説明

飲酒運転防止システム

【課題】運転者が飲酒者である際に車両動作に制限を加えた場合、この解除機能を組み込むに際してキーに大幅な変更を伴わない飲酒運転防止システムを提供する。
【解決手段】飲食店(居酒屋、バー等)34にLF発信装置35を設置して、車両運転者が飲食店34に入店した事を通知する飲食店入店情報SddをLF発信装置35から発信させる。キー機能付き携帯電話3がLF通信により飲食店入店情報Sddを受信すると、キー機能付き携帯電話3がID信号発信ロック状態となり、エンジン始動操作が制限される。キー機能付き携帯電話3のID信号発信ロック状態は、車両側で制限解除を行うことが可能であって、例えば車両1の車外ドアハンドルノブやロックボタン10等のボタン群を、解除許可し得る操作手順に則った順序で操作できたか否かを解除条件とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の飲酒運転を防ぐ飲酒運転防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲酒運転を原因とした車両事故が多くなってきていることから、飲酒運転を防止する機運が一層高まってきている。この一対策としては、運転者のモラルの更なる向上を高めることもあるが、車両メーカ側で対策を講じる事も望まれている。車両側で講じる対策の一例としては、検知対象者が実際に吐き出した呼気からアルコール含有量を測定可能な機器を車両に設置し、その機器で呼気内のアルコールを検出した際には、車両のエンジン始動を禁止する飲酒運転防止システムを車両に搭載することが飲酒運転防止の面から最も効果的である。この種の飲酒運転防止システムはこれまでに種々のものが考え出され、その技術例が例えば特許文献1,2等に開示されている。
【特許文献1】特開2005−224319号公報
【特許文献2】特開2004−305494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、飲酒運転防止システムがエンジン始動禁止等の車両動作制限状態となった場合、非飲酒者を代わりに呼んで非飲酒者に車両を代行運転させる状況も考えられ、この時は車両動作制限状態になった飲酒運転防止システムを元の状態に解除する必要があることから、この種の解除機能を飲酒運転防止システムに組み込んでおく必要がある。例えば、もし仮に飲酒運転防止システムの車両動作制限状態を車両キー側で解除する場合を考えると、この解除機能の幾つもの部品群(機能も含む)を車両キーに設ける必要が生じてくる。よって、飲酒運転防止システムの解除機能を車両キーに設ける場合は、車両キーに大きな設計変更を施すことを余儀なくされ、これがキーの大型化に繋がる懸念もあるので、何らかの対策が望まれていた。
【0004】
本発明の目的は、運転者が飲酒者である際に車両動作に制限を加えた場合、この解除機能を組み込むに際してキーに大幅な変更を伴わない飲酒運転防止システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、本発明では、車両の運転者の飲酒有無を判定する飲酒有無判定手段を持ち、当該飲酒有無判定手段が飲酒有りと判定した際には、当システムの作動状態を車両動作の使用を制限する車両動作制限状態に切り換えて、操作可能な車両動作に使用制限を加える飲酒運転防止システムにおいて、当システムの前記車両動作制限状態を解除する解除手段を前記車両に設けることにより、当該車両動作制限状態の解除を前記車両側で行うことを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、飲酒有無判定手段が運転者を飲酒者と判定した場合、飲酒運転防止システムの作動状態が、自由な車両操作を不許可とする車両動作制限状態に切り換わり、車両動作には使用制限が加えられる状態となる。このため、運転者が飲酒した場合には自由にエンジンを始動することができなくなるので、車両の飲酒運転を防止することが可能となる。また、飲酒運転防止システムの車両動作制限状態を解除するには、車両に設けた解除手段を用いることによって車両動作制限状態の解除を行う。よって、本構成においては、飲酒運転防止システムの車両動作制限状態を解除する際に用いる解除手段が車両に設けられているので、携帯端末(電子キー)にこの種の機能部品を搭載する必要はない。従って、携帯端末に種々の部品追加を行う必要がないことから、今まで使用していた携帯端末に大幅な変更を加えることもない。
【0007】
本発明では、前記解除手段は、前記車両に設けられた操作手段が、当システムの前記車両動作制限状態の解除を許可し得る順序で操作されたか否かを判定し、前記操作手段が前記順序で操作されたことを条件に前記車両動作制限状態の解除を行うことを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、車両の操作手段を予め決められた手順に沿って操作することで飲酒運転防止システムの車両動作制限状態を解除する場合、もし仮に解除操作を行う運転者が飲酒者であれば、酔いによって車両の操作手段を正確に行うことができない状況になることが多い。よって、車両動作制限状態の解除を車両の操作手段が正確に操作できることとすれば、飲酒運転防止システムの車両動作制限状態を解除する際に行う運転者が飲酒者か否かの飲酒有無判定をより正確に行うことが可能となる。
【0009】
本発明では、前記車両のキーシステムは、キー固有のキーコードを無線で狭域発信する電子キーを用い、当該電子キーから無線で発信される前記キーコードと前記車両に登録されたキーコードとを照らし合わせることによりキー照合を行い、当該キー照合の成立を条件に前記車両動作を許可する電子キー式であり、前記解除手段は、前記操作手段が前記順序で操作されたことに加え、前記キーシステムの前記キー照合が成立していることも条件として、前記車両動作制限状態の解除を行うことを要旨とする。
【0010】
この構成によれば、飲酒運転防止システムの車両動作制限状態を解除する際において必要となる解除条件が増えるので、当システムの車両動作制限状態を解除する際に不正が生じ難くなり、飲酒運転防止システムの解除動作の正確性を確保することが可能となる。
【0011】
本発明では、前記解除手段は、当システムの車両動作制限状態の解除操作を行う際の一構成要素として働く通信端末から、当該解除を行う際に必要な証明として解除許可通知を取得したか否かを判定し、当該解除許可通知の取得を条件に前記車両動作制限状態の解除を行うことを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、飲酒運転防止システムの車両動作制限状態の解除可否を判定するに際しては、通信端末から出力された解除許可通知を車両が取得したか否かを見ることで車両動作制限状態の解除可否判定を行うので、解除許可通知の受け取り有無を見るという簡単な判定処理で車両動作制限状態の解除可否を判定することが可能となる。
【0013】
本発明では、前記解除手段は、当システムが車両動作制限状態となってからの経過時間を前記車両で計時し、その計時時間が設定値以上となったことを条件に前記車両動作制限状態の解除を行うことを要旨とする。
【0014】
この構成によれば、飲酒運転防止システムが車両動作制限状態となってから一定時間が経過すれば、当システムの車両動作制限状態が自動で解除されるので、当システムの車両動作制限状態を解除するに際して特別な操作が不要となる。
【0015】
本発明では、前記車両のキーシステムは、キー固有のキーコードを無線で狭域発信する電子キーを用い、当該電子キーから無線で発信される前記キーコードと前記車両に登録されたキーコードとを照らし合わせることによりキー照合を行い、当該キー照合の成立を条件に前記車両動作を許可する電子キー式であり、前記キーシステムで前記キー照合を行う際に使用する照合通信系と、当システムの車両動作制限状態を解除する場合にこれを無線通信で行う時に使用する解除通信系とは、同じ通信系が使用されていることを要旨とする。
【0016】
この構成によれば、各々個別に通信部品を用意する必要がないので、通信系に要する部品点数を少なく抑えることが可能となる。
本発明では、前記解除手段は、前記車両に使用制限をかけることにより当システムを車両動作制限状態とする場合、前記車両動作制限状態の解除条件が前記車両側で成立した際、前記使用制限がかけられた前記車両を元の通常状態に戻すことによって、前記車両動作制限状態の解除を行うことを要旨とする。
【0017】
この構成によれば、車両に使用制限がかけられることで飲酒運転防止システムが車両動作制限状態となる動作状態をとったとしても、使用制限状態にある電子キーを元の通常状態に戻す動作をとらせることで、飲酒運転防止システムの車両動作制限状態を解除することが可能となる。
【0018】
本発明では、前記車両のキーシステムは、キー固有のキーコードを無線で狭域発信する電子キーを用い、当該電子キーから無線で発信される前記キーコードと前記車両に登録されたキーコードとを照らし合わせることによりキー照合を行い、当該キー照合の成立を条件に前記車両動作を許可する電子キー式であり、前記解除手段は、前記電子キーに使用制限をかけることにより当システムを車両動作制限状態とする場合、当該車両動作制限状態の解除条件が前記車両側で成立した際、解除許可通知を前記車両に登録し、当該解除許可通知を前記車両から前記電子キーに出力して、前記使用制限がかけられた前記電子キーを元の通常状態に戻すことによって、前記車両動作制限状態の解除を行うことを要旨とする。
【0019】
この構成によれば、電子キーに使用制限がかけられることで飲酒運転防止システムが車両動作制限状態となる動作状態をとったとしても、車両側で解除条件が成立した際には解除許可通知を車両から電子キーに出力して、使用制限状態にある電子キーを元の通常状態に戻す動作をとらせることで、飲酒運転防止システムの車両動作制限状態を解除することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、運転者が飲酒者である際に車両動作に制限を加えた場合、この解除機能を組み込むに際してキーに大幅な変更を伴わない飲酒運転防止システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した車両の飲酒時車両動作制限システムの第1実施形態を図1〜図16に従って説明する。
【0022】
図1に示すように、車両1には、実際に車両キーを操作しなくても、ドアロック施解錠やエンジン始動を行うことが可能なハンズフリーシステム2が搭載されている。ハンズフリーシステム2は、キー固有のIDコードCidを無線通信で発信する電子キーが用いられるが、本例においてはこの種の電子キーとして、携帯電話に電子キー機能が搭載されたキー機能付き携帯電話3が使用されている。ハンズフリーシステム2は、車両1からリクエスト信号Srqを発信させ、このリクエスト信号Srqをキー機能付き携帯電話3が受信すると、それに応答する形でキー機能付き携帯電話3がIDコードCidを乗せたID信号Sidを狭域発信で車両1に返信し、キー機能付き携帯電話3のIDコードCidが車両1のIDコードCidと一致すると、ドアロック施解錠やエンジン始動が許可又は実行されるシステムである。なお、ハンズフリーシステム2が飲酒運転防止システム及びキーシステムを構成する。また、キー機能付き携帯電話3が電子キーを構成し、IDコードCidがキーコードに相当する。
【0023】
ハンズフリーシステム2を以下に説明すると、車両1には、車両キーとして使用されるキー機能付き携帯電話3との間でID照合を行う照合ECU4が設けられている。照合ECU4には、ドア等に埋設されて車外にLF帯の信号を発信可能な車外LF発信機5と、車内床下等に埋設されて車内にLF帯の信号を発信可能な車内LF発信機6と、車内バックミラー等に埋設されてRF帯の信号を受信可能なRF受信機7とが接続されている。これらLF発信機5,6は、リクエスト信号Srqを周囲に発信可能であって、車外LF発信機5が車両周囲にリクエスト信号Srqの車外通信エリアE1(図2参照)を形成し、車内LF発信機6が車内全域にリクエスト信号Srqの車内通信エリアE2(図2参照)を形成する。なお、照合ECU4が飲酒有無判定手段及び解除手段を構成する。
【0024】
図1に示すように、照合ECU4には、例えば車外ドアハンドルノブ8(図2参照)に埋設されたタッチセンサ9が接続されている。タッチセンサ9は、操作者が施錠状態のドアロックを解除する時に車外ドアハンドルノブ8をタッチする操作を検出する。照合ECU4には、例えば車外ドアハンドルノブ8に設けられたロックボタン10が接続されている。ロックボタン10は、操作者が解除状態のドアロックを施錠する時に押し操作される。照合ECU4には、ドアロックの施解錠を制御するドアECU11が車内LAN(Local Area Network)12を通じて接続されている。ドアECU11は、照合ECU4からの指令に基づきドアロックモータ13を駆動することでドアロックを施錠状態又は解錠状態にする。
