説明

MMP−13阻害剤として有用なヘテロアリールジアミド化合物

MMP−13の阻害剤である、本明細書に記載の式Iの化合物及び組成物が開示されている。また式Iの化合物の使用及び製造の方法が開示されている。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願データ
本出願は、2008年11月17日に出願された米国仮出願第61/115,216号の利益を主張する。
【0002】
本発明の背景
1.技術分野
本発明は、MMP−13メタロプロテアーゼ阻害化合物に関する。
【0003】
2.背景情報
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)は、亜鉛依存性エンドペプチダーゼである。MMPは、細胞外マトリックスタンパク質の分解に機能し、細胞表面レセプター、成長因子、細胞−接着分子、サイトカイン及びケモカイン、並びに他のMMP及び無関係なプロテアーゼの切断に関与する。MMPはまた、増殖、移動(接着/分散)、分化、血管形成、アポトーシス及び宿主防御のような細胞過程に主要な役割を果たすと考えられている。(Hu J. et al. Nat. Rev. Drug Discov. 2007 6:480-498; Ramnath N. and Creaven P.J. Curr. Oncol. Rep. 2004 6:96-102)。したがって、MMPは、リウマチ性関節炎、骨関節炎、骨粗鬆症、歯周炎、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、多発性硬化症及び腫瘍転移を含む治療疾患に関する標的である。
【0004】
哺乳類MMPファミリーは、共通の構造的属性:プロペプチドドメイン、触媒ドメイン及びC末端ヘモペキシン様ドメイン(MMP−7及びMMP−26を除く)を共通に有する20種を超えるメンバーを含む。健康体及び疾患体におけるMMPの機能は、多種多様な方法で制御されている。MMPは、不活性プロタンパク質として分泌され、プロペプチドドメインが、細胞外プロテイナーゼによって切断されたり、又はタンパク質−タンパク質の相互作用により不安定化された場合に活性化される。MMPの活性は、また、MMPの触媒部位に結合する組織メタロプロテイナーゼ阻害物質(TIMP)によっても制御されている。MMPの産生は、また、時間的に制限され、かつ空間的に限定される特異的なシグナルによる転写レベルでも制御されている。(Parks W.C. et al 2004, Nat. Rev. Immunol. 2004 4:617-629)。
【0005】
MMP−1(コラゲナーゼ1)、MMP−8(コラゲナーゼ2)、MMP−13(コラゲナーゼ3)及びより最近ではMMP−14を含む、マトリックスメタロプロテイナーゼファミリーのコラゲナーゼサブセットは、I型、II型、III型、V型及びX型コラーゲンの最初の切断を触媒する(Parks W.C. et al Nat. Rev. Immunol. 2004 4:617-629)。MMP−13は、I型及びIII型コラーゲンよりも、II型コラーゲンをより効率的に切断し、線維性コラーゲンに加えて多数の細胞外マトリックスタンパク質を切断することができる(Leeman M.F. et al Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 2003 37:149-166)。MMP−13は、RA及び骨関節炎(OA)に関連する関節軟骨分解及び進行性の関節損傷の関与段階である、II型コラーゲン分解の最も有能な触媒である。II型コラーゲンの場合(関節軟骨の90〜95%)、三重らせんは、MMP−1及びMMP−8によるよりも少なくとも10倍速く、MP−13によってG775/L776の位置で切断される(Billinghurst, R.C. et al. J. Clin. Invest. 1997 99:1534-1545)。MMP−13によるG775/L776の位置でのII型コラーゲン三重らせんの切断は、分子の最初のアンフォールディングを引き起こし、分子を、MMPファミリーの他のメンバーによる触媒分解を受けやすくする。II型コラーゲン分解に関するMMP−13のこの優れた触媒効率は、リウマチ性関節炎(RA)及び骨関節炎(OA)病態に関連する滑膜線維芽細胞及び軟骨細胞におけるMMP−13の誘発発現と相俟って、MMP−13が、RA及びOAに関連する軟骨分解における触媒の関与段階に関与していることと一致する(Mitchell, P.G. et al. 1996 J. Clin. Invest. 1996 97:761-768; Moore, B.A. et al, Biochim. Biophys. Acta 2000 1502:307-318)。
【0006】
さらに、マウスの膝軟骨細胞及び滑膜細胞における、MMP−13の一過性のアデノウイルス発現は、炎症細胞の動員及び炎症性サイトカインmRNAのアップレギュレーションを含む、一過性の関節炎病状を誘発する(Oronen, K. et al. 2004. Ann. Rheum. Dis. 63, 656-664))。恒常的に活性型であるヒトMMP−13を軟骨に有するトランスジェニックマウスは、II型コラーゲンの増大切断を示し、著しい軟骨分解及び滑膜過形成を伴う骨関節炎様表現型に至る(Neuhold, L.A. et al 2001 J. Clin. Invest. 107, 35-44)。これらのインビボ確認試験は、RA及びOA発病機序におけるMMP−13の役割をさらに裏付ける。
【0007】
本発明の概要
本発明の化合物は、MMP−13の阻害剤であることが見出された。
【0008】
したがって、本発明の目的は、MMP−13の阻害剤である、以下に記載する式Iの化合物及び組成物を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、MMP−13の阻害剤である式Iの化合物を使用する方法及び製造する方法を提供することである。
【0010】
発明の詳細な説明
最も広範で包括的である実施態様1において、式(I):
【0011】
【化1】


