露光装置及びデバイス製造方法
【課題】露光装置のフットプリントの狭小化を図る。
【解決手段】投影光学系PL等を備える露光ステーション200とアライメント装置99等を備える計測ステーション300とが、それぞれの基準軸LV,LHが直交するように、配置されている。さらに、露光ステーション200と計測ステーション300とのそれぞれから離間する基準軸LV,LHの交点上に、粗動ステージWCS1,WCS2間で微動ステージWFS1,WFS2をリレーするためのセンターテーブル130が設置されている。
【解決手段】投影光学系PL等を備える露光ステーション200とアライメント装置99等を備える計測ステーション300とが、それぞれの基準軸LV,LHが直交するように、配置されている。さらに、露光ステーション200と計測ステーション300とのそれぞれから離間する基準軸LV,LHの交点上に、粗動ステージWCS1,WCS2間で微動ステージWFS1,WFS2をリレーするためのセンターテーブル130が設置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及びデバイス製造方法に係り、特に、半導体素子等の電子デバイスを製造するリソグラフィ工程で用いられる露光装置及び該露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置で用いられる、露光対象となるウエハ又はガラスプレート等の基板は、次第に(例えばウエハの場合、10年おきに)大型化している。現在は、直径300mmの300mmウエハが主流となっているが、今や直径450mmの450mmウエハ時代の到来が間近に迫っている。450mmウエハに移行すると、1枚のウエハから採れるダイ(チップ)の数が現行の300mmウエハの2倍以上となり、コスト削減に貢献する。加えて、エネルギ、水、その他のリソースの効率的な利用により、1チップにかかるすべてのリソース使用を減少させられるものと期待されている。
【0004】
一方、ウエハのサイズが450mmにもなると、1枚のウエハから採れるダイ(チップ)の数が多くなる分、1枚のウエハの露光処理に要する時間が増加するおそれがある。そこで、スループットを極力向上させるため、1つのウエハステージ上のウエハに対する露光処理と、別のウエハステージ上でのウエハ交換、アライメントなどの処理とを、並行して行う、ツインステージ方式(例えば特許文献1〜3等参照)の採用が考えられる。しかし、従来の構成のツインステージ方式の露光装置において450mmウエハを導入すると、ウエハステージの大型化により、装置のフットプリント(占有床面積)が相当大きくなり、クリーンルームスペースの利用効率の低下を招き、ランニングコストが高くなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,590,634号明細書
【特許文献2】米国特許第5,969,441号明細書
【特許文献3】米国特許第6,208,407号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、物体にエネルギビームを照射する露光が行われる露光位置の近傍の第1領域内で、前記物体を保持する保持部材を相対駆動可能に支持して、互いに交差する第1及び第2軸を含む二次元平面内で移動する第1移動体と;前記第1軸に平行な方向に延びる第1アーム部材の一部から前記第1移動体に支持された前記保持部材の計測面に計測ビームを照射し、前記計測面からの戻り光を受光することによって、前記第1移動体に支持された前記保持部材の位置情報を計測する第1位置計測系と;前記物体に対する所定計測が行われる計測位置の近傍の第2領域内で、前記保持部材を相対駆動可能に支持して、前記二次元平面内で移動する第2移動体と;前記第2軸に平行な方向に延びる第2アーム部材の一部から前記第2移動体に支持された前記保持部材の計測面に計測ビームを照射し、前記計測面からの戻り光を受光することによって、前記第2移動体に支持された前記保持部材の位置情報を計測する第2位置計測系と;前記第1アーム部材の中心軸の延長線と前記第2アーム部材の中心軸の延長線との交点の近傍の所定位置に配置され、前記第1移動体と前記第2移動体との間で受け渡される前記保持部材が一時的に載置されるリレー部材を含み、前記保持部材を前記第1、第2移動体間でリレーするリレー系と;を備える露光装置が、提供される。
【0007】
これによれば、フットプリントを狭小化したツインステージ方式の露光装置を提供することが可能になる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、本発明の露光装置により物体を露光することと;露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態の露光装置を示す概略平面図である。
【図2】図1の露光装置を+X側から見た概略側面図である。
【図3】図1の露光装置を+Y側から見た概略側面図である。
【図4】センターテーブル近傍を拡大して示す図である。
【図5】可動ブレードについて説明するための図である。
【図6】図6(A)は、ウエハステージを示す−Y方向から見た側面図、図6(B)は、ウエハステージを示す平面図である。
【図7】図7(A)は、粗動ステージを取り出して示す平面図、図7(B)は、粗動ステージが2部分に分離した状態を示す平面図である。
【図8】粗動ステージが分離した状態を示すウエハステージの正面図である。
【図9】図9(A)は、Xヘッド77xの概略構成を示す図、図9(B)は、Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの計測アーム内での配置を説明するための図である。
【図10】図1の露光装置が備える主制御装置の入出力関係を示すブロック図である。
【図11】図11(A)は、スキャン露光時のウエハの駆動方法を説明するための図、図11(B)は、ステッピング時のウエハの駆動方法を説明するための図である。
【図12】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1、第2の並行処理について説明するための図(その1)である。
【図13】図13(A)〜図13(D)は、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その2〜その5)である。
【図14】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その1)である。
【図15】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その2)である。
【図16】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その3)である。
【図17】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その4)である。
【図18】図13(B)の状態に対応する平面図である。
【図19】図13(C)の状態に対応する平面図である。
【図20】図13(D)の状態に対応する平面図である。
【図21】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その6)である。
【図22】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その7)である。
【図23】図23(A)〜図23(C)は、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その8〜その10)である。
【図24】図23(A)の状態に対応する平面図である。
【図25】図23(B)の状態に対応する平面図である。
【図26】図23(C)の状態に対応する平面図である。
【図27】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その11)である。
【図28】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その12)である。
【図29】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その2)である。
【図30】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その3)である。
【図31】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その4)である。
【図32】図32(A)〜図32(D)は、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その5〜その8)である。
【図33】図32(B)の状態に対応する平面図である。
【図34】図32(C)の状態に対応する平面図である。
【図35】図32(D)の状態に対応する平面図である。
【図36】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その9)である。
【図37】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その10)である。
【図38】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その11)である。
【図39】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その12)である。
【図40】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その13)である。
【図41】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その14)である。
【図42】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その15)である。
【図43】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その16)である。
【図44】センターテーブルを回転可能に構成した変形例における微動ステージ受け渡し手順を説明するための図(その1)である。
【図45】変形例における微動ステージ受け渡し手順を説明するための図(その2)である。
【図46】変形例における微動ステージ受け渡し手順を説明するための図(その3)である。
【図47】変形例における微動ステージ受け渡し手順を説明するための図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図43に基づいて説明する。
【0011】
図1には、一実施形態の露光装置100の概略的な平面図が示され、図2には、図1の露光装置100を+X側から見た概略側面図が示され、図3には、+Y側から見た概略側面図が示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向とする。
【0012】
露光装置100は、図1に示されるように、平面視(上方から見て)L字状のベース盤12を有し、ベース盤12上の−Y側端部近傍に配置された露光ステーション(露光処理部)200、ベース盤12上の−X側端部近傍に配置された計測ステーション(計測処理部)300、ベース盤12上の屈曲部(+Y側端部かつ+X側端部)近傍に配置されたセンターテーブル130、2つのウエハステージWST1,WST2、及びこれらの制御系等を、備えている。ここで、ベース盤12は、床面上に防振機構(図示省略)によってほぼ水平に(XY平面に平行に)支持されている。ベース盤12は、平板状の部材から成り、その上面は平坦度が非常に高く仕上げられ、ウエハステージWST1,WST2の移動の際のガイド面とされている。センターテーブル130は、投影光学系PLの光軸AXと直交するY軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で光軸AXから所定距離+Y側に離れた点にその中心が位置している。
【0013】
露光ステーション200は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU及び局所液浸装置8等を備えている。
【0014】
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステムとも呼ばれる)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0015】
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図2における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図2では不図示、図10参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図2における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
【0016】
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13によって、レチクルステージRSTに固定された移動鏡15を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計13の計測値は、主制御装置20(図2では不図示、図10参照)に送られる。なお、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書などに開示されているように、エンコーダシステムによってレチクルステージRSTの位置情報を計測しても良い。
【0017】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図2における下方(−Z側)に配置されている。投影ユニットPUは、不図示の支持部材によって水平に支持されたメインフレーム(メトロロジーフレームとも呼ばれる)BDによってその外周部に設けられたフランジ部FLGを介して支持されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された複数の光学素子から成る投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する屈折光学系が用いられている。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上で前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルRを保持するレチクルステージRSTとウエハWを保持するウエハ微動ステージ(以下、微動ステージと略述する)WFS1(又はWFS2)との同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。本実施形態では、投影ユニットPUを支持するメインフレームBDが、それぞれ防振機構を介して設置面(床面など)に配置される複数(例えば3つ又は4つ)の支持部材によってほぼ水平に支持されている。なお、その防振機構は各支持部材とメインフレームBDとの間に配置しても良い。また、例えば国際公開第2006/038952号に開示されているように、投影ユニットPUの上方に配置される不図示のメインフレーム部材、あるいはレチクルベースなどに対して投影ユニットPUを吊り下げ支持しても良い。
【0018】
局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図2では不図示、図10参照)、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図2に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように不図示の支持部材を介して、投影ユニットPU等を支持するメインフレームBDに吊り下げ支持されている。本実施形態では、主制御装置20が液体供給装置5(図10参照)を制御して、ノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図10参照)を制御して、ノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6を制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図2参照)が常に入れ替わって保持される。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水を用いるものとする。
【0019】
この他、露光ステーション200には、メインフレームBDから支持部材72Aを介してほぼ片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Aを含む微動ステージ位置計測系70Aが設けられている。ただし、微動ステージ位置計測系70Aについては、説明の便宜上、後述する微動ステージについての説明の後に、説明する。
【0020】
計測ステーション300は、図3に示されるように、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されたアライメント装置99と、メインフレームBDに支持部材72Bを介して片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Bを含む微動ステージ位置計測系70Bと、を備えている。微動ステージ位置計測系70Bは、前述の微動ステージ位置計測系70Aとは、その向きが異なる(直交している)が同様に構成されている。
【0021】
アライメント装置99は、図1に示されるように、プライマリアライメント系AL1と、4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24を含む。これをさらに詳述すると、プライマリアライメント系AL1は、センターテーブル130の中心で基準軸LVと直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LH上で基準軸LVから所定距離−Y側に所定距離離れた位置に検出中心が配置されている。プライマリアライメント系AL1の検出中心を挟んで、Y軸方向の一側と他側に、基準軸LHに関してほぼ対称にセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24との検出中心がそれぞれ配置されている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がY軸方向に沿って配置されている。セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24は、XY平面内で移動可能な保持装置(スライダ)に保持されている。アライメント系AL1、AL21〜AL24のそれぞれとしては、画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系AL1、AL21〜AL24からの撮像信号は、主制御装置20に供給されるようになっている(図10参照)なお、図3では、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24及びこれらを保持する保持装置(スライダ)を含んでアライメント装置99として示されている。なお、アライメント装置99の詳細構成は、例えば米国特許出願公開第2009/0233234号明細書に開示されている。
【0022】
センターテーブル130は、図4に示されるように、ベース盤12の内部に配置された駆動装置132と、該駆動装置132によって上下に駆動される軸134と、軸134の上端に固定された平面視X字形のテーブル本体136とを備えている。センターテーブル130の駆動装置132は、主制御装置20によって制御される(図10参照)。
【0023】
本実施形態の露光装置100は、テーブル本体136に載置された微動ステージWFS1又はWFS2を、ウエハ交換のため、アンローディングポジション兼ローディングポジション、すなわちウエハ交換位置ULP/LPに搬送するロボットアーム140を備えている(図1〜図3参照)。ロボットアーム140は、主制御装置20によって制御される(図10参照)。
【0024】
ウエハステージWST1は、図2及び図6(A)等からわかるように、その底面に設けられた複数の非接触軸受、例えばエアベアリング94によりベース盤12の上に浮上支持され、粗動ステージ駆動系51A(図10参照)により、XY二次元方向に駆動されるウエハ粗動ステージ(以下、粗動ステージと略述する)WCS1と、粗動ステージWCS1に非接触状態で支持され、粗動ステージWCS1に対して相対移動可能な微動ステージWFS1とを有している。微動ステージWFS1は、微動ステージ駆動系52A(図10参照)によって粗動ステージWCS1に対してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θx方向、θy方向及びθz方向(以下、6自由度方向、又は6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)と記述する)に駆動される。
【0025】
ウエハステージWST1(粗動ステージWCS1)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、図2に示されるように、ウエハステージ位置計測系16Aによって計測される。また、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に支持された微動ステージWFS1(又は微動ステージWFS2)の6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)の位置情報は微動ステージ位置計測系70Aによって計測される。ウエハステージ位置計測系16A及び微動ステージ位置計測系70Aの計測情報(以下では、計測値又は計測結果とも呼ぶ)、粗動ステージWCS1、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置制御のため、主制御装置20(図10参照)に供給される。
【0026】
ウエハステージWST2は、図3に示されるように、ウエハステージWST1と同様、その底面に設けられた複数の非接触軸受(例えばエアベアリング(図示省略))によりベース盤12の上に浮上支持され、粗動ステージ駆動系51B(図10参照)により、XY二次元方向に駆動される粗動ステージWCS2と、粗動ステージWCS2に非接触状態で支持され、粗動ステージWCS2に対して相対移動可能な微動ステージWFS2とを有している。微動ステージWFS2は、微動ステージ駆動系52B(図10参照)によって粗動ステージWCS2に対して6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)に駆動される。
【0027】
ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、図3に示されるように、ウエハステージ位置計測系16Bによって計測される。また、計測ステーション300にある粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS2(又はWFS1)の6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)の位置情報は微動ステージ位置計測系70Bによって計測される。ウエハステージ位置計測系16B及び微動ステージ位置計測系70Bの計測情報は、粗動ステージWCS2、微動ステージWFS2(又はWFS1)の位置制御のため、主制御装置20(図10参照)に供給される。
【0028】
粗動ステージWCS1に微動ステージWFS1(又はWFS2)が支持されたとき、その微動ステージWFS1(又はWFS2)と粗動ステージWCS1とのX、Y、θzの3自由度方向に関する相対位置情報は、粗動ステージWCS1と微動ステージWFS1(又はWFS2)との間に設けられた相対位置計測器22A(図10参照)によって計測可能である。
【0029】
同様に、粗動ステージWCS2に微動ステージWFS2(又はWFS1)が支持されたとき、その微動ステージWFS2(又はWFS1)と粗動ステージWCS2とのX、Y、θzの3自由度方向に関する相対位置情報は、粗動ステージWCS2と微動ステージWFS2(又はWFS1)との間に設けられた相対位置計測器22B(図10参照)によって計測可能である。
【0030】
相対位置計測器22A,22Bとしては、例えば微動ステージWFS1,WFS2に設けられたグレーティングを計測対象とする、粗動ステージWCS1、WCS2に、それぞれ設けられた少なくとも2つのヘッドを含み、該ヘッドの出力に基づいて、微動ステージWFS1,WFS2のX軸方向、Y軸方向及びθz方向の位置を計測するエンコーダなどを用いることができる。相対位置計測器22A,22Bの計測情報は、主制御装置20(図10参照)に供給される。
【0031】
上記各種計測系を含み、ステージ系の構成各部の構成等については、後に詳述する。
【0032】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図5に示されるように、投影ユニットPUの近傍に、可動ブレードBLが設けられている。可動ブレードBLは、ブレード駆動系58(図5では不図示、図10参照)によって、Z軸方向及びY軸方向に駆動可能である。可動ブレードBLは、+Y側の上端部に他の部分より突出した突出部が形成された板状の部材から成る。
【0033】
本実施形態において、可動ブレードBLの上面は、液体Lqに対して撥液性である。本実施形態において、可動ブレードBLは、例えばステンレス等の金属製の基材と、その基材の表面に形成された撥液性材料の膜とを含む。撥液性材料は、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、テフロン(登録商標)等を含む。なお、膜を形成する材料が、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂でも良い。また、可動ブレードBL全体が、PFA、PTFE、テフロン(登録商標)、アクリル系樹脂、及びシリコン系樹脂の少なくとも一つで形成されても良い。本実施形態において、液体Lqに対する可動ブレードBLの上面の接触角は、例えば90度以上である。
【0034】
可動ブレードBLは、粗動ステージWCS1に支持されている微動ステージWFS1(又はWFS2)に−Y側から係合可能であり、その係合状態で微動ステージWFS1(又はWFS2)の上面とともに、見かけ上一体のフルフラットな面を形成する(例えば図15参照)。可動ブレードBLは、主制御装置20により、ブレード駆動系58を介して駆動され、微動ステージWFS1(又はWFS2)との間で液浸空間(液体Lq)の受け渡しを行う。なお、可動ブレードBLと微動ステージWFS1(又はWFS2)との間の液浸空間(液体Lq)の受け渡しについてはさらに後述する。
【0035】
ここで、ステージ系の各部の構成等について詳述する。まず、ウエハステージWST1,WST2について説明する。本実施形態では、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とは、その駆動系、位置計測系などを含み、全く同様に構成されている。従って、以下では、代表的にウエハステージWST1を取り上げて説明する。
【0036】
粗動ステージWCS1は、図6(A)及び図6(B)に示されるように、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向を長手方向とする長方形板状の粗動スライダ部91と、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面にそれぞれ固定された一対の側壁部92a,92bと、側壁部92a,92bそれぞれの上面に固定された一対の固定子部93a、93bと、を備えている。粗動ステージWCS1は、全体として、上面のX軸方向中央部及びY軸方向の両側面が開口した高さの低い箱形の形状を有している。すなわち、粗動ステージWCS1には、その内部にY軸方向に貫通した空間部が形成されている。
【0037】
粗動ステージWCS1は、図7(A)に示されるように、粗動スライダ部91の長手方向(X軸方向)の中央のY軸方向の一側(+Y側)端部に前述の駆動軸134の直径より大きな幅のU字状の切り欠き95が形成されている。また、粗動ステージWCS1は、図7(B)に示されるように、長手方向の中央の分離線を境として、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとの2つの部分に分離可能に構成されている(図8参照)。従って、粗動スライダ部91は、第1部分WCS1aの一部を構成する第1スライダ部91aと、第2部分WCS1bの一部を構成する第2スライダ部91bとから構成されている。
【0038】
ベース盤12の内部には、図2及び図3に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイル14を含む、コイルユニットが収容されている。
【0039】
コイルユニットに対応して、粗動ステージWCS1の底面、すなわち第1スライダ部91a、第2スライダ部91bの底面には、図6(A)に示されるように、マトリックス状に配置された複数の永久磁石18から成る磁石ユニットが固定されている。磁石ユニットは、ベース盤12のコイルユニットと共に、例えば米国特許第5,196,745号明細書などに開示されるローレンツ電磁力駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系51Aa、51Ab(図10参照)を、それぞれ構成している。コイルユニットを構成する各コイル14に供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される(図10参照)。
【0040】
第1、第2スライダ部91a、91bそれぞれの底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング94が固定されている。粗動ステージWCS1の第1部分WCS1a及び第2部分WCS1bは、それぞれエアベアリング94によって、ベース盤12上に所定のクリアランス、例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持され、粗動ステージ駆動系51Aa、51Abによって、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に駆動される。
【0041】
通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体化して不図示のロック機構を介してロックされている。すなわち、通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体的に動作する。そこで、以下では、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bが一体化して成る粗動ステージWCS1を駆動する平面モータから成る駆動系を、粗動ステージ駆動系51Aと呼ぶ(図10参照)。
【0042】
なお、粗動ステージ駆動系51Aとしては、ローレンツ電磁力駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータを用いることもできる。この他、粗動ステージ駆動系51Aを、磁気浮上型の平面モータによって構成しても良い。この場合、粗動スライダ部91の底面にエアベアリングを設けなくても良くなる。
【0043】
