS情報を得られない場合に、携帯電話のGPS機能を用いて座標を求め、得られた座標を携帯電話から車載装置に送信して車載装置側で車両用ナビゲーションサービスを提供する技術も考案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−340633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載装置においてGPSを利用して位置を特定する場合、車速情報を用いて現在位置を補正することで、見通しの悪いビル影やトンネル内などGPSによる位置特定が困難な状態でも精度良く位置の特定を行なうことができる。
【0006】
一方、携帯端末装置で車両用のナビゲーションやドライブレコーダのサービスを提供する場合に車速情報による補正を行なうには、車載装置と接続して車速情報を取得する必要がある。
【0007】
ここで、車両側での車速の測定は、タイヤの回転速度に比例して発生する車速パルスを検知することが一般的である。この車速パルスは、例えばタイヤの一回転あたり4パルス発生し、時速60kmでは40Hz程度の連続信号となる。
【0008】
しかし、このように高頻度のパルス信号を直接携帯端末が常時取り込むことを考えると、携帯端末の処理負荷が大きくなり、消費電力も高くなるという問題点があった。また、携帯端末装置と車載装置とをBluetoothのような近距離無線で接続する場合には、消費電力をすべて携帯端末で賄う必要があるため、消費電力の問題はさらに重要となる。
【0009】
このように、携帯端末と車載端末とを連携させたシステム構成を実運用で用いる場合には携帯端末装置側の処理負荷と消費電力とが問題となるが、従来は実運用で発生するこのような問題点については検討されていなかった。
【0010】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解消するためになされたものであり、車載端末装置と連携した携帯端末装置による位置捕捉において、携帯端末装置での処理負荷および消費電力を軽減する速度検知プログラム、位置特定プログラム、車載装置および携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる車載装置および速度検知プログラムでは、車載装置が搭載された移動体の移動速度を示す速度パルスを取得し、携帯端末での処理負荷を考慮して速度パルスを加工して加工前の速度パルス周期以下の頻度で送信可能な加工速度情報を生成し、この加工速度情報を携帯端末装置に送信する。
【0012】
また、本発明にかかる携帯端末装置および位置特定プログラムでは、移動体に搭載された車載装置と近距離通信し、車載装置によって加工された速度情報を取得し、加工された速度情報から移動体の移動速度を判定し、得られた移動速度を用いて移動体の位置を特定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば車載装置および速度検知プログラムは、車載装置が搭載された移動体の移動速度を示す速度パルスを取得し、携帯端末での処理負荷を考慮して速度パルスを加工して加工前の速度パルス周期以下の頻度で送信可能な加工速度情報を生成し、この加工速度情報を携帯端末装置に送信するので、携帯端末装置が速度情報を受信する際に必要な処理負荷を軽減し、消費電力を削減する車載装置および速度検知プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0014】
ここで、速度パルスを間引くとともに、該間引き加工に関する情報を付加することで加工速度情報を作成すれば、簡易に加工速度情報を作成し、かつ携帯端末装置の負荷を効率的に削減することが出来る。
【0015】
さらに、移動体の速度に基づいて前記間引き加工の間引き率を変化させ、加工速度情報を作成したならば、速度の変化に適応した加工内容で速度情報を携帯端末装置に送信することができる。
【0016】
また、速度パルス周期が所定値以上である場合に選択的に前記間引き加工を行なうこととすれば、速度パルスの周期が長く、携帯端末装置の負荷が小さい場合には速度パルスをそのまま送信し、車載装置および携帯端末装置において速度情報の加工にかかる負荷を軽減することが可能である。
【0017】
さらに、移動体の移動に関連する速度以外の情報、例えばステアリングの操作状態や車両の方位、加速度変化などをさらに送信すれば、携帯端末装置はこれらの情報を利用して位置特定の精度を上げることが出来る。