[式中、
は、ヒドロキシル、カルボキサミド基で場合により置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cカルボシクリル、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール及びヘテロアリールから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;
は、C〜Cアルキル、炭素環、ヘテロ環、アリール又はヘテロアリールであり、各々、アミノ、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、オキソ、アリール、C〜Cカルボシクリル及びカルボキシルから選択される1〜2個の置換基で場合により独立して置換されており;
は、結合、水素、CH、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−CHR−O−、−O−CH−、−C(O)−NH−CH−、−CH−NH−C(O)、S(O)0−2−、SO−NH−又は−NH−SO−であり;ここでRは、C〜Cアルキルであり;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C〜Cチオアルキル(ここで硫黄原子は、酸化されていてよい)、C〜Cアルコキシル、−O−アルコキシル、O−CH−アリール、アリールオキシ、O−CH−ヘテロアリール,−NH−SO−、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、各々、C〜Cアルキル、アシル、アミノ、アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、トリハロアルキル、カルボキサミド及びC〜Cアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により独立して置換されており;
Xは、N又はCHであり、
そして、
Arは、フラニル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル及びキノリニルから選択されるヘテロアリール環であり、ここで各環は、C〜Cアルキル、ハロゲン、アミノ及びオキソから選択される1〜2個の置換基で場合により置換されていてもよい]の化合物又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0012】
もう一つの実施態様2では、直ぐ上に記載した実施態様に記載の式(I)の化合物であって、
が、ヒドロキシル、カルボキサミド基で場合により置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cカルボシクリル、アミノ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;
が、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、フェニル、ナフチル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、チエニル、フラニル又はピロリルであり、各々、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、C〜Cカルボシクリル、フェニル及びカルボキシルから選択される1〜2個の置換基で場合により独立して置換されており;
が、結合、水素、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−CHR−O−、−O−CH−、−C(O)−NH−CH−、−CH−NH−C(O)、SO−NH−又は−NH−SO−であり;
が、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C〜Cチオアルキル(ここで硫黄原子は、酸化されていてよい)、C〜Cアルコキシル、−O−アルコキシル、O−CH−アリール、O−CH−ヘテロアリール、アリールオキシ、−NH−SO−、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、又はインドリルであり、各々、C〜Cアルキル、C〜Cアシル、アミノ、フェニル、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、トリフルオロメチル、カルボキサミド及びC〜Cアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により独立して置換されており;
そして、
Arが、フラニル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル及びキノリニルから選択されるヘテロアリール環であり、ここで各環は、C〜Cアルキル、ハロゲン、アミノ及びオキソから選択される1〜2個の置換基で場合により置換されていてもよい化合物が提供される。
【0013】
もう一つの実施態様3では、直ぐ上に記載した実施態様に記載の式(I)の化合物であって、
が、ヒドロキシル、カルボキサミド基で場合により置換されているC〜Cアルコキシ及びC〜Cシクロアルキルから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;
が、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル又はピペリジニルであり、各々ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ及びフェニルから選択される1〜2個の置換基で場合により独立して置換されており;
が、結合、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−CHR−O−、−O−CH−、−C(O)−NH−CH−、−CH−NH−C(O)、SO−NH−又は−NH−SO−であり;
が、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアミノ、アミノ、C〜Cジアルキルアミノ、フェニルアミノ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、C〜Cチオアルキル(ここで硫黄原子は、酸化されていてよい)、C〜Cアルコキシル、−O−アルコキシル,−NH−SO−、−OCH−フェニル、シクロプロピル、フェニル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、イミダゾピリジニル又はベンゾフラニルであり、各々、C〜Cアルキル、アミノ、ハロゲン、トリフルオロメチル及びC〜Cアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により独立して置換されており;
そして、
Arが、フラニル又はチアゾリルである、化合物が提供される。
【0014】
もう一つの実施態様4では、直ぐ上に記載した実施態様に記載の式(I)の化合物であって、
が、ヒドロキシル及びメトキシから選択される1〜2個の置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;
が、C〜Cアルキル、シクロヘキシル又はテトラヒドロピラニルであり、ここでアルキル基は、場合によりヒドロキシルで置換されており;
が、結合、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−CHR−O−、−O−CH−、−C(O)−NH−CH−、又は−CH−NH−C(O)であり;
が、C〜Cアルキル、フェニル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、イミダゾピリジニル又はベンゾフラニルであり、各々、C〜Cアルキル及びトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で場合により独立して置換されており;
そして、
Arが、フラニルである化合物が提供される。
【0015】
もう一つの実施態様5では、実施態様4に記載の式(I)の化合物であって、
が、メチルであり;
が、−O−CH−である化合物が提供される。
【0016】
もう一つの実施態様6では、実施態様4に記載の式(I)の化合物であって、
が、メチルであり;
が、−NH−C(O)−である、化合物が提供される。
【0017】
もう一つの実施態様7では、実施態様4に記載の式(I)の化合物であって、
が、メチルであり;
が、−CH−NH−C(O)−である化合物が提供される。
【0018】
もう一つの実施態様8では、本発明は、一般スキーム、実施例及び当技術において公知の方法を考慮して製造することができる表Iの化合物、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0019】
【表1】















































