一対の固定子部93a、93bそれぞれは、図6(A)及び図6(B)に示されるように、外形が板状の部材から成り、その内部に微動ステージWFS1(又はWFS2)を駆動するための複数のコイルから成るコイルユニットCUa、CUbが収容されている。ここで、微動ステージWFS1と微動ステージWFS2とは、全く同様に構成され、同様にして、粗動ステージWCS1に非接触で支持され、駆動されるが、以下では、微動ステージWFS1を代表的に取り上げて説明する。
【0044】
固定子部93aは、+X側の端部が側壁部92a上面に固定され、固定子部93bは、−X側の端部が側壁部92b上面に固定されている。
【0045】
微動ステージWFS1は、図6(A)及び図6(B)に示されるように、平面視でX軸方向を長手方向とする八角形板状の部材から成る本体部81と、本体部81の長手方向の一端部と他端部にそれぞれ固定された一対の可動子部82a、82bと、を備えている。
【0046】
本体部81は、その内部を後述するエンコーダシステムの計測ビーム(レーザ光)が進行可能とする必要があることから、光が透過可能な透明な素材で形成されている。また、本体部81は、その内部におけるレーザ光に対する空気揺らぎの影響を低減するため、中実に形成されている(内部に空間を有しない)。なお、透明な素材は、低熱膨張率であることが好ましく、本実施形態では一例として合成石英(ガラス)などが用いられる。なお、本体部81は、その全体が透明な素材で構成されていても良いが、エンコーダシステムの計測ビームが透過する部分のみが透明な素材で構成されていても良く、この計測ビームが透過する部分のみが中実に形成されていても良い。
【0047】
微動ステージWFS1の本体部81(より正確には、後述するカバーガラス)の上面中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。本実施形態では、例えば環状の凸部(リム部)内に、ウエハWを支持する複数の支持部(ピン部材)が形成される、いわゆるピンチャック方式のウエハホルダが用いられ、一面(表面)がウエハ載置面となるウエハホルダの他面(裏面)側に後述するグレーティングRGなどが設けられる。なお、ウエハホルダは、微動ステージWFS1と一体に形成されていても良いし、本体部81に対して、例えば静電チャック機構あるいはクランプ機構等を介して、又は接着等により固定されていても良い。
【0048】
さらに、本体部81の上面には、ウエハホルダ(ウエハWの載置領域)の外側に、図6(A)及び図6(B)に示されるように、ウエハW(ウエハホルダ)よりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ本体部81に対応する八角形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)83が取り付けられている。プレート83の表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている(撥液面が形成されている)。プレート83は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と同一面となるように本体部81の上面に固定されている。また、プレート83の−Y側端部には、図6(B)に示されるように、その表面がプレート83の表面と、すなわちウエハWの表面とほぼ同一面となる状態でX軸方向に細長い長方形の計測プレート86が設置されている。計測プレート86の表面には、前述した一対の第1基準マークと、プライマリアライメント系AL1により検出される第2基準マークとが少なくとも形成されている(第1及び第2基準マークはいずれも図示省略)。なお、プレート83を本体部81に取り付ける代わりに、例えばウエハホルダを微動ステージWFS1と一体に形成し、微動ステージWFS1の、ウエハホルダを囲む周囲領域(プレート83と同一の領域(計測プレート86の表面を含んでも良い))の上面に撥液化処理を施して、撥液面を形成しても良い。
【0049】
図6(A)に示されるように、本体部81の上面には、2次元グレーティング(以下、単にグレーティングと呼ぶ)RGが水平(ウエハW表面と平行)に配置されている。グレーティングRGは、透明な素材から成る本体部81の上面に、固定(あるいは形成)されている。グレーティングRGは、X軸方向を周期方向とする反射型回折格子(X回折格子)と、Y軸方向を周期方向とする反射型回折格子(Y回折格子)と、を含む。本実施形態では、本体部81上で2次元グレーティングが固定あるいは形成される領域(以下、形成領域)は、一例として、ウエハWよりも一回り大きな円形となっている。
【0050】
グレーティングRGは、保護部材、例えばカバーガラス84によって覆われている。本実施形態では、カバーガラス84の上面に、ウエハホルダを吸着保持する前述の静電チャック機構が設けられている。なお、本実施形態では、カバーガラス84は、本体部81の上面のほぼ全面を覆うように設けられているが、グレーティングRGを含む本体部81の上面の一部のみを覆うように設けても良い。また、保護部材(カバーガラス84)は、本体部81と同一の素材によって形成しても良いが、これに限らず、保護部材を、例えば金属、セラミックスで形成しても良い。また、グレーティングRGを保護するのに十分な厚みを要するため板状の保護部材が望ましいが、素材に応じて薄膜状の保護部材を用いても良い。
【0051】
なお、グレーティングRGの形成領域のうち、ウエハホルダの周囲にはみ出す領域に対応するカバーガラス84の一面には、グレーティングRGに照射されるエンコーダシステムの計測ビームがカバーガラス84を透過しないように、すなわち、ウエハホルダ裏面の領域の内外で計測ビームの強度が大きく変動しないように、例えばその形成領域を覆う反射部材(例えば薄膜など)を設けることが望ましい。
【0052】
この他、一面にグレーティングRGが固定又は形成される透明板の他面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置し、かつその透明板の一面側に保護部材(カバーガラス84)を設ける、あるいは、保護部材(カバーガラス84)を設けずに、グレーティングRGが固定又は形成される透明板の一面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置しても良い。特に前者では、透明板の代わりにセラミックスなどの不透明な部材にグレーティングRGを固定又は形成しても良いし、あるいは、ウエハホルダの裏面にグレーティングRGを固定又は形成しても良い。あるいは、従来の微動ステージにウエハホルダとグレーティングRGを保持するだけでも良い。また、ウエハホルダを、中実のガラス部材によって形成し、該ガラス部材の上面(ウエハ載置面)にグレーティングRGを配置しても良い。
【0053】
本体部81は、図6(A)からもわかるように、長手方向の一端部と他端部との下端部に外側に突出した張り出し部が形成された全体として八角形板状部材から成り、その底面の、グレーティングRGに対向する部分に凹部が形成されている。本体部81は、グレーティングRGが配置された中央の領域は、その厚さが実質的に均一な板状に形成されている。
【0054】
本体部81の+X側、−X側の張り出し部それぞれの上面には、断面凸形状のスペーサ85a、85bが、それぞれの凸部89a、89bを、外側に向けてY軸方向に延設されている。
【0055】
可動子部82aは、図6(A)及び図6(B)に示されるように、Y軸方向寸法(長さ)及びX軸方向寸法(幅)が、共に固定子部93aよりも短い(半分程度の)2枚の平面視矩形状の板状部材82a1、82a2を含む。板状部材82a1、82a2は、本体部81の+X側の端部に対し、前述したスペーサ85aの凸部89aを介して、Z軸方向(上下)に所定の距離だけ離間した状態でともにXY平面に平行に固定されている。この場合、板状部材82a2は、スペーサ85aと本体部81の+X側の張り出し部とによって、その−X側端部が挟持されている。2枚の板状部材82a1、82a2の間には、粗動ステージWCS1の固定子部93aの−X側の端部が非接触で挿入されている。板状部材82a1、82a2の内部には、後述する磁石ユニットMUa1、MUa2が、収容されている。
【0056】
可動子部82bは、スペーサ85bにZ軸方向(上下)に所定の間隔が維持された2枚の板状部材82b1、82b2を含み、可動子部82aと左右対称ではあるが同様に構成されている。2枚の板状部材82b1、82b2の間には、粗動ステージWCS1の固定子部93bの+X側の端部が非接触で挿入されている。板状部材82b1、82b2の内部には、磁石ユニットMUa1、MUa2と同様に構成された磁石ユニットMUb1、MUb2が、収容されている。
【0057】
ここで、前述したように、粗動ステージWCS1は、Y軸方向に両側面が開口しているので、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1に装着する際には、板状部材82a1、82a2、及び82b1、82b2間に固定子部93a、93bがそれぞれ位置するように、微動ステージWFS1のZ軸方向の位置決めを行い、この後に微動ステージWFS1をY軸方向に移動(スライド)させれば良い。
【0058】
微動ステージ駆動系52Aは、前述した可動子部82aが有する一対の磁石ユニットMUa1、MUa2と、固定子部93aが有するコイルユニットCUaと、前述した可動子部82bが有する一対の磁石ユニットMUb1、MUb2と、固定子部93bが有するコイルユニットCUbと、を含む。
【0059】
本実施形態では、微動ステージ駆動系52Aにより、微動ステージWFS1を、粗動ステージWCS1に対して非接触状態で浮上支持するとともに、粗動ステージWCS1に対して、非接触で6自由度方向に駆動することができる。
【0060】
本実施形態の露光装置100では、ウエハWに対するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作時には、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報(θz方向の位置情報を含む)は、主制御装置20により、後述する微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73(図10参照)を用いて計測される。微動ステージWFS1の位置情報は、主制御装置20に送られ、主制御装置20は、この位置情報に基づいて微動ステージWFS1の位置を制御する。
【0061】
これに対し、ウエハステージWST1(微動ステージWFS1)が微動ステージ位置計測系70Aの計測領域外に位置する際には、ウエハステージWST1(及び微動ステージWFS1)の位置情報は、主制御装置20により、ウエハステージ位置計測系16A(図2及び図10参照)を用いて計測される。ウエハステージ位置計測系16Aは、図2に示されるように、粗動ステージWCS1側面の反射面に測長ビームを照射してウエハステージWST1のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)を計測するレーザ干渉計を含んでいる。なお、ウエハステージWST1のXY平面内での位置情報は、上述のウエハステージ位置計測系16Aに代えて、その他の計測装置、例えばエンコーダシステムによって計測しても良い。この場合、例えばベース盤12の上面に二次元スケールを配置し、粗動ステージWCS1の底面にエンコーダヘッドを設けることができる。
【0062】
前述の如く、微動ステージWFS2は、上述した微動ステージWFS1と全く同様に構成されており、微動ステージWFS1に代えて、粗動ステージWCS1に非接触で支持させることができる。この場合、粗動ステージWCS1と、粗動ステージWCS1によって支持された微動ステージWFS2とによって、ウエハステージWST1が構成され、微動ステージWFS2が備える一対の可動子部(各一対の磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2)と粗動ステージWCS1の一対の固定子部93a、93b(コイルユニットCUa、CUb)とによって、微動ステージ駆動系52Aが構成される。そして、この微動ステージ駆動系52Aによって、微動ステージWFS2が、粗動ステージWCS1に対して、非接触で6自由度方向に駆動される。
【0063】
また、微動ステージWFS2、WFS1は、それぞれ粗動ステージWCS2に非接触で支持させることができ、粗動ステージWCS2と、粗動ステージWCS2によって支持された微動ステージWFS2又はWFS1とによってウエハステージWST2が構成される。この場合、微動ステージWFS2又はWFS1が備える一対の可動子部(各一対の磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2)と粗動ステージWCS2の一対の固定子部93a、93b(コイルユニットCUa、CUb)とによって、微動ステージ駆動系52B(図10参照)が構成される。そして、この微動ステージ駆動系52Bによって、微動ステージWFS2又はWFS1が、粗動ステージWCS2に対して、非接触で6自由度方向に駆動される。
【0064】
なお、粗動ステージWCS2は、粗動スライダ部91の切り欠き95が+X側に向かって開口する向きで、ベース盤12上に配置されている(図1参照)。
【0065】
次に、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に移動可能に保持される(ウエハステージWST1を構成する)微動ステージWFS1又はWFS2の位置情報の計測に用いられる微動ステージ位置計測系70A(図10参照)の構成について説明する。ここでは、微動ステージ位置計測系70Aが微動ステージWFS1の位置情報を計測する場合について説明する。
【0066】
微動ステージ位置計測系70Aは、図2に示されるように、ウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態で、粗動ステージWCS1の内部の空間部内に挿入されるアーム部材(計測アーム71A)を備えている。計測アーム71Aは、メインフレームBDに支持部材72Aを介して片持ち支持(一端部近傍が支持)されている。なお、アーム部材は、ウエハステージの移動の妨げにならない構成を採用する場合には、片持ち支持に限らず、その長手方向の両端部で支持されても良い。
【0067】
計測アーム71Aは、Y軸方向を長手方向とする、幅方向(X軸方向)よりも高さ方向(Z軸方向)の寸法が大きい縦長の長方形断面を有する四角柱状(すなわち直方体状)の部材であり、光を透過する同一の素材、例えばガラス部材が複数貼り合わされて形成されている。計測アーム71Aは、後述するエンコーダヘッド(光学系)が収容される部分を除き、中実に形成されている。計測アーム71Aは、前述したようにウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態では、先端部が粗動ステージWCS1の空間部内に挿入され、図2に示されるように、その上面が微動ステージWFS1の下面(より正確には、本体部81(図2では不図示、図6(A)等参照)の下面)に対向している。計測アーム71Aの上面は、微動ステージWFS1の下面との間に所定のクリアランス、例えば数mm程度のクリアランスが形成された状態で、微動ステージWFS1下面とほぼ平行に配置される。なお、計測アーム71Aの上面と微動ステージWFSの下面との間のクリアランスは、数mm以上でも以下でも良い。
【0068】
微動ステージ位置計測系70Aは、図10に示されるように、エンコーダシステム73と、レーザ干渉計システム75とを備えている。エンコーダシステム73は、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を計測するXリニアエンコーダ73x、及び微動ステージWFS1のY軸方向の位置を計測する一対のYリニアエンコーダ73ya、73ybを含む。エンコーダシステム73では、例えば米国特許第7,238,931号明細書、及び米国特許出願公開第2007/288121号明細書などに開示されるエンコーダヘッド(以下、適宜ヘッドと略述する)と同様の構成の回折干渉型のヘッドが用いられている。ただし、本実施形態では、ヘッドは、後述するように光源及び受光系(光検出器を含む)が、計測アーム71Aの外部に配置され、光学系のみが計測アーム71Aの内部に、すなわちグレーティングRGに対向して配置されている。以下、適宜、計測アーム71Aの内部に配置された光学系をヘッドと呼ぶ。
【0069】
エンコーダシステム73は、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を1つのXヘッド77x(図9(A)及び図9(B)参照)で計測し、Y軸方向の位置を一対のYヘッド77ya、77yb(図9(B)参照)で計測する。すなわち、グレーティングRGのX回折格子を用いて微動ステージWFS1のX軸方向の位置を計測するXヘッド77xによって、前述のXリニアエンコーダ73xが構成され、グレーティングRGのY回折格子を用いて微動ステージWFS1のY軸方向の位置を計測する一対のYヘッド77ya、77ybによって、一対のYリニアエンコーダ73ya、73ybが構成されている。
【0070】
ここで、エンコーダシステム73を構成する3つのヘッド77x、77ya、77ybの構成について説明する。図9(A)には、3つのヘッド77x、77ya、77ybを代表して、Xヘッド77xの概略構成が示されている。また、図9(B)には、Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの計測アーム71A内での配置が示されている。
【0071】
図9(A)に示されるように、Xヘッド77xは、偏光ビームスプリッタPBS、一対の反射ミラーR1a,R1b、レンズL2a,L2b、四分の一波長板(以下、λ/4板と表記する)WP1a,WP1b、反射ミラーR2a,R2b、及び反射ミラーR3a,R3b等を有し、これらの光学素子が所定の位置関係で配置されている。Yヘッド77ya、77ybも同様の構成の光学系を有している。Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれは、図9(A)及び図9(B)に示されるように、ユニット化されて計測アーム71Aの内部に固定されている。
【0072】
図9(B)に示されるように、Xヘッド77x(Xリニアエンコーダ73x)では、計測アーム71Aの−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられた光源LDxから−Z方向にレーザビームLBx0が射出され、計測アーム71Aの一部にXY平面に対して45°の角度で斜設された反射面RPを介してY軸方向に平行にその光路が折り曲げられる。このレーザビームLBx0は、計測アーム71の内部の中実な部分を、Y軸方向に平行に進行し、反射ミラーR3a(図9(A)参照)に達する。そして、レーザビームLBx0は、反射ミラーR3aによりその光路が折り曲げられて、偏光ビームスプリッタPBSに入射する。レーザビームLBx0は、偏光ビームスプリッタPBSで偏光分離されて2つの計測ビームLBx1,LBx2となる。偏光ビームスプリッタPBSを透過した計測ビームLBx1は反射ミラーR1aを介して微動ステージWFS1に形成されたグレーティングRGに到達し、偏光ビームスプリッタPBSで反射された計測ビームLBx2は反射ミラーR1bを介してグレーティングRGに到達する。なお、ここで「偏光分離」とは、入射ビームをP偏光成分とS偏光成分に分離することを意味する。
【0073】
計測ビームLBx1,LBx2の照射によってグレーティングRGから発生する所定次数の回折ビーム、例えば1次回折ビームそれぞれは、レンズL2a,L2bを介して、λ/4板WP1a,WP1bにより円偏光に変換された後、反射ミラーR2a,R2bにより反射されて再度λ/4板WP1a,WP1bを通り、往路と同じ光路を逆方向に辿って偏光ビームスプリッタPBSに達する。
【0074】
偏光ビームスプリッタPBSに達した2つの1次回折ビームは、各々その偏光方向が元の方向に対して90度回転している。このため、計測ビームLBx1,LBx2それぞれの1次回折ビームは同軸上に合成ビームLBx12として合成される。合成ビームLBx12は、反射ミラーR3bでその光路が、Y軸に平行に折り曲げられて、計測アーム71Aの内部をY軸に平行に進行し、前述の反射面RPを介して、図9(B)に示される、計測アーム71の−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられたX受光系74xに送光される。
【0075】
X受光系74xでは、合成ビームLBx12として合成された計測ビームLBx1,LBx2の1次回折ビームが不図示の偏光子(検光子)によって偏光方向が揃えられ、相互に干渉して干渉光となり、この干渉光が不図示の光検出器によって検出され、干渉光の強度に応じた電気信号に変換される。ここで、微動ステージWFS1が計測方向(この場合、X軸方向)に移動すると、2つのビーム間の位相差が変化して干渉光の強度が変化する。この干渉光の強度の変化は、微動ステージWFS1のX軸方向に関する位置情報として主制御装置20(図10参照)に供給される。
【0076】
図9(B)に示されるように、Yヘッド77ya、77ybには、それぞれの光源LDya、LDybから射出され、前述の反射面RPで光路が90°折り曲げられたY軸に平行なレーザビームLBya0、LByb0が入射し、前述と同様にして、Yヘッド77ya、77ybから、偏向ビームスプリッタで偏光分離された計測ビームそれぞれのグレーティングRG(のY回折格子)による1次回折ビームの合成ビームLBya12、LByb12が、それぞれ出力され、Y受光系74ya、74ybに戻される。ここで、光源LDya、LDybから射出されるレーザビームLBya0、LByb0とY受光系74ya、74ybに戻される合成ビームLBya12、LByb12とは、図9(B)における紙面垂直方向に重なる光路をそれぞれ通る。また、上述のように、光源から照射されるレーザビームLBya0、LByb0とY受光系74ya、74ybに戻される合成ビームLBya12、LByb12とが、Z軸方向に離れた平行な光路を通るように、Yヘッド77ya、77ybでは、それぞれの内部で光路が適宜折り曲げられている(図示省略)。
【0077】
本実施形態では、Xヘッド77xは、計測アーム71Aのセンターライン(X軸方向の中心を通るY軸方向の直線)からX軸方向に関して等距離にある2点から、計測ビームLBx1、LBx2を、グレーティングRG上の同一の照射点に照射する(図9(A)参照)。計測ビームLBx1、LBx2の照射点、すなわちXヘッド77xの検出点は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致している(図2参照)。なお、計測ビームLBx1、LBx2は、実際には、本体部81と空気層との境界面などで屈折するが、図9(A)等では、簡略化して図示されている。
【0078】
図9(B)に示されるように、一対のYヘッド77ya、77ybそれぞれは、センターラインの+X側、−X側に配置されている。Yヘッド77yaは、センターラインに平行な直線(ビームLBya0の光路に一致)上でXヘッド77xの検出点を通るX軸に平行な直線からの距離が等しい2点から、グレーティングRG上の共通の照射点に一対の計測ビームを照射する。この一対の計測ビームの照射点がYヘッド77yaの検出点となる。
【0079】
Yヘッド77ybは、センターラインに関して、Yヘッド77yaの一対の計測ビームの射出点に対称な2点から、一対の計測ビームを、グレーティングRG上の共通の照射点に照射する。Yヘッド77ya、77ybそれぞれの検出点は、上記のX軸に平行な直線上に配置される。
【0080】
ここで、主制御装置20は、微動ステージWFS1のY軸方向の位置を、2つのYヘッド77ya、77ybの計測値の平均に基づいて決定する。従って、本実施形態では、微動ステージWFS1のY軸方向の位置は、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの検出点の中点を実質的な計測点として計測される。その中点は、測ビームLBx1,LBX2のグレーティングRG上の照射点と一致する。
【0081】
すなわち、本実施形態では、微動ステージWFS1のX軸方向及びY軸方向の位置情報の計測に関して、共通の検出点を有し、この検出点は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致する。従って、本実施形態では、主制御装置20は、エンコーダシステム73を用いることで、微動ステージWFS1上に載置されたウエハWの所定のショット領域にレチクルRのパターンを転写する際、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報の計測を、常に露光位置の直下(微動ステージWFS1の裏面側)で行うことができる。また、主制御装置20は、一対のYヘッド77ya、77ybの計測値の差に基づいて、微動ステージWFSのθz方向の回転量を計測する。
【0082】
レーザ干渉計システム75は、Z軸に平行な3本の測長ビームを計測アーム71の先端部から、微動ステージWFS1の下面に入射させる。レーザ干渉計システム75は、これら3本の測長ビームそれぞれを照射する3つのレーザ干渉計75a〜75c(図10参照)を備えている。
【0083】
レーザ干渉計システム75では、3本の測長ビームは、その重心が、照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致する、二等辺三角形(又は正三角形)の各頂点に相当する3点からZ軸に平行に射出される。本実施形態では、主制御装置20は、レーザ干渉計システム75を用いて、微動ステージWFS1のZ軸方向の位置、θz方向及びθy方向の回転量の情報を計測する。なお、レーザ干渉計75a〜75cは、実際には、計測アーム71Aの−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられている。レーザ干渉計75a〜75cから−Z方向に射出された3本の測長ビームは、前述の反射面RPを介して計測アーム71内をY軸方向に沿って進行し、その光路がそれぞれ折り曲げられて、上述の3点から射出される。
【0084】
本実施形態では、微動ステージWFS1の下面に、エンコーダシステム73からの各計測ビームを透過させ、レーザ干渉計システム75からの各測長ビームの透過を阻止する、波長選択フィルタ(図示省略)が設けられている。この場合、波長選択フィルタは、レーザ干渉計システム75からの各測長ビームの反射面をも兼ねる。波長選択フィルタは、波長選択性を有する薄膜などが用いられ、本実施形態では、例えば透明板(本体部81)の一面に設けられ、グレーティングRGはその一面に対してウエハホルダ側に配置される。
【0085】
以上の説明からわかるように、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73及びレーザ干渉計システム75を用いることで、微動ステージWFS1の6自由度方向の位置を計測することができる。この場合、エンコーダシステム73では、計測ビームの空気中での光路長が極短くかつほぼ等しいため、空気揺らぎの影響が殆ど無視できる。従って、エンコーダシステム73により、微動ステージWFS1のXY平面内(θz方向も含む)の位置情報を高精度に計測できる。また、エンコーダシステム73によるX軸方向、及びY軸方向の実質的なグレーティング上の検出点、及びレーザ干渉計システム75によるZ軸方向の微動ステージWFS1下面上の検出点は、それぞれ露光領域IAの中心(露光位置)に一致するので、いわゆるアッベ誤差の発生が実質的に無視できる程度に抑制される。従って、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aを用いることで、アッベ誤差なく、微動ステージWFS1のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置を高精度に計測できる。また、粗動ステージWCS1が投影ユニットPUの下方にあり、粗動ステージWCS1に微動ステージWFS2が移動可能に支持されている場合には、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aを用いることで、微動ステージWFS2の6自由度方向の位置を計測することができ、特に、微動ステージWFS2のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置については、アッベ誤差なく、高精度に計測できる。
【0086】
また、計測ステーション300が備える微動ステージ位置計測系70Bは、図3に示されるように、微動ステージ位置計測系70Aと同様に構成されている。すなわち、微動ステージ位置計測系70Bが備える計測アーム71Bは、X軸方向を長手方向とし、その−X側の端部近傍が、支持部材72Bを介してメインフレームBDに片持ち支持されている。
【0087】
粗動ステージWCS2がアライメント装置99の下方にあり、粗動ステージWCS2に微動ステージWFS2又はWFS1が移動可能に支持されている場合には、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Bを用いることで、微動ステージWFS2又はWFS1の6自由度方向の位置を計測することができ、特に、微動ステージWFS2又はWFS1のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置については、アッベ誤差なく、高精度に計測できる。
【0088】
この他、本実施形態における露光装置100には、投影ユニットPUの近傍に、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)AF(図2では不図示、図10参照)が設けられている。多点AF系AFの検出信号は、不図示のAF信号処理系を介して主制御装置20に供給される(図10参照)。主制御装置20は、多点AF系AFの検出信号に基づいて、多点AF系AFの複数の検出点それぞれにおけるウエハW表面のZ軸方向の位置情報(面位置情報)を検出し、その検出結果に基づいて走査露光中のウエハWのいわゆるフォーカス・レベリング制御を実行する。なお、ウエハアライメント検出系ALGの近傍に多点AF系を設けて、ウエハアライメント(EGA)時にウエハW表面の面位置情報(凹凸情報)を事前に取得し、露光時には、その面位置情報と、後述する微動ステージ位置計測系70の一部を構成するレーザ干渉計システム75(図10参照)の計測値とを用いて、ウエハWのいわゆるフォーカス・レベリング制御を実行することとしても良い。なお、レーザ干渉計システム75ではなく、微動ステージ位置計測系70を構成する後述のエンコーダシステム73の計測値を、フォーカス・レベリング制御で用いても良い。
【0089】
また、レチクルステージRSTの上方には、例えば米国特許第5,646,413号明細書などに詳細に開示されるように、CCD等の撮像素子を有し、露光波長の光(本実施形態では照明光IL)をアライメント用照明光とする画像処理方式の一対のレチクルアライメント系RA1,RA2(図2においてはレチクルアライメント系RA2は、レチクルアライメント系RA1の紙面奥側に隠れている。)が配置されている。一対のレチクルアライメント系RA1,RA2は、投影光学系PLの直下に微動ステージWFS1(又はWFS2)上の後述する計測プレートが位置する状態で、主制御装置20により、レチクルRに形成された一対のレチクルアライメントマーク(図示省略)の投影像と対応する計測プレート上の一対の第1基準マークとを投影光学系PLを介して検出することで、投影光学系PLによるレチクルRのパターンの投影領域の中心と計測プレート上の基準位置、すなわち一対の第1基準マークの中心との位置関係を検出するために用いられる。レチクルアライメント系RA1,RA2の検出信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される(図10参照)。
