説明

電磁波情報検出システム、電磁波情報検出装置および電磁波情報検出方法

【課題】撮影前の待機タイミングと連動しないタイミングで撮像用の電磁波を照射しても、安定した電磁波情報が得られるようにする。
【解決手段】第1の電極346と複数の第2の電極336と光電変換層340とを有する複数の光電変換器304と、複数の第2の電極に接続された複数のノーマリーオントランジスタ320と、複数のトランジスタのゲート電圧を制御するゲート電圧制御手段242と、第1の電極に所定の電位を供与する電位供与手段246と、ゲート電圧制御手段と電位供与手段を制御する制御手段210と、電磁波を検知して電磁波検知信号を送信する電磁波検知手段280を備え、第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に複数のトランジスタのゲート電圧を0Vとし、電磁波検知信号を受信すると、第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波情報検出システム、電磁波情報検出装置および電磁波情報検出方法に関し、特に、放射線を可視光に変換して画像を得る間接変換型放射線撮像システム、間接変換型放射線撮像装置およびそれを使用した撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換器を利用する従来の放射線撮像システムにおいては、光電変換器を備える放射線検出部の電源がオフのスリープ状態から放射線検出部の電源がオンになった後しばらくの間(少なくとも数秒以上)には、光電変換器の暗電流を安定させるためのアイドリング期間が設けられている。アイドリング期間中は、通常の読み出し動作と同様に、薄膜トランジスタのゲートにオン電圧とオフ電圧(正電圧と負電圧)を繰り返し印加し、蓄積用キャパシタに蓄積する暗電流を掃き出して暗電流が蓄積用キャパシタに蓄積されることを防いでいる(空読み)。画質を劣化させることなく空読み動作から撮影動作に移行するためには、X線源からの曝射情報(曝射レディー信号、曝射開始タイミング、曝射時間)と、可搬性放射線画像検出装置側の駆動動作(空読み、撮影、読み出し)とを連動させる必要がある(特許文献1参照)。
【0003】
近年、可搬性放射線画像検出装置の有線ケーブルによるハンドリングミス(引っ掛かり)を防ぐため、無線型の可搬性放射線画像検出装置が提案されている。可搬性放射線画像検出装置とX線源が有線ケーブルによって接続されている場合には、X線源からの曝射情報と可搬性放射線画像検出装置側の駆動動作とを同期させることは可能である。しかしながら、無線では信号伝送の遅れ(数ミリ秒程度)があり、X線源からのX線照射時間は短いものでは10ミリ秒程度であるので、X線源と可搬性放射線画像検出装置との連動動作をすべて無線通信で行うことは困難である。
【0004】
そこで、無線型の可搬性放射線画像検出装置内にX線の照射開始および照射終了を検知できるX線検知手段を内蔵し、撮影モード開始に関しては無線型の可搬性放射線画像検出装置とX線源の連動を実現する提案がされている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−181942号公報
【特許文献2】特開2007−151761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この方法では、撮影前の待機期間のタイミングと撮影/読出しタイミングとの連動が困難で、撮影前の待機期間中の空読みの途中で撮影モードに強制移行するために、画像アーティファクトの懸念がある。
【0007】
本発明の主な目的は、撮影前の待機タイミングと連動しないタイミングで撮像用の電磁波を照射しても、安定した電磁波情報が得られる電磁波情報検出システム、電磁波情報検出装置および電磁波情報検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
電磁波を発生する電磁波発生装置と、電磁波の照射を受けて、電磁波に担持されている情報を検出する電磁波情報検出装置とを備える電磁波情報検出システムであって、
前記電磁波情報検出装置は、
少なくとも前記電磁波の受け始めを検知して電磁波検知開始信号を送信する電磁波検知手段と、
第1の電極と、
複数の第2の電極と、
前記第1の電極と前記複数の第2の電極との間に設けられた光電変換層と、
前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタと、
前記複数のトランジスタのゲート電圧を制御するゲート電圧制御手段と、
前記第1の電極に所定の電位を供与する電位供与手段と、
前記電磁波検知手段に接続された制御手段であって、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知開始信号を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する電磁波情報検出システムが提供される。
【0009】
好ましくは、前記電磁波検知手段は、前記電磁波の受け始めと終了とを検知して電磁波検知開始と電磁波検知終了の情報を有する電磁波検知信号を送信する電磁波検知手段であり、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知開始情報を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始し、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知終了情報を受信してから所定期間が経過すると、前記複数のトランジスタのゲートに順次オン電圧を供給して読出動作を行うように、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する。
【0010】
好ましくは、前記ノーマリーオン型の電界効果型トランジスタの活性層が酸化物半導体であり、より好ましくは、前記酸化物半導体がIGZOである。
【0011】
好ましくは、前記光電変換層は、電磁波の照射を受けることにより正と負の電荷を発生する電荷発生剤に有機化合物を使用した電荷発生層と、前記電荷発生層で発生した正の電荷のみを輸送する電荷輸送剤に有機化合物を使用した電荷輸送層とを備えている。
【0012】
好ましくは、前記電磁波情報検出装置は前記複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタに接続された信号配線と、前記信号配線を所定の基準電位に接続する接続手段とをさらに備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とする前の待機期間に、前記複数のトランジスタのゲート電圧を0Vとすると共に、前記第1の電極に前記所定の基準電位を供与し、前記信号配線を前記所定の基準電位に接続するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段と前記接続手段とを制御する。
【0013】
好ましくは、前記電磁波情報検出装置は、前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数の蓄積容量をさらに備え、前記撮像を開始すると、前記電荷発生層で発生した負の電荷を前記蓄積容量に蓄積する。
【0014】
好ましくは、放射線を前記放射線よりも波長の長い前記電磁波に変換する放射線変換層をさらに備える。
【0015】
また、本発明によれば、
少なくとも電磁波の受け始めを検知して電磁波検知開始信号を送信する電磁波検知手段と、
第1の電極と、
複数の第2の電極と、
前記第1の電極と前記複数の第2の電極との間に設けられた光電変換層と、
前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタと、
前記複数のトランジスタのゲート電圧を制御するゲート電圧制御手段と、
前記第1の電極に所定の電位を供与する電位供与手段と、
電磁波検知手段に接続された制御手段であって、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知開始信号を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する電磁波情報検出装置が提供される。
【0016】
