説明

高耐圧半導体装置および高電圧集積回路装置

【目的】ワイヤ接続における高耐圧半導体装置において、複雑なプロセス製造工程も、複雑な裏面加工工程も一切伴わず、低コストで高耐圧化、高信頼性化を実現できる高耐圧半導体装置およびそれを用いた高電圧集積回路装置を提供することにある。
【構成】半導体基板100上に誘電体層101を介して半導体層102が形成され、半導体層102上にドレイン層113と、ドレイン層113を内包するように形成されたバッファ層112と、ドレイン層113と離間し、その周りを囲むように形成されたソース層114と、ソース層114を内包するように形成されたウエル層111と、半導体層102上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極110と、を備えた高耐圧半導体装置において、ドレイン層113及び、バッファ層112の平面形状が非連続または連続の環状とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOI(Silicon On Insulater)基板を用いた高耐圧半導体装置に係り、特にHVIC(High Voltage Integrated Circuit)に代表される電力変換用集積回路に用いられることを目的としている。主に100Vから1200Vまでの高耐圧クラスのLDMOSFET(Lateral Double Diffused MOSFET)に利用されうる。
【背景技術】
【0002】
近年、Power−ICの高耐圧要求に伴い、トレンチ誘電体分離と絶縁層により、素子間を完全に分離できるSOI基板が注目されている。SOI基板上に高耐圧電力変換集積回路を形成することで、スイッチング時の寄生素子による誤動作防止、ノイズによる干渉防止、寄生容量の低減などの利点が挙げられる。また、集積回路内の各デバイスのエッヂ構造や高耐圧端部終端構造(HVJT:High Voltage Junction Termination)にトレンチによる誘電体分離を適用できるため、集積回路自体のチップサイズシュリンクの効果も期待できる。
図12は、従来の高耐圧半導体装置の要部断面図である。図12に示す従来の高耐圧半導体装置950は、支持基板900の上面に誘電体層901を設け、その誘電体層901の上面には半導体基板からなるn-型半導体層902が備えられている。誘電体層901は支持基板900とn-型半導体層902を誘電体分離しており、n-型半導体層902内の横方向の絶縁分離は、n−型半導体層902に形成されたトレンチ903内にシリコン酸化膜904を埋め込んだトレンチ誘電体分離により区画している。上記の区画されたn-型半導体層902内の所定の範囲内において、n-型半導体層902をドリフトドレイン領域902とし、そのドリフトドレイン領域902の上面中央部に、高濃度のドレインn+層913と、ドレインn+層913よりも高抵抗となるn型バッファ層912を備え、n型バッファ層912から離間し、かつ取り囲むようにp型ウエル拡散層911と、p型ウエル拡散層911内にソースn+層914が、それぞれ形成されている。また、n+ソース層914とp型ウエル拡散層911及び、ドリフトドレイン領域902上には絶縁膜を介して、ゲート電極910を設け、ソースn+層914とドレインn+層915にそれぞれ、ソース電極908、ドレイン電極909を設けており、ソース電極908とドレイン電極909はフィールド酸化膜905、層間絶縁膜(ILD:Inter Layer Dielectrics)906およびパッシベーション膜907によって、互いに絶縁されている。また、ソースn+層914とドレインn+層913には、互いにドリフトドレイン領域902の上方に張り出して、フィールドプレート電極を設けている。図12では、ソース電極908およびドレイン電極909が層間絶縁膜906の上に延在することでフィールドプレート電極を構成している。
【0003】
支持基板900と、ソース電極908及びゲート電極910をグランド電位に固定し、ドレイン電極909に正バイアスを印加してゆくと、上記半導体装置900のp型ウエル拡散層911とn-型半導体層902との間のpn接合から空乏層が広がる。また、同時に支持基板900をグランド電位に固定していることで、誘電体層901とn-型半導体層902との界面からも空乏層が広がる。よって、n-型半導体層902内において横方向と縦方向から空乏層が広がり、ドリフトドレイン領域902の表面電界が緩和される。
この効果は、一般にリサーフ(RESURF:Reduced Surface Field)効果と言われる。
ドリフトドレイン領域902のn型バッファ層912とp型ウエル拡散層911との間の距離Ldを十分長く取り、最適の不純物濃度に調整し、上記フィールドプレート電極の張り出し長さを最適化することで、ドレイン電極909に高電圧が印加されたときでも表面電界が緩和され、pn接合部で電界集中せず、尚且つ半導体基板表面にてアバランシェ降伏しないように設計されている。
【0004】
このとき、アバランシェ降伏は、ドリフトドレイン領域902と誘電体層901との界面で起こる。このような、リサーフ条件を満たすときの高耐圧半導体装置の耐圧Vbrは、ポアソンの式を変換して数式1で表される。
【0005】
【数1】

ここで、Ecrは臨界電界、dはn-型半導体層902の厚さ(単位:μm)で、Toxは誘電体層の厚さ(単位:μm)である。ここで、n-型半導体層902をシリコン、誘電体層901をシリコン酸化膜で形成した場合の、耐圧Vbrは、Ecr=3E5(V/cm)、d=20μm、Tox=5μm、εsi=11.7、εox=3.9をそれぞれ代入すると、Vbr=750Vとなる。
一般に、HVICに、搭載されるレベルシフタや高耐圧ブートストラップダイオードの耐圧は、600Vの製品仕様の場合には、n-型半導体層902の比抵抗バラツキや誘電体層901の厚みのバラツキ、さらにはHVICにより制御されるパワーMOSFETなどの実耐圧を加味して、最低でも750V程度の耐圧が要求される。
