説明

ステージ装置,それを用いた荷電粒子線装置及び縮小投影露光装置,およびステージ制御方法

【課題】高速かつ高精度位置決めを実現できるステージ装置,それを用いた荷電粒子線装置及び縮小投影露光装置,およびステージ制御方法を提供することにある。
【解決手段】ステージ装置は、ステージ10を駆動するモータ30と、モータにより駆動されるステージの位置が最終目標位置となるような前記アクチュエータの駆動量を算出するステージ制御演算器100を有する。ステージ制御演算器100は、ステージの目標位置とステージの位置の差分に基づいて、PID制御する補償演算器120を有する。また、ステージの特性を同定するモデル同定器130と、モデル同定器によって得られた情報を基に、補償演算器におけるステージ制御用補償パラメータを演算する制御ゲイン演算器140を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの加工や検査を行う荷電粒子線装置や縮小投影露光装置に用いられるステージ装置,それを用いた荷電粒子線装置及び縮小投影露光装置,およびステージ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの加工装置としては、電子線描画装置や、縮小投影露光装置があり、検査装置としては、SEM式欠陥分類用画像取得装置がある。電子線描画装置とSEM式欠陥分類用画像取得装置は、荷電粒子線装置に含まれる。また、これらに用いられるステージ装置は、3次元加工機械のような工作機械にも使用される。
【0003】
近年、半導体デバイスの微細化や高機能化に伴い、半導体デバイスの加工装置や検査装置には、高精度と高スループットの両立が求められている。これにより、これらの装置に搭載されるステージ装置には、高速かつ高速な位置決め性能が求められている。ステージ装置の高性能化を図るため、高加速度,高速度で駆動されるようになっている。
【0004】
PID制御などに代表されるフィードバック制御やフィードフォワード制御によるステージ位置決め制御では、補償ゲインを決める必要がある。ここで、高加速度,高速度での駆動に適した高いゲインに設定をすると最終位置決め精度が低下する。一方、最終位置決め精度を向上させるために低いゲインに設定すると、高加速度、高速度が実現できないものである。
【0005】
そこで、従来、高加速度、高速度の実現と最終位置決め精度の両立を目的としたゲイン切り替え方式として、高速移動が停止した後に最終位置決め用設定に切り替えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、さらに高速化を図るため、高速移動途中でも目標位置近傍に近づいた時点でゲインを切り替える方式もある。高速移動途中にゲインを切り替える場合、ゲイン切り替え時に不要な振動を引き起こす場合がある。そこで、高速移動途中でゲインを切り替える際にアクチュエータ駆動量の連続性を保てるようにすることで高速移動と精密位置決めを両立させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
以上のような技術開発がなされる背景には、ステージの動特性が時間、位置や駆動状態などによって変化することがある。特許文献1や特許文献2に記載のものでは、ステージの動特性の変化を2段階に大別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−223522号公報
【特許文献2】特開2006−184994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ステージ動特性は、慣性による特性が支配的な領域と、弾性変形による特性が支配的な領域に分かれる。また、ステージ位置やステージ装置の経年変化によってもこれらの動特性は変化する。このような特性は、ステージの高速かつ高精度な位置決めを実現していくうえで大きな障害となっている。
【0010】
このように、実際のステージ特性は連続的に変化するため、特許文献1や特許文献2記載のように、2段階のゲイン切り替えでは不十分であり、駆動量が適切に計算できない場合があり、ステージ性能が低下する要因となっていた。また、ステージ位置によっても動特性が変化するため、目標位置との差分である偏差量によってのみゲインを切り替える方式ではステージ位置によって性能にバラツキが生じるといった問題があった。
【0011】
本発明の目的は、高速かつ高精度位置決めを実現できるステージ装置,それを用いた荷電粒子線装置及び縮小投影露光装置,およびステージ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、ステージを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータにより駆動される前記ステージの位置が最終目標位置となるような前記アクチュエータの駆動量を算出するステージ制御演算手段とを有し、前記ステージ制御演算手段は、前記ステージの目標位置と前記ステージの位置の差分に基づいて、PID制御する補償演算手段を有するステージ装置であって、前記ステージ制御演算手段は、前記ステージの特性を同定するモデル同定手段と、該モデル同定手段によって得られた情報を基に、前記補償演算手段におけるステージ制御用補償パラメータを演算する制御ゲイン演算手段とを備え、該制御ゲイン演算手段により求められた前記ステージ制御用補償パラメータにより、前記補償演算手段の補償パラメータを変更するようにしたものである。
かかる構成により、高速かつ高精度なステージの位置決めを実現できるものとなる。
【0013】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記モデル同定手段は、前記補償演算手段が出力するアクチュエータ駆動量の時刻歴情報と、前記ステージの位置の時刻歴情報と、前記ステージの動特性の時刻歴情報とから、現在のステージ動特性を求める演算を逐次繰り返し、現在のステージの動特性の情報を求めるようにしたものである。
【0014】
(3)上記(2)において、好ましくは、前記モデル同定手段は、ステージの動特性を演算する際に、過去のステージ動特性の影響を時間経過に伴って減衰させるようにしたものである。
