説明

2−ヒドロキシ−3−アルコキシプロピルスルフィド、スルホン及びスルホキシド:新規界面活性剤

【課題】広い範囲の工業上及び商業上の用途における使用に適切な特性を有する新規の界面活性剤を提供する。
【解決手段】式(I)
OCHCH(OH)CRZR (I)
(式中、ZはS,SO又はSOである)による界面活性剤化合物を含む組成物は、Z、R1、2、及びRの特定の値によってある範囲の平衡及び/又は動的表面張力及びある範囲の気泡性能を有することができる。式(I)の化合物はチオールとグリシジルエーテルとの反応を含むプロセスによって製造されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤組成物に関する。より詳細には、本発明はグリシジルエーテルとチオールのアダクト及び水性系における表面張力低減のためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
水の表面張力を低減させる能力は水性配合物の分野において非常に重要である。というのは、低減された表面張力は使用の間の基材の改良された湿潤化性を意味するからである。良好な湿潤性を要求する水性組成物の例は、コーティング、インク、接着剤、平板印刷用ファウンテン溶液、クリーニング組成物、金属加工流体、農薬配合物、エレクトロニクス洗浄及び半導体処理用組成物、パーソナルケア製品、及び、ティスタイル処理及び油田用途用配合物を含む。水性系中の表面張力の低減は一般に界面活性剤の添加により達成され、改良された表面被覆、より少ない欠陥及びより均一な分布をもたらす。平衡表面張力(EST)は系が静止しているときに重要であり、一方、動的表面張力(DST)は高速適用条件下で表面張力を低減しそして湿潤化性を付与する界面活性剤の能力の測定値を提供する。
【0003】
低い使用量で低い表面張力を達成するための界面活性剤の能力、気泡形成性能に影響を及ぼす能力、及び、有効な乳化及び可溶化を提供する界面活性剤の能力の重要性は、全て産業上かなり重要であることは当業界でよく評価されているとおりである。平衡表面張力低減効率は幾つかの用途では重要であるが、他の用途では平衡表面張力及び動的表面張力の低減の両方を要求することがある。
【0004】
界面活性剤の気泡形成性も、界面活性剤が適切な用途を決めるのを助けることができるので重要である。たとえば、気泡は鉱物フローテーション及びクリーニングなどの用途では所望されることがある。一方、コーティング、グラフィックアート及び接着剤用途では、気泡は適用を複雑にしそして欠陥形成をもたらすことがあるので所望されない。このため、気泡形成特性はしばしば重要な性能パラメータである。
【0005】
界面活性剤を使用する幅広い用途及びその結果として性能要求の多様性により、これらの種々の性能要求に合わせた、対応する多数の界面活性剤が要求され、かかる界面活性剤を製造するための適切な方法が要求されている。
【発明の開示】
【0006】
第一の態様において、本発明は下記式(I)による化合物を含む組成物を提供する。
OCHCH(OH)CRZR (I)
式(I)において、RはC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、カルボニル基又はO,S及びNから選ばれる1個以上のヘテロ原子を有するC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、式R(OCHCH−のグリコールエーテル部分と、式R(NHCHCH−のアミノエチレン部分と、式RS(CH−のチオエーテル部分とからなる群より選ばれ、RはH又は直鎖のC1〜C12のアルキルである。R及びRは各々独立に、H及び直鎖もしくは枝分かれのC1〜C3のアルキル及びアルケニル基からなる群より選ばれる。RはC3〜C16の直鎖、環式及び枝分かれのアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアルカリール部分、及び、カルボキシ、スルホ又はホスホ置換基によって置換されている、これらのいずれかの部分と、
−CH(CHOH)CHOHと、
−(CHO(CHTと、
−(CHTと、
−CHCH(OH)CH(CO)O−R(O(CO)CHCHOHCHT)とからなる群より選ばれる。
【0007】
上記の構造において、mは2〜4の整数であり、nは0〜5の整数であり、pは1又は2であり、qは1〜15の整数であり、TはSH又はZCRCH(OH)CHORであり、Rはトリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメントであり、ZはS、SO又はSOであり、但し、Rが−CH(CHOH)CHOHである場合にはZはSでない。
【0008】
第二の態様において、本発明は上記の式(I)による化合物の製造方法を提供し、この方法は、下記式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
による少なくとも1つの化合物をメルカプタンR−SHと接触させることを含み、R、R、R及びRは上記に規定のとおりである。
【0011】
第三の態様において、本発明は、式(I)以外の界面活性剤及び湿潤化剤、溶剤、アルカリ金属水酸化物、水性、水分散性又は水溶性の樹脂、流動化剤、レベリング剤、顔料、加工助剤、脱泡剤、可溶化剤、農薬、植物成長調節剤、水溶性被膜形成性高分子化合物、水溶性アルコール、グリコール、ポリオール、水溶性酸もしくはその塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、乳化剤、アルカノールアミン、有機モノ酸、殺生物剤、キレート化剤、洗浄剤ビルダー、洗浄剤コビルダー、染料、香料、再付着防止助剤、サンスクリーン剤、可溶化剤、ポリマー、オリゴマー、機能性(functional)セメント添加剤及び水から選ばれる1つ以上の成分を合計で0.1〜99.9wt%含む配合物を提供する。この配合物は、また、上記のとおりの式(I)による1つ以上の化合物を0.001〜45wt%含むが、Rが−CH(CHOH)CHOHである場合にZはSであってもよい。
【0012】
第四の態様において、本発明は、地下のガス井又は油井でのドリリング、コンプリーティング(completing)、セメンティング、スティミュレイティング(stimulating)、フラクチャリング(fracturing)、酸性化(acidizing)、又はワーキングオーバーのための流体、又は、油又はガス含有累層からの油又はガスの生産物を処理又は改良するための流体を提供する。この流体は合計で5〜99.85wt%の少なくとも1つの有機液体及び水を含み、さらに、合計で0.1〜80wt%の、加重剤(weighting agents)、粘度調節剤(viscosifiers)、分散剤、ドリリングマッドベースオイル、乳化剤、可溶性塩、セメント、プロパント(proppants)、鉱酸、有機酸、殺生物剤、脱泡剤、脱乳化剤、腐食防止剤、減摩剤、ガスハイドレート防止剤、硫化水素除去剤もしくは硫化水素抑制剤、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤及びスケール抑制剤からなる群より選ばれる1つ以上の成分を含む。この流体は、0.05〜10wt%の、本発明の第三の態様に規定されるとおりの式(I)による1つ以上の化合物を含む。
【0013】
第五の態様において、本発明は、地下の井をドリリング、コンプリーティング(completing)、セメンティング、スティミュレイティング(stimulating)、フラクチャリング(fracturing)、酸性化(acidizing)、又はワーキングオーバー又は処理する方法であり、
前記井中に、本発明の第三の態様において規定されるとおりの式(I)による1つ以上の化合物を含む流体を注入する工程を含む方法を提供する。
【0014】
第六の態様において、本発明は、油及びガスを含有する累層からの油又はガスの生成物流を処理する方法であり、前記生成物流中に、本発明の第三の態様において規定されるとおりの式(I)による1つ以上の化合物を含む流体を注入する工程を含む方法を提供する。
【0015】
