説明

インサート成形物及びその成形方法

【課題】反りなどの不良の発生を抑制でき、生産コストの更なる低減を可能とするインサート成形物およびその成形方法を提供すること。
【解決手段】平板状のインサート物を、上下両面からサポートピンで成型用型内の空間の所定位置に挟持し、左右両端から溶融樹脂を注入して、サポートピンなしで保持可能な時点でサポートピン先端を成形面まで後退させ、樹脂の充填を完了し、樹脂を固化させて、インサート成形物を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状のインサート物と、該インサート物を樹脂層内に隠蔽状態で一体化する樹脂層と、を有するインサート成形物およびその成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、ダイオード、コンデンサー等の電子部品を樹脂層中に封止して保護したモールド製品が電子機器中で多用されている。このようなモールド製品を製造する方法として、インサート成形法が用いられている。インサート成形法としては、成形用型内の空間に、インサート物を保持部材により保持した状態で樹脂を充填してインサート物全体を覆う樹脂層を形成し、これを硬化させてインサート成形物を得る方法である。この方法で型から得られるインサート成形物は、保持部材が結合した状態にあり、完成品を得るには、保持部材を切除する工程が必要となる。そこで、保持部材の代わりに、エジェクタピンを用いて成型に用いる部品数を減らし、生産コストを下げる方法として、特開昭58−141533号公報には、インサート物品を上下型間のキャビティ内に、エジェクタピンで下面を支持したインサート物品を保持し、熱硬化性樹脂の注入時、あるいは若干タイミングをずらしてエジャクタピンを成形面まで引き戻して成形を行うインサート成形方法が開示されている。この公報には、インサート物品をその側面の出力端子と下面のエジャクタピンで保持する場合と、下面に設けた複数のエジャクタピンで保持する場合について開示されている。また、この公報では熱硬化性樹脂の注入は、インサート物品の下面側から先に充填されるようにして行われている。
【0003】
一方、特開平5−21492号公報、特開平9−76282号公報、特開平9−216254号公報、特開平11−254476号公報及び特開平11−254478号公報にも、インサートする物品を成形空間内に保持部材あるいは支持部材により保持し、溶融樹脂を充填し、次いで、保持部材を成形空間から後退させ、更に樹脂を充填させるインサート成形方法について開示されている。これらの公報に記載される成形方法では、保持部材あるいは支持部材でインサート物品を保持した状態で成型用型内の空間全体を樹脂で充填して、インサート物品の位置を確保してから保持部材あるいは支持部材を成形面まで後退させるとともに、この後退により生じる空間の分の樹脂を更に充填する方法が採用されている。なお、特開平9−76282号公報、特開平9−216254号公報、特開平11−254476号公報及び特開平11−254478号公報には、インサート物品の上下の両面に保持部材あるいは支持部材を用いる点が開示されている。
【特許文献1】特開昭58−141533号公報
【特許文献2】特開平5−21492号公報
【特許文献3】特開平9−76282号公報
【特許文献4】特開平9−216254号公報
【特許文献5】特開平11−254476号公報
【特許文献6】特開平11−254478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品などを樹脂層で封止したインサート形成物の成形において、反りやインサート物の露出などを有する不良品の発生頻度をできるだけ低減すること、すなわち製造歩留りを上げることが、製品コストを更に低減する上で重要となってきている。特に、平板状のインサート成形物においては、その使用目的によっては、反りの発生については厳格な基準が設けられる場合が多い。
【0005】
そこで、本発明は、かかるインサート成形物に対する要求に対応でき、反りなどの不良の発生を抑制でき、生産コストの更なる低減を可能とするインサート成形物およびその成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるインサート成形物の成形方法は、平板状のインサート物と、該インサート物を内包して隠蔽状態で一体化する樹脂層を有する平板状のインサート成形物の成形方法であって、
(1)平板状の基板と、該基板の上面及び下面の少なくとも一方に設けられた平板状の凸部とを有するインサート物を用意する工程と、
(2)インサート成形用型内に、前記インサート物を、その上面側と下面側で対向するサポートピンで挟み込み、成形空間内に支持する工程と、
(3)前記成形空間内へ樹脂を充填し、前記成形空間内の全てあるいは部分的に樹脂が充填され、かつ前記サポートピンなしで前記インサート物の前記成形用空間内での保持が可能となった状態で、前記サポートピンの先端の成形面までの後退を上下で同時に開始させるとともに、前記サポートピンの後退により形成される空間内へ樹脂を充填する工程と、
