説明

配線の評価方法及び半導体装置の製造方法

【課題】比較的簡易な構成の試料を用いて、実際の配線構造に近似する状況で配線導電材料の不純物濃度を精度良く測定し、実際の配線構造に極めて近い不純物濃度の知見を得ることを可能とし、当該知見を実際の配線形成に反映させる。
【解決手段】シリコン基板1に配線溝1aを形成し、配線溝1aを配線導電材料3で埋めんで配線様構造4を形成し、試料11を作製する。この試料11を用いて、SIMS法により配線様構造4の配線導電材料3をSIMS分析する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置における配線中の不純物濃度を評価する方法、及び当該評価方法を用いた半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置、例えばCMOS−LSIに用いられる配線構造には、配線抵抗が低く、エレクトロマイグレーション(EM) 耐性及びストレスマイグレーション(SIV)耐性が高い銅(Cu)配線が採用されている。
【0003】
Cu配線は従来のAl配線とは異なり、ドライエッチングによる加工が困難である。そこでCu配線を形成するには、層間絶縁膜に、配線と接続するためのビア部を形成した後、配線を形成するための配線溝を層間絶縁膜に形成し、配線溝内にCuを埋め込む(シングル)ダマシン法や、ビア部を形成するためのビア孔内及び配線溝内を同時にCuで埋め込むデュアルダマシン法が適用されている。ここで、配線の成膜には、量産性及び製造コストの面から一般的に電解銅めっき法が採用されている。
【0004】
ダマシン法の電解銅めっき膜には、O,C,S,Cl,N等の不純物が混入しており、これら配線中の不純物の存在が、EM耐性やSIV耐性等を低下させる主因の一つであることが知られている(例えば、非特許文献1,2を参照)。
一般的なCu/Ta(TaN)配線構造(Ta(TaN)はCuの下地膜)における銅配線形成プロセスにおいては、EM耐性とSIV耐性とがトレードオフの関係にあるが、SIVの発生は主に配線を幅広に形成することに起因することが報告されている。従って、配線中の不純物濃度を把握し、更には配線幅の調節により不純物濃度を制御することが望まれる。
【0005】
【特許文献1】特開平11−23497号公報
【非特許文献1】Influence. of. Copper Purity on Microstructure and Electromigration. B. Alers, et al. (IEEE 2004)
【非特許文献2】Design of ECP Additive for 65 nm-node Technology Cu BEOL Reliability , H. Shih, et al., (ITC 2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、Cu配線導電材料の不純物濃度の評価は、試料として、基板の平坦部分の上や平坦な基板上にCu配線に見立ててCuを成膜したものを用いて、二次イオン質量分析法(SIMS)により行われる。
【0007】
これは以下の理由による。層間絶縁膜にダマシン法で形成した配線を有する、実際の配線構造と同等に形成された試料を用い、これをSIMS法で分析した場合、配線幅に比べて測定のビーム径がかなり大きいために、SIMS法により配線導電材料以外の絶縁膜材料等が二次イオンに混入する。絶縁膜材料には、分析対象である不純物と同一の元素が含まれるため、分析結果には当該元素の影響が反映されてしまう。従って、配線中の不純物濃度を精度良く分析することが著しく困難であるため、上記の試料が用いられている。
【0008】
しかしながら、上記のようにCu配線に見立ててCuを成膜した試料を用いてSIMS法で分析した場合、その不純物濃度の情報は、当該試料が実際の配線構造とは成膜様式が異なるために、実際のCu配線の不純物濃度とは異なるという問題がある。現在のところ、実際のCu配線の不純物濃度を可及的に正確に分析する手法は報告されておらず、暗中模索の現況にある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、比較的簡易な構成の試料を用いて、実際の配線構造に近似する状況で配線導電材料の不純物濃度を精度良く測定し、実際の配線構造に極めて近い不純物濃度の知見を得ることを可能とし、更には当該知見を用いて、配線中の不純物濃度を低減化し、EM耐性及びSIV耐性に優れた信頼性の高い半導体装置を製造することを可能とする、配線の評価方法及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の配線の評価方法は、シリコン基板の表面を加工して溝を形成する工程と、前記溝内に導電材料を埋め込み、配線様構造を形成する工程と、前記配線様構造が形成された前記シリコン基板を試料として、前記配線様構造の前記配線導電材料内に存する不純物の濃度を分析する工程とを含む。
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1のシリコン基板の表面を加工して溝を形成する工程と、塩素元素を含有する第1の硫酸銅めっき液を用いて、前記溝内に導電材料を埋め込み、配線様構造を形成する第1の電解めっき工程と、前記配線様構造が形成された前記第1のシリコン基板を試料として、前記配線様構造の前記導電材料内に存する不純物の濃度を分析する工程と、第2のシリコン基板上に形成された絶縁膜を加工して配線溝を形成する工程と、塩素元素を含有する第2の硫酸銅めっき液を用いて、前記配線溝内に前記導電材料を埋め込み、配線構造を形成する第2の電解めっき工程とを含み、前記第2の硫酸銅めっき液中の塩素濃度は、前記分析結果に基づき制御される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、比較的簡易な構成の試料を用いて、実際の配線構造に近似する状況で配線導電材料の不純物濃度を精度良く測定し、実際の配線構造に極めて近い不純物濃度の知見を得ることが可能となる。更には、当該知見を用いて、配線中の不純物濃度を低減化し、EM耐性及びSIV耐性に優れた信頼性の高い半導体装置を製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
