説明

ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、および、自動車

【課題】非接触慣性航法装置を用いた際に、経路状態に応じて精度の高いナビゲーションを実現できるようにすることを課題とする。
【解決手段】3次元座標DB22は、道路形状に応じて自動車の移動に加速を伴うと予測される座標位置に対してあらかじめ属性を付与した3次元座標データを記憶する。ロケーションコンピュータ21は、現在位置、移動距離、および、進行方向に関する情報を算出する処理において、ナビゲーションセンサ6においてあらかじめ設定された閾値以上の加速度を検出した場合、属性を参照して、加速度の変化をキャンセルして移動距離を補正して、3次元マップマッチングを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置、ナビゲーション方法、および、自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車のナビゲーション装置の普及は著しいものであり、モニタに映し出されるコンピュータグラフィックス(CG)の描写能力や案内時に提供される各種情報の充実振りを各社で競うかたちとなっている。このように、多機能・高性能型の追求では、ナビゲーション装置の価格高騰は避けられないものとなっている。
【0003】
その一方で、2005年あたりから、欧州を中心にパーソナルナビゲーションデバイス(以下、PNDという)の需要が急速に高まっている。世界のカーナビ市場が急成長する原動力ともいわれ、その理由のひとつとして、通常のナビゲーション装置に比べて低価格な設定を挙げることができる。
【0004】
現在のPNDは、グローバルポジショニングシステム(以下、GPSという)で現在位置を確認してナビゲーションを行うものであり、通常のナビゲーション装置のように車速パルスは不要となる。もちろん、トンネル内やビルの陰のようにGPSが利用できない区間では、使用できないという問題も持ち合わせている。
【0005】
このように、PNDはGPSに依存した簡易型ナビゲーション装置ではあるが、非接触慣性航法装置(加速度センサとジャイロセンサとの組み合わせ)を用いれば、トンネル内でも移動距離や移動方向を入手できるので上記の問題を解決することができる。
【0006】
GPSと非接触慣性航法装置とを組み合わせたとしても、相対位置を取得する非接触慣性航法装置はGPSの補完的な役割を担うに過ぎないことから、GPSからつぎの絶対位置を取得するまでの区間で計測誤差を解消する必要がある。この解消を怠ると、計測誤差が累積して真位置とのずれは拡がるばかりとなり、ナビゲーションとして求められる許容範囲を逸脱する虞がある。そこで、近年、相対位置検出における方位あるいは加速度に対して補正を行うことで、累積誤差の影響を可及的に抑制する提案がなされている(特許文献1)。
【0007】
【特許文献1】特開平8−285621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来例においては、センサ出力に依存した誤差抑制となっており、道路勾配、カーブ等の経路状態に依存した補正が行われないことから、非接触慣性航法装置に依存したナビゲーションにおいて自動車の加速を伴うときに、誤差の解消が不十分であるという危惧がある。
【0009】
本発明の目的は、非接触慣性航法装置を用いた際に、経路状態に応じて精度の高いナビゲーションを実現することが可能なナビゲーション装置、ナビゲーション方法、および、自動車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係るナビゲーション装置は、衛星測位装置、および、方位および加速度を検出する非接触慣性航法装置に接続され、移動体の現在位置を取得するナビゲーション装置であって、道路ネットワークに対応するXYZ座標系の3次元座標データであって、道路形状に応じて移動体の移動に加速を伴うと予測される座標位置に対してあらかじめ属性を付与した3次元座標データを記憶する記憶手段と、前記非接触慣性航法装置を用いて、現在位置、移動距離、および、進行方向に関する情報を算出する処理において、前記非接触慣性航法装置においてあらかじめ設定された閾値以上の加速度を検出した場合、前記記憶手段に記憶される属性を参照して、前記検出された加速度の変化をキャンセルして移動距離を補正する補正付算出手段と、
前記補正付算出手段により算出された情報を2次元マップマッチングしてX−Y座標上の2次元位置情報を算出する2次元マッチング手段と、前記2次元マップマッチング手段で算出された2次元位置情報と前記記憶手段に記憶される3次元座標データとに基づいてX−Y−Z座標上のZ座標位置を算出するZ算出手段と、前記移動体の移動上、前記Z算出手段で算出されたZ座標位置に基づいてZ軸方向の勾配差を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された勾配差に基づいて移動距離を補正して3次元位置情報を算出する3次元マップマッチング手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1において、さらに、前記3次元マップマッチング手段で算出された3次元位置情報に基づいてルート案内を示す画像情報を生成する画像生成手段と、前記移動体にカメラが設定されており、当該カメラで撮影された画像情報を入力する入力手段と、前記画像