(4)前記サポートピンの先端の成形面までの後退が完了した状態で、
かつ、保圧完了後、
該樹脂を硬化させて、インサート成形品を得る工程と、
(5)前記インサート成形品を前記インサート成形用型外に回収する工程と、
を有することを特徴とする平板状のインサート成形物の成形方法である。
【0007】
本発明のインサート成形物は、上記の成形方法により成形されたことを特徴とするインサート成形物である。
【0008】
また、本発明のインサート成形品の他の態様は、平板状のインサート物と、該インサート物を内包して隠蔽状態で一体化する樹脂層と、を有する平板状のインサート成形物であって、
前記平板状のインサート物は、平板状の基板と、該基板の上面及び下面の少なくとも一方に設けられた平板状の凸部の1以上と、を有し、
前記凸部の表面に設けられた樹脂層の厚さ(tC)が、0.1mm以上であり、
前記基板の上面の凸部のない面に形成された樹脂層の厚さ(ta0)と、前記基板の下面の凸部のない面に形成された樹脂層の厚さ(tb0)との比(ta0/tb0)が、1/0.5〜0.5/1であり、
かつ、前記基板の上面の全面にある樹脂層の体積をVa0、前記基板の下面の全面にある樹脂層の体積をVb0としたときに、これらの比(Vb0/Va0)が1/0.5〜0.5/1である
ことを特徴とするインサート成形物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反りなどの不良の発生を抑制でき、生産コストの更なる低減を可能とするインサート成形物およびその成形方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のインサート成形物は、少なくとも、平板状のインサート物と、インサート物を内包して隠蔽状態で一体化する樹脂層と、を有して構成される。インサート物はその全体を被覆する樹脂層により隠蔽され、目では見えないようになっている。すなわち、樹脂層は、遮光性または透光性の低い層として形成される。インサート物は、平板状の基板と、基板の上面及び下面の少なくとも一方の一部に設けられた平板状の凸部を有する。凸部の表面(基板面から突出した面)は基板の凸部が設けられている面と対向し、これらは概ね平行である。
【0011】
基板の上面と下面の両方に凸部を設けた場合のインサート成形物の一例を図1に模式的に示す。図1(a)はインサート物の凸部を有する面の平面図(上面図)であり、インサート物が見えるものとして示したものである。図1(b)は、図1(a)のA−A線での断面図である。図1(c)はインサート物の凸部を有する面の下面図であり、インサート物が見えるものとして示したものである。このインサート成形物は、基板2の上面に2つの凸部a1及びa2を有し、下面に凸部b1及びb2を有するインサート物を、樹脂層1で一体化して平板状に成形したものである。
【0012】
インサート成形物の厚さはT1で表される。インサート物の基板2は厚さT2を有し、凸部a1、a2、b1及びb2の厚さ(高さ)は、それぞれTa1、Ta2、Tb1及びTb2で表される。各凸部表面の面積は、Sa1、Sa2、Sb1、Sb2で表される。基板の上面及び下面の凸部がない状態での面積はS0である。
【0013】
インサート物の平面方向での位置はインサート成形物の中央に位置し、それぞれの縁部に沿った樹脂層の厚さはt5及びt4で表される(図1(a)参照)。
【0014】
基板2の上下面におけるインサート物が設けられていない面の上での樹脂層の厚さは、それぞれta0及びtb0である。また、各凸部上の樹脂層の厚さは、ta1、ta2(不図示)、tb1、tb2(不図示)で表される。
【0015】
図1では基板の上下面の両方に2つの凸部を設けた例を示したが、凸部の数は目的に応じて種々選択できる。
【0016】
基板の上面にm個(mは1以上の整数である)の凸部を設け、下面にn個(nは1以上の整数:nとmは同じでも異なっていてもよく、また、上面及び下面のいずれか一方のみに凸部がある場合であるn及びmの一方が0であってもよい)の凸部を設けた場合には、各凸部を以下のように規定することができる。
基板上面の凸部:a1、a2、ai・・・am
基板下面の凸部:b1、b2、bj・・・bn
基板上面の各凸部の上面の面積:Sa1、Sa2、Sai・・・Sam
基板下面の各凸部の下面の面積:Sb1、Sb2、Sbj・・・Sbn
基板上面の各凸部上の樹脂層の厚さ:tca1、tca2、tcai・・・tcam
基板下面の各凸部下の樹脂層の厚さ:tcb1、tcb2、tcbj・・・tcbn
基板上面の各凸部の高さ:Ta1、Ta2、Tai・・・Tam
基板下面の各凸部の高さ:Tb1、Tb2、Tbj・・・Tbn
上記の定義を用いて、基板上面全面にある樹脂量(Va0)と、基板下面全面にある樹脂量(Vb0)は、以下の条件を満たす。