第七の態様において、本発明は、本発明の第三の態様において規定されるとおりの式(I)による1つ以上の化合物からなる第一の成分と、第二の成分とを含む、配合物を提供する。この配合物は25℃において流体である。第二の成分は、不揮発性有機材料及び不揮発性無機材料ならびにそれらの混合物からなる群より選ばれる1つ以上の材料からなる。第二の成分は、式(I)による化合物のいずれの調製のためのプレもしくはポスト調製合成反応混合物の成分を含まない。
【0016】
本発明は、水性系の動的及び/又は平衡表面張力を有効に低減することができ、及び/又は、このような系の気泡形成性能に影響を及ぼすことができる新規の界面活性剤組成物に関する。この組成物は、式(I)(式中、ZはS、SO又はSOである)による2−ヒドロキシ−3−アルコキシプロピルスルフィド、スルホン及びスルホキシドを含む。
OCHCH(OH)CRZR (I)
式中、RはC3〜C16の直鎖、環式及び枝分かれのアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアルカリール部分、及び、カルボキシ(−COH)、スルホ(−SOH)又はホスホ(−PO)置換基によって置換されている、これらのいずれかの部分と、
−CH(CHOH)CHOH(nは0〜5)とからなる群より選ばれる。
【0017】
式(I)の化合物を生成させる1つの方法は、式R−SHのチオール(すなわち、メルカプタン)によるグリシジルエーテルのエポキシド環の開環、次いで(Z=SO又はSOの場合)、得られたスルフィドの酸化による。式(I)による化合物は、また、グリシジルエーテルと、1個より多くのSH基を含むメルカプタンとの反応により製造されることもでき、たとえば、SH(CHO(CHSH、SH(CHSH(mは2〜4である)、及び、R(O(CO)CHCHOHCHSH)も本発明に含まれる。1個より多くのSH基はグリシジルエーテルと反応することができる。このため、Rは−(CHO(CHT、−(CHT及び−CHCH(OH)CH(CO)O−R(O(CO)CHCHOHCHT)であることができる。ここで、mは2〜4の整数であり、pは1又は2であり、TはSH又はZCRCH(OH)CHORであり、Rはトリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメントであり、ZはRが−CH(CHOH)CHOHである場合にはZはSでない。「トリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメント」とは、トリエーテルに転化されたトリメチロールプロパン又はグリセロールである基を指す。上記のチオール化合物R−SHは全て市販されており、又は、当業者に既知の合成技術によって製造されうる。本発明による使用に適するチオールの制限しない例は、2−メルカプトエタノール、1−チオグリセロール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、オクタンチオール、ドデシルチオール、エタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、ビス(エタンチオール)エーテルを含む。
【0018】
及びRは各々独立に、H、CH、直鎖及び枝分かれのアルキル、アルケニル基で1〜3個の炭素原子を有するものからなる群より選ばれる。
【0019】
各Rは独立に、C3〜C30アルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル部分であり、枝分かれ、直鎖又は環式であってよい。それは、また、カルボニル基、特に、カルボン酸、エステル又はアミドを含み、及び/又は、O,S及びNから選ばれる1個以上のヘテロ原子を含む、このような部分であってもよい。かかる部分はR上のどの位置にあってもよい。ある態様において、Rはアシル基である。Rは式R(OCHCH−のグリコールエーテル部分、式R(NHCHCH−のアミノエチレン部分、又は、RS(CH−のチオエーテル部分(式中、RはH又は直鎖C1〜C12アルキルであり、qは1〜15の整数である)であってもよい。上記のグリコールエーテルは全て市販されており、又は、当業者に既知の合成技術によって製造されうる。このように、用語「2−ヒドロキシ−3−アルコキシプロピル」は本発明のスルフィド、スルホン及びスルホキシドを記載するために単純化のために用いるが、プロピル基の3−位にあるエーテル酸素上のR基のためにアルキル以外の基が用いられてよい。適切なR基の制限しない例は、ブチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、フェニル、クレシル(いずれかの環位置又はフェノール酸素に結合した、いずれかの異性体、特に、オルト又はパラ)及びそれらの混合物を含む。通常、R基は1つ以上のブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル及びテトラデシルであろう。
【0020】
2つ以上の異なるR、R及び/又はR基を有するグリシジルエーテルを含む、グリシジルエーテルの混合物を用いてもよい。適切なグリシジルエーテルの例は、制限するわけではないが、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、オクチルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ドデシルグリシジルエーテル、テトラデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレシルグリシジルエーテルなど及びそれらの混合物を含む。より好ましいグリシジルエーテルはブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8〜C10グリシジルエーテル及びC12〜C14アルキルグリシジルエーテルである。
【0021】
本発明による例示の組成物は2,3−ジヒドロキシプロピル−2’−ヒドロキシ−3’−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルスルフィド、2,3−ジヒドロキシプロピル−2’−ヒドロキシ−3’−ドデシルオキシプロピルスルフィド、2,3−ジヒドロキシプロピル−2’−ヒドロキシ−3’−ヘキサデシルオキシプロピルスルフィド、2,3−ジヒドロキシプロピル−2’−ヒドロキシ−3’−テトラデシルオキシプロピルスルフィド、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ブトキシプロピルスルフィド、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−オクチルオキシプロピルスルフィド、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ノニルオキシプロピルスルフィド、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−デシルオキシプロピルスルフィド、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ドデシルオキシプロピルスルフィド、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ヘキサデシルオキシプロピルスルフィド、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−テトラデシルオキシプロピルスルフィド、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルスルフィド、2−ドデシル−2’−ヒドロキシ−3’−ブトキシプロピルスルフィド、及び、これらのいずれかに対応するスルホキシド及びスルホンである。
【0022】
式(I)の化合物の製造
式(I)による化合物は合成有機化学技術において知られている方法によって製造されうる。本発明の1つの例示の態様では、メルカプタンR−SHと式(II)のグリシジルエーテルとの反応により製造されうる。ここで、R、R、R及びRは上記に規定したとおりであり、そしてZはSである。
【0023】
【化2】