【0015】
(4)上記(1)において、好ましくは、前記アクチュエータにより駆動された前記アクチュエータの位置を検出する位置検出手段を備え、前記モデル同定手段は、前記位置検出手段により検出された位置情報を、前記ステージの位置の前記時刻歴情報とするものである。
【0016】
(5)上記(1)において、好ましくは、前記ステージの位置情報を求める状態観測器を備え、前記モデル同定手段は、前記状態観測器により求められた位置情報を、前記ステージの位置の前記時刻歴情報とするものである。
【0017】
(6)上記(1)において、好ましくは、前記モデル同定手段は、現在のステージの動特性の情報として、前記ステージのモデルの離散伝達関数の分母係数と分子係数をまとめた行列を出力し、前記制御ゲイン演算手段は、前記行列と前記補償パラメータを関数で関連付けて求めるようにしたものである。
【0018】
(7)上記(1)において、好ましくは、前記モデル同定手段は、現在のステージの動特性の情報として、前記ステージのモデルの離散伝達関数の1次の分母係数と1次の分子係数を出力し、前記制御ゲイン演算手段は、前記1次の分子係数に比例して、前記補償パラメータの内の比例補償ゲインを変更し、前記1次の分母係数に比例して、前記補償パラメータの内の微分補償ゲインを変更するようにしたものである。
【0019】
(8)また、上記目的を達成するために、本発明は、荷電粒子線を発生させる荷電粒子源と、該荷電粒子源から発生した荷電粒子線を偏向・集束させる電子レンズと、試料を搭載可能なステージを駆動するステージ装置とを有し、該ステージ装置は、ステージを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータにより駆動される前記ステージの位置が最終目標位置となるような前記アクチュエータの駆動量を算出するステージ制御演算手段とを有し、前記ステージ制御演算手段は、前記ステージの目標位置と前記ステージの位置の差分に基づいて、PID制御する補償演算手段を有し、上記試料に荷電粒子線を照射する荷電粒子線装置であって、前記ステージ制御演算手段は、前記ステージの特性を同定するモデル同定手段と、該モデル同定手段によって得られた情報を基に、前記補償演算手段におけるステージ制御用補償パラメータを演算する制御ゲイン演算手段とを備え、該制御ゲイン演算手段により求められた前記ステージ制御用補償パラメータにより、前記補償演算手段の補償パラメータを変更するようにしたものである。
かかる構成により、高速かつ高精度なステージの位置決めを実現できるものとなる。
【0020】
(9)さらに、上記目的を達成するために、本発明は、光源と、該光源からの光を集束する光学レンズと、試料を搭載可能なステージを駆動するステージ装置とを有し、該ステージ装置は、ステージを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータにより駆動される前記ステージの位置が最終目標位置となるような前記アクチュエータの駆動量を算出するステージ制御演算手段とを有し、前記ステージ制御演算手段は、前記ステージの目標位置と前記ステージの位置の差分に基づいて、PID制御する補償演算手段を有し、上記試料にマスクに形成されたパターンを縮小して投影する縮小投影露光装置であって、前記ステージ制御演算手段は、前記ステージの特性を同定するモデル同定手段と、該モデル同定手段によって得られた情報を基に、前記補償演算手段におけるステージ制御用補償パラメータを演算する制御ゲイン演算手段とを備え、該制御ゲイン演算手段により求められた前記ステージ制御用補償パラメータにより、前記補償演算手段の補償パラメータを変更するようにしたものである。
かかる構成により、高速かつ高精度なステージの位置決めを実現できるものとなる。
【0021】
(10)また、上記目的を達成するために、本発明は、ステージの目標位置と前記ステージの位置からアクチュエータへの駆動量を求め、前記ステージ位置を前記ステージの目標位置に一致させるステージ制御方法であって、前記ステージの特性を同定し、同定されたモデルによって得られた情報を基に、ステージ制御用補償パラメータを演算し、求められた前記ステージ制御用補償パラメータにより、前記補償パラメータを変更するようにしたものである。
かかる方法により、高速かつ高精度なステージの位置決めを実現できるものとなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、高速かつ高精度にステージの位置決めを実現できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態によるステージ装置を用いる荷電粒子線装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるステージ装置を用いる縮小投影露光装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるステージ装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第1の実施形態によるステージ装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態によるステージ装置に用いる補償演算器の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態によるステージ装置を用いてステージを移動させた際の典型的な速度波形の説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態によるステージ装置に用いるモデル同定器の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施形態によるステージ装置に用いる補償演算器の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施形態によるステージ装置に用いるモデル同定器の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施形態によるステージ装置における制御ゲイン変更の説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態によるステージ装置に用いるステージ制御演算器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図1〜図7を用いて、本発明の第1の実施形態によるステージ装置の構成及び動作について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態によるステージ装置を用いる荷電粒子線装置の構成について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態によるステージ装置を用いる荷電粒子線装置の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1では、荷電粒子線装置の一例として、SEM式欠陥分類用画像取得装置の構成を示している。