説明

クロック選択回路及びそれを備えたクロックデータリカバリ回路

【課題】クロック選択回路の出力切り替えに起因するグリッチを排除する。
【解決手段】クロック選択回路は、互いに位相のずれた複数のクロック信号を受け、これらクロック信号の中から一つ以上を選択的に出力する2個のクロック選択部(11a、11b)、これらクロック選択部(11a、11b)のいずれか一方を選択し、当該選択した方から出力されたクロック信号を出力するクロック切替部(12)、及びこれらクロック選択部(11a、11b)及びクロック切替部(12)を制御する制御部(13)を備えている。制御部(13)は、2個のクロック選択部(11a、11b)のうちクロック切替部(12)によって選択されていない方に対してクロック信号の再選択を指示し、当該指示後に、クロック切替部(12)に対して出力の切り替えを指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロック選択回路に関し、特に、クロックデータリカバリ回路や遅延ロックループ回路などに好適な、互いに位相のずれた複数のクロック信号の中から一つ以上を選択的に出力するクロック選択回路に関する。
【背景技術】
【0002】
データ伝送システムでは電源電圧の変動や通信路の伝送遅延などに起因して受信データ信号と受信クロック信号との間にスキューが生じる。このため、受信側ではクロックデータリカバリ回路などを用いて、受信データ信号に基づいて、基準クロック信号から生成した多相のクロック信号の中からデータラッチに最適なタイミングを有するものを選択することでデータラッチ用のクロック信号をリカバリしている。このような互いに位相のずれた複数のクロック信号の中からいずれか一つを選択するためにクロック選択回路が用いられる。
【0003】
クロック選択回路は信号選択用のスイッチング素子が並列に多数接続された回路構成となっている。このため、これらスイッチング素子の共通接続点には比較的大きな容量が寄生している。そして、この寄生容量に起因して共通接続点において信号波形になまりが生じ、クロック選択回路の信号遅延は大きくなってしまう。さらに、この信号遅延が原因でクロック選択回路の出力が切り替わる際にグリッチが誘発されることがある。このグリッチはその後の信号処理に悪影響を及ぼし、特にクロックデータリカバリ回路ではデータを正常にラッチすることができなくなるおそれがある。
【0004】
クロック選択回路の出力に発生するグリッチについて図14のタイミングチャートを参照しながら説明する。いま、クロック選択回路に入力されているクロック信号CK1が選択されてクロック信号CKoutとして出力されているとする。時刻T1でのクロック信号CK1の立ち上がりはそれよりも時間ΔT1だけ遅延して時刻T2にクロック信号CKoutに現れる。すなわち、クロック選択回路に入力されたクロック信号は時間ΔT1だけ遅延して出力される。ここで、時刻T2でのクロック信号CKoutの立ち上がりのタイミングでクロック選択回路の出力をクロック信号CK2に切り替えたとする。しかし、出力は時刻T2で瞬時に切り替わらずに、実際にはそれよりも時間ΔT2(ΔT2<<ΔT1)だけ遅延して時刻T3に切り替わる。そして、この遅延中にクロック信号CK1の信号レベルは変化し、時刻T3ではクロック信号CK1及びCK2の信号レベルは不一致の状態となっている。この信号レベルの不一致によって、クロック信号CKoutにグリッチが誘発される。
【0005】
クロック選択回路の信号遅延を小さくすることができれば、たとえ出力の切り替え遅延があったとしてもクロック選択回路から出力されるクロック信号にグリッチが誘発されないようにすることができる。従来、クロック選択回路の信号遅延を抑制するために、入力された複数のクロック信号を複数の群に分割してそれぞれを複数の信号選択回路に与え、これら信号選択回路から出力されたクロック信号を次段の信号選択回路に与えて、最終的に任意の一つのクロック信号を選択している(例えば、特許文献1参照)。このように信号選択回路を多段接続することによって、各信号選択回路における信号選択用のスイッチング素子の並列接続数を減らしてその共通接続点における寄生容量を低減し、各信号選択回路ひいてはクロック選択回路全体の信号遅延の抑制を可能としている。
【0006】
また、クロック信号からグリッチを排除するために、出力クロック信号の切り替えが指示されたとき、出力クロック信号を一旦ローレベルに保持した後に新たなクロック信号を出力する出力制御回路が公知である(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003―179487号公報
【特許文献2】特開2004―166194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、機器間のデータ通信速度は高速化の一途を辿っている。このため、従来の手法でクロック選択回路の信号遅延の絶対量を小さくしたとしても、クロック信号の周波数はますます速くなるのに対してクロック選択回路の信号遅延はクロック信号の周波数にかかわらず一定であるため、クロック信号の1周期に対するクロック選択回路の信号遅延の相対量は増大する。また、クロックデータリカバリ回路においてより高精度のラッチタイミングを得るにはより多相のクロック信号を使用する必要があるため、やはり、クロック選択回路の信号遅延の相対量は増大してしまう。クロック選択回路の出力からグリッチを排除するには、現在出力中のクロック信号と選択すべきクロック信号との信号レベルが一致している時点で出力を切り替えるようにする必要がある。しかし、周波数が高くなるとこれら2つのクロック信号の信号レベルが一致する区間は狭くなるため、出力の切り替え制御は非常に難しくなる。このため、従来の手法ではシステムの高速化に対応することが困難である。
【0008】
さらに、近年の通信速度の高速化に対応するために多相クロック信号を用いた並列処理システムが一般的となっている。このようなシステムでは、複数のクロック選択回路を並列接続し、入力された複数のクロック信号を各クロック選択回路に与え、各クロック選択回路から出力されたクロック信号を並べて出力するといった回路構成にする必要がある。しかし、そのような回路構成では、クロック信号の入力部分の配線構造が複雑化するとともに寄生容量も増大し、信号波形のなまりや位相差の乱れが生じてしまう。
