圧電振動デバイスおよび圧電振動デバイスの製造方法
【課題】圧電振動デバイスの内部空間へのロウ材の流入を防止し、気密信頼性の高い圧電振動デバイスと当該圧電振動デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】水晶発振器は、電子部品素子の収容空間と側壁20を有する容器を、ロウ材6を介して蓋5で気密に接合した圧電振動デバイスである。側壁20の天面には溝10が形成され、溝10の内部にロウ材が流入するとともに、溝10の内周側の開口端102Eを起点として、蓋5の前記開口端102Eから鉛直上方に伸びる仮想線Lよりも内側に対応する領域にかけてロウ材6のフィレットF1が形成されて蓋5と容器2とが接合されている。
【解決手段】水晶発振器は、電子部品素子の収容空間と側壁20を有する容器を、ロウ材6を介して蓋5で気密に接合した圧電振動デバイスである。側壁20の天面には溝10が形成され、溝10の内部にロウ材が流入するとともに、溝10の内周側の開口端102Eを起点として、蓋5の前記開口端102Eから鉛直上方に伸びる仮想線Lよりも内側に対応する領域にかけてロウ材6のフィレットF1が形成されて蓋5と容器2とが接合されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスと当該圧電振動デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子や水晶発振器等の圧電振動デバイスは、これらが実装される各種電子機器の超小型化または薄型化の進行により、超小型(例えば平面視矩形の圧電振動デバイスの外形寸法が2.0mm×1.6mm以下)のものが求められるようになってきている。例えば前記圧電振動デバイスの一例として水晶発振器を例に挙げると、水晶振動片を励振させるための電極が形成された水晶振動素子や集積回路素子等の電子部品素子と、これらの電子部品素子の収容空間を備えた箱状の容器と、前記収容空間を封止する薄板状の蓋が主要構成部材となっている。前記容器は電子部品素子の収容空間の周囲に側壁を有しており、当該側壁の天面(上面)全体には金属膜が形成されている。一方、前記蓋の一主面には、容器側壁の天面に形成された金属膜と対応する位置に金属ロウ材が形成されている。この金属ロウ材と前記金属膜とが平面視で略一致するように蓋と容器とが位置決めされ、加熱雰囲気下で金属ロウ材と金属膜とが溶融一体化する。これによって蓋と容器が接合される。
【0003】
前記構成に対して、容器側壁の天面に部分的に突出する凸部を形成し、当該凸部に対応する凹部を蓋に形成し、凸部の外周にロウ材を配して凸部と前記凹部とが嵌め合うようにしてロウ材を溶融させることによって蓋と容器とを接合する構成が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−335970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1における構成において、容器側壁の天面の外側だけに前記凸部を形成する場合、天面の内側に配されたロウ材が蓋との接合の際に溶融して、電子部品素子の収容空間に流入してしまうおそれがある。溶融したロウ材が前記空間内に流入すると周波数変化等の不具合が発生してしまう。
【0006】
一方、容器側壁の天面の内側にのみ凸部を形成する場合、溶融したロウ材が前記空間内へ流入するのを防止することができる。しかし、次のような問題が発生するおそれがある。例えばセラミック材料からなる容器の製造工程においては、多数の容器が整列して一体形成されたシートの隣接する容器間をダイシングブレード等によって切断して個片化する工程がある。このとき容器側壁の天面の内側にのみ凸部が形成され、天面の外周縁にロウ材が形成されているとダイシング時に天面に形成された金属膜の一部が剥がれてしまうおそれがある。このような金属膜の剥がれは気密不良の原因となる。
【0007】
また、容器側壁の天面の外側と内側の両方に凸部を形成する場合、上記問題点は発生しにくくなるものの、容器の凸部に対応した凹部を蓋に形成する必要があるためコスト上昇の要因となるとともに、蓋の機械的強度の低下にもつながってしまう。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、圧電振動デバイスの内部空間へのロウ材の流入を防止し、気密信頼性の高い圧電振動デバイスと当該圧電振動デバイスの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスであって、前記側壁の天面には溝が形成され、当該溝の内部の一部又は全体にロウ材が流入するとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットが形成されて蓋と容器とが接合された圧電振動デバイスとなっている。
【0010】
上記構成によれば、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が流入するとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点とし、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレット(メニスカス)が形成されて蓋と容器とが接合されるので、封止時に溶融したロウ材が電子部品素子の収容空間へ流入するのを防止することができる。これにより気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。例えば前述した容器側壁の天面(上面)のうち、溝と当該溝の外側の天面にのみ金属膜を形成し、それ以外の天面の領域には金属膜を形成しない構成としてもよい。このような構成により、蓋に形成されたロウ材と容器側壁の天面の金属膜とが加熱によって溶融しても溶融金属が、天面の電子部品素子の収容空間に面する周縁へ誘導されず、ロウ材の前記流入を防止することができる。
【0011】
また上記構成によれば、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が流入した状態で蓋と容器とが接合されるので、溝の内部に流入したロウ材が楔のように機能する,いわゆるアンカー効果を有する。これにより実用的な接合強度を確保することができる。さらに前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が溜まることによって溝外部のロウ材が溝内部の方向へ引き寄せられ易くなるため蓋と容器との接合の際、位置調整せずとも蓋が自ずと前記天面上の適切な位置に配置される,いわゆる“セルフアライメント”効果を有する。なお前記溝の形態は、天面に周状に形成したものや、周状に断続的に形成したものであってもよい。あるいは平面視矩形状の天面の場合、対向する二長辺または対向する二短辺のいずれか一組の辺に対してのみ溝を形成してもよい。この場合、前述のセルフアライメント効果をより発揮することができる。さらに溝10の深さは同一深さに限定されるものではなく、異なる深さの領域が存在する溝であってもよい。また溝の深さを可変させることによってフィレットの形状をコントロールすることができる。
【0012】
また、前記金属膜は容器側壁の天面全体に形成する必要が無いため、金属の使用量を削減することができる。これにより製造コスト低減を実現することができる。さらに前記溝を側壁の天面に形成するとともに、当該溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域がロウ材のフィレットの起点となっているため、側壁の天面に形成する金属の使用量を減少させても充分な接合強度を得ることができる。
【0013】
また上記目的を達成するために本発明は、電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスの製造方法において、
前記側壁の天面に溝を形成する溝形成工程と、前記側壁の断面視において、前記溝の内壁面全体と、当該溝よりも外側の天面の領域とが一体となった金属膜を形成する金属膜形成工程と、前記蓋の一主面に、前記金属膜と平面視で一部が対向するとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にロウ材を形成するロウ材形成工程と、前記ロウ材と前記金属膜とを溶融させて、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とを接合する接合工程とを含む圧電振動デバイスの製造方法となっている。
【0014】
上記構成によれば、気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。前記溝形成工程では容器の側壁の天面に溝を形成し、前記金属膜形成工程では前記側壁の断面視において、前記溝の内壁面全体と、当該溝よりも外側の天面の領域とが一体となった金属膜を形成している。一方、前記蓋についてはロウ材形成工程では、記蓋の一主面に、前記金属膜と平面視で一部が対向するとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にロウ材を形成する工程となっている。以上のような金属膜とロウ材の相対位置関係により、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点とし、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットが形成されやすくなる。
【0015】
また、容器側壁の天面のうち、溝と当該溝の外側の天面にのみ金属膜が形成され、それ以外の天面の領域には金属膜が形成されていない構成となっているため、封止時に溶融したロウ材が天面の電子部品素子の収容空間に面する周縁へ誘導されることがない。これにより、溶融したロウ材の前記収容空間への流入を防止した気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0016】
