説明

エンドセリン受容体拮抗剤としてのニトロ複素環式化合物

親化合物と比較して改善された薬理活性を有する、一般式(I):


のエンドセリン受容体拮抗剤のニトロ誘導体。それらは、内臓関連の疾患、腎臓、肺、心臓および血管の疾患、ならびに炎症の治療または予防のために用いられ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドセリン受容体拮抗剤の誘導体に関する。特に、本発明は、エンドセリン受容体拮抗剤のニトロ誘導体、それらを含む医薬組成物、および内臓関連疾患、腎臓、肺、心臓、血管の疾患ならびに炎症の治療のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドセリン類は、21−アミノ酸ペプチド類(ET-1、ET-2およびET-3)と密接に関連する一群であり、ET-1は今日までに特定された最も有用な血管収縮剤の一つである。
これらのペプチド類は、血管収縮作用に加えて、多数の生化学的効果をももたらす。
【0003】
エンドセリン類は、高血圧、鬱血性心臓疾患、腎臓疾患、肺高血圧、転移性前立腺癌を含む様々な疾患の症状に関連していると考えられてきた。
エンドセリン類は、ETA、ETBと称される2つの特定のG-蛋白結合受容体を介して、生理学上の活性を及ぼす。
【0004】
ETA受容体はET-1に対して選択的であり、血管平滑筋細胞内に顕著に現れ、そこで血管収縮および増殖反応を仲介する。ETB受容体は非選択的であり、3つの全てのETイソペプチドに同等の親和性をもって結合する。ETB受容体は主に内皮細胞に見られ、多分、一酸化窒素の放出を介して、ET-1誘発性血管拡張を仲介する。ごく少量のETB受容体はいくつかの平滑筋細胞でも見られ、それらの活性は血管収縮を引き起こしている(J.Med.Chem.2000,43,3111)。
【0005】
エンドセリン受容体拮抗剤の誘導体と共にアンブリセンタン(Ambrisentan)、アトラセンタン(Atrasentan)、アヴォセンタン(Avosentan)、ボセンタン(Bosentan)、クラゾセンタン(Clazosentan)、ダルセンタン(Darusentan)、テゾセンタン(Tezosentan)、シタクスセンタン(Sitaxsentan)などを主な成分として含む一群の化合物が意図されている。
【0006】
US 6,635,273は、治療的に有効な量の少なくとも一つの抗酸化剤またはその医薬的に許容される塩、ならびに少なくとも一つのイソソルビドジナイトレートおよびイソソルビドモノナイトレート、ならびに任意に少なくとも一つのニトロソ化されたアンジオテンシン−変換酵素阻害剤、ニトロソ化されたβ−アドレナリン遮断剤、ニトロソ化されたカルシウムチャンネル遮断剤、ニトロソ化されたエンドセリン拮抗剤、ニトロソ化されたアンジオテンシンII受容体拮抗剤、ニトロソ化されたレニン阻害剤の少なくとも一つ、および/または心臓血管系疾患の治療に用いられる少なくとも一つの化合物を患者に投与することにより、一酸化窒素不全による血管系疾患の治療方法を開示している。
【0007】
WO 2005/023182は、新規なニトロソ化および/またはニトロシル化された心臓血管用化合物またはその医薬的に許容される塩、ならびに少なくとも一つのニトロソ化および/またはニトロシル化された心臓血管系の化合物、ならびに任意に少なくとも一つの一酸化窒素ドナーおよび/または少なくとも一つの治療薬を含む新規な組成物を記載している。
【0008】
ニトロソ化および/またはニトロシル化された心臓血管系の化合物は、アルドストロン拮抗剤、アンジオテンシンII拮抗剤、カルシウムチャネル遮断剤、ニトロソ化および/またはニトロシル化されたエンドセリン拮抗剤、ヒドララジン化合物、中性エンドペプチターゼ阻害剤およびレニン阻害剤から選択される。
【0009】
CA 2391818は、エンドセリン拮抗剤の有効な量を患者に投与することにより、少なくともNOの生成が部分的に阻害されている勃起障害のような生理学的な症状を治療する方法を開示している。
【発明の開示】
【0010】
本発明の課題は、既知の親化合物に比べて改善された薬理活性を有する新規なエンドセリン受容体拮抗剤の誘導体を提供することである。
【0011】
特に、本発明のエンドセリン受容体拮抗剤のニトロ誘導体は、鬱病性心臓疾患、冠動脈疾患、左心室機能障害および左心室肥大、心臓線維症、心筋虚血、発作、くも膜下出血、脳血管痙攣、冠動脈痙攣、アテローム性動脈硬化、経皮的動脈形成術後再狭窄、腎臓虚血、腎臓疾患、腎臓および肺の線維症、糸球体腎炎、腎疝痛、高眼圧症、緑内障、全身性高血圧症、肺動脈高血圧症(PAH)、腎症、血行障害、神経障害のような糖尿病性合併症、末梢血管抵抗、肝臓線維症、門脈圧亢進症、メタボリックシンドローム、勃起障害、血管または外科手術後の合併症、臓器移植後の免疫抑制剤を用いた処置による合併症、高アラニン血症、肺線維症、強皮症、鎌状赤血球病、良性前立腺肥大、癌、不安症、味覚障害を治療または予防するために用いられ得ることが確認された。
【0012】
したがって、本発明の課題は、一般式(I)のエンドセリン受容体拮抗剤のニトロ誘導体およびその医薬的に許容される塩または立体異性体を提供することである。
【0013】
【化1】

式中、
m、m'およびm''は、0または1であり、
n、n'およびn''は、0または1であり、
s、s'およびs''は、0または1であり、
Aは以下のものからなる群から選択される:
【0014】
【化2】

【0015】
【化3】

【0016】
【化4】

【0017】
【化5】

【0018】
【化6】

【0019】
【化7】

【0020】
【化8】

【0021】
(式中、
1は−O−、−OHであり、
2は−N−、−NH−であり、
3は−C(O)O−、−C(O)NH−であり、
一般式(I)において、
B、B'およびB''は、−CO−、−C(O)O−であり、
C、C'およびC''は、
【0022】
【化9】

【0023】
である)
ただし、
1)Aが(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、( Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Il)および(Im)からなる群から選択 されるとき、m、m'、m''、n、n'またはn''の少なくとも一つは1である;
【0024】
2)Aが(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)および(Iu) からなる群から選択されるとき、s'、s''およびmは0であり、nは0または1であ る;
【0025】
3)Aが(It)であるとき、m、m'およびs''は0であり、nおよびn'は0または 1である;
4)N1またはN2の少なくとも一つは、基−[(B)m−(C)n−(Y−ONO2)]、 −[(B')m'−(C')n'−(Y'−ONO2)]または−[(B'')m''−(C'')n''−( Y''−ONO2)]の少なくとも一つに結合し得る−O−または−N−である;
Y、Y'およびY''は、以下の意味を有する2価の基である。
【0026】
a)
− 好ましくは1〜10の炭素原子を有し、ハロゲン原子、ヒドロキシ、−ONO2またはTa(ここで、Taは−OC(O)(C1−C10アルキル)−ONO2または−O(C1−C10アルキル)−ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1−C20アルキレン
【0027】
− 環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキル、好ましくはメチルである)で任意に置換されていてもよい、シクロアルキレン環内に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン
【0028】
b)
【化10】

【0029】
c)
【化11】

(式中、n0は0〜20の整数であり、n1は1〜20の整数である)
【0030】
d)
【化12】

(式中、n1は上記で定義されたとおりであり、n2は0〜2の整数であり、X1は−OCO−または−COO−であり、R2はHまたはCH3である)
【0031】
e)
【化13】

(式中、n1、n2、R2およびX1は上記で定義されたとおりであり、Y1は−CH2−CH2−または−CH=CH−(CH2)n2−である)
【0032】
f)
【化14】

(式中、n1およびR2は上記で定義されたとおりであり、R3はHまたは−COCH3である、
ただし、Yが上記のb)〜f)に記載された2価の基から選択されるとき、−ONO2基は−CH2基に結合している)
【0033】
g)
【化15】

(式中、X2は−O−または−S−であり、n3は1〜6の整数であり、好ましくは1〜4であり、R2は上記で定義されたとおりである)
【0034】
h)
【化16】

(式中、n4は0〜10の整数であり、
5は1〜10の整数であり、
4、R5、R6、R7は同一または異なり、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1−C4アルキルであり、好ましくは、R4、R5、R6、R7はHであり、
【0035】
ここで、−ONO2基は:
【化17】

(式中、n5は上記で定義されたとおりである)に結合しており、
【0036】
2は窒素、酸素、硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、複素環式の飽和、不飽和もしくは芳香族の5または6員環であり、次の群から選択される。
【0037】
【化18】