−本発明の基本骨子−
本発明者は、実際の配線構造に近似する状況で、配線導電材料の不純物濃度を精度良く測定する技術を確立すべく鋭意検討した結果、本発明に想到した。
本発明では、一般的に半導体基板として汎用されている単結晶のシリコン基板を用い、このシリコン基板を実際の配線構造の配線溝を形成する層間絶縁膜に見立て、シリコン基板に配線溝を形成し、例えば下地導電膜を介して配線導電材料を埋め込み、実際の配線構造の形態に近い配線様構造を形成する。
【0014】
シリコン基板は、微細なエッチング加工が比較的容易であり、微細幅の配線溝でも容易且つ正確に形成することができる。しかも、層間絶縁膜と異なり、配線の不純物と同一の元素を含有しておらず、SIMS法による配線導電材料の分析の際に、測定される不純物濃度への影響はない。
【0015】
従って、シリコン基板に配線溝及び配線様構造を形成してなる試料を用いて、配線様構造をスパッタし、配線様構造から飛散する元素により、配線様構造の配線導電材料内に存する不純物の濃度を分析する。例えばSIMS法を用いて配線導電材料の分析を行なうことにより、実際の配線構造に近似する状況で配線導電材料の不純物濃度を精度良く測定し、実際の配線構造に極めて近い不純物濃度の知見を得ることができる。
【0016】
ここで、実際の配線構造において、層間絶縁膜の配線溝に配線を形成した後、グレインサイズを大きくして更なる抵抗低減化を図るべく、配線構造にアニール処理を施すことが多い。しかしながら、実際の配線構造と同様に、アニール処理により配線導電材料中で熱拡散した不純物の情報を得るべく、上記の配線様構造を有する試料をアニール処理すると、シリコン基板と下地導電膜とが反応して配線様構造が崩壊する懸念がある。
【0017】
そこで本発明では、所定のアニール条件、例えば150℃以上350℃以下の範囲内の温度、及び90秒間以上180秒間以下の処理時間のような比較的高温で長時間のアニール条件でアニール処理を行なう場合には、シリコン基板の配線溝の表面と下地導電膜との間に、上記の熱反応を防止するための保護膜、例えばSiN膜又はSiC膜を形成する。
但しこの場合、保護膜中で分析する不純物と同一の元素、例えばSiN膜を用いた場合にはNを、SiC膜を用いた場合にはCを、分析する不純物の対象から除外する必要がある。
【0018】
更に本発明では、上記の試料を用いた分析で得られた各種の不純物濃度の知見を、実際の配線構造の形成に適用する。即ち、上記の分析の結果に基づき、配線導電材料を調節、具体的には、配線導電材料中の前記不純物の割合を低減させる成分条件に配線導電材料を調節して、実際の配線構造を形成する。
この構成を採ることにより、配線中の不純物濃度を低減化した信頼性の高い半導体装置が実現する。
【0019】
なお、特許文献1には、シリコン基板に形成した窪みを形成し、当該窪み内に周囲に対して凹状となるように測定対象物を設け(即ち、特許文献1の図1等に明示されているように、測定対象物は窪みを埋め込まないように、測定対象物の表面がシリコン基板の表面よりも低くされる。)、測定対象物に対して斜め方向から一次イオンを照射してSIMS測定を行なう技術が開示されている。しかしながら、特許文献1の発明は、測定対象領域が周囲に比べて凹とされている場合に、優れた分解能でSIMS測定を行なうべくなされたものであって、測定対象物の特定が皆無であることに加え、窪み形状も当然に一次イオンのビーム径よりも大きい矩形状のものが図示されている。本発明は、ダマシン配線の不純物を正確に特定することを目的とするものであり、スパッタ領域のサイズ、例えばSIMS法では一次イオンのビーム径よりも著しく小さい幅の配線様構造が分析対象であり、しかもシリコン基板の配線溝を充填するように配線様構造を形成するのであって、周囲に比べて凹とされるものでもない。このように本発明は、特許文献1の発明とは目的及び構成が大きく異なる全くの別発明である。
【0020】
−本発明を適用した具体的な諸実施形態−
以下、本発明を適用した具体的な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
本実施形態では、配線の評価方法を開示する。以下、試料の作製方法、及び当該試料を用いた評価方法について順次説明する。
【0022】
[試料の作製方法]
図1は、第1の実施形態による配線の評価方法に用いる試料の作製方法について、工程順に示す概略断面図である。
先ず図1(a),(b)に示すように、シリコン基板1に配線溝1aを形成する。
詳細には、単結晶のシリコン基板1の表面をパターニングし、配線形状の配線溝1aを形成する。
【0023】
続いて、図1(c)に示すように、バリアメタル層2a及びシード層2bを順次形成する。
詳細には、シリコン基板1上に配線溝1aの内壁面を覆うように、例えばスパッタ法により、下地導電膜としてTaからなるバリアメタル層2aと、シード層2bとを順次堆積する。ここでは、バリアメタル層2aを膜厚20nm〜30nm程度に、シード層2bを膜厚40nm〜80nm程度にそれぞれ形成する。
【0024】
続いて、図1(d)に示すように、配線溝1aを配線導電材料3で埋め込む配線様構造4を形成する。
詳細には、シード層2b上に、配線溝1aを埋め込むように配線導電材料3を堆積する。配線導電材料3としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、及びマンガン(Mn)からなる群から選ばれた1種、又は前記群から選ばれた少なくとも2種の合金を含むものであり、ここでは例えばCuとする。この場合、シード層2bも同様にCuを材料として形成されており、Cuの堆積によりシード層2bと配線導電材料3とが一体化する。また、配線導電材料3の堆積法としては、物理気相成長(PVD)法、化学気相蒸着(CVD)法、原子層堆積(ALD)法、超臨界堆積法、電解めっき法、無電解めっき法のうちの少なくとも1種の方法で行なう。