【0025】
一方、キー機能付き携帯電話3には、この携帯電話3で通話やインターネットを行う際に作動する電装部品として電話機構14が設けられている。電話機構14には、この電話機構14を統括制御する端末制御部15と、電話機構14の各種データの送受信箇所として働く電話機能送受信部16とが設けられている。端末制御部15は、携帯電話3の操作ボタン群が操作者によって通話操作されると、電話機能送受信部16を介して無線電話通信網下で通話制御を行うとともに、携帯電話3の操作ボタン群が操作者によってインターネット操作されると、電話機能送受信部16を介して無線インターネット通信網下でインターネット通信を行う。
【0026】
また、キー機能付き携帯電話3には、車両キーとして自身が持つIDコードCidを無線通信により信号データで車両1に発信可能な電子キー機構17が設けられている。この電子キー機構17には、ハンズフリーシステム2に準じた狭域無線通信のコントロールユニットとして働く通信制御部18と、LF帯の信号を受信可能なLF受信部19と、RF帯の信号を発信可能なRF発信部20とが設けられている。通信制御部18には、例えばEEPROM等から成るメモリ21が設けられ、このメモリ21にキー側のIDコードCidが登録されている。通信制御部18は、LF受信部19で受け付けた各種受信データを読み取るとともに、RF発信部20を介してID信号Sidを発信する動作を行う。LF受信部19は、自身のLF受信アンテナ19aで受信したLF帯の信号をLF受信回路19bで復調するとともに、その復調後の信号を受信データとして通信制御部18に出力する。RF発信部20は、通信制御部18から受け付けた発信データを自身のRF発信回路20aで変調するとともに、その変調後の発信データをRF発信アンテナ20bから発信可能である。なお、通信制御部18が飲酒有無判定手段を構成する。
【0027】
車両1が駐車状態(エンジン停止及びドアロック施錠状態)の際、照合ECU4は、車外LF発信機5からLF帯のリクエスト信号Srqを断続的に発信させ、車両周辺に車外通信エリアE1を形成する。キー機能付き携帯電話3がこの車外通信エリアE1に入り込んでリクエスト信号SrqをLF受信部19で受信すると、キー機能付き携帯電話3はリクエスト信号Srqに応答する形で、自信のIDコードCidを乗せたID信号SidをRF発信部20からRF帯の信号で返信する。照合ECU4は、RF受信機7を介してID信号Sidを受信すると、自身のメモリ22に登録されたIDコードCidとキー機能付き携帯電話3のIDコードCidとを照らし合わせてID照合(車外照合)を行う。照合ECU4は車外照合が成立すると、メモリ22に車外照合成立フラグを立てるなどして車外照合成立を認識するとともに、待機中のタッチセンサ9を起動させる。ドアECU11は、車外照合成立下においてタッチセンサ9が車外ドアハンドルノブ8へのタッチ操作を検出すると、ドアロックモータ13を一方側に回転させ、施錠状態のドアロックを解除する。
【0028】
一方、車両1が停止状態(エンジン停止及びドアロック解除状態)の際、照合ECU4は、ロックボタン10が押されたことを検出すると、車外LF発信機5からリクエスト信号Srqを発信させる。照合ECU4は、このリクエスト信号Srqを受けてキー機能付き携帯電話3が返信してきたID信号Sidにおいて車外照合が成立した事を認識すると、ドアECU11にドアロック施錠要求を出力する。ドアロック施錠要求を受けたドアECU11は、ドアロックモータ13を他方側に回転させて解除状態のドアロックを施錠する。
【0029】
照合ECU4には、車載電装品の電源を管理する電源ECU23と、エンジン24の点火制御及び燃料噴射制御を行うエンジンECU25とが車内LAN12を通じて接続されている。電源ECU23には、車載アクセサリ(図示略)やエンジン24を作動させる際に操作するエンジンスタートスイッチ26と、車載アクセサリに繋がるACCリレー27と、エンジンECU25に繋がるIGリレー28とが接続されている。
【0030】
照合ECU4は、車外照合が成立してドアロックが解除された後、例えばカーテシスイッチ29からドアが開けられた事を検出すると、運転者が乗車すると認識して車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信し、車室内に車内通信エリアE2を形成する。照合ECU4は、キー機能付き携帯電話3がこの車内通信エリアE2に入り込んで返信したID信号SidをRF受信機7で受信すると、自身に登録されたIDコードCidとキー機能付き携帯電話3のIDコードCidとを比較してID照合(車内照合)を行う。照合ECU4は、車内照合が成立すると、メモリ22に車内照合成立フラグを立てて車内照合成立を認識する。
【0031】
乗車した運転者がブレーキペダルを踏みながらエンジンスタートスイッチ26をエンジンオン操作(スイッチプッシュスタート操作)すると、この操作を検出した電源ECU23は、照合ECU4に車内照合結果を確認する。電源ECU23は、照合ECU4から室内照合が成立している通知を受けると、ACCリレー27及びIGリレー28をオンするとともに、エンジンECU25に起動信号を出力する。起動信号を受けたエンジンECU25は、照合ECU4との間で、車内照合結果の確認と、通信先がペアを成す照合ECU4であることを確認するペアリングとを暗号化通信により行う。これら両条件の確認を済ませたエンジンECU25は、点火制御及び燃料噴射制御を開始してエンジン24を始動させる。
【0032】
また、車両1には、キー機能付き携帯電話3に埋設されたトランスポンダ30を用いて無線通信によるID照合を行うイモビライザーシステム31が設けられている。イモビライザーシステム31には、キー機能付き携帯電話3との間でトランスポンダ通信を行う際のアンテナとして働くトランスポンダキーコイル32が車両1に設けられている。トランスポンダキーコイル32は、エンジンスタートスイッチ26を支持する筐体内にリング状に巻回された取り付け状態をとるとともに、照合ECU4に接続されている。イモビライザーシステム31は、キー機能付き携帯電話3をトランスポンダキーコイル32に例えばかざすように近づけることにより、トランスポンダキーコイル32から発信される駆動電波Svでトランスポンダ30を起動させ、起動したトランスポンダ30が返信してきたトランスポンダコード信号Str内のコード番号を車両1側で照らし合わせてID照合を行うシステムである。
【0033】
照合ECU4は、運転者がブレーキペダルを踏みながらエンジンスタートスイッチ26をプッシュスタート操作したことを検出すると、エンジン始動の前段階の認証動作として車内照合成立有無を確認する動作を行うが、この時に確認する照合成立対象はハンズフリーシステム2に準じたID照合のみに限定されない。即ち、照合ECU4は、キー機能付き携帯電話3の電池切れに対応すべく、このID照合成立確認に際して、ハンズフリーシステム2に準じたID照合とイモビライザーシステム31に準じたID照合との2照合のうち、少なくともどちらかが成立していれば車内照合が成立していることを認識する。なお、イモビライザーシステム31がキーシステムを構成する。
【0034】
また、図1に示すように、車両1には、運転者が飲酒した際に例えばエンジン始動等の各種車両動作を制限する飲酒時車両動作制限システム33が設けられている。当システム33は、例えば飲食店(居酒屋、バー等)34にLF発信装置35を設置して、車両運転者が飲食店34に入店した事を通知する飲食店入店情報SddをLF発信装置35から発信させ、キー機能付き携帯電話3がLF通信により飲食店入店情報Sddを受信すると、キー機能付き携帯電話3のキー機能に制限をかけるシステムである。ここでは、運転者が居酒屋やバー等の飲食店34に立ち寄れば、そこでは飲酒した可能性が高いことから、その飲食店入店を以てこれを間接的に飲酒動作として認識する。本例のキー機能制限は、車内照合時にキー機能付き携帯電話3からID信号Sidが発信されないようにすることで、エンジン24の始動を不許可とするエンジン始動禁止が採用されている。なお、飲酒時車両動作制限システム33が飲酒運転防止システムを構成する。
【0035】
この飲酒時車両動作制限システム33を以下に説明すると、LF発信装置35は、LF発信装置35を統括制御する発信制御部36と、LF帯の信号を変調して発信出力するLF発信部37とを持った発信ユニットである。LF発信装置35は、例えば飲食店34のレジ付近やドア付近に設置されるとともに、飲食店34の出口付近に飲食店入店情報Sddを定期的に発信する。飲食店入店情報Sddは、例えば通信エリアが直径数メートル程度のLF帯の信号であって、車両運転者が飲食店34に入店した事、即ち車両運転者が飲食店34で飲酒した可能性がある事を通知すべく、その旨の情報や飲食店名や入店時間等を通知する情報群である。
【0036】
また、LF発信装置35は、飲食店34の店内ドア付近に飲食店入店情報Sddを発信していることから、キー所持者が飲酒する過程で行う飲食店34のドアを開けるという一動作に連動して携帯電話3への飲食店入店情報Sddの登録を行う。更に、本例の飲酒時車両動作制限システム33は、LF発信装置35から飲食店入店情報SddをLF帯の信号で発信してこれを携帯電話3に受信させていることから、キー所持者飲酒時に車両動作に制限をかける制限通信系と、ID照合時に携帯電話3が車両1と無線通信を行う時の照合通信系とが、同じ通信系(通信方式)、即ちLF帯の周波数帯に準ずる無線通信を用いて行われている。
【0037】
キー機能付き携帯電話3において通信制御部18のメモリ21には、キー機能付き携帯電話3に登録される飲酒時車両動作制限システム33のプログラムデータとして車両動作制限プログラムDprが書き込まれている。この車両動作制限プログラムDprは、実際に運転者から呼気を取得してアルコールを検知するのではなく、LF受信部19がLF信号を受信した際にこの信号内容を読み取り、受信LF信号が飲食店入店情報Sddの場合に、キー機能付き携帯電話3のキー機能に制限をかけるという間接的に飲酒判定を行う車両動作制限機能が割り付けられたプログラムである。また、車両動作制限プログラムDprは、飲酒時車両動作制限システム33の動作判断が車両1側にも及ぶのであれば、車両1のメモリ22にも書き込まれている。通信制御部18は、この車両動作制限プログラムDprを逐次実行し、飲食店入店情報Sddの受信有無を常時監視する。なお、車両動作制限プログラムDprが飲酒有無判定手段及び解除手段を構成する。
【0038】
通信制御部18は、飲食店入店情報Sddを受け付けてエンジン始動禁止状態になると、車内照合時において車両1からリクエスト信号Srqを受信しても、RF発信部20からID信号Sidを車両1に返信しない車内照合時ID信号発信ロック状態をとる。キー機能付き携帯電話3は、車両1との間でID照合を行う時に車外照合と車内照合との両方で車両1からリクエスト信号Srqを受け付ける動作をとるが、これらリクエスト信号Srq内には該信号が車外LF発信機5及び車内LF発信機6のどちらから発信されたかを通知する発信元情報が含まれていることから、これを読み取ることによりリクエスト信号Srqが車外照合及び車内照合のどちらのものかを判断する。また、通信制御部18は、車内照合時ID信号発信ロック状態となった際、トランスポンダ30からのトランスポンダコードの発信も停止する。
【0039】
飲酒時車両動作制限システム33は、キー機能付き携帯電話3が飲食店入店情報Sddを受信していない通常状態の時には、キー機能付き携帯電話3からのID信号Sidの発信に制限をかけず、自由な車両1のエンジン始動操作を許可するエンジン始動許可状態となる。一方、飲酒時車両動作制限システム33は、キー機能付き携帯電話3が飲食店34等で飲食店入店情報Sddを受信すると、車内照合時においてキー機能付き携帯電話3が車両1からリクエスト信号Srqを受けてもID信号Sidを返信できない状態となることにより、車両1のエンジン始動を禁止するエンジン始動禁止状態となる。即ち、運転者が飲酒者の場合には、使用制限として車内照合でのID信号Sidの発信にロックがかかり、エンジン始動が禁止される。
【0040】