【0009】
上記問題に鑑み、本発明は、クロック選択回路について出力切り替えに起因するグリッチを排除し、特に多出力のクロック選択回路について入力部分の配線構造を簡略化して信号遅延を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は、互いに位相のずれた複数のクロック信号を受け、これらクロック信号の中から一つ以上を選択的に出力するクロック選択回路として、前記複数のクロック信号を受け、これらクロック信号の中から一つ以上を選択的に出力する第1及び第2のクロック選択部と、前記第1及び第2のクロック選択部のいずれか一方を選択し、当該選択した方から出力されたクロック信号を出力するクロック切替部と、前記第1及び第2のクロック選択部及び前記クロック切替部を制御する制御部とを備えたものとする。ここで、前記制御部は、前記第1及び第2のクロック選択部のうち前記クロック切替部によって選択されていない方に対してクロック信号の再選択を指示し、当該指示後に、前記クロック切替部に対して出力の切り替えを指示するものとする。
【0011】
これによると、当該クロック選択回路の出力が切り替わるとき、第1及び第2のクロック選択部のうちクロック信号の再選択が指示された方の出力にグリッチが発生したとしても、その出力はクロック切替部によって選択されないため、当該グリッチが当該クロック選択回路の出力に現れることはない。
【0012】
具体的には、前記制御部は、当該クロック選択回路から出力されるクロック信号の位相を進める要求を示す第1の要求信号及び当該位相を遅らせる要求を示す第2の要求信号のうち同じ要求信号を所定回数連続して受信したとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対してクロック信号の再選択を指示し、さらに続けて同じ要求信号を少なくとも1回受信したとき、前記クロック切替部に対して出力の切り替えを指示する。そして、好ましくは、前記制御部は、前記第1及び第2の要求信号のうち同じ要求信号を前記所定回数連続して受信したときの前記第1及び第2の要求信号のそれぞれの受信回数がいずれも所定値よりも大きいとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対して逆位相のクロック信号の選択を指示するものとする。
【0013】
また、具体的には、前記制御部は、当該クロック選択回路から出力されるクロック信号の位相を進める要求を示す第1の要求信号及び当該位相を遅らせる要求を示す第2の要求信号のそれぞれについて所定期間における受信回数の差分値が所定値を超えているとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対してクロック信号の再選択を指示する。そして、好ましくは、前記制御部は、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対して、前記差分値に応じた量だけ位相がずれたクロック信号を再選択するように指示するものとする。
【0014】
一方、本発明が講じた手段は、互いに位相のずれた複数のクロック信号を受け、これらクロック信号の中から複数個を選択的に出力するクロック選択回路として、前記複数のクロック信号を位相順にM個(Mは2以上の整数)ずつ分けたN個(Nは2以上の整数)の信号群にそれぞれ対応して設けられ、当該対応する信号群に属するM個のクロック信号が位相順に並んで与えられ、共通の制御信号に従って、これら与えられたM個のクロック信号の中からいずれか一つを選択的に出力するN個のクロック選択部を備えたものとする。
【0015】
これによると、多出力のクロック選択回路における入力部分の配線構造を簡略化することができ、当該クロック選択回路の信号遅延を低減することができる。
【0016】
好ましくは、上記のクロック選択回路は、前記N個のクロック選択部から出力されたN個のクロック信号を受け、これらN個のクロック信号を位相順に並べて出力するクロック整列部を備えているものとする。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によると、入力クロック信号の個数が増えても、また、クロック信号の周波数が高くなっても、クロック選択回路の出力切り替えに起因するグリッチを排除することできる。また、多出力のクロック選択回路について入力部分の配線構造が簡略化して信号遅延を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るクロック選択回路の構成を示す。本クロック選択回路は、互いに位相がずれた45個のクロック信号CKin1〜CKin45を受け、これらの中から5個をクロック信号CKout1〜CKout5として選択的に出力する。具体的には、本クロック選択回路は、2個のクロック選択部11a及び11b、クロック切替部12及び制御部13を備えている。
【0020】
クロック選択部11aは、クロック信号CKin1〜CKin45を受け、位相選択信号PHaに従って、これらクロック信号CKin1〜CKin45の中から5個をクロック信号CKa1〜CKa5として選択的に出力する。同様に、クロック選択部11bは、クロック信号CKin1〜CKin45を受け、位相選択信号PHbに従って、これらクロック信号CKin1〜CKin45の中から5個をクロック信号CKb1〜CKb5として選択的に出力する。これらクロック選択部11a及び11bは、例えば、上述した従来技術に係るものであってもよいし後述の実施形態2に係るクロック選択回路であってもよい。
【0021】
クロック切替部12は、クロック信号CKa1〜CKa5及びクロック信号CKb1〜CKb5を受け、切替制御信号CHに従って、これらのいずれか一方の信号群をクロック信号CKout1〜CKout5として選択的に出力する。具体的には、クロック切替部12は、クロック信号CKak(kは1から5までの各整数。)とクロック信号CKbkとを受け、クロック信号CKoutkを出力する5個の2:1セレクタ(不図示)で構成することができる。
【0022】