好ましくは、前記電磁波検知手段は、前記電磁波の受け始めと終了とを検知して電磁波検知開始と電磁波検知終了の情報を有する電磁波検知信号を送信する電磁波検知手段であり、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知開始情報を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始し、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知終了情報を受信してから所定期間が経過すると、前記複数のトランジスタのゲートに順次オン電圧を供給して読出動作を行うように、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する。
【0017】
好ましくは、前記ノーマリーオン型の電界効果型トランジスタの活性層が酸化物半導体であり、より好ましくは、前記酸化物半導体がIGZOである。
【0018】
好ましくは、前記光電変換層は、電磁波の照射を受けることにより正と負の電荷を発生する電荷発生剤に有機化合物を使用した電荷発生層と、前記電荷発生層で発生した正の電荷のみを輸送する電荷輸送剤に有機化合物を使用した電荷輸送層とを備えている。
【0019】
好ましくは、前記電磁波情報検出装置は前記複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタに接続された信号配線と、前記信号配線を所定の基準電位に接続する接続手段とをさらに備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とする前の待機期間に、前記複数のトランジスタのゲート電圧を0Vとすると共に、前記第1の電極に前記所定の基準電位を供与し、前記信号配線を前記所定の基準電位に接続するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段と前記接続手段とを制御する。
【0020】
好ましくは、前記電磁波情報検出装置は、前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数の蓄積容量をさらに備え、前記撮像を開始すると、前記電荷発生層で発生した負の電荷を前記蓄積容量に蓄積する。
【0021】
好ましくは、放射線を前記放射線よりも波長の長い前記電磁波に変換する放射線変換層をさらに備える。
【0022】
また、本発明によれば、
少なくとも電磁波の受け始めを検知して電磁波検知開始信号を送信する電磁波検知手段と、
第1の電極と、
複数の第2の電極と、
前記第1の電極と前記複数の第2の電極との間に設けられた光電変換層と、
前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタと、
前記複数のトランジスタのゲート電圧を制御するゲート電圧制御手段と、
前記第1の電極に所定の電位を供与する電位供与手段と、
電磁波検知手段に接続された制御手段であって、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する制御手段とを備える電磁波情報検出装置を使用して電磁波情報を検出する電磁波情報検出方法であって、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知開始信号を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与とを制御する電磁波情報検出方法が提供される。
【0023】
好ましくは、前記電磁波検知手段は、前記電磁波の受け始めと終了とを検知して電磁波検知開始と電磁波検知終了の情報を有する電磁波検知信号を送信する電磁波検知手段であり、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知開始情報を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始し、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知終了情報を受信してから所定期間が経過すると、前記複数のトランジスタのゲートに順次オン電圧を供給して読出動作を行うように、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する。
【0024】
好ましくは、前記ノーマリーオン型の電界効果型トランジスタの活性層が酸化物半導体であり、より好ましくは、前記酸化物半導体がIGZOである。
【0025】
好ましくは、前記光電変換層は、電磁波の照射を受けることにより正と負の電荷を発生する電荷発生剤に有機化合物を使用した電荷発生層と、前記電荷発生層で発生した正の電荷のみを輸送する電荷輸送剤に有機化合物を使用した電荷輸送層とを備えている。
【0026】
好ましくは、前記電磁波情報検出装置は前記複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタに接続された信号配線と、前記信号配線を所定の基準電位に接続する接続手段とをさらに備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とする前の待機期間に、前記複数のトランジスタのゲート電圧を0Vとすると共に、前記第1の電極に前記所定の基準電位を供与し、前記信号配線を前記所定の基準電位に接続するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段と前記接続手段とを制御する。
【0027】
好ましくは、前記電磁波情報検出装置は、前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数の蓄積容量をさらに備え、前記撮像を開始すると、前記電荷発生層で発生した負の電荷を前記蓄積容量に蓄積する。
【0028】
好ましくは、放射線を前記放射線よりも波長の長い前記電磁波に変換する放射線変換層をさらに備える。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、撮影前の待機タイミングと連動しないタイミングで撮像用の電磁波を照射しても、安定した電磁波情報が得られる電磁波情報検出システム、電磁波情報検出装置および電磁波情報検出方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の好ましい第1の実施の形態の間接変換型放射線撮像システムを説明するための概略図である。
【図2】本発明の好ましい第1の実施の形態の間接変換型放射線撮像システムの電子カセッテを説明するための概略ブロック図である。
【図3】本発明の好ましい第1の実施の形態の間接変換型放射線撮像システムの電子カセッテの画素部を説明するための概略縦断面図である。
【図4】本発明の好ましい第1の実施の形態の間接変換型放射線撮像システムの電子カセッテの画素部に使用される薄膜トランジスタの特性を説明するための図である。
【図5】本発明の好ましい第1の実施の形態の間接変換型放射線撮像システムの電子カセッテの放射線検出器を説明するための概略縦断面図である。
【図6】本発明の好ましい第1の実施の形態の間接変換型放射線撮像システムの放射線発生装置を説明するための概略ブロック図である。
【図7】本発明の好ましい第1の実施の形態の間接変換型放射線撮像システムを使用した撮像方法を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1を参照すれば、本発明の好ましい実施の形態の間接変換型放射線撮像システム100は、可搬性放射線画像検出装置(以下、「電子カセッテ」という)200と、放射線発生装置400と、表示部450とを有している。
【0033】
電子カセッテ200は、放射線画像の撮像時に、X線等の放射線を発生する放射線発生装置400の放射線源430と間隔を空けて配置される。このとき、被検体50が放射線発生装置400の放射線源430と電子カセッテ200との間に位置し、放射線画像の撮像が指示されると、放射線源430は予め与えられた撮像条件等に応じた放射線量の放射線431を射出する。放射線源430から射出されたX線431は、被検体50を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ200に照射される。本実施の形態では、放射線照射前に、放射線発生装置400の無線通信部410から曝射信号を送信し、電子カセッテ200の無線通信部272が当該曝射信号を受信すると、電子カセッテ200は撮像準備動作を開始し、その後、放射線検知器280で放射線431を検知すると、撮像動作を開始する。
【0034】
次に、図2を参照して、本発明の好ましい実施の形態の間接変換型放射線撮像システム100の電子カセッテ200について説明する。
【0035】
