説明

配管内部検査システム及び方法

【課題】配管内部を視覚的に確認可能とする。
【解決手段】配管内部検査システムは、洗浄対象配管内部の洗浄水で流されるカプセル、リーダ、情報処理装置を有する。カプセル内部には、洗浄対象配管内部を連続的に撮影する撮影装置、撮影装置からの画像データ及びその撮影時刻が蓄えられる記録装置、電源装置、洗浄対象配管内の各リーダと通信するタグが封入されている。各リーダは、カプセルが通過するごとに、タグとの通信時刻をカプセル通過時刻として保存する。情報処理装置は、起点とするリーダとその隣のリーダの各カプセル通過時に対応する撮影時刻の撮影画像データの間の一連の撮影画像データと第1のリーダとの間の距離を、一連の撮影画像データのうちの、連続する撮影画像データが表す撮影画像間の変化に基づき求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、プラント運行前等に配管内部を視覚的に確認する技術に係り、特に、配管内部の位置をより精度良く特定可能な配管内部検査システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラント等の配管は、アルカリ水または純水を、配管内で循環させてから屋外の洗浄用プールに放出することにより洗浄される。これにより、配管内の汚れ及び異物が除去される。
【0003】
ところで、特許文献1には、カメラピグに搭載されたカメラで配管の内部を撮影することによって配管の欠陥を検知する技術が記載されている。この技術によれば、配管内をカメラピグが進行している間、カメラによる撮影画像と時計の出力(撮像時刻)の画像とが画像合成装置により合成され、合成後の画像データが記録装置に格納される。その一方において、配管のランチャ及びレシーバの外壁に装着された加速度センサで、カメラピグが各配管溶接部を通過する際の振動(打撃による振動)が検出されると、その検出時刻、すなわち、各配管溶接部の通過時刻が記録される。配管の欠陥が撮影されたときには、その撮影画像に画像として記録された撮像時刻と各配管溶接部の通過時刻との照合により、その欠陥が発生した配管溶接部を特定する。
【0004】
また、特許文献2には、配管内を走行するピグの位置を配管外部から検知するための技術が記載されている。この技術によれば、アンテナを有するピグロケータが配管の点検口等に設置され、このピグロケータのアンテナで、配管内のピグの電磁波発信器から発信される電磁波を検出する。ピグロケータで検出される、電磁波の強度が最大になったときに、そのピグロケータの真下をピグが通過したと判断する。
【0005】
【特許文献1】特開2002−257515号公報
【特許文献2】特開2001−235089号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載の技術では、配管溶接部と配管溶接部との間の位置(すなわち、打撃位置以外の位置)におけるカメラピグの通過を検知することが困難である。このため、配管溶接部と配管溶接部との間については、撮影画像の撮影位置を特定することが困難である。同様に、特許文献2記載の技術でも、ピグロケータの配置位置以外の位置におけるピグの通過を感知することが困難である。
【0007】
ところが、洗浄処理後の配管内部の確認においては、その観察位置をより詳細に特定可能であることが望まれる。
【0008】
そこで、本発明は、配管内の観察位置をより精度良く特定可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
プラントの配管内部を検査する配管内部検査システムであって、
前記配管の内部を撮影するための撮影装置と記録装置とRFIDタグとを有し、前記配管の内部を洗浄するための液体とともに前記配管の内部を進行するカプセルと、
前記配管の内部の位置に設けられ、前記カプセルが通過するごとに、前記RFIDタグとの通信を行い、当該通信を行った時刻に関する第1の通過時間情報を保持する第1のリーダと、
前記配管の内部の、前記第1のリーダと異なる位置に設けられ、前記カプセルが通過するごとに、前記RFIDタグとの通信を行い、当該通信を行った時刻に関する第2の通過時間情報を保持する第2のリーダと、
情報処理装置と、
を備え、
前記撮影装置は、前記カプセルの進行中、前記配管の内部を撮影し、当該撮影により得られた画像データ及び当該撮影の時刻に関する撮影時間情報を前記記録装置に保存し、
前記情報処理装置は、
