説明

ナビゲーションシステム、経路探索サーバおよび経路案内方法ならびに端末装置

【課題】経路案内に従って移動中に現在位置の周辺情報を経路探索サーバから取得する際、通信条件の良好な駅停車時間を利用してダウンロードする。
【解決手段】現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段23、案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段26、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段281、停車時間を算出する停車時間算出手段282、通信時間判定手段28、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段22を備え、停車判定手段26が、交通手段の停車を判定した場合には、停車予定時間算出手段281が停車駅における停車予定時間を算出し、停車時間算出手段282が停車時間を算出し、通信時間判定手段28は、停車予定時間と停車時間とを比較し、停車予定時間より停車時間が短い場合には通信手段22による通信を継続し、停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、通信手段22による通信を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、徒歩や自動車あるいは公共交通機関を利用して、任意の出発地から目的地に至る候補経路を探索して案内するナビゲーションシステムに関するものであり、特に、交通機関を用いて任意の出発地から目的地に至る候補経路を探索し、経路案内に従って移動中に現在位置の周辺情報を経路探索サーバから取得する際、通信条件の良好な駅停車時間を利用してダウンロードするようにしたナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
交通機関を利用する経路を探索する経路探索システムは、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて、各交通機関の運行時刻データをデータベース化した運行時刻データベースと、これに基づいて交通ネットワークをデータベース化したデータを備えている。そして、これらのデータベースを参照して、乗り継ぎ(乗換え)を含めて出発地と目的地を結ぶ利用可能な各交通手段(個々の電車や路線バス)を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(出発地駅、目的地駅、路線、列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示するように構成される。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0007】
また、交通機関に関する検索、案内を行うシステムとして、携帯電話などの端末装置から交通機関の路線情報や時刻表情報を案内する情報配信サーバに接続して所望の出発駅、出発時刻、目的駅などを指定して、乗車可能な路線や列車、電車などの交通手段の情報配信を受け、端末装置に表示することができる案内システムも提供されている。一般に端末装置からこのような利用を行う場合には、ダウンロードしたい情報の存在する場所を特定するためのURL(Uniform Resource Locator)やドメイン名などのアドレス情報を端末装置に入力して当該アドレスにより特定される情報配信サーバ(情報サイト)にアクセスして所望の情報をダウンロードする構成がとられている。
【0008】
交通機関を利用した経路探索、経路案内をするナビゲーションシステムなどにおける経路探索用のデータは、車載用ナビゲーションシステムや歩行者用ナビゲーションシステムにおける道路ネットワークのデータと同様に交通路線の各駅をノードとし、駅間を双方向リンクとしてネットワーク化したデータの他に、各交通路線上を運行される交通手段ごとに各リンクの運行時刻、所要時間がリンクコストのデータとして加えられる。更に、運賃データが加えられ、探索した案内経路の運賃が合わせて案内されるシステムも存在する。
【0009】
サーバが探索した案内経路にそって移動中に、交通情報や地図データあるいは現在位置周辺のPOI(Point of Interest)などの各種情報をサーバからダウンロードして端末装置に取得することも行われる。一般的には端末装置が移動している状態に比べ端末装置が移動を停止している状態にあるほうが通信条件は良好であり、端末装置が停止している間にサーバから種々の情報のダウンロードが行われる。
【0010】
下記の特許文献2(特開2006−304208号公報)には、移動体の移動環境に基づいて移動体停止時間を予測し、予測された停止時間が所定時間以上である場合に外部からデータを受信する移動体通信システムの発明が開示されている。この移動体通信システムは、移動体の移動状態を検出する移動状態検出手段と、走行車線などの移動体の移動環境を検出する移動環境検出手段と、検出した前記移動状態と前記移動環境に基づいて移動体の停止時間を予測する停止状態予測手段と、予測された前記停止時間が所定時間以上であるとき外部からのデータを受信する受信手段を備えて構成されたものである。
【0011】
また、下記の特許文献3(特開2008−2832号公報)には、車両が停止状態にある時の操作に従って、無線通信端末とデータサービスセンタとの通信を接続し、通信が切断状態では、車両速度が所定速度未満になったら通信を接続するようにした車載ナビゲーション装置の発明が開示されている。
【0012】
この車載用ナビゲーション装置は、車速が所定速度未満であり且つ無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線が切断されていると、無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続するように構成したもので、所定速度として車両が停止する可能性が高い速度(例えば時速数キロメートル)を設定しておくことにより、車両が停止する前に無線通信端末がサービスセンターとの間での通信回線の接続処理を開始し、車両が停止したときには無線通信端末とサービスセンターとの間で通信回線を接続完了するようにしたものである。
【0013】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2006−304208号公報(図2)
【特許文献3】特開2008−2832号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
リアルタイムに経路案内する通信型ナビゲーションでは、移動中の航行体(端末装置)の現在地に関わる情報を逐次サーバからダウンロードし、その時点での現在地に即した情報をユーザに提示する必要がある。ところが、航行体(端末装置)が地下鉄や電車に乗車した利用者により操作されている場合には、駅と駅との間は通信不可能な場合があり、逐次サーバから必要な情報を適切にダウンロードできないことがある。
【0015】
上記特許文献2や特許文献3のように、例えば、航行体(端末装置)が自動車であった場合には、自車の停止を検出するとともに、停止時間を予測して情報をサーバからダウンロードする技術がある。しかしながら、この技術を適用しても予測した停止時間通りに自車が停車せずに走り出してしまうということが起きるため、端末装置の停車時に確実に必要な情報をダウンロードできないという問題点が生じてしまう。
