説明

アイドル回転数の制御装置

【課題】機関回転数に変動が生じた時、目標回転数に機関回転数を維持するため、補助空気量を増減させる制御を行うものがある。従来は、この補助空気量の増減量を決定するために、負荷が発生すると想定される要因に応じた補助空気量をあらかじめデータマップに記憶しておいたが、記憶させる補正値を運転環境に応じて適合し、決定しなければならない課題がある。
【解決手段】内燃機関のアイドル回転数を保持するために必要なエンジン出力を、負荷の変化に伴い、当該負荷の要素となるエンジンのロストルク、補機類の駆動負荷を個別に物理モデルにより推定し、前記補機類は、エアーコンディショナーとオルタネータとATトルクコンバータとを含み、前記物理モデルはエンジン出力と駆動負荷推定量による学習機能を備えるとともに、前記駆動負荷の推定値に基づいてエンジン出力補正量を演算し、アイドル回転数を制御するアイドル回転数の制御装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主として、内燃機関のアイドル運転時に機関回転数を目標回転数に制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のアイドル運転時において、スロットル弁あるいはスロットル弁を迂回するバイパス通路に設けられた補助空気通路に補助空気制御弁を備え、アイドル運転時にこのスロットル弁あるいは補助空気制御弁の開度を制御することにより、機関に供給される補助空気量を制御してアイドル回転速度を制御するようにしたものがある。このようなアイドル運転時に、内燃機関の負荷(例えばエンジンフリクションやオルタネータ,エアーコンディショナー,オートマチック・トランスミッション,パワーステアリング等を駆動するための負荷)が変化した場合、機関回転数に変動が生じるが、目標回転数に機関回転数を維持するため、前記補助空気量を増減させる制御を行い、この補助空気量の増減量を決定するために、想定される負荷発生要因によるエンジンの回転変動抑止に必要な前記補助空気量をあらかじめ記憶しておく場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−231220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術を使用した場合、負荷毎,運転状態毎に補助空気量を記憶させておく多大なデータマップが必要となり、当該データマップを格納しておくためのメモリ容量も増大する。加えて、当該データマップに適切な値を設定するために、多大な実機適合を実施する必要がある。本発明の目的は、このようなデータマップを削減することでデータを記憶するメモリ容量を削減し、加えて、当該データマップに設定する値を決定するための実機適合に関する作業工数を必要とすることなく、内燃機関のアイドル回転の制御を実施することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係るアイドル回転数制御装置は、以下のような手段を講じたものである。すなわち、エンジンに対する駆動負荷をロストルク(フリクション,ポンピングロス),オルタネータ駆動,エアーコンディショナーコンプレッサー駆動,オートマチック・トランスミッション用トルクコンバータ,パワーステアリング等その発生元である要因毎に物理モデルで算出し、それらの合計からエンジンに発生している負荷を推定し、この推定値から必要補正量を算出する制御において、前記エアーコンディショナーの物理モデルは、推定した駆動負荷と、当該駆動負荷から算出したエンジン出力補正量の状態に応じて、膨張弁流量を補正学習し、前記オルタネータの物理モデルは、バッテリを模擬した物理モデルと連動し、推定した駆動負荷と、当該駆動負荷から算出したエンジン出力補正量の状態に応じて、バッテリ物理モデルのバッテリ充電率および、オルタネータ物理モデルの発電効率を補正学習し、前記ATトルクコンバータの物理モデルは、推定した駆動負荷と、当該駆動負荷から算出したエンジン出力補正量の状態に応じて、トルクコンバータ容量係数を補正学習し、前記エンジンのフリクションの物理モデルは、推定した駆動負荷と、当該駆動負荷から算出したエンジン出力補正量の状態に応じて、エンジンオイル粘度係数を補正学習することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明によるアイドル回転数制御装置は、負荷デバイス毎,運転状態毎に保有していた空気補正値のデータマップに代替して、各負荷デバイスに応じた空気補正量を物理モデルにより算出することで、当該アイドル回転数制御装置にはデータマップを搭載する必要がなくなり、マップ検索に比してアイドル回転数制御装置のメモリ容量を低減することができ、しかも、各データマップに記憶する値を実機適合により決定する必要がなく、また、各物理モデルと実機との特性に不整合が生じたときには補正値の学習を実施するとともに、当該補正値を記憶する機能を備えているため、データマップを保有した場合に比してアイドル回転数制御装置の開発効率の低下を改善することができる。
【0007】
一例として、従来、基本補正量を決定するために、ATのレンジ情報(P/N,D,R)毎,エアコンのON/OFF毎にデータマップを保有し、水温条件(16点)毎に設定を行っていた計96点のデータに関して、データマップが不要になり、これにかかる適合実験も不要になる。このようにして、設定データ数を約3分の1、メモリ容量を約2分の1に削減することを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明が適用される燃料噴射装置のシステム構成図。