【0025】
そして、配線導電材料3の表層を例えば化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)法により研磨し、表面を平坦化する。これにより、配線溝1aをバリアメタル層2aを介して配線導電材料3で埋め込んでなる配線様構造4が形成され、試料11が完成する。
【0026】
ここで、本実施形態による配線の評価方法に用いる試料の作製方法の他の例について説明する。
実際の配線構造では、層間絶縁膜の配線溝に配線を形成した後、グレインサイズを大きくして更なる抵抗低減化を図るべく、配線構造にアニール処理を施すことが多い。本例では、このアニール処理を、配線様構造を崩壊させることなく行なうべく、保護膜を形成する。
【0027】
図2は、本実施形態による配線の評価方法に用いる試料の作製方法の他の例について、主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図1(a),(b)と同様に、シリコン基板1に配線溝1aを形成する。
詳細には、単結晶のシリコン基板1の表面をパターニングし、配線形状の配線溝1aを形成する。
【0028】
続いて、図2(a)に示すように、保護膜5を形成する。
詳細には、シリコン基板1上に配線溝1aの内壁面を覆うように、例えばスパッタ法により、保護膜5としてSiN膜又はSiC膜を、例えば膜厚10nm〜30nm程度に形成する。
なお、保護膜5中で分析する不純物と同一の元素、例えばSiN膜を用いた場合にはNを、SiC膜を用いた場合にはCを、後述するようにSIMS法で分析する不純物の対象から除外する必要がある。
【0029】
続いて、図2(b)に示すように、図1(c)と同様に、保護膜5上に配線溝1aの内壁面を覆うように、例えばスパッタ法により、下地導電膜としてTaからなるバリアメタル層2aと、配線導電材料3と同一の金属からなるシード層2bとを順次堆積する。
【0030】
続いて、図2(c)に示すように、図1(d)と同様に、シード層2b上に、配線溝1aを埋め込むように配線導電材料3を堆積した後、配線導電材料3の表層をCMP法により研磨し、表面を平坦化する。これにより、配線溝1aを保護膜5及びバリアメタル層2aを介して配線導電材料3で埋め込んでなる配線様構造4が形成され、試料12が完成する。
【0031】
[試料を用いた評価方法]
以下、上記のように作製した試料11(12)を用いて、ここではSIMS法により配線導電材料3の含有する不純物を分析する。
SIMS法は、セシウムイオン(Cs+)やリチウムイオン(Li+)等の金属イオンを一次イオンに用いて、一次イオンをビーム状に試料に照射してスパッタし、試料の照射部位から飛散した二次イオンを高分解能質量分析計で検出して分析する手法である。
【0032】
なお、SIMS法の代わりに、いわゆるGDMS法を用いても良い場合がある。GDMS法では、導電性の固体試料を陰極とし、アルゴン雰囲気下で電圧を加えると正に帯電したArプラズマが生成する。このArプラズマにより試料の表面をスパッタし、放出された原子を放電プラズマ中でイオン化させ、そのイオンを高分解能質量分析計で検出する。
【0033】
(1)試料表面に対するSIMS分析
図3に示すように、Cs+を一次イオンに用いて、これをビーム状に試料11の表面に照射し、当該表面から飛散した二次イオンを検出し、配線導電材料3中の不純物を分析する。
【0034】
(2)試料裏面に対するSIMS(backside SIMS)分析
この場合、試料11のように配線導電材料3の表面を平坦化する必要はない。従って、図4(a)に示すように、図1(d)で配線導電材料3の表面研磨を施さない状態で試料13とする。
そして、図4(b)に示すように、Cs+を一次イオンに用いて、これをビーム状に試料11の裏面に、配線導電材料3の底部を削り取るまで照射し、当該表面から飛散した二次イオンを検出し、配線導電材料3中の不純物を分析する。
【0035】
backside SIMS法による試料13の分析結果を、従来法により作製した試料との比較と共に図5に示す。
ここでは、以下の3種類の試料を用意した。
サンプル1:平坦な基板上にCu配線に見立ててCuを成膜したもの
サンプル2:層間絶縁膜の配線溝に配線溝が形成された、実際の配線構造基板
サンプル3:試料13(幅70nm/70nmの1:1のL&S配線)
【0036】
各サンプル1〜3では、半導体の配線導電材料として現在のところ最も主流であるCuを電解めっき法で成膜した。めっき液は、所定量の添加剤を含む一般的なものを用い、所定の電流密度・回転条件で成膜した。
図5に示すように、不純物として酸素(O)、炭素(C)、塩素(Cl)、硫黄(S)について各サンプル1〜3について分析したところ、サンプル2では層間絶縁膜に含有された酸素(O)及びC(C)が測定に影響を与えて正確な分析結果が得られないことが判る。サンプル1ではその形態が実際の配線構造と異なるために十分な結果とは言えない。これに対してサンプル3では、その形態がサンプル1に比べて実際の配線構造に可及的に近似したものであり、各不純物濃度についての悪影響は見られず、実際の配線構造の不純物濃度に極めて近いと見なせる結果が得られたものと考えられる。
【0037】
(3)保護膜5を有しない試料11を用いた場合のアニール処理の制限
上述したように、試料11をアニール処理すると、処理条件によってはシリコン基板1とバリアメタル層2aとが熱反応し、配線様構造4が崩壊してSIMS分析が困難になる場合がある。