【0016】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、交通機関を用いて任意の出発地から目的地に至る候補経路を探索し、経路案内に従って移動中に現在位置の周辺情報を経路探索サーバから取得する際、移動手段の運行時刻表データに基づいて得られる停車予定時間と、移動手段の駅への停車を検出してから運行時刻表の発車時間までの停車時間とに基づいてサーバからの情報のダウンロードをコントロールするようになせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0017】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、交通機関を用いて任意の出発地から目的地に至る候補経路を探索し、経路案内に従って移動中に現在位置の周辺情報を経路探索サーバから取得する際、通信条件の良好な駅停車時間を利用してダウンロードするようにしたナビゲーションシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
指定された出発地と目的地を含む経路探索要求に基づいて、経路探索用のネットワークデータを参照して交通機関を利用した区間を含む案内経路を探索する経路探索手段を有する経路探索サーバと、前記案内経路を表示する表示手段を有する端末装置と、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記端末装置は、現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段と、操作入力手段と、前記案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段と、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段と、停車時間を算出する停車時間算出手段と、通信時間判定手段と、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段と、を備え、
前記停車判定手段が、前記交通手段の停車を判定した場合には、前記停車予定時間算出手段が停車駅における停車予定時間を算出するとともに前記停車時間算出手段が前記交通手段の停車を判定してからの停車時間を算出し、前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間と停車時間とを比較し、前記停車予定時間より停車時間が短い場合には前記通信手段による通信を継続し、前記停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、前記通信手段による通信を終了することを特徴とする。
【0019】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記停車判定手段が、現在位置の位置情報に基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定することを特徴とする。
【0020】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記停車判定手段が、現在時刻と経路案内情報に含まれる時刻表データに基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定することを特徴とする。
【0021】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記停車時間算出手段はタイマーを備え、乗車している交通手段の停車を判定した時刻からタイマーによって取得する時間に基づいて停車時間を算出することを特徴とする。
【0022】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間、停車時間によらず、現在時刻が停車中の前記交通手段の出発時刻になると前記通信手段による通信を終了することを特徴とする。
【0023】
また、本願の請求項6にかかる発明は、
指定された出発地と目的地を含む経路探索要求に基づいて、経路探索用のネットワークデータを参照して交通機関を利用した区間を含む案内経路を探索する経路探索手段を有する経路探索サーバとネットワークを介して接続され、前記案内経路を表示する表示手段を有する端末装置において、
前記端末装置は、現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段と、操作入力手段と、前記案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段と、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段と、停車時間を算出する停車時間算出手段と、通信時間判定手段と、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段と、を備え、
前記停車判定手段が、前記交通手段の停車を判定した場合には、前記停車予定時間算出手段が停車駅における停車予定時間を算出するとともに前記停車時間算出手段が前記交通手段の停車を判定してからの停車時間を算出し、前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間と停車時間とを比較し、前記停車予定時間より停車時間が短い場合には前記通信手段による通信を継続し、前記停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、前記通信手段による通信を終了することを特徴とする。
【0024】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる端末装置において、前記停車判定手段が、現在位置の位置情報に基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定することを特徴とする。
【0025】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項6にかかる端末装置において、前記停車判定手段が、現在時刻と経路案内情報に含まれる時刻表データに基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定することを特徴とする。
【0026】
本願の請求項9にかかる発明は、請求項6にかかる端末装置において、前記停車時間算出手段はタイマーを備え、乗車している交通手段の停車を判定した時刻からタイマーによって取得する時間に基づいて停車時間を算出することを特徴とする。
【0027】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項6にかかる端末装置において、前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間、停車時間によらず、現在時刻が停車中の前記交通手段の出発時刻になると前記通信手段による通信を終了することを特徴とする。
【0028】
また、本願の請求項11にかかる発明は、
