説明

すべり要素およびその製造方法

金属支持層(2)と、支持層上に施与された多孔質金属担持層(3)と、マトリクス材料として少なくとも1種類の熱可塑性樹脂を有する、前記担持層上に施与された厚さDのすべり層とを有するすべり要素が記載されている。すべり層(6)は、熱可塑性樹脂マトリクスを含む第1の材料(4)と、前記第1の材料のある表面領域においてD以下の深さTまで勾配を形成するPTFEを含む第2の材料(5)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属支持層と、前記支持層上に施与された多孔質金属担持層と、マトリクス材料として少なくとも1種類の熱可塑性材料を有する、前記担持層上に施与された厚さDのすべり層とを有する、すべり要素に関する。本発明はまた、この種のすべり要素を製造するための方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
メンテナンスフリーの軸受け材料は、たいていは、特別に改変されたプラスチックからなる表面を有する多層材料からなる。しばしば利用される実施形態においては、この複合材料は、多孔質金属成分構成要素を有し、それがプラスチック材料で含浸され、これによって覆われている。その場合、マトリクスのプラスチックの種類に応じて2つのタイプ、すなわち、PTFEをベースとするもの、および熱可塑的に加工可能なプラスチックをベースとするものに区別される。熱可塑性タイプは、長期間作用する潤滑剤の量を受け入れることができるように凹部が設けられているか、またはすでに潤滑剤で改変された化合物とした形で使用されている。
【0003】
プラスチックのすべり面を有するこれらいくつかのタイプの材料は、優れた適合性および汚染吸収性(Schmutzaufnahmefaehigkeit)、ならびに高い耐摩耗性があり、純粋な金属の軸受け材料に比べて、ポンプまたは油圧式緩衝装置などの流体潤滑用途に有利に使用可能であることが判明している。したがって、PTFEベースの材料は、流体潤滑の場合、とくに低い摩擦係数を特色とするが、一方、熱可塑性材料は大きな耐摩耗性を示すことがあり得る。もちろん、熱可塑性材料は、改変にもかかわらず、流体潤滑の場合に明らかに高い摩擦係数を有する。
【0004】
熱可塑性軸受け材料は従来、たとえば、ドイツ特許第32 21 785 C2号(特許文献1)に記載されているように、とくに摩擦の激しい流体潤滑用途に使用されている。すべり軸受け複合材料は、PEEKをベースとし、黒鉛、PTFE、および炭素繊維によって改変される。この材料は、たとえば緩衝装置に使用され、その場合、可能な限り摩擦のない反応挙動よりも極端な負荷がかかるために耐久性の方が重要である。
【0005】
ドイツ特許出願公告第102 26 264 B4号(特許文献2)は、とくに高温用に開発され、高い耐摩耗性を有する改変されたPEEK材料について記載している。このすべり軸受け複合材料は、支持層と、場合により担持層と、マトリクス材料としてのPEEK、酸化チタンおよび/または炭化ケイ素からなる硬質成分、および硫化亜鉛および/または硫酸バリウムの形の潤滑剤を有する、担持層または支持層上に施与されたすべり層とを有する。この材料を用いても、もちろん、流体潤滑の場合にPTFEベースの材料の低い摩擦係数を達成することはできない。
【0006】
ドイツ特許出願公告第198 08 540 B4号(特許文献3)には、PTFEの割合が比較的高く、また硬質添加剤を含まないことにより、PTFEベースの材料の摩擦値より明らかに有利な摩擦値を示す熱可塑性樹脂ベースの材料が開示されている。
【0007】
PTFEの割合が高すぎると熱可塑性樹脂マトリクスが弱くなり、材料の摩耗耐性に悪い影響を与えるので、添加可能なPTFEの量は制限される。
【0008】
熱可塑性樹脂層を製造するには、主に以下の2つの方法が知られている。すなわち、
a)ドイツ特許第32 21 785 C2号(特許文献1)に記載されているように、金属基板上に粉末混合物を塗布し、続いて溶融およびロール加圧を行う方法。
b)ドイツ特許出願公告第102 26 264 B4号(特許文献2)に説明されているように、金属基板上でロール塗布を行いながら化合物フィルムを製造する方法。
【0009】
