説明

遠隔監視方法及びそのシステム

【課題】 監視場所が山間部や海上等のような場所であっても、事犯行為の発生直後に事犯処理のための行動を迅速にとり、監視効果の顕著な向上を達成することができ、かつ、関連メンテナンス業務等の省力化が図れるようにする。
【解決手段】 動体検知センサー16の検知動作に基づいて監視場所に配置された高感度カメラ11により撮影し、その撮影された画像データを画像圧縮伝送装置12で圧縮した後、衛星携帯電話回線を通じてインターネットサーバ24にeメールの形で伝送し、このインターネットサーバ24からインターネット27を経由して、例えば警察署、関係市町村、健康福祉センター等の複数関係機関に音声告知を伴って伝送することで、事犯行為の発生を即座に再生表示させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現今の大きな社会問題となっている環境犯罪・廃棄物不正処理、例えば産業廃棄物の不法投棄やダイオキシンの発生を伴う野焼き等の悪質な環境破壊行為、あるいは、海上の養殖生簀の盗難などの遠隔監視に適用される遠隔監視方法及びそのシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】上記のような環境犯罪・廃棄物不正処理、あるいは、海上の養殖生簀の盗難などの不法不正行為(以下、事犯行為という)は、一般的に人気の非常に少ない山間部や海上等の遠隔地で、かつ、夜間に行われることが多い。このような場所、時間帯で起きる可能性の高い事犯行為を遠隔監視するにあたって、従来では、監視すべき場所の屋外にビデオカメラを設置し、このビデオカメラにより監視場所の画像を連続的に撮影し、かつ、記録する一方、監視場所を定期的あるいは不定期的に巡回しているパトロール車等が事犯行為のあった事実を発見したり、現場の調査により事犯行為が疑わしいと判断されたりした場合、ビデオカメラの記録映像を再生し検証して事犯行為に関与した人物や車両等を割り出しする手段が一般的に採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のごとくビデオカメラにより監視場所の画像を連続撮影し記録し、かつ、再生し検証する従来の遠隔監視方法及びシステムでは、たとえ映像中に不法不正行為に関与した人物や車両等(以下、事犯関与物という)が記録されていたとしても、事犯行為の発生時点からその事犯関与物の割り出しまでに相当長い時間がかかり、そのとき既に事犯関与物は既に逃走した後であり、その事犯関与物の手配あるいは捜査など事犯処理のための行動が迅速性を欠き、事犯行為の取締りの面からみて的確な監視効果を挙げることができないという問題があった。
【0004】また、従来の遠隔監視及びシステムにおいては、ビテオカメラを使用するためにその電源である蓄電池を、例えば毎日一回といったように、短いサイクルで頻繁に交換する必要があり、ビデオカメラを設置する監視場所が広い範囲に亘って複数箇所に散在しているような場合、蓄電池の交換など監視機能を正常に保つための関連メンテナンス業務等にも多大な手間を要するという問題もあった。
【0005】本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、山間部や海上等のような場所を監視対象とする場合であっても、事犯行為の発生直後に事犯処理のための行動を迅速にとることができて、監視効果の顕著な向上を達成することができ、しかも関連メンテナンス業務等に対する省力化を図ることができる遠隔監視方法及びそのシステムを提供することを主たる目的としている。