さらに上記構成によれば、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とが接合されるので、溝の内部に流入したロウ材が前述のアンカー効果を有する。これにより実用的な接合強度を確保することができる。さらに前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が溜まることによって、溝外部のロウ材が溝内部の方向へ引き寄せられ易くなるため前述のセルフアライメント効果を有する。
【0017】
また上記構成によれば、前記金属膜は容器側壁の天面全体に形成する必要が無いため、金属の使用量を削減することができる。これにより製造コスト低減を実現することができる。さらに前記溝を側壁の天面に形成するとともに、当該溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域がロウ材のフィレットの起点となっているため、側壁の天面に形成する金属の使用量を減少させても充分な接合強度を得ることができる。
【0018】
なお容器側壁の天面のうち、溝と、当該溝の外側の天面のうち,天面の外周縁を含まない領域とに金属膜を形成し、それ以外の天面の領域には金属膜を形成しない構成であれば、例えばセラミック材料からなる容器が多数整列して一体形成されたシートの隣接する容器間をダイシングブレードで切断して個片化する際に、側壁天面に形成された金属膜の剥がれを防止することができる。これはダイシングブレードの切断ライン上に側壁天面の金属膜が形成されていないことによる。なお前記シートの個片化はダイシングの他、シートの焼成前に分割予定ラインに沿って分割溝を形成しておき、焼成後に個々の容器単位に分割する,いわゆるチョコレートブレイクによって行ってもよい。
【0019】
また上記目的を達成するために本発明は、電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスの製造方法において、前記側壁の天面に溝を形成する溝形成工程と、前記蓋の一主面に、平面視で前記溝が含まれるとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材を形成するロウ材形成工程と、前記ロウ材を溶融させて、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とを接合する接合工程と、を含む圧電振動デバイスの製造方法となっている。
【0020】
上記構成によれば、気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。溝形成工程では容器の側壁の天面に溝を周状に形成し、ロウ材形成工程では、蓋の一主面に、平面視で前記溝が含まれるとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材を形成する工程となっている。このようなロウ材と溝との相対位置関係により、前述のように金属膜を容器側壁に形成しない場合であっても前記溝の内周側の開口端に近接する領域を起点とし、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットが形成されやすくなる。
【0021】
さらに上記構成によれば、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてガラスからなるロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とが接合されるので、溝の内部に流入したロウ材が前述のアンカー効果を有する。これにより実用的な接合強度を確保することができる。さらに前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が溜まることによって、溝外部のロウ材が溝内部の方向へ引き寄せられ易くなるため前述のセルフアライメント効果を有する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、圧電振動デバイスの内部空間へのロウ材の流入を防止し、気密信頼性の高い圧電振動デバイスと当該圧電振動デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧電振動デバイスの断面模式図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る圧電振動デバイスの容器の上面模式図
【図3】図2のA部拡大断面図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る製造工程の一部を表す容器の上面模式図
【図5】本発明の第1の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図
【図6】本発明の第1の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図
【図7】本発明の第1の実施形態の変形例を表す容器側壁の部分断面図
【図8】本発明の第2の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図
【図9】本発明の第3の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図
【図10】本発明の実施形態に係る溝の変形例を表す部分断面図
【図11】本発明の実施形態に係る溝の変形例を表す部分断面図
【図12】本発明の他の実施形態に係る製造工程の一部を表す容器の上面模式図
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る圧電振動デバイスとして水晶発振器を例に挙げて説明する。まず完成品について構成部材ごとに説明した後、本発明に係る圧電振動デバイスの製造方法を図面を用いて説明する。
【0025】
本発明における水晶発振器は表面実装型の水晶発振器であり、平面視では略矩形状となっている。平面視における外形寸法の一例として本実施形態では2.0mm×1.6mmとなっている。
【0026】
(第1の実施形態)
以下、本発明による第1の実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る水晶発振器の断面模式図である。図1において水晶発振器1は、水晶振動素子3の収容空間9を有する箱状の容器2と、接合材Sを介して容器内に接合される水晶振動素子3と、金属バンプBを介して容器内底面に接合される集積回路素子4(IC)と、収容空間9を気密に封止する平板状の蓋5が主な構成部材となっている。なお、図1において水晶振動素子3の表裏主面に形成される各種電極および、容器内部の内部配線導体、集積回路素子4の各種端子と金属バンプBを介して接合される電極パターンの記載は省略している。
【0027】
図1において容器2はアルミナセラミック材料から成る複数のセラミックグリーンシートの積層体であり、焼成によって一体成形されている。容器2は水晶振動素子3を収容するための収容空間9を上部に有しているともに、収容空間9の周囲は環状の側壁20が形成されている。また収容空間9には段部21が方形に形成されており、段部21の一短辺側には一対の搭載パッド8,8が並列して形成されている。搭載パッド8はタングステンを印刷焼成した後、タングステン表面にニッケルメッキ層が、さらにその上層に金メッキ層が形成されている。また搭載パッド8は容器底面(裏面)に形成されている外部接続端子7と、容器内部の内部配線導体(図示省略)を介して電気的に接続されている。なお、前記搭載パッド8と外部接続端子7との電気的接続は、容器2の外周上下部の4角にキャスタレーションを形成することによって行ってもよい。また、本発明における容器の基材はセラミック材料に限定されるものではなく、ガラスや水晶を基材として用いてもよい。
【0028】
容器2の内底面22には集積回路素子4の各種端子(図示省略)と金属バンプBを介して接合される電極パターン(図示省略)が形成されている。なお集積回路素子4の各種端子のうち、2つの端子は前述の内部配線導体を経由して搭載パッド8と電気的に接続されており、接合材Sによって最終的に水晶振動素子3と導電接続される。集積回路素子の水晶との接続端子以外の端子は前記電極パターンおよび内部配線導体を経由して外部接続端子7と電気的に接続されている。
【0029】
前記容器2の側壁20の天面は平坦面となっており、図2に示すように側壁20の天面には断面視矩形状の溝10が周状に形成されている。なお図2では溝の位置が視認しやすいよう塗り潰して表示している。本実施形態において溝10は側壁20の幅方向において側壁20の略中央に形成されている。容器2の天面には、側壁20の断面視において、溝10の内壁面全体(側壁および底面)と、溝10の外周側の開口端から前記天面の外周縁よりも内側の位置までの天面領域とがつながった金属膜が形成されている。そして後述する蓋の一主面側に形成されたロウ材と前記金属膜とが加熱溶融によって一体化される。図1はロウ材と金属膜とが一体化された状態を表しており、これをロウ材6として表記している。図1に示すように蓋5と容器2との接合後の状態においては溝10の内部はロウ材で満たされるとともに、断面視で蓋5の溝10よりも内側(収容空間寄り)の領域から、溝の内周側の開口端にかけてロウ材のフィレットF1が形成されている。
【0030】
