説明

ドライブ回路

【課題】トランスの補助巻線を用いることなく、制御回路の電源を確保して安価にできるドライブ回路を提供する。
【解決手段】ノーマリオン型のハイサイドスイッチQ1とノーマリオフ型のローサイドスイッチQ2との直列回路が直流電源に並列に接続され、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ回路であって、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチとを制御信号によりオンオフさせる制御回路10と、ハイサイドスイッチとローサイドスイッチとの接続点に一端が接続された整流手段D2と、整流手段の他端と直流電源の一端とに接続され且つ制御回路に電源を供給するコンデンサC2と、制御回路からの制御信号とコンデンサからの電圧とに基づいてハイサイドスイッチとローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ部A1,AND1,Q3,Q4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置等に用いられるスイッチング素子を駆動するドライブ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なスイッチング電源装置は、例えば、特許文献1に記載されるように、直流電源の両端にトランスの一次巻線とMOSFETからなるスイッチング素子とが直列に接続され、スイッチング素子をオンオフさせることによりトランスの二次巻線に発生した交流電圧を第1整流平滑回路で整流平滑して、得られた直流出力電圧を負荷に供給する。
【0003】
直流出力電圧は、フォトカプラなどを介して一次側の制御回路に帰還され、直流出力電圧が所定値となるように制御回路によりスイッチング素子のスイッチング周波数が制御される。
【0004】
また、トランスの補助巻線に発生した交流電圧を第2整流平滑回路で整流平滑し、得られた直流電圧を制御電源として制御回路(ドライブ回路の一部)に供給し、制御電源により動作した制御回路からのパルス信号によりドライブ回路は、スイッチング素子をオンオフ駆動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−105552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のドライブ回路においては、トランスの補助巻線が設けられているため、高価であった。
【0007】
本発明の課題は、トランスの補助巻線を用いることなく、制御回路の電源を確保して安価にできるドライブ回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係るドライブ回路は、ノーマリオン型のハイサイドスイッチとノーマリオフ型のローサイドスイッチとの直列回路が直流電源に並列に接続され、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ回路であって、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとを制御信号によりオンオフさせる制御回路と、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとの接続点に一端が接続された整流手段と、前記整流手段の他端と前記直流電源の一端とに接続され且つ前記制御回路に電源を供給するコンデンサと、前記制御回路からの制御信号と前記コンデンサからの電圧とに基づいて前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るドライブ回路によれば、ハイサイドスイッチにノーマリオン型の素子を使用し、直流電源からハイサイドスイッチを介してコンデンサに充電するので、コンデンサの充電電圧を制御回路に電源供給できる。従って、トランスの補助巻線を用いることなく、制御回路の電源を確保して安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例1に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施例1に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の起動時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施例1に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の通常時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図5】本発明の実施例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の起動時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の通常時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の実施例3に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図8】本発明の実施例3に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の起動時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施例3に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の通常時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図11】本発明の実施例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の具体的な構成を示す回路図である。
【図12】図11に示されるスイッチング電源装置内のフリップフロップFF1の内部接続図である。
【図13】本発明の実施例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の起動時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の実施例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の通常時の各部の動作を示すタイミングチャートである。