【0090】
図10には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、前述の局所液浸装置8、粗動ステージ駆動系51A,51B、及び微動ステージ駆動系52A,52Bなど、露光装置100の構成各部を統括制御する。
【0091】
本実施形態の露光装置100では、デバイスの製造に際し、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に保持された一方の微動ステージ(ここでは、一例としてWFS1であるものとする)に保持されたウエハWに対して、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われ、そのウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンがそれぞれ転写される。このステップ・アンド・スキャン方式の露光動作は、主制御装置20により、事前に行われた、ウエハアライメントの結果(例えばエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)により得られるウエハW上の各ショット領域の配列座標を第2基準マークを基準とする座標に変換した情報)、及びレチクルアライメントの結果等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へ微動ステージWFS1が移動されるショット間移動動作と、レチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で各ショット領域に転写する走査露光動作と、を繰り返すことにより、行われる。なお、上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハWとの間に液体Lqを保持した状態で、すなわち液浸露光により行われる。また、+Y側に位置するショット領域から−Y側に位置するショット領域の順で行われる。なお、EGAについては、例えば米国特許第4,780,617号明細書などに詳細に開示されている。
【0092】
本実施形態の露光装置100では、上述の一連の露光動作中、主制御装置20により、微動ステージ位置計測系70Aを用いて、微動ステージWFS1(ウエハW)の位置が計測され、この計測結果に基づいてウエハWの位置が制御される。
【0093】
なお、上述の走査露光動作時は、ウエハWをY軸方向に高加速度で駆動する必要があるが、本実施形態の露光装置100では、主制御装置20は、走査露光動作時には、図11(A)に示されるように、原則的に粗動ステージWCS1を駆動せず、微動ステージWFS1のみをY軸方向に(必要に応じて他の5自由度方向にも併せて)駆動する(図11(A)の黒塗り矢印参照)ことで、ウエハWをY軸方向に走査する。これは、粗動ステージWCS1を駆動する場合に比べ、微動ステージWFS1のみを動かす方が駆動対象の重量が軽い分、高加速度でウエハWを駆動できて有利だからである。また、前述のように、微動ステージ位置計測系70Aは、その位置計測精度がウエハステージ位置計測系16Aよりも高いので、走査露光時には微動ステージWFS1を駆動した方が有利である。なお、この走査露光時には、微動ステージWFS1の駆動による反力(図11(A)の白抜き矢印参照)の作用により、粗動ステージWCS1が微動ステージWFS1と反対側に駆動される。すなわち、粗動ステージWCS1がカウンタマスとして機能し、ウエハステージWST1の全体から成る系の運動量が保存され、重心移動が生じないので、微動ステージWFS1の走査駆動によってベース盤12に偏荷重が作用するなどの不都合が生じることがない。
【0094】
一方、X軸方向にショット間移動(ステッピング)動作を行う際には、微動ステージWFS1のX軸方向への移動可能量が少ないことから、主制御装置20は、図11(B)に示されるように、粗動ステージWCS1をX軸方向に駆動することによって、ウエハWをX軸方向に移動させる。
【0095】
本実施形態では、一方の微動ステージ上で、上述したウエハWに対する露光が行われるのと並行して、他方の微動ステージ上では、ウエハ交換及びウエハアライメントが少なくとも一部行われる。
【0096】
《並行処理動作(その1)》
以下、本実施形態の露光装置100において、2つの微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理動作(その1)について、説明する。
【0097】
図12には、微動ステージWFS1が露光ステーション200にあり、その微動ステージWFS1に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、微動ステージWFS2が計測ステーション300にあり、その微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている状態が示されている。
【0098】
上記の微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントは、概略次のようにして行われる。すなわち、ウエハアライメントに際し、主制御装置20は、まず、プライマリアライメント系AL1の直下に微動ステージWFS2上の計測プレート86を位置決めすべく、微動ステージWFS2を駆動し、プライマリアライメント系AL1を用いて、第2基準マークを検出する。そして、主制御装置20は、例えば、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示されるように、ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2及び微動ステージWFS2)を例えば+X方向に移動させ、その移動経路上における複数箇所にウエハステージWSTを位置決めし、位置決めの都度、アライメント系AL1,AL21〜AL24の少なくとも1つを用いてアライメントショット領域(サンプルショット領域)におけるアライメントマークの位置情報を、計測する(求める)。例えば、4回の位置決めを行う場合を考えると、主制御装置20は、例えば1回目の位置決め時に、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3箇所のサンプルショット領域におけるアライメントマーク(以下、サンプルマークとも呼ぶ)を、2回目の位置決め時にアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いてウエハW上の5つのサンプルマークを、3回目の位置決め時にアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて5つのサンプルマークを、4回目の位置決め時に、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて3つのサンプルマークを、それぞれ検出する。これにより、合計16箇所のアライメントショット領域におけるアライメントマークの位置情報を、16箇所のアライメントマークを単一のアライメント系で順次検出する場合などに比べて、格段に短時間で得ることができる。この場合において、上記のウエハステージWST2の移動動作と連動して、アライメント系AL1,AL22,AL23はそれぞれ、検出領域(例えば、検出光の照射領域に相当)内に順次配置されるX軸方向に沿って配列された複数のアライメントマーク(サンプルマーク)を検出する。このため、上記のアライメントマークの計測に際して、ウエハステージWST2をY軸方向に移動させる必要が無い。
【0099】
本実施形態では、主制御装置20は、第2基準マークの検出を含み、ウエハアライメントの際には、計測アーム71Bを含む微動ステージ位置計測系70Bを用いてウエハアライメント時における粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS2のXY平面内の位置計測を行う。ただし、これに限らず、ウエハアライメント時の微動ステージWFS2の移動を粗動ステージWCS2と一体で行う場合には、前述したウエハステージ位置計測系16Bを介してウエハWの位置を計測しながらウエハアライメントを行っても良い。また、計測ステーション300と露光ステーション200とが離間しているので、ウエハアライメント時と露光時とでは、微動ステージWFS2の位置は、異なる座標系上で管理される。また、例えば図1等から明らかなように、ウエハアライメント時におけるウエハWの向きと、露光時におけるウエハWの向きとは、90度異なるので、ウエハアライメント時の座標系(アライメント座標系)と露光時の座標系(露光座標系)とでは、X座標とY座標とを入れ替える必要がある。そこで、主制御装置20は、ウエハアライメントの結果得られたウエハW上の各ショット領域の配列座標を、第2基準マークを基準とし、かつX座標とY座標とを入れ替えた座標変換後の配列座標に変換する。
【0100】
このようにして微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了する。このとき、露光ステーション200では、微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対する露光が終了間近の状態にある。そこで、主制御装置20は、ウエハWに対する露光が終了するまで、ウエハステージWST2を計測ステーション300の内部又はその近くの待機位置で待機させる。
【0101】
図13(A)には、ウエハWに対する露光が終了する前の露光ステーション200の内部及びその周辺の様子が示されている。
【0102】
主制御装置20は、露光終了に先立って、図14中の白抜き矢印で示されるように、ブレード駆動系58を介して可動ブレードBLを図5に示される位置から所定量下方に駆動する。これにより、可動ブレードBL上面と投影光学系PLの下方に位置する微動ステージWFS1(及びウエハW)上面とが同一面上に位置する。そして、主制御装置20は、この状態で、露光が終了するのを待つ。
【0103】
そして、露光が終了すると、主制御装置20は、次のようにして、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しを行う。
【0104】
すなわち、露光が終了すると、主制御装置20は、ブレード駆動系58を介して可動ブレードBLを+Y方向に所定量駆動し(図15中の白抜き矢印参照)、可動ブレードBLを、微動ステージWFS1に接触又は300μm程度のクリアランスを介して近接させる。すなわち、主制御装置20は、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とをスクラム状態に設定する。
【0105】
次に、主制御装置20は、図16に示されるように、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とのスクラム状態を維持しつつ、ウエハステージWST1と一体で可動ブレードBLを+Y方向に駆動する(図16の白抜き矢印参照)。これにより、先端レンズ191との間に保持されていた液体Lqにより形成される液浸空間が、微動ステージWFS1上から可動ブレードBL上に移動する(微動ステージWFS1から可動ブレードBLに渡される)。図16には、液浸空間(液体Lq)が微動ステージWFS1上から可動ブレードBL上に移動している最中(微動ステージWFS1から可動ブレードBLに渡される直前)の状態が示されている。この状態では、先端レンズ191と、微動ステージWFS1及び可動ブレードBLとの間に、液体Lqが保持されている。
【0106】
可動ブレードBLとウエハステージWST1とがさらに+Y方向に移動すると、図17に示されるように、液浸空間が可動ブレードBL上に完全に移動する。すなわち、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しが完了する。
【0107】
液浸空間の受け渡しが完了すると、主制御装置20は、図17中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1をさらに+Y方向に駆動して、微動ステージWFS1をセンターテーブル130上に位置させる(図13(B)参照)。この時、粗動ステージWCS1は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS1を支持した状態となる。すなわち、粗動ステージWCS1により、微動ステージWFS1がセンターテーブル130の真上に搬送される。図18には、このときの露光装置100の状態が平面図にて示されている。ただし、可動ブレードBLの図示は省略されている。他の平面図においても同様である。
【0108】
そして、主制御装置20は、図13(B)中に白抜き矢印で示されるように、センターテーブル130の駆動装置132を介してテーブル本体136を上方に駆動して、下方から微動ステージWFS1を支持させる。同時に、主制御装置20は、図13(B)及び図18に示されるように、ロボットアーム140を黒塗り矢印の方向(−Y方向)に駆動して、センターテーブル130(テーブル本体136)の下方に位置させる。
【0109】
センターテーブル130が微動ステージWFS1を支持した後、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図19に示されるように、粗動ステージWCS1を第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離する。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS1から離脱可能となる。そこで、主制御装置20は、図13(C)中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を支持しているテーブル本体136を下方に駆動する。これにより、微動ステージWFS1が、センターテーブル130からロボットアーム140に受け渡される。受け渡し完了後、主制御装置20は、図13(C)及び図19中に黒塗り矢印で示されるように、ロボットアーム140を+Y方向に駆動して、微動ステージWFS1をウエハ交換位置ULP/LPに搬送する。
【0110】
図13(D)及び図20には、微動ステージWFS1がウエハ交換位置ULP/LPに搬送された直後の状態が示されている。ロボットアーム140を用いた微動ステージWFS1のウエハ交換位置ULP/LPへの搬送と並行して、主制御装置20は、図13(D)及び図20に示されるように、粗動ステージWCS1(第1部分WCS1aと第2部分WCS1b)を、ウエハステージWST2の移動経路から退避させるため、露光ステーション200の内部又は近くに移動させる。このとき、主制御装置20は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとを合体後、不図示のロック機構をロックする。ロック後、主制御装置20は、粗動ステージWCS1を−Y方向に駆動する。
【0111】
粗動ステージWCS1の退避後、主制御装置20は、前述の待機位置で待機しているウエハステージWST2を、図20中に白抜き矢印で示されるように、+X方向に駆動して、センターテーブル130の位置に移動させる。これにより、粗動ステージWCS2により、微動ステージWFS2がセンターテーブル130の真上に搬送される。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態となる(図21参照)。
【0112】
次いで、主制御装置20は、ウエハステージWST2を、時計回りに90度回転させる。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態で、センターテーブル130の軸を中心として回転する。その結果、ウエハステージWST2は、図22に示されるように、−Y方向を向く。
【0113】
次に、主制御装置20は、図22中に白抜き矢印で示されるように、粗動ステージWCS1を+Y方向に駆動して、露光ステーション200の内部又は近くにある粗動ステージWCS1をウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)に近接させる(ほぼ接触させる)。次いで、主制御装置20は、微動ステージ駆動系52A,52Bを介して微動ステージWFS2を、図23(A)及び図24中に黒塗り矢印で示されるように、−Y方向に駆動して、微動ステージWFS2を粗動ステージWCS2から粗動ステージWCS1に移載(スライド移動)する。
【0114】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS2を支持した粗動ステージWCS1を、図23(B)及び図25中に白抜き矢印で示されるように、−Y方向に駆動して、先端レンズ191との間で保持されている液浸空間を、可動ブレードBLから微動ステージWFS2に渡す。この液浸空間(液体Lq)の受け渡しは、前述した微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸領域の受け渡しと逆の手順で行われる。
【0115】
そして、主制御装置20は、露光開始に先立って、前述の一対のレチクルアライメント系RA1,RA2、及び微動ステージWFS2の計測プレート86上の一対の第1基準マークなどを用いて、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順(例えば、米国特許第5,646,413号明細書などに開示される手順)で、レチクルアライメントを行う。主制御装置20は、レチクルアライメントの結果と先に実行済みのウエハアライメントの結果(第2基準マークを基準とし、かつX座標とY座標とを入れ替えた座標変換後のウエハW上の各ショット領域の配列座標)とに基づいてステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を行い、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。この露光は、レチクルアライメント後、微動ステージWFS2を一旦−Y側に戻し、ウエハW上の+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で行われる。
【0116】
上記の液浸空間の受け渡し、レチクルアライメント及び露光と並行して、以下のa.〜f.のような動作が行われている。
【0117】
a. すなわち、主制御装置20により、先にロボットアーム140を用いて微動ステージWFS1がウエハ交換位置ULP/LPに搬送された後、不図示のアンロードアーム及びロードアームによって、微動ステージWFS1上の露光済みのウエハWが、露光前の新たなウエハWに交換される。図24には、ウエハ交換が完了した状態が示されている。
【0118】
ここで、アンロードアーム及びロードアームは、一例としていわゆるベルヌーイ・チャックをそれぞれ有している。ここで、ウエハ交換位置には、不図示のテーブルが設置されており、ウエハ交換は、微動ステージWFS1(又はWFS2)がテーブル上に載置された状態で行われる。微動ステージWFS1(又はWFS2)がテーブル上にあるとき、微動ステージWFS1のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室(減圧空間)が、不図示の給気管路及び配管を介して、加圧気体の供給源に接続された給気用ポンプに接続されている。また、微動ステージWFS2のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室(減圧空間)が、不図示の排気管路及び配管を介してバキュームポンプに接続されている。ウエハのアンロードに際しては、給気用ポンプを主制御装置20が作動させることにより、ウエハホルダによるウエハWの吸着解除と、下方からの加圧気体の吹き出しによる、ベルヌーイ・チャックによるウエハWの吸着保持動作に対するアシストが行われる。なお、ウエハが吸着されているときを含み、ポンプの停止状態(非作動状態)では、不図示のチェック弁の作用により、給気管路は閉じられている。一方、ウエハのロードに際しては、バキュームポンプを主制御装置20が作動させることにより、減圧室内の気体が排気管路及び配管を介して外部に排気され、減圧室内が負圧となって、ウエハホルダによるウエハWの吸着が開始される。そして、減圧室内が所定の圧力(負圧)となったとき、主制御装置20によりバキュームポンプが停止される。バキュームポンプが停止されると、不図示のチェック弁の作用により、排気管路は閉じられる。従って、減圧室の減圧状態が維持され、減圧室の気体を真空吸引するためのチューブなどを微動ステージWFS1(又はWF2)に接続しなくても、ウエハWがウエハホルダに保持される。このため、微動ステージWFS1(又はWF2)を、粗動ステージから分離して支障なく搬送することができる。
【0119】
b. ウエハ交換後、主制御装置20によって、ロボットアーム140が、図23(A)及び図24中に黒塗り矢印で示されるように、微動ステージWFS2のスライド移動と並行して、−Y方向に駆動され、新たなウエハWがロードされた微動ステージWFS1が、センターテーブル130(テーブル本体136)の上方に搬送される。
【0120】
c.次いで、主制御装置20により、不図示のロック機構が解除され、図25に示されるように、粗動ステージWCS2が第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離される。次いで、主制御装置20により、図23(B)中に白抜き矢印で示されるように、テーブル本体136が上方に駆動される。これにより、先にテーブル本体136の上方に搬送された微動ステージWFS1が、ロボットアーム140からセンターテーブル130に受け渡される。
【0121】
d. その後、主制御装置20により、テーブル本体136がさらに上方に駆動され、微動ステージWFS1が、粗動ステージWCS2によって保持される際の高さ(面位置)に位置決めされ、図26に白抜き矢印で示されるように、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが、接近する方向に駆動されて、両部分が合体される。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS2に支持される。そして、主制御装置20により、図23(C)及び図26中に、それぞれ白抜き矢印、黒塗り矢印で示されるように、テーブル本体136が下方に駆動されるるとともに、ロボットアーム140が+Y方向に駆動される。
【0122】
e. 次いで、主制御装置20により、ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)が、図27中に白抜き矢印で示されるように、反時計回りに90度回転させられる。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS1を支持した状態で、センターテーブル130の軸を中心として回転する。これにより、ウエハステージWST2は+X方向を向く。次に、主制御装置20により、図28中に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST2が−X方向に駆動され、計測ステーション300内に移動する。
【0123】
f. その後、粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS1上の第2基準マークの検出、微動ステージWFS1上のウエハWのアライメント等が、前述と同様の手順で行われる。そして、主制御装置20により、ウエハアライメントの結果から得られるウエハW上の各ショット領域の配列座標が、第2基準マークを基準とし、かつX座標とY座標とを入れ替えた座標変換後の配列座標に変換される。この場合も、微動ステージ位置計測系70Bを用いて、アライメントの際の微動ステージWFS1の位置計測が行われる。図28には、微動ステージWFS1上のウエハWのアライメントが行われている状態が示されている。
【0124】
図28に示される状態は、前述の図12に示される状態と同様、すなわち露光ステーション200にある微動ステージWFS2に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、計測ステーション300にある微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている最中の状態である。
【0125】
以降、主制御装置20により、微動ステージWFS1、WFS2を順次用いて、前述と同様の並行処理が、繰り返し行われ、複数枚のウエハWに対する露光処理が連続して行われる。
【0126】
《並行処理動作(その2)》
次に、本実施形態の露光装置100において、2つの微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理動作(その2)について、説明する。
【0127】
図12には、微動ステージWFS1が露光ステーション200にあり、その微動ステージWFS1に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、微動ステージWFS2が計測ステーション300にあり、その微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている状態が示されている。
【0128】
この場合、微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了する。次いで、主制御装置20は、図29中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を保持する粗動ステージWCS2(ウエハステージWST2)を+X方向に駆動して、センターテーブル130の位置に移動させる。これにより、粗動ステージWCS2により、微動ステージWFS2がセンターテーブル130の真上に搬送される。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態となる。
【0129】
次いで、主制御装置20は、図30中に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST2を、時計回りに90度回転させる。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態で、センターテーブル130の軸を中心として回転する。その結果、ウエハステージWST2は、図31に示されるように、−Y方向を向く(図32(A)参照)。
【0130】
次に、主制御装置20は、図32(A)中に白抜き矢印で示されるように、センターテーブル130の駆動装置132を介してテーブル本体136を上方に駆動して、下方から微動ステージWFS2を支持させる。
【0131】
そして、この状態で、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図33に示されるように、粗動ステージWCS2を、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離する。これにより、微動ステージWFS2が粗動ステージWCS2から離脱可能となる。そこで、主制御装置20は、図32(B)中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を支持しているテーブル本体136を下方に駆動する。そして、主制御装置20は、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとを、図34中に白抜き矢印で示されるように、相互に接近する方向に駆動して両部分を合体後、不図示のロック機構をロックする。この状態で、主制御装置20は、微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光が終了するまで待機する。
【0132】
露光の終了後、主制御装置20は、先に図14〜図17を用いて説明したような手順で、ウエハステージWST1と可動ブレードBLとを駆動して、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しを行う。そして、主制御装置20は、図32(C)及び図34中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1をさらに+Y方向に駆動して、粗動ステージWCS2に近接させる(ほぼ接触させる)。次いで、主制御装置20は、図32(C)及び図34中に黒塗り矢印で示されるように、微動ステージWFS1を+Y方向に駆動して、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1から粗動ステージWCS2に移載(スライド移動)するとともに、粗動ステージWCS1及びWCS2を+Y方向に駆動して、図32(D)及び図35に示される位置、すなわち粗動ステージWCS1の内部空間にセンターテーブル130が収容される位置まで移動させる。
【0133】
次いで、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図36に示されるように、粗動ステージWCS1を、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離した後、微動ステージWFS2を支持しているテーブル本体136を所定量上方に駆動する。これにより、微動ステージWFS2が、粗動ステージWCS1により支持可能となる高さの位置に移動する。そして、主制御装置20は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとを、図37中に白抜き矢印で示されるように、相互に接近する方向に駆動して両部分を合体後、不図示のロック機構をロックする。これにより、粗動ステージWCS1により微動ステージWFS2が支持される。
【0134】
次いで、主制御装置20は、微動ステージWFS2を支持した粗動ステージWCS1を、図37中に白抜き矢印で示されるように、投影光学系PLに向かって−Y方向に移動させ、その移動の途中で、可動ブレードBLから微動ステージWFS2に、先端レンズ191との間で保持されている液浸空間を渡す。この液浸空間(液体Lq)の受け渡しは、前述した微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸領域の受け渡しと逆の手順で行われる。
【0135】
そして、主制御装置20は、露光開始に先立って、前述の一対のレチクルアライメント系RA1、RA2、及び微動ステージWFS2の計測プレート86上の一対の第1基準マークなどを用いて、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順(例えば、米国特許第5,646,413号明細書などに開示される手順)で、レチクルアライメントを行う。主制御装置20は、レチクルアライメントの結果と先に実行済みのウエハアライメントの結果(第2基準マークを基準とし、かつX座標とY座標とを入れ替えた座標変換後のウエハW上の各ショット領域の配列座標)とに基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を行い、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。
【0136】
上記の液浸空間の受け渡し、レチクルアライメント及び露光と並行して、以下のg.〜m.のような動作が行われている。
【0137】