【0038】
ここで用いられる用語「C1−C20アルキレン」とは、分枝鎖状または直鎖状のC1−C20炭化水素をいい、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、ペンチレン、n−ヘキシレンなどのような1〜10の炭素原子を有するものである。
【0039】
ここで用いられる用語「C1−C10アルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチルなどを含む、1〜10の炭素原子を含む分枝鎖状または直鎖状のアルキル基をいう。
【0040】
ここで用いられる用語「シクロアルキレン」とは、以下に限定されないが、直鎖状または分枝鎖状のC1−C10アルキル、好ましくはメチルのような側鎖で任意に置換さていてもよいシクロペンチレン、シクロヘキシレンを含む、5〜7の炭素原子を有する環をいう。
【0041】
ここで用いられる用語「複素環式」とは、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロリジン、モルホリンおよびイミダゾールなどのような、窒素、酸素、硫黄から選択される1以上のヘテロ原子を含む、飽和、不飽和もしくは芳香族の、5または6員環をいう。
【0042】
本発明のもう一つの特徴は、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoA還元酵素阻害剤、β−アドレナリン遮断剤、α−アドレナリン拮抗剤、交感神経遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、レニン阻害剤、中性エンドペプチターゼ阻害剤、カリウム活性剤、利尿剤、血管拡張剤およびアスピリンのような抗血栓剤からなる群から選択される心臓血管系疾患の治療に用いられる少なくとも一つの化合物と組み合わせてなる、式(I)の化合物の使用を提供することである。ニトロソ化された上記化合物との組合せも期待される。
【0043】
好適なアルドステロン拮抗剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoA還元酵素阻害剤、β−アドレナリン遮断剤、α−アドレナリン拮抗剤、カルシウムチャンネル遮断剤、レニン阻害剤、カリウム活性剤、利尿剤、血管拡張剤および抗血栓剤は、メルクインデックス(第13版)のような文献中に記載されている。
【0044】
ニトロソ化された適切な化合物は、WO 98/21193、WO 97/16405、WO 98/09948、WO 2004/105754、WO 2004/106300、WO 2004/110432、WO 2005/011646、WO 2005/053685およびWO 2005/054218の中に開示されている。
上記の化合物の投与は同時にまたは連続的に行われ得る。
【0045】
本発明は、本発明の1以上の化合物および/または組成物、ならびに上記の心臓血管系疾患の治療に用いられる1以上の化合物で満たされた、1以上の容器を含む医薬キットも提供する。
上記のように、本発明は、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩および立体異性体も含む。
【0046】
医薬的に許容される塩の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよび水酸化アルミニウムのような無機塩基との塩、またはリシン、アルギニン、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、ピペリジンおよびその他の許容される有機アミンのような有機塩基との塩のいずれかである。
【0047】
分子中に一つの塩形成可能な窒素原子を含んでいるとき、本発明による化合物は、対応する有機酸または無機酸と、アセトニトリル、テトラヒドロフランのような有機溶媒中で反応させることにより、対応する塩に変換し得る。
【0048】
有機酸の例は、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、琥珀酸およびクエン酸である。無機酸の例は、硝酸、塩酸、硫酸および燐酸である。硝酸との塩が好ましい。
【0049】
1以上の不斉炭素を有する本発明の化合物は、任意の純粋な鏡像異性体、純粋なジアステレオマー、鏡像異性体混合物、ジアステレオマー混合物、鏡像異性体ラセミ混合物、ラセミ体またはラセミ体混合物として存在し得る。
【0050】
本発明の目的物の中には、式(I)の化合物の全ての可能な異性体、立体異性体およびそれらの混合物もある。
【0051】
好ましい化合物は、式(I)(ここで、Y、Y'およびY''は以下の意味を有する)の化合物である。
a)
−1つの−ONO2基で任意に置換されていてもよい直鎖状または分枝鎖状のC1−C10アルキレン
【0052】
b)
【化19】

(式中、n0は0または1に等しい整数であり、n1は1に等しい整数である、
ただし、−ONO2基は−CH2基に結合している)
【0053】
g)
【化20】

(式中、X2は−O−または−S−であり、n3は1に等しい整数であり、R2はHである)
【0054】
本発明による好ましい化合物は、次のものである。
【0055】
【化21】

【0056】
【化22】

【0057】
【化23】

【0058】
【化24】

【0059】
【化25】

【0060】
【化26】

【0061】
【化27】

【0062】
【化28】

【0063】
【化29】

【0064】
【化30】

【0065】
【化31】

【0066】
【化32】

【0067】
【化33】

【0068】
【化34】

【0069】
【化35】

【0070】
【化36】

【0071】
【化37】

【0072】
【化38】

【0073】
【化39】

【0074】
【化40】

【0075】
【化41】

【0076】
【化42】

【0077】
【化43】

【0078】
【化44】

【0079】
【化45】

【0080】
【化46】

【0081】
【化47】

【0082】
【化48】

【0083】
【化49】

【0084】
【化50】

【0085】
【化51】

【0086】
【化52】

【0087】
【化53】

【0088】
【化54】

【0089】
【化55】

【0090】
【化56】

【0091】
【化57】

【0092】
【化58】

【0093】
【化59】

【0094】
【化60】

【0095】
【化61】

【0096】
【化62】

【0097】
【化63】

【0098】
【化64】

【0099】
【化65】

【0100】
【化66】

【0101】
【化67】

【0102】
【化68】

【0103】
【化69】

【0104】
【化70】

【0105】
【化71】

【0106】
【化72】

【0107】
【化73】

【0108】
【化74】

【0109】
【化75】

【0110】
【化76】

【0111】
【化77】

【0112】
【化78】

【0113】
【化79】

【0114】
【化80】

【0115】
【化81】

【0116】
【化82】

【0117】
【化83】

【0118】
【化84】

【0119】
【化85】

【0120】
【化86】

【0121】
【化87】

【0122】
【化88】

【0123】
【化89】

【0124】
【化90】

【0125】
【化91】

【0126】
【化92】

【0127】
【化93】

【0128】
【化94】

【0129】
【化95】

【0130】
【化96】

【0131】
【化97】

【0132】
【化98】

【0133】
【化99】

【0134】
【化100】

【0135】
【化101】

【0136】
【化102】

【0137】
【化103】

【0138】
【化104】

【0139】
【化105】

【0140】
【化106】

【0141】
【化107】

【0142】
【化108】

【0143】
【化109】

【0144】
上記のように、本発明の課題は医薬の分野で通常用いられる非毒性のアジュバントおよび/または担体と共に、少なくとも一つの式(I)の本発明の化合物を含む医薬組成物でもある。
投与されるべき活性成分の一日投与量は、一回の投与量であるか、または一日に数回投与される、より少ない投与量に分割された有効量であり得る。通常、一日の全投与量は、好ましくは50mg〜500mgの量であり得る。
【0145】
本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物を用いて上記の疾患を治療するための投与療法および投与回数は、例えば、年齢、体重、性別および患者の病状、ならびに疾患の程度、投与経路、薬理学的考慮および他の薬剤との併用療法を含む、様々な要素に従って選択される。
場合によっては、前記の範囲より少ないもしくは多い投与レベルおよび/またはより頻繁な投与が適切であり、このことは論理的には医師の判断の範囲内であり、病状にもよる。
【0146】
本発明に係る化合物は、経口的に、非経口的に、直腸にもしくは局所的に、吸引もしくは噴霧により、所望により通常の非毒性の医薬的に許容される担体、アジュバントおよび媒体を含む製剤で投与され得る。
【0147】
局所投与は、経皮パッチまたはイオン導入器のような経皮投与も含み得る。
ここで用いられる用語「非経口」は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または輸血技術を含む。
【0148】
注射剤、例えば、無菌の注射用の水性または油性の懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いる公知の方法によって調製され得る。
無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の、無菌の注射可能な溶液または懸濁液でもあり得る。
【0149】
許容される媒体および溶媒には、水、リンゲル溶液および生理食塩水がある。加えて、無菌で不揮発性の油は、溶媒または懸濁媒体として通常用いられる。
この目的のため、合成のモノまたはジグリセリドを含み、あらゆるブランド、種類の不揮発性の油が用いられ得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が注射剤に用いられる。
【0150】
医薬の直腸投与用の坐剤は、活性成分とココアバターおよびポリエチレングリコールのような好適な非刺激性の賦形剤とを混合することにより調製され得る。
経口投与用の固形の投与形態は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤およびゲルを含み得る。
【0151】
そのような固形の投与形態において、活性物質は、蔗糖、乳糖もしくはデンプンのような少なくとも一つの不活性希釈剤と混合され得る。
そのような投与形態は、通常行われているように、不活性希釈剤の添加剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤をも含み得る。
【0152】
カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投与形態は緩衝剤も含み得る。錠剤および丸剤は、さらに腸溶性コーテイングを施されて調製され得る。
経口投与用の液体の投与形態は、当該技術分野で一般に用いられている水のような不活性の希釈剤を含む、医薬的に許容される乳液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含み得る。
そのような組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、ならびに甘味剤、風味剤などのようなアジュバントを含み得る。
【0153】
本発明における化合物は、次のようにして合成され得る。
合成手順
1.一般式(I):
【化110】

【0154】
(式中、sは1であり、
s'は0または1であり、
s''は0であり、
mおよびm'は1であり、
nおよびn'は0であり、
BおよびB'は同じ意味を有し、それらは−CO−であり、
YおよびY'は同じ意味を有し、それらは上記で定義されたとおりであり、
Aは(Ia)〜(Ig)(ここで、N1は−O−であり、N2は−NH−である)から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容される塩は、以下の工程を含む方法により得ることができる。
【0155】
1a.式1Aの化合物を式(IIa)の化合物と反応させる。
【化111】