案内経路を表示する表示手段を有する端末装置であって、該端末装置は、現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段と、操作入力手段と、前記案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段と、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段と、停車時間を算出する停車時間算出手段と、通信時間判定手段と、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段と、を備え、
前記停車判定手段が、前記交通手段の停車を判定した場合には、前記停車予定時間算出手段が停車駅における停車予定時間を算出するとともに前記停車時間算出手段が前記交通手段の停車を判定してからの停車時間を算出し、前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間と停車時間とを比較し、前記停車予定時間より停車時間が短い場合には前記通信手段による通信を継続し、前記停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、前記通信手段による通信を終了する端末装置にネットワークを介して接続される経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、指定された出発地と目的地を含む経路探索要求に基づいて、経路探索用のネットワークデータを参照して交通機関を利用した区間を含む案内経路を探索する経路探索手段を備え、前記経路探索手段が探索した案内経路のデータを前記端末装置に送信し、前記端末装置が要求する前記現在位置に関連するデータを前記端末装置に送信することを特徴とする。
【0029】
また、本願の請求項12にかかる発明は、
指定された出発地と目的地を含む経路探索要求に基づいて、経路探索用のネットワークデータを参照して交通機関を利用した区間を含む案内経路を探索する経路探索手段を有する経路探索サーバとネットワークを介して接続され、前記案内経路を表示する表示手段を有する端末装置にける経路案内方法において、
前記端末装置は、現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段と、操作入力手段と、前記案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段と、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段と、停車時間を算出する停車時間算出手段と、通信時間判定手段と、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段と、を備え、
前記停車判定手段が、前記交通手段の停車を判定するステップと、前記停車予定時間算出手段が停車駅における停車予定時間を算出するステップと、前記停車時間算出手段が前記交通手段の停車を判定してからの停車時間を算出するステップと、前記通信時間判定手段が前記停車予定時間と停車時間とを比較し、前記停車予定時間より停車時間が短い場合には前記通信手段による通信を継続するステップと、前記停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、前記通信手段による通信を終了するステップと、を有することを特徴とする。
【0030】
本願の請求項13にかかる発明は、請求項12にかかる経路案内方法において、前記停車判定手段が前記交通手段の停車を判定するステップは、現在位置の位置情報に基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定する処理を含むことを特徴とする。
【0031】
本願の請求項14にかかる発明は、請求項12にかかる経路案内方法において、前記停車判定手段が前記交通手段の停車を判定するステップは、現在時刻と経路案内情報に含まれる時刻表データに基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定する処理を含むことを特徴とする。
【0032】
本願の請求項15にかかる発明は、請求項12にかかる経路案内方法において、前記停車時間算出手段はタイマーを備え、前記停車時間を算出するステップは、乗車している交通手段の停車を判定した時刻からタイマーによって取得する時間に基づいて停車時間を算出する処理を含むことを特徴とする。
【0033】
本願の請求項16にかかる発明は、請求項12にかかる経路案内方法において、前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間、停車時間によらず、現在時刻が停車中の前記交通手段の出発時刻になると前記通信手段による通信を終了するステップを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
請求項1にかかる発明においては、端末装置は、現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段と、操作入力手段と、案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段と、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段と、停車時間を算出する停車時間算出手段と、通信時間判定手段と、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段と、を備え、停車判定手段が、交通手段の停車を判定した場合には、停車予定時間算出手段が停車駅における停車予定時間を算出するとともに前記停車時間算出手段が前記交通手段の停車を判定してからの停車時間を算出し、通信時間判定手段は、停車予定時間と停車時間とを比較し、前記停車予定時間より停車時間が短い場合には通信手段による通信を継続し、前記停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、通信手段による通信を終了する。
【0035】
このような構成によれば、端末装置の停車時に確実に必要な情報をダウンロードすることができるようになる。また、突然通信が不可能になりデータのダウンロードが不十分になることもない。また、停車予定時間内で通信を終了するので、予期せぬ通信状況の悪化によってデータ受信が中断されることがない。
【0036】
また、請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、停車判定手段が、現在位置の位置情報に基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定するものであるから、容易に端末装置の停車を判別することができるようになる。
【0037】
また、請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、停車判定手段が、現在時刻と経路案内情報に含まれる時刻表データに基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定するものであるから、容易に端末装置の停車を判別することができるようになる。
【0038】
また、請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、停車時間算出手段はタイマーを備え、乗車している交通手段の停車を判定した時刻からタイマーによって取得する時間に基づいて停車時間を算出するものであるから、容易に端末装置の停車時間を算出することができるようになる。