ドイツ特許第195 07 045 C2号(特許文献4)は、すべり層を製造するために、たとえばPTFE由来のフルオロポリマーを含むペーストが塗布される複合材料を開示している。PFA、FEP、ETFEなど他のフルオロポリマーも、単独でまたは組み合わせて提供されている。
【0010】
PTFE層は、ドイツ特許第195 07 045 C2号(特許文献4)に記載されているように、フィルムの中間層を介して担持材料上に塗布するか、またはPTFE分散液をベースとする水性プラスチック材料を直接ロール塗布することによっても製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ドイツ特許第32 21 785 C2号
【特許文献2】ドイツ特許出願公告第102 26 264 B4号
【特許文献3】ドイツ特許出願公告第198 08 540 B4号
【特許文献4】ドイツ特許第195 07 045 C2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、流体潤滑の場合に、摩擦係数が、熱可塑性材料から得られたすべり層を有するすべり要素に比べて明らかに改善された、熱可塑性樹脂をベースとするすべり要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題は、金属支持層と、金属支持層上に施与された多孔質金属担持層と、マトリクス材料として少なくとも1種類の熱可塑性材料を有する、担持層上に施与された厚さDのすべり層とを有するすべり要素において、すべり層が、熱可塑性樹脂マトリクスを含む第1の材料と、第1の材料のある表面領域においてD以下の深さTまで勾配を形成する第2のPTFE含有材料とを有するすべり要素によって解決される。
【0014】
すべり層のある表面領域における勾配とは、すべり層の表面からすべり層中の特定の浸透深さTまで、第1材料中の第2材料の割合が連続的に低下することを意味する。
【0015】
第2の材料がPTFEを含むので、この勾配形成によりPTFEの勾配も形成され、したがってすべり特性およびすべり層の耐摩耗性を適切に調整することができる。その場合、PTFEの割合が減少するので、すべり層の摩損が進むにつれて耐摩耗性が増加する。一方で、すべり層中でPTFE割合の低下が生じるために、すべり特性も同時にわずかばかり悪化する。
【0016】
したがって、PTFEを含む第2の材料の選択、および第2の材料中のPTFEの割合に応じて、熱可塑性材料のすべり特性を明らかに改善することができ、すべり軸受け要素の寿命に関しても望み通りに調整することができる。
【0017】
すべり要素の寿命が経過する間、すべり層の約75%が摩損する。したがって、全寿命期間にわたりPTFEがすべり挙動に良い影響を与えることができ、それに対応してTが調整される。深さTは好ましくは、0.75・D以下、とくに0.5・D以下である。
【0018】
熱可塑性材料を含む第1の材料は、好ましくは細孔構造を有し、それが、第2の材料によって少なくとも部分的に充填される。
【0019】
細孔構造の細孔の容積は深さが増すにつれて減少するので、このようにしてすべり層中の勾配を調整することができる。したがって、勾配は細孔構造に基づき定義される。
【0020】
熱可塑性樹脂マトリクスとして、好ましくはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニレンスルフィド)、PA(ポリアミド)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PFA(ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−パーフルオロビニルアルキルエーテル))、ETFE(ポリエチレン−alt−テトラフルオロエチレン)、PPA(ポリフタルアミド)、LCP(液晶ポリマー)、PES(ポリエーテルスルホン)、PSU(ポリスルホン)、PEI(ポリエーテルイミド)が単独でまたは混合物として提供される。
【0021】
熱可塑性樹脂マトリクスは、高温熱可塑性樹脂、固体潤滑剤、硬質材料、および/または繊維からなる添加剤を含んでいてもよい。
【0022】
少なくとも1種類の高温熱可塑性樹脂を添加することによって、耐摩耗性をさらに高めることができる。
【0023】
高温熱可塑性樹脂の割合は、好ましくは第1の材料の総体積に対して0.5〜15体積%である。高温熱可塑性樹脂をこの割合にすることの利点は、一方では減摩作用が得られ、他方では極めて多量の添加剤によりマトリクス複合体が弱くならないことにある。