【0006】
上記数式1より、高耐圧半導体装置の高耐圧化には、n-型半導体層902の厚さd、または、誘電体層901の厚さToxの厚膜化を行えばよいことになるが、n-型半導体層902の厚さdにおいては、n-型半導体層902上の横方向の素子間を区間するトレンチのエッチングや酸化膜埋め込みなどの製造プロセス上の制約があるため、d=10〜20μm程度が現実的な値となる。また、誘電体層901の厚さToxは、張り合わせ方式のSOI基板の場合、厚くなるほど、IC製造プロセス過程でのウエハの反りが大きくなる問題と、高温炉による誘電体層901の堆積時間の増加を伴うため、SOI基板コストアップとなってしまう問題がある。加えて、誘電体層901の厚膜化は、誘電体層901とn-型半導体層902接合面から伸びる空乏層の伸びを小さくしてしまうので、上述したリサーフ効果が低減してしまい、高耐圧半導体装置表面の電界がきつくなるため、耐圧が低下してしまう。よって、n-型半導体層902の厚さは、厚く見積もってもTox=4〜5μm程度が現実的な値となる。
【0007】
しかしながら、このように高耐圧用途に最適化された厚い誘電体層901、厚いn-型半導体層902を備えた高耐圧半導体装置900を、HVICなどの電力変換用集積回路に搭載するため1チップ化しようとすると、ドレイン電極909からアルミ配線917などで図示しないハイサイド駆動回路である高電圧領域へ接続する必要がある。この接続を、特許文献1に記載しているように、高耐圧半導体装置の中心電極(ドレイン電極909)から外周半導体領域(ソースn+層914及びp型ウエル拡散層911)上に配線を通すことにより行おうとすると、ドリフトドレイン領域902の電位がドレイン電極909の電位に引かれて、p型ウエル拡散層911近傍で局部的に電界集中してしまうため、均一な耐圧設計が崩れるだけでなく、配線下の領域が低い電圧でアバランシェ降伏してしまい耐圧低下となってしまう問題があった。
【0008】
そこで通常、誘電体分離領域内に形成された半導体装置から、隣接または、離間した誘電体分離領域への安定した高電位配線を行うためには、特許文献2および3に示すようなボンディングワイヤによる高電位配線接続方法が行われている。特許文献2および3では、誘電体層に積層方向に別の誘電体を隣接配置し、半導体装置の耐圧を高く維持する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3489362号公報
【特許文献2】特許公開2006−313828号公報
【特許文献3】特許第4020195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2および3に記載の構成は、複雑な裏面加工工程を伴い、コストが高くなってしまう。
本発明は、上述した点を鑑みて、その目的とするところは、ワイヤ接続における高耐圧半導体装置において、複雑なプロセス製造工程も、複雑な裏面加工工程も一切伴わず、低コストで高耐圧化、高信頼性化を実現できる高耐圧半導体装置および高電圧集積回路装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために請求項1の高耐圧半導体装置は、支持基板と該支持基板上に誘電体層を介して第1導電型の半導体層が形成され、前記半導体層上に前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のドレイン層と、該ドレイン層を内包するように形成され、かつ、前記半導体層と前記ドレイン層との間の不純物濃度を備えた第1導電型のバッファ層と、前記ドレイン層と離間し、その周りを囲むように形成された前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のソース層と、該ソース層を内包するように形成された第2導電型のウエル層と、前記ソース層と、ウエル層及び該ウエル層と前記バッファ層との間に介在する前記半導体層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ドレイン層に電気的に接続されたドレイン電極と、前記ソース層に電気的に接続されたソース電極と、を備えた高耐圧半導体装置において、
前記ドレイン層及び、前記バッファ層の平面形状が非連続または連続の環状であることとする。
【0012】
また、請求項2の高耐圧半導体装置は、支持基板と該支持基板上に誘電体層を介して第1導電型の半導体層が形成され、前記半導体層上に前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のドレイン層と、該ドレイン層を内包するように形成され、かつ、前記半導体層と前記ドレイン層との間の不純物濃度を備えた第1導電型のバッファ層と、前記ドレイン層と離間し、その周りを囲むように形成された前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のソース層と、該ソース層を内包するように形成された第2導電型のウエル層と、前記ソース層と、ウエル層及び該ウエル層と前記バッファ層との間に介在する前記半導体層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ドレイン層に電気的に接続されたドレイン電極と、前記ソース層に電気的に接続されたソース電極と、を備えた高耐圧半導体装置において、
前記ドレイン層の平面形状が非連続または連続の環状であり、該環の内側に前記半導体層の表面から前記バッファ層より深い深さで形成された第2導電型拡散層を備えたこととする。
【0013】
