説明

電磁波遮蔽層の製造時に無電解メッキに対する触媒前駆体樹脂組成物、これを用いた金属パターンの形成方法及びこれにより製造された金属パターン

本発明の触媒前駆体樹脂組成物は有機高分子樹脂と、フルオロ化銀イオン有機錯化物と、エチレン性不飽和結合を有する多官能単量体と、光開始剤と、有機溶媒を含んで成り、金属パターンは本発明の触媒前駆体樹脂組成物で基材に触媒パターンを形成した後、形成された触媒パターンを還元させ、還元された触媒パターンに無電解メッキして形成される。本発明の触媒前駆体樹脂組成物を用いて金属パターンを形成する場合、触媒の混和性に優れて沈殿がなく、形成された触媒層の耐化学性と接着性に優れ、現像またはメッキ工程のような湿潤工程中の触媒の損失が少なく、蒸着速度が向上され、無電解メッキ後、均一で、且つ微細な優れたパターン特性を有する金属パターンが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波遮蔽層形成時に無電解メッキに対する触媒前駆体樹脂組成物、これを用いた金属パターンの形成方法、これにより形成された金属パターン及び形成された金属パターンを含む電磁波遮蔽材に関する。より詳細には、本発明は電磁波遮蔽用金属パターンの形成に用い、カルボキシ基単量体とマレイミド単量体を含む共重合体樹脂及びフルオロ化銀イオン有機錯化物を含む触媒前駆体樹脂組成物、これを用いた金属パターンの形成方法、これにより形成された金属パターン及び形成された金属パターンを含む電磁波遮蔽材に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、様々な方式のディスプレイが常用化されるにつれ、このようなディスプレイから発生する電磁気的なノイズ(Noise)の妨害現像(Electronmagnetic Interference:EMI)による人体への有害性及び機器の誤作動等が大きな問題点として浮かび上がっている。このような問題を解決するために、ディスプレイの前面に導電性遮蔽(shielding)膜を形成し電磁波の進行方向を歪曲させてから、接地し放出させる方法が用いられる。
【0003】
CRT、PDP等のディスプレイの前面から発生する電磁波ノイズの遮蔽方法として透明性基材上に金属または金属酸化物を蒸着し、薄い導電性膜を形成する方法が知られているが、このような方法は、透明性を提供するために膜を薄く蒸着しなければならず、この場合には、導電層の表面抵抗が非常に大きくなるため、十分な電磁波遮蔽効果が得られない。
【0004】
最も一般的に用いられる方法は、金属ホイルエッチング(Metal foil etching)方式であり、透明基材上に銅箔を粘着して露光工程を行い、フォトレジスタパターンを得て、これによる銅箔エッチングをして銅パターンを作る。しかしながら、この方法は工程が長くて複雑であり、多量の金属廃棄物が生じるため、環境にやさしくない。また、工程上、銅パターンの交点の膨れが必然的な問題となっている。
【0005】
上記のような方法の他にも、スクリーンプリンティング、オフセットプリンティング等のプリンティング方式で導電性ペーストをパターンし、これを再び無電解メッキ処理して電磁波遮蔽膜を形成することが報告されているが、このような場合には印刷回路の精密度に限界があり、凹凸部分に導電性物質が入り込むという問題等がある。
【0006】
また、写真現像方法により、金属層を形成しメッキまたは無電解メッキ処理する方法が提示されているが、写真現像方法は幾層が必要で、工程が複雑であるという短所がある。一方、金属触媒を感光性樹脂に混合して現像した後、無電解メッキまたは電解メッキを行うことが報告されているが、このような方法は触媒に高価なPdが使用され、強塩基水溶液におけるパターンの着脱等、無電解メッキ時に伴う問題に対する解決方法が具体的に提示されていない。また、無電解メッキの場合、蒸着特性は向上するが、強塩基水溶液におけるパターン着脱等による問題に対しては具体的に提示していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに、本発明は上記のような従来技術の問題点を解決するためのもので、本発明の目的はパターン特性に優れた微細パターンの形成が可能であり、現像、無電解メッキ等の湿式工程時に触媒の損失が少なく、接着性及び蒸着性に優れた触媒前駆体樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記触媒前駆体樹脂組成物を用いた金属パターンの形成方法を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、前記本発明の方法で形成された金属パターン及びこれを含む電磁波遮蔽材、軟性回路基板、部品または素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一見地によれば、
(a)カルボキシ基を有する単量体と窒素に脂溶性官能基が置換されたマレイミド単量体の共重合体樹脂、
(b)フルオロ化銀イオン有機錯化物、
(c)エチレン性不飽和結合を有する多官能性単量体、
(d)光開始剤及び
(e)有機溶媒を含んで成る金属パターンの形成用触媒前駆体樹脂組成物が提供される。
【0011】
本発明の他の見地によれば、
(a)前記本発明による触媒前駆体樹脂組成物を用いて基材に触媒パターン層を形成する段階と、
(b)形成された触媒パターン層を還元させる段階と、
(c)還元された触媒パターン層に無電解メッキする段階を含んで成る金属パターンの形成方法が提供される。
【0012】
本発明のさらに他の見地によれば、
(a)前記本発明による触媒前駆体樹脂組成物を用いて基材に触媒パターン層を形成する段階と、
(b)形成された触媒パターン層を還元させる段階と、
(c)還元された触媒パターン層に無電解メッキする段階を含んで成る方法で形成された金属パターンが提供される。
【0013】
また、本発明のさらに他の見地によれば、前記本発明による金属パターンを含む電磁波遮蔽材、軟性回路基板、部品または素子が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の触媒前駆体樹脂組成物を用いて金属パターンを形成することにより、形成された触媒膜の接着性に優れて、現像またはメッキ工程のような湿潤工程中の触媒の損失が少なく、蒸着速度が向上し、無電解メッキ後に均一で、且つ微細な金属パターンが形成される。本発明の金属パターンは電気、電子部品に使用するのに適し、特に、CRT、PDP、液晶、EL等のディスプレイの前面から発生する電磁波遮蔽膜や軟性回路基板の配線形成に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一具現によるフォトマスク工程で、微細銅薄膜を形成する工程の流れ図である。
【図2】実施例1により形成された触媒パターンの光学顕微鏡写真(倍率x400)である。
【図3】実施例1による金属パターンの光学顕微鏡写真(倍率x50)である。
【図4】比較例1による触媒パターン層の光学顕微鏡写真(倍率x2000)である。
【図5】比較例2による金属パターンの光学顕微鏡写真(倍率x50)である。
【図6】比較例3による触媒パターン層の光学顕微鏡写真(倍率x2000)である。
【図7】比較例4による触媒パターン層の光学顕微鏡写真(倍率x1200)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に対して詳細に説明する。
【0017】
本発明者は工程が単純で、線幅が20μm以下の微細な金属パターンの形成が可能で、パターン特性に非常に優れた金属配線の形成方法を研究した結果、フルオロ化銀イオン有機錯化物とカルボキシ基を有する単量体と窒素に脂溶性官能基が置換されたマレイミド単量体を含む共重合体高分子樹脂を含んで成る触媒前駆体樹脂組成物を用いることにより、耐化学性に優れて、強塩基を用いるメッキ工程でも安定なパターンを得ることができ、形成された触媒パターン層の接着性に優れて、現像またはメッキ工程のような湿潤工程中の触媒の損失が少なく、蒸着速度が向上し、触媒前駆体と有機溶媒及び樹脂との混和性に優れて沈殿が発生せず、一定の組成が維持され優れた安定性を示し、パターン性に優れて無電解メッキによる均一な微細金属パターンの形成ができることを見出し本発明を完成した。
【0018】