電子カセッテ200は、カセッテ制御部210と、放射線検出部220と、ゲート線ドライバー242と、信号処理部244と、バイアス電圧印加回路246と、画像メモリー248と、切替部250と、切替部260と、無線通信部272と、電源274と、放射線検知器280とを備えている。放射線検知器280は、バイアス電圧印加回路276と検知器284とを備えている。
【0036】
カセッテ制御部210、放射線検出部220、ゲート線ドライバー242、信号処理部244、バイアス電圧印加回路246、画像メモリー248、切替部250と、切替部260、無線通信部272、および放射線検知器280は、電源274から供給された電力によって作動する。なお、図2では、電源274とこれらの各種回路等を接続する配線を省略している。
【0037】
カセッテ制御部210は、マイクロコンピュータによって構成されており、CPU(中央処理装置)212、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリー214、HDD(ハードディスク・ドライブ)やフラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部216を備えている。
【0038】
カセッテ制御部210は、ゲート線ドライバー242と、信号処理部244と、バイアス電圧印加回路246と、画像メモリー248と、切替部250と、切替部260と、無線通信部272と、電源274と、バイアス電圧印加回路276と、検知器284とに接続されており、ゲート線ドライバー242、信号処理部244、バイアス電圧印加回路246、画像メモリー248、切替部250、切替部260、無線通信部272、電源274、およびバイアス電圧印加回路276の制御を行うことにより、電子カセッテ200全体の動作を制御する。
【0039】
放射線検出部220では、基板222上に、放射線を電荷に変換する放射線電荷変換部304と、放射線電荷変換部304で変換された電荷を蓄積する蓄積容量330と、蓄積容量330に蓄積された電荷を読み出すための薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)320を備えた画素部300がマトリクス状に多数個配置されている。
【0040】
基板222上には、後述するバイアス電極346(図3参照)が全面に設けられ、バイアス電極346(図3参照)はバイアス電圧印加回路246に接続されている。カセッテ制御部210の制御により、バイアス電圧印加回路246によって、バイアス電極346(図3参照)に所定のバイアス電圧または接地電位等の基準電位が印加される。なお、蓄積容量330の放射線電荷変換部304とは反対側の電極332(蓄積容量下部電極332、図3参照)は接地電位302に接続されている。
【0041】
基板222には、一定方向(行方向)に配設され、各画素部300の薄膜トランジスタ320をオン・オフさせるための複数本のゲート配線226と、ゲート配線226と直交する方向(列方向)に配設され、オンされた薄膜トランジスタ320を介して蓄積容量330から蓄積電荷を読み出すための複数本の信号配線228が設けられている。
【0042】
各ゲート配線226は切替部250を介してゲート線ドライバー242に接続されている。切替部250内には、各ゲート配線226に対して、ゲート線ドライバー242と接地電位302とを切り替える切替回路252がそれぞれ設けられている。カセッテ制御部210の制御により切替回路252を切り替えて、各ゲート配線226をゲート線ドライバー242と接地電位302のいずれか一方に接続するように切り替える。
【0043】
各信号配線228は切替部260を介して信号処理部244に接続されている。切替部260内には、各信号配線228に対して、信号処理部244と接地電位302とを切り替える切替回路262がそれぞれ設けられている。カセッテ制御部210の制御により切替回路262を切り替えて、各信号配線228を信号処理部244と接地電位302のいずれか一方に接続するように切り替える。
【0044】
放射線の照射を受けている間は、各画素部300の薄膜トランジスタ320は、カセッテ制御部210の制御によりゲート線ドライバー242からゲート配線226を介して供給される信号により全てオフ状態にされ、放射線電荷変換部304で放射線から光電変換された電荷に対応する電荷を各画素部300の蓄積容量330に蓄積する。放射線の照射後に、各画素部300の薄膜トランジスタ320は、カセッテ制御部210の制御によりゲート線ドライバー242からゲート配線226を介して供給される信号により行単位で順にオンされる。薄膜トランジスタ320がオンされた画素部300の蓄積容量330に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号として信号配線228を伝送されて信号処理部244に入力される。このように、各画素部300の蓄積容量330に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。なお、信号処理部244に入力されたアナログの電気信号は信号処理部244内のA/D変換器(図示せず)によってデジタルの画像データに変換される。
【0045】
信号処理部244には画像メモリー248が接続されており、カセッテ制御部210の制御により、信号処理部244から出力されたデジタルの画像データは画像メモリー248に順に記憶される。画像メモリー248は複数フレーム分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮像が行われる毎に、撮像によって得られた画像データが画像メモリー248に順次記憶される。
【0046】
画像メモリー248はカセッテ制御部210に接続されている。カセッテ制御部210の制御により、画像メモリー248に記憶された画像データが記憶部216に送られ記録される。
【0047】
カセッテ制御部210には無線通信部272が接続されている。カセッテ制御部210は、無線通信部272を制御して、放射線発生装置400の後述する無線通信部410(図6参照)を介して、放射線発生装置400との間で無線通信により各種情報の送受信を行う。
【0048】
放射線検知器280は、放射線電荷変換器282とバイアス電圧印加回路276と、検知器284とを備えている。放射線電荷変換器282の一方の電極はバイアス電圧印加回路276の一端に接続され、放射線電荷変換器282の他方の電極は接地電位302に接続されている。バイアス電圧印加回路276の他端は検知器284の一端に接続され、検知器284の他端は接地電位302に接続されている。バイアス電圧印加回路276により放射線電荷変換器282にバイアス電圧が印加された状態で、放射線電荷変換器282に放射線が入射した瞬間の立ち上がりを検知器284で検知する。検知器284による検知信号はカセッテ制御部210に送られる。
【0049】
次に、図3を参照して、放射線検出部220の各画素部300について説明する。
【0050】
可撓性基板310の一方の表面上には、蓄積容量330および薄膜トランジスタ320が設けられている。蓄積容量330は、蓄積容量上部電極334と、蓄積容量下部電極332と、これらの電極間にある誘電体層314(この誘電体層314は、絶縁膜としても機能する)によって構成されている。薄膜トランジスタ320は、ドレイン電極324と、蓄積容量上部電極334に接続するソース電極326と、ソース電極326とドレイン電極324の間にある活性層(チャネル層)328と、活性層328を覆うように形成された保護層329と、絶縁膜として機能する誘電体層314を介して活性層328に対向する位置にあるゲート電極322とを有している。
【0051】
蓄積容量330および薄膜トランジスタ320上に、層間絶縁膜338が設けられている。蓄積容量上部電極334上の層間絶縁膜338にはコンタクトホール339が設けられている。層間絶縁膜338上に、電荷収集電極(下部電極)336が設けられている。電荷収集電極336は画素電極となり、画素部300毎に設けられている。電荷収集電極336は、コンタクトホール339を介して、蓄積容量上部電極334と接続されている。
【0052】
電荷収集電極336上には、高分子下引き層312が設けられている。高分子下引き層312上に、電荷発生層344と、電荷輸送層342と、バイアス電極346がこの順で設けられている。電荷発生層344と電荷輸送層342とにより有機光電変換層340を構成している。バイアス電極346上には層間絶縁膜316を介して蛍光体層350が設けられている。
【0053】
