説明

コンパレータ回路

【課題】出力電圧信号の振幅を十分にとれない場合があった。
【解決手段】本発明は、参照電圧を入力する第1、第2の端子と、基準電圧を入力する第3の端子と、検出すべき電圧を入力する第4の端子と、参照電圧の電位差に応じた電流をそれぞれ流す第1、第2のトランジスタ(以下、Tr)と、第1のTrと直列接続される第3のTrと、第2のTrと直列接続される第4のTrと、第3のTrの流す電流に応じたミラー電流を流す第5のTrと、第4のTrの流す電流に応じたミラー電流を流す第6のTrと、第6のTrと第4の端子との間に接続される第7のTrと、第5のTrと第3の端子との間に接続され、第7のTrの流す電流に応じたミラー電流を流す第8のTrと、を有し、第5、第8のTrの中間ノードの電圧に応じた電圧を出力信号として出力するコンパレータ回路である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパレータ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微少電圧を検出するコンパレータ回路1として、例えば、特許文献1に開示されている技術がある。その構成を図7に示す。図7に示すように、コンパレータ回路1は、PMOSトランジスタTr1、Tr3と、NMOSトランジスタTr2、Tr4とを有する。PMOSトランジスタTr1と、NMOSトランジスタTr2は、端子5と7との間に直列に接続される。また、PMOSトランジスタTr1と、NMOSトランジスタTr2は、共通ノード10で接続されており、更にそれぞれのゲートがこの共通ノード10に接続される。
【0003】
PMOSトランジスタTr3と、NMOSトランジスタTr4は、端子5と8との間に直列に接続される。また、PMOSトランジスタTr3と、NMOSトランジスタTr4は、端子9を共通ノードとして接続されている。PMOSトランジスタTr1と、NMOSトランジスタTr2は、ゲートがそれぞれ共通ノード10に接続される。
【0004】
端子5には作動電圧の正電位VD、端子6には基準電圧GNDが印加されている。端子8には、参照電圧VRが印加される。この参照電圧VRは、コンパレータ回路1のスイッチングしきい値を決定する電圧である。端子7と6との間には検出すべき電圧Ueが入力される。端子9はコンパレータ回路1の出力端子であり、出力電圧信号Uaが出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−46191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなコンパレータ回路1は以下のような問題がある。大電圧の電圧Ueを検出する場合、出力電圧信号の振幅を十分にとれないという問題がある。これは、出力端子である端子9を構成する電流経路、つまりPMOSトランジスタTr3と、NMOSトランジスタTr4で構成される電流経路に参照電圧VRが入力されてしまっていることに起因する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、しきい値電圧を決定する参照電圧を入力する第1、第2の端子と、基準電圧を入力する第3の端子と、前記基準電圧を基準にした、検出すべき電圧を入力する第4の端子と、前記第1、第2の端子を制御端子に接続され、前記参照電圧の電位差に応じた電流をそれぞれ流す、第1導電型の第1、第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタと直列接続される第2導電型の第3のトランジスタと、前記第2のトランジスタと直列接続される第2導電型の第4のトランジスタと、前記第3のトランジスタの流す電流に応じたミラー電流を流す第2導電型の第5のトランジスタと、前記第4のトランジスタの流す電流に応じたミラー電流を流す第2導電型の第6のトランジスタと、前記第6のトランジスタと前記第4の端子との間に接続される第1導電型の第7のトランジスタと、前記第5のトランジスタと前記第3の端子との間に接続され、前記第7のトランジスタの流す電流に応じたミラー電流を流す第1導電型の第8のトランジスタと、を有し、前記第5、第8のトランジスタの中間ノードの電圧に応じた電圧を出力信号として出力するコンパレータ回路である。
【0008】