【0156】
この反応は、1より多いN1が存在する場合、1A/(IIa)の割合を1:1または1:2とし、1Aは(Ia)〜(Ig)(ここで、N1は−OHであり、N2は−NH−である)から選択されるAと同じであり、例えば、DMAPのような塩基の存在下または非存在下、−5℃〜50℃の範囲の温度で、DMF、THF、クロロホルムなどの溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN,N'−カルボニルジイミダゾール(CDI)またはHATUのようなその他の公知の縮合剤のような縮合剤の存在下に行われる。
【0157】
式(IIa)の硝酸エステル化合物は、WO 2006/008196に記載されているように、−50℃〜0℃の温度範囲で、商業的に入手可能な、式HOOC−Y−OH(IIb)の対応するアルコールから硝酸および無水酢酸との反応により、または商業的に入手可能な式HOOC−Y−Hal(IIc)(ここで、Halはハロゲン原子、好ましくは塩素、臭素、ヨウ素である)の対応するハロゲン誘導体と硝酸銀との反応により、得ることができる。
【0158】
式(Ia)(ここで、N1は−OHであり、N2は−NH−である)の化合物(1A)は、ボセンタンと命名された公知の化合物であり、US 5292740に記載されたようにして製造され得る。
【0159】
式(Ib)(ここで、N1は−OHであり、N2は−NH−である)の化合物(1A)は、Ro 48−5033と命名された公知の化合物であり、文献中で公知の方法でボセンタンのラジカルベンジル酸化により製造され得る。
【0160】
式(Ic)(ここで、N1は−OHであり、N2は−NH−である)の化合物(1A)は、Ro 46−2005と命名された公知の化合物であり、EP 633259に記載のようにして製造され得る。
【0161】
式(Id)(ここで、N1は−OHであり、N2は−NH−である)の化合物(1A)は、テゾセンタンと命名された公知の化合物であり、WO 96/19459に記載のようにして製造され得る。
【0162】
式(Ie)(ここで、N1は−OHであり、N2は−NH−である)の化合物(1A)は、クラゾセンタンと命名された公知の化合物であり、WO 96/19459に記載のようにして製造され得る。
【0163】
式(If)(ここで、N1は−OHであり、N2は−NH−である)の化合物(1A)は、Ro 46−8443と命名された公知の化合物であり、EP 633259に記載のようにして製造され得る。
【0164】
式(Ig)(ここで、N1は−OHであり、N2は−NH−である)の化合物(1A)は、TBC 2576と命名された公知の化合物であり、J.Med.Chem.1999,42,4485-4499に記載のようにして製造され得る。
【0165】
1b.1aで上記のように定義された式1Aの化合物を、式(IId)の化合物と反応させる。
【化112】

【0166】
(式中、Yは、上記で定義されたとおりであり、Actは、ハロゲン原子または、次のようなペプチド化学で用いられるカルボン酸活性化基である)
【0167】
【化113】

【0168】
この反応は、一般に、0℃〜65℃の温度範囲で、DMF、THFもしくはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性溶媒中、無機または有機塩基の存在下に、または20℃〜40℃の温度範囲で、水/Et2Oの二相系中で、あるいは1より多いN1が存在する場合、1A/(IId)の割合を1:1または1:2とし、DMF、CH2Cl2のような溶媒中、DMAPおよびSc(OTf)3またはBi(OTf)3のようなルイス酸の存在下に行われる。
式(IId)の化合物は、WO 2006/008196に記載のようにして得ることができる。
【0169】
1c.式(IIIa):
【化114】

(式中、Halはハロゲン原子であり、
A、B、B'、Y、Y'、m、m'、sおよびs'は上記の1で定義されたとおりである)の化合物を、硝酸銀と上記のような反応をさせる。
【0170】
化合物(IIIa)は、上記のようにして、1より多いN1が存在する場合、1A/(IIc)の割合を1:1または1:2とし、DCCまたはCDIのような縮合剤を用いて、化合物(1A)と化合物(IIc)とを反応させることにより得ることができる。
【0171】
1d.式(IVa):
【化115】

(式中、A、B、B'、Y、Y'、m、m'、sおよびs'は、上記の1で定義されたとおりである)
の化合物を、−60℃〜65℃の温度範囲で、DMF、THFまたはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性溶媒中、トリフリック(triflic)無水物/テトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
【0172】
化合物(IVa)は、1より多いN1が存在する場合、1A/(IIb)の割合を1:1または1:2とし、上記のような縮合剤を用いて、化合物1Aを化合物(IIb)と反応させることにより得ることができる。
【0173】
2.一般式(I):
【化116】

【0174】
(式中、sは1であり、
s'は0または1であり、
s''は0であり、
mおよびm'は1であり、
nおよびn'は0であり、
BおよびB'は同じ意味を有し、それらは−C(O)O−であり、
YおよびY'は同じ意味を有し、それらは上記で定義されたとおりであり、
Aは(Ia)〜(Ig)(ここで、N1は−O−であり、N2は−NH−である)から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容される塩は、以下の工程を含む方法により得ることができる。
【0175】
2a.式(1A)の化合物を、式(Va)の化合物と反応させる。
【化117】

(式中、1A、Act、Yは、上記のとおりである)
【0176】
この反応は、一般に、0℃〜65℃の温度範囲で、DMF、THFまたはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性溶媒中、無機または有機塩基の存在下、または20℃〜40℃の温度範囲で、水/Et2Oの二相系中、あるいは、1より多いN1が存在する場合、1A/(Va)の割合を1:1または1:2とし、DMF、CH2Cl2の溶媒中、DMAPおよびSc(Otf)3またはBi(Otf)3のようなルイス酸の存在下に行われる。
化合物(Va)の合成は、WO 2006/008196に記載されている。
【0177】
2b.式(IIIb):
【化118】

(式中、Halはハロゲン原子であり、A、B、B'、Y、Y'、m、m'、sおよびs'は、上記の2で定義されたとおりである)
の化合物を、上記のように、硝酸銀と反応させる。
【0178】
式(IIIb)の化合物は、1より多いN1が存在する場合、1A/(VIa)の割合を1:1または1:2とし、化合物1Aを、化合物:
Act−CO−O−Y−Hal (VIa)
(ここで、Act、YおよびHalは、上記で定義されたとおりである)
と反応させることにより得られる。
【0179】
この反応は、一般に、上記のように、0℃〜65℃の温度範囲で、DMF、THFまたはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性溶媒中、無機または有機塩基の存在下に行われる。
化合物(VIa)は商業的に入手可能であり、WO 2006/008196に記載のようにして合成され得る。
【0180】
3.一般式(I):
【化119】

(式中、sは1であり、
s'は0または1であり、
s''は0であり、
mおよびm'は0であり、
nおよびn'は1であり、
YおよびY'は同じ意味を有し、それらは上記で定義されたとおりであり、
【0181】
CおよびC'は、
【化120】

であり、
Aは(Ia)〜(Ig)または(Ih)〜(Im)から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容される塩は、以下の工程を含む方法により得ることができる。
【0182】
3a.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式1Aまたは2A(ここで、1Aは上記のとおりであり、2Aは(Ih)〜(Im)(ここで、N2は−NH−である)から選択されるAと同じである)の化合物を、式(VIIa)の化合物と反応させる。
Hal−W1−OC(O)O−Y−ONO2 (VIIa)
(式中、Yは上記のとおりであり、Halはハロゲン原子であり、W1は、−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である)
【0183】
この反応は、1より多いN1が存在する場合、1A/(VIIa)または2A/(VIIa)の割合を1:1または1:2とし、0℃〜65℃の温度範囲で、DMF、AcOH、THFまたはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性溶媒中、TEA、K2CO3またはAg2OまたはHgOのような有機または無機塩基の存在下に、または20℃〜40℃の温度範囲で、水/Et2Oの二相系中で行われる。
【0184】
式(VIIa)の化合物は次のようにして得られる。
a)W1は−CH2−または−CH(CH3)−である。
この反応は、式(VIIb):
Hal−W1−OC(O)Hal (VIIb)
(式中、Halは、上記で定義されたとおりであり、W1はa)で定義されたとおりである)
の商業的に入手可能なハロアルキルハロカーボネートを、式(VIIc):
HO−Y−ONO2 (VIIc)
(式中、Yは上記で定義されたとおりである)
の化合物と、0℃〜65℃の温度範囲で、非プロトン性極性、またはDMF、THFもしくはCH2Cl2のような非プロトン性非極性溶媒中、無機または有機塩基の存在下に反応させることにより行われる。
【0185】
b)W1は−C(CH32−である。
まず、式(VIIba):
CH2=C(CH3)OCOCl (VIIba)
(式中、W1は上記のb)で定義されたとおりである)
の商業的に入手可能な化合物を、化合物(VIIc)の化合物と、a)に記載されたのと同じ条件で反応させて、化合物(VIIbc):
CH2=C(CH3)OCO−O−Y−ONO2 (VIIbc)
の化合物を得る。
【0186】
最終化合物(VIIa)(ここで、HalはClであり、W1は−C(CH32−である)は、(VIIbc)のCH2Cl2溶液中で、HClガスをバブリングすることより、化合物(VIIbc)から得られる。
【0187】
式(VIIc)の化合物は、20℃〜80℃の温度範囲で、暗所で、窒素雰囲気下、アセトニトリルまたはテトラヒドロフラン(THF)のような好適な有機溶媒中、式HO−Y−Hal(VIId)(式中、YおよびHalは上記で定義されたとおりである)の化合物を、硝酸銀と反応させることにより得られ、硝酸銀との反応は、約1〜60分間、約100℃〜180℃の範囲の温度で、アセトニトリルまたはTHFのような溶媒中、電子線照射下でも行われ得る。
式(VIId)の化合物は、商業的に入手可能であり、文献でよく知られた方法によっても得ることができる。
【0188】
また、化合物(VIIa)(ここで、W1は−CH2−または−CH(CH3)−である)は、化合物(VIIf):
Hal−W1−OC(O)O−Y−OH(VIIf)
の化合物を、前記のように、テトラアルキルアンモニウム硝酸塩およびトリフリック無水物と反応させることよっても製造され得る。
【0189】
化合物(VIIf)は、0℃〜65℃の温度範囲で、非イオン性極性またはDMF、THFもしくはCH2Cl2のような非イオン性非極性の溶媒中、無機または有機塩基の存在下に、化合物HO−Y−OH(VIIe)と反応させることにより、化合物Hal−W1−OC(O)Hal(VIIb)(ここで、W1は−CH2−または−CH(CH3)−である)から製造される。
【0190】
式(Ih)(ここで、N2は−NH−である)の化合物(2A)は、シタックスセンタンと命名された公知の化合物であり、J.Med.Chem.1997,40,1690に記載のようにして製造され得る。
【0191】
式(Ii)(ここで、N2は−NH−である)の化合物(2A)は、BMS 193884と命名された公知の化合物であり、EP 702012に記載のようにして製造され得る。
【0192】
式(Ij)(ここで、N2は−NH−である)の化合物(2A)は、公知の化合物であり、J.Med.Chem.2000,43,3111に記載のようにして製造され得る。
【0193】
式(Ik)(ここで、N2は−NH−である)の化合物(2A)は、エドネンタンと命名された公知の化合物であり、WO 98/33780に記載されたようにして製造され得る。
【0194】
式(Il)(ここで、N2は−NH−である)の化合物(2A)は、ネベンタンと命名された公知の化合物であり、Bioorg.Med.Chem.2001,9,2955に記載のようにして製造され得る。
【0195】
式(Im)(ここで、N2は−NH−である)の化合物(2A)は、アヴォセンタンまたはSPP301と命名された公知の化合物であり、WO 00/52007に記載のようにして製造され得る。
【0196】
3a'. W1は−C(CH32−である。
式(VIIbd)の化合物を、化合物(VIIc)と反応させる。
【化121】