また、請求項3の高耐圧半導体装置は、請求項1または2に記載の高耐圧半導体装置において、前記ドレイン層の内側の前記半導体層上に絶縁膜を介して前記ドレイン電極と電気的に接続されたドレインパッドを備え、該ドレインパッドと接続されるボンディングワイヤを有することとする。
また、請求項4に記載の高電圧集積回路装置は、請求項3に記載の高耐圧半導体装置と、該高耐圧半導体装置と前記半導体層に形成された分離領域を介して形成される高電圧領域と、該高耐圧領域に前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された電極パッドとを備え、該電極パッドと前記ボンディングワイヤとが接続されたこととする。
また、請求項5の高耐圧半導体装置は、支持基板と該支持基板上に誘電体層を介して第1導電型の半導体層が形成され、前記半導体層上に前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のカソード層と、該カソード層を内包するように形成され、かつ、前記半導体層と前記カソード層との間の不純物濃度を備えた第1導電型のバッファ層と、前記カソード層と離間し、その周りを囲むように形成された前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第2導電型のアノード層と、を備えた高耐圧半導体装置において、
前記カソード層及び、前記バッファ層の平面形状が非連続または連続の環状であることとする。
【0014】
また、請求項6の高耐圧半導体装置は、支持基板と該支持基板上に誘電体層を介して第1導電型の半導体層が形成され、前記半導体層上に前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のカソード層と、該カソード層を内包するように形成され、かつ、前記半導体層と前記カソード層との間の不純物濃度を備えた第1導電型のバッファ層と、前記カソード層と離間し、その周りを囲むように形成された前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第2導電型のアノード層と、を備えた高耐圧半導体装置において、
前記カソード層の平面形状が非連続または連続の環状であり、該環の内側に前記半導体層の表面から前記バッファ層より深い深さで形成された第2導電型拡散層を備えたこととする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、従来の高耐圧半導体装置と同一の比抵抗、同一のSOI層膜厚、同一の埋め込み誘電体層膜厚において、ドレイン領域のバッファ層の構成の違いのみにより実現できるため、製造上のコストアップなしで、高耐圧かつ高信頼性の高耐圧半導体装置および高電圧集積回路装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明における一実施の形態の高耐圧半導体装置の要部断面図である。
【図2】図1の要部平面図である。
【図3】デバイスシミュレーション結果を示す図である。
【図4】耐圧シミュレーション結果を示す図である。
【図5】参考例の高耐圧半導体装置の要部断面図である。
【図6】デバイスシミュレーション結果を示す図である。
【図7】本発明における他の実施の形態の高耐圧半導体装置の要部断面構造図である。
【図8】本発明における他の実施の形態の高耐圧半導体装置の要部平面図である。
【図9】本発明の高耐圧半導体装置を用いた回路図である。
【図10】本発明の高電圧集積回路装置の要部断面図である。
【図11】本発明の高耐圧半導体装置の要部断面図である。
【図12】従来の高耐圧半導体装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
通常、SOI基板上の高耐圧半導体装置のドレイン端子に高電圧を印加した際、第2導電型ウエル層とドリフトドレイン領域に相当する第1導電型半導体層とのpn接合部から空乏層が伸び、また同時に埋め込み誘電体層と第1導電型半導体層との接合部からも空乏層が伸び、やがてドレイン電極の下部に当たる埋め込み誘電体層と第1導電型半導体層との接合部で高電界となり、臨界電界に達し、アバランシェブレークダウンに突入する。しかし、上記に記述したように、SOI基板上に第1導電型高濃度ドレイン層と、それを取り囲む第1導電型バッファ層を環状で形成することで、ドレイン電極の下部に当たる埋め込み誘電体層と第1導電型半導体層との接合部で高電界領域を狭くすることができ、また同時に表面電界も緩和できるため、臨界電界を高くすることができる。
その結果として、ドレイン電極下部に円状かつ一様に中を満たしたバッファ層を備えた従来の高耐圧半導体装置に比べ、高濃度ドレイン層を取り囲むバッファ層を環状で形成した本発明の高耐圧半導体装置では、耐圧を数十ボルト高くすることができる。また、通常数百ボルトの高耐圧を出すためにはドリフトドレイン領域を低不純物濃度にすることが必要なため、従来の構造のように、電界集中領域がドレイン電極直下の比較的バルク表面(ドリフトドレイン領域表面)の領域に集中する構成では、表面チャージの影響で耐圧変動などが起きやすかった。しかしながら、本発明の構造だと、埋め込み誘電体層とn-型半導体層との界面領域で高電界となり、バルク表面で電界集中しにくい構造となるため、ドレイン端子に高電圧が印加された時のドリフトドレイン領域表面のチャージによる影響を少なくすることができる。
【実施の形態1】
【0018】
図1は、本発明における一実施の形態の高耐圧半導体装置の要部断面図である。図2は、図1の要部平面図であり、図1において、n-型半導体層102の表面に絶縁膜や電極が形成されていない状態での平面図である。