本発明にかかるコンパレータ回路は、参照電圧をスイッチングしきい値とし、検出すべき電圧がスイッチングしきい値を超えるか否かで、第4、第5のトランジスタ間のノードで生成される出力信号をハイレベル、もしくはロウレベルに変化させることができる。このため、出力信号を生成する電流経路に参照電圧が入力されることがない。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるコンパレータ回路によれば、大きな電圧を検出する場合、出力信号の振幅を十分大きくとれる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1にかかるコンパレータ回路の構成である。
【図2】実施の形態2にかかるコンパレータ回路の構成である。
【図3】実施の形態3にかかるコンパレータ回路の構成である。
【図4】実施の形態4にかかるコンパレータ回路の構成である。
【図5】実施の形態5にかかるコンパレータ回路の構成である。
【図6】実施の形態6にかかるコンパレータ回路の構成である。
【図7】従来のコンパレータ回路の構成である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の実施の形態1
【0012】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に本実施の形態1にかかるコンパレータ回路100の構成を示す。図1に示すように、コンパレータ回路100は、比較部110と、バイアス部120とを有する。
【0013】
比較部110は、PMOSトランジスタQP11、QP12と、NMOSトランジスタQN11、QN12とを有する。PMOSトランジスタQP11(第5のトランジスタ)は、ソースが端子11(第5の端子)、ドレインがノードA1、ゲートがノードA3に接続される。PMOSトランジスタQP12(第6のトランジスタ)は、ソースが端子11、ドレインがノードA2、ゲートがノードA4に接続される。NMOSトランジスタQN11(第8のトランジスタ)は、ドレインがノードA1、ソースが端子12(第3の端子)、ゲートがノードA2に接続される。NMOSトランジスタQN12(第7のトランジスタ)は、ドレインとゲートがノードA2、ソースが端子13(第4の端子)に接続される。ここで、NMOSトランジスタQN12とQN11は、NMOSトランジスタQN12を入力トランジスタとするカレントミラーの構成となっている。ノードA1は、出力端子15を形成し、出力信号Uaを出力する。端子11には、作動電圧の正電位VDDが供給され、端子12には、接地電圧GNDが供給される。この端子11、12間の電圧がコンパレータ回路100の電源電圧となる。また、端子12に供給される接地電圧GNDがコンパレータ回路100の基準電圧となる。端子13と12との間に検出すべき電圧Ueが入力される。
【0014】
バイアス部120は、PMOSトランジスタQP21、QP22と、NMOSトランジスタQN21、QN22とを有する。PMOSトランジスタQP21(第3のトランジスタ)は、ソースが端子11、ドレインとゲートがノードA3に接続される。PMOSトランジスタQP22(第4のトランジスタ)は、ソースが端子11、ドレインとゲートがノードA4に接続される。NMOSトランジスタQN21(第1のトランジスタ)は、ドレインがノードA3、ソースが端子23、ゲートが端子21(第1の端子)に接続される。NMOSトランジスタQN22(第2のトランジスタ)は、ドレインがノードA4、ソースが端子23、ゲートが端子22(第2の端子)に接続される。端子21と22との間に参照電圧VRが入力される。
【0015】
ここでノードA3、A4は、比較部110とバイアス部120を接続する接続ノードとなっている。更に、PMOSトランジスタQP12とQP22は、PMOSトランジスタQP22を入力トランジスタとするカレントミラーを構成している。PMOSトランジスタQP11とQP21は、PMOSトランジスタQP21を入力トランジスタとするカレントミラーを構成している。
【0016】