【0020】
以下の表IIの化合物は、好ましいMMP−13阻害剤である:
【0021】
【表2】























【0022】
本願中の上記に開示した全化合物において、命名が構造と矛盾する場合には、当該化合物は構造により定義されるものとする。
【0023】
本発明は、活性物質として1種以上の本発明の化合物、又はその薬学的に許容される誘導体を、場合により従来の賦形剤及び/又は担体と組み合わせて含有する医薬品にも関する。
【0024】
本発明の化合物は、それらの同位体標識形態をも含む。本発明の化合の活性剤の同位体標識形態は、その活性剤の1個以上の原子が、自然界で通常見出される前記原子の原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子に置き換わっていることを除けば、その活性剤と同一である。市販で容易に入手でき、十分に確立された手順に従って本発明の化合の活性剤に組み込むことのできる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素の同位体が挙げられ、例えば、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clである。1個以上の上記同位体及び/若しくは他の原子の他の同位体を含む、本発明の化合の活性剤、そのプロドラッグ、又はそのいずれかの薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0025】
本発明は、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個別のジアステレオマーとして生じうる1個以上の不斉炭素原子を有する上記のあらゆる化合物の使用を含む。異性体は、鏡像異性体及びジアステレオマーであると定義されるものとする。これらの化合物のこのような異性体型は全て、明確に本願発明に含まれる。各々の不斉炭素(stereogenic carbon)はR若しくはS配置、又は当該配置の組み合わせで存在しうる。
【0026】
本発明の化合物には複数の互変異性型で存在しうるものがある。本発明は、このような全ての互変異性体を使用する方法を含む。
【0027】
本明細書で用いられている全ての用語は、別段の指定のない限り、その技術において公知であるとおりのそれらの通常の意味で理解されるものとする。たとえば、「C1−4アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシのような、末端酸素を有するC1−4アルキルである。全てのアルキル、アルケニル及びアルキニル基は、構造的に可能であって特段の指定のない限り、分岐又は非分岐であるものとする。その他のより具体的な定義は以下の通りである。
【0028】
炭素環は、3〜12個の炭素原子を含有する炭化水素環を含む。これらの炭素環は、芳香族環系であっても非芳香族環系であってもよい。非芳香族環系は、モノ不飽和又はポリ不飽和であってもよい。好ましい炭素環は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプタニル、シクロヘプテニル、フェニル、インダニル、インデニル、ベンゾシクロブタニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、ナフチル、デカヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプタニル及びベンゾシクロヘプテニルを含むがこれらに限定されない。シクロブタニル及びシクロブチルのような、シクロアルキルに関する特定の用語は、同義で用いられるものとする。
【0029】
用語「ヘテロ環」は、飽和若しくは不飽和のどちらかであってよい、安定的な非芳香族4〜8員(但し、好ましくは5員若しくは6員)の単環の、又は非芳香族8〜11員の二環若しくはスピロ環のヘテロ環基を指す。各ヘテロ環は、炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択される1個以上、好ましくは1〜4個のヘテロ原子とからなる。ヘテロ環は、その環のいずれの原子により結合されて安定的な構造を作り出していてもよい。
【0030】
用語「ヘテロアリール」は、N、O及びSのようなヘテロ原子を1〜4個含む、芳香族5〜8員の単環又は8〜11員の二環を意味するものとする。
【0031】
特段の記載がない限り、ヘテロ環及びヘテロアリールは、例えば、アザチジニル、フラニル、ピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、テトラヒドロピラニル、ジオキサニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、テトラゾリル、ピロリル、ピロリジニル、ピロリジノン、イミダゾリル、チエニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−1λ−チオモルホリニル、モルホリニル、ピリジニル、ピリジノン、1−オキシ−ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、プリニル、キノリニル、ジヒドロ−2H−キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、インダゾリル、インドリル、インドリノン、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル及びベンゾジオキソリルを含むがこれらに限定されない。
【0032】
本明細書において用語「ヘテロ原子」は、O、N、S及びPのような炭素以外の原子を意味すると理解されるものとする。
【0033】
全てのアルキル基又は炭素鎖において、1個以上の炭素原子は場合によりヘテロ原子:O、S又はNによって置き換えられていてよく、Nが置換されていない場合、それはNHであり、また、ヘテロ原子は、分岐若しくは非分岐の炭素鎖中の末端炭素原子若しくは内部炭素原子のいずれかに取って換わっていてよいと理解されるものとする。そのような基は、本明細書に上記したように、オキソのような基により置換されて、アルコキシカルボニル、アシル、アミド及びチオキソなどの定義になりうるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において用語「アリール」は、本明細書で定義された芳香族炭素環又はヘテロアリールを意味すると理解されるものとする。別段の指定がない限り、各アリール又はヘテロアリールは、部分的若しくは完全に水素化された誘導体を含む。例えば、キノリニルは、デカヒドロキノリニル及びテトラヒドロキノリニルを含んでよく、ナフチルは、テトラヒドロナフチルのような水素化誘導体を含んでもよい。本明細書に記載されたアリール及びヘテロアリール化合物の他の部分的又は完全に水素化された誘導体は、当業者にとって明らかであろう。
【0035】
本明細書において用いられる「窒素」及び「硫黄」は、窒素及び硫黄のあらゆる酸化型、並びに、あらゆる塩基性窒素の四級型を含む。これは、例えば、−S−C1−6アルキル基に関しては、特段の指定がない限り、−S(O)−C1−6アルキル及び−S(O)−C1−6アルキルを含むと理解されるものとする。
【0036】
用語「アルキル」は、1〜10個の炭素原子を含有する飽和脂肪族基、又は2〜12個の炭素原子を含有するモノ若しくはポリ不飽和の脂肪族炭化水素基を意味する。モノ又はポリ不飽和脂肪族炭化水素基は、それぞれ、少なくとも1つの二重結合又は三重結合を有する。「アルキル」とは、分岐鎖及び非分岐鎖のアルキル基の両方を指す。「アルク(alk)」又は「アルキル(alkyl)」の接頭辞を用いるあらゆる合成語は、上記「アルキル」の定義に従う類似体を指すと理解されるものとする。例えば、「アルコキシ」、「アルキチオ」のような用語は、酸素又は硫黄原子を介して別の基と結合したアルキル基を指す。「アルカノイル」(又はアシル)は、カルボニル基(C=O)と結合したアルキル基を指す。
【0037】
本明細書における用語「ハロゲン」は、臭素、塩素、フッ素又はヨウ素、好ましくはフッ素を意味すると理解されるものとする。「ハロゲン化」、「部分的又は完全にハロゲン化された」、「部分的又は完全にフッ素化された」、「1個以上のハロゲン原子で置換された」という定義は、例えば、1個以上の炭素原子上のモノ、ジ又はトリハロ誘導体を含む。アルキル基に関しては、非限定的な例は、−CHCHF、−CFなどであろう。
【0038】
本明細書に記載される各アルキル(又は、「アルク」又は「アルキル」の接頭辞を用いるあらゆる用語)、炭素環、ヘテロ環若しくはヘテロアリール、又はこれらの類似体は、各々、場合により、部分的又は完全にハロゲン化されていると理解されるものとする。
【0039】
本発明の化合物は、当業者にはよく理解されるであろうが、「化学的に安定」であると考えられるもののみである。例えば、「ダングリング(dangling)原子価」や「カルボアニオン」を有するであろう化合物は、本明細書で開示される発明方法により意図されている化合物ではない。
【0040】
本発明は、式(I)の化合物の薬学的に許容される誘導体を含む。「薬学的に許容される誘導体」とは、あらゆる薬学的に許容される塩若しくはエステル;又は患者に投与することにより、本発明に関する有用な化合物を(直接若しくは間接的に)提供することのできるあらゆる他の化合物;又は、それらの薬理学的に活性のある代謝産物若しくは薬理学的に活性のある残留物を指す。薬理学的に活性のある代謝産物とは、酵素的に又は化学的に代謝されうる本発明のあらゆる化合物を意味すると理解されるものとする。これは、例えば、本発明の水酸化又は酸化誘導体化合物を包含する。
【0041】
薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機及び有機の酸及び塩基から誘導されるものを包含する。適切な酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−硫酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−硫酸及びベンゼンスルホン酸を含む。シュウ酸などの他の酸は、それら自体は薬学的に許容されないが、本化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に用いられてもよい。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)の塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)の塩、アンモニウム塩及びN−(C1−C4アルキル)4+塩を包含する。
【0042】
さらに、本発明の化合物のプロドラッグの使用も本発明の範囲に含まれる。プロドラッグには、単純な化学的変換により変化して本発明の化合物を作り出す化合物が含まれる。単純な化学的変換には、加水分解、酸化及び還元が含まれる。具体的には、プロドラッグを患者に投与すると、プロドラッグが上記に開示した化合物に変換されて、これにより所望の薬理学的効果を与えてもよい。
【0043】
式Iの化合物は、下記の一般的合成方法を用いて製造されてもよく、これも本発明の一部を構成する。
【0044】
一般的合成方法
本発明は、式(I)の化合物の製造方法をも提供する。全てのスキームにおいて、別段の指定がない限り、下記式中のR、R、R、R、Ar及びXは、上記本発明の式(I)におけるR、R、R、R、Ar及びXの意味を有するものとする。
【0045】
最適反応条件及び反応時間は、使用する特定の反応物に応じて変化してもよい。別段の指定がない限り、溶媒、温度、圧力及びその他の反応条件は当業者により容易に選択されてよい。具体的な手順は、合成例のセクションに示されている。一般的に、所望により、反応の進み具合を薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターしてもよく、中間体及び生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー及び/又は再結晶によって精製してもよい。
【0046】
本発明の化合物の調製に用いられる、適切に置換された出発物質及び中間体は、市販されているか、又は当業者に文献で公知の方法により容易に調製され、以下の合成例で説明される。
【0047】
式(I)の化合物は、スキーム1〜4に概説した方法により合成してもよい。
【0048】
【化2】