【0006】本発明の他の目的は、昼夜を問わず高い監視機能を発揮し、かつ、維持することができるすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記主たる目的を達成するために、本発明の請求項1に係る遠隔監視方法は、監視場所に配置されたカメラ撮影手段を、該監視場所の撮影すべき瞬間に撮影タイミング生成手段により発生される撮影タイミング信号に応答して撮影動作させ、この撮影手段の撮影動作により得られた画像データをデータ圧縮手段により圧縮した後、その圧縮画像データを、電話回線を含む通信手段を介してインターネットサーバに伝送するとともに、このインターネットサーバからインターネット経由でeメールの形で複数箇所に伝送することを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の請求項6に係る遠隔監視システムは、監視場所に配置されたカメラ撮影手段と、監視場所の撮影すべき瞬間に撮影タイミング信号を発生する撮影タイミング生成手段と、この撮影タイミング生成手段で発生された撮影タイミング信号に応答して撮影動作するカメラ撮影手段から出力される画像データを圧縮する画像データ圧縮手段と、その圧縮画像データをインターネットサーバに伝送する電話回線を含む通信手段と、インターネットサーバからインターネットを経由してeメールの形で複数箇所に伝送するeメール配信手段と、上記カメラ撮影手段、画像データ圧縮手段及び圧縮画像データの伝送に必要な電源を供給する電源供給手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】上記のような特徴を有する請求項1及び請求項6に係る本発明によれば、監視場所の撮影領域内の所定範囲に、例えば人物や車両等の動体が進入するなどした瞬間に撮影タイミング生成手段により発生される撮影タイミング信号に応答してカメラ撮影手段が撮影動作され、これにより得られた画像データ(静止画)は圧縮された後、その圧縮画像データが電話回線を含む通信手段を介して直ちにインターネットサーバに伝送されるとともに、このサーバからインターネットを経由してeメールの形で、この種の事犯行為の検挙活動や行政的措置等に関係している機関、例えば警察署、関係市町村、健康福祉センター、パトカー、パトロール車等の複数箇所に伝送されることになる。このようにeメールの形で伝送されてくる画像データを複数の関係機関においてインターネットブラウザで事犯行為とほぼリアルタイムに近い状態で閲覧(再生表示)し確認して、事犯関与物の割り出し、手配あるいは捜査など事犯処理のための対策及び行動を迅速にとることが可能であり、この種の事犯行為の取締りに対して有効性を発揮する的確な監視効果を達成することができる。
【0010】特に、従来のビデオカメラのような連続的な撮影ではなく、撮影タイミング信号に応答して必要な時にのみ間欠的に撮影するので、画像データ量が少ない上に、その画像データを圧縮して伝送することにより、伝送に要する時間も短くなり、さらに、動画でなく静止画を伝送することにより、昼夜を問わず鮮明な画像が得られ、これらの相乗によっても、上述のような事犯行為の取締りに頗る有効な監視効果を達成することができる。
【0011】上記した本発明に係る遠隔監視方法及びそのシステムにおいて、請求項2及び請求項7に記載のように、圧縮画像データを受信するインターネットサーバにより事犯行為の発生やその発生場所等に対応する音声信号をeメールに貼り付けてインターネット経由で関係機関の複数箇所に伝送することにより、関係機関の複数箇所では、データ受信と同時に事犯行為の発生やその場所の音声告知を受けることが可能で、事犯処理のための行動をより迅速に、かつ、無駄なく適切にとることができる。
【0012】また、上記した本発明に係る遠隔監視方法及びそのシステムにおける通信手段の電話回線としては、監視場所の立地条件等に対応して請求項3及び請求項8に記載のように、衛星携帯電話回線、地上波携帯電話回線、PHS回線及びISDN回線の中から選択された1つを使用する。例えば山間部や海上等のように、一般電話回線やPHS回線が敷設されてなく、かつ、地上波携帯電話回線では電波が正常に届かない場所を監視対象とする場合は、衛星携帯電話回線を使用する。この場合は、伝送スピードが4.8kbpsで最初に撮影された画像データが1〜3分遅れで伝送されるといったように、伝送速度が少し遅いけれども、新たに電話回線やPHS回線を敷設する必要がなくてシステムの低コスト化を図りつつ、所定の監視機能を発揮させることができる。