本発明の一具現において、本発明による触媒前駆体樹脂組成物は(a)カルボキシ基を有する単量体と窒素に脂溶性官能基が置換されたマレイミド単量体の共重合体樹脂、(b)エチレン性不飽和結合を有する多官能性単量体、(c)フルオロ化銀イオン有機錯化物、(d)光開始剤及び(e)有機溶媒を含んで成る。
【0019】
本発明の触媒前駆体樹脂組成物を構成する有機高分子樹脂、即ち、共重合体樹脂は、パターンを形成するために塩基現像液に対する十分な溶解度を確保しなければならない。従って、カルボキシ基を有する単量体を含んで製造された共重合体樹脂が使用される。前記カルボキシ基を有する単量体の例としては、これに限定されないが、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸及び5−ノルボルネン−2−カルボキシル酸等を挙げることができる。前記カルボキシ基を有する単量体は、単独或いは2種以上の混合物で使用されることができる。
【0020】
また、本発明の触媒前駆体樹脂組成物を構成する有機高分子樹脂、即ち、共重合体樹脂は、耐化学性及び触媒前駆体の損失を最小化するため、窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド(Maleimide)単量体を含んで製造されたものが用いられる。前記窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体の例としては、これに限定されないが、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−メトキシカルボニルマレイミド、n−フルフリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド、2,5−ジオキソ−3−ピロリン−1−カルボキサミド、3,4−ジクロロメチル−ピロール−2,5−ジオン、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N−(オルト(ortho)−トルイル)−N−フェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニル)マレイミド、N−(2,6−キシリル(xylyl))マレイミド、3−クロロ−1−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、N−(2−クロロフェニル)−マレイミド、N−(1−ナフタリル)−マレイミド、1−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロール−2,5−ジオン等を挙げることができる。前記窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体は単独で、或いは2種以上を共に用いることができる。特に、本発明による組成物に含まれる共重合体樹脂に単量体で使用される窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体は、これに限定されないが、耐化学性の側面において、窒素に芳香族官能基を有するマレイミド単量体が好ましい。
【0021】
本明細書において用いた'カルボキシ基を有する単量体と窒素に脂溶性官能基が置換されたマレイミド単量体の共重合体樹脂'とは、カルボキシ基を有する単量体と窒素に脂溶性官能基が置換されたマレイミド単量体を含んで成る単量体の重合により形成された共重合体樹脂を意味する。本発明による共重合体樹脂はまた、後述するように、その他重合が可能な不飽和結合、具体的にはラジカル重合が可能な不飽和結合を有する単量体をも含んで重合されたものを含むことができると理解される。前記重合可能な不飽和結合を有する単量体として、透明基材に対する吸着力及び耐化学性を考慮すると、芳香族官能基を有するアクリレートが好ましい。
【0022】
一方、好ましくは、触媒形成層と基材の接着力を向上させ、熱硬化を考慮し、重合可能な不飽和結合を有する単量体として、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物が付加された共重合体樹脂、より好ましくはエポキシ基とヒドロキシ基を有するエチレン性不飽和化合物が付加された共重合体樹脂を用いることができる。
【0023】
本発明の触媒前駆体樹脂組成物を構成する有機高分子樹脂、即ち、重合体樹脂は前記のように、カルボキシ基を有する単量体と窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体の共重合体樹脂であって、フルオロ化銀イオン錯化物との混和性に優れる。従って、触媒前駆体樹脂組成物は優れた保存性及び安定性を示す。前記共重合体樹脂は、現像性及びパターン特性が確保される上、耐化学性も優れるため、ホルマリン銅メッキ槽のような強塩基状態でも均一で、且つ優れたパターンが形成される。また、触媒との相互作用により工程中に触媒の着脱または損失が最小化されるため、前記共重合体樹脂を含む本発明の触媒前駆体樹脂組成物で形成された触媒パターン後続工程に対する優れた安定性を示す。
【0024】
前記共重合体樹脂は、重量平均分子量が3,000〜30,000、好ましくは5,000〜15,000であるものを使用することができる。共重合体樹脂の重量平均分子量が3,000未満であると現像時にうまく硬化しないため、接着特性が低下し、優れた形状の微細パターンで形成されることが困難であり、分子量が30,000を超えると現像液に対する溶解度が低下し、パターン薄膜の質が落ちる。
【0025】
前記共重合体樹脂の酸価は90〜450mgKOH/g、好ましくは200〜350mgKOH/gのものが微細触媒パターンの形成に用いるのに好ましい。前記共重合体樹脂の酸価が90mgKOH/g未満であると触媒との相溶性が低下し、アルカリ現像液に対する触媒パターン層の溶解度が低くて現像不良になりやすく、酸価が450mgKOH/gを超えると現像液に対する溶解度が高すぎて短線や離脱等のパターン不良が生じやすい。
【0026】
前記窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体は触媒パターンの耐化学性及び触媒の損失防止の面から共重合体樹脂を形成する総単量体100重量部当り5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部で使用されることができる。窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体の含量が5重量部未満であると十分な耐化学性を得ることが困難で、触媒パターンに欠陥が生じやすく、50重量部を超えると精密なパターン幅を得ることが困難である上、組成物の保存性も低下する。
【0027】
本発明の触媒前駆体樹脂組成物を構成する触媒としては、触媒の安定性、有機溶媒との混和性、パターン性、現像及び無電解メッキのような湿潤工程における触媒の損失、接着特性、無電解時のメッキ特性及び製造費用の側面からフルオロ化銀イオン有機錯化物が使用される。
【0028】
触媒として銀粒子を用いると、組成物内に触媒を均一に分散させることが困難であり、凝集が発生する確立が高いため、組成物に界面活性剤のような安定剤を添加しなければならず、銀粒子を過多に使用すると現像性が低下し微細触媒パターン層を形成することが困難である上、接着特性が低下する可能性がある。
【0029】
無機銀塩は、水溶液に溶解され、現像や無電解メッキ時に損失されることがあり、また、有機溶媒及び樹脂との混和性、無電解メッキの蒸着特性及び触媒パターン層の接着特性が低下する可能性がある。
【0030】
銀イオン有機錯化物は、有機溶媒との混和性がよくないため、触媒パターンを形成するための組成物の安定性が低下する。従って、触媒パターンの形成時に均一にコーティングされず、均一な微細触媒パターンに形成されることが困難であるという問題がある。
【0031】
従って、本発明の触媒前駆体樹脂組成物では触媒前駆体物質として、安定性、接着性、蒸着性が無機銀塩より優れたフルオロ化銀イオン有機錯化物が用いられる。
【0032】
フルオロ化銀イオン有機錯化物は、前記共重合体樹脂及び有機溶媒との混和性に優れるため、触媒前駆体樹脂組成物が安定して、且つ、非常に優れた触媒形状パターンで形成され、また、水に対する溶解度が低くて湿式工程において触媒の損失があまり生じないと考えられる。その上、塩基性水溶液である無電解メッキ溶液において樹脂組成物中の触媒と基材上の吸着力が増大し均一な蒸着膜を得ることができる。