図1において水晶振動素子3は平面視略矩形状のATカット水晶振動板であり、その表裏面には水晶振動板3を駆動させるための励振電極(図示省略)と、当該励振電極から引き出される引き出し電極(図示省略)と、当該引き出し電極と接続し,水晶振動板の一端部両側に形成される一対の接続電極(図示省略)とが形成されている。これらの電極は水晶振動板上に下から順に、クロム,金,クロムの膜構成でスパッタ蒸着法によって成膜される。前記電極の膜構成は上記構成に限定されるものではなく、その他の膜構成であってもよい。また前記各種電極の成膜方法はスパッタ蒸着に限定されるものではなく、スパッタ蒸着法以外の成膜方法によって成膜してもよい。なお水晶振動素子3の搭載パッド8上への接合に用いられる接合材Sにはシリコーン系の導電性樹脂接合材(ペースト状接着材)が使用されている。
【0031】
図1において蓋5は略平板状の金属材料から形成されており、本実施形態において蓋5はコバールを基材として上層にニッケルメッキ層(図示省略)、さらに上層に金フラッシュメッキ層(図示省略)が一主面510と他主面520の各々に形成されている。そして容器2との接合面となる他主面520の金フラッシュメッキ層の上部周縁にはロウ材50が周状に形成されている。本実施形態では前記ロウ材50に金錫合金が使用されている。
【0032】
前述した構成によれば、断面視で蓋の10溝よりも内側の領域から、溝の内周側の開口端にかけてロウ材のフィレットF1が形成されて蓋5と容器2とが接合されるので、封止時に溶融したロウ材が収容空間9へ流入するのを防止することができる。これにより気密信頼性の高い水晶発振器を得ることができる。具体的に前述した容器側壁の天面の,収容空間9に面する周縁には金属膜が形成されていない。これにより、蓋に形成されたロウ材と前記金属膜とが加熱によって溶融しても、溶融金属が容器側壁20の天面の収容空間9に面する周縁へ誘導されないためである。
【0033】
また、前記金属膜は容器側壁20の天面全体に形成する必要が無いため、金属の使用量を削減することができる。これにより製造コスト低減を実現することができる。さらに溝10を側壁20の天面に形成するとともに、溝10の内周側の開口端がロウ材6のフィレットF1の起点となっているため、側壁の天面に形成する金属の使用量を減少させても充分な接合強度を得ることができる。
以上が水晶発振器1の主要構成部材に関する説明である。
【0034】
以下、水晶発振器1の製造方法の主要工程について説明する。
−溝形成工程−
焼成によって一体成形された容器2の,平面視矩形状の側壁20の天面に周状に一条の溝10を形成する(図2参照)。このとき溝10は側壁20の幅に対して略中央を含むように一定幅かつ一定の深さで側壁20の天面に形成される。本実施形態では溝10の開口径は約0.05mm以下であり、深さは約0.05mm以下となっている。なお本実施形態において溝10は所定形状に成形された金型を用いたプレス加工によって形成される。しかしながら前記溝の形成方法はプレス加工に限定されるものではなく、その他の方法によって形成してもよい。例えばガラスを基材とする容器においてはフォトリソグラフィ技術とウエットエッチング法を用いて化学的に溝を側壁の天面に形成することも可能である。あるいは所定パターンのレジストを形成し、ドライエッチング法を用いることによっても溝を形成することができる。これらの方法は超小型の容器において特に有効である。また、溝10は天面に周状に形成するだけでなく、周状に断続的に形成してもよい。あるいは平面視矩形状の側壁20の天面の,対向する二長辺または対向する二短辺のいずれか一組の辺に対してのみ溝を形成してもよい。さらに溝10の深さは同一深さに限定されるものではなく、異なる深さの領域が存在する溝であってもよい。また溝の深さを可変させることによってフィレットの形状をコントロールすることができる。
【0035】
−金属膜形成工程−
溝形成工程の後、図3に示すように溝10の内壁面全体、つまり溝10の外周側面101と内周側面102および底面103と、外側天面201(天面のうち、溝10の外周側の開口端101Eから天面の外周縁201Eまでの領域)の外周縁から内側に離間した位置までの領域が一体となった金属膜11が形成される。つまり溝内金属膜11Cと外側天面金属膜11Sとが金属膜11となっている。これを平面視で表したものが図4となっている。なお図4において点線は溝の外周側の開口端101Eを表している。
【0036】
本実施形態では金属膜11は3層で構成されており、下からタングステン、ニッケル、金の順で積層されている。タングステンはメタライズ技術により、セラミック焼成時に一体的に形成され、ニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。なお、前記タングステンの層にモリブデンを使用してもよい。
【0037】
−ロウ材形成工程−
蓋5に関する説明で前述したように、コバールを基材とする蓋5の上層にニッケルメッキ層を形成し、さらにその上層に金フラッシュメッキ層を一主面510と他主面520の各々に形成する。その後、容器2と接合される面となる蓋5の他主面520の金フラッシュメッキ層の上部周縁に金錫合金からなるロウ材50を周状に形成する。ここでロウ材50は、金属膜形成工程で形成された金属膜10と対応する位置で、かつ金属膜10の幅(図5におけるW1)よりも幅広(図5におけるW2)に形成される。なお図5に示すようにロウ材50は容器2の側壁天面の金属膜10に対しては、ロウ材50の一部分が溝10の内周側の開口端102Eの端部から鉛直上方に伸びる仮想線Lに対して内側、つまり収容空間9の方向にはみ出すような幅W2で形成されている。
【0038】
−IC搭載工程−
詳細は割愛するが、容器2の内底面22に形成された電極パターン(図示省略)上に金からなるスタッドバンプBを形成しておき、集積回路素子の能動面が金属バンプBに対向するように集積回路素子が位置決め載置された後、超音波を印加しながら熱圧着による金属拡散によって集積回路素子を電極パターン上に接合する。なおスタッドバンプ以外にめっきバンプをしてもよく、さらに金以外の金属バンプを使用してもよい。
その後、水晶振動素子3の一端側を接合材Sが塗布された搭載パッド8上に位置決め載置する。そして加熱硬化させて水晶振動素子3を搭載パッド8上に接合する。
【0039】
−水晶振動素子搭載工程−
IC搭載工程の後、水晶振動素子3の一端側を接合材Sが塗布された搭載パッド8上に位置決め載置する。そして所定温度プロファイルに制御された雰囲気下で接合材を硬化させて水晶振動素子3を搭載パッド8上に接合する。本実施形態では接合材Sにシリコーン系の導電性樹脂接合材が使用されている。なお導電性樹脂接合材はシリコーン系の接合材に限定されるものではなく、シリコーン系以外にエポキシ系などの導電性樹脂接合材を使用してもよい。あるいは導電性樹脂接合材に金属めっきバンプや金属スタッドバンプを使用してもよい。
【0040】
−接合工程−
図5に示すように、容器2の側壁天面と溝の内壁とに形成された金属膜11の溝内周側の開口端102Eから鉛直上方に伸びる仮想線Lに対して、蓋5の他主面520側の周縁に形成されたロウ材50の一部が水晶振動素子の収容空間9の方向にはみ出すように、蓋と容器とが位置決めされる。なお図5において符号W1およびW2で示すように側壁天面の金属膜11の幅W1よりも、蓋に形成されたロウ材50の幅W2の方が大きくなるよう形成されており(W1<W2)、かつロウ材50および金属膜11の各々における両端部(図5で矢印で示す収容空間側と外部側)のうち、いずれの端部も平面視で一致しないような相対位置関係にて蓋と容器とが位置決めされている。なお本実施形態ではロウ材50の外部側の端部が、金属膜11の外部側の端部よりも内側(収容空間寄り)に形成されているが、ロウ材50の外部側の端部が、金属膜11の外部側の端部と平面視で略同一に形成されていてもよい。
【0041】
前記位置決めがされた状態で加熱雰囲気下でロウ材50と金属膜11とを溶融させて一体化させる。この状態が図6となっている。溝10の内部は溶融によって一体化した金錫合金が満たされた状態になっており、溝内周側面102Eを起点として蓋5の他主面520(図6で示す点P)にかけて金錫合金のフィレットF1が形成される。同様に外側天面201においても、外周縁201Eよりも内側の位置からロウ材50の外周端にかけて金錫合金のフィレットF2が形成される。このようにロウ材のフィレットF1,F2が形成されて蓋5と容器2とが気密に接合される。以降の所定の工程が存在するがここでは説明を割愛する。
以上により水晶発振器1の完成となる。
【0042】
前述のような金属膜10の構成と、金属膜10と対応するロウ材50の相対位置関係により、断面視で蓋5の溝10よりも内側の領域から、溝10の内周側の開口端102Eにかけてロウ材6のフィレットF1が形成されて蓋5と容器2とが接合されることとなる。つまり、容器側壁20の天面のうち、溝10よりも内側の領域である内側天面202には金属膜が形成されていないため、封止時に溶融したロウ材が内側天面202に誘導されることがない。これにより、溶融したロウ材が収容空間9へ流入するのを防止することができるため、気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0043】
またロウ材形成工程では、蓋5の他主面520に金属膜形成工程で形成された金属膜10と対応する位置で、かつ当該金属膜の幅よりも幅広のロウ材が電子部品素子の収容空間9寄りに形成されているため、ロウ材6のフィレットF1が形成されやすくなる。
【0044】
また、前記金属膜は容器側壁20の天面全体に形成する必要が無いため、金属の使用量を削減することができる。これにより製造コスト低減を実現することができる。さらに溝10を側壁20の天面に形成するとともに、溝10の内周側の開口端102Eがロウ材6のフィレットF1の起点となっているため、側壁20の天面に形成する金属の使用量を減少させても充分な接合強度を得ることができる。
【0045】