飲酒時車両動作制限システム33には、車両動作制限状態になった該システムを元の通常状態に戻す制限状態解除機能が設けられている。この制限状態解除機能は、メモリ21に登録された車両動作制限プログラムDprにプログラムデータとして書き込まれている。端末制御部15は、携帯電話3の操作ボタン群が操作者によって車両動作制限解除操作されたことを認識すると、通信制御部18に問い合わせて制限状態解除機能(制限状態解除用アプリケーション)を立ち上げる。通信制御部18は、操作者がこのアプリケーションの指示に沿って携帯電話3で適切な解除操作を行ったことを認識すると、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する。
【0041】
次に、以上のように構成された飲酒時車両動作制限システム33の動作を説明する。
図3に示すように、ユーザが車両1を運転して飲食店34に出掛ける場合を想定すると、駐車場38に到着した際には、その駐車場38の駐車枠に車両1を止めつつ、エンジンスタートスイッチ26を押して稼働中のエンジン24を停止状態にする。そして、運転者はキー機能付き携帯電話3を所持して降車し、車両1から降車後、ドアの車外ドアハンドルノブ8のロックボタン10を押して車両1をドアロックする。これにより、車両1が駐車状態(エンジン停止及びドアロック施錠状態)となる。
【0042】
続いて、車両1から降車した運転者(キー所持者)は飲食店34の店内に入店することになるが、キー所持者が飲食店34内に入店した際、飲食店34の店内に設置されたLF発信装置35の通信エリアEddにキー機能付き携帯電話3が入り込むと、キー機能付き携帯電話3はLF受信部19で飲食店入店情報Sddを受信する状態となる。このとき、キー機能付き携帯電話3内の通信制御部18は、LF受信部19で受信した飲食店入店情報Sddを読み取り、この時の受信LFデータが飲食店入店情報Sddであることを認識すると、車両1と車内照合を行う時に車両1からリクエスト信号Srqを受けてもID信号Sidの返信動作を行わない車内照合時ID信号発信ロック状態となる。即ち、飲酒時車両動作制限システム33が車両動作制限状態となり、本例においては自由なエンジン始動操作が禁止されたエンジン始動禁止状態となる。
【0043】
ここで、飲食(飲酒)を終えた運転者が、例えば駐車場38に戻って車両1を運転して帰宅しようとした場合を想定する。駐車車両1は車外LF発信機5から定期的にリクエスト信号Srqを発信して車外に通信エリアE1を形成していることから、この通信エリアE1にキー機能付き携帯電話3が入り込むと、キー機能付き携帯電話3のIDコードCidと車両1のIDコードCidとを照らし合わせる車外照合が行われる。なお、この時のキー機能付き携帯電話3はID信号発信ロック状態となっているが、これはリクエスト信号Srqが車内照合の時の場合にID信号発信を行わないものであることから、車外照合の時にはリクエスト信号Srqに応答する形でID信号Sidを車両1に返信する。そして、この時にキー機能付き携帯電話3から発信されるIDコードCidと、車両1に登録されたIDコードCidと一致して車外照合が成立すれば、ドアロックの解錠が許可される。このため、運転者が駐車車両1の車外ドアハンドルノブ8を握り操作した際にこの操作がタッチセンサ9で検出されると、ドアロックが解錠状態となる。
【0044】
続いて、キー所持者が運転席ドアを開閉操作して車内に乗車する動作をとるが、照合ECU4は運転席ドアの開閉操作をカーテシスイッチ29で検出すると、車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信して車内照合の成立有無を確認する。ここで、キー所持者が飲食店34の帰りである際には、キー機能付き携帯電話3は車内照合時ID信号発信ロック状態をとるので、キー所持者乗車時において車内LF発信機6から発信されるリクエスト信号Srqを受けてもこれには反応せず、車内照合が成立しない。このため、照合ECU4は車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信しても、所定時間内にID信号Sidを受け付けないことから、車内照合成立を認識せず、エンジン始動を許可しない。よって、運転席着座後、飲酒者がエンジン24をかけようとしてエンジンスタートスイッチ26を押し操作しても、エンジン24を始動することができない状態となる。
【0045】
従って、本例においては、飲食店34等の運転者が飲酒行動を行う可能性の高い場所にLF発信装置35を設置し、運転者が飲酒した可能性のあることを通知する飲食店入店情報SddをこのLF発信装置35から発信させる。そして、キー所持者が飲食店34に入店してキー機能付き携帯電話3がLF発信装置35から飲食店入店情報Sddを受信すると、キー機能付き携帯電話3はこの信号受信を以て運転者が飲酒したと間接的に判定して、仮に車内照合でリクエスト信号Srqを受けてもこれに応答しない車内照合ID信号発信ロック状態となる。よって、キー所持者が飲食店34に赴いて飲酒したとしても、この時のキー機能付き携帯電話3は車内照合時においてID信号Sidを発信できない状態となっているので、飲食後に車両1に戻ってエンジン24を始動しようとしても、このキー機能付き携帯電話3でエンジン24を始動することができない。このように、キー所持者に飲酒の可能性がある際には車両1のエンジン始動を制限するので、飲酒運転を防止することが可能となる。
【0046】
また、本例の飲酒時車両動作制限システム33は、飲食店34にLF発信装置35を設置し、そのLF発信装置35から発信される飲食店入店情報Sddをキー機能付き携帯電話3が受信したか否かを見るという間接的な手法により飲酒有無を判定する。このため、運転者が飲酒しているか否かを検出するに際しては、例えば息を実際に吹き込んで吸気量内のアルコール量を検出する大掛かりなアルコール検出装置を車両1に搭載しておく必要はなく、本例はキー機能付き携帯電話3や車両1にソフト的な設定処理(アプリケーション登録)のみで済むシステムである。よって、例えば飲酒しない人の車両に、大掛かりなアルコール検出装置を搭載しておく必要がなくなり、車両部品のコストや車内のインテリア面から考えても効果は高い。
【0047】
なお、例えば店側が飲酒者のみにキー機能付き携帯電話3のID信号発信にロックをかけて、選択的にエンジン始動を禁止することも可能である。この場合の具体例としては、図4に示すように、ボタン操作を行うとLF発信装置35から飲食店入店情報Sddが発信される発信操作装置39をレジ40等の近くに設けておき、飲食店34の従業員により発信操作装置39の発信ボタン39aが操作された時にのみ、LF発信装置35から飲食店入店情報Sddが選択的に発信されるようにする。
【0048】
この場合は、店側の従業員が来店客の精算を済ませる際に、キー機能付き携帯電話3の所持者、即ち運転者が飲酒者であると従業員が判断した場合には、従業員が発信操作装置39を操作してLF発信装置35から飲食店入店情報Sddを発信させ、キー機能付き携帯電話3を車内照合時ID信号発信ロック状態にする。一方、キー機能付き携帯電話3の所持者、即ち運転者が非飲酒者であると判断した際には、発信操作装置39を操作せずにLF発信装置35から飲食店入店情報Sddを発信させない。これにより、キー機能付き携帯電話3には制限がかけられず、この携帯電話3でエンジン始動が可能である。よって、非飲酒者が持つキー機能付き携帯電話3にまでロックをかけてしまう状況が生じ難くなり、利便性がよくなる。
【0049】
また、キー機能付き携帯電話3が車内照合時ID信号発信ロック状態となる際の条件は、飲食店34に設置されたLF発信装置35が発信する飲食店入店情報Sddを受信することに限定されない。例えば、図5に示すように、キー機能付き携帯電話3に電子マネーにより支払いを行う決済機能41(決済用IC、決済用アプリケーション)が搭載されていれば、居酒屋やバー等の飲酒の可能性のある場所で決済が行われた事を条件としてもよい。この場合、各飲食店34には、キー機能付き携帯電話3との間で電子マネーにより決済を行うことが可能な支払い端末42を設置しておくとともに、キー機能付き携帯電話3には、決済機能41として電子マネー決済を行うICチップを取り付ける必要がある。なお、決済機能41の通信方式は、セキュリティ性が高くデータが傍受され難い高速の非接触通信方式が採用されている。
【0050】
このとき、飲食店34のレジ付近に設置された支払い端末42にキー機能付き携帯電話3をかざして支払いを行うことになるが、端末制御部15は支払い端末42との間で支払いを行って支払い端末42から決済情報Smnを取得すると、この決済情報Smnから得られる店名、店系統、注文メニュー等を見て、この時に飲食を行った店が居酒屋やバー等であるか否かの確認を行う。そして、端末制御部15は、この時の飲食店34が飲酒の可能性のある店であると判断すると、その旨の通知として通信制御部18に制限動作要求Skcを出力する。通信制御部18は、端末制御部15から制限動作要求Skcを受け付けると、その要求受け付けを以て車内照合時ID信号発信ロック状態となる。
【0051】
ところで、この種の支払い端末42はコンビニエンスストア等に代表されるように、支払いの利便性のよさから、設置する場所が多くなってきている。よって、最初に挙げたLF発信装置35を用いてキー機能付き携帯電話3のID信号発信にロックをかける場合には、各飲食店34にLF発信装置35を新たに設置する必要が生じるが、決済情報Smnを用いてキー機能付き携帯電話3のID信号発信にロックするシステム構造を用いれば、飲食店34に予め支払い端末42が設置されているのであれば、新たな装置を飲食店34に設置する必要がない。よって、決済情報Smnを用いてキー機能付き携帯電話3にID信号発信にロックをかける場合には、飲酒時車両動作制限システム33の部品コストを低く抑えることが可能な利点に繋がる。
【0052】
更に、決済情報Smnを用いてキー機能付き携帯電話3に制限をかける時も、店側が飲酒者のみに選択的にキー機能付き携帯電話3にロックをかけることも可能である。この場合は、図5に示すように、支払者が飲酒者ではない旨を表す非飲酒者通知Sndを決済情報Smnに付加可能な決定操作装置43を支払い端末42に設けておく。そして、精算時においてキー所持者が非飲酒者であると従業員が判断した際には、従業員が決定操作装置43の決定ボタン43aを操作して、携帯電話3に発信する決済情報Smnに非飲酒者通知Sndを付加してこの複合情報Stt(決済情報Smn及び非飲酒者通知Snd)を携帯電話3に登録し、キー機能付き携帯電話3を車内照合ID信号発信ロック状態にならないようにする。
【0053】
また、飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動制限は、キー機能付き携帯電話3のID信号発信にロックをかける方式に限定されない。例えば、図6に示すように、キー機能付き携帯電話3が車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを受信した際に車両1に返信するID信号Sidの中に、IDコードCidの他に、エンジン始動を禁止する旨のエンジン始動制限要求Segを含ませて車両1に返信する方式でもよい。照合ECU4は、RF受信機7を介してID信号Sidを受信した際、ID信号Sid内にエンジン始動制限要求Segが含まれることを確認すると、仮にキー機能付き携帯電話3のIDコードが車両1のそれと一致していたとしても、この時の車内照合を不成立とみなし、エンジン始動を許可しない状態になる。なお、この場合は、照合ECU4のデータ読み取り機能に、ID信号Sidに含まれるエンジン始動制限要求Segを解読する読み取り機能を追加する必要がある。
【0054】
更に、飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動制限は、図7に示すように、キー機能付き携帯電話3がリクエスト信号Srqを受け付けてID信号Sidを返信する際、この時に返信するIDコードCidを偽コードで発信する方式でもよい。この場合、照合ECU4は、車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信した際、キー機能付き携帯電話3から発信されたID信号SidをRF受信機7で受信するが、この時のID信号Sidに含まれるIDコードCidは車両1のものと一致しないので、エンジン始動を許可しない状態になる。
【0055】
また、飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動制限は、図8に示すように、キー機能付き携帯電話3が所定時間の間において電源がシャットダウンされる方式でもよい。この場合、運転者がエンジン24を始動すべくエンジンスタートスイッチ26を押し操作して、照合ECU4が車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを車内に発信する状態になっても、この時のキー機能付き携帯電話3は起動状態となっていないことから、キー機能付き携帯電話3はリクエスト信号Srqに応答してID信号Sidを返信する状態をとらない。よって、キー機能付き携帯電話3と車両1との間で車内照合の通信が確立せず、飲酒時車両動作制限システム33はエンジン始動を許可しない状態となる。