SIMS分析の可否は、バリアメタル層2aの成膜条件、配線様構造4の形成後のアニール温度条件、分析対象の配線幅により状況は異なる。ここでは、バリアメタル層2aを膜厚30nmのTa膜とし、配線導電材料3としてCuを用い、配線幅の異なる3種類の試料11について、各アニール条件に対するSIMS分析の可否について調べた。3種類の配線様構造4については、幅70nm/70nmの1:1のL&S配線、幅100nm/100nmの1:1のL&S配線、幅500nm/500nmの1:1のL&S配線とした。
【0038】
実験結果を図6に示す。
最も幅狭の70nm/70nmでは、250℃で90秒間の処理条件によるアニール処理までは、許容範囲であると見なせる結果が得られた。100nm/100nmでは、250℃で90秒間の処理条件によるアニール処理までは十分に分析可能であったが、275℃で90秒間の処理条件では十分な分析は困難となる。最も幅広の500nm/500nmでは、300℃で90秒間の処理条件によるアニール処理までは十分に分析可能であったが、350℃で90秒間の処理条件では配線様構造4が崩壊し、分析不可となった。
以上より、保護膜5を有しない試料11であっても、アニールの処理条件を限定すれば、実際の配線構造を形成する際のアニール処理による不純物の熱拡散について、正確な情報が得られることが確認された。
【0039】
(4)保護膜5を有する試料12を用いた場合のアニール処理の制限
続いて、保護膜5として、膜厚が20nm程度のSiN膜を有する試料12について、上記と同様にバリアメタル層2aを膜厚30nmのTa膜とし、配線導電材料3としてCuを用い、配線幅の異なる3種類の試料11について、アニール処理に対するSIMS分析の可否について調べた。3種類の配線様構造4については、幅70nm/70nmの1:1のL&S配線、幅100nm/100nmの1:1のL&S配線、幅500nm/500nmの1:1のL&S配線とした。
【0040】
実験結果を図7に示す。
この試料12では、3種類のL&S配線の全てについて、350℃で180秒間とした高温・長時間の処理条件でアニール処理を行なっても、配線様構造4には全く崩壊が確認されず、十分に分析可能であるという結果が得られた。
以上より、保護膜5を形成することにより、高温・長時間のアニール処理にも十分耐えることが判った。試料12を用いることにより、実際の配線構造を形成する際の幅広い温度範囲のアニール処理による不純物の熱拡散について、正確な情報が得られることが確認された。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較的簡易な構成の試料11〜13を用いて、実際の配線構造に近似する状況で配線導電材料3の不純物濃度を精度良く測定し、実際の配線構造に極めて近い不純物濃度の知見を得ることが可能となる。
【0042】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態で説明した配線の評価方法を適用した、半導体装置の製造方法を開示する。
本実施形態では、半導体装置を製造するに際して、第1の実施形態による配線の評価方法で得られた知見に基づき、配線導電材料の不純物濃度を制御して、配線構造を形成する。
【0043】
本実施形態における半導体装置の製造方法を説明するにあたり、当該製造方法に適用される配線導電材料の一例について説明する。
先ず、配線の評価方法で得られた、配線導電材料の各種成膜方法毎の知見について説明する。
【0044】
(1)電解めっき法により配線導電材料(Cu)を成膜した場合
ここでは、第1の実施形態で説明した作製方法で作製した試料11における配線導電材料3の各不純物濃度の値について、配線導電材料3を電解めっき法により成膜する場合において、電解めっきに用いる硫酸銅めっき液における各成分の改善条件を探索した。
【0045】
試料11としては、幅70nm/70nmの1:1のL&S配線として作製したものを用いた。測定対象の不純物は、酸素(O)、炭素(C)、塩素(Cl)、硫黄(S)である。
【0046】
実験結果を図8に示す。
ここでは先ず、第1の実施形態で説明した作製方法により、参照対象となる試料11(図8中、REFで示す。)を作製し、これを用いてSIMS法により各不純物濃度を分析した。この結果を踏まえて、硫酸銅めっき液における各成分のうち、無機成分である塩素の濃度を増加させ(50mg/l→75mg/l)、他の成分条件は変えずにCuめっき液を調節し、同様に試料11(図8中、改善条件で示す。)を作製した。この試料11を用いてSIMS法により各不純物濃度を分析したところ、不純物のうち、炭素の濃度が減少(3.0×1019atoms/cm3→2.3×1019atoms/cm3)することが確認された。また、硫黄(S)の濃度も減少(3.4×1019atoms/cm3→2.3×1019atoms/cm3)することが判った。
【0047】
(2)化学気相蒸着(CVD)法により配線導電材料(Cu)を成膜した場合
ここでは、ここでは、第1の実施形態で説明した作製方法で作製した試料11における配線導電材料3の各不純物濃度の値について、配線導電材料3をCVD法により成膜する場合において、成膜の改善条件を探索した。
【0048】
試料11としては、幅70nm/70nmの1:1のL&S配線として作製したものを用いた。ここでは、スパッタ法によりシリコン基板1の配線溝1aにTa及びTaNからなるバリアメタル層2aを膜厚5nm程度に形成し、引き続き同一のスパッタ装置内で、スパッタ法によりCuからなるシード層2bを膜厚50nm程度に形成した。その後、配線導電材料3をCuとし、シリコン基板1をCu−CVD装置に導入して、Cu−CVDにより配線溝1a内をバリアメタル層2a及びシード層2bを介してCuで埋め込んだ。
【0049】
Cu−CVDの成膜条件は、Cu(hfac)tmvs(Trimethylvinylsilyl hexafluoroacetylacetonate Cu(I) を主原料として用い、流量0.3g/min、基板温度を180℃、成膜圧力を100Paとし、キャリアガスとしてH2/Heの混合ガスを用いて600sccmの流量でCu−CVD装置に供給した。