また、コンパレータ回路100を構成するPMOSトランジスタ(QP11、QP12、QP21、QP22)は、トランジスタサイズ等同一構成となっている。更に、NMOSトランジスタ(QN11、QN12、QN21、QN22)も、トランジスタサイズ等同一構成となっている。また、βp(WQP/LQP)=βn(WQn/LQn)となるように、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタが設定される。ここで、WQP/LQPは、PMOSトランジスタのチャンネル幅/チャンネル長である。βpは、PMOSトランジスタのチャンネル部の単位面積容量×移動度である。また、WQN/LQNは、NMOSトランジスタのチャンネル幅/チャンネル長である。βnは、NMOSトランジスタのチャンネル部の単位面積容量×移動度である。
【0017】
以上のような構成のコンパレータ回路100の動作について説明する。ここで、前提としてPMOSトランジスタQP11、QP12、QP21、QP22、また、NMOSトランジスタQN11、QN12、QN21、QN22とが同じトランジスタサイズであるとする。端子21と22との間に参照電圧VRが入力される(端子21が高電位側)。このため、NMOSトランジスタQN22、QN21には、参照電圧VRだけ異なるゲート−ソース間電圧が印加されている。また、端子13に検出すべき電圧Ueが入力される。このため、NMOSトランジスタQN11、QN12には、電圧Ueだけ異なるゲート−ソース間電圧が印加されている。
【0018】
PMOSトランジスタQP22とNMOSトランジスタQN22は、直列接続されている。また、PMOSトランジスタQP22とQP12がカレントミラー接続されている。更に、PMOSトランジスタQP12とNMOSトランジスタQN12は、直列接続されている。このため、NMOSトランジスタQN22に流れる電流と同じ電流値の電流がNMOSトランジスタQN12に流れる。また、NMOSトランジスタQN12とQN11がカレントミラー接続されている。これにより、NMOSトランジスタQN12に流れる電流に応じた電流がNMOSトランジスタQN11に流れる。但し、NMOSトランジスタQN12のソースには、電圧Ueが印加されている。よって、電圧Ueに応じて、ノードA12の電位も変化する。このため、ノードA12をゲートに接続しているNMOSトランジスタQN11に流れる電流も当然この電圧Ueに応じて変化する。
【0019】
次に、PMOSトランジスタQP21とNMOSトランジスタQN21は、直列接続されている。また、PMOSトランジスタQP21とQP11がカレントミラー接続されている。このため、NMOSトランジスタQN21に流れる電流と同じ電流値の電流がPMOSトランジスタQP11に流れる。
【0020】
ここで、比較回路120の端子13、12に入力される入力信号Ueの電圧が、参照電圧VRと等しい場合、PMOSトランジスタQP11に流れる電流と、NMOSトランジスタQN11に流れる電流との電流値は等しくなる。このNMOSトランジスタQN11に流れる電流と、PMOSトランジスタQP11に流れる電流が等しい場合、コンパレータ回路100が平衡状態となる。このとき、コンパレータ回路110の休止点として、ノードA1の電圧1/2VDDが出力端子15から出力される。例えば、参照電圧VR=0.1Vに選ばれると、このコンパレータ回路100のスイッチングしきい値は、0.1Vとなる。
【0021】
そして、検出すべき電圧Ue(以下、入力信号Ueと称す)が、このスイッチングしきい値を上回ると、NMOSトランジスタQN12がより強く非導通性の状態となり、ノードA2の電位が上昇する。このため、NMOSトランジスタQN11は、導通状態となる。よって、ノードA1の電位が降下し、出力端子15にはロウレベルの出力信号Uaが出力される。
【0022】
反対に、入力信号Ueが、このスイッチングしきい値を下回ると、NMOSトランジスタQN12がより強く導通性の状態となり、ノードA2の電位が降下する。このため、NMOSトランジスタQN11は、非導通状態となる。よって、ノードA1の電位が上昇し、出力端子15にはハイレベルの出力信号Uaが出力される。
【0023】
このように、本実施の形態1のコンパレータ回路100は、図1に示す回路構成により、参照電圧VRを所定の値に選択することで、その参照電圧VRの値に応じたスイッチングしきい値を決定することができる。そして、コンパレータ回路100が備えるPMOSトランジスタQP11、QP12、または、NMOSトランジスタQN11、QN12がそれぞれ同一のサイズ、製造プロセスで製造される。このため、PMOSトランジスタQP11、QP12、または、NMOSトランジスタQN11、QN12がそれぞれ同一特性を有する。よって、温度特性に対して高い不感性を有し、製造バラツキに対しても高い耐性を有する。また、従来のコンパレータ回路1とは異なり、出力端子を構成する電流経路、つまりPMOSトランジスタQP11と、NMOSトランジスタQN11で構成される電流経路に入力信号Ueが入力されない構成となっている。