前記記録装置から前記画像データ及び前記撮影時間情報を、前記第1のリーダから前記第1の通過時間情報を、前記第2のリーダから前記第2の通過時間情報を取得するデータ取得手段と、
前記撮影時間情報のなかから、前記第1及び第2の通過時間情報に対応する撮影時間情報を検索し、当該検索により得られた2つの撮影時間情報が示す時刻の間の時刻を示す撮影時間情報に対応付けられた一連の画像データの各画像データの撮影位置と前記第1のリーダとの間の距離を、当該一連の画像データのうちの、連続する画像データが表す撮影画像間の変化に基づき算出する位置算出手段と、
を備えることを特徴とする配管内部検査システムを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配管内の観察位置をより精度よく特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る実施形態について説明する。
【0012】
まず、本実施の形態に係る配管内部検査システム及びこれが適用可能な配管洗浄設備の概略構成について説明する。ここでは、プラントの一例として原子力発電所を挙げる。
【0013】
図1に示すように、このプラントは、原子炉建屋12、タービン建屋10を有している。プラント建設時、原子炉建屋12またはタービン建屋10内の配管・機器を洗浄するための洗浄設備が設けられる。原子炉建屋12またはタービン建屋10に据え付けられた配管・機器は系統単位に洗浄されるが、ここでは、タービン建屋10内の配管・機器を洗浄対象とする場合を例に挙げる。
【0014】
この配管洗浄設備には、(1)洗浄対象配管11の洗浄に用いられる水が蓄えられるタンク17、(2)洗浄に使用された洗浄水が排出される仮設排水プール16、(3)洗浄対象配管11の一方の接続口フランジ11Aと仮設排水プール16とに連結された第1の仮設配管14A、(4)タンク17内の水を洗浄対象配管11に適当な流速(例えば、2m/s以上)で供給し、洗浄対象配管11を通過した後の洗浄用水を仮設排水プール16に排出させる複数の仮設ポンプ13、(5)第1の仮設配管14Aから分岐し、仮設ポンプ13を介して、洗浄対象配管11の他方の接続口フランジ11Bに連結された第2の仮設配管14B、(5)第1及び第2の仮設配管14A,14Bの各部に設けられた開閉バルブ、を有している。なお、各仮設ポンプは、洗浄対象配管11側に仮設ストレーナ15、洗浄水タンク17側に開閉バルブを有している。
【0015】
このような配管洗浄設備により、タンク17から供給された水を、洗浄対象配管11内で循環させ、洗浄終了後に排水プール16に排出させることができる。
【0016】
一方、配管内部検査システムには、図3に示すように、洗浄対象配管11内部の水で流される流線型のRFIDタグ搭載カプセル21、洗浄対象配管11に適当な間隔で設けられた座32,33から洗浄対象配管11内部に挿入されたリーダ34、情報処理装置(不図示)、を有している。洗浄作業時にリーダ34を取り付ける座32,33としては、例えば、温度計等を取り付ける座、予備座等の既存の座を利用することができる。ただし、洗浄対象配管11内における洗浄水の流れ及びカプセル200の進行を妨げないように、座32,33内部の空間から各リーダ34を突出させすぎないことが好ましい。
【0017】
カプセル21は密閉されており、その内部には、図2に示すように、洗浄対象配管11内部を連続的に撮影するための撮影装置(小型デジタルカメラまたは小型ビデオカメラ)23、洗浄対象配管11内の各リーダ34と通信するRFIDタグ22、撮影装置23からの撮影画像データとその撮影時刻が蓄えられる着脱可能な記憶装置24、撮影装置23等に電源を供給する内蔵電源25、が封入されている。なお、撮影装置23として小型デジタルカメラを用いる場合には、洗浄対象配管11内部が適当な距離おきに撮影されるように、例えば、洗浄水の流速が速いほどシャッター間隔を短くする等、洗浄水の流速(すなわち、カプセル21の移動速度)を考慮してシャター間隔を設定することが望ましい。
【0018】
さらに、カプセル21の外周には、水中でカプセル21を安定な姿勢で推進させるための水中翼26が複数枚形成されている。カプセル21は、これらの水中翼26によって、水中の流れによるその回転が防止されるため、安定な姿勢で洗浄対象配管11内部を推進してゆくことができる。
【0019】