【0049】
スキーム1に示すように、標準アミドカップリング条件下での、式(II)(式中、Qは、BOCのようなアミン保護基である)のアミノ酸と式(III)のアミンとの反応は、式(IV)のアミドを提供する。標準条件下での、中間体(IV)の脱保護は、式(V)の遊離アミンを提供する。標準条件下での、式(V)のアミンと式(VI)の酸とのカップリングは、対応するカップリングされた式(VII)の生成物を提供する。適切な溶媒中、標準条件下でのニトロ基の還元は、式(VIII)のアミンを提供する。標準アミドカップリング条件下での、式(VIII)のアミンと式(IX)の酸とのカップリングは、式(I)(ここでR=−C(O)−NH−)の化合物を提供する。
【0050】
【化3】

【0051】
スキーム2に概説したように、適切な溶媒中、適切な塩基及び触媒存在下での、式(X)のブロモ化合物と式(XI)のボロン酸/エステルとの反応は、対応するカップリングされた生成物を提供し、これは、適切な試薬での酸化により、式(XII)の酸を提供する。標準アミドカップリング反応条件下での、式(XII)の酸と式(V)のアミンとの反応は、式(XIII)の化合物を提供する。適切な溶媒中、適切な触媒存在下での、化合物(XIII)からのベンジルオキシ基の除去は、式(XIV)のヒドロキシル化合物を提供する。適切な溶媒中、ジイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)及びトリフェニルホスフィンのような試薬の存在下での、式(XIV)のヒドロキシル化合物と式(XV)のアルコールとの反応は、式(I)(式中、R=−CH−O−)の化合物を提供する。
【0052】
【化4】

【0053】
スキーム3に示すように、適切な溶媒中、適切な塩基及び触媒存在下での、式(XVI)のブロモ化合物と式(XVII)(ここで、Qは、BOCのようなアミン保護基)のボロン酸/エステルとの反応は、対応するカップリングされた式(XVIII)の生成物を提供する。標準条件下の、アミン保護基の脱保護は、式(XIX)の遊離アミンを提供する。標準アミドカップリング反応条件下での、式(XIX)のアミンと式(XX)の酸との反応は、式(I)(式中、R=−C(O)−NH−CH−)の化合物を提供する。標準ウレア形成反応条件下での、式(XIX)のアミンと式(XXI)のイソシアナートとの反応は、式(I)(式中、R=−N−C(O)−NH−CH−)の化合物を提供する。標準カルバマート形成反応条件下での、式(XIX)のアミンと式(XXII)のクロロホルマートとの反応は、式(I)(式中、R=−O−C(O)−NH−CH−)の化合物を提供する。
【0054】
【化5】

【0055】
スキーム4に概説したように、標準保護条件下での、式(XXI)のヒドロキシ化合物とトリフルオルメタンスルホン酸無水物との反応は、式(XXII)の化合物を提供する。適切な溶媒中、適切な塩基及び触媒存在下での、トリフラート(XXII)とボロン酸/エステルとの反応は、式(I)(式中、R=結合及びR=Ar’)の化合物を提供する。
【0056】
さらに、式(I)の最初の生成物を当技術において公知の方法及び以下の実施例で説明される方法によって改変することにより、本発明のさらなる化合物を調製することができる。
【0057】
実施例1:5−[5−(ピリジン−3−イルメトキシ)−ピリジン−2−イル]−フラン−2−カルボン酸((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−アミド
【0058】
【化6】