【0024】
ここで、図7に示した従来のコンパレータ回路1では、出力端子である端子9を構成する電流経路、つまりPMOSトランジスタTr3と、NMOSトランジスタTr4で構成される電流経路上に、参照電圧VRが入力されている。このため、大電圧の電圧Ueを検出する場合、出力信号Ueの振幅を十分にとれないという問題があった。
【0025】
しかし、本実施の形態1のコンパレータ回路100は、出力端子14(ノードA1)を構成する電流経路、つまり、PMOSトランジスタQP11と、NMOSトランジスタQN11で構成される電流経路上に参照電圧VRが入力されない構成となっている。このため、温度特性に対する高い不感性、製造バラツキに対する高耐性を有しつつ、大電圧の電圧Ueを検出した場合に、十分な出力信号Uaの振幅をとることができる。
【0026】
発明の実施の形態2
【0027】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。図2に本実施の形態2にかかるコンパレータ回路200の構成を示す。図2に示すように、コンパレータ回路200は、バイアス部120と、比較部110と、参照電圧生成部210とを有する。
【0028】
なお、図2に示された符号のうち、図1と同じ符号を付した構成は、図1と同じか又は類似の構成を示している。バイアス部120と、比較部110とは、実施の形態1で説明したものと同様なため、本実施の形態2での説明は省略する。本実施の形態2のコンパレータ回路200は、実施の形態1に新たに参照電圧生成部230を加えた回路構成となっている。よって、本実施の形態2では、その点を重点的に説明する。但し、ここで実施の形態1の端子21、22、23は、本実施の形態2では、それぞれバイアス部120と参照電圧生成部210とを接続する接続ノードB21、B22、B23とする。また、ノードB23は、端子12と接続される。
【0029】
参照電圧生成部210は、実施の形態1で説明した参照電圧VRを生成し、バイアス部120に供給する。参照電圧生成部210は、PMOSトランジスタQP31、QP32と、NMOSトランジスタQN31と、抵抗R31、R32とを有する。PMOSトランジスタQP31(第10のトランジスタ)は、ソースが端子11、ドレインがノードB21、ゲートがノードC1に接続される。PMOSトランジスタQP32(第9のトランジスタ)は、ソースが端子11、ドレインとゲートがノードC1に接続される。ここで、PMOSトランジスタQP31とQP32は、PMOSトランジスタQP32を入力トランジスタとするカレントミラーの構成となっている。
【0030】
抵抗R31(第2の抵抗)は、一方の端子がノードB21、他方の端子がノードB22に接続される。抵抗R32(第1の抵抗)は、一方の端子がノードC1、他方の端子がノードB23に接続される。なお、便宜上、符号「R31」「R32」は、抵抗名を示すと同時に、それら抵抗の抵抗値を示すものとする。NMOSトランジスタQN31(第11のトランジスタ)は、ドレインとゲートがノードB22、ソースがノードB23に接続される。ここで、バイアス部120のNMOSトランジスタQN22と、NMOSトランジスタQN31は、NMOSトランジスタQN31を入力トランジスタとするカレントミラーの構成となっている。
【0031】
以上のような構成のコンパレータ回路200の動作について説明する。但し、バイアス部120と、比較部110の動作は実施の形態1で説明したものと同様である。このため、参照電圧生成部210の動作のみを以下に説明する。
【0032】
