説明

離型剤塗布状態検出方法及び離型剤塗布状態検出装置

【課題】蛍光塗料を用いて離型剤を可視化することを図り、金型のキャビティ形成面に塗布された離型剤の分布や塗布厚を簡易観察により判別して、離型剤塗布状態の良否を判定することが可能である離型剤塗布状態検出方法及び離型剤塗布状態検出装置を提案する。
【解決手段】蛍光物質を含有する離型剤が塗布された金型のキャビティ形成面8に紫外光を照射し、前記キャビティ形成面8にて発される可視光の発光強度に基づいて離型剤塗布状態を検出して、離型剤の分布や塗布厚などの、前記キャビティ形成面8への離型剤塗布状態の良否を判定する。離型剤塗布状態のうち塗布量の多少を推定するに際しては、離型剤塗布量と可視光の発光強度との関係を示す測定ゲージを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型キャビティ形成面に塗布された離型剤塗布状態を検出することにより、離型剤の塗布範囲の分布や厚みなどの離型剤塗布の良否を判定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、成形金型の成形部であるキャビティのキャビティ形成面(キャビティの形状を形成する面)には、成形した製品の離型を簡易にするためや金型の焼き付きを防止するために、離型剤が塗布される。通常、離型剤は液体であって、噴出装置(又は吐出装置)を用いてキャビティ形成面に吹き付けられることによって塗布される。
吹き付けにより離型剤を塗布するので塗りムラが生じることがあり、特に、キャビティ形成面が凹凸の多い複雑な形状である場合には陰ができて離型剤が均一且つ十分に行き渡らないことがある。離型剤が塗布されていない箇所や、塗布されていても塗布厚(塗布された離型剤の厚み)が十分でなければ、製品を良好に離型することができない。
【0003】
よって、キャビティ形成面における離型剤の塗布範囲や塗布厚などの塗布状態を成形前に確認する必要がある。しかし、離型剤は白色又は無色であるので、金属色のキャビティ形成面に塗布した離型剤を作業者が視認して、その塗布状態の良否を判断することは困難である。
【0004】
また、離型剤をキャビティ形成面に吹き付ける際に使用される離型剤の噴出装置には、噴出目標を示すレーザーポインタが備えられて、離型剤が噴出される位置を確認できるように構成されているが、離型剤の塗布範囲や塗布厚などの情報を得ることはできず、このレーザーポインタでは離型剤が確実にキャビティ形成面に行き渡っているかを確認できないという課題があった。
【0005】
上記課題を解決するために、特許文献1では、離型剤を噴出するスプレーヘッドより、離型剤と、該離型剤よりも粘性が高く且つ有色性を有している離型剤塗布位置確認用水溶液とを、切り換えて噴出できるように噴出装置を構成して、離型剤の塗布を位置確認する場合には、離型剤塗布位置確認用水溶液を前記スプレーヘッドより噴出してこれを観察することにより、金型キャビティ形成部表面に塗布する離型剤の分布状態を簡単に視認できるようにする技術が公開されている。
【0006】
ところで、特許文献2では、離型剤を金型キャビティ形成面に塗布する際に、蛍光剤を該キャビティ形成面に塗布しておき、離型されたダイカスト製品に光を照射して蛍光状態を観察し、ダイカスト製品の外観に現れる湯回り、水残り、湯境などの表面欠陥を検査する検査方法が公開されている。
【特許文献1】特開2003−251448号公報
【特許文献2】特開平4−158250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1に記載の技術では、離型剤の塗布範囲を検出することはできるが、離型剤の塗布厚の測定はできない。従来、キャビティ形成面に塗布された離型剤の塗布厚は、超音波などを利用して膜厚を計測する膜厚計などを用いて計測されている。この検査では、試験的にキャビティ形成面に離型剤を塗布したのち、複数の検査点を特定して、該検査点の塗布厚を計測して、塗布厚の良否を判断している。
【0008】
しかし、この塗布厚の測定方法では、キャビティ形成面の全ての離型剤の塗布厚を測定することは難しく、想定外の点において塗布厚の不良が見つかることも考え得る。また、検査工程が煩雑であるために時間を要し、生産的ではないために、実際の成形工程において毎回離型剤の塗布厚を検査することは困難であるという課題があった。
【0009】
本発明は、上記背景技術に鑑み、蛍光塗料を用いて離型剤を可視化することを図り、金型のキャビティ形成面に塗布された離型剤の分布や塗布厚を簡易観察により判別して、離型剤塗布状態の良否を判定することが可能である離型剤塗布状態検出方法及び離型剤塗布状態検出装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1においては、蛍光物質を含有する離型剤が塗布された金型のキャビティ形成面に紫外光を照射し、前記金型キャビティ形成面にて発される可視光の発光強度を測定する、離型剤塗布状態検出方法である。