SEM式欠陥分類用画像取得装置は、ステージ制御演算器100と、試料室200と、画像装置300と、ホストコンピュータ400とを備えている。
【0026】
試料室200は、高真空状態に保たれる。試料室200の内部には、電子銃210と、電磁偏向レンズ220と、ステージ定盤230の上に設置されたステージ機構と、二次電子検出器240とが備えられている。ステージ定盤230の上に設置されるステージ機構は、ステージ10,位置計測器12,ミラー14等を含んでおり、これらの詳細については、図3を用いて後述する。ステージ10の上には、試料SMPが搭載される。
【0027】
電子銃210が発生する電子線EBは、偏向レンズ220によって偏向され、試料SMPに集束される。ステージ10に搭載されている試料SMPに集束させた電子線EBを照射すると、二次電子SEが発生する。二次電子SEは、二次電子検出器240により検出される。検出された二次電子は、画像装置300に伝送されて画像化される。試料SMPについての異物・欠陥情報は、予め図示していない異物検査装置や外観検査装置などの表面欠陥装置により検査されており、異物・欠陥の存在する位置座標などが得られている。ホストコンピュータ400にはこれらの異物・欠陥位置情報が格納されている。ホストコンピュータ400は、異物・欠陥が電子線EBで照射可能な位置になるようステージ制御演算器100に移動指令を発する。ステージ制御演算器100は、ホストコンピュータ400からの移動指令に基づいて、ステージ10を移動する。ステージ制御演算器100の詳細については、図4を用いて後述する。ステージ10の移動が完了した後、偏向レンズ220を用いて試料SMPに電子線EBを照射し、二次電子検出器240や画像装置300を用いて異物や欠陥部をホストコンピュータ400の画面上に画像化する。
【0028】
以上は、SEM式欠陥分類用画像取得装置の構成及び動作であるが、電子線描画装置の構成も、図1に示したものと同様である。但し、電子銃210は高出力のものが用いられ、電子銃210から出力する電子線EBを用いて、試料SMPにパターン等を直接描画することができる。
【0029】
次に、図2を用いて、本実施形態によるステージ装置を用いる縮小投影露光装置の構成について説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態によるステージ装置を用いる縮小投影露光装置の構成を示すブロック図である。
【0030】
縮小投影露光装置は、ステージ制御演算器100と、試料室200と、ホストコンピュータ400とを備えている。
【0031】
試料室200の内部には、光源210Aと、光学レンズ220Aと、ステージ定盤230の上に設置されたステージ機構とが備えられている。ステージ定盤230の上に設置されるステージ機構は、ステージ10,位置計測器12,ミラー14等を含んでおり、これらの詳細については、図3を用いて後述する。ステージ10の上には、試料SMPが搭載される。
【0032】
光源210Aから発せられた光は、光学レンズ220Aによって試料SMPに集束される。レンズ220Aと試料SMPとの間には、パターン等が予め形成されたマスク250が配置される。マスク250の像は、例えば、1/10に縮小されて試料SMPに結像し、試料SMPにパターン等が露光される。ホストコンピュータ400は、試料SMPにパターン等を順次形成可能な位置になるようステージ制御演算器100に移動指令を発する。ステージ制御演算器100は、ホストコンピュータ400からの移動指令に基づいて、ステージ10を移動する。ステージ制御演算器100の詳細については、図4を用いて後述する。ステージ10の移動が完了した後、試料SMPにマスク250のパターンを露光することを繰り返す。
【0033】
次に、図3を用いて、本実施形態によるステージ装置の構成について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態によるステージ装置の構成を示すブロック図である。なお、図3において、図1若しくは図2と同一符号は同一部分を示している。
【0034】
ステージ装置は、ステージ制御演算器100と、ステージ機構とから構成される。以下、ステージ機構の構成について説明する。ステージ10は、ステージ定盤230の上に固定された支持機構16A1,16A2,16B1,16B2によりX軸,Y軸の二軸方向に移動可能に支持されている。
支持機構16A1,16B1には、それぞれ、アクチュエータであるモータ30A,30Bが連結されており、電力を供給することによってステージ10を二軸方向に移動可能である。また、ステージ10の上には、X軸及びY軸に対して直行する反射面を有するミラー14A,14Bが搭載されている。ステージ定盤230の上には、X軸方向及びY軸方向の位置を計測する位置計測器12A,12Bが搭載されている。位置計測器12A,12Bは、ステージ10の方向にレーザー光を照射する。照射されたレーザー光はミラー14A,14Bで反射し、位置計測器12A,12Bに戻る。位置計測器12A,12Bは、照射したレーザー光と戻ってきたレーザー光との位相差からステージ10の位置を正確に計測する。ステージ制御演算器100は、位置計測器12A,12Bを用いた位置計測機能およびモータ30A,30Bへの動力供給機能と、動力供給量を演算する機能と、ホストコンピュータ400との通信機能を有する。