高耐圧半導体装置500は、支持基板100の上面に誘電体層101を設け、その誘電体層101の上面にはシリコン基板からなるn-型半導体層102が備えられている。誘電体層101は支持基板100とn-型半導体層102を誘電体分離しており、n-型半導体層102内の横方向の絶縁分離は、n-型半導体層102にトレンチ103を形成し、このトレンチ103内に充填されたシリコン酸化膜104によるトレンチ誘電体分離により区画している。上記の区画されたn-型半導体層102内の所定の範囲内において、n-型半導体層102をドリフトドレイン領域502とし、そのn-型半導体層の上面中央部に、高濃度のドレインn+層113と、ドレインn+層113よりも高抵抗となるn型バッファ層112を備え、n型バッファ層112はドレインn+層113を包括するように環状に形成する。また、n型バッファ層112から離間し、かつドレインn+層113を取り囲むようにp型ウエル拡散層111と、p型ウエル拡散層111内にソースn+層114とウエルピックアップp+層115とが、それぞれ形成されている。また、n+ソース層114とp型ウエル拡散層111及び、ドリフトドレイン領域502上には絶縁膜を介して、ポリシリコンからなるゲート電極110を設け、ソースn+層114とドレインn+層113にそれぞれ、ソース電極108、ドレイン電極109を設けており、ソース電極108とドレイン電極109はフィールド酸化膜(LOCOS:Local Oxidation of Silicon)105および層間絶縁膜106によって、互いに絶縁されている。また、ソースn+層114とドレインn+層113には、互いにドリフトドレイン領域502上に層間絶縁膜を介して張り出すようにフィールドプレート電極を設けている。この実施の形態では、ソース電極108とドレイン電極109がドレインドリフト領域502上に延在することによりフィールドプレート電極としても機能している。ドレインパッド119以外はプラズマシリコン窒化膜からなるパッシベーション膜107で覆われている。
【0019】
また、誘電体層101の膜厚はTox=5.0μm、n-型半導体層102の膜厚はTsoi=20.0μmとした。トレンチ103のトレンチ幅はLt=1.5μmとしてドライエッチングによりトレンチ深さDt=22μm程度にオーバーエッチングして誘電体層101に達するように形成される。トレンチ103内にはP−TEOS(プラズマ−テトラエトキシシラン)酸化膜等の誘電体を埋め込む。p型ウエル拡散層111は、高温の熱酸化と高温のN2ドライブ工程により、拡散深さXj=3.5μm程度で形成される。n型バッファ層112は、高温のN2ドライブにより、拡散深さXj=1.3μm程度で形成される。また、n-型半導体層102の比抵抗は12.5(Ω・cm)とし、p型ウエル拡散層111のボロン不純物濃度は1.5E17(/cm3)程度とし、n型バッファ層112のリン不純物濃度は1E17(/cm3)程度とする。ソースn+層114とドレインn+層113は砒素不純物濃度1E20(/cm3)、ウエルピックアップp+層115のBF2不純物濃度は1E20(/cm3)として形成する。n型バッファ層112とp型ウエル拡散層111との間の距離はおよそ100μmで、ドレイン電極109と電気的に接続されるボンディング用のドレインパッド119の幅(直径)は100μm程度とする。
【0020】
さらに、高耐圧半導体装置500から同一の半導体基板内に形成された高電圧領域(高電位浮遊領域)への高電位配線は、フィールド酸化膜105上の位置にてドレインパッド119にボンディング接続されたボンディングワイヤ116により行なう。
図2に示すように、本実施の形態では、高耐圧半導体装置の各領域およびトレンチ103の平面形状は、円形状の場合を示したが、円形状でなく、直線部と円弧部とからなる略多角形状や楕円形状であってもよい。
ここで、高耐圧半導体装置500に対して、支持基板100と、ソース電極108及びゲート電極110をグランド電位に固定し、ドレイン電極109に正バイアスを印加してゆくと、上記半導体装置のp型ウエル拡散層111とn-型半導体層102との間のpn接合から空乏層が伸びる。また、同時に支持基板100をグランド電位に固定していることで、誘電体層101とn-型半導体層102との界面からも空乏層が伸びる。
【0021】
以下にシミュレーションを行った結果について説明する。
シミュレーションは、図1に記載の本発明の構造と、参考例として図5に示す半導体装置とについておこなった。
図5は、参考例の高耐圧半導体装置の要部断面図である。
図5に示す高耐圧半導体装置600は、図1の構成において、n型バッファ層112が、平面形状が円形状のn型バッファ層612に置き換わっている点である。n型バッファ層612は、ドレインパッド119下のフィールド酸化膜105とn-型半導体層102との間に介在し、該フィールド酸化膜105とドレインn+層113を覆うように形成されている。
図3および図6は、デバイスシミュレーション結果を示す図であり、それぞれの図において、(a)は、2次元のデバイスシミュレーションを用いて高耐圧半導体装置500,600の支持基板100と、ソース電極108及びゲート電極110をグランド電位に固定し、ドレイン電極109に700Vの電圧を印加した際の、2次元電界分布の様子を示し、(b)は、同図(a)において、高耐圧半導体装置500,600の表面のドレインn+層115から誘電体層101にかけて電界集中ポイント(図3中のA線と図6中のB線)を通るように垂直方向にカットした1次元の電界強度の波形を示す。
【0022】
図6の参考例の場合では、高電界領域が誘電体層101とn-型半導体層102との界面に1つのピークで電界集中にているのに対して、図3の本発明の場合では2つのピークに分かれて集中している。このことで、環状に形成されたn型バッファ層112を配置する本発明の構成では、誘電体層101とn-型半導体層102との界面での臨界電界が高くなり、ブレークダウン状態になる電圧を数十ボルト高く保つことができる。