【0039】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項1にかかるナビゲーションシステムにおいて、通信時間判定手段は、前記停車予定時間、停車時間によらず、現在時刻が停車中の前記交通手段の出発時刻になると前記通信手段による通信を終了するものであるから、通信中に交通手段(乗車している電車)が発車して、突然通信が切断されることがなくなり、確実に必要な情報をダウンロードすることができるようになる。
【0040】
また、請求項6ないし請求項10にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項5にかかるナビゲーションシステムを構成する端末装置を提供することができ、請求項11にかかる発明においては請求項1ないし請求項5にかかるナビゲーションシステムを構成する経路探索サーバを提供することができるようになる。請求項12ないし請求項16にかかる発明においては、それぞれ請求項6ないし請求項10にかかる端末装置を実現するための経路案内方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのナビゲーションシステムを例示するものであって、本発明をこのナビゲーションシステムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のナビゲーションシステムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0042】
図1は、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すシステム構成図である。本発明の実施例にかかるナビゲーションシステム10は、図1に示すように、携帯電話やPDA、ミュージックプレーヤーなどの携帯型端末を用いた端末装置20と経路探索サーバ30とがインターネットなどのネットワーク12を介して接続される構成になっている。経路探索サーバ30は、経路探索のための道路ネットワークのデータを蓄積したデータベース(DB1)、時刻表データに基づく交通ネットワークのデータを交通ネットワークデータとして蓄積したデータベース(DB2)、交通機関の各電車等の運行ダイヤに基づく時刻表や運賃を蓄積した時刻表・運賃データのデータベース(DB3)、表示用の地図データなどを蓄積したデータベース(DB4)を備えている。時刻表・運賃データは、ネットワークを介して情報配信サーバ50から取得することができる。
【0043】
本発明にかかるナビゲーションシステム10は、上記の構成に限られるものではなく、経路探索サーバ30はナビゲーションサービス機能とともにPOI所在場所の地図を配信する地図配信サーバの機能を有していてもよい。また、端末装置20も携帯電話を用いることができ、またPDAや音楽プレイヤーや携帯ゲーム機などの携帯機器であってもよい。
【0044】
図2は、図1に示すナビゲーションシステム10の詳細な構成を示すブロック図である。本発明の実施例1にかかるナビゲーションシステム10は、図2のブロック図に示すようにインターネットなどのネットワーク12を介して通信する端末装置20と、経路探索サーバ30と、情報配信サーバ50を備えて構成されている。
【0045】
端末装置20は、経路探索サーバ30に出発地と目的地などの経路探索条件を設定して経路探索要求を送信し、経路探索サーバ30は、経路探索条件に従って、道路ネットワークデータ36、交通ネットワークデータ37を参照して最適経路を探索し、その最適経路を案内経路データに編集して端末装置20に配信する。
【0046】
端末装置20は、制御手段21、通信手段22、位置検出手段23、経路探索サーバ30から受信した案内経路のデータを記憶すると経路記憶手段24、表示手段25、停車判定手段26、経路探索サーバから受信した地図データなどのダウンロードデータを一時記憶する一時記憶手段27、通信時間判定手段28、操作入力手段29などを備えて構成されている。通信時間判定手段28は、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段281と停車判定手段26が停車を判定してから現在時刻までの停車時間を算出する停車時間算出手段282から構成され、端末装置20と経路探索サーバ30との間の通信の継続、終了を判定する。
【0047】
制御手段21は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段22はネットワーク12を介して経路探索サーバ30などと通信データを送受信するための通信インターフェースである。位置検出手段23は、GPS受信手段などから構成され、GPS衛星信号を受信して現在位置および現在時刻を算出する。
【0048】
また、位置検出手段23は、地下鉄などGPS衛星信号を受信できない交通機関に乗車中は、停車駅における携帯電話基地局との通信あるいは加速度センサなどによる発車、停車検出などにより現在位置を特定するように構成してもよい。
【0049】
図3は、端末装置20の表示手段25に表示される経路探索条件設定のメニュー画面を示す図である。図3に示す経路探索条件設定画面310には、出発地入力欄302、目的地入力303、時刻条件入力欄304、候補経路ソート条件を設定するソート条件入力欄305、探索開始ボタン308が設けられている。
【0050】
出発地と目的地の設定は、出発地入力欄302、目的地入力欄303に住所や電話番号あるいは駅名称、ビル名称などの地点名称、緯度・経度などを入力して設定する。すなわち、この入力欄は、原則としてフリーワード入力が可能であるが、住所、電話番号、POI(Point of Interest)の名称などで設定することできる。
【0051】
また、プルダウンボタンを操作して、これまでに端末装置20に登録した経路探索履歴や登録地点を呼び出して設定することもできる。時刻条件入力欄304には出発日時や目的地到着日時などの時刻条件を入力する。時刻条件の設定が必要ない場合には設定を省略することができる。図3は、出発地として「##ビル」が、目的地として「**ホテル」が設定され、時刻条件として目的地到着時刻「15:35」が設定された例を示している。
必要な条件設定を終え、探索開始ボタン308を操作すると、経路探索要求が端末装置20から経路探索サーバ30に送信される。
【0052】
複数の候補経路の探索を要求する場合には、ソート条件入力欄305に、探索された複数の候補経路をソートする条件、例えば、乗換え回数の少ない順、所要時間が短い順、運賃の安い順などの何れかを入力する。プルダウンメニューから前述のソート条件何れかを選択してもよい。候補経路のソート条件が設定されない場合には、最適経路(所要時間の最も短い経路)の探索要求になる。図3ではソート条件として乗換え回数の少ない順が設定されている。
【0053】
経路探索サーバ30は、端末装置20から、出発地や目的地、目的地への到着時刻などの経路探索条件を指定して経路探索要求があると、経路探索手段33が道路ネットワークデータ36、交通ネットワークデータ37を参照して現在位置から目的地までの最適経路または複数の候補を探索する。経路探索手段33が探索した最適経路または候補経路の情報は案内データ編集手段32で端末装置20に配信するための案内情報データに編集され地図データとともに通信手段34を介して端末装置20に配信される。
【0054】