(式中、YおよびW1は上記で定義されたとおりであり、Aは(Ia)〜(Ig)または(Ih)〜(Im)から選択される)
【0197】
この反応は、DMF、CH2Cl2のような溶媒中、等モル量のDMAPの存在下、またはDMAPおよび触媒量のSc(OTf)3もしくはBi(OTf)3のようなルイス酸の存在下に行われる。
【0198】
化合物(VIIbd)は、既に定義された化合物(1A)または(2A)を、化合物(VIIbe)と反応させることにより得られる。
Cl−W1−OCOOC64−pNO2 (VIIbe)
【0199】
この反応は、1より多いN2が存在する場合、1A/(VIIbe)または2A/(VIIbe)の割合を1:1または1:2とし、CH2Cl2、AcOHまたはTHF中、塩基としてAg2OまたはHgOを用いて行われる。
【0200】
化合物(VIIbe)は、Alexander、Jose(Merck and Co.,Inc.,USA)によるPCT 国際出願(1996)、WO 9618605 A1 19960620 出願:WO 95−US16308 19951208.優先権:US 94−354981 19941213に記載のようにして製造された。
【0201】
3b.Aが(Ih)〜(Im)から選択されるとき、式(IVb):
A−W1−OC(O)O−Y−OH (IVb)
(式中、W1は−CH2−または−CH(CH3)−である)
の化合物を、上記のようにテトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
【0202】
化合物(IVb)は、0℃〜65℃の温度範囲で、DMF、THFまたはCH2Cl2のような非プロトン性極性/非極性溶媒中、化合物(2A)(ここで、2Aは上記のとおりである)を、上記のようにして製造される式:
Hal−W1−OC(O)O−Y−OH (VIIf)
の化合物と、無機または有機塩基の存在下に反応させることにより、あるいは20℃〜40℃の温度範囲で水/Et2Oの二相系中での反応により製造され得る。
【0203】
4.一般式(I):
【化122】

(式中、m、m'、nおよびn'は0であり、
sは1であり、
s'は0または1であり、
s''は0であり、
YおよびY'は同じ意味を有し、それらは上記で定義されたとおりであり、
Aは(In)〜(Iu)(ここで、N3は−C(O)O−である)から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容される塩は、以下の工程を含む方法により得ることができる。
【0204】
4a.1より多いN3が存在する場合、3A/(VIIc)の割合を1:1または1:2とし、例えばDMAPのような塩基の存在下または非存在下に、−5℃〜50℃の範囲の温度で、DMF、THF、クロロホルムのような溶媒中、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN,N'−カルボニルジイミダゾール(CDI)またはHATUのようなその他の公知の縮合剤のような縮合剤の存在下に、式(3A)(ここで、3Aは(In)−(Iu)(ここで、N3は−COOHである)から選沢されるAである)の化合物を、式:
HO−Y−ONO2 (VIIc)
の化合物と反応させる。
【0205】
式(In)(ここで、N3は−COOHである)の化合物(3A)は、ダルセンタンと命名された公知の化合物であり、J.Med.Chem.1999,42,3026に記載のようにして製造され得る。
【0206】
式(Io)(ここで、N3は−COOHである)の化合物(3A)は、アンブリセンタンと命名された公知の化合物であり、J.Med.Chem.1996,39,2123に記載のようにして製造され得る。
【0207】
式(Ip)(ここで、N3は−COOHである)の化合物(3A)は公知の化合物であり、J.Med.Chem.2004,47,2776に記載のようにして製造され得る。
【0208】
式(Iq)(ここで、N3は−COOHである)の化合物(3A)は、アトラセンタンと命名された公知の化合物であり、J.Med.Chem.1996,39,1039に記載のようにして製造され得る。
【0209】
式(Ir)(ここで、N3は−COOHである)の化合物(3A)は、FR 139317と命名された公知の化合物であり、EP 457195に記載されたようにして製造され得る。
【0210】
式(Is)(ここで、N3は−COOHである)の化合物(3A)は、BQ 788と命名された公知の化合物であり、European Journal of Medicinal Chemistry 1995, 30 (Suppl., Proceedings of the 13th International Symposium on Medicinal Chemistry,1994),371s-83sに記載のようにして製造され得る。
【0211】
式(It)(ここで、N3は−COOHである)の化合物(3A)は、SB 247083と命名された公知の化合物であり、WO 97/04772に記載のようにして製造され得る。
【0212】
式(Iu)(ここで、N3は−COOHである)の化合物(3A)は、ファンドセンタンと命名された公知の化合物であり、WO 99/12916に記載のようにして製造され得る。
【0213】
4b.式(IIIc):
【化123】

(式中、Y、Y'、s、s'およびHalは、上記で定義されたとおりであり、
Aは(In)〜(Iu)(ここで、N3は−C(O)O−である)から選択される)
の化合物を上記のように、硝酸銀と反応させる。
【0214】
式(IIIc)の化合物は、上記で定義された化合物(3A)を、4aに記載された条件で、化合物:
HO−Y−Hal (VIId)
と反応させることにより得ることができる。
【0215】
4c.式(IVc):
【化124】

(式中、Y、Y'、sおよびs'は、上記で定義されたとおりであり、
Aは、(In)〜(Iu)(ここで、N3は−C(O)O−である)から選択される)
の化合物を1dに記載されたように、トリフリック無水物およびテトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
【0216】
式(IVc)の化合物は、上記で定義された化合物(3A)を、4aに記載された条件で、化合物:
HO−Y−OH (VIIe)
と反応させることにより得ることができる。
【0217】
5.一般式(I):
【化125】

(式中、mおよびm'は0であり、
nおよびn'は1であり、
s'は0または1であり、
s''は0であり、
【0218】
YおよびY'は同じ意味を有し、それらは上記で定義されたとおりであり、
CおよびC'は
【化126】

であり、
Aは、(In)〜(Iu)(ここで、N3は−C(O)O−である)から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容される塩は、以下の工程を含む方法により得ることができる。
【0219】
5a.上記のような式(3A)の化合物を、式(VIIa):
Hal−W1−OC(O)O−Y−ONO2 (VIIa)
の化合物と、1より多いN3が存在する場合、3A/(VIIa)の割合を1:1または1:2とし、3aに記載されたようにして反応させる。
【0220】
5a'. 式(VIIbd')の化合物を3a'に記載された化合物(VIIc)と反応させる。
【化127】

(式中、Aは(In)〜(Iu)から選沢される)
【0221】
化合物(VIIbd')は、既に定義された化合物(3A)を化合物(VIIbe)と、1より多いN3が存在する場合には、3A/(VIIbe)の割合を1:1または1:2として、反応させることにより得られる。
3A + Cl−W1−OCOOC64−pNO2 (VIIbe)
【0222】
5b.式(IVb):
【化128】

(式中、A、C、C'、n、n'、Y、Y'、sおよびs'は、5で定義されたとおりである)
の化合物を、上記のようにテトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
上記で定義された式(IVb)の化合物は、化合物(3A)を3aに記載の化合物(VIIf)と反応させることにより得られる。
【0223】
6.一般式(I):
【化129】