可撓性基板310は、薄ガラスとポリエチレンナフタレート(PEN)とを張り合わせたものからなる。ゲート電極322および蓄積容量下部電極332は、Moからなる。誘電体層314は、二酸化ケイ素からなる。ソース電極326、ドレイン電極324および蓄積容量上部電極334は、IZOからなる。活性層328は、IGZO(In-Ga-Zn-Oxide)からなる。保護層329はアモルファスGaからなる。層間絶縁膜338は、アクリル樹脂からなる。電荷収集電極336は、IZOからなる。高分子下引き層116は、アルコール可溶性ポリアミド塗布乾燥したものからなり、電荷収集電極336と電荷発生層344とを強固に接合する機能を有している。
【0054】
電荷発生層344は、電磁波の照射を受けることによって、正の電荷を持つホールと負の電荷を持つ電子とを発生する電荷発生剤とポリマーバインダーとから構成されている。電荷発生剤としてジブロモアントアントロン顔料を使用し、ポリマーバインダーとしてポリビニルブチラール樹脂を使用している。電荷輸送層342は、ホールのみを輸送する電荷輸送剤とポリマーバインダーとから構成されている。電荷輸送剤としてN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミンを使用し、ポリマーバインダーとしてポリカーボネートを使用している。バイアス電極346は、IZOからなる。
【0055】
層間絶縁膜316は、アクリル系両面接着テープからなる。蛍光体層350は、KODAK社蛍光体シートである、KODAK Lanex Regular(GaS:Tb)からなっている。蛍光体層350によって、撮像対象の被検体に放射線を照射する際に当該被検体を透過した放射線を可視光に変換する。蛍光体層350と有機光電変換層340とにより放射線電荷変換部304を構成している。
【0056】
放射線検出部220は、以下のようにして製造される。まず、厚さ0.15mmの薄ガラスと厚さ0.1mmのPENを貼り合わせた可撓性基板310上に、Moを40nmの厚さにスパッタ成膜し、フォトリソグラフィおよびウェットエッチングでパターニングして、ゲート電極322および蓄積容量下部電極332を形成した。
【0057】
この上に、二酸化ケイ素を200nmの厚さにスパッタ成膜し、絶縁膜を兼ねた誘電体層314を形成した。
【0058】
次に、IZOを酸素導入なしで200nmの厚さにスパッタ成膜し、フォトリソグラフィおよびウェットエッチングでパターンニングし、ソース電極326およびドレイン電極324および蓄積容量上部電極334を形成した。ソース電極326およびドレイン電極324が互いに対向するエッジは、25°のテーパ角となるようにした。
【0059】
次に、IGZOを10nmの厚さにスパッタ成膜した。スパッタ中に導入する酸素流量を調整することで、薄膜トランジスタ320をノーマリオン型の電界効果トランジスタとした。フォトリソグラフィおよびウェットエッチングでスパッタ成膜したIGZOをパターンニングし、活性層328を形成した。図4に、薄膜トランジスタ320のId−Vgs特性を示している。縦軸はドレイン電流(Id)であり、横軸はゲート・ソース間電圧(Vgs)である。ゲート・ソース間電圧Vgsが0Vで、高いオン電流が得られている。またオフ電流も小さい値である。
【0060】
次に、アモルファスGaを10nmの厚さにスパッタ成膜し、活性層328を覆う領域のみ残して保護層329とした。
【0061】
次に、アクリル樹脂からなる層間絶縁膜338を塗布し、蓄積容量上部電極334の上の層間絶縁膜338にコンタクトホール339を形成した。
【0062】
次に、IZOを40nmの厚さに成膜、パターンニングし、電荷収集電極(下部電極)336を形成した。電荷収集電極336はコンタクトホール339を介して蓄積容量上部電極334に接続される。
【0063】
次に、アルコール可溶性ポリアミドを、電荷収集電極336上に、厚さが0.1μmになるようにスピンコート塗布し、乾燥して高分子下引き層312を形成した。
【0064】
次に、ジブロモアントアントロン顔料とポリビニルブチラール樹脂を前者:後者の質量比が50:50でシクロヘキサノンに添加、分散させたものを、高分子下引き層312上にスピンコーティングにより塗布し、厚さ0.5μmの電荷発生層344を形成した。
【0065】
次に、電荷輸送剤としてのN,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1′−ビフェニル]−4,4′−ジアミン3.5gとポリカーボネート(分子量:約35000〜40000)6.5gをメチレンクロリド35gに溶解して、電荷発生層344上にバーコートによって塗布し電荷輸送層342を形成した。135℃で1時間乾燥後、電荷輸送層342の膜厚を測定すると2μmであった。
【0066】
次に、電荷輸送層342上にIZOを100nmの厚さに成膜して、バイアス電極層346を形成した。
【0067】
次に、KODAK社蛍光体シートである、KODAK Lanex Regular(GaS:Tb 380μm)を準備し、この蛍光体シートとバイアス電極層346とをアクリル系両面接着テープの接着層316(厚さは20μm)介して貼り付けて、電子カセッテ200の放射線検出部220を作製した。
【0068】
本実施の形態による電子カセッテ200では、被写体を透過した放射線が蛍光体層350に入射され、この蛍光体層350で放射線よりも波長の長い電磁波である可視光に変換される。この変換された可視光は、有機光電変換層340で正の電荷を持つホールと負の電荷を持つ電子とに変換される。有機光電変換層340で変換されたホールは、バイアス電極346と電荷収集電極336との間で与えられた電位差によって電荷輸送層342を移動し、バイアス電極346に集められる。有機光電変換層340で変換された電子は、電荷収集電極336と接続している蓄積容量上部電極334と、蓄積容量下部電極332と、これらの電極間にある誘電体層314によって構成される蓄積容量330に蓄えられる。蓄積容量上部電極334とドレイン電極324は接続されているので、ゲート電極322にオン電圧を印加して薄膜トランジスタ320をオン状態とすることによって、蓄積容量30に蓄積された電荷は、ドレイン電極324から信号配線228(図2参照)を伝送されて信号処理部244(図2参照)に入力される。信号処理部244(図2参照)に入力された後、適宜A/D変換されて画像メモリー248に記憶される。画像メモリー248に記憶された放射線画像情報は、カセッテ制御部の記憶部216に記憶され、その後、無線通信部272と、後述する無線通信部410(図6参照)とを介して放射線発生装置400(図6参照)に送られ、後述する表示装置450(図6参照)の表示部452(図6参照)に可視画像として表示される。
【0069】
次に、図5を参照して、放射線検出器280について説明する。
【0070】
放射線検出器280の放射線電荷変換器282は、放射線検出部220の一部を利用している。従って、各構成要素は放射線検出部220の構成要素と同じであるので、説明は省略する。但し、放射線検出部220のバイアス電極346と同じ層の電極であって、バイアス電極346と離間して設けた電極を、放射線電荷変換器282のバイアス電極346’として使用し、放射線検出部220の電荷収集電極(下部電極)336と同じ層の電極であって、下部電極336と離間して設けた電極を、放射線電荷変換器282の下部電極336’として使用している。バイアス電極346’と下部電極336’は対向して設けられている。蛍光体層350から下部電極336’までの積層体が放射線電荷変換器282を構成している。
【0071】
放射線電荷変換器282のバイアス電極346’はバイアス電圧印加回路276の一端に接続され、放射線電荷変換器282の下部電極336’は接地電位302に接続されている。バイアス電圧印加回路276の他端は検知器284の一端に接続され、検知器284の他端は接地電位302に接続されている。検知器284としては、電流電圧変換アンプを使用している。
【0072】
バイアス電圧印加回路276により放射線電荷変換器282にバイアス電圧を印加して、バイアス電極346’と下部電極336’との間に所定の電位差を与えておく。放射線が蛍光体層350に入射すると、蛍光体層350で放射線よりも波長の長い電磁波である可視光に変換される。この変換された可視光は、有機光電変換層340で正の電荷を持つホールと負の電荷を持つ電子とに変換される。有機光電変換層340で変換されたホールは、バイアス電極346’と下部電極336’との間で与えられた電位差によって電荷輸送層342を移動し、バイアス電極346’に集められる。放射線電荷変換器282で光電変換された電荷を検知器284で検知することにより、放射線電荷変換器282に放射線が入射した瞬間の立ち上がりを検知する。
【0073】
次に、図6を参照して、本発明の好ましい実施の形態の間接変換型放射線撮像装置200の放射線発生装置400について説明する。