【0018】
また、携帯端末から加工内容の指定を受け付け、当該指定に基づいて加工速度情報を作成すれば、携帯端末装置の処理負荷の状況に適応して速度情報の送信頻度を変化させることができる。
【0019】
また、本発明にかかる携帯端末装置および位置特定プログラムでは、移動体に搭載された車載装置と近距離通信し、車載装置によって加工された速度情報を取得し、加工された速度情報から移動体の移動速度を判定し、得られた移動速度を用いて移動体の位置を特定するので、車速パルスを直接受信する場合に比して低処理負荷かつ低消費電力で速度情報を利用した位置特定を行なうことのできる携帯端末装置および位置特定プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0020】
ここで、加工された速度情報とは、移動体の移動速度を示す速度パルスから作成され、携帯端末での処理負荷を考慮して加工前の速度パルス周期以下の頻度で前記車載装置から送信された情報である。
【0021】
また、加工された速度情報がパルスを間引き、該間引き加工に関する情報を付加して作成された情報であれば、携帯端末装置側で簡易にもとの速度情報に復元することが出来る。
【0022】
また、車載装置に対して速度情報の加工内容を指定する加工要求を送信する構成とすれば、携帯端末装置の処理負荷の状況に適応した頻度で速度情報を受信することが出来る。
【0023】
例えば、受信ステップにより取得した加工された速度情報によって示される移動体の速度や速度情報の受信間隔に応じて、速度パルスを間引く間隔を変更する指示を与える要求を加工要求として送信すればよい。
【0024】
また、得られた速度情報は、GPSによって算出された座標情報に対する補正に用いることで、移動体の位置を特定に利用することが出来る。
【0025】
ここで、GPS座標情報は車載装置から取得することも出来る。この場合、GPSを有する車載装置から座標情報と速度情報を取得し、座標情報を速度情報で補正して移動体の位置を特定することとなる。
【0026】
また、車載装置から取得した速度情報は、地図情報と組み合わせる所謂マップマッチングによって移動体の位置特定に利用することも出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る速度検知プログラム、位置特定プログラム、車載装置および携帯端末装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0028】
1.発明の概要
まず、図1を参照し、本発明の概要について説明する。本発明においては、車両に搭載された車載装置2と、ユーザ(例えば運転者)が所持する携帯端末1とを通信接続し、携帯端末1が車載装置2から取得した車両の速度情報を用いて現在位置を特定する。
【0029】
携帯端末1は、その内部に演算ユニット11および通信ユニット12を有する。また、車載装置2は、その内部に演算ユニット21、通信ユニット22、ディスプレイ23、スピーカ24を有する。
【0030】
演算ユニット11,21は、CPUやメモリなどで構成され、プログラムを実行することで各種の機能をソフトウェア的に実現することができる。また通信ユニット12,22は、携帯端末1と車載装置2との間を通信接続する手段である。この通信ユニット12は、有線接続であってもよいが、Bluetoothなどの近距離無線を用いることが好適である。
【0031】
ディスプレイ23およびスピーカ24は、車両乗員、特に運転者に対して表示出力および音声出力を行なう出力手段である。
【0032】
本発明では、車載装置2は、車両の車速パルスを取得し、速度情報に加工する。そして、この加工によって得られた速度情報を、通信ユニット22を介して携帯端末1に送信する。
【0033】
携帯端末1は、通信ユニット12を介して加工された速度情報を受信し、受信した速度情報から車両の車速を判定し、判定した車速を用いて位置の判定を行なう。このように携帯端末1では車両の速度を利用して位置特定処理を実行し、その結果得られた位置情報を任意のサービスに利用することが出来る。
【0034】
同図では、携帯端末1は、位置特定処理によって得られた位置情報をナビゲーション処理に利用している。また、ナビゲーション処理の出力、例えば地図表示出力や案内音声出力には、通信ユニット12,22を介して車載装置のディスプレイ23およびスピーカ24を使用している。
【0035】