【0035】
次に、図4を用いて、本実施形態によるステージ装置の動作について説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態によるステージ装置の構成を示すブロック図である。なお、図4において、図1〜図3と同一符号は同一部分を示している。
【0036】
ステージ装置は、ステージの駆動量を演算するステージ制御演算器100と、ステージ制御演算器100が出力する駆動量Sdの信号を増幅する増幅器20と、アクチュエータであるモータ30(図3に示したモータ30A,30B)と、モータにより駆動されるステージ10とを備えている。
【0037】
ステージ制御演算器100によって演算された駆動量Sdは、増幅器20で増幅され、モータ30に印加される。アクチュエータであるモータ30が動作することでステージ機構10が変位する。
【0038】
ステージ制御演算器100は、目標位置発生器110と、補償演算器120と、モデル同定器130と、制御ゲイン演算器140と、減算器DF1とを備えている。
【0039】
目標位置発生器110は、外部から与えられる最終目標位置Ptfにステージ10を移動させるための目標位置座標や到達経路を演算する。減算器DF1は、目標位置発生器110が出力した目標位置Ptと、ステージ10の位置計測器(図3の位置計測器12A,12B)により計測したステージ位置Psとの差分を計算し、偏差量DEVを求める。補償演算器120は、偏差量DEVを入力として駆動量Sdを演算する。ステージ位置Psは、ステージ位置の時刻歴情報である。駆動量Sdは、アクチュエータ駆動量の時刻歴情報である。
【0040】
補償演算器120と、モデル同定器130と、制御ゲイン演算器140との詳細については、図5及び図7を用いて後述する。
【0041】
次に、図5及び図6を用いて、本実施形態によるステージ装置に用いる補償演算器120の構成について説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態によるステージ装置に用いる補償演算器の構成を示すブロック図である。なお、図5において、図4と同一符号は同一部分を示している。図6は、本発明の第1の実施形態によるステージ装置を用いてステージを移動させた際の典型的な速度波形の説明図である。
【0042】
図5に示すように、補償演算器120は、比例補償器122と、微分補償器124と、積分補償器126とからなるPID制御器を備えている。PID制御器において、比例補償器122は、入力された偏差量DEVに比例ゲインKpを乗ずる補償演算を行う。微分補償器124は、偏差量DEVの時間微分値を求め、微分ゲインKdを乗ずる補償演算を行う。積分補償器126は、偏差量DEVの時間積分値を求め、積分ゲインKiを乗ずる補償演算を行う。以上の3個の補償器122,124,126の出力は、加算器AD1により加算され、フィードバック駆動量となる。
【0043】
なお、PID制御器の他に、フィードフォワード制御器を備えることもできる。フィードフォワード補償器128は、入力された目標位置Ptに対してにてフィードフォワードゲインKfを乗じ、フィードフォワード駆動量とする。加算器AD2は、フィードバック駆動量とフィードフォワード駆動量を加算し、駆動量Sdを生成する。
【0044】
補償演算器120を用いたステージ装置においては、ステージ10を最適に制御するためにの制御ゲインKf,Kp,Kdをステージ特性に合わせて調整する。
【0045】
図6は、ステージ装置を用いてステージ10を移動させた際の典型的な速度波形を示している。ステージ10は速度ゼロの状態から加速区間を経て一定速区間に入る。その後、最終目標位置近傍に近づいたら減速区間に入り、最終目標位置で停止する。この時、加速区間や一定速区間で適切な特性になるように制御ゲインを調整すると減速区間から停止までの区間で適切な特性が得られず、減速区間の特性に合わせて制御ゲインを調整すると加速区間で適切な特性が得られない、といったことが起こる。これは、ステージ10の動特性が駆動量Sdの大小やステージ10の位置,速度などによって変動するためである。
【0046】
これを解決するために、本実施形態では、ステージ制御演算器100にモデル同定器130と制御ゲイン演算器140を備えている。モデル同定器130は、ステージ位置Psとステージ装置の出力である駆動量Sdの履歴情報から図4における増幅器20、モータ30、ステージ10までを含むステージ装置の数学モデルを求め、現在のステージ動特性情報θ(k)を求める。ステージ動特性情報θ(k)は、ステージ動特性の時刻歴情報である。なお、モデル同定器130の詳細については、図7を用いて後述する。ステージ動特性情報θ(k)は制御ゲイン演算器140に伝送される。制御ゲイン演算器140は、ステージ動特性情報θ(k)に基づいて、現在のステージ動特性に適した制御ゲインを演算する。制御ゲイン演算器140で演算された制御ゲインは、比例補償器122、微分補償器124、積分補償器126に伝送され、アクチュエータの駆動量を求める補償演算に用いる。この動作を逐次行うことで、ステージの動特性に合わせた適切な制御ゲインをリアルタイムに設定することができ、高速かつ高精度なステージ位置決めを実現できる。
【0047】
なお、補償演算としては、比例補償器122、微分補償器124、積分補償器126を用いた場合にくわえて、フィードフォワード補償器128などの補償器を備えた場合にも適用できる。
【0048】
次に、図7を用いて、本実施形態によるステージ装置に用いるモデル同定器130の構成について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態によるステージ装置に用いるモデル同定器の構成を示すブロック図である。
【0049】
モデル同定器130は、分子係数乗算器132と、遅延演算子乗算器134と、分母係数乗算器136と、誤差フィルタ係数乗算器138と、ステージ動特性情報算出器139と、加算器AD2と、減算器DF2とを備えている。
【0050】
ここで、推定すべきステージの離散伝達関数を、以下の式(1)とする。式(1)は、増幅器20、モータ30、ステージ10を含む駆動量Sdからステージ位置Psまでの離散伝達関数である。
【0051】
【数1】