【0074】
放射線発生装置400は、操作メニューや撮像された放射線画像等を表示するディスプレイ414と、複数のキーを含んで構成され、各種の情報や操作指示が入力される操作パネル418と、放射線としてのX線を出力する放射線源430とを備えている。
【0075】
放射線発生装置400は、また、放射線発生装置400全体の動作を司るCPU402と、制御プログラムを含む各種プログラム等が予め記憶されたROM404と、各種データを一時的に記憶するRAM406と、各種データを記憶して保持するHDD408と、放射線源430を制御する線源制御部432と、表示装置450に画像信号を出力する画像信号出力部420と、電子カセッテ200(図2参照)の無線通信部272(図2参照)を介して電子カセッテ200との間で無線通信により各種情報の送受信を行う無線通信部410と、ディスプレイ414への各種情報の表示を制御するディスプレイドライバ412と、操作パネル418に対する操作状態を検出する操作入力検出部416と、を備えている。
【0076】
CPU402、ROM404、RAM406、HDD408、無線通信部410、ディスプレイドライバ412、操作入力検出部416、画像信号出力部420および線源制御部432は、システムバス440を介して相互に接続されている。従って、CPU402は、ROM404、RAM406、HDD408へのアクセスを行うことができると共に、無線通信部410を介した電子カセッテ200との各種情報の送受信の制御、ディスプレイドライバ412を介したディスプレイ414への各種情報の表示の制御、画像信号出力部420を介した表示装置450への各種情報の表示の制御、および線源制御部432を介した放射線源430の制御を行うことができる。CPU402は、また、操作入力検出部416を介して操作パネル418に対するユーザの操作状態を把握することができる。
【0077】
次に、図7のタイミングチャートを参照して、本発明の好ましい実施の形態の間接変換型放射線撮像システム100を使用して、撮像する方法について説明する。
【0078】
撮像前の待機期間においては、電子カセッテ200のカセッテ制御部210は、切替回路252を制御して、各ゲート配線346を接地電位302に接続して全ての薄膜トランジスタ320のゲートに0Vを印加しておき、バイアス電圧印加回路246を制御して、放射線電荷変換部304のバイアス電極346に0Vを印加しておき(接地電位を与えておき)、切替回路262を制御して、各信号線228を接地電位302に接続しておき、バイアス電圧印加回路276を制御して、放射線検知器280のバイアス電極346’に0Vを印加しておく(接地電位を与えておく)。
【0079】
撮像者が放射線発生装置400の操作パネル418を操作して撮像を指示する撮像指示操作を行うと、CPU402は無線通信部410を制御して、無線通信により、電子カセッテ200の無線通信部272に曝射信号C1を送信する。
【0080】
無線通信部272が曝射信号C1を受信すると、電子カセッテ200のカセッテ制御部210は、バイアス電圧印加回路246を制御して、放射線電荷変換部304のバイアス電極346に撮像バイアス(例えば,−20V)を印加し、バイアス電圧印加回路276を制御して、放射線検知器280のバイアス電極346’にバイアス(例えば,−20V)を印加する(撮像準備期間)。
【0081】
曝射信号C1の送信を開始してから、所定時間が経過すると、放射線発生装置400のCPU402は、線源制御部432を制御して、放射線源430にX線を射出させる。なお、この所定時間は、電子カセッテ200の放射線電荷変換部304が安定する時間以上の時間とする。
【0082】
放射線源430から射出したX線は、電子カセッテ200の放射線検知器280によって検知され、放射線検知器280は放射線検知信号C2をカセッテ制御部210に送信する。
【0083】
放射線検知信号C2を受信したカセッテ制御部210は、切替回路252を制御して、各ゲート配線346の接続をゲート線ドライバー242に切り替え、ゲート線ドライバー242を制御して、ゲート配線346を介して全ての薄膜トランジスタ320のゲート電極にオフ電圧(−10V)を印加して、全ての薄膜トランジスタ320をオフにして、撮像を開始する。
【0084】
放射線源430から射出したX線431は、被検体50を透過することで被検体50の画像情報を担持した後に、電子カセッテ200の放射線検出部220に到達し、放射線検出部220の各画素部300の放射線電荷変換部304で電荷に変換され、照射されたX線の線量に応じた電荷が蓄積容量330に蓄積される。
【0085】
X線の射出を開始してから、所定時間が経過すると、放射線発生装置400のCPU402は、線源制御部432を制御して、放射線源430にX線の射出を停止させる。
【0086】
X線の停止は、電子カセッテ200の放射線検知器280によって検知され、放射線検知器280は放射線検知信号C2のカセッテ制御部210への送信を停止する。
【0087】
カセッテ制御部210は、放射線検知信号C2の立ち下がりを検出してから所定期間経過後に、切替回路262を制御して、各信号配線228の接続を信号処理部244に切り替え、ゲート線ドライバー242を制御して、ゲート線ドライバー242から1ラインずつ順に各ゲート配線346にオン電圧(+10V)を印加し、各ゲート配線346に接続された薄膜トランジスタ320を1ラインずつ順にオンさせる。
【0088】
各ゲート配線346に接続された薄膜トランジスタ320が1ラインずつ順に行単位でオンされると、1ラインずつ順に各蓄積容量330に蓄積された電荷が電荷信号として各信号配線228に流れ出す。蓄積容量330に蓄積されている電荷は、アナログの電気信号として信号配線228を伝送されて信号処理部244に入力される。このように、各画素部300の蓄積容量330に蓄積されている電荷は行単位で順に読み出される。信号処理部244に入力されたアナログの電気信号は信号処理部244内のA/D変換器(図示せず)によってデジタルの画像データに変換され、画像メモリー248に記憶される。
【0089】
カセッテ制御部210は、1フレーム分(1枚分)の画像情報の読み出しが終了すると 、切替回路252を制御して、各ゲート配線346の接続を接地電位302に切り替え全ての薄膜トランジスタ320のゲートに0Vを印加し、バイアス電圧印加回路246を制御して、放射線電荷変換部304のバイアス電極346に0Vを印加し(接地電位を与え)、切替回路262を制御して、各信号線228の接続を接地電位302に切り替え、バイアス電圧印加回路276を制御して、放射線検知器280のバイアス電極346’に0Vを印加し(接地電位を与え)、撮像前の待機状態とする。
【0090】
カセッテ制御部210は、また、1フレーム分(1枚分)の画像情報の読み出しが終了すると、画像メモリー248に記憶された画像情報を1フレーム分ずつカセッテ制御部210の記憶部216に送信する。
【0091】
記憶部216に記憶された画像情報は、無線通信部272、410を介して放射線発生装置400に送信され、HDD408内に格納される。HDD408内に格納された画像情報は、画像信号出力部420を介して、表示装置450の表示部452に表示される。
【0092】
上記実施の形態では、薄膜トランジスタ320に、ノーマリーオン型のトランジスタを使用し、撮像前の撮像準備期間においては、全ての薄膜トランジスタ320のゲート電極に0Vを印加している。ノーマリーオン型のトランジスタのゲート電極に0Vを印加すれば、ソース・ドレイン間を導通状態に近い状態にすることができる。また、ゲート電極に0Vを印加するのに、特に電源を使用する必要はなく、ゲート電極を接地電位に接続すればいい。従って、電源なしで、ソース・ドレイン間を導通状態に近い状態にすることができる。その結果、放射線電荷変換部304のバイアス電極346にバイアス電圧を印加した際の暗電流を薄膜トランジスタ320を介して掃き出すことができ、暗電流が蓄積容量330に蓄積されるのを防止できる。
【0093】
また、この際には、ゲート電極を接地電位に接続して、ゲート電極に一定の0Vを印加しているのみなので、充放電が繰り返されことはなく、無駄な電力消費がない。特に無線型の電子カセッテではバッテリーが使われるので、撮像以外の期間に消費する電力を極力低減することが求められており、その中でも、特に、救急現場で使用される無線型の電子カセッテ(無線型)では常に撮像準備状態(撮像可能状態)に設定される可能性があり、撮像準備状態での電力浪費を極力低減することが求められているので、本実施の形態の電子カセッテ200はそのような用途に特に好適に使用される。
【0094】