【図2】ECUの内部構成を示すブロック図。
【図3】本発明が適用されるアイドル回転数制御装置の制御ブロックの一例。
【図4】本発明の図3のブロック305を詳細に表した一例。
【図5】本発明の図3のブロック306を詳細に表した一例。
【図6】本発明の図3のブロック307を詳細に表した一例。
【図7】本発明の図3のブロック308を詳細に表した一例。
【図8】本発明の図3のブロック309を詳細に表した一例。
【図9】本発明の図3の制御ブロック図の詳細なフローチャートの一例。
【図10】本発明の図4の制御ブロック図の詳細なフローチャートの一例。
【図11】本発明の図5の制御ブロック図の詳細なフローチャートの一例。
【図12】本発明の図6の制御ブロック図の詳細なフローチャートの一例。
【図13】本発明の図7の制御ブロック図の詳細なフローチャートの一例。
【図14】本発明の図8の制御ブロック図の詳細なフローチャートの一例。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づき本発明の内燃機関の制御装置についての実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本発明が適用される内燃機関の燃料噴射制御システムにおける全体構成図である。
【0011】
内燃機関116の吸気経路には、空気量センサ101が設けられて吸入空気の量を計測し、同じく吸気温センサ102は吸入空気の温度を検出する。絞弁組立体すなわちスロットルボディ104は、スロットルセンサ103により検知される絞弁開度を適宜調節することにより吸入空気量を制御する。スロットルボディ104を通過した吸入空気は、インテークコレクタ105(サージタンク)に入り、該インテークコレクタ105に接続された複数の吸気分岐管106を通じて内燃機関116の各気筒に分岐供給される。
【0012】
内燃機関116は、その吸気側に吸気弁を可変動作する吸気弁機構109と吸気バルブの動作状態を検出する吸気バルブセンサ(図示せず)を備え、その吐出側には排気弁を可変動作できる排気弁機構111を備えている。排ガス対策のため、排気ガスの一部を吸気系に戻すEGRバルブ107も備え、該バルブを適宜開いて排気ガスの一部を吸気系に戻している。燃料は、燃料タンク118から燃料ポンプ119により吸上げられ、プレッシャレギュレータ122により調圧された後、燃料配管121を経て電子制御式の燃料噴射弁108に送給され、該燃料噴射弁108は、内燃機関の各気筒に分岐供給される吸入空気内に燃料を噴射することを制御する。燃料タンク118内に発生する蒸発ガスは、キャニスタ120で吸着され、吸着された燃料はパージバルブ123を通って吸気系に戻される。
【0013】
また、内燃機関116は、その排気経路に空燃比センサ113,酸素センサ115を備え、冷却水の水温を検知する水温センサ114を、また、クランクアームの回転角を検知するクランク角センサ117を備えている。
【0014】
電子制御装置(ECU)112は、上記した空気量センサ101,吸気温センサ102,スロットルセンサ103,空燃比センサ113,水温センサ114,酸素センサ115,クランク角センサ117等の各出力を入力として、スロットルボディ104内のスロットルバルブ,EGRバルブ107,燃料噴射弁108,吸気弁機構109,排気弁機構111,点火コイル110,プレッシャレギュレータ122,パージバルブ123等に対して制御信号を出力する。ECU112は、これらの各種センサからの入力に基づいて適正な燃料噴射量を算出決定し、燃料噴射弁108の駆動機構(図示せず)に対して、かかる適正な燃料噴射量を噴射するように指示を与える。
【0015】
図2はECU112の内部構成を示すブロック図である。
【0016】
ECU112は、入力回路203,A/D変換部204,中央演算部(CPU)205,ROM207,RAM209、及び出力回路210を含んだコンピュータにより構成された電子制御装置である。入力回路203には、センサ類201から出力された信号が入力信号202として入力回路203に取り込まれる。入力信号202がアナログ信号の場合(例えば、スロットルセンサ103,水温センサ114等からの信号)、入力回路203は、該信号からノイズ成分の除去等を行って、A/D変換部204に出力する。CPU205は、該A/D変換部204の結果を取り込み、ROM207等の記憶媒体に記憶された制御ロジック208(プログラム)を実行することによって、多種多様な制御及び診断等を実行する機能を備えている。
【0017】
なお、前記CPU205で演算した結果は、RAM209に一時的に記憶されるとともに、該演算結果は、出力回路210を通じて制御出力信号211として出力され、アクチュエータ類212(例えば、燃料噴射弁108,点火コイル110等)の制御に用いられる。
【0018】
一方、入力信号202がデジタル信号の場合(例えば、クランク角センサ117等からの信号)、入力回路203から信号線206を介して直接CPU205に取り込まれ、CPU205で演算される。
【0019】
図3は、本実施例の対象となるアイドル回転数制御の概要図を示している。
【0020】
ブロック301では、エアコンの稼動状態,ATのセレクトレンジ情報,エンジン冷却水温,エンジンの燃焼状態等により目標エンジン回転数を算出する。
【0021】
ブロック302では、ブロック301で算出した目標エンジン回転数と実エンジン回転数の差異に基づき、目標エンジン回転数に最適に収束させるためのフィードバック補正値の演算を行う。なお、この際、エンジン回転数,車速,アイドル状態かどうか等の情報に基づき、フィードバック制御が可能かどうかを判断する。可能と判断された場合には、例えばPID制御によりフィードバック補正値を演算する。可能と判断されなかった場合には、前回演算したフィードバック補正値から補正0まで減衰制御を行う。