図4は、耐圧シミュレーション結果を示す図であり、図5に記載のn型バッファ層612の構造と、図1に示したn型バッファ層112の構造とで高耐圧半導体装置500,600の耐圧シミュレーションを行なった比較結果を示す。シミュレーションは、高耐圧半導体装置500,600の支持基板100と、ソース電極108及びゲート電極110をグランド電位に固定し、ドレイン電極109に正バイアスを印加した際にドレイン電流(Ids)が100nAとなるドレイン電圧をブレークダウン状態になる電圧とした。但し、高耐圧半導体装置500,600の、誘電体層101の膜厚、n-型半導体層102の膜厚および比抵抗、p型ウエル拡散層111、ドレインn+層113、ソースn+層114およびウエルピックアップp+層115の不純物濃度プロファイルは、同一とする。
【0023】
図5の参考例の構成の耐圧が、BVds=740V(W=25μm,Ids=100nA)に対して、図1の本発明の構成では、BVds=765V(W=25μm,Ids=100nA)と25V耐圧を向上できる。(Wは高耐圧半導体装置500のゲートチャネル幅(μm)、Idsはドレイン-ソース電流)
このことは、先に記述したポアソンの数式1において、耐圧VbrをそれぞれVbr=740V,765とし、d=20μm、Tox=5μm、εsi=11.7、εox=3.9をそれぞれ代入すれば、臨界電界がそれぞれ、従来構造が2.96E5(V/cm)となり、図1の本発明の構成が3.06E5(V/cm)ということに相当する。この臨界電界の差の分により、図1の本発明の構成ではブレークダウンモードになりにくく高耐圧化できる。
【0024】
また、図6(b)の参考例の1次元の電界強度グラフを見ると、高電界領域がドレイン電極直下のバルク表面(n-型半導体層102表面)であることが分かる。このことは、低不純物濃度化しているドリフトドレイン領域602において表面のチャージの影響を受けやすく、耐圧変動という問題を誘発しやすくしてしまう。
さらに、高耐圧半導体装置600のようにn型バッファ層612が従来の円状で形成されていると、図6(b)の参考例の1次元の電界強度グラフから分かるように、表面電界に加え、誘電体層101とn-型半導体層102との界面の大部分で高電界領域となるため、ドレイン電極に高電圧を印加したときの高電界領域でのホットキャリアの発生量も多くなる。そのため、高耐圧半導体装置600では、ゲート電圧を加えたオン状態でのソースドレイン耐圧において、ホットキャリアの発生による電界バランスが崩れ、耐圧が低下していく経時変化が起こりやすい。
【0025】
よって、高信頼性の観点からも、誘電体層101と環状で形成したn型バッファ層を備えるn-型半導体層102との界面で電界集中させる本発明は、表面電界を緩和し、さらにホットキャリアの発生量も高電界領域の面積が小さくなるため、最小限に抑えられ、信頼性的に非常に有効であるといえる。
以下に、本発明の高耐圧半導体装置の適用例について示す。
図9は、本発明の高耐圧半導体装置を用いた回路図である。図9(a)は、共振形ハーフブリッジ電源について示す回路構成図であり、同図(b)は、同図(a)におけるHVICの内部構成について示すブロック図である。図9(a)に示すように、従来の共振形ハーフブリッジ電源は、HVIC150を備えており、HVIC150の出力端子が、ワイヤ配線などによってMOSFET1、2に接続されている。そして、このHVIC150が、MOSFET1、2のゲートに駆動信号を与えることで、MOSFET1、2を駆動させる。
【0026】
図9(a)においては、高電位側MOSFET1のドレイン端子は、第1配線3に接続されている。第1配線3には、約400V〜500V程度の直流の高電圧が印加される。また、低電位側MOSFET2のソース端子は、グランド(以下、GNDとする)に接続されている。そして、高電位側MOSFET1のソース端子と、低電位側MOSFET2のドレイン端子とは、第2配線4によって接続されている。ブートストラップダイオード5とコンデンサ6によりブートストラップ回路を構成し、これは図9(b)に示すHVIC150の浮遊基準回路203の電源となる。
ここで、第2配線4の電位は、高電圧電源の高電位側の電位をVIN、低電位側の電位をGNDとした場合、MOSFET1およびMOSFET2のスイッチングに応じて、GND〜VINの間を変動する電位となる。したがって、高電位側MOSFET1を駆動させるためには、GND〜VINの間で変動する電位を基準電位としてゲートを駆動させる浮遊基準回路が必要となる。また、この浮遊基準回路と、GNDレベルを基準電位とする低電位基準回路(GND基準回路)内の制御回路と、の間にレベルシフト回路が必要となる。このため、浮遊基準回路とレベルシフト回路を内蔵したHVIC150が提案されている。
【0027】
図9(b)に示すように、HVIC150は、制御回路201と、駆動回路202と、浮遊基準回路203と、第1レベルシフト回路(以下、レベルアップ回路とする)210と、第2レベルシフト回路(以下、レベルダウン回路とする)221と、を備えている。また、HVIC150におけるゲート駆動回路を備えた浮遊基準回路203および駆動回路202の出力端子は、それぞれ高電位側MOSFET1および低電位側MOSFET2のゲート電極にワイヤ配線などで電気的に接続されている。なお、制御回路201および駆動回路202は、GNDを基準電位とするGND基準回路212である。
制御回路201は、MOSFET1、2をON/OFFさせるための制御信号(以下、ON/OFF信号とする)を生成する。また、制御回路201は、浮遊基準回路203からアラーム信号やウォーニング信号を受信する。
【0028】
浮遊基準回路203は、VIN側に接続されている高電位側MOSFET1のゲート端子に駆動信号を与える回路であり、MOSFETのスイッチングに応じて変動する出力電位を基準とする回路である。すなわち、浮遊基準回路203は、制御回路201で生成されたMOSFETのON/OFF信号を、レベルアップ回路210を介して受信し、受信したON/OFF信号に応じて高電位側MOSFET1をON/OFFさせる。
