説明

電子部品の製造方法

【課題】基板に形成されたビアホールに、良好な埋設特性でメッキ法により導電材料を埋設して電子部品を製造する。
【解決手段】基板に形成された複数の貫通穴を塞ぐように設置される導電層を複数の領域に分割し、当該複数の領域の導電層に流れる電流を個別に制御して前記貫通穴に電解メッキ法により導電材料を埋設するメッキ工程と、前記導電材料に接続される導電パターンを形成する導電パターン形成工程と、を有することを特徴とする電子部品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解メッキ法により導電材料を埋設する工程を含む電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線基板や半導体装置などの様々な電子部品を製造する場合に、基板を貫通するビアホールをメッキ法により導電材料で埋設するメッキ工程が用いられる場合がある。メッキ法は、早い成膜速度で容易に導電材料をビアホールに埋設することが可能である特徴を有している。
【0003】
図1A〜図1Bは、メッキ法を用いて電子部品を製造する方法を模式的に示した図である。まず、図1Aに示す工程では、コア基板1上に形成された絶縁層2に、ビアホール2Aを形成し、さらに無電解メッキにより、電解メッキの給電層となる導電層2Bを形成する。この場合、導電層2Bは、ビアホール2Aの底面(露出した絶縁層2)と、ビアホール2Aの側壁面、さらには絶縁層2上に形成される。
【0004】
次に、図1Bに示す工程において、図1Aの工程で形成した導電層2Bを給電層として、電解メッキ法により、導電材料3でビアホール2Aを埋設する。
【特許文献1】特開2005−39142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の方法によれば、導電材料の埋設時にボイド3Aが発生しやすくなってしまう問題があった。例えば、電解メッキのための給電層(導電層2B)を無電解メッキで形成した場合には、給電層はビアホール2Aの底面のみならず、ビアホールの側壁面や、さらにはビアホールの外側にも形成されてしまう。このため、電解メッキの成長はビアホールの底面のみならずビアホールの側壁面やビアホールの外側(開口部付近)からも生じるため、ビアホールの開口がふさがってメッキのカバレッジが低下し、ボイドが発生してしまう場合があった。
【0006】
上記の方法では、特にビアホールのアスペクト比が大きくなるとボイドが発生しやすくなる傾向にある。例えば、上記の方法では、アスペクト比が1以上のビアホールに対して、ボイドフリーで導電材料を埋設することは困難となっていた。また、径が異なる(アスペクト比が異なる)ビアホールに対して、導電材料を均一に埋設することは困難であり、基板の面内で埋設の状態がばらついてしまう場合があった。
【0007】
そこで、本発明では上記の問題を解決した新規で有用な電子部品の製造方法を提供することを統括的課題としている。
【0008】
本発明の具体的な課題は、基板に形成されたビアホールに、良好な埋設特性でメッキ法により導電材料を埋設して電子部品を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を、基板に形成された複数の貫通穴を塞ぐように設置される導電層を複数の領域に分割し、当該複数の領域の導電層に流れる電流を個別に制御して前記貫通穴に電解メッキ法により導電材料を埋設するメッキ工程と、前記導電材料に接続される導電パターンを形成する導電パターン形成工程と、を有することを特徴とする電子部品の製造方法により、解決する。
【0010】
本発明によれば、基板に形成されたビアホールに、良好な埋設特性でメッキ法により導電材料を埋設して電子部品を製造することが可能となる。
【0011】
また、前記導電層は、少なくとも、前記基板の中心部に対応する第1の領域と、前記基板の周縁部に対応する第2の領域とに分割されると、当該第1の領域と第2の領域のメッキの成長速度を調整することが可能となり、好適である。
【0012】
また、前記メッキ工程では、前記第1の領域に流れる電流が前記第2の領域に流れる電流より大きいと、当該第1の領域と第2の領域のメッキの成長速度の差を小さくすることが可能となり、好ましい。
【0013】
また、前記基板には径が異なる前記貫通穴が複数形成され、前記導電層は前記貫通穴の径の大きさに対応して分割されると、当該貫通穴の径の違いによるメッキの成長速度の差を調整することが可能となり、好ましい。
【0014】
また、前記メッキ工程では、分割された前記導電層に対応するそれぞれの前記貫通穴の径を比較した場合に、径が小さい前記貫通穴に対応する前記導電層に流れる電流が、径が大きい前記貫通穴に対応する前記導電層に流れる電流よりも大きいと、当該貫通穴の径の違いによるメッキの成長速度の差を小さくすることが可能となり、好ましい。