【0022】
ブロック303では、エアコンやヘッドライト等の電気負荷デバイスの稼動状態やATのセレクトレンジ情報等により、当該制御の各演算において学習補正を行って良い状態かどうかを判定し、その結果を各演算部に伝達する。
【0023】
ブロック304では、スタータ,ヘッドライト,ブレーキランプ,ラジエターファン等の稼動に電流を必要とする各デバイスの状態を判断し、稼動しているデバイスの消費電流を推定し、かつ、それらを合算することで発生電気負荷を算出する。なお、この際、ブロック303で算出した学習補正許可情報を参照し、許可されている場合にはラジエターファンのモータ抵抗に補正を加えた上で演算を行う。
【0024】
ブロック305では、ブロック304で算出した電気負荷量と後述のブロック306で算出したオルタネータの発電電流量からバッテリの抵抗,電圧,電流を算出し、それらに基づき、バッテリの充電率を推定する。なお、この際、ブロック303で算出した学習補正許可情報を参照し、許可されている場合は単位時間あたりの充電容量であらわすバッテリの充電効率に補正を加えた上で演算を行う。
【0025】
ブロック306では、エンジン回転数,バッテリ電圧からオルタネータ発電電流量およびオルタネータ負荷トルクを算出する。当該負荷トルクにブロック301で算出した目標エンジン回転数を乗ずることでオルタネータ負荷出力を算出する。なお、この際、ブロック303で算出した学習補正許可情報を参照し、許可されている場合はオルタネータの発電効率に補正を加えた上で演算を行う。
【0026】
ブロック307では、エンジン回転数,エバポレータ温度,コンプレッサ出口圧からエアコン負荷出力を算出する。なお、この際、ブロック303で算出した学習補正許可情報を参照し、許可されている場合はエアコンの膨張弁の流量に補正を加えた上で演算を行う。
【0027】
ブロック308では、ATのギアポジション,車速,エンジン回転数,AT油温からATトルクコンバータ負荷トルクを算出する。当該負荷トルクにブロック301で算出した目標エンジン回転数を乗ずることでATトルクコンバータ負荷出力を算出する。なお、この際、ブロック303で算出した学習補正許可情報を参照し、許可されている場合はトルクコンバータ容量係数に補正を加えた上で演算を行う。
【0028】
ブロック309では、AT油温,エンジン負荷,排気圧力によりエンジンロストルクを算出する。当該ロストルクにブロック301で算出した目標エンジン回転数を乗ずることでエンジンロス出力を算出する。なお、この際、ブロック303で算出した学習補正許可情報を参照し、許可されている場合はフリクション補正係数に補正を加えた上で演算を行う。
【0029】
ブロック310では、パワーステアリングの稼動状態により当該デバイスによる負荷トルクを算出する。当該負荷トルクにブロック301で算出した目標エンジン回転数を乗ずることでパワーステアリング負荷出力を算出する。
【0030】
ブロック311では、ブロック302で算出したフィードバック補正量、ブロック306で算出したオルタネータ負荷出力、ブロック307で算出したエアコン負荷出力、ブロック308で算出したATトルクコンバータ負荷出力、ブロック309で算出したエンジンロス出力、ブロック310で算出したパワステ負荷出力を合算し、アイドル状態を維持するために必要なアイドル負荷出力を算出する。
【0031】
図4は前述の図3のブロック305を詳細に表した一例である。ブロック401では、オルタネータ発電電流量と電気負荷電流を加算する。ブロック402では、後述するブロック405で算出したバッテリ充電率をもとに充電時バッテリ抵抗をテーブル検索する。また、ブロック403では、先述のバッテリ充電率をもとに放電時バッテリ抵抗をテーブル検索する。ブロック404では、ブロック401で算出した値の正負を判断し、バッテリ抵抗値を切り換える。この際、正のときはブロック402で算出した充電時バッテリ抵抗を出力し、負のときはブロック403で算出した放電時バッテリ抵抗を出力する。ブロック405では、先述のバッテリ充電率をもとに無負荷バッテリ電圧を算出する。ブロック406では、ブロック401で算出した値にブロック404で算出したバッテリ抵抗を乗じたものに、ブロック405で算出した無負荷バッテリ電圧を加算してバッテリ電圧を算出する。ブロック407では、ブロック406で算出したバッテリ電圧からブロック405で算出した無負荷バッテリ電圧を減算し、それをブロック404で算出したバッテリ抵抗で除することでバッテリ電流を算出する。ブロック408では、電気負荷が入力され、かつ、エンジン出力補正量が所定範囲を超える場合に許可される学習許可信号を参照し、許可されている場合に、エンジン出力補正量が所定値より大きい時はオルタネータ発電効率を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はオルタネータ発電効率を加算補正することでバッテリ充電率補正量を算出する。ブロック409では、ブロック407で算出したバッテリ電流にブロック406で算出したバッテリ電圧を乗じ、それにブロック408で算出したバッテリ充電率補正量と前回当該ブロックで算出した値を加算することで、バッテリ充電量を算出する。ブロック410では、ブロック409で算出したバッテリ充電量を最大充電量で除し、バッテリ充電率を算出する。
【0032】