制御部13は、クロック信号CKout1〜CKout5のいずれかに同期して、クロック信号CKout1〜CKout5の位相を進める要求を表す信号UP及び当該位相を遅らせる要求を表す信号DNの受信回数に基づいて、位相選択信号PHa及びPHbを出力してクロック選択部11a及び11bをそれぞれ制御する。また、制御部13は、切替制御信号CHを出力してクロック切替部12を制御する。特に、制御部13は、クロック選択部11a及び11bのうちクロック切替部12によって選択されていない方に対してクロック信号の再選択を指示し、当該指示をした後にクロック切替部12に対して出力の切り替えを指示する。制御部13による制御方法として信号UP及びDNのそれぞれの連続受信回数に基づいたものと平均受信回数に基づいたものとが挙げられる。これら制御方法の詳細については後述する。
【0023】
次に、本クロック選択回路の動作について図2のタイミングチャートを参照しながら説明する。なお、便宜のためクロック信号CKout1の切り替えについて説明する。いま、クロック選択部11a及び11bはいずれもクロック信号CK1を選択しており、クロック切替部12はクロック信号CKa1を選択しているとする。また、クロック切替部12は、切替制御信号CHがローレベルのとき、クロック信号CKa1を選択し、切替制御信号CHがハイレベルのとき、クロック信号CKb1を選択するものとする。時刻T1でのクロック信号CK1の立ち上がりはそれよりも時間ΔT1だけ遅延して時刻T2にクロック信号CKa1及びCKb1に現れる。すなわち、クロック選択部11a及び11bにおける信号遅延量は時間ΔT1である。さらに、時刻T2でのクロック信号CKa1の立ち上がりはそれよりも時間ΔT2(ΔT2<<ΔT1)だけ遅延して時刻T3にクロック信号CKout1に現れる。すなわち、クロック切替部12における信号遅延量は時間ΔT2である。
【0024】
ここで、クロック信号CKout1が立ち上がった時刻T3でクロック選択部11bに対して1段階遅れた位相のクロック信号を選択するように指示がされたとする。しかし、クロック選択部11bの出力は時刻T3で瞬時に切り替わらずに、実際にはそれよりも時間ΔT3(ΔT3<<ΔT1)だけ遅延して時刻T4に切り替わる。そして、この遅延中にクロック信号CK1の信号レベルは変化してしまい、時刻T4ではクロック信号CK1及びCK2の信号レベルが不一致の状態となっている。この信号レベルの不一致により、クロック信号CKb1にグリッチが誘発される。しかし、クロック切替部12はまだクロック信号CKa1の出力を維持しているため、クロック信号CKout1にクロック信号CKb1に発生したグリッチが現れることはない。
【0025】
その後、時刻T5でのクロック信号CKa1の立ち上がりはそれよりも時間ΔT2だけ遅延して時刻T6にクロック信号CKout1に現れる。そして、クロック信号CKout1が立ち上がった時刻T6、すなわち、クロック選択部11bに対してクロック信号の再選択が指示されてから1周期遅れたタイミングで、クロック切替部12に対して出力の切り替えが指示される。しかし、クロック切替部12の出力は時刻T6で瞬時に切り替わらずに、実際には、クロック信号CKout1の立ち上がりが制御部13に入力されてから制御部13が切替制御信号CHをハイレベルに変化させるまでに要する時間ΔT4(ΔT4<<ΔT1)だけ遅延して時刻T7に切り替わる。時刻T7ではクロック信号CKa1及びCKb1の信号レベルは一致しているため、クロック信号CKout1にグリッチは発生しない。ここで、時間ΔT4は、時間ΔT1よりも十分に小さく、また、本クロック選択回路に入力されるクロック信号の個数にかかわらず一定である。したがって、本クロック選択回路に入力されるクロック信号の個数が増えてクロック選択部11a及び11bの信号遅延が増大したとしても、本クロック選択回路はグリッチを誘発しないスムーズな出力切り替えを行うことができる。
【0026】
クロック切替部12に入力されたクロック信号CKak及びCKbkの位相差が、クロック信号CKoutkが制御部13に入力されてから切替制御信号CHの信号レベルが変化するまでに要する時間よりも十分に大きい場合にも、やはり、実際の出力の切り替わり時におけるクロック信号CKak及びCKbkの信号レベルが不一致となり、クロック信号CKoutkにグリッチが発生する。図2のタイミングチャートで説明すると、時刻T6と時刻T7との間にあるクロック信号CKb1の立ち上がりが時刻T7よりも後に発生したならば、時刻T7におけるクロック信号CKa1及びCKb1の信号レベルは不一致となり、クロック信号CKout1にグリッチが発生してしまう。
【0027】
上記の問題を解消するにはクロック切替部12を次のように構成すればよい。図3は、クロック切替部12の構成例を示す。クロック切替部12は、クロック信号CKakとクロック信号CKbkとを受け、クロック信号CKoutkを出力する5個の2:1セレクタ121、122、123、124及び125、及びこれらセレクタ121〜125を制御する制御回路126を備えている。制御回路126は、3個のフリップフロップ1261、1262及び1263で構成される。フリップフロップ1261はクロック信号CKout1に同期して切替制御信号CHをラッチして信号CH1を出力する。フリップフロップ1262及び1263は、それぞれ、クロック信号CKout4及びCKout5に同期して信号CH1をラッチして信号CH4及びCH5を出力する。セレクタ121は信号CH4で、セレクタ122は信号CH5で、セレクタ123は信号CH1で、セレクタ124は信号CH5で、そして、セレクタ125は信号CH1で、それぞれ制御される。
【0028】
このように、セレクタ121〜125のそれぞれについて、自己の出力クロック信号よりも遅れて立ち上がる他のセレクタの出力クロック信号に同期して出力を切り替えるようにすることで、実際の出力の切り替わり時においてセレクタに入力された二つのクロック信号の信号レベルが一致するため、出力切り替えに伴うグリッチを排除することができる。
【0029】
次に、制御部13による信号UP及びDNのそれぞれの連続受信回数に基づいた制御方法及び平均受信回数に基づいた制御方法について順に説明する。
【0030】
≪連続受信回数に基づく制御例1≫
信号UP及びDNの連続受信回数に基づく制御部13の制御方法について図4に示した状態遷移図を参照しながら説明する。なお、図中の“U”及び“D”はそれぞれ信号UP及び信号DNを受信したことを表す。