【0013】また、一般電話回線やPHS回線は敷設されてないが、地上波携帯電話回線の電波が正常に届く場所を監視対象とする場合は、伝送スピードが9.6kbpsで最初に撮影された画像データが1〜2分遅れで伝送されるといったように、衛星携帯電話回線よりも伝送速度が少し速くなる地上波携帯電話回線を使用する。この場合は、データ圧縮手段となる画像データ圧縮伝送装置に無線携帯カードを挿入することにより実現可能で、システムの一層の低コスト化が図れるとともに、画像送信時間・インターバル、ネットワーク情報の設定、パスワード・ユーザー認証の設定、画像データの配信先の指定等の動作設定をインターネットに接続されたパソコンからの簡単な遠隔操作で実現することができる。
【0014】一方、一般電話回線やPHS回線が敷設されている場所を監視対象とする場合は、伝送スピードが64kbpsと非常に速いISDN回線やPHS回線を使用する。このうち、ISDN回線の場合は、画像データ圧縮伝送装置にモデムカードを挿入し、かつ、PHS回線の場合は、画像データ圧縮伝送装置にPHSカードを挿入することにより実現可能で、伝送速度の増進及びシステムコストの低減を図ることができる。
【0015】また、上記した本発明に係る遠隔監視方法及びそのシステムにおけるカメラ撮影手段として、請求項4及び請求項9に記載のように、高感度カメラと監視場所の照度が所定値以下になったことを検知する照度センサーの検知動作に基づいて電源投入されて高感度カメラと同期動作する近赤外線ライトとを併用することが望ましい。この場合は、高感度カメラが設置されている屋外の監視場所の照度が所定値以下になったとき、照度センサーの検知動作に基づいて電源投入される近赤外線ライトが高感度カメラの撮影動作に同期して動作することになるため、事犯行為が最も多く行われる反面、被写体照度の低下に伴う撮影障害により鮮明な画像が得にくくなる夜間等においても、事犯行為者に気付かれることなく、鮮明な画像を得ることができ、昼夜を問わず事犯行為の発生直後の事犯処理に有効な監視機能を発揮させることができる。
【0016】さらに、上記した本発明に係る遠隔監視方法及びそのシステムにおいて、カメラ撮影手段、画像データ圧縮手段及び圧縮画像データの伝送に必要な電源供給手段として、請求項5及び請求項11に記載のように、太陽電池による電源供給手段を用いることによって、事犯行為の発生率が高い反面、一般電源の供給が困難あるいは不可能な立地条件下にある監視場所を監視対象とする場合においても、特別な電源工事等を施工する必要がなく、システムコストの低減を図りつつ、所定の監視機能を発揮させることができる。
【0017】殊に、太陽電池による電源供給手段を使用する監視システムにおいて、請求項13に記載のように、画像データ圧縮装置には常時電源を供給する一方、上記カメラ撮影手段及び電話回線には撮影タイミング信号に応答して電源を供給し、かつ、圧縮画像データの伝送が完了した一定時間後には電源を開放する電源制御手段を設けた構成を採用することにより、立ち上がり及び処理動作に時間のかかる画像データ圧縮装置にのみ常時電源を供給し、立ち上がりに余り時間を要しない他のカメラ撮影手段及び電話回線には撮影タイミング信号が入力されたとき以外、電源供給を停止することで、全体として画像データの伝送速度は速く保ちながらも、電力消費をできるだけ軽減する省電化が可能で、太陽電池パネル自体を大型化、大容量化しなくても、小型、小容量の太陽電池パネルで十分に必要電力を賄うことができ、システムの低コストを図ることができる。
【0018】さらにまた、請求項6に係る本発明の遠隔監視システムにおいて、撮影タイミング生成手段が、請求項10に記載のように、カメラ撮影手段による撮影領域内の所定範囲に動体が進入したことを検知する動体検知センサーの検知動作及び予め設定された一定時間毎に定期的に動作するタイマーの出力動作に対応して撮影タイミング信号を出力するように構成されている場合は、撮影領域内の所定範囲に事犯関与物である動体の進入に伴う異常検知信号(撮影タイミング信号)の出力によって、監視場所の撮影、画像データの圧縮、圧縮画像データの伝送といった所定どおりの監視動作が発揮されるだけでなく、例えば一日に2回など設定された一定時間毎に動作するタイマーの出力動作に対応する撮影タイミング信号の出力によっても、監視場所の撮影、画像データの圧縮、圧縮画像データの伝送が行われ、この伝送により監視場所の状況変化やシステムの動作診断を行うことが可能で、遠隔監視システムの健全性を容易に確認することができる。