【図15】本発明の実施例4の変形例1に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図16】本発明の実施例1の変形例1に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図17】本発明の実施例4の変形例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図18】本発明の実施例1の変形例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図19】本発明の実施例1の変形例3に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図20】本発明の実施例1の変形例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【図21】本発明の実施例1の変形例5に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の実施例1に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図1において、直流電源V1の両端には、トランスT1の一次巻線P1とスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との直列回路が接続されている。スイッチング素子Q1は、ノーマリオン型のスイッチであり、GaNなどからなる。スイッチング素子Q2は、ノーマリオフ型のMOSFETからなる。
【0013】
スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは、制御回路10により交互又は同時にオンオフする。トランスT1の二次巻線S1の一端にはダイオードD1のアノードが接続され、ダイオードD1のカソードにはコンデンサC1の一端が接続され、二次巻線S1の他端にはコンデンサC1の他端が接続されている。ダイオードD1とコンデンサC1とで、二次巻線S1に発生した交流電圧を整流平滑して得られた直流出力電圧を図示しない負荷に供給する整流平滑回路を構成する。
【0014】
電圧検出回路12は、コンデンサC1の両端電圧、即ち、直流出力電圧を検出し、検出電圧をフィードバック信号FBとして制御回路10に出力する。制御回路10は、電圧検出回路12からのフィードバック信号FBに基づいてスイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とのオンオフのデューティ比を制御することにより直流出力電圧を所定電圧に制御する。
【0015】
スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間にはツェナーダイオードD3が接続されている。スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点には、ダイオードD2のアノードが接続され、ダイオードD2のカソードは、制御回路10の電源端子とコンデンサC2の一端と抵抗R1の一端と抵抗R4の一端とに接続されている。
【0016】
コンデンサC2の両端には、抵抗R1と抵抗R2と抵抗R3との直列回路が接続されるとともに、抵抗R4とツェナーダイオードD4との直列回路が接続されている。抵抗R1と抵抗R2との接続点は、コンパレータA1の非反転端子(+)に接続され、抵抗R4とツェナーダイオードD4との接続点は、コンパレータA1の反転端子(−)に接続されている。
【0017】
コンパレータA1は、ヒステリシスコンパレータであり、上限スレッシュHthと下限スレッシュLthとを有し、コンデンサC2の電圧VC2が上限スレッシュHth以上となるとHレベルを出力し、コンデンサC2の電圧VC2が下限スレッシュLth以下となるとLレベルを出力する。
【0018】
このヒステリシスコンパレータは、抵抗R1〜R3、ノット回路NOT2、トランジスタQ5、ツェナーダイオードD4で実現される。例えば、抵抗比をR1:R2=1:1とし、R3=0.1×R2とする。
【0019】
コンパレータA1の出力端子は、アンド回路AND1の一方の入力端子とノット回路NOT2の入力端子とに接続されている。抵抗R2と抵抗R3との接続点は、N型MOSFETからなるトランジスタQ5のドレインに接続され、トランジスタQ5のゲートはノット回路NOT2の出力端子に接続されている。トランジスタQ5のソースは、コンデンサC2の他端と抵抗R3の一端とツェナーダイオードD4のアノードと制御回路10のグランド端子とN型MOSFETからなるトランジスタQ4のソースに接続されている。
【0020】
制御回路10の出力端子は、アンド回路AND1の他方の入力端子とノット回路NOT1の入力端子とに接続され、ノット回路NOT1の出力端子は、P型MOSFETからなるトランジスタQ3のゲートとトランジスタQ4のゲートとに接続されている。トランジスタQ3のドレインとトランジスタQ4のドレインとはスイッチング素子Q1のゲートに接続され、トランジスタQ3のソースは、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとに接続されている。アンド回路AND1の出力端子は、スイッチング素子Q2のゲートに接続されている。
【0021】
次にこのように構成された実施例1に係るドライブ回路の動作を説明する。まず、図2を参照しながら、起動時の動作を説明する。図2において、V1は直流電源V1の電圧、VC2はコンデンサC2の両端電圧、VgsQ1はスイッチング素子Q1のゲート−ソース間電圧、VgsQ2はスイッチング素子Q2のゲート−ソース間電圧、IdD2はダイオードD2に流れる電流を示す。
【0022】
まず、時刻t0において、スイッチング素子Q1がオンであるので、V1正極→P1→Q1→D2→C2→V1負極の経路で電流が流れる。このため、コンデンサC2が充電されて、コンデンサC2の電圧VC2が上昇していく。
【0023】
時刻t1において、コンデンサC2の電圧VC2が制御回路動作開始電圧になると、制御回路10、コンパレータA1、アンド回路AND1が動作する。この時点では、電圧VC2がスイッチング素子Q1のゲートスレッシュ電圧Q1thに達していないため、スイッチング素子Q1はオンし続ける。
【0024】
時刻t2において、電圧VC2がスイッチング素子Q1のゲートスレッシュ電圧Q1thに達すると、制御回路10からのパルス信号によりトランジスタQ3とトランジスタQ4とが交互にオンオフするので、スイッチング素子Q1はオンオフ動作を開始する。このとき、スイッチング素子Q1がオンしている期間だけコンデンサC2は充電され、電圧VC2は上昇し続ける。
【0025】