このような構成により、カプセル21は洗浄対象配管11内部を安定した姿勢で進行し、その間、カプセル21に搭載された撮影装置23が、洗浄対象配管11内部を撮影しながら、得られた撮影画像データとその撮影時刻とを逐次記憶装置24に蓄積してゆく。なお、記憶装置24は、洗浄対象配管内部を循環した後に回収されたカプセル21から取り出され、情報処理装置に装着される。これにより、蓄積された撮影画像データ及びその撮影時刻が記憶装置24から情報処理装置に読み込まれる。
【0020】
各リーダ34は、例えば洗浄対象配管11の内部側に向けたアンテナコイルを有しており、このアンテナコイルの通信範囲をカプセル21が通過するごとに、カプセル21内のRFIDタグ22からタグID信号を受信し、その受信時刻をカプセル通過時刻として保存する。ここで、カプセル通過時刻を情報処理装置に転送するため、情報処理装置と各リーダは接続されている。なお、カプセルと同様、着脱可能な記憶装置にカプセル通過時刻が保存され、その記憶装置から情報処理装置がカプセル通過時刻を読み出してもよい。
【0021】
このような構成により、リーダ34が、カプセル21内のRFIDタグ22からのタグID受信によりカプセル21の通過を検知することができため、カプセル21は、洗浄対象配管11内を進行中に打撃音を発生させる必要がない。このため、洗浄対象配管11内部にカプセルを接触させる必要がなく、洗浄対象配管11内部を傷つける可能性をより低減させることができる。
【0022】
情報処理装置は、カプセルの進行中、洗浄対象配管11内の撮影により逐次得られる撮影画像データ及びその撮影時刻が保存される一方で、洗浄対象配管11に配置された各リーダ34におけるカプセル通過時刻が保存されるため、それらの情報(一連の撮影画像データ、それらの撮影時刻、各リーダ34におけるカプセル通過時刻)に基づいて、各撮影画像データを撮影したときのカプセル位置(以下、撮影画像データの撮影位置)を特定する。それを実現するため、情報処理装置は、図4に示す機能構成を実現する。
【0023】
情報処理装置は、装着された記憶媒体(例えば、回収されたカプセルの撮影装置から取り外された記憶装置24等)からデータを読み出すデータ読出部48、撮影画像データの撮影位置の算出に必要なデータが格納されるデータ記憶部46、データ記憶部46内の格納データに基づき撮影画像データの撮影位置を算出する撮影位置算出部45、撮影位置算出部45の算出結果及びデータ記憶部46内の格納データに基づき表示装置上に確認用画面41を表示させる表示処理部47、を実現する。ここでは、洗浄対象配管100の設計データ(3D−CADデータ)、カプセル11内の記憶装置に蓄積された撮影画像データ及びその撮影時刻、各リーダ34におけるカプセル通過時刻が、データ読出部48により外部記憶装置から読み出され、撮影画像データの撮影位置の算出に必要なデータとしてデータ記憶部46に格納されていることとする。
【0024】
なお、情報処理装置は、ハードディスクからメモリにプログラムをロードし、これを実行可能な通常のコンピュータとしてのハードウエア構成を有するものであり、図4に示した機能構成は、プログラムの実行により実現される。
【0025】
この情報処理装置が実行する撮影位置算出処理の説明に先立ち、この撮影位置算出処理に利用される、カプセル進行距離の算出原理について説明しておく。
【0026】
撮影画像データの撮影時刻と各リーダ34におけるカプセル通過時刻との対応付けにより、一連の撮影画像データのなかから、各リーダ34の配置位置で得られた撮影画像データを取り出すことができる。その他の各撮影画像データ(2つのリーダの間の位置で撮影された撮影画像データ)については、以下のように、他の撮影画像データとの比較により、その撮影位置が算出可能である。
【0027】
図5において、符号51は時刻(t-1)における撮影画像を示し、符号52は時刻(t)における撮影画像を示している。また、符号53は撮影画像51内のICタグを示し、符号54は撮影画像52内のICタグを示している。図5に示すように、移動中のカプセル21の撮影装置23で、異なる時刻に撮影された2つの画像を比較すると、同一対象物であっても、その画像内での大きさ、すなわち対象物の画素数が異なる。ここで、カメラの縦方向画角をθ、カメラの縦方向の全画素数をP、対象物の実長をD、画像内の対象物の画素数をpicとすると、対象物までの距離をLは、以下の数式(1)により表わされる。
【0028】
L=(P/pic)・(D/tanθ) … (1)