【0031】
制御部13は状態S0から開始して信号DNを受信するたびに状態S1、状態S2及び状態S3の順に遷移する。この間、信号UPを受信すると状態S0に戻る。すなわち、状態S0から信号DNを連続3回受信すると状態S3に遷移する。この連続受信回数は3回に限定されず任意である。状態S3に遷移したとき、制御部13は、クロック選択部11a及び11bのうちクロック切替部12によって選択されていない方に対して1段階遅れた位相のクロック信号を選択するように指示をする。具体的には、クロック信号CKa1〜CKa5がクロック信号CKout1〜CKout5として出力されている場合、制御部13は、位相選択信号PHbを変化させて、クロック選択部11bに対して1段階遅れた位相のクロック信号を選択するように指示をする。一方、クロック信号CKb1〜CKb5がクロック信号CKout1〜CKout5として出力されている場合、制御部13は、位相選択信号PHaを変化させて、クロック選択部11aに対して1段階遅れた位相のクロック信号を選択するように指示をする。
【0032】
状態S3において信号UPを受信すると状態S0に戻る。一方、状態S3において信号DNを受信すると状態S4に遷移する。すなわち、状態S0から信号DNを連続4回受信すると制御部13は状態S4に遷移する。この連続受信回数は4回に限定されず任意である。その後、制御部13は、切替制御信号CHを変化させてクロック切替部12に対して出力の切り替えを指示してから状態S0に戻る。この結果、クロック信号CKout1〜CKout5の位相は1段階遅れる。
【0033】
上記と同様に、制御部13は状態S0から開始して信号UPを受信するたびに状態S5、状態S6及び状態S7の順に遷移する。すなわち、状態S0から信号UPを連続3回受信すると状態S7に遷移する。このとき、制御部13は、クロック選択部11a及び11bのうちクロック切替部12によって選択されていない方に対して1段階進んだ位相のクロック信号を選択するように指示をする。そして、状態S7において信号UPをさらに受信すると状態S8に遷移する。すなわち、状態S0から信号UPを連続4回受信すると制御部13は状態S8に遷移する。その後、制御部13は、切替制御信号CHを変化させてクロック切替部12に対して出力の切り替えを指示してから状態S0に戻る。この結果、クロック信号CKout1〜CKout5の位相は1段階進む。
【0034】
制御部13は、所定のプログラムに従って上記の動作をするCPUとして実現可能であるほか専用のハードウェアで構成することも可能である。図5は、連続受信回数に基づく制御に係る制御部13のハードウェア構成を示す。制御部13は、カウンタ131u及び131d、クロック選択部11a及び11bを制御する選択制御部132及びクロック切替部12を制御する切替制御部133を備えている。
【0035】
カウンタ131u及び131dは、それぞれ、クロック信号CKout1〜CKout5のいずれかであるクロック信号CKに同期して、信号UP及び信号DNのそれぞれの連続受信回数をカウントする。選択制御部132は、カウンタ131u及び131dのカウント値及び切替制御信号CHに基づいて位相選択信号PHa及びPHbをそれぞれ設定する。ここで、切替制御信号CHを参照することによりクロック切替部12によってクロック選択部11a及び11bのいずれが選択されているかを判別可能である。具体的には、選択制御部132は、信号UP及び信号DNのいずれか一方を連続3回以上受信できなかったとき、信号RST1を出力してカウンタ131u及び131dをリセットする。一方、選択制御部132は、信号UPを連続3回受信したときには信号ENuを、信号DNを連続3回受信したときには信号ENdを、それぞれ活性化する。
【0036】
切替制御部133は、カウンタ131u及び131dのカウント値に基づいて切替制御信号CHを設定する。具体的には、切替制御部133は、信号UP又は信号DNを連続4回受信したとき、切替制御信号CHを変化させ、その後、信号RST2を出力してカウンタ131u及び131dをリセットする。
【0037】
≪連続受信回数に基づく制御例2≫
制御部13は、信号UP及びDNの受信回数をそれぞれカウントしておき、図4に示した状態遷移図中の状態S3又は状態S7に遷移したときに信号UP及びDNの各受信回数が所定回数を超えていれば、クロック選択部11a及び11bのうちクロック切替部12によって選択されていない方に対して逆位相のクロック信号を選択するように指示をするものであってもよい。図6は、クロック選択部11a及び11bに対して逆位相のクロック信号の選択を指示する機能を有する制御部13の構成を示す。制御部13は、図5に示した構成にさらに信号UPの受信回数をカウントするカウンタ134u及び信号DNの受信回数をカウントするカウンタ134dを追加した構成をしている。これらカウンタ134u及び134dは信号RST2によってリセットされる。選択制御部132は、位相選択信号PHa又はPHbの設定を変更すべきときにカウンタ134u及び134dのカウント値を参照し、これらのカウント値がいずれも所定値を超えていれば、その位相選択信号PHa又はPHbを反転する。これにより、クロック選択部11a又は11bからはそれまでとは逆位相のクロック信号が出力される。
【0038】
本クロック選択回路がクロックデータリカバリ回路で使用される場合、クロック信号のエッジ調整はデータ信号の遷移点付近から開始されるが、この遷移点の揺れのせいでシステム起動時からしばらくの間はクロック選択回路には信号UP及びDNが交互に入力される。そして、信号UP及びDNのいずれかの一方が所定回数連続して入力されることにより、クロック選択回路から出力されるクロック信号のエッジは最適ポイント、すなわち、二つのデータ遷移点の中間点に収束する。このような場合、クロック信号の位相を1段階ずつ進める又は遅らせるのではなく一気に逆位相にすることで、クロック選択回路から出力されるクロック信号をより早く最適位相に設定することができる。
【0039】
≪平均受信回数に基づく制御例1≫
次に、信号UP及びDNの平均受信回数に基づく制御部13の制御方法について図7に示した状態遷移図を参照しながら説明する。なお、図中の“CK”はクロック信号CKout1〜CKout5のいずれかであるクロック信号CKの立ち上がりが発生したことを表す。