g. すなわち、主制御装置20により、図37に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を支持した粗動ステージWCS1の−Y方向に駆動と並行して、微動ステージWFS1を支持した粗動ステージWCS2が−Y方向に駆動され、微動ステージWFS1がセンターテーブル130の真上に搬送される。図38には、このときの露光装置100の状態が平面図にて示されている。次いで、主制御装置20によって、テーブル本体136が上方に駆動される。これにより、センターテーブル130(テーブル本体136)によって微動ステージWFS1が下方から支持される。
【0138】
h. 次に、主制御装置20によって、不図示のロック機構が解除され、図39に示されるように、粗動ステージWCS2が、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離される。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS2から離脱可能となる。粗動ステージWCS2の分離と並行して、主制御装置20により、ロボットアーム140が図39中に黒塗り矢印で示されるように−Y方向に駆動され、微動ステージWFS1を支持するテーブル本体136の下方に移動される。
【0139】
i. 次に、主制御装置20により、微動ステージWFS1を支持しているテーブル本体136が下方に駆動される。これにより、微動ステージWFS1が、センターテーブル130(テーブル本体136)からロボットアーム140に受け渡される。次いで、主制御装置20により、図40中に黒塗り矢印で示されるように、ロボットアーム140が+Y方向に駆動され、微動ステージWFS1がウエハ交換位置ULP/LPに搬送される。図40には、微動ステージWFS1が、ウエハ交換位置ULP/LPに搬送された状態が示されている。
【0140】
j. 次に、不図示のアンロードアーム及びロードアームによって、微動ステージWFS1上の露光済みのウエハWが、露光前の新たなウエハWに交換される。図41には、ウエハ交換が完了した状態が示されている。
【0141】
k. 次に、主制御装置20により、図42中に黒塗り矢印で示されるように、ロボットアーム140が−Y方向に駆動され、新たなウエハWがロードされた微動ステージWFS1が、センターテーブル130(テーブル本体136)の上方に搬送される。次いで、主制御装置20により、テーブル本体136が上方に駆動される。これにより、微動ステージWFS1が、ロボットアーム140からセンターテーブル130に受け渡される。
【0142】
l. その後、主制御装置20により、テーブル本体136がさらに上方に駆動され、微動ステージWFS1が、粗動ステージWCS2により支持可能となる高さの位置に位置決めされる。次いで、主制御装置20により、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが、図43中に白抜き矢印で示されるように、相互に接近する方向に駆動されて、両部分が合体された後、不図示のロック機構がロックされる。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS2に装着される。その後、主制御装置20により、テーブル本体136の下降駆動、及びロボットアーム140の+Y方向への移動(退避)が行われる(図43中の黒塗り矢印参照)。
【0143】
m. 次いで、主制御装置20により、前述のe.及びf.と同様の処理が行われる。すなわち、主制御装置20により、ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)が、反時計回りに90度回転させられた後、計測ステーション300へ移動させられ、粗動ステージWCS2に支持されている微動ステージWFS1上の新たなウエハWに対するアライメントが実行される。
【0144】
以降、主制御装置20により、微動ステージWFS1、WFS2を順次用いて、前述と同様の並行処理が、繰り返し行われ、複数枚のウエハWに対する露光処理が連続して行われる。
【0145】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、投影光学系PL等を備える露光ステーション200とアライメント装置99等を備える計測ステーション300とが、それぞれの基準軸LV,LHが直交するように、配置されている。すなわち、露光ステーション200内に備えられる計測アーム71Aの長手方向と計測ステーション300内に備えられる計測アーム71Bの長手方向とが直交する。さらに、露光ステーション200と計測ステーション300とのそれぞれから離間する基準軸LV,LHの交点上に、粗動ステージWCS1,WCS2間で微動ステージWFS1,WFS2をリレーするためのセンターテーブル130が設置されている。このように露光ステーション200と計測ステーション300とを直交配置することにより、ツインステージ方式の露光装置100のフットプリントの狭小化を図ることが可能となる。
【0146】
また、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置20は、露光ステーション200において露光が行われたウエハWを保持する微動ステージ(WFS1又はWFS2)を、粗動ステージWCS1からセンターテーブル130のテーブル本体136に渡し、ロボットアーム140により、テーブル本体136上の微動ステージをウエハ交換位置ULP/LPに搬送することができる。また、主制御装置20は、露光ステーション200において露光が行われたウエハWを保持する微動ステージ(WFS1又はWFS2)を、粗動ステージWCS1から粗動ステージWCS2に移載し、粗動ステージWCS2からセンターテーブル130のテーブル本体136に渡し、ロボットアーム140により、テーブル本体136上の微動ステージをウエハ交換位置ULP/LPに搬送することができる。いずれにしても、露光ステーション200と計測ステーション300とを結ぶ経路から外れた位置にあるウエハ交換位置ULP/LPに、露光済みのウエハWを保持する微動ステージが搬送された後に露光済みのウエハを新たなウエハに交換するウエハ交換が行われる。従って、1つの微動ステージ上に保持されたウエハに対する露光動作と少なくとも一部並行して、ウエハ交換を、ウエハ交換位置ULP/LPで行うことが可能となり、スループットを殆ど低下させることなく、ウエハ処理を実現することが可能である。
【0147】
また、本実施形態の露光装置100によると、微動ステージWFS1,WFS2のXY平面に実質的に平行な一面にグレーティングRGが形成された計測面がそれぞれ設けられている。微動ステージWFS1(又はWFS2)が、粗動ステージWCS1(又はWCS2)により、XY平面に沿って相対移動可能に保持される。そして、微動ステージ位置計測系70A(又は70B)が、粗動ステージWCS1の空間部内にグレーティングRGが形成された計測面に対向して配置され、計測面に一対の計測ビームをそれぞれ照射し、該計測ビームの計測面からの光(例えば各計測ビームのグレーティングRGによる一次回折ビームの合成ビームLBx12、LBya12、LByb12)を受光するXヘッド77x、Yヘッド77ya,77ybを有している。そして、微動ステージ位置計測系70A(又は70B)により、そのXヘッド77x、Yヘッド77ya,77ybの出力に基づいて微動ステージWFS1(又はWFS2)の少なくともXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)が計測される。このため、微動ステージWFS1(又はWFS2)のグレーティングRGが形成された計測面にXヘッド77x、Yヘッド77ya,77ybから一対の計測ビームをそれぞれ照射して、いわゆる裏面計測により微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報を精度良く計測することが可能となる。そして、主制御装置20により、微動ステージ駆動系52A(及び粗動ステージ駆動系51A)(又は微動ステージ駆動系52B(及び粗動ステージ駆動系51B))を介して、微動ステージ位置計測系70A(又は70B)で計測された位置情報に基づいて、微動ステージWFS1(又はWFS2)が、単独で若しくはWCS1(又はWCS2)と一体で駆動される。また、上述の如く、微動ステージ上に上下動部材を設ける必要がないので、上記の裏面計測を採用しても特に支障は生じない。
【0148】
また、本実施形態の露光装置100によると、露光ステーション200において、粗動ステージWCS1に相対移動可能に保持された微動ステージWFS1(又はWFS2)上に載置されたウエハWがレチクルR及び投影光学系PLを介して露光光ILで露光される。この際、粗動ステージWCS1に移動可能に保持されている微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報は、主制御装置20により、微動ステージWFS1(又はWFS2)に配置されたグレーティングRGに対向する計測アーム71Aを有する微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73を用いて計測される。この場合、粗動ステージWCS1には、その内部に空間部が形成され、微動ステージ位置計測系70Aの各ヘッドは、この空間部内に配置されているので、微動ステージWFS1(又はWFS2)と微動ステージ位置計測系70Aの各ヘッドとの間には、空間が存在するのみである。従って、各ヘッドを微動ステージWFS1(又はWFS2)(グレーティングRG)に近接して配置することができ、これにより、微動ステージ位置計測系70Aによる微動ステージ(又はWFS2)の位置情報の高精度な計測が可能になる。また、この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51A及び/又は微動ステージ駆動系52Aを介した微動ステージWFS1(又はWFS2)の高精度な駆動が可能になる。
【0149】
また、この場合、計測アーム71Aから射出される、微動ステージ位置計測系70Aを構成するエンコーダシステム73、レーザ干渉計システム75の各ヘッドの計測ビームのグレーティングRG上の照射点は、ウエハWに照射される露光光ILの照射領域(露光領域)IAの中心(露光位置)に一致している。従って、主制御装置20は、いわゆるアッベ誤差の影響を受けることなく、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を高精度に計測することができる。また、計測アーム71AをグレーティングRGの直下に配置することによって、エンコーダシステム73の各ヘッドの計測ビームの大気中の光路長を極短くできるので、空気揺らぎの影響が低減され、この点においても、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を高精度に計測することができる。
【0150】
また、本実施形態では、計測ステーション300には、微動ステージ位置計測系70Aと同様に構成された微動ステージ位置計測系70Bが設けられている。そして、計測ステーション300において、粗動ステージWCS2に保持された微動ステージWFS2(又はWFS1)上のウエハWに対するウエハアライメントがアライメント系AL1、AL21〜AL24などによって行われる際、粗動ステージWCS2に移動可能に保持されている微動ステージWFS2(又はWFS1)のXY平面内の位置情報が、微動ステージ位置計測系70Bによって高精度に計測される。この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51B及び/又は微動ステージ駆動系52Bを介した微動ステージWFS2(又はWFS1)の高精度な駆動が可能になる。
【0151】
従って、例えば、そのウエハWを照明光ILで露光することで、そのウエハWの全面に渡ってパターンを精度良く形成することが可能になる。
【0152】
また、本実施形態の露光装置100によると、微動ステージWFS1(又はWFS2)を精度良く駆動することができるので、この微動ステージWFS1(又はWFS2)に載置されたウエハWをレチクルステージRST(レチクルR)に同期して精度良く駆動し、走査露光により、レチクルRのパターンをウエハW上に精度良く転写することが可能になる。
【0153】
なお、上記実施形態の露光装置100では、露光ステーション200と計測ステーション300とを直交配置する構成を採用したが、これに限らず、基準軸LV,LHが90度以外の角度で交差するように配置する構成を採用することも可能である。これによっても、基準軸LV,LHが平行する露光ステーション200と計測ステーション300との配置に対して、フットプリントの小さいツインステージ方式の露光装置を構成することが可能となる。
【0154】
また、上記実施形態の露光装置100では、ウエハ交換位置ULP/LPを、露光ステーション200とセンターテーブル130との結ぶ基準軸LVの延長上に配置したが、これに限らず、例えば、計測ステーション300とセンターテーブル130との結ぶ基準軸LHの延長上に配置することも可能である。
【0155】
なお、上記実施形態の露光装置100では、ウエハステージWST2が、すなわち微動ステージWFS1,WFS2を支持する粗動ステージWCS2がセンターテーブル130の位置にて回転して、微動ステージWFS1,WFS2の向きを変える構成を採用したが、これに限らず、センターテーブル130(テーブル本体136)を、軸134を中心として回動(若しくは回転)可能に構成し、テーブル本体136が微動ステージWFS1,WFS2を支持して回転することにより、微動ステージWFS1,WFS2の向きを変える構成を採用することも可能である。この場合、一例として、アライメントが終了したウエハWを保持する微動ステージWFS2を、粗動ステージWCS2から、粗動ステージWCS1に受け渡す場合には、次のような手順の処理が行われることとすることができる。
【0156】
まず、図44に示されるように、主制御装置20により、粗動ステージWCS1(第1部分WCS1aと第2部分WCS1b)が、ウエハステージWST2の移動経路から退避させられた後、センターテーブル130が図44中に白抜き矢印で示されるように、反時計回りに90度回転させられる。図44には、回転前の状態が仮想線で示されている。次いで、主制御装置20により、待機位置で待機しているウエハステージWST2が、図44中に白抜き矢印で示されるように、+X方向に駆動され、図45に示される位置(センターテーブル130の位置)に移動する。これにより、粗動ステージWCS2により、微動ステージWFS2がセンターテーブル130の真上に搬送される。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態となる。
【0157】
次いで、主制御装置20により、テーブル本体136が上方に駆動され、センターテーブル130(テーブル本体136)によって微動ステージWFS2が下方から支持される。次に、主制御装置20により、不図示のロック機構が解除され、図46に示されるように、粗動ステージWCS2が第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離される。その後、主制御装置20により、図47中に白抜き矢印で示されるように、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが、計測ステーション300に向けて駆動され、退避させられる。次いで、主制御装置20により、図47中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を下方から支持したセンターテーブル130が、時計回りに90度回転させられて、もとの状態に戻される。
【0158】
その後、主制御装置20により、粗動ステージWCS1が、図47中に黒塗り矢印で示されるように、センターテーブル130の位置に向けて駆動される。このとき、センターテーブル130の高さが適切に調整されることで、粗動ステージWCS1の移動により、微動ステージWCS2が、センターテーブル130から粗動ステージWCS1に装着される。このようして、アライメントが終了したウエハWを保持する微動ステージWFS2が、粗動ステージWCS2から、センターテーブル130を介して、粗動ステージWCS1に受け渡される。その他の場合も、センターテーブル130の回転、上下動、及び粗動ステージWCS1又はWCS2の分離との適宜な組み合わせで、微動ステージWFS1又はWFS2のセンターテーブル130を介した受け渡しが行われることとなる。
【0159】
なお、上記実施形態におけるセンターテーブル130上の微動ステージの搬出入に着目すれば、露光済みのウエハWを保持する微動ステージがセンターテーブル130上から主制御装置20の制御下にあるロボットアーム140によって搬出され、新たなウエハWを保持する微動ステージがロボットアーム140によってセンターテーブル130上に搬入されている。従って、ロボットアーム140によってウエハWは微動ステージと一体で交換されているとも言える。なお、微動ステージが3つ以上ある場合には、ウエハWと微動ステージとを、別の微動ステージと別のウエハとに交換することができる。
【0160】
なお、上記実施形態では、微動ステージ位置計測系70A,70Bが、全体が例えばガラスによって形成され、内部を光が進行可能な計測アーム71A,71Bを備える場合を説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、計測アームは、少なくとも前述の各レーザビームが進行する部分が、光を透過可能な中実な部材によって形成されていれば良く、その他の部分は、例えば光を透過させない部材であっても良いし、中空構造であっても良い。また、例えば計測アームとしては、グレーティングに対向する部分から計測ビームを照射できれば、例えば計測アームの先端部に光源や光検出器等を内蔵していても良い。この場合、計測アームの内部にエンコーダの計測ビームを進行させる必要は無い。
【0161】
また、計測アームは、各レーザビームが進行する部分(ビーム光路部分)が中空などでも良い。あるいは、エンコーダシステムとして、格子干渉型のエンコーダシステムを採用する場合には、回折格子が形成される光学部材を、セラミックス又はインバーなどの低熱膨張性のアームに設けるだけでも良い。これは、特にエンコーダシステムでは、空気揺らぎの影響を極力受けないように、ビームが分離している空間が極めて狭く(短く)なっているからである。さらに、この場合、温度制御した気体を、微動ステージ(ウエハホルダ)と計測アームとの間(及びビーム光路)に供給して温度安定化を図っても良い。さらに、計測アームは、その形状は特に問わない。また、微動ステージ位置計測系70A,70Bは、必ずしも、計測アームを備えている必要はなく、粗動ステージWCS1,WCS2の空間部内にグレーティングRGに対向して配置され、該グレーティングRGに少なくとも1本の計測ビームを照射し、該計測ビームのグレーティングRGからの回折光を受光するヘッドを有し、該ヘッドの出力に基づいて微動ステージWFS1(又はWFS2)の少なくともXY平面内の位置情報を計測できれば足りる。
【0162】
また、上記実施形態では、エンコーダシステム73が、Xヘッドと一対のYヘッドとを備える場合について例示したが、これに限らず、例えばX軸方向及びY軸方向の2方向を計測方向とする二次元ヘッド(2Dヘッド)を、1つ又は2つ設けても良い。2Dヘッドを2つ設ける場合には、それらの検出点がグレーティング上で露光位置を中心として、X軸方向に同一距離離れた2点になるようにしても良い。
【0163】
なお、微動ステージ位置計測系70Aは、レーザ干渉計システム75を備えることなく、エンコーダシステム73のみで微動ステージの6自由度方向に関する位置情報を計測できるようにしても良い。この場合、例えばX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダを用いることができる。例えば、2次元のグレーティングRG上の同一直線上に無い3つの計測点に、X軸方向とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダと、Y軸方向とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダとを含む合計3つのエンコーダから計測ビームを照射し、グレーティングRGからのそれぞれの戻り光を受光することで、グレーティングRGが設けられた移動体の6自由度方向の位置情報を計測することとすることができる。また、エンコーダシステム73の構成は上記実施形態に限られないで任意で構わない。
【0164】
なお、上記実施形態では、微動ステージの上面、すなわちウエハに対向する面にグレーティングが配置されているものとしたが、これに限らず、グレーティングは、ウエハを保持するウエハホルダに形成されていても良い。この場合、露光中にウエハホルダが膨張したり、微動ステージに対する装着位置がずれたりした場合であっても、これに追従してウエハホルダ(ウエハ)の位置を計測することができる。また、グレーティングは、微動ステージの下面に配置されていても良く、この場合、エンコーダヘッドから照射される計測ビームが微動ステージの内部を進行しないので、微動ステージを光が透過可能な中実部材とする必要がなく、微動ステージを中空構造にして内部に配管、配線等を配置することができ、微動ステージを軽量化できる。
【0165】
なお、上記実施形態では、微動ステージWFS1,WFS2は、全6自由度方向に駆動可能であったが、これに限らず少なくともXY平面に平行な二次元平面内を移動できれば良い。また、微動ステージWFS1,WFS2は、粗動ステージWCS1,WCS2に接触支持されていても良い。従って、微動ステージを粗動ステージ又はリレーステージに対して駆動する微動ステージ駆動系は、例えばロータリモータとボールねじ(又は送りねじ)とを組み合わせたものであっても良い。
【0166】
なお、ウエハステージの移動範囲全域でその位置計測が可能となるように微動ステージ位置計測系を構成しても良い。この場合にはウエハステージ位置計測系16が不要になる。また、上記実施形態において、ベース盤12をウエハステージの駆動力の反力の作用により移動可能なカウンタマスとしても良い。この場合、粗動ステージをカウンタマスとして使用してもしなくても良いし、粗動ステージを上記実施形態と同様にカウンタマスとして使用するときでも粗動ステージを軽量化することができる。
【0167】
なお、上記実施形態では、計測ステーション300において、ウエハWに対する計測の一例としてアライメントマーク計測(ウエハアライメント)が行われるものとしたが、これに加えて(あるいはこれに代えて)ウエハW表面の投影光学系PLの光軸AX方向の位置を計測する面位置計測が行われても良い。この場合、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されるように、面位置計測と同時に、ウエハを保持する微動ステージの上面の面位置計測を行い、これらの結果を用いて、露光時のウエハWのフォーカス・レベリング制御を行っても良い。
【0168】
なお、上記実施形態では、露光装置が液浸型の露光装置である場合について説明したが、これに限られるものではなく、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも本発明は好適に適用することができる。
【0169】
なお、上記実施形態では、スキャニング・ステッパに本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置をエンコーダで計測することにより、干渉計を用いてこのステージの位置を計測する場合と異なり、空気揺らぎに起因する位置計測誤差の発生を殆ど零にすることができ、エンコーダの計測値に基づいて、ステージを高精度に位置決めすることが可能になり、結果的に高精度なレチクルパターンの物体上への転写が可能になる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置にも本発明は適用することができる。
【0170】
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、この投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
【0171】
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0172】
また、本発明の露光装置では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置に本発明を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
【0173】
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。かかる可変成形マスクを用いる場合には、ウエハ又はガラスプレート等が搭載されるステージが、可変成形マスクに対して走査されるので、このステージの位置をエンコーダシステム及びレーザ干渉計システムを用いて計測することで、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0174】
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0175】
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
【0176】
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
【0177】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0178】
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置により前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0179】
以上説明したように、本発明の露光装置は、エネルギビームを物体上に照射して物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、電子デバイスを製造するのに適している。
【符号の説明】
【0180】
20…主制御装置、70A,70B…微動ステージ位置計測系、71A,71B…計測アーム、RG…グレーティング、77x…Xヘッド、77ya、77yb…Yヘッド、100…露光装置、130…センターテーブル、132…駆動装置、134…駆動軸、136…テーブル本体、140…ロボットアーム、200…露光ステーション、300…計測ステーション、AL1,AL21〜AL24…アライメント系、W…ウエハ、WCS1,WCS2…粗動ステージ、WFS1,WFS2…微動ステージ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及びデバイス製造方法に係り、特に、半導体素子等の電子デバイスを製造するリソグラフィ工程で用いられる露光装置及び該露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を製造するリソグラフィ工程では、主として、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(いわゆるステッパ)、あるいはステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが用いられている。
【0003】
この種の露光装置で用いられる、露光対象となるウエハ又はガラスプレート等の基板は、次第に(例えばウエハの場合、10年おきに)大型化している。現在は、直径300mmの300mmウエハが主流となっているが、今や直径450mmの450mmウエハ時代の到来が間近に迫っている。450mmウエハに移行すると、1枚のウエハから採れるダイ(チップ)の数が現行の300mmウエハの2倍以上となり、コスト削減に貢献する。加えて、エネルギ、水、その他のリソースの効率的な利用により、1チップにかかるすべてのリソース使用を減少させられるものと期待されている。
【0004】
一方、ウエハのサイズが450mmにもなると、1枚のウエハから採れるダイ(チップ)の数が多くなる分、1枚のウエハの露光処理に要する時間が増加するおそれがある。そこで、スループットを極力向上させるため、1つのウエハステージ上のウエハに対する露光処理と、別のウエハステージ上でのウエハ交換、アライメントなどの処理とを、並行して行う、ツインステージ方式(例えば特許文献1〜3等参照)の採用が考えられる。しかし、従来の構成のツインステージ方式の露光装置において450mmウエハを導入すると、ウエハステージの大型化により、装置のフットプリント(占有床面積)が相当大きくなり、クリーンルームスペースの利用効率の低下を招き、ランニングコストが高くなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,590,634号明細書
【特許文献2】米国特許第5,969,441号明細書
【特許文献3】米国特許第6,208,407号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、物体にエネルギビームを照射する露光が行われる露光位置の近傍の第1領域内で、前記物体を保持する保持部材を相対駆動可能に支持して、互いに交差する第1及び第2軸を含む二次元平面内で移動する第1移動体と;前記第1軸に平行な方向に延びる第1アーム部材の一部から前記第1移動体に支持された前記保持部材の計測面に計測ビームを照射し、前記計測面からの戻り光を受光することによって、前記第1移動体に支持された前記保持部材の位置情報を計測する第1位置計測系と;前記物体に対する所定計測が行われる計測位置の近傍の第2領域内で、前記保持部材を相対駆動可能に支持して、前記二次元平面内で移動する第2移動体と;前記第2軸に平行な方向に延びる第2アーム部材の一部から前記第2移動体に支持された前記保持部材の計測面に計測ビームを照射し、前記計測面からの戻り光を受光することによって、前記第2移動体に支持された前記保持部材の位置情報を計測する第2位置計測系と;前記第1アーム部材の中心軸の延長線と前記第2アーム部材の中心軸の延長線との交点の近傍の所定位置に配置され、前記第1移動体と前記第2移動体との間で受け渡される前記保持部材が一時的に載置されるリレー部材を含み、前記保持部材を前記第1、第2移動体間でリレーするリレー系と;を備える露光装置が、提供される。
【0007】
これによれば、フットプリントを狭小化したツインステージ方式の露光装置を提供することが可能になる。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、本発明の露光装置により物体を露光することと;露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態の露光装置を示す概略平面図である。
【図2】図1の露光装置を+X側から見た概略側面図である。
【図3】図1の露光装置を+Y側から見た概略側面図である。
【図4】センターテーブル近傍を拡大して示す図である。
【図5】可動ブレードについて説明するための図である。
【図6】図6(A)は、ウエハステージを示す−Y方向から見た側面図、図6(B)は、ウエハステージを示す平面図である。
【図7】図7(A)は、粗動ステージを取り出して示す平面図、図7(B)は、粗動ステージが2部分に分離した状態を示す平面図である。
【図8】粗動ステージが分離した状態を示すウエハステージの正面図である。
【図9】図9(A)は、Xヘッド77xの概略構成を示す図、図9(B)は、Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの計測アーム内での配置を説明するための図である。