生成手段で生成された画像情報と前記入力手段で入力された画像情報とを重畳する重畳手段と、前記重畳手段で重畳された画像を前記ディスプレイに表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項3の発明は、請求項2において、さらに、2次元地図データを記憶する地図記憶手段と、前記地図記憶手段に記憶される2次元地図データを参照して前記3次元マップマッチング手段で算出された3次元位置情報に基づいて前記移動体の現在位置情報を含む2次元地図を生成する地図生成手段と、前記地図生成手段で生成された2次元地図を前記ディスプレイに表示する地図表示手段とを有することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項4に係るナビゲーション方法は、衛星測位装置、および、方位および加速度を検出する非接触慣性航法装置に接続され、移動体の現在位置を取得するナビゲーション方法であって、前記非接触慣性航法装置を用いて、現在位置、移動距離、および、進行方向に関する情報を算出する処理において、前記非接触慣性航法装置においてあらかじめ設定された閾値以上の加速度を検出した場合、前記記憶手段に記憶される属性を参照して、前記検出された加速度の変化をキャンセルして移動距離を補正する第1ステップと、前記第1ステップにより算出された情報を2次元マップマッチングしてX−Y座標上の2次元位置情報を算出する第2ステップと、道路ネットワークに対応するXYZ座標系の3次元座標データであって、道路形状に応じて移動体の移動に加速を伴うと予測される座標位置に対してあらかじめ属性を付与した3次元座標データをメモリに記憶しており、前記第2ステップで算出された2次元位置情報と前記メモリに記憶される3次元座標データとに基づいてX−Y−Z座標上のZ座標位置を算出する第3ステップと、前記移動体の移動上、前記第3ステップで算出されたZ座標位置に基づいてZ軸方向の勾配差を検出する第4ステップと、前記第4ステップで検出された勾配差に基づいて移動距離を補正して3次元位置情報を算出する第5ステップと、を含んだことを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項5に係る自動車は、自動車であって、前後左右方向のいずれか1つまたはその組み合わせ分の撮影を行うカメラと、ディスプレイと、衛星測位装置、および、方位および加速度を検出する非接触慣性航法装置を用いて、少なくとも現在位置および進行情報を検出する位置検出ユニットと、ディスプレイを有しており、当該ディスプレイに画像を表示するナビゲーション装置と、を備え、前記ナビゲーション装置は、道路ネットワークに対応するXYZ座標系の3次元座標データを記憶する記憶手段と、前記非接触慣性航法装置を用いて、現在位置、移動距離、および、進行方向に関する情報を算出する処理において、前記道路ネットワークの経路状態の要因で前記非接触慣性航法装置の出力があらかじめ設定された閾値以上の変化で検出された場合、当該変化量に基づいて移動距離を補正する補正付算出手段と、前記補正付算出手段により算出された情報を2次元マップマッチングしてX−Y座標上の2次元位置情報を算出する2次元マッチング手段と、前記2次元マップマッチング手段で算出された2次元位置情報と前記記憶手段に記憶される3次元座標データとに基づいてX−Y−Z座標上のZ座標位置を算出するZ算出手段と、前記移動体の移動上、前記Z算出手段で算出されたZ座標位置に基づいてZ軸方向の勾配差を検出する検出手段と、前記検出手段で検出された勾配差に基づいて移動距離を補正して3次元位置情報を算出する3次元マップマッチング手段と、前記3次元マップマッチング手段で算出された3次元位置情報に基づいてルート案内を示す画像情報を生成する画像生成手段と、前記画像生成手段で生成された画像情報と前記入力手段で入力された画像情報とを重畳する重畳手段と、前記重畳手段で重畳された画像を前記ディスプレイに表示する表示手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、非接触慣性航法装置を用いた際に、経路状態に応じて精度の高いナビゲーションを実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る一実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
まず、全体の構成について説明する。図1は本発明の一実施形態による自動車の内部構成例を示すブロック図である。本実施形態の自動車1は、たとえば図1に示したように、以下に説明するが、本実施形態の3次元マップマッチングにより3次元位置情報の取得等を行うナビゲーション装置2、無線通信により各種の情報を授受するためのアンテナ3、音声を出力するスピーカ4、画像を表示するディスプレイ5、自車の現在位置を検出するGPS機器61、進行情報となる方位、移動量をそれぞれ検出する2次元振動ジャイロ62および加速度センサ63を具備しているナビゲーションセンサ6(非接触慣性航法装置を指す)、自車の前方景色を撮影して画像を入力するCCD等のカメラ7、自車の傾斜を検知する傾斜センサ8等により構成されている。自動車1の制御系、電気系、エンジン部位等の構成は、本発明の趣旨からその説明を省略する。なお、ナビゲーションセンサ6は、自車の現在位置と進行情報を検出できるものであればその他の構成であってもよい。
【0018】