ここで、ICリーダの設置間隔およびその実長は既知であり、常に画像内に最低1つは映るように設置するものとし、図5でいう対象物は、ICリーダであるものとする。なお、複数のICリーダが画像内に映っていても、一番近くのICリーダが最も大きく映るため、遠方のICリーダは隠れてしまう。従って、常に1つのICリーダが画像内には、存在するものとする。
【0029】
次に、図6を用いて、カプセルの位置を算出する手順を説明する。まず、撮影位置算出部45は、起点リーダ34の通過時に、位置の初期化(X=0)をし(S600)、定数として、カメラ画角(θ)、カメラ画像内の縦方向画素(P)、ICタグの実長(D)と(S601)、初めのICタグまでの距離(L)をデータ記憶部46から読込む(S602)。次に、時刻(t)において、得られた画像を二値化処理し(S603)、ICタグ長さの画像内の画素数(pic)を算出する(S604)。さらに、その画素数(pic)を用い、進行距離(ΔL)を以下の数式(2)により、算出する(S605)。
【0030】
ΔL=L−(P/pic)・(D/tanθ) … (2)
上記ΔLを用い、現在位置を更新(X+ΔL→X)し、記録する(S606)。それと同時に、ICタグまでの距離も更新し(L−ΔL→L)し、記録する(S607)。なお、ICタグを通過した際は、次のICタグまでの距離(L)を読込み(S608)、以上の作業を繰り返す。
【0031】
このようにして、各リーダと、その対応区間内の各撮影位置との間の距離情報が得られたら、表示処理部47は、それらの距離情報に基づき、配管内部の様子を確認するための図4の確認用画面41を表示装置に表示する。
【0032】
この確認用画面41内にはカプセル位置表示部42と撮影画像表示部43とが含まれている。
【0033】
表示処理部47は、データ記憶部46から撮影画像データを撮影時刻順に順次読み出し、それらの撮影画像データが表す配管内部画像を撮影画像表示部43内に順次表示する。
【0034】
また、表示処理部47は、データ記憶部46から3D−CADデータを読み出し、この3D−CADデータに基づき、各座の位置(各リーダ34の位置)45が示された配管経路図44をカプセル位置表示部42内に表示する。
【0035】
さらに、表示処理部47は、表示中の撮影画像データに対応付けられた距離情報及びリーダ識別情報をデータ記憶部46から読み出し、これらの情報に基づき、表示中の撮影画像データの撮影位置に関する情報を、この配管経路図44上に表示する。ここでは、リーダ識別情報が示すリーダの位置から、距離情報が示す距離だけ離れた位置(表示中の撮影画像データの撮影位置)の座標情報を算出し、この座標情報48を表示するとともに、この座標情報に対応する、配管経路図44上の位置にカプセル位置アイコン47を表示する。さらに、ここでは、配管経路図44上の、カプセル位置アイコン47を挟む2つのリーダ間の区間に、カプセル存在区間アイコン46も表示する。
【0036】
これにより、ユーザは、撮影画像表示部43内の撮影画像により配管内部の様子を目視で確認しながら、カプセル位置表示部42内の配管経路図44上におけるアイコン46,47の位置等から、表示中の撮影画像の撮影位置を目視で把握することができる。したがって、例えば、図4に示したように、仮に表示中の撮影画像内に異物の画像49が含まれていた場合には、ユーザは、配管経路図44上のアイコン46,47の位置及び座標情報48から、洗浄対象配管内部における、その異物の位置を一目で精度よく把握することができる。このため、ユーザは、すみやかに、洗浄対象配管から異物を除去するための対策をとることができる。
【0037】
このように、本実施の形態に係る撮影位置算出処理によれば、隣り合う2つのリーダの間に位置する撮影装置で撮影された撮影画像データも、その撮影位置(撮影時における撮影装置の位置)を特定し、それを、ユーザに提示することができる。このため、ユーザは、撮影画像データの参照によって配管内部を観察している間に、その位置も、より精度良く把握することができる。
【0038】
ところで、以上においては、撮影画像の特徴間距離(ICタグの縦方向画素数)が撮影位置に応じて変化することを利用して、各撮影画像の撮影位置を算出しているが、かならずしも、このようにする必要はない。例えば、測定対象物にスリット光を照射し、測定対象物の表面に形成される線状パターンの位置から、測定対象物と撮影装置との間の距離を算出してもよい。
【0039】
以下、図7及び図8により、そのようにする場合について説明する。ただし、図2のカプセルを用いる上述の場合との相違点を主として説明し、共通点については説明を省略する。
【0040】