【0224】
(式中、sおよびs'は1であり、
s''は0または1であり、
m、m'、m''、n、n'およびn''は0または1であり、
B、B'およびB''は同じ意味を有し、それらは−CO−であり、
C、C'およびC''は、
【化130】

であり、
Y、Y'およびY''は、上記で定義されたとおりであり、
Aは(Ia)〜(Ig)(ここで、N1は−O−であり、N2は−N−である)から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容される塩は、以下の工程を含む方法により得ることができる。
【0225】
6a.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
Aが(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択されるとき、式(VIIIa):
【化131】

(式中、mおよびsは1であり、
m'およびs'は0または1であり、
BおよびB'は−CO−であり、
YおよびY'は上記で定義されたとおりであり、
Aは、(1a〜1dに記載されたようにして得られる)N1が−O−であり、N2が−NH−である(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択される)
の化合物を、3aで記載されたとおり、式:Hal−W1−OC(O)O−Y''−ONO2(VIIa'')の化合物と反応させる。
【0226】
6b.W1は−CH2−、−CH(CH3)−である。
式(IXa):
【化132】

(式中、mおよびsは1であり、
m'およびs'は0または1であり、
n''およびs''は1であり、
BおよびB'は−CO−であり、
C''、Y、Y'およびY''は、6で定義されたとおりであり、
AはN1が−O−であり、N2が−N−である(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択される)
の化合物を、上記のようにテトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
【0227】
化合物(IXa)は、式(VIIIa)(ここで、B、B'、m、m'、s、s'、YおよびY'は、上記のとおりである)の化合物を式(VIIf''):
Hal−W1−OC(O)O−Y''−OH (VIIf'')
(式中、W1は3aに記載の−CH2−または−CH(CH3)−である)
の化合物と反応させることにより得られる。
【0228】
6c.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
Aが(Id)〜(Ie)から選択されるとき、式(VIIIb):
【化133】

(式中、mおよびsは1であり、
Bは−CO−であり、
Yは上記で定義されたとおりであり、
Aは(1a〜1dに記載のようにして得られる)N1が−O−であり、N2が−NH−である(Id)〜(Ie)から選択される)
の化合物を、3aに記載されたように、Hal−W1−OC(O)O−Y'−ONO2(VIIa')の化合物2当量と反応させる。
【0229】
6d.W1は−CH2−、−CH(CH3)−である。
式(IXb):
【化134】

(式中、m、n'、n''、s、s'およびs'' は1であり、
Bは−CO−であり、
C'、C''、Y、Y'およびY''は上記で定義されたとおりであり、
Aは、N1が−O−であり、N2が−N−である(Id)〜(Ie)から選択される)
の化合物を、上記のようにテトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
【0230】
化合物(IXb)は、式(VIIIb)(ここで、B、m、sは前記のとおりである)の化合物を、式(VIIf'):
Hal−W1−OC(O)O−Y'−OH (VIIf')
(式中、W1は3aに記載のとおり−CH2−または−CH(CH3)−である)
の化合物2当量と反応させることにより得られる。
【0231】
6e.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(Xa):
【化135】

(式中、n、n'、sおよびs' は、1であり、
C、C'、YおよびY'は上記のとおりであり、
Aは、(3aまたは3a'のようにして得られる)N1が−OH−であり、N2が−N−である(Id)〜(Ie)から選択される)
の化合物を、式(IIa'')または(IId''):
HOOC−Y''−ONO2 (IIa'')
Act−CO−Y''−ONO2 (IId'')
(式中、ActおよびY''は、1a、bに記載のとおりである)
の化合物と反応させる。
【0232】
6f.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(XIa):
【化136】

(式中、n、n'、m''、s、s'およびs'' は、1であり、
B''は−CO−であり、
C、C'、Y、Y'およびY''は、6で定義されたとおりであり、
Aは(Id)〜(Ie)から選択される)
の化合物を、1cに記載されたように、硝酸銀と反応させる。
【0233】
化合物(XIa)は、化合物(Xa):
【化137】

を、式(IIc''):
HOOC−Y''−Hal (IIc'')
(式中、Y''およびHalは、前記のとおりである)
の化合物と、1cに記載の手順で反応させることにより得られる。
【0234】
6g.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(XIIa):
【化138】

(式中、n、n'、m''、s、s'およびs'' は1であり、
B''は−CO−であり、
C、C'、Y、Y'およびY''は6で定義されたとおりであり、
Aは、(Id)〜(Ie)から選択される)
の化合物を、1dで記載のように、テトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
【0235】
化合物(XIIa)は、上記で定義された化合物(Xa):
【化139】

を、式(IIb''):
HOOC−Y''−OH (IIb'')
(式中、Y''は前記のとおりである)
の化合物と1dに記載の手順で反応させることにより得られる。
【0236】
6h.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(Xb):
A−[(C)n−(Y−ONO2)]s (Xb)
(式中、nおよびs は1であり、
CおよびYは前記のとおりであり、
Aは、(3aまたは3a'に記載のようにして得られる)N1が−OH−であり、N2が−N−である(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択される)
の化合物を、式(IIa')または(IId'):
HOOC−Y'−ONO2 (IIa')
Act−CO−Y'−ONO2 (IId')
(式中、ActおよびY'は、1a、bに記載のとおりである)
の化合物と、より多いN1が存在する場合には、(Xb):(IIa')または(Xb):(IId')の割合を1:1または1:2として反応させる。
【0237】
6i.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(XIb):
【化140】

(式中、n、m'、sおよびs' は1であり、
m''およびs''は0または1であり、
B'およびB''は−CO−であり、
C、Hal、Y、Y'およびY''は6で定義されたとおりであり、
AはN1が−O−であり、N2が−N−である(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択される)
の化合物を、1cに記載のように硝酸銀と反応させる。
【0238】
化合物(XIb)は、化合物(Xb):
A−[(C)n−(Y−ONO2)]s (Xb)
を、式(IIc'):
HOOC−Y'−Hal (IIc')
(式中、Y'およびHalは前記のとおりである)
の化合物と、より多いN1が存在する場合には(Xb):(IIc')の割合を1:1または1:2とし、1cに記載の手順に従って反応させることにより得られる。
【0239】
6j.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(XIIb):
【化141】

(式中、m'、n、sおよびs' は1であり、
m''およびs''は0または1であり、
B'およびB''は−CO−であり、
C、Y、Y'およびY''は6で定義されたとおりであり、
Aは(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択される)
の化合物を、1dに記載されたようにして、テトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
【0240】
化合物(XIIb)は、前記に定義されたとおりの化合物(Xb)を、式(IIb'):
HOOC−Y'−OH (IIb')
(式中、Y'は前記のとおりである)
の化合物と1dに記載の手順で反応させる。
【0241】
7.一般式(I):
【化142】

(式中、sおよびs'は1であり、
s''は0または1であり、
m、m'、m''、n、n'およびn''は0または1であり、
B、B'およびB''は同じ意味を有し、−C(O)O−であり、
C、C'およびC''は、
【化143】

であり、
Y、Y'およびY''は、上記で定義されたとおりであり、
Aは(Ia)〜(Ig)(ここで、N1は−O−であり、N2は−N−である)から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容される塩は、以下の工程を含む方法により得ることができる。
【0242】
7a.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
Aが(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択されるとき、式(VIIIa):
【化144】

(式中、mおよびsは1であり、
m'およびs'は0または1であり、
BおよびB'は−C(O)O−であり、
YおよびY'は上記で定義されたとおりであり、
Aは(2a、2dに記載のようにして得られる)N1が−O−であり、N2が−NH−である(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択される)
の化合物を、3aに記載のように、式:
Hal−W1−OC(O)O−Y''−ONO2 (VIIa'')
の化合物と反応させる。
【0243】
7b.W1は−CH2−、−CH(CH3)−である。
式(IXa):
【化145】

(式中、mおよびsは1であり、
m'およびs'は0または1であり、
n''およびs''は1であり、
BおよびB'は−C(O)O−であり、
C''、Y、Y'およびY''は、上で定義されたとおりであり、
AはN1が−O−であり、N2が−N−である(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択される)
の化合物を、前記のようにテトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
【0244】
化合物(IXa)は、式(VIIIa)(ここで、B、B'は−C(O)O−であり、m、m'、s、s'、YおよびY'は、前記のとおりである)の化合物を、式(VIIf''):
Hal−W1−OC(O)O−Y''−OH (VIIf'')
(式中、W1は−CH2−または−CH(CH3)−である)
の化合物と、3aに記載のように反応させることにより得られる。
【0245】
7c.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
Aが(Id)〜(Ie)から選択されるとき、式(VIIIb):
A−[(B)m−(Y−ONO2)]s (VIIIb)
(式中、mおよびsは1であり、
Bは−C(O)O−であり、
Yは上記で定義されたとおりであり、
Aは(2a、2bに記載のようにして得られる)N1が−O−であり、N2が−NH−である(Id)〜(Ie)から選択される)
の化合物を、3aに記載のように、式:
Hal−W1−OC(O)O−Y'−ONO2 (VIIa')
の化合物2当量と反応させる。
【0246】
7d.W1は−CH2−、−CH(CH3)−である。
式(IXb):
【化146】