ナビゲーション装置2は、以下に詳述するが、GPSからの測位が困難な場所(区間)でのナビゲーションセンサ6の誤差解消および3次元マップマッチングを実現するものであり、たとえば、ロケーションコンピュータ21、領域の一部もしくは全部の3次元座標データ(3次元折線形状データ)を蓄積する3次元座標データベース(3次元座標DB)22、領域の一部もしくは全部の2次元地図データおよび右左折等のポイントに応じて生成されるべき音声情報(音声データおよび生成ポイントの組み合わせ)を蓄積する地図および音声データベース(地図および音声DB)23、通信処理装置24、操作パネル25、音声処理装置26、画像処理装置27等により構成されている。
【0019】
ロケーションコンピュータ21は、CPU、ROMおよびRAMによる制御ユニット、本実施形態のセンサ誤差解消および3次元マップマッチング処理等を実現するためのロケーション処理プログラム211等を具備している。このロケーションコンピュータ21は、ナビゲーションセンサ6に接続され、GPS機器61から現在位置情報、2次元振動ジャイロ62から方位、そして、加速度センサ63から移動量をそれぞれ入力してX−Y座標系の2次元マップマッチングを実行し、さらに、3次元座標DB22から3次元座標データを読み出してX−YZ座標系でのZ座標位置情報を算出する。
【0020】
このロケーションコンピュータ21は、Z座標位置情報に基づいて移動距離の補正を行ってから3次元位置情報を求めて画像処理装置27に供給するものである。とくに、GPSからの測位が困難なトンネル内、ビルの陰等の区間については、3次元座標DB22に記憶する座標に対してあらかじめGPS不能区間を示す道路属性をもたせておき、ナビゲーションセンサ6より想定以上の加速を検出した際は、坂道(上り・下り)、カーブ(・・・度)などの混在した道路形状を分別した道路属性の種類に応じて加速度のキャンセルを行い、正確な移動距離を求めるものである。
【0021】
通信処理装置24は、アンテナ3に接続され、無線通信によってアンテナ3を介して各種の情報(渋滞情報、2次元地図データ、3次元座標データ、音声情報等)を取得する。通信処理装置24は、アンテナ3を介して受信される2次元地図データや音声情報を地図および音声DB23に出力する。これにより、地図および音声DB23の更新処理が実行される。また、通信処理装置24は、アンテナ3を介して受信される3次元座標データを3次元座標DB22に出力する。これにより、3次元座標DB22の更新処理が実行される。
【0022】
操作パネル25においては、ここではナビゲーション装置自体に設けられている例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ナビゲーション装置外に設けてナビゲーション装置に対して操作信号を送る構成としてもよい。操作パネル25は、出発地、目的地の入力により経路要求をしたり、候補として挙げられる経路の選択をしたり、本実施形態のカメラ撮影画像によるナビゲーション表示と2次元地図によるナビゲーション表示間の切り替えを指示するための操作ボタン等を備えている。
【0023】
音声処理装置26は、ロケーションコンピュータ21、地図および音声DB23等に接続され、地図および音声DB23を参照してロケーションコンピュータ2から供給される3次元位置情報に基づいて真の現在位置に応じた音声データを後段に接続されるスピーカ4に供給する。スピーカ4は、音声処理装置26から音声データを入力して音声を再生する。
【0024】
画像処理装置27は、ロケーションコンピュータ21、地図および音声DB23等に接続され、ロケーションコンピュータ21から供給される3次元位置情報に基づいて真の現在位置に応じた経路案内画像を生成し、その画像をカメラ7から供給される風景の画像に重畳して後段に接続されるディスプレイ5に供給する。この画像処理装置27は、傾斜センサ8にも接続され、その傾斜センサ8から供給される傾斜角度に応じて経路案内画像の角度をカメラ座標系に整合させる。ディスプレイ5は、画像処理装置27に接続され、そこから出力される画像情報に基づく画像を表示する。
【0025】
つぎに、主要なデータベースについて詳述する。図2は本実施形態による3次元座標DB22の一例を示す図である。3次元座標DB22は、たとえば図2に示したように、ヘッダ部を先頭にして座標ポイント毎にX,Y,Z座標データを対応付けて記憶している。一例として、座標ポイントP0(X0,Y0,Z0)、・・・、Pn-1(Xn-1,Yn-1,Zn-1)のように順に記憶されている。3次元座標データの計測手法にもよるが、座標ポイントは、たとえば1m間隔でもよいが、それ以上もしくはそれ以下の間隔でもよいことは言うまでもない。
【0026】
この3次元座標DB22は、前述したように、GPSからの測位が困難なトンネル内、ビルの陰等の区間については、各座標ポイントに対してあらかじめGPS不能区間を示す道路属性をもたせている。ATRn(nは整数)のうち、nが「1」以上については、坂道(上り・下り)、カーブ(・・・度)、渋滞多発などは、急な加速や減速をあらかじめ想定することができる経路となり、「0」は以上の想定を必要としない経路である。そこで、これらの経路については、個々または組み合わせについて異なる道路属性を割り当て、このような座標ポイントを通過する際は、道路形状や走行上の環境から通常を超える加速度の発生を確認できるように補正処理が配慮される。これにより、通常を超える部分の加速度がキャンセルされ、正確な移動状態の把握、すなわち、誤差の累積を抑制した移動距離の算出が可能となる。一例として、ATR1は坂道を示し、ATR2はカーブを示す。