【0019】なお、本発明システムにおける動体検知センサーとしては、赤外線センサー等の人感検知センサーと高感度マイク等の音感検知センサーとを併用することが望ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る遠隔監視システムの構成を示すブロック図であり、監視すべき場所には、カメラ撮影手段1と撮影タイミング信号を発生する撮影タイミング生成手段2と、撮影された画像データを圧縮してeメールの形で伝送する画像圧縮伝送装置12と、衛星携帯電話13及び太陽電池による電源供給手段3が配置されている。
【0021】一方、監視場所の遠隔位置には、上記衛星携帯電話13に対応し衛星携帯電話回線を構成する移動通信網22と、この移動通信網22に接続された固定の公衆電話網23と、この固定公衆電話網23に接続されたインターネット27と、このインターネット27の特定箇所に接続されたインターネットサーバ24及び警察署、関係市町村、健康福祉センターなどのように事犯行為の検挙活動や行政的措置等に関係している複数機関に設置されてそれぞれ上記インターネット27に接続されたユーザーパソコン25…が配置されている。
【0022】上記カメラ撮影手段1は、監視領域内の所定範囲を撮影するのに適するように焦点距離、露光条件、撮影角度等を調整して配置され、かつ、カラー/白黒切換え機能を搭載し1台で24時間の監視に対応する高感度カメラ11とその監視領域の照度が所定値以下になったことを検知する照度センサー15とこの照度センサー15の検知動作に基づいて電源投入されて図2に示すように、高感度カメラ11に同期して点灯し、画像圧縮伝送装置12のキャプチャー(画像取込み)が終了すると消灯し、かつ、eメール伝送が終了すると再び点灯するといったように点灯と消灯を繰り返す近赤外線ライト14とから構成されている。
【0023】上記撮影タイミング生成手段2は、高感度カメラ11による撮影(監視)領域内の所定範囲に動体である事犯関与物(人物や車両等)が進入したか否かを検知するように監視場所の道路付近に設置される動体検知センサー、具体的には、図3に示すように、赤外線センサー等を利用した人感セーサー16A及び高感度マイク等を利用した音感センサー16BをOR回路16Cで接続するとともに、1秒の遅延回路16Dを有する動体検知センサー16と、予め設定された一定時間毎に定期的(例えばAM10時、PM14時)に動作するタイマー18とをOR回路29で接続し、上記動体検知センサー16の検知動作及びタイマー18の出力動作に対応して異常検知信号S1と定期点検信号S2との二種の撮影タイミング信号を出力するように構成されている。
【0024】上記太陽電池による電源供給手段3は、太陽光を受光して発電する太陽電池パネル21と、小型シールの鉛蓄電池19と、太陽発電パネル21による発電電力の充放電量を制御する充放電コントローラー20とから構成されており、鉛蓄電池19に充電された電力を夜間の電源供給源として使用する。
【0025】上記画像圧縮伝送装置12は、高感度カメラ11が撮影した画像データを圧縮(たとえばJPEG)した上で、その圧縮画像データ、予め設定されているeメールアドレス及び撮影年月日、曜日、時刻を時系列にeメールに貼り付けて自動ダイヤリングによりインターネット27に接続されインターネット27に伝送するものである。なお、この画像圧縮伝送装置12のeメールアドレスは50文字まで設定可能であり、3〜4箇所に同時にeメール配信することが可能である。