【図10】図1の露光装置が備える主制御装置の入出力関係を示すブロック図である。
【図11】図11(A)は、スキャン露光時のウエハの駆動方法を説明するための図、図11(B)は、ステッピング時のウエハの駆動方法を説明するための図である。
【図12】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1、第2の並行処理について説明するための図(その1)である。
【図13】図13(A)〜図13(D)は、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その2〜その5)である。
【図14】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その1)である。
【図15】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その2)である。
【図16】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その3)である。
【図17】微動ステージと可動ブレードとの間で行われる液浸空間(液体Lq)の受け渡しについて説明するための図(その4)である。
【図18】図13(B)の状態に対応する平面図である。
【図19】図13(C)の状態に対応する平面図である。
【図20】図13(D)の状態に対応する平面図である。
【図21】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その6)である。
【図22】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その7)である。
【図23】図23(A)〜図23(C)は、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その8〜その10)である。
【図24】図23(A)の状態に対応する平面図である。
【図25】図23(B)の状態に対応する平面図である。
【図26】図23(C)の状態に対応する平面図である。
【図27】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その11)である。
【図28】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第1の並行処理について説明するための図(その12)である。
【図29】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その2)である。
【図30】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その3)である。
【図31】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その4)である。
【図32】図32(A)〜図32(D)は、微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その5〜その8)である。
【図33】図32(B)の状態に対応する平面図である。
【図34】図32(C)の状態に対応する平面図である。
【図35】図32(D)の状態に対応する平面図である。
【図36】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その9)である。
【図37】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その10)である。
【図38】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その11)である。
【図39】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その12)である。
【図40】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その13)である。
【図41】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その14)である。
【図42】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その15)である。
【図43】微動ステージWFS1及びWFS2を用いて行われる第2の並行処理について説明するための図(その16)である。
【図44】センターテーブルを回転可能に構成した変形例における微動ステージ受け渡し手順を説明するための図(その1)である。
【図45】変形例における微動ステージ受け渡し手順を説明するための図(その2)である。
【図46】変形例における微動ステージ受け渡し手順を説明するための図(その3)である。
【図47】変形例における微動ステージ受け渡し手順を説明するための図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図43に基づいて説明する。
【0011】
図1には、一実施形態の露光装置100の概略的な平面図が示され、図2には、図1の露光装置100を+X側から見た概略側面図が示され、図3には、+Y側から見た概略側面図が示されている。露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置、いわゆるスキャナである。後述するように、本実施形態では、投影光学系PLが設けられており、以下においては、この投影光学系PLの光軸AXと平行な方向をZ軸方向、これに直交する面内でレチクルとウエハとが相対走査される方向をY軸方向、Z軸及びY軸に直交する方向をX軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向とする。
【0012】
露光装置100は、図1に示されるように、平面視(上方から見て)L字状のベース盤12を有し、ベース盤12上の−Y側端部近傍に配置された露光ステーション(露光処理部)200、ベース盤12上の−X側端部近傍に配置された計測ステーション(計測処理部)300、ベース盤12上の屈曲部(+Y側端部かつ+X側端部)近傍に配置されたセンターテーブル130、2つのウエハステージWST1,WST2、及びこれらの制御系等を、備えている。ここで、ベース盤12は、床面上に防振機構(図示省略)によってほぼ水平に(XY平面に平行に)支持されている。ベース盤12は、平板状の部材から成り、その上面は平坦度が非常に高く仕上げられ、ウエハステージWST1,WST2の移動の際のガイド面とされている。センターテーブル130は、投影光学系PLの光軸AXと直交するY軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LV上で光軸AXから所定距離+Y側に離れた点にその中心が位置している。
【0013】
露光ステーション200は、照明系10、レチクルステージRST、投影ユニットPU及び局所液浸装置8等を備えている。
【0014】
照明系10は、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示されるように、光源と、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、及びレチクルブラインド等(いずれも不図示)を有する照明光学系と、を含む。照明系10は、レチクルブラインド(マスキングシステムとも呼ばれる)で規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域IARを、照明光(露光光)ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとして、一例として、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0015】
レチクルステージRST上には、そのパターン面(図2における下面)に回路パターンなどが形成されたレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系11(図2では不図示、図10参照)によって、XY平面内で微小駆動可能であるとともに、走査方向(図2における紙面内左右方向であるY軸方向)に所定の走査速度で駆動可能となっている。
【0016】
レチクルステージRSTのXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)は、レチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)13によって、レチクルステージRSTに固定された移動鏡15を介して、例えば0.25nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計13の計測値は、主制御装置20(図2では不図示、図10参照)に送られる。なお、例えば米国特許出願公開第2007/0288121号明細書などに開示されているように、エンコーダシステムによってレチクルステージRSTの位置情報を計測しても良い。
【0017】
投影ユニットPUは、レチクルステージRSTの図2における下方(−Z側)に配置されている。投影ユニットPUは、不図示の支持部材によって水平に支持されたメインフレーム(メトロロジーフレームとも呼ばれる)BDによってその外周部に設けられたフランジ部FLGを介して支持されている。投影ユニットPUは、鏡筒40と、鏡筒40内に保持された複数の光学素子から成る投影光学系PLと、を含む。投影光学系PLとしては、例えば、両側テレセントリックで、所定の投影倍率(例えば1/4倍、1/5倍又は1/8倍など)を有する屈折光学系が用いられている。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルR上の照明領域IARが照明されると、投影光学系PLの第1面(物体面)とパターン面がほぼ一致して配置されるレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PL(投影ユニットPU)を介してその照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が、投影光学系PLの第2面(像面)側に配置される、表面にレジスト(感応剤)が塗布されたウエハW上で前記照明領域IARに共役な領域(以下、露光領域とも呼ぶ)IAに形成される。そして、レチクルRを保持するレチクルステージRSTとウエハWを保持するウエハ微動ステージ(以下、微動ステージと略述する)WFS1(又はWFS2)との同期駆動によって、照明領域IAR(照明光IL)に対してレチクルRを走査方向(Y軸方向)に相対移動させるとともに、露光領域IA(照明光IL)に対してウエハWを走査方向(Y軸方向)に相対移動させることで、ウエハW上の1つのショット領域(区画領域)の走査露光が行われ、そのショット領域にレチクルRのパターンが転写される。すなわち、本実施形態では照明系10、及び投影光学系PLによってウエハW上にレチクルRのパターンが生成され、照明光ILによるウエハW上の感応層(レジスト層)の露光によってウエハW上にそのパターンが形成される。本実施形態では、投影ユニットPUを支持するメインフレームBDが、それぞれ防振機構を介して設置面(床面など)に配置される複数(例えば3つ又は4つ)の支持部材によってほぼ水平に支持されている。なお、その防振機構は各支持部材とメインフレームBDとの間に配置しても良い。また、例えば国際公開第2006/038952号に開示されているように、投影ユニットPUの上方に配置される不図示のメインフレーム部材、あるいはレチクルベースなどに対して投影ユニットPUを吊り下げ支持しても良い。
【0018】
局所液浸装置8は、液体供給装置5、液体回収装置6(いずれも図2では不図示、図10参照)、及びノズルユニット32等を含む。ノズルユニット32は、図2に示されるように、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子、ここではレンズ(以下、「先端レンズ」ともいう)191を保持する鏡筒40の下端部周囲を取り囲むように不図示の支持部材を介して、投影ユニットPU等を支持するメインフレームBDに吊り下げ支持されている。本実施形態では、主制御装置20が液体供給装置5(図10参照)を制御して、ノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間に液体を供給するとともに、液体回収装置6(図10参照)を制御して、ノズルユニット32を介して先端レンズ191とウエハWとの間から液体を回収する。このとき、主制御装置20は、供給される液体の量と回収される液体の量とが常に等しくなるように、液体供給装置5と液体回収装置6を制御する。従って、先端レンズ191とウエハWとの間には、一定量の液体Lq(図2参照)が常に入れ替わって保持される。本実施形態では、上記の液体として、ArFエキシマレーザ光(波長193nmの光)が透過する純水を用いるものとする。
【0019】
この他、露光ステーション200には、メインフレームBDから支持部材72Aを介してほぼ片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Aを含む微動ステージ位置計測系70Aが設けられている。ただし、微動ステージ位置計測系70Aについては、説明の便宜上、後述する微動ステージについての説明の後に、説明する。
【0020】
計測ステーション300は、図3に示されるように、メインフレームBDに吊り下げ状態で固定されたアライメント装置99と、メインフレームBDに支持部材72Bを介して片持ち状態で支持された(一端部近傍が支持された)計測アーム71Bを含む微動ステージ位置計測系70Bと、を備えている。微動ステージ位置計測系70Bは、前述の微動ステージ位置計測系70Aとは、その向きが異なる(直交している)が同様に構成されている。
【0021】
アライメント装置99は、図1に示されるように、プライマリアライメント系AL1と、4つのセカンダリアライメント系AL21〜AL24を含む。これをさらに詳述すると、プライマリアライメント系AL1は、センターテーブル130の中心で基準軸LVと直交するX軸に平行な直線(以下、基準軸と呼ぶ)LH上で基準軸LVから所定距離−Y側に所定距離離れた位置に検出中心が配置されている。プライマリアライメント系AL1の検出中心を挟んで、Y軸方向の一側と他側に、基準軸LHに関してほぼ対称にセカンダリアライメント系AL21,AL22と、AL23,AL24との検出中心がそれぞれ配置されている。すなわち、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24はその検出中心がY軸方向に沿って配置されている。セカンダリアライメント系AL21,AL22,AL23,AL24は、XY平面内で移動可能な保持装置(スライダ)に保持されている。アライメント系AL1、AL21〜AL24のそれぞれとしては、画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系が用いられている。アライメント系AL1、AL21〜AL24からの撮像信号は、主制御装置20に供給されるようになっている(図10参照)なお、図3では、5つのアライメント系AL1,AL21〜AL24及びこれらを保持する保持装置(スライダ)を含んでアライメント装置99として示されている。なお、アライメント装置99の詳細構成は、例えば米国特許出願公開第2009/0233234号明細書に開示されている。
【0022】
センターテーブル130は、図4に示されるように、ベース盤12の内部に配置された駆動装置132と、該駆動装置132によって上下に駆動される軸134と、軸134の上端に固定された平面視X字形のテーブル本体136とを備えている。センターテーブル130の駆動装置132は、主制御装置20によって制御される(図10参照)。
【0023】
本実施形態の露光装置100は、テーブル本体136に載置された微動ステージWFS1又はWFS2を、ウエハ交換のため、アンローディングポジション兼ローディングポジション、すなわちウエハ交換位置ULP/LPに搬送するロボットアーム140を備えている(図1〜図3参照)。ロボットアーム140は、主制御装置20によって制御される(図10参照)。
【0024】
ウエハステージWST1は、図2及び図6(A)等からわかるように、その底面に設けられた複数の非接触軸受、例えばエアベアリング94によりベース盤12の上に浮上支持され、粗動ステージ駆動系51A(図10参照)により、XY二次元方向に駆動されるウエハ粗動ステージ(以下、粗動ステージと略述する)WCS1と、粗動ステージWCS1に非接触状態で支持され、粗動ステージWCS1に対して相対移動可能な微動ステージWFS1とを有している。微動ステージWFS1は、微動ステージ駆動系52A(図10参照)によって粗動ステージWCS1に対してX軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θx方向、θy方向及びθz方向(以下、6自由度方向、又は6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)と記述する)に駆動される。
【0025】
ウエハステージWST1(粗動ステージWCS1)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、図2に示されるように、ウエハステージ位置計測系16Aによって計測される。また、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に支持された微動ステージWFS1(又は微動ステージWFS2)の6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)の位置情報は微動ステージ位置計測系70Aによって計測される。ウエハステージ位置計測系16A及び微動ステージ位置計測系70Aの計測情報(以下では、計測値又は計測結果とも呼ぶ)、粗動ステージWCS1、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置制御のため、主制御装置20(図10参照)に供給される。
【0026】
ウエハステージWST2は、図3に示されるように、ウエハステージWST1と同様、その底面に設けられた複数の非接触軸受(例えばエアベアリング(図示省略))によりベース盤12の上に浮上支持され、粗動ステージ駆動系51B(図10参照)により、XY二次元方向に駆動される粗動ステージWCS2と、粗動ステージWCS2に非接触状態で支持され、粗動ステージWCS2に対して相対移動可能な微動ステージWFS2とを有している。微動ステージWFS2は、微動ステージ駆動系52B(図10参照)によって粗動ステージWCS2に対して6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)に駆動される。
【0027】
ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報も含む)は、図3に示されるように、ウエハステージ位置計測系16Bによって計測される。また、計測ステーション300にある粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS2(又はWFS1)の6自由度方向(X、Y、Z、θx、θy、θz)の位置情報は微動ステージ位置計測系70Bによって計測される。ウエハステージ位置計測系16B及び微動ステージ位置計測系70Bの計測情報は、粗動ステージWCS2、微動ステージWFS2(又はWFS1)の位置制御のため、主制御装置20(図10参照)に供給される。
【0028】
粗動ステージWCS1に微動ステージWFS1(又はWFS2)が支持されたとき、その微動ステージWFS1(又はWFS2)と粗動ステージWCS1とのX、Y、θzの3自由度方向に関する相対位置情報は、粗動ステージWCS1と微動ステージWFS1(又はWFS2)との間に設けられた相対位置計測器22A(図10参照)によって計測可能である。
【0029】
同様に、粗動ステージWCS2に微動ステージWFS2(又はWFS1)が支持されたとき、その微動ステージWFS2(又はWFS1)と粗動ステージWCS2とのX、Y、θzの3自由度方向に関する相対位置情報は、粗動ステージWCS2と微動ステージWFS2(又はWFS1)との間に設けられた相対位置計測器22B(図10参照)によって計測可能である。
【0030】
相対位置計測器22A,22Bとしては、例えば微動ステージWFS1,WFS2に設けられたグレーティングを計測対象とする、粗動ステージWCS1、WCS2に、それぞれ設けられた少なくとも2つのヘッドを含み、該ヘッドの出力に基づいて、微動ステージWFS1,WFS2のX軸方向、Y軸方向及びθz方向の位置を計測するエンコーダなどを用いることができる。相対位置計測器22A,22Bの計測情報は、主制御装置20(図10参照)に供給される。
【0031】
上記各種計測系を含み、ステージ系の構成各部の構成等については、後に詳述する。
【0032】
さらに、本実施形態の露光装置100では、図5に示されるように、投影ユニットPUの近傍に、可動ブレードBLが設けられている。可動ブレードBLは、ブレード駆動系58(図5では不図示、図10参照)によって、Z軸方向及びY軸方向に駆動可能である。可動ブレードBLは、+Y側の上端部に他の部分より突出した突出部が形成された板状の部材から成る。
【0033】
本実施形態において、可動ブレードBLの上面は、液体Lqに対して撥液性である。本実施形態において、可動ブレードBLは、例えばステンレス等の金属製の基材と、その基材の表面に形成された撥液性材料の膜とを含む。撥液性材料は、例えばPFA(Tetra fluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene)、テフロン(登録商標)等を含む。なお、膜を形成する材料が、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂でも良い。また、可動ブレードBL全体が、PFA、PTFE、テフロン(登録商標)、アクリル系樹脂、及びシリコン系樹脂の少なくとも一つで形成されても良い。本実施形態において、液体Lqに対する可動ブレードBLの上面の接触角は、例えば90度以上である。
【0034】
可動ブレードBLは、粗動ステージWCS1に支持されている微動ステージWFS1(又はWFS2)に−Y側から係合可能であり、その係合状態で微動ステージWFS1(又はWFS2)の上面とともに、見かけ上一体のフルフラットな面を形成する(例えば図15参照)。可動ブレードBLは、主制御装置20により、ブレード駆動系58を介して駆動され、微動ステージWFS1(又はWFS2)との間で液浸空間(液体Lq)の受け渡しを行う。なお、可動ブレードBLと微動ステージWFS1(又はWFS2)との間の液浸空間(液体Lq)の受け渡しについてはさらに後述する。
【0035】
ここで、ステージ系の各部の構成等について詳述する。まず、ウエハステージWST1,WST2について説明する。本実施形態では、ウエハステージWST1とウエハステージWST2とは、その駆動系、位置計測系などを含み、全く同様に構成されている。従って、以下では、代表的にウエハステージWST1を取り上げて説明する。
【0036】
粗動ステージWCS1は、図6(A)及び図6(B)に示されるように、平面視で(+Z方向から見て)X軸方向を長手方向とする長方形板状の粗動スライダ部91と、粗動スライダ部91の長手方向の一端部と他端部の上面にそれぞれ固定された一対の側壁部92a,92bと、側壁部92a,92bそれぞれの上面に固定された一対の固定子部93a、93bと、を備えている。粗動ステージWCS1は、全体として、上面のX軸方向中央部及びY軸方向の両側面が開口した高さの低い箱形の形状を有している。すなわち、粗動ステージWCS1には、その内部にY軸方向に貫通した空間部が形成されている。
【0037】
粗動ステージWCS1は、図7(A)に示されるように、粗動スライダ部91の長手方向(X軸方向)の中央のY軸方向の一側(+Y側)端部に前述の駆動軸134の直径より大きな幅のU字状の切り欠き95が形成されている。また、粗動ステージWCS1は、図7(B)に示されるように、長手方向の中央の分離線を境として、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとの2つの部分に分離可能に構成されている(図8参照)。従って、粗動スライダ部91は、第1部分WCS1aの一部を構成する第1スライダ部91aと、第2部分WCS1bの一部を構成する第2スライダ部91bとから構成されている。
【0038】
ベース盤12の内部には、図2及び図3に示されるように、XY二次元方向を行方向、列方向としてマトリックス状に配置された複数のコイル14を含む、コイルユニットが収容されている。
【0039】
コイルユニットに対応して、粗動ステージWCS1の底面、すなわち第1スライダ部91a、第2スライダ部91bの底面には、図6(A)に示されるように、マトリックス状に配置された複数の永久磁石18から成る磁石ユニットが固定されている。磁石ユニットは、ベース盤12のコイルユニットと共に、例えば米国特許第5,196,745号明細書などに開示されるローレンツ電磁力駆動方式の平面モータから成る粗動ステージ駆動系51Aa、51Ab(図10参照)を、それぞれ構成している。コイルユニットを構成する各コイル14に供給される電流の大きさ及び方向は、主制御装置20によって制御される(図10参照)。
【0040】
第1、第2スライダ部91a、91bそれぞれの底面には、上記磁石ユニットの周囲に複数のエアベアリング94が固定されている。粗動ステージWCS1の第1部分WCS1a及び第2部分WCS1bは、それぞれエアベアリング94によって、ベース盤12上に所定のクリアランス、例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持され、粗動ステージ駆動系51Aa、51Abによって、X軸方向、Y軸方向及びθz方向に駆動される。
【0041】
通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体化して不図示のロック機構を介してロックされている。すなわち、通常は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとは、一体的に動作する。そこで、以下では、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bが一体化して成る粗動ステージWCS1を駆動する平面モータから成る駆動系を、粗動ステージ駆動系51Aと呼ぶ(図10参照)。
【0042】
なお、粗動ステージ駆動系51Aとしては、ローレンツ電磁力駆動方式の平面モータに限らず、例えば可変磁気抵抗駆動方式の平面モータを用いることもできる。この他、粗動ステージ駆動系51Aを、磁気浮上型の平面モータによって構成しても良い。この場合、粗動スライダ部91の底面にエアベアリングを設けなくても良くなる。
【0043】
一対の固定子部93a、93bそれぞれは、図6(A)及び図6(B)に示されるように、外形が板状の部材から成り、その内部に微動ステージWFS1(又はWFS2)を駆動するための複数のコイルから成るコイルユニットCUa、CUbが収容されている。ここで、微動ステージWFS1と微動ステージWFS2とは、全く同様に構成され、同様にして、粗動ステージWCS1に非接触で支持され、駆動されるが、以下では、微動ステージWFS1を代表的に取り上げて説明する。
【0044】
固定子部93aは、+X側の端部が側壁部92a上面に固定され、固定子部93bは、−X側の端部が側壁部92b上面に固定されている。
【0045】
微動ステージWFS1は、図6(A)及び図6(B)に示されるように、平面視でX軸方向を長手方向とする八角形板状の部材から成る本体部81と、本体部81の長手方向の一端部と他端部にそれぞれ固定された一対の可動子部82a、82bと、を備えている。
【0046】
本体部81は、その内部を後述するエンコーダシステムの計測ビーム(レーザ光)が進行可能とする必要があることから、光が透過可能な透明な素材で形成されている。また、本体部81は、その内部におけるレーザ光に対する空気揺らぎの影響を低減するため、中実に形成されている(内部に空間を有しない)。なお、透明な素材は、低熱膨張率であることが好ましく、本実施形態では一例として合成石英(ガラス)などが用いられる。なお、本体部81は、その全体が透明な素材で構成されていても良いが、エンコーダシステムの計測ビームが透過する部分のみが透明な素材で構成されていても良く、この計測ビームが透過する部分のみが中実に形成されていても良い。
【0047】
微動ステージWFS1の本体部81(より正確には、後述するカバーガラス)の上面中央には、ウエハWを真空吸着等によって保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。本実施形態では、例えば環状の凸部(リム部)内に、ウエハWを支持する複数の支持部(ピン部材)が形成される、いわゆるピンチャック方式のウエハホルダが用いられ、一面(表面)がウエハ載置面となるウエハホルダの他面(裏面)側に後述するグレーティングRGなどが設けられる。なお、ウエハホルダは、微動ステージWFS1と一体に形成されていても良いし、本体部81に対して、例えば静電チャック機構あるいはクランプ機構等を介して、又は接着等により固定されていても良い。
【0048】
さらに、本体部81の上面には、ウエハホルダ(ウエハWの載置領域)の外側に、図6(A)及び図6(B)に示されるように、ウエハW(ウエハホルダ)よりも一回り大きな円形の開口が中央に形成され、かつ本体部81に対応する八角形状の外形(輪郭)を有するプレート(撥液板)83が取り付けられている。プレート83の表面は、液体Lqに対して撥液化処理されている(撥液面が形成されている)。プレート83は、その表面の全部(あるいは一部)がウエハWの表面と同一面となるように本体部81の上面に固定されている。また、プレート83の−Y側端部には、図6(B)に示されるように、その表面がプレート83の表面と、すなわちウエハWの表面とほぼ同一面となる状態でX軸方向に細長い長方形の計測プレート86が設置されている。計測プレート86の表面には、前述した一対の第1基準マークと、プライマリアライメント系AL1により検出される第2基準マークとが少なくとも形成されている(第1及び第2基準マークはいずれも図示省略)。なお、プレート83を本体部81に取り付ける代わりに、例えばウエハホルダを微動ステージWFS1と一体に形成し、微動ステージWFS1の、ウエハホルダを囲む周囲領域(プレート83と同一の領域(計測プレート86の表面を含んでも良い))の上面に撥液化処理を施して、撥液面を形成しても良い。
【0049】
図6(A)に示されるように、本体部81の上面には、2次元グレーティング(以下、単にグレーティングと呼ぶ)RGが水平(ウエハW表面と平行)に配置されている。グレーティングRGは、透明な素材から成る本体部81の上面に、固定(あるいは形成)されている。グレーティングRGは、X軸方向を周期方向とする反射型回折格子(X回折格子)と、Y軸方向を周期方向とする反射型回折格子(Y回折格子)と、を含む。本実施形態では、本体部81上で2次元グレーティングが固定あるいは形成される領域(以下、形成領域)は、一例として、ウエハWよりも一回り大きな円形となっている。
【0050】