【0052】
式(1)において、a1,a2,…,amは離散伝達関数の分母係数を示し、b0,b1,b2,…,bnは離散伝達関数の分子係数を示し、z−iはi次の遅延演算子を示している。離散伝達関数の分母係数ai、分子係数biはステージの位置、速度に伴って変化する係数である。ステージの動特性を同定することは、式(1)における分母係数ai、分子係数biを求めることである。
【0053】
分子係数乗算器132は、入力した駆動量Sdに対して、伝達関数の分子係数biを乗算する。遅延演算子乗算器134は、分子係数biの乗算された駆動量に所定の遅延を施し、さらに、分母係数乗算器136により分母係数aiを乗算する。加算器AD2は、分子係数乗算器132の出力に分母係数乗算器136の出力を加算することで、入力した駆動量Sdに対して、式(1)の離散伝達関数で演算した推定ステージ位置Pspが算出される。減算器DF2は、推定ステージ位置Pspと、実際のステージ位置Psとの差分、すなわちモデル誤差信号Smeを演算する。モデル誤差信号Smeに誤差フィルタ係数乗算器138により重み係数を乗じ、分母係数乗算器136で用いる分母係数aiおよび分子係数乗算器132で用いる分子係数biを更新する。これを逐次繰り返すことにより、モデル誤差信号Smeがゼロに集束していく。すなわち、式(1)の離散伝達関数が実際のステージの動特性に近づいていく。
【0054】
以上の動作を実現するにはHARF(Hyperstable Adaptive Recursive Filter)アルゴリズムやSHARF(Simple Hyperstable Adaptive Recursive Filter)アルゴリズムなども利用できる。
【0055】
本実施形態では、SHARFアルゴリズムを用いた場合について数式を用いて説明する。式(1)の離散伝達関数の分母係数ai、分子係数biをまとめた行列を、式(2)に表す。
【0056】
【数2】