図5は前述の図3のブロック306を詳細に表した一例である。ブロック501では、エンジン回転数にプーリー比を乗じ、オルタネータ回転数を算出する。ブロック502では、ブロック501で算出したオルタネータ回転数をもとにテーブルを検索し、最大発電量を算出する。ブロック503では、バッテリ電圧(センサ値)にフィルタリング処理を行い、平均電圧値を算出する。ブロック504では、先のバッテリ電圧(センサ値)に基づき、オルタネータ駆動Dutyを算出する。ブロック505では、ブロック502で算出した最大発電量にブロック503で算出した平均電圧値を乗じ、さらにバッテリ電圧(推定値)で除することでオルタネータ最大発電量を算出する。ブロック506では、ブロック505で算出したオルタネータ最大発電量とブロック504で算出したオルタネータ駆動Dutyに基づき、発電電流を算出する。ブロック507では、ブロック501で算出したオルタネータ回転数をもとにテーブルを検索し、発電効率を算出する。ブロック508では、電気負荷が入力され、かつ、エンジン出力補正量が所定範囲を超える場合に許可される学習許可信号を参照し、許可されている場合に、エンジン出力補正量が所定値より大きい時はオルタネータ発電効率を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はオルタネータ発電効率を加算補正することでオルタネータの発電効率の補正値を算出する。ブロック509では、ブロック506で算出した発電電流にバッテリ電圧(推定値)を乗じ、それをブロック501で算出したオルタネータ回転数で除し、さらに、それをブロック507で算出した発電効率とブロック508で算出した発電効率補正値を加算した値で除することで、オルタネータ負荷トルクを算出する。ブロック510では、ブロック509で算出したオルタネータ負荷トルクに目標エンジン回転数を乗じ、さらに変換係数を乗ずることでオルタネータ負荷出力を算出する。
【0033】
図6は前述の図3のブロック307を詳細に表した一例である。
【0034】
ブロック601では、エアーコンディショナーが稼動され、かつ、エンジン出力補正量が所定範囲を超える場合に許可される学習許可信号を参照し、許可されている場合に、エンジン出力補正量が所定値より大きい時は膨張弁流量を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時は膨張弁流量を加算補正することで膨張弁流量補正値を算出する。ブロック602では、エバポレータ温度に基づきテーブルを検索し、膨張弁流量を算出する。ブロック603では、エンジン回転数に基づき、コンプレッサ最大流量を算出する。ブロック604では、ブロック602で算出した膨張弁流量とブロック601で算出した膨張弁流量補正値の和とブロック603で算出したコンプレッサ最大流量の小さい方の値をコンプレッサ流量として出力する。ブロック605では、ブロック604で算出したコンプレッサ流量とコンプレッサ出口圧を乗ずることで、コンプレッサ入口圧を算出する。ブロック606では、ブロック605で算出したコンプレッサ入口圧とコンプレッサ出口圧に基づき、マップ検索することで吸込み圧と吐出し圧の比率を算出する。ブロック607では、ブロック604で算出したコンプレッサ流量にブロック606で算出した比率から1を減算した値を乗じ、さらにエバポレータ温度を乗ずることでコンプレッサ負荷出力を算出する。
【0035】
図7は前述の図3のブロック308を詳細に表した一例である。ブロック701では、AT油温をもとにトルクコンバータ負荷係数をテーブル検索する。ブロック702では、AT油温をもとにDレンジからNレンジへの移行時タービン回転ディレイ時間をテーブル検索する。ブロック703では、AT油温をもとにNレンジからDレンジへの移行時タービン回転ディレイ時間をテーブル検索する。ブロック704では、AT油温をもとにディレイ後タービン回転算出用フリクション係数をテーブル検索する。ブロック705では、AT油温をもとにディレイ中タービン回転算出用フリクション係数をテーブル検索する。ブロック706では、AT油温をもとにNレンジ目標タービン回転算出用フリクション係数をテーブル検索する。ブロック707では、エンジン回転数にブロック706で算出したNレンジ目標タービン回転算出用フリクション係数を乗ずることで、Nレンジ時タービン回転数を算出する。ブロック708では、ギアポジションを基にギアレシオを算出する。ブロック709では、ブロック708で算出したギアレシオに車速を乗ずることでDレンジ時タービン回転数を算出する。ブロック710では、DレンジからNレンジに変化し、かつAT開放状態の場合、もしくは、NレンジからDレンジに変化し、かつAT締結状態の場合、ブロック707で算出したNレンジ時タービン回転数にブロック705で算出したディレイ中タービン回転算出用フリクション係数を乗ずることでタービン回転数応答ディレイを算出する。上述の条件に当てはまらない場合は、ブロック709で算出したDレンジ時タービン回転数にブロック704で算出したディレイ後タービン回転算出用フリクション係数を乗ずることでタービン回転数応答ディレイを算出する。ブロック711では、Nレンジの場合、ブロック710で算出したタービン回転数応答ディレイとブロック707で算出したNレンジ時タービン回転数の小さい方の値をタービン回転数として出力し、Dレンジの場合、ブロック710で算出したタービン回転数応答ディレイとブロック709で算出したDレンジ時タービン回転数の小さい方の値をタービン回転数として出力する。ブロック712では、ブロック711で算出したタービン回転数をエンジン回転数で除することでトルクコンバータ/エンジン回転比を算出する。