【0050】
上記のように作製した試料11を用いてSIMS法により各不純物濃度を分析した。測定対象の不純物は、炭素(C)及び酸素(O)である。その結果、各不純物濃度は、炭素については、1×1018atoms/cm3(D.L.)よりも小値であり、酸素については、3×1018atoms/cm3であった。この知見に基づき、Cu−CVDの原料純度を高く設定し、低圧でH2/Heの混合ガスをキャリアガスとして用い、後述する製造方法により、高純度の微細配線を形成することができた。Cu−CVDの場合、電解めっきと異なり、配線導電材料内の不純物は配線幅によらず一定であった。
【0051】
なおここでは、バリアメタル層としてTa/TaNの積層膜を用いたが、Ti又はZr、或いはこれらの窒素化合物等を用いても良い。また、シード層には純Cuを用いたが、配線導電材料のCVD成膜時における凝集を抑えるために、Al,Mn,Sn,Ti等の不純物を微量加した合金層を用いても良い。この構成を採ることにより、Cu−CVDによるCuの埋め込み性を向上させることができる。
【0052】
(3)物理気相成長(PVD)法により配線導電材料(Cu)を成膜した場合
ここでは、、第1の実施形態で説明した作製方法で作製した試料11における配線導電材料3の各不純物濃度の値について、配線導電材料3をPVD法により成膜する場合において、成膜の改善条件を探索した。
【0053】
試料11としては、幅70nm/70nmの1:1のL&S配線として作製したものを用いた。ここでは、スパッタ法によりシリコン基板1の配線溝1aにTa及びTaNからなるバリアメタル層2aを膜厚10nm程度に形成し、引き続き同一のスパッタ装置内で、スパッタ法によりCu層を膜厚30nm程度に形成し、同装置内において250℃で30秒間のアニール処理を行なった。このCu層の成膜及びアニール処理からなる一連工程を5回繰り返し行い、配線溝1a内をバリアメタル層2aを介してCuで埋め込んだ。
【0054】
Cu−PVDの成膜条件としては、シリコン基板−ターゲット間距離を450mm、成膜圧力を1×10-3Paとした低圧ロングスロー方式のマグネトロンスパッタで行い、ターゲット電圧を15kW、基板バイアスを60Wにして、配線溝1a内に到達するCuイオンの指向性が十分に高い条件で行なった。成膜後のアニール処理により、成膜されたCu表面が平滑化される。この一連工程を繰り返すことにより、Cuの埋め込み性を向上させることができる。
【0055】
上記のように作製した試料11を用いてSIMS法により各不純物濃度を分析した。測定対象の不純物は、炭素(C)及び酸素(O)である。その結果、各不純物濃度は、炭素については、1.1×1018atoms/cm3(D.L.)よりも小値であり、酸素については、2.2×1018atoms/cm3(D.L.)よりも小値であった。この知見に基づき、後述する製造方法を実行することにより、高純度の微細配線を形成することができた。Cu−PVDの場合も、電解めっきと異なり、配線導電材料内の不純物は配線幅によらず一定であった。
【0056】
通常、PVD法で微細配線内を埋め込むことは困難であるが、今回の事例のように指向性を高めたイオンを用いたり、Cu成膜中にシリコン基板を150℃〜300℃に加熱したり、イオン衝撃の運動量を利用して成膜中に表面のCu拡散を増殖させたり、成膜とエッチングを交互に繰り返す等の手法を採用することにより、良好な埋め込みが可能となる。
なおここでは、バリアメタル層としてTa/TaNの積層膜を用いたが、Ti又はZr、或いはこれらの窒素化合物等を用いても良い。
【0057】
以下、本実施形態における半導体装置の製造方法について説明する。ここでは、例えば上記の(1)で説明した電解めっき法により配線導電材料(Cu)を成膜する場合について例示する。
図9〜図11は、第2の実施形態による半導体装置の製造方法について、工程順に示す概略断面図である。図示の便宜上、図9〜図11では、シリコン基板及び半導体素子を省略し、半導体素子を覆う層間絶縁膜から上層部位のみを示す。
【0058】
先ず、シリコン基板上にSTI等の素子分離構造で画定された活性領域に、所定の半導体素子を形成する。半導体素子としては、例えばシリコン基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、ゲート電極の両側における活性領域の表層部位に不純物を導入してなるソース/ドレインとを備えた、MOSトランジスタ等が挙げられる。
【0059】
続いて、図9(a)に示すように、層間絶縁膜101及びシリコン窒化膜102を順次形成する。
詳細には、半導体素子を覆うように、CVD法等により、例えばシリコン酸化膜からなる層間絶縁膜101を膜厚200nm〜300nm程度に堆積する。
次に、CVD法等により、層間絶縁膜101上にシリコン窒化膜102を膜厚50nm〜100nm程度に堆積する。
【0060】
続いて、図9(b)に示すように、レジストパターン103を形成する。
詳細には、シリコン窒化膜102上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、配線形状の開口103aを形成し、レジストパターン103とする。
【0061】
続いて、図9(c)に示すように、シリコン窒化膜102を加工する。
詳細には、レジストパターン103をマスクとして、シリコン窒化膜102をドライエッチングにより加工する。これにより、シリコン窒化膜102には、レジストパターン103の開口103aに倣った配線形状の開口102aが形成される。
【0062】
続いて、図9(d)に示すように、層間絶縁膜101に配線溝101aを形成する。
詳細には、レジストパターン103及びシリコン窒化膜102をマスクとして、層間絶縁膜101をドライエッチングにより加工する。これにより、層間絶縁膜101には、シリコン窒化膜102の開口102aに倣った形状の配線溝101aが形成される。