【0027】
以下、図3、図4、および、図5を用いて誤差抑制の原理について説明する。図3は本実施形態によるATR0における移動と座標ポイントとの関係を説明する図、図4は本実施形態によるATR1における移動と座標ポイントとの関係を説明する図、図5は本実施形態によるATR2における移動と座標ポイントとの関係を説明する図である。ここで、トンネル内での説明を例に挙げるが、これに限定されるものではなく、GPS測位に基づく位置の算出が困難な経路は森林地帯、ビルの陰なども含まれるものである。
【0028】
まず、加速を伴わない平坦な道路について説明する。図3において、CR1は自動車を示し、STm(mは自然数)は自動車CR1の走行位置を示し、PNmはロケーションコンピュータ21により求められた計測位置を示している。TNはトンネルを示し、GPSはGPS衛星を示している。
【0029】
図3に示すように、トンネルTN内において自動車CR1が加速を伴わないときは、等速運動をしていることから、トンネルTN内を自動車CR1が走行してもトンネルTN直前のGPS測位に基づくロケーションコンピュータ21の処理で精度の高い位置情報を得ることができる。したがって、たとえば図3に示すように、トンネルTN内の道路上を走行する自動車CR1の走行位置ST2,3に対応して、計測位置PN2,3が対応することになる。これにより、トンネルTNを抜けたところでも走行位置ST4と計測位置PN4が合致する。ここでは、その他の誤差要因は発明の本質から説明を省略する。
【0030】
つづいて、加速を伴う坂道について説明する。図4(A)、(B)において、CR2,CR3は自動車を示し、STAm(mは自然数),STBmはそれぞれ自動車CR1,CR2の走行位置を示し、PAm,PBmはそれぞれ計測位置を示している。ここで、PAmは一般の方法で得られた計測位置を示す。PBmは本実施の形態によるロケーションコンピュータ21により得られた計測位置を示す。TNはトンネルを示し、GPSはGPS衛星を示している。また、DAq(qは自然数)は、誤差累積を示す。
【0031】
図4(A)に示すように、トンネルTN内において自動車CR2が坂道に差し掛かると通常はアクセルを踏み込んで加速を伴うものである。その際、トンネルTNの直前まで等速運動をしていたとしても、一気に加速が伴うことから、相対位置で自動車CR2の計測位置を慎重に算出する必要がある。
【0032】
通常、図4(A)の例のように、トンネルTN内の坂道を走行する自動車CR2の走行位置STA2,3に対応して、計測位置PA2,3が累積誤差DA1,2をもって対応することになる。これにより、トンネルTNを抜けたところでは、走行位置STA4と計測位置PA4の関係は累積誤差DA3の発生により不一致となる。
【0033】
これに対して、本実施形態の場合は、図4(B)のように、トンネルTN内の坂道を走行する自動車CR3(自動車CR2と同じ条件、環境で走行する)の走行位置STB2,3に対応して、計測位置PB2,3が前述の累積誤差DA1,2をもたずに対応することになる。これにより、トンネルTNを抜けたところでは、走行位置ST4と計測位置PB4の関係は累積誤差がなく一致する。これは、前述したように、GSP測位ができず、想定以上の加速度が発生した際に、加速度のキャンセル処理を実行して真位置を越える走行距離の累積誤差を防止するものである。
【0034】
さらに、加速を伴うカーブについて簡単に説明する。図5(A)、(B)において、CR4,CR5は自動車を示し、STCr(rは自然数)は自動車CR3の走行位置を示し、PCr,PDrはそれぞれ一般の方法で求められた計測位置、ロケーションコンピュータ21により求められた計測位置を示している。
【0035】
図5(A)に示すように、トンネルTN内において自動車CR4がカーブに差し掛かると通常はブレーキを踏み込んで減速したり、さらには、カーブを抜けきるところでアクセルを踏み込むものである。その際、トンネルTNの直前まで等速運動をしていたとしても、一気に減速や加速が伴うことから、相対位置で自動車CR4の計測位置を慎重に算出する必要がある。
【0036】
通常、図5(A)の例のように、トンネルTN内の坂道を走行する自動車CR4の走行位置STC2,3に対応して、計測位置PC2,3がそれぞれ走行位置STC1,2の累積誤差をもって対応することになる。これにより、トンネルTNを抜けたところでは、走行位置STC3と計測位置PC4の関係は累積誤差の発生により不一致となる。
【0037】
これに対して、本実施形態の場合は、図5(B)のように、トンネルTN内のカーブを走行する自動車CR5(自動車CR4と同じ条件、環境で走行する)の走行位置STD1,2に対応して、計測位置PD2,3が前述の累積誤差DA1,2をもたずに対応することになる。これにより、トンネルTNを抜けたところでは、走行位置STD3と計測位置PD4の関係は累積誤差がなく一致する。これは、前述したように、GSP測位ができず、想定以上の加速度が発生した際に、加速度のキャンセル処理を実行して真位置を越える走行距離の累積誤差を防止するものである。
【0038】
つづいて、動作について説明する。図6は本実施形態によるナビゲーション処理の一例を説明するフローチャートである。以下に説明する動作は、主として、ナビゲーション装置2のロケーションコンピュータ21および画像処理装置23において、各制御ユニットおよびプログラムにより実現されるものである。