【0057】
図7におけるステージ動特性情報算出器139は、式(2)におけるθ(k)を算出して、現在のステージ動特性情報θ(k)を出力する
【0058】
また、モデル同定器130への入力である、駆動量Sdと推定ステージ位置Pspの時刻歴情報をまとめた行列は、式(3)のように表せる。
【0059】
【数3】

【0060】
ここで、駆動量Sdの時刻歴情報数は分母係数aiの次数と同じであり、推定ステージ位置Pspの時刻歴情報数は分子係数biの次数と同じとする。式(3)において、u(k)は駆動量Sdであり、y(k)は推定ステージ位置Pspである。
【0061】
この時、推定ステージ位置Pspは、式(4)で表せる。
【0062】
【数4】

【0063】
推定ステージ位置Pspが実際のステージ位置Psに等しくなるためには、式(5)に示す漸化式によって、式(2)の行列を更新する。
【0064】
【数5】

【0065】
ただし、式(5)において、Λは式(6)、v(k)は式(7)で表す。
【0066】
【数6】

【0067】
ここで、式(6)において、μi、ρiは正定数である。
【0068】
【数7】

【0069】
ここで、式(7)において、d(k)は実際のステージ位置Psを示している。
【0070】
さらに、式(7)におけるp個の係数{ci}は、式(8)の伝達関数が強正実になるように選ぶ。
【0071】
【数8】

【0072】
以上により、現在のステージ動特性情報θ(k)を求めることができる。
【0073】
但し、以上の説明では、式(1)の推定離散伝達関数を求めるために、駆動量Sdおよびステージ位置Psの全ての過去情報を用いている。しかし、推定離散伝達関数が時変であるとすると、異なる動特性の時の時刻歴情報を用いるのは好ましくない。そこで、過去の時刻歴情報の影響は指数的に減衰させるようにする。そのため、ステージ動特性情報算出器139は、式(5)を変形した式(9)を用いる。
【0074】
【数9】

【0075】
式(9)において、係数γが、0<γ<1の場合、過去の係数行列Θの影響が指数的に減衰する。すなわち、忘却していく。ここで、γ=1の場合は式(5)と同じ結果を得られる。
【0076】
以上、本発明によればステージ位置Psと駆動量Sdの時刻歴情報を用いてステージの動特性を演算により求めることができる。
【0077】
次に、制御ゲイン演算器140の動作について説明する。制御ゲイン演算器140は、モデル同定器130により求められたテージ動特性θ(k)から制御ゲインを求めるものである。本例では、モデル同定器130から得られるステージ動特性情報θ(k)は、式(2)より(n+m)個ある。PID制御の例においては、ステージ動特性情報θ(k)とステージ動特性との関連から比例ゲインKpを式(10)で決定し、微分ゲインKdを式(11)で決定し、積分ゲインKiを式(12)によって決定する。
【0078】
【数10】

【0079】
【数11】

【0080】
【数12】

【0081】
式(10),式(11),式(12)では、ステージ動特性を示す離散伝達関数の係数行列と補償ゲインを関数f()とで関連付けて求めている。
【0082】
なお、離散伝達関数の係数行列とステージ位置Psや駆動量Sdとから統計処理を行い、補償ゲインを決定するようにしてもよいものである。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、ステージの位置、アクチュエータ駆動量の時刻歴情報から現在のステージ動特性を演算し、求めた動特性に基づいてステージ制御用補償ゲインを演算することにより、現在のステージ動特性に対して適切な補償ゲイン設定が可能になる。
【0084】
また、連続的に変化するステージの動特性を求める際に、過去の全てのステージ位置、アクチュエータ駆動量に関する時刻歴情報を用いたのでは過去の動特性に影響を受け、ステージ動特性演算の収束時間が遅くなり、現在のステージの動特性を正確に求めることができない。そこで、ステージ動特性を演算する際に過去の時刻歴情報の影響を時間経過とともに減衰させることで、ステージ動特性を正確に求めることが可能になる。
【0085】
次に、図8〜図10を用いて、本発明の第2の実施形態によるステージ装置の構成及び動作について説明する。本実施形態によるステージ装置を用いる荷電粒子線装置の構成は、図1に示したものと同様である。また、本実施形態によるステージ装置を用いる縮小投影露光装置の構成は、図2に示したものと同様である。また、本実施形態によるステージ装置の構成は、図3に示したものと同様である。また、本実施形態によるステージ装置の構成は、図4に示したものと同様である。
【0086】
図8は、本発明の第2の実施形態によるステージ装置に用いる補償演算器の構成を示すブロック図である。図9は、本発明の第2の実施形態によるステージ装置に用いるモデル同定器の構成を示すブロック図である。図10は、本発明の第2の実施形態によるステージ装置における制御ゲイン変更の説明図である。
【0087】
本実施形態では、離散伝達関数の係数行列から補償ゲインを決定するようにしている。そのため、ステージの動特性を示す離散伝達関数を式(13)とする。
【0088】
【数13】