グレーティングRGは、保護部材、例えばカバーガラス84によって覆われている。本実施形態では、カバーガラス84の上面に、ウエハホルダを吸着保持する前述の静電チャック機構が設けられている。なお、本実施形態では、カバーガラス84は、本体部81の上面のほぼ全面を覆うように設けられているが、グレーティングRGを含む本体部81の上面の一部のみを覆うように設けても良い。また、保護部材(カバーガラス84)は、本体部81と同一の素材によって形成しても良いが、これに限らず、保護部材を、例えば金属、セラミックスで形成しても良い。また、グレーティングRGを保護するのに十分な厚みを要するため板状の保護部材が望ましいが、素材に応じて薄膜状の保護部材を用いても良い。
【0051】
なお、グレーティングRGの形成領域のうち、ウエハホルダの周囲にはみ出す領域に対応するカバーガラス84の一面には、グレーティングRGに照射されるエンコーダシステムの計測ビームがカバーガラス84を透過しないように、すなわち、ウエハホルダ裏面の領域の内外で計測ビームの強度が大きく変動しないように、例えばその形成領域を覆う反射部材(例えば薄膜など)を設けることが望ましい。
【0052】
この他、一面にグレーティングRGが固定又は形成される透明板の他面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置し、かつその透明板の一面側に保護部材(カバーガラス84)を設ける、あるいは、保護部材(カバーガラス84)を設けずに、グレーティングRGが固定又は形成される透明板の一面をウエハホルダの裏面に接触又は近接して配置しても良い。特に前者では、透明板の代わりにセラミックスなどの不透明な部材にグレーティングRGを固定又は形成しても良いし、あるいは、ウエハホルダの裏面にグレーティングRGを固定又は形成しても良い。あるいは、従来の微動ステージにウエハホルダとグレーティングRGを保持するだけでも良い。また、ウエハホルダを、中実のガラス部材によって形成し、該ガラス部材の上面(ウエハ載置面)にグレーティングRGを配置しても良い。
【0053】
本体部81は、図6(A)からもわかるように、長手方向の一端部と他端部との下端部に外側に突出した張り出し部が形成された全体として八角形板状部材から成り、その底面の、グレーティングRGに対向する部分に凹部が形成されている。本体部81は、グレーティングRGが配置された中央の領域は、その厚さが実質的に均一な板状に形成されている。
【0054】
本体部81の+X側、−X側の張り出し部それぞれの上面には、断面凸形状のスペーサ85a、85bが、それぞれの凸部89a、89bを、外側に向けてY軸方向に延設されている。
【0055】
可動子部82aは、図6(A)及び図6(B)に示されるように、Y軸方向寸法(長さ)及びX軸方向寸法(幅)が、共に固定子部93aよりも短い(半分程度の)2枚の平面視矩形状の板状部材82a1、82a2を含む。板状部材82a1、82a2は、本体部81の+X側の端部に対し、前述したスペーサ85aの凸部89aを介して、Z軸方向(上下)に所定の距離だけ離間した状態でともにXY平面に平行に固定されている。この場合、板状部材82a2は、スペーサ85aと本体部81の+X側の張り出し部とによって、その−X側端部が挟持されている。2枚の板状部材82a1、82a2の間には、粗動ステージWCS1の固定子部93aの−X側の端部が非接触で挿入されている。板状部材82a1、82a2の内部には、後述する磁石ユニットMUa1、MUa2が、収容されている。
【0056】
可動子部82bは、スペーサ85bにZ軸方向(上下)に所定の間隔が維持された2枚の板状部材82b1、82b2を含み、可動子部82aと左右対称ではあるが同様に構成されている。2枚の板状部材82b1、82b2の間には、粗動ステージWCS1の固定子部93bの+X側の端部が非接触で挿入されている。板状部材82b1、82b2の内部には、磁石ユニットMUa1、MUa2と同様に構成された磁石ユニットMUb1、MUb2が、収容されている。
【0057】
ここで、前述したように、粗動ステージWCS1は、Y軸方向に両側面が開口しているので、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1に装着する際には、板状部材82a1、82a2、及び82b1、82b2間に固定子部93a、93bがそれぞれ位置するように、微動ステージWFS1のZ軸方向の位置決めを行い、この後に微動ステージWFS1をY軸方向に移動(スライド)させれば良い。
【0058】
微動ステージ駆動系52Aは、前述した可動子部82aが有する一対の磁石ユニットMUa1、MUa2と、固定子部93aが有するコイルユニットCUaと、前述した可動子部82bが有する一対の磁石ユニットMUb1、MUb2と、固定子部93bが有するコイルユニットCUbと、を含む。
【0059】
本実施形態では、微動ステージ駆動系52Aにより、微動ステージWFS1を、粗動ステージWCS1に対して非接触状態で浮上支持するとともに、粗動ステージWCS1に対して、非接触で6自由度方向に駆動することができる。
【0060】
本実施形態の露光装置100では、ウエハWに対するステップ・アンド・スキャン方式の露光動作時には、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報(θz方向の位置情報を含む)は、主制御装置20により、後述する微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73(図10参照)を用いて計測される。微動ステージWFS1の位置情報は、主制御装置20に送られ、主制御装置20は、この位置情報に基づいて微動ステージWFS1の位置を制御する。
【0061】
これに対し、ウエハステージWST1(微動ステージWFS1)が微動ステージ位置計測系70Aの計測領域外に位置する際には、ウエハステージWST1(及び微動ステージWFS1)の位置情報は、主制御装置20により、ウエハステージ位置計測系16A(図2及び図10参照)を用いて計測される。ウエハステージ位置計測系16Aは、図2に示されるように、粗動ステージWCS1側面の反射面に測長ビームを照射してウエハステージWST1のXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)を計測するレーザ干渉計を含んでいる。なお、ウエハステージWST1のXY平面内での位置情報は、上述のウエハステージ位置計測系16Aに代えて、その他の計測装置、例えばエンコーダシステムによって計測しても良い。この場合、例えばベース盤12の上面に二次元スケールを配置し、粗動ステージWCS1の底面にエンコーダヘッドを設けることができる。
【0062】
前述の如く、微動ステージWFS2は、上述した微動ステージWFS1と全く同様に構成されており、微動ステージWFS1に代えて、粗動ステージWCS1に非接触で支持させることができる。この場合、粗動ステージWCS1と、粗動ステージWCS1によって支持された微動ステージWFS2とによって、ウエハステージWST1が構成され、微動ステージWFS2が備える一対の可動子部(各一対の磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2)と粗動ステージWCS1の一対の固定子部93a、93b(コイルユニットCUa、CUb)とによって、微動ステージ駆動系52Aが構成される。そして、この微動ステージ駆動系52Aによって、微動ステージWFS2が、粗動ステージWCS1に対して、非接触で6自由度方向に駆動される。
【0063】
また、微動ステージWFS2、WFS1は、それぞれ粗動ステージWCS2に非接触で支持させることができ、粗動ステージWCS2と、粗動ステージWCS2によって支持された微動ステージWFS2又はWFS1とによってウエハステージWST2が構成される。この場合、微動ステージWFS2又はWFS1が備える一対の可動子部(各一対の磁石ユニットMUa1、MUa2及びMUb1、MUb2)と粗動ステージWCS2の一対の固定子部93a、93b(コイルユニットCUa、CUb)とによって、微動ステージ駆動系52B(図10参照)が構成される。そして、この微動ステージ駆動系52Bによって、微動ステージWFS2又はWFS1が、粗動ステージWCS2に対して、非接触で6自由度方向に駆動される。
【0064】
なお、粗動ステージWCS2は、粗動スライダ部91の切り欠き95が+X側に向かって開口する向きで、ベース盤12上に配置されている(図1参照)。
【0065】
次に、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に移動可能に保持される(ウエハステージWST1を構成する)微動ステージWFS1又はWFS2の位置情報の計測に用いられる微動ステージ位置計測系70A(図10参照)の構成について説明する。ここでは、微動ステージ位置計測系70Aが微動ステージWFS1の位置情報を計測する場合について説明する。
【0066】
微動ステージ位置計測系70Aは、図2に示されるように、ウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態で、粗動ステージWCS1の内部の空間部内に挿入されるアーム部材(計測アーム71A)を備えている。計測アーム71Aは、メインフレームBDに支持部材72Aを介して片持ち支持(一端部近傍が支持)されている。なお、アーム部材は、ウエハステージの移動の妨げにならない構成を採用する場合には、片持ち支持に限らず、その長手方向の両端部で支持されても良い。
【0067】
計測アーム71Aは、Y軸方向を長手方向とする、幅方向(X軸方向)よりも高さ方向(Z軸方向)の寸法が大きい縦長の長方形断面を有する四角柱状(すなわち直方体状)の部材であり、光を透過する同一の素材、例えばガラス部材が複数貼り合わされて形成されている。計測アーム71Aは、後述するエンコーダヘッド(光学系)が収容される部分を除き、中実に形成されている。計測アーム71Aは、前述したようにウエハステージWST1が投影光学系PLの下方に配置された状態では、先端部が粗動ステージWCS1の空間部内に挿入され、図2に示されるように、その上面が微動ステージWFS1の下面(より正確には、本体部81(図2では不図示、図6(A)等参照)の下面)に対向している。計測アーム71Aの上面は、微動ステージWFS1の下面との間に所定のクリアランス、例えば数mm程度のクリアランスが形成された状態で、微動ステージWFS1下面とほぼ平行に配置される。なお、計測アーム71Aの上面と微動ステージWFSの下面との間のクリアランスは、数mm以上でも以下でも良い。
【0068】
微動ステージ位置計測系70Aは、図10に示されるように、エンコーダシステム73と、レーザ干渉計システム75とを備えている。エンコーダシステム73は、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を計測するXリニアエンコーダ73x、及び微動ステージWFS1のY軸方向の位置を計測する一対のYリニアエンコーダ73ya、73ybを含む。エンコーダシステム73では、例えば米国特許第7,238,931号明細書、及び米国特許出願公開第2007/288121号明細書などに開示されるエンコーダヘッド(以下、適宜ヘッドと略述する)と同様の構成の回折干渉型のヘッドが用いられている。ただし、本実施形態では、ヘッドは、後述するように光源及び受光系(光検出器を含む)が、計測アーム71Aの外部に配置され、光学系のみが計測アーム71Aの内部に、すなわちグレーティングRGに対向して配置されている。以下、適宜、計測アーム71Aの内部に配置された光学系をヘッドと呼ぶ。
【0069】
エンコーダシステム73は、微動ステージWFS1のX軸方向の位置を1つのXヘッド77x(図9(A)及び図9(B)参照)で計測し、Y軸方向の位置を一対のYヘッド77ya、77yb(図9(B)参照)で計測する。すなわち、グレーティングRGのX回折格子を用いて微動ステージWFS1のX軸方向の位置を計測するXヘッド77xによって、前述のXリニアエンコーダ73xが構成され、グレーティングRGのY回折格子を用いて微動ステージWFS1のY軸方向の位置を計測する一対のYヘッド77ya、77ybによって、一対のYリニアエンコーダ73ya、73ybが構成されている。
【0070】
ここで、エンコーダシステム73を構成する3つのヘッド77x、77ya、77ybの構成について説明する。図9(A)には、3つのヘッド77x、77ya、77ybを代表して、Xヘッド77xの概略構成が示されている。また、図9(B)には、Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの計測アーム71A内での配置が示されている。
【0071】
図9(A)に示されるように、Xヘッド77xは、偏光ビームスプリッタPBS、一対の反射ミラーR1a,R1b、レンズL2a,L2b、四分の一波長板(以下、λ/4板と表記する)WP1a,WP1b、反射ミラーR2a,R2b、及び反射ミラーR3a,R3b等を有し、これらの光学素子が所定の位置関係で配置されている。Yヘッド77ya、77ybも同様の構成の光学系を有している。Xヘッド77x、Yヘッド77ya、77ybそれぞれは、図9(A)及び図9(B)に示されるように、ユニット化されて計測アーム71Aの内部に固定されている。
【0072】
図9(B)に示されるように、Xヘッド77x(Xリニアエンコーダ73x)では、計測アーム71Aの−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられた光源LDxから−Z方向にレーザビームLBx0が射出され、計測アーム71Aの一部にXY平面に対して45°の角度で斜設された反射面RPを介してY軸方向に平行にその光路が折り曲げられる。このレーザビームLBx0は、計測アーム71の内部の中実な部分を、Y軸方向に平行に進行し、反射ミラーR3a(図9(A)参照)に達する。そして、レーザビームLBx0は、反射ミラーR3aによりその光路が折り曲げられて、偏光ビームスプリッタPBSに入射する。レーザビームLBx0は、偏光ビームスプリッタPBSで偏光分離されて2つの計測ビームLBx1,LBx2となる。偏光ビームスプリッタPBSを透過した計測ビームLBx1は反射ミラーR1aを介して微動ステージWFS1に形成されたグレーティングRGに到達し、偏光ビームスプリッタPBSで反射された計測ビームLBx2は反射ミラーR1bを介してグレーティングRGに到達する。なお、ここで「偏光分離」とは、入射ビームをP偏光成分とS偏光成分に分離することを意味する。
【0073】
計測ビームLBx1,LBx2の照射によってグレーティングRGから発生する所定次数の回折ビーム、例えば1次回折ビームそれぞれは、レンズL2a,L2bを介して、λ/4板WP1a,WP1bにより円偏光に変換された後、反射ミラーR2a,R2bにより反射されて再度λ/4板WP1a,WP1bを通り、往路と同じ光路を逆方向に辿って偏光ビームスプリッタPBSに達する。
【0074】
偏光ビームスプリッタPBSに達した2つの1次回折ビームは、各々その偏光方向が元の方向に対して90度回転している。このため、計測ビームLBx1,LBx2それぞれの1次回折ビームは同軸上に合成ビームLBx12として合成される。合成ビームLBx12は、反射ミラーR3bでその光路が、Y軸に平行に折り曲げられて、計測アーム71Aの内部をY軸に平行に進行し、前述の反射面RPを介して、図9(B)に示される、計測アーム71の−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられたX受光系74xに送光される。
【0075】
X受光系74xでは、合成ビームLBx12として合成された計測ビームLBx1,LBx2の1次回折ビームが不図示の偏光子(検光子)によって偏光方向が揃えられ、相互に干渉して干渉光となり、この干渉光が不図示の光検出器によって検出され、干渉光の強度に応じた電気信号に変換される。ここで、微動ステージWFS1が計測方向(この場合、X軸方向)に移動すると、2つのビーム間の位相差が変化して干渉光の強度が変化する。この干渉光の強度の変化は、微動ステージWFS1のX軸方向に関する位置情報として主制御装置20(図10参照)に供給される。
【0076】
図9(B)に示されるように、Yヘッド77ya、77ybには、それぞれの光源LDya、LDybから射出され、前述の反射面RPで光路が90°折り曲げられたY軸に平行なレーザビームLBya0、LByb0が入射し、前述と同様にして、Yヘッド77ya、77ybから、偏向ビームスプリッタで偏光分離された計測ビームそれぞれのグレーティングRG(のY回折格子)による1次回折ビームの合成ビームLBya12、LByb12が、それぞれ出力され、Y受光系74ya、74ybに戻される。ここで、光源LDya、LDybから射出されるレーザビームLBya0、LByb0とY受光系74ya、74ybに戻される合成ビームLBya12、LByb12とは、図9(B)における紙面垂直方向に重なる光路をそれぞれ通る。また、上述のように、光源から照射されるレーザビームLBya0、LByb0とY受光系74ya、74ybに戻される合成ビームLBya12、LByb12とが、Z軸方向に離れた平行な光路を通るように、Yヘッド77ya、77ybでは、それぞれの内部で光路が適宜折り曲げられている(図示省略)。
【0077】
本実施形態では、Xヘッド77xは、計測アーム71Aのセンターライン(X軸方向の中心を通るY軸方向の直線)からX軸方向に関して等距離にある2点から、計測ビームLBx1、LBx2を、グレーティングRG上の同一の照射点に照射する(図9(A)参照)。計測ビームLBx1、LBx2の照射点、すなわちXヘッド77xの検出点は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致している(図2参照)。なお、計測ビームLBx1、LBx2は、実際には、本体部81と空気層との境界面などで屈折するが、図9(A)等では、簡略化して図示されている。
【0078】
図9(B)に示されるように、一対のYヘッド77ya、77ybそれぞれは、センターラインの+X側、−X側に配置されている。Yヘッド77yaは、センターラインに平行な直線(ビームLBya0の光路に一致)上でXヘッド77xの検出点を通るX軸に平行な直線からの距離が等しい2点から、グレーティングRG上の共通の照射点に一対の計測ビームを照射する。この一対の計測ビームの照射点がYヘッド77yaの検出点となる。
【0079】
Yヘッド77ybは、センターラインに関して、Yヘッド77yaの一対の計測ビームの射出点に対称な2点から、一対の計測ビームを、グレーティングRG上の共通の照射点に照射する。Yヘッド77ya、77ybそれぞれの検出点は、上記のX軸に平行な直線上に配置される。
【0080】
ここで、主制御装置20は、微動ステージWFS1のY軸方向の位置を、2つのYヘッド77ya、77ybの計測値の平均に基づいて決定する。従って、本実施形態では、微動ステージWFS1のY軸方向の位置は、Yヘッド77ya、77ybそれぞれの検出点の中点を実質的な計測点として計測される。その中点は、測ビームLBx1,LBX2のグレーティングRG上の照射点と一致する。
【0081】
すなわち、本実施形態では、微動ステージWFS1のX軸方向及びY軸方向の位置情報の計測に関して、共通の検出点を有し、この検出点は、ウエハWに照射される照明光ILの照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致する。従って、本実施形態では、主制御装置20は、エンコーダシステム73を用いることで、微動ステージWFS1上に載置されたウエハWの所定のショット領域にレチクルRのパターンを転写する際、微動ステージWFS1のXY平面内の位置情報の計測を、常に露光位置の直下(微動ステージWFS1の裏面側)で行うことができる。また、主制御装置20は、一対のYヘッド77ya、77ybの計測値の差に基づいて、微動ステージWFSのθz方向の回転量を計測する。
【0082】
レーザ干渉計システム75は、Z軸に平行な3本の測長ビームを計測アーム71の先端部から、微動ステージWFS1の下面に入射させる。レーザ干渉計システム75は、これら3本の測長ビームそれぞれを照射する3つのレーザ干渉計75a〜75c(図10参照)を備えている。
【0083】
レーザ干渉計システム75では、3本の測長ビームは、その重心が、照射領域(露光領域)IAの中心である露光位置に一致する、二等辺三角形(又は正三角形)の各頂点に相当する3点からZ軸に平行に射出される。本実施形態では、主制御装置20は、レーザ干渉計システム75を用いて、微動ステージWFS1のZ軸方向の位置、θz方向及びθy方向の回転量の情報を計測する。なお、レーザ干渉計75a〜75cは、実際には、計測アーム71Aの−Y側の端部の上面(又はその上方)に設けられている。レーザ干渉計75a〜75cから−Z方向に射出された3本の測長ビームは、前述の反射面RPを介して計測アーム71内をY軸方向に沿って進行し、その光路がそれぞれ折り曲げられて、上述の3点から射出される。
【0084】
本実施形態では、微動ステージWFS1の下面に、エンコーダシステム73からの各計測ビームを透過させ、レーザ干渉計システム75からの各測長ビームの透過を阻止する、波長選択フィルタ(図示省略)が設けられている。この場合、波長選択フィルタは、レーザ干渉計システム75からの各測長ビームの反射面をも兼ねる。波長選択フィルタは、波長選択性を有する薄膜などが用いられ、本実施形態では、例えば透明板(本体部81)の一面に設けられ、グレーティングRGはその一面に対してウエハホルダ側に配置される。
【0085】
以上の説明からわかるように、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73及びレーザ干渉計システム75を用いることで、微動ステージWFS1の6自由度方向の位置を計測することができる。この場合、エンコーダシステム73では、計測ビームの空気中での光路長が極短くかつほぼ等しいため、空気揺らぎの影響が殆ど無視できる。従って、エンコーダシステム73により、微動ステージWFS1のXY平面内(θz方向も含む)の位置情報を高精度に計測できる。また、エンコーダシステム73によるX軸方向、及びY軸方向の実質的なグレーティング上の検出点、及びレーザ干渉計システム75によるZ軸方向の微動ステージWFS1下面上の検出点は、それぞれ露光領域IAの中心(露光位置)に一致するので、いわゆるアッベ誤差の発生が実質的に無視できる程度に抑制される。従って、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aを用いることで、アッベ誤差なく、微動ステージWFS1のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置を高精度に計測できる。また、粗動ステージWCS1が投影ユニットPUの下方にあり、粗動ステージWCS1に微動ステージWFS2が移動可能に支持されている場合には、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Aを用いることで、微動ステージWFS2の6自由度方向の位置を計測することができ、特に、微動ステージWFS2のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置については、アッベ誤差なく、高精度に計測できる。
【0086】
また、計測ステーション300が備える微動ステージ位置計測系70Bは、図3に示されるように、微動ステージ位置計測系70Aと同様に構成されている。すなわち、微動ステージ位置計測系70Bが備える計測アーム71Bは、X軸方向を長手方向とし、その−X側の端部近傍が、支持部材72Bを介してメインフレームBDに片持ち支持されている。
【0087】
粗動ステージWCS2がアライメント装置99の下方にあり、粗動ステージWCS2に微動ステージWFS2又はWFS1が移動可能に支持されている場合には、主制御装置20は、微動ステージ位置計測系70Bを用いることで、微動ステージWFS2又はWFS1の6自由度方向の位置を計測することができ、特に、微動ステージWFS2又はWFS1のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置については、アッベ誤差なく、高精度に計測できる。
【0088】
この他、本実施形態における露光装置100には、投影ユニットPUの近傍に、例えば米国特許第5,448,332号明細書等に開示されるものと同様の構成の斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、多点AF系と略述する)AF(図2では不図示、図10参照)が設けられている。多点AF系AFの検出信号は、不図示のAF信号処理系を介して主制御装置20に供給される(図10参照)。主制御装置20は、多点AF系AFの検出信号に基づいて、多点AF系AFの複数の検出点それぞれにおけるウエハW表面のZ軸方向の位置情報(面位置情報)を検出し、その検出結果に基づいて走査露光中のウエハWのいわゆるフォーカス・レベリング制御を実行する。なお、ウエハアライメント検出系ALGの近傍に多点AF系を設けて、ウエハアライメント(EGA)時にウエハW表面の面位置情報(凹凸情報)を事前に取得し、露光時には、その面位置情報と、後述する微動ステージ位置計測系70の一部を構成するレーザ干渉計システム75(図10参照)の計測値とを用いて、ウエハWのいわゆるフォーカス・レベリング制御を実行することとしても良い。なお、レーザ干渉計システム75ではなく、微動ステージ位置計測系70を構成する後述のエンコーダシステム73の計測値を、フォーカス・レベリング制御で用いても良い。
【0089】
また、レチクルステージRSTの上方には、例えば米国特許第5,646,413号明細書などに詳細に開示されるように、CCD等の撮像素子を有し、露光波長の光(本実施形態では照明光IL)をアライメント用照明光とする画像処理方式の一対のレチクルアライメント系RA1,RA2(図2においてはレチクルアライメント系RA2は、レチクルアライメント系RA1の紙面奥側に隠れている。)が配置されている。一対のレチクルアライメント系RA1,RA2は、投影光学系PLの直下に微動ステージWFS1(又はWFS2)上の後述する計測プレートが位置する状態で、主制御装置20により、レチクルRに形成された一対のレチクルアライメントマーク(図示省略)の投影像と対応する計測プレート上の一対の第1基準マークとを投影光学系PLを介して検出することで、投影光学系PLによるレチクルRのパターンの投影領域の中心と計測プレート上の基準位置、すなわち一対の第1基準マークの中心との位置関係を検出するために用いられる。レチクルアライメント系RA1,RA2の検出信号は、不図示の信号処理系を介して主制御装置20に供給される(図10参照)。
【0090】
図10には、露光装置100の制御系を中心的に構成し、構成各部を統括制御する主制御装置20の入出力関係を示すブロック図が示されている。主制御装置20は、ワークステーション(又はマイクロコンピュータ)等を含み、前述の局所液浸装置8、粗動ステージ駆動系51A,51B、及び微動ステージ駆動系52A,52Bなど、露光装置100の構成各部を統括制御する。
【0091】
本実施形態の露光装置100では、デバイスの製造に際し、露光ステーション200にある粗動ステージWCS1に保持された一方の微動ステージ(ここでは、一例としてWFS1であるものとする)に保持されたウエハWに対して、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われ、そのウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンがそれぞれ転写される。このステップ・アンド・スキャン方式の露光動作は、主制御装置20により、事前に行われた、ウエハアライメントの結果(例えばエンハンスト・グローバル・アライメント(EGA)により得られるウエハW上の各ショット領域の配列座標を第2基準マークを基準とする座標に変換した情報)、及びレチクルアライメントの結果等に基づいて、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置(加速開始位置)へ微動ステージWFS1が移動されるショット間移動動作と、レチクルRに形成されたパターンを走査露光方式で各ショット領域に転写する走査露光動作と、を繰り返すことにより、行われる。なお、上記の露光動作は、先端レンズ191とウエハWとの間に液体Lqを保持した状態で、すなわち液浸露光により行われる。また、+Y側に位置するショット領域から−Y側に位置するショット領域の順で行われる。なお、EGAについては、例えば米国特許第4,780,617号明細書などに詳細に開示されている。
【0092】
本実施形態の露光装置100では、上述の一連の露光動作中、主制御装置20により、微動ステージ位置計測系70Aを用いて、微動ステージWFS1(ウエハW)の位置が計測され、この計測結果に基づいてウエハWの位置が制御される。
【0093】
なお、上述の走査露光動作時は、ウエハWをY軸方向に高加速度で駆動する必要があるが、本実施形態の露光装置100では、主制御装置20は、走査露光動作時には、図11(A)に示されるように、原則的に粗動ステージWCS1を駆動せず、微動ステージWFS1のみをY軸方向に(必要に応じて他の5自由度方向にも併せて)駆動する(図11(A)の黒塗り矢印参照)ことで、ウエハWをY軸方向に走査する。これは、粗動ステージWCS1を駆動する場合に比べ、微動ステージWFS1のみを動かす方が駆動対象の重量が軽い分、高加速度でウエハWを駆動できて有利だからである。また、前述のように、微動ステージ位置計測系70Aは、その位置計測精度がウエハステージ位置計測系16Aよりも高いので、走査露光時には微動ステージWFS1を駆動した方が有利である。なお、この走査露光時には、微動ステージWFS1の駆動による反力(図11(A)の白抜き矢印参照)の作用により、粗動ステージWCS1が微動ステージWFS1と反対側に駆動される。すなわち、粗動ステージWCS1がカウンタマスとして機能し、ウエハステージWST1の全体から成る系の運動量が保存され、重心移動が生じないので、微動ステージWFS1の走査駆動によってベース盤12に偏荷重が作用するなどの不都合が生じることがない。
【0094】
一方、X軸方向にショット間移動(ステッピング)動作を行う際には、微動ステージWFS1のX軸方向への移動可能量が少ないことから、主制御装置20は、図11(B)に示されるように、粗動ステージWCS1をX軸方向に駆動することによって、ウエハWをX軸方向に移動させる。
【0095】
本実施形態では、一方の微動ステージ上で、上述したウエハWに対する露光が行われるのと並行して、他方の微動ステージ上では、ウエハ交換及びウエハアライメントが少なくとも一部行われる。
【0096】
《並行処理動作(その1)》
以下、本実施形態の露光装置100において、2つの微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理動作(その1)について、説明する。
【0097】
図12には、微動ステージWFS1が露光ステーション200にあり、その微動ステージWFS1に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、微動ステージWFS2が計測ステーション300にあり、その微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている状態が示されている。
【0098】