さらに上記構成であれば、容器側壁20の天面に形成される金属膜は側壁天面の外周縁201Eには及んでいないので、セラミック材料からなる容器が多数個整列して一体形成されたシートの,隣接する容器間をダイシング等で切断して個片化する際に、側壁天面に形成された金属膜の剥がれを防止することができる。これはダイシングブレードの切断ライン上に側壁天面の金属膜が形成されていないことによる。なお前記シートの個片化はダイシングの他、シートの焼成前に分割予定ラインに沿って分割溝を形成しておき、焼成後に個々の容器単位に分割する,いわゆるチョコレートブレイクによって行ってもよい。
【0046】
本発明の第1の実施形態の変形例として、図7に示すように断面視矩形の溝10の内壁面だけでなく溝の内部に金属が部分的に充填された構成であってもよい。また図7に示す内側天面202であって、溝内周側の開口端102Eに近接する領域に及んで金属膜12が形成されていてもよい。このような構成の場合、蓋との接合後にはロウ材のフィレットは、溝内周側の開口端102Eに近接する領域、つまり金属膜12の収容空間寄りの端部が起点となる。図7に示す構成においても本発明の第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0047】
(第2の実施形態)
次に本発明による第2の実施形態について図8を用いて説明する。なお本発明の第1の実施形態と同一の構成については説明を割愛するとともに、本発明の第1の実施形態と同一の作用効果を奏する。
【0048】
図8は本発明の第2の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図である。第1の実施形態との相違点は、容器の側壁天面に形成された金属膜13の形成幅(W1’)と蓋5の他主面520に形成されたロウ材53の形成幅(W2’)が第1の実施形態における金属膜およびロウ材の各形成幅よりも大きくなっている点である。さらロウ材53の,収容空間寄りの端部は側壁20よりも内側に位置している点が異なっている。なお金属膜13およびロウ材53は第1の実施形態と同一の金属材料で構成されている。このような構成の場合、収容空間側の蓋体におけるロウ材のフィレットの起点は第1の実施形態の場合よりも、内側に形成されることになる。本構成であっても容器の側壁天面のうち、内側天面202の金属膜13の溝内周側の開口端102Eに近接する領域を除いた領域には金属膜が形成されていないため、溶融したロウ材が収容空間側に誘導されることがない。これにより気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0049】
(第3の実施形態)
次に本発明による第3の実施形態について図9を用いて説明する。なお本発明の第1と第2の実施形態と同一の構成については説明を割愛するとともに、本発明の第1と第2の実施形態と同一の作用効果を奏する。以下、本発明の第1および第2の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0050】
本実施形態における溝形成工程では、図9(a)に示すように断面視でV字状の溝14を容器側壁の天面に形成する工程となっている。そして溝14と溝を除いた天面の領域201,202はセラミック素地が露出した状態となっている。つまり本実施形態では溝と前記天面には第1および第2の実施形態で述べた金属膜は形成されていない。したがって本実施形態では前述の金属膜形成工程は存在しない。
【0051】
本実施形態におけるロウ材形成工程では、セラミック材料からなる平面視矩形状の蓋の一主面に、平面視で前述した溝が含まれるとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材を形成する工程となっている。図9(a)に示すようにロウ材6’が、平面視で溝14がロウ材6’の形成領域内に含まれるように蓋5’の他主面520’の周縁部分に形成されている。本実施形態ではロウ材6’に低融点ガラスが使用されている。ロウ材6’の形成幅W4は溝の幅W3よりも大きく形成されるとともに(W3<W4)、仮想線Lの内側(図9(a)では左側)にロウ材6’の内周端が位置している。
【0052】
本実施形態における接合工程においては、容器側壁の天面上に蓋5’のロウ材6’が対向するように、蓋5’を容器2上に位置決め載置した後、所定温度に加熱することによりロウ材6’を溶融させる。このようにして蓋5’と容器2とが接合された状態を図9(b)に示す。図9(b)においてロウ材6’は溝14の内部に流入しているとともに、溝14の内周側の開口端142Eに近接する内側天面202上の領域を起点として、断面視で蓋5’の溝14よりも内側に対応する領域にかけてロウ材6’のフィレットF1が形成されている。
【0053】
上記構成によれば、気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。溝形成工程では容器の側壁の天面に溝14を周状に形成し、ロウ材形成工程では、蓋5’の他主面520’に、平面視で前記溝が含まれるとともに、内周端が溝14よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材6’を形成する工程となっている。このようなロウ材と溝との相対位置関係により、金属膜を容器側壁に形成しない場合であっても溝の内周側の開口端142Eに近接する領域を起点とし、断面視で蓋5’の溝14よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットF1が形成されやすくなる。
【0054】
さらに上記構成によれば、溝14の内部にロウ材を流入させるとともに、溝14の内周側の開口端142Eに近接する領域を起点として、断面視で蓋5’の溝14よりも内側に対応する領域にかけてガラスからなるロウ材のフィレットF1を形成して蓋5’と容器2とが接合されるので、溝14の内部に流入したロウ材6’が前述のアンカー効果を有する。これにより実用的な接合強度を確保することができる。さらに溝14の内部にロウ材が溜まることによって、溝外部のロウ材が溝14の内部の方向へ引き寄せられ易くなるため蓋と容器との接合の際、位置調整せずとも蓋が自ずと前記天面上の適切な位置に配置される,いわゆる“セルフアライメント”効果を有する。
【0055】
なお本発明の実施形態に係る溝の形状は断面視矩形に限定されるものではなく、図10乃至11に示すような形状であってもよい。図10に示す形状の溝はブラスト法やドライエッチング法を用いて形成可能であり、さらに図11に示す形状の溝はウエットエッチング法を用いて形成可能である。
【0056】
さらに、本発明における圧電振動デバイスの製造方法は、図12に示すような多数の本発明における容器が整列して一体形成された集合基板200の状態で製造を行う,いわゆるウエハレベルパッケージにおいても適用可能である。すなわち、圧電振動素子や集積回路素子等の電子部品素子が、前記集合基板の個々の容器に各々実装された後、多数の個片の蓋で各容器を封止する際に、加熱によって溶融した金属またはガラスからなるロウ材が、容器側壁の天面の溝の内部の一部又は全体に溜まることによって、溝外部のロウ材が溝内部の方向へ引き寄せられ易くなり、前述のセルフアライメント効果を有している。つまり本発明はウエハレベルパッケージのような多数の圧電振動デバイスを一括で製造する工法においても効果的である。
【0057】
また本発明の実施形態ではロウ材50に金錫合金や、低融点ガラスが用いられているが、高融点の金属ロウ材である銀ロウをロウ材50に使用してもよい。この場合シーム溶接によって封止を行うことができる。またレーザービームや電子ビームを用いて接合領域を加熱溶融させる封止方法においても本発明は適用可能である。
【0058】
本発明の実施形態では表面実装型の水晶発振器を例に挙げているが、水晶発振器以外に水晶振動子、水晶フィルタなどの電子機器等に用いられる他の圧電振動デバイスにも適用可能である。
【0059】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 水晶発振器
2 容器
3 水晶振動素子
4 集積回路素子
5 蓋
6 ロウ材
9 収容空間
10、14、15、16 溝
11、12、13 金属膜
101 溝外周側面
102 溝内周側面
103 溝底面
11C 溝内金属膜
11S 外側天面金属膜
101E、141E 溝外周側の開口端
102E、142E 溝内周側の開口端
20 側壁
201 外側天面
202 内側天面
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動デバイスと当該圧電振動デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子や水晶発振器等の圧電振動デバイスは、これらが実装される各種電子機器の超小型化または薄型化の進行により、超小型(例えば平面視矩形の圧電振動デバイスの外形寸法が2.0mm×1.6mm以下)のものが求められるようになってきている。例えば前記圧電振動デバイスの一例として水晶発振器を例に挙げると、水晶振動片を励振させるための電極が形成された水晶振動素子や集積回路素子等の電子部品素子と、これらの電子部品素子の収容空間を備えた箱状の容器と、前記収容空間を封止する薄板状の蓋が主要構成部材となっている。前記容器は電子部品素子の収容空間の周囲に側壁を有しており、当該側壁の天面(上面)全体には金属膜が形成されている。一方、前記蓋の一主面には、容器側壁の天面に形成された金属膜と対応する位置に金属ロウ材が形成されている。この金属ロウ材と前記金属膜とが平面視で略一致するように蓋と容器とが位置決めされ、加熱雰囲気下で金属ロウ材と金属膜とが溶融一体化する。これによって蓋と容器が接合される。
【0003】