【0056】
ここで、運転者が飲食店34に立ち寄ってもそこでは飲酒しない場合があるので、車両1に乗って帰宅するには、この時に飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する必要がある。この場合、まずはキー機能付き携帯電話3の操作ボタン群を操作して、キー機能付き携帯電話3に登録された制限状態解除機能、即ち制限状態解除用アプリケーションを端末制御部15が立ち上げる。制限状態解除用アプリケーションが立ち上がると、キー機能付き携帯電話3が動作制限の解除操作入力状態に入り、図9〜11に示すように、キー機能付き携帯電話3の画面45には、エンジン始動禁止状態の解除操作を入力する際に用いられる解除操作入力画面46〜48が立ち上がる。この解除操作入力画面46〜48は、キー所持者が酔っていないかどうかを検証するために、所定時間内においてキー所持者に所定順序や所定条件のボタン操作入力を促す入力画面である。
【0057】
この解除方式としては、例えば図9に示すように、解除操作入力画面46に短い時間間隔で数値を順に表示させ、キー所持者にその表示数値の入力を追従させる数値入力式がある。解除方式が数値入力式の場合、この入力画面46には、入力させる数値を表示する数値表示欄46aと、キー所持者が操作ボタン44(英数字キー)を操作して実際に入力した数値が表示される数値入力欄46bとがある。この解除操作入力画面46では、数値表示欄46aに表示される数値が短い時間間隔(コンマ数秒)で切り換わり、キー所持者は数値表示欄46aの数値を追いかけるようにキー機能付き携帯電話3の操作ボタン44を操作して、その数値を数値入力欄46bに追従入力する。
【0058】
ここで、もし仮に運転者が酒に酔っていない正常状態であれば、問題なくこの入力操作を行うことができるはずである。端末制御部15は、この数値入力が全て正確に行われたことを確認すると、キー所持者は非飲酒者であると認識し、通信制御部18にロック状態解除要求Skr(図1参照)を出力する。ロック状態解除要求Skrを受け付けた通信制御部18は、それまで設定状態にあった車内照合時ID信号発信ロック状態を解除し、自由にID信号Sidを発信できる通常状態に復帰する。即ち、飲酒時車両動作制限システム33がエンジン始動許可状態となり、自由なエンジン始動操作が可能な状態となる。
【0059】
よって、キー機能付き携帯電話3の車内照合時ID信号発信ロック状態を解除した後、シフトレバーをパーキング位置に位置させた状態で、運転者によりブレーキペダルが踏み込み操作されつつエンジンスタートスイッチ26が押し操作されると、エンジンスタートスイッチ26の操作時も車内照合が再度実行されることから、この時のキー機能付き携帯電話3は通常状態に戻っていれば、車内LF発信機6から受信したリクエスト信号Srqに応答する形でID信号Sidを車両1に返信する。照合ECU4は、車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信した後にキー機能付き携帯電話3から受け付けたID信号SidのIDコードCi dが車両1のものと一致すれば、車内照合が成立したと認識してエンジン始動を許可する。
【0060】
また、他の解除方式としては、例えば図10に示すように、予めキー所持者に通知しておいた数桁の数値(英字等も含む)を入力させる暗記式がある。解除方式が暗記式の場合、この解除操作入力画面47には、キー所持者がキー機能付き携帯電話3の操作ボタン44を操作して実際に入力した数値が表示される数値入力欄47aがある。端末制御部15は、数値入力欄47aにおける入力数値が、予め通知しておいた数値群と一致することを確認すると、キー所持者は非飲酒者であると認識し、飲酒時車両動作制限システム33を解除状態にすべく通信制御部18にロック状態解除要求Skrを出力する。
【0061】
更に、他の解除方式としては、例えば図11に示すように、所定時間内にパズル(ゲーム等も含む)を解かせるパズル式がある。解除方式がパズル式の場合、この解除操作入力画面48には、複数のパズル部品48aが表示されている。キー所持者は、このパズル部品48aをキー機能付き携帯電話3の操作ボタン44を操作することで動かして、パズルを好適な位置や向きにしてパズルを解いていく。端末制御部15は、解除操作入力画面48においてキー所持者が所定時間内にパズルを解いたことを確認すると、キー所持者は非飲酒者であると認識し、飲酒時車両動作制限システム33を解除状態にすべく通信制御部18にロック状態解除要求Skrを出力する。
【0062】
エンジン始動禁止状態の解除がキー機能付き携帯電話3のボタン群操作を伴う方式、即ち数値入力式、暗記式、パズル式等のボタン操作入力式の場合、この時の解除はハンズフリー通信の確立を条件としてもよい。ところで、車内LF発信機6は運転者が車内に乗車する際にドアを開閉操作してから定期的にリクエスト信号Srqを発信する動作に移り、また車外LF発信機5は駐車時において定期的にリクエスト信号Srqを発信する動作を行っている。よって、キー機能付き携帯電話3で解除入力操作が正常に行われた際、この時にキー機能付き携帯電話3が車内照合(車外照合)の通信エリアE2(E1)内に位置して車内LF発信機6(車外LF発信機5)が発信するリクエスト信号Srqを受信できれば、この時の照合成立も解除条件に加えてエンジン始動禁止状態を解除する。
【0063】
この場合、例えばリクエスト信号Srqの届かない飲食店34内で、飲酒してない感覚が正常の通常者(非飲酒者)が、キー機能付き携帯電話3で解除操作を行って、数値入力、暗記、パズル等の諸イベントをクリアしたとしても、このクリア操作を行った時が飲食店34内であればキー機能付き携帯電話3が車両1からリクエスト信号Srqを受信する状況下にはないので、この時はエンジン始動禁止状態が解除されない。このため、酔っていない正常者によって不正にエンジン始動禁止状態が解除される状況が生じ難くなり、飲酒運転防止に一層効果が高くなる。
【0064】
また、キー機能付き携帯電話3の車内照合ID信号発信ロック状態の解除は、図12に示すように、飲食店34内に設置された発信ロック解除専用の解除装置49を用いて行ってもよい。この解除装置49は、自身の信号発信開始ボタン49aが押し操作されると、キー機能付き携帯電話3の車内照合ID信号発信ロック状態の解除を求めるLF帯のロック状態解除要求信号Sotを、所定時間の間においてLF帯の信号により狭域発信する。キー機能付き携帯電話3は、解除装置49から発信されたロック状態解除要求信号SotをLF受信部19で受信すると、車内照合ID信号発信ロック状態を解除し、飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動禁止状態を解除する。
【0065】
飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動禁止状態の解除は、図13に示すように、駐車場38等に設置したアルコール検知器50を用いた呼気計測式でもよい。この場合、駐車場38等の屋外の各箇所には、実際に息を吹き込んでその呼気内のアルコール量を計測するアルコール検知器50が設置されている。アルコール検知器50には、被検知者(キー所持者)が実際に呼気を吹きかける箇所として働く検知部51と、検知対象者から取り込んだ呼気内のアルコール量を実際に計測するアルコール計測部52と、アルコール計測部52により算出されたアルコール量のデータを計測情報として狭域のLF帯の信号で発信可能なLF発信部53とが設けられている。
【0066】
飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動禁止状態を解除する際、キー所持者はアルコール検知器50を計測開始操作した後にその検知部51に息を吹きかける動作を行う。アルコール計測部52は、その時に取得した呼気からアルコール量を算出し、呼気内にアルコールが含まれていなければロック状態解除要求信号SotをLF発信部53から所定時間の間において狭域発信させる。キー機能付き携帯電話3は、アルコール検知器50から発信されたロック状態解除要求信号SotをLF受信部19で受信すると、自身の動作状態が車内照合ID信号発信ロック状態であれば、このロック状態を解除して元の通常状態に復帰する。これにより、飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動禁止状態が解除され、キー機能付き携帯電話3による自由なエンジン始動操作が可能となる。
【0067】
更に、飲酒時車両動作制限システム33は、該システムがエンジン始動禁止状態となった際、キー機能付き携帯電話3で解除操作が行われるまでエンジン始動禁止状態が継続される禁止状態継続式に限定されない。例えば、飲酒時車両動作制限システム33は、図14に示すように、該システムがエンジン始動禁止状態となってからの経過時間を計時し、この経過時間が設定値以上となると、エンジン始動禁止状態が自動で解除されるタイムアップ式でもよい。飲酒時車両動作制限システム33がタイムアップ式の場合においては、車両照合時ID信号発信ロック状態となってからの経過時間を通信制御部18がカウンタやタイマ等で計時し、この時の経過時間が所定値以上となると車内照合時ID信号発信ロック状態を解除して、飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動状態を解除する。
【0068】
また、飲酒時車両動作制限システム33がタイムアップ式の場合、エンジン始動禁止状態がタイムアップするまでの残り時間を、車内のセンタークラスター等に設置されたディスプレイ54に表示する残り時間表示機能を飲酒時車両動作制限システム33に追加してもよい。この場合、シフトレバーがパーキング位置に位置している際に運転者がブレーキペダルを踏み込み操作しつつエンジンスタートスイッチ26が押し操作されると、照合ECU4は車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信して車内照合の成立確認を行うが、この時のキー機能付き携帯電話3は車内LF発信機6から発信されたリクエスト信号Srqを受信すると、IDコードCidは返信しないものの、エンジン始動禁止状態がタイムアップするまでの残り時間に関する残り時間情報Stmを、RF発信部20からRF帯の信号で車両1に向けて発信する。
【0069】
照合ECU4は、車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信した際に残り時間情報StmをRF受信機7で受信すると、この残り時間情報Stmを解読してエンジン始動禁止状態が解除されるまでの残り時間を確認し、その残り時間データを車内LAN12を通じて画面制御ECU55(図1参照)に出力する。画面制御ECU55は、照合ECU4から残り時間データを入力すると、このデータをディスプレイ54に画面表示して、飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動禁止状態がタイムアップするまでの残り時間をディスプレイ54に数値表示する。これにより、エンジン始動禁止状態が解除状態になるまでの時間を運転者に通知することが可能となり、いつになればエンジン始動禁止状態が解除されるのかが分からない不便さを解消することが可能となる。
【0070】
また、キー機能付き携帯電話3の車内照合時ID信号発信ロック状態の解除は、キー機能付き携帯電話3側で行うのではなく、これを車両1側で行ってもよい。その一例としては、例えば図15に示すように車両1の車外ドアハンドルノブ8やロックボタン10が、決められた手順通りに操作されたか否かを条件としてもよい。例えば、ロックボタン10が長押しされると、飲酒時車両動作制限システム33が動作制限の解除操作入力状態に入り、その状態でドアハンドルノブ8の引き込み操作と、ロックボタン10の押し操作とが、予め決められた順序で行われたことを確認すると、照合ECU4は飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動禁止状態を解除してもよいと認識する。解除許可認識をした照合ECU4は、その旨を通知するロック状態解除要求信号Sotと、予め車両1に登録されたIDコードCidとを含んだ制限状態解除要求信号SzzをLF発信機5,6からLF帯の信号で発信させる。
【0071】