【0026】上記画像圧縮伝送装置12はその起動に時間がかかる一方、高感度カメラ11は電源が供給されてから2〜3秒で撮影画像が現れ、かつ、衛星携帯電話13は電源が供給されてから6〜7秒で通信可能である。これらを考慮して、画像圧縮伝送装置12には上記太陽電池による電源供給手段3から常時電源を供給するとともに、高感度カメラ11及び衛星携帯電話13に対しては、図4のタイムチャートで明示するように、上記二種の撮影タイミング信号S1,S2が入力された後の所定時間t1、例えば5秒後にカメラ撮影・画像圧縮・伝送を開始し、かつ、画像圧縮伝送装置12による圧縮画像データの伝送が完了した一定時間t2、例えば180秒(3分)後にタイマーを介して電源を開放するように動作する電源制御装置(シーケンサ)17が、太陽電池による電源供給手段3から各部11,12,13への電源供給系に設けられている。
【0027】なお、上記電源制御装置17及びタイマーは、ハードウェア回路によって実現可能であるが、マイクロコンピュータを用いソフトウェアとしても実現可能であり、いずれにしても、電力消費の軽減による省電化によって太陽電池による電源供給手段3自体の小型化、低コスト化を図りやすい。また、動体検知センサー16の検知動作から、例えば1秒程度の時間t3が経過した後に異常検知信号S1が出力されるような遅延時間を設定することにより動体検知センサー16の誤動作を排除することが可能である。
【0028】また、上記インターネット27の特定箇所に接続されたサーバ24は、上記画像圧縮伝送装置12からインターネット27上に配信されるeメールを受信して圧縮画像データを蓄積するとともに、圧縮画像データの撮影場所を判別して、その判別した撮影場所(監視場所)等の音声信号を貼り付けてインターネット27経由で複数のユーザーパソコン25…に伝送する。
【0029】さらに、各ユーザーパソコン25…では、インターネット27経由でサーバ24から伝送されるeメールの受信に伴い、サーバ24で貼り付けられた音声告知が行われる。その音声告知の方法としては、パソコン25…に付属しているスピーカで告知する方法とパソコン25…より接点出力またはシリアル通信(RS−232C)で音声合成報知器から別置きスピーカで告知する方法とがある。
【0030】さらにまた、パトカーおよび不法投棄等の監視パトロール車にモバイル型パソコンを搭載しておき、このモバイル型パソコンでeメールを受信させるようにしておけば、パトカーおよび不法投棄等の監視パトロール車に居ながらにして監視場所の画像を見ることも可能である。
【0031】次に、以上のような構成の遠隔監視システムによる一連の監視動作手順について図5及び図6のフローチャートを参照して簡単に説明する。図5のフローチャートは撮影、画像データの圧縮及び伝送の一連の動作手順を示すものであって、監視場所の所定範囲内に事犯関与物(人物や車両等)が進入したことを動体検知センサー16が検知し(ステップS31)、その検知時間T0 が設定時間t3(例えば1秒)継続して異常検知信号S1が出力された場合(ステップS32)及び予め設定されている一定時間毎に定期的(例えばAM10時、PM14時)に動作するタイマー18から定期点検信号S2が出力された場合(ステップ33)、異常検知動作がセットされる(ステップS34)。
【0032】この異常検知動作がセットされると、太陽電池による電源供給手段3から電源制御装置17を経て高感度カメラ11及び衛星携帯電話13に電源が投入(供給)され(ステップS35)、その供給時間T1 が所定時間t1(例えば5秒)を超えたならば(ステップS36)、高感度カメラ11の撮影及び画像圧縮装置12による画像データの圧縮を開始するとともに、その圧縮画像データをeメールに貼り付けて衛星携帯電話13、移動通信網22、固定公衆電話網23を経てインターネット27に伝送される(ステップS37〜S39)。これらステップS37〜S39は上記異常検知信号S1がリセットされる(ステップS40)まで繰り返えされる。