【0059】
工程1:
アセトン(100mL)中の2−ブロモ−5−ヒドロキシピリジン(5g、29mmol)の溶液に、KCO(7.9g、58mmoL)続いてベンジルブロミド(5.1mL、43mmol)を加えた。得られた懸濁液を、70℃で2時間加熱した。溶液を、次に水で希釈し、アセトンを減圧下で除去した。水相を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残留物を、ヘキサン/酢酸エチルを溶離剤として用いてシリカで精製した。6.4g、85%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=266.3。
【0060】
工程2:
フルアルデヒド4−ボロン酸(10.2g、73mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(2.9g、2.4mmol)及び5−ベンジルオキシ−2−ブロモ−ピリジン(6.4g、24mmol)を、炭酸ナトリウム水溶液(30mL、61mmol)、1,2−ジメトキシエタン(120mL)で希釈し、次にアルゴンで5分間かけて脱気した。溶液を、アルゴン下で、一晩加熱還流した(94℃)。冷却後、反応混合物を、酢酸エチル及び水で希釈し、水相を大量の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、減圧下で濃縮した。得られた残留物は、ヘキサン/酢酸エチルを溶離剤として用いてシリカで精製して、黄色の固体を得た。3.1g、46%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=280.4。
【0061】
工程3:
1,4−ジオキサン(160mL)中の5−(5−ベンジルオキシ−ピリジン−2−イル)−フラン−2−カルボアルデヒド(4.4g、14mmol)の溶液に、水(30mL)中のリン酸ナトリウム(一塩基性、7.7g、56mmol)、続いてスルファミン酸(2.1g、22mmol)を加えた。反応混合物を、0℃に冷却し、水(30mL)中の亜塩素酸ナトリウム(3.27g、80%、29mmol)を0℃で10分間かけて加えた。氷浴を除去し、溶液を30分間撹拌した。過剰な亜硫酸ナトリウムを加え、得られた懸濁液を、30分間撹拌した。反応混合物を、2N HCl(pH=4)で酸性化し、酢酸エチル(2x100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。生成物を、暗黄色〜褐色の固体として得て、更に精製しないで用いた。4.0g、94%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=296.6。
【0062】
工程4:
5−(5−ベンジルオキシ−ピリジン−2−イル)−フラン−2−カルボキシラート(4.4g、15mmol)をDMF(150mL)に溶解し、そしてTBTU(9.7g、30mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(16mL、91mmol)、及び(S)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−メチル−アセトアミド(6.4g、22mmol)を加えた。反応物に蓋をし、室温で5時間撹拌した。反応物を、過剰量の水でクエンチし、生成物を酢酸エチル中に抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下で蒸発させて、油状物を得た。粗物質を、メタノール/ジクロロメタンを溶離剤として用いてシリカゲルで精製して、褐色の固体を得た。4.3g、64%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=448.7.
【0063】
工程5:
酢酸エチル(26mL)及びメタノール(26mL)中の5−(5−ベンジルオキシ−ピリジン−2−イル)−フラン−2−カルボン酸((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−アミド(1.43g、2.8mmol)の溶液に、10%Pd/C(277mg、0.26mmol)を加えた。反応物を、アルゴンでパージし、1,4−シクロヘキサジエン(2.4mL、26mmol)をシリンジを介して加えた。反応混合物を、2時間加熱還流し、室温に冷まし、セライトパッドを通して濾過し、パッドを酢酸エチルですすいだ。得られた濾液を、減圧下で蒸発させて、明黄色の固体を得て、これを更に精製しないで用いた。1.06g、95%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=358.4。
【0064】
工程6.
THF(2mL)中の5−(5−ヒドロキシ−ピリジン−2−イル)−フラン−2−カルボン酸((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−アミド(170mg、0.47mmoL)、2−ピリジンメタノール(103mg、0.95mmol)及びPPh(ポリスチレン樹脂に支持されたもの、320mg 0.95mmol)の溶液に、DIAD(0.18mL、0.95mmol)をアルゴン下、0℃で滴下した。混合物を、室温に温まるにまかせ、19時間撹拌し、THFで希釈し、セライトを通して濾過した。濾液を、減圧下で蒸発させ、粗物質を、逆相HPLCで精製して、白色の固体を得た。72mg、34%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=449.7。
【0065】
以下の表IIIの化合物を同様の方法で製造した:
【0066】
【表3】











【0067】
実施例2:N−[4−(5−{[(1S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]カルバモイル}フラン−2−イル)フェニル]−5−メチルフラン−2−カルボキサミド
【0068】
【化7】

【0069】
工程1:
(S)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−メチル−アセトアミド塩酸塩(0.75g、3.6mmol)を、ジクロロメタン(5mL)に取り、DIEA(1.87mL、10.7mmol)を溶液に加えた。5−(4−ニトロ−フェニル)−フラン−2−カルボン酸(0.92g、3.9mmol)、EDC(1.37g、7.2mmol)及びHOBT(0.97g、7.2mmol)を加え、反応物を、室温で一晩撹拌した。反応物を、DCMで希釈し、10%クエン酸で洗浄した。合わせた有機層を、飽和重炭酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を濾過し、減圧下で濃縮して、固体を得て、これをシリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル)で精製して、標記化合物0.96gを得た。63% LC/MS ESI m/z(M+H)+=383.3。
【0070】
工程2:
5−(4−ニトロ−フェニル)−フラン−2−カルボン酸((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−アミド(760mg、1.96mmol)、酢酸15mL及び亜鉛(1.2g、19mmol)を合わせて、室温で30分間撹拌した。粗反応混合物を、セライトを通して濾過し、アセトニトリルで洗浄し、合わせた洗浄物を減圧下で濃縮した。粗物質を、DCM中の10%メタノールに取り、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を乾燥させ、濾過し減圧下で蒸発させて、標記化合物を得て、これを更に精製しないで用いた。660mg、94%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=356.2。
【0071】
工程3:
5−(4−アミノ−フェニル)−フラン−2−カルボン酸((S)−1−シクロヘキシル−2−メチルアミノ−アリル)−アミド(35mg、0.1mmol)を、DMF(1mL)に溶解し、4−メチルモルホリン(43uL、0.4mmol)を加えた。DMF 1mL中のHATU(57mg、0.15mmol)を、5−メチルフランカルボキシラート(14mg、0.11mmol)に加え、この混合物をアミン混合物に加え、得られた溶液を一晩撹拌した。16時間後、溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を逆相LCで精製して、標記化合物を得た。20mg、43%、LC/MS ESI m/z(M+H)+464.2。
【0072】
以下の表IVの化合物を同様の方法で製造した:
【0073】
【表4】







【0074】
実施例3:N−(3−{5−[((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−カルバモイル]−フラン−2−イル}−ベンジル)−2−フルオロ−イソニコチンアミド
【0075】
【化8】