【0040】
制御部13は状態S0から開始して、信号UPを受信するたびにその受信回数をインクリメントし、信号DNを受信するたびにその受信回数をインクリメントする。状態S0から所定時間Tが経過すると状態S1に遷移し、制御部13は信号UP及びDNのそれぞれの受信回数の差分値を算出する。そして、状態S1においてクロック信号CKの立ち上がりが発生すると状態S2に遷移し、制御部13は、クロック選択部11a及び11bのうちクロック切替部12によって選択されていない方に対して1段階遅れた又は進んだ位相のクロック信号を選択するように指示をする。具体的には、制御部13は、信号UP及びDNのそれぞれの受信回数の差分値に基づいて、信号UPの受信回数の方が多いと判断した場合には当該非選択のクロック選択部に対して1段階進んだ位相のクロック信号を選択するように指示をする。一方、信号DNの受信回数の方が多いと判断した場合には当該非選択のクロック選択部に対して1段階遅れた位相のクロック信号を選択するように指示をする。
【0041】
状態S2においてクロック信号CKの立ち上がりが発生すると状態S3に遷移する。クロック信号CKの立ち上がりが2回以上発生してから状態S3に遷移してもよい。その後、制御部13は、切替制御信号CHを変化させてクロック切替部12に対して出力の切り替えを指示してから状態S0に戻る。この結果、クロック信号CKout1〜CKout5の位相は1段階遅れるか又は進む。
【0042】
なお、信号UP及びDNのそれぞれの受信回数の差分値の絶対値が所定値よりも大きい場合に非選択のクロック選択部に対してクロック信号の再選択を指示するような条件を加えてもよい。これにより、信号UP及びDNのそれぞれの受信回数の差がある程度開いたときにのみ本クロック選択回路の出力を切り替えるといった制御が可能となる。
【0043】
制御部13は、所定のプログラムに従って上記の動作をするCPUとして実現可能であるほか専用のハードウェアで構成することも可能である。図8は、平均受信回数に基づく制御に係る制御部13のハードウェア構成を示す。制御部13は、カウンタ131、クロック選択部11a及び11bを制御する選択制御部132及びクロック切替部12を制御する切替制御部133を備えている。
【0044】
カウンタ131は、クロック信号CKに同期して、信号UP及びDNを受信することでそれぞれカウントアップ動作及びカウントダウン動作をするアップダウンカウンタで構成され、信号UP及びDNのそれぞれの受信回数の差分値を表す信号DIFを出力する。選択制御部132は、信号DIF及び切替制御信号CHに基づいて位相選択信号PHa及びPHbをそれぞれ設定する。具体的には、選択制御部132は、カウンタ131の動作開始から所定期間経過後の信号DIFが表す値がゼロ又は所定範囲内であればリセット信号RST1を出力してカウンタ131をリセットする。一方、信号DIFが表す値が所定範囲外であれば位相選択信号PHa及びPHbのいずれか一方を変化させるとともに、信号ENを活性化する。切替制御部133は、信号ENが活性化されているとき、クロック信号CKに同期して切替制御信号CHを変化させ、その後、信号RST2を出力してカウンタ131u及び131dをリセットする。
【0045】
≪平均受信回数に基づく制御例2≫
制御部13は、クロック選択部11a及び11bのうちクロック切替部12によって選択されていない方に対して、信号UP及びDNのそれぞれの受信回数の差分値に応じた量だけ位相がずれたクロック信号を再選択するように指示をするものであってもよい。具体的には、図8に示した構成において、制御部13は、位相選択信号PHa及びPHbのいずれか一方を、信号DIFによって表される差分値に対して適応的に変化させる。これにより、上述したように本クロック選択回路がクロックデータリカバリ回路で使用される場合において、本クロック選択回路から出力されるクロック信号をより早く最適位相に設定することができる。
【0046】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係るクロック選択回路の構成を示す。本クロック選択回路は、互いに位相がずれた45個のクロック信号CKin1〜CKin45を受け、位相選択信号PHに従って、これらクロック信号CKin1〜CKin45の中から5個をクロック信号CKout1〜CKout5として選択的に出力する。具体的には、本クロック選択回路は、9個のクロック信号が与えられ、これらクロック信号の中からいずれか一つを選択的に出力する5個の9:1セレクタ21、22、23、24及び25、及びこれらセレクタ21〜25から出力されたクロック信号を位相順に並べて出力するクロック整列部30を備えている。なお、クロック信号CKin1〜CKin45は互いに電気角8°ずつ位相がずれて位相順に並んでいるものとする。これは、本クロック選択回路がクロックデータリカバリ回路で使用されることを想定したためであり、本発明を限定するものではない。
【0047】
セレクタ21は、クロック信号CKin1〜CKin9を受け、クロック信号CK1を出力する。セレクタ22は、クロック信号CKin10〜CKin18を受け、クロック信号CK2を出力する。セレクタ23は、クロック信号CKin19〜CKin27を受け、クロック信号CK3を出力する。セレクタ24は、クロック信号CKin28〜CKin36を受け、クロック信号CK4を出力する。そして、セレクタ25は、クロック信号CKin37〜CKin45を受け、クロック信号CK5を出力する。すなわち、クロック信号CKin1〜CKin45は位相順に9個ずつセレクタ21〜25に入力される。そして、これらセレクタ21〜25は共通の位相選択信号PHに従ってクロック信号の選択を行う。したがって、セレクタ21〜25からは互いに電気角72°ずつ位相がずれて位相順に並んだクロック信号CK1〜CK5が出力される。
【0048】