なお、この時点では、電圧VC2が過電圧となっていないため、コンパレータA1は、Lレベルをアンド回路AND1に出力するので、スイッチング素子Q2はオフである。
【0026】
時刻t3において、電圧VC2が過電圧となると、コンパレータA1は、Hレベルをアンド回路AND1に出力するので、アンド回路AND1は制御回路10からのパルス信号とコンパレータA1からのHレベルとのアンドを取る。このため、スイッチング素子Q1のオンオフ動作に同期して、スイッチング素子Q2はオンオフ動作する。このため、ダイオードD2に流れる電流が制限されて、通常動作に移行する。
【0027】
次に、図3を参照しながら、スイッチング電源装置の通常時の動作を説明する。図3において、IdQ1はスイッチング素子Q1のドレイン電流、VdQ1は
スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間電圧、IdD1はダイオードD1に流れる電流、A1出力はコンパレータA1の出力を示す。
【0028】
まず、時刻t11において、制御回路10の出力がHレベルとなると、ノット回路NOT1からLレベルがトランジスタQ3のゲートに出力される。このため、トランジスタQ3がオンして、スイッチング素子Q1がオンする。すると、直流電源V1から一次巻線P1を介してスイッチング素子Q1に電流IdQ1が流れ、ダイオードD2には電流IdD2が流れて、コンデンサC2が充電されていく。
【0029】
コンデンサC2の電圧VC2は過電圧になっていないので、コンパレータA1からLレベルがアンド回路AND1に出力されるため、スイッチング素子Q2はオフである。
【0030】
時刻t12において、コンパレータA1は、コンデンサC2の電圧VC2が上限スレッシュHth以上となるとアンド回路AND1にHレベルを出力するので、スイッチング素子Q2がオンする。このため、ダイオードD2の電流IdD2がなくなり、コンデンサC2の電圧が上昇しなくなる。
【0031】
時刻t13において、制御回路10の出力がLレベルを出力すると、トランジスタQ4がオンし、スイッチング素子Q1がオフする。このため、電流IdQ1がなくなる。また、制御回路10からのLレベルがアンド回路AND1に入力されるので、スイッチング素子Q2はオフする。
【0032】
時刻t14において、コンデンサC2の電圧VC2が下限スレッシュLth以下となるとコンパレータA1は、Lレベルをアンド回路AND1に出力する。
【0033】
このように実施例1に係るスイッチング電源装置によれば、ノーマリオン型のスイッチング素子Q1とノーマリオフ型のスイッチング素子Q2との接続点からダイオードD2を介してコンデンサC2を充電し、コンデンサC2の電圧を制御回路10に印加するので、トランスの補助巻線無しで、制御回路10の電源を確保できるため、安価になる。
【0034】
また、直流電源投入での起動時には、制御回路10への電源供給を行う起動回路が不要となる。
【実施例2】
【0035】
図4は、本発明の実施例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図4において、抵抗R1と抵抗R2との接続点は、コンパレータA1の反転入力端子(−)に接続され、抵抗R4とツェナーダイオードD4との接続点は、コンパレータA1の非反転端子(+)に接続されている。
【0036】
コンパレータA1の出力端子は、フリップフロップFF1のセット端子Sに接続され、フリップフロップFF1のリセット端子Rは、トランジスタQ3のゲートとトランジスタQ4のゲートとに接続されている。フリップフロップFF1の出力端子Qbはアンド回路AND1の一方の入力端子に接続されている。
【0037】
その他の構成は、実施例1の構成と同一であるので、同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0038】
実施例1では、起動後のコンデンサC2(制御電源)の充電は、スイッチング素子Q1のスイッチング毎に行われていたが、実施例2では、コンデンサC2の電圧がツェナーダイオードD4の閾値電圧VD4(降伏電圧)より低下したことを検出して、スイッチング素子Q1の次のオン期間(1パルス)のみコンデンサC2に充電を行うことを特徴とする。
【0039】
即ち、1パルスの充電でコンデンサC2の電圧VC2を閾値電圧VD4より上昇させる。従って、コンデンサC2の電圧VC2が閾値電圧VD4よりも低下しない限り、スイッチング素子Q1の複数回のスイッチングが行われるが、コンデンサC2の充電動作は行われない点が実施例1とは異なる。
【0040】
また、コンデンサC2の非充電動作におけるスイッチング素子Q1のスイッチング回数は、コンデンサC2の容量で決定され、コンデンサC2のコンデンサ容量が大きいほど非充電動作におけるスイッチング素子Q1のスイッチング回数は増加する。なお、図6では、動作を簡単に説明するため、充電回数を2回のスイッチングに1回にしている。
【0041】
また、ツェナーダイオードD4の閾値電圧及びスイッチング素子Q1のスレッシュ電圧は、制御回路10の最低動作電圧よりも高く設定されている。ここで、制御回路動作開始電圧<スレッシュ電圧<D4の閾値電圧の関係になる。
【0042】
次にこのように構成された実施例2に係るドライブ回路の動作を説明する。図5に示す起動時の動作のタイミングチャートと図6に示す通常動作時のタイミングチャートを参照しながらドライブ回路の動作を説明する。
【0043】
まず、時刻t0において、スイッチング素子Q1がオンであるので、V1正極→P1→Q1→D2→C2→V1負極の経路で電流が流れる。このため、コンデンサC2が充電されて、コンデンサC2の電圧VC2が上昇していく。
【0044】
時刻t1において、コンデンサC2の電圧VC2が制御回路動作電圧になると、制御回路10、コンパレータA1、アンド回路AND1が動作する。この時点では、電圧VC2がスイッチング素子Q1のゲートスレッシュ電圧Q1thに達していないため、スイッチング素子Q1はオンし続ける。
【0045】
時刻t2において、電圧VC2がスイッチング素子Q1のゲートスレッシュ電圧Q1thに達すると、スイッチング素子Q1は制御回路10のオンオフ出力信号によりオンオフ動作を開始する。
【0046】
このとき、電圧VC2はダイオードD4の閾値電圧VD4に達していないので、コンパレータA1の出力はHレベルとなり、フリップフロップFF1がセットされる。フリップフロップFF1の反転出力QbはLレベルとなる。このLレベルは、アンド回路AND1を介してスイッチング素子Q2のゲートに出力される。このため、スイッチング素子Q2のゲート信号は、制御回路10のオンオフ出力信号に係らずLレベルとなり、スイッチング素子Q2はオフになる。
【0047】