【0033】
本発明の樹脂組成物に使用することができるフルオロ化銀イオン有機錯化物としては、これに制限されないが、フルオロ化銀アセテート系、フルオロ化銀スルホネート系、フルオロ化β−カルボニルケトン系シルバー(I)錯化物及びフルオロ化β−カルボニルエステル系シルバー(I)錯化物を含み、これらから選択されたフルオロ化銀イオン有機錯化物が1種或いは2種以上の混合物で使用されることができる。
【0034】
具体的に、シルバー(I)フルオロスルファート、シルバー(I)トリフルオロアセテート、シルバー(I)トリフルオロメタンスルファート、シルバー(I)ペンタフルオロプロピオネート、シルバー(I)ヘプタフルオロブチレート等を挙げることができる。
【0035】
前記フルオロ化された銀イオン有機錯化物の例としては、これに限定されないが、1,5−シクロオクタジエン−ヘキサフルオロアセチルアセトネートシルバー(I)錯化物、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタジオネートシルバー(I)錯化物、5,5−ジメチル−1,1,1−トリフルオロ−2,4−ヘキサンジオネートシルバー(I)錯化物、1−(4−メトキシフェニル)−4,4,4−トリフルオロブタンジオネートシルバー(I)錯化物、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロデカン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオネートシルバー(I)錯化物、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、5,5,6,6,7,7,8,8,8−ノナフルオロオクタン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、5H,5H−パーフルオロノナン−4,6−ジオネートシルバー(I)錯化物、6H,6H−パーフルオロ−ウンデカン−5,7−ジオネートシルバー(I)錯化物、8H,8H−パーフルオロペンタデカン−7,8−ジオネートシルバー(I)錯化物、6H,6H−パーフルオロウンデカン−5,7−ジオネートシルバー(I)錯化物、1−フェニル−2H,2H−パーフルオロヘキサン−1,3−ジオネートシルバー(I)錯化物、1−フェニル−2H,2H−パーフルオロウンデカン−1,3−ジオネートシルバー(I)錯化物、5,6,6,6−テトラフルオロ−5−(ヘプタフルオロプロポキシ)ヘキサン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、1,1,5,5−テトラフルオロペンタン−2,4 ジオネートシルバー(I)錯化物、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,9−ウンデカンフルオロ−ノナン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、エチルー3−クロロ−4,4,4−トリフルオロアセトアセテートシルバー(I)錯化物、エチル−4,4−ジフルオロアセトアセテートシルバー(I)錯化物、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテートシルバー(I)錯化物、イソプロピル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテートシルバー(I)錯化物、メチル−4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−3−オキソペンタノネートシルバー(I)錯化物、エチル−4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−3−オキソ−ペンタノネートシルバー(I)錯化物及び1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオネートシルバー(I)錯化物等を挙げることができる。前記フルオロ化された銀イオン錯化物は単独で、或いは2種以上の混合物で使用されることができる。
【0036】
本発明の触媒前駆体樹脂組成物中の前記フルオロ化銀イオン有機錯化物の量は、触媒前駆体樹脂組成物中の総有機固形分100重量部に対して2〜40重量部、好ましくは、5〜20重量部で使用されることができる。本発明の樹脂組成物において、フルオロ化銀イオン有機錯化物の含量が2重量部未満であると触媒の量が十分でなく、無電解メッキ時に金属の蒸着速度が著しく遅く、触媒パターン上に均一の金属薄膜が形成されることが困難である。一方、フルオロ化銀イオン有機錯化物の含量が40重量部を超えると、組成物の保存安定性、触媒パターンの現像性及び接着特性が低下し、均一な微細触媒パターンを形成することが困難である上、触媒パターン上に微細金属薄膜を形成することが困難になる。
【0037】
本発明の触媒前駆体樹脂組成物を構成するエチレン性不飽和結合含有多官能単量体は、光硬化を促進し、現像性を向上させ、無電解メッキ時に触媒形成層の接着性、耐化学性等を向上させるために使用される。
【0038】
前記エチレン性不飽和結合含有多官能性単量体の例としては、これに限定されないが、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジアクリレート、またはポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるプロピレングリコールジアクリレート、またはプロピレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等の多価アルコールとα,β−不飽和カルボキシル酸をエステル化して得られる化合物と、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフエノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物等のグリシジル基を含む化合物にアクリル酸またはメタアクリル酸を付加して得られる化合物と、β−ヒドロキシエチルアクリレートまたはβ−ヒドロキシエチルメタクリレートのフタル酸エステルのようなマルチカルボキシル酸とヒドロキシ基またはエチレン性不飽和結合を有する化合物のエステル化合物と、β−ヒドロキシエチルアクリレートまたはβ−ヒドロキシエチルメタクリレートのトルエンジイソシアネート等の付加物のように水酸化基またはエチレン性不飽和結合を有する化合物とマルチポリイソシアネートとの付加物等を挙げることができる。前記エチレン性不飽和結合を含有するマルチ作用性単量体は、単独或いは2種以上の混合物で使用されることができる。
【0039】
前記エチレン性不飽和結合含有多官能性単量体は、エチレン性不飽和結合を有する官能基数が2以上であることが微細触媒パターンの形状及び無電解メッキ時の耐化学性及び接着性の面から好ましい。
【0040】
前記エチレン性不飽和結合含有多官能性単量体の含量は、前記共重合体樹脂100重量部に対して20〜150重量部であることができる。エチレン性不飽和結合含有多官能性単量体の含量が20重量部未満であると十分に硬化されず、触媒による微細パターンの形成が困難で、無電解メッキ時に溶解及び剥離等の不良が生じることがあり、150重量部を超えると、コーティング性が減少し内部まで均一に硬化されないため、微細触媒パターンを形成することが困難である。
【0041】
本発明の触媒前駆体樹脂組成物を構成する光開始剤は、この技術分野において使用可能なもので、一般的に知られているものを使用することができ、その種類は特に制限されないが、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラー(Michler)ベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類及びトリアジン類で構成される群から選択された少なくとも1種の光開始剤を使用することができる。
【0042】