(式中、m、n'、n''、s、s'およびs'' は1であり、
Bは−C(O)O−であり、
C'、C''、Y、Y'およびY''は上記の7で定義されたとおりであり、
Aは、N1が−O−であり、N2が−N−である(Id)〜(Ie)から選択される)
の化合物を、前記のように、テトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させる。
【0247】
化合物(IXb)は、式(VIIIb)(ここで、B、m、sは、上記のとおりである)の化合物を、式(VIIf'):
Hal−W1−OC(O)O−Y'−OH (VIIf')
(式中、3aに記載のように、W1は−CH2−または−CH(CH3)−である)
の化合物2当量と反応させることにより得られる。
【0248】
7e.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(Xa):
【化147】

(式中、n、n'、sおよびs' は1であり、
C、C'、YおよびY'は前記のとおりであり、
Aは(3aに記載のようにして得られる)N1が−OHであり、N2が−N−である(Id)〜(Ie)から選択される)
の化合物を、式(Va''):
Act−CO−O−Y''−ONO2 (Va'')
(式中、ActおよびY''は上記の記載のとおりである)
の化合物と、2aに記載の手順で反応させる。
【0249】
7f.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(XIa):
【化148】

(式中、n、n'、m''、s、s'およびs'' は1であり、
B''は−C(O)O−であり、
C、C'、Hal、Y、Y'およびY''は7で定義されたとおりであり、
Aは(Id)〜(Ie)から選択される)
の化合物を、2bに記載のように、硝酸銀と反応させる。
【0250】
化合物(XIa)は、化合物(Xa):
【化149】

を、式(VIa''):
Act−CO−O−Y''−Hal (VIa'')
(式中、Y''およびHalは前記のとおりである)
の化合物と2aに既に記載の手順で反応させることにより得られる。
【0251】
7g.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(Xb):
A−[(C)n−(Y−ONO2)]s (Xb)
(式中、nおよびs は1であり、
CおよびYは前記のとおりであり、
Aは(3aに記載のようにして得られる)N1が−OH−であり、N2が−N−である(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択される)
の化合物を、式(Va''):
Act−CO−O−Y''−ONO2 (Va'')
(式中、ActおよびY''は、2aに記載のとおりである)
の化合物と、より多いN1が存在する場合、(Xb):(Va'')の割合を1:1または1:2として反応させる。
【0252】
7h.W1は−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−である。
式(XIb):
【化150】

(式中、n、m'、sおよびs' は、1であり、
m''およびs''は、0または1であり、
B'およびB''は−C(O)O−であり、
C、Hal、Y、Y'およびY''は、7で定義されたとおりであり、
Aは、N1が−O−であり、N2が−N−である(Ia)〜(Ic)および(If)〜(Ig)から選択される)
の化合物を、2bに記載されたようにして硝酸銀と反応させる。
【0253】
化合物(XIb)は、化合物(Xb):
A−[(C)n−(Y−ONO2)]s (Xb)
を、式(VIa''):
Act−CO−O−Y''−Hal (VIa'')
(式中、Y''およびHalは、前記のとおりである)
の化合物と、より多いN1が存在する場合、(Xb):(VIa'')の割合を1:1または1:2とし、2bで既に記載された手順に従って反応させることにより得られる。
【0254】
8.一般式(I):
【化151】

(式中、m、m'、nおよびn'は0であり、
sは1であり、
s'は0または1であり、
s''は0であり、
YおよびY'は同じ意味を有し、それらは上記で定義されたとおりであり、
Aは(In)〜(Iu)(ここで、N3は−C(O)NH−である)から選択される)
の化合物またはその医薬的に許容される塩は、以下の工程を含む方法により得ることができる。
【0255】
8a.式3A(ここで、3Aは(In)〜(Iu)(ここで、N3は−COOHである)から選択されるAである)の化合物を、式:
NH2−Y−ONO2 (VIIg)
の化合物と、1より多いN3が存在する場合には、3A/(VIIc)の割合を1:1または1:2とし、例えばDMAPのような塩基の存在下または非存在下、−5℃〜50℃の範囲の温度で、DMF、THF、クロロホルムのような溶媒中で、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)もしくはN,N'−カルボニルジイミダゾール(CDI)、またはHATUのようなその他の公知の縮合剤のような縮合剤の存在下に反応させる。
【0256】
化合物(VIIg)は、文献で知られているように、化合物(VIIh)を酸加水分解してBOC−保護基を除去することにより製造され得る。
(CH33COCO−NH−Y−ONO2 (VIIh)
化合物(VIIh)は、(VIIi):
(CH33COCO−NH−Y−OH (VIIi)
から、1dで既に記載されたように、トリフリック無水物/テトラアルキルアンモニウム硝酸塩と反応させることにより製造される。
【0257】
化合物(VIIi)は、商業的に入手可能であるか、または商業的に入手可能な(VIIk):
NH2−Y−OH (VIIk)
およびBOC無水物から、公知の手順により簡単に製造され得る。
【0258】
8b.式(IVc):
【化152】