時刻t2〜t3の期間において、スイッチング素子Q1は、スイッチング素子Q2がオフ状態であるため、スイッチング素子Q1がオンしている期間だけダイオードD2を介してコンデンサC2が充電され、電圧VC2は上昇し続ける。
【0048】
時刻t3において、コンパレータA1の出力は、閾値電圧VD4を超えたことを検出してHレベルからLレベルに反転する。
【0049】
時刻t4以降では、フリップフロップFF1のセット端子SにはLレベルが入力されるので、フリップフロップFF1の反転出力Qbは、制御回路10のオン信号に同期してHレベルを出力する。従って、スイッチング素子Q1のオンオフ動作に同期してスイッチング素子Q2がオンオフ動作し、時刻t4〜t6において、ダイオードD2を介するコンデンサC2への充電が停止される。
【0050】
時刻t5において、コンデンサC2の電圧VC2が閾値電圧VD4より下がると、コンパレータA1の出力は、LレベルからHレベルに反転するので、時刻t6において、フリップフロップFF1の反転出力QbはLレベルとなる。このため、スイッチング素子Q2はオフ状態となり、ダイオードD2を介してコンデンサC2の充電が再開される。
【0051】
しかし、時刻t7において、コンデンサC2の電圧VC2は、閾値電圧VD4を超えるため、再びコンパレータA1の出力は、Lレベルを出力する。このため、コンデンサC2の充電は、時刻t6〜t8における1パルスで停止する。
【0052】
このように実施例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置によれば、コンデンサC2の電圧VC2が低下するとコンパレータA1がフリップフロップFF1をセットすることにより、スイッチング素子Q1の次のオン期間、スイッチング素子Q2がオフし続ける。即ち、スイッチング素子Q1がオンして、スイッチング素子Q2がオフ状態となるので、ダイオードD2を介してコンデンサC2に電流が流れ、電圧VC2が上昇する。この動作が間欠的に行われるので、コンデンサC2の電位が一定電圧以上に維持される。
【0053】
従って、実施例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置も、実施例1に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の効果と同様な効果が得られる。
【実施例3】
【0054】
実施例2では、スイッチング素子Q1の複数回のスイッチングに対して1回(1パルス分)だけコンデンサC2への充電が行われたが、実施例3では、さらに1パルスのうちの、ダイオードD2の電流IdD2が小さい前半の時間のみ用いてコンデンサC2への充電を行うことを特徴とする。
【0055】
図7は、本発明の実施例3に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図7に示す実施例3に係るスイッチング電源装置は、図3に示す実施例2に係るスイッチング電源装置に対して、以下の構成が異なる。
【0056】
コンパレータA1の出力端子にはダイオードD5のアノードが接続され、ダイオードのカソードには抵抗R3の一端とコンデンサC3の一端とアンド回路AND2の反転入力端子に接続される。抵抗R3の他端はダイオードD6のアノードに接続され、ダイオードD6のカソードはトランジスタQ3,Q4のゲートとノット回路NOT1の出力端子とに接続されている。
【0057】
コンデンサC3の他端は、制御回路10のグランド端子とダイオードD4のアノードとコンデンサC2の他端と抵抗R2の他端とトランジスタQ4のソースとに接続されている。アンド回路AND2は、ダイオードD5からの信号を反転した信号と制御回路10からの出力とのアンドをとり、アンド出力をトランジスタQ2のゲートに出力する。
【0058】
即ち、実施例3は、実施例2に対して、フリップフロップFF1の代わりに、時定数回路D5,D6,R3,C3を設け、アンド回路AND1の代わりに1入力がNOT入力のアンド回路AND2を設けている。
【0059】
その他の構成は、実施例2の構成と同一であるので、同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0060】
次にこのように構成された実施例3に係るドライブ回路の動作を説明する。図8に示す起動時の動作のタイミングチャートと図9に示す通常動作時のタイミングチャートを参照しながらドライブ回路の動作を説明する。
【0061】
図8に示す時刻t10〜t13の動作は、実施例2の時刻t0〜t3の動作と同様の動作になるので、その時刻における説明は省略する。
【0062】
ここで、時刻t13において、コンデンサC2の電圧VC2がダイオードD4の閾値電圧VD4を超えると、コンパレータA1の出力がHレベルからLレベルとなり、コンデンサC3に蓄積された電荷が抵抗R3とダイオードD6とを介してノット回路NOT1に放電され始める。
【0063】
時刻t13から、抵抗R3とコンデンサC3との時定数及びアンド回路AND2のNOT入力閾電圧による時定数時間Aが経過すると、アンド回路AND2の出力は、LレベルからHレベルとなる。
【0064】
時刻t14において、スイッチング素子Q2は、オフ状態からオンに切り替わる。スイッチング素子Q2がオンすることにより、ダイオードD2を介してコンデンサC2を充電していたスイッチング素子Q1のドレイン電流は、スイッチング素子Q2を介してグランドに流れる。
【0065】
時刻t14経過後、制御回路10からのオン信号が停止し、次のオン信号が入力されてもコンデンサC2の電圧VC2は、ダイオードD4の閾値電圧VD4を超えているので、コンパレータA1の出力は、Lレベルである。このため、コンデンサC3を充電しないため、アンド回路AND2は、制御回路10からのオンオフ信号に同期した信号をスイッチング素子Q2のゲートに出力する。従って、スイッチング素子Q1のオンオフ動作に同期して、スイッチング素子Q2がオンオフ動作を行う。このため、時刻t14〜t15において、ダイオードD2を介したコンデンサC2への充電が停止される。
【0066】
時刻t15において、コンデンサC2の電圧VC2がダイオードD4の閾値電圧VD4未満となると、コンパレータA1の出力は、Hレベルとなり、コンデンサC3が充電されるので、制御回路10からの次のオン信号に同期して、コンデンサC2への充電が開始される。
【0067】
コンデンサC2の電圧VC2は、瞬時に充電され、時刻t16において、再び電圧VC2がダイオードD4の閾値電圧VD4を超える。この時刻16から時定数時間A経過後の時刻t18において、充電が停止される。即ち、制御回路10からのオン信号に同期してコンデンサC2の充電が開始されるので、スイッチング素子Q1のドレイン電流0AからコンデンサC2に充電が開始される。