アセトフェノン類の例としては、これに限定されないが、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン)((2−Benzyl−2−(dimethylamino)−1−[4−(4−morpholinyl)phenyl]−1−butanone、IRGACURE 369)、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン(α、α−dimethoxy−α−phenylacetopheone、IRGACURE 651)、IRGACURE 1300(IRGACURE 369(30wt%)+IRGACURE 651(70wt%))、1−ベンゾイルシクロ−ヘキサノール(1−Benzoylcyclohexanol、IRGACURE 184)、2,2'−ジメトキシ−2−フェニル−アセトフェノン(2,2'−Dimethoxy−2−phenyl−acetophenone、DMPA)、2,2−ジエトキシアセトフェノン(2,2−diethoxyacetophenone、DEAP)、4−メチルメルカプト−α,α−ジメチル−モルホリノアセトフェノン(4−MethylMercapto−α,α−dimethyl−morpholino acetophenone)等を含むことができる。
【0043】
前記ベンゾフェノン類としては、これに限定されないが、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−0−ベンゾイルオキシム(1−Phenyl−1,2−Propanedione−2−O−benzoyloxime、PPO)、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−O−アセチルオキシム(Ethanone、1−[9−ethyl−6−(2−methylbenzoyl)−9H−carbazol−3−yl]−1−(O−acetyloxime)(CGI 242)を含むことができる。
【0044】
前記チオキサントン類としては、これに限定されないが、2−クロロチオ−キサンタン(2−Chlorothio−xanthane)及び2−イソプロピルチオキサンタン(2−isopropylthioxanthane)を含むことができる。
【0045】
前記トリアジン類としては、これに限定されないが、3−{4−[2,4−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン−6−イル]フェニルチオ}プロピオン酸(TPA)を含むことができる。
【0046】
前記光開始剤は、前記共重合体樹脂100重量部に対して1から25重量部、好ましくは5〜20重量部で使用することができる。光開始剤の含量が1重量部未満であると触媒パターン層が形成されないため、好ましくなく、25重量部を超えるとパターンの正確性が低下するため、好ましくない。
【0047】
また、必要に応じて、本発明の樹脂組成物に光増感剤が前記共重合体樹脂と光開始剤の混合量100重量部に対して10重量部以下、好ましくは0.1−10重量部で使用することができる。光増感剤は任意の成分であって、下限値は限定されないが、添加効果が表れるためには、0.1重量部以上を添加することが好ましい。光増感剤の添加量が10重量部を超えるとパターンの正確性が低下するため、好ましくない。
【0048】
光増感剤も、この技術分野で使用可能なもので、一般的に知られているものを使用することができ、その種類は特に制限しないが、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン及びトリ−n−ブチルホスフィンで構成される群から選択された少なくとも1種の光増感剤を使用することができる。
【0049】
本発明の触媒前駆体樹脂組成物を構成する溶媒は、特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、またはプロピレングリコールのようなアルコール類と、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、またはn−メチル−2−ピロリドンのようなケトン類と、トルエン、キシレン、またはテトラメチルベンゼンのような芳香族炭化水素類と、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、3−メトキシプロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、またはジプロピレングリコールエチルエーテルのようなグリコールエーテル類と、エチルアセテート、ブチルアセテート、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはプロピレングリコールエチルエーテルアセテートのようなアセテート類と、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド、及びアセトナイトライドのようなアミド類等で構成される群から選択された少なくとも1種以上を使用することができる。
【0050】
また、前記本発明の触媒前駆体樹脂組成物は、これに限定されないが、この技術分野において触媒前駆体樹脂組成物の製造時に必要に応じて、一般的に使用することができる湿潤剤、接着増進剤等の添加剤をさらに含むことができる。
【0051】
前記触媒前駆体樹脂組成物は、固形分の含量が10〜50重量%であることができる。固形分の含量が50重量%を超えると、粘土が高くなり均一にコーティングされず、固形分の含量が10重量%未満であると、厚さが薄くなり薄膜の機械的強度が落ちるため、好ましくない。
【0052】
本発明の他の具現において、前記本発明による金属触媒前駆体樹脂組成物を用いた金属パターンの形成方法が提供される。本発明による金属パターンは、基材に前記本発明の金属触媒前駆体樹脂組成物を用いて触媒パターン層を形成した後、触媒を還元させ、還元された触媒パターン層に無電解メッキすることにより形成される。
【0053】
本発明において基材としては、透明性電磁波遮蔽材を製造するために透明基材を使用することが好ましく、具体的にこれに限定されないが、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC(Tri acetyl cellulose)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等のプラスチックシートまたはプラスチックフィルム等を使用することができる。その他基材の厚さ等はこの技術分野において一般的もので、特に限定されない。
【0054】
前記基材に本発明による触媒前駆体樹脂組成物を用いて触媒パターン層を形成する。触媒パターン層は露光及び現像によるパターンの形成方法(フォトリソグラフィー法)、オフセットプリンティング、インクジェットプリンティング、インプリントまたはスクリーンプリンティング法等を用いることができる。非常に優れた微細金属パターンで形成される露光及び現像によるパターンの形成方法(フォトリソグラフィー法)でパターンを形成することがより好ましい。
【0055】
パターンを形成する方法のうち、露光及び現像してパターンを形成する場合、先ず前記基材に本発明の樹脂組成物を塗布し、金属触媒前駆体樹脂膜を形成する。塗布方法は、特に制限されず、塗布液の特性や塗布量によって異なることができる。塗布は、これに限定されないが、例えば、ロールコーティング、グラビアコーティング、ディップコーティング、バーコーティング、スプレーコーティングまたはスピンコーティング等の通常のコーティング方法で行うことができる。
【0056】
その後、コーティングされた金属触媒前駆体樹脂膜を露光及び現像して触媒パターンを形成する。露光及び現像工程は一般的に知られている方法で行うことができる。例えば、露光工程として露光パターンを有するマスクを用いて接触または非接触露光方式で露光させることができる。露光工程において、光源としてはハロゲンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等の通常の光源を使用することができる。現像はスプレー法または浸漬法を用いて行うことができる。
【0057】
前記触媒パターンの形成は、また、前記のようにオフセットプリンティング、インクジェットプリンティング、インプリントまたはスクリーンプリンティングの方法で形成されることができる。
【0058】
前記形成された触媒膜パターンは、これに限定されないが、ラインの幅が30μm以下、好ましくは20μm以下であることが好ましい。また、本発明の触媒形成組成物は10μm以下の微細パターンの形成に十分適用可能である。露光及び現像工程後、パターンのない空間の割合(開口率)が60%以上、より好ましくは70%以上である。