本構成では、車載装置2に設けられた出力手段を利用することで、大画面や大音量で出力を行なうことができる。また、位置特定処理やナビゲーション処理などの処理については携帯端末側で行なうこととしている。これによって、車載装置2のコストを抑えることができ、また、その演算能力に対して非常に安価で、かつ多くのユーザが所持していると期待できる携帯電話などの携帯端末を有効に利用することが可能である。特に運転者が所持する携帯電話を用いれば、運転中は本来の主機能である通話機能が使われないので余剰リソースを有効活用できる。
【0036】
ここで、携帯端末1は、位置特定を高精度に行なうため車両の速度を通信によって車載装置2から取得しているが、車載装置2での車速の測定は、タイヤの回転速度に比例して発生する車速パルスを検知している。しかし、この車速パルスは、例えばタイヤの一回転あたり4パルス発生し、時速60kmでは40Hz程度の連続信号となる。
【0037】
高頻度のパルス信号を直接携帯端末1が常時取り込むとすると、携帯端末1で受信にかかる処理負荷が大きくなり、消費電力も高くなる。また、携帯端末1と車載装置2と無線接続する場合には、消費電力をすべて携帯端末1のバッテリで賄う必要があるため、消費電力の問題はさらに重要となる。
【0038】
そのため、本発明では、車載装置2が携帯端末での処理負荷を考慮して車速パルスを加工し、加工前の速度パルス周期以下の頻度で携帯端末1に送信することで、携帯端末1が速度情報を受信する際に必要な処理負荷を軽減し、消費電力を削減している。このように、車速パルスを加工して送受信することで、速度情報の取得に要する負荷を軽減する点に本発明の主たる特徴がある。
【0039】
2.本発明の構成例
つづいて、図2を参照し、本発明の主要な機能構成について説明する。既に述べたように、本発明における機能要素は、その一部をソフトウェア的に実現可能であるが、同図に示した構成では、その機能をハードウェア、ソフトウェアのいずれで実現するかは適宜選択可能である。
【0040】
同図に示す様に、車載装置2は、その内部に車速パルス取得部41、通信処理部42、および速度情報加工部43を有する。車速パルス取得部41は、車両から車速パルスを取得し、速度情報加工部43に出力する。
【0041】
速度情報加工部43は、携帯端末1に送信する速度情報を車速パルスから作成する。この加工の具体例を図3に示す。車速パルスはその周波数が速度に比例しており、速度が上昇するに従ってパルス間隔が短く(周波数が高く)なる。同図では、車速パルスの間隔t10は、速度上昇後により短い間隔t11となっている。
【0042】
そこで、パルスを間引くとともに、その間引き率についての情報を付加する間引き加工を行なうと、パルスの間隔を開けつつ速度の上昇を示すことができる。同図に示した例では、車速パルスの間隔t20から速度が上昇した場合に、車速パルスを2分の1に間引いてパルス間隔をt21とすると共にパルスの数を増やし(この例では2分の1に間引いているのでパルス数を2にし)、携帯端末がパルス数C21を計数することとで、もとのパルス間隔が分かるようにしている。
【0043】
車速パルスの間隔は、車速が高くなるほど短くなるので、間引き率を車速変化に応じて変化させるようにしてもよい。例えば、車速が時速40km以上ならば間引き率を2分の1、車速が時速80km以上ならば間引き率を3分の1とする。車速パルスの間引きの仕方は、車速変化に応じて間引くだけでなく、例えば、車速パルスの間隔の短さに応じて間引いても構わない。この場合には、例えば、車速パルスの間隔が所定の時間よりも短くなった場合には、予め定めた率(パルス間隔が短くなるほど間引き率を大きくするように定めた間引き率)で間引くことが考えられる。また、加工後の車速パルスの間隔が一定になるように、間引き率を適応的に変更しても構わない。
【0044】
さらに、車速が低く、車速パルスの間隔が十分に長い場合(例えば車速が時速40km未満である場合)には、車速パルスを加工せずにそのまま携帯端末1に送信してもよい。
【0045】
また、車速情報を規定の形式で記述したデータとして送信しても良い。この場合、加工後の速度情報である速度データとその送信間隔には関連が無いので、車載端末から一定の間隔(同図では間隔t30)で送信することが出来る。
【0046】
この車載装置2から携帯端末1への速度情報の送信は、車載装置2内部の通信処理部42によって行なわれる。
【0047】