【0068】
実施例3においては、時定数時間Aを適切に設定することで、コンデンサC2の電圧VC2を抑制できるので、コンデンサC2の充電電圧が過電圧にならないように調整することが可能になる。
【0069】
このように、実施例3に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置によれば、コンデンサC2の電圧VC2が低下すると、コンパレータA1はHレベルを出力するので、コンデンサC3が充電される。スイッチング素子Q1が次のオン期間になると、コンパレータA1はLレベルを出力するので、コンデンサC3が抵抗R3を介して放電される。
【0070】
そして、コンデンサC3の電圧VC3が一定電圧以下になるまで、スイッチング素子Q1がオンして、スイッチング素子Q2がオフ状態になる。このため、ダイオードD2を介してコンデンサC2に電流が流れるので、コンデンサC2の両端電圧が上昇する。この動作が、毎回又は間欠的に実施されることで、コンデンサC2の両端電圧が一定電圧以上に維持される。
【0071】
従って、実施例3に係るスイッチング電源装置も、実施例1に係るスイッチング電源装置の効果と同様な効果が得られる。
【実施例4】
【0072】
図10は、本発明の実施例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図10において、ダイオードD2のカソードにはスイッチSWの一端が接続され、スイッチSWの他端は、コンデンサC2の一端とUVLO回路15の一端と制御回路10の一端とに接続されている。スイッチング素子Q1のゲートは、直流電源V1の負極、即ちグランドに接続されている。なお、スイッチング素子Q1のゲートは、所定の電位に接続しても良い。
【0073】
制御回路10は、ローサイドのスイッチング素子Q2をパルス信号によりオンオフさせる。また、制御回路10からのパルス信号とコンデンサC2からの電圧とに基づいてスイッチSWがオンオフするようになっている。
【0074】
UVLO回路15は、低電圧検出回路であり、例えば図1に示す抵抗R1,R2,R3,R4、トランジスタQ5、コンパレータA1、ノット回路NOT2、ツェナーダイオードD4で構成されている。UVLO回路15のコンパレータA1の出力は、フリップフロップFF1のリセット端子Rに接続され、フリップフロップFF1の反転出力Qbは、スイッチSWの制御端子に接続されている。制御回路10の出力端子は、フリップフロップFF1のセット端子Sとスイッチング素子Q2のゲートに接続されている。
【0075】
その他の構成は、図1に示す実施例1に係るドライブ回路の構成と同じであるので、同一部分には同一符号を付している。
【0076】
次にこのように構成された実施例4に係るドライブ回路の動作を説明する。まず、スイッチSWは通常(Lレベル信号)ではオン状態で、フリップフロップFF1からの反転出力Qbからの信号がHレベル信号でオフ状態になる。
【0077】
最初に、スイッチング素子Q1のゲートがグランドGNDに接続されているので、直流電源V1が投入されると、スイッチング素子Q1に電流が流れて、ダイオードD2、スイッチSWを介してコンデンサC2が充電される。
【0078】
コンデンサC2の充電電圧がUVLO回路15の基準電圧を超えると、UVLO回路15からフリップフロップFF1のリセット端子RにHレベル信号が出力される。このため、フリップフロップFF1の反転出力QbからはHレベルがスイッチSWに出力されて、スイッチSWがオフされる。
【0079】
ここで、コンデンサC2の充電電圧がUVLO回路15の基準電圧を超える前に制御回路10は動作を開始し、制御回路10からオンオフパルス信号がスイッチング素子Q2のゲートに出力される。
【0080】
しかし、スイッチング素子Q1のゲート電圧がスレッシュ電圧を超えるまでスイッチング素子Q1のオン状態は続き、スイッチング素子Q1のゲート電圧がスレッシュ電圧を超えた状態になると、スイッチング素子Q2のオンオフに同期してスイッチング素子Q1のオンオフを開始する。
【0081】
また、制御回路10からオンパルス信号が出力されている期間に、コンデンサC2の充電電圧がUVLO回路15の基準電圧を下回ると、UVLO回路15の出力信号はLレベルとなり、このLレベルがフリップフロップFF1のリセット端子Rに入力されるので、フリップフロップFF1の反転出力QbからスイッチSWの制御端子にLレベルが出力されて、スイッチSWはオンする。
【0082】
次に、制御回路10のオンパルス信号がオフパルスに転じると、スイッチング素子Q2がオフしてスイッチング素子Q2のドレイン電圧は、上昇してコンデンサC2の充電電圧より高くなると、スイッチング素子Q1からの電流がコンデンサC2に充電される。
【0083】
コンデンサC2の充電電圧がUVLO回路15の基準電圧を超えると、スイッチSWはオフするので、スイッチング素子Q1の電流は図示しないスイッチング素子Q2のドレイン・ソース間容量に流れ、スイッチング素子Q1のソース電圧は上昇するので、スイッチング素子Q1のゲート電圧は一気にスレッシュ電圧を超えてスイッチング素子Q1はオフする。
【0084】
このように実施例4に係るドライブ回路によっても、実施例1に係るドライブ回路の効果と同様な効果が得られる。
【0085】
図11は、本発明の実施例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の具体的な構成を示す回路図である。
【0086】
図11において、抵抗R1,R2,R3,R4、トランジスタQ5、コンパレータA1、ノット回路NOT2、ツェナーダイオードD4は、図10に示すUVLO回路15に対応する。
【0087】
PチャネルMOSFETからなるトランジスタQ6は、図10に示すスイッチSWに対応する。トランジスタQ6のゲートとダイオードD2のカソードとの間には、抵抗R5が接続され、トランジスタQ6のゲートにはダイオードD5のアノードが接続され、ダイオードD5のカソードはフリップフロップFF1の反転出力Qbに接続されている。
【0088】
図12は、図11に示されるスイッチング電源装置内のフリップフロップFF1の内部接続図である。図12に示すフリップフロップFF1は、セット優先回路になっている。
【0089】
図12において、電源Vccは抵抗R6の一端と抵抗R8の一端に接続され、抵抗R6の他端はセット端子Sとノア回路NOR2の一方の入力端子に接続される。グランドGNDは抵抗R7の一端と抵抗R9の一端に接続され、抵抗R7の他端はリセット端子Rとノア回路NOR1の一方の入力端子に接続される。
【0090】