上記の微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントは、概略次のようにして行われる。すなわち、ウエハアライメントに際し、主制御装置20は、まず、プライマリアライメント系AL1の直下に微動ステージWFS2上の計測プレート86を位置決めすべく、微動ステージWFS2を駆動し、プライマリアライメント系AL1を用いて、第2基準マークを検出する。そして、主制御装置20は、例えば、米国特許出願公開第2008/0088843号明細書などに開示されるように、ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2及び微動ステージWFS2)を例えば+X方向に移動させ、その移動経路上における複数箇所にウエハステージWSTを位置決めし、位置決めの都度、アライメント系AL1,AL21〜AL24の少なくとも1つを用いてアライメントショット領域(サンプルショット領域)におけるアライメントマークの位置情報を、計測する(求める)。例えば、4回の位置決めを行う場合を考えると、主制御装置20は、例えば1回目の位置決め時に、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて、3箇所のサンプルショット領域におけるアライメントマーク(以下、サンプルマークとも呼ぶ)を、2回目の位置決め時にアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いてウエハW上の5つのサンプルマークを、3回目の位置決め時にアライメント系AL1,AL21〜AL24を用いて5つのサンプルマークを、4回目の位置決め時に、プライマリアライメント系AL1,セカンダリアライメント系AL22,AL23を用いて3つのサンプルマークを、それぞれ検出する。これにより、合計16箇所のアライメントショット領域におけるアライメントマークの位置情報を、16箇所のアライメントマークを単一のアライメント系で順次検出する場合などに比べて、格段に短時間で得ることができる。この場合において、上記のウエハステージWST2の移動動作と連動して、アライメント系AL1,AL22,AL23はそれぞれ、検出領域(例えば、検出光の照射領域に相当)内に順次配置されるX軸方向に沿って配列された複数のアライメントマーク(サンプルマーク)を検出する。このため、上記のアライメントマークの計測に際して、ウエハステージWST2をY軸方向に移動させる必要が無い。
【0099】
本実施形態では、主制御装置20は、第2基準マークの検出を含み、ウエハアライメントの際には、計測アーム71Bを含む微動ステージ位置計測系70Bを用いてウエハアライメント時における粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS2のXY平面内の位置計測を行う。ただし、これに限らず、ウエハアライメント時の微動ステージWFS2の移動を粗動ステージWCS2と一体で行う場合には、前述したウエハステージ位置計測系16Bを介してウエハWの位置を計測しながらウエハアライメントを行っても良い。また、計測ステーション300と露光ステーション200とが離間しているので、ウエハアライメント時と露光時とでは、微動ステージWFS2の位置は、異なる座標系上で管理される。また、例えば図1等から明らかなように、ウエハアライメント時におけるウエハWの向きと、露光時におけるウエハWの向きとは、90度異なるので、ウエハアライメント時の座標系(アライメント座標系)と露光時の座標系(露光座標系)とでは、X座標とY座標とを入れ替える必要がある。そこで、主制御装置20は、ウエハアライメントの結果得られたウエハW上の各ショット領域の配列座標を、第2基準マークを基準とし、かつX座標とY座標とを入れ替えた座標変換後の配列座標に変換する。
【0100】
このようにして微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了する。このとき、露光ステーション200では、微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対する露光が終了間近の状態にある。そこで、主制御装置20は、ウエハWに対する露光が終了するまで、ウエハステージWST2を計測ステーション300の内部又はその近くの待機位置で待機させる。
【0101】
図13(A)には、ウエハWに対する露光が終了する前の露光ステーション200の内部及びその周辺の様子が示されている。
【0102】
主制御装置20は、露光終了に先立って、図14中の白抜き矢印で示されるように、ブレード駆動系58を介して可動ブレードBLを図5に示される位置から所定量下方に駆動する。これにより、可動ブレードBL上面と投影光学系PLの下方に位置する微動ステージWFS1(及びウエハW)上面とが同一面上に位置する。そして、主制御装置20は、この状態で、露光が終了するのを待つ。
【0103】
そして、露光が終了すると、主制御装置20は、次のようにして、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しを行う。
【0104】
すなわち、露光が終了すると、主制御装置20は、ブレード駆動系58を介して可動ブレードBLを+Y方向に所定量駆動し(図15中の白抜き矢印参照)、可動ブレードBLを、微動ステージWFS1に接触又は300μm程度のクリアランスを介して近接させる。すなわち、主制御装置20は、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とをスクラム状態に設定する。
【0105】
次に、主制御装置20は、図16に示されるように、可動ブレードBLと微動ステージWFS1とのスクラム状態を維持しつつ、ウエハステージWST1と一体で可動ブレードBLを+Y方向に駆動する(図16の白抜き矢印参照)。これにより、先端レンズ191との間に保持されていた液体Lqにより形成される液浸空間が、微動ステージWFS1上から可動ブレードBL上に移動する(微動ステージWFS1から可動ブレードBLに渡される)。図16には、液浸空間(液体Lq)が微動ステージWFS1上から可動ブレードBL上に移動している最中(微動ステージWFS1から可動ブレードBLに渡される直前)の状態が示されている。この状態では、先端レンズ191と、微動ステージWFS1及び可動ブレードBLとの間に、液体Lqが保持されている。
【0106】
可動ブレードBLとウエハステージWST1とがさらに+Y方向に移動すると、図17に示されるように、液浸空間が可動ブレードBL上に完全に移動する。すなわち、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しが完了する。
【0107】
液浸空間の受け渡しが完了すると、主制御装置20は、図17中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1をさらに+Y方向に駆動して、微動ステージWFS1をセンターテーブル130上に位置させる(図13(B)参照)。この時、粗動ステージWCS1は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS1を支持した状態となる。すなわち、粗動ステージWCS1により、微動ステージWFS1がセンターテーブル130の真上に搬送される。図18には、このときの露光装置100の状態が平面図にて示されている。ただし、可動ブレードBLの図示は省略されている。他の平面図においても同様である。
【0108】
そして、主制御装置20は、図13(B)中に白抜き矢印で示されるように、センターテーブル130の駆動装置132を介してテーブル本体136を上方に駆動して、下方から微動ステージWFS1を支持させる。同時に、主制御装置20は、図13(B)及び図18に示されるように、ロボットアーム140を黒塗り矢印の方向(−Y方向)に駆動して、センターテーブル130(テーブル本体136)の下方に位置させる。
【0109】
センターテーブル130が微動ステージWFS1を支持した後、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図19に示されるように、粗動ステージWCS1を第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離する。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS1から離脱可能となる。そこで、主制御装置20は、図13(C)中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を支持しているテーブル本体136を下方に駆動する。これにより、微動ステージWFS1が、センターテーブル130からロボットアーム140に受け渡される。受け渡し完了後、主制御装置20は、図13(C)及び図19中に黒塗り矢印で示されるように、ロボットアーム140を+Y方向に駆動して、微動ステージWFS1をウエハ交換位置ULP/LPに搬送する。
【0110】
図13(D)及び図20には、微動ステージWFS1がウエハ交換位置ULP/LPに搬送された直後の状態が示されている。ロボットアーム140を用いた微動ステージWFS1のウエハ交換位置ULP/LPへの搬送と並行して、主制御装置20は、図13(D)及び図20に示されるように、粗動ステージWCS1(第1部分WCS1aと第2部分WCS1b)を、ウエハステージWST2の移動経路から退避させるため、露光ステーション200の内部又は近くに移動させる。このとき、主制御装置20は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとを合体後、不図示のロック機構をロックする。ロック後、主制御装置20は、粗動ステージWCS1を−Y方向に駆動する。
【0111】
粗動ステージWCS1の退避後、主制御装置20は、前述の待機位置で待機しているウエハステージWST2を、図20中に白抜き矢印で示されるように、+X方向に駆動して、センターテーブル130の位置に移動させる。これにより、粗動ステージWCS2により、微動ステージWFS2がセンターテーブル130の真上に搬送される。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態となる(図21参照)。
【0112】
次いで、主制御装置20は、ウエハステージWST2を、時計回りに90度回転させる。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態で、センターテーブル130の軸を中心として回転する。その結果、ウエハステージWST2は、図22に示されるように、−Y方向を向く。
【0113】
次に、主制御装置20は、図22中に白抜き矢印で示されるように、粗動ステージWCS1を+Y方向に駆動して、露光ステーション200の内部又は近くにある粗動ステージWCS1をウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)に近接させる(ほぼ接触させる)。次いで、主制御装置20は、微動ステージ駆動系52A,52Bを介して微動ステージWFS2を、図23(A)及び図24中に黒塗り矢印で示されるように、−Y方向に駆動して、微動ステージWFS2を粗動ステージWCS2から粗動ステージWCS1に移載(スライド移動)する。
【0114】
次に、主制御装置20は、微動ステージWFS2を支持した粗動ステージWCS1を、図23(B)及び図25中に白抜き矢印で示されるように、−Y方向に駆動して、先端レンズ191との間で保持されている液浸空間を、可動ブレードBLから微動ステージWFS2に渡す。この液浸空間(液体Lq)の受け渡しは、前述した微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸領域の受け渡しと逆の手順で行われる。
【0115】
そして、主制御装置20は、露光開始に先立って、前述の一対のレチクルアライメント系RA1,RA2、及び微動ステージWFS2の計測プレート86上の一対の第1基準マークなどを用いて、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順(例えば、米国特許第5,646,413号明細書などに開示される手順)で、レチクルアライメントを行う。主制御装置20は、レチクルアライメントの結果と先に実行済みのウエハアライメントの結果(第2基準マークを基準とし、かつX座標とY座標とを入れ替えた座標変換後のウエハW上の各ショット領域の配列座標)とに基づいてステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を行い、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。この露光は、レチクルアライメント後、微動ステージWFS2を一旦−Y側に戻し、ウエハW上の+Y側のショット領域から−Y側のショット領域の順で行われる。
【0116】
上記の液浸空間の受け渡し、レチクルアライメント及び露光と並行して、以下のa.〜f.のような動作が行われている。
【0117】
a. すなわち、主制御装置20により、先にロボットアーム140を用いて微動ステージWFS1がウエハ交換位置ULP/LPに搬送された後、不図示のアンロードアーム及びロードアームによって、微動ステージWFS1上の露光済みのウエハWが、露光前の新たなウエハWに交換される。図24には、ウエハ交換が完了した状態が示されている。
【0118】
ここで、アンロードアーム及びロードアームは、一例としていわゆるベルヌーイ・チャックをそれぞれ有している。ここで、ウエハ交換位置には、不図示のテーブルが設置されており、ウエハ交換は、微動ステージWFS1(又はWFS2)がテーブル上に載置された状態で行われる。微動ステージWFS1(又はWFS2)がテーブル上にあるとき、微動ステージWFS1のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室(減圧空間)が、不図示の給気管路及び配管を介して、加圧気体の供給源に接続された給気用ポンプに接続されている。また、微動ステージWFS2のウエハホルダ(図示省略)とウエハWの裏面とにより形成される減圧室(減圧空間)が、不図示の排気管路及び配管を介してバキュームポンプに接続されている。ウエハのアンロードに際しては、給気用ポンプを主制御装置20が作動させることにより、ウエハホルダによるウエハWの吸着解除と、下方からの加圧気体の吹き出しによる、ベルヌーイ・チャックによるウエハWの吸着保持動作に対するアシストが行われる。なお、ウエハが吸着されているときを含み、ポンプの停止状態(非作動状態)では、不図示のチェック弁の作用により、給気管路は閉じられている。一方、ウエハのロードに際しては、バキュームポンプを主制御装置20が作動させることにより、減圧室内の気体が排気管路及び配管を介して外部に排気され、減圧室内が負圧となって、ウエハホルダによるウエハWの吸着が開始される。そして、減圧室内が所定の圧力(負圧)となったとき、主制御装置20によりバキュームポンプが停止される。バキュームポンプが停止されると、不図示のチェック弁の作用により、排気管路は閉じられる。従って、減圧室の減圧状態が維持され、減圧室の気体を真空吸引するためのチューブなどを微動ステージWFS1(又はWF2)に接続しなくても、ウエハWがウエハホルダに保持される。このため、微動ステージWFS1(又はWF2)を、粗動ステージから分離して支障なく搬送することができる。
【0119】
b. ウエハ交換後、主制御装置20によって、ロボットアーム140が、図23(A)及び図24中に黒塗り矢印で示されるように、微動ステージWFS2のスライド移動と並行して、−Y方向に駆動され、新たなウエハWがロードされた微動ステージWFS1が、センターテーブル130(テーブル本体136)の上方に搬送される。
【0120】
c.次いで、主制御装置20により、不図示のロック機構が解除され、図25に示されるように、粗動ステージWCS2が第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離される。次いで、主制御装置20により、図23(B)中に白抜き矢印で示されるように、テーブル本体136が上方に駆動される。これにより、先にテーブル本体136の上方に搬送された微動ステージWFS1が、ロボットアーム140からセンターテーブル130に受け渡される。
【0121】
d. その後、主制御装置20により、テーブル本体136がさらに上方に駆動され、微動ステージWFS1が、粗動ステージWCS2によって保持される際の高さ(面位置)に位置決めされ、図26に白抜き矢印で示されるように、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが、接近する方向に駆動されて、両部分が合体される。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS2に支持される。そして、主制御装置20により、図23(C)及び図26中に、それぞれ白抜き矢印、黒塗り矢印で示されるように、テーブル本体136が下方に駆動されるるとともに、ロボットアーム140が+Y方向に駆動される。
【0122】
e. 次いで、主制御装置20により、ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)が、図27中に白抜き矢印で示されるように、反時計回りに90度回転させられる。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS1を支持した状態で、センターテーブル130の軸を中心として回転する。これにより、ウエハステージWST2は+X方向を向く。次に、主制御装置20により、図28中に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST2が−X方向に駆動され、計測ステーション300内に移動する。
【0123】
f. その後、粗動ステージWCS2に支持された微動ステージWFS1上の第2基準マークの検出、微動ステージWFS1上のウエハWのアライメント等が、前述と同様の手順で行われる。そして、主制御装置20により、ウエハアライメントの結果から得られるウエハW上の各ショット領域の配列座標が、第2基準マークを基準とし、かつX座標とY座標とを入れ替えた座標変換後の配列座標に変換される。この場合も、微動ステージ位置計測系70Bを用いて、アライメントの際の微動ステージWFS1の位置計測が行われる。図28には、微動ステージWFS1上のウエハWのアライメントが行われている状態が示されている。
【0124】
図28に示される状態は、前述の図12に示される状態と同様、すなわち露光ステーション200にある微動ステージWFS2に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、計測ステーション300にある微動ステージWFS1に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている最中の状態である。
【0125】
以降、主制御装置20により、微動ステージWFS1、WFS2を順次用いて、前述と同様の並行処理が、繰り返し行われ、複数枚のウエハWに対する露光処理が連続して行われる。
【0126】
《並行処理動作(その2)》
次に、本実施形態の露光装置100において、2つの微動ステージWFS1、WFS2を用いて行われる並行処理動作(その2)について、説明する。
【0127】
図12には、微動ステージWFS1が露光ステーション200にあり、その微動ステージWFS1に保持されたウエハWに上述した露光が行われ、微動ステージWFS2が計測ステーション300にあり、その微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するアライメントが行われている状態が示されている。
【0128】
この場合、微動ステージWFS2に保持されたウエハWに対するウエハアライメントが終了する。次いで、主制御装置20は、図29中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を保持する粗動ステージWCS2(ウエハステージWST2)を+X方向に駆動して、センターテーブル130の位置に移動させる。これにより、粗動ステージWCS2により、微動ステージWFS2がセンターテーブル130の真上に搬送される。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態となる。
【0129】
次いで、主制御装置20は、図30中に白抜き矢印で示されるように、ウエハステージWST2を、時計回りに90度回転させる。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態で、センターテーブル130の軸を中心として回転する。その結果、ウエハステージWST2は、図31に示されるように、−Y方向を向く(図32(A)参照)。
【0130】
次に、主制御装置20は、図32(A)中に白抜き矢印で示されるように、センターテーブル130の駆動装置132を介してテーブル本体136を上方に駆動して、下方から微動ステージWFS2を支持させる。
【0131】
そして、この状態で、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図33に示されるように、粗動ステージWCS2を、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離する。これにより、微動ステージWFS2が粗動ステージWCS2から離脱可能となる。そこで、主制御装置20は、図32(B)中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を支持しているテーブル本体136を下方に駆動する。そして、主制御装置20は、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとを、図34中に白抜き矢印で示されるように、相互に接近する方向に駆動して両部分を合体後、不図示のロック機構をロックする。この状態で、主制御装置20は、微動ステージWFS1上のウエハWに対する露光が終了するまで待機する。
【0132】
露光の終了後、主制御装置20は、先に図14〜図17を用いて説明したような手順で、ウエハステージWST1と可動ブレードBLとを駆動して、微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸空間の受け渡しを行う。そして、主制御装置20は、図32(C)及び図34中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS1を保持する粗動ステージWCS1をさらに+Y方向に駆動して、粗動ステージWCS2に近接させる(ほぼ接触させる)。次いで、主制御装置20は、図32(C)及び図34中に黒塗り矢印で示されるように、微動ステージWFS1を+Y方向に駆動して、微動ステージWFS1を粗動ステージWCS1から粗動ステージWCS2に移載(スライド移動)するとともに、粗動ステージWCS1及びWCS2を+Y方向に駆動して、図32(D)及び図35に示される位置、すなわち粗動ステージWCS1の内部空間にセンターテーブル130が収容される位置まで移動させる。
【0133】
次いで、主制御装置20は、不図示のロック機構を解除し、図36に示されるように、粗動ステージWCS1を、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとに分離した後、微動ステージWFS2を支持しているテーブル本体136を所定量上方に駆動する。これにより、微動ステージWFS2が、粗動ステージWCS1により支持可能となる高さの位置に移動する。そして、主制御装置20は、第1部分WCS1aと第2部分WCS1bとを、図37中に白抜き矢印で示されるように、相互に接近する方向に駆動して両部分を合体後、不図示のロック機構をロックする。これにより、粗動ステージWCS1により微動ステージWFS2が支持される。
【0134】
次いで、主制御装置20は、微動ステージWFS2を支持した粗動ステージWCS1を、図37中に白抜き矢印で示されるように、投影光学系PLに向かって−Y方向に移動させ、その移動の途中で、可動ブレードBLから微動ステージWFS2に、先端レンズ191との間で保持されている液浸空間を渡す。この液浸空間(液体Lq)の受け渡しは、前述した微動ステージWFS1から可動ブレードBLへの液浸領域の受け渡しと逆の手順で行われる。
【0135】
そして、主制御装置20は、露光開始に先立って、前述の一対のレチクルアライメント系RA1、RA2、及び微動ステージWFS2の計測プレート86上の一対の第1基準マークなどを用いて、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順(例えば、米国特許第5,646,413号明細書などに開示される手順)で、レチクルアライメントを行う。主制御装置20は、レチクルアライメントの結果と先に実行済みのウエハアライメントの結果(第2基準マークを基準とし、かつX座標とY座標とを入れ替えた座標変換後のウエハW上の各ショット領域の配列座標)とに基づいて、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作を行い、ウエハW上の複数のショット領域にレチクルRのパターンをそれぞれ転写する。
【0136】
上記の液浸空間の受け渡し、レチクルアライメント及び露光と並行して、以下のg.〜m.のような動作が行われている。
【0137】
g. すなわち、主制御装置20により、図37に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を支持した粗動ステージWCS1の−Y方向に駆動と並行して、微動ステージWFS1を支持した粗動ステージWCS2が−Y方向に駆動され、微動ステージWFS1がセンターテーブル130の真上に搬送される。図38には、このときの露光装置100の状態が平面図にて示されている。次いで、主制御装置20によって、テーブル本体136が上方に駆動される。これにより、センターテーブル130(テーブル本体136)によって微動ステージWFS1が下方から支持される。
【0138】
h. 次に、主制御装置20によって、不図示のロック機構が解除され、図39に示されるように、粗動ステージWCS2が、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離される。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS2から離脱可能となる。粗動ステージWCS2の分離と並行して、主制御装置20により、ロボットアーム140が図39中に黒塗り矢印で示されるように−Y方向に駆動され、微動ステージWFS1を支持するテーブル本体136の下方に移動される。
【0139】
i. 次に、主制御装置20により、微動ステージWFS1を支持しているテーブル本体136が下方に駆動される。これにより、微動ステージWFS1が、センターテーブル130(テーブル本体136)からロボットアーム140に受け渡される。次いで、主制御装置20により、図40中に黒塗り矢印で示されるように、ロボットアーム140が+Y方向に駆動され、微動ステージWFS1がウエハ交換位置ULP/LPに搬送される。図40には、微動ステージWFS1が、ウエハ交換位置ULP/LPに搬送された状態が示されている。
【0140】
j. 次に、不図示のアンロードアーム及びロードアームによって、微動ステージWFS1上の露光済みのウエハWが、露光前の新たなウエハWに交換される。図41には、ウエハ交換が完了した状態が示されている。
【0141】
k. 次に、主制御装置20により、図42中に黒塗り矢印で示されるように、ロボットアーム140が−Y方向に駆動され、新たなウエハWがロードされた微動ステージWFS1が、センターテーブル130(テーブル本体136)の上方に搬送される。次いで、主制御装置20により、テーブル本体136が上方に駆動される。これにより、微動ステージWFS1が、ロボットアーム140からセンターテーブル130に受け渡される。
【0142】
l. その後、主制御装置20により、テーブル本体136がさらに上方に駆動され、微動ステージWFS1が、粗動ステージWCS2により支持可能となる高さの位置に位置決めされる。次いで、主制御装置20により、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが、図43中に白抜き矢印で示されるように、相互に接近する方向に駆動されて、両部分が合体された後、不図示のロック機構がロックされる。これにより、微動ステージWFS1が粗動ステージWCS2に装着される。その後、主制御装置20により、テーブル本体136の下降駆動、及びロボットアーム140の+Y方向への移動(退避)が行われる(図43中の黒塗り矢印参照)。
【0143】
m. 次いで、主制御装置20により、前述のe.及びf.と同様の処理が行われる。すなわち、主制御装置20により、ウエハステージWST2(粗動ステージWCS2)が、反時計回りに90度回転させられた後、計測ステーション300へ移動させられ、粗動ステージWCS2に支持されている微動ステージWFS1上の新たなウエハWに対するアライメントが実行される。
【0144】
以降、主制御装置20により、微動ステージWFS1、WFS2を順次用いて、前述と同様の並行処理が、繰り返し行われ、複数枚のウエハWに対する露光処理が連続して行われる。
【0145】
以上詳細に説明したように、本実施形態の露光装置100によると、投影光学系PL等を備える露光ステーション200とアライメント装置99等を備える計測ステーション300とが、それぞれの基準軸LV,LHが直交するように、配置されている。すなわち、露光ステーション200内に備えられる計測アーム71Aの長手方向と計測ステーション300内に備えられる計測アーム71Bの長手方向とが直交する。さらに、露光ステーション200と計測ステーション300とのそれぞれから離間する基準軸LV,LHの交点上に、粗動ステージWCS1,WCS2間で微動ステージWFS1,WFS2をリレーするためのセンターテーブル130が設置されている。このように露光ステーション200と計測ステーション300とを直交配置することにより、ツインステージ方式の露光装置100のフットプリントの狭小化を図ることが可能となる。
【0146】
また、本実施形態の露光装置100によると、主制御装置20は、露光ステーション200において露光が行われたウエハWを保持する微動ステージ(WFS1又はWFS2)を、粗動ステージWCS1からセンターテーブル130のテーブル本体136に渡し、ロボットアーム140により、テーブル本体136上の微動ステージをウエハ交換位置ULP/LPに搬送することができる。また、主制御装置20は、露光ステーション200において露光が行われたウエハWを保持する微動ステージ(WFS1又はWFS2)を、粗動ステージWCS1から粗動ステージWCS2に移載し、粗動ステージWCS2からセンターテーブル130のテーブル本体136に渡し、ロボットアーム140により、テーブル本体136上の微動ステージをウエハ交換位置ULP/LPに搬送することができる。いずれにしても、露光ステーション200と計測ステーション300とを結ぶ経路から外れた位置にあるウエハ交換位置ULP/LPに、露光済みのウエハWを保持する微動ステージが搬送された後に露光済みのウエハを新たなウエハに交換するウエハ交換が行われる。従って、1つの微動ステージ上に保持されたウエハに対する露光動作と少なくとも一部並行して、ウエハ交換を、ウエハ交換位置ULP/LPで行うことが可能となり、スループットを殆ど低下させることなく、ウエハ処理を実現することが可能である。
【0147】