ブロック713では、NレンジからDレンジに操作されるなどATトルクコンバータへの負荷が入力され、かつ、エンジン出力補正量が所定範囲を超えるときに許可される学習許可信号を参照し、学習が許可されており、かつ、AT油温が所定値より小さい場合に、エンジン出力補正量が所定値より大きい時はトルクコンバータ容量係数を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はトルクコンバータ容量係数を加算補正することで、低温時トルクコンバータ容量係数補正値を算出する。ブロック714では、NレンジからDレンジに操作されるなどATトルクコンバータへの負荷が入力され、かつ、エンジン出力補正量が所定範囲を超えるときに許可される学習許可信号を参照し、学習が許可されており、かつ、AT油温が所定値より大きい場合に、エンジン出力補正量が所定値より大きい時はトルクコンバータ容量係数を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はトルクコンバータ容量係数を加算補正することで、高温時トルクコンバータ容量係数補正値を算出する。ブロック715では、1からブロック712で算出したトルクコンバータ/エンジン回転比を2乗したものを減じ、それにブロック701で算出したトルクコンバータ負荷係数、ブロック713で算出した低温時トルクコンバータ容量係数を乗じ、さらにそこからブロック714で算出した高温時トルクコンバータ容量係数を減じて、トルクコンバータ容量係数を算出する。ブロック716では、ブロック715で算出したトルクコンバータ容量係数にエンジン回転数の2乗を乗ずることで、AT負荷トルクを算出する。ブロック717では、ブロック716で算出したAT負荷トルクに目標エンジン回転数、変換係数を乗じてAT負荷出力を算出する。
【0036】
図8は前述の図3のブロック309を詳細に表した一例である。ブロック801では、補機類の負荷が入力されておらず、かつ、エンジン出力補正量が所定値より大きい時に許可される学習許可信号を参照し、学習が許可されており、かつ、エンジンオイル油温が所定値より小さい場合に、エンジンオイル粘度係数を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はエンジンオイル粘度係数を加算補正する第一のエンジンフリクション補正係数を算出する。ブロック802では、補機類の負荷が入力されておらず、かつ、エンジン出力補正量が所定値より大きい時に許可される学習許可信号を参照し、学習が許可されており、かつ、エンジンオイル油温が所定値より大きい場合に、エンジンオイル粘度係数を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はエンジンオイル粘度係数を加算補正する第二のエンジンフリクション補正係数を算出する。ブロック803では、ブロック801で算出したエンジンフリクション補正係数1に353をエンジン油温で除した値を乗じ、これにブロック802で算出したエンジンフリクション補正係数2を加えることでオイル粘度補正係数を算出する。ブロック804では、0.079548に101.3から吸気管圧力を減じた値を乗じ、それに排気量を乗ずることでポンプトルクを算出する。ブロック805では、圧力補正係数に吸気管圧力、7.7を乗じ、そこからオフセット補正値を減じ、目標回転補正に目標回転数を乗じた値を加え、その結果に排気量、0.007799を乗じることでフリクショントルクを算出する。ブロック806では、ブロック805で算出したフリクショントルクにブロック803で算出したオイル粘度補正係数を乗じ、それにブロック804で算出したポンプトルクを加えることでエンジンロストルクを算出する。ブロック807では、ブロック806で算出したエンジンロストルクに目標エンジン回転数,変換係数を乗じることでエンジンロス出力を算出する。
【0037】
図9は前述の図3の詳細なフローチャートの一例である。
【0038】
ステップ901でエアコンの稼動状態,ATのレンジ情報およびエンジン冷却水温センサから水温を読み込み、ステップ902で目標エンジン回転数を算出する。ステップ903でアイドル判定情報,車速,エンジン回転数を読み込み、目標エンジン回転数に収束させるためのフィードバック補正量を算出する。ステップ905で稼動に伴い電気負荷が発生する各デバイスの稼動状況を判断可能な信号を読み込み、ステップ906で学習結果の反映を許可する対象を判定する。ステップ907でラジエターファンモータ抵抗の学習結果の反映が許可されているかどうかを判断し、許可されている場合にはステップ908に遷移する。ステップ908でラジエターファンモータ抵抗の補正係数を算出する。ステップ909で先述のモータ抵抗補正係数に基づき、ラジエターファン消費電流の補正演算を行った上で、発生している電気負荷量合計を算出する。ステップ910でバッテリ充電効率の学習結果の反映が許可されているかどうかを判断し、許可されている場合にはステップ911に遷移する。ステップ911で単位時間あたりの充電容量に基づくバッテリ充電効率の補正係数を算出する。ステップ912で先述のバッテリ充電効率の補正を行った上で、バッテリ充電率を推定する。ステップ913でオルタネータ発電効率の学習結果の反映が許可されているかどうかを判断し、許可されている場合にはステップ914に遷移する。ステップ914で単位時間に発生できる電力に基づくオルタネータ発電効率の補正係数を算出する。ステップ915で先述のオルタネータ発電効率の補正を行った上で、オルタネータ負荷トルクを算出する。ステップ916で先述のオルタネータ負荷トルクに目標エンジン回転数を乗ずることでオルタネータ負荷出力を算出する。ステップ917でエアコン膨張弁の冷媒流量の学習結果の反映が許可されているかどうかを判断し、許可されている場合にはステップ918に遷移する。