携帯端末1は、その内部に位置特定処理部31、通信処理部32、GPSユニット33を有する。通信処理部32は、車載装置2から速度情報を受信し、位置特定処理部31に出力する。また、GPSユニット33は、GPS人工衛星と通信し、現在の座標を算出して出力する。
【0048】
位置特定処理部32は、その内部にGPS座標情報取得部31a、位置判定部31b、車速情報取得部31c、車速判定部31dを有する。GPS座標情報取得部31aは、GPSユニット33から座標情報を取得する処理を行なう。また、車速情報取得部31cは、通信処理部32を介して車速装置から加工された速度情報を取得する処理を行なう。
【0049】
車速判定部31dは、加工された速度情報から車両の移動速度を判定する処理を行なう。例えば、間引き加工された速度情報を受信した場合には、受信した情報から間引き加工前の車速パルスを復元し、車両の移動速度を求めることができる。また、速度自体をデータとして取得した場合には、その情報を読み出すことで速度を取得することが出来る。
【0050】
位置判定部31bは、GPS座標情報取得部31aが取得した座標情報に対して、車両の速度から算出できる移動距離による補正をおこなって現在位置を判定し、位置情報として出力する。
【0051】
つづいて、図4を参照し、携帯端末1および車載装置2の処理動作を説明する。同図に示す処理動作は、携帯端末1および車載装置2のメイン処理として、もしくはその一部として繰り返し実行することが好適である。
【0052】
まず、携帯端末1は、GPSを用いて座標情報を算出する(ステップS101)。続いて、車載装置2から加工された速度情報を受信し(ステップS102)、受信した速度情報から車速を求める(ステップS103)。その後、GPSから得られた座標情報を車速を元に算出可能な移動距離で補正し(ステップS104)、位置情報として出力する(ステップS105)。なお、出力した位置情報は、既に述べたように車両用ナビゲーションやドライブレコーダなど任意のサービスに利用することができる。
【0053】
車載装置2は、まず車速パルス取得部41が車速パルスを取得し(ステップS201)、速度情報加工部43が車速パルスを加工して携帯端末1に送信する速度情報を作成し(ステップS202)、通信処理部42が速度情報を携帯端末1に送信する(ステップS203)処理を繰り返す。
【0054】
以上説明してきたように、本実施例にかかる携帯端末1および車載装置2は、車載装置2が車両から車速パルスを取得し、携帯端末での処理負荷を考慮して車速パルスを加工し、加工前の速度パルス周期以下の頻度で携帯端末1に送信することで、携帯端末1が速度情報を受信する際に必要な処理負荷を軽減し、消費電力を削減している。
【0055】
3.本発明の変形例
本実施例に示した構成および動作はあくまでも一例であり、本発明は適宜変形して実施することが可能である。ここでは、本発明の他の実施形態を図5〜図7を参照して説明する。
【0056】
図5は、位置の特定にマップマッチングを用いる場合の構成例である。同図では、携帯端末50は、その内部に位置特定処理部51を有し、位置特定処理部51はさらに地図情報取得部51a、マップマッチング処理部51b、車速情報取得部31cおよび車速判定部31dを有している。
【0057】
地図情報取得部51aは、携帯端末内から、もしくは車載装置2や図示しないセンタから、地図情報を取得する処理を行なう。そして、マップマッチング処理部51bは、地図情報取得部51aが取得した地図情報と車速判定部31dが判定した車速情報(車速情報から算出可能な移動距離)とを用いてマップマッチングを行ない、現在位置を特定する。
【0058】
その他の構成および動作は、図2に示した携帯端末2と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、図2に示した構成と組み合わせ、GPSによる座標算出とマップマッチングとを共に使用する構成としても実施可能である。
【0059】
図6は、速度情報以外の情報を車載装置から取得する場合の構成例である。同図では、車載装置70は、その内部に車速パルス取得部41、通信処理部42、速度情報加工部43に加え、GPSユニット71、操舵情報取得部72、加速度センサ73、方位センサ74をさらに有する。
【0060】
GPSユニット71は、GPS人工衛星と通信し、現在の座標を算出して出力する。また、操舵情報取得部72はハンドルの操作状態などを取得し、加速度センサ73は車両にかかる加速度を、方位センサ74は車両の向きを、それぞれ取得して出力する。
【0061】