【0033】そして、異常検知信号S1がリセットされた後の経過時間T2 が所定時間t2(例えば3分)を超えたならば(ステップS41)、上記高感度カメラ11及び衛星携帯電話13の電源が開放される(ステップS42)。ここで、異常検知信号S1がリセットされて電源が開放されるまでの時間T4 が所定時間t4(例えば20分)を超えるか否かを判定し(ステップS43)、超えていない場合は一連の動作が終了され、超えている場合はシステムに異常が発生していることが考えられるため、高感度カメラ11、衛星携帯電話13、動体検知センサー16の電源が開放された後、動体検知センサー16の電源が再投入される(ステップS44)。
【0034】以上説明した撮影、画像データの圧縮及び伝送の一連の動作手順は、昼間など監視場所の照度が一定以上の場合であって、監視場所で屋外で、かつ、夜間等のように、被写体照度Eが一定値(例えば10ルックス)以下に低下した場合(ステップS45)、照度センサー15の出力信号を受けて近赤外線ライト14に電源が投入されるとともに、該近赤外線ライト14が高感度カメラ11の撮影動作に同期して動作される(ステップS46,S47)。この近赤外線ライト14の動作は、図2のタイムチャートで示すとおり、異常検知信号S1がセットされると、電源投入されて点灯し、撮影可能な照度に達するまでの所定時間(例えば2秒)後に画像圧縮伝送装置12をキャプチャー(画像取込み)させ、このキャプチャーが終了すると消灯し、eメールの伝送が終了すると再度点灯して上記同様にキャプチャーさせ、キャプチャーが終了すると再度消灯するといったように、異常検知信号S1がリセットされる(ステップS48)まで点灯と消灯を繰り返す。そして、異常検知信号S1がリセットされたならば、近赤外線ライト14の電源が開放される(ステップS49)。
【0035】一方、図6のフローチャートは、eメール伝送の一連の伝送及び処理手順を示すものであって、画像圧縮伝送装置12で圧縮された撮影画像データにeメールアドレス及び撮影年月日、曜日、時刻を時系列に貼り付けたeメールが衛星携帯電話回線及び固定公衆電話網23を経てインターネット27に配信される(ステップS51,S52,S53)。インターネット27上に特定箇所に接続されたインターネットサーバ24はそのeメールを受信し、その受信したeメールから圧縮画像データの撮影場所等を判別するとともに、次々と伝送されてくるeメールを蓄積する(ステップS54〜S56)。
【0036】そして、判別した撮影場所(監視場所)等の音声信号を貼り付けてインターネット27を経由しeメールの形で複数のユーザーパソコン25…に伝送(配信)する(ステップS57〜S58)。このeメールを受信したユーザーパソコン25…では、サーバ24で貼り付けられた撮影場所(監視場所)等が音声で告知されるとともに、圧縮画像データが再生され画面表示される(ステップS59〜S61)。
【0037】以上説明した一連のeメール伝送及びその処理によって、ユーザーパソコン25…が設置されている警察署、関係市町村、健康福祉センターなどのような事犯行為の検挙活動や行政的措置等に関係している複数の機関では、事犯発生直後に直ちに事犯関与物の割り出しや対応策を立てて、パトカーや監視パトロール車等を出動させるなど事犯処理のための迅速な行動をとることができる。
【0038】なお、上記の実施の形態では、圧縮画像データのeメール伝送に衛星携帯電話回線を使用するものについて説明したが、監視場所の立地条件や既存の電話回線の整備状況によっては、地上波携帯電話回線を使用しても、PHS回線やISDN回線を使用してもよい。
【0039】また、電源供給手段としても、太陽電池による電源供給手段に限らず、通常一般的な電源設備が整備されていれば、それを利用してもよいこともちろんである。
【0040】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、監視場所の撮影領域内の所定範囲に事犯関与物が進入するなどした瞬間にカメラ撮影手段により撮影された画像データを圧縮して直ちにインターネットを経由してeメールの形で、例えば警察署、関係市町村、健康福祉センター、パトカー、パトロール車等の複数の関係機関に伝送させて、それら複数の関係機関において事犯行為とほぼリアルタイムに近い状態で閲覧(再生表示)し確認することができるので、事犯関与物の割り出し、手配あるいは捜査など事犯処理のための対策及び行動を迅速にとることができる。