【0012】
請求項2においては、前記離型剤塗布状態検出方法において、離型剤塗布量と可視光の発光強度との関係を示す測定ゲージを作成し、前記測定ゲージを用いて、可視光の発光強度を測定するものである。
【0013】
請求項3においては、蛍光物質を含有する離型剤が塗布された金型のキャビティ形成面に対して紫外光を照射する紫外線照射装置と、紫外光の照射されたキャビティ形成面にて発される可視光を画像化し表示出力する画像処理装置とを備える、離型剤塗布状態検出装置である。
【0014】
請求項4においては、前記画像処理装置は、前記紫外線照射装置にて発光された紫外光により金型キャビティ形成面にて発される可視光を集光するレンズと、前記レンズにて集光された可視光を撮像する撮像手段と、前記撮像手段にて撮像された可視光を電気的信号として取得して画像化する画像処理手段と、前記画像処理手段による処理画像を表示出力する表示出力手段とを、さらに備えるものである。
【0015】
請求項5においては、前記画像処理装置は、予め定められた離型剤塗布量と可視光の発光強度との関係を示す測定ゲージと、該測定ゲージを参照して、可視光の発光強度に基づいて離型剤塗布状態を検出する演算手段と、検出された離型剤塗布状態に基づいて、前記キャビティ形成面への離型剤塗布状態の良否を判定する判定手段とを、さらに備えるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、視認し難い離型剤を、視認し易い状態とすることができる。
また、可視光を直接目視することにより、可視光の発光強度に基づいて、離型剤の塗布状態を検出し、離型剤の分布や、塗布厚などの離型剤塗布状態の良否を判定することができる。
【0018】
請求項2においては、測定ゲージを用いることで、可視光の発光強度に基づいて離型剤塗布量を推定し、離型剤塗布状態を評価することができる。
また、可視光を直接目視したり、可視光を画像化したものを分析したりすることによって、離型剤塗布量を簡易に推定することが可能となる。
【0019】
請求項3においては、視認し難い離型剤を、視認し易い状態とすることができる。
また、可視光の発光強度に基づいて離型剤の塗布状態を検出し、離型剤の分布や、塗布厚などの離型剤塗布状態の良否を判定することができる。
【0020】
請求項4においては、視認し難い離型剤を、画像として表示出力することで、視認し易い状態とすることができる。
【0021】
請求項5においては、作業者の官能に頼らず、客観的に離型剤塗布量を推定し、離型剤塗布状態の良否を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係る離型剤塗布状態検出方法を説明する図、図2は本発明の実施例に係る離型剤塗布状態検出装置の構成を示すブロック図、図3は離型剤塗布状態検出装置の構成を示す図である。
図4は可視光の発光強度と離型剤の塗布量との関係を示す測定ゲージの例を示す図、図5は可視光の発光強度と離型剤の塗布量との関係を示す図である。
【0023】
本発明に係る離型剤塗布状態検出方法は、図1に示すように、蛍光物質を含有する離型剤を、金型キャビティのキャビティ形成面(キャビティを形作る面)8に塗布し、このキャビティ形成面8に紫外線を照射することにより、離型剤に含有される蛍光物質が発する可視光によって離型剤を視認し易い状態としたうえで、輝度などで表わされる前記可視光の発光強度を測定して、離型剤塗布状態を検出するものである。
【0024】
キャビティ形成面8の離型剤塗布状態を検出することで、離型剤の有無により、離型剤の塗布範囲がキャビティ形成面8全体に行き渡っているかどうか、塗布された離型剤の分布に関する情報を得ることができる。さらに、離型剤塗布状態を検出することで、離型剤の塗布量が十分であるかどうか、離型剤の塗布厚に関する情報を得ることができる。そして、これらの情報から、離型剤塗布の良否を判断することができる。
【0025】
前記離型剤に含有される蛍光物質は、紫外光を照射することによって該蛍光物質が励起され可視光が発生するものを採用する。また、該蛍光物質は可視光下(自然光や蛍光灯の光)では白色又は無色であって、視認することが困難であるものを採用する。
【0026】
金型にて成形された成形品の表面の離型剤は除去されるが、仮に、該離型剤が成形品表面に残留したとしても、蛍光灯の下では紫外線を照射しない限りは成形品の色が変化しない。また、離型剤が塗布されたキャビティ形成面8も同様である。