また、撮像準備状態では薄膜トランジスタ320のゲート電極に印加する電圧は0Vなので、ストレス電圧とはならず、薄膜トランジスタ320の閾値シフトが起きにくい。
【0095】
待機中の撮像準備状態では、全ての薄膜トランジスタ320のゲート電極に0Vを印加しており、ゲート電圧走査がないので、撮像前の待機中の撮像準備のタイミングと撮像タイミングのずれによるアーティファクトの発生がない。従って、撮像前の待機中のタイミングと連動しないタイミングで撮像用のX線を照射しても、安定した画像情報が得られる。
【0096】
なお、上記実施の形態では、待機中の撮像準備状態では、全ての薄膜トランジスタ320のゲート電極に0Vを印加したが、−0.5V以上0.5V以下の範囲内の電圧(好ましくは一定の電圧)を印加しても、ソース・ドレイン間を導通状態に近い状態にすることができ、放射線電荷変換部304のバイアス電極346にバイアス電圧を印加した際の暗電流を薄膜トランジスタ320を介して掃き出すことができ、暗電流が蓄積容量330に蓄積されるのを防止できる。さらに、一定の電圧を印加すれば、充放電が繰り返されことはなく、無駄な電力消費がない。また、撮像準備状態では薄膜トランジスタ320のゲート電極に印加する電圧は−0.5V以上0.5V以下の範囲内の電圧なので、ストレス電圧とはならず、薄膜トランジスタ320の閾値シフトが起きにくい。さらに、待機中の撮像準備状態で、−0.5V以上0.5V以下の範囲内の一定の電圧を、全ての薄膜トランジスタ320のゲート電極に印加すれば、ゲート電圧走査がなく、撮像前の待機中の撮像準備のタイミングと撮像タイミングのずれによるアーティファクトの発生をなくすことができる。
【0097】
上記実施の形態では、撮像者が放射線発生装置400の操作パネル418を操作して撮像を指示する撮像指示操作を行うと、放射線発生装置400の無線通信部410から、無線通信により、電子カセッテ200の無線通信部272に曝射信号C1を送信し、無線通信部272が曝射信号C1を受信すると、放射線電荷変換部304のバイアス電極346に撮像バイアス(例えば,−20V)を印加して撮像準備期間に入る。そして、曝射信号C1の送信を開始してから、所定時間が経過すると、放射線発生装置400の放射線源430はX線を射出する。従って、撮像者は曝射誘導信号等が発せられるのを監視したり、曝射誘導信号に合わせたタイミングで放射線発生スイッチの操作をしたりする必要がないので、撮像時において、電磁波の照射のタイミングの点で撮像者を精神的に拘束することは少ない。
【0098】
上記実施の形態では、放射線源430から射出したX線は、電子カセッテ200の放射線検知器280によって検知され、放射線検知器280から送信される放射線検知信号C2の立ち上がりによって、全ての薄膜トランジスタ320をオフにして、撮像を開始する。上述したように、本実施の形態では、薄膜トランジスタ320にノーマリーオン型のトランジスタを使用し、待機中の撮像準備状態では、全ての薄膜トランジスタ320のゲート電極に0Vを印加しており、ゲート電圧走査がないので、放射線源430から射出したX線を放射線検知器280によって検知した放射線検知信号C2の立ち上がりによって、全ての薄膜トランジスタ320をオフにして、撮像を開始しても、撮像前の待機中の撮像準備のタイミングと撮像タイミングのずれによるアーティファクトの発生がなく、安定した画像情報が得られる。
【0099】
なお、上記実施の形態では、無線通信部272が無線通信により曝射信号C1を受信すると、放射線電荷変換部304のバイアス電極346に撮像バイアス(例えば,−20V)を印加して撮像準備期間に入ったが、任意のタイミングで放射線電荷変換部304のバイアス電極346に撮像バイアス(例えば,−20V)を印加して撮像準備期間に入るようにすることもできる。上記実施の形態では、薄膜トランジスタ320にノーマリーオン型のトランジスタを使用し、待機中の撮像準備状態では、全ての薄膜トランジスタ320のゲート電極に0Vを印加しているので、放射線電荷変換部304のバイアス電極346に撮像バイアス(例えば,−20V)を印加して撮像準備期間に入った後に、放射線電荷変換部304が安定する時間以上の時間が経過した後は、いつ撮像を開始しても、撮像前の待機中の撮像準備のタイミングと撮像タイミングのずれによるアーティファクトの発生がなく、安定した画像情報が得られる。
【0100】
但し、上記実施の形態で使用した有機光電変換層340は、撮像バイアスを印加したままにしておくと特性が変動してくる。このような撮像バイアスを印加しておくと、特性が変動するような光電変換膜を使用する場合には、なるべく撮像直前に撮像バイアスを印加して撮像準備期間に入った方がいいので、撮像前に無線通信により曝射信号C1を送信して曝射信号C1を受信すると撮像準備期間に入る方式の方が好ましい。
【0101】
また、このように撮像前に無線通信により曝射信号C1を送信して曝射信号C1を受信すると撮像準備期間に入る方式の場合には、曝射信号C1の立ち上がりからX線の照射が始まるまでの時間情報を無線通信により曝射信号C1と合わせて送信すれば、その時間情報によって、撮像を開始してもよい。その場合には、放射線検知器280から送信される放射線検知信号C2に応じて撮像を開始する方式としなくても、撮像前の待機中の撮像準備のタイミングと撮像タイミングのずれによるアーティファクトの発生を抑制できる。薄膜トランジスタ320にノーマリーオン型のトランジスタを使用し、待機中の撮像準備状態では、全ての薄膜トランジスタ320のゲート電極に0Vを印加する方式ではなく、ノーマリーオフ型のトランジスタを使用し、待機中の撮像準備状態では、薄膜トランジスタ320のゲート電極に正電圧と負電圧とを繰り返し印加する方式であっても、撮像前の待機中の撮像準備のタイミングと撮像タイミングのずれによるアーティファクトの発生を抑制できる。
【0102】
また、上記実施の形態では、X線の停止は、電子カセッテ200の放射線検知器280によって検知され、放射線検知器280による放射線検知信号C2の立ち下がりを検出してから所定期間経過後に、読出を開始したが、無線通信により曝射信号C1と合わせて撮像時間情報を送信すれば、それに基づいて読出を開始しても良い。
【0103】
なお、放射線電荷変換部346のバイアス電極に撮像バイアスを印加開始するタイミング、全ての薄膜トランジスタ320をオフにして、蓄積容量330への蓄積を開始するタイミングおよび1行目の薄膜トランジスタ320をオンにして読出を開始するタイミングに基づいて、画像からオフセット(暗電流蓄積)を補正することが好ましい。
【0104】
上記実施の形態の薄膜トランジスタ320の活性層328には、IGZOを使用したが、他の酸化物半導体、例えば、IZO(In-Zn-Oxide)等の酸化物半導体を使用することもできる。これらの酸化物を使用すれば、オン電流がおおきいノーマリーオン型のトランジスタが簡単に作れ、しかもオフバイアスのときのオフ電流は非常に低いものとすることができ、高いオンオフ比のトランジスタを実現することができる。酸化物のなかでも、IGZOが閾値電圧の制御や環境安定性に優れているので、特に好ましく使用される。なお、ノーマリーオン型の薄膜トランジスタ320の活性層328に、アモルファスSiを用いることもできるが、高濃度にドーピングしないとノーマリーオン型にはならず、そうするとオフ電流が大きくなってオンオフ比があまりとれない等、ノーマリーオン動作と低いOFF電流の両立が困難であり、あまり好ましくない。
【0105】
上記実施の形態の光電変換層340には、有機光電変換膜を使用したが、アモルファスSiやアモルファスSeを用いることもできる。光電変換層320に、アモルファスSiやアモルファスSeを用いた場合には、撮像前の待機期間から、撮像準備期間、撮像期間、読出期間の全てにわたって、撮像電圧を印加しておく。アモルファスSiやアモルファスSeを用いた場合には、電圧を印加し続けないと安定しないので、撮像電圧を印加し続ける方が好ましい。
【0106】
これに対して、有機光電変換膜の場合は、光電変換層340の両側の電荷収集電極336とバイアス電極346とを短絡しておく状態が長いほど安定である。また、撮像しないときはできるだけ短絡状態にしておいた方が電力を消費しない。さらに、有機光電変換膜の場合は、アモルファスSiやアモルファスSeの場合に比べて暗電流そのものが少ないので、バイアス電極346に撮像バイアスを印加してから安定するまでの時間もより短い。上記実施の形態では、撮像前の待機期間においては、全ての薄膜トランジスタ320のゲートに0Vを印加し、放射線電荷変換部304のバイアス電極346に0Vを印加しておき、各信号線228を接地電位302に接続しているので、電荷収集電極336とバイアス電極346とは短絡状態となっている。
【0107】