【0076】
工程1:
5−ブロモ−フラン−2−カルボン酸(2.0g、10.4mmol)を、DMF(25mL)に溶解し、HATU(4.3g、11.5mmol)、DIEA(5.8mL、31mmol)及び(S)−2−アミノ−2−シクロヘキシル−N−メチル−アセトアミド塩酸塩(2.97g、10.4mmol)を加えた。反応物を、室温で一晩撹拌した。16時間後、反応物を、水でクエンチし、生成物を酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、減圧下で蒸発させて、灰色の固体を得た。2.8g、78% LC/MS ESI m/z(M+H)+=343.3。
【0077】
工程2:
5−ブロモ−フラン−2−カルボン酸((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−アミド(500mg、1.45mmol)、2−NBoc−アミノメチルフェニルボロン酸(365mg、1.45mmol)及びビス(ジ−tert−ブチル(4−ジメチルアミノフェニル)ホスフィン)ジクロロパラジウム(II)塩(206mg、0.29mmol)を、DMF(7mL)中に懸濁し、2M NaCO水溶液(2mL)を加えた。反応物をボルテックスし、次にマイクロ波反応器中で100℃で60分間加熱した。反応混合物を、DMF6mL及び水4mLに希釈し、激しく1時間撹拌して懸濁液を形成し、これを濾過して、明黄色の固体を得て、これを更に精製しないで用いた。0.69g、95%、LC/MS ESI m/z(M+H)+470.5。
【0078】
工程3
MeOH(74mL)中の(3−{5−[((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−カルバモイル]−フラン−2−イル}−ベンジル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(4.3g、7.32mmol)の懸濁液に、ジオキサン中の4N HCl(18mL)を加え、得られた懸濁液を、室温で16時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、飽和NaHCO水溶液でpH10に塩基性化した。水層を大量の酢酸エチルで抽出した。合わせた有機物を水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、鮮黄色の固体を得て、これをシリカで精製して、標記化合物をオフホワイトの固体として得た。1.37g、50%、LC/MS ESI m/z(M+H)+370.5。
【0079】
工程4:
DMF(1mL)中の2−フルオロ−イソニコチン酸(22mg、0.16mmol)の溶液に、HATU(61mg、0.16mmol)及びEtN(0.044mL、0.3mmol)を加えた。室温で30分間撹拌した後、DMF(1mL)中の5−(3−アミノメチル−フェニル)−フラン−2−カルボン酸((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−アミドトリフルオロ酢酸塩(50mg、0.12mmol)の溶液を加えた。反応物を、2時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、有機層を水及びブラインで洗浄した。有機層を、減圧下で蒸発させ、得られた油状物を逆相HPLCで精製して、標記化合物を固体として得た。21mg、41%、LC/MS ESI m/z(M+H)+493.5。
【0080】
実施例4:N−[(1S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]−5−(3−{[(プロパン−2−イルカルバモイル)アミノ]メチル}フェニル)フラン−2−カルボキサミド
【0081】
【化9】

【0082】
DMF(0.5mL)中の5−(3−アミノメチル−フェニル)−フラン−2−カルボン酸((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−アミド(20mg、0.05mmol)の溶液に、2−イソシアナト−プロパン(5.8μL、0.06mmol)を加えた。室温で2時間撹拌した後、混合物を減圧下で蒸発させ、逆相HPLCで精製した。生成物を、淡黄色の固体として得た。16mg、63%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=455.5.
【0083】
実施例5:2−メチルプロピル[3−(5−{[(1S)−1−シクロヘキシル−2−(メチルアミノ)−2−オキソエチル]カルバモイル}フラン−2−イル)ベンジル]カルバマート
【0084】
【化10】

【0085】
DMF(2.0mL)中の5−(3−アミノメチル−フェニル)−フラン−2−カルボン酸((S)−シクロヘキシル−メチルカルバモイル−メチル)−アミド(37mg、0.10mmol)の溶液に、4−メチルモルホリン(44μL、0.40mmol)、続いてクロロギ酸イソブチル(21mg、0.15mmol)を加えた。室温で12時間撹拌した後、混合物を、減圧下で蒸発させ、得られた油状物を逆相HPLCで精製して白色の固体を得た。26mg、54%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=470.4.
【0086】
以下の表Vの化合物を、実施例3、4、及び5と同様の方法で製造した:
【0087】
【表5】



































【0088】
実施例6:5−(5−フェニル−ピリジン−2−イル)−フラン−2−カルボン酸((S)−2−メチル−1−メチルカルバモイル−プロピル)−アミド
【0089】
【化11】

【0090】
工程1:
無水ジクロロメタン(10mL)及び無水ピリジン(2mL)中の5−(5−ヒドロキシ−ピリジン−2−イル)−フラン−2−カルボン酸((S)−2−メチル−1−メチルカルバモイル−プロピル)−アミド(0.7g、2.20mmol)の溶液に、室温で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.41mL、2.42mmol)を加えた。1時間後、水(10mL)を加え、混合物を酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。トリフルオロメタンスルホン酸6−[5−((S)−2−メチル−1−メチルカルバモイル−プロピルカルバモイル)−フラン−2−イル]−ピリジン−3−イルエステルを褐色の固体として得て、更に精製しないで用いた。0.78g、79%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=450.32。
【0091】
工程2:
トリフルオロメタンスルホン酸6−[5−((S)−2−メチル−1−メチルカルバモイル−プロピルカルバモイル)−フラン−2−イル]−ピリジン−3−イルエステル(50mg、0.11mmol)、フェニルボロン酸(27mg、0.22mmol)、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(13mg、0.01mmol)、及び炭酸カリウム(61mg、0.44mmol)を入れたフラスコを、アルゴンでフラッシュした。トルエン(2mL)、エタノール(0.5mL)、及び水(1mL)を加え、反応物を100℃で2時間撹拌した。反応物を室温に冷まし、酢酸エチル(10mL)を加え、混合物を水(10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶液を濾過し、減圧下で蒸発させて、油状物を得て、これを、分取HPLCで精製した。5−(5−フェニル−ピリジン−2−イル)−フラン−2−カルボン酸((S)−2−メチル−1−メチルカルバモイル−プロピル)−アミドを白色の固体として得た。16mg、38%、LC/MS ESI m/z(M+H)+=377.43。
【0092】
以下の表VIの化合物を同様の方法で製造した:
【0093】
【表6】