さらに、浮遊基準回路203は、MOSFET1を対象とする温度検出や過電流保護、低電圧保護などの機能を有しており、これらの検出情報に基づいて高電位側MOSFET1をOFFにする。また、例えばこれらの検出情報に基づくアラーム信号やウォーニング信号を、レベルダウン回路221を介して、制御回路201に送信する。
駆動回路202は、制御回路201で生成されたMOSFETのON/OFF信号を受信し、受信したON/OFF信号に応じて低電位側MOSFET2をON/OFFさせる。レベルアップ回路210は、制御回路201で生成されたMOSFETのON/OFF信号を、GND基準からGNDより高電位の浮遊基準の信号レベルに変換して、浮遊基準回路203に出力する。
【0029】
レベルアップ回路210は、高耐圧NMOSFET204と、第1レベルシフト抵抗(第1抵抗)205と、を備えている。第1レベルシフト抵抗205は、高耐圧NMOSFETのドレイン端子に接続されている。レベルアップ回路210においては、高耐圧NMOSFET204のゲート端子がソース端子に対して、しきい値以上の正電位にバイアスされると、高耐圧NMOSFET204がON状態となり、第1レベルシフト抵抗205に電流が流れて信号電圧が発生する。この信号電圧は、浮遊基準の信号レベルに変換されたON/OFF信号として浮遊基準回路203に供給される。
レベルダウン回路221は、浮遊基準回路203で発生した浮遊基準の信号電圧をGND基準の信号電圧に変換し、制御回路201に出力する。すなわち、レベルダウン回路211は、高耐圧PMOSFET207と、高耐圧PMOSFET207のドレイン端子に接続された第2レベルシフト抵抗(第2抵抗)208を備えている。レベルダウン回路211においては、高耐圧PMOSFET207のゲート端子がソース端子に対して、しきい値以下の負電位にバイアスされると、高耐圧PMOSFET207がON状態となり、第2レベルシフト抵抗208に電流が流れて信号電圧が発生する。この信号電圧は、GND基準の信号レベルに変換されたアラーム信号やウォーニング信号として制御回路201に供給される。
【0030】
以上説明したHVIC150の高耐圧NMOSFET204に、本発明の高耐圧半導体装置を適用することができる。
図10は、本発明の高電圧集積回路装置の要部断面図であり、図1で示した高耐圧半導体装置500(高耐圧NMOSFET204)と図9で示した浮遊基準回路203(高電圧領域550)とをについて記載したものである。
高電圧領域550は、トレンチ553内に埋め込まれた絶縁膜554と誘電体層101とにより他の領域と分離されている。トレンチ103とトレンチ554およびその間の半導体領域556からなる分離領域555において、半導体領域556は、電位を固定することが望ましい。また、分離耐圧を大きくするために、半導体領域556にトレンチ103とトレンチ554の間にトレンチ103および絶縁膜104と同様の構成をさらに形成してもよい。高電圧領域550には、図示しないが、図9(b)で示したレベルシフト抵抗205も形成されている。また、高耐圧半導体装置500のドレイン電極109に接続されるドレインパッド119と高電圧領域550の電極パッド551とがボンディングワイヤ116により接続されている。電極パッド551は、図示しない金属配線により、CMOS552などからなる高電圧領域550に形成された駆動回路に接続される。この駆動回路の出力が、図9に記載の高電位側MOSFET1のゲート端子に駆動信号を与える。
【0031】
図11は、本発明の高耐圧半導体装置の要部断面図である。
図11(a)では、図1のトレンチ103内の絶縁膜104の内側にさらにポリシリコン1044を埋め込んでいる。図11(b)では、図1のトレンチ103の代わりにトレンチ1034を形成し、トレンチ内に不純物イオンをイオン注入し、その不純物を拡散することで拡散領域1033を形成している。
このような構造としても本発明の効果を奏することができる。
【実施の形態2】
【0032】
図7は、本発明における他の実施の形態の高耐圧半導体装置の要部断面図である。
高耐圧半導体装置700は、支持基板100の上面に誘電体層101を設け、その誘電体層101の上面にはシリコン基板からなるn-型半導体層102が備えられている。誘電体層101は支持基板100とn-型半導体層102を誘電体分離しており、n-型半導体層102内の横方向の絶縁分離は、n-型半導体層102にトレンチ103を形成し、このトレンチ103内に充填されたシリコン酸化膜103によるトレンチ誘電体分離により区画している。
上記の区画されたn-型半導体層102内の所定の範囲内において、n-型半導体層102をドリフトドレイン領域702とし、そのn-型半導体層102の上面中央部に、高濃度のドレインn+層113と、ドレインn+層113よりも高抵抗となるn型バッファ層712を備える。さらに、n型バッファ層712は、ドレインn+層113を内包するように円形状に形成され、さらにp型オフセット層717がn型バッファ層712の同心(この場合は同心円)の内側にn型バッファ層712より深い拡散深さで形成される。このようにn型バッファ層712とp型オフセット層717を形成することにより、n型バッファ層712が環状に形成される。また、n型バッファ層712から離間し、かつn型バッファ層712を取り囲むようにp型ウエル拡散層111と、p型ウエル拡散層111内にソースn+層114とウエルピックアップp+層115とが、それぞれ形成されている。また、n+ソース層114とp型ウエル拡散層111及び、ドリフトドレイン領域702上には絶縁膜を介して、ゲート電極110を設け、ソースn+層114とドレインn+層113にそれぞれ、ソース電極108、ドレイン電極109を設けており、ソース電極108とドレイン電極109はフィールド酸化膜105によって、互いに絶縁されている。また、ソースn+層114とドレインn+層113には、互いにドリフトドレイン領域702に張り出して、フィールドプレート電極を設けている。この例では、ソース電極108およびドレイン電極109がそれぞれドリフトドレイン領域702上に張り出すことによりフィールドプレート電極として機能している。ドレインパッド119以外はプラズマシリコン酸化膜からなるパッシベーション膜107で覆われている。