PMOSトランジスタQP32には、抵抗値R32に応じた電流が流れる。PMOSトランジスタQP32とQP31がカレントミラー接続されており、PMOSトランジスタQ31にはQ32と同じ電流が流れる。この電流により抵抗R31で電圧降下が発生する。抵抗R31の一方の端子がノードB21、他方の端子がノードB22に接続されている。このため、抵抗R31での電圧降下分が参照電圧VRとして、バイアス部120に供給される。このように、参照電圧生成部210が生成する参照電圧VRは、作動電圧VDD、PMOSトランジスタQP32のゲート−ソース電圧と、抵抗R31、R32との抵抗比により決定することができる。よって、作動電圧VDDが安定であれば、端子11と端子12間の電源電圧に依存しない参照電圧VRを得ることができる。
【0033】
PMOSトランジスタQP31とQP32は同一構造である。このときPMOSトランジスタQP31とQP32とで温度特性はキャンセルすることができる。また、参照電圧VRは抵抗R31とR32の比によって決まるので、抵抗R31、R32に、同じ種類の抵抗を使用することで、製造上の公差に対しても高耐性を有するようにすることができる。
【0034】
発明の実施の形態3
【0035】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。図3に本実施の形態3にかかるコンパレータ回路300の構成を示す。図3に示すように、コンパレータ回路300は、バイアス部120と、比較部110と、参照電圧生成部220とを有する。
【0036】
参照電圧生成部220は、PMOSトランジスタQP31、QP32と、NMOSトランジスタQN31と、抵抗R31、R32と、ツェナーダイオードZD30と、定電流源CC30とを有する。なお、図3に示された符号のうち、図2と同じ符号を付した構成は、図2と同じか又は類似の構成を示している。本実施の形態3のコンパレータ回路300の構成は、実施の形態2の参照電圧生成部210に、新たにツェナーダイオードZD30と、定電流源CC30とからなる直列回路を加えた回路構成となっている。よって、本実施の形態3では、その点を重点的に説明する。また、バイアス部120と、比較部110とは、実施の形態1で説明したものと同様なため、本実施の形態3での説明は省略する。
【0037】
ツェナーダイオードZD30は、カソードが端子11、アノードがノードC2に接続される。このノードC2は、ノードB23と接続されている。なお、実施の形態2では、ノードB23を端子12と接続していたが、本実施の形態3では接続しないものとする。定電流源CC30は、ノードC2と接地端子GND間に接続される。その他の構成は、参照電圧生成部210と同様である。
【0038】
このツェナーダイオードZD30の降伏電圧により、作動電圧VDDを供給する端子11と、ノードC2間に定電圧を与えることができる。特に、ツェナーダイオードは、降伏電圧が6V程度の場合に、ツェナー降伏とアバランシェ降伏が共存し、降伏電圧の温度特性および製造上の公差に感じにくい特性が得られることがわかっている。これらのことから、コンパレータ回路300は、ツェナーダイオードZD30を利用することで、作動電圧である電源電圧VDDが変動しても、参照電圧生成部220が生成する参照電圧VRに影響を与えない効果を得ることができる。
【0039】
発明の実施の形態4
【0040】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態4について、図面を参照しながら詳細に説明する。図4に本実施の形態4にかかるコンパレータ回路400の構成を示す。図4に示すように、コンパレータ回路400は、バイアス部120と、比較部110と、参照電圧生成部230とを有する。
【0041】
参照電圧生成部230は、PMOSトランジスタQP31、QP32、QP33と、NMOSトランジスタQN31と、抵抗R31、R32と、ツェナーダイオードZD30と、定電流源CC30とを有する。なお、図4に示された符号のうち、図3と同じ符号を付した構成は、図3と同じか又は類似の構成を示している。本実施の形態4のコンパレータ回路400の構成は、実施の形態3の参照電圧生成部220に、新たにPMOSトランジスタQP33を加えた回路構成となっている。よって、本実施の形態4では、その点を重点的に説明する。
【0042】
PMOSトランジスタQP33(第12のトランジスタ)は、ソースが端子11、ドレインとゲートがノードC3に接続される。そして、ツェナーダイオードZD30は、カソードがノードC3、アノードがノードC2に接続される。その他の構成は、参照電圧生成部220と同様である。
【0043】