図10は、セレクタ21の構成例を示す。セレクタ21は、クロック信号CKin1〜CKin9のそれぞれと9ビットの位相選択信号PHの各ビットとが入力される9個のANDゲート211と、PMOSトランジスタを負荷とするダイナミック型セレクタ212とから構成される。9個のANDゲート211のうち入力されている位相選択信号PHがハイレベルとなったものが、入力されたクロック信号を通過させる。セレクタ212は、9個のANDゲート211のいずれか一つから与えられたクロック信号を受け、クロック信号CK1を出力する。この構成によると、クロック信号CKin1〜CKin9のうち位相選択信号PHによって選択されていないものはANDゲート211において遮断されるため、不要なクロック信号がセレクタ212に入力されることがない。
【0049】
上記の構成では、セレクタ21に入力されるクロック信号の個数が増えるにつれダイナミック型セレクタ212の出力部分に付加される寄生容量が増大し、信号遅延が増加してしまう。この問題を回避するにはセレクタ21を多段構成にするとよい。図11は、セレクタ21の別の構成例を示す。セレクタ21は、3個のクロック信号が与えられ、これらクロック信号の中からいずれか一つを選択的に出力する4個の3:1セレクタ213a、213b、213c及び213dで構成される。セレクタ213aは、クロック信号CKin1〜CKin3のそれぞれと3ビットの位相選択信号PHの各ビットとが入力される3個のANDゲート211と、PMOSトランジスタを負荷とするダイナミック型セレクタ214とから構成される。セレクタ213b、213c及び213dについてもこれと同様の構成である。特に、セレクタ213dは、セレクタ213a〜213cから出力された3個のクロック信号を受け、これらクロック信号の中からいずれか一つを選択してクロック信号CK1として出力する。この構成の場合、6ビットの位相選択信号PHによってセレクタ21を制御することができる。
【0050】
図9に戻り、クロック整列部30は、5個のクロック信号が与えられ、これらクロック信号の中からいずれか一つを選択的に出力する5個の5:1セレクタ31、32、33、34及び35を備えている。セレクタ31は、クロック信号CK1、CK2、CK3、CK4及びCK5の並びでこれらクロック信号を受け、クロック信号CKout1を出力する。セレクタ32は、クロック信号CK2、CK3、CK4、CK5及びCK1の並びでこれらクロック信号を受け、クロック信号CKout2を出力する。セレクタ33は、クロック信号CK3、CK4、CK5、CK1及びCK2の並びでこれらクロック信号を受け、クロック信号CKout3を出力する。セレクタ34は、クロック信号CK4、CK5、CK1、CK2及びCK3の並びでこれらクロック信号を受け、クロック信号CKout4を出力する。そして、セレクタ35は、クロック信号CK5、CK1、CK2、CK3及びCK4の並びでこれらクロック信号を受け、クロック信号CKout5を出力する。すなわち、クロック信号CK1〜CK5はそれぞれを第1番目とする5通りの位相順並びでセレクタ31〜35に入力される。そして、これらセレクタ31〜35は共通の位相選択信号PHに従ってクロック信号の選択を行う。したがって、クロック整列部30からは、クロック信号CK1〜CK5のいずれか一つをクロック信号CKout1とする5通りの位相順並びのクロック信号CKout1〜CKout5が出力される。
【0051】
以上、本実施形態によると、多出力のクロック選択回路について、入力される複数のクロック信号が各信号群に分けて処理されるため、入力部分の配線構造を簡略化することができる。これにより、入力されるクロック信号の個数が多数であってもクロック選択回路における信号遅延を比較的小さくすることができる。
【0052】
なお、第1及び第2の実施形態に係るクロック選択回路について、入出力されるクロック信号の個数は上記に限定されるものではない。例えば、第1の実施形態に係るクロック選択回路から出力されるクロック信号は1個であってもよい。
【0053】
(第3の実施形態)
図12は、第3の実施形態に係るクロックデータリカバリ回路の構成を示す。本クロックデータリカバリ回路は、基準クロック信号CK0及びデータ信号DATA0を受け、データラッチ用にリカバリしたクロック信号CK及びこのクロック信号CKでラッチしたデータ信号DATAを出力する。具体的には、本クロックデータリカバリ回路は、多相クロック生成部101、クロック選択回路102及び位相比較器103を備えている。
【0054】
多相クロック生成部101は、基準クロック信号CK0を受け、これから、互いに電気角9°ずつ位相がずれて位相順に並んだ40個のクロック信号CKin1〜CKin40を生成する。多相クロック生成部101はPLL(Phase Locked Loop)などで構成可能である。
【0055】
クロック選択回路102は、クロック信号CKin1〜CKin40を受け、これらクロック信号CKin1〜CKin40の中から、互いに電気角90°ずつ位相がずれて位相順に並んだ4個のクロック信号を選択してクロック信号CKout1〜CKout4として出力する。また、クロック選択回路102は、位相比較器103から出力される信号UP及びDNに従ってクロック信号の選択を行う。信号UP及びDNは上述したとおりである。クロック選択回路102は第1及び第2の実施形態のいずれかに係るクロック生成回路で構成可能である。
【0056】
位相比較器103は、クロック信号CKout1〜CKout4のいずれかとデータ信号DATA0のデータ遷移点との位相を比較し、これらクロック信号CKout1〜CKout4のうちデータ信号DATA0のラッチに使用されるいずれか一つをクロック信号CKとして出力するとともに、クロック信号CKでラッチしたデータ信号DATAを出力する。また、位相比較器103は位相比較の結果として信号UP及びDNを出力する。
【0057】
次に、位相比較器103の動作について図13のタイミングチャートを参照しながら説明する。ここで、位相比較器103は、クロック信号CKout1を使用せず、また、クロック信号CKout3をクロック信号CKとして出力するものとする。位相比較器103は、クロック信号CKout2の立ち上がりからクロック信号CKout3の立ち上がりまでの電気角90°に相当する期間においてデータ信号DATA0の遷移を検出したとき、信号DNを出力する。一方、位相比較器103は、クロック信号CKout3の立ち上がりからクロック信号CKout4の立ち上がりまでの電気角90°に相当する期間においてデータ信号DATA0の遷移を検出したとき、信号UPを出力する。これにより、クロック信号CKは、その立ち上がりがデータ信号DATA0の遷移点から遠ざかるように、すなわち、データ信号DATA0の信号レベルの安定点で立ち上がるように位相調整される。