前記構成に対して、容器側壁の天面に部分的に突出する凸部を形成し、当該凸部に対応する凹部を蓋に形成し、凸部の外周にロウ材を配して凸部と前記凹部とが嵌め合うようにしてロウ材を溶融させることによって蓋と容器とを接合する構成が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−335970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1における構成において、容器側壁の天面の外側だけに前記凸部を形成する場合、天面の内側に配されたロウ材が蓋との接合の際に溶融して、電子部品素子の収容空間に流入してしまうおそれがある。溶融したロウ材が前記空間内に流入すると周波数変化等の不具合が発生してしまう。
【0006】
一方、容器側壁の天面の内側にのみ凸部を形成する場合、溶融したロウ材が前記空間内へ流入するのを防止することができる。しかし、次のような問題が発生するおそれがある。例えばセラミック材料からなる容器の製造工程においては、多数の容器が整列して一体形成されたシートの隣接する容器間をダイシングブレード等によって切断して個片化する工程がある。このとき容器側壁の天面の内側にのみ凸部が形成され、天面の外周縁にロウ材が形成されているとダイシング時に天面に形成された金属膜の一部が剥がれてしまうおそれがある。このような金属膜の剥がれは気密不良の原因となる。
【0007】
また、容器側壁の天面の外側と内側の両方に凸部を形成する場合、上記問題点は発生しにくくなるものの、容器の凸部に対応した凹部を蓋に形成する必要があるためコスト上昇の要因となるとともに、蓋の機械的強度の低下にもつながってしまう。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、圧電振動デバイスの内部空間へのロウ材の流入を防止し、気密信頼性の高い圧電振動デバイスと当該圧電振動デバイスの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスであって、前記側壁の天面には溝が形成され、当該溝の内部の一部又は全体にロウ材が流入するとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットが形成されて蓋と容器とが接合された圧電振動デバイスとなっている。
【0010】
上記構成によれば、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が流入するとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点とし、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレット(メニスカス)が形成されて蓋と容器とが接合されるので、封止時に溶融したロウ材が電子部品素子の収容空間へ流入するのを防止することができる。これにより気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。例えば前述した容器側壁の天面(上面)のうち、溝と当該溝の外側の天面にのみ金属膜を形成し、それ以外の天面の領域には金属膜を形成しない構成としてもよい。このような構成により、蓋に形成されたロウ材と容器側壁の天面の金属膜とが加熱によって溶融しても溶融金属が、天面の電子部品素子の収容空間に面する周縁へ誘導されず、ロウ材の前記流入を防止することができる。
【0011】
また上記構成によれば、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が流入した状態で蓋と容器とが接合されるので、溝の内部に流入したロウ材が楔のように機能する,いわゆるアンカー効果を有する。これにより実用的な接合強度を確保することができる。さらに前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が溜まることによって溝外部のロウ材が溝内部の方向へ引き寄せられ易くなるため蓋と容器との接合の際、位置調整せずとも蓋が自ずと前記天面上の適切な位置に配置される,いわゆる“セルフアライメント”効果を有する。なお前記溝の形態は、天面に周状に形成したものや、周状に断続的に形成したものであってもよい。あるいは平面視矩形状の天面の場合、対向する二長辺または対向する二短辺のいずれか一組の辺に対してのみ溝を形成してもよい。この場合、前述のセルフアライメント効果をより発揮することができる。さらに溝10の深さは同一深さに限定されるものではなく、異なる深さの領域が存在する溝であってもよい。また溝の深さを可変させることによってフィレットの形状をコントロールすることができる。
【0012】
また、前記金属膜は容器側壁の天面全体に形成する必要が無いため、金属の使用量を削減することができる。これにより製造コスト低減を実現することができる。さらに前記溝を側壁の天面に形成するとともに、当該溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域がロウ材のフィレットの起点となっているため、側壁の天面に形成する金属の使用量を減少させても充分な接合強度を得ることができる。
【0013】
また上記目的を達成するために本発明は、電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスの製造方法において、
前記側壁の天面に溝を形成する溝形成工程と、前記側壁の断面視において、前記溝の内壁面全体と、当該溝よりも外側の天面の領域とが一体となった金属膜を形成する金属膜形成工程と、前記蓋の一主面に、前記金属膜と平面視で一部が対向するとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にロウ材を形成するロウ材形成工程と、前記ロウ材と前記金属膜とを溶融させて、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とを接合する接合工程とを含む圧電振動デバイスの製造方法となっている。
【0014】
上記構成によれば、気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。前記溝形成工程では容器の側壁の天面に溝を形成し、前記金属膜形成工程では前記側壁の断面視において、前記溝の内壁面全体と、当該溝よりも外側の天面の領域とが一体となった金属膜を形成している。一方、前記蓋についてはロウ材形成工程では、記蓋の一主面に、前記金属膜と平面視で一部が対向するとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にロウ材を形成する工程となっている。以上のような金属膜とロウ材の相対位置関係により、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点とし、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットが形成されやすくなる。
【0015】
また、容器側壁の天面のうち、溝と当該溝の外側の天面にのみ金属膜が形成され、それ以外の天面の領域には金属膜が形成されていない構成となっているため、封止時に溶融したロウ材が天面の電子部品素子の収容空間に面する周縁へ誘導されることがない。これにより、溶融したロウ材の前記収容空間への流入を防止した気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0016】
さらに上記構成によれば、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とが接合されるので、溝の内部に流入したロウ材が前述のアンカー効果を有する。これにより実用的な接合強度を確保することができる。さらに前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が溜まることによって、溝外部のロウ材が溝内部の方向へ引き寄せられ易くなるため前述のセルフアライメント効果を有する。
【0017】
また上記構成によれば、前記金属膜は容器側壁の天面全体に形成する必要が無いため、金属の使用量を削減することができる。これにより製造コスト低減を実現することができる。さらに前記溝を側壁の天面に形成するとともに、当該溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域がロウ材のフィレットの起点となっているため、側壁の天面に形成する金属の使用量を減少させても充分な接合強度を得ることができる。
【0018】
なお容器側壁の天面のうち、溝と、当該溝の外側の天面のうち,天面の外周縁を含まない領域とに金属膜を形成し、それ以外の天面の領域には金属膜を形成しない構成であれば、例えばセラミック材料からなる容器が多数整列して一体形成されたシートの隣接する容器間をダイシングブレードで切断して個片化する際に、側壁天面に形成された金属膜の剥がれを防止することができる。これはダイシングブレードの切断ライン上に側壁天面の金属膜が形成されていないことによる。なお前記シートの個片化はダイシングの他、シートの焼成前に分割予定ラインに沿って分割溝を形成しておき、焼成後に個々の容器単位に分割する,いわゆるチョコレートブレイクによって行ってもよい。
【0019】
また上記目的を達成するために本発明は、電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスの製造方法において、前記側壁の天面に溝を形成する溝形成工程と、前記蓋の一主面に、平面視で前記溝が含まれるとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材を形成するロウ材形成工程と、前記ロウ材を溶融させて、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とを接合する接合工程と、を含む圧電振動デバイスの製造方法となっている。
【0020】