ここで、実施の形態2、3では、PMOSトランジスタQP32のしきい値電圧の製造上の公差に対して、参照電圧VRが影響を受ける可能性がある。しかし、参照電圧生成部230は、PMOSトランジスタQP33が、PMOSトランジスタQP32のゲート−ソース間電圧を相殺するので、しきい値電圧の製造上の公差に対して感じない参照電圧VRを生成することができる。
【0044】
発明の実施の形態5
【0045】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態5について、図面を参照しながら詳細に説明する。図5に本実施の形態5にかかるコンパレータ回路500の構成を示す。図5に示すように、コンパレータ回路500は、バイアス部120と、比較部110と、参照電圧生成部240とを有する。
【0046】
参照電圧生成部240は、PMOSトランジスタQP31、QP32、QP33と、NMOSトランジスタQN31と、抵抗R31、R32と、ツェナーダイオードZD30と、定電流源CC30と、ダイオードD51〜D5n(n:正の整数)とを有する。なお、図5に示された符号のうち、図4と同じ符号を付した構成は、図4と同じか又は類似の構成を示している。本実施の形態5のコンパレータ回路500の構成は、実施の形態4の参照電圧生成部230に、新たにダイオードD51〜D5nを加えた回路構成となっている。よって、本実施の形態5では、その点を重点的に説明する。
【0047】
ダイオードD51〜D5nは、ノードC2と、ノードB23との間に同一方向に直列に接続される。この直列接続されたダイオードD51〜D5nの、ダイオードD5nのアノードがノードB23、ダイオードD51のカソードがノードC2側に接続される。その他の構成は、参照電圧生成部230と同様である。
【0048】
これらダイオードD51〜D5nにより、参照電圧VRに温度依存性を持たせることができる。この温度依存性を入力信号Ueの温度特性と等しくすることにより、コンパレータ回路500の検出値が温度に感じなくなる。
【0049】
発明の実施の形態6
【0050】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態6について、図面を参照しながら詳細に説明する。図6に本実施の形態6にかかるコンパレータ回路600の構成を示す。図6に示すように、コンパレータ回路600は、バイアス部610と、比較部620と、参照電圧生成部640とを有する。
【0051】
参照電圧生成部640は、NMOSトランジスタQN631、QN632、QN633と、PMOSトランジスタQP631と、抵抗R631、R632と、ツェナーダイオードZD630と、定電流源CC630と、ダイオードD651〜D65n(n:正の整数)とを有する。
【0052】
NMOSトランジスタQN631(第10のトランジスタ)は、ソースが端子611、ドレインがノードB621、ゲートがノードC61に接続される。NMOSトランジスタQN632(第9のトランジスタ)は、ソースが端子611、ドレインとゲートがノードC61に接続される。ここで、NMOSトランジスタQN631とQN632は、NMOSトランジスタQN632を入力トランジスタとするカレントミラーの構成となっている。
【0053】
抵抗R631(第2の抵抗)は、一方の端子がノードB621、他方の端子がノードB622に接続される。抵抗R632(第1の抵抗)は、一方の端子がノードC61、他方の端子がノードB623に接続される。PMOSトランジスタQP631(第11のトランジスタ)は、ドレインとゲートがノードB622、ソースがノードB623に接続される。
【0054】
NMOSトランジスタQN633(第12のトランジスタ)は、ソースが端子611、ドレインとゲートがノードC63に接続される。ツェナーダイオードZD630は、カソードがノードC62、アノードがノードC63に接続される。ダイオードD651〜D65nは、ノードC62と、ノードB623との間に同一方向に直列に接続される。この直列接続されたダイオードD651〜D65nでは、ダイオードD65nのカソードがノードB623、ダイオードD651のアノードがノードC62に接続される。定電流源CC630は、端子612と、ノードC62間に接続される。
【0055】