キー機能付き携帯電話3は、制限状態解除要求信号SzzをLF受信部19で受信すると、この制限状態解除要求信号Szz内のデータを解読する。このとき、キー機能付き携帯電話3は、受信LF信号にロック状態解除要求信号Sotが含まれていることを認識すると、車両1から飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態の解除要求が来ていると認識し、続く信号Szz内のIDコードCidと、自身に登録されたIDコードCidとを照らし合わせる。そして、キー機能付き携帯電話3は、IDコードCidの照合が成立すれば、正しい制限状態解除要求信号Szzを受け付けたと判断し、自身の車内照合時ID信号発信ロック状態を解除する。なお、ドアハンドルノブ8及びロックボタン10が操作手段を構成し、ロック状態解除要求信号Sotが解除許可通知を構成する。
【0072】
なお、図15に示す解除例においては、ドアハンドルノブ8やロックボタン10が正確に解除操作されたことだけでなく、例えば車両1及びキー機能付き携帯電話3間でID照合が成立したことも、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する際の条件としてもよい。この場合、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除するに際し、解除条件が複数必要になるので、不正なシステム解除を生じ難くすることが可能となる。
【0073】
更に、キー機能付き携帯電話3の車内照合時ID信号発信ロック状態を車両1側で解除する場合、この時に車両1側で必要となる操作は、車外ドアハンドルノブ8やロックボタン10の操作であることに限定されない。即ち、車両1には、これら操作部位以外に、車載機器やアクセサリ等を操作する際に用いる様々な操作スイッチ(操作ボタン)が設置されていることから、解除の際に操作する操作部位は種々のものを用いることが可能であることは言うまでもない。また、この解除方式を採用した場合、例えば車内の運転席近傍等に解除専用スイッチを用意してもよい。
【0074】
また、キー機能付き携帯電話3の車内照合時ID信号発信ロック状態を車両1側で解除する場合、キー機能付き携帯電話3側で用いたキー所持者に所定ボタン操作入力を促す方式を応用してもよい。即ち、車内の一操作ボタンが押し操作されると、車内のディスプレイ54に図9〜11に示すような操作入力画面46〜48が立ち上がり、操作入力画面46〜48で与えられる諸条件を、車内の各種操作ボタンを操作してクリアしていく。照合ECU4は、操作入力画面46〜48がクリアされた事を確認すると、その旨を通知する制限状態解除要求信号SzzをLF発信機5,6からLF帯の信号で発信させ、キー機能付き携帯電話3の車内照合時ID信号発信ロック状態を解除する。
【0075】
更に、ロック状態解除要求信号Sotをキー機能付き携帯電話3に登録する方式は、これをキー機能付き携帯電話3に直接登録するものに限らず、例えば図16に示すように、飲酒者が店外に出る前に先駆けてこの種の登録動作を開始することを想定して、車両1を経由するものでもよい。この場合の一例としては、飲食店34の屋外に、上述のロック状態解除要求信号Sotと車両1に登録されたIDコードCidとを含んだ解除通知信号Sobを駐車場38にRF帯の信号で発信可能な店外解除装置56を取り付けておく。そして、飲食店34側は来客の車両1のIDコードCidを予め取得しておき、帰り際の精算時等に運転者が飲酒者でないと従業員が判断した際に、その非飲酒者の車両1のIDコードCidを含む解除通知信号Sobを店外解除装置56から駐車場38に発信する。なお、店外解除装置56が通信端末を構成する。
【0076】
車両1は、解除通知信号SobをRF受信機7で受信すると、この解除通知信号Sob内のデータを解読する。このとき、車両1は、受信RF信号にロック状態解除要求信号Sotが含まれていることを認識すると、飲食店34から飲酒時車両動作制限システム33の解除要求が来ていると認識し、続く信号Sob内のIDコードCidと、自身に登録されたIDコードCidとを照らし合わせる。車両1は、IDコードCidの照合が成立すればロック状態解除許可状態となって、制限状態解除要求信号SzzをLF発信機5,6からLF帯の信号で発信させる。即ち、駐車場38に存在する複数車両の中の特定の一台が、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態の解除が許可されたロック状態解除許可状態となり、車両1の対応キーに制限状態の解除を呼びかける。
【0077】
キー所持者が店外に出てキー機能付き携帯電話3が車両1からの制限状態解除要求信号SzzをLF受信部19で受信すると、キー機能付き携帯電話3はこの制限状態解除要求信号Szz内のデータを解読する。キー機能付き携帯電話3は、受信LF信号にロック状態解除要求信号Sotが含まれていることを認識すると、車両1から飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態の解除要求が来ていると認識し、続く信号Szz内のIDコードCidのID照合を行う。そして、キー機能付き携帯電話3は、このID照合が成立すれば、車両1がロック解除許可状態になっていると認識し、自身の車内照合時ID信号発信ロック状態を解除する。なお、この具体例においては、飲酒有無判定は従業員の確認により行うことに限らず、アルコール検知器を用いて実測する例も可能であることは言うまでもない。
【0078】
従って、本例においては、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する解除機能を設けたので、キー機能付き携帯電話3や車両1で正しい解除操作を行えば、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除して車両1を元の通常状態に戻すことが可能となる。また、飲酒時車両動作制限システム33の解除操作を車両1側で行うようにすれば、キー機能付き携帯電話3にこの種の解除機能を種々搭載する必要はない。よって、キー機能付き携帯電話3に車両動作制限状態解除系の種々の部品追加を行う必要がないことから、今まで使用していたキー機能付き携帯電話3に大幅な変更を加えることもない。
【0079】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)飲酒運転を防止する飲酒時車両動作制限システム33には、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する解除機能が設けられているので、車両動作制限状態になった飲酒時車両動作制限システム33を元の通常状態に戻すことができる。また、この解除機能を車両1側に設けた場合には、解除系の種々の機能部品をキー側に設ける必要がない。よって、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態の解除をキー機能付き携帯電話3側で行うようにすれば、キー機能付き携帯電話3に種々の部品追加を行う必要がないことから、今まで使用していたキー機能付き携帯電話3に大幅な変更を加えることもない。
【0080】
(2)飲酒時車両動作制限システム33の解除機能がボタン操作入力式(ハンドルノブ操作式、ドアロックボタン操作式、数値入力式、暗記式、パズル式等)の場合、飲酒者は酒により判断力が鈍っていることから、これら解除機能を正常にクリアできない状況になることが多い。よって、本例のように飲酒時車両動作制限システム33の解除機能をボタン操作入力式とすれば、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除するに際して、運転者が飲酒者か否かの飲酒有無判定をより正確に行うことができる。
【0081】
(3)飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態の解除にボタン操作入力式(ハンドルノブ操作式、ドアロックボタン操作式、数値入力式、暗記式、パズル式等)を採用するに際し、車両1とキー機能付き携帯電話3との間でのID照合成立も条件とする場合、車両制限状態の解除に必要な条件が2つとなる。このため、飲酒時車両動作制限システム33を解除する際には、複数の条件成立が必要となるので、制限解除時に不正が生じ難くなり、飲酒時車両動作制限システム33の解除動作の正確性を確保することができる。
【0082】
(4)飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態の解除は、店外解除装置56から発行されるロック状態解除要求信号Sotを車両1に登録することにより行うことが可能である。よって、この場合は、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する際の可否判定を、車両1にロック状態解除要求信号Sotが登録されているか否かを見るという簡単な判定処理で実施することができる。
【0083】
(5)飲酒時車両動作制限システム33がタイムアップ式の場合、車両動作に制限がかけられてから一定時間が経過すれば、車両1が元の通常状態に自動で復帰する。このため、飲酒時車両動作制限システム33を車両動作制限状態から元の通常状態に戻す際に、特別な解除操作が不要となるので、この観点から効果が高い。
【0084】
(6)システム動作状態を車両動作制限状態にすべくLF発信装置35の飲食店入店情報Sddを無線通信でキー機能付き携帯電話3に登録する際に使用する制限通信系と、車両動作制限状態を解除すべくロック状態解除要求信号Sotをキー機能付き携帯電話3に登録する際に使用する解除通信系とは、車両1及びキー機能付き携帯電話3がハンズフリーシステム2で無線によりID照合を行う時に使用する照合通信系が共用されている。このため、各々の通信系で個別の通信部品を用意する必要がないので、通信系に要する部品点数を少なく抑えることができる。
【0085】
(7)飲酒時車両動作制限システム33はキー機能付き携帯電話3側で制限がかかるが、この場合であっても問題なく車両1側で車両動作制限状態を解除することができる。
(8)飲酒時車両動作制限システム33の解除機能が数値入力式、暗記式、パズル式のボタン操作入力式の場合、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する際に、わざわざ飲食店34に出向いて非飲酒の通知をもらう必要がないので、この観点からは利便性が高い。また、飲酒時車両動作制限システム33が例えば仮に悪戯に車両動作制限状態とされたとしても、その都度、キー機能付き携帯電話3を操作することで制限状態を解除できるので、この種の悪戯があっても解除に不便さを感じ難い。
【0086】
(第2実施形態)
次に、本発明を具体化した第2実施形態を図17〜図21に従って説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態では飲酒時のエンジン始動操作をキー機能付き携帯電話3側で制限する機構であったのに対し、これを車両1側で制限することのみを変更しているので、第1実施形態と同様の部分は同一符号を付して詳しい説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0087】
図17に示すように、本例の飲酒時車両動作制限システム33は、飲食店34(居酒屋、バー等)に設置された飲食店駐車場38(専用駐車場)にRF発信装置60を設置して、車両運転者が飲食店駐車場38に車両を止めて飲食店34に立ち寄った際に、その旨をRF発信装置60により車両1に通知して、車両1の各種車両動作に制限をかけるシステムである。ここでは、居酒屋やバー等の飲食店駐車場38に車両1を止めれば、その飲食店34で飲酒した可能性が高いとみなせることから、飲食店駐車場38への駐車を以てこれを間接的に飲酒動作として認識する。本例の車両動作の使用制限は、キー機能付き携帯電話3と車両1との間で車内照合が成立しても、車両動作制限状況下にあればこの車内照合成立を無視してエンジン始動を不許可とするエンジン始動禁止が採用されている。
【0088】
この飲酒時車両動作制限システム33を以下に説明すると、RF発信装置60は、RF発信装置60を統括制御する発信制御部61と、RF帯の信号を変調して発信出力するRF発信部62とを持った発信ユニットである。RF発信装置60は、例えば飲食店駐車場38の入口位置等に設置されるとともに、飲食店駐車場38の全域に飲食店駐車情報Spkを定期的に発信する。飲食店駐車情報Spkは、駐車場の広さに合わせて発信エリアが設定されたRF帯の信号であって、車両1が飲食店駐車場38に駐車された事、即ち車両運転者が居酒屋やバー等で飲酒した可能性がある事を通知すべく、その旨の情報や駐車場名や駐車時間等を通知する情報群である。
【0089】