【0024】
ZがSO又はSOである化合物は、当業界において知られている酸化剤及び酸化技術を用いて、ZがSである対応する化合物を酸化することによって製造されうる。本発明の1つの例示の態様では、過酸化水素によって酸化は行なわれるが、他の方法を用いてもよい。
【0025】
反応において使用されるグリシジルエーテルの量は、通常、メルカプタン1モルあたりに約1.0〜約5.0モルであり、より通常には、約1〜約4モルであり、なおもより通常には、約1〜約2モルであり、そして最も通常には、メルカプタン1モルにあたりに約1モルである。グリシジルエーテルの混合物及び/又はメルカプタンの混合物も用いてよい。
【0026】
式(I)による化合物を製造するために、希釈剤を含み、場合により触媒を含む反応媒体中に場合によって分散されていてよいグリシジルエーテルとメルカプタンを、便利な反応速度を提供するために十分に高くかつ有意な副生成物の生成を抑制するために十分に低い温度で反応(付加)させることができる。「分散される」とは、グリシジルエーテルが媒体中に懸濁され、溶解され、又は、その組み合わせであることを意味する。反応温度は約50℃〜約150℃の範囲であってよく、好ましくは約50℃〜約130℃であり、より好ましくは約60℃〜約120℃である。最適な条件は使用する特定の反応体、反応器の構成、溶剤及び他の変数によるであろう。種々の希釈剤は反応のために用いられてよく、1種以上の反応体が本質的に不溶性である液体を含む。より通常には、希釈剤は(使用されるならば)、1種以上の反応体のための溶剤である材料であろう。適切な溶剤は、制限するわけではないが、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、水とアセトニトリルとの組み合わせ、水とメタノールとの組み合わせ、水とイソプロパノールとの組み合わせ、水とエタノールとの組み合わせ、及び、それらの混合物を含む。通常、イソプロパノールは用いられるであろう。
【0027】
式(I)の化合物の使用
本発明による組成物は、多くの用途のいずれかにおいて式(I)の化合物を使用することを補助するように種々の他の成分を含んでよい。このような製品の性能特性は、スルフィドの構造の適切な変更及び置換基R、R、R及びRの選択によって特定の用途のために最適化されることができる。このような最適化は常規的な手順であり、特定の用途分野の当業者の能力の範囲内である。これらの変数の操作は、乳化剤もしくは洗浄剤、湿潤化剤、発泡剤、脱泡剤、レオロジー調節剤もしくは結合増粘剤(associative thickners)、分散剤などとして有用であることができる配合物を生じさせることになる。であるから、これらの配合物は、コーティング、インク、接着剤、農薬配合物、ファウンテン溶液、フォトレジストストリッパー及び現像剤、シャンプー及び洗剤その他のクリーニング組成物の用途に有用であることができる。油田探索、開発及び生産用途、たとえば、改良された油回収、フラクチャリング(fracturing)及び刺激(stimulation)プロセス、及び、ドリリング及びセメンティング操作においても用途を見出し、種々の湿潤処理テキスタイル操作、たとえば、繊維の染色及び繊維の精練及びキルボイリング(kier boiling)にも有用であることができる。これらの用途の各々を支配する一般的な配合物の原則は、それぞれの技術分野でよく知られており、多くの用途分野の詳細な説明及び本発明の化合物をこのような配合物中に取り込むために方法の詳細な説明は有効な取り込みのために必要はない。しかし、本発明による化合物の使用可能な広い範囲の例示として、例示的で制限しない配合物を幾つかの用途について以下に示す。
【0028】
用語「水系」、「水輸送型」、「水性」、又は、「水性媒体」又は「水性キャリア」は、本明細書中に使用されるときに、溶剤もしくは液体分散媒が少なくとも50wt%の水、好ましくは少なくとも90wt%、より好ましくは少なくとも95wt%の水を含む系を指していう。分散媒は本質的に水からなってもよく、すなわち、添加した溶剤を有しなくてもよく、又は、溶剤を含んでもよい。
【0029】
広汎な観点で、式(I)による化合物は第二の成分を含む広い範囲の配合物において使用でき、それにより、第二の成分の適用が式(I)の材料によって提供される界面活性特性から利益を得る。式(I)による化合物の調製のためのプレもしくはポスト調製合成反応混合物の成分が存在してもよいが、これは本発明の目的での第二の成分の一部にカウントされないことは理解されるべきである。このような材料は、たとえば、単純塩、溶剤、触媒、有機プリカーサー、試薬、副産物を含むことができるが、式(I)の化合物の調製に関する副生成物は第二の生成物の一部ではない。通常、必須ではないが、配合物中の第二の成分の重量は式(I)の化合物の重量よりも大きい。
【0030】
本発明による式(I)による化合物を含む配合物は、通常、25℃で流体であるように構成される。配合物は、通常、水性であるが、水性でなくてもよい。第二の成分は、不揮発性有機材料及び不揮発性無機材料ならびにそれらの混合物から選ばれる1種以上の材料からなることができる。本明細書中に使用されるときに、用語「不揮発性」とは、示した材料が沸騰することができないか、又は、760トルの圧力で少なくとも150℃の温度で沸騰することを意味する。このため、通常の低沸点溶剤は配合物中に含まれてもよいが、第二の成分の一部を構成しない。
【0031】
不揮発性材料の通常の制限しない例は、以下において、例示の配合物中に示される。本発明による配合物は、そのまま使用できる配合物又は濃厚物を含むことができる。これらのいずれも使用時にさらに希釈されてもよい。そのため、本発明による組成物中の1種以上の式(I)の化合物の濃度は広い範囲で変更してよい。幾つかの場合には、その量は0.00001wt%まで低いことがあるが、通常は、配合物の0.001〜45wt%であろう。全ての用途で要求されるわけではないが、多くの場合、この濃度範囲の上限での組成物は意図した用途での使用の間又はその前に希釈されるであろう。
【0032】
式(I)の化合物を使用することによって、水性組成物又は工業プロセスにおいて表面張力を低減することが可能である。このため、本発明は、界面活性有効量で使用されたときに良好な湿潤特性を界面活性剤が提供する、かかる化合物を含む水性組成物を提供する。たとえば、水性の有機化合物含有組成物の湿潤化特性を改良するのに有効な界面活性剤の量は配合物の合計重量を基準として0.00001〜5wt%、好ましくは0.0001〜3wt%、そして最も好ましくは0.001〜3wt%であることができる。最も好ましい量は、気泡特性及び湿潤特性に影響を及ぼすことができる、配合物中に存在する他の化学種、たとえば、ラテックスポリマーの量及びタイプによって、用途ごとに異なることがある。
【0033】
本発明の界面活性剤を含む典型的な水性コーティング組成物は水性媒体中に30〜80%固形分で以下の成分を含むことができる。
【0034】
【表1】