バイアス部620は、NMOSトランジスタQN621、QN622と、PMOSトランジスタQP621、QP622とを有する。NMOSトランジスタQN621(第3のトランジスタ)は、ソースが端子611、ドレインとゲートがノードA63に接続される。NMOSトランジスタQN622(第4のトランジスタ)は、ソースが端子611、ドレインとゲートがノードA64に接続される。PMOSトランジスタQP621(第1のトランジスタ)は、ドレインがノードA63、ソースがノードB623、ゲートがノードB621(第1の端子)に接続される。PMOSトランジスタQP622(第2のトランジスタ)は、ドレインがノードA64、ソースがノードB623、ゲートがノードB622(第2の端子)に接続される。ここで、ノードB621とB622は、バイアス部620と、参照電圧生成部640とを接続する接続ノードである。更に、ノードB621とB622には、参照電圧生成部640が生成した参照電圧VRが印加される。また、PMOSトランジスタQP622と、QP631は、QP631を入力トランジスタとするカレントミラーの構成となっている。
【0056】
比較部610は、NMOSトランジスタQN611、QN612と、PMOSトランジスタQP611、QP612とを有する。
【0057】
NMOSトランジスタQN611(第5のトランジスタ)は、ソースが端子611(第5の端子)、ドレインがノードA61、ゲートがノードA63に接続される。NMOSトランジスタQN612(第6のトランジスタ)は、ソースが端子611、ドレインがノードA62、ゲートがノードA64に接続される。PMOSトランジスタQP611(第8のトランジスタ)は、ドレインがノードA61、ソースが端子612(第3の端子)、ゲートがノードA62に接続される。PMOSトランジスタQP612(第7のトランジスタ)は、ドレインとゲートがノードA62、ソースが端子613(第4の端子)に接続される。ここで、ノードA63、A64は、比較部610とバイアス部620を接続する接続ノードである。ノードA61は、出力端子614を形成し、出力信号Uaを出力する。端子611には、接地電圧GNDが供給される。端子612には、作動電圧VDDが供給される。端子612、611間の電圧が、コンパレータ回路600の電源電圧となる。この端子612に供給される作動電圧VDDがコンパレータ回路600の基準電圧となる。端子612と613との間に検出すべき電圧Ueが入力される。
【0058】
以上のようなコンパレータ回路600は、コンパレータ回路500の各部の構成要素であるMOSトランジスタの導電型を逆にした構成となっている。更に、電源端子である端子612、611に入力される電圧の正負も、コンパレータ回路500と逆となっている。このため、基準電圧は、コンパレータ回路500では、端子11の接地電圧GNDであったが、コンパレータ回路600では、端子612に入力されるVDDとなる。よって、動作原理は、実質的に、コンパレータ回路500と同様であり、説明は省略する。
【0059】
よって、本実施の形態6のコンパレータ回路600のように、構成するMOSトランジスタの導電型、及び、作動電圧の正負を逆にしても実施の形態5と同様の効果を得ることができる。
【0060】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものでなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
100〜600 コンパレータ回路
110、610 比較部
120、620 バイアス部
210〜240、640 参照電圧生成部
QP11〜QP33、QP611〜QP631 PMOSトランジスタ
QN11〜QN31、QN611〜QP633 NMOSトランジスタ
CC30、CC630 定電流源
ZD30、ZD630 ツェナーダイオード
D51〜D5n、D651〜D65n ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
しきい値電圧を決定する参照電圧を入力する第1、第2の端子と、
基準電圧を入力する第3の端子と、
前記基準電圧を基準にした、検出すべき電圧を入力する第4の端子と、
前記第1、第2の端子を制御端子に接続され、前記参照電圧の電位差に応じた電流をそれぞれ流す、第1導電型の第1、第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタと直列接続される第2導電型の第3のトランジスタと、