上記構成によれば、気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。溝形成工程では容器の側壁の天面に溝を周状に形成し、ロウ材形成工程では、蓋の一主面に、平面視で前記溝が含まれるとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材を形成する工程となっている。このようなロウ材と溝との相対位置関係により、前述のように金属膜を容器側壁に形成しない場合であっても前記溝の内周側の開口端に近接する領域を起点とし、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットが形成されやすくなる。
【0021】
さらに上記構成によれば、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてガラスからなるロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とが接合されるので、溝の内部に流入したロウ材が前述のアンカー効果を有する。これにより実用的な接合強度を確保することができる。さらに前記溝の内部の一部又は全体にロウ材が溜まることによって、溝外部のロウ材が溝内部の方向へ引き寄せられ易くなるため前述のセルフアライメント効果を有する。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、圧電振動デバイスの内部空間へのロウ材の流入を防止し、気密信頼性の高い圧電振動デバイスと当該圧電振動デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る圧電振動デバイスの断面模式図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る圧電振動デバイスの容器の上面模式図
【図3】図2のA部拡大断面図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る製造工程の一部を表す容器の上面模式図
【図5】本発明の第1の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図
【図6】本発明の第1の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図
【図7】本発明の第1の実施形態の変形例を表す容器側壁の部分断面図
【図8】本発明の第2の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図
【図9】本発明の第3の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図
【図10】本発明の実施形態に係る溝の変形例を表す部分断面図
【図11】本発明の実施形態に係る溝の変形例を表す部分断面図
【図12】本発明の他の実施形態に係る製造工程の一部を表す容器の上面模式図
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る圧電振動デバイスとして水晶発振器を例に挙げて説明する。まず完成品について構成部材ごとに説明した後、本発明に係る圧電振動デバイスの製造方法を図面を用いて説明する。
【0025】
本発明における水晶発振器は表面実装型の水晶発振器であり、平面視では略矩形状となっている。平面視における外形寸法の一例として本実施形態では2.0mm×1.6mmとなっている。
【0026】
(第1の実施形態)
以下、本発明による第1の実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る水晶発振器の断面模式図である。図1において水晶発振器1は、水晶振動素子3の収容空間9を有する箱状の容器2と、接合材Sを介して容器内に接合される水晶振動素子3と、金属バンプBを介して容器内底面に接合される集積回路素子4(IC)と、収容空間9を気密に封止する平板状の蓋5が主な構成部材となっている。なお、図1において水晶振動素子3の表裏主面に形成される各種電極および、容器内部の内部配線導体、集積回路素子4の各種端子と金属バンプBを介して接合される電極パターンの記載は省略している。
【0027】
図1において容器2はアルミナセラミック材料から成る複数のセラミックグリーンシートの積層体であり、焼成によって一体成形されている。容器2は水晶振動素子3を収容するための収容空間9を上部に有しているともに、収容空間9の周囲は環状の側壁20が形成されている。また収容空間9には段部21が方形に形成されており、段部21の一短辺側には一対の搭載パッド8,8が並列して形成されている。搭載パッド8はタングステンを印刷焼成した後、タングステン表面にニッケルメッキ層が、さらにその上層に金メッキ層が形成されている。また搭載パッド8は容器底面(裏面)に形成されている外部接続端子7と、容器内部の内部配線導体(図示省略)を介して電気的に接続されている。なお、前記搭載パッド8と外部接続端子7との電気的接続は、容器2の外周上下部の4角にキャスタレーションを形成することによって行ってもよい。また、本発明における容器の基材はセラミック材料に限定されるものではなく、ガラスや水晶を基材として用いてもよい。
【0028】
容器2の内底面22には集積回路素子4の各種端子(図示省略)と金属バンプBを介して接合される電極パターン(図示省略)が形成されている。なお集積回路素子4の各種端子のうち、2つの端子は前述の内部配線導体を経由して搭載パッド8と電気的に接続されており、接合材Sによって最終的に水晶振動素子3と導電接続される。集積回路素子の水晶との接続端子以外の端子は前記電極パターンおよび内部配線導体を経由して外部接続端子7と電気的に接続されている。
【0029】
前記容器2の側壁20の天面は平坦面となっており、図2に示すように側壁20の天面には断面視矩形状の溝10が周状に形成されている。なお図2では溝の位置が視認しやすいよう塗り潰して表示している。本実施形態において溝10は側壁20の幅方向において側壁20の略中央に形成されている。容器2の天面には、側壁20の断面視において、溝10の内壁面全体(側壁および底面)と、溝10の外周側の開口端から前記天面の外周縁よりも内側の位置までの天面領域とがつながった金属膜が形成されている。そして後述する蓋の一主面側に形成されたロウ材と前記金属膜とが加熱溶融によって一体化される。図1はロウ材と金属膜とが一体化された状態を表しており、これをロウ材6として表記している。図1に示すように蓋5と容器2との接合後の状態においては溝10の内部はロウ材で満たされるとともに、断面視で蓋5の溝10よりも内側(収容空間寄り)の領域から、溝の内周側の開口端にかけてロウ材のフィレットF1が形成されている。
【0030】
図1において水晶振動素子3は平面視略矩形状のATカット水晶振動板であり、その表裏面には水晶振動板3を駆動させるための励振電極(図示省略)と、当該励振電極から引き出される引き出し電極(図示省略)と、当該引き出し電極と接続し,水晶振動板の一端部両側に形成される一対の接続電極(図示省略)とが形成されている。これらの電極は水晶振動板上に下から順に、クロム,金,クロムの膜構成でスパッタ蒸着法によって成膜される。前記電極の膜構成は上記構成に限定されるものではなく、その他の膜構成であってもよい。また前記各種電極の成膜方法はスパッタ蒸着に限定されるものではなく、スパッタ蒸着法以外の成膜方法によって成膜してもよい。なお水晶振動素子3の搭載パッド8上への接合に用いられる接合材Sにはシリコーン系の導電性樹脂接合材(ペースト状接着材)が使用されている。
【0031】
図1において蓋5は略平板状の金属材料から形成されており、本実施形態において蓋5はコバールを基材として上層にニッケルメッキ層(図示省略)、さらに上層に金フラッシュメッキ層(図示省略)が一主面510と他主面520の各々に形成されている。そして容器2との接合面となる他主面520の金フラッシュメッキ層の上部周縁にはロウ材50が周状に形成されている。本実施形態では前記ロウ材50に金錫合金が使用されている。
【0032】
前述した構成によれば、断面視で蓋の10溝よりも内側の領域から、溝の内周側の開口端にかけてロウ材のフィレットF1が形成されて蓋5と容器2とが接合されるので、封止時に溶融したロウ材が収容空間9へ流入するのを防止することができる。これにより気密信頼性の高い水晶発振器を得ることができる。具体的に前述した容器側壁の天面の,収容空間9に面する周縁には金属膜が形成されていない。これにより、蓋に形成されたロウ材と前記金属膜とが加熱によって溶融しても、溶融金属が容器側壁20の天面の収容空間9に面する周縁へ誘導されないためである。
【0033】
また、前記金属膜は容器側壁20の天面全体に形成する必要が無いため、金属の使用量を削減することができる。これにより製造コスト低減を実現することができる。さらに溝10を側壁20の天面に形成するとともに、溝10の内周側の開口端がロウ材6のフィレットF1の起点となっているため、側壁の天面に形成する金属の使用量を減少させても充分な接合強度を得ることができる。
以上が水晶発振器1の主要構成部材に関する説明である。
【0034】
以下、水晶発振器1の製造方法の主要工程について説明する。
−溝形成工程−
焼成によって一体成形された容器2の,平面視矩形状の側壁20の天面に周状に一条の溝10を形成する(図2参照)。このとき溝10は側壁20の幅に対して略中央を含むように一定幅かつ一定の深さで側壁20の天面に形成される。本実施形態では溝10の開口径は約0.05mm以下であり、深さは約0.05mm以下となっている。なお本実施形態において溝10は所定形状に成形された金型を用いたプレス加工によって形成される。しかしながら前記溝の形成方法はプレス加工に限定されるものではなく、その他の方法によって形成してもよい。例えばガラスを基材とする容器においてはフォトリソグラフィ技術とウエットエッチング法を用いて化学的に溝を側壁の天面に形成することも可能である。あるいは所定パターンのレジストを形成し、ドライエッチング法を用いることによっても溝を形成することができる。これらの方法は超小型の容器において特に有効である。また、溝10は天面に周状に形成するだけでなく、周状に断続的に形成してもよい。あるいは平面視矩形状の側壁20の天面の,対向する二長辺または対向する二短辺のいずれか一組の辺に対してのみ溝を形成してもよい。さらに溝10の深さは同一深さに限定されるものではなく、異なる深さの領域が存在する溝であってもよい。また溝の深さを可変させることによってフィレットの形状をコントロールすることができる。