【0094】
生物学的特性の評価
式Iの化合物の生物学的特性は、当該技術で認められている他のアッセイの他に、下記のアッセイを用いて評価することができる。
【0095】
EnzoLyte(商標)520Generic MMP アッセイ キット(AnaSpec Inc.)は、MMP−1、2、3、7、8、9、13、及び14を含む、数種のMMPの活性を検出することができる。このキットは、5−FAM/QXL(商標)520蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)ペプチドをMMP基質として用いる。完全なFRETペプチドにおいて、5−FAMの蛍光をQXL(商標)520でクエンチする。MMPにより2つの別々のフラグメントに切断されたら、5−FAMの蛍光を回収し、励起/発光波長=490nm/520nmでモニターすることができる。アッセイは、好都合な96ウェル又は384ウェルマイクロプレートフォーマットで行う。
【0096】
好適な化合物は、<500nMのIC50を有するであろう。
【0097】
治療的用途
上記のアッセイに示されるように、本発明の化合物は、MMP−13を阻害する上で有用である。したがって、式1の化合物は、リウマチ性関節炎、骨関節炎、骨粗鬆症、歯周炎、アテローム性動脈硬化症、うっ血性心不全、多発性硬化症及び腫瘍転移を含む疾患の処置に有用である。これらは、患者に薬剤として、特に本明細書に記載の医薬組成物の形態で使用することができる。前述のように、MMP−13は、細胞外マトリックス分解及び増殖、移動(接着/分散)、分化、血管形成、アポトーシス及び宿主防御のような細胞過程で主要な役割を果たすと考えられるので、式1の化合物は、以下の疾患の処置においても有用である:
接触性皮膚炎、骨吸収疾患、再灌流障傷害、喘息、ギラン−バレー症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、移植片対宿主病、全身性エリテマトーデス及びインスリン依存性糖尿病、中毒性ショック症候群、アルツハイマー病、糖尿病、炎症性腸疾患、急性及び慢性疼痛並びに炎症性の症状及び循環器疾患、脳卒中、心筋梗塞(単独で又は血栓溶解治療後に)、熱傷、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、外傷に続発する多臓器損傷、急性糸球体腎炎、急性炎症性要素を有する皮膚病、急性化膿性髄膜炎又は他の中枢神経系障害、血液透析、白血球除去療法に関連する症侯群、顆粒球輸注関連症候群、及び壊死性腸炎、経皮経壁冠動脈拡張後の再狭窄を含む合併症、外傷性関節炎、敗血症、慢性閉塞性肺疾患及びうっ血性心不全。
【0098】
発明の背景で開示したように、本発明の化合物は、腫瘍転移の処置に有用であろう。これらの疾患は、乳房、気道、脳、生殖器官、消化管、尿路、眼、肝臓、皮膚、頭部及び頸部、甲状腺、副甲状腺の癌並びにそれらの遠隔転移のような充実性腫瘍を含むがこれらに限定されない。これらの障害はまた、リンパ腫、肉腫、及び白血病も含む。
【0099】
乳癌の例は、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌、及び上皮内小葉癌を含むが、これらに限定されない。
【0100】
気道癌の例は、小細胞及び非小細胞の肺癌、並びに気管支腺腫及び胸膜肺芽腫及び中皮腫を含むが、これらに限定されない。
【0101】
脳癌の例は、脳幹グリオーマ、視神経膠腫及び視床下部膠腫、小脳及び大脳の星状細胞腫、髄芽細胞腫、上衣細胞腫、並びに下垂体性、神経外胚葉及び松果体の腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0102】
末梢神経系腫瘍の例は、神経芽細胞腫、神経節芽細胞腫、及び末梢神経鞘腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0103】
内分泌腺及び外分泌腺系の腫瘍の例は、甲状腺癌、副腎皮質癌、クロム親和細胞腫、及びカルチノイド腫瘍を含むが、これらに限定されない。
【0104】
男性生殖器官の腫瘍は、前立腺及び精巣の癌を含むが、これらに限定されない。
【0105】
女性生殖器の腫瘍は、子宮内膜、頸部、卵巣、膣及び外陰部の癌、並びに子宮の肉腫を含むが、これらに限定されない。
【0106】
消化管の腫瘍は、肛門、大腸、結腸直腸、食道、胆嚢、胃、膵臓、直腸、小腸及び唾液腺のガンを含むが、これらに限定されない。
【0107】
尿路腫瘍は、膀胱、陰茎、腎臓、腎盂、尿管及び尿道の癌を含むが、これらに限定されない。
【0108】
眼の癌は、眼内黒色腫及び網膜芽細胞腫を含むが、これらに限定されない。
【0109】
肝癌の例は、肝細胞癌(繊維層板の変形を伴う又は伴わない肝細胞癌)、肝芽細胞腫、胆管癌(肝内胆管癌)、及び混合性肝細胞性胆管癌を含むが、これらに限定されない。
【0110】
皮膚癌は、扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌、及び非黒色腫皮膚癌を含むが、これらに限定されない。
【0111】
頭部−及び−頸部癌は、喉頭/下咽頭/鼻咽喉/口腔咽頭、及び唇及び口腔のガンを含むが、これらに限定されない。
【0112】
リンパ腫は、エイズ関連性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、及び中枢神経系のリンパ腫を含むが、これらに限定されない。
【0113】
肉腫は、軟組織の肉腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫、血管肉腫、及び横紋筋肉腫を含むが、これらに限定されない。白血病は、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、及び毛様細胞性白血病を含むが、これらに限定されない。
【0114】
形質細胞障害は、多発性骨髄腫及びワルデンストレームマクログロブリン血症を含むが、これらに限定されない。
【0115】
ヒトの処置に有用である他に、これらの化合物は、また、コンパニオンアニマル(companion animal(ペット))、珍しい動物(exotic animal)、及び哺乳動物、齧歯類を含む家畜(farm animal)の獣医学的処置にも有用である。
【0116】
上記疾患及び病状の治療に関し、一般的に、治療的に有効な用量は、本発明の化合物の1投与につき、体重1kg当たり約0.01mg〜約100mgの範囲内であり、好ましくは1投与につき体重1kg当たり約0.1mg〜約20mgである。例えば、70kgの人間に投与する場合には、投与量範囲は、本発明の化合物の1投与当たり約0.7mg〜約7000mgであり、好ましくは1投与当たり約7.0mg〜約1400mgである。 最適な投与レベル及びパターンを決定するために、ある程度の所定の用量最適化を要しうる。当該活性成分は、1日に1〜6回投与してもよい。
【0117】
一般的投与法及び医薬組成物
医薬品として使用されるとき、本発明の化合物は、通常、医薬組成物の形態で投与される。このような組成物は、医薬品分野で周知の手順を利用して調製することができ、そして本発明の化合物を少なくとも1種含む。本発明の化合物はまた、単独で、または、本発明の化合物の安定性を向上させ、ある実施態様ではこれらを含有する医薬組成物の投与を促進し、溶解若しくは分散の上昇、阻害活性の上昇を与え、補助療法などを与える補助剤と組合せて投与することができる。本発明の化合物を、それ自体で、または本発明の他の活性物質と共に、または場合により他の薬理活性物質と共に使用することができる。一般に、本発明の化合物は、治療有効量又は薬学的有効量で投与されるが、診断目的又は他の目的にはそれより少量で投与してもよい。
【0118】
純粋な形態又は適切な医薬組成物での本発明の化合物の投与を、医薬組成物の投与法として認められている任意の方法を使用して実施することができる。即ち、投与は、例えば、経口的、口腔(例えば、舌下)内、鼻内、非経口的、局所的、経皮的、膣内、又は直腸内に、固体、半固体、凍結乾燥粉末の形で、又は液体剤型にして、例えば、錠剤、坐剤、丸剤、軟カプセル剤及び硬ゼラチンカプセル剤、粉剤、液剤、懸濁剤、又はエアゾール剤などにして、好ましくは正確な用量の単純な投与に適した単位投与剤型で行うことができる。医薬組成物は一般に、従来の製剤担体又は賦形剤、及び活性物質(の1つ)としての本発明の化合物を包含し、そして更に他の医薬物質、薬剤、担体、補助剤、希釈剤、ビヒクル、又はこれらの組合せを包含することができる。このような薬学的に許容される賦形剤、担体、又は添加剤、更には種々の投与様式のための医薬組成物の製造法は、当業者に周知されている。
【0119】
当業者ならば予測するであろうように、具体的な医薬製剤にして使用される本発明の化合物の形には、その製剤が有効であるために必要な適切な物理的特性(例えば、水溶解度)を有するもの(例えば、塩)が選択されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化12】