【0035】
本発明の界面活性剤を含む典型的な水性インク組成物は以下の成分を水性媒体中に20〜60%固形分(すなわち、凝集溶剤を含まない)で含むことができる。
【0036】
【表2】

【0037】
本発明の界面活性剤を含む典型的な水性農薬組成物は以下の成分を水性媒体中に0.01〜80%で含むことができる。
【0038】
【表3】

【0039】
本発明の界面活性剤を含む典型的な平板印刷用ファウンテン溶液組成物は以下の成分を含むことができる。
【0040】
【表4】

【0041】
本発明の界面活性剤を含む典型的な硬質表面クリーナーは以下の成分を含むことができる。
【0042】
【表5】

【0043】
本発明の界面活性剤を含む典型的な水性フォトレジスト現像剤又はエレクトロニクスクリーニング組成物は以下の成分を含むことができる。
【0044】
【表6】

【0045】
本発明の界面活性剤を含む典型的な金属加工流体は以下の成分を含むことができる。
【0046】
【表7】

【0047】
界面活性剤は、また、パーソナルケアならびに家庭及び産業用クリーニングの分野における種々の製品中にも用いられる。本発明の界面活性剤はこれらの配合物のいずれかの中に用いて1つ以上の利益を得ることができ、界面活性剤化合物の正確な構造は特定の用途に要求される特定の性能特性によって決まる。これらの市場で用いられる典型的な配合物は、Louis Ho Tan Taiの本、Formulating Detergents and Personal Care Products: A Complete Guide to Product Development (Champaign, IL:AOCS Press, 2000)に記載されており、また、他の本、文献、製品処方などは当業者に知られている。幾つかの代表的な例示の配合物を例示としてここに記載する。たとえば、家庭用自動食器洗浄機又は産業及び企業製品洗浄機における使用のためのリンス助剤は以下の成分を含むことができる。
【0048】
【表8】

【0049】
【表9】

【0050】
【表10】

【0051】
【表11】

【0052】
【表12】

【0053】
【表13】

【0054】
【表14】

【0055】
【表15】

【0056】
セメント混和剤配合物
セメント混和剤は、超可塑化、可塑化、促進、硬化抑制、空気捕獲、耐水、腐蝕防止及び他のタイプを含む幾つかのタイプのいずれかであることができる。このような混和剤は、コンクリート、モルタルなどのセメント製品の加工性、沈降性及び最終特性(強度、不透過性、耐久性及びフロスト/脱氷塩耐性など)を制御するために使用される。混和剤は、通常、水溶液として提供され、そして、配合の間のある時点でセメント系に添加されることができる。本発明の界面活性剤は、このような系で使用されるときに、湿潤性、気泡制御性、流動化性及びレベリング性、減水性、腐蝕防止性、高イオン濃度耐性及び相溶性ならびに他の利点を提供することができる。
【0057】
【表16】

【0058】
油田及びガス田配合物
単独で使用されるか又は配合物中の成分として使用される、本発明の界面活性剤は、油及びガス工業における種々の用途で表面張力低減、気泡制御及び改良された湿潤性を提供することができる。これらは、たとえば、以下の使用のための配合物を含むことができる。
【0059】
ドリリング用途では、界面活性剤はクレー及びドリル研削物の分散、ROP(侵入速度)の向上、乳化及び脱乳化、表面湿潤化及び表面張力低減、シェール安定化、及び、固体添加剤の水和性及び溶解性の向上のために配合物中で使用されてよい。
【0060】
セメンティング、スティミュレイティング及びワークオーバー用途では、使用は、スペーサ、セメント分散体、脱空気混入及び脱泡、セメントリターデーション、フラクチャリング流体、コールベッドメタンのスティミュレーション、表面もしくは界面張力低減、オイル/水湿潤化及びクリーニング流体のための配合物を含むことができる。
【0061】
オイル及びガスの製造において、使用は、リグ洗浄配合物、クルードの脱泡、水フラッディング/注入、酸性ガススイートニングのための脱泡、オイル/水分離、向上したオイル回収、及び、アスファルテン、水和物、スケール及びワックスの抑制もしくは分散を含むことができる。
【0062】
地下の井(ウエル)のドリリング、コンプリーティング(completing)、セメンティング、スティミュレイティング(stimulating)、フラクチャリング(fracturing)、酸性化(acidizing)、又はワーキングオーバーのための例示の流体、又は、油又はガス含有累層からの生産を向上し、生産された油又はガスを処理するための例示の流体は、水及び/又は有機液体を含む流体であって、有機液体が通常、流体の5〜99.85wt%を構成する流体中に0.05〜10wt%の本発明の界面活性剤を通常に含む。有機液体は、通常、必須ではないが、石油製品であり、たとえば、原油又は下記に記載されるあらゆるドリリングマッドベースオイルを含むことができる。もし水が含まれているならば、清水、海水又は塩水源に由来するものであってよく、又は、塩化水素酸、フッ化水素酸、硫酸などの鉱酸水溶液に含まれることで提供されてもよい。このような用途のための流体は、通常、加重剤(weighting agents)、粘度調節剤(viscosifiers)、分散剤、ドリリングマッドベースオイル、乳化剤、可溶性塩、セメント、プロパント(proppants)、鉱酸、有機酸、殺生物剤、脱泡剤、脱乳化剤、腐食防止剤、減摩剤、ガスハイドレート防止剤、硫化水素除去剤もしくは硫化水素抑制剤、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤及びスケール抑制剤からなる群より選ばれる1つ以上の成分を合計で0.1〜80wt%含む。様々な特定の材料はこれらの機能を発揮することが当業界において知られている。これらの材料の幾つかの適切な例で制限しないものを下記に示す。他の材料は当業者に明らかであろう。
加重剤(weighting agents):硫酸バリウム、ヘマタイト及びイルメナイト、
粘度調節剤(viscosifiers):クレー(たとえば、ベントナイト、アタパルガイト)、水溶性ポリマー(たとえば、キサンタンガム、グアー、ポリサッカリド、変性ポリサッカリド)、親有機性クレー及び油溶性ポリマー、
分散剤:リグノスルホネート、ナフタレンスルホネート、スルホン化メラミンホルムアルデヒド樹脂、
ドリリングマッドベースオイル:ディーゼル、鉱油、オレフィンオイル、パラフィンオイル及びエステル、
乳化剤:脂肪酸、脂肪族アミド、アニオン性界面活性剤、ノニオン性アルコキシル化界面活性剤、
可溶性塩(たとえば、比重調節、シェール安定化又は浸透圧制御):NaCl、NaBr、KCl、KBr、CaCl、CaBr、ZnCl、ZnBr、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム及びギ酸セシウム、
セメント:
他の界面活性剤:カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、アルキルグルコシド、ホスフェートエステル及びフルオロ界面活性剤、
プロパント(Proppants):セラミックス、焼結ボーキサイト、サンド、及び、樹脂コートサンド、
有機酸:ギ酸、酢酸、クエン酸、
鉱酸:塩化水素酸及びフッ化水素酸。
【0063】
上記のクラスの材料は、種々の油田用途で、本発明の界面活性剤と組み合わせて用いることで用途を見出す。正確な用途及び所望の効果によって、組成物は、全て当業者のよく知る方法によって、井(ウエル)中に注入されるか、又は、井により生産されたオイル又はガスのストリーム中に添加されることができる。
【0064】
典型的な用途及びこれらの目的で配合物を製造するのに一般に(必ずではないが)使用される成分を直ぐ下に示す。他の成分も存在してよい。これらの配合物の各々は、また、本発明の界面活性剤を含むことが理解されるであろう。
【0065】
水性ドリリングマッド:加重剤、粘度調節剤及び分散剤、
油性ドリリングマッド:ベースオイル、乳化剤及び粘度調節剤、
コンプリーション流体:比重調節のための可溶性塩、
セメント配合物:分散剤と組み合わせたセメント自体、
スペーサ:加重剤及び界面活性剤、
酸性化流体:界面活性剤及び鉱酸及び有機酸の一方又は両方、
フラクチャリング流体:粘度調節剤、プロパント及び界面活性剤。
【0066】
ガス又はオイル含有累層からの生産のスティミュレイティング又は向上のための流体はプロパントを除いてはフラクチャリング流体中に見られる成分と同様の成分を含むことができる。最後に、上記のように生産されたオイル及びガスを処理するための流体は、1種以上の殺生物剤、脱泡剤、脱乳化剤、腐蝕防止剤、減摩剤、ガス水和物抑制剤、硫化水素除去又は制御剤、アスファルテン制御剤、パラフィン制御剤及びスケール制御剤を含むことができる。
【0067】
上記の議論に照らして評価されるとおり、本発明の界面活性剤は種々の用途に有用性を見出すことができる。本発明は以下の例においてさらに例示され、以下の例は本発明の方法及び組成物を例示する目的で示され、制限するものではない。
【0068】