【0059】
前記のように触媒パターンを形成した後、無電解メッキ特性を向上させるためにフルオロ化銀イオン有機錯化物前駆体を還元させる。
【0060】
前記フルオロ化銀イオン有機錯化物前駆体の還元は、この技術分野において一般的に適用可能な何れの方法でも行うことができ、これに制限されないが、例えば、還元剤を使用したり、熱及び/またはUV露光で還元処理することができる。
【0061】
還元剤を使用する場合、この技術分野に一般的に知られている還元剤を使用することができ、これに限定されないが、例えば、ソジウムボロハイドライド(NaBH)やアスコルビン酸(Ascorbic acid)水溶液を使用することができる。
【0062】
一方、フルオロ化銀イオン有機錯化物前駆体は、種類によっては無電解メッキ時に無電解メッキ溶液により自発的に還元されることもできるが、無電解メッキ溶液による還元が十分でないため、この場合もフルオロ化銀イオン有機錯化物前駆体の還元工程が必要である。
【0063】
還元剤水溶液は、約0.01−1.0Mの濃度のものを使用することが好ましい。還元剤水溶液の濃度が0.01M未満であると還元力が十分でなくて銀イオン有機錯化物が十分に還元されず、1.0Mを超えると還元度を制御することが困難で、触媒パターン層が損傷する恐れがある。還元剤水溶液はスプレー方式または浸漬方式で適用されることができる。
【0064】
UV露光または熱を利用した還元方法は、湿式工程ではないため、触媒の損失の防止側面から好ましく、特に本発明によるフルオロ化銀イオン有機錯化物の場合はUV露光によって触媒が活性化するため、UV露光による還元がより好ましい。
【0065】
前記触媒パターン層の形成時、必要に応じて、コーティングとフォトーマスキングの間に、前熱硬化及び/または現像した後に後熱硬化をすることができ、このような工程はこの技術分野において一般的であり、必要によって行うことができ、これで本発明を限定するものではない。
【0066】
上記のように本発明による触媒前駆体樹脂組成物を用いて基材に触媒パターン層を形成し、還元処理した後、還元された触媒パターン層の上に無電解メッキして金属パターンを形成する。無電解メッキは特に限定されず、この技術分野において一般的に知られている何れの無電解メッキ方法でも行うことができる。本発明では銅メッキまたは銀メッキを行うことができ、価額及び電磁波遮蔽性能の側面から銅メッキすることが好ましい。
【0067】
無電解銅メッキは、例えば、従来一般的に知られているメッキ液を使用して行うことができ、これに限定されないが、例えば、硫酸銅のような金属イオン塩、ホルマリンのよな還元剤、EDTAのような錯化剤及び微量のその他添加剤を含む公知のメッキ液を用いて行うことができる。
【0068】
前記本発明による方法で形成される金属パターンを含む最終電磁波遮蔽膜における触媒パターン層と金属層の総厚さは、メッキ浴の金属塩または金属イオン濃度、メッキ温度、蒸着時間等により制御することができる。
【0069】
触媒パターン層及び/または金属層の厚さは、パターンの幅等によって多様に変わることができ、この技術分野の技術者は必要に応じて適合する厚さになるよう触媒パターン層及び/または金属層の厚さを調節することができ、これに限定されないが、触媒パターン層と金属層の総厚さは0.3μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、より好ましくは1−8μmであることができる。触媒パターン層と金属層の総厚さが0.3μm未満であると機械的強度が十分でなく、伝導度が十分でないため遮蔽特性が低下することがある。触媒パターン層と金属層の総厚さが8μmを超えると厚すぎて、後工程処理に好ましくない。また、前記触媒パターン層と金属層の総厚さ中の金属層の厚さは、伝導度及び電磁波遮蔽性等を考慮して少なくとも0.1μm(100nm)であることが好ましい。
【0070】
このように、本発明によるカルボキシ基を有する単量体と窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体からなる共重合体樹脂及びフルオロ化銀イオン有機錯化物を含む触媒前駆体樹脂組成物を用いて形成された金属パターンは、触媒パターン層の接着性に優れて、現像またはメッキ工程のような湿潤工程中の触媒の損失が少なく、蒸着速度が向上し、無電解メッキによって均一で、且つ微細な金属パターンを形成することができる。
【0071】
前記本発明による方法で得られた金属パターンは、優れた電磁波遮蔽能を有するもので、CRT、PDP、液晶、EL等のディスプレイの前面から発生する電磁波遮蔽材、金属パターンを含む電気及び/または電子部品または素子、具体的にはPDP用EMIフィルム及び軟性回路基板の配線形成等に使用するのに適するものである。
【0072】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。但し、下記実施例で本発明を限定するものではない。
【0073】
[実施例]
実施例1:
A.有機高分子樹脂(重合体樹脂)の製造
250mLフラスコに5.0gのMMA(メチルメタアクリレート)、3.0gのNPMI(N−フェニルマレイミド)、8.0gのMAA(メチルメタアクリル酸)、2.0gのBzMA(ベンジルメタアクリレート)及び、2.0gのスチレンを3−MBA(3−メトキシブチルアセテート)とDPM(ジプロピレングリコールモノメチルエーテル)が1:1重量比で混合された溶媒60.33gに室温で溶かしてから、0.4gの3−MPA(3−メルカプトプロピオン酸)を添加して500rpmで攪拌した。この混合溶液を窒素雰囲気下で60℃に昇温させてから、1時間攪拌した。その後、0.6gのV−65(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を前記のような3−MBAとDPMの混合溶媒5.0gに溶かした溶液を60℃で前記混合溶液に添加した後、4時間、60℃で反応を行った。このようにして得られた有機高分子樹脂の酸価は292.23mgKOH/g、重量平均分子量は8,616であった。
【0074】
B.触媒前駆体樹脂組成物の製造
前記Aで得られた高分子樹脂溶液28.7055g、DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサ−アクリレート)溶液(50wt% in PGMEA)12.5006g、光開始剤IRGACURE 2010(α−Hydroxyketone)0.8651g、シルバートリフルオロアセテート(AgOCCF)1.2856g、接着増進剤としてKBM 503、0.2093g、湿潤剤(Wetting agent)として10wt%BYK 331(BYK−CheMi社)MEK溶液0.2417g、さらに、溶媒としてMEK(メチルエチルケトン)26.1921gを混合して室温で攪拌機で500rpmで攪拌して触媒前駆体樹脂組成物70.0000gを得た。本実施例で製造された組成物の固形分の含量は23.17wt%であった。
【0075】
C.微細金属パターンの形成
下記の工程段階及び条件で前記製造された触媒前駆体樹脂組成物を用いて金属パターンを形成し、図1に図示した。
(1)コーティング:厚さ100μmのPETフィルムにGap size 10μm Meyer barを用いて前記Bで製造された触媒前駆体樹脂組成物を750nmの厚さにバーコーティングした。
(2)前熱硬化:バーコーティング後、100℃で90秒間前熱硬化した。
(3)露光:接触方式でフォトマスク(20μmメッシュパターン)を通じて約375nm波長の紫外線を195mJ/Cmエネルギーで照射して前記触媒パターンを露光させた。
(4)現像:ENF社のECD−100(pH13の塩基性水溶液)を前記露光された触媒パターン上に144秒間スプレー方式で噴霧し、超純水(DI)で洗浄し窒素をブローイングして現像した。
(5)後熱硬化:現像後、100℃で300秒間後熱硬化した。
(6)還元:後熱硬化された触媒パターンに330〜500nmの波長領域の紫外線を3.6J/Cmエネルギーで照射して触媒金属を還元させた。
(7)銅無電解メッキ:ATOTECH社のCovertron銅メッキ液(Copper Bath)を用いて60℃で10分間行い、厚さが1μmのメッキ層を形成させた。
【0076】