ステップ918でエアコンの膨張弁の冷媒流量補正係数を算出する。ステップ919で先述のエアコン膨張弁の冷媒流量の補正を行った上で、エアコン負荷トルクを算出する。ステップ920で先述のエアコン負荷トルクに目標エンジン回転数を乗ずることでエアコン負荷出力を算出する。ステップ921でATトルクコンバータ容量係数の学習結果の反映が許可されているかどうかを判断し、許可されている場合にはステップ922に遷移する。ステップ922でATトルクコンバータ容量係数補正係数を算出する。ステップ923で先述のATトルクコンバータ容量係数の補正を行った上で、ATトルクコンバータの負荷トルクを算出する。ステップ924で先述のATトルクコンバータ負荷トルクに目標エンジン回転数を乗ずることでATトルクコンバータ負荷出力を算出する。ステップ925でエンジンフリクション係数の学習結果の反映が許可されているかどうかを判断し、許可されている場合にはステップ926に遷移する。ステップ926でエンジンフリクション係数補正係数を算出する。ステップ927で先述のエンジンフリクション係数の補正を行った上で、エンジンロストルクを算出する。ステップ928で先述のエンジンロストルクに目標エンジン回転数を乗ずることでエンジンロス出力を算出する。ステップ929でパワステ稼動状態に基づき、パワステ負荷出力を算出する。ステップ930でフィードバック補正量,オルタネータ負荷出力,エアコン負荷出力,ATトルクコンバータ負荷出力,エンジンロス出力,パワステ負荷出力を合算し、アイドル状態を維持するために必要なアイドル負荷出力を算出する。
【0039】
図10は前述の図4の詳細なフローチャートの一例である。
【0040】
ステップ1001でオルタネータ発電電流から電気負荷電流を減じ、充電寄与電流量を算出する。ステップ1002でバッテリ充電率をもとにテーブル検索し、充電時バッテリ抵抗を算出する。ステップ1003でバッテリ充電率をもとにテーブル検索し、放電時バッテリ抵抗を算出する。ステップ1004でバッテリが充電状態かどうかを判定し、充電状態の場合には、ステップ1005に遷移し、バッテリ抵抗を充電時バッテリ抵抗とし、充電状態でない場合には、ステップ1006に遷移し、バッテリ抵抗を放電時バッテリ抵抗とする。ステップ1007で無負荷バッテリ電圧推定値を算出する。ステップ1008でステップ1001で算出した充電寄与電流量にステップ1005もしくは1006で算出したバッテリ抵抗を乗じ、それにステップ1007で算出した無負荷バッテリ電圧推定値を加えてバッテリ電圧推定値を算出する。ステップ1009でステップ1008で算出したバッテリ電圧推定値からステップ1007で算出した無負荷バッテリ電圧推定値を減じた結果をステップ1005もしくは1006で算出したバッテリ抵抗で除することでバッテリ電流を算出する。ステップ1010でバッテリ充電効率補正値を学習する。ステップ1011で前回のバッテリ充電量にステップ1009で算出したバッテリ電流量とステップ1008で算出したバッテリ電圧を乗じた値を加え、さらにステップ1010で算出した充電率補正を加えることで、バッテリ充電量を算出する。ステップ1012でステップ1011で算出したバッテリ充電量を最大充電量で除することで、バッテリ充電率を算出する。
【0041】
図11は前述の図5の詳細なフローチャートの一例である。
【0042】
ステップ1101でエンジン回転数にプーリー比を乗じ、オルタネータ回転数を算出する。ステップ1102でステップ1101で算出したオルタネータ回転数をもとにテーブル検索することで、最大発電量を算出する。ステップ1103でバッテリセンサ電圧からフィルタリング後バッテリ電圧を算出する。ステップ1104でバッテリセンサ電圧からオルタネータ駆動Dutyを算出する。ステップ1105でステップ1102で算出した最大発電量にステップ1103で算出したフィルタリング後バッテリ電圧を乗じ、それをバッテリ電圧推定値で除することでオルタネータ最大発電量を算出する。ステップ1106でステップ1105で算出したオルタネータ最大発電量にステップ1104で算出したオルタネータ駆動Dutyを乗じ発電電流を算出する。ステップ1107でステップ1101で算出したオルタネータ回転数にもとづき、テーブル検索することで発電効率を算出する。ステップ1108でオルタネータ発電効率学習が許可されているかどうかを判定する。許可されている場合は、ステップ1109に遷移し、許可されていない場合はステップ1110に遷移する。ステップ1109でオルタネータ発電効率補正係数を更新する。ステップ1110でステップ1106で算出した発電電流にバッテリ電圧を乗じ、それを1101で算出したオルタネータ回転数、ステップ1107で算出した発電効率とステップ1109で算出した発電効率補正係数の加算値で除し、オルタネータ負荷トルクを算出する。ステップ1111でステップ1110で算出したオルタネータ負荷トルクに目標エンジン回転数、変換係数を乗ずることでオルタネータ負荷出力を算出する。
【0043】
図12は前述の図6の詳細なフローチャートの一例である。
【0044】