一方、照合ECU4のメモリ22には、キー機能付き携帯電話3に登録される飲酒時車両動作制限システム33のプログラムデータとして車両動作制限プログラムDprが書き込まれている。この車両動作制限プログラムDprは、第1実施形態に記載した通信制御部18に登録されたものと基本的に同様の働きを持つプログラムデータである。本例の車両動作制限プログラムDprは、RF受信機7がRF信号を受信した際にこの信号内容を読み取り、受信RF信号が飲食店駐車情報Spkの場合に、車両1のエンジン始動に制限をかける車両動作制限機能が割り付けられたプログラムである。照合ECU4は、LF発信機5,6による通信エリアE1,E2の形成とは別に、この車両動作制限プログラムDprを逐次実行し、車両1が飲食店駐車場38に駐車されたか否かを常時監視する。
【0090】
照合ECU4は、飲食店駐車情報SpkをRF受信機7で受け付けてエンジン始動禁止状態になると、仮にキー機能付き携帯電話3との間で車内照合が成立しても、その室内照合成立を無視してエンジン24の始動を許可しない室内照合成立無視状態をとる。また、照合ECU4は、動作状態が室内照合成立無視状態となった際、キー機能付き携帯電話3内のトランスポンダ30とのID照合であるトランスポンダ照合が仮に照合成立しても、このトランスポンダ照合成立も無視する。
【0091】
また、本例の飲酒時車両動作制限システム33においても、車両動作制限状態になった該システムを元の通常状態に戻す制限状態解除機能が設けられている。この制限状態解除機能としては、図17に示すように、居酒屋やバー等の飲食店34には、自身が非飲酒者である旨の非飲酒者証明情報Sokをキー機能付き携帯電話3に登録可能な登録装置63が設けられている。この登録装置63は、自身の信号発信開始ボタン63aが飲食店34の従業員によって押し操作されるなどして起動操作が行われると稼働し、キー所持者が非飲酒者である旨を通知する非飲酒者証明情報Sokを狭域エリアにLF帯の信号で発信する。登録装置63が非飲酒者証明情報Sokを発信している際、キー機能付き携帯電話3が登録装置63の狭域エリアに入り込むと、キー機能付き携帯電話3は非飲酒者証明情報Sokを無線通信により取得してこれをメモリ21に登録する。登録装置63は、登録が完了した時、又は起動してからの経過時間が所定時間経過した時に自動で待機状態に戻る動作をとる。
【0092】
照合ECU4は、自身が室内照合成立無視状態の際、RF受信機7でID信号Sidを受信すると、このID信号Sid内に非飲酒者証明情報Sokが含まれているか否かを確認する。このとき、ID信号Sid内に非飲酒者証明情報Sokが含まれていなければ、照合ECU4はこの時のキー所持者が飲酒者であると認識して室内照合成立無視状態を継続し、エンジン始動禁止状態を維持する。一方、ID信号Sid内に非飲酒者証明情報Sokが含まれていれば、照合ECU4はこの時のキー所持者が非飲酒者であると認識して室内照合成立無視状態を解除し、飲酒時車両動作制限システム33を元の通常状態に戻す動作をとる。
【0093】
次に、以上のように構成された飲酒時車両動作制限システム33の動作を説明する。
ユーザが車両1を運転して飲食店34に出掛けた場合、飲食店34の駐車場38に到着した際には、その駐車場38の駐車枠に車両1を止めつつ、エンジンスタートスイッチ26を押して稼働中のエンジン24を停止状態にする。本例の場合、飲食店34の駐車場38には、駐車場全域に飲食店駐車情報Spkを発信するRF発信装置60が設置されているので、車両1を駐車場38に駐車した際には、車両1はこの飲食店駐車情報Spkを受信することになる。照合ECU4は、RF受信機7でRF信号を受信した際、この受信信号が飲食店駐車情報Spkである事を認識すると、この時にエンジン24が停止状態にあれば、キー機能付き携帯電話3との間で車内照合が成立してもこれを無視する車内照合成立無視状態となる。即ち、飲酒時車両動作制限システム33が車両動作制限状態となり、本例においては自由なエンジン始動操作が禁止されたエンジン始動禁止状態となる。
【0094】
車両1を駐車場38に駐車した後、運転者はキー機能付き携帯電話3を所持して降車し、車両1から降車後、運転席ドアの車外ドアハンドルノブ8のロックボタン10を押して車両1をドアロックする。これにより、車両1が駐車状態(エンジン停止及びドアロック施錠状態)となる。車両1から降車した運転者(キー所持者)は、飲食店34に入店して、店内で食事をしたり或いは飲酒をしたりするなどの飲食を行う。
【0095】
店内での飲食後、キー所持者を含む乗員は店内で精算を済ますことになるが、飲食店34の店員は、この精算時において運転者が飲酒者か否かの確認を行う。このとき、もし仮に運転者が飲酒者である場合には、店員は登録装置63を停止状態のまま、或いはキー所持者がキー機能付き携帯電話3を登録装置63の検知面にかざす動作をとることを許可しない。このため、飲酒者は、車両1の車内照合成立無視状態を解除する、即ち飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動禁止状態を解除する際に必要となる非飲酒者証明情報Sokを、キー機能付き携帯電話3に登録することができない。
【0096】
キー所持者がキー機能付き携帯電話3に非飲酒者証明情報Sokを登録せずに車両1に戻った場合、車外LF発信機5が形成する車外通信エリアE1にキー機能付き携帯電話3が入り込むと、この場合も通常通りの形式に沿ってキー機能付き携帯電話3と駐車車両1との間で車外照合が行われる。なお、この時の車両1は、車内照合成立無視状態となっているが、車内照合成立は問題なく受け付けることから、キー機能付き携帯電話3との間の車外照合が成立すると、ドアロックの解錠を許可する。このため、運転者が駐車車両1の車外ドアハンドルノブ8を握り操作した際にこの操作がタッチセンサ9で検出されると、ドアロックが解錠状態となる。
【0097】
続いて、キー所持者が運転席ドアを開閉操作して車内に乗車する動作をとるが、照合ECU4は運転席ドアの開閉操作をカーテシスイッチ29で検出すると、この時の照合ECU4は、車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信して車内に通信エリアE2を形成する。このとき、車内LF発信機6が形成する車内通信エリアE2にキー機能付き携帯電話3が位置していれば、キー機能付き携帯電話3はリクエスト信号Srqに応答する形でID信号Sidを返信する。運転者が飲酒者の場合、キー機能付き携帯電話3には非飲酒者証明情報Sokが登録されないので、このID信号Sidは非飲酒者証明情報Sokを含まない単なるIDコードCidのみを持つ信号データとして発信される。
【0098】
照合ECU4は、車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信した際にRF受信機7でID信号Sidを受信すると、この時に取得したキー機能付き携帯電話3のIDコードCidと、車両1のIDコードCidとを照らし合わせる車内照合を行う。ところで、車内照合が成立した際には、例えば仮に自身の動作状態が車内照合無視状態でない通常状態であればエンジン始動を許可するが、駐車場38への駐車時に車両1がRF発信装置60からの飲食店駐車情報Spkを受信した際には車両1が車内照合成立無視状態になるので、キー機能付き携帯電話3に非飲酒者証明情報Sokが登録されていないと、照合ECU4はIDコードCidが合致しても車内照合成立を認めずエンジン始動を許可しない。このため、飲酒者がエンジン24をかけようとしてエンジンスタートスイッチ26を押し操作しても、エンジン24を始動できない状態となる。
【0099】
従って、本例においては、飲食店34の駐車場38にRF発信装置60を設置し、車両1のエンジン始動を禁止する飲食店駐車情報SpkをこのRF発信装置60から駐車場全域に発信する。そして、車両1がこの駐車場38に駐車された際に、RF発信装置60から発信された飲食店駐車情報Spkを車両1が受信すると、車両1(照合ECU4)はこの信号受信を以て運転者が飲酒したと間接的に判定して、動作状態を車内照合成立無視状態として自由なエンジン始動操作を禁止する。そして、車両1は、飲酒者でない旨の非飲酒者証明情報Sokをキー機能付き携帯電話3に登録するまでエンジン始動禁止状態をとり、飲酒者によるエンジン始動を不許可とする。このため、飲酒者が車両1を運転しようとしてエンジンスタートスイッチ26を押し操作してもエンジン24は始動せず、飲酒運転を防ぐことが可能となる。
【0100】
なお、エンジン始動禁止は、車内照合が成立してもこれを無視する方式に代えて、例えば車内照合時に照合ECU4がRF受信機7で信号を受け付けない状態をとる方式を用いてもよい。即ち、この時の照合ECU4は、車両1がRF発信装置60の飲食店駐車情報Spkを受信した際、車内LF発信機6から発信されたリクエスト信号Srqに応答してキー機能付き携帯電話3が車両1にID信号Sidを返信してきても、これを受け付けない動作をとる。このため、結局のところ車両1は車内照合が成立する状態をとらないことになり、車内照合成立を無視する時と同様に、飲酒者によるエンジン始動を禁止することが可能となる。
【0101】
また、車両1が無線通信機器から無線通信(狭域通信)で飲食店駐車情報Spkを得る場合、この方式は駐車場38に専用のRF発信装置60を設置して行う方式に限定されない。例えば、図18に示すように、車両1に無線LAN通信装置64が車載されているとともに、駐車場38に公衆無線LAN機器65(ホットスポット(R))が設置されている場合、公衆無線LAN機器65から発信された飲食店駐車情報Spkを無線LAN通信装置64が受信した際に、車両1が車内照合成立無視状態になるものでもよい。なお、無線LAN通信の狭域通信は、例えば2.4GHzの周波数帯を用いた無線通信であって、車両関係に拘わらず広く一般的に用いられている無線通信方式である。
【0102】
更に、これ以外の方式としては、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)を利用可能な車両1には、DSRC通信装置66(Dedicated Short Range Communication通信装置)が搭載されていることから、無線LAN通信装置64に代えてDSRC通信装置66を採用してもよい。更に、車両1にDSRC通信装置66が搭載されている場合、この通信としては道路上の通信機との間で各種情報のやり取りを行う路車間通信を用いてもよいし、或いは他車両67から各種情報を受け取る車車間通信を用いてもよい。なお、DSRC通信の狭域通信は、例えば5.8GHzの周波数帯を用いた車両関係専用の無線通信方式である。
【0103】
車両1が駐車場38に位置しているか否かの判断は、駐車場38に設置された無線通信機器(RF発信装置60、無線LAN通信装置64、DSRC通信装置66)から無線で発信される飲食店駐車情報Spkを得ることによって行われることに限定されない。例えば、図18に示すように、車両1の現在位置を判定可能な車両位置判定装置68が車両1に搭載されている場合、車両位置判定装置68が導出する車両1の現在位置情報Spsを用いて、車両1が駐車場38に位置しているか否かの判定を行ってもよい。この車両位置判定装置68としては、例えば走行中において運転者に道案内を行うカーナビゲーション装置68aや、走行中に飲食店等の店情報を運転者に通知するG-Book装置68b等がある。
【0104】
車両位置判定装置68は、衛星から得る各種情報を基に現在位置を逐次割り出すGPS69を持ち、このGPS69で導出された現在位置情報Spsを照合ECU4に出力する。照合ECU4は、車両位置判定装置68から現在位置情報Spsを得ると、現在位置情報Spsに相当する車両位置と、自車両周辺の地図マップMppと照らし合わせて、車両1が飲食店34の駐車場38に位置しているか否かを判定する。照合ECU4は、自車両が飲食店34の駐車場38に位置しつつ、その位置状態でエンジン24が停止状態になったことを認識すると、飲酒時車両動作制限システム33をエンジン始動禁止状態とすべく車内照合成立無視状態をとる。
【0105】
一方、キー所持者を含む乗員が店内で精算を済ます時、飲食店34の店員は運転者が飲酒者か否かの確認を行うが、この時の運転者がもし仮に非飲酒者である場合には、飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動禁止状態の解除を許可する必要があることから、飲食店34の従業員はキー機能付き携帯電話3を登録装置63にかざすことを許可する。この時、飲食店34の従業員は、登録装置63が停止状態であれば、登録装置63の信号発信開始ボタン63aを押し操作するなどして、停止状態の登録装置63を起動状態にする。起動状態となった登録装置63は、キー所持者が非飲酒者である旨の通知として非飲酒者証明情報Sokを狭域発信する。