前記本実施例の方法で形成された触媒パターンの光学顕微鏡の写真を図2に、金属パターンの光学顕微鏡の写真を図3に夫々図示し、本実施例で形成された金属パターンの線幅は20μmであった。
【0077】
実施例2
A.有機高分子樹脂の製造
250mLフラスコに3.0gのMMA(Methyl methacrylate)、3.0gのNPMI(N−phenyl maleimide)、6.0gのMAA(Methyl methacrylic acid)、2.0gのBzMA(Benzyl methacrylate)及び、2.0gのスチレンを3−MBA:DPMの混合溶媒(50:50重量比溶液)60.33gに室温で溶かしてから、0.4gの3−MPA(3−Mercaptopropionic acid)を添加して500rpmで攪拌した。この混合溶液を60℃に昇温させてから、窒素雰囲気下で、1時間、500rpmで攪拌した。0.6gのV−65を前記のような3−MBAとDPMの混合溶媒5.0gに溶かした溶液を60℃で前記混合溶液に添加した後、4時間、60℃で反応を行った。このようにして得られた有機高分子樹脂の酸価は222.37mgKOH/g、重量平均分子量は9,314であった。
【0078】
B.触媒前駆体樹脂組成物の製造
前記実施例2のAで製造された有機高分子樹脂を用いたこと以外は前記実施例1の触媒前駆体樹脂組成物の製造と同じ方法で触媒前駆体樹脂組成物を製造した。本実施例で製造された組成物の固形分の含量は23.17wt%であった。
【0079】
C.微細金属パターンの形成
前記実施例2のBで製造された触媒前駆体樹脂組成物を用いたこと以外は前記実施例1の微細金属パターンの製造と同じ方法で触媒微細金属パターンを形成した。
【0080】
実施例3
A.有機高分子樹脂の製造
250mLフラスコに5.0gのMMA、4.0gのNPMI、7.0gのMAA、2.0gのBzMA、及び2.0gのスチレンを3−MBA:DPMの混合溶媒(50:50重量比の混合溶液)60.33gに室温で溶かしてから、0.4gの3−MPAを添加して500rpmで攪拌した。この混合溶液を60℃に昇温させた後、窒素雰囲気下で1時間攪拌した。0.6gのV−65を前記のような3−MBAとDPMの混合溶媒5.0gに溶かした溶液を60℃で前記混合溶液に添加した後、4時間、60℃で反応を行った。このようにして得られた有機高分子樹脂の酸価(acid value)は241.60mgKOH/g、重量平均分子量は8,670であった。本実施例で製造された組成物の固形分の含量は23.17wt%であった。
【0081】
B.触媒前駆体樹脂組成物の製造
前記実施例3のAで製造された有機高分子樹脂を用いたこと以外は前記実施例1の触媒前駆体樹脂組成物の製造と同じ方法で触媒前駆体樹脂組成物を製造した。
【0082】
C.微細金属パターンの形成
前記実施例3のBで製造された触媒前駆体樹脂組成物を用いたこと以外は前記実施例1の微細金属パターンの製造と同じ方法で触媒微細金属パターンを形成した。
【0083】
比較例1
A.有機高分子樹脂の製造
前記実施例1のAと同じ方法で有機高分子樹脂溶液を製造した。
【0084】
B.触媒前駆体樹脂組成物の製造
前記比較例1のAで製造された有機高分子樹脂溶液28.7055gをDPHA溶液(50wt% in PGMEA)12.5006g、光開始剤IRGACURE2010 0.8651g、シルバーアセチルアセトネート([CHCOCH=C(O)CH]Ag)1.2856g、接着増進剤としてKBM503 0.2093g、湿潤剤として10wt%BYK331 MEK溶液0.2417g、さらに溶媒としてMEK26.1921gを混合して室温で攪拌機を通じて攪拌した後、触媒前駆体樹脂組成物70.0000gを得た。
【0085】
C.微細金属パターンの形成
前記比較例1のBで製造された触媒前駆体樹脂組成物と、露出時に5μmのメッシュパターンを用いたこと以外は前記実施例1の微細金属パターンの製造と同じ方法で触媒微細金属パターンを形成した。触媒パターンを図4に示し、線幅は5μmであった。
【0086】
比較例2
A.有機高分子樹脂の製造
250mLフラスコに8.0gのMMA、8.0gのMAA、2.0gのBzMA、2.0gのスチレンを3−MBA:DPMの混合溶媒(50:50重量比の混合)60.33に室温で溶かしてから、0.4gの3−MPAを添加して500rpmで攪拌した。この混合溶液を60℃に昇温させた後、窒素雰囲気下で、1時間、500rpmで攪拌した。0.6gのV−65を前記のような3−MBAとDPMの混合溶媒5.0gに溶かした溶液を60℃の混合溶液に添加した後、4時間、60℃で反応を行った。このようにして得られた有機高分子樹脂の酸価は295.09mgKOH/g、重量平均分子量は10,514であった。
【0087】
B.触媒前駆体樹脂組成物の製造
前記比較例2のAで製造された有機高分子樹脂を用いたこと以外は前記実施例1の触媒前駆体樹脂組成物の製造と同じ方法で触媒前駆体樹脂組成物を製造した。
【0088】
C.微細金属パターンの形成
前記比較例2のBで製造された触媒前駆体樹脂組成物を用いたこと以外は前記比較例1の微細金属パターンの製造と同じ方法で触媒微細金属パターンを形成した。金属パターンを図5に示した。
【0089】
比較例3
A.有機高分子樹脂の製造
250mLフラスコに5.0gのMMA、3.0gのNPMI、8.0gのMAA、2.0gのBzMA、及び2.0gのスチレンを3−MBA:DPMの混合溶媒(50:50重量比混合)60.33gに溶かしてから、1.2gの3−MPAを添加して500rpmで攪拌した。この混合溶液を60℃に昇温させた後、窒素雰囲気下で、1時間、500rpmで攪拌した。0.6gのV−65を前記のような3−MBAとDPMの混合溶媒5.0gに溶かした溶液を60℃の混合溶液に添加した後、4時間、60℃で反応を行った。このようにして得られた有機高分子樹脂の酸価は279.44mgKOH/g、重量平均分子量は2,402であった。
【0090】
B.触媒前駆体樹脂組成物の製造
前記比較例3のAで製造された有機高分子樹脂を用いたこと以外は前記実施例1の触媒前駆体樹脂組成物の製造と同じ方法で触媒前駆体樹脂組成物を製造した。
【0091】
C.微細金属パターンの形成
前記比較例3のBで製造された触媒前駆体樹脂組成物を用いたこと以外は前記比較例1の微細金属パターンの製造と同じ方法で触媒微細金属パターンを形成した。触媒パターンを図6に示し、線幅は5μmであった。
【0092】
比較例4
A.有機高分子樹脂の製造
250mLフラスコに1.0gのMMA、3.0gのNPMI、及び16.0gのMAAを3−MBA:DPMの混合溶液(50:50重量比の混合)60.33gに溶かしてから、0.4gの3−MPAを添加して攪拌した。この混合溶液を60℃に昇温させた後、窒素雰囲気下で、1時間、500rpmで攪拌した。0.6gのV−65を前記のような3−MBAとDPMの混合溶媒5.0gに溶かした溶液を60℃の前記混合溶液に添加した後、4時間、60℃で反応を行った。このようにして得られた有機高分子樹脂の酸価は579.69mgKOH/g、重量平均分子量は4,302であった。
【0093】
B.触媒前駆体樹脂組成物の製造
前記比較例4のAで製造された有機高分子樹脂を用いたこと以外は前記実施例1の触媒前駆体樹脂組成物の製造と同じ方法で触媒前駆体樹脂組成物を製造した。
【0094】
C.微細金属パターンの形成
前記比較例4のBで製造された触媒前駆体樹脂組成物を用いたこと以外は前記比較例1の微細金属パターンの製造と同じ方法で触媒微細金属パターンを形成した。触媒パターンを図7に示し、線幅は5μmであった。
【0095】
実施例4
本実施例では前記実施例1から3及び比較例1から4で製造された触媒パターンのコーティング性、現像性及び金属パターンの銅メッキ性を評価し、その結果を下記表1に示した。
【0096】
A.コーティング性の評価
前記実施例1から3及び比較例1から4でPETフィルムに形成された触媒前駆体樹脂組成物のコーティング層(薄膜)を肉眼で観察し、コーティング性を評価した。
【0097】
触媒前駆体樹脂組成物のコーティング層(薄膜)が均一で、且つ透明な場合を良好、薄膜が均一ではあるが透明ではない場合を普通と評価した。
【0098】
B.現像性の評価
前記実施例1から3及び比較例1から4でPETフィルムに形成された銅無電解メッキ前の状態の触媒パターン層をFESEM(Hitachi S−4800)を通じて触媒パターン層が均一に形成されたか否か、及び触媒パターンの短線、未現像及び残渣の有無等触媒パターンの異常の有無を観察して現像性を評価した。