【0027】
上述の蛍光物質を含有する離型剤は紫外線を受けて可視光を発光するので、キャビティ形成面8に紫外線を照射すれば、視認される可視光の発光強度に基づいて即時且つ簡易に、点よりも大きい、ある一定の広さを有した範囲(紫外線が届く範囲)で、視認にて離型剤塗布の有無を知ることができる。
これにより、離型剤の塗布範囲がキャビティ形成面8全体に行き渡っているかどうか、離型剤の分布に関する情報を得て、離型剤塗布状態の良否を判定することができる。
【0028】
例えば、可視光の発光強度がほぼゼロである(可視光を視認できない)箇所がキャビティ形成面8にある場合は、その部分の離型剤塗布量はほぼゼロであり、キャビティ形成面8全面に離型剤が行き渡っていないので、離型剤塗布状態が不良であると判定することができる。
【0029】
また、直接キャビティ形成面8を直接観察したり、キャビティ形成面8の可視光を画像として取り込んで観察したりすることによって、視認される可視光の発光強度に基づいて、該キャビティ形成面8の離型剤塗布量の多少を推定することができる。これにより、離型剤の塗布量が十分であるかどうか、離型剤の塗布厚に関する情報を得て、離型剤塗布状態の良否を判断することができる。
【0030】
そして、離型剤の塗布状態を検査する部位と紫外線の光源との距離、及び、離型剤の塗布状態を検査する部位と可視光を受光する点との距離及び角度を、略一定とすることにより、視認された可視光の発光強度に基づいて、より厳密に離型剤塗布状態を検出することができる。
【0031】
例えば、可視光が視認されるものの、周囲と比較して著しく暗く発光強度が低い箇所がある場合は、その暗い箇所が他と比較して離型剤の塗布量が少なく、塗布量が十分でないので、離型剤塗布状態が不良であると判定することができる。
【0032】
また、蛍光物質を含有する離型剤は、離型剤塗布量が多くなるにつれて、可視光の発光強度がリニアに増大していくという特性を有しているため、可視光の発光強度と離型剤塗布量との関係を示す測定ゲージを作成し、該測定ゲージを参照して、可視光の発光強度に基づいて離型剤塗布量を推定することができる。前記測定ゲージは、例えば、図4に示すような、可視光の発光強度と離型剤塗布量との関係を、数値的又は視覚的に示したものである。例えば、図4に示す測定ゲージは、発光強度に応じて、段階的に離型剤塗布量(塗布厚)を把握することが可能となっている。
また、図5に示すように、発光強度に応じた離型剤塗布量(塗布厚)を、連続的に把握することが可能な測定ゲージを用いることもできる。
【0033】
前述の測定ゲージを用いることで、可視光を直接目視したり、または、可視光を画像化したものを分析したりすることによって、離型剤塗布量を簡易に推定することが可能でなる。
例えば、図4に示した測定ゲージを用いる場合、キャビティ形成面8の検査部位で視認される可視光の発光強度と、測定ゲージに示される可視光の発光強度とを比較して、合致する可視光の発光強度に対応する離型剤塗布量の値を得ることができる。
これにより、当該検査部位の塗布厚を定め、これを予め定められた基準値と比較することによって、離型剤塗布状態の良否を判定することができる。
【0034】
上述のように、本発明に係る離型剤塗布状態検出方法によれば、キャビティ形成面8における、離型剤の分布や塗布厚に関する情報を、同時且つ即時に得ることができ、これに基づいて離型剤塗布状態の良否を判定することができる。
【0035】
続いて、本発明の実施例に係る離型剤塗布状態検出装置10について説明する。
前記離型剤塗布状態検出装置10は、上記離型剤塗布状態検出方法を実施することのできる手段である。
【0036】
図2及び図3に示すように、離型剤塗布状態検出装置10には、蛍光物質を含有する離型剤が塗布されたキャビティ形成面8に対して紫外光を照射する紫外線照射装置11と、前記蛍光物質が発した可視光の発光強度を計測する画像処理装置12とが備えられる。
【0037】
なお、上記離型剤塗布状態検出方法において、キャビティ形成面8における離型剤の分布や離型剤の塗布量の多少などを簡易に測定する場合には、離型剤塗布状態検出装置10は、図1に示すように、紫外線照射装置11のみで構成することもできる。
この場合、離型剤に含有される蛍光物質より発生する可視光を作業者が視認して、離型剤塗布の有無を定めて、離型剤塗布状態の良否を判定する。また、離型剤塗布量の多少を定めて、離型剤塗布状態の良否を判定する。離型剤塗布量の多少を定める場合に、前述の測定ゲージを用いることができる。
【0038】