・基板上面の各凸部上の樹脂層の厚さ(tca1、tca2、tcai・・・tcam)及び基板下面の各凸部下の樹脂層の厚さ(tcb1、tcb2、tcbj・・・tcbn)は少なくとも0.1mmである。
・以下の式(4)〜(6)を満たす。
Va0=(S0−ΣSai)×ta0+Σ(Sai×tcai)・・・式(4)
ここで、Σはi=1〜mの総和をあらわす。
Vb0=(S0−ΣSbj)×tb0+Σ(Sbj×tcbj)・・・式(5)
ここで、Σはj=1〜nの総和をあらわす。
1/0.5≦Vb0/Va0≦0.5/1・・・式(6)
式(6)は1/0.8≦Vb0/Va0≦0.8/1であることが好ましい。
【0017】
基板上面のみに凸部を設けた場合のインサート成形物の一例を図2に模式的に示す。図2(a)はインサート物の凸部を有する面の平面図(上面図)であり、インサート物が見えるものとして示したものである。図2(b)は、図2(a)のA−A線での断面図である。このインサート成形物は、基板2と凸部a1とからなるインサート物を、樹脂層1で一体化して平板状に成形したものである。凸部a1は、基板2の下面のみ、あるいは上下面の両方に設けることができ、凸部を有する各面における好ましい態様として、以下の説明における上面での好ましい態様を同様に用いることができる。
【0018】
図1(b)に示す凸部a1の上面に設けられた樹脂層の厚さ(ta1)は、0.1mm以上で、0.3mm以上が好ましく、0.5mmあることが更に好ましい。更に、基板の下面の樹脂層の厚さ(tb0)と、基板の上面の樹脂層の厚さ(ta0)と、の比(ta0/tb0)が、1/0.5〜0.5/1であり、かつ、前記凸部の上面の樹脂層の厚さをtca1、凸部の上面の面積をSa1、基板の上面および下面の面積(凸部のない状態)をS0としたときに、基板の上面の全面にある樹脂層の体積Va0と、前記基板の下面の全面にある樹脂層の体積Vb0とが以下の式(7)〜(9):
Va0=Sa1×tca1+(S0−Sa1)×ta0 (7)
Vb0=S0×tb0 (8)
1/0.5≦Vb0/Va0≦0.5/1 (9)
を満たすことが好ましい。
更に好ましくは、
1/0.8≦Vb0/Va0≦0.8/1
とする。
【0019】
図1及び2に示す樹脂層の厚さ(幅)については、tb0=0.5mm〜5mm、ta0=0.5〜5mm、tc(tca1〜tcam、tcb0〜tcbn)=0.1mm〜5mm、t4,t5=0.5mm〜5mmの各範囲から選択することがより好ましい。
【0020】
平板状のインサート物としては特に限定されないが、以下の要件(1)及び(2)を満たすものが好ましい。
(1)樹脂の成形収縮率による収縮量と成形時のインサート物の収縮量の差が、樹脂の破断点伸度以内。
(2)インサート物の熱膨張係数の樹脂の熱膨張係数との差からくる製品保証温度範囲での膨張量の差は、樹脂の破断点伸度以内である。
【0021】
インサート物としては、例えば、ガラス板、金属板、セラミック板、樹脂板、これらの基板材料の複合材料からなる基板(例えばガラスエポキシ基板)などからなる基板の上下の面の少なくとも一方の面に平板状のIC回路基板が凸部として一体化されて載置された構成のものが好ましい。基板には、所望に応じて位置合わせ用など種々の目的のための貫通孔、窪み、溝などが設けられていてもよい。
【0022】
樹脂層を形成するための樹脂としては、従来公知のものを広く使用でき、好ましい具体例としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン,シクロオレフィン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合樹脂、ABS樹脂、ポリアセタ-ル、ポリアミド6,66,11,12,MXD6,9T,46等のポリアミド樹脂、ポリフタルアミド、変性ポリアミド6T、ポリカ-ボネト、PBT、PET、PCT、ポリエチレンナフタレ-ト等の熱可塑性ポリエステル、変性PPE樹脂、PPS樹脂、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)、LCP(液晶ポリマ-)、ポリアリレ-ト、ポリサルフォン、ポリエ-テルサルフォン、ポリフェニレンサルフォン、ポリケトン、PEEK、ポリイミド、 ポリエ-テルイミド、TPI等を挙げることができる。
【0023】
更に、ポリマーアロイとして、ポリカーボネートとABS樹脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレン等、数種類の異なった樹脂を予め複合したものを用いても良い。また、本発明の成形材料には、本発明の効果が損なわれない範囲で、ガラス繊維、チタン酸カリウム繊維、セラミック繊維、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化鉄、雲母、アスベスト、セラミック、ガラスビーズ、ガラスパウダー、タルク、マイカ、等の強化充填剤をはじめ、結晶核剤、顔料、染料、可塑剤、離型剤、滑剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、難燃剤、カップリング剤、等の慣用の補助成分を含有しても良い。