【0015】
また、前記導電層は接着層により前記基板に接着されていてもよい。
【0016】
また、前記導電パターンに半導体チップを実装する工程をさらに有してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板に形成されたビアホールに、良好な埋設特性でメッキ法により導電材料を埋設して電子部品を製造することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図2は、本発明による電子部品の製造方法の概略を説明する断面図である。本発明による電子部品の製造方法では、基板101に形成されたビアホール(貫通穴)102に、メッキ法により導電材料を埋設し、ビアプラグを形成する工程を有している。
【0019】
上記の製造方法では、基板101に形成された複数のビアホール102を塞ぐように設置されている導電層104を電解メッキ法の給電層として用いることで、ビアホール102内に導電材料を埋設する。
【0020】
この場合、給電層(導電層104)は、ビアホール102の底面のみに形成されているため、電解メッキにより充填される導電材料は、実質的にビアヒール102の底面からのみ成長することになる。このため、メッキの埋設特性(カバレッジ)が良好となり、ビアホール102のアスペクト比が高い場合であってもボイドの発生を抑制しつつ導電材料を埋設することが可能となっている。
【0021】
例えば、無電解メッキによる給電層形成による電解メッキ法(図1A〜図1B)では、アスペクト比が1以上のビアホールをボイドフリーで埋設することは困難であったが、上記の製造方法においては、アスペクト比が1以上20以下程度の微細なビアホールに、ボイドの発生を抑制して導電材料を埋設することができる。
【0022】
例えば、上記の場合、Siよりなる基板101に形成されたビアホール102の開口穴の一方の端を塞ぐように、Cuよりなる導電層(給電層)104が、接着層(接着材料)103により基板101に貼り付けられている。例えば、上記の構造において、ビアホール102にCuなどの導電材料を埋設し、ビアプラグを形成することができる。
【0023】
また、上記の場合において、導電層104を複数の領域に分割し、当該複数の領域の導電層104に流れる電流を個別に制御することが好ましい。この場合、当該複数の領域に対応する貫通穴102には、電解メッキ法によりそれぞれ導電材料が埋設される。このように、導電層が分割されると、基板面内の局所的なメッキの成長速度のばらつきを小さくすることが可能となる。
【0024】
図3Aは、図2で先に説明した基板101、接着層103、および導電層104の全体を模式的に示す断面図であり、図3Bは図3Aの接着層103、導電層104の平面図である。ただし、図2で先に説明した部分には同一の符号を付している。
【0025】
図3A,図3Bを参照するに、基板101に設置された導電層104は、基板101の中心部に対応する導電層104Aと、基板101の周縁部に対応する導電層104Bとに分割されている。また、基板101の導電層104Aに対応する部分にはビアホール102Aが、基板101の導電層104Bに対応する部分にはビアホール102Bが形成されている。
【0026】
従来の電解メッキ法においては、基板の中心部と周縁部では、電解メッキ法にかかる様々な条件が異なってしまうため、メッキの成長速度(成膜速度)にばらつきが生じてしまう場合があった。典型的には、基板の周縁部で成長速度が大きく、基板の中心部で成長速度が小さくなってしまう傾向にあった。このように、基板の中心部と周縁部とで成長速度がばらつくことについては様々な理由が考えられるが、例えば電解メッキのための給電経路の長さが異なっていることなどもその理由の一つと考えられる。
【0027】
そこで、本発明では、電解メッキのための給電層となる導電層104を複数の領域(例えば導電層104Aと導電層104B)に分割して、それぞれの導電層に流れる電流を独立に制御することで、基板の面内でのメッキの成長速度のばらつきを小さくすることを可能としている。
【0028】
図4は、図3A、図3Bに示した基板101のビアホール102に、電解メッキ法によって導電材料(Cu)を埋設する方法を模式的に示す図である。ただし、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する。なお、本図においては、ビアホール102,接着層103は図示を省略している。
【0029】