【0039】
ナビゲーション装置2の電源が投入されると、初期設定が実行され(ステップS101)、ナビゲーションセンサ6および傾斜センサ8からそれぞれにおいて検知される情報の入力が開始される(ステップS102)。つづいて、ドライバもしくは同乗者から経路設定(出発地、目的地等)等の入力が受け付けられ、メモリに記憶される(ステップS103)。ここで、メモリは図示せぬがナビゲーション装置2全体を制御する制御ユニットの記憶装置でもよく、あるいは、ロケーションコンピュータ21や画像処理装置27のメモリでもよい。
【0040】
以上の準備が整い、自動車2が走行を開始すると、ロケーションコンピュータ21において、図7および図8に示す3次元マップマッチング処理が開始される(ステップS104)。この3次元マップマッチング処理により3次元位置情報が決定すると、画像処理装置27において、その3次元位置情報に基づいて経路案内画像(矢印で示すものであって右左折の案内、色等で示すものであって識別可能な坂道の案内、数字等で示すものであって車線数が多いときの走行ラインの案内等)が生成される(ステップS105)。
【0041】
この経路案内画像には、傾斜センサ8から供給される自車の傾斜角度に応じてカメラ座標系としての補正が施される(ステップS106)。そして、カメラ7から撮影画像が読み込まれて(ステップS107)、その撮影画像に傾斜補正された経路案内画像が重畳される(ステップS108)。このようにして得られた重畳画像データに基づく画像はディスプレイ5に出力されて表示される(ステップS109)。
【0042】
さらに、音声処理装置26においては、ロケーションコンピュータ21から供給された3次元位置情報に基づいて地図および音声DB23から音声情報が抽出され、その音声情報のうち音声データに基づいて音声ガイダンスが生成される。この音声ガイダンスはスピーカ4から音声として出力される(ステップS110)。
【0043】
つづいて、本実施形態によるGPS測位不能なときの移動時における累積誤差解消および3次元マップマッチングについて詳述する。図7は本実施形態における3次元マップマッチングの原理を座標系で説明する図であり、図8は本実施形態においてGPS測位不能なときの移動時における累積誤差解消および3次元マップマッチング処理の一例を説明するフローチャートである。累積誤差解消および3次元マップマッチング処理は、ロケーションコンピュータ21により実行されるものである。図7(a)は、3次元座標系における2次元マップマッチングと3次元マップマッチングとの関係を示すものであり、同図(b)は、走行時、勾配差の発生において、3次元マップマッチングにより移動量の誤差を防止する原理を説明するものである。
【0044】
図7(a)において、2次元座標上の位置A′,P′,B′,C′には、3次元座標系の位置A,P,B,Cがそれぞれ対応しているものとする。XY平面に写像した2次元位置情報による線分A′,B′,C′上にある点P′の位置情報が得られた場合、3次元位置情報の線分A,B上の点Pの位置に自車があると推定できる。線分ABは、たとえば1m間隔に取得した位置情報を端点とする。このように、2次元マップマッチングにより自車の位置P′がわかれば、必然的に高さデータZすなわちZ軸座標位置データを算出することが可能となる。これにより、ナビゲーションセンサ6を備えるだけでX,Y,Zの3次元ナビゲーションセンサをソフトウェアにより実現することが可能となる。
【0045】
図7(b)において、2次元座標上の位置F′,G′,H′,I′,J′には、3次元座標系の位置F,G,H,I,Jがそれぞれ対応しているものとする。3次元に拡張して勾配の変化を利用して、距離計測の補正を行うと、既存の方法よりも制度が向上する。たとえば、線分FG間において道路の勾配差(角度θ1)が確認されると、本実施形態の3次元マップマッチングにより移動距離の補正が可能となる。ところが、補正が施されないと線分間の補正前移動距離で示されるように、誤差d1が発生する。同様に、線分GH間においても道路の勾配差(角度θ2)が確認され、本実施形態の3次元マップマッチングによる移動距離の補正が施されないと、誤差は蓄積して誤差d2が発生する。本実施形態の3次元マップマッチングが施されると、図示の如く、各線分において誤差の発生が抑制された各線分の補正後移動距離が得られる。その結果、誤差の蓄積を防止することが可能となる。
【0046】
以下、具体的な処理について図8を参照して説明する。3次元マップマッチング処理では、まずナビゲーションセンサ6からの情報にしたがって現在位置、移動距離、および、進行方向の算出が行われ、これらの情報に基づいて2次元マップマッチング処理が実行される。その前提でまず、ナビゲーションセンサ6から計測情報が入力されると(ステップS201)、3次元座標DB22に対して現座標ポイントのつぎの座標ポイントの道路属性ATRnが参照され、GPS測位不能経路(ATR1など)の走行になるかどうかの判断がなされる(ステップS202)。
【0047】
GPS測位不能経路であるという判断結果が得られた場合には(ステップS202のYESルート)、入力された加速度(計測情報)について所定の加速度を超えたかどうか判断される(ステップS203)。そして、所定の加速度を超えたという判断結果が得られた場合には(ステップS203のYESルート)、加速度の変化量がキャンセル(補正)される(ステップS204)。なお、ステップS202において、道路属性ATR0の場合や、S203において、所定の加速度を超えていないという判断結果が得られた場合には、処理はステップS205にジャンプする。