【0089】
すなわち、式(1)における分母係数はm次から5次にする。また、分子係数はn次から4次にする。図4に示したステージ装置の場合、式(13)のように次数を低減しても、ステージの動特性を十分に表すことができる。
【0090】
図8に示すように、ように、補償演算器120は、比例補償器122と、微分補償器124と、積分補償器126とからなるPID制御器を備えている。PID制御器において、比例補償器122は、入力された偏差量DEVに比例ゲインKpを乗ずる補償演算を行う。微分補償器124は、偏差量DEVの時間微分値を求め、微分ゲインKdを乗ずる補償演算を行う。積分補償器126は、偏差量DEVの時間積分値を求め、積分ゲインKiを乗ずる補償演算を行う。以上の3個の補償器122,124,126の出力は、加算器AD1により加算され、フィードバック駆動量となる。
【0091】
図9に示すように、モデル同定器130Aは、分子係数乗算器132Aと、遅延演算子乗算器134と、分母係数乗算器136Aと、誤差フィルタ係数乗算器138Aと、係数出力器137と、加算器AD2と、減算器DF2とを備えている。ここで、係数出力器137は、分母係数a1と、分子係数b1とを出力する。
【0092】
図10(c)は、ステージを駆動しながら式(13)にもとづくモデル同定を実施した時の、分母係数a1の波形を示ている。図8に示す制御ゲイン演算器140Aは、この分母係数a1を用い、係数a1の大きさに比例させて、比例補償器122のゲインKpを可変する。図10(a)は、この時のステージ位置波形を示し、図10(b)は駆動量波形を示している。係数a1に比例させて補償ゲインを連続可変させるとステージ位置波形が滑らかになり、振動発生も抑えられる。この結果、移動時間、停止精度が向上する。また、制御ゲイン演算器140Aは、計数出力器137が出力する分子係数b1に比例させて、微分補償器124の補償ゲインKdを可変する。比例ゲインKpを変えることで、固有振動に基づく誤差を補償でき、微分ゲインKdを変えることで、滑り等の動摩擦に基づく誤差を補償できる。
【0093】
以上説明したように、本実施形態によれば、ステージの位置、アクチュエータ駆動量の時刻歴情報から現在のステージ動特性を演算し、求めた動特性に基づいてステージ制御用補償ゲインを演算することにより、現在のステージ動特性に対して適切な補償ゲイン設定が可能になる。
【0094】
次に、図11を用いて、本発明の第3の実施形態によるステージ装置の構成及び動作について説明する。本実施形態によるステージ装置を用いる荷電粒子線装置の構成は、図1に示したものと同様である。また、本実施形態によるステージ装置を用いる縮小投影露光装置の構成は、図2に示したものと同様である。また、本実施形態によるステージ装置の構成は、図3に示したものと同様である。また、本実施形態によるステージ装置の構成は、図4に示したものと同様である。
【0095】
図11は、本発明の第3の実施形態によるステージ装置に用いるステージ制御演算器の構成を示すブロック図である。なお、図11において、図4と同一符号は同一部分を示している。
【0096】
図4に示した例では、ステージ位置Psを実際のステージ位置としてい用いている。それに対して、本実施形態では、状態観測器やカルマンフィルタを用いてステージ位置を推定することによってステージ位置Psの情報を代用している。
【0097】
ステージ制御演算器100Aは、目標位置発生器110と、補償演算器120と、モデル同定器130と、制御ゲイン演算器140と、減算器DF1と、カルマンフィルタ150を備えている。
【0098】
ステージ位置Psが直接参照できない場合、ステージ制御演算器100Aの内部にカルマンフィルタ150を備え、擬似ステージ位置Psfを推定する。ステージ制御演算器100Aは、擬似ステージ位置Psfをステージ位置Psの代わりに用いて補償演算を実行する。なお、カルマンフィルタ150によって推定された擬似ステージ位置Psfは、擬似的なものではあるが、ステージ位置の時刻歴情報である。
【0099】
以上説明したように、本実施形態によれば、ステージ位置Psが直接参照できない場合でも、ステージの位置、アクチュエータ駆動量の時刻歴情報から現在のステージ動特性を演算し、求めた動特性に基づいてステージ制御用補償ゲインを演算することにより、現在のステージ動特性に対して適切な補償ゲイン設定が可能になる。
【符号の説明】
【0100】
10…ステージ
12A,12B…位置測長器
14A,14B…ミラー
16A1,16A2,16B1,16B2…支持機構
20…増幅器
30A,30B…モータ
100…ステージ制御演算器
110…目標位置発生器
120…補償演算器
122…比例補償器
124…微分補償器
126…積分補償器
128…フィードフォワード補償器
130…モデル同定器
132…分母係数算出器
134…遅延演算子算出器
136…分子係数算出器
137…係数出力器
138…誤差フィルタ係数算出器
139…ステージ動特性情報算出器
140…制御ゲイン演算器
150…カルマンフィルタ
200…試料室
210…電子銃
220…偏向レンズ
220A…光学レンズ
230…定盤
240…二次電子検出器
300…画像装置
400…ホストコンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータにより駆動される前記ステージの位置が最終目標位置となるような前記アクチュエータの駆動量を算出するステージ制御演算手段とを有し、