図4を参照するに、陰極となる基板(ウェハ)101は、陽極となるCu板と対向するように、治具に支えられてメッキ液に浸されて設置される。また、導電層104は、先に説明したように導電層104Aと導電層104Bに分割されており、それぞれの導電層104A,104Bには個別に電源が接続され、さらに個別に電流計(電圧計)が設置されて流れる電流が制御される。
【0030】
例えば、導電層104Aには電流計1を介して電源が接続され、導電層104Bには電流計2を介して別の電源が接続されるようになっている。また、電流計1、電流計2はそれぞれ制御手段と接続され、制御手段は電流計1、電流計2で検出される電流値(電圧値)に応じて、電源を制御する。また、本図には電源を2個記載しているが、分割された導電層に対して電源を共通とし、別途電流(電圧)制御回路を設けるようにしてもよい。
【0031】
例えば上記の場合、基板の中心に対応する導電層104Aに流れる電流を、基板の周縁部に対応する導電層104Bに流れる電流よりも大きくすることで、基板面内における電解メッキの成長速度のばらつきを抑制することが可能となる。
【0032】
また、導電層(給電層)の分割数は2つに限定されず、例えば3つ以上としてもよい。また、導電層の分割方法は、基板の中心部と周縁部で分ける場合に限定されず、例えば基板に形成されるビアホールの径の大きさに対応して分割するようにしてもよい(この例については、図7A以下で後述)。
【0033】
また、電子部品(半導体装置)の製造においては、基板101を用いて複数の電子部品を製造し、後の工程において複数の電子部品(半導体チップ)を切り離す(個片化する)場合がある。図5は、基板101に対して形成される電子部品の配列の状態を示す一例である。このように、電子部品は、格子状に配列される場合がある。例えば本図に示す場合、基板101の中心付近の電子部品に対応して導電層104Aを、基板101の周縁部の電子部品に対応して導電層104Bが設置されるようにすればよい。
【0034】
次に、上記の電子部品の製造方法の詳細について、手順を追って説明する。ただし、以下の先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【実施例1】
【0035】
まず、図6Aに示す工程において、例えばSiよりなる基板(ウェハ)101を裏面研削により薄型化し、厚さが200μm程度となるようにする。次に、フォトリソグラフィ法により形成されるマスクパターン(図示せず)を用いたドライエッチングにより、基板101に例えば径が60μmのビアホール(貫通穴)102を複数形成する。
【0036】
次に、図6Bに示す工程において、基板101の表面を熱酸化することにより、絶縁膜(熱酸化膜)105を形成する。また、必要に応じて絶縁膜105を部分的に剥離しておいてもよい(例えば後の工程において陽極接合される箇所など)。
【0037】
次に、図6Cに示す工程において、接着層(接着材料よりなる層)103を用いて、基板101に、例えばCuよりなる導電層104を貼り付ける。この場合、導電層104は、ビアホール102の片側の開口を塞ぐように貼り付けられる。
【0038】
また、導電層104は、図3A,図3B、図4〜図5で説明したように、複数の領域(例えば中心部の導電層104Aと周縁部の導電層104B)に分割されて設置される。
【0039】
次に、図6Dに示す工程において、ビアホール102の底部の接着層103を除去して導電層104を露出させた後、導電層104を給電層とする電解メッキ法により、ビアホール102に導電材料(Cu)を埋設し、ビアプラグ106を形成する。
【0040】
この場合、先に図3A,図3B、図4〜図5で説明したように、導電層104は、例えば導電層104Aと導電層104Bに分割されており、それぞれの導電層104A,104Bに流れる電流(印加される電圧)は個別に制御される。
【0041】
例えば、基板101の中心に対応する導電層104Aに流れる電流を、基板の周縁部に対応する導電層104Bに流れる電流よりも大きくすることで、基板の中心部と、基板の周縁部における電解メッキの成長速度のばらつきを抑制することが可能となる。
【0042】
次に、図6Eに示す工程において、導電層104と接着層103を除去し、さらに、図6Fに示す工程において、ビアホール102から突出したCuを研磨により除去する。
【0043】
次に、図6Gに示す工程において、基板101の上面(導電層104が設置されていた側と反対側の面、以下文中同じ)と、基板101の下面の絶縁層105上に、それぞれ、導電層107、108を形成する。
【0044】
例えば、導電層107、108は、Cr(厚さ50nm)/Cu(厚さ750nm)構造(Cuが外側となる積層構造)とされ、スパッタリング法により形成される。これらの導電層107,108は、後の工程においてビアプラグ106に接続される導電パターンを電解メッキ法で形成する場合の給電層となる。