【0041】しかも、従来のビデオカメラのような連続的な撮影ではなく、必要な時にのみ間欠的に撮影するので、画像データ量が少ない上に、その画像データを圧縮伝送するので、伝送に要する時間も非常に短く、さらに、動画でなく静止画の伝送であるから、昼夜を問わず鮮明な画像が得られ、これらが相乗じて、上述のような事犯行為の取締りに頗る有効な監視効果を達成することができるという効果を奏する。
【0042】特に、請求項2及び請求項7に記載のように、インターネットサーバで事犯行為の発生やその発生場所等に対応する音声信号をeメールに貼り付けてインターネット経由で複数の関係機関に伝送する手段を用いることにより、画像データ受信と同時に事犯行為の発生やその場所の音声告知を受けることができ、事犯処理のための行動をより迅速に、かつ、適切に行うことができる。
【0043】また、請求項4及び請求項9に記載のように、高感度カメラと近赤外線ライトとを併用する手段を用いることにより、事犯行為が最も多く行われる反面、被写体照度の低下に伴う撮影障害により鮮明な画像が得にくくなる夜間等においても、事犯行為者に気付かれることなく、鮮明な画像を得ることができ、昼夜を問わず事犯行為の発生直後の事犯処理に有効な監視機能を発揮させることができる。
【0044】さらに、請求項5及び請求項11に記載のように、太陽電池による電源供給手段を用いることにより、例えば山間部や海上等のように事犯行為の発生率が高い反面、一般電源の供給が困難あるいは不可能な立地条件下にある監視場所を監視対象とする場合でも、特別な電源工事等を施工する必要がなく、システムコストの低減を図りつつ、所定の監視機能を発揮させることができる。
【0045】殊に、太陽電池による電源供給手段を使用する監視システムにおいて、請求項13に記載のように、立ち上がり及び処理動作に時間のかかる画像データ圧縮装置にのみ常時電源を供給し、立ち上がりに余り時間を要しない他のカメラ撮影手段及び電話回線には撮影タイミング信号が入力されたとき以外、電源供給を停止するといった手段を採用することにより、全体として画像データの伝送速度は速く保ちながらも、省電化が可能で、太陽電池パネル自体の大型化、大容量化が不要で小型、小容量の太陽電池パネルで十分に必要電力を賄うことができ、システムの低コストを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遠隔監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】同システムにおける高感度カメラ、近赤外線ライト、画像圧縮伝送装置及びeメール伝送の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図3】動体検知センサーの一例を示す回路図である。
【図4】太陽電池による電源供給手段からの電源供給及び電源開放の動作タイミングを説明するタイミングチャートである。
【図5】監視動作のうち、撮影、画像データの圧縮及び伝送の一連の動作手順を示すフローチャートである。
【図6】監視動作のうち、eメール伝送の一連の伝送および処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 カメラ撮影手段
2 撮影タイミング生成手段
3 電源供給手段
11 高感度カメラ
12 画像圧縮伝送装置
13 衛星携帯電話
14 近赤外線ライト
15 照度センサー
16 動体検知センサー
17 電源制御装置
18 タイマー
19 鉛蓄電池
20 充放電コントローラ
21 太陽電池パネル
22 移動通信網
23 固定公衆電話網
24 インターネットサーバ
25 ユーザーパソコン
27 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 監視場所に配置されたカメラ撮影手段を、該監視場所の撮影すべき瞬間に撮影タイミング生成手段により発生される撮影タイミング信号に応答して撮影動作させ、この撮影手段の撮影動作により得られた画像データをデータ圧縮手段により圧縮した後、その圧縮画像データを、電話回線を含む通信手段を介してインターネットサーバに伝送するとともに、このインターネットサーバからインターネット経由でeメールの形で複数箇所に伝送することを特徴とする遠隔監視方法。