ステップ1201で膨張弁流量学習が許可されているかどうかを判定する。許可されている場合は、ステップ1202に遷移し、許可されていない場合はステップ1203に遷移する。ステップ1202で膨張弁流量補正係数を更新する。ステップ1203でエバポレータ温度をもとにテーブル検索し、膨張弁流量を算出する。ステップ1204でエンジン回転数からコンプレッサ流量を算出する。ステップ1205でステップ1204で算出したコンプレッサ流量と、ステップ1202で算出した膨張弁流量補正係数とステップ1203で算出した膨張弁流量を加算したものを比較し、小さい方の値をコンプレッサ流量として出力する。ステップ1206でコンプレッサ出口圧にステップ1205で算出したコンプレッサ流量を乗じコンプレッサ入口圧を算出する。ステップ1207でコンプレッサ出口圧とステップ1206で算出したコンプレッサ入口圧にもとづき、マップを検索することで吸込み圧/吐出し圧比率を算出する。ステップ1208でエバポレータ温度にステップ1205で算出したコンプレッサ流量を乗じ、それにステップ1207で算出した吸込み圧/吐出し圧比率から1減算した値を乗ずることでコンプレッサ負荷出力を算出する。
【0045】
図13は前述の図7の詳細なフローチャートの一例である。
【0046】
ステップ1301でAT油温をもとにテーブル検索し、トルクコンバータ負荷係数を算出する。ステップ1302でAT油温をもとにテーブル検索し、DレンジからNレンジに移行時のタービンディレイタイマを算出する。ステップ1303でAT油温をもとにテーブル検索し、NレンジからDレンジに移行時のタービンディレイタイマを算出する。ステップ1304でAT油温をもとにテーブル検索し、Nレンジ時目標タービン回転算出用フリクション係数を算出する。ステップ1305でAT油温をもとにテーブル検索し、ディレイ後目標タービン回転算出用フリクション係数を算出する。ステップ1306でAT油温をもとにテーブル検索し、ディレイ中目標タービン回転算出用フリクション係数を算出する。ステップ1307でエンジン回転数にステップ1304で算出したNレンジ時目標タービン回転算出用フリクション係数を乗じてNレンジ時タービン回転数を算出する。ステップ1308でギアポジションからギアレシオを算出する。ステップ1309でステップ1308で算出したギアレシオに車速を乗じてDレンジ時タービン回転数を算出する。ステップ1310でDレンジからNレンジに移行かつAT解放状態、もしくはNレンジからDレンジに移行かつAT締結状態であるかどうかを判断し、先の条件を満たす場合にはステップ1311に遷移し、そうでない場合にはステップ1312に遷移する。ステップ1311でステップ1307で算出したNレンジ時タービン回転数にステップ1306で算出したディレイ中目標タービン回転算出用フリクション係数を乗じてタービン回転応答ディレイを算出する。ステップ1312でステップ1309で算出したDレンジ時タービン回転数にステップ1305で算出したディレイ後目標タービン回転算出用フリクション係数を乗じてタービン回転応答ディレイを算出する。ステップ1313でDレンジかどうかを判定し、Nレンジの場合はステップ1314へ遷移し、そうでない場合はステップ1315へ遷移する。ステップ1314でステップ1311あるいはステップ1312で算出したタービン回転応答ディレイと、ステップ1309で算出したDレンジ時タービン回転数を比較し、小さい方の値をタービン回転数として出力する。ステップ1315でステップ1311あるいはステップ1312で算出したタービン回転応答ディレイと、ステップ1307で算出したNレンジ時タービン回転数を比較し、小さい方の値をタービン回転数として出力する。ステップ1316でステップ1314あるいはステップ1315で算出したタービン回転数をエンジン回転数で除することで、トルクコンバータタービン/エンジン回転比を算出する。ステップ1317でトルクコンバータ容量係数学習が許可されているかどうかを判定する。許可されている場合は、ステップ1318に遷移し、許可されていない場合はステップ1320に遷移する。ステップ1318で低温時トルクコンバータ容量係数補正係数を算出する。ステップ1319で高温時トルクコンバータ容量係数補正係数を算出する。ステップ1320で1からステップ1316で算出したトルクコンバータタービン/エンジン回転比の2乗の値を減じ、その結果にステップ1301で算出したトルクコンバータ負荷係数、ステップ1318で算出した低温時トルクコンバータ容量係数補正係数を乗じ、さらにそこからステップ1319で算出した高温時トルクコンバータ容量係数補正係数を減じることでトルクコンバータ容量係数を算出する。ステップ1321、ステップ1320で算出したトルクコンバータ容量係数にエンジン回転数の2乗を乗じることでAT負荷トルクを算出する。ステップ1322、ステップ1321で算出したAT負荷トルクに目標回転数,変換係数を乗ずることでAT負荷出力を算出する。
【0047】
図14は前述の図8の詳細なフローチャートの一例である。
【0048】
ステップ1401でフリクション補正係数1学習が許可されているかどうかを判定する。許可されている場合は、ステップ1402に遷移し、許可されていない場合はステップ1403に遷移する。ステップ1402でフリクション補正係数1を更新する。ステップ1403でフリクション補正係数2学習が許可されているかどうかを判定する。許可されている場合は、ステップ1404に遷移し、許可されていない場合はステップ1405に遷移する。ステップ1404でフリクション補正係数2を更新する。ステップ1405、ステップ1402で算出したフリクション補正係数1に353を乗じ、その結果をエンジン油温で除したものにステップ1404で算出したフリクション補正係数2を加えてオイル粘度補正係数を算出する。ステップ1406で0.079548に101.3から吸気管圧力を減じた値、排気量を乗じてポンプトルクを算出する。ステップ1407で圧力補正係数に吸気管圧力、7.7を乗じ、そこからオフセット補正値を減じ、目標回転補正に目標回転数を乗じた値を加え、その結果に排気量、0.007799を乗じることでフリクショントルクを算出する。ステップ1408でステップ1407で算出したフリクショントルクにステップ1405で算出したオイル粘度補正係数を乗じ、その結果にステップ1406で算出したポンプトルクを加えてエンジンロストルクを算出する。ステップ1409、ステップ1408で算出したエンジンロストルクに目標回転数、変換係数を乗じてエンジンロス出力を算出する。