【0045】
次に、図6Hに示す工程において、基板101の下面に、ビアプラグ106に接続されるCuよりなる導電パターン109を、メッキレジスト(図示せず)を用いたパターンメッキにより形成する。上記の電解メッキにあたっては、導電層108が給電層として用いられる。また、導電パターン109の形成後にメッキレジスト剥離により露出した導電層108は、エッチングにより剥離する。
【0046】
次に、図6Iに示す工程において、導電パターン109の一部を露出させるように、絶縁膜105を覆う保護層(絶縁層)111を形成する。また、保護層111から露出した導電パターン109には、例えば、Ni/Au構造(Auが外側となる積層構造)よりなる接続層110を電解メッキ法により形成する。
【0047】
次に、図6Jに示す工程において、基板101の上面に、ビアプラグ106に接続されるCuよりなる導電パターン112を、メッキレジスト(図示せず)を用いたパターンメッキにより形成する。上記の電解メッキにあたっては、導電層107が給電層として用いられる。さらに、導電パターン112上に、例えば、Ni/Au構造よりなる接続層113を電解メッキ法により形成する。また、導電パターン112、接続層113の形成後にメッキレジスト剥離により露出した導電層107は、エッチングにより剥離する。
【0048】
このようにして、基板101を貫通するビアプラグ106と、ビアプラグ106に接続された導電パターン109,112を有する配線基板(電子部品)を製造することができる。また、上記の配線基板に、さらに半導体チップを実装し、半導体チップが実装された構造を有する電子部品を構成してもよい。
【0049】
例えば、図6Kに示す工程において、Auよりなるバンプ202が接続された半導体チップ201を、接続層113上に実装する。この場合、バンプ202と接続層113のAuを超音波を用いて接合することにより、半導体チップをフリップチップ実装することができる。
【0050】
さらに、図6Lに示す工程において、基板101をダイシングにより切断して個片化する。また、半導体チップ201が、発光素子や受光素子などの光機能素子よりなる場合、必要に応じて、基板101上に光透過性材料よりなるカバー203を接合し、半導体チップ201が封止される構造としてもよい。また、当該光透過性材料がガラスよりなる場合、カバー203は陽極接合により、基板101に接合される。この場合、絶縁膜105が剥離されてSiが露出した部分に、カバー203の凸部を接合すればよい。また、外部接続端子として、接続層110に半田ボール114を形成してもよい。
【0051】
このようにして、基板101に半導体チップ201が実装されてなる電子部品を製造することができる。
【0052】
上記の製造方法によれば、基板101を貫通するビアプラグ106を形成する場合に、基板の面内(例えば基板101の中心部と基板101の周縁部)における電解メッキの成長速度のばらつきを抑制し、良好な品質の電子部品を製造することが可能となる。
【0053】
また、上記の製造方法では、基板101のビアホール102を電解メッキで埋設する場合に、メッキの成長が実質的に底面(導電層104)からのみ生じるため、アスペクト比の高いビアホールに対しても、ボイドの発生を抑制して導電材料を埋設(ビアプラグ106を形成)することが可能である。
【0054】
例えば、上記の製造方法によれば、アスペクト比1〜20程度のビアホールをボイドフリーで埋設することが可能である。また、上記の製造方法は、ビアホールの径が、10〜200μmに適用可能であるが、これらの数値は一例であり、本発明はこれらの数値に限定されるものではない。
【実施例2】
【0055】
また、実施例1の場合には、電解メッキの給電層となる導電層を基板の中心部と周縁部に対応して分割したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、当該導電層を、ビアホールの径の大きさに対応して分割するようにしてもよい。
【0056】
例えば、従来の電解メッキ法においては、ビアホールの径が異なる場合に、メッキの成長速度がばらついてしまう場合があった。通常は、ビアホールの径が大きい場合には、メッキ液のイオン交換の効率が良くなるため、メッキの成長速度が大きくなる傾向にあり、一方でビアホールの径が小さい部分ではメッキの成長速度が小さくなる傾向にある。このため、径の異なるビアホールが形成された基板では、メッキの成長速度のばらつきを抑制することが困難になっていた。
【0057】
図7Aは、基板に形成される電子部品(半導体チップ)の配列を示しており、さらに各々の電子部品には、形成されるビアホールの大きさの一例が示してある。このように、一つのチップが形成される領域には、異なる大きさのビアホールが形成されることが多い。