【0024】
インサート物とインサート成形物との好ましい大きさの関係を図2及び3に示すX1、Y1、T1をそれぞれ、X1=2〜120mm、Y1=2〜120mm、T1=1〜20mmの各範囲から選択することが好ましい。
【0025】
インサート成形物の成形用型としては、サポートピンの位置を移動可能とした型であれば、上型と下型とからなる型など種々の形式の型を利用できる。本発明にかかる成形方法の一例を図3及び図4を用いて説明する。
【0026】
図3は、インサート物を成形用型内に保持した状態を模式的に示す平面図である。図4(a)は、サポートピンの部分が見えるように修正した図3のA−A線の断面図である。
【0027】
これらの図に示すように、インサート物の凸部a1が上面を向くようにして、対向する一対のサポートピン6a及び6bにより挟持して型内に保持する。図示した例では、対向する一対のサポートピン6a及び6bを4組設けてサポート物を保持している。すなわち、インサート物はサポートのみにより型内に保持されている。
【0028】
一対のサポートピン6a及び6bが押圧している基板2の領域は、その上下面において互いに緩衝する位置に設けられている。すなわち、基板2の上面側のサポートピン6aの先端が基板2と接触している領域を、そのまま垂直方向に投影した際に、投影された輪郭が、下面側のサポートピン6bの先端が基板2と接触している領域と重複する部分を有するようにこれらが対向して設けられる。例えば、上下一組の同一形状のサポートピンを同軸に配置することができる。
【0029】
対向する一対のサポートピン6a及び6bの一方を、基板を一定の圧力で押しつけるサポートピンとし、他方のサポートピンを位置調整可能に固定した構成とすると、サポート物の成形用型内での位置の調整をする上で極めて好都合である。位置調整可能に固定したサポートピンは、例えば0.01mm刻みで固定位置を変更可能に設けることが好ましい。サポートピン6bを一定の圧力で基板を押す構成とし、サポートピン6aを0.01mm刻みで位置固定可能な構成とすることで、各サポートピン6aの位置を変更した際にそれに追従してサポートピン6bが基板を押しながら位置移動するので、インサート物のサポートピンでの挟持状態を維持しつつ、成形用型内でのインサート物の位置あわせをすることができる。また、サポートピンでインサート物を挟持する際に、サポートピン6b上のみにインサート物を載せた状態で、サポートピン6aの位置を調整して、インサート物を挟持することで、基板の厚さに応じた位置でサポートピン6aの固定位置を確保でき、厚さが異なる基板サポート物を処理する場合に好適である。
【0030】
成形用型内の空間5内に、インサート物をサポートピンにより挟持して、図2(b)で示す所定のtca1、ta0及びtb0が得られる位置に固定する。図2(b)及び図5の模式的側面部分図に示すように、インサート物の側面に位置決め用の溝8を設けておき、サポートピンの先端に突起6a−1、6b−1を形成し、これらを嵌合させることで、インサート物の水平方向の位置決めが容易となる。なお、位置合せ用の突起は、上下一対のサポートピンの少なくとも一方に設ければよく、例えば突起6b−1のみでもよい。一方のみに突起を設けた場合は、突起のない側の基板面には溝8を設ける必要はない。
【0031】
サポートピンとしては、図示したような円柱状の丸ピン、断面が楕円である楕円ピン、断面が矩形(長方形など)である角ピン、等の種々の形状のものを利用できる。更に、インサート物の位置決めリブ等を持つ2段ピンや偏芯ピン等でもよい。
【0032】
サポートピンの対数は、少なくとも2対とすることが好ましく、2対用いる場合における配置の一例を図10(a)および(b)に示す。なお、対数の上限は特になく、インサート物の大きさなどに応じて適宜設定することができる。
【0033】
成形装置には、成形用型内の空間内でのサポートピンによるインサート物の保持位置及び注入樹脂量およびV−P切替位置の少なくも一方を、基板の厚みに応じて自動制御手段により自動制御できる構成とするとよい。この自動制御手段は、インサート物の基板及び凸部の厚み、更には基板や凸部の体積(幅や長さ)のデータを入力することで、サポートピン先端の位置や注入樹脂量を自動計算する手段を用いることができる。
【0034】
V−P切替位置とサポートピンの動作との関連の一例を樹脂注入速度(v1〜v5)とともに、図6〜図8に示す。サポートピンの後退完了時は保圧段階へのV−P切替位置よりも前でも後でもよく、所望とする成形操作に応じて適宜選択できる。図6に示す例の場合、v3=0、空間を全て樹脂で充填した段階とV−P切替位置をほぼ同時とすることが好ましい。また、図8に示す例の場合、実質的にv2=0、サポートピン後退開始とV−P切替位置をほぼ同時とすることが好ましい。なお、型内の温度制御は定法により行うことができ、所望とする成形操作に応じて適宜選択できる。