図7に示すように、この場合に用いられるカプセル71には、図2に示したカプセル21の構成に加え、さらに、画素の行方向(図8のX方向)の線状に整形されたレーザ光をカプセル進行方向Mに向けて出射するスリットレーザ光源72が内蔵されている。このスリットレーザ光源72は、図8に示すように、画素の列方向(Y方向)に適当な間隔dだけ撮影装置23から離れた位置に配置されている。このスリットレーザ光源72には、撮影装置23等に電源を供給する内蔵電池25’から電源が供給されている。その他の構成は、図2に示したカプセル21と同様である。
【0041】
図8に示すように、このレーザ光が測定対象物83に照射されると、その表面にはX方向の線状パターン84が形成される。撮影画像85に、X方向に沿う仮想的な中心線87を定義し、この中心線87と線状パターン84の画像(線状パターン画像)86との間の画素数をpic1、撮影画像85のY軸方向画素数の半値をpic2、撮影装置23のY方向の視野角をαとおくと、撮影装置23から測定対象物83までの距離Lは、以下の数式(3)により表される。
【0042】
L=(d/tan(α/2))・(pic2/pic1) … (3)
そこで、情報処理装置は、撮影画像データのpic1と数式(3)とから距離Lを求め、この距離Lと直前の撮影画像データから求めた距離Lとの差分△Lをカプセル進行距離として算出して、その加算値を、リーダ34から撮影位置までの距離として算出する。
【0043】
なお、Lは必ずしも算出可能ではなく、画像内に線状パターンが投影されない場合もあるため、線状パターンが投影される間のみ移動距離を算出する。
【0044】
具体的には、前述のS600〜S602において、情報処理装置は、特徴点抽出及び特徴点間隔Dの算出の代わりに、処理対象データからの線状パターン画像86の抽出、線状パターン画像86のN点と中心線87との間の画素数pic1の算出、数式(3)による距離Lの算出・保存を実行する。また、繰り返し実行されるS604〜S611のうちのS604〜609において、処理対象データからの線状パターン画像86の抽出、線状パターン画像86のN点と中心線87との間の画素数pic1の算出、数式(3)による距離Lの算出・保存、処理対象データから求めた距離Lと1つ前の撮影画像データから求めた距離Lとの差分(カプセル進行距離)ΔLの算出を実行する。そのほかについては前述の場合と同様な処理が実行され、最終的には、図4の表示画面と同様な表示画面がユーザに提示される。このため、前述の場合と同様な効果を得ることができる。
【0045】
また、カプセルに加速度センサを搭載し、その出力を利用して、各撮影画像の撮影位置を算出してもよい。以下、そのようにする場合について説明する。ただし、図2のカプセルを用いる上述の場合との相違点を主として説明し、共通点については説明を省略する。
【0046】
図9に示すように、この場合に用いるカプセル91には、加速度を検出するアンプ内蔵加速度センサ92が内蔵され、この加速度センサ92の検出データは記憶装置24’に保存される。ここでは、低周波の動きも検出する直流応答型センサを、この加速度センサ92として用いている。そして、この加速度センサ92には、撮影装置23等に電源を供給する内蔵電池25’’から電源が供給される。その他の構成は、図2に示したカプセル21と同様である。
【0047】
加速度センサ92は、重力成分も検出するため、重力成分Gpを除去する必要がある。3D−CADデータを得られる、水平面からの配管の傾斜をθ、重加速度をGとおくと、この重力成分Gpは、以下の数式(4)により表される。
【0048】
Gp=G・sinθ … (4)
加速度センサの出力信号Aとすると、リーダ34からのカプセル進行距離Lは、以下の数式(5)により表される。
【0049】
L=∫∫(A−Gp) … (5)
なお、重積分時間は、リーダ34を通過してから現在位置までとする。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係る配管内部検査システム及びこれが適用可能な配管洗浄設備の概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るRFIDタグ搭載カプセルの内部構成を示した図である。
【図3】洗浄対象配管の部分断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る表示画面を示した図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る、カプセル進行距離の算出原理を説明するための図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る、カプセル進行距離の算出処理のフローチャートである。