【0058】
例えば、図7Aのようにビアホールの径が異なる場合には、図7Bに示すように導電層を分割すればよい。図7Bは、図7Aに示した電子部品の拡大図であり、当該電子部品(基板)に対して設置される導電層の分割状態の一例を示している。
【0059】
図7Bを参照するに、径の小さなビアホールに対しては、導電層104Aが、径の大きなビアホールに対しては導電層104Bがそれぞれ対応するように形成されている。また、これらの導電層104A,104Bは、複数の電子部品に対して共通となるように(接続されて形成されるように)パターニングされることが好ましい。
【0060】
上記のように構成された導電層104A、104Bに対して、実施例1の図4に示すように、流される電流を独立に制御すればよい。
【0061】
この場合、分割された導電層104A,104Bに対応するそれぞれのビアホールの径を比較して、径が小さいビアホールに対応する導電層104Aに流れる電流が、径が大きいビアホールに対応する導電層104Bに流れる電流よりも大きくなるように電流値を制御することが好ましい。
【0062】
上記のように電流値が制御されると、ビアホールの径の違いによるメッキの成長速度のばらつきが抑制され、高品質の電子部品を製造することが可能となる。
【0063】
図8は、本実施例による電子部品の製造方法を用いて製造される電子部品の構成を示す断面図である。ただし、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0064】
図8を参照するに、本実施例の場合には、ビアプラグ106の間に、ビアプラグ106の径よりも小さいビアプラグ106Aが形成され、半導体チップ201と接続されていることが特徴である。
【0065】
上記の電子部品を製造する場合には、基板101を貫通するビアプラグ106,106Aを形成するにあたって、図9(図7B)に示すように導電パターンを分割すればよい。図9は、実施例1の図6Dに相当する図である。ただし、先に説明した部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0066】
本図に示す工程では、径が小さいビアホール(ビアプラグ106A)に対応して導電層104A、径が大きいビアホール(ビアプラグ106)に対応して導電層104Bが対応するように、導電層104が分割されている。ここで、先に説明したように、径が小さいビアホールに対応する導電層104Aに流れる電流が、径が大きいビアホールに対応する導電層104Bに流れる電流よりも大きくなるように電流値を制御することで、ビアホールの径の違いによるメッキの成長速度のばらつきを抑制し、高品質の電子部品を製造することが可能となる。
【0067】
本図に示した工程以外は、実施例1に示した場合と同様にして、図8に示した電子部品を製造することができる。
【0068】
このように、導電層の分割は電子部品の仕様に対応して様々に変更することが可能である。例えば、様々な理由で電解メッキの成長速度がばらつく場合に、導電層を分割して電流を独立に制御することにより、成長速度のばらつきを抑制して高品質の電子部品を製造することが可能となる。
【0069】
また、基板を貫通するビアプラグ上に導電パターンや絶縁層をさらに多層に形成して、いわゆるビルドアップ法によって多層配線基板を形成することも可能である。
【0070】
以上、本発明を好ましい実施例について説明したが、本発明は上記の特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、基板に形成されたビアホールに、良好な埋設特性でメッキ法により導電材料を埋設して電子部品を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1A】従来の電子部品の製造方法を示す図(その1)である。
【図1B】従来の電子部品の製造方法を示す図(その2)である。
【図2】実施例1による電子部品の製造方法の概略を示す図である。
【図3A】導電層の設置方法の一例を示す図(その1)である。
【図3B】図3Aの平面図である。
【図4】導電層の電流値の制御方法を示す図である。
【図5】導電層の設置方法の一例を示す図(その2)である。
【図6A】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その1)である。
【図6B】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その2)である。
【図6C】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その3)である。