抵抗R8の他端は出力端子Qとノア回路NOR1の出力端子とノア回路NOR2の他方の入力端子に接続され、抵抗R9の他端は出力端子Qbとノア回路NOR2の出力端子とノア回路NOR1の他方の入力端子に接続されている。
【0091】
次に図11に示す実施例4に係るドライブ回路の動作を説明する。まず、直流電源V1を投入した時には、ゲート抵抗R5とフリップフロップFF1の反転出力Qb〜グランドGND間の抵抗R9とによる分圧電圧がトランジスタQ6のゲートに印加されて、トランジスタQ6がオン状態になる。
【0092】
電源起動時、スイッチング素子Q1はオンしているので、一次巻線P1、スイッチング素子Q1、ダイオードD2を通してトランジスタQ6にチャージ電流が流れる。
【0093】
トランジスタQ6がオンした後にコンデンサC2に電流が流れ始める。その後、コンデンサC2の両端電圧Vc2が大きくなり、制御回路10が動作する。このとき、制御回路10の動作開始電圧は、スイッチング素子Q2がオンオフ動作できる電圧に設定する。
【0094】
また、コンデンサC2の両端電圧Vc2が基準電圧を超えた時には、UVLO回路15からフリップフロップFF1のリセット端子Rにリセット信号を出力し、反転出力QbをHレベルにする。これにより、トランジスタQ6をオフさせて、コンデンサC2の過電圧を保護することができる。
【0095】
通常動作時は、スイッチング素子Q2のターンオフのタイミングで、コンデンサC2の両端電圧Vc2をフリップフロップFF1により検出して、検出された電圧が低い時にトランジスタQ6をオンさせる。
【0096】
スイッチング素子Q1の電流IdQ1がダイオードD2を通してコンデンサC2に流れ、コンデンサC2を充電する。トランジスタQ6のゲートをフリップフロップFF1でオンオフ制御して、スイッチング素子Q1からのチャージ電流が常時流れることを防ぐことができる。
【0097】
このように、一連動作を通じてトランスT1に補助巻線を設けることなく、制御部の電源を確保することができる。また、電源起動時に、制御回路10への電源供給を行う起動回路が不要になる。
【0098】
図13に本発明の実施例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の起動時の各部の動作を示すタイミングチャートを示した。また、図14に本発明の実施例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の通常時の各部の動作を示すタイミングチャートを示した。
【0099】
次に、上述した各実施例の変形例に係るドライブ回路を説明する。
【0100】
(実施例4の変形例1)
図15は、本発明の実施例4の変形例1に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図15に示す実施例4の変形例1に係るドライブ回路は、図11に示すドライブ回路に対して、制御回路10の両端間に定電圧電源からなる電源REG17を設け、電源REG17からスイッチング素子Q1のゲートにゲート電圧を供給する。
【0101】
最適な実施例では、制御回路10の電源が、|Vth(Q1)|- VF(D2) になるが、電源REG17を設けたことにより、制御回路10の電源電圧を電源REG17の電圧分だけ上昇することができる。また、スイッチング素子Q1のスレッシュ電圧だけでは、制御回路10を動作できない時に有効である。
【0102】
なお、ダイオードD2とトランジスタQ6と抵抗R5とをREGブロックに置き換えるように構成しても良い。また、コンパレータA1をUVLO回路15に置き換えるように構成しても良い。
【0103】
(実施例1の変形例1)
図16は本発明の実施例1の変形例1に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。図16に示す実施例1の変形例1に係るドライブ回路は、ダイオードD2を用いる代わりに、REG回路18を用いたことを特徴とする。
【0104】
REG回路18は、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との接続点から制御回路10に電源を供給するためのコンデンサC2に電圧を供給するための定電圧電源からなる。
【0105】
定電圧電源からなるREG回路15を用いることにより、制御回路10に過電圧が印加されることを抑制することができる。
【0106】
(実施例4の変形例2)
図17は本発明の実施例4の変形例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。実施例4の変形例2に係るドライブ回路は、図11に示す実施例4に係るドライブ回路に対して、制御部電源供給用のノーマリオン型のスイッチング素子Q1Aとノーマリオン型のスイッチング用のスイッチング素子Q1Bとを設け、スイッチング素子Q1AのソースをダイオードD2のアノードに接続し、スイッチング素子Q1Bのソースをスイッチング素子Q2のドレインに接続している。スイッチング素子Q1Aのゲートとスイッチング素子Q1Bのゲートとは、グランドGNDに接続されている。
【0107】
また、点線で囲んだ部分Aをワンチップで構成できるため、小型化を図ることができる。ワンチップ構成とは、例えば、スイッチング素子Q1にGaN−FETチップを使用していた時に、GaN−FETチップ上に枠線内の素子を構成して集積回路化することである。
【0108】
次に実施例4の変形例2に係るドライブ回路の動作を説明する。なお、スイッチング素子Q2のドレイン・ソース間容量CQ2は、コンデンサC2の容量より非常に小さい値である。
【0109】
スイッチングオフ時のスイッチング素子Q1Bからの電流により、ドレイン・ソース間容量CQ2は、瞬時に充電され、スイッチング素子Q1Bのソース電圧が上昇する。これにより、スイッチング素子Q1BのゲートはグランドGNDに接続されているので、スイッチング素子Q1Bのターンオフのスイッチングを速めることができる。
【0110】
また、スイッチング素子Q1Bのスイッチングオフに対して、スイッチング素子Q1Aのソースは、ダイオードD2、トランジスタQ6を介してコンデンサC2に接続されているため、スイッチング素子Q1Aのスレッシュ電圧に達するまで遅延する。
【0111】
このため、スイッチングオフ時の電流は、スイッチング素子Q1AからコンデンサC2に流れ、スイッチング素子Q1Bのスイッチング損失をスイッチング素子Q1Aで一部分担することになり、スイッチング損失を熱分散することができる。
【0112】
また、トランスT1のリーケージインダクタンスによるサージエネルギーをコンデンサC2の充電電流に使用することで、スイッチング素子Q1A,Q1Bのドレイン電圧に加わるサージ電圧を減少することができる。