【0035】
−金属膜形成工程−
溝形成工程の後、図3に示すように溝10の内壁面全体、つまり溝10の外周側面101と内周側面102および底面103と、外側天面201(天面のうち、溝10の外周側の開口端101Eから天面の外周縁201Eまでの領域)の外周縁から内側に離間した位置までの領域が一体となった金属膜11が形成される。つまり溝内金属膜11Cと外側天面金属膜11Sとが金属膜11となっている。これを平面視で表したものが図4となっている。なお図4において点線は溝の外周側の開口端101Eを表している。
【0036】
本実施形態では金属膜11は3層で構成されており、下からタングステン、ニッケル、金の順で積層されている。タングステンはメタライズ技術により、セラミック焼成時に一体的に形成され、ニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。なお、前記タングステンの層にモリブデンを使用してもよい。
【0037】
−ロウ材形成工程−
蓋5に関する説明で前述したように、コバールを基材とする蓋5の上層にニッケルメッキ層を形成し、さらにその上層に金フラッシュメッキ層を一主面510と他主面520の各々に形成する。その後、容器2と接合される面となる蓋5の他主面520の金フラッシュメッキ層の上部周縁に金錫合金からなるロウ材50を周状に形成する。ここでロウ材50は、金属膜形成工程で形成された金属膜10と対応する位置で、かつ金属膜10の幅(図5におけるW1)よりも幅広(図5におけるW2)に形成される。なお図5に示すようにロウ材50は容器2の側壁天面の金属膜10に対しては、ロウ材50の一部分が溝10の内周側の開口端102Eの端部から鉛直上方に伸びる仮想線Lに対して内側、つまり収容空間9の方向にはみ出すような幅W2で形成されている。
【0038】
−IC搭載工程−
詳細は割愛するが、容器2の内底面22に形成された電極パターン(図示省略)上に金からなるスタッドバンプBを形成しておき、集積回路素子の能動面が金属バンプBに対向するように集積回路素子が位置決め載置された後、超音波を印加しながら熱圧着による金属拡散によって集積回路素子を電極パターン上に接合する。なおスタッドバンプ以外にめっきバンプをしてもよく、さらに金以外の金属バンプを使用してもよい。
その後、水晶振動素子3の一端側を接合材Sが塗布された搭載パッド8上に位置決め載置する。そして加熱硬化させて水晶振動素子3を搭載パッド8上に接合する。
【0039】
−水晶振動素子搭載工程−
IC搭載工程の後、水晶振動素子3の一端側を接合材Sが塗布された搭載パッド8上に位置決め載置する。そして所定温度プロファイルに制御された雰囲気下で接合材を硬化させて水晶振動素子3を搭載パッド8上に接合する。本実施形態では接合材Sにシリコーン系の導電性樹脂接合材が使用されている。なお導電性樹脂接合材はシリコーン系の接合材に限定されるものではなく、シリコーン系以外にエポキシ系などの導電性樹脂接合材を使用してもよい。あるいは導電性樹脂接合材に金属めっきバンプや金属スタッドバンプを使用してもよい。
【0040】
−接合工程−
図5に示すように、容器2の側壁天面と溝の内壁とに形成された金属膜11の溝内周側の開口端102Eから鉛直上方に伸びる仮想線Lに対して、蓋5の他主面520側の周縁に形成されたロウ材50の一部が水晶振動素子の収容空間9の方向にはみ出すように、蓋と容器とが位置決めされる。なお図5において符号W1およびW2で示すように側壁天面の金属膜11の幅W1よりも、蓋に形成されたロウ材50の幅W2の方が大きくなるよう形成されており(W1<W2)、かつロウ材50および金属膜11の各々における両端部(図5で矢印で示す収容空間側と外部側)のうち、いずれの端部も平面視で一致しないような相対位置関係にて蓋と容器とが位置決めされている。なお本実施形態ではロウ材50の外部側の端部が、金属膜11の外部側の端部よりも内側(収容空間寄り)に形成されているが、ロウ材50の外部側の端部が、金属膜11の外部側の端部と平面視で略同一に形成されていてもよい。
【0041】
前記位置決めがされた状態で加熱雰囲気下でロウ材50と金属膜11とを溶融させて一体化させる。この状態が図6となっている。溝10の内部は溶融によって一体化した金錫合金が満たされた状態になっており、溝内周側面102Eを起点として蓋5の他主面520(図6で示す点P)にかけて金錫合金のフィレットF1が形成される。同様に外側天面201においても、外周縁201Eよりも内側の位置からロウ材50の外周端にかけて金錫合金のフィレットF2が形成される。このようにロウ材のフィレットF1,F2が形成されて蓋5と容器2とが気密に接合される。以降の所定の工程が存在するがここでは説明を割愛する。
以上により水晶発振器1の完成となる。
【0042】
前述のような金属膜10の構成と、金属膜10と対応するロウ材50の相対位置関係により、断面視で蓋5の溝10よりも内側の領域から、溝10の内周側の開口端102Eにかけてロウ材6のフィレットF1が形成されて蓋5と容器2とが接合されることとなる。つまり、容器側壁20の天面のうち、溝10よりも内側の領域である内側天面202には金属膜が形成されていないため、封止時に溶融したロウ材が内側天面202に誘導されることがない。これにより、溶融したロウ材が収容空間9へ流入するのを防止することができるため、気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0043】
またロウ材形成工程では、蓋5の他主面520に金属膜形成工程で形成された金属膜10と対応する位置で、かつ当該金属膜の幅よりも幅広のロウ材が電子部品素子の収容空間9寄りに形成されているため、ロウ材6のフィレットF1が形成されやすくなる。
【0044】
また、前記金属膜は容器側壁20の天面全体に形成する必要が無いため、金属の使用量を削減することができる。これにより製造コスト低減を実現することができる。さらに溝10を側壁20の天面に形成するとともに、溝10の内周側の開口端102Eがロウ材6のフィレットF1の起点となっているため、側壁20の天面に形成する金属の使用量を減少させても充分な接合強度を得ることができる。
【0045】
さらに上記構成であれば、容器側壁20の天面に形成される金属膜は側壁天面の外周縁201Eには及んでいないので、セラミック材料からなる容器が多数個整列して一体形成されたシートの,隣接する容器間をダイシング等で切断して個片化する際に、側壁天面に形成された金属膜の剥がれを防止することができる。これはダイシングブレードの切断ライン上に側壁天面の金属膜が形成されていないことによる。なお前記シートの個片化はダイシングの他、シートの焼成前に分割予定ラインに沿って分割溝を形成しておき、焼成後に個々の容器単位に分割する,いわゆるチョコレートブレイクによって行ってもよい。
【0046】
本発明の第1の実施形態の変形例として、図7に示すように断面視矩形の溝10の内壁面だけでなく溝の内部に金属が部分的に充填された構成であってもよい。また図7に示す内側天面202であって、溝内周側の開口端102Eに近接する領域に及んで金属膜12が形成されていてもよい。このような構成の場合、蓋との接合後にはロウ材のフィレットは、溝内周側の開口端102Eに近接する領域、つまり金属膜12の収容空間寄りの端部が起点となる。図7に示す構成においても本発明の第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0047】
(第2の実施形態)
次に本発明による第2の実施形態について図8を用いて説明する。なお本発明の第1の実施形態と同一の構成については説明を割愛するとともに、本発明の第1の実施形態と同一の作用効果を奏する。
【0048】
図8は本発明の第2の実施形態に係る製造工程の一部を表す断面模式図である。第1の実施形態との相違点は、容器の側壁天面に形成された金属膜13の形成幅(W1’)と蓋5の他主面520に形成されたロウ材53の形成幅(W2’)が第1の実施形態における金属膜およびロウ材の各形成幅よりも大きくなっている点である。さらロウ材53の,収容空間寄りの端部は側壁20よりも内側に位置している点が異なっている。なお金属膜13およびロウ材53は第1の実施形態と同一の金属材料で構成されている。このような構成の場合、収容空間側の蓋体におけるロウ材のフィレットの起点は第1の実施形態の場合よりも、内側に形成されることになる。本構成であっても容器の側壁天面のうち、内側天面202の金属膜13の溝内周側の開口端102Eに近接する領域を除いた領域には金属膜が形成されていないため、溶融したロウ材が収容空間側に誘導されることがない。これにより気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。
【0049】
(第3の実施形態)
次に本発明による第3の実施形態について図9を用いて説明する。なお本発明の第1と第2の実施形態と同一の構成については説明を割愛するとともに、本発明の第1と第2の実施形態と同一の作用効果を奏する。以下、本発明の第1および第2の実施形態との相違点についてのみ説明する。
【0050】
本実施形態における溝形成工程では、図9(a)に示すように断面視でV字状の溝14を容器側壁の天面に形成する工程となっている。そして溝14と溝を除いた天面の領域201,202はセラミック素地が露出した状態となっている。つまり本実施形態では溝と前記天面には第1および第2の実施形態で述べた金属膜は形成されていない。したがって本実施形態では前述の金属膜形成工程は存在しない。