【図6D】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その4)である。
【図6E】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その5)である。
【図6F】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その6)である。
【図6G】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その7)である。
【図6H】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その8)である。
【図6I】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その9)である。
【図6J】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その10)である。
【図6K】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その11)である。
【図6L】実施例1による電子部品の製造方法を示す図(その12)である。
【図7A】基板に形成されるチップの配列を示す図である。
【図7B】導電層の設置方法の一例を示す図(その3)である。
【図8】実施例2による電子部品の製造方法を示す図(その1)である。
【図9】実施例2による電子部品の製造方法を示す図(その2)である。
【符号の説明】
【0073】
101 基板
102 ビアホール(貫通穴)
103 接着層
104,104A,104B 導電層
105 絶縁膜
106,106A ビアプラグ
107,108 導電層
109,112 導電パターン
110,113 接続層
111 保護層
114 半田ボール
201 半導体チップ
202 バンプ
203 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された複数の貫通穴を塞ぐように設置される導電層を複数の領域に分割し、当該複数の領域の導電層に流れる電流を個別に制御して前記貫通穴に電解メッキ法により導電材料を埋設するメッキ工程と、
前記導電材料に接続される導電パターンを形成する導電パターン形成工程と、を有することを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記導電層は、少なくとも、前記基板の中心部に対応する第1の領域と、前記基板の周縁部に対応する第2の領域とに分割されることを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記メッキ工程では、前記第1の領域に流れる電流が前記第2の領域に流れる電流より大きいことを特徴とする請求項2記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記基板には径が異なる前記貫通穴が複数形成され、前記導電層は前記貫通穴の径の大きさに対応して分割されることを特徴とする請求項1記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記メッキ工程では、分割された前記導電層に対応するそれぞれの前記貫通穴の径を比較した場合に、径が小さい前記貫通穴に対応する前記導電層に流れる電流が、径が大きい前記貫通穴に対応する前記導電層に流れる電流よりも大きいことを特徴とする請求項4記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記導電層は接着層により前記基板に接着されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の電子部品の製造方法。
【請求項7】
前記導電パターンに半導体チップを実装する工程をさらに有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の電子部品の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図6K】
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【図6L】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−28336(P2008−28336A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202344(P2006−202344)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】