【0099】
触媒パターンに異常がなく触媒パターン薄膜が均一な場合を良好、触媒パターンに異常がなく触媒パターンの薄膜が均一でない場合を不十分、触媒パターンに異常のある場合を不良と評価した。
【0100】
C.銅無電解メッキ性の評価
光学顕微鏡で前記実施例1から3及び比較例1から4で形成された銅パターンの短線、銅パターン全体とPETフィルムのデラミネーション、銅パターンの他の部分のメッキ状態等パターンの異常の有無を観察して銅メッキ性を評価した。
【0101】
銅メッキされ、銅パターンに異常がない場合を良好、銅メッキされるが、銅パターンに異常が生じる場合を不十分、メッキされない場合を不良と評価した。
【0102】
【表1】

【0103】
前記実施例1と比較例1の比較を通じてフルオロ化銀イオン錯化物を用いた実施例1の場合に共重合体と有機溶媒との混和性により優れたコーティング薄膜と再現性のある金属パターンが形成されることが分かる。
【0104】
また、窒素に芳香族官能基を有するマレイミドが使用されていない比較例2の結果と比較して、窒素に芳香族官能基を有するマレイミドが使用された本発明による実施例の場合には、耐化学性及び/または付着性に優れた触媒パターンが形成されるため、銅パターンも吸着力があり、均一に形成されることが分かる。
【0105】
実施例2及び3から単量体組成の変化にも関わらず優れた銅薄膜が形成されることが分かる。比較例3及び4から窒素に芳香族官能基を有するマレイミドが用いられる場合でも、MwやAv値が本発明の範囲から外れると、触媒前駆体樹脂組成物そのものが優れないことが分かる。
【0106】
本発明による実施例1から3で形成された触媒パターン及び金属パターンは、本発明の範囲を満たす範囲内で共重合体樹脂の酸価が少ないほど優れた触媒パターン及び金属パターンが形成されることがわかる。(酸価:実施例2<実施例3<実施例1)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カルボキシ基を有する単量体と窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体の共重合体樹脂、
(b)フルオロ化銀イオン有機錯化物、
(c)エチレン性不飽和結合を有する多官能性単量体、
(d)光開始剤、
(e)有機溶媒を含んで成る金属パターンの形成用触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項2】
前記カルボキシ基含有単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸及び5−ノルボルネン−2−カルボキシル酸で構成される群から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項3】
前記窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体は、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−メトキシカルボニルマレイミド、N−フルフリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ブチルマレイミド、2,5−ジオキソ−3−ピロリン−1−カルボキサミド、3,4−ジクロロメチル−ピロール−2,5−ジオン、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N−(オルト(ortho)−トルイル)−N−フェニルマレイミド、N−(4−フルオロフェニル)マレイミド、N−(2,6−キシリル(xylyl))マレイミド、3−クロロ−1−フェニル−ピロール−2,5−ジオン、N−(2−クロロフェニル)−マレイミド、N−(1−ナフタリル)−マレイミド及び1−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−ピロール−2,5−ジオンで構成される群から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項4】
前記窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体は、窒素に芳香族官能基を有するマレイミド単量体であることを特徴とする請求項3に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項5】
前記共重合体樹脂は、重量平均分子量が3,000−30,000であることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項6】
前記共重合体樹脂は、酸価が90〜450mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項7】
前記共重合体樹脂において窒素に脂溶性官能基を有するマレイミド単量体は、共重合体樹脂を形成する全体単量体100重量部に対して5〜50重量部であることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項8】
前記フルオロ化銀イオン有機錯化物は、フルオロ化銀アセテート系、フルオロ化銀スルホネート系、フルオロ化β−カルボニルケトン系シルバー(I)錯化物及びフルオロ化β−カルボニルエステル系シルバー(I)錯化物で構成される群から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項9】
前記フルオロ化銀イオン有機錯化物は、1,5−シクロオクタジエン−ヘキサフルオロアセチルアセトネートシルバー(I)錯化物、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタジオネートシルバー(I)錯化物、5,5−ジメチル−1,1,1−トリフルオロ−2,4−ヘキサンジオネートシルバー(I)錯化物、1−(4−メトキシフェニル)−4,4,4−トリフルオロブタンジオネートシルバー(I)錯化物、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘプタデカフルオロデカン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオネートシルバー(I)錯化物、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロペンタン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、5,5,6,6,7,7,8,8,8−ノナフルオロオクタン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、5H,5H−パーフルオロノナン−4,6−ジオネートシルバー(I)錯化物、6H,6H−パーフルオロ−ウンデカン−5,7−ジオネートシルバー(I)錯化物、8H,8H−パーフルオロペンタデカン−7,8−ジオネートシルバー(I)錯化物、6H,6H−パーフルオロウンデカン−5,7−ジオネートシルバー(I)錯化物、1−フェニル−2H,2H−パーフルオロヘキサン−1,3−ジオネートシルバー(I)錯化物、1−フェニル−2H,2H−パーフルオロウンデカン−1,3−ジオネートシルバー(I)錯化物、5,6,6,6−テトラフルオロ−5−(ヘプタフルオロプロポキシ)ヘキサン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、1,1,5,5−テトラフルオロペンタン−2,4‐ジオネートシルバー(I)錯化物、5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ウンデカンフルオロ−ノナン−2,4−ジオネートシルバー(I)錯化物、エチル−3−クロロ−4,4,4−トリフルオロアセトアセテートシルバー(I)錯化物、エチル−4,4−ジフルオロアセトアセテートシルバー(I)錯化物、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテートシルバー(I)錯化物、イソプロピル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテートシルバー(I)錯化物、メチル−4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−3−オキソペンタノネートシルバー(I)錯化物、エチル−4,4,5,5,5−ペンタフルオロ−3−オキソ−ペンタノネートシルバー(I)錯化物及び1,1,1,5,5,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオネートシルバー(I)錯化物で構成される群から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項8に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項10】