【0113】
(実施例1の変形例2)
図18は、本発明の実施例1の変形例2に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。実施例1の変形例2に係るドライブ回路は、図1に示す実施例1に係るドライブ回路に対して、制御部電源供給用のNチャネルのMOSFETからなるスイッチング素子Q1AとNチャネルのMOSFETからなるスイッチング用のスイッチング素子Q1Bとを設けたことを特徴とする。
【0114】
スイッチング素子Q1Aのドレインとスイッチング素子Q1Bのドレインとは接続され、スイッチング素子Q1Aのゲートとスイッチング素子Q1Bのゲートとは接続される。スイッチング素子Q1AのソースはダイオードD2のアノードに接続され、ダイオードD2のカソードは、コンデンサC2の一端に接続される。スイッチング素子Q1Bのソースはスイッチング素子Q2Bのドレインに接続されている。
【0115】
制御回路10は、2つのハイサイドのスイッチング素子Q1A,Q1Bとローサイドのスイッチング素子Q2Bとをパルス信号によりオンオフさせる。
【0116】
このような実施例1の変形例2に係るドライブ回路によっても、実施例1に係るドライブ回路の効果と、実施例4の変形例2に係るドライブ回路の効果とが得られる。
【0117】
(実施例1の変形例3)
図19は、本発明の実施例1の変形例3に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。実施例1の変形例3に係るドライブ回路は、図1に示す実施例1に係るドライブ回路に対して、さらに、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との直列回路に並列にスイッチング素子Q1A(第2のノーマリオン型のハイサイドスイッチ)とスイッチング素子Q2A(第2のノーマリオフ型のローサイドスイッチ)との直列回路を接続したことを特徴とする。
【0118】
ハイサイドのスイッチング素子Q1,Q1Aの各々のゲート間を接続し、ローサイドのスイッチング素子Q2,Q2Aの各々のゲート間を接続している。
【0119】
この構成によれば、スイッチング素子Q1Aとスイッチング素子Q2Aとを追加することで、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とに流れる電流量に加えて増加することができる。
【0120】
また、スイッチング素子Q1の損失を分散することで、発熱を分散させ信頼性を向上することができる。
【0121】
(実施例1の変形例4)
図20は、本発明の実施例1の変形例4に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。実施例1の変形例4に係るドライブ回路は、図1に示す実施例1に係るドライブ回路に対して、さらに、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2との直列回路に並列に、ノーマリオフのスイッチング素子Q7を追加したことを特徴とする。
【0122】
ノーマリオフ型のスイッチング素子Q7のゲートは、スイッチング素子Q2のゲートに接続されている。
【0123】
これによれば、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とのオン抵抗による損失を低減することができる。
【0124】
また、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とスイッチング素子Q7を1チップ化することもできる。あるいは、スイッチング素子Q7を外付けFETとして接続することにより、トランスT1に流れる電流を大きくすることができ、大容量出力に対応することができる。
【0125】
例えば、スイッチング素子Q1〜Q4及び制御回路10、UVLO回路を含む1パッケージ集積回路を作った場合に、スイッチング素子Q1,Q2で制限させる電力を、スイッチング素子Q7を接続することで自在にパワーアップを図ることができる。また、スイッチング素子Q1,Q2,Q7の発熱を分散することもでき、信頼性を向上することができる。
【0126】
(実施例1の変形例5)
図21は、本発明の実施例1の変形例5に係るドライブ回路を備えるスイッチング電源装置の構成を示す回路図である。実施例1の変形例5に係るドライブ回路は、図1に示す実施例1に係るドライブ回路に対して、さらに、ハイサイドと同じ回路構成をローサイドにも構成したもので、ハイサイド用のスイッチング素子Q2Hのソースにローサイド用のスイッチング素子Q2Lのドレインが直列に接続され、スイッチング素子Q2Lのソースは直流電源V1の負極に接続されている。このようなブリッジ構成のドライブ回路にも本発明は適用可能である。
【0127】
なお、本発明は、上述した実施例に係るドライブ回路に限定されるものではない。例えば、ダイオードD2に代えて、nチャネルのMOSFETを用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、AC−DCコンバータやDC−DCコンバータなどに適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
10 制御回路
12 電圧検出回路
15 UVLO回路
17 REG
18 REG回路
Q1,Q2,Q1A,Q1B,Q2B,Q7 スイッチング素子
Q3〜Q6 トランジスタ
T1 トランス
P1 一次巻線
S1 二次巻線
V1 直流電源
C1,C2,C3 コンデンサ
R1〜R5 抵抗
D1,D2,D5,D6 ダイオード
D3,D4 ツェナーダイオード
A1 コンパレータ
NOT1,NOT2 ノット回路
AND1,AND2 アンド回路
FF1 フリップフロップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノーマリオン型のハイサイドスイッチとノーマリオフ型のローサイドスイッチとの直列回路が直流電源に並列に接続され、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ回路であって、
前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをパルス信号によりオンオフさせる制御回路と、
前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとの接続点に一端が接続された整流手段と、
前記整流手段の他端と前記直流電源の一端とに接続され且つ前記制御回路に電源を供給するコンデンサと、