通信処理部42は、速度情報に加え、GPS座標情報、操舵情報、加速度情報、方位情報を携帯端末60に送信する。
【0062】
従って、携帯端末60の位置特定処理部61は、GPS座標情報取得部61aがGPS座標情報を通信処理部32から取得する。また、位置判定部31bは、GPS座標情報、車速情報に加え、操舵情報、加速度情報、方位情報を用いて現在位置を判定する。
【0063】
このように、GPS座標情報を車載装置から取得すれば、GPS機能を持たない携帯端末であっても本発明を適用可能である。また、操舵情報などの情報をさらに取得して使用することで、位置捕捉の精度を向上することが出来る。
【0064】
なお、ここで、操舵情報、加速度情報、方位情報を利用する場合を例に説明を行なったが、このうちの一部のみを利用しても良いし、また他の情報を利用することも可能であることは言うまでもない。
【0065】
図7は、車載装置90による車速パルスの加工内容を携帯端末80が指定する場合の構成例である。携帯端末80は、位置特定処理部81の内部に速度情報加工要求部81aさらに有するほかは、図2に示した携帯端末と同一である。
【0066】
速度情報加工要求部81aは、車速判定部31dの判定結果に基づいて、車載装置90に対して速度情報の可能内容、例えばどの程度の間引き率で車速パルスを間引くかを指定して要求する処理を行なう。
【0067】
もしくは、速度情報加工要求部81aは、車速情報取得部31cが取得する加工された速度情報の受信間隔(加工された車速パルスの間隔)の短さに応じて、どの程度の間引き率で間引くかを決定しても構わない。この場合には、例えば、受信した加工された車速パルスの間隔が所定の時間よりも短くなった場合には、予め定めた率(パルス間隔が短くなるほど間引き率を大きくするように定めた間引き率)で間引くよう指定することが考えられる。
【0068】
車載装置90の速度情報加工部91は、通信処理部42を介して速度情報に介する加工内容に基づいて車速パルスを加工し、携帯端末に送信する。
【0069】
このように、携帯端末側から加工内容や速度情報の送信頻度を指定して速度情報を取得することで、携帯端末80の負荷状態に応じた頻度で速度情報を取得することが出来る。
【0070】
(付記1)移動体に搭載される車載装置上で動作する速度検知プログラムであって、該車載装置に
前記移動体の移動速度に依存して周期が変化する速度パルスを取得する速度パルス取得ステップと、
前記速度パルスを加工して加工速度情報を作成する速度情報加工ステップと、
前記加工速度情報を携帯端末に送信する送信ステップと、
を実行させることを特徴とする速度検知プログラム。
【0071】
(付記2)前記速度情報加工ステップは、前記速度パルスを間引くとともに、該間引き加工に関する情報を付加して加工速度情報を作成することを特徴とする付記1に記載の速度検知プログラム。
【0072】
(付記3)前記速度情報加工ステップは、前記速度パルスによって示される移動体の速度または前記速度パルスの間隔に基づいて前記間引き加工の間引き率を変化させることを特徴とする付記2に記載の速度検知プログラム。
【0073】
(付記4)前記速度情報加工ステップは、前記速度パルス周期が所定値以上である場合に選択的に前記間引き加工を行なうことを特徴とする付記3に記載の速度検知プログラム。
【0074】
(付記5)前記速度情報加工ステップは、前記携帯端末から加工内容の指定を受け付け、当該指定に基づいて前記加工速度情報を作成することを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の速度検知プログラム。
【0075】
(付記6)携帯端末上で動作する位置特定プログラムであって、該携帯端末に
移動体に搭載された車載装置と近距離通信し、前記車載装置によって加工された速度情報を取得する受信ステップと、
前記取得した加工された速度情報から前記移動体の移動速度を判定する速度判定ステップと、
前記移動速度を用いて前記移動体の位置を特定する位置特定ステップと、
を実行させることを特徴とする位置特定プログラム。
【0076】
(付記7)前記加工された速度情報は、前記速度パルスを間引くとともに、該間引き加工に関する情報を付加して作成された情報であることを特徴とする付記6に記載の位置特定プログラム。
【0077】
(付記8)前記車載装置に対して前記速度情報の加工内容を指定する加工要求を送信する送信ステップをさらに含んだことを特徴とする付記6または7に記載の位置特定プログラム。
【0078】