【0048】
ステップS204で計測情報の補正が実行されると、その補正後の情報に基づいて現在位置、移動距離、および、進行方向の算出が行われる(ステップS205)。そして、これらの情報に基づいて2次元マップマッチング処理が実行され、その結果、2次元座標位置が算出される(ステップS206)。ここで、一例として、図7(a)に示したように、2次元座標位置(X−Y座標系)をP′とする。そして、3次元座標DB22から3次元座標データ(X−Y−Z座標系)が読み出されて参照され(ステップS207)、2次元座標位置P′の位置における高さZすなわちZ座標位置が算出される。このようにして、Z位置座標データが取得され、ロケーションコンピュータ21内のメモリに記憶される(ステップS208)。
【0049】
つづいてZ座標位置間の線分から勾配差が判断される(ステップS209)。勾配差があるという判断結果が得られた場合には(ステップS209のYESルート)、その勾配差に基づいて移動距離が補正される(ステップS210)。たとえば、図7(b)の場合、線分FG間では、角度θ1となってそれに基づいて補正処理が実行される。一方、線分GH間では、角度θ2となってそれに基づいて補正処理が実行される。これにより、それぞれの誤差d1、d2は解消される。
【0050】
勾配差に基づく補正が施されると、移動距離の補正からX−Y座標におけるX座標位置およびY座標位置が確定し、これらX−Y座標位置データにZ座標位置データが組み合わされて3次元位置情報が確定する。このようにして3次元位置情報が算出されると、ロケーションコンピュータ21のメモリに記憶される。そして、処理は図6に戻る(ステップS211)。従来、移動距離の補正は交差点ノードでの右左折を利用しており、直進移動距離が伸びると誤差が蓄積していたが、以上の結果、その蓄積を抑制することができる。
【0051】
つぎに、表示例について説明する。図9は本実施形態のナビゲーション時における表示案内の一例を示す図であり、図10は本実施形態のナビゲーション時における表示案内の他の例を示す図である。
【0052】
たとえば立体交差のような場所では、適切な位置で車線変更して早めに経路を確保しなくてはならないところである。たとえば図9(a)に示すように自動車2が立体交差に近づくと、その後、同図(b)に示すように、ドライバが見ている景観と同じ映像がディスプレイ5に表示され、景観に対する経路案内画像51の重畳によって正確に案内することができる。
【0053】
また、たとえば図10(a)に示したように、見通しがよい状態で自動車2が交差点に差し掛かったときはよいが、たとえば同図(b)に示したように、自車前方に大型車両52が走行して前方の見通しを遮るような場合がある。このような場合でも、ディスプレイ5中に実際の景観に対して経路案内画像53を重畳させることで、右左折の報知が可能となり、急な右左折でドライバが慌てるようなことはなくなり、交通安全上の効果も期待できる。
【0054】
つぎに、2次元地図への切り替えについても補足説明する。図11は本実施形態による2次元地図への切り替え処理を説明するフローチャートであり、図12は本実施形態による2次元地図の表示例を示す図である。この処理は、画像処理装置27によって実行される。
【0055】
操作パネル25の操作により景観に対して経路案内画像を重畳させた画像の表示から2次元地図への切り替えが受け付けられると、地図および音声DB23の2次元地図データが参照され、ロケーションコンピュータ21から供給される3次元位置情報に基づいて2次元地図上の位置が算出される(ステップS301)。このとき、移動距離を補正したときのX−Y座標位置データを使用してもよいことはいうまでもない。
【0056】
そして、2次元地図上に自車位置の画像が重畳され、たとえば図12に示したように、経路画像54上に自車位置を示す現在位置マーク55を重畳させた画像が表示される(ステップS303)。この場合にも、移動距離が補正されていることから誤差が抑制された状態でナビゲーションすることが可能となる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態によれば、道路ネットワークに対応するXYZ座標系の3次元座標データであって、道路形状に応じて自動車の移動に加速を伴うと予測される座標位置に対してあらかじめ属性を付与した3次元座標データを記憶しておき、非接触慣性航法装置を用いて、現在位置、移動距離、および、進行方向に関する情報を算出する処理において、非接触慣性航法装置においてあらかじめ設定された閾値以上の加速度を検出した場合、属性を参照して、加速度の変化をキャンセルして移動距離を補正し、その情報を2次元マップマッチングして2次元位置情報を算出し、その2次元位置情報と3次元折線形状データとに基づいてZ座標位置を算出し、自動車の移動上、Z座標位置に基づいてZ軸方向の勾配差を検出し、その勾配差に基づいて移動距離を補正して3次元位置情報を算出するようにしたので、非接触慣性航法装置を用いた際に、経路状態に応じて精度の高いナビゲーションを実現することが可能である。さらに、勾配差のある道路で自動車の直進移動距離が伸びても、地図上に反映される自動車の現在位置に誤差が蓄積することはなく、誤差の発生を抑制することが可能である。
【0058】