【図7】本発明の第二の実施形態に係るカプセルの内部構造を示した図である。
【図8】図7のカプセルを用いた場合における、カプセル進行距離の算出原理を説明するための図である。
【図9】本発明の第三実施形態に係る、カプセルの内部構造を示した図である。
【符号の説明】
【0051】
10:タービン建屋、11…洗浄対象配管、12:原子炉建屋、13:仮設ポンプ、14A,14B:仮設配管、15:仮設ストレーナ、16:仮設排水プール、17:タンク、21,71,91:カプセル、22:RFIDタグ、23:撮影装置、24,24’:記憶装置、25,25’,25’’:内蔵電池、26:水中翼、32:座、33:予備座、34:リーダ、72:スリットレーザ光源、92:加速度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントの配管内部を検査する配管内部検査システムであって、
前記配管の内部を撮影するための撮影装置と記録装置とRFIDタグとを有し、前記配管の内部を洗浄するための液体とともに前記配管の内部を進行するカプセルと、
前記配管の内部の位置に設けられ、前記カプセルが通過するごとに、前記RFIDタグとの通信を行い、当該通信を行った時刻に関する第1の通過時間情報を保持する第1のリーダと、
前記配管の内部の、前記第1のリーダと異なる位置に設けられ、前記カプセルが通過するごとに、前記RFIDタグとの通信を行い、当該通信を行った時刻に関する第2の通過時間情報を保持する第2のリーダと、
情報処理装置と、
を備え、
前記撮影装置は、前記カプセルの進行中、前記配管の内部を撮影し、当該撮影により得られた画像データ及び当該撮影の時刻に関する撮影時間情報を前記記録装置に保存し、
前記情報処理装置は、
前記記録装置から前記画像データ及び前記撮影時間情報を、前記第1のリーダから前記第1の通過時間情報を、前記第2のリーダから前記第2の通過時間情報を取得するデータ取得手段と、
前記撮影時間情報のなかから、前記第1及び第2の通過時間情報に対応する撮影時間情報を検索し、当該検索により得られた2つの撮影時間情報が示す時刻の間の時刻を示す撮影時間情報に対応付けられた一連の画像データの各画像データの撮影位置と前記第1のリーダとの間の距離を、当該一連の画像データのうちの、連続する画像データが表す撮影画像間の変化に基づき算出する位置算出手段と、
を備えることを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項2】
請求項1記載の配管内部検査システムであって、
前記位置算出手段は、
対応する1組以上の特徴点を、前記連続する画像データが表す前記撮影画像からそれぞれ抽出し、当該撮影画像間における、前記対応する特徴点間の距離の変化に基づき前記距離を算出することを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項3】
請求項1記載の配管内部検査システムであって、
前記カプセルは、さらに、レーザ光を照射するレーザ光源を有し、
前記位置算出手段は、前記連続する画像データが表す撮影画像内における、前記レーザ光の照射により物体の表面に形成されるパターンの画像の位置の変化に基づき前記距離を算出することを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項4】
プラントの配管内部を検査する配管内部検査システムであって、
前記配管の内部を撮影するための撮影装置と加速度センサと記録装置とRFIDタグとを有し、前記配管の内部を洗浄するための液体とともに前記配管の内部を進行するカプセルと、
前記配管の内部の位置に設けられ、前記カプセルが通過するごとに、前記RFIDタグとの通信を行い、当該通信を行った時刻に関する第1の通過時間情報を保持する第1のリーダと、
前記配管の内部の、前記第1のリーダと異なる位置に設けられ、前記カプセルが通過するごとに、前記RFIDタグとの通信を行い、当該通信を行った時刻に関する第2の通過時間情報を保持する第2のリーダと、
情報処理装置と、
を備え、
前記撮影装置は、前記カプセルの進行中、前記配管の内部を撮影し、当該撮影により得られた画像データと、当該撮影の時刻に関する撮影時間情報と、前記加速度センサが検出した加速度と、を前記記録装置に保存し、