上記実施の形態の蛍光体シート126や第2の実施の形態の蛍光体層350には、ガドリニウム硫酸化物(GOS:Tb)を使用したが、ヨウ化セシウム(CsI:Tl)を好ましく使用される。
【0108】
上記実施の形態では、蛍光体層350を使用したが、これらのシンチレータを使用しなければ、上記実施の形態の間接変換型放射線撮像システム100は、可視光の密着型光撮像装置等の可視光の撮像システムとして使用できる。
【0109】
上記実施の形態の電荷輸送層342は、電荷発生層344に電荷を発生させる電磁波に対して透明な層であり、電荷発生層に電荷を発生させる電磁波によっては、電荷輸送層には、電荷は発生しない。
【0110】
なお、上記実施の形態の電荷発生層344は、電荷発生剤とポリマーバインダーとを構成成分として含有するが、電荷発生剤としては、例えば金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン染料またはフタロシアニン顔料、ナフタロシアニン染料またはナフタロシアニン顔料、インジゴ染料、キナクリドン染料、アントラキノン染料、例えばジブロモアントアントロンのようなアントアントロン染料、ペリレン染料、例えばモノアゾ染料、ビスアゾ染料、トリスアゾ染料などのアゾ染料、シアニン染料等が好ましく用いられる。
【0111】
電荷発生層344に使用されるポリマーバインダーとしては、ポリビニルブチラール等が挙げられる。
【0112】
電荷発生剤とポリマーバインダーの比率は、前者:後者の質量比で80:20〜20:80の範囲から選ばれることが感度安定性と経時安定性の両立という理由から好ましい。より好ましくは、45:55〜25:75の範囲から選ばれる。
ポリマーバインダーの溶剤に溶解した溶液中に電荷発生剤を分散させた分散液を準備し、これをスピンコートし、乾燥(ベークとも言う。)して溶剤を蒸発させて電荷発生層344が形成される。
【0113】
上記実施の形態の電荷輸送層342は、電荷輸送剤およびポリマーバインダーを構成成分として含有する。
【0114】
電荷輸送剤としては、正孔輸送物質として知られているものが好ましく使用される。例えば、トリアリールアミン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、トリフェニルメタン化合物、カルバゾール化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、メロシアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、フルオランテン誘導体)、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体等を用いることができる。なお、これらに限らず、電荷発生剤として用いた有機化合物よりもイオン化ポテンシャルの小さい有機化合物であれば、電荷輸送剤として用いることができる。
【0115】
電荷輸送層342に使用されるポリマーバインダーとしては、例えばポリカーボネート、ポリビニルブチラール、アクリル酸エステルのホモポリマーまたは他の共重合性モノマーとのコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたは他の共重合性モノマーとのコポリマー、スチレンのホモポリマーまたは他の共重合性モノマー、例えばアクリロニトリルなど、とのコポリマー、ポリスルホン等が挙げられる。
【0116】
電荷輸送層は、電荷輸送剤とポリマーバインダーを溶剤に溶解した溶液を準備し、これを電荷発生層上に、例えばディップコート、スピンコート等により塗布し、ベークして溶剤を蒸発させることにより形成される。
【0117】
以上、本発明の種々の典型的な実施の形態を説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されない。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0118】
50 被検体
100 間接変換型放射線撮像システム
200 電子カセッテ
210 カセッテ制御部
212 CPU
214 メモリー
216 記憶部
220 放射線検出部
222 基板
226 ゲート配線
228 信号配線
242 ゲート線ドライバー
244 信号処理部
246 バイアス電圧印加回路
248 画像メモリー
250 切替部
252 切替回路
260 切替部
262 切替回路
272 無線通信部
274 電源
276 バイアス電圧印加回路
280 放射線検知器
282 放射線電荷変換器
284 検知器
300 画素部
302 接地電位
304 放射線電荷変換部
310 可撓性基板
312 高分子下引き層
314 誘電体層
316 層間絶縁膜
320 薄膜トランジスタ
322 ゲート電極
324 ドレイン電極
326 ソース電極
328 活性層
329 保護層
330 蓄積容量
332 蓄積容量下部電極
334 蓄積容量上部電極
336 電荷収集電極(下部電極)
338 層間絶縁膜
339 コンタクトホール
340 有機光電変換層
342 電荷輸送層
344 電荷発生層
346 バイアス電極
350 蛍光体層
400 放射線発生装置
402 CPU
404 ROM
406 RAM
408 HDD
410 無線通信部
412 ディスプレイドライバー
414 ディスプレイ
416 操作入力検出部
418 操作パネル
420 画像信号出力部
430 放射線源
431 X線
432 線源制御部
450 表示装置
452 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を発生する電磁波発生装置と、電磁波の照射を受けて、電磁波に担持されている情報を検出する電磁波情報検出装置とを備える電磁波情報検出システムであって、
前記電磁波情報検出装置は、
少なくとも前記電磁波の受け始めを検知して電磁波検知開始信号を送信する電磁波検知手段と、
第1の電極と、
複数の第2の電極と、
前記第1の電極と前記複数の第2の電極との間に設けられた光電変換層と、
前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタと、
前記複数のトランジスタのゲート電圧を制御するゲート電圧制御手段と、
前記第1の電極に所定の電位を供与する電位供与手段と、
前記電磁波検知手段に接続された制御手段であって、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知開始信号を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する電磁波情報検出システム。
【請求項2】
前記電磁波検知手段は、前記電磁波の受け始めと終了とを検知して電磁波検知開始と電磁波検知終了の情報を有する電磁波検知信号を送信する電磁波検知手段であり、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知開始情報を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始し、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知終了情報を受信してから所定期間が経過すると、前記複数のトランジスタのゲートに順次オン電圧を供給して読出動作を行うように、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する請求項1記載の電磁波情報検出システム。
【請求項3】
前記ノーマリーオン型の電界効果型トランジスタの活性層が酸化物半導体である請求項1または2記載の電磁波情報検出システム。
【請求項4】
前記酸化物半導体がIGZOである請求項3記載の電磁波情報検出システム。
【請求項5】
前記光電変換層は、電磁波の照射を受けることにより正と負の電荷を発生する電荷発生剤に有機化合物を使用した電荷発生層と、前記電荷発生層で発生した正の電荷のみを輸送する電荷輸送剤に有機化合物を使用した電荷輸送層とを備えている請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁波情報検出システム。
【請求項6】
前記電磁波情報検出装置は前記複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタに接続された信号配線と、前記信号配線を所定の基準電位に接続する接続手段とをさらに備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とする前の待機期間に、前記複数のトランジスタのゲート電圧を0Vとすると共に、前記第1の電極に前記所定の基準電位を供与し、前記信号配線を前記所定の基準電位に接続するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段と前記接続手段とを制御する請求項5記載の電磁波情報検出システム。