(式中、Y、Y'、sおよびs'は、上記で定義されたとおりであり、
Aは(In)〜(Iu)(ここで、N3は−C(O)NH−である)から選択される)
の化合物を、1dで記載されたように、トリフリック無水物およびテトラアルキルアンモニウム硝酸塩とさせる。
【0259】
式(IVc)の化合物は、上記で定義された化合物(3A)を化合物:NH2−Y−OH(VIIk)と、8aで既に記載された条件で、反応させることにより得ることができる。
【0260】
以下の実施例は、これらに限定されないで、本発明をさらに詳しく説明するものである。
【0261】
実施例1
化合物(2)の合成
0℃に冷却した、ボセンタン(0.3g,0.54mmol)、DMAP(0.066g,0.54mmol)およびTEA(0.1ml,0.54mmol)のCH2Cl2(10ml)溶液に、4−(ニトロオキシ)ブタン酸ペンタフルオロフェニルエステル(0.173g,0.54mmol)のCH2Cl2(2ml)溶液を加え、混合物を一夜反応させた。次いで、混合物をCH2Cl2(100ml)で希釈し、水(150ml)および食塩水(100ml)で洗浄した。その後、有機相をMgSO4で乾燥し、真空下に溶媒を除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(CH2Cl2/MeOH 95/5)により精製し、表題の化合物(2)を類白色固体として得た(0.21g,57%)。
【0262】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):σ 8.98(2H,d)、7.85(2H,d)、7.59(1H,t)、7.27(2H,d)、7.01(1H,dd)、6.88(1H,td)、6.71(1H,td)、6.36(1H,dd)、4.50−4.40(4H,m)、4.22−4.15(2H,m)、3.82(3H,s)、2.22(2H,t)、1.77(2H,q)、1.23(9H,s)
【0263】
実施例2
化合物(191)の合成
6−(ニトロオキシ)ヘキサン酸ペンタフルオロフェニルエステル(0.185g,0.54mmol)を用いて、実施例1に記載されたのと同じ手順に従い、表題の化合物(191)を類白色固体として得た(0.3g,78%)。
【0264】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):σ 8.98(2H,d)、8.35(1H,s)、7.52−7.32(2H,m)、7.18−7.04(2H,m)、6.97(1H,d)、6.82(1H,t)、4.79−4.65(2H,m)、4.38(2H,t)、4.37−4.28(2H,m)、3.94(3H,s)、2.24(2H,t)、1.75−1.50(7H,m)、1.45−1.32(2H,m)、1.29(9H,s)
【0265】
実施例3
化合物(4)の合成
0℃に冷却した、ボセンタン(0.45g,0.82mmol)、DMAP(0.45g,3.68mmol)およびSc(OTf)3(0.16g,0.328mmol)のCH2Cl2(10ml)溶液に、4−(ニトロオキシメチル)安息香酸ペンタフルオロフェニルエステル(0.3g,0.82mmol)のCH2Cl2(5ml)溶液を加え、混合物を一夜反応させた。次いで、混合物をCH2Cl2(150ml)で希釈し、水(200ml)および食塩水(200ml)で洗浄した。その後、有機相をMgSO4で乾燥し、真空下に溶媒を除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(CH2Cl2/MeOH 90/10)により精製し、表題の化合物(4)を類白色固体として得た(0.139g,23%)。
【0266】
1H−NMR(400MHz,CDCl3):σ 9.00(2H,d)、8.80(1H,s)、8.39(2H,d)、8.01−7.87(2H,m)、7.47−7.39(5H,m)、7.06(1H,d)、6.97(1H,t)、6.93−6.85(1H,m)、6.60−6.54(1H,m)、5.47(2H,s)、4.93−4.81(2H,m)、4.67−4.50(2H,m)、3.90(3H,s)、1.29(9H,s)
【0267】
実施例4
化合物(11)の合成
0℃に冷却した、ボセンタン(0.67g,1.21mmol)、DMAP(0.25g,2.12mmol)およびSc(OTf)3(0.104g,0.22mmol)のCH2Cl2(10ml)溶液に、4−(ニトロオキシ)ブチル p−ニトロフェニルカーボネート(0.45g,1.5mmol)のCH2Cl2(10ml)溶液を加え、混合物を一夜反応させた。次いで、混合物をCH2Cl2(50ml)で希釈し、水(100ml)で洗浄した。その後、有機相をMgSO4で乾燥し、真空下に溶媒を除去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(CH2Cl2/MeOH 9.5/0.5)により精製して、表題の化合物(11)を類白色固体として得た(0.136g,15%)。
【0268】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):σ 8.96(2H,d)、7.93−7.77(2H,m)、7.66−7.54(1H,m)、7.27(2H,d)、7.01(1H,d)、6.89(1H,t)、6.70(1H,t)、6.55−6.48(1H,m)、6.04(1H,m)、4.62(4H,m)、4.30−4.20(2H,m)、3.98(2H,t)、3.87−3.78(3H,m)、1.73−1.52(4H,m)、1.23(9H,s)
【0269】
実施例5
化合物(192)の合成
6−(ニトロオキシ)ヘキシル p−ニトロフェニルカーボネート(0.492g,1.5mmol)を用いて、実施例4に記載されたのと同じ手順に従い、表題の化合物(192)を類白色固体として得た(0.133g,15%)。
【0270】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):σ 8.98(2H,d)、7.84(2H,d)、7.60(1H,t)、7.27(2H,d)、7.00(1H,d)、6.89(1H,t)、6.69(1H,t)、6.35(1H,d)、4.55−4.43(4H,m)、4.23(2H,m)、4.02−3.90(2H,m)、3.88−3.79(2H,m)、3.40−3.25(6H,m)、1.71−1.57(2H,m)、1.57−1.44(2H,m)、1.23(9H,s)
【0271】
実施例6
化合物(247)の合成
A)1−クロロエチル 4−(ニトロオキシ)ブチルカーボネートの製造
0℃に冷却した、1,4−ブタンジオール(5.0ml,56.2mmol)およびピリジン(5.9ml,73.1mmol)のCH2Cl2(60ml)溶液に、1−クロエチル クロロカーボネート(6.7ml,61.9mmol)を加え、混合物を室温で4時間反応させた。次いで、反応混合物をpH3のクエン酸溶液(200ml)で希釈し、CH2Cl2(2×150ml)で抽出し、MgSO4で乾燥して、溶媒を真空下に蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル 8/2)により精製し、1−クロロエチル4−ヒドロキシブチルカーボネートを淡い油状物として得た(3.28g,30%)。
【0272】
−70℃に冷却した、1−クロロエチル 4−ヒドロキシブチルカーボネート(3.73g,17.0mmol)、テトラエチルアンモニウム硝酸塩(6.4g,33.0mmol)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン(7.5g,36.0mmol)のCH2Cl2(100ml)溶液に、トリフリック無水物(5.6ml,33.0mmol)のCH2Cl2(70ml)溶液を加え、混合物を−70℃で攪拌し、次いで1時間で徐々に室温まで暖め、一夜攪拌した。次いで、反応混合物を水(400ml)で希釈し、CH2Cl2(2×150ml)で抽出した。油相を食塩水(2×150ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(シクロヘキサン 100、次いでシクロヘキサン/酢酸エチル 95/5、次いで酢酸エチル)により精製し、1−クロロエチル 4−(ニトロオキシ)ブチルカーボネートを油状物として得た(2.97g,74%)。
【0273】
B)化合物(247)の合成
ボセンタン(0.10g,0.18mmol)およびCs2CO3(0.09mg,0.27mmol)のDMF(2ml)溶液に、1−クロロエチル 4−(ニトロオキシ)ブチルカーボネート(0.11mg,0.45mmol)のDMF(2ml)溶液を加え、混合物を60時間攪拌した。混合物を5% NaH2PO4(5ml)で希釈し、酢酸エチル(3×10ml)で抽出した。有機層を水(6×20ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過し、真空下に蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(CH2Cl2/MeOH 95/5)により精製し、表題の化合物(247)を黄色固体として得た(0.04g,30%)。
【0274】
1H−NMR(300MHz,CDCl3):σ 9.01(2H,m)、8.04(2H,d)、7.44(3H,m)、7.15−6.86(4H,m)、4.76(2H,d)、4.58−4.30(4H,m)、4.30−4.05(2H,m)、3.98(3H,s)、3.79−3.58(1H,m)、1.94−1.59(7H,m)、1.29(9H,s)
【0275】
実施例7
化合物(246)の合成
A)クロロメチル 4−(ニトロオキシ)ブチルカーボネートの製造
0℃に冷却した、1,4−ブタンジオール(4.5ml,51.0mmol)およびピリジン(5.4ml,66.0mmol)のCH2Cl2(60ml)溶液に、クロロメチル クロロカーボネート(5.0ml,56.0mmol)を加え、混合物を室温で4時間反応させた。次いで、反応混合物をpH3のクエン酸溶液(200ml)で希釈し、CH2Cl2(2×150ml)で抽出し、MgSO4で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(シクロヘキサン/酢酸エチル 8/2)により精製し、クロロメチル 4−ヒドロキシブチルカーボネートを淡い油状物として得た(2.7g,29%)。
【0276】
−70℃に冷却した、クロロメチル 4−ヒドロキシブチルカーボネート(2.0g,10.0mmol)、テトラエチルアンモニウム硝酸塩(4.2g,20.0mmol)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルピリジン(4.9g,24.0mmol)のCH2Cl2(100ml)溶液に、トリフリック無水物(3.7ml,20.0mmol)のCH2Cl2(15ml)溶液を加え、混合物を−70℃で1時間攪拌し、次いで徐々に室温まで暖め、一夜攪拌した。次いで、反応混合物を水(500ml)で希釈し、CH2Cl2(2×150ml)で抽出した。有機相を食塩水(2×150ml)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させた。得られたワックス状の固体をシクロヘキサン/酢酸エチル1:1(200ml)に懸濁させた。沈殿物をろ別し、溶液を減圧下に濃縮し、クロロメチル 4−(ニトロオキシ)ブチルカーボネートを黄色油状物として得た(2.0g,87%)。
【0277】
B)化合物(246)の合成
ボセンタン(1.0g,1.81mmol)およびCs2CO3(1.5g,4.5mmol)のDMF(20ml)溶液に、クロロメチル 4−(ニトロオキシ)ブチルカーボネート(1.03g,4.5mmol)のDMF(5ml)溶液を加え、混合物を48時間攪拌した。混合物を5% Na2HPO4(500ml)で希釈し、酢酸エチル(2×200ml)で抽出した。有機層をMgSO4で乾燥し、真空下に濃縮した。粗物質を、2つの20gカートリッジを用い、シクロヘキサン/酢酸エチル1:1〜0:100の直線勾配となる、プレパラティブMPLCで10分間(流速15ml/分)2回精製し、表題の化合物(246)を黄色の固体として得た(0.52g,38%)。
【0278】
1H−NMR(400MHz,DMSO−d6):σ 9.06−9.05(2H,d)、8.28−8.26(2H,d)、7.63(1H,s)、7.53−7.51(2H,d)、7.05−7.00(2H,m)、6.78−6.68(2H,dd)、4.94(2H,s)、4.49−4.47(2H,t)、4.40(2H,bm)、4.06−4.04(2H,t)、3.74(3H,s)、3.67(2H,bm)、1.67−1.61(4H,m)、1.23(9H,s)
【0279】
血管緊張についての検討
血管緊張低下を起こすエンドセリン受容体拮抗剤のニトロ誘導体の性能を、天然のエンドセリン受容体拮抗剤と比較して、分離したうさぎの胸大動脈組織標本で、インビトロ試験した (Wanstall J.C. ら .,Br.J.Pharmacol.,134:463-472,2001)。
【0280】
雄のニュージーランドうさぎを、チオペンタールナトリウム(50mg/kg,iv)で麻酔し、全採血によりと殺し、胸部を開き、大動脈を切開した。大動脈環の組織標本(長さ4mm)を、生理食塩水(PSS)中、37℃で、小さな臓器チャンバー(5ml)内でセットアップした。PSSの組成は、(mM):NaCl 130、NaHCO3 14.9、KH2PO4 1.2、MgSO4 1.2、HEPES 10、CaCl2、アスコルビン酸 170およびブドウ糖1.1(95% O2/5% CO2;pH 7.4)であった。
【0281】
それぞれの環は、2gの受動的な張力下に置かれた。BIOPAC MP150システムに取り付けられたグラス・トランスデューサー(Grass FT03)を用いて、アイソメトリック(isometric)張力を記録した。組織標本を1時間平衡状態にし、次いでノルアドレナリン(NA、1μM)で最大限近傍まで収縮させ、収縮が安定したとき、アセチルコリン(ACh 10μM)を加えた。
【0282】
AChに対する弛緩反応は、機能的な内皮の存在を示した。NAを収縮できなかったか、またはAChに対して弛緩を示さなかった血管は、処分された。安定な収縮前段階に達したとき、いずれかの血管緊張低下剤に対する累積的な濃度応答曲線が、機能的な内皮の存在下で得られた。それぞれの大動脈環を、阻害剤および血管緊張低下剤の一つだけの組合せにさらした。
【0283】
さらに、化合物により誘発された血管緊張低下に対する、可溶なグアニリルシクラーゼ阻害剤ODQ(1−H−(1,2,4)−オキサジアゾール(4,3−a)キノキサリン−1−オン)の効果を、ODQ(10μM)を用いた大動脈環の20分間の予備培養により試験した。弛緩剤に対する応答を残りの収縮のパーセントにより示し、試験化合物の濃度に対してプロットした。
【0284】
EC50値(ここで、EC50は、試験化合物に対して最大弛緩の50%をもたらす濃度である)を、これらのプロットから算出した。試験期間中、NAで得られた平衡状態は、大動脈管の収縮の顕著な自発的ロスがなく、安定していた。これらの実験条件下では、ボセンタンは試験されたどの濃度においても弛緩をもたらさず、曲線は媒体のみの存在下で行われたものと異ならなかった。
表1に示されたように、本発明の実施例1の化合物は、濃度に依存する態様で弛緩を誘発することができた。
【0285】
さらに、ODQ(10μM)の存在下で行われた実験では、試験化合物に対する血管緊張低下剤の応答は抑制された。
【0286】
【表1】