【0058】
以上、本実施形態によると、クロック選択回路からグリッチのないクロック信号が供給されるため、正確なクロックリカバリ及びデータリカバリが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係るクロック選択回路は、出力切り替えに起因してグリッチを誘発することがないため、特に高速データ通信を行うシステムにおけるクロックデータリカバリ回路などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の実施形態に係るクロック選択回路の構成図である。
【図2】図1に示したクロック選択回路のタイミングチャートである。
【図3】クロック切替部の構成図である。
【図4】連続受信回数に基づく制御に係る制御部の状態遷移図である。
【図5】連続受信回数に基づく制御に係る制御部の構成図である。
【図6】位相反転指示機能を有する制御部の構成図である。
【図7】平均受信回数に基づく制御に係る制御部の状態遷移図である。
【図8】平均受信回数に基づく制御に係る制御部の構成図である。
【図9】第2の実施形態に係るクロック選択回路の構成図である。
【図10】図9に示した9:1セレクタの一構成図である。
【図11】図9に示した9:1セレクタの別構成図である。
【図12】第3の実施形態に係るクロックデータリカバリ回路の構成図である。
【図13】図12に示した位相比較器のタイミングチャートである。
【図14】クロック選択回路の出力にグリッチが発生することを説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0061】
11a クロック選択部(第1のクロック選択部)
11b クロック選択部(第2のクロック選択部)
12 クロック切替部
13 制御部
131 カウンタ
131u カウンタ(第1のカウンタ)
131d カウンタ(第2のカウンタ)
132 選択制御部
133 切替制御部
134u カウンタ(第3のカウンタ)
134d カウンタ(第4のカウンタ)
21〜25、31〜35 セレクタ
30 クロック整列部
101 多相クロック生成部
102 クロック選択回路
103 位相比較器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに位相のずれた複数のクロック信号を受け、これらクロック信号の中から一つ以上を選択的に出力するクロック選択回路であって、
前記複数のクロック信号を受け、これらクロック信号の中から一つ以上を選択的に出力する第1及び第2のクロック選択部と、
前記第1及び第2のクロック選択部のいずれか一方を選択し、当該選択した方から出力されたクロック信号を出力するクロック切替部と、
前記第1及び第2のクロック選択部及び前記クロック切替部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記第1及び第2のクロック選択部のうち前記クロック切替部によって選択されていない方に対してクロック信号の再選択を指示し、当該指示後に、前記クロック切替部に対して出力の切り替えを指示する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項2】
請求項1に記載のクロック選択回路において、
前記クロック選択部にはM×N個(ただし、M及びNは2以上の整数。)のクロック信号が入力され、
前記第1及び第2のクロック選択部は、いずれも、前記M×N個のクロック信号を位相順にM個ずつ分けたN個の信号群にそれぞれ対応して設けられ、当該対応する信号群に属するM個のクロック信号が位相順に並んで与えられ、共通の制御信号に従って、これら与えられたM個のクロック信号の中からいずれか一つを選択的に出力するN個のセレクタを有する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項3】
請求項2に記載のクロック選択回路において、
前記第1及び第2のクロック選択部は、いずれも、前記N個のセレクタから出力されたN個のクロック信号を受け、これらN個のクロック信号を位相順に並べて出力するクロック整列部を有する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項4】
請求項2に記載のクロック選択回路において、
前記クロック整列部は、
前記N個のクロック信号のそれぞれを第1番目とするN通りの前記N個のクロック信号の位相順並びにそれぞれ対応して設けられ、前記N個のクロック信号が当該対応する位相順並びで与えられ、共通の制御信号に従って、これら与えられたN個のクロック信号の中からいずれか一つを選択的に出力するN個のセレクタを有する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項5】
請求項1に記載のクロック選択回路において、
前記制御部は、当該クロック選択回路から出力されるクロック信号の位相を進める要求を示す第1の要求信号及び当該位相を遅らせる要求を示す第2の要求信号のうち同じ要求信号を所定回数連続して受信したとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対してクロック信号の再選択を指示し、さらに続けて同じ要求信号を少なくとも1回受信したとき、前記クロック切替部に対して出力の切り替えを指示する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項6】
請求項5に記載のクロック選択回路において、
前記制御部は、前記第1及び第2の要求信号のうち同じ要求信号を前記所定回数連続して受信したときの前記第1及び第2の要求信号のそれぞれの受信回数がいずれも所定値よりも大きいとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対して逆位相のクロック信号の選択を指示する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項7】
請求項5に記載のクロック選択回路において、
前記制御部は、