また、以上のように誤差の発生を抑制したので、ナビゲーション装置および自動車においては、案内精度の高いナビゲーションを実現することが可能である。
【0059】
さらに、PNDとして安価なナビゲーションシステムを提供することができることはもちろん、本実施形態のロケーションコンピュータを適用すれば、ナビゲーションシステム全体で高精度の3次元ナビゲーションセンサを実現することが可能である。
【0060】
そして、本実施形態においても、3次元CG技術を駆使して実際の風景を再現しないため、膨大な地図データを自動車に取り込む必要はなくなる。
【0061】
また、自動車の現在位置を精度高く地図上にマップマッチングさせるようにしたので、地図鳥瞰画像とカメラで撮影される画像との間で整合されるカメラ座標系においては、自動車の傾斜補正を正確な現在位置に基づいて反映させることが可能である。
【0062】
さらに、自動車の現在位置を正確にマップマッチングさせていることから、カメラで撮影される画像に案内画像を重畳させるときにも案内画像をディスプレイに表示される撮影画像中に正確な位置で表示させることが可能である。
【0063】
そして、3次元折線形状データを使用することから、案内画像の生成もより細かく設定することができるので、右左折の経路においても緩やかな曲線で案内の矢印等を描写することが可能である。
【0064】
また、3次元折線形状データを使用して、自動車の現在位置を正確にマップマッチングさせていることから、夜間、雨、霧等で見通しの悪い景観や前方の視界を大型車両が遮って交差点が確認できないときの走行時でも、前方に近づく右左折案内等の情報を正確にディスプレイ上で表示することが可能である。
【0065】
さらに、ディスプレイに実際の景観を表示させ、そこに適宜案内を重ねて表示するようにしたので、ドライバが見ている景観と同じ映像でのナビゲーションを実現することが可能である。これにより、一般のナビゲーション装置に不慣れな利用者であっても矢印等の案内確認さえできればよく、誰でも簡単かつ即座に使いこなせるというメリットがある。また、右左折レーンや側道までもわかりやすく案内することが可能である。
【0066】
そして、2次元表示する地図においては、必要最小限の情報が収録されていればよく、本実施形態の3次元マップマッチングに対して特別な地図データを用意する必要はないので、この場合にも安価なカーナビゲーションシステムを提供することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、船舶等の業種においても産業上有用であるとともに、位置情報を取得することが可能な携帯電話、携帯情報端末、歩数計、携帯ゲーム機等の電化製品市場においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の一実施形態による自動車の内部構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による3次元座標DBの一例を示す図である。
【図3】本実施形態による道路属性に応じた移動と座標ポイントとの関係例を説明する図である。
【図4】本実施形態による道路属性に応じた移動と座標ポイントとの関係例を説明する図である。
【図5】本実施形態による道路属性に応じた移動と座標ポイントとの関係例を説明する図である。
【図6】本実施形態によるナビゲーション処理の一例を説明するフローチャートである。
【図7】本実施形態による3次元マップマッチングの原理を座標系で説明する図である。
【図8】本実施形態による主要な処理の一例を説明するフローチャートである。
【図9】本実施形態のナビゲーション時における表示案内の一例を示す図である。
【図10】本実施形態のナビゲーション時における表示案内の他の例を示す図である。
【図11】本実施形態による2次元地図への切り替え処理を説明するフローチャートである。
【図12】本実施形態による2次元地図の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 自動車
2 ナビゲーション装置
3 アンテナ
4 スピーカ
5 ディスプレイ
6 ナビゲーションセンサ
7 カメラ
8 傾斜センサ
21 ロケーションコンピュータ
22 3次元座標DB
23 地図および音声DB
24 通信処理装置
25 操作パネル
26 音声処理装置
27 画像処理装置
51 経路案内画像
53 経路案内画像
54 経路画像
55 現在位置マーク
61 GPS機器
62 2次元振動ジャイロ
63 加速度センサ
211 ロケーション処理プログラム
271 画像処理プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位装置、および、方位および加速度を検出する非接触慣性航法装置に接続され、移動体の現在位置を取得するナビゲーション装置であって、
道路ネットワークに対応するXYZ座標系の3次元座標データであって、道路形状に応じて移動体の移動に加速を伴うと予測される座標位置に対してあらかじめ属性を付与した3次元座標データを記憶する記憶手段と、
前記非接触慣性航法装置を用いて、現在位置、移動距離、および、進行方向に関する情報を算出する処理において、前記非接触慣性航法装置においてあらかじめ設定された閾値以上の加速度を検出した場合、前記記憶手段に記憶される属性を参照して、前記検出された加速度の変化をキャンセルして移動距離を補正する補正付算出手段と、