また、本実施形態の露光装置100によると、微動ステージWFS1,WFS2のXY平面に実質的に平行な一面にグレーティングRGが形成された計測面がそれぞれ設けられている。微動ステージWFS1(又はWFS2)が、粗動ステージWCS1(又はWCS2)により、XY平面に沿って相対移動可能に保持される。そして、微動ステージ位置計測系70A(又は70B)が、粗動ステージWCS1の空間部内にグレーティングRGが形成された計測面に対向して配置され、計測面に一対の計測ビームをそれぞれ照射し、該計測ビームの計測面からの光(例えば各計測ビームのグレーティングRGによる一次回折ビームの合成ビームLBx12、LBya12、LByb12)を受光するXヘッド77x、Yヘッド77ya,77ybを有している。そして、微動ステージ位置計測系70A(又は70B)により、そのXヘッド77x、Yヘッド77ya,77ybの出力に基づいて微動ステージWFS1(又はWFS2)の少なくともXY平面内の位置情報(θz方向の回転情報を含む)が計測される。このため、微動ステージWFS1(又はWFS2)のグレーティングRGが形成された計測面にXヘッド77x、Yヘッド77ya,77ybから一対の計測ビームをそれぞれ照射して、いわゆる裏面計測により微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報を精度良く計測することが可能となる。そして、主制御装置20により、微動ステージ駆動系52A(及び粗動ステージ駆動系51A)(又は微動ステージ駆動系52B(及び粗動ステージ駆動系51B))を介して、微動ステージ位置計測系70A(又は70B)で計測された位置情報に基づいて、微動ステージWFS1(又はWFS2)が、単独で若しくはWCS1(又はWCS2)と一体で駆動される。また、上述の如く、微動ステージ上に上下動部材を設ける必要がないので、上記の裏面計測を採用しても特に支障は生じない。
【0148】
また、本実施形態の露光装置100によると、露光ステーション200において、粗動ステージWCS1に相対移動可能に保持された微動ステージWFS1(又はWFS2)上に載置されたウエハWがレチクルR及び投影光学系PLを介して露光光ILで露光される。この際、粗動ステージWCS1に移動可能に保持されている微動ステージWFS1(又はWFS2)のXY平面内の位置情報は、主制御装置20により、微動ステージWFS1(又はWFS2)に配置されたグレーティングRGに対向する計測アーム71Aを有する微動ステージ位置計測系70Aのエンコーダシステム73を用いて計測される。この場合、粗動ステージWCS1には、その内部に空間部が形成され、微動ステージ位置計測系70Aの各ヘッドは、この空間部内に配置されているので、微動ステージWFS1(又はWFS2)と微動ステージ位置計測系70Aの各ヘッドとの間には、空間が存在するのみである。従って、各ヘッドを微動ステージWFS1(又はWFS2)(グレーティングRG)に近接して配置することができ、これにより、微動ステージ位置計測系70Aによる微動ステージ(又はWFS2)の位置情報の高精度な計測が可能になる。また、この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51A及び/又は微動ステージ駆動系52Aを介した微動ステージWFS1(又はWFS2)の高精度な駆動が可能になる。
【0149】
また、この場合、計測アーム71Aから射出される、微動ステージ位置計測系70Aを構成するエンコーダシステム73、レーザ干渉計システム75の各ヘッドの計測ビームのグレーティングRG上の照射点は、ウエハWに照射される露光光ILの照射領域(露光領域)IAの中心(露光位置)に一致している。従って、主制御装置20は、いわゆるアッベ誤差の影響を受けることなく、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を高精度に計測することができる。また、計測アーム71AをグレーティングRGの直下に配置することによって、エンコーダシステム73の各ヘッドの計測ビームの大気中の光路長を極短くできるので、空気揺らぎの影響が低減され、この点においても、微動ステージWFS1(又はWFS2)の位置情報を高精度に計測することができる。
【0150】
また、本実施形態では、計測ステーション300には、微動ステージ位置計測系70Aと同様に構成された微動ステージ位置計測系70Bが設けられている。そして、計測ステーション300において、粗動ステージWCS2に保持された微動ステージWFS2(又はWFS1)上のウエハWに対するウエハアライメントがアライメント系AL1、AL21〜AL24などによって行われる際、粗動ステージWCS2に移動可能に保持されている微動ステージWFS2(又はWFS1)のXY平面内の位置情報が、微動ステージ位置計測系70Bによって高精度に計測される。この結果、主制御装置20による粗動ステージ駆動系51B及び/又は微動ステージ駆動系52Bを介した微動ステージWFS2(又はWFS1)の高精度な駆動が可能になる。
【0151】
従って、例えば、そのウエハWを照明光ILで露光することで、そのウエハWの全面に渡ってパターンを精度良く形成することが可能になる。
【0152】
また、本実施形態の露光装置100によると、微動ステージWFS1(又はWFS2)を精度良く駆動することができるので、この微動ステージWFS1(又はWFS2)に載置されたウエハWをレチクルステージRST(レチクルR)に同期して精度良く駆動し、走査露光により、レチクルRのパターンをウエハW上に精度良く転写することが可能になる。
【0153】
なお、上記実施形態の露光装置100では、露光ステーション200と計測ステーション300とを直交配置する構成を採用したが、これに限らず、基準軸LV,LHが90度以外の角度で交差するように配置する構成を採用することも可能である。これによっても、基準軸LV,LHが平行する露光ステーション200と計測ステーション300との配置に対して、フットプリントの小さいツインステージ方式の露光装置を構成することが可能となる。
【0154】
また、上記実施形態の露光装置100では、ウエハ交換位置ULP/LPを、露光ステーション200とセンターテーブル130との結ぶ基準軸LVの延長上に配置したが、これに限らず、例えば、計測ステーション300とセンターテーブル130との結ぶ基準軸LHの延長上に配置することも可能である。
【0155】
なお、上記実施形態の露光装置100では、ウエハステージWST2が、すなわち微動ステージWFS1,WFS2を支持する粗動ステージWCS2がセンターテーブル130の位置にて回転して、微動ステージWFS1,WFS2の向きを変える構成を採用したが、これに限らず、センターテーブル130(テーブル本体136)を、軸134を中心として回動(若しくは回転)可能に構成し、テーブル本体136が微動ステージWFS1,WFS2を支持して回転することにより、微動ステージWFS1,WFS2の向きを変える構成を採用することも可能である。この場合、一例として、アライメントが終了したウエハWを保持する微動ステージWFS2を、粗動ステージWCS2から、粗動ステージWCS1に受け渡す場合には、次のような手順の処理が行われることとすることができる。
【0156】
まず、図44に示されるように、主制御装置20により、粗動ステージWCS1(第1部分WCS1aと第2部分WCS1b)が、ウエハステージWST2の移動経路から退避させられた後、センターテーブル130が図44中に白抜き矢印で示されるように、反時計回りに90度回転させられる。図44には、回転前の状態が仮想線で示されている。次いで、主制御装置20により、待機位置で待機しているウエハステージWST2が、図44中に白抜き矢印で示されるように、+X方向に駆動され、図45に示される位置(センターテーブル130の位置)に移動する。これにより、粗動ステージWCS2により、微動ステージWFS2がセンターテーブル130の真上に搬送される。このとき、粗動ステージWCS2は、その内部空間にセンターテーブル130を収容し、かつそのセンターテーブル130の真上で微動ステージWFS2を支持した状態となる。
【0157】
次いで、主制御装置20により、テーブル本体136が上方に駆動され、センターテーブル130(テーブル本体136)によって微動ステージWFS2が下方から支持される。次に、主制御装置20により、不図示のロック機構が解除され、図46に示されるように、粗動ステージWCS2が第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとに分離される。その後、主制御装置20により、図47中に白抜き矢印で示されるように、第1部分WCS2aと第2部分WCS2bとが、計測ステーション300に向けて駆動され、退避させられる。次いで、主制御装置20により、図47中に白抜き矢印で示されるように、微動ステージWFS2を下方から支持したセンターテーブル130が、時計回りに90度回転させられて、もとの状態に戻される。
【0158】
その後、主制御装置20により、粗動ステージWCS1が、図47中に黒塗り矢印で示されるように、センターテーブル130の位置に向けて駆動される。このとき、センターテーブル130の高さが適切に調整されることで、粗動ステージWCS1の移動により、微動ステージWCS2が、センターテーブル130から粗動ステージWCS1に装着される。このようして、アライメントが終了したウエハWを保持する微動ステージWFS2が、粗動ステージWCS2から、センターテーブル130を介して、粗動ステージWCS1に受け渡される。その他の場合も、センターテーブル130の回転、上下動、及び粗動ステージWCS1又はWCS2の分離との適宜な組み合わせで、微動ステージWFS1又はWFS2のセンターテーブル130を介した受け渡しが行われることとなる。
【0159】
なお、上記実施形態におけるセンターテーブル130上の微動ステージの搬出入に着目すれば、露光済みのウエハWを保持する微動ステージがセンターテーブル130上から主制御装置20の制御下にあるロボットアーム140によって搬出され、新たなウエハWを保持する微動ステージがロボットアーム140によってセンターテーブル130上に搬入されている。従って、ロボットアーム140によってウエハWは微動ステージと一体で交換されているとも言える。なお、微動ステージが3つ以上ある場合には、ウエハWと微動ステージとを、別の微動ステージと別のウエハとに交換することができる。
【0160】
なお、上記実施形態では、微動ステージ位置計測系70A,70Bが、全体が例えばガラスによって形成され、内部を光が進行可能な計測アーム71A,71Bを備える場合を説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば、計測アームは、少なくとも前述の各レーザビームが進行する部分が、光を透過可能な中実な部材によって形成されていれば良く、その他の部分は、例えば光を透過させない部材であっても良いし、中空構造であっても良い。また、例えば計測アームとしては、グレーティングに対向する部分から計測ビームを照射できれば、例えば計測アームの先端部に光源や光検出器等を内蔵していても良い。この場合、計測アームの内部にエンコーダの計測ビームを進行させる必要は無い。
【0161】
また、計測アームは、各レーザビームが進行する部分(ビーム光路部分)が中空などでも良い。あるいは、エンコーダシステムとして、格子干渉型のエンコーダシステムを採用する場合には、回折格子が形成される光学部材を、セラミックス又はインバーなどの低熱膨張性のアームに設けるだけでも良い。これは、特にエンコーダシステムでは、空気揺らぎの影響を極力受けないように、ビームが分離している空間が極めて狭く(短く)なっているからである。さらに、この場合、温度制御した気体を、微動ステージ(ウエハホルダ)と計測アームとの間(及びビーム光路)に供給して温度安定化を図っても良い。さらに、計測アームは、その形状は特に問わない。また、微動ステージ位置計測系70A,70Bは、必ずしも、計測アームを備えている必要はなく、粗動ステージWCS1,WCS2の空間部内にグレーティングRGに対向して配置され、該グレーティングRGに少なくとも1本の計測ビームを照射し、該計測ビームのグレーティングRGからの回折光を受光するヘッドを有し、該ヘッドの出力に基づいて微動ステージWFS1(又はWFS2)の少なくともXY平面内の位置情報を計測できれば足りる。
【0162】
また、上記実施形態では、エンコーダシステム73が、Xヘッドと一対のYヘッドとを備える場合について例示したが、これに限らず、例えばX軸方向及びY軸方向の2方向を計測方向とする二次元ヘッド(2Dヘッド)を、1つ又は2つ設けても良い。2Dヘッドを2つ設ける場合には、それらの検出点がグレーティング上で露光位置を中心として、X軸方向に同一距離離れた2点になるようにしても良い。
【0163】
なお、微動ステージ位置計測系70Aは、レーザ干渉計システム75を備えることなく、エンコーダシステム73のみで微動ステージの6自由度方向に関する位置情報を計測できるようにしても良い。この場合、例えばX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダを用いることができる。例えば、2次元のグレーティングRG上の同一直線上に無い3つの計測点に、X軸方向とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダと、Y軸方向とZ軸方向に関する位置情報を計測可能なエンコーダとを含む合計3つのエンコーダから計測ビームを照射し、グレーティングRGからのそれぞれの戻り光を受光することで、グレーティングRGが設けられた移動体の6自由度方向の位置情報を計測することとすることができる。また、エンコーダシステム73の構成は上記実施形態に限られないで任意で構わない。
【0164】
なお、上記実施形態では、微動ステージの上面、すなわちウエハに対向する面にグレーティングが配置されているものとしたが、これに限らず、グレーティングは、ウエハを保持するウエハホルダに形成されていても良い。この場合、露光中にウエハホルダが膨張したり、微動ステージに対する装着位置がずれたりした場合であっても、これに追従してウエハホルダ(ウエハ)の位置を計測することができる。また、グレーティングは、微動ステージの下面に配置されていても良く、この場合、エンコーダヘッドから照射される計測ビームが微動ステージの内部を進行しないので、微動ステージを光が透過可能な中実部材とする必要がなく、微動ステージを中空構造にして内部に配管、配線等を配置することができ、微動ステージを軽量化できる。
【0165】
なお、上記実施形態では、微動ステージWFS1,WFS2は、全6自由度方向に駆動可能であったが、これに限らず少なくともXY平面に平行な二次元平面内を移動できれば良い。また、微動ステージWFS1,WFS2は、粗動ステージWCS1,WCS2に接触支持されていても良い。従って、微動ステージを粗動ステージ又はリレーステージに対して駆動する微動ステージ駆動系は、例えばロータリモータとボールねじ(又は送りねじ)とを組み合わせたものであっても良い。
【0166】
なお、ウエハステージの移動範囲全域でその位置計測が可能となるように微動ステージ位置計測系を構成しても良い。この場合にはウエハステージ位置計測系16が不要になる。また、上記実施形態において、ベース盤12をウエハステージの駆動力の反力の作用により移動可能なカウンタマスとしても良い。この場合、粗動ステージをカウンタマスとして使用してもしなくても良いし、粗動ステージを上記実施形態と同様にカウンタマスとして使用するときでも粗動ステージを軽量化することができる。
【0167】
なお、上記実施形態では、計測ステーション300において、ウエハWに対する計測の一例としてアライメントマーク計測(ウエハアライメント)が行われるものとしたが、これに加えて(あるいはこれに代えて)ウエハW表面の投影光学系PLの光軸AX方向の位置を計測する面位置計測が行われても良い。この場合、例えば米国特許出願公開第2008/0088843号明細書に開示されるように、面位置計測と同時に、ウエハを保持する微動ステージの上面の面位置計測を行い、これらの結果を用いて、露光時のウエハWのフォーカス・レベリング制御を行っても良い。
【0168】
なお、上記実施形態では、露光装置が液浸型の露光装置である場合について説明したが、これに限られるものではなく、液体(水)を介さずにウエハWの露光を行うドライタイプの露光装置にも本発明は好適に適用することができる。
【0169】
なお、上記実施形態では、スキャニング・ステッパに本発明が適用された場合について説明したが、これに限らず、ステッパなどの静止型露光装置に本発明を適用しても良い。ステッパなどであっても、露光対象の物体が搭載されたステージの位置をエンコーダで計測することにより、干渉計を用いてこのステージの位置を計測する場合と異なり、空気揺らぎに起因する位置計測誤差の発生を殆ど零にすることができ、エンコーダの計測値に基づいて、ステージを高精度に位置決めすることが可能になり、結果的に高精度なレチクルパターンの物体上への転写が可能になる。また、ショット領域とショット領域とを合成するステップ・アンド・スティッチ方式の縮小投影露光装置にも本発明は適用することができる。
【0170】
また、上記実施形態の露光装置における投影光学系は縮小系のみならず等倍及び拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、この投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
【0171】
また、照明光ILは、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)に限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)などの紫外光や、F2レーザ光(波長157nm)などの真空紫外光であっても良い。例えば米国特許第7,023,610号明細書に開示されているように、真空紫外光としてDFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(又はエルビウムとイッテルビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
【0172】
また、本発明の露光装置では、露光装置の照明光ILとしては波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を用いるEUV露光装置に本発明を適用することができる。その他、電子線又はイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置にも、本発明は適用できる。
【0173】
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク(レチクル)を用いたが、このレチクルに代えて、例えば米国特許第6,778,257号明細書に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて、透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれ、例えば非発光型画像表示素子(空間光変調器)の一種であるDMD(Digital Micro-mirror Device)などを含む)を用いても良い。かかる可変成形マスクを用いる場合には、ウエハ又はガラスプレート等が搭載されるステージが、可変成形マスクに対して走査されるので、このステージの位置をエンコーダシステム及びレーザ干渉計システムを用いて計測することで、上記実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0174】
また、例えば国際公開第2001/035168号に開示されているように、干渉縞をウエハW上に形成することによって、ウエハW上にライン・アンド・スペースパターンを形成する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
【0175】
さらに、例えば米国特許第6,611,316号明細書に開示されているように、2つのレチクルパターンを、投影光学系を介してウエハ上で合成し、1回のスキャン露光によってウエハ上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置にも本発明を適用することができる。
【0176】
なお、上記実施形態でパターンを形成すべき物体(エネルギビームが照射される露光対象の物体)はウエハに限られるものでなく、ガラスプレート、セラミック基板、フィルム部材、あるいはマスクブランクスなど他の物体でも良い。
【0177】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを転写する液晶用の露光装置や、有機EL、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD等)、マイクロマシン及びDNAチップなどを製造するための露光装置にも広く適用できる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。
【0178】
半導体素子などの電子デバイスは、デバイスの機能・性能設計を行うステップ、この設計ステップに基づいたレチクルを製作するステップ、シリコン材料からウエハを製作するステップ、前述した実施形態の露光装置(パターン形成装置)及びその露光方法によりマスク(レチクル)のパターンをウエハに転写するリソグラフィステップ、露光されたウエハを現像する現像ステップ、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去るエッチングステップ、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除くレジスト除去ステップ、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)、検査ステップ等を経て製造される。この場合、リソグラフィステップで、上記実施形態の露光装置により前述の露光方法が実行され、ウエハ上にデバイスパターンが形成されるので、高集積度のデバイスを生産性良く製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0179】
以上説明したように、本発明の露光装置は、エネルギビームを物体上に照射して物体上にパターンを形成するのに適している。また、本発明のデバイス製造方法は、電子デバイスを製造するのに適している。
【符号の説明】
【0180】
20…主制御装置、70A,70B…微動ステージ位置計測系、71A,71B…計測アーム、RG…グレーティング、77x…Xヘッド、77ya、77yb…Yヘッド、100…露光装置、130…センターテーブル、132…駆動装置、134…駆動軸、136…テーブル本体、140…ロボットアーム、200…露光ステーション、300…計測ステーション、AL1,AL21〜AL24…アライメント系、W…ウエハ、WCS1,WCS2…粗動ステージ、WFS1,WFS2…微動ステージ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体にエネルギビームを照射する露光が行われる露光位置の近傍の第1領域内で、前記物体を保持する保持部材を相対駆動可能に支持して、互いに交差する第1及び第2軸を含む二次元平面内で移動する第1移動体と;
前記第1軸に平行な方向に延びる第1アーム部材の一部から前記第1移動体に支持された前記保持部材の計測面に計測ビームを照射し、前記計測面からの戻り光を受光することによって、前記第1移動体に支持された前記保持部材の位置情報を計測する第1位置計測系と;
前記物体に対する所定計測が行われる計測位置の近傍の第2領域内で、前記保持部材を相対駆動可能に支持して、前記二次元平面内で移動する第2移動体と;
前記第2軸に平行な方向に延びる第2アーム部材の一部から前記第2移動体に支持された前記保持部材の計測面に計測ビームを照射し、前記計測面からの戻り光を受光することによって、前記第2移動体に支持された前記保持部材の位置情報を計測する第2位置計測系と;
前記第1アーム部材の中心軸の延長線と前記第2アーム部材の中心軸の延長線との交点の近傍の所定位置に配置され、前記第1移動体と前記第2移動体との間で受け渡される前記保持部材が一時的に載置されるリレー部材を含み、前記保持部材を前記第1、第2移動体間でリレーするリレー系と;を備える露光装置。
【請求項2】
前記第1移動体は、前記第1領域と前記所定位置との間を移動し、
前記第2移動体は、前記第2領域と前記所定位置との間を移動する請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1位置計測系の計測情報に基づいて、前記第1移動体と該第1移動体に支持される前記保持部材との少なくとも一方を駆動する制御系をさらに備える請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記制御系は、さらに、前記第2位置計測系の計測情報に基づいて、前記第2移動体と該第2移動体に支持される前記保持部材との少なくとも一方を駆動する請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1位置計測系の検出中心は、前記エネルギビームの照射領域の中心である露光位置に一致する請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記計測位置に検出中心が配置され、前記物体上のマークを検出するマーク検出系をさらに備え、
前記第2位置計測系の検出中心は、前記マーク検出系の検出中心に一致する請求項1〜5いずれか一項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記リレー部材は、前記保持部材を保持して上下動可能であり、
前記リレー系は、前記リレー部材との間で前記保持部材を受け渡し可能で、少なくとも前記第1軸及び前記第2軸の少なくとも一方に平行な方向に移動可能な搬送部材をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記リレー部材は、前記保持部材を保持して前記二次元平面に垂直な軸回りに少なくとも一方向に回転可能である請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記リレー系は、露光済みの物体を保持する前記保持部材を前記リレー部材を介して外部に搬出した後、前記計測が終了した物体を保持する保持部材を前記第2移動体から前記リレー部材を介して前記第1移動体にリレーする請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項10】
前記リレー系は、露光済みの物体を保持する前記保持部材を前記リレー部材を介して外部に搬出するのに先だって、前記計測が終了した物体を保持する保持部材を前記第2移動体から前記リレー部材を介して前記第1移動体にリレーする請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項11】
前記計測面には、グレーティングが形成され、
前記第1及び第2位置計測系は、前記グレーティングからの回折光を受光する請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の露光装置により物体を露光することと;
露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。
【請求項1】
物体にエネルギビームを照射する露光が行われる露光位置の近傍の第1領域内で、前記物体を保持する保持部材を相対駆動可能に支持して、互いに交差する第1及び第2軸を含む二次元平面内で移動する第1移動体と;
前記第1軸に平行な方向に延びる第1アーム部材の一部から前記第1移動体に支持された前記保持部材の計測面に計測ビームを照射し、前記計測面からの戻り光を受光することによって、前記第1移動体に支持された前記保持部材の位置情報を計測する第1位置計測系と;
前記物体に対する所定計測が行われる計測位置の近傍の第2領域内で、前記保持部材を相対駆動可能に支持して、前記二次元平面内で移動する第2移動体と;
前記第2軸に平行な方向に延びる第2アーム部材の一部から前記第2移動体に支持された前記保持部材の計測面に計測ビームを照射し、前記計測面からの戻り光を受光することによって、前記第2移動体に支持された前記保持部材の位置情報を計測する第2位置計測系と;
前記第1アーム部材の中心軸の延長線と前記第2アーム部材の中心軸の延長線との交点の近傍の所定位置に配置され、前記第1移動体と前記第2移動体との間で受け渡される前記保持部材が一時的に載置されるリレー部材を含み、前記保持部材を前記第1、第2移動体間でリレーするリレー系と;を備える露光装置。
【請求項2】
前記第1移動体は、前記第1領域と前記所定位置との間を移動し、
前記第2移動体は、前記第2領域と前記所定位置との間を移動する請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1位置計測系の計測情報に基づいて、前記第1移動体と該第1移動体に支持される前記保持部材との少なくとも一方を駆動する制御系をさらに備える請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記制御系は、さらに、前記第2位置計測系の計測情報に基づいて、前記第2移動体と該第2移動体に支持される前記保持部材との少なくとも一方を駆動する請求項3に記載の露光装置。
【請求項5】
前記第1位置計測系の検出中心は、前記エネルギビームの照射領域の中心である露光位置に一致する請求項1〜4のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記計測位置に検出中心が配置され、前記物体上のマークを検出するマーク検出系をさらに備え、
前記第2位置計測系の検出中心は、前記マーク検出系の検出中心に一致する請求項1〜5いずれか一項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記リレー部材は、前記保持部材を保持して上下動可能であり、
前記リレー系は、前記リレー部材との間で前記保持部材を受け渡し可能で、少なくとも前記第1軸及び前記第2軸の少なくとも一方に平行な方向に移動可能な搬送部材をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項8】
前記リレー部材は、前記保持部材を保持して前記二次元平面に垂直な軸回りに少なくとも一方向に回転可能である請求項7に記載の露光装置。
【請求項9】
前記リレー系は、露光済みの物体を保持する前記保持部材を前記リレー部材を介して外部に搬出した後、前記計測が終了した物体を保持する保持部材を前記第2移動体から前記リレー部材を介して前記第1移動体にリレーする請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項10】
前記リレー系は、露光済みの物体を保持する前記保持部材を前記リレー部材を介して外部に搬出するのに先だって、前記計測が終了した物体を保持する保持部材を前記第2移動体から前記リレー部材を介して前記第1移動体にリレーする請求項1〜8のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項11】
前記計測面には、グレーティングが形成され、
前記第1及び第2位置計測系は、前記グレーティングからの回折光を受光する請求項1〜10のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の露光装置により物体を露光することと;
露光された前記物体を現像することと;を含むデバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【公開番号】特開2011−100878(P2011−100878A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255091(P2009−255091)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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