端末装置20は案内情報を経路探索サーバ30から受信すると、候補経路または最適経路の情報を表示手段25に表示する。複数の候補経路を受信した場合、端末装置20の利用者は、候補経路を比較して所望の候補経路を案内経路として選択して経路探索サーバから該当する候補経路のデータを受信し、経路案内を行う。最適経路または案内経路は、地図画像とともに表示手段25に表示され、経路案内が行われる。案内経路の情報は一時記憶手段27に記憶され、必要に応じて読み出され、表示手段25に地図画像とともに案内経路の画像として表示される。
【0055】
案内経路に交通機関を利用した区間が含まれる場合、案内経路の情報には、出発地から最寄り駅までの徒歩経路、目的地の最寄り駅から目的地までの徒歩経路と、出発地の最寄り駅から目的地の最寄り駅までの交通機関の路線、乗車すべき電車やバスなどの交通手段の時刻、乗換え駅が含まれる場合には乗換え駅への到着時刻、乗換え駅で乗換えるべき電車やバスなどの交通手段の詳細な情報が含まれる。
【0056】
経路案内において、端末装置20は、予め経路探索サーバ30から受信した経路案内情報に従って、端末装置20の利用者が乗車する電車の移動に合わせた経路の周辺地図や移動状況を表示する。表示する情報は、経路や周辺の地図だけでなく、現在地または停車駅周辺や経路周辺の施設(POI:Point of Interest)の情報のほか、各種の広告情報等が表示されていても良い。端末装置20は位置検出手段23が所定の時間間隔で現在位置および現在時刻を算出する。
【0057】
端末装置20は、位置検出手段23が所定の時間間隔で現在位置および現在時刻を算出し、現在位置に従って経路探索サーバ30から現在位置周辺の情報をダウンロードする。情報のダウンロードは、端末装置20が移動を停止中すなわち、端末装置20の利用者が乗車した電車などの交通手段が停車している間に行う。
【0058】
ダウンロードする情報、例えば、地図を表示するための地図データ35は、次のように構成され、端末装置20の要求に従って該当する地図データ35が経路探索サーバ30から端末装置20に送信される。すなわち、経路探索サーバ30に蓄積される地図データ35は、図4に示すように構成されている。
【0059】
地図データベースDB4に蓄積される地図データ35は図4に示すように所定の緯度・経度範囲で区分された単位地図データから構成されている。地図データは図4に示すように所定の緯度、経度単位で地図エリアが分けられ、メッシュ状の単位地図データM11〜M33のように構成されている。端末装置20に配信される場合は、端末装置20の現在位置PPを含む単位地図データM22を中心にして、その上下方向、左右方向、斜め方向に隣接する単位地図データM21、M23、M12、M32、M11、M13、M31、M33の合計9つの単位地図が配信される。
【0060】
端末装置20が移動して地図データ35が不足する場合は、端末装置20の移動方向を判別して経路探索サーバ30は不足分の単位地図データを配信する。端末装置20が特定の地点やPOI(興味対象場所:Point of Interest)の位置を指定して地図データ35の配信要求をした場合も同様である。案内経路のデータはこのベクトル地図データとともに端末装置20に配信される。端末装置20は、経路探索サーバ30からこのようにして地図データ35および案内経路のデータを受信して、地図および案内経路を表示手段25に表示する。
【0061】
図5は、端末装置20において経路探索条件を設定し、経路探索サーバ30にその経路探索条件に従った経路を探索させ、経路探索サーバ30から得られた案内経路に従って、電車に乗って移動する利用者(端末装置)の様子を示した模式図である。図5に示すように、端末装置20の利用者が乗車する車両は、停車駅A、B、Cを経由してある路線を運行している。
【0062】
このような案内経路における電車の時刻情報(時刻表のデータ)は、図6に示すようなものである。案内経路を含む周辺の情報、例えば、地図データ35は、利用者が端末装置20を所持して移動する際に適宜表示する。経路周辺の地図情報を表示するための地図データ35は、端末装置20が経路探索サーバ30からダウンロードを行い一時記憶手段27に格納した後、端末装置20(利用者)の現在地情報に従って適切なタイミングで読み出して表示手段25に表示する。
【0063】
端末装置20は、経路探索サーバ30から経路周辺の地図データ等のダウンロードを行うため、位置検出手段23によりその現在地を検出して現在位置の更新を行う。そして停車判定手段26は、案内経路案内情報に含まれる時刻表のデータの時刻と現在時刻を比較して停車中であると判定する。これは、GPS信号から得られた位置情報によって自分が乗車している電車が停車駅に停車中であるか否かを判定しても良いし、端末装置20に搭載された加速度センサの値から停車中であるか、走行中であるかを判定してもよい。
【0064】
また、図6に示す時刻表データ(案内経路のデータ)から、停車予定時間算出手段281は、停車駅Aでの停車予定時間は4分、停車駅Bでの停車予定時間は2分、停車駅Cでの停車予定時間は2分であると算出することができる。一方、停車時間算出手段282は、端末装置20の停車を検出してから現在時刻までの停車時間を算出する。端末装置20の停車時間(電車の停車時間)は、現在時刻と時刻表データの到着時刻(図6参照)に基づいて算出しても良いし、停車を判定した時刻からタイマーを動作させ停車時間を計測しても良い。
【0065】
停車予定時間と停車時間とが算出されると、通信時間判定手段28は次の処理を行う。停車時間が停車予定時間より小さい場合には引き続きデータのダウンロードを行うために経路探索サーバ30に情報送信の要求を行い、停車時間が停車予定時間より大きくなる場合には、電車が走り出して通信が切断される恐れがあるので、ダウンロードを中止し経路探索サーバ30との通信を切断する。
【0066】
端末装置20は経路探索サーバ30との通信を切断すると、前回受信終了分以降のデータについて、例えば、受信完了分のデータのIDあるいは次に受信要求するデータのID等を送信する。すなわち、次回停車駅において経路探索サーバ30に対してデータのダウンロード要求を行う際に、前回受信完了分のデータのIDあるいは次に受信要求するデータのID等を経路探索サーバ30に送信する。これにより経路探索サーバ30はそれ以降のデータを端末装置20に送信することができる。端末装置20は、経路探索サーバ30からダウンロードしたデータは一時記憶手段27に格納し、端末装置20を所持した利用者の移動に応じて必要なタイミングで一時記憶手段27から読み出して表示手段25に表示する。
【0067】
経路探索サーバ30からダウンロードするデータ量については、端末装置20のメモリ容量を上限とする。このため、ダウンロードするデータ量はメモリ容量の上限の時点で中断し、利用者の移動に従って表示を終了した不要の地図データ等のダウンロードデータを破棄した後、新たに経路探索サーバ30に情報送信を要求し情報のダウンロードを行うようにする。なお、通信時間判定手段28は、前記停車予定時間、停車時間によらず、現在時刻が停車中の駅における電車の出発時刻になると前記通信手段による通信を終了するようにしてもよい。これにより通信中に電車が発車して、突然通信が切断されることがなくなる。
【0068】
以上の処理によって、端末装置20は、予め把握している時刻表データを利用して確実に通信エリアでデータのダウンロードが行えるため、突然通信が不可能になりデータのダウンロードが不十分になることもない。
【0069】
また、経路探索サーバ30へ情報配信の要求の際に、前回サーバから受信済みのデータ以降についてサーバに情報送信の要求を行うため、停車時間の終了や予想しない通信状況の悪化によってデータ受信が中断してしまっても、再度最初から受信しなおさなくてはいけないという状況を回避することが可能になる。