前記フルオロ化銀イオン有機錯化物は、触媒前駆体樹脂組成物中の有機固形分100重量部に対して2〜40重量部で添加されることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項11】
前記エチレン性不飽和結合を有する多官能単量体は、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるプロピレングリコールジアクリレート、またはプロピレングリコールジメタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタアクリレート等の多価アルコールとα,β−不飽和カルボキシル酸のエステル化により得られる化合物と、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフエノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物等のグリシジル基を含む化合物にアクリル酸またはメタアクリル酸を付加して得られる化合物と、β−ヒドロキシエチルアクリレートまたはβ−ヒドロキシエチルメタアクリレートのフタル酸エステルのようなマルチカルボキシル酸とヒドロキシ基またはエチレン性不飽和結合を有する化合物のエステル化合物と、β−ヒドロキシエチルアクリレートまたはβ−ヒドロキシエチルメタアクリレートのトルエンジイソシアネート付加物等の水酸化基またはエチレン性不飽和結合を有する化合物とマルチポリイソシアネートの付加物で構成される群から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項12】
前記エチレン性不飽和結合を有する多官能単量体は、エチレン性不飽和結合を有する官能基数が2以上であることを特徴とする請求項11に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項13】
前記エチレン性不飽和結合を有する多官能単量体は、前記共重合体樹脂100重量部に対して20〜150重量部で添加されることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項14】
前記光開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラー(Michler)ベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、チオキサントン類及びトリアジン類で構成される群から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項15】
前記光開始剤は、前記共重合体樹脂100重量部に対して1〜25重量部で使用されることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項16】
前記触媒前駆体樹脂組成物は、n−ブチルアミン、トリエチルアミン及びトリ−n−ブチルホスフィンで構成される群から選択された1種以上の光増感剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項17】
前記光増感剤は、共重合体樹脂と光開始剤の混合量100重量部に対して10重量部以下でさらに含まれることを特徴とする請求項16に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項18】
前記有機溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、またはプロピレングリコールのようなアルコール類と、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、またはn−メチル−2−ピロリドンのようなケトン類と、トルエン、キシレンまたはテトラメチルベンゼンのような芳香族炭化水素類と、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、3−メトキシプロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、またはジプロピレングリコールエチルエーテルのようなグリコールエーテル類と、エチルアセテート、ブチルアセテート、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはプロピレングリコールエチルエーテルアセテートのようなアセテート類と、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルフォルムアミド、アセトナイトライドのようなアミド類で構成される群から選択された少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の触媒前駆体樹脂組成物。
【請求項19】
(a)請求項1から請求項18の何れか1項に記載の触媒前駆体樹脂組成物を用いて基材に触媒パターン層を形成する段階と、
(b)形成された触媒パターン層を還元させる段階と、
(c)還元された触媒パターン層に無電解メッキする段階を含んで成る金属パターンの形成方法。
【請求項20】
前記透明基材はガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC(Tri−acetyl cellulose)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ系樹脂で構成される群から選択された樹脂からなるシートまたはフィルムであることを特徴とする請求項19に記載の金属パターンの形成方法。
【請求項21】
前記触媒パターン層の形成段階は、フォトリソグラフィー法、オフセットプリンティング、インクジェットプリンティング、インプリントまたはスクリーンプリンティング法で行うことを特徴とする請求項19に記載の金属パターンの形成方法。
【請求項22】
前記還元段階は、ソジウムボロハイドライドまたはアスコルビン酸のような還元剤で行われることを特徴とする請求項19に記載の金属パターンの形成方法。
【請求項23】
前記還元段階は、UV露光または熱を適用して行われることを特徴とする請求項19に記載の金属パターンの形成方法。
【請求項24】
前記無電解メッキは、銅メッキまたは銀メッキであることを特徴とする請求項19に記載の金属パターンの形成方法。
【請求項25】
前記無電解メッキは、硫酸銅のような金属イオン塩、ホルマリンのような還元剤及びEDTAのような安定化剤を含むメッキ液を用いることを特徴とする請求項24に記載の金属パターンの形成方法。
【請求項26】
(a)請求項1から請求項18の何れか1項に記載の触媒前駆体樹脂組成物を用いて基材に触媒パターン層を形成する段階と、
(b)形成された触媒パターン層を還元させる段階と、
(c)還元された触媒パターン層に無電解メッキする段階を含んで成る金属パターンの形成方法で形成された金属パターン。
【請求項27】
請求項26に記載の金属パターンを含む電子または電気部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−530441(P2010−530441A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508305(P2010−508305)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002711
【国際公開番号】WO2008/140272
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】