【0035】
射出成形に使用するインサート物の位置や樹脂の注入量の計算式としてはサポートピンの体積を考慮した以下の規定を用いることもできる。
・凸部の表面に設けられた樹脂層の厚さ(tc)が、0.1mm以上。
・基板の上面の凸部のない面に形成された樹脂層の厚さ(ta0)と、基板の下面の凸部のない面に形成された樹脂層の厚さ(tb0)との比(ta0/tb0)が、1/0.5〜0.5/1。
・基板の上面の全面に注入可能な樹脂層の体積をVaS、基板の下面の全面に全面に注入可能な樹脂層の体積をVbS、基板上側のサポートピンの全体積をVsp1、基板下側のサポートピンの全体積をVsp2としたときに、基板の上面の全面に前記サポートピンがない状態で注入可能な樹脂層の体積Va0と、基板の下面の全面に前記サポートピンがない状態で注入可能な樹脂層の体積Vb0とが以下の式(1)〜(3)を満たす。
aS=Va0−Vsp1 (1)
bS=Vb0−Vsp2 (2)
0.8≦VaS/VbS≦1.2 (3)
上記の式(1)〜(3)の規定を先の式(4)〜(6)において用いた定義に従って表すと、以下のとおりである。
aS=(S0−ΣSai)×ta0+Σ(Sai×tai)−Vsp1 ・・・式(11)
ここで、Σはi=1〜mの総和をあらわす。
bS=(S0−ΣSbj)×tb0+Σ(Sbj×tbj)−Vsp2 ・・・式(12)
ここで、Σはj=1〜nの総和をあらわす。
0.8≦Vbs/Vas≦1.2 ・・・式(13)
なお、基板の片面のみに凸部を設ける場合(図2参照)の式(1)〜(3)は以下のとおりである。
Vas=(S0−Sa1)×ta0+Sa1×tca1−Vsp1・・・(14)
Vbs=S0×tb0−Vsp2・・・(15)
0.8≦Vbs/Vas≦1.2・・・式(16)
その際、自動制御用のパラメータである「インサート物の厚さ(図2(b):T2(またはT2+Ta1))と、tb0(またはta0)およびV−P切替位置との関数」を作成する。これらの関数を事前に手動成形にて作成、及び/または、自動制御成形にて補正して、自動制御用の計算式を設定することができる。
【0036】
この状態で、ゲート4から樹脂(樹脂組成物)を注入して、充填を開始する。樹脂の注入は、図示したように、基板2の長手方向に交差する側面に対向する位置、好ましくは、基板2の厚さにおける中心軸上に注入口が基板側面の幅一杯に添って設けられていることは好ましい。このようなゲート位置から樹脂を注入すると、基板2の長手方向の両側面、並びに、上面側及び下面側に樹脂が充填される。充填が進み、図4(b)のように、サポートピンなしでインサート物を所定位置に保持可能となった時点でサポートピンの後退を開始させる。
【0037】
保持可能な時点とは、基板上面および下面とそれぞれに対面する金型との間に樹脂が連続存在状態で、それ以上の樹脂注入をしなくても、インサート物がサポートピン無しで(金型面に接触せずにいる状態で)保持でき、かつ、インサート物に変形(たわみ等)がない状態をいう。この状態を得るまでの樹脂量としては、「サポートピンなしインサート物を所定位置に保持できる最小限の量」から「サポートピンでインサート物を保持した状態のまま金型内の空間を樹脂で埋め尽くす量」までの範囲から選択できる。
【0038】
なお、サポートピン移動後型内で樹脂が流動する為わずかながら基板も移動する可能性がある。この移動の発生の有無や程度は、樹脂の粘度(流動性)により異なる為、成形品で主に以下の2点を確認し、サポートピンを抜きタイミングを決定することが好ましい。
(1)成形品のウエルド(中央部樹脂合流部分)の状態
(2)成形品内のインサート物の位置・状態(断面確認)
サポートピンの後退開始時における各サポートピンの動作は、本発明の目的とする反り防止等の効果が得られるように設定される。
【0039】
インサート物の基板を所定位置で対向して挟持する上下の一対のサポートピンは、上下で同時に後退開始させる。
【0040】
更に、全てのサポートピンの後退を同時に開始させたり、中央付近のサポートピンの後退を先に開始し、ゲートに近いものをその後で後退開させる等、製品に応じサポートピンの動作タイミングを任意に設定することができる。2段動作を行う場合のサポートピンの追加配置の一例が図2に示されている。インサート物2の縁部に設けられた4組のサポートピンのみを用いて一段動作を行うことができ、更に、凸部a1の周囲に3組の追加のサポートピンを配置して、この追加のサポートピンを先に後退させてから、縁部の4組のサポートピンをその後に後退させて、2段動作によるサポートピンの後退を行うことができる。
【0041】
サポートピンの後退完了時期は、所望とする成形プロセスに応じて適宜設定可能である。例えば、各サポートピンを同時に後退開始させた場合の関係を以下のようにすることができる。
(1)サポートピンの後退速度を均一(一定)にして、異なる長さのサポートピン間で後退完了位置に到達する間でタイミングに差をつける。