【0024】
高温熱可塑性樹脂として、好ましくはPPTA(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド)、PPSO2(ポリフェニレンスルホン)、PPA(ポリフタルアミド)、PI(ポリイミド)、PAI(ポリアミドイミド)、PBI(ポリベンソイミダゾール)が単独でまたは組み合わせて提供される。
【0025】
第1の材料は、第1の材料の総体積に対して、好ましくは0〜27.5体積%の潤滑剤を含む。
【0026】
細孔構造を可能にする浸透深さに応じて、固体潤滑剤の割合が選択される。勾配を、たとえばすべり層の厚さの約半分までしかかけられない場合、固体潤滑剤の割合は、たとえば15体積%超と高く選択するのが有利である。そうすると、PTFE勾配が消滅する程度にすべり層が摩損した場合でも、なお十分なすべり特性が発揮される。
【0027】
固体潤滑剤としての第1の材料中に、好ましくはPTFE、MoS2、WS2、hBN(六方晶系窒化ホウ素)、Pb、PbO、ZnS、BaSO4、黒鉛が、単独または組み合わせて使用される。
【0028】
第1の材料は好ましくは、第1の材料の総体積に対して1〜10体積%の割合で硬質材料を含む。好ましい硬質材料は、SiC、Si3N4、BC、cBN(三方晶系窒化ホウ素)、層状ケイ酸塩、またはTiOやFeなどの金属酸化物である。硬質材料を添加する際の利点は、その添加により、対向部材(Gegenlaeufers)を平滑にすることができ、それによって摩耗性(Abrasivitaet)が低減されることである。
【0029】
さらに第1の材料は、繊維からなる添加剤を含んでもよい。好ましくは、炭素繊維、アラミド繊維、および/またはガラス繊維である。繊維の量は、第1の材料の総体積に対して0〜10体積%、好ましくは0〜5体積%である。
【0030】
第2の材料は、完全にPTFEからなるものでも、またはPTFEと添加材料からなるものでもよい。後者の場合、PTFEの割合は、第2の材料の総体積に対して少なくとも70体積%である。
【0031】
添加材料は、PTFEの体積に対して、好ましくは0〜20体積%、とくに1〜20体積%のPFA(ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−パーフルオロビニルアルキルエーテル))を有する。PFAの添加は、第1の材料に対する第2の材料の結合を改善するという利点を有する。
【0032】
添加材料は、添加材料の総体積に対して0〜100体積%の固体潤滑剤を含み得る。第2の材料に添加材料として固体潤滑剤を添加するのは、とくに第1の材料中の固体潤滑剤の量が少量に選択される場合に行われる。固体潤滑剤としては、好ましくはPTFE、MoS2、WS2、hBN、Pb、PbO、ZnS、BaSO4、および/または黒鉛が提供される。その他に、第2の材料は、前記第2の材料の総体積に対して硬質材料を0〜10体積%の割合で有していてもよい。好ましい硬質材料は、SiC、Si3N4、BC、cBN、層状ケイ酸塩、および/またはTiOやFeなどの金属酸化物である。
【0033】
すべり層の総体積に対する第2の材料の割合は、一方では第1の材料の細孔構造の容積に依存し、他方では、カバー層の厚さに依存する。カバー層は、第2の材料から形成され、第1の材料の材料の上に載る。カバー層の厚さdは、好ましくは0≦d≦15μmに入る。
【0034】
このようなすべり要素の製造方法は、以下の方法段階を含む。
−多孔質金属担持層が上に施与された金属支持層を準備する方法段階、
−以下の段階に従って、金属担持層上にすべり層を作製する方法段階、
・少なくとも1種類の熱可塑性材料を有する粉末混合物からなる第1の材料を塗布する段階、
・前記第1の材料を圧縮する段階、
・圧縮された第1の材料を、PTFEを有する第2の材料の分散液に含浸する段階、
・前記すべり層を溶融する段階、
・前記すべり層をロール加圧する段階。
【0035】
第1の材料の圧縮は、好ましくは室温(20℃)〜100℃で実施される冷温圧縮である。
【0036】
冷温圧縮された粉末層における細孔構造の毛細管作用によって、分散液が第1の材料中に浸透し、分散液の勾配が、したがってPTFEの濃度勾配が生じる。
【0037】