上記のように離型剤塗布状態検出装置10に紫外線照射装置11のみを備える場合は、該離型剤塗布状態検出装置10の装置構成を簡易且つ安価とすることができる。また、携帯性に優れるので、キャビティ形成面8における検査部位を選ばず、該キャビティ形成面8が複雑な凹凸形状であっても容易に対応することができる。さらに、大がかりな準備や複雑な操作などを必要としないので、簡易且つ安価に離型剤塗布量を測定し、離型剤塗布状態の良否を判定することができる。
【0039】
前記紫外線照射装置11は、紫外線を照射する手段であり、本実施例では、ブラックライトを採用している。ブラックライトは、主として波長365μmを中心とする、特に蛍光発光作用に優れた紫外線を発光する手段であって、人体に有害とされる紫外線を発光しないので、作業者が存在する環境で使用される紫外線照射装置11として採用するに好ましい手段である。
【0040】
なお、前記紫外線照射装置11には、キャビティ形成面8における離型剤塗布状態の検査部位と、該紫外線照射装置11の紫外線の光源との相対的距離を計測する、変位測定装置41を備えることができる。
前記変位測定装置41を備えることによって、該変位測定装置41の測定結果を受けて、塗布状態検査部位と光源との相対的距離を略一定に保持するように、紫外線照射装置11を配置することができる。これにより、キャビティ形成面8の塗布状態の検査部位に入射される紫外線のエネルギーが略一定となるので、可視光の発光強度に基づいて離型剤塗布量を絶対的に測定することが可能となる。
【0041】
前記変位測定装置41は、非接触式又は非接触式の各種変位センサから成る測定部42と、該測定部42からの検出信号を受けて検査部位と光源との距離を算出する変位算出手段43により構成される。但し、前記変位測定装置41は、定規などの簡易に測定できる手段を採用し、簡易に検査部位と光源との距離を測定することもできる。
【0042】
前記画像処理装置12は、離型剤に含有される蛍光物質より発された可視光を受光するレンズ21と、該レンズ21にて受光された可視光を電気的信号に変換(撮像)する撮像手段22と、該撮像手段22にて撮像された可視光を画像化する画像処理手段23と、該画像処理手段23にて作成された画像を表示出力する表示出力手段24とで構成される。
【0043】
本実施例の画像処理装置12においては、レンズ21及び撮像手段22はカメラ31にて構成され、画像処理手段23はカメラ31に電気的に接続された汎用コンピュータ等の演算処理装置32にて構成され、表示出力手段24は、画像処理手段23に電気的に接続されたモニタ33にて構成されている。
【0044】
なお、画像処理装置12には、離型剤が塗布されたキャビティ形成面8の検査部位とレンズ21との相対距離を計測する変位測定装置25と、同じく相対角度を計測する角度測定装置26とを設けることができる。
【0045】
レンズ21と検査部位との距離が、該レンズ21の焦点距離からずれた状態で、該検査部位で発された可視光を撮像手段22にて撮像した場合の可視光の発光強度は、レンズ21と検査部位との距離が該レンズ21の焦点距離に一致した状態で撮像した場合の可視光の発光強度に対して差異が生じることとなる。また、検査毎にレンズ21と検査部位との距離が異なれば、離型剤の塗布量が同程度であっても可視光の発光強度に差異が生じることとなる。
また、レンズ21の光軸と検査部位とが略垂直に配置された場合と、レンズ21の光軸と検査部位とが略垂直に配置されなかった場合とでは、撮像される可視光の発光強度に差異が生じるため、レンズ21の光軸と検査部位との角度が検査毎で変化すると、離型剤の塗布量が同程度であっても可視光の発光強度に差異が生じることとなる。
上述のように、離型剤の塗布量が同程度であっても可視光の発光強度に差異が生じれば、発光強度を基準として、離型剤塗布量の多少を周辺部位と比較して相対的に測定することはできるが、絶対的な離型剤塗布量を測定することは困難である。
【0046】
そこで、画像処理装置12に変位測定装置25と角度測定装置26とを設けて、レンズ21と検査部位との距離が所定の焦点距離であるとともに、レンズ21の光軸と検査部位とが略垂直であるように、レンズ21を配置することができるようにして、測定条件を略一定とすることによって、絶対的な離型剤塗布量を測定することを可能としている。
【0047】
前記変位測定装置25は、変位センサから成る測定部34と、該測定部34からの検出信号を受信して変位を算出する変位算出手段35とで構成される。また、角度測定装置26は、角度センサから成る測定部36と、該測定部36からの検出信号を受信して角度を算出する角度算出手段37とで構成される。
なお、本実施例においては、前記測定部34及び測定部36は、前記画像処理装置12を構成するカメラ31に取り付けられ、また、前記変位算出手段35及び角度算出手段37の機能は、上記演算処理装置32にて実現される。