例1
インレット、ゴム隔膜、ガラスストッパー及びマグネチック攪拌棒を備えた100mL3つ口丸底フラスコ中で、窒素下に、イソプロパノール(10mL)中の2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(9.04g、48.53ミリモル)の溶液を1−チオグリセロール(5g、46.22ミリモル)で処理した。混合物を90℃で加熱し、出発材料の消失及び生成物の生成について、ガスクロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(g.c.m.s)によって完了をモニターした。3時間後に反応は完了したものと判断された。混合物を周囲温度に冷却し、溶剤を真空中に蒸留し、生成物を提供した。生成物である2,3−ジヒドロキシプロピル−2’−ヒドロキシ−3’−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルスルフィドをマススペクトロメトリー並びにH及び13CNMRによって同定した。
【0069】
例2−C12〜C16グリシジルエーテルと1−チオグリセロールとの反応
この反応は例1に記載されるのと同様に行なったが、1−チオグリセロール(5g、46.22ミリモル)及びグリシジルエーテル混合物(12.3g、約50.84ミリモル)を用いて出発した。生成物である2,3−ジヒドロキシプロピル−2’−ヒドロキシ−3’−ドデシルオキシプロピルスルフィド、2,3−ジヒドロキシプロピル−2’−ヒドロキシ−3’−テトラデシルオキシプロピルスルフィド及び2,3−ジヒドロキシプロピル−2’−ヒドロキシ−3’−ヘキサデシルオキシプロピルスルフィドの混合物を例1と同様に同定した。
【0070】
例3−ブチルグリシジルエーテルと2−メルカプトエタノールとの反応
この反応は例1に記載されるのと同様に行なったが、イソプロパノール5mL中の2−メルカプトエタノール(2.0g、26.6ミリモル)及びブチルグリシジルエーテル(3.50g、26.88ミリモル)を用いて出発した。生成物である2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ブトキシプロピルスルフィドを例1と同様に同定した。
【0071】
例4−C12〜C16グリシジルエーテル混合物と2−メルカプトエタノールとの反応
この反応は例1に記載されるのと同様に行なったが、イソプロパノール5mL中の2−メルカプトエタノール(2.0g、26.6ミリモル)及びC12〜C16グリシジルエーテル混合物(6.50g、約26.88ミリモル)を用いて出発した。生成物は2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ドデシルオキシプロピルスルフィド、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−テトラデシルオキシプロピルスルフィド及び2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ヘキサデシルオキシプロピルスルフィドの混合物であった。これを例1と同様に同定した。
【0072】
例5−2−エチルヘキシルグリシジルエーテルと2−メルカプトエタノールとの反応
この反応は例1に記載されるのと同様に行なったが、イソプロパノール5mL中の2−メルカプトエタノール(2.0g、26.6ミリモル)及び2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(5.03g、26.88ミリモル)を用いて出発した。生成物である2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルスルフィドを例1と同様に同定した。
【0073】
例6−C〜C10グリシジルエーテル混合物と2−メルカプトエタノールとの反応
この反応は例1に記載されるのと同様に行なったが、イソプロパノール1000mL中の2−メルカプトエタノール(985g、12.61モル)及びC〜C10グリシジルエーテル混合物(1200g、約6.45モル)を用いて出発した。生成物は2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−オクチルオキシプロピルスルフィド及び2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−デシルオキシプロピルスルフィドの混合物であり、それを例1と同様に同定した。
【0074】
例7−2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ドデシルプロピルスルフィドのスルホキシド及びスルホン誘導体の調製
インレット、ゴム隔膜、ガラスストッパー及びマグネチック攪拌棒を備えた100mL3つ口丸底フラスコ中で、窒素下に、イソプロパノール(20mL)中のスルフィド(5.0g、15.06ミリモル)の溶液を、水中のH30%溶液(6.83mL、60.24ミリモル)で処理する。混合物を60℃で24時間加熱し、周囲温度に冷却し、NaHSO飽和水溶液(5.0mL)で処理し、そして酢酸エチル(50mL)中に抽出する。有機相をMgSO上で乾燥し、ろ過し、そして真空中で蒸発させて、2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ドデシルオキシプロピルスルホキシド及び2−ヒドロキシエチル−2’−ヒドロキシ−3’−ドデシルオキシプロピルスルホンの約1:1混合物を生成物として提供する。
例1〜6の反応体及び生成物を下記の表1に示す。
【0075】
【表17】

【0076】
例8〜13−平衡表面張力
定温循環バスによって25±1℃に温度を維持して、白金ウィルヘルミプレートを用いたクラス(Kruss)K−12テンシオメータを用いて、例1〜6で調製した化合物について平衡表面張力を決定した。表2に示す結果は10分間にわたる10回の測定の平均であり、標準偏差は0.01ダイン/cm未満である。
【0077】
【表18】

【0078】
例14〜19−チオール/グリシジルエーテルアダクトの気泡特性
0.1wt%の界面活性剤溶液を用いて、ロスマイルスフォーム試験によって気泡高さ及び安定性(ゼロ気泡に達するまでの時間)を測定した。これらの決定の結果を表3に示す。
【0079】
【表19】