(付記9)前記加工要求は、前記受信ステップにより取得した加工された速度情報によって示される移動体の速度、または、前記速度情報の受信間隔に応じて、前記速度パルスを間引く間隔を変更する指示を与える要求であることを特徴とする付記8に記載の位置特定プログラム。
【0079】
(付記10)前記位置特定ステップは、GPSによって算出された座標情報に対して前記移動速度による補正を行なって前記移動体の位置を特定することを特徴とする付記6〜9のいずれか一つに記載の位置特定プログラム。
【0080】
(付記11)前記受信ステップは、前記座標情報をさらに前記車載装置から取得し、前記位置特定ステップは、前記車載装置から取得した座標情報を用いて前記移動体の位置を特定することを特徴とする付記10に記載の位置特定プログラム。
【0081】
(付記12)前記位置特定ステップは、地図情報と前記移動速度とを組み合わせて前記移動体の位置を特定することを特徴とする付記6〜9のいずれか一つに記載の位置特定プログラム。
【0082】
(付記13)移動体に搭載される車載装置であって、
前記移動体の移動速度に依存して周期が変化する速度パルスを取得する速度パルス取得手段と、
前記速度パルスを加工して加工速度情報を作成する速度情報加工手段と、
前記加工速度情報を携帯端末に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【0083】
(付記14)前記速度情報加工手段は、前記速度パルスを間引くとともに、該間引き加工に関する情報を付加して加工速度情報を作成することを特徴とする付記13に記載の車載装置。
【0084】
(付記15)前記速度情報加工手段は、前記速度パルスによって示される移動体の速度または前記速度パルスの間隔に基づいて前記間引き加工の間引き率を変化させることを特徴とする付記14に記載の車載装置。
【0085】
(付記16)前記速度情報加工手段は、前記速度パルス周期が所定値以上である場合に選択的に前記間引き加工を行なうことを特徴とする付記15に記載の車載装置。
【0086】
(付記17)前記速度情報加工手段は、前記携帯端末から加工内容の指定を受け付け、当該指定に基づいて前記加工速度情報を作成することを特徴とする付記13〜16のいずれか一つに記載の車載装置。
【0087】
(付記18)移動体に搭載された車載装置と近距離通信し、前記車載装置によって加工された速度情報を取得する通信手段と、
前記取得した加工された速度情報から前記移動体の移動速度を判定する速度判定手段と、
前記移動速度を用いて前記移動体の位置を特定する位置特定手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
【0088】
(付記19)前記加工された速度情報は、前記速度パルスを間引くとともに、該間引き加工に関する情報を付加して作成された情報であることを特徴とする付記18に記載の携帯端末装置。
【0089】
(付記20)前記通信手段は、前記車載装置に対して前記速度情報の加工内容を指定する加工要求を送信することを特徴とする付記18または19に記載の携帯端末装置。
【0090】
(付記21)前記加工要求は、前記通信手段により取得した加工された速度情報によって示される移動体の速度、または、前記速度情報の受信間隔に応じて、前記速度パルスを間引く間隔を変更する指示を与える要求であることを特徴とする付記20に記載の携帯端末装置。
【0091】
(付記22)前記位置特定手段は、GPSによって算出された座標情報に対して前記移動速度による補正を行なって前記移動体の位置を特定することを特徴とする付記18〜21のいずれか一つに記載の携帯端末装置。
【0092】
(付記23)前記通信手段は、前記座標情報をさらに前記車載装置から取得し、前記位置特定手段は、前記車載装置から取得した座標情報を用いて前記移動体の位置を特定することを特徴とする付記22に記載の携帯端末装置。
【0093】
(付記24)前記位置特定手段は、地図情報と前記移動速度とを組み合わせて前記移動体の位置を特定することを特徴とする付記18〜21のいずれか一つに記載の携帯端末装置。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上のように、本発明にかかる速度検知プログラム、位置特定プログラム、車載装置および携帯端末装置は、車載端末装置と連携した携帯端末装置による位置捕捉に有用であり、特に低処理負荷で高精度な位置捕捉の実現に適している。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の概要について説明する説明図である。