前記制御回路からのパルス信号と前記コンデンサからの電圧とに基づいて前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ部と、
を備えることを特徴とするドライブ回路。
【請求項2】
前記ドライブ部は、
前記制御回路からのパルス信号により前記ハイサイドスイッチをオンオフさせるハイサイドスイッチ制御部と、
前記コンデンサの電圧と閾値電圧とを比較するコンパレータと、
前記コンパレータの出力と前記制御回路からのパルス信号とに基づいて前記ローサイドスイッチをオンオフさせるローサイドスイッチ制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のドライブ回路。
【請求項3】
前記コンパレータは、ヒステリシスコンパレータであり、前記コンデンサの電圧が前記上限スレッシュ以上となると出力信号を反転し、前記コンデンサの電圧が前記下限スレッシュ以下となると出力信号を前記上限スレッシュ以上となる出力信号から反転させ、
前記ローサイドスイッチは、前記コンパレータの出力信号によりオンし、前記制御回路からのパルス信号によりオフすることを特徴とする請求項2記載のドライブ回路。
【請求項4】
前記ドライブ部は、前記ハイサイドスイッチをオンドライブし、且つ前記ローサイドをオフドライブすることで前記コンデンサを充電することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のドライブ回路。
【請求項5】
前記ドライブ部は、前記コンデンサの充電電圧が所定の電圧以下になると、前記ハイサイドスイッチをオンドライブし、且つ前記ローサイドをオフドライブすることを特徴とする請求項4記載のドライブ回路。
【請求項6】
前記ノーマリオン型のハイサイドスイッチと前記ノーマリオフ型のローサイドスイッチとの直列回路に並列に接続された第2のノーマリオン型のハイサイドスイッチと第2のノーマリオフ型のローサイドスイッチとの直列回路を備え、
各ハイサイドスイッチの制御端子間を接続し、各ローサイドスイッチの制御端子間を接続したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のドライブ回路。
【請求項7】
前記ノーマリオン型のハイサイドスイッチとノーマリオフ型のローサイドスイッチとの直列回路に並列に接続されたノーマリオフ型のスイッチを備え、
前記ノーマリオフ型のスイッチの制御端子は、前記ローサイドスイッチの制御端子に接続されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のドライブ回路。
【請求項8】
ノーマリオン型のハイサイドスイッチとノーマリオフ型のローサイドスイッチとの直列回路が直流電源に並列に接続され、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ回路であって、
前記ローサイドスイッチをパルス信号によりオンオフさせる制御回路と、
前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとの接続点に一端が接続されたスイッチ手段と、
前記スイッチ手段の他端と前記直流電源の一端とに接続され且つ前記制御回路に電源を供給するコンデンサと、
前記制御回路からのパルス信号と前記コンデンサからの電圧とに基づいて前記ローサイドスイッチをオンオフドライブするドライブ部と、
前記制御回路からのパルス信号と前記コンデンサからの電圧とに基づいて前記スイッチ手段をオンオフ制御するスイッチ制御部とを備え、
前記ハイサイドスイッチの制御電極は、グランド又は所定の電位に接続されることを特徴とするドライブ回路。
【請求項9】
ノーマリオン型のハイサイドスイッチとノーマリオフ型のローサイドスイッチとの直列回路が直流電源に並列に接続され、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ回路であって、
前記ローサイドスイッチをパルス信号によりオンオフさせる制御回路と、
前記ノーマリオン型のハイサイドスイッチの高圧側主電極と制御電極とに接続された第2のノーマリオン型のハイサイドスイッチと、
前記第2のノーマリオン型のハイサイドスイッチの低電圧側主電極に一端が接続されたスイッチ手段と、
前記スイッチ手段の他端と前記直流電源の一端とに接続され且つ前記制御回路に電源を供給するコンデンサと、
前記制御回路からのパルス信号と前記コンデンサからの電圧とに基づいて前記ローサイドスイッチをオンオフドライブするドライブ部と、
前記制御回路からのパルス信号と前記コンデンサからの電圧とに基づいて前記スイッチ手段をオンオフ制御するスイッチ制御部とを備え、
前記ハイサイドスイッチの制御電極は、グランド又は所定の電位に接続されることを特徴とするドライブ回路。
【請求項10】
ノーマリオン型のハイサイドスイッチとノーマリオフ型のローサイドスイッチとの直列回路が直流電源に並列に接続され、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ回路であって、
前記ノーマリオン型のハイサイドスイッチの高圧側主電極と制御電極とに接続された第2のノーマリオン型のハイサイドスイッチと、
前記2つのハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをパルス信号によりオンオフさせる制御回路と、
前記第2のノーマリオン型のハイサイドスイッチの低圧側主電極に一端が接続された整流手段と、
前記整流手段の他端と前記直流電源の一端とに接続され且つ前記制御回路に電源を供給するコンデンサと、
前記制御回路からのパルス信号と前記コンデンサからの電圧とに基づいて前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとをオンオフドライブするドライブ部と、
を備えることを特徴とするドライブ回路。
【請求項11】
前記整流手段に代えて、前記ハイサイドスイッチと前記ローサイドスイッチとの接続点から前記制御回路に電源を供給するコンデンサに電圧を供給する定電圧電源を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載のドライブ回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2013−78111(P2013−78111A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167941(P2012−167941)
【出願日】平成24年7月30日(2012.7.30)
【出願人】(000106276)サンケン電気株式会社 (982)
【Fターム(参考)】