前記ステージ制御演算手段は、前記ステージの目標位置と前記ステージの位置の差分に基づいて、PID制御する補償演算手段を有するステージ装置であって、
前記ステージ制御演算手段は、
前記ステージの特性を同定するモデル同定手段と、
該モデル同定手段によって得られた情報を基に、前記補償演算手段におけるステージ制御用補償パラメータを演算する制御ゲイン演算手段とを備え、
該制御ゲイン演算手段により求められた前記ステージ制御用補償パラメータにより、前記補償演算手段の補償パラメータを変更することを特徴とするステージ装置。
【請求項2】
請求項1記載のステージ装置において、
前記モデル同定手段は、前記補償演算手段が出力するアクチュエータ駆動量の時刻歴情報と、前記ステージの位置の時刻歴情報と、前記ステージの動特性の時刻歴情報とから、現在のステージ動特性を求める演算を逐次繰り返し、現在のステージの動特性の情報を求めることを特徴とするステージ装置。
【請求項3】
請求項2記載のステージ装置において、
前記モデル同定手段は、ステージの動特性を演算する際に、過去のステージ動特性の影響を時間経過に伴って減衰させることを特徴とするステージ装置。
【請求項4】
請求項1記載のステージ装置において、
前記アクチュエータにより駆動された前記アクチュエータの位置を検出する位置検出手段を備え、
前記モデル同定手段は、前記位置検出手段により検出された位置情報を、前記ステージの位置の前記時刻歴情報とすることを特徴とするステージ装置。
【請求項5】
請求項1記載のステージ装置において、
前記ステージの位置情報を求める状態観測器を備え、
前記モデル同定手段は、前記状態観測器により求められた位置情報を、前記ステージの位置の前記時刻歴情報とすることを特徴とするステージ装置。
【請求項6】
請求項1記載のステージ装置において、
前記モデル同定手段は、現在のステージの動特性の情報として、前記ステージのモデルの離散伝達関数の分母係数と分子係数をまとめた行列を出力し、
前記制御ゲイン演算手段は、前記行列と前記補償パラメータを関数で関連付けて求めることを特徴とするステージ装置。
【請求項7】
請求項1記載のステージ装置において、
前記モデル同定手段は、現在のステージの動特性の情報として、前記ステージのモデルの離散伝達関数の1次の分母係数と1次の分子係数を出力し、
前記制御ゲイン演算手段は、前記1次の分子係数に比例して、前記補償パラメータの内の比例補償ゲインを変更し、前記1次の分母係数に比例して、前記補償パラメータの内の微分補償ゲインを変更することを特徴とするステージ装置。
【請求項8】
荷電粒子線を発生させる荷電粒子源と、該荷電粒子源から発生した荷電粒子線を偏向・集束させる電子レンズと、試料を搭載可能なステージを駆動するステージ装置とを有し、
該ステージ装置は、ステージを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータにより駆動される前記ステージの位置が最終目標位置となるような前記アクチュエータの駆動量を算出するステージ制御演算手段とを有し、
前記ステージ制御演算手段は、前記ステージの目標位置と前記ステージの位置の差分に基づいて、PID制御する補償演算手段を有し、
上記試料に荷電粒子線を照射する荷電粒子線装置であって、
前記ステージ制御演算手段は、
前記ステージの特性を同定するモデル同定手段と、
該モデル同定手段によって得られた情報を基に、前記補償演算手段におけるステージ制御用補償パラメータを演算する制御ゲイン演算手段とを備え、
該制御ゲイン演算手段により求められた前記ステージ制御用補償パラメータにより、前記補償演算手段の補償パラメータを変更することを特徴とする荷電粒子線装置。
【請求項9】
光源と、該光源からの光を集束する光学レンズと、試料を搭載可能なステージを駆動するステージ装置とを有し、
該ステージ装置は、ステージを駆動するアクチュエータと、該アクチュエータにより駆動される前記ステージの位置が最終目標位置となるような前記アクチュエータの駆動量を算出するステージ制御演算手段とを有し、
前記ステージ制御演算手段は、前記ステージの目標位置と前記ステージの位置の差分に基づいて、PID制御する補償演算手段を有し、
上記試料にマスクに形成されたパターンを縮小して投影する縮小投影露光装置であって、
前記ステージ制御演算手段は、
前記ステージの特性を同定するモデル同定手段と、
該モデル同定手段によって得られた情報を基に、前記補償演算手段におけるステージ制御用補償パラメータを演算する制御ゲイン演算手段とを備え、
該制御ゲイン演算手段により求められた前記ステージ制御用補償パラメータにより、前記補償演算手段の補償パラメータを変更することを特徴とする縮小投影露光装置。
【請求項10】
ステージの目標位置と前記ステージの位置からアクチュエータへの駆動量を求め、前記ステージ位置を前記ステージの目標位置に一致させるステージ制御方法であって、
前記ステージの特性を同定し、
同定されたモデルによって得られた情報を基に、ステージ制御用補償パラメータを演算し、
求められた前記ステージ制御用補償パラメータにより、前記補償パラメータを変更することを特徴とするステージ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−227768(P2011−227768A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98055(P2010−98055)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】