【図2】本発明にかかる携帯端末および車載装置の概要構造を説明する概要説明図である。
【図3】車速パルスの加工について説明する説明図である。
【図4】図2に示した携帯端末および車載装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】マップマッチングによる位置特定を行なう場合の構成例について説明する説明図である。
【図6】車速情報以外の情報を車載装置から取得する場合の構成例について説明する説明図である。
【図7】車速の加工内容を携帯端末が指定する場合の構成例について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0096】
1,50,60,80 携帯端末
2,70,90 車載装置
11,21 演算ユニット
12,22 通信ユニット
23 ディスプレイ
24スピーカ
31,51,61,81 位置特定処理部
31a,61a GPS座標情報取得部
31b 位置判定部
31c 車速情報取得部
31d 車速判定部
32,42 通信処理部
33,71 GPSユニット
41 車速パルス取得部
43,91 速度情報加工部
51a 地図情報取得部
51b マップマッチング処理部
72 操舵情報取得部
73 加速度センサ
74 方位センサ
81a 速度情報加工要求部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載される車載装置上で動作する速度検知プログラムであって、該車載装置に

前記移動体の移動速度に依存して周期が変化する速度パルスを取得する速度パルス取得ステップと、
前記速度パルスを加工して加工速度情報を作成する速度情報加工ステップと、
前記加工速度情報を携帯端末に送信する送信ステップと、
を実行させることを特徴とする速度検知プログラム。
【請求項2】
前記速度情報加工ステップは、前記速度パルスを間引くとともに、該間引き加工に関する情報を付加して加工速度情報を作成することを特徴とする請求項1に記載の速度検知プログラム。
【請求項3】
前記速度情報加工ステップは、前記速度パルスによって示される移動体の速度または前記速度パルスの間隔に基づいて前記間引き加工の間引き率を変化させることを特徴とする請求項2に記載の速度検知プログラム。
【請求項4】
携帯端末上で動作する位置特定プログラムであって、該携帯端末に
移動体に搭載された車載装置と近距離通信し、前記車載装置によって加工された速度情報を取得する受信ステップと、
前記取得した加工された速度情報から前記移動体の移動速度を判定する速度判定ステップと、
前記移動速度を用いて前記移動体の位置を特定する位置特定ステップと、
を実行させることを特徴とする位置特定プログラム。
【請求項5】
前記車載装置に対して前記速度情報の加工内容を指定する加工要求を送信する送信ステップをさらに含んだことを特徴とする請求項4に記載の位置特定プログラム。
【請求項6】
前記位置特定ステップは、GPS(Global Positioning System)によって算出された座標情報に対して前記移動速度による補正を行なって前記移動体の位置を特定することを特徴とする請求項4または5に記載の位置特定プログラム。
【請求項7】
移動体に搭載される車載装置であって、
前記移動体の移動速度に依存して周期が変化する速度パルスを取得する速度パルス取得手段と、
前記速度パルスを加工して加工速度情報を作成する速度情報加工手段と、
前記加工速度情報を携帯端末に送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項8】
移動体に搭載された車載装置と近距離通信し、前記車載装置によって加工された速度情報を取得する通信手段と、
前記取得した加工された速度情報から前記移動体の移動速度を判定する速度判定手段と、
前記移動速度を用いて前記移動体の位置を特定する位置特定手段と、
を備えたことを特徴とする携帯端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−190870(P2008−190870A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22224(P2007−22224)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】