前記第1及び第2の要求信号の連続受信回数をそれぞれカウントする第1及び第2のカウンタと、
前記第1及び第2のカウンタのいずれか一方のカウント値が第1の規定値に達したとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対して、当該連続受信した要求信号に応じたクロック信号の再選択を指示する選択制御部と、
前記第1及び第2のカウンタのいずれか一方のカウント値が第2の規定値に達したとき、前記クロック切替部に対して出力の切り替えを指示する切替制御部とを有する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項8】
請求項7に記載のクロック選択回路において、
前記制御部は、前記第1及び第2の要求信号の受信回数をそれぞれカウントする第3及び第4のカウンタを有し、
前記選択制御部は、前記第1及び第2のカウンタのいずれか一方のカウント値が前記第1の規定値に達したときの前記第3及び第4のカウンタのそれぞれのカウント値がいずれも所定値よりも大きいとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対して逆位相のクロック信号の選択を指示する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項9】
請求項1に記載のクロック選択回路において、
前記制御部は、当該クロック選択回路から出力されるクロック信号の位相を進める要求を示す第1の要求信号及び当該位相を遅らせる要求を示す第2の要求信号のそれぞれについて所定期間における受信回数の差分値が所定値を超えているとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対してクロック信号の再選択を指示する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項10】
請求項9に記載のクロック選択回路において、
前記制御部は、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対して、前記差分値に応じた量だけ位相がずれたクロック信号を再選択するように指示する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項11】
請求項9に記載のクロック選択回路において、
前記制御部は、
前記所定期間において、前記第1の要求信号を受けたとき、カウントアップ及びカウントダウンのいずれか一方の動作を行う一方、前記第2の要求信号を受けたとき、他方の動作を行うカウンタと、
前記所定期間の経過後の前記カウンタのカウント値が前記所定値を超えているとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対して、前記第1及び第2の要求信号のうち前記所定期間における受信回数が多い方に応じたクロック信号の再選択を指示する選択制御部と、
前記選択制御部によって前記クロック信号の再選択が指示されてから、前記クロック切替部に対して出力の切り替えを指示する切替制御部とを有する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項12】
請求項11に記載のクロック選択回路において、
前記選択制御部は、前記所定期間の経過後の前記カウンタのカウント値が前記所定値を超えているとき、前記クロック切替部によって選択されていないクロック選択部に対して、当該カウント値に応じた量だけ位相がずれたクロック信号を再選択するように指示する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項13】
互いに位相のずれた複数のクロック信号を受け、これらクロック信号の中から複数個を選択的に出力するクロック選択回路であって、
前記複数のクロック信号を位相順にM個(Mは2以上の整数)ずつ分けたN個(Nは2以上の整数)の信号群にそれぞれ対応して設けられ、当該対応する信号群に属するM個のクロック信号が位相順に並んで与えられ、共通の制御信号に従って、これら与えられたM個のクロック信号の中からいずれか一つを選択的に出力するN個のセレクタを備えた
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項14】
請求項13に記載のクロック選択回路において、
前記N個のセレクタから出力されたN個のクロック信号を受け、これらN個のクロック信号を位相順に並べて出力するクロック整列部を備えた
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項15】
請求項14に記載のクロック選択回路において、
前記クロック整列部は、
前記N個のクロック信号のそれぞれを第1番目とするN通りの前記N個のクロック信号の位相順並びにそれぞれ対応して設けられ、前記N個のクロック信号が当該対応する位相順並びで与えられ、共通の制御信号に従って、これら与えられたN個のクロック信号の中からいずれか一つを選択的に出力するN個のセレクタを有する
ことを特徴とするクロック選択回路。
【請求項16】
基準クロック信号及びデータ信号を受け、当該データ信号のデータラッチ用のクロック信号を生成するクロックデータリカバリ回路であって、
前記基準クロック信号から互いに位相のずれた複数のクロック信号を生成する多相クロック生成部と、
前記多相クロック生成部によって生成された複数のクロック信号が与えられる請求項1及び13のいずれか一つに記載のクロック選択回路と、
前記クロック選択回路から出力されたクロック信号と前記データ信号との位相を比較する位相比較器とを備え、
前記クロック選択回路は、前記位相比較器による位相比較の結果に基づいてクロック信号の選択を行う
ことを特徴とするクロックデータリカバリ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−66940(P2008−66940A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241276(P2006−241276)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】