(2)サポートピンの後退速度を上側(v上)と下側(v下)で差をつけ、{例えば(v下)=(v上)*tb0/ta0}とし後退完了時が同時になるようにする。
(3)サポートピンの後退速度を上側(v上)と下側(v下)で差をつけ、異なる長さのサポートピン間で後退完了位置に到達する間でタイミングに差をつける。例えば、下側(v下)を上記(1)の場合と、上記(2)の場合の間の速度とし、下側のサポートピンの後退を上側のサポートピンよりも先に完了させる。
【0042】
ta0(上)=1.2mm、tb0(下)=1.0mmの場合、(v下)は(v上)〜(v上)*1/1.2}の範囲で設定することができる。
【0043】
また、上下のサポートピンの動作を同時に行うことで、反りの発生をより効果的に防止することができる。なお、各サポートピンの後退速度は、一定でなくともよく、後退期間中で可変としてもよい、
図示した例では、サポートピンの後退の開始時には、成形用型内の空間は部分的に樹脂1により充填された状態にあり、中央部7を含む領域は未充填領域としての空間として残されている。すなわち、左右両側から同時に樹脂の注入が、設定速度(例えば短時間当たりの樹脂量)で行われるので、中央部7を含む空間が残され、それ以外の部分に樹脂が充填され、結果的にサポート物の左右両端部が樹脂により保持された状態が得られる。サポートピンの引き抜き開始直後の状態を図4(c)に示す。
【0044】
サポートピンの引き抜き速度は、樹脂の注入速度との関係で調整することができる。サポートピン先端の成形面(製品端面)までの後退が完了し、かつ、樹脂の成形用型内空間全体への充填が完了した状態を図4(d)に示す。図示した例では、樹脂の充填は、成形用型内の中央部で、左右両方から充填されてきた樹脂が合わさることにより完了する。サポートピンの後退速度は、サポートピンの後退時の移動により形成される単位時間あたりの空間体積が、単位時間あたりの樹脂注入体積よりも小さくなるように設定されることが好ましい。かかる設定は、サポートピンの後退速度及び樹脂の注入速度の少なくとも一方を調節することにより可能となる。
【0045】
樹脂の注入速度(射出速度;保持圧力;保圧速度)を任意に設定可能としておき、注入速度を適宜調節可能としておくことが好ましい。
【0046】
型内での樹脂の最終充填完了位置は、インサート物の上面及び/または下面の中央部7に設定することが好ましい。
【0047】
サポートピンの成形面までの後退が完了し、かつ成形用型内の空間の全てが溶融樹脂で充填された時点(保圧完了時点)で、樹脂を固化させて、インサート成形物を得ることができる。加熱溶融させることで流動性を持つ樹脂組成物を利用した場合は、型内を溶融樹脂の固化が得られる温度に維持し、樹脂が取り出し可能な状態まで固化するのを待ってから取出す。
【0048】
図3に示すように、ゲート幅W1はインサート物の幅Y2を超えなければよい。W1=Y2とすることが好ましいが、型の設計上の観点から、本発明の効果が得られる範囲内で、W1<Y2としてもよい。また、ゲート厚さd1はインサート物の厚さT2を超えない範囲とされる。d1=T2とすることが好ましいが、型の設計上の観点から、本発明の効果が得られる範囲内で、d1<T2としてもよい。
【0049】
以上、基板上面に凸部を設けたインサート物を、その基板の上面を上方に向けて型内に配置した例を、図1等を参照して説明したが、図2に示した例においてインサート物の上下を逆にして、すなわち、基板の凸部が設けられている面を下方に向けて型内に配置して上記と同様にしてインサート成形物を得ることができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【0051】
なお、反りの測定は、得られたインサート成形物の断面を工具顕微鏡を用いて計測し、図9に示す距離の最大値(Lmax)を用いて判断した。このLmaxが0.1mm以下であれば、そりのない状態と判断できる。
【0052】
実施例1
インサート物として図2に示す各部の大きさが以下のものを用いた。なお、基板はガラスエポキシ基板であり、凸部は、平板状のIC回路チップである。
X2=48mm
Y2=23mm
T2=3.3mm
X3=8mm
Y3=8mm
Ta1=0.5mm
インサート成形物のサイズは以下のとおりである。
X1=51mm
Y1=25mm
T1=5.4mm
上記のサイズのインサート成形物が得られるように設計された成形用型を用意し、インサート物を型内に配置して、図2に示すように4組のサポートピンにこれを挟持して、位置を固定した。その際の隙間は以下のように設定した。サポートピン保持圧力は15〜35MPa程度から選択した。
tb0=1mm
ta0=1.1mm
tca1=0.6mm
t4=1.5mm
t5=1mm
また、サポートピンはΦ4mmのものを上下格本(4対)使用した。
この場合、
(tb0/ta0)=0.91、
Vsp1=55.3mm3、Vsp2=50.2mm3、(Vbs/Vas)=0.935(=1054/1127)である。
【0053】
また、ゲートの形状は矩形とし、W1=22mm、d1=0.4mmである。