【0287】
ボセンタンのニトロ誘導体の抗高血圧活性(インビボ)の検討
試験開始の10日前に、自然高血圧ラット(SHR)を、U.Basile(Comerio,VA イタリア)からの血圧解析システムモデルBP−2000を用い、テイル−カフ(tail−cuff)法(Whitesall S.Eら ; Am. J. Physiol. Heart Circ. Physiol 286: H2408-H2415, 2004)により、血圧測定のため毎日訓練した。
【0288】
それぞれの動物を、15分間、個々のかごごと加温戸棚(37℃)の中に置いた。
ボセンタン、ボセンタンのニトロ誘導体または媒体の経口投与により、処置する前(基準線)および処置した後(すなわち、1、3、6、24時間)、テイル−カフ法により収縮期血圧を測定する。個々のラットの平均血圧値を、3/5の異なる連続測定により評価する。
【0289】
3〜5の測定値が5mmHgより大きく異なっていないときのみ、測定を有効とする。絶対値として、または絶対値とそれ自体の基準線との間のデルタとしてデータを加工する。
表2に示すように、親化合物のボセンタンと異なり、ニトロ誘導体(実施例1の化合物)は、血圧における明確な低下を誘発し得た。
【0290】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体:
【化1】

式中、
m、m'およびm''は、0または1であり、
n、n'およびn''は、0または1であり、
s、s'およびs''は、0または1であり、
Aは以下のものからなる群から選択される:
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

(式中、N1は−O−、−OHであり、
2は−N−、−NH−であり、
3は−C(O)O−、−C(O)NH−であり、
B、B'およびB''は、−CO−、−C(O)O−、−C(O)NHであり、
C、C'およびC''は、
【化9】

である;
ただし、
1)Aが(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(
Ih)、(Ii)、(Ij)、(Ik)、(Il)および(Im)からなる群から選択
されるとき、m、m'、m''、n、n'またはn''の少なくとも一つは1である;
2)Aが(In)、(Io)、(Ip)、(Iq)、(Ir)、(Is)および(Iu)
からなる群から選択されるとき、s'、s''およびmは0であり、nは0または1であ る;
3)Aが(It)であるとき、m、m'およびs''は0であり、nおよびn'は0または
1である;
4)N1またはN2の少なくとも一つは、基−[(B)m−(C)n−(Y−ONO2)]、 −[(B')m'−(C')n'−(Y'−ONO2)]または−[(B'')m''−(C'')n''−( Y''−ONO2)]の少なくとも一つに結合し得る−O−または−N−である;
Y、Y'およびY''は、以下の意味を有する2価の基である:
a)
− ハロゲン原子、ヒドロキシ、−ONO2またはTa(ここで、Taは−OC(O)(C1−C10アルキル)−ONO2または−O(C1−C10アルキル)−ONO2である)からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意に置換されていてもよい、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1−C20アルキレン
− 環が側鎖T(ここで、Tは1〜10の炭素原子を有する直鎖状または分枝鎖状のアルキルである)で任意に置換されていてもよい、シクロアルキレン環内に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレン
b)
【化10】

c)
【化11】

(式中、n0は0〜20の整数であり、n1は1〜20の整数である);
d)
【化12】

(式中、n1は上記で定義されたとおりであり、n2は0〜2の整数であり、X1は−OCO−または−COO−であり、R2はHまたはCH3である);
e)
【化13】

(式中、n1、n2、R2およびX1は上記で定義されたとおりであり、Y1は−CH2−CH2−または−CH=CH−(CH2)n2−である);
f)
【化14】

(式中、n1およびR2は上記で定義されたとおりであり、R3はHまたは−COCH3である、
ただし、Yが上記のb)〜f)に記載された2価の基から選択されるとき、−ONO2基は−CH2基に結合している);
g)
【化15】

(式中、X2は−O−または−S−であり、n3は1〜6の整数であり、R2は上記で定義されたとおりである);
h)
【化16】

(式中、n4は0〜10の整数であり、
5は1〜10の整数であり、
4、R5、R6、R7は同一または異なり、Hまたは直鎖状もしくは分枝鎖状のC1−C4アルキルであり、
−ONO2基は、
【化17】

(式中、n5は上記で定義されたとおりである)に結合しており、
2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1つ以上のヘテロ原子を含む、複素環式の飽和、不飽和もしくは芳香族の5または6員環であり、次の群から選択される)。
【化18】

【請求項2】
Y、Y'およびY''が、以下の意味を有する2価の基である、請求項1に記載の一般式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩もしくは立体異性体
a)
−1つの−ONO2基で任意に置換されていてもよい、直鎖状または分枝鎖状のC1−C10アルキレン;
b)
【化19】

(式中、n0は0または1に等しい整数であり、n1は1に等しい整数である、
ただし、−ONO2基は−CH2基に結合している);
g)
【化20】

(式中、X2は−O−または−S−であり、n3は1に等しい整数であり、R2はHである)。
【請求項3】
次の群から選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

【化58】

【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

【化63】

【化64】

【化65】

【化66】

【化67】

【化68】

【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】

【化81】

【化82】

【化83】

【化84】

【化85】

【化86】

【化87】

【化88】

【化89】

【化90】

【化91】

【化92】

【化93】

【化94】

【化95】

【化96】

【化97】

【化98】

【化99】

【化100】

【化101】

【化102】

【化103】

【化104】

【化105】

【化106】

【化107】

【化108】

【化109】

【化110】

【化111】

【化112】

【請求項4】
医薬として使用するための請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(I)の化合物。
【請求項5】
内臓関連疾患、腎臓、肺、心臓および血管の疾患ならびに炎症の治療または予防に用いられ得る医薬を製造するのための、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項6】
鬱病性心臓疾患、冠動脈疾患、左心室機能障害および左心室肥大、心臓線維症、心筋虚血、発作、くも膜下出血、脳血管痙攣、冠動脈痙攣、アテローム性動脈硬化、経皮的動脈形成術後再狭窄、腎臓虚血、腎臓疾患、腎臓および肺の線維症、糸球体腎炎、腎疝痛、高眼圧症、緑内障、全身性高血圧症、肺動脈高血圧症(PAH)、腎症、血行障害、神経障害のような糖尿病性合併症、末梢血管抵抗、肝臓線維症、門脈圧亢進症、メタボリックシンドローム、勃起障害、血管または外科手術後の合併症、臓器移植後の免疫抑制剤を用いた処置による合併症、高アラニン血症、肺線維症、強皮症、鎌状赤血球病、良性前立腺肥大、癌、不安症、味覚障害、の治療または予防に用いられ得る医薬を製造するための、請求項5に記載の化合物の使用。
【請求項7】
医薬的に許容される担体、および請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(I)の化合物またはその塩もしくは立体異性体の医薬的に有効な量を含む医薬組成物。
【請求項8】
吸入スプレーまたはエアゾルまたはイオン導入器による、経口、非経口、直腸、局所および経皮投与に適した形態にある、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
経口、非経口、直腸、局所および経皮投与または吸入用の、場合によっては腸溶性コーティングされている錠剤、カプセル剤および丸剤、散剤、顆粒剤、ゲル、乳液剤、液剤、懸濁液剤、シロップ剤、エリキシル剤、注射剤、坐剤、経皮パッチまたはリポソームの形態にあり、請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(I)の化合物またはその塩もしくは立体異性体、および医薬的に許容される担体を含む、液状または固形の医薬組成物。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれかに記載の、心臓血管系疾患を治療するために用いられる少なくとも一つの一般式(I)の化合物、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
心臓血管系疾患を治療するために用いられる化合物が、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoA還元酵素阻害剤、β−アドレナリン遮断剤、α−アドレナリン拮抗剤、交感神経遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、レニン阻害剤、中性エンドペプチターゼ阻害剤、カリウム活性剤、利尿剤、血管拡張剤、アスピリンのような抗血栓剤またはそのニトロソ化された化合物からなる群から選択される、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
心臓血管系疾患を治療するために、同時に、別々にまたは続いて使用される組合わされた製剤として用いられる、心臓血管系疾患の治療のための、請求項1に定義された一般式(I)の化合物を含む医薬キット。
【請求項13】
心臓血管系疾患を治療するために用いられる化合物が、アルドステロン拮抗剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤、ACE阻害剤、HMGCoA還元酵素阻害剤、β−アドレナリン遮断剤、α−アドレナリン拮抗剤、交感神経遮断剤、カルシウムチャンネル遮断剤、レニン阻害剤、中性エンドペプチターゼ阻害剤、カリウム活性剤、利尿剤、血管拡張剤、アスピリンのような抗血栓剤またはそのニトロソ化された化合物からなる群から選択される、請求項12に記載の医薬キット。

【公表番号】特表2009−538862(P2009−538862A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512550(P2009−512550)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055012
【国際公開番号】WO2007/137980
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】