【0033】
また、誘電体層101の膜厚はTox=5.0μm、n型半導体基板102の膜厚はTsoi=20.0μmとし、トレンチ103のトレンチ幅(トレンチ幅は開口部の幅でしょうか。)はLt=1.5μmとしてドライエッチングによりトレンチ深さDt=22μm程度にオーバーエッチングして誘電体層101に達するように形成される。トレンチ103内にはP−TEOS酸化膜等の誘電体を埋め込む。p型ウエル拡散層111は、高温の熱酸化と高温のN2ドライブ工程により、拡散深さXj=3.5μm程度で形成される。p型オフセット層717とn型バッファ層712は、高温のN2ドライブにより、それぞれ拡散深さXj=2.0μm,Xj=1.3μm程度で形成される。このとき、p型オフセット層717は、n型バッファ層712よりも高濃度で拡散深さの深い構成であり、p型オフセット層717の拡散している領域内ではn型バッファ層712は完全に残っていないことが重要である。
【0034】
また、n型半導体基板102の比抵抗は12.5(Ω・cm)とし、p型ウエル拡散層111のボロン不純物濃度は1.5E17(/cm3)程度とし、p型オフセット層717のボロン不純物濃度は2E17(/cm3)程度とし、n型バッファ層712のリン不純物濃度は1E17(/cm3)程度とする。ソースn+層114とドレインn+層113は砒素不純物濃度1E20(/cm3)、ウエルピックアップp+層115のBF2不純物濃度は1E20(/cm3)として形成する。n型バッファ層712とp型ウエル拡散層111との間の距離は、およそ100μmで、ドレイン電極109と電気的に接続されたボンディング用のドレインパッド119の幅(直径)は100μm程度とする。
さらに、高耐圧半導体装置700から、高電位浮遊領域への高電位配線はドレインパッド119にボンディング接続されたボンディングワイヤ116により行なう。
【0035】
上記の構成により、実施の形態1と同様、高耐圧化および高信頼性化が図れる。
【実施の形態3】
【0036】
図8は、本発明における他の実施の形態の高耐圧半導体装置の要部平面図であり、同図(a)、(c)および(e)は、図1におけるドレインn+層113とn型バッファ層112の変形例であり、同図(b)、(d)および(f)は、図7におけるドレインn+層113とn型バッファ層712の変形例である。
図8(a)では、n型バッファ層112は、スリット801により分離され、扇形状の4つの領域により構成され、全体として非連続の環状となっている。同図(b)も同様に、n型バッファ層712は、スリット802により分離され、扇形状の4つの領域により構成され、全体として非連続の環状となっている。
図8(c)、(e)では、n型バッファ層112は、スリット803、804により分離され、1つの半円形状の領域と2つの扇形状の領域から構成され、全体として非連続の環状となっている。同図(b)、(f)も同様に、n型バッファ層712は、スリット805、806により分離され、1つの半円形状の領域と2つの扇形状の領域から構成され、全体として非連続の環状となっている。
【0037】
図8(c)、(e)では、3つの領域からなるn型バッファ層112内にそれぞれ、ドレインn+層113が形成されており、図8(b)、(f)では、n型バッファ層112の半円形状の領域には、2つの領域からなるドレインn+層113が形成されている。
これらのスリットは、バッファ層112、712を形成する際に、半導体層102が表面に露出するように扇状や半円状に形成してもよいし、バッファ層112、712を環状に形成した後、n-型半導体層102の表面からp型の拡散層を形成することにより形成してもよい。
それぞれの図において、ドレインn+層113は、スリットを有することにより非連続の環状となっている。
図8に記載のように、n型バッファ層112、712にスリットを設けることにより、実施の形態1、2に比べさらに電界集中領域の面積を削減することができる。図3および図6で示したように、ドレイン電極に高電位が印加されたときにn-型半導体層102と誘電体層101との界面で電界集中するが、n型バッファ層112、712をスリット状に分断することで、電界集中領域もn型バッファ層112、712が位置する下のn-型半導体層102と誘電体層101との界面のみに集中し、高電界領域を分断できる。よって、アバランシェ降伏を起こしにくく、高耐圧化が可能となる。
【0038】
スリット801〜806の幅は、高耐圧半導体装置500、700の所定のオン電流に従い空けられ、およそ10μm間隔程度ならオン抵抗に影響ない構成となる。あまり間引きしすぎるとドリフト抵抗の増大やESD耐量の低下を招く為、5μm〜10μm程度の間隔が良い。
以上の実施の形態では、高耐圧半導体装置として、MOSFETについて説明したが、ダイオードにも適用できる。ダイオードに適用する場合は、オフ耐圧を向上することができる。HVICでは、図9に示すブートストラップダイオード5をHVIC150に集積する場合に適用することが有効である。構成としては、以上で示した高耐圧半導体装置を変形する構成でよい。例えば、高耐圧半導体装置500の場合において、ソースn+層114をアノードp+層に変更し、ゲート電極110をアノードp+層とショートさせる構成とすればよい。ドレインn+層113はカソード層となる。この場合、p型ウエル拡散層111、ウエルピックアップp+層115、ゲート電極110は形成しなくてもよい。