【0080】
表3の結果はグリシジルエーテルキャッピング基により、ある範囲の気泡特性が得られることを示す。コーティング、インク及び接着剤などの用途は低い気泡形成性又はすばやく消失する気泡を要求するが、クリーニング又は鉱物フローテーションなどの用途は制御した量の気泡が存在しそして持続することを要求する。それゆえ、式(I)による化合物を含む組成物は広い範囲の用途を見出すことができる。
【0081】
例20〜25−動的表面張力データ
クラス(Kruss)BP−2バブル圧力テンシオメータを用いて、例1〜5において調製した化合物について、0.1wt%及び1.0wt%のレベルで、動的表面張力データを決定した。これらの決定の結果を表4に示す。
【0082】
【表20】

【0083】
表4のデータは、広い範囲の動的表面張力の低減が可能であることを示し、この群の分子は水性溶液又は配合物の強(例20,24)、中(例22、23)又は低(例21)表面張力低減のための異なる界面活性剤を提供する。湿潤化されるべき基材及び配合物の適用の様式によって(産業コーティングのブラシ塗布、産業クリーナーのスプレー塗布、接着剤のローラー塗布)、このような広い範囲の動的表面張力低減を提供する界面活性剤は有意な商業上の有用性を見出すことができる。
【0084】
本発明は広い範囲の工業上及び商業上の用途における使用に適切な特性を有する新規の界面活性剤を提供する。このような用途は、水性コーティング、インク、接着剤、農薬配合物、水性及び非水性クリーニング組成物、パーソナルケア用途及びテキスタイル処理及びオイルフィールド用途のための配合物を含む。
【0085】
本発明は特定の態様を参照して例示しそして説明してきたが、添付の特許請求の範囲は示された詳細に制限されることは意図されない。むしろ、当業者はこれらの詳細に種々の変更がなされることが期待され、その変更は請求された技術事項の精神及び範囲内にはいるであろう。そしてこれらの請求の範囲はそのように解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
OCHCH(OH)CRZR (I)
(式中、RはC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、カルボニル基又はO,S及びNから選ばれる1個以上のヘテロ原子を有するC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、式R(OCHCH−のグリコールエーテル部分と、式R(NHCHCH−のアミノエチレン部分と、式RS(CH−のチオエーテル部分とからなる群より選ばれ、RはH又は直鎖のC1〜C12のアルキルであり、
及びRは各々独立に、H及び直鎖もしくは枝分かれのC1〜C3のアルキル及びアルケニル基からなる群より選ばれ、
はC3〜C16の直鎖、環式及び枝分かれのアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアルカリール部分、及び、カルボキシ、スルホ又はホスホ置換基によって置換されている、これらのいずれかの部分と、
−CH(CHOH)CHOHと、
−(CHO(CHTと、
−(CHTと、
−CHCH(OH)CH(CO)O−R(O(CO)CHCHOHCHT)とからなる群より選ばれ、
mは2〜4の整数であり、nは0〜5の整数であり、pは1又は2であり、qは1〜15の整数であり、TはSH又はZCRCH(OH)CHORであり、Rはトリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメントであり、ZはS、SO又はSOであり、但し、Rが−CH(CHOH)CHOHである場合にはZはSでない。)による化合物を含む組成物。
【請求項2】
ZはSである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
ZはSO又はSOである、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
及びRは各々Hである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
はC4〜C20の直鎖アルキル部分からなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
はブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル及びこれらのいずれかの混合物からなる群より選ばれる、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
下記式(II)
【化1】