レジストパターン103は、例えば灰化処理等により除去される。
【0063】
続いて、図9(e)に示すように、バリアメタル層104及びシード層105を順次形成する。
層間絶縁膜101上に配線溝101aの内壁面を覆うように、例えばスパッタ法により、下地導電膜としてTaからなるバリアメタル層104と、Cuめっきのためのシード層105とを順次堆積する。ここでは、バリアメタル層104を膜厚10nm〜30nm程度に、シード層105を膜厚40nm〜80nm程度にそれぞれ形成する。
【0064】
続いて、図10(a)に示すように、配線溝101aをCu106で埋め込む。
本実施形態では、配線導電材料であるCuを電解めっき法により成膜する場合において、電解めっきに用いる硫酸銅めっき液の各成分を調節すべく、上述のように試料11又は試料12を作製し、例えばSIMS法により不純物濃度を測定する。その結果、例えば、上述のように塩素の濃度を増加させることにより、配線導電材料であるCuの不純物濃度(ここでは炭素濃度)を低下させることができる、という知見が得られる。本実施形態では、この知見を用いて、Cu106を電解めっき形成するための硫酸銅めっき液を調節制御(例えば塩素濃度の増加)し、当該硫酸銅めっき液を用いて電解めっきを実行する。
【0065】
なお、電解めっき法の代わりにCVD法やPVD法を用いてCu成膜する場合には、例えば上記の(1)で説明したように試料11又は試料12を用いてSIMS分析を行い、その結果(成膜条件)をCu成膜に反映させれば良い。
【0066】
詳細には、上記のように成分が調節された硫酸銅めっき液を用いた電解めっき法により、シード層105上に、層間絶縁膜101の配線溝101aを埋め込むように、Cu106を成膜する。このとき、Cu106の堆積によりシード層105とCu106とが一体化する。
【0067】
次に、必要に応じてCu106をアニール処理する。このアニール処理は、Cuのグレインサイズを大きくして更なる抵抗低減化を図るものであり、例えば150℃以上350℃以下の範囲内の温度、90秒間以上180秒間以下の処理時間で実行される。このアニール処理を行なう場合には、上記の温度及び処理時間により、例えば350℃に近い温度で180秒間に近い処理時間によりアニール処理を行なう場合には、当該アニール処理と同一のアニール処理をSIMS分析用の試料に施すべく、試料としては、SiCやSiNの保護膜5を備えた試料12を用いることが好ましい。
【0068】
続いて、図10(b)に示すように、Cu106の表層を平坦化して、下部配線107を形成する。
詳細には、Cu106の表層を、シリコン窒化膜102を研磨ストッパーとしてCMP法により研磨し、表面を平坦化する。これにより、配線溝101aをバリアメタル層104を介してCu106で埋め込んでなる下部配線107が形成される。
【0069】
続いて、図10(c)に示すように、キャップ層108を形成する。
詳細には、絶縁膜、例えばSiC膜を、下部配線107を覆うようにシリコン窒化膜102上に、プラズマCVD法等により膜厚30nm〜100nm程度に堆積し、キャップ層108を形成する。このキャップ層108は、下部配線107の界面におけるCuの拡散を防止するために形成される。
【0070】
続いて、図10(d)に示すように、内部にシリコン窒化膜118を有する層間絶縁膜109を形成する。
詳細には、キャップ層108上にCVD法等により、例えばシリコン酸化膜を堆積する。
次に、このシリコン酸化膜上に、シリコン酸化膜よりもエッチングレートの低い材料、例えばシリコン窒化膜118を堆積する。そして、このシリコン窒化膜118を加工し、下層に存する下部配線107に位置整合する部位に、ビア孔形状の開口118aを形成する。
【0071】
次に、シリコン窒化膜118を覆うようにシリコン酸化膜を堆積する。
以上により、内部に開口118aが形成されたシリコン窒化膜118を有する、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜109が形成される。
【0072】
続いて、図11(a)に示すように、シリコン窒化膜110を形成し、レジストパターン111を用いてシリコン窒化膜110を加工する。
詳細には、CVD法等により、層間絶縁膜109上にシリコン窒化膜110を膜厚50nm〜100nm程度に堆積する。
次に、シリコン窒化膜109上にレジストを塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、配線形状の開口111aを形成し、レジストパターン111とする。
次に、ジストパターン111をマスクとして、シリコン窒化膜110をドライエッチングにより加工する。これにより、シリコン窒化膜110には、レジストパターン111の開口111aに倣った配線形状の開口110aが形成される。
【0073】
続いて、図11(b)に示すように、層間絶縁膜109に、配線溝112a及びビア孔112bからなる溝112を形成する。
詳細には、レジストパターン111及びシリコン窒化膜110をマスクとして、層間絶縁膜109を、下部配線107の表面の一部が露出するまで、ドライエッチングにより加工する。即ちこの場合、層間絶縁膜109の上部については、シリコン窒化膜118がエッチングストッパーとなり、シリコン窒化膜110の開口110aに倣った形状の配線溝112aが形成される。引き続き上記のドライエッチングを下部配線107の表面の一部が露出するまで実行することにより、層間絶縁膜109の下部には、シリコン窒化膜118の開口118aに倣った形状のビア孔112bが形成される。このように、1回の連続したドライエッチングにより、層間絶縁膜109には、配線溝112aとビア孔112bとが一体となった溝112が形成される。
【0074】
続いて、図11(c)に示すように、下部配線107と電気的に接続される上部配線116を形成する。