[式中、
は、ヒドロキシル、カルボキサミド基で場合により置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cカルボシクリル、ヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリール及びヘテロアリールから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;
は、C〜Cアルキル、炭素環、ヘテロ環、アリール又はヘテロアリールであり、各々、アミノ、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、オキソ、アリール、C〜Cカルボシクリル及びカルボキシルから選択される1〜2個の置換基で場合により独立して置換されており;
は、結合、水素、CH、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−CHR−O−、−O−CH−、−C(O)−NH−CH−、−CH−NH−C(O)、S(O)0−2−、SO−NH−又は−NH−SO−であり;ここでRは、C〜Cアルキルであり;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C〜Cチオアルキル(ここで硫黄原子は、酸化されていてよい)、C〜Cアルコキシル、−O−アルコキシル、O−CH−アリール、アリールオキシ、O−CH−ヘテロアリール,−NH−SO−、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリールであり、各々、C〜Cアルキル、アシル、アミノ、アリール、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、トリハロアルキル、カルボキサミド及びC〜Cアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により独立して置換されており;
Xは、N又はCHであり、
そして、
Arは、フラニル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル及びキノリニルから選択されるヘテロアリール環であり、ここで各環は、C〜Cアルキル、ハロゲン、アミノ及びオキソから選択される1〜2個の置換基で場合により置換されていてもよい]の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1記載の化合物であって、
が、ヒドロキシル、カルボキサミド基で場合により置換されているC〜Cアルコキシ、C〜Cカルボシクリル、アミノ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;
が、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、フェニル、ナフチル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、インドリル、チエニル、フラニル又はピロリルであり、各々、ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ、C〜Cカルボシクリル、フェニル及びカルボキシルから選択される1〜2個の置換基で場合により独立して置換されており;
が、結合、水素、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−CHR−O−、−O−CH−、−C(O)−NH−CH−、−CH−NH−C(O)、SO−NH−又は−NH−SO−であり;
が、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、シアノ、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、C〜Cチオアルキル(ここで硫黄原子は、酸化されていてよい)、C〜Cアルコキシル、−O−アルコキシル、O−CH−アリール、O−CH−ヘテロアリール、アリールオキシ,−NH−SO−、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾピリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、又はインドリルであり、各々、C〜Cアルキル、C〜Cアシル、アミノ、フェニル、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、トリフルオロメチル、カルボキサミド及びC〜Cアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により独立して置換されており;
そして、
Arが、フラニル、チアゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピロリル、チエニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル及びキノリニルから選択されるヘテロアリール環であり、ここで各環は、C〜Cアルキル、ハロゲン、アミノ及びオキソから選択される1〜2個の置換基で場合により置換されていてもよい化合物。
【請求項3】
請求項2記載の化合物であって、
が、ヒドロキシル、カルボキサミド基で場合により置換されているC〜Cアルコキシ及びC〜Cシクロアルキルから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;
が、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル又はピペリジニルであり、各々ヒドロキシル、C〜Cアルコキシ及びフェニルから選択される1〜2個の置換基で場合により独立して置換されており;
が、結合、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−CHR−O−、−O−CH−、−C(O)−NH−CH−、−CH−NH−C(O)、SO−NH−又は−NH−SO−であり;
が、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアミノ、アミノ、C〜Cジアルキルアミノ、フェニルアミノ、シアノ、ハロゲン、ニトロ、C〜Cチオアルキル(ここで硫黄原子は、酸化されていてよい)、C〜Cアルコキシル、−O−アルコキシル,−NH−SO−、−OCH−フェニル、シクロプロピル、フェニル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、イミダゾピリジニル又はベンゾフラニルであり、各々、C〜Cアルキル、アミノ、ハロゲン、トリフルオロメチル及びC〜Cアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により独立して置換されており;
そして、
Arが、フラニル又はチアゾリルである化合物。
【請求項4】
請求項3記載の化合物であって、
が、ヒドロキシル及びメトキシから選択される1〜2個の置換基で場合により置換されているC〜Cアルキルであり;
が、C〜Cアルキル、シクロヘキシル又はテトラヒドロピラニルであり、ここでアルキル基は、場合によりヒドロキシルで置換されており;
が、結合、−C(O)−NH−、−NH−C(O)−、−CHR−O−、−O−CH−、−C(O)−NH−CH−、又は−CH−NH−C(O)であり;
が、C〜Cアルキル、フェニル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、イミダゾピリジニル又はベンゾフラニルであり、各々、C〜Cアルキル及びトリフルオロメチルから選択される1〜3個の置換基で場合により独立して置換されており;
そして、
Arが、フラニルである化合物。
【請求項5】
が、メチルであり;
が、−O−CH−である、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が、メチルであり;
が、−NH−C(O)−である、請求項4記載の化合物。
【請求項7】
が、メチルであり;
が、−CH−NH−C(O)−である、請求項4記載の化合物。
【請求項8】
下記の表から選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【表7】











































【請求項9】
治療有効量の請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物並びに1つ以上の薬学的に許容される担体及び/又は補助剤を含む医薬組成物。
【請求項10】
治療有効量の請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物を投与することを含む、リウマチ性関節炎、骨関節炎、骨粗鬆症、歯周炎、アテローム性動脈硬化、うっ血性心不全、多発性硬化症及び腫瘍転移から選択される疾患の処置方法。

【公表番号】特表2012−509262(P2012−509262A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536394(P2011−536394)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/063343
【国際公開番号】WO2010/056585
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】