による少なくとも1つの化合物をメルカプタンR−SHと接触させることを含む、
OCHCH(OH)CRZR (I)
による化合物の製造方法、
(式中、RはC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、カルボニル基又はO,S及びNから選ばれる1個以上のヘテロ原子を有するC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、式R(OCHCH−のグリコールエーテル部分と、式R(NHCHCH−のアミノエチレン部分と、式RS(CH−のチオエーテル部分とからなる群より選ばれ、RはH又は直鎖のC1〜C12のアルキルであり、
及びRは各々独立に、H及び直鎖もしくは枝分かれのC1〜C3のアルキル及びアルケニル基からなる群より選ばれ、
はC3〜C16の直鎖、環式及び枝分かれのアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアルカリール部分、及び、カルボキシ、スルホ又はホスホ置換基によって置換されている、これらのいずれかの部分と、
−CH(CHOH)CHOHと、
−(CHO(CHTと、
−(CHTと、
−CHCH(OH)CH(CO)O−R(O(CO)CHCHOHCHT)とからなる群より選ばれ、
mは2〜4の整数であり、nは0〜5の整数であり、pは1又は2であり、qは1〜15の整数であり、TはSH又はZCRCH(OH)CHORであり、Rはトリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメントであり、ZはS、SO又はSOであり、但し、Rが−CH(CHOH)CHOHである場合にはZはSでない。)。
【請求項8】
前記接触工程の生成物を酸化剤と混合させることをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項9】
は−CH(CHOH)CHOHである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記接触の前に、希釈剤を含む反応媒体中に式(II)による前記少なくとも1つの化合物を分散させることをさらに含む、請求項7記載の方法。
【請求項11】
前記希釈剤は、イソプロパノール、エタノール、メタノール、アセトニトリル、エチレングリコール、プロピレングリコール、水とアセトニトリルとの組み合わせ、水とメタノールとの組み合わせ、水とイソプロパノールとの組み合わせ、水とエタノールとの組み合わせ、及び、これらのいずれかの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記希釈剤はイソプロパノールである、請求項10記載の方法。
【請求項13】
式(I)以外の界面活性剤及び湿潤化剤、溶剤、アルカリ金属水酸化物、水性、水分散性又は水溶性の樹脂、流動化剤、レベリング剤、顔料、加工助剤、脱泡剤、可溶化剤、農薬、植物成長調節剤、水溶性被膜形成性高分子化合物、水溶性アルコール、グリコールもしくはポリオール、水溶性酸もしくはその塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、乳化剤、アルカノールアミン、有機モノ酸、殺生物剤、キレート化剤、洗浄剤ビルダー、洗浄剤コビルダー、染料、香料、再付着防止助剤、サンスクリーン剤、可溶化剤、ポリマー、オリゴマー、機能性(functional)セメント添加剤、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ギ酸セシウム、塩酸、フッ化水素酸、酢酸、ギ酸及び水からなる群より選ばれる1つ以上の成分を合計で0.1〜99.9wt%含む配合物であって、
下記式(I)による1つ以上の化合物を0.001〜45wt%含み、
OCHCH(OH)CRZR (I)
(式中、RはC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、カルボニル基又はO,S及びNから選ばれる1個以上のヘテロ原子を有するC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、式R(OCHCH−のグリコールエーテル部分と、式R(NHCHCH−のアミノエチレン部分と、式RS(CH−のチオエーテル部分とからなる群より選ばれ、RはH又は直鎖のC1〜C12のアルキルであり、
及びRは各々独立に、H及び直鎖もしくは枝分かれのC1〜C3のアルキル及びアルケニル基からなる群より選ばれ、
はC3〜C16の直鎖、環式及び枝分かれのアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアルカリール部分、及び、カルボキシ、スルホ又はホスホ置換基によって置換されている、これらのいずれかの部分と、
−CH(CHOH)CHOHと、
−(CHO(CHTと、
−(CHTと、
−CHCH(OH)CH(CO)O−R(O(CO)CHCHOHCHT)とからなる群より選ばれ、
mは2〜4の整数であり、nは0〜5の整数であり、pは1又は2であり、qは1〜15の整数であり、TはSH又はZCRCH(OH)CHORであり、Rはトリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメントであり、ZはS、SO又はSOである。)、
前記1つ以上の成分は式(I)による1つ以上の化合物のいずれかを調製するためのプレもしくはポスト調製合成反応混合物の成分を含まない、配合物。
【請求項14】
前記配合物は、水と、合計で0.1〜99wt%の、式(I)以外のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、溶剤及びアルカリ金属水酸化物からなる群より選ばれる1つ以上の成分とを含む硬質表面クリーニング配合物であり、前記配合物は0.001〜25wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項15】
前記配合物は、5〜99.9wt%の水性、水分散性又は水溶性の樹脂、合計で0.01〜10wt%の、式(I)以外の界面活性剤、湿潤化剤、流動化剤及びレベリング剤からなる群より選ばれる1つ以上の添加剤を含むコーティング配合物であり、前記配合物は0.001〜5wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項16】
前記配合物は、1〜50wt%の顔料、5〜99.9wt%の水性、水分散性又は水溶性の樹脂、0.01〜10wt%の、式(I)以外の界面活性剤又は湿潤化剤、及び、合計で0.01〜10wt%の、加工助剤、脱泡剤及び可溶化剤からなる群より選ばれる1つ以上の他の添加剤を含むインク配合物であり、前記配合物は0.001〜5wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項17】
前記配合物は、0.1〜50wt%の農薬又は植物成長調節剤、及び、0.01〜10wt%の、式(I)以外の界面活性剤又は湿潤化剤を含む農業用配合物であり、前記配合物は0.001〜5wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項18】
前記配合物は0.05〜10wt%の水溶性被膜形成性高分子化合物、1〜25wt%の水溶性アルコール、グリコール又はポリオール、0.01〜20wt%の水溶性酸もしくはその塩、及び、30〜98.9wt%の水を含む、平板印刷用ファウンテン溶液配合物であり、前記配合物は0.001〜5wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項19】
前記配合物は0.1〜3wt%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、及び、92.5〜99.9wt%の水を含む、フォトレジスト現像剤配合物であり、前記配合物は0.001〜5wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項20】
前記配合物は2.5〜10wt%の乳化剤、10〜25wt%のアルカノールアミン、2〜10wt%の有機モノ酸、1〜5wt%の殺生物剤、及び、40〜84.4wt%の水を含む、合成金属加工流体配合物であり、前記配合物は0.001〜5wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項21】
前記配合物は水、及び、5〜20wt%のキレート化剤を含むリンス助剤配合物であり、前記配合物は0.001〜45wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項22】
前記配合物は0.1〜50wt%の1つ以上の洗浄剤界面活性剤、及び、25〜60wt%のビルダーもしくはコビルダーを含む粉末化洗濯洗剤配合物であり、前記配合物は0.001〜15wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項23】
前記配合物は0.1〜65wt%の1つ以上の洗浄剤界面活性剤、3〜36wt%のビルダーもしくはコビルダー、合計で0.1〜5wt%の香料と染料とからなる群より選ばれる1つ以上の添加剤、及び、合計で1〜75wt%の水と他の溶剤とからなる群より選ばれる1つ以上の他の添加剤を含む水性液体洗濯洗剤配合物であり、前記配合物は0.001〜30wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項24】
前記配合物は0.1〜42wt%の1つ以上の洗浄剤界面活性剤、及び、25〜60wt%のビルダーもしくはコビルダー、0.5〜5wt%の再付着防止助剤を含む非水性洗濯洗剤配合物であり、前記配合物は0.001〜30wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項25】
前記配合物は水及び0.01〜2wt%の再付着防止助剤を含む産業用及び企業用洗濯洗剤配合物であり、前記配合物は0.001〜20wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項26】
前記配合物は水及び0.1〜30wt%のアニオン性界面活性剤を含むシャンプー又は液体ボディーウォッシュ配合物であり、前記配合物は0.001〜5wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項27】
前記配合物は水及び0.1〜10wt%の式(I)以外のノニオン性界面活性剤を含むヘアコンディショナー配合物であり、前記配合物は0.001〜10wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項28】
前記配合物は水及び1〜30wt%のサンスクリーン剤を含む水性サンスクリーン配合物であり、前記配合物は0.001〜30wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項29】