【0054】
ゲートから樹脂(商品名:PEEK90GL30(Victrex))を溶融状態で注入し、サポートピンでインサート物を保持した状態で金型内を樹脂で全充填した状態で全サポートピンを同時に引き始めた。各サポートピンの後退速度を均一とした。全サポートピン先端の成形面への後退が完了した状態で、かつ、樹脂充填が完了(保圧が完了)した段階で、型内で樹脂の温度を降下させて、溶融樹樹脂を固化させてインサート成形物を得た。得られたインサート成形物のそりを測定したところ、Lmax=0.1mm以下であり、そりは観察されなかった。なお、成形時(保圧完了まで)の樹脂温度及び型内の温度は、樹脂温度は370〜420℃、金型温度170〜210℃の範囲内で定法により設定した。
【0055】
なお、上記成形プロセスにおいて以下の条件を採用した。
・サポートピン後退速度:0.9mm/sec〜1.5mm/sec(0.04mL/sec〜0.05mL/sec)
・サポートピン径:Φ4mm×4本
・樹脂注入速度(空間を全て樹脂で充填(サホ゜ートヒ゜ン移動中)/V-P切替前):10〜20mL/sec。
・樹脂注入速度(空間を全て樹脂で充填(サホ゜ートヒ゜ン移動中)/V-P切替後):MAX6.3mL/sec
また、原料としてPEEK、インサート物(ガラスエポキシ基板)、成形後のPEEKの物性は以下のとおりである。
・PEEK
成形収縮率;0.4〜1.0%、線膨張係数22*10-6/K、破断点伸度:2%
・ガラスエポキシ基板
線膨張係数;縦/横/高=10〜16×10-6/10〜16×10-6/60×10-6/K
・製品樹脂(PEEK)とインサート物(ガラエポ)との伸びの差(成形時)
成形時のインサート物の到達温度を200℃と仮定し算出したところ、伸びの差(X/Y/T)=0.3%以下/0.4%以下/0.7%以下であった。この計算結果はPEEK破断点伸度2%を下回る。
・製品樹脂(PEEK)とインサート物(ガラエポ)との伸びの差(熱膨張)
保存時の温度が常温に対し−70〜+150℃と仮定し算出した。伸びの差(+150℃)(X/Y/T)=-0.1〜0%/-0.1〜0%/0.6%以下、伸びの差(−70℃)(X/Y/T)=0.1%以下/0.1%以下/-0.3〜0%となり、計算結果がPEEK破断点伸度2%を下回る。
【0056】
実施例2
図6に示すフロー(v3=0)に従って、型内の中央部(図4において7で示される部分)に型内空間の5%が空間として残されている状態(樹脂充填率95%)で、サポートピンの後退を開始させ、残りの空間が全て樹脂で充填されたところで、V−P切替を行う以外は、実施例1と同様にしてインサート成形物を得た。
【0057】
比較例1
tb0=1.3mm、ta0=0.8mmとする以外は実施例1と同様にしてインサート成形物を得た。得られたインサート成形物のそりを測定したところ、Lmax=0.3mmであり、顕著なそりが観察された。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】(a)はインサート成形物の模式的平面図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面図であり、(c)はインサート成形物の模式的下面図である。
【図2】(a)はインサート成形物の模式的平面図であり、(b)は(a)におけるA−A線断面図である。
【図3】インサート物を成形用型内に保持した状態の模式的平面図である。
【図4】(a)〜(d)は、インサート成形方法の各工程を、図2のA−A線の模式的断面図として表した図である。
【図5】サポートピンの先端突起とインサート物に設けた位置合わせ用溝との関係をしめす図である。
【図6】成形プロセスフローの一例を示す図である。
【図7】成形プロセスフローの一例を示す図である。
【図8】成形プロセスフローの一例を示す図である。
【図9】反りの評価方法を説明するための図である。
【図10】サポートピンを2対用いる場合の挟持位置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 樹脂層
2 基板
a1 凸部
4 ゲート
5 成形空間
6a 上面側サポートピン
6b 下面側サポートピン
7 中央部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のインサート物と、該インサート物を内包して隠蔽状態で一体化する樹脂層を有する平板状のインサート成形物の成形方法であって、
(1)平板状の基板と、該基板の上面及び下面の少なくとも一方に設けられた平板状の凸部とを有するインサート物を用意する工程と、
(2)インサート成形用型内に、前記インサート物を、その上面側と下面側で対向するサポートピンで挟み込み、成形空間内に支持する工程と、
(3)前記成形空間内へ樹脂を充填し、前記成形空間内の全てあるいは部分的に樹脂が充填され、かつ前記サポートピンなしで前記インサート物の前記成形用空間内での保持が可能となった状態で、前記サポートピンの先端の成形面までの後退を上下で同時に開始させるとともに、前記サポートピンの後退により形成される空間内へ樹脂を充填する工程と、