前記情報処理装置は、
前記記録装置から前記画像データ及び前記撮影時間情報を、前記第1のリーダから前記第1の通過時間情報を、前記第2のリーダから前記第2の通過時間情報を取得するデータ取得手段と、
前記撮影時間情報のなかから、前記第1及び第2の通過時間情報に対応する撮影時間情報を検索し、当該検索により得られた2つの撮影時間情報が示す時刻の間の時刻を示す撮影時間情報に対応付けられた一連の画像データの各画像データの撮影位置と前記第1のリーダとの間の距離を、当該一連の画像データのそれぞれに対応付けられた加速度情報に基づき算出する位置算出手段と、
を備えることを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項5】
請求項4記載の配管内部検査システムであって、
前記位置算出手段は、前記加速度情報から、当該加速度情報に含まれる重力成分を、前記配管の傾斜角度に基づき除き、当該重力成分が除かれた前記加速度情報に基づき前記距離を算出することを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項6】
請求項1記載の配管内部検査システムであって、
前記情報処理装置は、
前記一連の画像データを、当該一連の画像データの各画像データに対応付けられた撮影時間情報が表す時刻の順に順次表示し、当該表示中の画像データの前記撮影位置を表す撮影位置情報を、当該撮影位置と前記第1のリーダとの間の前記距離とに基づき表示する表示処理手段を備える、
ことを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項7】
請求項4記載の配管内部検査システムであって、
前記情報処理装置は、
前記一連の画像データを、当該一連の画像データの各画像データに対応付けられた撮影時間情報が表す時刻の順に順次表示し、当該表示中の画像データの前記撮影位置を表す撮影位置情報を、当該撮影位置と前記第1のリーダとの間の前記距離とに基づき表示する表示処理手段を備える、
ことを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項8】
請求項6記載の配管内部検査システムにおいて、
前記表示処理手段は、
前記プラントの設計データに基づき前記配管の経路図を表示し、前記撮影位置情報として、前記表示中の画像データの撮影位置に対応する、当該経路図上の位置にアイコンを表示することを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項9】
請求項7記載の配管内部検査システムにおいて、
前記表示処理手段は、
前記プラントの設計データに基づき前記配管の経路図を表示し、前記撮影位置情報として、前記表示中の画像データの撮影位置に対応する、当該経路図上の位置にアイコンを表示することを特徴とする配管内部検査システム。
【請求項10】
プラントの配管内部を検査する配管内部検査方法であって、
前記配管の内部を撮影するための撮影装置と記録装置とRFIDタグとを有するカプセルを、前記RFIDタグと通信する第1及び第2のリーダが設けられた配管の内部に、当該配管の内部を洗浄するための液体とともに供給し、
前記カプセルが前記配管内部を進行する間、前記撮影装置が、前記配管の内部を撮影しながら、当該撮影により得られた画像データと当該撮影の時刻に関する撮影時間情報を前記記録装置に保存し、
前記第1及び第2のリーダは、前記カプセルが通過するごとに、前記RFIDタグとの通信を行い、当該通信を行った時刻に関する通過時間情報を保持し、
情報処理装置が、前記撮影時間情報のなかから、前記第1及び第2のリーダの通過時間情報に対応する撮影時間情報を検索し、当該検索により得られた2つの撮影時間情報が示す時刻の間の時刻を示す撮影時間情報に対応付けられた一連の画像データの各画像データの撮影位置と前記第1のリーダとの間の距離を、当該一連の画像データのうちの、連続する画像データが表す撮影画像間の変化に基づき算出する
を備えることを特徴とする配管内部検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−132740(P2007−132740A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324846(P2005−324846)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】