前記配合物は40〜75wt%の水及び合計で0.1〜20wt%の、1つ以上の可溶化剤、ポリマー、オリゴマー又は機能性添加剤を含むセメント混和剤配合物であり、前記配合物は0.001〜5wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含む、請求項13記載の配合物。
【請求項30】
はブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル及びこれらのいずれかの混合物からなる群より選ばれ、Rは−CH(CHOH)CHOH(式中、nは0又は1である)又はこれらの混合物であり、R及びRは両方ともHである、請求項13記載の配合物。
【請求項31】
ZはSである、請求項13記載の配合物。
【請求項32】
地下のガス井又は油井でのドリリング、コンプリーティング(completing)、セメンティング、スティミュレイティング(stimulating)、フラクチャリング(fracturing)、酸性化(acidizing)、又はワーキングオーバーのための流体、又は、油又はガス含有累層からの油又はガスの生産物を処理又は改良するための流体であり、
前記流体は合計で5〜99.85wt%の少なくとも1つの有機液体及び水を含み、さらに、合計で0.1〜80wt%の、加重剤(weighting agents)、粘度調節剤(viscosifiers)、分散剤、ドリリングマッドベースオイル、乳化剤、可溶性塩、セメント、プロパント(proppants)、鉱酸、有機酸、殺生物剤、脱泡剤、脱乳化剤、腐食防止剤、減摩剤、ガスハイドレート防止剤、硫化水素除去剤もしくは硫化水素抑制剤、アスファルテン抑制剤、パラフィン抑制剤及びスケール抑制剤からなる群より選ばれる1つ以上の成分を含み、
前記流体中に0.05〜10wt%の式(I)による1つ以上の化合物を含み、
OCHCH(OH)CRZR (I)
(式中、RはC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、カルボニル基又はO,S及びNから選ばれる1個以上のヘテロ原子を有するC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、式R(OCHCH−のグリコールエーテル部分と、式R(NHCHCH−のアミノエチレン部分と、式RS(CH−のチオエーテル部分とからなる群より選ばれ、RはH又は直鎖のC1〜C12のアルキルであり、
及びRは各々独立に、H及び直鎖もしくは枝分かれのC1〜C3のアルキル及びアルケニル基からなる群より選ばれ、
はC3〜C16の直鎖、環式及び枝分かれのアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアルカリール部分、及び、カルボキシ、スルホ又はホスホ置換基によって置換されている、これらのいずれかの部分と、
−CH(CHOH)CHOHと、
−(CHO(CHTと、
−(CHTと、
−CHCH(OH)CH(CO)O−R(O(CO)CHCHOHCHT)とからなる群より選ばれ、
mは2〜4の整数であり、nは0〜5の整数であり、pは1又は2であり、qは1〜15の整数であり、TはSH又はZCRCH(OH)CHORであり、Rはトリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメントであり、ZはS、SO又はSOである)、
前記1つ以上の成分は式(I)による1つ以上の化合物のいずれの調製のためのプレもしくはポスト調製合成反応混合物の成分を含まない、流体。
【請求項33】
地下の井をドリリング、コンプリーティング(completing)、セメンティング、スティミュレイティング(stimulating)、フラクチャリング(fracturing)、酸性化(acidizing)、又はワーキングオーバー又は処理する方法であり、
前記井中に式(I)による1つ以上の化合物を含む流体を注入することを含む方法、
OCHCH(OH)CRZR (I)
(式中、RはC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、カルボニル基又はO,S及びNから選ばれる1個以上のヘテロ原子を有するC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、式R(OCHCH−のグリコールエーテル部分と、式R(NHCHCH−のアミノエチレン部分と、式RS(CH−のチオエーテル部分とからなる群より選ばれ、RはH又は直鎖のC1〜C12のアルキルであり、
及びRは各々独立に、H及び直鎖もしくは枝分かれのC1〜C3のアルキル及びアルケニル基からなる群より選ばれ、
はC3〜C16の直鎖、環式及び枝分かれのアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアルカリール部分、及び、カルボキシ、スルホ又はホスホ置換基によって置換されている、これらのいずれかの部分と、
−CH(CHOH)CHOHと、
−(CHO(CHTと、
−(CHTと、
−CHCH(OH)CH(CO)O−R(O(CO)CHCHOHCHT)とからなる群より選ばれ、
mは2〜4の整数であり、nは0〜5の整数であり、pは1又は2であり、qは1〜15の整数であり、TはSH又はZCRCH(OH)CHORであり、Rはトリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメントであり、ZはS、SO又はSOである)。
【請求項34】
油及びガスを含有する累層からの油又はガスの生成物流を処理する方法であり、前記生成物流中に式(I)による1つ以上の化合物を含む流体を注入することを含む方法、
OCHCH(OH)CRZR (I)
(式中、RはC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、カルボニル基又はO,S及びNから選ばれる1個以上のヘテロ原子を有するC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、式R(OCHCH−のグリコールエーテル部分と、式R(NHCHCH−のアミノエチレン部分と、式RS(CH−のチオエーテル部分とからなる群より選ばれ、RはH又は直鎖のC1〜C12のアルキルであり、
及びRは各々独立に、H及び直鎖もしくは枝分かれのC1〜C3のアルキル及びアルケニル基からなる群より選ばれ、
はC3〜C16の直鎖、環式及び枝分かれのアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアルカリール部分、及び、カルボキシ、スルホ又はホスホ置換基によって置換されている、これらのいずれかの部分と、
−CH(CHOH)CHOHと、
−(CHO(CHTと、
−(CHTと、
−CHCH(OH)CH(CO)O−R(O(CO)CHCHOHCHT)とからなる群より選ばれ、
mは2〜4の整数であり、nは0〜5の整数であり、pは1又は2であり、qは1〜15の整数であり、TはSH又はZCRCH(OH)CHORであり、Rはトリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメントであり、ZはS、SO又はSOである)。
【請求項35】
i)式(I)による1つ以上の化合物からなる第一の成分、
OCHCH(OH)CRZR (I)
(式中、RはC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、カルボニル基又はO,S及びNから選ばれる1個以上のヘテロ原子を有するC3〜C30の枝分かれ、直鎖及び環式のアルキル、アルケニル、アリール及びアラルキル部分と、式R(OCHCH−のグリコールエーテル部分と、式R(NHCHCH−のアミノエチレン部分と、式RS(CH−のチオエーテル部分とからなる群より選ばれ、RはH又は直鎖のC1〜C12のアルキルであり、
及びRは各々独立に、H及び直鎖もしくは枝分かれのC1〜C3のアルキル及びアルケニル基からなる群より選ばれ、
はC3〜C16の直鎖、環式及び枝分かれのアルキル、アルケニル、アリール、アラルキル及びアルカリール部分、及び、カルボキシ、スルホ又はホスホ置換基によって置換されている、これらのいずれかの部分と、
−CH(CHOH)CHOHと、
−(CHO(CHTと、
−(CHTと、
−CHCH(OH)CH(CO)O−R(O(CO)CHCHOHCHT)とからなる群より選ばれ、
mは2〜4の整数であり、nは0〜5の整数であり、pは1又は2であり、qは1〜15の整数であり、TはSH又はZCRCH(OH)CHORであり、Rはトリメチロールプロパン又はグリセロールをベースとするセグメントであり、ZはS、SO又はSOである)、及び、
ii)不揮発性有機材料及び不揮発性無機材料ならびにそれらの混合物からなる群より選ばれる1つ以上の材料からなり、式(I)による1つ以上の化合物のいずれの調製のためのプレもしくはポスト調製合成反応混合物の成分を含まない、第二の成分、
を含み、25℃において流体である、配合物。
【請求項36】
前記第二の成分は前記第一の成分よりも多量の重量で存在する、請求項35記載の配合物。
【請求項37】
前記配合物は水性キャリアを含む、請求項36記載の配合物。
【請求項38】
前記第二の成分は、式(I)以外の界面活性剤又は湿潤化剤、溶剤、アルカリ金属水酸化物、水性、水分散性又は水溶性の樹脂、流動化剤、レベリング剤、顔料、加工助剤、脱泡剤、可溶化剤、農薬、植物成長調節剤、水溶性被膜形成性高分子化合物、水溶性アルコール、グリコールもしくはポリオール、水溶性酸もしくはその塩、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、乳化剤、アルカノールアミン、有機モノ酸、殺生物剤、キレート化剤、洗浄剤ビルダー、洗浄剤コビルダー、染料、香料、再付着防止助剤、サンスクリーン剤、可溶化剤、ポリマー、オリゴマー及び機能性(functional)セメント添加剤からなる群より選ばれる1つ以上の材料からなる、請求項35記載の配合物。
【請求項39】
はブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル及びこれらのいずれかの混合物からなる群より選ばれ、Rは−CH(CHOH)CHOH(式中、nは0、1又はこれらの混合物である)であり、R及びRは両方ともHである、請求項35記載の配合物。
【請求項40】
ZはSである、請求項39記載の配合物。

【公開番号】特開2006−117664(P2006−117664A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−296181(P2005−296181)
【出願日】平成17年10月11日(2005.10.11)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【Fターム(参考)】