(4)前記サポートピンの先端の成形面までの後退が完了した状態で、
かつ、保圧完了後、
該樹脂を硬化させて、インサート成形品を得る工程と、
(5)前記インサート成形品を前記インサート成形用型外に回収する工程と、
を有することを特徴とする平板状のインサート成形物の成形方法。
【請求項2】
前記サポートピンの後退時の移動により形成される単位時間あたりの空間体積が、単位時間あたりの樹脂注入体積よりも小さい請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板の対向する側面側にゲートを設け、これらのゲートからから前記基板の中央部に向けて樹脂を注入し、該中央部において樹脂の充填を完了する請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記対向する上面側と下面側のサポートピンの一方を、前記基板を一定の圧力で押しつけるサポートピンとし、他方のサポートピンを位置調整可能に固定する請求項1〜3のいずれかに記載の成形方法。
【請求項5】
前記樹脂の成形収縮率による収縮量と成形時の前記インサート物の収縮量の差が、前記樹脂の破断点伸度以内であり、前記インサート物の熱膨張係数の前記樹脂の熱膨張係数との差からくる製品保証温度範囲での膨張量の差は、前記樹脂の破断点伸度以内である請求項1〜4のいずれかに記載の成形方法。
【請求項6】
前記成形空間内でのサポートピンによる前記インサート物の保持位置及び注入樹脂量と、サポートピンの後退開始時およびV−P切替位置の少なくも一方とを、前記基板及び凸部の厚みに応じて自動制御手段により自動制御する請求項1〜5のいずれかに記載の成形方法。
【請求項7】
前記凸部の上面に設けられた樹脂層の厚さ(tc)が、0.1mm以上である請求項1〜6のいずれかに記載の成形方法。
【請求項8】
前記サポートピンの全てにより前記インサート物を支持した場合に、
前記凸部の表面に設けられた樹脂層の厚さ(tc)が、0.1mm以上であり、
前記基板の上面の凸部のない面に形成された樹脂層の厚さ(ta0)と、前記基板の下面の凸部のない面に形成された樹脂層の厚さ(tb0)との比(ta0/tb0)が、1/0.5〜0.5/1であり、
かつ、前記基板の上面の全面に注入可能な樹脂層の体積をVaS、前記基板の下面の全面に全面に注入可能な樹脂層の体積をVbS、前記基板上側のサポートピンの全体積をVsp1、前記基板下側のサポートピンの全体積をVsp2としたときに、前記基板の上面の全面に前記サポートピンがない状態で注入可能な樹脂層の体積Va0と、前記基板の下面の全面に前記サポートピンがない状態で注入可能な樹脂層の体積Vb0とが以下の式(1)〜(3):
aS=Va0−Vsp1 (1)
bS=Vb0−Vsp2 (2)
0.8≦VbS/VaS≦1.2 (3)
を満たす請求項1〜7のいずれかに記載の成形方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の成形方法により成形されたことを特徴とするインサート成形物。
【請求項10】
平板状のインサート物と、該インサート物を内包して隠蔽状態で一体化する樹脂層と、を有する平板状のインサート成形物であって、
前記平板状のインサート物は、平板状の基板と、該基板の上面及び下面の少なくとも一方に設けられた平板状の凸部の1以上と、を有し、
前記凸部の表面に設けられた樹脂層の厚さ(tC)が、0.1mm以上であり、
前記基板の上面の凸部のない面に形成された樹脂層の厚さ(ta0)と、前記基板の下面の凸部のない面に形成された樹脂層の厚さ(tb0)との比(ta0/tb0)が、1/0.5〜0.5/1であり、
かつ、前記基板の上面の全面にある樹脂層の体積をVa0、前記基板の下面の全面にある樹脂層の体積をVb0としたときに、これらの比(Vb0/Va0)が1/0.5〜0.5/1である
ことを特徴とするインサート成形物。
【請求項11】
前記樹脂の成形収縮率による収縮量と成形時の前記インサート物の収縮量の差が、前記樹脂の破断点伸度以内であり、前記インサート物の熱膨張係数の前記樹脂の熱膨張係数との差からくる製品保証温度範囲での膨張量の差は、前記樹脂の破断点伸度以内である請求項10に記載のインサート成形物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−164286(P2009−164286A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340942(P2007−340942)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(591016334)大塚テクノ株式会社 (19)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】