【0049】
以上、本発明の一実施形態について、詳述したが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。また、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
101 空気量センサ(エアフローセンサ)
102 吸気温センサ
103 スロットルセンサ
104 スロットルボディ
105 インテークコレクタ(サージタンク)
106 吸気分岐管
107 EGRバルブ
108 燃料噴射弁
109 吸気弁機構
110 点火コイル
111 排気弁機構
112 電子制御装置(ECU)
113 空燃比センサ
114 水温センサ
115 酸素センサ
116 内燃機関
117 クランク角センサ
118 燃料タンク
119 燃料ポンプ
120 キャニスタ
121 燃料配管
122 プレッシャレギュレータ
123 パージバルブ
201 センサ類
202 入力信号
203 入力回路
204 A/D変換部
205 CPU
206 信号線
207 ROM
208 制御ロジック
209 RAM
210 出力回路
211 制御出力信号
212 アクチュエータ類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のアイドル回転数を保持するために必要なエンジン出力を、負荷の変化に伴い、当該負荷の要素となるエンジンのロストルク、補機類の駆動負荷を個別に物理モデルにより推定し、かつ前記補機類は、エアーコンディショナーとオルタネータとATトルクコンバータとを含み、
前記物理モデルはエンジン出力と駆動負荷推定量による学習機能を備えるとともに、前記駆動負荷の推定値に基づいてエンジン出力補正量を演算し、アイドル回転数を制御するアイドル回転数の制御装置において、
前記エアーコンディショナーの物理モデルは、推定した駆動負荷と、当該駆動負荷から算出したエンジン出力補正量の状態に応じて、膨張弁流量を補正学習し、
前記オルタネータの物理モデルは、バッテリを模擬した物理モデルと連動し、推定した駆動負荷と、当該駆動負荷から算出したエンジン出力補正量の状態に応じて、バッテリ物理モデルのバッテリ充電率および、オルタネータ物理モデルの発電効率を補正学習し、
前記ATトルクコンバータの物理モデルは、推定した駆動負荷と、当該駆動負荷から算出したエンジン出力補正量の状態に応じて、トルクコンバータ容量係数を補正学習し、
前記エンジンのフリクションの物理モデルは、推定した駆動負荷と、当該駆動負荷から算出したエンジン出力補正量の状態に応じて、エンジンオイル粘度係数を補正学習することを特徴とする。
【請求項2】
エアーコンディショナーが稼動され、かつ、エンジン出力補正量が所定値より大きい時は膨張弁流量を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時は膨張弁流量を加算補正することを特徴とした請求項1記載のエアーコンディショナー物理モデル。
【請求項3】
電気負荷が入力され、かつ、エンジン出力補正量が所定値より大きい時はオルタネータ発電効率を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はオルタネータ発電効率を加算補正することを特徴とした請求項1記載のオルタネータ物理モデル。
【請求項4】
電気負荷が入力され、かつ、エンジン出力補正量が所定値より大きい時はバッテリ充電率を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はバッテリ充電率を加算補正することを特徴とした請求項1記載のバッテリ物理モデル。
【請求項5】
NレンジからDレンジに操作されるなどATトルクコンバータへの負荷が入力され、かつ、エンジン出力補正量が所定値より大きい時はトルクコンバータ容量係数を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はトルクコンバータ容量係数を加算補正することを特徴とした請求項1記載のATトルクコンバータ物理モデル。
【請求項6】
AT油温が所定値より小さい時は、低温側のトルクコンバータ容量係数のみを補正し、AT油温が所定値より大きい時は、高温側のトルクコンバータ容量係数のみを補正することを特徴とした請求項5記載のATトルクコンバータ物理モデル。
【請求項7】
補機類の負荷が入力されておらず、かつ、エンジン出力補正量が所定値より大きい時はエンジンオイル粘度係数を減算補正し、エンジン出力補正量が所定値より小さい時はエンジンオイル粘度係数を加算補正することを特徴とした請求項1記載のエンジンのロストルク算出物理モデル。
【請求項8】
エンジン油温が所定値より小さい時は、低温側の第一のエンジンオイル粘度係数のみを補正し、エンジン油温が所定値より大きい時は、高温側の第二のエンジンオイル粘度係数のみを補正することを特徴とした請求項7記載のエンジンのロストルク算出物理モデル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−47276(P2011−47276A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193775(P2009−193775)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】