第2の材料の分散液は、好ましくは25〜55%の水性PTFE分散液である。
【0038】
あるいは、第2の材料の分散液は、第1の25〜55%水性PTFE分散液と添加材料からなる第2の分散液とからなるものでよい。
【0039】
第2の分散液は、好ましくはPFA分散液を有する。第2の分散液は、もっぱらPFA分散液からなるものでもよいが、さらに、固体潤滑剤および/または硬質材料を含んでいてもよい。
【0040】
担持層は1mにつき、好ましくは第2の材料の分散液5g〜100gで含浸される。
【0041】
分散液によってすべり層中に導入されるPTFEの量は、一定の限界値内で変わり得る。極めて少ない量の場合、相応に減摩作用は低下する。冷温圧縮された粉末混合物が多すぎるPTFE量を有する場合、炉中での溶融後に圧縮層は形成され得ない。経験則としては、1平方メートル当たり約5g〜100g、好ましくは50gのPTFE(固体)を、最も好ましくは安定な30〜50%水性分散液の形で塗布すべきである。
【0042】
第2の材料の分散液の1平方メートル当たりの量を、1平方メートル当たりのPTFEの割合が40g〜60g、とくに45g〜55gになるように選択することがとくに好ましい。
【0043】
含浸は、以下の方法の一つによって実施されるようになっている。
・ノズルによる散布、
・ロール表面からの転写、
・海綿またはロールの押圧による転写、
・回転円盤によるスピンコーティング、
・スクリーンプリンティング法、
・剛毛、フェルト、または布地付きのはけの形の毛細管配量システムとの接触。
【0044】
すべり要素は好ましくは、すべり軸受け要素である。
【0045】
本発明によるすべり要素は、とくに緩衝装置およびポンプの領域において、とくに流体潤滑用途に適している。
【0046】
次に本発明の例示的実施形態を、図面を参照してさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1a】本発明によるすべり要素の断面図である。
【図1b】図1aの部分拡大図である。
【図2】製造方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1aには、鋼支持層2およびその上に施与された青銅多孔質担持層3を有する、すべり要素、とくにすべり軸受け要素1の断面図を模式的に示す。青銅担持層3上には、第1の材料4と第2の材料5からなる厚さDのすべり層6が施与されている。
【0049】
第1の材料4は、分散液の形でPTFEを含む第2の材料5で含浸された熱可塑性樹脂化合物からなる。第1の材料4は細孔構造を持つので、含浸過程の間にPTFEを含有する第2の材料5が浸透し、その際その細孔構造のために勾配を形成する。
【0050】
図1bには、図1aの断面の一部を拡大表示する。上部の領域における異なる灰色の陰影は、含浸された領域を、したがって勾配を示す。第1の材料4の内部にも、第2の材料5の内部にも、この図において潤滑剤微粒子4bと高温熱可塑性樹脂4aの粒子からなる、追加の微粒子を見いだすことができる。
【0051】
図2によれば、第1の材料4の粉末は低温圧縮され、続いて液体のPTFE分散液が添加される。続いて、すべり層材料が加熱され、ロール加圧される。
【0052】
以下の第1の材料(すべて第1の材料の総体積に対する体積%で表示)
(a)PEEK、20%PTFE
(b)PEEK、10%黒鉛、10%炭素繊維、5%硫化亜鉛、5%酸化チタン
(c)PEEK、10%黒鉛、10%炭素繊維、10%PTFE
(d)PVDF、20%PTFE
(e)PPS、15%PTFE、5%ポリアラミド
が、すべり層6に対して、以下の第2の材料(すべて第2の材料の総体積に対する体積%で表示)
(1)100%PTFE
(2)PTFE、5%Fe2O3
(3)PTFE、10%MoS2
(4)PTFE、10%MoS2、10%BN
(5)PTFE、30%BN
(6)PTFE、20%ZnS
(7)PTFE、15%CaF2
と組み合わされた。
【0053】
0.5m/sおよび20MPaの特定負荷の下での滴下注油(Tropfoelschmierung)によるピン―ローラ(Stift−Walze)試験の結果は以下の表に含まれる。
【0054】
【表1】

COFは摩擦係数を表す。
【0055】
この表によれば、含浸なしの場合の1時間後におけるすべり層は、含浸のあったすべり層より、明らかに少ない摩損を示すことが分かる。しかしながら、摩擦係数(COF)は、非含浸材料の摩擦係数より明らかに小さい。