詳細には、先ず、層間絶縁膜109上に溝112の内壁面を覆うように、例えばスパッタ法により、下地導電膜としてTaからなるバリアメタル層121と、Cuめっきのためのシード層(不図示)とを順次堆積する。ここでは、バリアメタル層121を膜厚10nm〜30nm程度に、シード層を膜厚40nm〜80nm程度にそれぞれ形成する。
【0075】
次に、配線112をCu106で埋め込む。
ここでも、下部配線107の形成時と同様に、試料11又は試料12を用いたSIMS分析で得られた知見を用いて、Cu106を電解めっき形成するための硫酸銅めっき液を調節制御(例えば塩素濃度の増加)し、当該硫酸銅めっき液を用いて電解めっきを実行する。上記のように成分が調節された硫酸銅めっき液を用いた電解めっき法により、シード層上に、層間絶縁膜109の溝112を埋め込むように、Cu106を成膜する。このとき、Cu106の堆積によりシード層とCu106とが一体化する。
【0076】
次に、必要に応じてCu106をアニール処理する。このアニール処理は、Cuのグレインサイズを大きくして更なる抵抗低減化を図るものであり、例えば150℃以上350℃以下の範囲内の温度、90秒間以上180秒間以下の処理時間で実行される。この場合にも、当該アニール処理を見込んで、SIMS分析の際に試料12を用いても良い。
【0077】
次に、Cu106の表層を、シリコン窒化膜110を研磨ストッパーとしてCMP法により研磨し、表面を平坦化する。これにより、溝112をバリアメタル層121を介してCu106で埋め込んでなり、下部配線107と電気的に接続されてなる上部配線116が形成される。
そして、絶縁膜、例えばSiC膜を、上部配線116を覆うようにシリコン窒化膜110上に、プラズマCVD法等により膜厚30nm〜100nm程度に堆積し、キャップ層117を形成する。
【0078】
上記したような、層間絶縁膜内に下部配線及び上部配線が形成されてなる配線構造を、必要に応じて複数層、積層形成し、多層配線構造を有する半導体装置を完成させる。
【0079】
以上説明したように、本実施形態によれば、比較的簡易な構成の試料11〜13を用いて、実際の配線構造に近似する状況で配線導電材料3の不純物濃度を精度良く測定し、実際の配線構造に極めて近い不純物濃度の知見を得た後、当該知見を用いて、下部配線107及び上部配線116中の不純物濃度を低減化し、EM耐性及びSIV耐性に優れた信頼性の高い半導体装置を製造することが可能となる。
【0080】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0081】
(付記1)シリコン基板の表面を加工して溝を形成する工程と、
前記溝内に導電材料を埋め込み、配線様構造を形成する工程と、
前記配線様構造が形成された前記シリコン基板を試料として、前記配線様構造の前記配線導電材料内に存する不純物の濃度を分析する工程と
を含むことを特徴とする配線の評価方法。
【0082】
(付記2)前記溝内に前記導電材料を埋め込む工程は、
前記溝内に下地導電膜を形成する工程と、
前記下地導電膜上に前記導電材料を形成する工程と
を含むことを特徴とする付記1に記載の配線の評価方法。
【0083】
(付記3)前記下地導電膜は、Ta,TaN及びTiNから選ばれた1種であることを特徴とする付記2に記載の配線の評価方法。
【0084】
(付記4)前記溝の表面と前記下地導電膜との間に、SiN膜又はSiC膜を形成することを特徴とする付記2に記載の配線の評価方法。
【0085】
(付記5)前記配線様構造を形成した後、前記分析を行なう前に、前記シリコン基板をアニール処理する工程を更に含むことを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の配線の評価方法。
【0086】
(付記6)前記アニール処理は、150℃以上350℃以下の範囲内の温度、90秒間以上180秒間以下の処理時間で行われることを特徴とする付記4に記載の配線の評価方法。
【0087】
(付記7)前記配線導電材料は、金、銀、銅、アルミニウム、白金、及びマンガンからなる群から選ばれた1種、又は前記群から選ばれた少なくとも2種を含むことを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の配線の評価方法。
【0088】
(付記8)前記不純物は、S,Cl,O,C,及びNから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の配線の評価方法。
【0089】
(付記9)前記配線溝内に前記配線導電材料を埋め込むに際して、物理気相成長(PVD)法、化学気相蒸着(CVD)法、原子層堆積(ALD)法、超臨界堆積法、電解めっき法、及び無電解めっき法のうちから選ばれた少なくとも1種の成膜方法を用いることを特徴とする付記1〜8のいずれか1項に記載の配線の評価方法。
【0090】
(付記10)前記分析は、前記配線様構造をスパッタし、前記配線様構造から飛散する元素を検出することにより行なわれることを特徴とする付記1〜9のいずれか1項に記載の配線の評価方法。
【0091】
(付記11)前記配線様構造の幅が前記スパッタ領域のサイズよりも小さいことを特徴とする付記10に記載の配線の評価方法。
【0092】
(付記12)前記分析は、二次イオン質量分析法で行なわれることを特徴とする付記10又は11に記載の配線の評価方法。
【0093】
(付記13)前記配線様構造を形成した後、前記配線様構造の表面を研磨して平坦化する工程を更に含むことを特徴とする付記1〜12のいずれか1項に記載の配線の評価方法。
【0094】
(付記14)前記分析の際に、前記シリコン基板の裏面から前記ビームを照射することを特徴とする付記12に記載の配線の評価方法。
【0095】
(付記15)第1のシリコン基板の表面を加工して溝を形成する工程と、