但し、上記変位測定装置25、角度測定装置26は、定規などの簡易に測定できる手段を採用することもできる。
【0048】
上記変位測定装置25と角度測定装置26とにより測定される値に基づいて、キャビティ形成面8の検査部位とレンズ21との相対距離が予め定められた焦点距離になるように、且つ、検査部位とレンズ21の光軸とが略垂直となるように、画像処理装置12のレンズ21の配置を調整する。
これにより、画像処理装置12で計測される可視光の測定条件を略一定とし、前記測定ゲージに基づいて、絶対的な離型剤塗布量を測定することができる。
【0049】
また、上記のように画像処理装置12で計測される可視光の測定条件を略一定とできる場合には、前記画像処理装置12に、前記測定ゲージを参照して、前記可視光の発光強度に基づいて離型剤塗布量を算出し、キャビティ形成面8への離型剤塗布状態の良否を判定する判定手段27を備えることができる。画像処理装置12に判定手段27を備えることによって、作業者の官能に頼ることなく、客観的にキャビティ形成面8への離型剤塗布状態の良否を判定することができる。
【0050】
なお、前記判定手段27は、画像処理装置12を構成する前記演算処理装置32にてその機能を実現させることができる。
この場合、前記判定手段27にて、撮像手段22にて撮像され、画像処理手段23にて画像化された検査部位の可視光を分析することにより、前述の測定ゲージを参照して可視光の発光強度に基づいて離型剤塗布量を算出し、この値と予め定められた基準値とを比較することによって、前記キャビティ形成面8への離型剤塗布状態の良否を判定する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る離型剤塗布状態検出方法を説明する図。
【図2】本発明の実施例に係る離型剤塗布状態検出装置の構成を示すブロック図。
【図3】離型剤塗布状態検出装置の構成を示す図。
【図4】可視光の発光強度と離型剤の塗布量との関係を示す測定ゲージの例を示す図。
【図5】可視光の発光強度と離型剤の塗布量との関係を示す図。
【符号の説明】
【0052】
8 キャビティ形成面
10 離型剤塗布状態検出装置
11 紫外線照射装置
12 画像処理装置
21 レンズ
22 撮像手段
23 画像処理手段
24 表示出力手段
25 変位測定装置
26 角度測定装置
31 カメラ
32 演算処理装置
33 モニタ
41 変位測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光物質を含有する離型剤が塗布された金型のキャビティ形成面に紫外光を照射し、
前記金型キャビティ形成面にて発される可視光の発光強度を測定することを特徴とする、
離型剤塗布状態検出方法。
【請求項2】
前記離型剤塗布状態検出方法において、
離型剤塗布量と可視光の発光強度との関係を示す測定ゲージを作成し、
前記測定ゲージを用いて、可視光の発光強度を測定することを特徴とする、
請求項1に記載の離型剤塗布状態検出方法。
【請求項3】
蛍光物質を含有する離型剤が塗布された金型のキャビティ形成面に対して紫外光を照射する紫外線照射装置と、
紫外光の照射されたキャビティ形成面にて発される可視光を画像化し表示出力する画像処理装置とを、備えることを特徴とする、
離型剤塗布状態検出装置。
【請求項4】
前記画像処理装置は、
前記紫外線照射装置にて発光された紫外光により金型キャビティ形成面にて発される可視光を集光するレンズと、
前記レンズにて集光された可視光を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段にて撮像された可視光を電気的信号として取得して画像化する画像処理手段と、
前記画像処理手段による処理画像を表示出力する表示出力手段とを、さらに備えることを特徴とする、
請求項3に記載の離型剤塗布状態検出装置。
【請求項5】
前記画像処理装置は、
予め定められた離型剤塗布量と可視光の発光強度との関係を示す測定ゲージと、
該測定ゲージを参照して、可視光の発光強度に基づいて離型剤塗布状態を検出する演算手段と、
検出された離型剤塗布状態に基づいて、前記キャビティ形成面への離型剤塗布状態の良否を判定する判定手段とを、さらに備えることを特徴とする、
請求項3又は請求項4に記載の離型剤塗布状態検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−69217(P2007−69217A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−255566(P2005−255566)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】