【0070】
次に、経路探索サーバ30における経路探索の概念について説明する。経路探索用ネットワークデータには、徒歩や自動車による移動経路を探索するための道路ネットワークデータ36と公共交通機関を利用した移動経路を探索するための交通ネットワークデータ37が蓄積されている。経路探索手段39は、この経路探索用ネットワークデータを参照して、徒歩や自動車による経路あるいは徒歩と交通機関を併用した経路を探索する。
【0071】
道路ネットワークデータ36(図2参照)は、以下のように構成されている。例えば、道路が、図7に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0072】
すなわち、図7において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図7では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0073】
このような道路ネットワークのデータを経路探索用のデータベースとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図7において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0074】
図7ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0075】
これに対して、交通機関の経路探索のための交通ネットワークデータ37(図2参照)は以下のように構成されている。例えば、図8に示すように交通路線A、B、Cからなる場合、各交通路線A、B、Cに設けられた各駅(航空機の路線においては各空港)をノードとし、各ノード間を結ぶ区間を有向性のリンクで表し、ノードデータ(緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)をネットワークデータとしている。図8において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は交通路線の乗り継ぎ点(乗換え駅など)を示し、各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、交通路線の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図8では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0076】
しかしながら、交通ネットワークは道路ネットワークと比べリンクコストが基本的に異なる。すなわち、道路ネットワークではリンクコストは固定的、静的なものであったが、交通ネットワークでは、図8に示すように交通路線を運行する列車や航空機(以下個々の列車や航空機などの各経路を交通手段と称する)が複数ある。各交通手段毎にあるノードを出発する時刻と次のノードに到着する時刻とが定まっており(時刻表データ、運行データで規定される)、かつ、個々の経路が必ずしも隣接するノードにリンクしない場合がある。例えば、急行と各駅停車の列車のような場合である。このような場合には同じ交通路線上に異なる複数のリンクが存在することになり、またノード間の所要時間が交通手段により異なる場合もある。
【0077】
図8に例示する交通ネットワークにおいては、交通路線Aの同じリンクに複数の交通手段(経路)Aa〜Ac・・・、交通路線Cに複数の交通手段(経路)Ca〜Cc・・・が存在することになる。従って、交通機関の運行ネットワークは、単純な道路ネットワークと異なり、ノード、リンク、リンクコストの各データは交通手段(個々の航空機や列車などの経路)の総数に比例したデータ量になる。
【0078】
このような交通ネットワークデータ37を用いて、ある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定する必要がある。
【0079】
例えば、図8において、出発地を交通路線AのノードAXとしてある特定の出発時刻を指定して、交通路線CのノードCYを目的地とする経路探索を行う場合、交通路線A上を運行する交通手段Aa〜Ac・・・のうち出発時刻以降の全ての交通手段を順次出発時の経路として選択する。そして交通路線Cへの乗り継ぎノードへの到着時刻に基づいて、交通路線C上を運行する各交通手段Ca〜Cc・・・のうち、乗り継ぎノードにおいて乗車可能な時刻以降の交通手段の全ての組み合わせを探索して各経路の所要時間や乗り換え回数などを累計して案内することになる。
【0080】
このようなネットワークデータを利用して経路探索サーバ30は経路探索条件に従って、出発地から目的地までの複数の候補経路を探索し、その結果を案内経路データとして端末装置20に送信する。経路探索条件に出発地の出発時刻が指定されている場合には目的地への到着時刻が、また、目的地への到着時刻が指定されている場合には、目的地に指定時刻に到着するための出発地の出発時刻が案内経路データに含まれ、端末装置20はこれらを表示手段25に経路の詳細とともに表示することができる。案内経路に乗換え駅が含まれる場合には、当該乗換え駅で乗換えるべき電車やその出発時刻も同様にして表示することができる。
【0081】
移動の手段として徒歩と交通機関を用いる場合の経路探索においては、道路ネットワークデータ36と交通ネットワークデータ37とを結合して総合的なネットワークデータを編集し経路探索を行う。徒歩経路区間は道路ネットワークデータ36が参照され、交通機関を用いる経路区間は交通ネットワークデータ37が参照される。最適経路の探索においては、トータルで経路コストが最小となる経路が探索される。この場合、徒歩経路区間が最小にならない経路が探索されることもある。
【0082】
徒歩経路区間が最も小さい経路を要求する場合には、徒歩経路区間を最短とする条件を設定する。また、乗換え回数が最小になる経路探索を要求する場合は、乗換え回数を最小とする条件を設定する。更に、交通機関を利用した経路区間の運賃が最小になる条件を設定することもできる。これらの条件設定は、交通機関を用いた経路探索においては一般的なものである。
【0083】
次に、本発明の実施例にかかるナビゲーションシステム10の動作手順について説明する。図9は、端末装置20における動作手順を示すフローチャートである。先ず、ステップS101の処理で、経路探索条件設定のメニュー画面を表示し(図3参照)、所望の探索条件を設定し、ステップS102の処理で経路探索サーバ30に経路探索条件を送信する。経路探索サーバ30は、端末装置20から受信した経路探索条件に従って経路探索を行い、探索した案内経路のデータを端末装置20に送信する。
【0084】
端末装置20は、ステップS103の処理で経路探索サーバ30から案内経路のデータを受信し、ステップS104の処理で経路案内を開始する。経路案内の開始にあたっては、表示手段25に地図画像および案内経路の画像が表示される。
【0085】
経路案内が開始されると、位置検出手段23は端末装置20の現在位置を算出し、ステップS105の処理で端末装置20は現在位置の情報を更新する。そして、ステップS106の処理で目的地に到着したか否かが判別され、目的地に到着したと判別されると処理を終了する。
【0086】