塩素元素を含有する第1の硫酸銅めっき液を用いて、前記溝内に導電材料を埋め込み、配線様構造を形成する第1の電解めっき工程と、
前記配線様構造が形成された前記第1のシリコン基板を試料として、前記配線様構造の前記導電材料内に存する不純物の濃度を分析する工程と、
第2のシリコン基板上に形成された絶縁膜を加工して配線溝を形成する工程と、
塩素元素を含有する第2の硫酸銅めっき液を用いて、前記配線溝内に前記導電材料を埋め込み、配線構造を形成する第2の電解めっき工程と
を含み、
前記第2の硫酸銅めっき液中の塩素濃度は、前記分析結果に基づき制御されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記16)前記不純物は炭素又は硫黄であり、前記分析において所定量以上の前記炭素又は硫黄が検出された場合、前記第2の硫酸銅めっき液の塩素濃度を、前記第1の硫酸銅めっき液の塩素濃度よりも高くすることを特徴とする付記15に記載の半導体装置の製造方法。
【0097】
(付記17)前記溝の表面に、SiN膜又はSiC膜を形成することを特徴とする付記15又は16に記載の半導体装置の製造方法。
【0098】
(付記18)前記配線様構造を形成した後、前記分析を行なう前に、前記シリコン基板をアニール処理する工程を更に含むことを特徴とする付記17に記載の半導体装置の製造方法。
【0099】
(付記19)前記アニール処理は、150℃以上350℃以下の範囲内の温度、90秒間以上180秒間以下の処理時間で行われることを特徴とする付記18に記載の半導体装置の製造方法。
【0100】
(付記20)前記分析は、二次イオン質量分析法で行なわれることを特徴とする付記15〜19のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】第1の実施形態による配線の評価方法に用いる試料の作製方法について、工程順に示す概略断面図である。
【図2】本実施形態による配線の評価方法に用いる試料の作製方法の他の例について、主要工程を示す概略断面図である。
【図3】第1の実施形態による配線の評価方法に用いる試料を用いたSIMS分析を示す概略断面図である。
【図4】第1の実施形態による配線の評価方法に用いる試料を用いたbackside SIMS分析を示す概略断面図である。
【図5】backside SIMS法による試料の分析結果を、従来法により作製した試料との比較と共に示す図である。
【図6】各アニール条件に対する試料のSIMS分析の可否について示す図である。
【図7】各アニール条件に対する、保護膜を有する試料のSIMS分析の可否について示す図である。
【図8】電解めっきに用いる硫酸銅めっき液における各成分の改善条件について参照対象との比較で示す図である。
【図9】第2の実施形態による半導体装置の製造方法について、工程順に示す概略断面図である。
【図10】図9に引き続き、第2の実施形態による半導体装置の製造方法について、工程順に示す概略断面図である。
【図11】図10に引き続き、第2の実施形態による半導体装置の製造方法について、工程順に示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0102】
1 シリコン基板
1a,101a,112a 配線溝
2a,104,121 バリアメタル層
2b,105 シード層
3 配線導電材料
4 配線様構造
5 保護膜
11,12,13 試料
101,109 層間絶縁膜
101a,102a,103a,110a,111a 開口
102,110,118 シリコン窒化膜
103,111 レジストパターン
107 下部配線
108,117 キャップ層
112b ビア孔
112 溝
116 上部配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板の表面を加工して溝を形成する工程と、
前記溝内に導電材料を埋め込み、配線様構造を形成する工程と、
前記配線様構造が形成された前記シリコン基板を試料として、前記配線様構造の前記配線導電材料内に存する不純物の濃度を分析する工程と
を含むことを特徴とする配線の評価方法。
【請求項2】
前記溝内に前記導電材料を埋め込む工程は、
前記溝内に下地導電膜を形成する工程と、
前記下地導電膜上に前記導電材料を形成する工程と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の配線の評価方法。
【請求項3】
前記溝の表面と前記下地導電膜との間に、SiN膜又はSiC膜を形成することを特徴とする請求項2に記載の配線の評価方法。
【請求項4】
前記分析は、二次イオン質量分析法で行なわれることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の配線の評価方法。
【請求項5】
第1のシリコン基板の表面を加工して溝を形成する工程と、
塩素元素を含有する第1の硫酸銅めっき液を用いて、前記溝内に導電材料を埋め込み、配線様構造を形成する第1の電解めっき工程と、
前記配線様構造が形成された前記第1のシリコン基板を試料として、前記配線様構造の前記導電材料内に存する不純物の濃度を分析する工程と、
第2のシリコン基板上に形成された絶縁膜を加工して配線溝を形成する工程と、
塩素元素を含有する第2の硫酸銅めっき液を用いて、前記配線溝内に前記導電材料を埋め込み、配線構造を形成する第2の電解めっき工程と
を含み、
前記第2の硫酸銅めっき液中の塩素濃度は、前記分析結果に基づき制御されることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−249632(P2008−249632A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−94022(P2007−94022)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】