【請求項2】 上記インターネットサーバでは、圧縮画像データの受信に伴い音声信号をeメールに貼り付けてインターネット経由で複数箇所に伝送する請求項1に記載の遠隔監視方法。
【請求項3】 上記電話回線として、衛星携帯電話回線、地上波携帯電話回線、PHS回線及びISDN回線の中から選択された1つを使用する請求項1に記載の遠隔監視方法。
【請求項4】 上記カメラ撮影手段として、高感度カメラと監視場所の照度が所定値以下になったことを検知する照度センサーの検知動作に基づいて電源投入されて高感度カメラに同期動作する近赤外線ライトとを併用する請求項1ないし4のいずれかに記載の遠隔監視方法。
【請求項5】 上記カメラ撮影手段、画像データ圧縮手段及び圧縮画像データの伝送に必要な電源供給手段として、太陽電池による電源供給手段を使用する請求項1ないし5のいずれかに記載の遠隔監視方法。
【請求項6】 監視場所に配置されたカメラ撮影手段と、監視場所の撮影すべき瞬間に撮影タイミング信号を発生する撮影タイミング生成手段と、この撮影タイミング生成手段で発生された撮影タイミング信号に応答して撮影動作するカメラ撮影手段から出力される画像データを圧縮する画像データ圧縮手段と、その圧縮画像データをインターネットサーバに伝送する電話回線を含む通信手段と、インターネットサーバからインターネットを経由してeメールの形で複数箇所に伝送するeメール配信手段と、上記カメラ撮影手段、画像データ圧縮手段及び圧縮画像データの伝送に必要な電源を供給する電源供給手段とを備えていることを特徴とする遠隔監視システム。
【請求項7】 上記インターネットサーバは、圧縮画像データの受信に伴い音声信号をeメールに貼り付けてインターネット経由で複数箇所に伝送するように構成されている請求項6に記載の遠隔監視システム。
【請求項8】 上記電話回線が、衛星携帯電話回線、地上波携帯電話回線、PHS回線及びISDN回線の中から選択された1つである請求項6に記載の遠隔監視システム。
【請求項9】 上記カメラ撮影手段が、高感度カメラと監視場所の照度が所定値以下になったことを検知する照度センサーの検知動作に基づいて電源投入されて高感度カメラに同期動作する近赤外線ライトとから構成されている請求項6ないし8のいずれかに記載の遠隔監視システム。
【請求項10】 上記撮影タイミング生成手段が、カメラ撮影手段による撮影領域内の所定範囲に動体が進入したことを検知する動体検知センサーの検知動作及び予め設定された一定時間毎に定期的に動作するタイマーの出力動作に対応して撮影タイミング信号を出力するように構成されている請求項6ないし9のいずれかに記載の遠隔監視システム。
【請求項11】 上記電源供給手段が、太陽電池による電源供給手段から構成されている請求項6ないし10のいずれかに記載の遠隔監視システム。
【請求項12】 上記太陽電池による電源供給手段が、太陽電池パネルにより発電し、充放電コントローラーを通して鉛畜電池に充電するように構成されたものである請求項11に記載の遠隔監視システム。
【請求項13】 上記画像データ圧縮装置には常時電源を供給する一方、上記カメラ撮影手段及び電話回線には撮影タイミング信号に応答して電源を供給し、かつ、圧縮画像データの伝送が完了した一定時間後には電源を開放する電源制御手段が設けられている請求項12または13に記載の遠隔監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2003−85677(P2003−85677A)
【公開日】平成15年3月20日(2003.3.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−276662(P2001−276662)
【出願日】平成13年9月12日(2001.9.12)
【出願人】(000220882)東光精機株式会社 (42)
【Fターム(参考)】