ステップS106の判別処理において目的地への到着が判別されなければ、ステップS107の処理に進み、停車判定手段26は、案内経路案内情報に含まれる時刻表のデータの時刻と現在時刻を比較して停車中であるか否かを判定する。この判定は、先に述べたようにGPS信号から得られた位置情報によって自分が乗車している電車が停車駅に停車中であるか否かを判定しても良いし、端末装置20に搭載された加速度センサの値から停車中であるか、走行中であるかを判定してもよい。
【0087】
ステップS107の判定処理において駅への停車が検出されない場合は、ステップS105の現在位置更新処理に戻る。駅への停車が検出されるとステップS108の処理に進み、端末装置20は経路探索サーバ30に所要のデータ、例えば、図4に示す地図データ送信を要求し、ステップS109の処理で経路探索サーバ30から要求したデータの受信を行う。なお、経路探索サーバ30に送信を要求するデータは、地図データに限らず、現在地以降目的地までの経路データや現在地以降目的地までの経路付近のPOIや、POIの広告情報など、経路探索サーバ30に用意された種々の情報を要求することができる。
【0088】
ステップS109の処理で経路探索サーバ30から要求したデータの受信を開始すると、ステップS110の処理で、停車予定時間算出手段281は、停車が検出された駅における電車の停車予定時間Xを算出する。停車予定時間Xの算出は、先に述べたように図6に示す案内経路のデータに含まれる時刻表データから行う。例えば、停車が検出された駅が図5のA駅である場合、停車駅Aでの停車予定時間は4分と算出される。
【0089】
次いで、ステップS111の処理で、停車時間算出手段282は、電車の実際の停車時間を算出する。停車時間の算出は、端末装置20の停車が検出されてから現在時刻までの時間をタイマーを動作させ計測し停車時間として算出してもよく、現在時刻と時刻表データの到着時刻(図6参照)に基づいて算出しても良い。
【0090】
ステップS110、S111の処理で停車予定時間Xと停車時間Yとが算出されると、ステップS112の処理に進み、通信時間判定手段28は停車予定時間Xと停車時間Yを比較し、次の処理を行う。すなわち、停車時間Yが停車予定時間Xより小さい場合には引き続きデータのダウンロードを行うためにステップS108の処理に戻り、経路探索サーバ30に情報送信の要求を行う。
【0091】
停車時間Yが停車予定時間Xより大きくなる場合には、電車が走り出して通信が切断される恐れがあるので、ステップS113の処理に進みダウンロードを中止し経路探索サーバ30との通信を切断し、ステップS105の現在位置更新の処理に戻る。この処理を繰り返すことで、次の停車が検出されると、端末装置20は経路探索サーバ30から次の所要データをダウンロードすることができるようになる。
【0092】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかるナビゲーションシステム10によれば、端末装置20の停車時に確実に必要な情報をダウンロードすることができるようになる。また、突然通信が不可能になりデータのダウンロードが不十分になることもない。
【0093】
また、移動に対して経路及び周辺地図及び周辺POIや広告の表示を行う際に、予め地図データをダウンロードしておき表示しているので、ユーザが表示されているPOIや広告の情報を取得する要求を送信しても、その要求の通信を地図データダウンロードなどの通信に阻害されることがない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、ネットワークの通信負荷をいたずらに増大することがなく、サーバの処理負荷を抑制することができ、通信型のナビゲーションシステムに好適に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】経路探索条件の設定メニュー画面の一例を示す図である。
【図4】経路探索サーバに蓄積される地図データの構成を示す模式図である。
【図5】案内経路に従って、電車に乗って移動する利用者(端末装置)の様子を示した模式図である。
【図6】図3に示す案内経路における時刻情報(時刻表データ)を示す図である。
【図7】道路ネットワークのデータの概念を示す模式図である。
【図8】交通ネットワークのデータの概念を示す模式図である。
【図9】本発明の実施例にかかるナビゲーションシステムの動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
10・・・・ナビゲーションシステム
12・・・・ネットワーク
20・・・・端末装置
21・・・・制御手段
22・・・・通信手段
23・・・・位置検出手段
24・・・・経路記憶手段
25・・・・表示手段
26・・・・停車判定手段
27・・・・一時記憶手段
28・・・・通信時間判定手段
281・・・停車予定時間算出手段
282・・・停車時間算出手段
29・・・・操作入力手段
30・・・・経路探索サーバ
31・・・・制御手段
32・・・・案内データ編集手段
33・・・・経路探索手段
34・・・・通信手段
35・・・・地図データ
36・・・・道路ネットワークデータ
37・・・・交通ネットワークデータ
50・・・・情報配信サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指定された出発地と目的地を含む経路探索要求に基づいて、経路探索用のネットワークデータを参照して交通機関を利用した区間を含む案内経路を探索する経路探索手段を有する経路探索サーバと、前記案内経路を表示する表示手段を有する端末装置と、を備えたナビゲーションシステムにおいて、
前記端末装置は、現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段と、操作入力手段と、前記案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段と、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段と、停車時間を算出する停車時間算出手段と、通信時間判定手段と、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段と、を備え、
前記停車判定手段が、前記交通手段の停車を判定した場合には、前記停車予定時間算出手段が停車駅における停車予定時間を算出するとともに前記停車時間算出手段が前記交通手段の停車を判定してからの停車時間を算出し、前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間と停車時間とを比較し、前記停車予定時間より停車時間が短い場合には前記通信手段による通信を継続し、前記停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、前記通信手段による通信を終了することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記停車判定手段が、現在位置の位置情報に基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記停車判定手段が、現在時刻と経路案内情報に含まれる時刻表データに基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記停車時間算出手段はタイマーを備え、乗車している交通手段の停車を判定した時刻からタイマーによって取得する時間に基づいて停車時間を算出することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間、停車時間によらず、現在時刻が停車中の前記交通手段の出発時刻になると前記通信手段による通信を終了することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