【0051】
本実施形態におけるロウ材形成工程では、セラミック材料からなる平面視矩形状の蓋の一主面に、平面視で前述した溝が含まれるとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材を形成する工程となっている。図9(a)に示すようにロウ材6’が、平面視で溝14がロウ材6’の形成領域内に含まれるように蓋5’の他主面520’の周縁部分に形成されている。本実施形態ではロウ材6’に低融点ガラスが使用されている。ロウ材6’の形成幅W4は溝の幅W3よりも大きく形成されるとともに(W3<W4)、仮想線Lの内側(図9(a)では左側)にロウ材6’の内周端が位置している。
【0052】
本実施形態における接合工程においては、容器側壁の天面上に蓋5’のロウ材6’が対向するように、蓋5’を容器2上に位置決め載置した後、所定温度に加熱することによりロウ材6’を溶融させる。このようにして蓋5’と容器2とが接合された状態を図9(b)に示す。図9(b)においてロウ材6’は溝14の内部に流入しているとともに、溝14の内周側の開口端142Eに近接する内側天面202上の領域を起点として、断面視で蓋5’の溝14よりも内側に対応する領域にかけてロウ材6’のフィレットF1が形成されている。
【0053】
上記構成によれば、気密信頼性の高い圧電振動デバイスを得ることができる。溝形成工程では容器の側壁の天面に溝14を周状に形成し、ロウ材形成工程では、蓋5’の他主面520’に、平面視で前記溝が含まれるとともに、内周端が溝14よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材6’を形成する工程となっている。このようなロウ材と溝との相対位置関係により、金属膜を容器側壁に形成しない場合であっても溝の内周側の開口端142Eに近接する領域を起点とし、断面視で蓋5’の溝14よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットF1が形成されやすくなる。
【0054】
さらに上記構成によれば、溝14の内部にロウ材を流入させるとともに、溝14の内周側の開口端142Eに近接する領域を起点として、断面視で蓋5’の溝14よりも内側に対応する領域にかけてガラスからなるロウ材のフィレットF1を形成して蓋5’と容器2とが接合されるので、溝14の内部に流入したロウ材6’が前述のアンカー効果を有する。これにより実用的な接合強度を確保することができる。さらに溝14の内部にロウ材が溜まることによって、溝外部のロウ材が溝14の内部の方向へ引き寄せられ易くなるため蓋と容器との接合の際、位置調整せずとも蓋が自ずと前記天面上の適切な位置に配置される,いわゆる“セルフアライメント”効果を有する。
【0055】
なお本発明の実施形態に係る溝の形状は断面視矩形に限定されるものではなく、図10乃至11に示すような形状であってもよい。図10に示す形状の溝はブラスト法やドライエッチング法を用いて形成可能であり、さらに図11に示す形状の溝はウエットエッチング法を用いて形成可能である。
【0056】
さらに、本発明における圧電振動デバイスの製造方法は、図12に示すような多数の本発明における容器が整列して一体形成された集合基板200の状態で製造を行う,いわゆるウエハレベルパッケージにおいても適用可能である。すなわち、圧電振動素子や集積回路素子等の電子部品素子が、前記集合基板の個々の容器に各々実装された後、多数の個片の蓋で各容器を封止する際に、加熱によって溶融した金属またはガラスからなるロウ材が、容器側壁の天面の溝の内部の一部又は全体に溜まることによって、溝外部のロウ材が溝内部の方向へ引き寄せられ易くなり、前述のセルフアライメント効果を有している。つまり本発明はウエハレベルパッケージのような多数の圧電振動デバイスを一括で製造する工法においても効果的である。
【0057】
また本発明の実施形態ではロウ材50に金錫合金や、低融点ガラスが用いられているが、高融点の金属ロウ材である銀ロウをロウ材50に使用してもよい。この場合シーム溶接によって封止を行うことができる。またレーザービームや電子ビームを用いて接合領域を加熱溶融させる封止方法においても本発明は適用可能である。
【0058】
本発明の実施形態では表面実装型の水晶発振器を例に挙げているが、水晶発振器以外に水晶振動子、水晶フィルタなどの電子機器等に用いられる他の圧電振動デバイスにも適用可能である。
【0059】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0060】
圧電振動デバイスの量産に適用できる。
【符号の説明】
【0061】
1 水晶発振器
2 容器
3 水晶振動素子
4 集積回路素子
5 蓋
6 ロウ材
9 収容空間
10、14、15、16 溝
11、12、13 金属膜
101 溝外周側面
102 溝内周側面
103 溝底面
11C 溝内金属膜
11S 外側天面金属膜
101E、141E 溝外周側の開口端
102E、142E 溝内周側の開口端
20 側壁
201 外側天面
202 内側天面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスであって、
前記側壁の天面には溝が形成され、当該溝の内部の一部又は全体にロウ材が流入するとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットが形成されて蓋と容器とが接合されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスの製造方法において、
前記側壁の天面に溝を形成する溝形成工程と、
前記側壁の断面視において、前記溝の内壁面全体と、当該溝よりも外側の天面の領域とが一体となった金属膜を形成する金属膜形成工程と、
前記蓋の一主面に、前記金属膜と平面視で一部が対向するとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にロウ材を形成するロウ材形成工程と、
前記ロウ材と前記金属膜とを溶融させて、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とを接合する接合工程と、
を含む圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項3】
電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスの製造方法において、
前記側壁の天面に溝を形成する溝形成工程と、
前記蓋の一主面に、平面視で前記溝が含まれるとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材を形成するロウ材形成工程と、
前記ロウ材を溶融させて、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とを接合する接合工程と、
を含む圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項1】
電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスであって、
前記側壁の天面には溝が形成され、当該溝の内部の一部又は全体にロウ材が流入するとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットが形成されて蓋と容器とが接合されていることを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項2】
電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスの製造方法において、
前記側壁の天面に溝を形成する溝形成工程と、
前記側壁の断面視において、前記溝の内壁面全体と、当該溝よりも外側の天面の領域とが一体となった金属膜を形成する金属膜形成工程と、
前記蓋の一主面に、前記金属膜と平面視で一部が対向するとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にロウ材を形成するロウ材形成工程と、
前記ロウ材と前記金属膜とを溶融させて、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端または当該開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とを接合する接合工程と、
を含む圧電振動デバイスの製造方法。
【請求項3】
電子部品素子の収容空間と側壁を有する容器を、ロウ材を介して蓋で気密に接合してなる圧電振動デバイスの製造方法において、
前記側壁の天面に溝を形成する溝形成工程と、
前記蓋の一主面に、平面視で前記溝が含まれるとともに、内周端が前記溝よりも内側に対応する位置にガラスからなるロウ材を形成するロウ材形成工程と、
前記ロウ材を溶融させて、前記溝の内部の一部又は全体にロウ材を流入させるとともに、前記溝の内周側の開口端に近接する領域を起点として、断面視で蓋の前記溝よりも内側に対応する領域にかけてロウ材のフィレットを形成して蓋と容器とを接合する接合工程と、
を含む圧電振動デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−98594(P2013−98594A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236646(P2011−236646)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】
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