前記補正付算出手段により算出された情報を2次元マップマッチングしてX−Y座標上の2次元位置情報を算出する2次元マッチング手段と、
前記2次元マップマッチング手段で算出された2次元位置情報と前記記憶手段に記憶される3次元座標データとに基づいてX−Y−Z座標上のZ座標位置を算出するZ算出手段と、
前記移動体の移動上、前記Z算出手段で算出されたZ座標位置に基づいてZ軸方向の勾配差を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された勾配差に基づいて移動距離を補正して3次元位置情報を算出する3次元マップマッチング手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
さらに、前記3次元マップマッチング手段で算出された3次元位置情報に基づいてルート案内を示す画像情報を生成する画像生成手段と、前記移動体にカメラが設定されており、当該カメラで撮影された画像情報を入力する入力手段と、前記画像生成手段で生成された画像情報と前記入力手段で入力された画像情報とを重畳する重畳手段と、前記重畳手段で重畳された画像を前記ディスプレイに表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
さらに、2次元地図データを記憶する地図記憶手段と、前記地図記憶手段に記憶される2次元地図データを参照して前記3次元マップマッチング手段で算出された3次元位置情報に基づいて前記移動体の現在位置情報を含む2次元地図を生成する地図生成手段と、前記地図生成手段で生成された2次元地図を前記ディスプレイに表示する地図表示手段とを有することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
衛星測位装置、および、方位および加速度を検出する非接触慣性航法装置に接続され、移動体の現在位置を取得するナビゲーション方法であって、
前記非接触慣性航法装置を用いて、現在位置、移動距離、および、進行方向に関する情報を算出する処理において、前記非接触慣性航法装置においてあらかじめ設定された閾値以上の加速度を検出した場合、前記記憶手段に記憶される属性を参照して、前記検出された加速度の変化をキャンセルして移動距離を補正する第1ステップと、
前記第1ステップにより算出された情報を2次元マップマッチングしてX−Y座標上の2次元位置情報を算出する第2ステップと、
道路ネットワークに対応するXYZ座標系の3次元座標データであって、道路形状に応じて移動体の移動に加速を伴うと予測される座標位置に対してあらかじめ属性を付与した3次元座標データをメモリに記憶しており、前記第2ステップで算出された2次元位置情報と前記メモリに記憶される3次元座標データとに基づいてX−Y−Z座標上のZ座標位置を算出する第3ステップと、
前記移動体の移動上、前記第3ステップで算出されたZ座標位置に基づいてZ軸方向の勾配差を検出する第4ステップと、
前記第4ステップで検出された勾配差に基づいて移動距離を補正して3次元位置情報を算出する第5ステップと、
を含んだことを特徴とするナビゲーション方法。
【請求項5】
自動車であって、
前後左右方向のいずれか1つまたはその組み合わせ分の撮影を行うカメラと、
ディスプレイと、
衛星測位装置、および、方位および加速度を検出する非接触慣性航法装置を用いて、少なくとも現在位置および進行情報を検出する位置検出ユニットと、
ディスプレイを有しており、当該ディスプレイに画像を表示するナビゲーション装置と、
を備え、
前記ナビゲーション装置は、
道路ネットワークに対応するXYZ座標系の3次元座標データを記憶する記憶手段と、
前記非接触慣性航法装置を用いて、現在位置、移動距離、および、進行方向に関する情報を算出する処理において、前記道路ネットワークの経路状態の要因で前記非接触慣性航法装置の出力があらかじめ設定された閾値以上の変化で検出された場合、当該変化量に基づいて移動距離を補正する補正付算出手段と、
前記補正付算出手段により算出された情報を2次元マップマッチングしてX−Y座標上の2次元位置情報を算出する2次元マッチング手段と、
前記2次元マップマッチング手段で算出された2次元位置情報と前記記憶手段に記憶される3次元座標データとに基づいてX−Y−Z座標上のZ座標位置を算出するZ算出手段と、
前記移動体の移動上、前記Z算出手段で算出されたZ座標位置に基づいてZ軸方向の勾配差を検出する検出手段と、
前記検出手段で検出された勾配差に基づいて移動距離を補正して3次元位置情報を算出する3次元マップマッチング手段と、
前記3次元マップマッチング手段で算出された3次元位置情報に基づいてルート案内を示す画像情報を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段で生成された画像情報と前記入力手段で入力された画像情報とを重畳する重畳手段と、
前記重畳手段で重畳された画像を前記ディスプレイに表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−185507(P2008−185507A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20564(P2007−20564)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(506027860)モバイルマッピング株式会社 (5)
【Fターム(参考)】