【0106】
登録装置63の起動後、キー所持者がキー機能付き携帯電話3を登録装置63の検知面にかざして登録装置63の通信エリアに入り込むと、キー機能付き携帯電話3は登録装置63から非飲酒者証明情報Sokを無線で受信し、これをメモリ21内に書き込む動作を行う。キー機能付き携帯電話3が登録装置63から非飲酒者証明情報Sokを受信してメモリ書き込みしている際、携帯電話3の画面45には、非飲酒者証明情報Sokをキー機能付き携帯電話3に書き込み中である旨の通知、例えば「Load中…」等の文字表示が行われる。そして、正常に書き込みが完了すると画面45に完了通知が表示され、書き込みができなかった場合には画面45に再実行の通知が表示される。
【0107】
キー所持者がキー機能付き携帯電話3に非飲酒者証明情報Sokを登録して車両1に戻った場合、車外LF発信機5が形成する車外通信エリアE1にキー機能付き携帯電話3が入り込むと、この時も通常通りにキー機能付き携帯電話3と駐車車両1との間で車外照合が行われる。そして、この時の車外照合が成立すると、ドアロックの解除が許可されることになるので、運転者が駐車車両の車外ドアハンドルノブ8を握り操作すると、その握り操作がタッチセンサ9で検出された際に、ドアロックが解錠状態となる。
【0108】
続いて、キー所持者が運転席ドアを開閉操作して車内に乗車したとすると、この時の照合ECU4は、車内LF発信機6からリクエスト信号Srqを発信して車内に通信エリアE2を形成して、キー機能付き携帯電話3との間で車内照合の通信成立を試みる。このとき、車内LF発信機6が形成する車内通信エリアE2にキー機能付き携帯電話3が位置していれば、キー機能付き携帯電話3はリクエスト信号Srqに応答してID信号Sidを車両1に返信する動作に移る。このID信号返信時、キー機能付き携帯電話3(通信制御部18のメモリ21)に非飲酒者証明情報Sokが登録されているのであれば、通信制御部18はキー固有のIDコードCidに非飲酒者証明情報Sokを付加して、これをID信号SidとしてRF発信部20からRF帯の信号で車両1に向けて発信する。
【0109】
照合ECU4は、RF受信機7でID信号Sidを受信すると、このID信号Sidに含まれる各種情報(即ち、IDコードCid及び非飲酒者証明情報Sok)を読み取る。ここで、照合ECU4は、ID信号Sid内に含まれるIDコードCidが車両1のものと一致しないのであれば、車内照合不成立と認識して、通常通りの形式に沿う形でエンジン始動を許可しない。一方、照合ECU4は、ID信号Sid内に含まれるIDコードCidが車両1のものと一致した際、同じID信号Sid内に非飲酒者証明情報Sokが含まれていることを確認すると、この時の自身の動作状態が車内照合成立無視状態であれば、この車内照合成立無視状態を解除して通常通りに車内照合成立を認識する。即ち、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態が解除され、自由なエンジン始動操作が可能な状態となる。
【0110】
よって、キー機能付き携帯電話3に非飲酒者証明情報Sokを登録しておけば、このキー機能付き携帯電話3が車両1とID照合(車内照合)を行う際に、車両1に設定されている車内照合成立無視状態が解除されて、車両1が通常状態に復帰する。このため、飲酒時車両動作制限システム33がエンジン始動許可状態となるので、キー機能付き携帯電話3に非飲酒者証明情報Sokを登録する手続きをとった後に車両1に乗り込み、シフトレバーをパーキング位置に位置させた状態で、運転者によりブレーキペダルが踏み込み操作されつつエンジンスタートスイッチ26が押し操作された際には、問題なくエンジン24が始動する状態となる。
【0111】
また、キー機能付き携帯電話3への非飲酒者証明情報Sokの登録は、図19に示すように、駐車場38等に設置したアルコール検知器50を用いて呼気計測を行い、アルコールが検知されなかった場合に非飲酒者証明情報Sokがキー機能付き携帯電話3に登録される呼気計測式でもよい。このアルコール検知器50で呼気計測を行う場合、キー所持者はアルコール検知器50を計測開始操作した後にその検知部51に息を吹きかける動作を行い、アルコール検知器50はこの時に得た呼気からアルコールを計測しなければ、非飲酒者証明情報SokをLF帯の信号でキー機能付き携帯電話3に向けて発信する。キー機能付き携帯電話3は、アルコール検知器50から発信された非飲酒者証明情報SokをLF受信部19で受信すると、これをメモリ21に書き込んで証明登録を行う。
【0112】
更に、キー機能付き携帯電話3への非飲酒者証明情報Sokの登録は、第1実施形態で述べた図9〜11に示す操作入力画面46〜48を立ち上げて、所定ボタン操作入力が正確に行われたか否かを確認することで登録可否を決定する方式を応用してもよい。即ち、キー機能付き携帯電話3の画面45に図9〜11に示す操作入力画面46〜48が立ち上げられた際、操作入力画面46〜48で与えられる諸条件が、キー機能付き携帯電話3の操作ボタン44の操作入力によりクリアされると、キー機能付き携帯電話3に非飲酒者証明情報Sokが登録される方式でもよい。
【0113】
更に、電子キーとしてキー機能付き携帯電話3ではなく、図20に示すように、単なる車両キー機能のみを持つ携帯機70を用いた場合には、キー機能の付いていない携帯電話71(即ち、車両1のIDコードCidが登録されていない携帯電話71)に、登録装置63から出力される非飲酒者証明情報Sokを登録し、車両1の車内照合成立無視状態を解除する時は携帯電話71を用いて行うことも可能である。この場合は、車両1の車内照合成立無視状態を解除する時は携帯電話71を使用し、実際の車両1のドアロック施解錠やエンジン始動は携帯機70を使用して行うことになる。なお、携帯機70が電子キーを構成する。
【0114】
また、車両1の車内照合成立無視状態の解除は、キー機能付き携帯電話3側で行うのではなく、これを車両1側で行ってもよい。その一例としては、第1実施形態でも記載したように、例えば車両1の車外ドアハンドルノブ8やロックボタン10が、決められた手順通りに操作されたか否かを条件する方式が挙げられる。照合ECU4は、動作状態が車両照合成立無視状態の際に、車外ドアハンドルノブ8やロックボタン10が決められた手順通りに操作された事を確認すると、車内照合成立無視状態を解除して飲酒時車両動作制限システム33を元の通常状態に戻す。なお、この場合も、ドアハンドルノブ8やロックボタン10が正確に解除操作されたことだけでなく、例えば車両1及びキー機能付き携帯電話3間でID照合が成立したことも、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する際の条件としてもよい。
【0115】
更に、車両1の車内照合成立無視状態を車両1側で解除する場合、これは解除操作入力画面46〜48をキー所持者にクリアさせる方式を応用してもよい。即ち、車内の一操作ボタンが押し操作されると、車内のディスプレイ54に図9〜11に示すような解除操作入力画面46〜48の一画面が立ち上がり、この入力画面で与えられる諸条件を、車内の各種操作ボタンを操作して時間内にクリアする。照合ECU4は、解除操作入力画面46〜48がクリアされた事を確認すると、車内照合成立無視状態を解除して飲酒時車両動作制限システム33を元の通常状態に戻す。
【0116】
また、車両1の車内照合成立無視状態は、車両1がこの成立無視状態をとってからの経過時間を計時し、この経過時間が所定値以上になってタイムアップすると自動で解除される方式でもよい。この場合の動作としては、動作状態が車内照合成立無視状態になると、照合ECU4がこの状態になってからの経過時間をカウンタやタイマ等で計時し、この経過時間が所定値以上となると、車両1の車内照合成立無視状態を解除して飲酒時車両動作制限システム33のエンジン始動禁止状態を解除する。なお、この例においては、車内照合成立無視状態がタイムアップして解除状態となるまでの残り時間を、車内のディスプレイ54やキー機能付き携帯電話3の画面45に表示することも可能である。
【0117】
更に、車両1の車内照合成立無視状態の解除は、飲食店34内の登録装置63を用いてキー機能付き携帯電話3に非飲酒者証明情報Sokを登録して行う方式に限らず、図21に示すように、非飲酒者証明情報Sokを車両1に直接登録する方式でもよい。この場合、駐車場38全域にRF信号を発信可能なRF式解除発信機72を飲食店34の屋外に備え付け、飲食店34の従業員が非飲酒の証明を客に与えるに際しては、RF式解除発信機72から車両1のIDコードCidと非飲酒者証明情報Sokとを含んだ解除通知信号SorをRF帯の信号で発信することにより行う。この例では、複数の駐車車両1のうちIDコードCidが一致するものが解除通知信号Sorを受け付け、その車両1の車内照合成立無視状態が解除される。
【0118】
また、これと同じような考え方で、アルコール検知器50から非飲酒者証明情報Sokを出力する場合、これを車両1に直接送ることによって車両1の制限状態を解除してもよい。この場合も、車両1が車内照合無視状態をとってエンジン始動が制限されている状態であっても、車両1に非飲酒者証明情報Sokを直接発行することで、この制限状態を解除することが可能となる。なお、アルコール検知器50及びRF式解除発信機72が通信端末を構成し、非飲酒者証明情報Sokが解除許可通知を構成する。
【0119】
本実施形態によれば、第1実施形態に記載の各種効果に加え、以下に記載の効果を得ることができる。
(9)飲酒時車両動作制限システム33が車両1側で制限がかかるシステム構成であっても、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を車両1側で問題なく解除することができる。
【0120】
(10)飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態の解除が、キー機能付き携帯電話3への非飲酒者証明情報Sokにより行われる場合、駐車場38に停められた車両1は運転者がキー機能付き携帯電話3に非飲酒者証明情報Sokを登録するまで動かせないので、本システムを時間貸し駐車場の代わりとして利用することもできる。
【0121】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ 第1及び第2実施形態において、電子キーは、携帯電話に電子キー機能を搭載したキー機能付き携帯電話3に限らず、例えばキー機能のみを持つとともに車両1と自動でID照合を行う携帯機や、或いはボタン操作が行われた際に施錠要求や解錠要求がIDコードCidとともに車両1に向けて発信されるワイヤレスキーでもよい。
【0122】
・ 第1実施形態において、キー機能付き携帯電話3に使用制限を加えて飲酒時車両動作制限システム33を車両動作制限状態にする場合、この時にキー機能付き携帯電話3に加える使用制限は、ID照合が成立しなければどのような方式を用いてもよい。なお、この事は、第2実施形態において車両1に使用制限を加えて飲酒時車両動作制限システム33を車両動作制限状態にする時も同様に言える。
【0123】
・ 第1及び第2実施形態において、飲酒時車両動作制限システム33が車両1に使用制限を加える車両動作は、必ずしもエンジン始動に限らず、例えばドアロック施解錠を制限して飲酒者を車内に入れなくする方式でもよい。即ち、飲酒者が車両を運転できない状態となるのであれば、種々の方式を利用してもよい。
【0124】
・ 第1実施形態において、LF発信装置35は、飲食店入店情報Sddを常時発信することに限らず、例えば飲食店34のドア付近に来客の通過を検知するセンサを設け、このセンサで客の入店を検知した時に飲食店入店情報Sddを数回発信する方式でもよい。なお、この事は、第2実施形態においてRF発信装置60が飲食店入店情報Sddを発信する際の発信方式に利用可能であることは言うまでもない。
【0125】
・ 第1及び第2実施形態において、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態の解除は、運転者が非飲酒者ではないことを証明可能であれば、種々の方式を利用してもよい。
【0126】
・ 第1及び第2実施形態において、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除するに際して、キー機能付き携帯電話3での正確な解除操作入力(数値入力式、暗記式、パズル式等のボタン操作入力式での正確なボタン入力)と、車両1及び携帯電話3間のID照合成立との2条件とした場合、キー機能付き携帯電話3と車両1との間でID照合(例えば車外照合)が成立している時にのみ、キー機能付き携帯電話3での解除アプリケーションの起動を許可してもよい。