前記第2のトランジスタと直列接続される第2導電型の第4のトランジスタと、
前記第3のトランジスタの流す電流に応じたミラー電流を流す第2導電型の第5のトランジスタと、
前記第4のトランジスタの流す電流に応じたミラー電流を流す第2導電型の第6のトランジスタと、
前記第6のトランジスタと前記第4の端子との間に接続される第1導電型の第7のトランジスタと、
前記第5のトランジスタと前記第3の端子との間に接続され、前記第7のトランジスタの流す電流に応じたミラー電流を流す第1導電型の第8のトランジスタと、を有し、
前記第5、第8のトランジスタの中間ノードの電圧に応じた電圧を出力信号として出力する
コンパレータ回路。
【請求項2】
前記第1〜第8のトランジスタがMOSトランジスタであり、
前記第1、第2、第7、第8のトランジスタが同様の構成であり、
前記第3、第4、第5、第6のトランジスタが同様の構成である
請求項1に記載のコンパレータ回路。
【請求項3】
前記第1、第2の端子間の電位差が前記参照電圧分となり、且つ、前記第2もしくは第3のトランジスタが飽和領域で動作するゲート−ソース間電圧を前記第2もしくは第3の端子に与える参照電圧生成回路を更に備える
請求項2に記載のコンパレータ回路。
【請求項4】
前記参照電圧生成回路は、同一種類の第1、第2の抵抗を有し、
前記参照電圧を前記第1、第2の抵抗の抵抗比により生成する
請求項3に記載のコンパレータ回路。
【請求項5】
前記参照電圧生成回路は、
第2導電型の第9、第10のトランジスタを有し、
前記第9のトランジスタは、前記第1の抵抗と直列接続され、
前記第10のトランジスタは、前記第2の抵抗と直列接続され、前記第9のトランジスタの流す電流に応じたミラー電流を流し、
前記第2の抵抗の両端の電圧が、前記参照電圧となる
請求項4に記載のコンパレータ回路。
【請求項6】
前記参照電圧生成回路は、第1導電型の第11のトランジスタを更に有し、
前記第11のトランジスタは、ゲートとドレインが接続され、前記第2の抵抗とドレインで直列接続される
請求項5に記載のコンパレータ回路。
【請求項7】
前記参照電圧生成回路は、ツェナーダイオードを更に有し、
前記ツェナーダイオードは、前記第9のトランジスタと前記第1の抵抗による第1の直列回路と、前記第10のトランジスタと前記第2の抵抗と第11のトランジスタによる第2の直列回路とに並列接続される
請求項6に記載のコンパレータ回路。
【請求項8】
前記参照電圧生成回路は、ツェナーダイオードと、ゲートとドレインが接続され、前記ツェナーダイオードと直列接続された第2導電型の第12のトランジスタと、を更に有し、
前記第12のトランジスタと前記ツェナーダイオードとによる第3の直列回路が、前記第1、第2の直列回路と並列接続される
請求項6に記載のコンパレータ回路。
【請求項9】
前記第1、第2の直列回路間に印加される電位は、前記第3の直列回路が生成する電位より、ダイオードn(n:正の整数)段の順方向電位分異なる
請求項7もしくは請求項8に記載のコンパレータ回路。
【請求項10】
前記第6、第7のトランジスタが第5の端子と第4の端子間に直列に接続され、
前記第5、第8のトランジスタが前記第5の端子と第3の端子間に直列に接続され、
前記第5の端子に、前記第3の端子に入力される基準電圧より高い電圧が与えられる
請求項1〜請求項9いずれか1項に記載のコンパレータ回路。
【請求項11】
前記基準電圧が接地電圧である
請求項10に記載のコンパレータ回路。
【請求項12】
前記第6、第7のトランジスタが第5の端子と第4の端子間に直列に接続され、
前記第5、第8のトランジスタが前記第5の端子と第3の端子間に直列に接続され、
前記第5の端子に、前記第3の端子に入力される基準電位より低い電圧が与えられる
請求項1〜請求項9いずれか1項に記載のコンパレータ回路。
【請求項13】
前記基準電圧が電源電圧である
請求項12に記載のコンパレータ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−193035(P2010−193035A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33671(P2009−33671)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】