【請求項7】
前記電磁波情報検出装置は、前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数の蓄積容量をさらに備え、前記撮像を開始すると、前記電荷発生層で発生した負の電荷を前記蓄積容量に蓄積する請求項1〜6のいずれか一項に記載の電磁波情報検出システム。
【請求項8】
放射線を前記放射線よりも波長の長い前記電磁波に変換する放射線変換層をさらに備える請求項1〜7のいずれか一項に記載の電磁波情報検出システム。
【請求項9】
少なくとも電磁波の受け始めを検知して電磁波検知開始信号を送信する電磁波検知手段と、
第1の電極と、
複数の第2の電極と、
前記第1の電極と前記複数の第2の電極との間に設けられた光電変換層と、
前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタと、
前記複数のトランジスタのゲート電圧を制御するゲート電圧制御手段と、
前記第1の電極に所定の電位を供与する電位供与手段と、
電磁波検知手段に接続された制御手段であって、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知開始信号を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する電磁波情報検出装置。
【請求項10】
前記電磁波検知手段は、前記電磁波の受け始めと終了とを検知して電磁波検知開始と電磁波検知終了の情報を有する電磁波検知信号を送信する電磁波検知手段であり、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知開始情報を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始し、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知終了情報を受信してから所定期間が経過すると、前記複数のトランジスタのゲートに順次オン電圧を供給して読出動作を行うように、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する請求項9記載の電磁波情報検出装置。
【請求項11】
前記ノーマリーオン型の電界効果型トランジスタの活性層が酸化物半導体である請求項9または10記載の電磁波情報検出装置。
【請求項12】
前記酸化物半導体がIGZOである請求項11記載の電磁波情報検出装置。
【請求項13】
前記光電変換層は、電磁波の照射を受けることにより正と負の電荷を発生する電荷発生剤に有機化合物を使用した電荷発生層と、前記電荷発生層で発生した正の電荷のみを輸送する電荷輸送剤に有機化合物を使用した電荷輸送層とを備えている請求項9〜12のいずれか一項に記載の電磁波情報検出装置。
【請求項14】
前記電磁波情報検出装置は前記複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタに接続された信号配線と、前記信号配線を所定の基準電位に接続する接続手段とをさらに備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とする前の待機期間に、前記複数のトランジスタのゲート電圧を0Vとすると共に、前記第1の電極に前記所定の基準電位を供与し、前記信号配線を前記所定の基準電位に接続するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段と前記接続手段とを制御する請求項13記載の電磁波情報検出装置。
【請求項15】
前記電磁波情報検出装置は、前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数の蓄積容量をさらに備え、前記撮像を開始すると、前記電荷発生層で発生した負の電荷を前記蓄積容量に蓄積する請求項9〜14のいずれか一項に記載の電磁波情報検出装置。
【請求項16】
放射線を前記放射線よりも波長の長い前記電磁波に変換する放射線変換層をさらに備える請求項9〜14のいずれか一項に記載の電磁波情報検出装置。
【請求項17】
少なくとも電磁波の受け始めを検知して電磁波検知開始信号を送信する電磁波検知手段と、
第1の電極と、
複数の第2の電極と、
前記第1の電極と前記複数の第2の電極との間に設けられた光電変換層と、
前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタと、
前記複数のトランジスタのゲート電圧を制御するゲート電圧制御手段と、
前記第1の電極に所定の電位を供与する電位供与手段と、
電磁波検知手段に接続された制御手段であって、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する制御手段とを備える電磁波情報検出装置を使用して電磁波情報を検出する電磁波情報検出方法であって、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知開始信号を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する電磁波情報検出方法。
【請求項18】
前記電磁波検知手段は、前記電磁波の受け始めと終了とを検知して電磁波検知開始と電磁波検知終了の情報を有する電磁波検知信号を送信する電磁波検知手段であり、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とし、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知開始情報を受信すると、前記第1の電極に前記撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲートにオフ電圧を供給して撮像を開始し、前記電磁波検知手段から送信された前記電磁波検知信号によって電磁波検知終了情報を受信してから所定期間が経過すると、前記複数のトランジスタのゲートに順次オン電圧を供給して読出動作を行うように、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段とを制御する請求項17記載の電磁波情報検出方法。
【請求項19】
前記ノーマリーオン型の電界効果型トランジスタの活性層が酸化物半導体である請求項17または18記載の電磁波情報検出方法。
【請求項20】
前記酸化物半導体がIGZOである請求項19記載の電磁波情報検出方法。
【請求項21】
前記光電変換層は、電磁波の照射を受けることにより正と負の電荷を発生する電荷発生剤に有機化合物を使用した電荷発生層と、前記電荷発生層で発生した正の電荷のみを輸送する電荷輸送剤に有機化合物を使用した電荷輸送層とを備えている請求項17〜20のいずれか一項に記載の電磁波情報検出方法。
【請求項22】
前記電磁波情報検出装置は前記複数のノーマリーオン型の電界効果型トランジスタに接続された信号配線と、前記信号配線を所定の基準電位に接続する接続手段とをさらに備え、
前記制御手段は、予め前記第1の電極に撮像用の電位を供与すると共に前記複数のトランジスタのゲート電圧を−0.5V以上0.5V以下の電圧とする前の待機期間に、前記複数のトランジスタのゲート電圧を0Vとすると共に、前記第1の電極に前記所定の基準電位を供与し、前記信号配線を前記所定の基準電位に接続するよう、前記ゲート電圧制御手段と前記電位供与手段と前記接続手段とを制御する請求項21記載の電磁波情報検出方法。
【請求項23】
前記電磁波情報検出装置は、前記複数の第2の電極にそれぞれ接続された複数の蓄積容量をさらに備え、前記撮像を開始すると、前記電荷発生層で発生した負の電荷を前記蓄積容量に蓄積する請求項17〜22のいずれか一項に記載の電磁波情報検出方法。
【請求項24】
放射線を前記放射線よりも波長の長い前記電磁波に変換する放射線変換層をさらに備える請求項17〜23のいずれか一項に記載の電磁波情報検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−212309(P2011−212309A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84377(P2010−84377)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】