【0127】
・ 第1実施形態において、LF発信装置35の設置場所は、必ずしも飲食店34に限定されない。例えば、酒屋や酒自動販売機等の飲酒動作を行う可能性のある場所にLF発信装置35を設置してもよく、酒の購入に伴って飲酒時車両動作制限システム33が車両動作制限状態になるものでもよい。また、この事は、第2実施形態でのRF発信装置60でも同様に言える。
【0128】
・ 第1及び第2実施形態において、キー照合時に使用する照合通信系や、飲酒時車両動作制限システム33を無線通信により車両動作制限状態にする際に使用する制限通信系や、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を無線通信により解除する際に使用する解除通信系は、必ずしも同一の通信系を使用することに限定されず、例えばこれら通信系が別々に設けられるものでもよい。また、これら通信系で使用する通信方式は、種々の通信方式(周波数帯、変調方式)が利用可能であることは言うまでもない。
【0129】
・ 第2実施形態において、車両動作の制限を車両1側で行うとともに制限解除をタイムアップ式で行う場合、例えば車両1が車両動作制限状態に入ってからの経過時間をキー機能付き携帯電話3で計時し、キー機能付き携帯電話3がタイムアップを確認するとその旨を車両1に通知して、車両1の車両動作制限状態を解除するようにしてもよい。
【0130】
・ 第1及び第2実施形態において、飲酒時車両動作制限システム33を車両動作制限状態にする際に使用する制限通信系や、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する際に使用する解除通信系は、必ずしも無線通信であることに限定されない。例えば、キー機能付き携帯電話3の通信先となる通信機器に接続コネクタを設け、そのコネクタに携帯電話3をセットすることで有線通信によりデータ通信を行う方式を採用してもよい。
【0131】
・ 第1及び第2実施形態において、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態を解除する時に必要な条件は、必ずしも1つに限らず、例えば図9〜11に示した数値入力式、暗記式及びパズル式の3つが全てクリアできた時にのみ解除が許可されるように、複数の解除条件を組み合わせてもよい。
【0132】
・ 第1及び第2実施形態において、飲酒時車両動作制限システム33の車両動作制限状態の解除方式に、キー機能付き携帯電話3での正確な解除操作入力を求めるボタン操作入力式を用いた場合、この時の制限時間は適宜変更可能であって、例えば年齢、性別、個人差によって変更可能である。また、この種の解除方式を用いた場合、携帯端末が携帯機やワイヤレスキーの場合、携帯端末の各種ボタン(ロックボタンやアンロックボタン)を所定順序で押すことを解除条件としてもよい。
【0133】
・ 第1及び第2実施形態において、キーシステムは、必ずしもキーが持つ固有コードの照合を無線通信により行う電子キーシステムに限定されず、例えばメカニカルキーを用いた機械式キーシステムでもよい。
【0134】
・ 第1及び第2実施形態において、運転者が飲食店34に入店したか否かの判定は、例えば携帯電話3にGPS機能が搭載されていれば、このGPSから得られる位置情報を用いて行ってもよい。
【0135】
・ 第1実施形態において、決済機能41は、専用の通信方式を用いたものに限定されず、例えばキー照合で使用したLF通信を共用してもよい。
・ 第2実施形態において、車両位置判定装置68等から出力される車両1の現在位置情報Spsを用いて運転者が飲酒行動を行ったか否かを判定する場合、現在位置情報Spsの出力元は必ずしも車載機器(カーナビゲーション装置68a、G-Book装置68b)に限定されない。例えば、道路に設置した無線LAN通信装置64、DSRC通信装置66から、その設置位置を現在位置情報Spsとして車両1に向けて発信させてもよい。
【0136】
・ 第1及び第2実施形態において、飲酒時車両動作制限システム33の搭載対象は、必ずしも乗用車に限らず、例えば二輪車等でもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0137】
(1)請求項1〜8のいずれかにおいて、前記車両のキーシステムは、キー固有のキーコードを無線で狭域発信する電子キーを用い、当該電子キーから無線で発信される前記キーコードと前記車両に登録されたキーコードとを照らし合わせることにより、キー照合を行う電子キー式であることを特徴とする請求項1に記載の飲酒運転防止システム。この構成によれば、実際のキー操作を行うことなく各種車両動作を実施することが可能となるので、車両操作を行う際の利便性を向上することが可能となる。
【0138】
(2)請求項1〜8のいずれかにおいて、前記キーシステムで前記キー照合を行う際に使用する照合通信系と、前記車両動作に使用制限を加える場合にこれを無線通信で行う時に使用する制限通信系と、当システムの車両動作制限状態を解除する場合にこれを無線通信で行う時に使用する解除通信系とは、同じ通信系が使用されている。この構成によれば、各々個別に通信部品を用意する必要がないので、通信系に要する部品点数を少なく抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】第1実施形態における飲酒時車両動作制限システムの構成を示すブロック図。
【図2】車両が形成する各種通信エリアのエリア範囲を示す平面図。
【図3】システムが車両動作制限状態になる時の各種部品の操作状態を示す説明図。
【図4】発信操作装置が取り付けられたLF発信装置の概略構成を示す模式図。
【図5】携帯電話で決済を行う際に用いる支払い端末の概略構成を示す模式図。
【図6】システムを車両動作制限状態にする際の一具体例を示す模式図。
【図7】システムを車両動作制限状態にする際の他の具体例を示す模式図。
【図8】システムを車両動作制限状態にする際の他の具体例を示す模式図。
【図9】システムの車両制限状態をキー側で解除する際に用いる一操作入力画面図
【図10】同じく車両動作制限状態をキー側で解除する際の他の操作入力画面図。
【図11】同じく車両動作制限状態をキー側で解除する際の他の操作入力画面図。
【図12】携帯電話の使用制限状態を解除する際に用いる解除装置の模式図。
【図13】アルコール検知器により車両動作制限状態を解除する際のシステム構成図。
【図14】システムの制限状態がタイムアップ式の場合のシステム構成図。
【図15】車両動作制限状態を車両側で解除する際の一具体例を示す模式図。
【図16】同じく車両動作制限状態を車両側で解除する際の他の具体例を示す模式図。
【図17】第2実施形態の飲酒時車両動作制限システムの概略構成を示す構成図。
【図18】システムを車両動作制限状態にする際の他の具体例を示す構成図。
【図19】アルコール検知器を用いたシステムの概略構成を示す構成図。
【図20】車両動作制限状態を解除する際の一具体例を示す模式図。
【図21】車両動作制限状態を解除する際の他の具体例を示す構成図。
【符号の説明】
【0140】
1…車両、2…飲酒運転防止システム及びキーシステムを構成するハンズフリーシステム、3…電子キーを構成するキー機能付き携帯電話、4…飲酒有無判定手段及び解除手段を構成する照合ECU、8…操作手段を構成するドアハンドルノブ、10…操作手段を構成するロックボタン、18…飲酒有無判定手段を構成する通信制御部、31…キーシステムを構成するイモビライザーシステム、33…飲酒運転防止システムを構成する飲酒時車両動作制限システム、50…通信端末を構成するアルコール検知器、56…通信端末を構成する店外解除装置、70…電子キーを構成する携帯機、72…通信端末を構成するRF式解除発信装置、Cid…キーコードとしてのIDコード、Dp r…飲酒有無判定手段及び解除手段を構成するプログラム、Sot…解除許可通知を構成するロック状態解除要求信号、Sok…解除許可通知を構成する非飲酒者証明情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の飲酒有無を判定する飲酒有無判定手段を持ち、当該飲酒有無判定手段が飲酒有りと判定した際には、当システムの作動状態を車両動作の使用を制限する車両動作制限状態に切り換えて、操作可能な車両動作に使用制限を加える飲酒運転防止システムにおいて、
当システムの前記車両動作制限状態を解除する解除手段を前記車両に設けることにより、当該車両動作制限状態の解除を前記車両側で行うことを特徴とする飲酒運転防止システム。
【請求項2】
前記解除手段は、前記車両に設けられた操作手段が、当システムの前記車両動作制限状態の解除を許可し得る順序で操作されたか否かを判定し、前記操作手段が前記順序で操作されたことを条件に前記車両動作制限状態の解除を行うことを特徴とする請求項1に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項3】
前記車両のキーシステムは、キー固有のキーコードを無線で狭域発信する電子キーを用い、当該電子キーから無線で発信される前記キーコードと前記車両に登録されたキーコードとを照らし合わせることによりキー照合を行い、当該キー照合の成立を条件に前記車両動作を許可する電子キー式であり、
前記解除手段は、前記操作手段が前記順序で操作されたことに加え、前記キーシステムの前記キー照合が成立していることも条件として、前記車両動作制限状態の解除を行うことを特徴とする請求項2に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項4】
前記解除手段は、当システムの車両動作制限状態の解除操作を行う際の一構成要素として働く通信端末から、当該解除を行う際に必要な証明として解除許可通知を取得したか否かを判定し、当該解除許可通知の取得を条件に前記車両動作制限状態の解除を行うことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項5】
前記解除手段は、当システムが車両動作制限状態となってからの経過時間を前記車両で計時し、その計時時間が設定値以上となったことを条件に前記車両動作制限状態の解除を行うことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項6】
前記車両のキーシステムは、キー固有のキーコードを無線で狭域発信する電子キーを用い、当該電子キーから無線で発信される前記キーコードと前記車両に登録されたキーコードとを照らし合わせることによりキー照合を行い、当該キー照合の成立を条件に前記車両動作を許可する電子キー式であり、
前記キーシステムで前記キー照合を行う際に使用する照合通信系と、当システムの車両動作制限状態を解除する場合にこれを無線通信で行う時に使用する解除通信系とは、同じ通信系が使用されていることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項7】
前記解除手段は、前記車両に使用制限をかけることにより当システムを車両動作制限状態とする場合、前記車両動作制限状態の解除条件が前記車両側で成立した際、前記使用制限がかけられた前記車両を元の通常状態に戻すことによって、前記車両動作制限状態の解除を行うことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の飲酒運転防止システム。
【請求項8】
前記車両のキーシステムは、キー固有のキーコードを無線で狭域発信する電子キーを用い、当該電子キーから無線で発信される前記キーコードと前記車両に登録されたキーコードとを照らし合わせることによりキー照合を行い、当該キー照合の成立を条件に前記車両動作を許可する電子キー式であり、
前記解除手段は、前記電子キーに使用制限をかけることにより当システムを車両動作制限状態とする場合、当該車両動作制限状態の解除条件が前記車両側で成立した際、解除許可通知を前記車両に登録し、当該解除許可通知を前記車両から前記電子キーに出力して、前記使用制限がかけられた前記電子キーを元の通常状態に戻すことによって、前記車両動作制限状態の解除を行うことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の飲酒運転防止システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−29376(P2009−29376A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198139(P2007−198139)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】