【符号の説明】
【0056】
1 すべり要素
2 鋼支持層
3 青銅担持層
4 第1の材料
4a 高温熱可塑性樹脂
4b 潤滑剤微粒子
5 第2の材料
6 すべり層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属支持層(2)と、前記金属支持層上に施与された多孔質金属担持層(3)と、マトリクス材料として少なくとも1種類の熱可塑性材料を有する、前記担持層上に施与された厚さDのすべり層(6)とを有するすべり要素において、
前記すべり層(6)が、熱可塑性樹脂マトリクスを含む第1の材料(4)と、
前記第1の材料(4)のある表面領域においてD以下の深さTまで勾配を形成するPTFEを含む第2の材料(5)とを有することを特徴とするすべり要素。
【請求項2】
深さTが3/4D以下であることを特徴とする、請求項1に記載のすべり要素。
【請求項3】
第1の材料(4)が、第2の材料(5)によって少なくとも部分的に充填された細孔構造を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載のすべり要素。
【請求項4】
前記細孔構造の細孔の容積が、深さTが増すにつれて減少することを特徴とする、請求項3に記載のすべり要素。
【請求項5】
熱可塑性樹脂マトリクスが、PEEK、PPS、PA、PVDF、PFA、ETFE、PPA、LCP、PES、PSU、PEIを単独でまたは混合物として含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項6】
熱可塑性樹脂マトリクスが、少なくとも1種類の高温熱可塑性樹脂からなる添加剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項7】
高温熱可塑性樹脂の割合が、第1の材料(4)の総体積に対して0.5〜15体積%であることを特徴とする、請求項6に記載のすべり要素。
【請求項8】
高温熱可塑性樹脂が、PPTA、PPSO2、PBA、PI、PAI、PBIであることを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載のすべり要素。
【請求項9】
第1の材料が、前記第1の材料(4)の総体積に対して少なくとも1種類の固体潤滑剤0〜27.5体積%を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項10】
固体潤滑剤が、PTFE、MoS2、WS2、hBN、Pb、PbO、ZnS、BSO4、および/または黒鉛であることを特徴とする、請求項9に記載のすべり要素。
【請求項11】
第1の材料(4)が、第1の材料(4)の総体積に対して少なくとも1種類の硬質材料を0〜10体積%含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項12】
硬質材料が、SiC、Si3N4、BC、cBN、層状ケイ酸塩、および/または金属酸化物のような硬質材料であることを特徴とする、請求項11に記載のすべり要素。
【請求項13】
金属酸化物がTiOおよび/またはFeであることを特徴とする、請求項12に記載のすべり要素。
【請求項14】
第1の材料(4)が、前記第1の材料の総体積に対して0〜10体積%の繊維を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項15】
第1の材料(4)が、前記第1の材料の総体積に対して0.5〜5体積%の繊維を含むことを特徴とする、請求項14に記載のすべり要素。
【請求項16】
前記繊維が、炭素繊維、アラミド繊維、および/またはガラス繊維であることを特徴とする、請求項14または15のいずれかに記載のすべり要素。
【請求項17】
第2の材料(5)がPTFEからなることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項18】
第2の材料(5)がPTFEおよび添加材料からなることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項19】
前記添加材料が、PTFEの体積に対して0〜20体積%のPFAを含むことを特徴とする、請求項18に記載のすべり要素。