【符号の説明】
【0039】
500、600、700 高耐圧半導体装置
100 支持基板
101 誘電体層
102、502、702 n-型半導体層
103 トレンチ
104 シリコン酸化膜
105 フィールド酸化膜(LOCOS)
106 層間絶縁膜(ILD)
107 パッシベーション膜
108 ソース電極
109 ドレイン電極
110 ゲート電極
111 p型ウエル拡散層
112、612 n型バッファ層
113 ドレインn+
114 ソースn+
115 ウエルピックアップp+
116 ボンディングワイヤ
119 ドレインパッド
717 p型オフセット層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と該支持基板上に誘電体層を介して第1導電型の半導体層が形成され、前記半導体層上に前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のドレイン層と、該ドレイン層を内包するように形成され、かつ、前記半導体層と前記ドレイン層との間の不純物濃度を備えた第1導電型のバッファ層と、前記ドレイン層と離間し、その周りを囲むように形成された前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のソース層と、該ソース層を内包するように形成された第2導電型のウエル層と、前記ソース層と、ウエル層及び該ウエル層と前記バッファ層との間に介在する前記半導体層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ドレイン層に電気的に接続されたドレイン電極と、前記ソース層に電気的に接続されたソース電極と、を備えた高耐圧半導体装置において、
前記ドレイン層及び、前記バッファ層の平面形状が非連続または連続の環状であることを特徴とする高耐圧半導体装置。
【請求項2】
支持基板と該支持基板上に誘電体層を介して第1導電型の半導体層が形成され、前記半導体層上に前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のドレイン層と、該ドレイン層を内包するように形成され、かつ、前記半導体層と前記ドレイン層との間の不純物濃度を備えた第1導電型のバッファ層と、前記ドレイン層と離間し、その周りを囲むように形成された前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のソース層と、該ソース層を内包するように形成された第2導電型のウエル層と、前記ソース層と、ウエル層及び該ウエル層と前記バッファ層との間に介在する前記半導体層上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ドレイン層に電気的に接続されたドレイン電極と、前記ソース層に電気的に接続されたソース電極と、を備えた高耐圧半導体装置において、
前記ドレイン層の平面形状が非連続または連続の環状であり、該環の内側に前記半導体層の表面から前記バッファ層より深い深さで形成された第2導電型拡散層を備えたことを特徴とする高耐圧半導体装置。
【請求項3】
前記ドレイン層の内側の前記半導体層上に絶縁膜を介して前記ドレイン電極と電気的に接続されたドレインパッドを備え、該ドレインパッドと接続されるボンディングワイヤを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高耐圧半導体装置
【請求項4】
請求項3に記載の高耐圧半導体装置と、該高耐圧半導体装置と前記半導体層に形成された分離領域を介して形成される高電圧領域と、該高耐圧領域に前記半導体層上に絶縁膜を介して形成された電極パッドとを備え、
該電極パッドと前記ボンディングワイヤとが接続されたことを特徴とする高電圧集積回路装置。
【請求項5】
支持基板と該支持基板上に誘電体層を介して第1導電型の半導体層が形成され、前記半導体層上に前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のカソード層と、該カソード層を内包するように形成され、かつ、前記半導体層と前記カソード層との間の不純物濃度を備えた第1導電型のバッファ層と、前記カソード層と離間し、その周りを囲むように形成された前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第2導電型のアノード層と、を備えた高耐圧半導体装置において、
前記カソード層及び、前記バッファ層の平面形状が非連続または連続の環状であることを特徴とする高耐圧半導体装置。
【請求項6】
支持基板と該支持基板上に誘電体層を介して第1導電型の半導体層が形成され、前記半導体層上に前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第1導電型のカソード層と、該カソード層を内包するように形成され、かつ、前記半導体層と前記カソード層との間の不純物濃度を備えた第1導電型のバッファ層と、前記カソード層と離間し、その周りを囲むように形成された前記半導体層よりも不純物濃度の濃い第2導電型のアノード層と、を備えた高耐圧半導体装置において、
前記カソード層の平面形状が非連続または連続の環状であり、該環の内側に前記半導体層の表面から前記バッファ層より深い深さで形成された第2導電型拡散層を備えたことを特徴とする高耐圧半導体装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−245360(P2010−245360A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93513(P2009−93513)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】