指定された出発地と目的地を含む経路探索要求に基づいて、経路探索用のネットワークデータを参照して交通機関を利用した区間を含む案内経路を探索する経路探索手段を有する経路探索サーバとネットワークを介して接続され、前記案内経路を表示する表示手段を有する端末装置において、
前記端末装置は、現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段と、操作入力手段と、前記案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段と、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段と、停車時間を算出する停車時間算出手段と、通信時間判定手段と、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段と、を備え、
前記停車判定手段が、前記交通手段の停車を判定した場合には、前記停車予定時間算出手段が停車駅における停車予定時間を算出するとともに前記停車時間算出手段が前記交通手段の停車を判定してからの停車時間を算出し、前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間と停車時間とを比較し、前記停車予定時間より停車時間が短い場合には前記通信手段による通信を継続し、前記停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、前記通信手段による通信を終了することを特徴とする端末装置。
【請求項7】
前記停車判定手段が、現在位置の位置情報に基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記停車判定手段が、現在時刻と経路案内情報に含まれる時刻表データに基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項9】
前記停車時間算出手段はタイマーを備え、乗車している交通手段の停車を判定した時刻からタイマーによって取得する時間に基づいて停車時間を算出することを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項10】
前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間、停車時間によらず、現在時刻が停車中の前記交通手段の出発時刻になると前記通信手段による通信を終了することを特徴とする請求項6に記載の端末装置。
【請求項11】
案内経路を表示する表示手段を有する端末装置であって、該端末装置は、現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段と、操作入力手段と、前記案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段と、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段と、停車時間を算出する停車時間算出手段と、通信時間判定手段と、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段と、を備え、
前記停車判定手段が、前記交通手段の停車を判定した場合には、前記停車予定時間算出手段が停車駅における停車予定時間を算出するとともに前記停車時間算出手段が前記交通手段の停車を判定してからの停車時間を算出し、前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間と停車時間とを比較し、前記停車予定時間より停車時間が短い場合には前記通信手段による通信を継続し、前記停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、前記通信手段による通信を終了する端末装置にネットワークを介して接続される経路探索サーバにおいて、
前記経路探索サーバは、指定された出発地と目的地を含む経路探索要求に基づいて、経路探索用のネットワークデータを参照して交通機関を利用した区間を含む案内経路を探索する経路探索手段を備え、前記経路探索手段が探索した案内経路のデータを前記端末装置に送信し、前記端末装置が要求する前記現在位置に関連するデータを前記端末装置に送信することを特徴とする経路探索サーバ。
【請求項12】
指定された出発地と目的地を含む経路探索要求に基づいて、経路探索用のネットワークデータを参照して交通機関を利用した区間を含む案内経路を探索する経路探索手段を有する経路探索サーバとネットワークを介して接続され、前記案内経路を表示する表示手段を有する端末装置にける経路案内方法において、
前記端末装置は、現在位置および現在時刻を取得する位置検出手段と、操作入力手段と、前記案内経路における交通手段の停車を判定する停車判定手段と、停車予定時間を算出する停車予定時間算出手段と、停車時間を算出する停車時間算出手段と、通信時間判定手段と、現在位置に関連したデータを受信するための通信手段と、を備え、
前記停車判定手段が、前記交通手段の停車を判定するステップと、前記停車予定時間算出手段が停車駅における停車予定時間を算出するステップと、前記停車時間算出手段が前記交通手段の停車を判定してからの停車時間を算出するステップと、前記通信時間判定手段が前記停車予定時間と停車時間とを比較し、前記停車予定時間より停車時間が短い場合には前記通信手段による通信を継続するステップと、前記停車予定時間より停車時間が長くなった場合には、前記通信手段による通信を終了するステップと、を有することを特徴とする経路案内方法。
【請求項13】
前記停車判定手段が前記交通手段の停車を判定するステップは、現在位置の位置情報に基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定する処理を含むことを特徴とする請求項12に記載の経路案内方法。
【請求項14】
前記停車判定手段が前記交通手段の停車を判定するステップは、現在時刻と経路案内情報に含まれる時刻表データに基づいて、乗車している交通手段が停車中であるか否かを判定する処理を含むことを特徴とする請求項12に記載の経路案内方法。
【請求項15】
前記停車時間算出手段はタイマーを備え、前記停車時間を算出するステップは、乗車している交通手段の停車を判定した時刻からタイマーによって取得する時間に基づいて停車時間を算出する処理を含むことを特徴とする請求項12に記載の経路案内方法。
【請求項16】
前記通信時間判定手段は、前記停車予定時間、停車時間によらず、現在時刻が停車中の前記交通手段の出発時刻になると前記通信手段による通信を終了するステップを有することを特徴とする請求項12に記載の経路案内方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−276193(P2009−276193A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127325(P2008−127325)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】