【請求項20】
前記添加材料が、前記添加材料の総体積に対して0〜100体積%の固体潤滑剤を含むことを特徴とする、請求項18または19のいずれかに記載のすべり要素。
【請求項21】
固体潤滑剤が、PTFE、MoS2、WS2、hBN、Pb、PbO、ZnS、BaSO4、黒鉛であることを特徴とする、請求項20に記載のすべり要素。
【請求項22】
第2の材料(5)が、第2の材料(5)の総体積に対して少なくとも1種類の硬質材料を0〜10体積%含むことを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項23】
硬質材料が、SiC、Si3N4、BC、cBN、層状ケイ酸塩、および/または金属酸化物のような硬質材料であることを特徴とする、請求項22に記載のすべり要素。
【請求項24】
金属酸化物がTiOまたはFeであることを特徴とする、請求項23に記載のすべり要素。
【請求項25】
以下の方法段階、すなわち
多孔質金属担持層が上に施与された金属支持層を準備する方法段階と、
以下の段階に従って、すなわち
少なくとも1種類の熱可塑性材料を含む粉末混合物からなる第1の材料を塗布する段階、
前記第1の材料を圧縮する段階、
前記圧縮された第1の材料を、PTFEを含む第2の材料の分散液に含浸する段階、
前記すべり層を溶融する段階、および
前記すべり層をロール塗布する段階に従って、前記金属担持層上にすべり層を作製する方法段階と
を含む、すべり要素の製造方法。
【請求項26】
第1の材料の圧縮が、20℃〜100℃での冷温圧縮であることを特徴とする、請求項25に記載の製造方法。
【請求項27】
第2の材料の分散液が、25〜55%の水性PTFE分散液であることを特徴とする請求項25または26に記載の製造方法。
【請求項28】
第2の材料の分散液が、第1の25〜55%水性PTFE分散液と添加材料からなる第2の分散液とからなることを特徴とする、請求項25〜27のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項29】
第2の分散液が水性PFA分散液を含むことを特徴とする、請求項25〜29のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項30】
第2の分散液が、固体潤滑剤および/または硬質材料を含むことを特徴とする、請求項29に記載の製造方法。
【請求項31】
担持層が、第2の材料の分散液5g〜100gで含浸されることを特徴とする、請求項25〜30のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項32】
第2の材料の分散液の1平方メートル当たりの量が、1平方メートル当たりのPTFEの割合が40g〜60gになるように選択されることを特徴とする、請求項31に記載の製造方法。
【請求項33】
1平方メートル当たりのPTFEの割合が45g〜55gであることを特徴とする、請求項32に記載の製造方法。
【請求項34】
前記含浸が、以下の方法、すなわち
ノズルによる散布、
ロール表面からの転写、
海綿またはロールの押圧による転写、
回転円盤によるスピンコーティング、
スクリーンプリンティング法、
剛毛、フェルト、または布地付きのはけの形の毛細管配量システムとの接触
の一つを用いて実施されることを特徴とする、請求項25〜33のいずれか一つに記載の製造方法。
【請求項35】
流体潤滑用途のための、請求項1に記載のすべり要素の使用。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−514171(P2012−514171A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544042(P2011−544042)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067960
【国際公開番号】WO2010/076307
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(501014452)フエデラル―モーグル・ウイースバーデン・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング (21)
【Fターム(参考)】